説明

溶融樹脂圧縮成形装置及びダイヘッド並びに有底筒状体の製造方法及び樹脂製容器

【課題】押出機から押し出される溶融樹脂を切断し、成形型に供給してプリフォームを圧縮成形するにあたり、溶融樹脂の切断面に形成されるカッターマークの範囲が拡がってしまうのを抑止することができる圧縮成形装置、そのような溶融樹脂圧縮成形装置が備える押出機に取り付けるのに好適なダイヘッド、そのような溶融樹脂圧縮成形装置を利用した有底筒状体の製造方法、及びそのような有底筒状体の製造方法によって製造されたプリフォームをブロー成形してなる樹脂製容器を提供する。
【解決手段】押出機2に取り付けられるダイヘッド21に、切断刃301による溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸X1を有する楕円状に開口する押出ノズル20を設け、この押出ノズル20から楕円柱長に溶融樹脂を押し出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機から押し出される溶融樹脂を所定の長さに切断し、有底筒状に圧縮成形する溶融樹脂圧縮成形装置、そのような溶融樹脂圧縮成形装置が備える押出機に取り付けるのに好適なダイヘッド、並びにそのような溶融樹脂圧縮成形装置を利用する有底筒状体の製造方法、及びそのような有底筒状体の製造方法によって製造されたプリフォームをブロー成形してなる樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂をボトル状に成形してなる樹脂製容器が、各種飲料品などを内容物とする容器として急速に普及している。
このような樹脂製容器は、一般に、有底筒状に成形されたプリフォームをブロー成形型内に収納し、次いで、プリフォームに高圧エアーを吹き込んで所定の容器形状に膨張形成するブロー成形によって製造されている。また、このようなブロー成形に供されるプリフォームは、例えば、本出願人が先に提出した特許文献1に示したように、圧縮成形により製造することができる。
【特許文献1】特開2005−59240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1にあっては、プリフォームを圧縮成形するにあたり、押出機の押出ノズルから押し出される溶融樹脂を所定の長さに切断して、成形型に供給するようにしている。そして、溶融樹脂の切断端縁(カッターマーク)に起因する外観不良が、ブロー成形された容器に生じてしまうのを防止するために、溶融樹脂の切断面を側方から押し潰して、その部分の直径を他の部分に比して小さくなるようにしている。
【0004】
このように、特許文献1では、溶融樹脂の切断面を側方から押し潰して、その部分の直径を小さくすることにより、切断面に形成されたカッターマークを中央側に寄せて、切断面に現れるカッターマークの範囲を狭めている。これによって、圧縮成形時に、成形型の雄型の先端にカッターマークを付着させ、そのまま押圧することで、プリフォームの底部付近にカッターマークがとどまるようにし、その結果、ブロー成形された容器の側面に、カッターマークの痕跡が現れてしまうのを防止している(特許文献1[0015]段落など参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、溶融樹脂の切断面を側方から押し潰しただけでは、圧縮成形されたプリフォーム底部付近に、カッターマークをとどまらせるには十分でない場合があり、未だ改善の余地があることが、本発明者らによって見出された。そして、押出機から押し出される溶融樹脂の切断は、所定の長さごとに繰り返し行われるが、この際、切断される溶融樹脂には、その切断方向に沿って押圧力が作用していることに着目して、鋭意検討を重ねたところ、本発明者らは、次のような知見を得るに至った。
【0006】
すなわち、柔軟な状態で押し出される溶融樹脂には変形が生じやすく、例えば、押出ノズルが真円状に開口するようになっていても、切断された溶融樹脂の切断面は、切断方向に直交する方向に長い楕円状となってしまう傾向にある。そして、切断面に現れるカッターマークは、通常、溶融樹脂を切断する方向に直交するように形成されることから、このような溶融樹脂の変形は、カッターマークが形成される範囲を拡げてしまうことになる。このため、切断に伴う溶融樹脂の変形によって、切断面に形成されるカッターマークの範囲が拡がってしまうと、溶融樹脂の切断面を側方から押し潰しても、切断面の中央側にカッターマークを寄せきれなくなってしまう場合がある。また、押し潰された溶融樹脂が、その弾性によって復元し、切断面の中央側に寄せたカッターマークが、切断面の周縁側に戻ってしまう場合もある。
したがって、圧縮成形時に、カッターマークを成形型の雄型の先端に付着させて、プリフォームの底部付近にとどまらせるためには、切断面に形成されるカッターマークが大きくなり過ぎてしまわないように、切断時に作用する押圧力による溶融樹脂の変形を考慮して、予め対処しておく必要がある。
【0007】
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、押出機から押し出される溶融樹脂を切断し、成形型に供給してプリフォームを圧縮成形するにあたり、溶融樹脂の切断面に形成されるカッターマークの範囲が拡がってしまうのを抑止することができる溶融樹脂圧縮成形装置、そのような溶融樹脂圧縮成形装置が備える押出機に取り付けるのに好適なダイヘッド、そのような溶融樹脂圧縮成形装置を利用した有底筒状体の製造方法、及びそのような有底筒状体の製造方法によって製造されたプリフォームをブロー成形してなる樹脂製容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る溶融樹脂圧縮成形装置は、溶融樹脂を中実状に押し出す押出ノズルが設けられたダイヘッドを有する押出機と、前記押出ノズルから押し出された溶融樹脂を切断する切断刃と、少なくともキャビティ型と雄型とを有し、前記切断刃によって所定長さに切断された溶融樹脂を有底筒状に圧縮成形する成形型とを少なくとも備え、前記押出ノズルが、前記切断刃による前記溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸を有する楕円状に開口するとともに、所定長さに切断された前記溶融樹脂が、押出方向上流側の切断面が前記キャビティ型の開口側に向いた状態となるように前記成形型に供給されるようにした構成としてある。
【0009】
また、本発明に係るダイヘッドは、押出機から中実状に押し出される溶融樹脂を切断刃によって所定の長さに切断し、切断された当該溶融樹脂を、少なくともキャビティ型と雄型とを有する成形型に、押出方向上流側の切断面が前記キャビティ型の開口側に向いた状態となるように供給して有底筒状に圧縮成形するにあたり、前記押出機に取り付けられるダイヘッドであって、前記切断刃による前記溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸を有する楕円状に開口する押出ノズルを設けた構成としてある。
【0010】
また、本発明に係る有底筒状体の製造方法は、押出機から中実状に押し出される溶融樹脂を切断刃によって所定の長さに切断し、切断された当該溶融樹脂を、少なくともキャビティ型と雄型とを有する成形型に、押出方向上流側の切断面が前記キャビティ型の開口側に向いた状態となるように供給して有底筒状に圧縮成形する有底筒状体の製造方法であって、前記切断刃による前記溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸を有する楕円状に開口する押出ノズルが形成されたダイヘッドを前記押出機に取り付けておき、前記押出ノズルから前記溶融樹脂が楕円柱状に押し出されるようにした方法としてある。
【0011】
また、上記有底筒状体の製造方法は、所定の長さに切断された前記溶融樹脂を、樹脂製容器のブロー成形に用いる有底筒状のプリフォームに圧縮成形する方法とすることができ、本発明に係る樹脂製容器は、このような有底筒状体の製造方法により製造された前記プリフォームをブロー成形してなる構成としてある。
【発明の効果】
【0012】
以上のような本発明によれば、押出ノズルから押し出される溶融樹脂が、切断方向に沿って作用する押圧力によって押し潰されても、当該溶融樹脂を切断するに際し、その切断面が、切断方向に直交する方向に長い楕円状となってしまうのを防止することができる。これにより、溶融樹脂の切断面に形成されるカッターマークの範囲が拡がってしまわないようにすることができる。
【0013】
その結果、有底筒状体として、例えば、有底筒状のプリフォームを圧縮成形する際に、プリフォームの底部付近にカッターマークをとどまらせることが容易となり、そのようなプリフォームをブロー成形してなる樹脂製容器の側面に、カッターマークの痕跡が現れてしまうのを有効に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る溶融樹脂圧縮成形装置の実施形態を示す概略平面図であり、図2に、この溶融樹脂圧縮成形装置の要部を拡大して示す。これらの図に示す例において、溶融樹脂供給装置1は、押出機2と、搬送ホイール3に取り付けられた搬送手段としての複数の搬送ユニット30とを備えている。また、圧縮成形装置10は、このような溶融樹脂供給装置1とともに、成形ホイール4、取出ホイール5及び搬出コンベア6を備えている。
【0015】
押出機2は、熱可塑性樹脂素材を加熱溶融及び混練してなる溶融樹脂を、歯車の噛み合いによって安定して吐出させ、単位時間当たりの吐出量が精度よく調整されたギヤポンプ22を備えている。このギヤポンプ22の吐出口には、導管を介してダイヘッド21が接続されており、ダイヘッド21からは、鉛直方向下向きに溶融樹脂が押し出されるようになっている。このとき、ダイヘッド21には、溶融樹脂を中実状に押し出す押出ノズル20を設けるが(図4など参照)、押出ノズル20の開口形状については後述する。
【0016】
なお、熱可塑性樹脂素材としては、圧縮成形やブロー成形が可能であれば、任意の樹脂を用いることができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂,ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂,ポリカーボネート,ポリアリレート,ポリ乳酸,又はこれらの共重合体などを用いることができる。
【0017】
搬送ホイール3は、回転板31、揺動カム32、揺動ユニット33及び伸縮ユニット34を備えている。回転板31は、円板状の部材とされ、図示しないモーターなどの駆動手段によって、図中矢印で示す方向に回転する。回転板31の周縁部には、六つの揺動ユニット33が等角度間隔で、回動自在となるように配設されており、揺動ユニット33の下部には、カムフォロワーが設けられている。これにより、回転板31の回転に伴って、カムフォロワーが揺動カム32に形成された溝に沿って移動し、揺動ユニット33が揺動するようになっている。
【0018】
伸縮ユニット34は、棒状の部材とされており、図示しないリニアベアリングなどを介して、揺動ユニット33の上部に、回転板31の径方向に沿った往復移動が可能となるように設けられている。また、特に図示しないが、伸縮ユニット34は、例えば、圧縮コイルスプリングなどのバネ部材や、エアシリンダなどを利用した駆動手段によって、回転板31の径方向に沿って往復移動するようにしてあり、搬送ユニット30は、このような伸縮ユニット34の外周側先端部に取り付けられる。
【0019】
このような搬送ホイール3に取り付けられた搬送ユニット30は、押出ノズル20から押し出される溶融樹脂を切断しつつ、所定長さに切断された溶融樹脂Dを保持する。そして、押出機2と、成形ホイール4に取り付けられた成形型40との間を周回して、溶融樹脂Dを成形型40に連続して供給する。
【0020】
図示する例において、成形ホイール4の周縁部には、複数の成形型40が等角度間隔で取り付けられており、各成形型40が図2に示す回転軌跡O4に沿って移動するように、図中矢印で示す方向に成形ホイール4は回転する。一方、搬送ユニット30は、回転板31の回転に伴い、図2に示す回転軌跡O3に沿って移動し、これとともに、成形型40に溶融樹脂Dを供給する前後においては、揺動ユニット33の揺動による方向変更操作と、伸縮ユニット34の往復移動による回転半径変更操作とによって、成形型40と同期して回転軌跡O4に沿って移動する。このようにすることで、高速運転した場合であっても、成形型4への連続した溶融樹脂Dの供給を確実に行なうことができる。
【0021】
なお、伸縮ユニット34の往復移動をバネ部材によって行う場合、例えば、伸縮ユニット34には図示しないカムを設けておき、成形型40の回転軌跡O4に沿って搬送ユニット30が移動する範囲では、このカムによって伸縮ユニット30が縮められるようにする。そして、搬送ユニット30が回転軌跡O4から離れるときには、バネ部材の付勢力によって伸縮ユニット30が伸びるようにする。このようにすることで、伸縮ユニット34の往復移動による回転半径変更操作を実現することができる。
【0022】
ここで、搬送ユニット30は、図3に示すように、半円柱状の収納凹部304が形成された基部303と、この基部303の上部に、進行方向斜め上方に向かって突出して形成された切断刃301と、基部303に対して回動自在に取り付けられた一対の保持具302とを有している。保持具302は、図示しないリンク機構とカム機構との組合せなどによる開閉手段、又は、図示しないロータリアクチュエータなどの回動手段によって、回転軌跡O3上の押出機2に対する上流側で開き、押出機2に取り付けられたダイヘッド21の直下を通過するのと同時に又は通過した直後に閉じるようになっている。
【0023】
これにより、搬送ユニット30が回転軌跡O3に沿ってダイヘッド21の直下を通過する際に、ダイヘッド21に設けられた押出ノズル20から押し出される溶融樹脂が、切断刃301によって切断されながら収納凹部304に収納され、保持具302によって保持される(図4参照)。次いで、搬送ユニット30は、所定の長さに切断し、保持した溶融樹脂Dを、保持具302を閉じた状態で搬送し、回転軌跡O4上の成形型40と併走する位置に達すると、保持具302を開いて溶融樹脂Dを落下させ、成形型40に供給する。
【0024】
なお、図3は、搬送ユニット30の一例を示す説明図であり、図3(a)は保持具3bが開いた状態の平面図である。また、図3(b)は保持具3bが閉じて、溶融樹脂Dを保持した状態を示す平面図であり、図3(c)は、同側面図である。図4は、搬送ユニット30が、押出機2に取り付けられたダイヘッド21の直下を通過する前後を示す説明図であり、図中矢印で、搬送ユニット30の進行方向を示す。
【0025】
以上のようにして、押出ノズル20から押し出される溶融樹脂を切断し、所定の長さに切断された溶融樹脂Dを成形型40に供給するにあたり、本実施形態では、図5に示すように、搬送ユニット30の切断刃301による溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸X1を有する楕円状に開口するように、押出ノズル20を形成する。
なお、押出ノズル20を楕円状に開口させるにあたり、その開口形状は、数学上の厳密な楕円形状とすることまでは要求されない。例えば、トラック形状などのように、直交する二軸のうち一方の軸に対して他方の軸が相対的に長くなっているような長円形状に開口するものも、楕円状に開口するものとする。この場合、相対的に長くなっている方の軸を長軸X1とすればよい。
【0026】
ここで、切断刃301による溶融樹脂の切断方向とは、溶融樹脂に対する切断刃301の刃先の相対的な進行方向をいう。この切断方向は、押出ノズル20の直下を通過する切断刃301に、押出ノズル20の開口形状を投影したときに、投影された押出ノズル20の開口形状によって切り取られる切断刃301の刃先に沿った長さの中間点a1,a2,a3,a4の軌跡をたどった方向と概ね一致する。
【0027】
なお、図5は、押出ノズル20の開口形状を示す説明図であり、図中、押出ノズル20の直下を通過する切断刃301を一点鎖線で示し、中間点a1,a2,a3,a4の軌跡をたどった方向を矢印で示す。また、楕円状に開口する押出ノズル20の長軸X1に対する短軸を符号X2で示す。
本実施形態において、押出ノズル20が形成されたダイヘッド21の近傍での搬送ユニット30の移動経路を広域的に見ると、図2に示すように、搬送ユニット30は、回転軌跡O3上を円弧状に移動することになる。しかし、押出ノズル20の直下での搬送ユニット30の移動経路を局所的に見ると、搬送ユニット30は、ほぼ略直線状に移動するとみなすことができる。このため、図5に示す切断刃301の移動経路も、切断刃301が直線状に移動するものとして示している。
【0028】
前述したように、切断刃301によって切断される溶融樹脂には、その切断方向に沿って押圧力が作用する。このため、柔軟な状態で押し出される溶融樹脂が、切断方向に沿って押し潰されるように変形し、切断された溶融樹脂Dの切断面が、切断方向に直交する方向に長い楕円状となってしまう傾向にある。 これに対して、切断刃301による溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸X1を有する楕円状に開口するように、押出ノズル20を形成すれば、この押出ノズル20から押し出される溶融樹脂が、切断方向に沿って作用する押圧力によって押し潰されても、その切断面が、切断方向に直交する方向に長い楕円状となってしまうのを防止することができる。
【0029】
したがって、押出ノズル20を楕円状に開口させるにあたり、その長軸X1と短軸X2とは、次のようにして設定する。すなわち、押出ノズル20から押し出される溶融樹脂の粘度や、その押出速度、及び搬送ユニット30の移動速度などの溶融樹脂供給装置1の運転条件に応じて、切断刃301によって切断する際に、溶融樹脂に作用する押圧力の大きさと、溶融樹脂の変形度合いとを考慮して、溶融樹脂Dの切断面が、切断方向に直交する方向に長い楕円状となってしまわないように適宜設定することができる。
【0030】
これにより、溶融樹脂Dの切断面に現れるカッターマークは、通常、図3(b)に示す例において、切断刃301の刃先と接触する部分に沿って形成されるところ、このようにして形成されるカッターマークの範囲が拡がってしまうのを有効に回避することができる。その結果、後述するようにして有底筒状のプリフォームPを圧縮成形する際に(図10参照)、成形型40の雄型403の先端にカッターマークを付着させて、そのまま押圧したときに、プリフォームPの底部付近にカッターマークをとどまらせることが容易となる。そのため、そのようなプリフォームPをブロー成形してなる樹脂製容器の側面に、カッターマークの痕跡が現れてしまうのを有効に回避することができる。
【0031】
なお、押出ノズル20から押し出される溶融樹脂の切断は、所定の長さごとに繰り返し行われる。このため、切断された溶融樹脂Dは、その押出方向の上流側(押出ノズル20に近い側)と、下流側(押出ノズル20に遠い側)とに切断面を二つ有している。すなわち、切断された溶融樹脂Dは、これを所定の長さに切断したときに、その押出方向上流側に新たに形成される切断面と、一つ前の切断工程で押出方向下流側に形成された切断面とを有することになる。本発明は、押出ノズル20から押し出される溶融樹脂を所定の長さに切断したときに、新たに形成される押出方向上流側の切断面に着目するものであり、本明細書では、必要に応じて、その切断面が押出方向上流側に形成されたものであることを明記するが、特に断らない限り、切断された溶融樹脂Dの押出方向上流側の切断面を、単に「切断面」と略記する。
【0032】
成形型40に供給された溶融樹脂Dは、有底筒状のプリフォームPに圧縮成形される。図10に示すように、成形型40は、キャビティ型401、ネックハーフ402、雄型403を有している。キャビティ型401は上部側が開放され、その上方に、ネックハーフ402、雄型403が昇降可能に設けられている。
溶融樹脂Dが供給される回転軌跡O4上の位置では、併走する搬送ユニット30が、キャビティ型401とネックハーフ402との間に入り込み(図10(a)参照)、保持具302を開いて溶融樹脂Dをキャビティ型401内に落下させ、これによって成形型40への溶融樹脂Dの供給がなされる(図10(b)参照)。このとき、溶融樹脂Dは、その押出方向上流側の切断面がキャビティ型401の開口側に向いた状態で、成形型40に供給されるようになっている。すなわち、搬送ユニット30は、押出ノズル20から押し出される溶融樹脂を切断し、保持した溶融樹脂Dを搬送して成形型40に供給するに際し、溶融樹脂Dの上下を逆転させることなく、そのまま成形型40に供給する。
搬送ユニット30は、成形型40に溶融樹脂Dを供給した後は、回転軌跡O4を離れて、回転軌跡O3上を押出機2に向かって移動する。
【0033】
キャビティ型401に溶融樹脂Dが落下、供給されると、キャビティ型401に向かってネックハーフ402とともに、雄型403が下降する(図10(c)参照)。そして、これらによって形成されるキャビティ内で溶融樹脂Dが圧縮成形され、有底筒状のプリフォームPが形成される(図10(d)参照)。
【0034】
このようにしてプリフォームPを成形するにあたり、本実施形態によれば、前述したように、成形型40に供給された溶融樹脂Dの切断面に形成されるカッターマークの範囲が拡がってしまうのを有効に回避することができる。その結果、成形型40の雄型403の先端にカッターマークを付着させて、そのまま押圧したときに、プリフォームPの底部付近にカッターマークをとどまらせることが容易となる。
【0035】
また、成形されたプリフォームPは、取出ホイール5によって成形型40から取り出され、搬出コンベア6に受け取られて、ブロー成形工程へと搬出される。ブロー成形工程では、必要に応じてプリフォームPを適宜加熱した後に、プリフォームPをブロー成形型内に収納し、次いで、プリフォームPに高圧エアーを吹き込んで所定の容器形状に成形することにより樹脂製容器が製造される。
このとき、本実施形態によれば、プリフォームPの底部付近にカッターマークをとどまらせることが容易となるため、そのようなプリフォームPをブロー成形してなる樹脂製容器の側面に、カッターマークの痕跡が現れてしまうのを有効に回避することができる。
【0036】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更実施が可能である。
【0037】
例えば、上述した実施形態では、搬送ホイール3に取り付けた搬送ユニット30が、回転板31の回転、揺動ユニット33の揺動及び伸縮ユニット34の往復移動の組み合わせにより、回転軌跡O3,O4に沿って移動するようにしているが、搬送ユニット30は、例えば、成形型40の移動軌跡ととともに、一部において互いに重なる長円状の軌跡に沿って移動するようにしてもよく、又は押出機2と成形型40の間を直線的に往復移動するようにしてもよい。押出機2と成形型40との間を周回して、成形型40に溶融樹脂を供給することができれば、搬送ユニット30の移動手段は、特に限定されない。
【0038】
また、上述した実施形態では、押出ノズル20の長軸X1を、中間点a1,a2,a3,a4の軌跡をたどった方向と一致させているが、両者は完全に一致していなくてもよい。切断時に、溶融樹脂に対して実際に押圧力が作用する方向を考慮して、そのような方向に沿って長軸X1が位置するように、押圧ノズル20を楕円状に開口させればよい。
なお、搬送ユニット30の進行方向に対して、切断刃301の刃先が直線状に直交するようにすれば、切断刃301による溶融樹脂の切断方向を、搬送ユニット30の移動方向とほぼ一致させることができる。
【0039】
また、上述した実施形態において、搬送ユニット30が有する切断刃301は、その刃先が、搬送ユニット30の進行方向に対して直線状に直交するように設けてあるが、切断刃301の刃先は、搬送ユニット30の進行方向に対して傾斜していてもよい。
この場合、切断刃301による溶融樹脂の切断方向は、刃先の傾斜角度に応じて、搬送ユニット30の進行方向に対して傾き、この方向に沿って、溶融樹脂に押圧力が作用することになる。このため、図6に示すように、押出ノズル20の長軸X1もこれに対応させる。すなわち、図6は、切断刃301の刃先を傾斜させて設けたときの押出ノズル20の開口形状を、図5に対応させて示す説明図であり、上述した実施形態と同様に、押出ノズル20の直下を通過する切断刃301に、押出ノズル20の開口形状を投影したときに、投影された押出ノズル20の開口形状によって切り取られる切断刃301の刃先に沿った長さの中間点a1,a2,a3,a4の軌跡をたどった方向に、押出ノズル20の長軸X1を位置させている。
【0040】
なお、特に図示しないが、切断刃301の刃先を湾曲させた場合も同様である。この場合も、投影された押出ノズル20の開口形状によって切り取られる切断刃301の刃先に沿った長さの中間点の軌跡をたどった方向に、押出ノズル20の長軸X1が一致又はほぼ一致するようにすればよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、押出ノズル20の直下で切断刃301が直線状に移動するものとみなしたが、回転軌跡O3の半径が小さいと、そのような近似が不適切な場合もある。このような場合には、切断刃301の円弧状の移動経路と、溶融樹脂に対して実際に押圧力が作用する方向とを総合的に考慮して、これによって導かれた切断方向に沿って長軸X1が位置するようにすればよい。
【0042】
この場合、押出ノズル20の開口形状は、例えば、図7〜図9に示すようにして定めることができる。図7〜図9は、押出ノズル20の開口形状と切断刃301との相関関係を示す説明図であり、図7は、切断刃301の刃先と回転軌跡O3との交点を通る回転軌跡O3の接線に対して、切断刃301の刃先が直線状に直交するように設けられた例である。また、図8は、同様の接線に対して、切断刃301の刃先が直線状に傾斜して設けられた例であり、図9は、切断刃301の刃先が湾曲して設けられた例である。
【0043】
図7及び図8に示す例では、押出ノズル20の開口中心O′と共通の中心をもつ仮想円を想定し、切断刃301の刃先縁が開口中心O′を通る位置に到達したときに、上記仮想円で切り取られる切断刃301の刃先の縁に沿った線分について垂直二等分線を引き、この垂直二等分線に沿った方向を切断方向とすることができる。そして、このようにして導かれた切断方向に沿って長軸X1が位置するようにして、上記線分の中点M(開口中心O′と一致する)を中心とする楕円状に、押出ノズル20を開口させればよい。
【0044】
また、図9に示す例では、押出ノズル20の開口中心O′と共通の中心をもつ仮想円を想定し、切断刃301の刃先縁が開口中心O′を通る位置に到達したときに、上記仮想円で切り取られる切断刃301の刃先の縁に沿った湾曲線の中点M(刃先の湾曲形状によっては、開口中心O′と一致しない場合もある)において、当該湾曲線に対する接線を引き、この接線に対する上記中点Mを通る垂線に沿った方向を切断方向とすることができる。そして、このようにして導かれた切断方向に沿って長軸X1が位置するようにして、開口中心O′を中心とする楕円状に、押出ノズル20を開口させればよい。
なお、上記湾曲線の中点Mと、開口中心O′がと一致しない場合には、楕円状に開口する押出ノズル20の長軸X1は、この場合の切断方向と平行又はほぼ平行とすればよい。
【0045】
また、搬送手段としての搬送ユニット30は、上述した実施形態で用いた、図3に示すようなものに限られない。搬送ユニット30が有する保持具302には、所定長さに切断された溶融樹脂Dを保持した際に、溶融樹脂Dの押出方向上流側の切断面を、切断刃301によって切断された方向にほぼ直交するように(すなわち、切断面に形成されたカッターマークの長手方向に沿う方向に)、側方から押し潰す突部を設けるようにしてもよい。このようなものとしては、本出願人が先に提出した前記特許文献1又は特願2007−238026において開示したような、溶融樹脂の切断面を側方から押し潰すことにより、切断面に形成されたカッターマークを中央側に寄せて、切断面に現れるカッターマークの範囲を狭めるようにしたものを例示することができる。このような搬送手段を用いることで、より確実に、プリフォームPの底部付近にカッターマークをとどまらせることができ、ブロー成形された樹脂製容器の側面に、カッターマークの痕跡が現れてしまうのを防止することができる。
【0046】
また、上述した実施形態では、切断刃301が一体に備えられた搬送ユニット30を搬送手段としているが、本発明における搬送手段は、これに限られない。例えば、WO2005/102641のFig61などに示されるように、切断刃と、搬送部(切断された溶融樹脂Dを収納し、搬送する部分)とが別体とされたものであってもよい。
【0047】
より具体的には、図11に示すような構成とすることができる。すなわち、図3に示す搬送ユニット30から切断刃301を取り外した残りの部分を搬送部30aとし、この搬送部30aとは別体に動作するようにされた切断刃301aによって、押出ノズル20から押し出される溶融樹脂を所定の長さに切断し、これを保持した搬送部30aだけを、例えば、図示しない直動などの移動手段を用いて往復直線運動をさせて、キャビティ型401へ溶融樹脂Dを搬送・供給するようにしてもよい。この場合において、搬送部30aは、押出ノズル20とキャビティ型401の間を円軌道で周回させてもよく、又は円弧軌道の組合せや、円弧軌道と直線軌道とを組合せた軌道など、様々な軌道上を周回させてもよいし、キャビティ型401(成形型)、搬送部30aは複数に限らず、1個でもよい。
さらには、図12に示すように、搬送部を省略して、切断された溶融樹脂Dが、そのまま押出方向上流側の切断面がキャビティ型401の開口側に向いた状態となるように、キャビティ型401へ供給されるようにしてもよい。その際、溶融樹脂Dをキャビティ型401へ導入するためのガイド301bを設けると好ましい。溶融樹脂Dが供給されたキャビティ型401は、例えば、直動30bなどの移動手段により、押出ノズル20の直下位置と、雄型403の直下位置との間を往復移動する。
【実施例】
【0048】
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0049】
[実施例1]
図1及び図2に示す溶融樹脂供給装置1において、長軸X1が19.5mm、短軸X2が18.2mmとなる楕円状に開口する押出ノズル20が形成されたダイヘッド21を押出機2に取り付けた。また、搬送ユニット30には、図3に示すものと同様のものを用いた。このとき、切断刃301の刃先が、搬送ユニット30の進行方向に対して直線状に直交するようにして、搬送ユニット30の移動方向と、切断刃301による溶融樹脂の切断方向とが一致するようにした。そして、上記ダイヘッド21を押出機2に取り付けるに際し、押出ノズル20の長軸X1を、切断刃301による溶融樹脂の切断方向に一致させた。
【0050】
ポリエチレンテレフタレートを押出機2で加熱溶融及び混練し、上記押出ノズル20から押し出して、回転軌跡O3を移動する搬送ユニット30によって切断し、その切断面の径方向の長さを測定した。その結果、カッターマークに沿った方向が最小値を示し、その長さは21.3mmであった。また、カッターマークにほぼ直交する径方向が最大値を示し、その長さは21.5mmであった。
【0051】
[実施例2]
押出ノズル20の長軸X1を19.8mm、短軸X2を17.7mmとした以外は実施例1と同様にして、押出ノズル20から溶融樹脂を押し出して、搬送ユニット30によって切断し、その切断面の径方向の長さを測定した。その結果、カッターマークに沿った方向が最小値を示し、その長さは20.9mmであった。また、カッターマークにほぼ直交する径方向が最大値を示し、その長さは21.9mmであった。
【0052】
[比較例1]
押出ノズルを直径19.2mmの真円状に開口させた以外は実施例1と同様にして、押出ノズル20から溶融樹脂を押し出して、搬送ユニット30によって切断し、その切断面の径方向の長さを測定した。その結果、カッターマークに沿った方向が最大値を示し、その長さは22.3mmであった。また、カッターマークにほぼ直交する径方向が最小値を示し、その長さは21.3mmであった。
【0053】
以上のこのことから、押出ノズルを真円状に開口させた比較例1では、溶融樹脂の切断面に形成されるカッターマークの範囲が広がってしまうのに対して、本発明にしたがった実施例1,2では、切断面に形成されるカッターマークの範囲が拡がってしまうのを抑止できることがわかる。
【0054】
[実施例3]
次に、搬送ユニットを、図3に示すものに代えて、特願2007−238926に開示した溶融樹脂供給装置に準拠して、溶融樹脂の切断面に形成されたカッターマークを内側へ変形させる突部を保持具の内周面に形成したものを用いた以外は、実施例1と同様の溶融樹脂供給装置により、成形型40に溶融樹脂Dを供給し、72,000個のプリフォームPを連続成形した。これらのプリフォームPの全てをブロー成形して、所定の容器形状の樹脂製容器を製造したところ、その側面にカッターマークの痕跡が現れたものは一つもなかった。
【0055】
[実施例4]
実施例2と同様の溶融樹脂供給装置により、成形型40に溶融樹脂Dを供給し、72,000個のプリフォームPを連続成形した。これらのプリフォームPの全てをブロー成形して、所定の容器形状の樹脂製容器を製造したところ、その側面にカッターマークの痕跡が現れたものは一つもなかった。
【0056】
[比較例2]
実施例3と同様の搬送ユニットを用いた以外は、比較例1と同様の溶融樹脂供給装置により、成形型40に溶融樹脂Dを供給し、10,000個のプリフォームPを連続成形した。これらのプリフォームPの全てをブロー成形して、所定の容器形状の樹脂製容器を製造したところ、500個の樹脂製容器において、その側面にカッターマークの痕跡がわずかながらにも認められた。
【0057】
以上のこのことから、押出ノズルを真円状に開口させた比較例2では、ブロー成形された樹脂製容器の側面にカッターマークの痕跡が現れるのを防ぐには、不十分であるのに対して、本発明にしたがった実施例3,4では、ブロー成形された樹脂製容器の側面にカッターマークの痕跡が現れるのを十分に防止できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、各種飲料品などを内容物とするボトル状の樹脂製容器の製造に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る溶融樹脂圧縮成形装置の実施形態を示す概略平面図である。
【図2】本発明に係る溶融樹脂圧縮成形装置の実施形態の要部拡大図である。
【図3】本発明に係る溶融樹脂圧縮成形装置が備える搬送手段の一例を示す説明図である。
【図4】搬送手段が、押出機に取り付けられたダイヘッドの直下を通過する前後を示す説明図である。
【図5】押出ノズルの開口形状の一例を示す説明図である。
【図6】押出ノズルの開口形状の他の例を示す説明図である。
【図7】押出ノズルの開口形状の他の例を示す説明図である。
【図8】押出ノズルの開口形状の他の例を示す説明図である。
【図9】押出ノズルの開口形状の他の例を示す説明図である。
【図10】成形型に供給された溶融樹脂を圧縮成形する工程を示す説明図である。
【図11】本発明に係る溶融樹脂圧縮成形装置の他の実施形態を示す説明図である。
【図12】本発明に係る溶融樹脂圧縮成形装置の他の実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0060】
1 溶融樹脂供給装置
10 圧縮成形装置
2 押出機
20 押出ノズル
21 ダイヘッド
3 搬送ホイール
30 搬送ユニット
301 切断刃
302 保持具
4 成形ホイール
40 成形型
401 キャビティ型
403 雄型
D 溶融樹脂
P プリフォーム
X1 押出ノズルの長軸
X2 押出ノズルの短軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融樹脂を中実状に押し出す押出ノズルが設けられたダイヘッドを有する押出機と、
前記押出ノズルから押し出された溶融樹脂を切断する切断刃と、
少なくともキャビティ型と雄型とを有し、前記切断刃によって所定長さに切断された溶融樹脂を有底筒状に圧縮成形する成形型とを少なくとも備え、
前記押出ノズルが、前記切断刃による前記溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸を有する楕円状に開口するとともに、
所定長さに切断された前記溶融樹脂が、押出方向上流側の切断面が前記キャビティ型の開口側に向いた状態となるように前記成形型に供給されるようにしたことを特徴とする溶融樹脂圧縮成形装置。
【請求項2】
所定長さに切断された前記溶融樹脂を保持する保持具を有する搬送手段を備え、前記搬送手段により、前記溶融樹脂を前記成形型に供給するようにした請求項1に記載の溶融樹脂圧縮成形装置。
【請求項3】
前記搬送手段に前記切断刃を設け、前記搬送手段により、前記押出機から押し出される溶融樹脂を切断しつつ、切断された溶融樹脂を保持し、前記搬送手段に保持された前記溶融樹脂を前記成形型に供給するようにした請求項2に記載の溶融樹脂圧縮成形装置。
【請求項4】
前記搬送手段が有する前記保持具に、所定長さに切断された前記溶融樹脂を保持した際に、前記溶融樹脂の押出方向上流側の切断面を、前記切断刃による前記溶融樹脂の切断方向にほぼ直交するように側方から押し潰す突部を設けた請求項2又は3のいずれか1項に記載の溶融樹脂圧縮成形装置。
【請求項5】
所定の長さに切断された前記溶融樹脂を、樹脂製容器のブロー成形に用いる有底筒状のプリフォームに圧縮成形する請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶融樹脂圧縮成形装置。
【請求項6】
押出機から中実状に押し出される溶融樹脂を切断刃によって所定の長さに切断し、切断された当該溶融樹脂を、少なくともキャビティ型と雄型とを有する成形型に、押出方向上流側の切断面が前記キャビティ型の開口側に向いた状態となるように供給して有底筒状に圧縮成形するにあたり、前記押出機に取り付けられるダイヘッドであって、
前記切断刃による前記溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸を有する楕円状に開口する押出ノズルを設けたことを特徴とするダイヘッド。
【請求項7】
押出機から中実状に押し出される溶融樹脂を切断刃によって所定の長さに切断し、切断された当該溶融樹脂を、少なくともキャビティ型と雄型とを有する成形型に、押出方向上流側の切断面が前記キャビティ型の開口側に向いた状態となるように供給して有底筒状に圧縮成形する有底筒状体の製造方法であって、
前記切断刃による前記溶融樹脂の切断方向に沿った方向に長軸を有する楕円状に開口する押出ノズルが形成されたダイヘッドを前記押出機に取り付けておき、前記押出ノズルから前記溶融樹脂が楕円柱状に押し出されるようにしたことを特徴とする有底筒状体の製造方法。
【請求項8】
所定長さに切断された前記溶融樹脂を保持する保持具を有する搬送手段により、前記溶融樹脂を前記成形型に供給する請求項7に記載の有底筒状体の製造方法。
【請求項9】
前記搬送手段に前記切断刃を設け、前記搬送手段により、前記押出機から押し出される溶融樹脂を切断しつつ、切断された溶融樹脂を保持し、前記搬送手段に保持された前記溶融樹脂を前記成形型に供給する請求項8に記載の有底筒状体の製造方法。
【請求項10】
所定の長さに切断された前記溶融樹脂を前記成形型に供給するに先だって、前記溶融樹脂の押出方向上流側の切断面を、前記切断刃による前記溶融樹脂の切断方向にほぼ直交するように側方から押し潰す請求項7〜9のいずれか1項に記載の有底筒状体の製造方法。
【請求項11】
所定の長さに切断された前記溶融樹脂を、樹脂製容器のブロー成形に用いる有底筒状のプリフォームに圧縮成形する請求項7〜10のいずれか1項に記載の有底筒状体の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の有底筒状体の製造方法により製造された前記プリフォームをブロー成形してなることを特徴とする樹脂製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−143180(P2009−143180A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324924(P2007−324924)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】