説明

熱グリース物品及び方法

第1剥離表面を有する第1剥離ライナー、第2剥離表面を有する第2剥離ライナー、及び、第1剥離表面と第2剥離表面との間の熱伝導性グリースの層を含む、物品。熱伝導性グリースは、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の混合物を含み、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも5倍異なる平均(D50)粒径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2007年4月2日出願の米国仮特許出願第60/909,653号の利益を主張するものであり、その開示の全内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は熱管理材料を対象としている。より具体的には、本開示は、電子デバイス内の電子部品間のインターフェースで使用され得る熱管理材料を対象とする。
【背景技術】
【0003】
電子デバイスがより強力になり、遥かに小さなパッケージ内に提供されるに従い、これらのデバイス内の電子部品はより小さくなり、集積回路基盤及びチップ上でより密に詰められてきた。電子デバイスが確実に動作することを確かにするため、これらの部品によって生じる熱は、効果的に分散されるべきである。例えば、伝導冷却を高めるため、電子部品は、集積回路チップなどの熱を生じる電子部品の接合面の間の熱伝達インターフェース、及び放熱部材、例えばヒートシンク、又はフィン付きヒートスプレッダなどとして、熱管理材料を利用することがある。熱伝達インターフェースに位置付けられ、本明細書で熱インターフェース材料(TIM)と称される、これらの熱管理材料は、電子部品と放熱部材との間の断熱性の空気を実質的に排除するように設計され、これは熱伝達効率を高める。
【0004】
内側剥離ライナーと外側剥離ライナーとの間の中間層としてTIMを含む、テープ又はシート状の構成体が提供され得る。自動分配及び適用のために、内側剥離ライナー、外側剥離ライナー、及びTIM中間層の少なくとも1つが、ダイカットされて、一連のプレサイズされたパッドを形成し得る。一度内側剥離ライナーが取り除かれると、パッドはヒートシンク又は電子部品に結合されてアセンブリを形成し、同時に外側剥離ライナーは、TIMを覆う保護カバーとして適所に留まり得る。電子デバイス内にアセンブリを取り付ける前に、外側層は実質的に取り除かれてTIMを露出させてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の「ピール・アンド・スティック」適用プロセスが、商業的用途において、確実かつ効率的に機能する場合、放熱TIM材料は、好ましくは中間層を形成する能力を有するべきであり、TIM中間層に隣接する内側及び外側剥離ライナーの接触表面が、好ましくは、電子デバイスアセンブリプロセスの間に、容易かつ確実にTIMから剥離する。TIM中間層が、不十分な構造的一体性を有する場合、又は剥離ライナーが剥がされたときに各接触表面がTIM中間層から完全に剥離しない場合、中間層の部分が崩れ、剥離ライナー上に残ることがある。結果的に生じる空隙は、TIM中間層の効率性を低減し、断裂した中間層のために、電子部品はアセンブリプロセス中に拒絶されることがある。
【0006】
熱伝導性グリースなど、いくつかのTIMは、優れた全体熱伝導性をもたらすが、均一で薄い層としてライナー上に塗布することが困難であり得る。熱グリースの層は、キャリアシート上、又は、織布若しくは不織布支持体上に塗布されてきたが、このような構成は、追加の熱インターフェースを伴い、より厚い熱グリース層を必要とすることがあり、これはこの構成の性能を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的に、本開示は、第1剥離表面を有する第1剥離ライナー、第2剥離表面を有する第2剥離ライナー、及び第1剥離表面と第2剥離表面との間に配置される熱伝導性グリース(TCG)の層を含む構成を対象とする。
【0008】
TCGの組成物、並びに第1及び第2剥離表面の組成物は、TCG層の第1剥離表面からの剥離のための剥離力が、TCG層の第2剥離表面からの剥離のための剥離力よりも小さくなるように、選択される。これは、第1剥離ライナーが実質的に引き離される一方で、TCG層が第2剥離ライナー上に実質的に損なわれずに留まることを可能にする。
【0009】
更に、TCG層の第2剥離表面からの剥離のための剥離力は、TCG層の選択される基材の表面からの剥離のための剥離力よりも小さい。したがって、一度TCG層が、例えば、電子部品の当接面、放熱部材、又は熱分配部材などの基材上に塗布されると、第2剥離ライナーが引き離される一方で、TCG層は基材上において実質的に損なわれず、好ましくは完全な状態で留まり得る。
【0010】
一態様では、本開示は、第1剥離表面を有する第1剥離ライナー、第2剥離表面を有する第2剥離ライナー、及び第1剥離表面と第2剥離表面との間の熱伝導性グリースの層を含む物品を対象とする。熱伝導性グリースは、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の混合物を含み、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも5倍異なる平均(D50)粒径を有する。
【0011】
別の態様では、本開示は、第1剥離表面を有する第1剥離ライナー、第2剥離表面を有する第2剥離ライナー、及び第1剥離表面と第2剥離表面との間の熱伝導性グリースの層を含む物品を対象とする。熱伝導性グリースは、実質的にPCMを含まず、第1剥離表面及び第2剥離表面の少なくとも一方が、フルオロカーボン材料、シリコーン材料、フルオロ−シリコーン材料、アクリル、又はこれらの組み合わせを含む。
【0012】
これらの構成は、複雑な塗布装置を必要とせずに、TCG(熱伝導性グリース)を適切な厚さ及び寸法の薄い層として、基材上に、単純かつ効率的に堆積させることを可能にする。引き離し可能な剥離ライナーはまた、アセンブリの中間段階におけるグリース層の保護も提供し得る。いくつかの実施形態において、剥離ライナーの剥離特性が、TCG層を、直接堆積方法によって一般的に可能であるよりも、均一で薄く基材に塗布することを可能にするため、基材上のTCG層は熱性能の向上をもたらし得る。
【0013】
更に別の実施形態では、本開示は、電子部品、放熱部材、及び熱分配部材のうちの、少なくとも1つを有する基材を含む電子アセンブリを対象とする。熱伝導性グリースの層が基材上に位置し、熱伝導性グリースは、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の混合物を含み、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも5倍異なる平均(D50)粒径を有する。剥離表面を有する剥離ライナーは、熱伝導性グリースの層上に位置する。
【0014】
別の実施形態では、本開示は電子デバイスを作製する方法を対象とし、第1剥離表面を有する剥離ライナー、第2剥離表面を有する第2剥離ライナー、及び第1剥離表面と第2剥離表面との間の熱伝導性グリースの層を含む積層体を提供する工程を含む。熱伝導性グリースは、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の混合物を含み、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも5倍異なる平均(D50)粒径を有する。方法は、第1剥離ライナーを取り除いて熱伝導性グリースの層を少なくとも部分的に露出させる工程、及び熱伝導性グリースの層を基材に塗布する工程を含む。基材は、電子部品、放熱部材、又は熱分配部材の1つを含む。
【0015】
本発明のその他の特徴及び利点は、本発明の以下の詳細な説明及び特許請求の範囲により明らかとなるであろう。本開示内容の原理に関する上述の発明の概要は、本開示内容の、例示された各実施形態又は全ての方法を説明することを意図しない。以下の図面及び発明を実施するための形態により、本明細書に開示される原理を利用した特定の好ましい実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1剥離ライナーと第2剥離ライナーとの間にTCG層を含む、積層体構成の図。
【図2】第2剥離ライナーによって覆われるTCG層を含む電子アセンブリの図。
【図3】TCGの層をその上に塗布した電子部品の図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書では、全ての数字は用語「約」で修飾されているものとみなす。終点による数字範囲の列挙にはその範囲に含まれる全ての数が含まれる(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
【0018】
一実施形態では、本開示は、第1剥離表面32を有する第1剥離ライナー30、第2剥離表面22を有する第2剥離ライナー20、及び第1剥離表面と第2剥離表面との間に配置される熱伝導性グリース(TCG)の層40を含む熱伝達構成体10を対象とする。第1剥離表面32は、TCG層40の第1主面と接触し、第2剥離表面は、TCG層40の第2主面と接触する。
【0019】
TCG層40で使用される好適なTCGは、後述するバルク熱伝導率試験方法によって測定される際に、0.05W/m−Kよりも高いバルク伝導率を有する材料を含む。更に、好適なTCGは、20℃、1/秒剪断速度において、10Pa・s(1×10cPs)より高い粘度、及び、125℃、1/秒剪断速度において、0.108Pa・s(108cPs)より低い粘度を有する。本明細書における全ての数字は、特に指定のない限り、用語「約」で修飾されているものとみなす。端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包括される全ての数が包含される(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を包含する)。
【0020】
構成体10のTCG層40で使用されるTCGは、実質的にPCMを含まないか、又はPCMを含まない。この用途において、実質的にPCMを含まないという用語は、約1%未満の相変化物質(PCM)を有するTCGを指し、一方で、PCMを含まないとは、二次的な不純物を除いて相変化物質(PCM)を有さないTCGを指す。本明細書で使用するとき、相変化物質という用語は、室温において自己支持し、安定した形状であるが、電子部品の動作温度の範囲内の温度において、液化、又は軟化する構成要素を指す。典型的には、相変化物質は、典型的な電子部品の動作温度範囲内(通常約40〜約100℃)において、第1相から第2相へと推移する(例えば、高分子材料の融点(T)、若しくはガラス転移温度(Tg)、又は金属構成要素の融点、固相線、若しくは液相線)。PCMを含まない熱伝導性グリースの使用は、TCG層40の流量特性の、より正確な制御を可能にし、これは、TCG層を塗布される基材が、垂直の配向を有するときに重要であり得る。PCMを含まない熱伝導性グリースはまた、より広範囲の温度にわたって塗布されてもよく、基材がPCM構成要素の融解動作温度(melt operational temperature)に達していない、冷却プレートの用途に特に好適である。更に、TCG層内で相が変化する熱サイクルは、空隙を取り入れることがあり、これは熱伝達性能を低減する。
【0021】
TCG層40での使用のために特に好ましいTCGとしては、米国特許出願公開第2007/0031684号、米国特許出願公開第2007/0031686号、及び米国特許出願第60/824,599号に記載されるものが挙げられる。好適なTCGは、伝導性粒子、分散剤、及び任意のキャリアオイルを含む。
【0022】
TCGでの使用に好適な分散剤は、ポリマー、イオン性、又は非イオン性であり得る。イオン性分散剤はアニオン性又はカチオン性であり得る。例えば、イオン性分散剤とポリマー分散剤の組み合わせなど、分散剤の組み合わせが使用されてもよい。
【0023】
TCGのための有用な分散剤の例としては、ポリアミン、スルホネート、修飾ポリカプロラクトン、有機リン酸エステル、脂肪酸、脂肪酸の塩、ポリエーテル、ポリエステル及びポリオール、並びに表面修飾した無機ナノ粒子等の無機分散剤、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
市販される分散剤としては、オハイオ州クリーブランド(Cleveland)のノベオン社(Noveon, Inc.)から、商品名ソルスパース(SOLSPERSE)16000、ソルスパース(SOLSPERSE)24000、ソルスパース(SOLSPERSE)39000強力分散剤として入手可能なポリマー分散剤;オランダ、ヘーレンフェーン(Heerenveen)のエフカ・アディティブズ社(Efka Additives BV)から、商品名エフカ(EFKA)4046として入手可能な修飾ポリウレタン;及び、ニュージャージー州グランベリー(Granbury)プレインズロード(Plains Road)のローヌプーラン社(Rhone-Poulenc)から商品名ロダファック(RHODAFAC)RE−610として入手可能な有機リン酸エステルが挙げられる。
【0025】
分散剤は、層40を構成するTCG組成物の少なくとも0.25重量%及び、50重量%以下、他の実施形態では、組成物全体の25、10、又は5重量%以下の量で存在する。他の実施形態では、分散剤は、少なくとも1重量%〜5重量%の量で存在し得る。
【0026】
TCGで使用される熱伝導性粒子は、ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンド、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素(六方晶又は立方晶)、炭化ホウ素、シリカ、グラファイト、非晶質炭素、窒化アルミニウム、アルミニウム、酸化亜鉛、ニッケル、タングステン、銀、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】
いくつかの実施形態では、得られるTCGにおいて所望の物理的性質と一致した熱伝導性粒子の体積分率ができるだけ大きなTCGを提供することが望ましく、例えば、TCGは接触面と適合することが望ましく、また、塗布を容易にする十分な流動性を有することが望ましい。
【0028】
TCGにおいて好ましい熱伝導性粒子は、2つ以上の分布の熱伝導性粒子、好ましくは少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子を含む。各分布の熱伝導性粒子が、その上及び/又は下の分布から少なくとも5倍、及び他の実施形態では少なくとも7.5倍、又は少なくとも10倍、あるいは10倍超、異なる平均粒径を有する。例えば、熱伝導粒子の混合物は:0.3マイクロメートルの平均粒径(D50)を有する最も小さい粒子分布:3.0マイクロメートルの平均粒径(D50)を有する中間的な分布:及び30マイクロメートル(D50)の平均粒径を有する最も大きな分布からなる場合がある。別の実施例は、0.03マイクロメートル、0.3マイクロメートル、及び3マイクロメートルの平均粒径(D50)値を有する平均粒径分布を有し得る。
【0029】
熱伝導性粒子は、TCG内に、少なくとも50重量%の量で存在し得る。他の実施形態では、熱伝導性粒子は、少なくとも70、75、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、又は98重量%で存在してよい。他の実施形態では、本発明のTCGにおいて熱伝導性粒子は、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、又は85重量%以下の量で存在してよい。
【0030】
TCG内での使用のために有用なキャリアオイルは、合成オイル、鉱物油、及びこれらの組み合わせを含む。キャリアオイルは、好ましくは室温において流動性を有する。有用なキャリアオイルの具体的な例としては、ポリオールエステル、エポキシド、シリコーンオイル、及びポリオレフィン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
好適なキャリアオイルとしては、ニュージャージー州フォーズ(Fords)のハトコ社(Hatco Corporation)から、ハトコール(HATCOL)1106(ジペンタエリスリトール及び短鎖脂肪酸のポリオールエステル);ハトコール(HATCOL)2938(トリメチロールプロパンC8及びC10エステル);及びハトコール(HATCOL)3371(トリメチロールプロパン、アジピン酸、カプリル酸、及びカプリン酸の複合ポリオールエステル)の商品名で入手可能なもの;加えて、テキサス州ヒューストンのヘキシオン・スペシャルティー・ケミカルズ社(Hexion Specialty Chemicals, Inc.)から、ヘロキシ(HELOXY)71(脂肪族エポキシエステル樹脂)の商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0032】
キャリアオイルは、TCG中に、全組成物の、0〜約49.5重量%、及び他の実施形態では、0〜約20以下、又は約12重量%の量で存在し得る。他の実施形態では、キャリアオイルは組成物の少なくとも2、1、又は0.5重量%の量で存在することができる。本発明のTCGではまた、キャリアオイルが約0.5、1又は2〜約12、15又は20重量%を含む範囲で存在してもよい。
【0033】
本発明のTCG及びTCG組成物は、目詰まり防止剤、酸化防止剤、平滑剤、並びに、例えばメチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、及び酢酸ブチル等のエステル等の溶媒(塗布粘度を低下させるため)等の添加剤を所望により含んでもよい。
【0034】
TCGは、分散剤と任意のキャリアオイルを共にブレンドし、次いで分散剤/キャリアオイルの混合物に、熱伝導性粒子を平均粒径が最も小さいものから最も大きなものへと順次ブレンドすることによって一般に作製される。熱伝導性粒子は互いに予め混合され、次いで液体成分に添加されてもよい。全体の粘度を低下させ、均一に分散された混合物を得やすくするために、混合物を加熱してもよい。いくつかの実施形態では、熱伝導性粒子の一部又は全部を最初に分散剤で予め処理又は予め分散してから分散剤/キャリア混合物に粒子を混合することが望ましい場合がある。
【0035】
図1を再び参照すると、熱伝導性グリースの組成物並びに第1剥離表面32及び第2剥離表面32の組成物は、熱伝導性グリース層40の第1剥離表面32からの剥離のための剥離力が、熱伝導性グリース層40の第2剥離表面22からの剥離のための剥離力よりも小さくなるように選択される。これは、第1剥離ライナー30が引き離される一方で、熱伝導性グリース40の層が第2剥離ライナー20上に実質的に損なわれずに留まることを可能にする。
【0036】
更に図2に示されるように、一度第1剥離ライナー30が引き離されると、熱伝導性グリース層40の第2剥離表面22からの剥離のための剥離力は、熱伝導性グリースを基材50の表面から取り除くために必要とされる剥離力よりも小さくなる。したがって、図3に示されるように、一度熱伝導性グリースの層が、例えば、電子部品の当接面、又は放熱部材などの基材50上に塗布されると、第2剥離ライナー20が引き離される一方で、熱伝導性グリースの層は基材50上に実質的に損なわれずに留まり得る。
【0037】
再び図1を参照すると、それぞれ第1剥離表面32、及び第2剥離表面22を有する、第1剥離ライナー30及び第2剥離ライナー20は、更に改質することなく剥離表面として機能する材料から選択されてもよく、あるいは剥離コーティング又は他の表面改質をその上に施された基材から作製されてもよい。好ましい実施形態では、ライナー20、30は、ライナーの熱グリースからの除去を促進する可撓性シートである。
【0038】
いくつかの実施形態では、ライナー20、30、及び/又は剥離表面22、32は、同じ材料から作製され得る。これらの実施形態では、第1ライナー30をTCG層40から取り除くための第1剥離力とTCG層40を第2ライナー20から取り除くための第2剥離力との間の必要な差を達成するために、異なる厚さのライナー、異なるライナーの穿孔、及び/又はライナーを取り除く際の異なる剥離角度を使用することが一般的に望ましい。
【0039】
他の実施形態では、ライナー20、30、及び/又は剥離表面22、32は、異なる材料から作製され得る。剥離ライナーの厚さ、穿孔、及び剥離角度の検討はまた、互いに組成の異なるライナー/剥離表面の対の使用を向上するためにも有用であり得る。
【0040】
剥離ライナー20、30、及び剥離表面22、32のために好適な材料は、TCG層40から容易に剥離するもの、TCG層40にさらされることによる変質に抵抗するもの、及びTCG層40の吸収に抵抗するものを含む。好適な剥離ライナーは、ポリプロピレン、ポリイミド、又はシリコーンなどの高分子フィルム、及び金属ホイル、加えて、剥離コーティングでコーティングされた基材を含む。剥離コーティングのために好適な基材には、コーティングされた、又はコーティングされていない紙、及び例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子フィルムが挙げられる。好適な剥離コーティングには、例えば、フルオロカーボン材料、特にペルフルオロポリエーテル、及びフルオロ−シリコーン、シリコーン材料、ポリオレフィン材料、アクリル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0041】
熱伝導性グリースは、従来の方法、例えば、噴霧、浸漬、キャスト、若しくは押出成形、ナイフ、ローラー、グラビア、巻き線ロッド、若しくはドラムコーティングなどの直接処理により、間接転写処理により、又は表面の全体をコーティングした後にスクレーピング、エッチング、コロナ放電処理、若しくは他の方法によって第1領域からコーティングを取り除くことにより、基材又はライナー上に塗布され得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、例えばシルクスクリーン印刷により、一定のパターンで塗布される。いくつかの実施形態では、グリースは、塗布工程のために、粘度が低減するように揮発性溶媒で希釈され、その後、積層に先立って乾かされてもよい。更に別の実施形態では、残留揮発性材料は、積層時に、及び更に基材への転移時に、熱伝導性グリース内に残っていてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、TCG層は、組立て物品内の熱伝導性グリースの望ましい堆積と同等の大きさ及び形状を有する、第1又は第2ライナーの区域に塗布される。他の実施形態では、剥離ライナーのコーティングされた区域が、これが塗布される基材の接触区域よりも、大きいか、又は小さくてもよい。これらの実施形態では、第2剥離ライナーの除去があらゆる過剰なグリースを共に取り去るか、又はアセンブリの圧縮がグリースを広げることが予想される。TCGは、施術者の裁量により、第1ライナーの第1剥離表面か、又は第2剥離ライナーの第2剥離表面のいずれかに塗布され得る。次に、残存するライナーは、ライナーとTCG層との間のインターフェース中に空気が混入することを避けるように、TCG層上に注意深く積層される。
【0043】
図1の構成体10のTCG層40は、任意に追加の層(図1に示されない)を含み、構成体全体の、又はTCG層40の構造的一体性を更に高め、TCG層40の電子的、及び/若しくは熱的伝導性を改質するか、又はTCG層40の選択される基材への接着性を向上してもよい。しかしながら、このような構成体における追加のインターフェースは、層40の全体熱伝導性を低減する場合があり、好ましくない。例としては、織布、不織布メッシュ材料、高分子キャリアフィルム、金属ホイル、又はグラファイト層、接着剤層などの他の伝導性層が挙げられる。
【0044】
構成体10のTCG層40の厚さは、意図される用途に応じて、広範に変化してよく、構成体10は、電子部品と放熱部材との間の、任意の望ましい隙間に適合するように成形されてよい。典型的なTCG層40は、約6.4マイクロメートル(0.25ミル)〜約5080マイクロメートル(200ミル)の厚さを有するが、約25マイクロメートル(1ミル)〜約101.6マイクロメートル(4ミル)の、より薄い層が好ましく、約50マイクロメートル(2ミル)未満の厚さが、特に好ましい。
【0045】
別の実施形態では、本開示は、電子デバイスを作製する方法を対象とする。まず、図1の構成体では、第1剥離ライナー30が少なくとも部分的に引き離されて、TCG層40の少なくとも一区域を露出させる。ある好ましい実施形態では、第1剥離ライナー30は、第1剥離ライナー30の第1剥離表面32上に、グリースがほとんど、又は全く残ることなく、TCG層40からきれいに剥離する。図2に示されるように、層40は、続いて、例えば電子部品、又は放熱部材などの基材50上に塗布され、電子アセンブリ60を形成する。軽い圧力を適用し、TCG層40が基材50を濡らしていること、空気がTCG層40と基材50との間に混入して残っていないことを確実にすることが、多くの場合において望ましい。電子アセンブリ60において、第2剥離ライナー20は、アセンブリ60が別の電子部品に取り付けられる状態に至るまで、TCG層40にわたって損なわれずに留まり、層40を保護し、汚染を防ぐ。図3に示されるように、基材50は次に、第2剥離ライナー20の少なくとも一部をアセンブリ60から引き離し、TCG層40の少なくとも一区域を露出させることによって、取り付けのために準備されてよい。第1剥離ライナー30と同様に、第2剥離ライナー20の剥離表面22が、第2剥離ライナー20上にグリースがほとんど、又は全く残ることなく、TCG層40からきれいに剥離することが望ましい。TCG層40は次に基材50と別の電子部品との間のインターフェースに位置付けられ、電子デバイスを形成し得る(図3に示されない)。
【0046】
特に提示される、構成体10に対する用途には、マイクロエレクトロニクスダイ又はチップの、電子デバイス内の少なくとも1つの放熱部材への取り付けが挙げられるがこれらに限定されない。代表的な電子デバイスとしては、電力モジュール、IGBT、DC−DCコンバータモジュール、固体のリレー、ダイオード、発光ダイオード(LED)、パワーMOSFET、RFコンポーネント、熱電モジュール、マイクロプロセッサ、マルチチップモジュール、ASIC若しくは他のデジタルコンポーネント、電力増幅器、又は電源が挙げられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、ライナー20、30の剥離特性が、TCG層40を、直接堆積方法によって一般的に可能であるよりも、均一で薄く基材50に塗布することを可能にするため、構成体10のTCG層40は熱性能の向上をもたらし得る。
【0048】
本発明の目的及び利点は、下記の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の材料及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0049】
特に指定されない場合、材料はウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ(Aldrich)などの化学品供給元から入手可能であった。
【0050】
材料
FS10は、バージニア州マーチンズビル(Martinsville)のCPフィルムズ社(CPFilms Inc.)の製品、ポリエステル上のフルオロシリコーン剥離コーティング、Sil FS10である。
【0051】
6Jは、イリノイ州ウィローブルック(Willowbrook)のロパレックス(Loparex)の製品、ポリエステルライナー上のフルオロシリコーンコーティングである。
【0052】
2SLKは、サウスカロライナ州グリーア(Greer)の三菱ポリエステルフィルム(Mitsubishi Polyester Film)の製品、ポリエステル裏材上のシリコーン剥離コーティングである。
【0053】
7786は、ポリエチレンコーティングされた紙上のフルオロシリコーン剥離コーティングである。コーティング溶液は、ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)の製品である。
【0054】
SCW106は、ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)の製品、シリコーン剥離ライナーである。
【0055】
SCW611は、コポリマーライナー上の、米国特許第6,204,350号に記載の、シリコーン剥離コーティングである。
【0056】
一方の面を7300シリコーンでコーティングされ、他方の面を7370シリコーンでコーティングした、50μm(2ミル)の白いポリエチレンテレフタレートとしての、ロパレックス社(Loparex Corp.)の製品、両面フィルムライナーが、7370コーティングライナーをもたらした。
【0057】
一方の面を7300シリコーンでコーティングされ、他方の面を7380シリコーンでコーティングした、50μm(2ミル)の白いポリエチレンテレフタレートとしての、ロパレックス社(Loparex Corp.)の製品、両面フィルムライナーが、7380コーティングライナーをもたらした。
【0058】
スウォッチパックIII(Suwatchpack III)は、ミネソタ州セントポール(St. Paul)の3M社(3M Company)の製品、50μm(2ミル)のポリエチレンテレフタレート上にコーティングされた、アクリル剥離表面である。
【0059】
1022、5932、及び9741は、より重要である、米国特許第3,849,504号、同第4,472,480号、同第4,567,073号、同第4,614,667号、同第4,820,588号、同第4,981,727号、同第4,830,910号、及び同第5,306,758号に教示される、ポリエチレンテレフタレート(1022及び5932)又はポリプロピレンフィルムのいずれかにコーティングされるフッ素性化学物質剥離表面である。
【0060】
9795は、ポリエステルフィルム上の、米国特許第6,204,350号に記載される、フルオロシリコーン剥離コーティングである。
【0061】
熱伝導性グリースの調整
熱伝導性グリースのマスターバッチ、TIM Aは、以下のように調整された:0.95リットル(1クオート)のロスミキサーボウル(Ross Mixer bowl)(ニューヨーク州ハウパウジ(Hauppauge)のチャールズ・ロス・アンド・サン社(Charles Ross & Son Co.)から入手可能なモデルLDM 1 Qt)が、55.91gのハトコール(Hatcol)2938(ニュージャージー州フォーズ(Fords)のハトコ社(HatcolCorporation))、55.55gのソルスパース(Solsperse)16000(オハイオ州クリーブランド(Cleveland)のノベオン社(Noveon, Inc.))、1.14gのイルガノックス(Irganox)1010(ニューヨーク州タリータウン(Tarrytown)のチバ・スペシャリティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))、及びカーボンブラック(Carbon Black)(テキサス州ヴァルカン(Vulcan)のキャボット・コーポレーション(Cabot Corp.)からの「XC−72Rヴァルカン・フラッフィー(Vulcan Fluffy)」)で満たされた。混合ボウルを上げ、50rpmでミキサーを稼動させる。2つの透視ガラスの一方が取り除かれ、開口部を通じて、0.0〜0.25マイクロメートルのダイヤモンド粉末(河南恒祥ダイヤモンドアブレーシブカンパニー(Henan Hengxiang Diamond Abrasive Company)、中華人民共和国鄭州)、197.66gが加えられた。内容物が十分に混合され、粉末が十分に濡れていると判断されるまで、ミキサーを約5分間稼動させた。透視ガラスの孔を通じて、0.5〜1.5マイクロメートルのダイヤモンド粉末(河南恒祥ダイヤモンドアブレーシブカンパニー(Henan Hengxiang Diamond Abrasive Company))、395.47gが加えられた。内容物が十分に混合され、粉末が十分に濡れていると再び判断されるまで、更に約5分間混合を続けた。ダイヤモンド粉末の最終アリコート、10〜15マイクロメートルの粒径(河南恒祥ダイヤモンドアブレーシブカンパニー(Henan Hengxiang Diamond Abrasive Company))791.01g、が、透視ガラスの開口を通じて加えられた。ミキサーを50rpmで稼動させ続けながら、透視ガラスを交換し、約98kPa(737mm(29インチ)Hg)の真空圧がミキサー上に適用された。ミキサーを更に90分間稼動させた。真空圧が解除され、混合ボウルが下げられて、内容物がプラスチック容器に移され、回収されたTIM A正味1485gは、一晩放置された。
【0062】
上述で調整されたTIM A(130.36g)、及び、テキサス州ヒューストン(Houston)のリオンデル・ケミカル社(Lyondell Chemical Co.)から商品名アルコソルブPMアセテート(Arcosolv PM Acetate)(主に1−メトキシー2−プロパノールアセテート)として入手可能な溶媒4.04gが、使い捨てカップに移された。カップ上に蓋が配置され、スピードミキサー(Speed Mixer)モデルDAC 150FV(サウスカロライナ州ランドラム(Landrum)のフラックテック社(FlackTek, Inc.))で40秒の周期で2回、約2100rpmにおいてブレンドされた。内容物は冷却され、続いて使い捨て注射器に吸引された。
【0063】
TIM B及びTIM Cは、次の方法で調整された。酸化防止剤、分散剤、及びキャリア液は全て、秤量してポリプロピレン製広口容器に入れた。次いで最も小さい分布の無機物を秤量してカップに入れ、カップに一致したネジ蓋で蓋をしてからスピードミキサー(SpeedMixer)に挿入した。スピードミキサーを、約2000prmで60秒間稼動させた。装置を開け、カップを取り出して開けてから、次に粗い粒径を有する粒子を秤量したものをカップに入れた。カップを再び閉じ、スピードミキサーに挿入し、約2000rpmで60秒間稼動させた。装置を再び開け、カップを取り出して開けてから、最も粗い粒径を有する粒子を秤量したものをカップに入れた。カップを再び閉じ、スピードミキサーに挿入し、約2000rpmで60秒間稼動させた。スピードミキサーをもう一周期、3300rpmで、30秒間稼動させた。得られたTIM材料は混合カップ中で保存した。
【0064】
【表1】

【0065】
得られるグリースを、上述のスピードミキサーを使用して、20.6875gのグリースを、0.6480gのアルコソルブPMアセテート(Arcosolv PM Acetate)と組み合わせることにより、コーティングのために希釈した。
【0066】
【表2】

【0067】
得られるグリースを、上述のスピードミキサーを使用して、26.2571gのグリースを、0.5852gのアルコソルブPMアセテート(Arcosolv PM Acetate)と組み合わせることにより、コーティングのために希釈した。
【0068】
熱伝導性グリースを含む、積層構成体の調整
第1スクリーニングに続く評価のために選択されるライナーは、ナイフのギャップ設定を公称50マイクロメートル(2ミル)としたノッチバーナイフコーターを使用し、約1ccのTIM A/アルコソルブPMアセテート(Arcosolv PM Acetate)ブレンドを使用して、その各剥離表面上をコーティングされた。各コーティングを室温で一晩乾燥させた。乾燥に続き、第2ライナーは、剥離表面と共に、露出された、乾燥したTIMに対してハンドラバーローラー(hand rubber roller)を使用して積層された。積層体を少なくとも15分間平衡化させ、次に2つのライナーが引き離された。この一連の評価では、第2ライナーが、平坦な表面上に配置され、第1のコーティングされたライナーの隅が持ち上げられて、残るコーティングされたライナーが、ライナーが第2ライナーと90°未満の角度を成すようにして速やかに引き離された。いずれのライナーがTIMを保持するかについて観察が行われた。剥離は、1〜5のスケールで主観的に判断され、1が最も低く判断され(コーティングの約10%超が、剥離表面に残存する)、5が最も高く判断され(きれいで、完全な移行)、TIMがライナー間の部分的な移行にどれだけ抵抗するかを特徴付けた。結果は、表1にて要約されている。
【0069】
【表3】

【0070】
別個の組の実験において、剥離表面から、テキサス州ダラス(Dallas)のコンプUSA(CompUSA)から得られるスターテック・ドットコム・ファン478(StarTech.com Fan478)へきれいに移行するTIM Aの能力が、TIM Aを、上述のコーティング方法を使用して、評価されるライナーにナイフコーティングすることにより、評価された。以下の積層では、剥離ライナーが取り除かれ、移行の度合いが、前述の1〜5のスケールを用いて評価された。結果を表2に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
TIM Aの更なるサンプルは、剥離ライナー上をコーティングされ、第2剥離ライナーに積層される。積層後、サンプルは室温で、試験まで10日間成熟される。結果を表3に記す。
【0073】
【表5】

【0074】
TIM B及びTIM Cのサンプルは、コーティングされ、9741剥離ライナーからの剥離、及びファンアセンブリへの移行について試験される。結果を表4に要約する。
【0075】
【表6】

【0076】
本発明の様々な修正及び変更は、本発明の範囲及び原理から逸脱することなく当業者には明白であり、また、本発明は、上記で説明した例示的な実施形態に過度に限定して理解すべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1剥離表面を含む第1剥離ライナーと、
第2剥離表面を含む第2剥離ライナーと、
前記第1剥離表面と前記第2剥離表面との間の熱伝導性グリースの層と、を含む物品であって、前記熱伝導性グリースは、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の混合物を含み、前記少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも5倍異なる平均(D50)粒径を有する、物品。
【請求項2】
前記少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも7.5倍異なる平均(D50)粒径を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも10倍異なる平均(D50)粒径を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記熱伝導性粒子が、ダイヤモンド、炭化ケイ素、アルミナ、窒化ホウ素(六方晶又は立方晶)、炭化ホウ素、シリカ、グラファイト、非晶質炭素、多結晶ダイヤモンド、窒化アルミニウム、アルミニウム、酸化亜鉛、ニッケル、タングステン、銀、及びこれらの組み合わせの、少なくとも1つを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記熱伝導性グリースが、
0〜約49.5重量%のキャリアオイルと、
約0.5〜約25重量%の少なくとも1つの分散剤と、
少なくとも約49.5重量%の熱伝導性粒子と、を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記熱伝導性グリースが、約0.5〜約20重量%のキャリアオイルと、約0.5〜25重量%の少なくとも1つの分散剤と、少なくとも約49.5重量%の熱伝導性粒子と、を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記分散剤が、非イオン性分散剤、ポリマー分散剤、イオン性分散剤、無機分散剤、及びこれらの組み合わせの、少なくとも1つを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項8】
前記少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の1つが、約0.02〜約5マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
前記少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の1つが、約0.10〜約50.0マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
前記少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の1つが、約0.50〜約500マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
前記少なくとも1つの分散剤が、イオン性分散剤及びポリマー分散剤を含む、請求項7に記載の物品。
【請求項12】
前記熱伝導性粒子が、ダイヤモンド及び炭化ケイ素粒子の混合物を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
前記熱伝導性粒子が、ダイヤモンド及び金属粒子の混合物を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記キャリアオイルが、ポリオールエステル、エポキシド、シリコーン、ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項15】
前記キャリアオイルが、ポリオールエステルを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項16】
前記熱伝導性グリースが、実質的にPCMを含まない、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
前記熱伝導性グリースが、PCMを含まない、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
前記第1及び第2剥離表面の少なくとも一方が、フルオロカーボン材料、シリコーン材料、フルオロ−シリコーン材料、アクリル、ポリオレフィン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
前記第1及び第2剥離表面の少なくとも一方が、フルオロカーボン材料、シリコーン材料、フルオロ−シリコーン材料、アクリル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
第1剥離表面を含む第1剥離ライナーと、
第2剥離表面を含む第2剥離ライナーと、
前記第1剥離表面と前記第2剥離表面との間の熱伝導性グリースの層と、を含む物品であって、前記熱伝導性グリースが、実質的にPCMを含まず、前記第1表面及び前記第2表面の少なくとも一方が、フルオロカーボン材料、シリコーン材料、フルオロ−シリコーン材料、アクリル、又はこれらの組み合わせを含む、物品。
【請求項21】
前記第1表面及び前記第2表面の少なくとも一方が、フルオロカーボン材料、シリコーン材料、フルオロ−シリコーン材料、又はこれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記熱伝導性グリースが、PCMを含まない、請求項20に記載の物品。
【請求項23】
電子部品、放熱部材、及び熱分配部材の少なくとも1つを含む基材と、
該基材上の熱伝導性グリースの層であって、前記熱伝導性グリースは、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の混合物を含み、前記少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも5倍異なる平均(D50)粒径を有する、熱伝導性グリースの層と、
前記熱伝導性グリースの前記層上の剥離表面を有する剥離ライナーと、を含む、電子アセンブリ。
【請求項24】
前記熱伝導性グリースが、実質的にPCMを含まない、請求項23に記載の電子アセンブリ。
【請求項25】
前記剥離表面が、フルオロカーボン材料、シリコーン材料、フルオロ−シリコーン材料、アクリル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の電子アセンブリ。
【請求項26】
第1剥離表面を含む第1剥離ライナーと、
第2剥離表面を含む第2剥離ライナーと、
前記第1剥離表面と前記第2剥離表面との間の熱伝導性グリースの層とを含む、積層体を提供する工程であって、前記熱伝導性グリースが、少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子の混合物を含み、前記少なくとも3つの分布の熱伝導性粒子のそれぞれが、他の分布から少なくとも5倍異なる平均(D50)粒径を有する、工程と、
前記第1剥離ライナーを取り除き、前記熱伝導性グリースの前記層を少なくとも部分的に露出させる工程と、
前記熱伝導性グリースの前記層を、電子部品、放熱部材、又は熱分配部材の1つを含む基材に塗布する工程と、を含む、電子デバイスを作製するための方法。
【請求項27】
前記熱伝導性グリースが、実質的にPCMを含まない、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1剥離表面及び前記第2剥離表面の少なくとも一方が、フルオロカーボン材料、シリコーン材料、フルオロ−シリコーン材料、アクリル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第2剥離ライナーの少なくとも一部を取り除く工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記熱伝導性グリースの前記層を、第2電子部品に取り付ける工程を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1剥離ライナー及び第2剥離ライナーの少なくとも一方が、ポリマーフィルム、及び紙の一方を含む基材を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記紙が、コーティングされた紙を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリマーフィルムがPETを含む、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−524236(P2010−524236A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502175(P2010−502175)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/056188
【国際公開番号】WO2008/121491
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】