説明

測定データ無線転送システム

【課題】消費電力が低く、且つ混信の発生を防ぐことのできる測定データ無線転送システムを提供する。
【解決手段】複数の子機10と、各子機10から送信された測定データを受信する親機20とを備えた測定データ無線転送システム100において、子機10の各々は、初期設定時に親機20に対して、所定の基準時点から測定データを送信するまでの待ち時間を設定する待ち時間情報を含む設定データを要求する設定要求信号を出力し、親機20からの設定データに基づいて測定データの送信タイミングを制御し、測定データの送信タイミングには親機20との通信を行う通信部11を起動状態とさせ、当該測定データの送信後には通信部11を停止させ、親機20は、子機10の各々が互いに異なる送信タイミングで測定データを送信するよう待ち時間情報を決定し、設定要求信号に応じ、複数の子機10に対して待ち時間情報を含む設定データを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定データ無線転送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノギスやマイクロメータなどのデジタル計測器による計測において、デジタル計測器に接続されて測定データを無線送信する子機と、データ処理装置に接続されて測定データを受信する親機と、からなる測定データ無線転送システムが知られている。
このシステムにおいては、同一通信エリア内に複数のデジタル計測器が存在し且つ高頻度で測定データを転送する場合に発生する混信を防ぐ対策として、例えば下記3つの方法が知られている。
第1の方法は、デジタル計測器が、自身の送信開始前に、伝送路が使用中でないか確認する動作(キャリアセンス)を実施し、自身の送信周波数と同一のキャリアが他に存在しないことを確認した後、測定データを送信する方法である。
第2の方法は、親機から、デジタル計測器個別に与えられたIDを含む送信要求信号をデジタル計測器に送信し、自身のIDを認識したデジタル計測器が、測定データを送信する方法である(例えば、特許文献1参照。)。
第3の方法は、親機から、送信開始時刻までの時間データを含む送信要求信号を各デジタル計測器に送信し、これを認識したデジタル計測器が、指定された一定時間後に測定データを送信する方法である(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−114906号公報
【特許文献2】特公平7−120973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、多くのデジタル計測器では、その携帯性を保つため、外部からの電源供給の必要がない電池駆動方式が採用されている。また、デジタル計測器に接続して使用する子機も電池駆動するようになっており、携帯性を損なわないシステムが実現されている。そして、このようなシステムにおいて、無線送受信機である子機は、無線送受信時に大量の電力を消費するため、消費電力を極力抑えることが望まれている。
【0005】
しかしながら、上記した3つの方法は、それぞれ次のような問題があった。
第1の方法では、比較的短い時間に多数のデジタル計測器からの測定データの収集を行う場合に混信の可能性が高く、また、キャリアセンスのために常に受信状態としなければならないので電力消費が大きく、また、時間効率も良くない。
第2の方法では、混信が発生する可能性は無いが、何時送信されるかわからない親機からの送信要求信号を効率良く受信するためには、出来るだけ長く受信状態を保つ必要があり、電力消費が大きい。
第3の方法では、混信が発生する可能性は無いが、第2の方法と同様に、何時送信されるかわからない親機からの送信要求信号を受信するために出来るだけ長く受信状態を保つ必要があり、電力消費が大きい。
【0006】
本発明の課題は、消費電力が低く、且つ混信の発生を防ぐことのできる測定データ無線転送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
測定データを出力する複数の測定器の各々に接続され、測定データを無線送信する複数の子機と、
測定データを処理するデータ処理装置に接続され、前記複数の子機から送信された測定データを受信し、当該受信した測定データを前記データ処理装置に出力する親機と、
を備えた測定データ無線転送システムにおいて、
前記複数の子機の各々は、
初期設定時に、前記親機に対して、所定の基準時点から測定データを送信するまでの待ち時間を設定するための待ち時間情報を含む設定データを要求する設定要求信号を出力するデータ要求手段と、
前記設定要求信号に応じて前記親機から送信された前記設定データに基づいて、測定データの送信タイミングを制御する送信タイミング制御手段と、
測定データの送信タイミングには前記親機との通信を行う通信部を起動状態とさせ、当該測定データの送信後には前記通信部を停止させる起動制御手段と、を備え、
前記親機は、
前記複数の子機の各々が互いに異なる送信タイミングで測定データを送信するよう前記待ち時間情報を決定する待ち時間決定手段と、
前記設定要求信号に応じて、前記複数の子機に対して、前記待ち時間決定手段により決定された前記待ち時間情報を含む前記設定データを送信するデータ送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の測定データ無線転送システムにおいて、
ユーザ操作により前記複数の子機に対して同時に測定データの送信を指示する操作手段を備え、
前記子機は、前記操作手段に対してユーザ操作が実行された時点を前記基準時点として、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する動作モードを実行する動作モード実行手段を備え、
前記設定データには、当該動作モードを指定するモード情報が含まれることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の測定データ無線転送システムにおいて、
前記子機は、
測定器の測定値を監視して一の測定の終了を検出する検出手段と、
前記検出手段により一の測定の終了が確認された時点を前記基準時点として、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する動作モードを実行する動作モード実行手段と、
を備え、
前記設定データには、当該動作モードを指定するモード情報が含まれることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の測定データ無線転送システムにおいて、
ユーザ操作により前記複数の子機に対して同時に測定開始を指示する指示手段を備え、
前記子機は、前記指示手段に対してユーザ操作が実行された時点で測定を開始すると共に、当該時点を前記基準時点とし、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する動作モードを実行する動作モード実行手段を備え、
前記設定データには、当該動作モードを指定するモード情報が含まれることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の測定データ無線転送システムにおいて、
前記子機は、
前記複数の子機に対して同時に測定データの送信を指示する操作手段に対してユーザ操作が実行された時点を前記基準時点として、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第1動作モードを実行する第1動作モード実行手段と、
測定器の測定値を監視して一の測定の終了を検出する検出手段により一の測定の終了が確認された時点を前記基準時点として、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第2動作モードを実行する第2動作モード実行手段と、
前記複数の子機に対して同時に測定開始を指示する指示手段に対してユーザ操作が実行された時点で測定を開始すると共に、当該時点を前記基準時点とし、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第3動作モードを実行する第3動作モード実行手段と、
を備え、
前記親機は、
前記第1〜3動作モードの何れかを設定する動作モード設定手段と、
前記動作モード設定手段により設定された動作モードを指定するモード情報を前記子機に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、子機毎に基準時点からの異なる待ち時間で設定された送信タイミングで測定データが親機に送信されるので、電波発信のタイミングが子機毎に異なることとなるため、混信すること無しに全ての測定データの転送を行うことができる。
また、各子機の測定データの送信タイミングを設定するための設定データは、測定器の電源投入時(子機の初期設定時)にのみ送受信が行われ、設定後は、親機から同様のデータを受信する必要がない。そして、測定データの送信タイミングには親機との通信を行う通信部を起動状態にさせて、当該測定データの送信後には通信部を停止させるので、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の測定データ無線転送システムの全体構成を示す図である。
【図2】図1の測定データ無線転送システムにおける子機の制御構成を示す図である。
【図3】図1の測定データ無線転送システムにおける親機の制御構成を示す図である。
【図4】第1動作モードの動作を示すフローチャートである。
【図5】第2動作モードの動作を示すフローチャートである。
【図6】第3動作モードの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る測定データ無線転送システムについて、詳細に説明する。
【0015】
まず、測定データ無線転送システム(以下、無線転送システムという。)100の全体構成について説明する。
図1に示すように、無線転送システム100は、デジタル計測器(測定器)1に接続されて測定データを無線送信する複数の子機10と、データ処理装置2に接続されて子機10から送信された測定データを受信する親機20と、を備えて構成されている。
即ち、無線転送システム100は、測定データを出力する複数の測定器1と、これら複数の測定器1の測定データを処理するデータ処理装置2との間において、相互に情報を送受信させる情報送受信システムである。
【0016】
測定器1は、測定対象物を測定した測定データをデジタル値として出力し、子機10に出力するものであって、測定器1の各々に対して1つずつ子機10が接続されている。
測定器1には、各々固有のID番号と、所定台数ごとにグループ化したグループ番号とが付与されており、このID番号及びグループ番号は、子機10に予め記録されている。
具体的には、例えば、図1に示すように、ID番号1〜4の4つの測定器をグループ1、ID番号5〜8の4つの測定器をグループ2として、グループ番号を測定器毎のID番号と共に子機10に予め記録する。
【0017】
なお、測定器1としては、例えば、ノギス、高さ測定器、深さ測定器、マイクロメータ、内径測定器、ダイヤルゲージ、各種の形状測定機(表面粗さ測定機、輪郭形状測定機、真円度測定機、表面性状測定機等)、座標測定器機、圧力測定器、等が例示できる。
【0018】
また、データ処理装置2は、例えば、各測定器1専用のデータ収集処理装置や、測定データ処理用のプログラムが実行可能なパソコン(PC;personal computer)等が利用可能である。
具体的には、データ処理装置2は、図示しないCPUや、メモリ、外部記憶装置、モニタ、キーボード、等を備え、メモリや外部記憶装置に所定のプログラムやデータが組み込まれたものである。そして、データ処理装置2は、複数の測定器1を各々のID番号及びグループ番号に基づいて管理し、測定器1で測定された測定データを収集して記録する。
【0019】
なお、1台のデータ処理装置2には、複数(図1では2台)の親機20が接続可能であり、1台の親機20には、複数(図1では4台)の子機10が接続可能である。そして、1台の親機20が複数の子機10と各種信号やデータ等の送受信を行って、測定データを収集するようになっている。
【0020】
このような本実施形態の無線転送システム100では、各グループ毎に、第1動作モード、第2動作モード、第3動作モードの何れかの動作モードが設定されている。ここで、第1動作モード、第2動作モード、第3動作モードとは、詳細は後述するが、無線転送システム100における測定データの送信方法であり、このモード設定に従ってデータ送信が実行される。
このとき、各グループ内の複数の子機10は、互いに異なるタイミングでデータ送信を行うように設定され、混信しないようになっている。また、各グループで使用周波数を異ならせるようにすることで、例えば2つのグループで同時にデータ送信を行っても混信しないようになっている。
なお、動作モードは、初期設定時(子機10が測定器1に接続されて電源がオンとなった時点)に設定されるが、その後も任意に変更可能である。一方、各グループ内の複数の子機10のデータ送信タイミングは、初期設定時に設定された後は、例えば動作モードが変更された場合でも、電源がオフとなるまで維持される。
【0021】
次に、子機10の構成について説明する。
子機10は、通信部11、報知部12、操作部13、計時部14、接続部15、電源部16、制御部17、等を備えて構成されている。
【0022】
通信部11は、図示しないアンテナを備え、親機20との間で、例えば、後述する設定要求信号や設定データ、測定データ等の無線送受信を行う。
具体的に、通信部11は、初期設定時に親機20に対して設定要求信号を送信し、この設定要求信号に応じて親機20から出力された設定データを受信する。
また、通信部11は、CPU171からの制御信号に基づいて、データの送信タイミングには、電源部16から電力が供給されることにより起動状態にされて測定データを送信し、当該測定データの送信後に停止される。
【0023】
報知部12は、子機10の表面に設けられたLED等のランプやブザーを備え、例えば親機20から、子機10の設定データや、モード設定や変更を指示するモード情報等を受信したことを作業者に報知する場合や、測定エラーを作業者に報知する場合などに利用される。具体的には、ランプが赤色点灯したり、或いはブザーから警告音が出力するようになっている。
【0024】
操作部13は、操作ボタン等を備え、測定に関する各種の設定操作等を行う場合などに使用される。
この操作部13には、外部に接続された外部操作ボックス131が接続可能となっている。
外部操作ボックス131は、ユーザが押下操作する操作ボタン等を備え、操作手段として、第1動作モードにおいて、複数の子機10に対して同時に測定データの送信(親機20への測定データの出力)を指示する際に使用される。
即ち、外部操作ボックス131は、第1動作モードにおいて、送信タイミングの計時を開始する基準時点を全子機10で一致させるために使用される。ユーザにより外部操作ボックス131の押下操作が行われると、この押下操作に応じた操作信号が全子機10のCPU171に同時出力され、全子機10のCPU171は、同一の基準時点から計時を開始することとなる。
【0025】
また、外部操作ボックス131は、指示手段として、第3動作モードにおいて、複数の子機10に対して同時に測定開始を指示する際に使用される。
即ち、外部操作ボックス131は、第3動作モードにおいて、測定開始タイミングを全子機10で一致させるために使用される。ユーザにより外部操作ボックス131の押下操作が行われると、この押下操作に応じた操作信号が全子機10のCPU171に同時出力され、全子機10のCPU171は、同時に測定を開始することとなる。
なお、第3動作モードでは、測定開始タイミングが、送信タイミングの計時を開始する基準時点と一致するため、全子機10のCPU171は、同一の基準時点から出力タイミングの計時を開始することとなる。
【0026】
また、操作部13は、設定された動作モードをリセットするためのリセット機能を実行する際に使用される。
具体的に、操作部13にはリセットボタンが備えられており、例えば3秒以上、このリセットボタンが押し続けられた場合、リセット信号が出力されるようになっている。
また、外部操作ボックス131にリセットボタンを備え、外部操作ボックス131からリセット信号を送信するようにしても良い。
操作部13や外部操作ボックス131から上記リセット信号が出力されると、すでに各々子機10に設定されている待ち時間は維持されたまま、設定された動作モードのみがリセットされる。そして、その待ち時間を経過すると子機10は設定要求信号を親機20に送信する。親機20が子機10からの設定要求信号を受信すると、親機20に設定されている各々子機10の動作モードを指定するモード情報を各々子機10に送信する。かかる操作は、親機20での動作モード変更時に、子機10の動作モードを再設定するためになされるものである。従って、あらかじめ親機20で測定モードを変更し登録しておいてから子機10をリセットすると、動作モードの変更が行われることとなる。
【0027】
計時部14は、計時手段として、CPU171からの制御信号に基づいてカウントを開始し、設定された所定時間が経過する度に信号を出力する。
具体的には、計時部14は、子機10が後述する第1動作モードで動作している場合は、外部操作ボックス131から操作信号が出力された時点から計時を開始し、送信タイミングとなった時点(子機10毎に設定された待ち時間が経過した時点)で出力信号を出力する。
また、計時部14は、子機10が後述する第2動作モードで動作している場合は、検出プログラム173fを実行して一の測定の終了が確認された時点から計時を開始し、送信タイミングとなった時点(子機10毎に設定された待ち時間が経過した時点)で出力信号を出力する。
また、計時部14は、子機10が後述する第3動作モードで動作している場合は、外部操作ボックス131から操作信号が出力され、測定が開始された時点から計時を開始し、予め設定された所定時間が経過して送信タイミングとなった時点(子機10毎に設定された待ち時間が経過した時点)で出力信号を出力する。
【0028】
接続部15は、その一端に測定器1に接続するコネクタを備えた接続ケーブルであり、子機10は、接続部15を介して測定器1に接続される。なお、この接続部15に使用される接続ケーブル及びコネクタは、測定器1の種類に適したものを適宜選択可能となっている。
【0029】
電源部16は、例えば、着脱可能な一次電池又は二次電池であり、子機10に駆動電力を供給する。この電源部16は、CPU171からの制御信号に基づいて、データ送信タイミングにのみ通信部11に電力を供給し、データ送信後は通信部11への電力の供給を停止する。
なお、電源部16は、コードやクレードル等と接続することにより充電される充電式であってもよい。
【0030】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)171、RAM(Random Access Memory)172、記憶部173、等を備えている。
【0031】
CPU171は、例えば、記憶部173に記憶されている各種処理プログラムに従って、各種の制御処理を行う。
【0032】
RAM172は、CPU171により演算処理されたデータを格納するワークメモリエリアを形成する。
【0033】
記憶部173は、例えば、CPU171によって実行可能なシステムプログラムや、そのシステムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU171によって演算処理された各種処理結果のデータなどを記憶する。具体的に、記憶部173は図示しないバッファを備え、例えば測定データを一時記録する。また、記憶部173は、測定器1ごとに固有のID番号及びグループ番号を保持するようになっている。
なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形で記憶部173に記憶されている。
【0034】
具体的には、記憶部173には、例えば、データ要求プログラム173a、送信タイミング制御プログラム173b、起動制御プログラム173c、第1動作モード実行プログラム173d、第2動作モード実行プログラム173e、検出プログラム173f、第3動作モード実行プログラム173g、等が記憶されている。
【0035】
データ要求プログラム173aは、例えば、CPU171に、初期設定時に、親機20に対して、所定の基準時点から測定データを送信するまでの待ち時間を設定するための待ち時間情報を含む設定データを要求する設定要求信号を出力する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、子機10が測定器1に接続されて電源がオンとなった時点(初期設定時)で、CPU171は、親機20に対して、上記の設定要求信号を出力する。
CPU171は、かかるデータ要求プログラム173aを実行することで、通信部11と共に、データ要求手段として機能する。
【0036】
ここで、設定データとは、各子機10が測定データを送信するタイミングを設定するために用いるデータであり、1台の親機20に対して接続された複数の子機10が同時に測定データの送信を行わないように設定を行うためのデータである。
具体的に、設定データには、所定の基準時点から、親機20に対して測定データを送信するまでの待ち時間を設定するための待ち時間情報が含まれている。
より具体的には、例えば、1台の親機20に対して4つの子機10が接続されている場合、4つの子機10には、例えば1秒ずつ異なる待ち時間が設定されている。これにより、4つの子機10は、それぞれ1秒ずつ異なるタイミングで測定データが親機に送信されることとなる。
【0037】
また、設定データには、第1動作モード、第2動作モード、第3動作モードの3つの動作モードを指定するモード情報が含まれており、このモード情報に従って、各子機10の制御動作が実行されるようになっている。
なお、「所定の基準時点」は、第1動作モード、第2動作モード、第3動作モードにより、それぞれ異なる時点が基準時点として設定されている。
【0038】
送信タイミング制御プログラム173bは、例えば、CPU171に、設定要求信号に応じて親機20から送信された設定データに基づいて、測定データの送信タイミングを制御する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、親機20が設定データを出力して通信部11がこれを受信した場合、CPU171は送信タイミング制御プログラム173bを実行して、1台の親機20に対して接続された複数の子機10が、異なる送信タイミングで測定データを送信するように設定を行う。
例えば、設定データにより、複数の子機10のうち、ID番号の早い測定器1に接続された子機10から順に1秒毎に測定データを送信するように送信タイミングが設定されている場合、複数の子機10は、ID番号の早い順に、1秒ずつ異なるタイミングで測定データを送信することとなる。
CPU171は、かかる送信タイミング制御プログラム173bを実行することで、送信タイミング制御手段として機能する。
【0039】
起動制御プログラム173cは、例えば、CPU171に、測定データの送信タイミングには親機20との通信を行う通信部11を起動状態とさせ、当該測定データの送信後には通信部11を停止させる機能を実現させるプログラムである。
具体的には、CPU171は、送信タイミング制御プログラム173bの実行により設定された送信タイミングにおいて、親機20との通信を行う通信部11に電源部16から電力を供給して起動状態とさせ、測定データを送信させる。また、CPU171は、当該測定データの送信後には電源部16からの電力供給を停止して通信部11を停止させる。
CPU171は、かかる起動制御プログラム173cを実行することで、起動制御手段として機能する。
【0040】
第1動作モード実行プログラム173dは、例えば、CPU171に、外部操作ボックス131に対してユーザ操作が実行された時点を基準時点として、設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第1動作モードを実行する機能を実現させるプログラムである。
なお、この第1動作モード実行プログラム173dは、親機20から送信された設定データに、当該第1動作モードを指定するモード情報が含まれた場合にCPU171により実行される。
【0041】
第1動作モードでは、CPU171は、まず、外部操作ボックス13により出力された操作信号に基づいて、接続された測定器1の基準時点を一致させ、計時部14による計時を開始する。次に、CPU171は、測定器1から測定データを取得して記憶部173に格納し、子機10毎に設定された送信タイミングとなった時点で、格納された測定データを親機20に対して送信する。
従って、この第1動作モードでは、子機10は、外部操作ボックス13が押下操作されて操作信号を受信するまでは、通信部11を受信状態としておく必要がなく、消費電力を低減することができるようになっている。
【0042】
CPU171は、かかる第1動作モード実行プログラム173dを実行することで、第1動作モード実行手段として機能する。
【0043】
第2動作モード実行プログラム173eは、例えば、CPU171に、後述の検出プログラム173fの実行により一の測定の終了が確認された時点を基準時点として、設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第2動作モードを実行する機能を実現させるプログラムである。
なお、この第2動作モード実行プログラム173eも、親機20から送信された設定データに、当該第2動作モードを指定するモード情報が含まれた場合に実行される。
【0044】
第2動作モードでは、CPU171は、測定器1がカウントを開始してからの測定値の変化を監視しており、一定時間測定値が変化しないと判断された場合、測定器1における一の測定の終了が検出されたとして、その検出された時点を基準時点として計時部14による計時を開始する。
次に、CPU171は、子機10毎に設定された送信タイミングとなった時点で、当該測定データを親機20に対して送信する。
【0045】
なお、第2動作モードにおいては、各々測定器1がカウントを開始するタイミングは、測定対象物に依存するためそれぞれ異なるが、一の測定の終了が検出されるタイミング(基準時点)は同一となる。
ここでは、具体的に、1つの測定治具に複数の測定器が固定されている場合を想定する。測定治具が、下方に位置する測定対象物に向かって下降すると、複数の測定器はそれぞれ測定対象物に接触した時点でカウントを開始する。測定治具は、全ての測定器がカウントを始め、更に、全ての測定器で測定が同時に完了するように、予め決定された位置まで下降するようになっており、その予め決定された位置でしばらく待機した後、測定を完了する。その後、測定治具は、当初の位置まで上昇する。
従って、CPU171は、測定値の値の変化が停止すると、この測定値が安定していると確認できる時間間隔を待機してから、その測定データを記憶部173に格納することとなる。
仮にこのとき、測定器1の反応時間(測定完了時間)にばらつきがあるとしても、このばらつきは数ミリ秒程度であり、複数の測定器1の各々が測定データを送信する間隔(例えば、1秒又は2秒)と比較して十分小さいため、全測定器1の測定完了タイミングを基準時点として同時に設定できることとなる。
なお、冶具などの緩みやその他の原因で、同時に測定が終了しない場合には、子機10はエラー信号を出力し、報知部12によって報知されるようになっている。
【0046】
また、複数の測定器1の測定完了時間を正確に一致させるため、測定器1のデータが安定する待機時間を個別に設定しておき、例えば測定治具の可動開始タイミングからの一定時間経過後、全ての測定器1が測定を終了したことする構成としても良い。待機時間には初期値として所定の値を設定しておく。この所定の値は、ユーザの子機10に対する手動での設定、或いは親機20やデータ処理装置2での設定により個別に変更可能とすることができる。
従って、この第2動作モードでは、測定器1における一の測定の終了が検出されてから受信状態とすればよいので、測定器1の測定値が定まらない間の不要なデータは送信されず、消費電力を低減することができるようになっている。
【0047】
CPU171は、かかる第2動作モード実行プログラム173eを実行することで、第2動作モード実行手段として機能する。
【0048】
検出プログラム173fは、例えば、CPU171に、測定器1の測定値を監視して一の測定の終了を検出する機能を実現させるプログラムである。
なお、この検出プログラム173fは、親機20から送信された設定データに、第2動作モードを指定するモード情報が含まれ、上記した第2動作モード実行プログラム173eの実行に際して、実行される。
具体的に、CPU171は、検出プログラム173fを実行することで、測定器1がカウントを開始してから、測定対象物から離れてカウントを停止するまでの測定値の変化を監視している。このとき、CPU171は、測定器1の測定値の変化の有無を判定しており、設定された時間間隔分、測定値が変化しない場合に一の測定の終了を検出する。なお、「時間間隔」は、ユーザにより任意で設定・変更可能である。
CPU171は、かかる検出プログラム173fを実行することで、検出手段として機能する。
【0049】
第3動作モード実行プログラム173gは、例えば、CPU171に、外部操作ボックス131に対してユーザ操作が実行された時点で測定を開始すると共に、当該時点を基準時点とし、設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第3動作モードを実行する機能を実現させるプログラムである。
なお、この第3動作モード実行プログラム173gも、親機20から送信された設定データに、当該第3動作モードを指定するモード情報が含まれた場合に実行される。
【0050】
第3動作モードでは、CPU171は、まず、接続された複数の測定器1の測定開始タイミングを揃える。具体的には、CPU171は、例えば、外部操作ボックス131より全子機10に同時に入力される操作信号に基づいて測定を開始する。また、CPU171は、当該操作信号を受信した時点を基準時点として計時部14による計時を開始する。
そして、CPU171は、所定時間毎に、その時点で測定された測定データを送信する。従って、第3動作モードでは、一定時間毎に連続して測定データが送信されることとなる。
なお、接続された複数の測定器1の測定開始タイミングを揃える方法としては、上記以外にも、子機10が親機20からの設定データを受信して初期設定されたときに第3動作モードだけは子機10は受信状態となることとし、親機20経由で子機10に送信されるデータ処理装置2からの「測定開始命令」を受信して、その時点で測定を開始する(その時点を基準時点とする)こととしても良い。即ち、この方法では、親機20或いは親機20に指示信号を送るデータ処理装置2が、指示手段として、ユーザ操作に応じて複数の子機10に対して同時に測定開始を指示している。
また、「所定時間」は、子機10で設定してもよいし、親機20で設定してもよい。
【0051】
CPU171は、かかる第3動作モード実行プログラム173gを実行することで、第3動作モード実行手段として機能する。
【0052】
次に、親機20の構成について説明する。
【0053】
親機20は、通信部21、設定部22、制御部23、等を備え、データ処理装置2と接続ケーブルにて接続されている。
【0054】
通信部21は、図示しないアンテナを備え、子機10との間で、例えば、設定要求信号、設定データ、測定データ等の無線送受信を行う。
具体的に、通信部21は、子機10から通信部11を介して設定要求信号が送信された場合にこれを受信し、この設定要求信号に応じて子機10毎に設定データを送信する。
また、通信部21は、各子機10から測定データが送信された場合にこれを受信する。
また、通信部21は、設定部22により動作モードの設定や変更の指示が行われた場合、送信手段として、その指示された動作モードを指定するモード情報を子機10に送信する。
【0055】
設定部22は、ユーザが押下操作する操作ボタン等を備え、ユーザが測定データを収集する際の動作モードを指定する際に使用される。
即ち、ユーザにより設定部22の押下操作が行われると、この押下操作に応じた操作信号がCPU231(後述)に出力され、CPU231は、この操作信号に応じて、動作モード設定プログラム233d(後述)を実行する。
【0056】
制御部23は、CPU231、RAM232、ROM233、等を備えている。
【0057】
CPU231は、例えば、ROM422に記憶されている各種処理プログラムに従って、各種の制御処理を行う。
RAM232は、CPU231により演算処理されたデータを格納するワークメモリエリアを形成する。
【0058】
ROM233は、例えば、CPU231によって実行可能なシステムプログラムや、そのシステムプログラムで実行可能な各種処理プログラム、これら各種処理プログラムを実行する際に使用されるデータ、CPU231によって演算処理された各種処理結果のデータなどを記憶する。なお、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形でROM233に記憶されている。
【0059】
具体的には、ROM233には、例えば、待ち時間決定プログラム233a、データ送信プログラム233b、測定データ受信プログラム233c、動作モード設定プログラム233d、等が記憶されている。
【0060】
待ち時間決定プログラム233aは、例えば、CPU231に、複数の子機10の各々が互いに異なる送信タイミングで測定データを送信するよう待ち時間情報を決定する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、CPU231は、例えば、ID番号の早い測定器1に接続された子機10から順に1秒毎に測定データを送信するように待ち時間を決定する。
CPU231は、かかる待ち時間決定プログラム233aを実行することで、待ち時間決定手段として機能する。
【0061】
データ送信プログラム233bは、例えば、CPU231に、設定要求信号に応じて、複数の子機10に対して、前記待ち時間情報を含む設定データを送信する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、通信部21が子機10から出力された設定要求信号を受信したことに応じて、CPU231が待ち時間決定プログラム233aを実行し、複数の子機10の各々に対する待ち時間情報が決定された場合、CPU231は、データ送信プログラム233bを実行し、複数の子機10の各々に対して、各々の待ち時間情報を含んだ設定データを出力する。
上述したように、設定データは、複数の測定器1の各々に対して、測定データの送信タイミングを指定するものであるため、この設定データに基づいて設定された複数の子機10は、それぞれ異なるタイミングで親機20に対して測定データを送信することとなる。
CPU231は、かかるデータ送信プログラム233bを実行することで、通信部21と共にデータ送信手段として機能する。
【0062】
測定データ受信プログラム233cは、例えば、CPU231に、複数の子機10から送信された測定データを受信し、データ処理装置2に出力する機能を実現させるプログラムである。
具体的には、CPU231は、通信部21を介して複数の子機10から測定データを受信すると、この測定データを接続ケーブルを介してデータ処理装置2に出力する。データ処理装置2では、親機20から出力された測定データを記録するようになっている。
【0063】
動作モード設定プログラム233dは、例えば、CPU231に、第1〜第3動作モードの何れかを設定する機能を実現させるプログラムである。
具体的に、初期設定時においては、CPU231は、動作モード設定プログラム233dを実行し、設定データに含まれるモード情報を通信部21により子機10に対して送信する。
又は、測定中、ユーザが設定部22により動作モードを変更した場合、CPU231は、動作モード設定プログラム233dを実行し、子機10からの設定要求信号を受信すると指定された動作モードのモード情報を通信部21により子機10に対して送信する。
なお、モード情報を受信した子機10では、CPU171により指定された動作モードが実行される。
CPU171は、かかる動作モード設定プログラム233dを実行することで、動作モード設定手段として機能する。
【0064】
次に、無線転送システム100の動作を、図4〜6を用いて説明する。
図4は、第1動作モードの動作を示すフローチャートである。
第1動作モードでは、先ず、ステップS101において、子機10のCPU171は、電源をONにする。
次いで、ステップS102において、CPU171は、外部操作ボックス131への操作が有るか否か、即ち操作信号が入力されたか否かを判断し、操作信号が入力されていない場合(ステップS101:NO)、このステップS102の処理を繰り返す。
一方、操作信号が入力された場合(ステップS102:YES)、続くステップS103において、測定データ出力のトリガが発生すると、続くステップS104において、CPU171は、接続されている測定器1に対して測定データを要求する。
次いで、ステップS105において、CPU171は、測定器1から測定データを取得する。
次いで、ステップS106において、CPU171は、測定データを記憶部173に格納する。
次いで、ステップS107において、CPU171は、設定された待ち時間経過したか否かを判断し、待ち時間が経過していない場合(ステップS107:NO)、このステップS107を繰り返す。
一方、待ち時間が経過した場合(ステップS107:YES)、続くステップS108において、CPU171は、測定データを出力し、本処理を終了する。
【0065】
図5は、第2動作モードの動作を示すフローチャートである。
第2動作モードでは、先ず、ステップS201において、子機10のCPU171は、電源をONにする。
次いで、ステップS202において、CPU171は、接続されている測定器1に対して測定データを要求する。
次いで、ステップS203において、CPU171は、測定器1から測定データを取得する。
次いで、ステップS204において、CPU171は、測定データの取得が初回であるか否かを判断し、測定データの取得が初回である場合(ステップS204:YES)、続くステップS205において、CPU171は、所定の待機時間(待機時間1)だけ待機し、続くステップS206において、測定データを、記憶部173の図示しない第1のバッファに格納した後、上記ステップS202に戻って以降の処理を繰り返す。
ここで、待機時間1は、測定器1の計測速度に応じ、消費電力の低減を図るため適当な値に設定された時間である。
【0066】
一方、測定データの取得が初回でない場合(ステップS204:NO)、続くステップS207において、CPU171は、測定データを、記憶部173の図示しない第2のバッファに格納する。
次いで、ステップS208において、CPU171は、測定値に変化がないか否か、即ち、第1のバッファに格納した値と、第2のバッファに格納した値の差が0となるか否かを判断する。
そして、測定値に変化がある場合(ステップS208:NO)、続くステップS209において、CPU171は、所定の待機時間(待機時間1)だけ待機し、続くステップS210において、第2のバッファのデータにより、第1のバッファのデータを上書きした後、上記ステップS202に戻って以降の処理を繰り返す。
一方、測定値に変化がない場合(ステップS208:YES)、続くステップS211において、CPU171は、所定の待機時間(待機時間1)だけ待機し、続くステップS212において、測定値が所定時間同一か否かを判断し、所定時間同一でない場合(ステップS212:NO)、上記ステップS202に戻って以降の処理を繰り返す。
一方、所定時間同一である場合(ステップS212:YES)、続くステップS213において、CPU171は、所定の待機時間(待機時間2)だけ待機する。ここで、待機時間2は、他の測定器1の測定の終了を考慮するための時間である。即ち、待機時間2の後には、全ての測定器1の測定が終了したと推測される。
次いで、ステップS214において、測定データ出力のトリガが発生すると、続くステップS215において、CPU171は、設定された待ち時間経過したか否かを判断し、待ち時間が経過していない場合(ステップS215:NO)、このステップS215を繰り返す。
一方、待ち時間が経過した場合(ステップS215:YES)、続くステップS216において、CPU171は、測定データを出力し、本処理を終了する。
【0067】
図6は、第3動作モードの動作を示すフローチャートである。
第3動作モードでは、先ず、ステップS301において、子機10のCPU171は、電源をONにする。
次いで、ステップS302において、CPU171は、外部操作ボックス131への操作が有るか否か、即ち操作信号が入力されたか否かを判断し、操作信号が入力されていない場合(ステップS302:NO)、このステップS302の処理を繰り返す。
一方、操作信号が入力された場合(ステップS302:YES)、続くステップS303において、測定データ出力のトリガが発生すると、続くステップS304において、CPU171は、接続されている測定器1に対して測定データを要求する。
次いで、ステップS305において、CPU171は、測定器1から測定データを取得する。
次いで、ステップS306において、CPU171は、測定データを記憶部173に格納する。
次いで、ステップS307において、CPU171は、設定された待ち時間経過したか否かを判断し、待ち時間が経過していない場合(ステップS307:NO)、このステップS307を繰り返す。
一方、待ち時間が経過した場合(ステップS307:YES)、続くステップS30
8において、CPU171は、測定データを出力する。
次いで、ステップS309において、CPU171は、測定終了時間であるか否かを判断し、測定終了時間である場合(ステップS309:YES)、CPU171は、本処理を終了する。
一方、測定終了時間でない場合(ステップS309:NO)、続くステップS310において、CPU171は、所定時間経過したか否かを判断し、所定時間経過していなか場合(ステップS310:NO)、このステップS310の処理を繰り返す。
一方、所定時間経過した場合(ステップS310:YES)、CPU171は、上記ステップS304に戻って、以降の処理を繰り返す。
【0068】
以上のように、本実施形態の無線転送システム100によれば、子機10毎に基準時点からの異なる待ち時間で設定された送信タイミングで測定データが親機20に送信されるので、電波発信のタイミングが子機10毎に異なることとなるため、混信すること無しに全ての測定データの転送を行うことができる。
また、各子機10の測定データの送信タイミングを設定するための設定データは、子機10の電源投入時(子機の初期設定時)および動作モードが変更されたときにのみ送受信が行われ、設定後は、親機20から同様のデータを受信する必要がないため、各子機10は、設定データを受信するとき、或いは第3動作モードにおいて測定開始命令を受信するときにのみ受信状態にすればよい。そして、測定データの送信タイミングには親機20との通信を行う通信部11を起動状態にさせて、当該測定データの送信後には通信部11を停止させる。このため、消費電力を低減することができる。
よって、消費電力が低く、且つ混信の発生を防ぐことができる。
【0069】
また、本実施形態の無線転送システム100によれば、設定データに第1動作モードを指定するモード情報が含まれた場合には、外部操作ボックス131に対してユーザ操作が実行された際に、測定データを送信する第1動作モードが実行される。
この第1動作モードの場合、子機10は、外部操作ボックス131が押下操作されるまでは受信状態としておく必要がないため、消費電力を低減することができる。
【0070】
また、本実施形態の無線転送システム100によれば、設定データに第2動作モードを指定するモード情報が含まれた場合には、測定終了が確認された時点で、測定データを送信する第2動作モードが実行される。
この第2動作モードの場合、子機10は、測定器1が測定対象物から離れている場合の測定データは無線伝送をしないこととなるので、消費電力を低減することができる。
【0071】
また、本実施形態の無線転送システム100によれば、設定データに第3動作モードを指定するモード情報が含まれた場合には、指示手段に対してユーザ操作が実行された時点で測定を開始し、所定時間毎に測定データを送信する第3動作モードが実行される。
【0072】
また、本実施形態の無線転送システム100によれば、親機20の設定部22を用いて、ユーザが子機10の動作モードの変更を指示した場合、当該設定された動作モードに切り換えることができる。
これにより、測定状況に応じて適した動作モードを選択実行することができる。
【0073】
なお、上記実施形態においては、ユーザが親機20の設定部22に動作モードの設定の入力を行うと、CPU231が動作モード設定プログラム233dを実行し、動作モードが設定されることとしているが、データ処理装置2のキーボードにより設定を行い、親機20がその設定をデータ処理装置2より受信して格納すると、CPU231は、動作モード設定プログラム233dを実行し、指定された動作モードのモード情報を通信部21により子機10に対して送信することとしても良い。
また、子機10のID番号とグループ番号、待ち時間の設定等も同様に、データ処理装置2を用いて設定を行うこととしても良い。
【0074】
また、上記実施形態においては、第1〜第3動作モードを変更可能な構成について説明したが、第1〜第3動作モードのうちの何れか1つの動作モードのみ実行可能なシステムとして構成することもできる。
【0075】
また、上記実施形態においては、第1動作モードを、外部操作ボックス131を押下操作することでデータ送信が実行されることとして説明したが、例えば、データ処理装置2よりデータ送信の指示を行うこととしても良い。
【0076】
また、上記実施形態においては、2台の親機20に4台ずつ子機10を接続した構成を例示しているが、親機20及び子機10の数はこれに限定されない。具体的には、実用上、1台のデータ処理装置2には、15台の親機20が接続でき、1台の親機20には、100台の子機10が接続可能である。また、使用周波数は15チャンネル利用可能である。
【0077】
また、測定器1が走査による測定を行う場合には、ある一定時間内に測定された測定データを蓄積記憶しておき、送信タイミングに、蓄積されたデータを一括で親機20に対して送信することで、混信することなしに全ての測定データの転送を行うことができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ジタル計測器(測定器)
2 データ処理装置
10 子機
11 通信部(データ要求手段)
12 報知部
13 操作部
131 外部操作ボックス(操作手段、指示手段)
14 計時部(計時手段)
15 接続部
16 電源部
17 制御部
171 CPU
172 RAM
173 記憶部
173a データ要求プログラム(データ要求手段)
173b 送信タイミング制御プログラム(送信タイミング制御手段)
173c 起動制御プログラム(起動制御手段)
173d 第1動作モード実行プログラム(第1動作モード実行手段)
173e 第2動作モード実行プログラム(第2動作モード実行手段)
173f 検出プログラム(検出手段)
173g 動作モード実行プログラム(第3動作モード実行手段)
20 親機
21 通信部(データ送信手段、送信手段)
22 設定部(設定手段)
23 制御部
231 CPU
232 RAM
233 ROM
233a 待ち時間決定プログラム(待ち時間決定手段)
233b データ送信プログラム(データ送信手段)
233c 測定データ受信プログラム(測定データ受信手段)
233d 動作モード設定プログラム(動作モード設定手段)
100 測定データ無線転送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定データを出力する複数の測定器の各々に接続され、測定データを無線送信する複数の子機と、
測定データを処理するデータ処理装置に接続され、前記複数の子機から送信された測定データを受信し、当該受信した測定データを前記データ処理装置に出力する親機と、
を備えた測定データ無線転送システムにおいて、
前記複数の子機の各々は、
初期設定時に、前記親機に対して、所定の基準時点から測定データを送信するまでの待ち時間を設定するための待ち時間情報を含む設定データを要求する設定要求信号を出力するデータ要求手段と、
前記設定要求信号に応じて前記親機から送信された前記設定データに基づいて、測定データの送信タイミングを制御する送信タイミング制御手段と、
測定データの送信タイミングには前記親機との通信を行う通信部を起動状態とさせ、当該測定データの送信後には前記通信部を停止させる起動制御手段と、を備え、
前記親機は、
前記複数の子機の各々が互いに異なる送信タイミングで測定データを送信するよう前記待ち時間情報を決定する待ち時間決定手段と、
前記設定要求信号に応じて、前記複数の子機に対して、前記待ち時間決定手段により決定された前記待ち時間情報を含む前記設定データを送信するデータ送信手段と、を備えることを特徴とする測定データ無線転送システム。
【請求項2】
ユーザ操作により前記複数の子機に対して同時に測定データの送信を指示する操作手段を備え、
前記子機は、前記操作手段に対してユーザ操作が実行された時点を前記基準時点として、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する動作モードを実行する動作モード実行手段を備え、
前記設定データには、当該動作モードを指定するモード情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の測定データ無線転送システム。
【請求項3】
前記子機は、
測定器の測定値を監視して一の測定の終了を検出する検出手段と、
前記検出手段により一の測定の終了が確認された時点を前記基準時点として、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する動作モードを実行する動作モード実行手段と、
を備え、
前記設定データには、当該動作モードを指定するモード情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の測定データ無線転送システム。
【請求項4】
ユーザ操作により前記複数の子機に対して同時に測定開始を指示する指示手段を備え、
前記子機は、前記指示手段に対してユーザ操作が実行された時点で測定を開始すると共に、当該時点を前記基準時点とし、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する動作モードを実行する動作モード実行手段を備え、
前記設定データには、当該動作モードを指定するモード情報が含まれることを特徴とする請求項1に記載の測定データ無線転送システム。
【請求項5】
前記子機は、
前記複数の子機に対して同時に測定データの送信を指示する操作手段に対してユーザ操作が実行された時点を前記基準時点として、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第1動作モードを実行する第1動作モード実行手段と、
測定器の測定値を監視して一の測定の終了を検出する検出手段により一の測定の終了が確認された時点を前記基準時点として、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第2動作モードを実行する第2動作モード実行手段と、
前記複数の子機に対して同時に測定開始を指示する指示手段に対してユーザ操作が実行された時点で測定を開始すると共に、当該時点を前記基準時点とし、前記設定データに基づいて設定された送信タイミングにて測定データを送信する第3動作モードを実行する第3動作モード実行手段と、
を備え、
前記親機は、
前記第1〜3動作モードの何れかを設定する動作モード設定手段と、
前記動作モード設定手段により設定された動作モードを指定するモード情報を前記子機に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の測定データ無線転送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−118727(P2011−118727A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276237(P2009−276237)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】