説明

無段変速機変速制御装置及び無段変速機変速制御方法

【課題】変速機構の寸法を変更することなく、燃費性能及び加速性能を高くすることができるようにする。
【解決手段】固定シーブ123、可動シーブ125及びシーブ駆動部を備えた第1のプーリと、固定シーブ129、可動シーブ130及びシーブ駆動部を備えた第2のプーリと、ベルト132と、変速条件に対応させて変速比を設定する変速比設定処理手段と、変速比変更条件が成立したかどうかを判定する変速比変更条件成立判定処理手段と、変速比変更条件が成立した場合に、第1、第2のプーリのうちの一方のプーリにおいて、可動シーブを通常変速状態における前進限位置より前進させて挟持力を大きくする変速比変更処理手段とを有する。第1、第2のプーリのうちの一方のプーリにおいて、挟持力でベルト132を挟持することによって、変速比幅を大きくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速機変速制御装置及び無段変速機変速制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動変速機が搭載された車両においては、エンジンを駆動することによって発生させられた回転を、変速機構に伝達し、該変速機構において変速を行い、変速が行われた後の回転を駆動輪に伝達することによって車両を走行させるようにしている。
【0003】
前記自動変速機には、有段変速機及び無段変速機が有り、該無段変速機においては、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間に伝動用無端ベルトを構成するベルトが張設され、プライマリプーリ及びセカンダリプーリの半径方向におけるベルトの位置、すなわち、有効径を変化させることによって、変速機構の変速比を無段で変化させるようにしている。そのために、プライマリプーリ及びセカンダリプーリはそれぞれ固定シーブ及び可動シーブを備え、該各可動シーブを油圧サーボ、電動機等の駆動手段によって移動させることにより、前記有効径を変化させるようになっている。
【0004】
前記ベルトとしては、種々のものが提供されているが、それらのうちの一つとして、多層に重ねられたリンクプレートをジョイントピンによってチェーン状に連結したものにおいては、ジョイントピンの両端面と固定シーブ及び可動シーブの壁面とを係合させることによってトルクが伝達されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−150520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の無段変速機においては、変速機構の変速比を変化させ、例えば、アンダードライブ側で変速を行っているとき、すなわち、アンダードライブ時に変速比を大きくすると、加速性能を高くすることができ、オーバドライブ側で変速を行っているとき、すなわち、オーバドライブ時に変速比を小さくすると、燃費性能を高くすることができるが、アンダードライブ時に変速比を大きくしたり、オーバドライブ時に変速比を小さくしたりするためには、前記プライマリプーリ及びセカンダリプーリにおいて有効径を変化させる必要があるので、変速機構の寸法がその分大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、前記従来の無段変速機の問題点を解決して、変速機構の寸法を変更することなく、燃費性能及び加速性能を高くすることができる無段変速機変速制御装置及び無段変速機変速制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の無段変速機変速制御装置においては、固定シーブ、該固定シーブに対して軸方向に進退自在に配設された可動シーブ、及び該可動シーブを進退させるシーブ駆動部を備えた第1のプーリと、固定シーブ、該固定シーブに対して進退自在に配設された可動シーブ、及び該可動シーブを進退させるシーブ駆動部を備えた第2のプーリと、第1、第2のプーリ間に張設された伸長可能なベルトと、変速条件に対応させて変速比を設定する変速比設定処理手段と、変速比変更条件が成立したかどうかを判定する変速比変更条件成立判定処理手段と、変速比変更条件が成立した場合に、前記第1、第2のプーリのうちの一方のプーリにおいて、前記可動シーブを通常変速状態における前進限位置より前進させて挟持力を大きくし、該挟持力でベルトを挟持することによって、変速比幅を大きくする変速比変更処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無段変速機変速制御装置においては、固定シーブ、該固定シーブに対して軸方向に進退自在に配設された可動シーブ、及び該可動シーブを進退させるシーブ駆動部を備えた第1のプーリと、固定シーブ、該固定シーブに対して進退自在に配設された可動シーブ、及び該可動シーブを進退させるシーブ駆動部を備えた第2のプーリと、第1、第2のプーリ間に張設された伸長可能なベルトと、変速条件に対応させて変速比を設定する変速比設定処理手段と、変速比変更条件が成立したかどうかを判定する変速比変更条件成立判定処理手段と、変速比変更条件が成立した場合に、前記第1、第2のプーリのうちの一方のプーリにおいて、前記可動シーブを通常変速状態における前進限位置より前進させて挟持力を大きくし、該挟持力でベルトを挟持することによって、変速比幅を大きくする変速比変更処理手段とを有する。
【0009】
この場合、変速比変更条件が成立すると、前記第1、第2のプーリのうちの一方のプーリにおいて、可動シーブが通常変速状態における前進限位置より前進させられて挟持力が大きくされ、該挟持力でベルトが挟持されることによって変速比幅が大きくされるので、変速機構の寸法を変更することなく、燃費性能及び加速性能を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図2は本発明の実施の形態における無段変速機の概念図である。
【0012】
図に示されるように、無段変速機10は、ベルト式の変速機構102、前後進切換装置103、ロックアップ装置としてのロックアップクラッチ105を内蔵した流体伝動装置としてトルクコンバータ106、中間伝動軸としてのカウンタシャフト107及び差動装置としてのディファレンシャル装置109を備える。
【0013】
前記トルクコンバータ106は、図示されないエンジンの出力軸110にフロントカバー117を介して連結されたポンプインペラ111、入力軸112にロックアップクラッチプレート104及びダンパ装置120を介して連結されたタービンランナ113、並びにワンウェイクラッチ115を介して支持されたステータ116を備える。なお、121はポンプインペラ111に連結されて駆動されるオイルポンプである。
【0014】
前記構成のトルクコンバータ106において、前記エンジンから出力軸110を介してフロントカバー117に伝達された回転は、更にポンプインペラ111に伝達され、該ポンプインペラ111が回転させられるのに伴って、トルクコンバータ106内の油が遠心力によってポンプインペラ111、タービンランナ113及びステータ116間を循環し、タービンランナ113を回転させる。そして、該タービンランナ113の回転は、図示されないタービンハブに伝達された後、入力軸112に伝達される。
【0015】
このように、前記ポンプインペラ111が回転を始めた直後の発進時、すなわち、ストール時において、エンジンから伝達された回転は、フロントカバー117に伝達された後、ポンプインペラ111及びタービンランナ113を介してタービンハブに伝達される。
【0016】
また、ストール時においては、ポンプインペラ111の回転速度とタービンランナ113の回転速度との差が大きいので、タービンランナ113によって流された油はポンプインペラ111の回転を妨げる方向に流れる。なお、前記ステータ116は、ポンプインペラ111とタービンランナ113との間に配設され、ポンプインペラ111の回転速度とタービンランナ113の回転速度との差が大きいときには、ワンウェイクラッチ115がロック状態になり、ステータ116は自動変速機ケースCsに固定された固定スリーブ201に対して固定され、油の流れがポンプインペラ111の回転を助ける方向に変換される。このとき、ステータ116のブレードが油の流れからトルクを受けるので、その分だけトルクが大きくなる。すなわち、ブレードによってトルクが増幅される。そして、ポンプインペラ111の回転速度とタービンランナ113の回転速度との差が小さくなるのに従って、増幅されるトルクは小さくなる。
【0017】
ところで、前記ブレードの表側に当たっていた油が、タービンランナ113の回転速度が高くなるのに従って裏側に当たるようになり、ステータ116が固定スリーブ201に対して固定された状態にされると、ステータ116自体がエネルギーを消費してしまう。そこで、油がブレードの裏側に当たる状態、すなわち、カップリングポイントになると、ワンウェイクラッチ115が解放されてステータ116が自由に回転することができるようになっている。
【0018】
このように、トルクコンバータ106は、前記タービンランナ113の回転速度が低い間はトルク変換機として機能し、タービンランナ113の回転速度が高くなってポンプインペラ111の回転速度とほぼ等しくなると、流体継手として機能するようになる。
【0019】
ところで、トルクコンバータ106は、流体継手として機能する間はトルクを大きくすることができず、単に回転を伝達するだけであるので、油の攪拌(かくはん)等によってエネルギーが損失する分だけ伝達されるトルクが小さくなり、トルクの伝達効率が低くなってしまう。
【0020】
そこで、前記ロックアップクラッチ105が配設され、車速が設定値に達して、タービンランナ113の回転速度が所定の値になると、前記ロックアップクラッチ105を係合させてロックさせ、エンジンから伝達された回転を直接タービンハブに伝達し、トルクの伝達効率を高くするようにしている。これに対して、ロックアップクラッチ105を係脱させるのに伴って発生するトルク変動を吸収するために、ロックアップクラッチ105とフロントカバー117との間に前記ダンパ装置120が配設され、車速が設定値より低くなり、タービンランナ113の回転速度が前記所定の値より低くなると、前記ロックアップクラッチ105を解放させ、エンジンから伝達された回転を油を介してタービンハブに伝達する。
【0021】
前記変速機構102は、回転自在に配設された第1の(駆動側の)プーリとしてのプライマリプーリ126、該プライマリプーリ126と所定の距離を置いて、回転自在に配設された第2の(従動側の)プーリとしてのセカンダリプーリ131、及び前記プライマリプーリ126とセカンダリプーリ131との間に張設された伝動部材としてのベルト132を有する。
【0022】
そして、前記プライマリプーリ126は、駆動軸としてのプライマリシャフト122に固定された第1のシーブとしての固定シーブ123、及び前記プライマリシャフト122に対して軸方向に摺(しゅう)動自在に支持され、かつ、固定シーブ123に対して進退自在に配設された第2のシーブとしての可動シーブ125を備え、前記セカンダリプーリ131は、従動軸としてのセカンダリシャフト127に固定された第1のシーブとしての固定シーブ129、及び前記セカンダリシャフト127に対して軸方向に摺動自在に支持され、かつ、固定シーブ129に対して進退自在に配設された第2のシーブとしての可動シーブ130を備える。
【0023】
また、可動シーブ125の背面には、シングルピストンから成る第1のシーブ駆動部としての油圧サーボ133が、可動シーブ130の背面には、シングルピストンから成る第2のシーブ駆動部としての油圧サーボ135が配設される。なお、該油圧サーボ135によって挟持圧発生部が構成される。
【0024】
前記油圧サーボ133は、プライマリシャフト122に固定された反力支持部材137、及び可動シーブ130の背面に固定された筒状部材139を備え、前記反力支持部材137、筒状部材139、及び可動シーブ125の背面によって1個の油室141が形成される。前記反力支持部材137は、油圧サーボ133に第1の油圧としてのプライマリチャンバ圧を供給し、可動シーブ125を固定シーブ123側に移動させたときに発生する反力を支持する。そして、前記油圧サーボ133は、プライマリチャンバ圧を受けて所定の挟持力を発生させ、該挟持力で固定シーブ123及び可動シーブ125によってベルト132を挟持する。
【0025】
一方、前記油圧サーボ135は、セカンダリシャフト127に固定された反力支持部材143、及び可動シーブ130の背面に固定された筒状部材145を備え、前記反力支持部材143、筒状部材145、及び可動シーブ130の背面によって1個の油室146が形成される。そして、可動シーブ130と反力支持部材143との間にプリロード用の付勢部材としてのスプリング147が配設される。前記反力支持部材144は、油圧サーボ135に第2の油圧としてのセカンダリチャンバ圧を供給し、可動シーブ130を固定シーブ129側に移動させたときに発生する反力を支持する。そして、油圧サーボ135は、セカンダリチャンバ圧を受けて所定の挟持力を発生させ、該挟持力で固定シーブ129及び可動シーブ130よってベルト132を挟持する。
【0026】
前記前後進切換装置103は、差動回転装置としてのダブルピニオンプラネタリギヤ150、第1の係脱要素としてのリバースブレーキB、及び第2の係脱要素としてのダイレクトクラッチCを有する。前記ダブルピニオンプラネタリギヤ150において、第1の回転要素としてのサンギヤSと入力軸112とが連結され、第1、第2のピニオンP1、P2を支持する第2の回転要素としてのキャリヤCRと前記固定シーブ123とが連結され、第3の回転要素としてのリングギヤRと前記リバースブレーキBとが連結され、キャリヤCRとリングギヤRとが前記ダイレクトクラッチCを介して連結される。
【0027】
そして、前記カウンタシャフト107には、大ギヤ151及び小ギヤ152が固定され、前記大ギヤ151は、セカンダリシャフト127に固定されたギヤ153と噛(し)合し、小ギヤ152は、前記ディファレンシャル装置109のデフケース166に固定されたギヤ155と噛合させられる。ディファレンシャル装置109においては、前記デフケース166によって支持されたデフギヤ156の回転が、左右の差動要素としてのサイドギヤ157、159を介して左右の車軸160、161に伝達される。なお、大ギヤ151、小ギヤ152及びギヤ153、155によって回転伝達系が構成される。
【0028】
また、固定シーブ123の外周縁には、第1の回転検出要素としての多数の凹凸部123aが歯切りによって等間隔に形成され、前記凹凸部123aに臨ませて、図示されないケースに固定された電磁ピックアップから成る第1の回転検出部としてのプライマリプーリ回転速度センサ162が配設され、該プライマリプーリ回転速度センサ162によって入力側の回転速度であるプライマリプーリ回転速度が検出される。前記固定シーブ129の外周縁には、第2の回転検出要素としての多数の凹凸部129aが歯切りによって等間隔に形成され、前記凹凸部129aに臨ませて、前記ケースに固定された電磁ピックアップから成る第2の回転検出部としてのセカンダリプーリ回転速度センサ44が配設され、該セカンダリプーリ回転速度センサ44によって出力側の回転速度であるセカンダリプーリ回転速度が検出される。なお、セカンダリプーリ回転速度センサ44は、車速検出部としての車速センサとして機能し、車両の走行条件を表す車速Vを検出することができる。
【0029】
また、前記フロントカバー117に近接させて前記ケースに固定された電磁ピックアップから成る第3の回転検出部としてのエンジン回転速度センサ165が配設され、該エンジン回転速度センサ165によってエンジン負荷を表すエンジン回転速度Neを検出することができる。
【0030】
前記構成の無段変速機10において、前記エンジンを駆動することによって発生させられた回転は、トルクコンバータ106及び前後進切換装置103を介して変速機構102に伝達され、該変速機構102において変速が行われた後、ギヤ153、大ギヤ151、小ギヤ152及びギヤ155を介してディファレンシャル装置109に伝達される。そして、前記前後進切換装置103において、リバースブレーキBを解放した状態でダイレクトクラッチCを係合させると、ダブルピニオンプラネタリギヤ150は直結状態になり、入力軸112に伝達された回転はそのままプライマリプーリ126に伝達され、車両が前進させられる。また、リバースブレーキBを係合させた状態でダイレクトクラッチCを解放すると、入力軸112に伝達された回転は、逆転させられた状態でプライマリプーリ126に伝達され、車両が後退させられる。
【0031】
そして、前記油圧サーボ133は、プライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更するために使用される。すなわち、シフトアップの変速を行う場合、油圧サーボ133にプライマリチャンバ圧が供給され、前記プライマリプーリ126の有効径が大きくされ、セカンダリプーリ131の有効径が小さくされる。その結果、変速比が小さくされる。また、シフトダウンの変速を行う場合、油圧サーボ133のプライマリチャンバ圧がドレーンされ、前記プライマリプーリ126の有効径が小さくされ、セカンダリプーリ131の有効径が大きくされる。その結果、変速比が大きくされる。
【0032】
また、前記油圧サーボ135は、ベルト132の挟持圧を発生させるために、かつ、変更するために使用される。すなわち、油圧サーボ135にセカンダリチャンバ圧が供給されると、該セカンダリチャンバ圧に対応する挟持圧が発生させられ、セカンダリプーリ131は、固定シーブ129及び可動シーブ130によって前記挟持圧でベルト132を挟持する。
【0033】
ところで、油圧サーボ133、135は油圧回路に配設され、該油圧回路に配設された図示されない第1、第2の油圧調整弁によって発生させられた油圧が、それぞれ油圧サーボ133、135にプライマリチャンバ圧及びセカンダリチャンバ圧として供給される。そのために、制御部としての図示されない自動変速機制御部において発生させられたソレノイド信号が前記第1、第2の油圧調整弁のソレノイドに送られる。
【0034】
なお、本実施の形態において、油圧サーボ133は、プライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更するために使用され、油圧サーボ135は、ベルト132の挟持圧を発生させ、かつ、変更するために使用されるようになっているが、油圧サーボ135をプライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更するために使用し、油圧サーボ135をベルト132の挟持圧を発生させ、かつ、変更するために使用することもできる。
【0035】
次に、前記ベルト132について説明する。
【0036】
図3は本発明の実施の形態におけるベルトの要部を示す側面図、図4は本発明の実施の形態におけるベルトの要部を示す平面図、図5は本発明の実施の形態におけるベルトの断面図である。
【0037】
前記ベルト132は、多数の平板状のリンクプレート51(51a、51’a、51b、51’b、…)、該リンクプレート51を相互に連結する第1、第2のピンとしての一対のジョイントピン52、53、及び規制部材としてのリテーナ54を備える。本実施の形態において、前記ジョイントピン52、53は、互いに当接させて配設され、長いピンと短いピンとから成り、分割ピン構造を有するが、一つのピンによって形成することもできる。
【0038】
なお、図において、説明の便宜上、一部の部品の図示が省略されている。例えば、リンクプレート51aの部位における一方のジョイントピン53及びリテーナ54、並びにリンクプレート51bの部位における両リテーナ54の図示が省略され、リンクプレート51eの部位における一方のジョイントピン52及びリテーナ54の図示が省略されている。
【0039】
本実施の形態においては、前記ベルト132として、張力が加わったときに所定の量だけ伸長可能なチェーンベルトが使用される。この種のベルト132においては、特に、エンジンから伝達されたトルクを左右の車軸160、161に伝達する際に、前記リングプレート51、ジョイントピン52等に張力が作用し、リングプレート51、ジョイントピン52等が弾性変形するようになっている。
【0040】
各リンクプレート51は、同じ形状を有し、薄鋼板に打抜き加工等を行うことによって形成され、4隅が丸くされたほぼ矩(く)形の形状を有する板材を構成する。また、ベルト132の長手方向において隣接する各リンクプレート51は、前記ジョイントピン52、53によって互いに揺動可能になるように連結される。したがって、前記ベルト132は、所定の回転半径で湾曲し、プライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131に(図2)巻き掛けられる。なお、一点鎖線Pは、ピッチ線であり、各ジョイントピン52の固定シーブ123及び可動シーブ125と当接する部分及びベルト132が直線状に延在する部分にわたる線から成る。
【0041】
前記各リンクプレート51は、長円形の環状体から成り、厚さ方向に貫通する長穴状の貫通部55を備え、該貫通部55は、両端に形成され、ジョイントピン52、53を貫通させるための一対のピン挿通部61、及び該各ピン挿通部61を連結する連結部62を備える。なお、該連結部62が形成される分だけ貫通部55が大きくなるので、リンクプレート51を軽量化することができる。また、前記各ピン挿通部61を、ジョイントピン52、53ごとに独立させた二つの穴によって形成することができる。
【0042】
前記貫通部55の内周面は、各ピン挿通部61と連結部62との境界部分p1、p2において、内径が、ジョイントピン52、53を組み合わせたときの外径よりわずかに小さくされ、ジョイントピン52、53は、境界部分p1、p2において回り止めされ、係止させられる。前記構成の各リンクプレート51は、ジョイントピン52、53の長さ方向(以下「板厚方向」という。)において隣接するもの同士(リンクプレート51a、51b、51c、…と、リンクプレート51’a、51’b、51’c、…と)が、ジョイントピン52、53の配設されたピッチ分だけ長手方向にずらして積層される。このとき、リンクプレート51a、51b、51c、…のピン挿通部61と、リンクプレート51’a、51’b、51’c、…のピン挿通部61とによって、ほぼ円形の形状の穴が形成される。
【0043】
そして、ジョイントピン52、53は、リンクプレート51a、51b、51c、…の一方のピン挿通部61とリンクプレート51’a、51’b、51’c、…の他方のピン挿通部61とを交互に貫通して延在させられ、リンクプレート51a、51b、51c、…とリンクプレート51’a、51’b、51’c、…とを無端状に連結する。
【0044】
前記各ジョイントピン52、53は、リンクプレート51に対して相対的に摺動することがないように、前述されたように分割構造を有する。そして、板厚方向において隣接する各リンクプレート51のうちの一方のリンクプレート51a、51b、51c、…に、ジョイントピン52、53のうちの一方が係止させられ、固定され、他方のリンクプレート51’a、51’b、51’c、…に、ジョイントピン52、53のうちの他方が係止させられ、固定される。
【0045】
したがって、リンクプレート51a、51b、51c、…とリンクプレート51’a、51’b、51’c、…とが互いに回動させられると、ジョイントピン52、53が相互に転がり回転する。その結果、各ジョイントピン52、53同士が摺動することがない。そのために、ジョイントピン52、53は、前記ピン挿通部61と当接する側に弧状の係止面を、互いに対向する側に弧状の転がり面を有する。
【0046】
このように、リンクプレート51a、51b、51c、…とリンクプレート51’a、51’b、51’c、…とが互いに回動させられる際に、各ジョイントピン52、53がリンクプレート51に対して相対的に摺動することはなく、各ジョイントピン52、53同士も相対的に摺動することがないので、摩擦によるエネルギーの損失を抑制することができる。
【0047】
また、前記リテーナ54は、楕(だ)円形の形状を有する環状の板状部材によって形成され、ジョイントピン52の断面の形状とほぼ一致する扁(へん)平な形状の穴64を備え、該穴64の周囲の環状部65の幅(内周面と外周面との間の距離)は、ジョイントピン53の短径とほぼ等しくされる。そして、前記リテーナ54は、各ジョイントピン52の両端の近傍に、圧入によって固定され、これに伴って、ジョイントピン53の端面がリテーナ54の環状部65とわずかな隙(すき)間を置いて対向させられる。したがって、ジョイントピン53が、軸方向に移動したときに、リンクプレート51から抜け落ちることはない。なお、前記ジョイントピン53とリテーナ54との間にわずかな隙間が形成されるので、前記ジョイントピン53とリテーナ54とが摺動するのを防止することができる。
【0048】
本実施の形態において、リテーナ54は、ジョイントピン53の端面の全体を被うように形成されるが、ジョイントピン53の端面の一部を被うように形成することができる。
【0049】
前記構成のベルト132を、プライマリプーリ126とセカンダリプーリ131との間に張設すると、プライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131への巻掛け位置において、ジョイントピン52の両端が固定シーブ123及び可動シーブ125と接触し、伝動状態では、ジョイントピン52だけが駆動力を伝達することになる。すなわち、プライマリプーリ126側において、固定シーブ123及び可動シーブ125からジョイントピン52に伝達された動力がジョイントピン53及びリンクプレート51に伝達され、次のジョイントピン52、53及びリンクプレート51に伝達され、セカンダリプーリ131側において、ジョイントピン52から固定シーブ123及び可動シーブ125に伝達される。
【0050】
ところで、前記変速機構102(図2)の変速比を変化させ、例えば、アンダードライブ時に変速比を大きくすると、加速性能を高くすることができ、オーバドライブ時に変速比を小さくすると、燃費性能を高くすることができるが、アンダードライブ時に変速比を大きくしたり、オーバドライブ時に変速比を小さくしたりするために、前記プライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131において有効径を変化させると、変速機構102の寸法がその分大きくなってしまう。
【0051】
そこで、本実施の形態においては、プライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131において有効径を変化させることなく、アンダードライブ時に加速性能を高くすることができるとともに、オーバドライブ時に燃費性能を高くすることができ、変速機構102の特性を向上させることができるように、ベルト132の伸びを発生させるようにしている。
【0052】
図1は本発明の実施の形態におけるアンダードライブ時の変速機構の状態を示す概念図、図6は本発明の実施の形態におけるオーバドライブ時の変速機構の状態を示す概念図、図7は本発明の実施の形態における変速機構の動作を示すフローチャート、図8は本発明の実施の形態における変速機構の動作を示タイムチャートである。
【0053】
図において、122はプライマリシャフト、125は可動シーブ、126はプライマリプーリ、127はセカンダリシャフト、129は固定シーブ、130は可動シーブ、131はセカンダリプーリ、132はベルト、133、135は油圧サーボ、137、143は反力支持部材、141、146は油室である。
【0054】
この場合、車両が所定の走行状態で走行しているときに、アンダードライブ時の変速比を、通常の変速を行う状態、すなわち、通常変速状態におけるアンダードライブ時の変速比より大きくし、オーバドライブ時の変速比を、通常変速状態におけるオーバドライブ時の変速比より小さくし、アンダードライブ側からオーバドライブ側への変速比幅を大きくするようにしている。
【0055】
ところで、前述されたように、前記油圧サーボ133は、プライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更するために使用される。すなわち、シフトアップの変速を行う場合、前記自動変速機制御部において発生させられたシフトアップ用のソレノイド信号が第1の油圧調整弁のソレノイドに送られ、油圧サーボ133に油圧が供給され、前記プライマリプーリ126の有効径が大きくされ、セカンダリプーリ131の有効径が小さくされる。その結果、変速比が小さくされる。また、シフトダウンの変速を行う場合、自動変速機制御部において発生させられたシフトダウン用のソレノイド信号が第1の油圧調整弁のソレノイドに送られ、油圧サーボ133の油圧がドレーンされ、前記プライマリプーリ126の有効径が小さくされ、セカンダリプーリ131の有効径が大きくされる。その結果、変速比が大きくされる。
【0056】
また、前記油圧サーボ135は、ベルト132の挟持圧を発生させるために、かつ、変更するために使用される。すなわち、自動変速機制御部において発生させられた挟持圧発生用のソレノイド信号が第2の油圧調整弁のソレノイドに送られ、油圧サーボ135に油圧が供給されると、該油圧に対応する挟持圧が発生させられ、セカンダリプーリ131は、固定シーブ129及び可動シーブ130によって前記挟持圧でベルト132を挟持する。
【0057】
そして、通常変速状態において、自動変速機制御部の変速比設定処理手段は、変速比設定処理を行い、車両の走行条件を表す車速Vを読み込み、図示されないアクセルペダルに加速変量検出部として配設されたアクセルスイッチによって検出された加速変量としてのアクセル開度、図示されないブレーキペダルに減速変量検出部として配設されたブレーキスイッチによって検出された減速変量としてのブレーキ踏込量等を読み込み、変速比γを設定する。なお、前記車速、アクセル開度、ブレーキ踏込量等によって変速条件が構成される。
【0058】
そのために、自動変速機制御部の油圧発生処理手段は、油圧発生処理を行い、図示されない記憶装置の信号マップを参照し、設定された変速比γに対応するソレノイド信号SGpを発生させ、第1の油圧調整弁のソレノイドに送り、プライマリチャンバ圧Ppを発生させ、油圧サーボ133に供給する。また、前記油圧発生処理手段は、挟持圧を発生させるためのソレノイド信号SGsを発生させ、第2の油圧調整弁のソレノイドに送り、セカンダリチャンバ圧Psを発生させ、油圧サーボ135に供給する。
【0059】
そして、アンダードライブ時の変速比の最大値をγmaxとし、オーバドライブ時の変速比の最小値をγminとしたとき、前記変速比γは最大値γmaxと最小値γminとの間で変化させられる。この場合、変速比γの最大値γmaxを達成するために、前記油圧発生処理手段は、第1の油圧調整弁のソレノイドにソレノイド信号SGpminを送り、油圧サーボ133に最小のプライマリチャンバ圧Ppmin供給し、変速比γの最小値γminを達成するために、油圧発生処理手段は、第1の油圧調整弁のソレノイドにソレノイド信号SGpmaxを送り、油圧サーボ133に最大のプライマリチャンバ圧Ppmaxを供給する。
【0060】
また、前記油圧発生処理手段は、第2の油圧調整弁のソレノイドに一定のソレノイド信号SGsを送り、油圧サーボ135に、挟持圧に対応させてあらかじめ設定されたセカンダリチャンバ圧Pscを供給する。
【0061】
また、前述されたように、車速が設定値に達して、タービンランナ113の回転速度が所定の値になると、前記ロックアップクラッチ105が係合させられてロックさせられるようになっているが、そのために、自動変速機制御部の図示されないロックアップ処理手段は、ロックアップ処理を行い、ロックアップ信号を発生させ、前記油圧回路の所定のソレノイド弁に送る。それに伴って、トルクコンバータ106にロックアップ係合圧が供給され、ロックアップクラッチ105が係合させられる。
【0062】
そこで、自動変速機制御部の図示されない変速比変更条件成立判定処理手段は、変速比変更条件成立判定処理を行い、前記ロックアップ信号を読み込み、変速比を変更するための条件、すなわち、変速比変更条件が成立しているかどうかを、ロックアップクラッチ105が係合させられているかどうかによって判断する。
【0063】
変速比変更条件が成立していて、ロックアップクラッチ105が係合させられている場合、前記自動変速機制御部の変速比判定処理手段は、変速比判定処理を行い、前記変速比γを読み込み、変速比γが最小値γminと等しいか、最大値γmaxと等しいか、又は最小値γminと最大値γmaxとの間(γmin<γ<γmax)の値を採るかを判定する。
【0064】
そして、変速比γが最大値γmaxと等しい場合、自動変速機制御部の図示されない変速比変更処理手段は、変速比変更処理を行い、変速機構102が最もアンダードライブ側の変速状態に置かれていると判断し、変速比γを最大値γmaxより更に大きくするために、セカンダリチャンバ圧Psを、通常変速状態におけるセカンダリチャンバ圧Pscよりあらかじめ設定された圧δPsだけ高くする。その結果、図1に示されるように、可動シーブ130が、通常変速状態の前進限位置より矢印gs1方向に更に前進(移動)させられる。それに伴って、固定シーブ129及び可動シーブ130による挟持力が大きくされ、該挟持力によってベルト132が強く挟持されて伸ばされ、セカンダプーリ131側において矢印gs2方向に移動させられ、有効径が大きくされる。このとき、可動シーブ130を前進限位置より更に前進させることができるように、セカンダリシャフト127と可動シーブ130のスリーブ部分との間に隙間mgsが形成される。
【0065】
なお、プライマリプーリ126側においては、油圧サーボ133に変速比γを通常変速状態と同じ最大値γmaxにするためのプライマリチャンバ圧Ppminが供給されるので、プライマリプーリ126側における有効径は変更されない。また、反力支持部材137は、規制部材として機能し、ベルト132に加わる張力が大きくなるのに伴って可動シーブ125が後退限位置より更に後退するのを阻止する。
【0066】
また、変速比γが最小値γminと等しい場合、前記変速比変更処理手段は、変速機構102が最もオーバドライブ側の変速状態に置かれていると判断し、変速比γを最小値γminより更に小さくするために、プライマリチャンバ圧Ppを、通常変速状態のプライマリチャンバ圧Ppmaxよりあらかじめ設定された圧δPp(本実施の形態においては、圧δPsと等しくされる。)だけ高くする。その結果、図6に示されるように、可動シーブ125が、通常変速状態の前進限位置より矢印gp1方向に更に前進(移動)させられる。それに伴って、ベルト132が固定シーブ123及び可動シーブ125による挟持力によって強く挟持されて伸ばされ、プライマリプーリ126側においてベルト132が矢印gp2方向に移動させられ、プライマリプーリ126側における有効径が大きくされる。このとき、可動シーブ125を前進限位置より更に前進させることができるように、プライマリシャフト122と可動シーブ125のスリーブ部分との間に隙間mgpが形成される。
【0067】
なお、セカンダプーリ131側においては、油圧サーボ135に挟持圧を発生させるための通常変速状態におけるセカンダリチャンバ圧Pscが供給されるので、セカンダプーリ131側における有効径は変更されない。また、反力支持部材143は、規制部材として機能し、ベルト132に加わる張力が大きくなるのに伴って可動シーブ130が後退限位置より更に後退するのを阻止する。
【0068】
また、変速比γが最小値γmin及び最大値γmax以外(γmin<γ<γmax)の値を採る場合、前記変速比変更処理手段は、変速機構102が、最もアンダードライブ側と最もオーバドライブ側との間の変速状態に置かれていると判断し、変速比γを変更しない。その結果、変速機構102は通常の変速状態に置かれる。
【0069】
ところで、変速機構102の変速比γが最大値γmaxより更に大きくされると、セカンダリチャンバ圧Psがあらかじめ設定された圧δPsだけ高くされるが、セカンダリチャンバ圧Psが高くされる分だけ変速機構102の耐久性が低くなってしまう。そこで、図8に示されるように、タイミングt0でセカンダリチャンバ圧Psが、通常変速状態におけるセカンダリチャンバ圧Pscよりあらかじめ設定された圧δPsだけ高くされたときに、自動変速機制御部の図示されない計時処理手段は、計時処理を行い、図示されないタイマによる計時を開始し、タイミングt1であらかじめ設定された時間τ1が経過すると、前記変速比変更処理手段は、セカンダリチャンバ圧Psを徐々に低くし、タイミングt2でセカンダリチャンバ圧Pscと等しくする。その結果、挟持力が通常変速状態の値に戻される。
【0070】
したがって、変速機構102の耐久性を向上させることができる。
【0071】
このように、本実施の形態においては、変速機構102の寸法を変化させることなく、アンダードライブ時に、変速比γを通常変速状態における変速比γの最大値γmaxより大きくすることができるので、加速性能を高くすることができる。また、オーバドライブ時に変速比γを通常変速状態における変速比γの最小値γminより小さくすることができるので、エンジン効率の高い運転ポイントでエンジンを駆動することができ、燃費性能を高くすることができる。したがって、変速機構102の特性を向上させることができる。
【0072】
また、本実施の形態においては、前記第1、第2のシーブ駆動部として油圧サーボ133、135が使用されるが、該油圧サーボ133、135のうちの少なくとも一方に代えてシーブ駆動部としての電動機を使用することもできる。その場合、電動機を駆動することによって可動シーブ125、130のうちの少なくとも一方が軸方向に移動させられ、可動シーブ125の位置を調整することによってプライマリプーリ126及びセカンダリプーリ131の有効径を変更したり、可動シーブ130の位置を調整することによってベルト132の挟持圧を変更したりすることができる。
【0073】
さらに、少なくとも一つの電動機のトルクを、通常変速状態におけるトルクの最大値より大きくすることによって、アンダードライブ時に、変速比γを通常変速状態における変速比γmaxより大きくしたり、オーバドライブ時に、変速比γを通常変速状態における変速比γminより小さくしたりすることができる。
【0074】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 ロックアップ信号を読み込む。
ステップS2 ロックアップクラッチ105が係合しているかどうかを判断する。ロックアップクラッチ105が係合している場合はステップS3に進み、ロックアップクラッチ105が係合していない場合は処理を終了する。
ステップS3 走行条件及び変速比γを読み込む。
ステップS4 変速比γを判定する。変速比γが最大値γmaxと等しい場合はステップS5に進み、変速比γが最小値γminと等しい場合はステップS6に進み、変速比γが最小値γminと最大値γmaxとの間の値を採る場合は処理を終了する。
ステップS5 セカンダリチャンバ圧Psを高くする。
ステップS6 プライマリチャンバ圧Ppを高くする。
【0075】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態におけるアンダードライブ時の変速機構の状態を示す概念図である。
【図2】本発明の実施の形態における無段変速機の概念図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるベルトの要部を示す側面図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるベルトの要部を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるベルトの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるオーバドライブ時の変速機構の状態を示す概念図である。
【図7】本発明の実施の形態における変速機構の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態における変速機構の動作を示タイムチャートである。
【符号の説明】
【0077】
123、129 固定シーブ
125、130 可動シーブ
126 プライマリプーリ
131 セカンダリプーリ
132 ベルト
133、135 油圧サーボ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定シーブ、該固定シーブに対して軸方向に進退自在に配設された可動シーブ、及び該可動シーブを進退させるシーブ駆動部を備えた第1のプーリと、固定シーブ、該固定シーブに対して進退自在に配設された可動シーブ、及び該可動シーブを進退させるシーブ駆動部を備えた第2のプーリと、第1、第2のプーリ間に張設された伸長可能なベルトと、変速条件に対応させて変速比を設定する変速比設定処理手段と、変速比変更条件が成立したかどうかを判定する変速比変更条件成立判定処理手段と、変速比変更条件が成立した場合に、前記第1、第2のプーリのうちの一方のプーリにおいて、前記可動シーブを通常変速状態における前進限位置より前進させて挟持力を大きくし、該挟持力でベルトを挟持することによって、変速比幅を大きくする変速比変更処理手段とを有することを特徴とする無段変速機変速制御装置。
【請求項2】
前記変速比変更処理手段によって挟持力が大きくされたときに計時を開始する計時処理手段を有するとともに、前記変速比変更処理手段は、挟持力が大きくされてからあらかじめ設定された時間が経過すると、挟持力を通常変速状態の値に戻す請求項1に記載の無段変速機変速制御装置。
【請求項3】
前記変速比変更条件成立判定処理手段は、流体伝動装置のロックアップ装置が係合させられているときに、変速比変更条件が成立したと判断する請求項1又は2に記載の無段変速機変速制御装置。
【請求項4】
前記変速比変更処理手段は、アンダードライブ時に変速比を通常変速状態における最大値より大きくする請求項1又は2に記載の無段変速機変速制御装置。
【請求項5】
前記変速比変更処理手段は、オーバドライブ時に変速比を通常変速状態における最小値より小さくする請求項1又は2に記載の無段変速機変速制御装置。
【請求項6】
前記変速比変更処理手段は、アンダードライブ時に第2のプーリ側の挟持力を大きくする請求項1又は2に記載の無段変速機変速制御装置。
【請求項7】
前記変速比変更処理手段は、オーバドライブ時に第1のプーリ側の挟持力を大きくする請求項1又は2に記載の無段変速機変速制御装置。
【請求項8】
前記第1、第2のプーリのうちの一方のプーリにおいて、可動シーブが通常変速状態における前進限位置より前進させられたときに、前記第1、第2のプーリのうちの他方のプーリにおいて、可動シーブの後退が後退限位置で阻止される請求項1又は2に記載の無段変速機変速制御装置。
【請求項9】
前記各シーブ駆動部は油圧サーボであり、該油圧サーボに供給されるチャンバ圧によって挟持力が発生させられる請求項1又は2に記載の無段変速制御装置。
【請求項10】
固定シーブ、該固定シーブに対して軸方向に進退自在に配設された可動シーブ、及び該可動シーブを進退させるシーブ駆動部を備えた第1のプーリ、固定シーブ、該固定シーブに対して進退自在に配設された可動シーブ、及び該可動シーブを進退させるシーブ駆動部を備えた第2のプーリ、並びに前記第1、第2のプーリ間に張設された伸長可能なベルトを有する無段変速機の無段変速制御方法において、変速条件に対応させて変速比を設定し、変速比変更条件が成立したかどうかを判定し、変速比変更条件が成立した場合に、前記第1、第2のプーリのうちの一方のプーリにおいて、可動シーブを通常変速状態における前進限位置より前進させて挟持力を大きくし、該挟持力でベルトを挟持することによって、変速比幅を大きくすることを特徴とする無段変速機変速制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−248931(P2008−248931A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88130(P2007−88130)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】