説明

無線周波識別で制御される加熱可能物体

【課題】無線周波識別制御加熱可能物体を提供する。
【解決手段】無線周波識別(RFID)タグ60に温度センサ70が接続され、RFIDタグ60は、温度制御加熱可能物体の取っ手40、140の内部に設けられており、温度センサ70は、温度制御加熱可能物体と接触して配置されている。本発明の第1の実施形態では、温度制御加熱可能物体に該温度制御加熱可能物体の側面に設けられた切欠き22を介して温度センサの一部が埋め込まれている。第3の実施形態では、温度制御加熱物体の底と該温度制御加熱可能物体の底に取り付けられたスラブ226の間に温度センサ70が埋め込まれている。温度センサ70は、温度制御加熱可能物体のスラブ226又は底の何れかに形成されたスロット222に配置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、ポット、鍋、ビュッフェ配膳鍋、配膳皿、大皿などの温度調節調理用器具及び配膳用器具に関する。より詳細には、本発明は、無線周波識別(RFID)技術及び物体と関連付けられた温度センサを使用して温度が調節される調理用器具及び配膳用器具に関する。温度センサと関連付けられたRFIDタグには、個々の物体の加熱特性に関する情報が含まれている。このRFIDタグによって、物体の加熱特性に関する情報及び温度読み値情報が、調理装置内に設けられているリーダすなわち読取り装置に送信され、調理過程における温度を調節するために調理装置によって使用される。
【背景技術】
【0002】
調理は、しばしば芸術と呼ばれているが、それは、特定の調理法に通じる食品の組合せのみならず、食品準備過程における様々な段階を通じて、様々なレベルの熱を所定の長さの時間に渡って適切に適用し、注入するための技術を必要とすることによるものである。オーブン(電子レンジを除く)、グリル、加熱ランプ及びコンロなどの従来のすべての調理装置には、食品の外部表面からその内部へ熱を伝達するための熱力学的伝導プロセスが利用されている。これは、一般的に、放射熱源(すなわち加熱ランプ)であれ、伝導熱源(すなわちコンロトップ)であれ、或いは対流熱源(すなわち対流オーブン或いは食品脱水器)であれ、食品の表面を加熱するために使用される熱源のタイプに関係なく事実である。
【0003】
特定の食品を伝導によって完全かつ適切に調理するために必要な時間及び温度は、食品の熱伝導率、未調整の食品温度(つまり凍結温度、室温等)、及び食品の大きさ及び形状によって左右される。食品の大きさ及び形状が同様である場合、熱伝導率がより大きい食品は、熱が外部表面から内部へより速やかに移動するため、熱伝導率がより小さい食品より速く調理される。同時に、熱伝導率が同じである場合、一般的により小さいか或いはより薄い食品は、より薄い食品を通してより短い距離を熱が移動することになるため、一般的により大きいか或いはより分厚い食品より早く調理される。凍結した食品を調理するためには、非凍結食品すなわち解凍された食品に必要な熱より相当多くの熱が必要である。食品の調理温度を高くすることにより、食品の表面から内部へ移動する熱の量が増加するが、過剰な熱量を一度に加えることにより、食品の内部に熱が移動する前に外部表面が調理され、通常、表面が焼け焦げ、かつ、内部が未調理の結果となる。したがって適切な加熱を保証するためには、調理過程の間、調理する食品の温度に関する情報をリアルタイムですなわち即時に入手することがしばしば有利である。
【0004】
温度計又は他の温度センサを使用した調理過程の監視及び制御については良く知られている。調理過程のモニタ及び制御に広く使用されている温度計は、食品の内部温度を得るために食品中に直接挿入されるプローブ型温度計すなわち接触温度計である。このような温度計は、多くの調理応用分野に対して不適切である。例えば、蓋を使用してポット又は鍋の中で調理する場合、プローブ型温度計を使用するためには、温度を読み取る毎に蓋を取り外さなければならない。調理中に頻繁に蓋を取り外すことにより、調理中の食品への熱の伝達が減少し、また、好ましくない水分の損失がもたらされることがしばしばである。また、接触温度計を使用して所望の温度を達成し、かつ、維持するためには、通常、調理装置の出力を手動で調整しなければならない。言うまでもないことであるが、プローブ型温度計は、複雑であることがしばしばである調理過程の間、常時配置し、かつ、適切に使用しなければならないもう1つの調理機器である。接触温度計が抱えている欠点を克服するために、ポット及び鍋などの調理用器具に取り付けられ、或いは調理用器具に組み込まれる多くの調理用器具に関連した非接触温度計が開発されている。このような非接触温度計は、温度読み値に基づいて出力レベルを制御するために調理装置と通信することがしばしばである。しかしながら、以下で考察するように、調理過程を調理用器具の温度に基づいてすべて制御しているこれらの非接触温度計の中で、調理用器具内で調理中の食品の温度を矛盾することなく正確に測定し、かつ、制御するための手段を提供している温度計は皆無である。
【0005】
ハーデン・ジュニア(Harnden Jr.)に対する米国特許第3,742,178号に、調理用器具の内部カップが入れ子になっている内部カップと外部カップの間に、調理用器具の内部カップの内壁表面に熱接触して配置された非接触温度計が記述されている。この内部カップは、誘導クックトップ(cook−top)装置内に設けられた誘導コイルによって加熱することができる強磁性体でつくられている。ポットの加熱時及び冷却時における熱膨張及び収縮のため、温度センサと内部カップの内壁との間の安定した接続を維持することは困難である。また、内部カップの内壁と内部カップの外壁の間にしばしば大きな温度差が存在し、調理用器具の内部に極端に冷たい食品が置かれ、かつ、内部カップが加熱されると、とりわけ大きな温度差が存在する。この大きな温度差が、内部カップの内壁表面の温度を読み取る場合に、不可能ではないにしても、ポット内の食品の正確な温度測定を困難にしている。
【0006】
Harnden Jr.による教示の調理用器具の場合、誘導コイルによって生成される、調理用器具を加熱するための磁界は、調理用器具の加熱を制御するために、無線周波を介してクックトップ装置に温度情報を送信する温度センサにも動力を与える。このような構造は、誘導加熱装置を使用して動作しているが、Harnden Jr.による温度センサは、伝導によって調理用器具を加熱する従来のガスコンロ又は電気コンロを使用した場合は動作不能である。また、内部カップの内壁表面と外部カップの内壁表面の間に、熱絶縁材又は空気が充填され或いは真空にされたギャップを備えたHarnden Jr.の入れ子式カップ設計は、外部カップから内部カップへ熱を伝導させるには非効率的であり、温度センサが利用されている場合であっても、従来の装置とのHarnden Jr.による調理用器具の使用を望ましくないものにしている。
【0007】
スマーク(Smrke)に対する米国特許第5,951,900号に、調理用器具の蓋の外部表面に取り付けられた温度センサを備えることによってハーデン・ジュニア(Harnden Jr.)によるセンサの多くの欠点を克服することを試みる非接触温度センサが記述されている。Smrkeによる温度センサは、調理用器具の加熱を制御するために、無線周波又は導線のいずれかを介して調理装置に温度情報を送信する。Smrkeは、調理用器具の蓋の温度は、加熱器の出力、ポットのタイプ、食品の量等に左右されるため、調理を制御するためには調理用器具の蓋の温度を正確に測定することが理想的であることを主張しているが、Smrkeは、調理用器具内の食品の温度を正確に測定する手段を提供していない。また、上で考察したように、調理用器具の加熱時及び冷却時における熱膨張及び収縮のため、温度センサと温度センサを取り付ける調理用器具の表面との間の安定した接続を維持することは困難である。
【0008】
Harnden Jr.及びSmrkeは共に、単に温度センサによって得られる温度によって温度調節される調理用器具を教示している。調理用器具からの温度情報は重要ではあるが、所望する時間期間の範囲内で所望する調節温度を達成するには、それだけでは不十分であることがしばしばである。例えば、誘導クックトップ上に置かれた物体に印加される出力は、その物体の強磁性体とクックトップの動作コイルの間の距離に大いに左右されることは良く知られている。その物体の部分的な過熱を防止し、かつ、所望の調節温度をその物体全体に渡って達成するために物体が特定の段階的な電力印加を必要とする場合、その物体に適切な出力を接続することが肝要である。また、最も実際的な加熱操作には、最長の規定時間内に規定の調節温度に到達しなければならない。この制約により、温度が漸次移行している各々の間に適切な出力を印加することの重要性がよりいっそう高くなっている。調和した加熱操作及び正確な温度調節を達成するためには、調和しない出力の接続を、出力測値と保存されている出力結合データの比較に基づいて、修正する手段が不可欠である。
【0009】
参照によりその開示が本明細書に組み込まれている。クロウジャー(Clothier)に対する米国特許第6,320,169号に、加熱可能誘導物体に取り付けられた、誘導加熱デバイスの制御システムに情報(典型的には物体の加熱特性に関する情報)を送信する無線周波識別(RFID)タグの使用が教示されている。RFIDは、応用においてバーコード技術と類似の自動識別技術であるが、SFIDには光信号に代わって無線周波が使用されている。RFIDシステムは、読出し専用システムにすることも、或いは読出し/書込みシステムにすることもできる。モトローラ(Motorola)のOMR−705+リーダすなわち読取り装置及びIT−254Eタグなどの読出し専用システムの場合、RFIDシステムは、読取り装置及び専用「タグ」の2つの主要構成要素からなっている。読取り装置は複数の機能を実行しているが、そのうちの1つは、典型的には125kHz又は13.56MHzのいずれかの低レベル無線周波磁界を生成することである。RF磁界は、典型的にはコイル形態の送信アンテナによって読取り装置から放射される。読取り装置は、無線処理ユニット及びディジタル処理ユニットを備えたRFIDカプラと取外し可能アンテナの2つの個別部品として販売されている。RFIDタグは、同じく典型的にはコイル形態のアンテナと集積回路(IC)を備えている。読出し/書込みシステムの場合、タグとリーダ/ライタすなわち読取り装置/書込み装置の間で双方向通信することができ、通常、タグ及び読取り装置/書込み装置は、いずれも、受け取った情報を保管するための電子メモリを備えている。
【0010】
Clothierは、RFID制御物体を調理用器具或いは配膳用器具のいずれかに使用することができることを開示しているが、Clothierが開示している物体はすべて、プレート及びカップなどの配膳用器具の形態を取っている。調理済みの食品を適切な配膳温度に維持するように設計されているこのような配膳用器具は、著しく温度が低下し、通常、ポット、鍋及び他の調理用器具より短い時間間隔で、すなわち調理器具の約482℃(華氏約900度)に対して約121℃(華氏約250度)に加熱される。したがって、配膳用器具に対する設計上の制約は、調理用器具に対する設計上の制約より少ない。例えば、Clothierが開示している配膳用器具の各々は、配膳用器具のベースに設けられた、発熱体又は配膳用器具の加熱可能部分から熱絶縁されたRFIDタグを備えている。ほとんどのRFIDタグには動作温度に限界があるため、RFIDタグは、配膳用器具の加熱可能部分から熱絶縁されている。RFIDタグは、配膳用器具の加熱時におけるタグと読取り装置/書込み装置の間の通信を可能にするために、誘導加熱デバイス内に設けられているRFID読取り装置/書込み装置と平行になり、かつ、RFID読取り装置/書込み装置から数センチ(数インチ)の範囲内に配置されるよう、Clothierが開示している配膳用器具のベースに設けられている。しかしながら、ポット或いは鍋などの調理用器具のベースにRFIDタグを設けることにより、適切な熱絶縁の達成が困難になっている。また、仮に十分な熱絶縁が提供されたとしても、RFIDタグが調理用器具の熱発生ゾーン(つまり、物体を加熱するために使用されるエネルギーが導かれる、従来の加熱装置のガス又は電気バーナ、或いは誘導加熱装置の誘導コイルなどの熱源の真上の領域)に直接設けられているため、このような熱絶縁は、ガス又は電気伝導コンロなどの従来のクックトップ装置による調理用器具の加熱を妨げている。
【0011】
Clothierが開示しているRFID配膳用器具は、主として、配膳用器具から誘導加熱デバイスへ送信される加熱特性に基づく加熱アルゴリズムを使用して温度が調節されている。Clothierは、さらに、RFIDタグと組み合わせた、加熱中の配膳用器具の温度をより良好に調節するための温度調節スイッチを包含することを開示している。Clothierが開示している温度スイッチの動作は、温度スイッチが所定の温度条件に出くわすと、RFIDタグから誘導加熱デバイスコントローラへの情報の送信を妨害し、或いは情報を変化させている。したがって、Clothierが開示している温度スイッチは、所定の温度を超過したことを確認するだけで、温度読み値を獲得する能力を提供していない。そのために、配膳用器具を正確に調節することができる温度が、温度スイッチの数に基づく有限数の温度に限定されている。このような有限数の所定温度は、調理済みの食品を保温するように機能する配膳用器具の場合は許容可能であるが、ポット及び鍋などの調理用器具には、はるかに広範囲の調節温度が必要である。事実、単一食品の調理には、様々な温度の複数の段階に渡る加熱を必要とすることがしばしばである。
【0012】
Clothierが開示している温度スイッチを組み合わせたRFID制御配膳用器具は、レルトランで典型的に使用されているシズルプレート(sizzle plate)の形態を取っている。RFIDタグに接続された温度スイッチは、鋳鉄製プレートの下部表面に接触して配置されている。このような構造は、シズルプレートなどの配膳用器具の温度を下げるためには適しているが、上で考察した、加熱可能物体の表面への安定した接続を維持する問題は、依然として未解決である。
【特許文献1】米国特許第3,742,178号
【特許文献1】米国特許第5,951,900号
【特許文献1】米国特許第6,320,169号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、温度調節物体(すなわち物品)を提供することである。本発明の他の目的は、配膳用器具、調理用器具等として使用することができる温度調節物品を提供することである。本発明のさらに他の目的は、物品の温度読み値を利用してその物品の温度が調節される温度調節物品を提供することである。本発明の他の目的は、物品内で加熱中の食品の温度が、温度読み値によって食品と接触することなく正確に指示される温度調節物体を提供することである。本発明のさらに他の目的は、物品内で加熱中の食品の温度が温度読み値によって正確に指示され、かつ、従来の加熱デバイスすなわち誘導加熱デバイスと共に使用することができる温度調節物体を提供することである。本発明の他の目的は、物品の加熱可能部分と接触する温度センサを有する温度調節物品を提供することである。本発明のさらに他の目的は、物品の加熱可能部分と接触する、その物品の温度を広範囲に渡って調節することができる温度センサを有する温度調節物品を提供することである。本発明のさらに他の目的は、物品の加熱可能部分と接触する温度センサを有する、調理などの高温の応用例に適した温度調節物品を提供することである。本発明に他の目的は、物品の加熱可能部分と接触する温度センサを備えた、温度センサと物品の加熱可能部分との間の接触部分が、物品の加熱時及び冷却時における熱膨張及び収縮に耐えることができる温度調節物品を提供することである。本発明の他の目的は、物品の加熱可能部分と接触した温度センサを有する、温度センサと物品の加熱可能部分の間の接触部分が、物品の加熱時及び冷却時における熱膨張及び収縮に耐えることができ、かつ、温度読み値以外の加熱特性を利用して物品の調理温度を調節することができる温度調節物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的は、加熱可能本体、温度センサ及びRFIDタグを備えた温度調節物体を使用することによって達成される。温度センサは、温度調節物体の加熱可能本体と接触し、かつ、一対の導線によってRFIDタグに接続されている。RFIDタグは、温度調節物体を加熱するためのクックトップ内に設けられている読取り装置/書込み装置と通信するための送信機(場合のよっては受信機)として作用し、温度情報及び温度調節物体に関する他の情報(加熱特性など)をクックトップに提供する。温度情報及び加熱情報はクックトップによって使用され、温度調節物体の温度が制御される。
【0015】
実例となる本発明の実施形態では、加熱可能物体は、鍋などの調理用器具である。本発明の第1の実施形態では、鍋の側面に、鍋の底に向かって設けられた切欠きの内部に温度センサの一部が埋め込まれ、鍋の伝導コアと接触して配置されている。鍋の本体に温度センサの一部を埋め込むことにより、温度センサと鍋の加熱可能本体との間の接触が改善され、鍋の加熱及び冷却による熱膨張及び収縮に対する耐性がさらに向上する。また、部分的に埋め込まれた温度センサは、鍋の内部及び調理中の食品により近接して設けられており、熱源の影響を受ける鍋の底部表面の温度を測定することによって可能な食品温度の読み値よりも正確な読み値を提供している。また、温度センサの一部を埋め込むことにより、センサの直径より薄い鍋の側壁を利用することができる。
【0016】
本発明の第2の実施形態では、鍋の底部壁に形成されたトンネルすなわち孔内に温度センサが埋め込まれている。好ましい実施形態では、当分野で知られている方法で鍋が製造され、次に、鍋のベースにトンネルすなわち孔が穿孔されている。側部切欠き式の実施形態の場合と同様、底部の孔により、温度センサと鍋の加熱可能部分の間の接続の耐久性が向上し、かつ、温度センサを鍋の内部により近接して配置している。また、底部の孔により、鍋の最も温度が高い部分のうちの1つであり、かつ、誘導コイルの中心或いはハロゲンヒータの中心もしくは電気ヒータの中心等のような加熱物体の中心からの鍋の位置の狂いに対して極めて頑丈である鍋の中心に温度センサを設けることができる。
【0017】
本発明の第3に実施形態では、鍋の底と鍋の底に接続されたスラブとの間に温度センサが埋め込まれている。このスラブ−底形態の変形形態の1つには、スラブ中に形成された、温度センサ及び関連する導線を配置するためのスロットが含まれている。このスロットにより、鍋の側壁が比較的薄い(センサの直径より薄い)場合であっても、鍋のベースの中心に温度センサを配置することができる。スラブー底形態の他の変形形態には、鍋自体の底に形成されたスロットが含まれている。この実施形態では、鍋の内部により接近して温度センサが配置されている。
【0018】
RFIDタグは、本発明による鍋の取っ手に形成された、鍋の熱発生ゾーンの外側にRFIDタグを配置するための空洞内に設けられている。これによりRFIDタグの温度を低くし、RFIDタグの寿命を最長化している。空洞の内部には傾斜が施されたガイドチャネルすなわち案内通路が設けられており、RFIDタグを正しい組立て位置に導いている。取っ手は、RFIDタグをクックトップの表面に平行に保持し、動作中の信号強度を最大化している。本発明による取っ手には、取っ手と取っ手を支持するためのレシーバすなわち受け具との間に、解除可能なばねクリップ接続が含まれている。
【0019】
本発明によるレシーバすなわち受け具は取っ手を支えている。対向する一対のサポート間のウインドウによってRFIDタグアンテナに対する妨害が最小化され、それによりRFIDタグと読取り装置/書込み装置の間で送信される信号の強度を最強化している。本発明による好ましい実施形態では、受け具は、温度センサが設けられている孔又はスロットに埋込み材を注入するための注入ポートを備えている。好ましい代替実施形態では、組立ての間、孔又はスロットへの温度センサの挿入を補助するための硬質のロッド又は管が、受け具及び温度センサに接続されている。
【0020】
前述の目的及びその他の目的は、本発明を実例で示すことを意図したものであり、本発明を制限することを意味したものではない。以下の明細書及び明細書の一部を構成している添付の図面を考察することにより、本発明の多くの可能な実施形態をつくることができ、また、本発明の多くの可能な実施形態が容易に明らかになるであろう。本発明の様々な特徴及びサブコンビネーションは、他の特徴及びサブコンビネーションを参照することなく使用することができる。本発明の他の目的及び利点については、添付の図面に照らして行う、実例実施例、本発明による実施形態及び本発明の様々な特徴によって示す以下の説明から明らかになるであろう。
【0021】
以下の説明及び添付の図面は、最良モードの実例で示す。本発明者が本発明の原理の適用を意図した本発明による好ましい実施形態を示したものであり、詳細かつ明瞭に指し示されている。また、これらは、特許請求の範囲の各請求項に示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本明細書においては、必要により本発明による詳細な実施形態が開示されているが、開示されている実施形態は、様々な形態で具体化することができる本発明の例示的原理を示したものに過ぎないことを理解されたい。したがって、本明細書において開示されている特定の構造及び機能の詳細は、本発明を限定するものとしてではなく、特許請求の範囲の各請求項の単なる根拠として、また、事実上任意の適切な詳細構造への当分野の技術者による本発明の様々な使用を教示するための単なる代表的な基本として解釈されたい。
【0023】
本発明は、物体の温度読み値が熱源用のコントローラすなわち制御装置に送信される温度調節物体に関している。熱源用のコントローラは、調理過程を制御するために、温度読み値を利用して熱源から温度調節物体に印加される熱の量を制御する。本発明による好ましい実施形態では、識別情報或いは温度調節物体の加熱特性など、温度調節物体に関する他の情報が熱源のコントローラに送信されている。温度読み値と共にこれらの他の情報が熱源のコントローラによって利用され、調理過程の間、温度調節物体の温度が調節される。
【0024】
本明細書においては、本発明による好ましい実施形態は、ポット及び鍋などの温度調節調理用器具の形で説明されているが、本発明が、調理用器具及び配膳用器具を始めとするあらゆる温度調節物体に関していることは理解されよう。また、本発明は、温度調節物体の構成要素部品に関している。好ましい実施形態では、本発明による温度調節物体は、参照によりその開示が本明細書に組み込まれている米国特許第6,320,169号の中で考察されている装置と同様の無線周波識別(RFID)制御誘導加熱装置と共に使用することが意図されているが、従来のRFID制御調理装置(すなわちガスコンロ及び電気コンロ)によって加熱されることが意図されている温度調節物体が本発明の範囲内に包含されることは理解されよう。更に、本発明の範囲には、既に知られている調理装置或いは今後見出される調理装置に、物体加熱特性情報及び温度読み値情報を送信する非RFID代替手段を利用した温度調節物体が包含されている。
【0025】
図1から3を参照すると、RFID制御調理用器具の第1の実施形態がフライパンの形態で示されている。図1は、鍋本体20、一次取っ手40及び二次(補助)取っ手50を備えた調理用器具10の分解図を示したものである。一次取っ手40は、ブラケット/レシーバすなわち受け具30を介して鍋本体20に接続されている。ばねクリップ80は、クリップ端82と受け具30の孔32との係合を介して一次取っ手40を受け具30に解除可能に固着している。補助取っ手50は、ブラケット55を介して鍋本体20に接続されている。RFIDタグ60は、一対の導線62を介して温度センサ70に接続されている。RFIDタグ60は、取っ手40に設けられた空洞内に保管されている。導線62は、空洞の内部から受け具30の入り口34を通ってセンサ70まで延びている。センサ70は、通常、受け具30と鍋本体20の外側の間の、鍋本体20の側面に形成された切欠き22の内部に設けられている。
【0026】
鍋本体20は、当分野で良く知られている材料及び手段を使用して製造されている。鍋本体20の製造に広く使用されている材料の種類には、それらに限定されないが、鋳鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅覆ステンレス鋼等がある。好ましい実施形態では、鍋本体20は、誘導調理に使用するために作製されている。誘導加熱することができる鍋本体の製造には多くの材料を利用することができるが、ごく一般的には、複数の異なる材料の層を含む多層ボディを使用してつくられている。個々の層に使用される特定の材料、個々の層の厚さ及び層の総数は、鍋の大きさ、形状、所望外観及び所望加熱特性によって様々である。例示的実施形態では、鍋本体20は、鍋の内部調理表面を形成している磁性ステンレス鋼の第1の層、3003純アルミニウムの第2の内部層、1145アルミニウム合金の第3の内部層、1145アルミニウムの第4の内部層、及び鍋の外部表面を形成している磁性ステンレス鋼の第5の層を含む5層構造になっている。磁性ステンレス鋼の2つの表面層は、強度、耐久性、洗浄の容易性、長寿命及び魅力的な外観を鍋本体に提供している。磁性ステンレス鋼の外部表面層は、一般的には鍋本体のベースの中心にコンロクックトップから発生する熱を蓄積している(従来のコンロにおける伝導或いは誘導コンロにおける鋼の強磁性特性を利用した誘導のいずれかによって)。鍋のアルミニウムコアを形成している、アルミニウム及びアルミニウム合金の3つの層は、鋼の外部層から熱を速やかに吸収し、吸収した熱を伝導によって鍋本体の底及び側面から鋼の内部層全体に円滑かつ一様に分散している。
【0027】
図4から6は、図1から3に示すRFID制御調理用器具と共に使用するためのレシーバすなわち受け具30の詳細図を示したものである。受け具30は、取っ手40と係合するためのサポート部材すなわち支持部材36を備えている。ばねクリップ80は、支持部材36と摩擦係合し、取っ手40を受け具30に解除可能に固着している。受け具30の支持部材36は複数の機能を果たしており、そのうちの1つは、上で説明した方法で取っ手40を支えることである。支持部材36の他の機能は、タグ60とクックトップの表面の下方に設けられている読取り装置/書込み装置との間の送信信号の強度を大きくし、かつ/又は集中させることである。送信信号の強化及び/又は集中は、対向する支持部材36の下部内部エッジ間に形成されるウィンドウ37を使用することによって達成される。ウィンドウ37は、タグ60とクックトップの読取り装置/書込み装置の間に、通常妨害されることのない送信ゾーンを提供している。ウィンドウ37のサイズ及び形状は、鍋のタグ60のアンテナとクックトップに設けられている読取り装置/書込み装置のアンテナとの間の妨害を低減することによって送信信号を同調するのを助けるように、鍋のタグ60のアンテナの個々の構造に基づいて調節される。
【0028】
図2及び3は、鍋本体20に取り付けられて係合している受け具30の詳細図を示したもので、取っ手40は取り外されている。受け具30は、支持部材36から鍋本体20のベースまで下に向って延びている部材39を備えている。チャンネルすなわち通路38が部材39内に形成されており、受け具30の部材39と鍋本体20との間に形成された空洞に導線62及びセンサ70を配置することができる。部材39は、切欠き22及び切欠き22内に設けられたセンサ70を覆っている。切欠き22は、鍋本体20の側面の機械加工(EDM、CNC等)され、アルミニウムコアを露出させることにより、アルミニウムコアとセンサ70の接触を可能にしている。部材39の最も下の部分は、センサ70の底部を超えて延び、内部に向かってセンサ70を取り囲み、鍋本体20と受け具30の組立て済みコンビネーションに清潔な、概ね面一のベースを提供する。
【0029】
レシーバすなわち受け具30は、鋼、アルミニウム合金などの金属又は鍋本体20を支えるための取っ手40に適した他の任意の材料を使用して製造されている。本明細書において説明する、鍋本体20が誘導によって加熱される好ましい実施形態では、クックトップの磁界によって受け具30が加熱される可能性を少なくするために、受け具30は、非磁性ステンレス鋼などの非強磁性体を使用して製造されている。受け具30は、鍋本体20から突出しているロケータすなわち位置決め具(locator)(図示せず)に対応する凹所33を備えている。位置決め具と凹所33を組み合わせることにより、組立て中及び調理用器具10が寿命を全うするまでの間、切欠き22に対する受け具30の適切な整合が保証される。好ましい実施形態では、受け具30は、寿命を長くし、かつ、接続部の耐久性を向上させるために、鍋本体20に溶接又はろう付けされている。また、チャネル38には、埋込み材、例えばロックタイト(登録商標)5406などの高温シリコンが充填され、鍋本体20の露出したアルミニウムコアを保護し、かつ、センサ70を切欠き22内に固着している。受け具30には、受け具の後部表面から突出した多数のこぶ(溶接/ろう付けラグ)35が含まれており、自動ろう付けプロセスを補助している。こぶ35は、受け具が切欠き22に対して正しく位置付けされると、鍋本体20の外部表面と接触するようになっている。こぶ35は、融点が受け具30の製造に使用される材料の融点より低い材料で形成されているため、受け具30のこぶ35とは反対側の表面を加熱することにより、受け具30を融解させることなくこぶ35を融解させることができ、それによりろう付けを実施することができる。
【0030】
タグ60は、取っ手40の端部42の内部に設けられている。クックトップ内に設けられている読取り装置/書込み装置から動作範囲内にタグ60を位置決めするために、受け具30は、取っ手端42を鍋本体20のベースに比較的近接して位置付けしている。ほとんどの調理用器具について言えることであるが、取っ手端42のこのような配置は、広く利用されている調理用器具の配置よりはるかに低くなっている。多くの実施例では、取っ手を調理用器具の低い位置に配置することによって調理用器具の取扱いが困難になり、さらには、とりわけバーナの表面が極端に熱くなる従来のコンロトップ上で調理用器具を使用する場合、安全性が損なわれることになる。安全性を提供し、かつ、鍋10の取扱いを容易にするために、取っ手40は、端部42から端部44にかけて上に向かって湾曲している。このように取っ手40が湾曲しているため、料理人は、クックトップの表面に極端に近づくことなく端部44で取っ手40を握ることができる。
【0031】
図7及び8は、鍋10から取り外した取っ手40を示したものである。取っ手40の端部42は、取っ手端42が受け具30と係合できるように浮彫りに切り落とされた部分46を備えている。また、浮彫り切落しにより、取っ手端42と受け具30の間の外部表面接続が同じ高さになり、本職に相応しい清潔な外観を鍋10に付与している。切落し部分46は、さらに、浮彫りに切り落とされた追加の段階的傾斜部を備えており、また、ばねクリップ80を受け入れるための溝を取っ手40の両側に備えている。溝48は、その一部が取っ手40の頂部に切り落とされ、取っ手40の両側を底部まで延びている。傾斜部49は、取っ手40の両側に切り落とされ、溝48を起点として取っ手40の端部まで、上に向かって傾斜が付けられている。ばねクリップ80は、個々のばねクリップの端部84が溝48に嵌合するよう、取っ手40の両側の溝48及び傾斜部49の中に配置されている。個々のばねクリップの本体は、概ね傾斜部49に沿って延び、また、個々のばねクリップのもう一方の端部82は、取っ手40の鍋側の端部で取っ手40から下に向かって湾曲している。上で考察したように、ばねクリップ80は、クリップ端82と受け具30中の孔32との係合を介して、一次取っ手40を受け具30に解除可能に固着している。傾斜部49は、受け具30への取っ手40の組立て及び分解時におけるばねクリップ80の端部82の横移動のための空間を提供している。取っ手40は、受け具30の孔32を通してばねクリップ80の端部82を押し下げ、同時に、取っ手40を受け具30から引き抜くことによって受け具30から取り外すことができる。
【0032】
取っ手40の端部42は、RFIDタグ60を収納するための内部空洞41を備えている。空洞41の両側には、段階なガイドラインすなわち案内傾斜部43が設けられている。案内傾斜部43は、取っ手40の鍋側の端部から空洞41の内部に向かって下に向かって傾斜している。傾斜部43は、空洞41に向かって延びているチャネルすなわち通路45に向かっている。組立て時に、取っ手40の空洞41にRFIDタグ60が挿入され、空洞41の両側に設けられた傾斜部43がタグ60をチャネル45中に案内する。完全に組み立てられると、チャネル45によってRFIDタグ60がクックトップの表面にほぼ平行に保持され、RFIDタグ60のアンテナと読取り装置/書込み装置のアンテナとの間の最適信号伝送が行われる。空洞41内のいかなる凝結すなわち水分もタグ60に害を及ぼす可能性があるため、空洞41内に溜まるすべての水分を排水することができるよう、取っ手40の鍋側の端部には切欠き47が設けられている。
【0033】
取っ手40は、任意の適切な材料を使用してつくることができるが、従来技術によるポット及び鍋の取っ手に広く使用されているフェノール樹脂で成形されることが好ましい。成形した取っ手40にフェノール樹脂を使用することにより、切落し浮彫り46、溝48、傾斜部49、空洞41、切欠き47及び取っ手40の他のすべての構成要素を含んだ単一取っ手の迅速かつ容易な製造が提供される。成形又は鋳造に不適切な代替材料を使用する場合、切落し浮彫り46、溝48、傾斜部49、空洞41及び切欠き47などの構成要素を提供するべく取っ手40を機械加工することが必要となるはずである。また、フェノール材料を使用することにより、RFIDタグ60とコンロトップ内の読取り装置/書込み装置との間の送信に対する妨害が最小化される。
【0034】
図3に示すように、センサ70は、鍋本体20の壁の内部に部分的に埋め込まれている。切欠き22は、鍋本体20の壁にその壁の厚さの半分より若干深く延びており、センサ70と鍋本体20のアルミニウムコアの間の十分な接触を可能にし、かつ、鍋構造の完全性、とりわけ鍋本体20の内部調理表面の完全性を維持している。鍋本体20にセンサ70の一部を埋め込むことにより、基本的に、切欠き22の内面23に1つ、切欠き22の側面24及び26にそれぞれ1つ、合計3つの接触点がセンサ70と鍋本体20との間に提供される。このような構造により、センサ70と鍋本体20との間の、従来技術によるデバイスに使用されている表面接触の場合に可能である以上に調理用器具の加熱時及び冷却時における熱膨張及び収縮の影響を受け難い、より安定した接触が維持される。更に、温度センサ70を鍋本体20に部分的に埋め込むことにより、調理用器具10内で調理中の食品により近接してセンサ70は配置され、従来技術による表面実装センサの場合に勝る調理を目的とした正確な温度が提供される。
【0035】
好ましい実施形態では、温度センサ70は、温度の変化に伴って電気抵抗が変化する抵抗温度検出器(RTD)である。導線62によってセンサ70に接続されているRFIDタグ60によってRTDセンサ70の電気抵抗が測定される。次に、RFIDタグ60によって、コンロ内に設けられている読取り装置/書込み装置に温度情報が送信され、送信された温度情報に基づいて、コンロ内のコントローラによってコンロが供給する出力レベルが調節され、それにより所望の調理温度が維持される。タグ60からコンロに送信される温度情報は、抵抗測定値であるか或いは抵抗測定値に基づく実際の温度読み値である。好ましい実施形態では、タグ60は、導線62を介してセンサ70に接続されたマイクロプロセッサを備えている。このマイクロプロセッサは、抵抗測定値などのセンサ70に関する指定情報を温度テーブルに保管し、センサ70から得た抵抗測定値を指定情報と共に使用して温度を計算する。次に、タグ60によってコンロトップ内の読取り装置/書込み装置に温度が送信され、コンロトップコントローラの制御アルゴリズムによって使用される。代替実施形態では、タグ60によって抵抗測定値がコンロトップコントローラに直接送信され、コントローラによって温度が計算されている。この実施形態の場合、コンロトップコントローラは、温度を計算するためのセンサ70に関する指定情報を入手しなければならない。このような情報をタグ60に保管し、かつ、抵抗測定値と共にコントローラに送信することができる。
【0036】
図1から6に関連して説明した温度センサ70の側部の切欠き位置の選定により、調理用器具10の構築に使用される材料に著しい多様性が提供される。詳細には、センサ70の直径に関係なく、鍋本体20の壁全体の厚さを変更することができる。図3に示すように、センサ70の直径を鍋本体20の壁全体の厚さより大きくし、かつ、センサ70の一部を鍋本体20の外部表面から突出させることができる。鍋本体の壁を比較的薄くすることが望ましい状況では、このような構造が有利である。しかしながら、鍋本体20の側部への温度センサの位置選定によっては、調理器具を温度調節するための最適温度読み値は提供されない。通常、最適温度読み値は、食品が一般的に配置され、かつ、最も高い温度読み値が見出される鍋本体の基底すなわちベース(以下ベースと呼ぶ)の中心部分に見出される。センサ70を側部の切欠き位置に配置する場合、鍋本体20のベースの中心部分の温度は、鍋本体20の材料の伝導率を使用して予測される。鍋本体のベースの正確な中心温度(予測値ではなく)の入手が望ましい場合は、鍋本体の中心に温度センサを配置しなければならない。以下で考察する図9から23は、加熱可能調理用器具及び関連する構成要素のいくつかの実施形態を示したもので、加熱可能調理用器具のベースの中心に温度センサが配置されている。第1の実施形態では、加熱可能調理用器具の側面から加熱可能調理用器具のベースの中心に向かって延びているトンネルすなわち孔に温度センサが配置されている。好ましい実施形態では、加熱可能調理用器具が製造された後に、加熱可能調理用器具に孔が穿孔され、或いは機械加工されている。第2の実施形態では、加熱可能調理用器具の底と加熱可能調理用器具の底に接続されたスラブの間に形成された孔に温度センサが配置されている。
【0037】
図9から11は、温度センサを鍋に基底すなわちベースの中心に配置するためのトンネルすなわち孔(110)又はスラブ底(210)のいずれかを利用した3種類の鍋110、210の分解図を示したものである。孔付き鍋の実施形態110及びスラブ底の鍋の実施形態210のいずれの実施形態も、鍋110、210のベースの中心に温度センサを配置することができるが、これらの実施形態は、それぞれいくつかの独自の利点を提供している。孔付き鍋110は、単一構造の鍋本体120をもたらし、スラブ底鍋210の場合とは異なり、一般的に調理中の食品の比較的近くに温度センサを配置している。しかしながら、通常、鍋本体120の壁の厚さは、鍋本体220の壁の厚さ及び側部の切欠き実施形態10(上で考察済み)の鍋本体20の厚さより分厚いため、温度センサ全体を鍋本体120に埋め込むことができるようになっている。本発明の様々な実施形態のその他の利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0038】
図9は、鍋本体120、220を備えた、18.92×10−4(2クォート)のソースパンすなわちポットの形態の調理用器具110、210の分解図を示したものである。ソースパン110、210は、さらに、上で考察した取っ手40と同じ構造の取っ手40を備えている。取っ手40は、ブラケット/レシーバすなわち受け具130、230を介して鍋本体120、220に接続されている。ばねクリップ80(上で考察したばねクリップ80と同じ)は、クリップ端82とレシーバすなわち受け具130、230の孔132、232との係合を介して取っ手40を受け具130、230に解除可能に固着している。RFIDタグ60(上で考察したRFIDタグ60と同じ)は、一対の導線62(上で考察した導線62と同じであるが、鍋のベースの中心までさらに長く延びている)を介して温度センサ70(上で考察した温度センサ70と同じ)に接続されている。RFIDタグ60は、取っ手40に設けられた空洞内に保管されている。受け具130、230と取っ手40との間に高温シリコン製のガスケット90が設けられており、鍋の側壁の放射熱からタグ60を熱遮蔽し、取っ手40の空洞内の温度をタグ60の所望最大動作温度(通常、100℃)未満に維持する上で補助している。複数の導線62は、空洞の内部から、シリコンガスケット90の入り口94、受け具130、230の入り口134、234及び受け具130、230と鍋本体120、220の外側の間を通ってセンサ70まで延びている。センサ70は、通常、鍋本体120、220のベースの中心に設けられている。
【0039】
図10は、鍋本体120、220を備えた、上で考察した鍋10と同様のフライパンの形態の調理用器具110、210の分解図を示したものである。鍋110、210は、いずれも上で考察した一次取っ手40及び補助取っ手50の構造と同じ構造の一次取っ手40及び二次(補助)取っ手50を備えている。一次取っ手40は、ブラケット/受け具130、230を介して鍋本体120、220に接続されている。図10に示すレシーバすなわち受け具130、230の横方向部材139、239は、図10に示すより浅いフライパンに対処するように、図9及び11に示すより深い鍋の同じ部材より長さが短くなっている。ばねクリップ80(上で考察したばねクリップ80と同じ)は、クリップ端82と受け具130、230の孔132、232との係合を介して一次取っ手40を受け具130、230に解除可能に固着している。補助取っ手50は、ブラケット55及びねじ57を介して鍋本体120、220に接続されている。RFIDタグ60(上で考察したRFIDタグ60と同じ)は、一対の導線62(上で考察した導線62と同じであるが、鍋ベースの中心までさらに長く伸びている)を介して温度センサ70(上で考察した温度センサ70と同じ)に接続されている。RFIDタグ60は、取っ手40に設けられた空洞内に保管されている。受け具130、230と取っ手40との間に高温シリコン製のガスケット90が設けられており、タグ60を熱遮蔽し、かつ、取っ手40の空洞内の温度をタグ60の所望最大動作温度(通常、100℃)未満に維持する上で補助している。複数の導線62は、空洞の内部から、シリコンガスケット90の入り口94、受け具130、230との入り口134、234及び受け具130、230と鍋本体120、220の外側との間を通ってセンサ70まで延びている。センサ70は、通常、鍋本体120、220のベースの中心に設けられる。
【0040】
図11は、鍋本体120、220を備えた、37.84×10−4(4クォート)のソースパン/ポットの形態の調理用器具110、210の分解図を示したものである。鍋110、210は、一次取っ手140及び二次(補助)取っ手150を備えている。一次取っ手140は、ブラケット/受け具130、230を介して鍋本体120、220に接続されている。ばねクリップ80(上で考察したばねクリップ80と同じ)は、クリップ端82と受け具130、230の孔132、232との係合を介して一次取っ手140を受け具130、230に解除可能に固着している。補助取っ手150は、ブラケット155及びばねクリップ80を介して鍋本体120、220に接続されている。RFIDタグ60(上で考察したRFIDタグ60と同じ)は、一対の導線62(上で考察した導線62と同じであるが、鍋ベースの中心までさらに長く延びている)を介して温度センサ70(上で考察した温度センサ70と同じ)に接続されている。RFIDタグ60は、取っ手140に設けられた空洞内に保管されている。受け具130、230と取っ手140の間に高温シリコン製のガスケット90が設けられており、タグ60を熱遮蔽し、かつ、取って140の空洞内の温度をタグ60の所望最大動作温度(通常、100℃)未満に維持する上で補助している。また、ブラケット155と二次取っ手150の間にもう1つのガスケット90を設け、取っ手150の動作温度をより低い温度に維持することもできる。導線62は、取っ手140の空洞の内部から、シリコンガスケット90の入り口94、受け具130、230の入り口134、234及び受け具130、230と鍋本体120、220の外側との間を通ってセンサ70まで延びている。センサ70は、通常、鍋本体120、220のベースの中心に設けられている。
【0041】
図11に示す一次取っ手140の構造は、上で考察した取っ手40の構造と類似しているが、主な相違は、それぞれ取っ手40及び140の握り端44及び144の構造が異なっていることである。取っ手握り端144は、取っ手140のポット側の端部142からほぼ上に向かって延びる後、ポット本体120、220から外側に遠ざかる方向に延びている。取っ手140の握り端144は、取っ手140が使用されるより深いポットに対応するために、一般的に取っ手40の握り端44より短く、かつ、高くなっている。通常、当分野では、より深い本体により良好な美観及び取扱い性を提供するために、より短い取っ手がより深いポット本体の頂部に向かって習慣的に配置されている。取っ手140のポット側の端部142の構造は、取っ手40の鍋側の端部42の構造と同じであり、浮彫り切落し区間、ばね保持溝及び傾斜部、内部空洞及び排水切欠きを備えている(ただし、これらに限定されない)。補助取っ手150にはRFIDタグを収納するための内部空洞は不要であるが、製造を容易にするために、補助取っ手150には取っ手140と同じ取っ手が使用されている。また、ブラケット155も、受け具130、230と同じものを使用することができる。図11に示す好ましい実施形態では、ブラケット155は、不要な横方向部材139、239が除去されている点を除き、受け具130、230と同じである。
【0042】
図12を参照すると、図9に示す鍋と同様の鍋110の分解底面斜視図が示されており、トンネルすなわち孔122が鍋本体120のベースの中心まで延びている。図9に関連して上で考察したように、鍋110は、ブラケット/受け具130を介して鍋本体120に接続される取っ手40を備えている。ばねクリップ80は、取っ手40を受け具130に解除可能に固着している。RFIDタグ60は、複数の導線62を介して温度センサ70に接続され、取っ手40に設けられた空洞内に保管されている。ガスケット90は、受け具130と取っ手40の間に設けられている。好ましい実施形態では、鍋本体120が製造された後に、鍋本体120のベースに孔122が穿孔されている。この方法によれば、広範囲に渡る様々な既存の鍋本体を、これら既存の鍋本体のための専用製造プロセスを必要とすることなく利用することができる。
【0043】
図13及び14は、本明細書において考察した任意の孔付き鍋(110)又はスラブ底鍋(220)と共に使用することができるレシーバすなわち受け具130、230の実施形態の詳細図を示したものである。受け具130、230は、上で考察した受け具30と同じ方法或いは同様の方法で製造され、操作され、かつ、鍋本体120、220に組み付けられている。以下、受け具130、230について説明するが、同じ番号(すなわち30、130、230)の構成要素は、受け具30で使用されている構成要素と類似の構成要素を表している。受け具130、230は、取っ手を係合する、対向するサポート部材支持部材136、236、及び対向する支持部材136と236との間に設けられたウィンドウ137、237を備えている。また、受け具130、230は、支持部材136、236から鍋本体120、220のベースまで下に向かって延びている横方向部材139、239を備えている。部材139、239にはチャネルすなわち通路138、238が形成されており、受け具130、230の部材139、239と鍋本体120、220との間に形成される空洞を通して導線62を配線することができる。横方向部材139、239は、鍋本体或いは底部スラブの切欠きと係合する端部タブ133、233を備えており、清潔な、鍋本体120、220と受け具130、230の組立て済みコンビネーションのベースとほぼ同じ高さを提供している。鍋本体に設けられている切欠きへの挿入にエンドタブ133、233を備えることにより、端部タブ133、233と鍋本体の切欠きのコンビネーションによって適切な組立てが保証されるため、受け具30に関連して上で考察したロケータ凹所33及び関連するロケータの必要性が除去される。受け具30の場合と同様、受け具130、230も、自動溶接/ろう付け組立てプロセスに使用するためのこぶ135、235を備えている。受け具130、230は、さらに、横方向部材139、239の底部の近傍に、ニードル又はインゼクタを挿入するための注入ポート131、231を備えている。受け具30には存在していないが、注入ポート131、231は、孔又は鍋本体と鍋本体に取り付けられたスラブの間に注入すべき、鍋及び/又はスラブの内部層を保護し、かつ、温度センサを所定の位置に固着するためのロックタイト(登録商標)5406などのシリコン埋込み材の注入を可能にしている。
【0044】
図13及び14に示す端部タブ133、233は、端部タブ133、233の側面を越えて延びている、概ね中央のタブを備えている(図11からわかるように)が、端部タブ133、233は、鍋本体の対応する切欠きと整合する任意の数の任意の形状及びサイズにすることができることは理解されよう。例えば、図15及び16は、鍋本体120の切欠き124に挿入するための受け具130の実施形態を示したもので、受け具130の端部タブ133は概ね平らである。図15に示すように、切欠き124は、トンネルすなわち孔122の端部で鍋本体120の周囲表面に切り落とされ、機械加工され、或いは穿孔されている。図15に示す孔122は概ね円筒状であるが、温度センサの形状に応じてトンネルすなわち孔の形状を変更することができることは理解されよう。受け具130の端部タブ133は、鍋本体120の切欠き124と整合し、鍋本体120と受け具130との間の概ね同じ高さの接続を形成している。受け具130の注入ポート131により、鍋本体120への受け具130の組み付けが完了すると、孔122に埋込み材を注入するためのニードルを挿入することができる。
【0045】
図17は、完全に組み立てられた、図12に示す鍋110の部分断面図を示したものである。図17に示すように、孔122の直径は、温度センサ70の直径より若干大きく、また、導線62全体の直径は、温度センサ70の直径より小さいため、受け具130を鍋本体120に組み付け、温度センサ70及び関連する導線62を孔122内に配置する際に、ニードルを孔122に挿入するための十分なスペースが提供される。ニードルは、受け具130の横方向部材139のベースに設けられている注入ポート131を通して孔122内に挿入される。埋込み材が孔122に充填され、温度センサ70及び導線62が埋込み材で取り囲まれると、ニードルが除去され、レーザ、ティグ又は類似の溶接プロセスを使用して注入ポート131が密閉される。
【0046】
図17に示す鍋本体120は、上で考察したように5層の材料で構築されているが、鍋本体120の層の厚さは、鍋本体20に関連して上で考察した厚さより分厚くすることができ、それにより温度センサ70を鍋本体120に完全に埋め込むことができる。アルミニウムコア(鍋本体の3つの内部層)内に孔122が設けられているため、温度センサ70は、アルミニウムコアと接触している。また、各々の層の両側にステンレス鋼の層(2つの表面層)が積層され、鍋本体120の外部から内部へ延びている孔122によって生じる可能性のある露出による腐蝕からより良好に保護している。
【0047】
図18を参照すると、図9に示す鍋と同様の鍋210の分解底面斜視図が示されており、鍋本体220のベースの中心から鍋本体220のベースの周囲までスロット222がフライス削りされている。鍋210は、鍋本体220の底に取り付けられたステンレス鋼製の薄いスラブ226を備えている(代替実施形態では、アルミニウム層とステンレス鋼層のコンビネーション、或いは他の適切な材料が利用されている)。スラブ226は、1170融解はんだなどの適切なはんだを使用して鍋本体220の底にろう付けされている。図18には示されていないが、鍋210は、ブラケット/受け具230を介して鍋本体220に接続された取っ手40を備えている。ばねクリップ80は、取っ手40を受け具230に解除可能に固着している。RFIDタグ60は、導線62を介して温度センサ70に接続されており、取っ手40に設けたれた空洞内に保管されている。受け具230と取っ手40との間にガスケット90が設けられている。好ましい実施形態では、スロット222は、鍋本体220が製造された後に、鍋本体220のベースに機械加工されている。この方法によれば、広範囲に渡る様々な既存の鍋本体を、これら既存の鍋本体のための専用製造プロセスを必要とすることなく利用することができる。好ましい他の実施形態では、鍋本体220の構造は、上で考察したように5層構造である。この実施形態では、鍋本体220にスロット222がフライス削りされているため、鍋本体220のアルミニウムコアに接触して温度コア70が配置される。
【0048】
図19から23は、鍋本体220の底にスラブが取り付けられた鍋210の第2の実施形態のいくつかの変形形態を示したもので、鍋本体220へのフライス削りではなく、スラブ226にスロット222が形成されている。スロット222をスラブ226に設けることにより、鍋本体220の壁をより薄くすることができ、それにより鍋本体220の製造後における鍋本体220に対するあらゆる機械加工操作の必要性が除去される(ただし、鍋本体220へのスラブ226のろう付けを除く)。スロットがスラブに形成されているスラブベース鍋の好ましい実施形態では、スラブ226は、アルミニウム層(又はアルミニウム合金層)及び鋼層で構築されている(伝導特性、誘電特性及び所望する他の様々な特性に応じて、適切な他の任意の材料をスラブ226に利用することができる)。スロット222は、アルミニウム層中に形成され、温度センサ70を熱伝導アルミニウムと接触して配置し、それによりより正確な温度読み値を提供する。鋼層は、スラブ226の鍋本体220と接触している面とは反対側の面に配置され、耐久性、魅力的な鍋210の仕上げを提供している。また、誘導コンロトップ上で鍋210を使用する場合、誘導によって鋼層を加熱することができる。
【0049】
図19は、完全に組み立てられた、概ね長方形のスロットがスラブに形成されたスラブ底鍋210の部分断面図を示したものである。図19に示すように、スラブ226にフライス削りされたスロット222の高さ及び幅は、温度センサ70の高さ及び幅より若干大きく、また、導線62全体の高さ及び幅は、温度センサ70の高さ及び幅より小さいため、受け具230を鍋本体220に組み付け、温度センサ70及び関連する導線62をスロット222内に配置する際に、ニードル300をスロット222に挿入するための十分なスペースが提供される。ニードル300は、受け具230の横方向部材239の底部に設けられている注入ポート231を通してスロット222内に挿入される。埋込み材がスロット222に充填され、温度センサ70及び導線62が埋込み材で取り囲まれると、ニードル300が除去され、レーザ、ティグ又は類似の溶接プロセスを使用した注入ポート132が密閉される。
【0050】
受け具230の横方向部材239の底部には、スラブ226の孔を構成するスロット222と嵌合するタブ233が設けられている。図19に示すように、横方向部材239の底部は、孔222の下方に存在しているスラブ226の厚さをわずかに超えない範囲でタブ233の下方に延び、スラブ226と受け具230の間に概ね同じ高さの底部接続を提供している。受け具230の横方向部材239の底部とスラブ226との間にはギャップ225が設けられており、鍋210の加熱時及び冷却時におけるスラブ226及び受け具230の熱膨張及び収縮を許容している。
【0051】
図20は、完全に組み立てられた、スラブに形成された概ね長方形のスロット及び受け具230に取り付けられた温度センサロッドを備えたスラブ底鍋210の部分断面図を示したものである。ロッド310は、センサ70を受け具230に接続している、組立て時における鍋本体220へのセンサ70の挿入を容易にするための硬質の部材である。図20に示すように、スラブ226にフライス削りされたスロット222の高さ及び幅は、温度センサ70の高さ及び幅より若干大きく、また、導線62及びロット310の全体の高さ及び幅は、スロット222の高さ及び幅より小さいため、導線62、ロッド310及びセンサ70のすべてスロット222に嵌合させることができる。スロット222内に延びているスラブ226の底部に微小孔228が設けられている。この微小孔228は、温度センサ70及び導線62を取り囲む埋込み材のスロット222への注入を可能にしている。埋込み材がスロット222に注入されると、レーザ、ティグ又は類似の溶接プロセスを使用して微小孔228が密閉される。
【0052】
図21は、図20に示すレシーバすなわち受け口230の底面斜視図を示したものである。受け具230の横方向部材239の底部には、スラブ226のスロット222と嵌合するタグ233が設けられている。図21(及び図20)に示すように、横方向部材239の底部は、孔222の下方に存在しているスラブ226の厚さをわずかに超えない範囲でタブ233の下方に延び、スラブ226と受け具230の間に概ね同じ高さの底部接続を提供している。受け具230の横方向部材239の底部とスラブ226との間にはギャップ225が設けられており、鍋210の加熱時及び冷却時におけるスラブ226及び受け具230の熱膨張及び収縮を許容している。ロッド310は、タブ233に設けられた孔315の中に配置されている。タブ233には、受け具230の導線チャネルすなわち導線通路238からスロット222内へ導線62を布線するための導線通路238a及び238bが設けられている。
【0053】
図22は、完全に組み立てられた、スラブに形成された概ね円筒状のスロット及び受け具230に取り付けられた挿入可能管を備えたスラブ底鍋210の部分断面図を示したものである。管320は、受け具230に接続された、組立て時における鍋本体220へのセンサ70の挿入を容易にするための硬質の部材で、その中にセンサ70が挿入されている。管320は、センサ70及び導線62を取り囲んでおり、センサ70の端部は、管320を越えて延びている。図22に示すように、スラブ226に形成されたスロット222の直径は、管320の直径より若干大きくなっており、管320の中に設けられている導線62及びセンサ70をすべてスロット222に嵌合させることができる。管320の端部の直前をスロット222内に延びている孔228がスラブ226の底部に設けられており、温度センサ70及び管320を取り囲む埋込み材のスロット222への注入を可能にしている。埋込み材がスロット222に注入されると、レーザ、ティグ又は類似の溶接プロセスを使用して孔228が密閉される。受け具230は、さらに、管320に埋込み材を注入するための注入ポート231を備えている。導線62全体の直径は、管320の直径より小さくなっており、受け具230を鍋本体220に組み付け、管320、温度センサ70及び関連する導線62をスロット222内に配置する際に、ニードル300を管320に挿入するための十分なスペースを提供している。ニードル300は、受け具230の横方向部材239の底部に設けられている注入ポート231を通して管320に挿入される。埋込み材が管320に充填され、導線62が埋込み材で取り囲まれると、ニードル300が除去され、レーザ、ティグ又は類似の溶接プロセスを使用して注入ポート231が密閉される。
【0054】
図23は、スラブ226に形成されたトンネルすなわち孔を備えたスラブ底鍋210の代替実施形態を示したもので、スラブ226のスロット222に打抜きステンレス鋼のトンネルすなわち孔227が配置されている。孔227は、スラブ226の外部周囲から突出し、受け具230の導線通路238と係合している。
【0055】
上で考察した温度制御可能物体(10、110又は210のいずれか)が製造されると、組立て済みRFIDタグが初期化され、制御アルゴリズム及びデータがタグにダウンロードされる。制御アルゴリズム及びデータには、温度制御可能物体の種別すなわちソースパン、フライパン、配膳用盆、加温皿等の情報を持たせることができる。更に、理想的な調理温度を決定するために使用される温度センサの位置に関する情報(つまり、側部切欠き、底の中心等の情報)を持たせることができる。更に、温度制御可能物体の材料の伝導率、厚さ、層数等の加熱特性をタグにダウンロードすることも可能であり、或いは別法としてこれらの特性を使用して温度制御可能物体の種別を決定することも可能である。
【0056】
上で考察した加熱可能物体の任意の実施形態の構成要素を、本明細書において考察した加熱可能物体の他の任意の実施形態の類似構成要素と交換することができることは理解されよう。例えば、鍋210に関連して考察した挿入ロッド或いは挿入可能管受け具を鍋110に利用することができる。同様に、取っ手40、140、50及び150、シリコンガスケット90及び取っ手取付け機器は、任意の鍋10、110及び210に相互交換可能に利用することができる。また、温度センサを製造し、かつ、位置選定する方法(つまり側部の切欠き10、孔−底110或いは底−スラブ210)は、本明細書において考察し、かつ、示した任意の様々なポット及び鍋に相互交換可能に利用することができ、また、既に知られている、或いは今後見出される任意の調理用器具、配膳用器具或いは他の加熱可能物体にも相互交換可能に利用することができる。
【0057】
以上の説明の中では、簡潔性、明瞭性及び理解を目的として特定の用語が使用されているが、それらの用語は説明を目的として使用されたものであり、また、広義に解釈されることを意図しているため、それらの用語には、従来技術の要件を超えた不必要な制限は包含されていない。また、本発明についての記述及び実例による説明は単なる実施例に過ぎず、図に示し、或いは説明した通りの詳細に本発明の範囲を限定するものではない。
【0058】
以上、本発明について、例示的実施形態を参照して詳細に説明し、また、本発明の実施を意図した最良のモードについて示し、かつ、説明したが、本発明の使用に際しては、特定の変更、改変或いは変形形態を加えることが可能であり、また、本発明品の製造に際しては、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、とりわけ本明細書において示した構造以外の構造の当分野の技術者による達成が可能であることを理解されたい。また、こもような変更、改変或いは変形形態が本発明の総合的な範囲に帰すべきものと見なされることを理解されたい。したがって、本発明及び本明細書において開示しかつ特許請求する基本原理の真の精神及び範囲に属する任意かつすべての変更、改変、変形形態又は等価物を包含することが意図されている。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の各請求項によってのみ制限されるものであり、以上の説明の中に含まれている内容及び添付の図面に示されている内容は、すべて実例による説明として解釈すべきであり、本発明を制限する意味で捕えてはならない。
【0059】
以上、本発明の特徴、発見物及び原理、本発明をつくり、かつ、使用する方法、構築物の特性、及び得られた利点、新しくかつ有用な結果について説明したが、新しく、かつ、有用な構造、デバイス、構成要素、配列、部品及び組合せについては、特許請求の範囲の各請求項に示されている。
【0060】
また、特許請求の範囲の各請求項には、本明細書において説明した本発明のすべての包括的特徴及び特定の特徴、及び言語の問題として記述と記述の間に込められていると言っても過言ではない本発明の範囲のすべての記述を包含することが意図されていることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】鍋の側面の切欠きに温度センサが配置された、本発明によるRFID制御フライパンの分解斜視図である。
【図2】図1に示すRFID制御フライパンの部分平面図である。
【図3】切欠きが施された側面及び対応する温度センサを詳細に示す、図2の線A−Aに沿って取った部分断面図である。
【図4】図1に示すフライパンに取っ手を接続するための受け具の側面図である。
【図5】図4に示す受け具の背面図である。
【図6】図4に示す受け具の正面斜視図である。
【図7】図1に示すフライパンの取っ手の斜視図である。
【図8】図7に示す取っ手の端面図である。
【図9】鍋のベースの中心に温度センサが配置された、本発明によるRFID制御ソースパンの分解斜視図である。
【図10】鍋のベースの中心に温度センサが配置された、本発明によるRFID制御フライパンの分解斜視図である。
【図11】ポットのベースの中心に温度センサが配置された、本発明によるRFID制御ポットの分解斜視図である。
【図12】鍋のベース中に延びるトンネルを使用して鍋のベースの中心に温度センサが配置された、本発明によるRFID制御フライパンの分解斜視図である。
【図13】図9から11に示す任意の鍋にRFIDハウジング取っ手を接続するための受け具の実施形態の側面図である。
【図14】図13に示す受け具の背面図である。
【図15】受け具の端部タブを受け入れるための切欠きを示す、図12に示す鍋の詳細斜視図である。
【図16】切欠きを使用して組み立てられた受け具を示す、図15に示す鍋の詳細斜視図である。
【図17】完全に組み立てられた、トンネル、受け具及び対応する温度センサを詳細に示す、図12に示す鍋の部分断面図である。
【図18】鍋のベースにスロットを有するスラブ底鍋の第1の実施形態の分解斜視図である。
【図19】受け具の第1の実施形態を示す、スラブにスロットを有するスラブ底鍋の第2の実施形態の部分断面図である。
【図20】受け具の代替実施形態を示す、スラブにスロットを有するスラブ底鍋の第2の実施形態の部分断面図である。
【図21】図20に示す受け具の部分斜視図である。
【図22】受け具の他の代替実施形態を示す、スラブにスロットを有するスラブ底鍋の第2の実施形態の部分断面図である。
【図23】受け具及び打抜きトンネルスロットの他の代替実施形態を示す、スラブにスロットを有するスラブ底鍋の第2の実施形態の部分斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
10、110、210 調理用器具(鍋)
20、120、220 鍋本体
22、47、124 切欠き
23 切欠きの内面
24、26 切欠きの側面
30、130、230 ブラケット/受け具
32、132、228、232、315 孔
33 凹所
34、94、134、234 入り口
35、135、235 こぶ
36、136、236 サポート部材
37、137、237 ウィンドウ
38、45、138、238、238a、238b 通路(導線通路)
39 サポート部材から鍋本体のベースまで下に向かって延びている部材
40、140 取っ手
41 取っ手端部の内部空洞
42、44、144 取っ手の端部(握り端)
43 ガイドランプ
46 切落し区間(浮彫り)
48 溝
49 傾斜部
50、150 (補助)取っ手
55、155 ブラケット
57 ねじ
60 RFIDタグ
62、72 導線
70 温度センサ(RTDセンサ)
80 ばねクリップ
82、84 ばねクリップの端部
90 ガスケット
122、227 トンネルすなわち孔
131、231 注入ポート
133、233 端部タブ
139、239 横方向部材
142 取っ手のポット側の端部
222 スロット(トンネル)
225 ギャップ
226 スラブ
300 ニードル
310 ロッド
320 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波識別で制御される調理用器具、配膳用器具を含む加熱可能な物体であって、
前記物体の加熱可能部分に少なくとも部分的に埋め込まれた温度センサと、
前記温度センサに関連付けられ、前記温度センサによって得られた温度情報を加熱デバイスと通信するように動作可能である無線周波識別タグと、
前記無線周波識別タグを配置する空洞を備えた取っ手と、
前記取っ手を物体に接続させると共に前記無線周波識別タグから前記温度センサへの導線を物体の側面に沿って案内するための通路を備えた受け具とを有することを特徴とする
無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項2】
受け具が、複数のサポート部材と、取っ手と前記サポート部材間のウィンドウとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項3】
取っ手の空洞が、無線周波識別タグを正しい組立て位置に導くための案内傾斜部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項4】
取っ手と受け具とを取外し可能に取り付けるためのばねクリップを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項5】
温度センサの少なくとも一部が物体の加熱可能部分に形成された切欠きに埋め込まれていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項6】
温度センサの少なくとも一部が物体の加熱可能部分に形成された孔内に埋め込まれていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項7】
受け具には、物体の加熱可能部分に形成された孔の端部に設けられた切欠きと係合するタブを備えていることを特徴とする請求項6に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項8】
受け具には、埋込み材充填用のニードルを孔内に挿入するための注入ポートを備えていることを特徴とする請求項6又は7に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項9】
物体の加熱可能部分が、物体のベース及び該ベースの表面に取り付けられたスラブを含み、温度センサが、前記ベースと前記スラブとの間に少なくとも部分的に埋め込まれて設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項10】
温度センサが、物体のベースに形成されたスロットに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項11】
温度センサが、スラブに形成されたスロットに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項12】
受け具には、埋込み材充填用のニードルをスロットに挿入するための注入ポートを備えていることを特徴とする請求項10又は11に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項13】
スロットに孔を突出して設け、該スロットの突出する孔に対して、受け具に設けた導線を案内するための通路を接続させていることを特徴とする請求項11又は12に記載の加熱可能物体。
【請求項14】
受け具には、温度センサを取り付けた状態でスロット内に共に挿入するロッドを備えていることを特徴とする請求項10又は11に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。
【請求項15】
受け具には、温度センサを内部に挿入した状態でスロット内に共に挿入するための管を備えていることを特徴とする請求項10又は11に記載の無線周波識別で制御される加熱可能物体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2008−100081(P2008−100081A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288707(P2007−288707)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【分割の表示】特願2004−230457(P2004−230457)の分割
【原出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(506229796)
【Fターム(参考)】