説明

燃焼機関

【課題】
本発明は、複数のシリンダーと空気吸入設備を備えた燃焼機関に関し、空気吸入設備が、少なくとも一つの分配管と、複数の吸気管と、少なくとも一つのプレナムチェンバーとから構成され、プレナムチェンバーは、分配管と吸気管の間に配置されており、空気吸入設備への燃焼空気は、分配管に合流する空気誘導ダクトを介して移送され、コンプレッサーからの出口後の燃焼空気のチャージ圧は、燃焼機関の燃焼室への入口までに低下される。
【解決手段】
本発明では、分配管の長さは、分配管の相当直径に従って、空気吸入設備内のチャージ圧の低下を膨張によって実現することが可能なサイズに規定され、その膨張は、プレナムチェンバー、各吸気管及び/又は分配管の中で部分的に行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼機関、特に、請求項1の上位概念にもとづく、コンプレッサーを備えた外部点火式燃焼機関に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼機関を動作させる場合、通常振動又は共鳴管のチャージング、或いはこれら二つのチャージングの組合せを実現する空気吸入設備が使用される。ターボチャージャー式燃焼機関では、吸入された燃焼空気が圧縮されるために、空気の温度上昇が起こる。自然吸気エンジンに必要とされる振動管式チャージング又は共鳴式チャージングによるチャージ効果は、気体力学的な圧縮によって、チャージ空気が加熱されて、それによってノッキング燃焼する傾向が強まるので、特に、オットーエンジンのチャージングの場合には、望ましいことではない。
【0003】
従って、ターボチャージャー式のディーゼルエンジン及びオットーエンジンでは、過度のチャージングを防止するために、コンプレッサーの後には、チャージ空気を冷却するためのチャージ空気冷却器が配置されている。特に、ターボチャージャー式オットーエンジンでは、そうすることによって、エンジンがノッキングする虞を最小限とすべきである。チャージ空気冷却器を大型化することによって、チャージ空気の温度を更に低下させることは、構造上の理由から一般的に不可能である。そのため、チャージ空気冷却器の効率を向上させるために、その下流には、燃焼空気の温度を更に低下させるための減圧機器が配備される。例えば、特許文献1により、そのようなチャージ空気を冷却するための装置が周知であり、そこでは、高いチャージ圧を加えられた燃焼空気を背圧弁で減圧している。この場合、背圧弁は、チャージ空気冷却器と燃焼機関の空気吸入設備の間に配置されている。
【0004】
同様に、特許文献2から、チャージ空気の温度を低下させるための減圧制御装置が周知であり、その装置によって、チャージされた空気の断熱式部分減圧を実現している。この場合、減圧制御装置は、ラバル管の形に構成されたノズル状の配管区間を備えており、このノズル状の配管区間が、吸気配管内の空気吸入設備の前に配置されている。これらの従来技術により周知のチャージ空気冷却器から出た後のチャージ空気を冷却するための措置は、吸気配管に減圧装置を配置する必要があり、そのため車両のエンジン室における構造上の追加的な負担を生じさせることとなる。
【特許文献1】ドイツ特許公開第10002482号明細書
【特許文献2】ドイツ特許公開第3627312号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のことから、本発明の課題は、最適な空気の吸入を実現することが可能なターボチャージャー式燃焼機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明にもとづき、請求項1の特徴を持つ装置によって解決される。
【0007】
本発明による燃焼機関は、空気吸入設備内で空気体積が膨張する段階の間に燃焼室内への空気の吸入が行われるように空気吸入設備が構成されていることを特徴とする。それによると、膨張段階の間に、空気体積の少なくとも一部が燃焼室内に流入する。その場合、プレナムチェンバー、各吸気管及び分配管の一つ以上の中で、チャージ空気の膨張が部分的に起こる。本発明にもとづき、分配管内への燃焼空気の流入から燃焼室への燃焼空気の流入、即ち、吸気管からの流出までの間において、連続的ではあるが、必ずしも一様ではない膨張を実現することが可能である。
【0008】
本発明では、空気吸入設備の分配管の長さは、空気吸入設備内での空気体積の膨張段階の間に燃焼機関の燃焼室内への空気の吸入が行われるような長さとされる。有利には、分配管の長さは、空気の吸入時点において、空気吸入設備内でのチャージ圧の低下を実現することが可能なサイズに規定される。本発明による空気吸入設備の実施形態、特に、分配管の長さの規定によって、最大エンジン出力での共鳴作用が防止されるとともに、更に、目的通り吸入時点に合わせた膨張を生じさせる空気吸入方法を実施することが可能となる。
【0009】
本発明による空気吸入設備の実施形態によって、空気の吸入時点において、各シリンダーによって吸入される空気体積の温度がプレナムチェンバーと燃焼機関の燃焼室の間で低下する空気吸入方法を実施することが可能となる。有利には、空気体積の温度を温度平均値以下に低下させることが行われる。空気吸入設備内の空気体積の温度値は、そのような温度平均値の周りで変動する。そのような温度平均値は、分配管の中央付近で生じる。
【0010】
本発明による空気吸入設備は、分配管の長さが分配管の相当直径に依存したサイズに規定されることを特徴とする。そうすることによって、空気吸入設備内で振動する空気が、より冷えた膨張段階の間に各燃焼室内に吸入され、その結果燃焼室内において、燃料と空気の混合物の比較的低い温度が得られることとなる。
【0011】
本発明による空気吸入設備の実施形態では、目的通りの膨張によって、追加的な可動部品を採用すること無く、空気吸入設備内のチャージ空気の効果的な冷却が実現される。そうすることによって、ターボチャージャー式燃焼機関のための安価で効率的な空気吸入設備が提供されることとなり、本発明による膨張式空気吸入設備は、ターボチャージャー式オットーエンジンにも、ディーゼルエンジンにも適したものとなる。
【0012】
本発明による実施形態では、分配管の長さが、燃焼機関の定格回転数に依存したサイズに規定される。それによって、本発明による空気吸入設備は、ターボチャージャー式燃焼機関に対して最適に設定されるとともに、特に、スポーツカーにおいて、より高い負荷点及び回転数に対する目的通りの調整が実現可能となる。
【0013】
本発明による空気吸入設備では、プレナムチェンバー内に吸入された空気体積の温度は、クランク角がチャージサイクルの上死点後90°とチャージサイクルの下死点後20°の間の範囲内に有る間に平均値以下に低下する。そうすることによって、20°以上の温度低下を実現することができる。従って、点火タイミングを明らかに早める方向にシフトすることが可能となり、その結果燃焼機関の効率が改善される。点火時点を早めることによって、排気ガス温度が低下し、その結果排気タービンを保護するためのグリース消費量が減少する。効率改善の更に別の結果として、同じエンジン出力に対して、必要なチャージ空気及び燃料が少なくなり、それによって、燃焼機関のスーパーチャージング全体が最適化されることとなる。
【0014】
本発明による更に別の特徴において、分配管の長さを分配管の相当直径に依存して構成することは、分配管の長さに対する分配管の相当直径の比率が0.05〜0.14となるように行われる。この場合、特に、定格回転数が5500〜7000回転/分に対して、吸気管の長さは、200mm又は150mm以下のサイズに規定すべきである。この場合、有利には、分配管の長さに対する分配管の相当直径の比率は、0.066、0.114又は0.136とする。そうすることによって、空気吸入設備内において、圧縮された燃焼空気の最適な膨張が実現され、その結果空気吸入設備からの燃焼空気が、明らかに低下した温度でシリンダーヘッドのインレットポートに流入することとなる。
【0015】
このような空気吸入設備の分配管の新しい幾何学的なサイズの規定によって、従来の空気吸入設備と比べて小さい直径の分配管が得られ、その結果エンジン室の構造上の負担が最適化されることとなる。本発明による空気吸入設備は、特に、エンジン回転数が高い場合、本発明によるサイズの規定によって、周知の共鳴チャージング効果とは完全に逆に作用する。圧縮の代わりに、燃焼空気の膨張を実現して、燃焼空気を更に冷却している。そのため、燃焼室内において、燃料と空気の混合物の低下した温度が得られ、その結果燃焼機関の点火時点を出力に対して最適に調整することが可能となる。
【0016】
本発明の更に別の実施形態では、燃焼機関は、一つ又は二つのシリンダーバンクを備えており、その場合シリンダーの数は、全部で6個である。本発明では、水平対向構造の外部点火式6気筒燃焼機関の場合、本発明による空気吸入設備が明らかに効率を改善させることが分かっている。それでも、本発明による空気吸入設備は、4気筒燃焼機関に対しても同様に適している。
【0017】
本発明の実施形態において、シリンダーへの充填を更に改善するために、本発明は、特に、外部点火によるスーパーチャージ式燃焼機関の場合、コンプレッサーによって、チャージ圧を更に上昇させて、空気吸入設備内で行われる膨張によるチャージ圧の低下分を回復させるものと規定する。有利には、同じエンジン出力に対して、従来のチャージ圧よりも3〜10%高いチャージ圧に調整する。この場合、従来のチャージ圧は、0.9〜1.5バールである。
【0018】
より高いチャージ圧に調整することによって、燃焼空気の温度がコンプレッサー後に上昇し、その結果燃焼空気の温度レベルをより高く調整することによって、より多くの熱量がチャージ空気冷却器に導入されることとなる。本発明にもとづき、チャージ空気冷却器を通して、従来のチャージ圧よりも約3〜10%大きい温度差が得られる。それによって、チャージ空気冷却器に導入される熱量が従来のチャージ圧比率の場合よりも55%にまで増えるので、チャージ空気冷却器の後において、従来又は一般的なスーパーチャージングの場合よりも僅かに高いだけの燃焼空気温度が実現される。ここで、吸気弁の閉鎖時点における燃焼室内の圧力レベルと温度レベルの両方が従来の空気吸入設備の場合よりも3〜4%低下するので、本発明による空気吸入設備によって追加的に得られる熱利得は、燃焼室内の燃料と空気の混合物の温度を低下させることとなる。従って、スーパーチャージ式エンジンを備えたスポーツカーの場合、特に、高い負荷点及び回転数では、同じエンジン出力において、より有利な燃料消費量を達成するか、或いは同じ燃料消費量において、より高いエンジン出力を達成することができる。
【0019】
本発明の更に別の実施形態では、本発明による燃焼機関において、本発明による膨張式空気吸入設備と組み合わせて、タービンの幾何学的な構造を調整することが可能な排気ターボチャージャーを採用することによって、空気吸入設備内で行われる燃焼空気の膨張をエンジンの動作状態に絶えず適合させることを行うものである。そうすることによって、本発明による燃焼機関では、点火時点の最適化と、従って、一層の効率改善とを達成することができる。
【0020】
更に別の特徴及び特徴の組合せは、本明細書から明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の具体的な実施例を図面に簡略化して図示するとともに、以下の記述において詳しく説明する。
【0022】
スーパーチャージ式燃焼機関1は、少なくとも一つのシリンダー2を備えており、そのシリンダー内では、シリンダー2内を長手方向にスライド可能な形で保持されたピストンとシリンダーヘッドの間に、図示されていない燃焼室が形成されている。燃焼機関1は、コンプレッサー8を介して燃焼空気を吸入する。本発明による意味において、燃焼機関1のスーパーチャージングとは、排気ガスターボチャージャー、機械式コンプレッサー又は電気式コンプレッサーの構成部品として形成されたコンプレッサー8によって実現することができるものである。燃焼空気が圧縮されることによって、チャージ空気の温度が上昇する。この温度を低下させるために、コンプレッサー8の後には、チャージ空気冷却器9が接続されている。
【0023】
図1には、本発明にもとづき構成された空気吸入設備3が図示されており、そこでは、空気誘導ダクト5を介してチャージ空気を分配管4に送り出している。図1に図示されている空気吸入設備3は、二つのシリンダーバンクを備えた燃焼機関1に対して、シリンダーバンク毎に一つの吸入マニホールド又はプレナムチェンバー6が配備された形で構成されている。この場合分配管4の中央への空気の供給が行われている。そこには、図示されていないスロットルハウジングがフランジにより接合されている。各プレナムチェンバー6には、シリンダーバンク毎に三つの吸気管7が配備されており、それらを介して、シリンダーヘッド内の図示されていないインレットポートとそれに続く燃焼室にチャージ空気を供給することが可能である。両方のプレナムチェンバー6は、中央の分配管4と接続されている。この場合、各プレナムチェンバー6は、吸気管7と一体的に構成されている。本発明では、この実施例において、一つの分配モジュール4aと、各プレナムチェンバーと一体的に構成された二つの配管部分4bとから成る分配管4が、両方のプレナムチェンバー6の間に配置されている。それらの接続は、ベルト式クリップ又はバネヨットと同様のプラグを用いて行うことができる。
【0024】
本発明では、分配管の長さLV は、プレナムチェンバー及び/又は分配管内で部分的に膨張が起こり、その目的通りの膨張によって、空気吸入設備3内の燃焼空気のチャージ圧の低下が起こるように、分配管の相当直径DV に依存したサイズに規定されている。本発明では、この膨張は、例えば、分配モジュール4a以降における、分配管4内への燃焼空気の入口と吸気管7からの出口の間の領域内で起こる。各シリンダー2の点火シーケンスに応じて、空気吸入設備内では、振動が起こり、そのため、空気吸入設備内において、各燃焼室と関連して、連続的ではあるが、必ずしも一様ではないチャージ空気の膨張を実現することが可能である。そうすることによって、燃焼室内への流入時のチャージ空気の温度とそのため燃焼室内の燃料と空気の混合物の温度を低下させることができ、その結果燃料消費率を低下させると同時に、エンジン出力を高めることが可能である。
【0025】
本発明では、温度を低下させる、混合物を調合するための膨張段階の間に、空気吸入設備3内で振動している空気を吸入し、そうすることによって、燃焼室内の燃料と空気の混合物の温度を低下させている。そのことは、効率を明らかに向上させることとなる。例えば、水平対向構造の6気筒エンジンの最大出力において、約15%の燃料消費量の低減が達成されている。
【0026】
本発明は、ここで述べている膨張式空気吸入設備3が6気筒又は4気筒の燃焼機関1に良く適していることを特徴とする。スーパーチャージ式6気筒エンジンに関して、分配管の長さLV は、次の式にもとづき決定される。
【0027】
【数1】

【0028】
スーパーチャージ式4気筒エンジンでは、膨張式空気吸入設備が有利な結果を達成することが可能な、分配管の長さLV に関する範囲は、次の式にもとづき決定される。
【0029】
【数2】

【0030】
この場合、LS は、プレナムチェンバー6と図示されていないシリンダーヘッドの間の吸気管の長さに相当する。LV の値は、分配管の長さを表し、その長さは、実施例に応じて様々に決定される。LV は、第一と第二のプレナムチェンバー6の間の接続パイプの管の長さである。図3又は5によるタンク4c又は11を備えた実施例では、LV は、分配管の区間の長さの合計となる(LV =LV1+LV2)。更に、nN は、最大出力が達成される燃焼機関の定格回転数に相当する。
【0031】
横断面の面積AV (x)を変更することが可能な分配管4では、接続管の内側の体積VV は、次の式にもとづき決定される。
【0032】
【数3】

【0033】
この場合、xは、管の中心線に沿った行程長の座標である。AV (x)が横断面の平均面積AM よりも大きい領域は、管ではなく、タンクと看做されて、管の長さLV 及び接続管の相当直径DV の計算には算入されない。
【0034】
そのことから、接続管の相当直径DV は、次の式にもとづき得られる。
【0035】
【数4】

【0036】
図2による第一の実施例では、分配管の長さLV は、二つのプレナムチェンバー6間の間隔に等しい値に設定される。図3による第二の実施例では、分配管の長さLV は、二つの区間の長さLV1とLV2から構成され、図4による第三の実施例では、分配管の長さは、分配管4のアーチの長さに相当する。図5による第四の実施例では、分配管の長さLV は、二つの区間の長さLV1とLV2から構成される。図6による第五の実施例では、分配管の長さLV は、二つのプレナムチェンバー6間の間隔に等しい値に設定され、図7による第六の実施例では、分配管の長さは、分配管4のアーチの長さに相当する。
【0037】
本発明では、膨張式空気吸入設備3を前述した式にもとづき設計することによって、燃焼室の入口開口部の所において、有利な低い温度が得られる。特に、約440mmの分配管の長さと50又は60mm、或いは50〜60mmの分配管の相当直径DV において、膨張率を大きく調整することが可能である。この場合、吸気管7は、200又は150mm未満、有利には、110〜140mmの長さLS を有する。それでも、分配管の長さLV の実施形態は、分配管の長さLV に対する分配管の相当直径DV の比率が、0.05〜0.14の範囲、特に、0.06〜0.13の範囲内となるように、分配管の相当直径DV に依存して選定することができる。ここで、6気筒エンジンでは、特に、吸気管の長さLS が150mmより短い場合に、0.066、0.114又は0.136の比率、或いはこれらの値の間に有る比率が、本発明の意味において、最適な結果となることが分かっている。
【0038】
ここで述べている燃焼機関1は、4サイクル方式で動作し、本発明は、2サイクル燃焼機関に対しても同様に適している。ピストンの長手方向の動きは、上死点OTと下死点UTの間に渡る。4サイクル燃焼機関1の第一の吸気サイクルでは、燃焼空気が、インレットポート又は吸気管7を介して燃焼室に供給され、その場合ピストンは、下方向の動きでチャージサイクルの上死点LW−OTからチャージサイクルの下死点UTまで動く。その次の圧縮サイクルでは、ピストンは、上方向の動きで、点火が行われる点火の上死点ZOTまで動く。その後、ピストンは、下方向の動きで、下死点まで伸びて、そして最後のサイクルにおいて、ピストンは、チャージサイクルの上死点LW−OTまでの上方向の動きで、燃焼室からガスを押し出す。
【0039】
図2に図示されているプレナムチェンバー6は、分配管4と接続されており、この分配管4は、空気誘導ダクト5内で支配的なチャージ空気圧力よりも低いチャージ空気圧力がプレナムチェンバー6内で支配的となった時点で燃焼空気が各燃焼室に供給されるように構成されている。本発明による空気吸入設備3によって得られる効果を明らかにするために、燃焼機関1のプレナムチェンバー6又は吸気管7内における空気の状態の幾つかの遷移を図8に図示している。そこには、安定化タンクに関する曲線が、理想化された従来技術を示している。このシステムは、空気吸入設備内で圧力変動が起こらないように、非常に大きな吸入体積を持つ形で構成されている。この場合、そのようなシステムは、通常実用化に向けてのパッケージング、重量及び走行可能性の理由から考慮されているので、評価用として利用される。
【0040】
それと対比される図8による空気吸入設備のサイズは、特徴的な指標をより良く図解するために、典型的な相違点が特に明確に際立つように選定されている。比較のために用いられている共鳴式吸入設備の共鳴管の選定した直径は、120mmであり、管の長さは、6000リットル/分に対して調整されている。吸入タンク又はプレナムチェンバー6は、6気筒のスポーツカー用の部品に相当するものである。吸気管は、三つの例全てにおいて同じであり、極端に短く50mmの長さと仮定している。
【0041】
図8の上のグラフには、図13〜16によるプレナムチェンバー6内の圧力の推移が図示されている。安定化タンクから約15リットルの体積を吸入する場合、圧力の振幅はほとんど変わっていない。タンク内での一定の圧力は、チャージ圧を象徴している。共鳴式チャージングの場合、共鳴式チャージングがコンプレッサーによるチャージングに追加されることとなるので、チャージ圧P、即ち、時間的な平均値は、約0.25バール低下している。膨張式吸入設備では、チャージ圧Pは、安定化タンク式設備の場合よりも約0.25バール高くなっており、共鳴式設備の場合よりも0.5バール高くなっている。チャージ空気の密度が高くなることにより、それに対応してより多くの体積がプレナムチェンバー6間で振動することとなるので、圧力の振幅は、明らかに自然吸気エンジンで周知の振幅よりも大きくなっている。
【0042】
図8では、圧力変動の位相位置が、クランク角で約70°相違している。それでも、別の幾何学的な形状によって、90°までの位相の相違が可能である。圧力Pの位相位置にもとづき、入口の所において、様々な体積流の推移が得られる。例えば、図8又は図13〜16によるシリンダーバンク1−2−3のプレナムチェンバー6内における体積流の推移と温度の推移を比較すると、膨張式吸入設備では、クランク角でチャージサイクルの上死点LW−OT後90°からチャージサイクルの下死点UT後20°までの120°の間に、プレナムチェンバー6内の温度が、その平均値Tmittel以下に低下していることが分かる。
【0043】
この結果は、最終的に第一のシリンダーの燃焼室内の温度推移TBで示されている。理想化された従来技術を表す安定化タンク式吸入設備と比較すると、20°以上の温度の低下が達成されている。図10では、この効果によって、従来のエンジン設計に対して、点火タイミングを明らかに早める方向にシフトさせることが可能となっている。こうすることによって、高圧での効率が改善されるとともに、図11にもとづき、エンジン出力が増大している。点火を早めることによって、排気ガスの温度が低下し、その結果排気タービンを保護するためのグリース消費量が減少する。
【0044】
図8の上のグラフに図示されている通り、吸気サイクルの第二の半サイクル、即ち、チャージサイクルの上死点LW−OTと下死点UTの間において、入口でのバルブリフト量が最大となっている。図8の中央のグラフに図示されている通り、プレナムチェンバー6内での膨張によって、吸気サイクルの第二の半サイクルにおいて、燃焼空気の温度が最小の温度値TMin となっている。本発明は、空気吸入設備3内、特に、プレナムチェンバー6及び吸気管7内に燃焼空気が吸入される時点で、気体力学的な膨張が支配的となるように、本発明による空気吸入設備3が構成されていることを特徴とする。そうすることによって、燃焼空気が燃焼室に流入した時に、燃焼空気が基本的に低い温度TMin を有することとなる。
【0045】
図3には、分配モジュール4aの代わりにタンク4cが分配管4の中央に配備された第二の実施例が図示されている。この実施例では、分配管の長さLV は、各プレナムチェンバー6とタンク4c間の間隔から構成される。図4による第三の実施例では、本発明による燃焼機関1は、同様にバングとして配置された6つのシリンダーを備えている。この場合、空気吸入設備3は、三つの前方のシリンダー2aに対して第一のプレナムチェンバー6aが配備され、それ以外の三つのシリンダー2bに対して第二のプレナムチェンバー6bが配備されており、燃焼空気が配分されるように構成されている。そのために、分配管4は、アーチ形状に構成されており、分配管の長さLV は、このアーチの長さに相当する。本発明では、分配管4は、シリンダー配置及びエンジン構造に応じて、本発明の範囲内で考えられる如何なる形状、例えば、アーチ形状、直線的な又は角張った形、或いは相異なる形状の組合せとして構成することが可能である。
【0046】
図5の第四の実施例では、第三の実施例の変化形態が図示されており、その場合分配管4は二つの区間に分割されており、空気誘導ダクト5と分配管の各区間10の間には、タンク11が配置されている。この実施例では、分配管の長さLV は、分配管の二つの区間の長さLV1とLV2から構成される。
【0047】
図6による本発明の第五の実施例では、追加的な分配管12がプレナムチェンバー6の間に配置されており、その分配管は、ここではフラップ13として構成された切換部材によって、エンジンパラメータに従って切り換えることが可能である。追加的な分配管12内に配置された切換用フラップ13によって、分配管の相当直径DV の大きさを調整することが可能である。そうすることによって、燃焼機関1の回転数に従って、チャージ空気の実現可能な膨張を調整することができる。同様に、前述した全ての実施例において、切換用フラップ13を備えた追加的な分配管12を配置することが考えられる。この場合、分配管の形状に応じて、分配管の相当直径DV の大きさに適合させるのに相応しい位置に、一つ又は二つの追加的な分配管12を配置することができる。図7に図示されている第六の実施構成は、図4による第五の実施構成の変化形態である。
【0048】
図12には、膨張したチャージ空気の燃焼室内への流入後における燃焼室内のチャージ温度TBの推移の例が図示されている。図12の三つの画像には、燃焼機関1の回転数に応じた様々な温度値が図示されている。それによると、回転数などの燃焼機関の動作パラメータに従って切換可能な追加的な分配管12によって、分配管の所定の相当直径DV に適合させるとともに、そのためチャージ空気の調整された膨張を実現することができる。従って、燃焼室内への流入時点におけるチャージ空気の最低温度を動作パラメータに従って調整することが可能となり、その結果燃焼機関1の各動作点において最適な効率が得られることとなる。
【0049】
以下においては、本発明による膨張式吸入設備3とその実施形態を更に詳しく説明する。図9に図示されている図1による空気吸入設備3のサイズ比率の模式図は、図12のチャージ空気の温度推移に従って導き出されたものである。この場合、図9に図示されている三角形は、図12のチャージ空気の温度値が低い温度範囲を表している。ここで、分配管の長さLV は、図9に図示されている一つの三角形内に交点が得られるように、分配管の相当直径DV に従って選定することができる。そのような構成によって、本発明による膨張式吸入設備3では、燃焼室の入口の所において、平均温度Tmittelよりも低いチャージ空気温度TMin が得られる。
【0050】
このような空気吸入設備3の幾何学的な構成は、図8の上のグラフによる第二の吸入プロセスの第二の半サイクルにおいて、変動しているチャージ空気の膨張段階が起こるようなチャージ空気の膨張を生じさせることとなる。図8では、吸入プロセスの第二の半サイクルにおける膨張段階によって、チャージ空気の最低温度値が実現されている。そして、本発明にもとづき、吸入された比較的冷たい空気体積によって、比較的低い温度での燃焼室のシリンダーへの充填が実現される。この効果は、図11によるノッキング限界を早める方向へのシフトを起こし、その結果より早い点火が可能となる。
【0051】
従って、燃焼機関1の点火時点を、より温かい温度でのシリンダーへの充填の場合よりも早い時点に調整することによって、エンジン出力を向上させることが可能である。このことは、出力を大幅に向上させることとなる。ノッキング傾向を目的通り低下させることによって、燃焼機関の圧縮比を増大させることが考えられる。
【0052】
空気吸入設備3内で行われる膨張を補償するために、コンプレッサー8によって、従来のスーパーチャージ式燃焼機関の場合よりも高く適合させたチャージ圧に調整している。本発明による膨張式吸入設備3で上昇させるチャージ圧は、例えば、従来の自然吸気式設備よりも0.15〜0.3バール高い値とすることができる。そのようなチャージ圧の上昇によって、チャージ空気冷却器9の前では、チャージ空気温度の約10°の上昇となり、チャージ空気冷却器9の後では、チャージ空気温度の約2〜3°の上昇が計測されている。それでも、調整した膨張によって、チャージ空気温度の更なる低下を起こして、その結果燃焼室の入口の所において、所望のチャージ圧レベルに維持することにより、図8と10による従来の温度よりも低いチャージ空気温度が得られる。従って、燃焼室へのより大きな空気流量が維持されると同時に、図10と11による燃焼機関1のノッキング限界のシフトによって、出力の上昇が達成される。
【0053】
二つのシリンダーバンクを備えた6気筒エンジン用の空気吸入設備3にもとづき、本発明を詳しく説明する。そのようなエンジンでの古典的な自然吸気設備と比べて、この空気吸入設備3の分配管4は、より長く、直径がより小さく、個々の吸気管7が、より短く構成されている。
【0054】
本発明では、本発明による空気吸入設備は、エンジン回転数が高い場合、共鳴式チャージング効果と逆に作用し、そのため圧縮の代わりに膨張を利用している。そのような空気吸入設備3内での膨張によって、空気を膨張させている。そうすることによって、空気は冷却され、その結果燃焼室内での燃料と空気の混合物のより低い温度が実現される。そのため、出力を最適化した形で、より冷却させた燃料と空気の混合物に点火することができる。
【0055】
図8では、共鳴式チャージングの場合、共鳴式チャージングがコンプレッサーによるチャージングに追加されることとなるので、チャージ圧、即ち、時間的に平均化した値が、約0.25バール低くなっている。それに対して、本発明による空気吸入設備3では、チャージ圧は、安定化タンク式設備よりも約0.25バール高くなっており、共鳴式設備よりも0.5バール高くなっている。この場合、チャージ空気の密度が高くなることによって、それに対応して、より多くの体積がプレナムチェンバー6の間で変動するので、圧力の振幅は、自然吸気エンジンの場合よりも明らかに大きくなっている。圧力変動の位相位置は、クランク角で約70°異なっている。そのような圧力の位相位置のために、図8の下のグラフにもとづき、入口の所での様々な体積流の推移が生じている。この場合、図8の中央のグラフでは、本発明による空気吸入設備3によって、プレナムチェンバー6内の温度が平均値Tmittel以下に低下していることが分かる。この効果は、温度の推移において明らかであり、そこでは、クランク角でチャージサイクルの上死点後90°とクランク角で下死点後20°の間の吸入段階の間に温度低下が20°以上となっている。
【0056】
図13〜16には、本発明による空気吸入設備3において、どのように変動が起こっているのかを表す立体的な変動形状が図示されている。ここでは、分配管及びシリンダーバンクの各吸気管内の体積流が図示されている。エンジンの動作中は、吸気弁の開閉が時間的にずれているために、空気吸入設備3内の空気体積が分配管の中心の周りで変動している。そのため、空気体積は、二つのプレナムチェンバー6の間で分配管の中心の周りを行ったり来たり変動している。図13〜16の右端の相異なる行程位置は、シリンダーバンク、ここではシリンダー1−2−3のプレナムチェンバー6を通過する長さが相異なることによって生じている。表示に関する理由から、図13〜16のシリンダーバンク1−2−3は、右側に図示されている。即ち、観察者は、車両の走行方向Aと対向する方向から見ている。この場合、図示されている行程は、対向して置かれたシリンダーバンク、ここではシリンダー4−5−6のプレナムチェンバー6からの移行部Bをゼロとして開始している。そのため、スロットルハウジングを介したチャージ空気の導入は、分配管の中央、即ち、行程が0.22メートルの所で行われている。そして、図13では、チャージ空気は、至る所からシリンダーバンク1−2−3の方向に流入しており、図13のグラフは、チャージサイクルの上死点LW−OTの直前の時点に相当する瞬間的な側面を表している。図14のグラフは、同様に図13と比べて、図13の場合よりもクランク角で60°遅れたピストンの位置に相当する瞬間的な側面を表している。
【0057】
更に、図15には、同様にピストンがチャージサイクルの上死点と下死点の間に有る時点に相当する瞬間的な側面が図示されている。この図15によるグラフには、シリンダー番号1に関する空気吸入プロセスが図示されており、ここではピストン速度が最大となる時点と吸気弁の最大上昇点に到達する直前の間で空気の吸入が行われている。この時点では、吸入設備内のチャージ空気は、対向して置かれたシリンダーバンクのシリンダー番号6の方向に変動している。ここに図示されている燃焼機関では、点火シーケンスが1、6、2、4、3、5で行われる。そのため、シリンダー番号1の吸気管7内では、空気は右に引っ張られ、その結果チャージ空気はプレナムチェンバー6内で膨張する。それによって、図16の平均値Tmittelよりも20°以上低下した空気温度が得られる。図13〜16では、クランク角で240°の変動周期のチャージ空気の変動サイクル内における四つの時間的な側面が図示されている。それは、本発明による燃焼機関がクランク角で720°以内の4サイクル過程に対する三つのサイクルを進行させることによって得られるものである。本発明による空気吸入設備3によって、チャージ空気の平均値Tmittel以下の特筆すべき温度低下が達成されている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】シリンダーが2列に配置されたスーパーチャージ式燃焼機関の本発明による空気吸入設備の斜視図
【図2】図1による空気吸入設備の第一の実施例の模式図
【図3】図1による空気吸入設備の第二の実施例の模式図
【図4】シリンダーが1列に配置された燃焼機関の本発明による空気吸入設備の第三の実施例の模式図
【図5】図4による空気吸入設備の第四の実施例の模式図
【図6】図1による空気吸入設備の第五の実施例の模式図
【図7】図4による空気吸入設備の第六の実施例の模式図
【図8】本発明による燃焼機関の空気吸入設備内における圧力、温度及び体積流の推移の模式的なグラフ
【図9】本発明による燃焼機関の空気吸入設備のサイズ比率の模式的なグラフ
【図10】燃焼機関の燃焼室内のチャージ温度の模式的なグラフ
【図11】図1による空気吸入設備の燃焼機関のエンジン出力に対する作用の模式的なグラフ
【図12】設定回転数に依存した、「吸気弁閉鎖」時点における本発明による燃焼機関の燃焼室内のシリンダーへのチャージング温度値の模式的なグラフ
【図13】チャージサイクルの上死点前の時点における図1による空気吸入設備の分配管内の体積流及び温度推移グラフ
【図14】チャージサイクルの上死点後の時点における図1による空気吸入設備の分配管内の体積流及び温度推移グラフ
【図15】チャージサイクルの上死点と下死点の間の時点における図1による空気吸入設備の分配管内の体積流及び温度推移グラフ
【図16】チャージサイクルの下死点の時点における図1による空気吸入設備の分配管内の体積流及び温度推移グラフ
【符号の説明】
【0059】
1 スーパーチャージ式燃焼機関
2,2a,2b シリンダー
3 本発明による空気吸入設備
4 空気吸入設備3の分配管
4a 分配モジュール
4b 配管部分
4c タンク
5 空気誘導ダクト
6 プレナムチェンバー
6a 第一のプレナムチェンバー
6b 第二のプレナムチェンバー
7 吸気管
8 コンプレッサー
9 チャージ空気冷却器
10 分配管4の区間
11 タンク
12 追加的な分配管
13 フラップ
N 燃焼機関の定格回転数
A 車両の走行方向
B プレナムチェンバー6からの移行部
V 分配管の相当直径
S 吸気管の長さ
V 分配管の長さ
V1,LV2 分配管の区間の長さ
LW−OT,OT チャージサイクルの上死点
P 圧力
T 温度
TB 燃焼室内のチャージ空気温度
Min 最小チャージ空気温度
mittel 平均チャージ空気温度
LW−UT,UT 下死点
ZOT 点火の上死点
ZZP 点火時点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシリンダー(2)と、空気吸入設備(3)と、燃焼空気を移送するためのコンプレッサー(8)と、ピストンとシリンダーヘッドの間に画定された、シリンダー(2)内に位置する燃焼室とを備えた燃焼機関(1)であって、
・空気吸入設備(3)が、少なくとも一つの分配管(4)と、複数の吸気管(7)と、少なくとも一つのプレナムチェンバー(6)とから構成され、プレナムチェンバー(6)は、分配管(4)と吸気管(7)の間に配置されており、
・空気吸入設備(3)への燃焼空気は、分配管(4)に合流する空気誘導ダクト(5)を介して移送され、
・コンプレッサー(8)からの出口後の燃焼空気のチャージ圧(P)は、燃焼機関(1)の燃焼室への入口までに低下される、
燃焼機関(1)において、
空気吸入設備(3)は、空気吸入設備内で空気体積が膨張している段階の間に、空気体積の少なくとも一部が燃焼機関(1)の燃焼室内に流入するように構成されていることを特徴とする燃焼機関。
【請求項2】
分配管の長さは、空気の吸入時点において、空気吸入設備(3)内のチャージ圧(P)の低下を実現することが可能なサイズに規定されていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼機関。
【請求項3】
空気の吸入時点において、各シリンダーに吸入される空気体積の温度が、プレナムチェンバー(6)と燃焼機関(1)の燃焼室との間で低下されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼機関。
【請求項4】
空気体積の温度平均値(Tmittel)以下への温度低下が、クランク角でチャージサイクルの上死点(LW−OT)後50°〜チャージサイクルの下死点(UT)後40°の範囲の間、特に、チャージサイクルの上死点(LW−OT)後90°〜チャージサイクルの下死点(UT)後20°の範囲の間に行われることを特徴とする請求項3に記載の燃焼機関。
【請求項5】
空気吸入設備(3)は、分配管の長さ(LV )が分配管の相当直径(DV )に依存して規定される形で構成されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項6】
分配管の長さ(LV )の実施形態は、分配管の長さ(LV )に対する分配管の相当直径(DV )の比率が0.05〜0.14又は0.06〜0.13となるように、分配管の相当直径(DV )に依存して行われていることを特徴とする請求項5に記載の燃焼機関。
【請求項7】
空気吸入設備(3)の実施形態は、吸気管の長さ(LS )が200mm又は150mmよりも短くなるように行われていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項8】
空気吸入設備(3)は、二つのプレナムチェンバー(6)を備えており、分配管(4)が、一つの分配モジュール(4a)と二つの分配管区間(4b)から構成され、各分配管区間(4b)が、分配モジュール(4a)とプレナムチェンバー(6)の中の一つとの間に配置されていることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項9】
燃焼機関(1)は、外部点火式燃焼機関、特に、水平対向構造の外部点火式燃焼機関として構成されており、シリンダー(2)の数が、4、6又は8個であることを特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項10】
分配管の長さ(LV )が、次の第一の式によって決まる長さ(L1 )よりも長く、
【数1】

ここで、Ls は各吸気管(7)の長さに相当し、nN は燃焼機関(1)の定格回転数に相当し、DV は分配管の相当直径に相当することを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項11】
分配管の長さ(LV )が、次の第二の式によって決まる長さ(L2 )よりも短く、
【数2】

ここで、Ls は各吸気管(7)の長さに相当し、nN は燃焼機関(1)の定格回転数に相当することを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項12】
分配管の長さ(LV )が、次の第三の式によって決まる長さ(L3 )よりも長く、
【数3】

ここで、Ls は各吸気管(7)の長さに相当し、DV は分配管の相当直径に相当することを特徴とする請求項1から9までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項13】
切換可能な第二の分配管(12)が配置されていることを特徴とする請求項1から12までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項14】
第二の分配管(12)には、分配管の相当直径(DV )の大きさを調整することが可能な切換用フラップ(13)が配備されていることを特徴とする請求項1から13までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項15】
燃焼機関(1)は、タービンの幾何学的な構造を調整することが可能な排気ターボチャージャーを備えていることを特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項16】
コンプレッサー(8)によるチャージ圧の追加的な上昇を調整することが可能であり、調整されたチャージ圧の値が、0.9バールと1.5バールの間に有る値よりも5%〜15%大きいことを特徴とする請求項1から15までのいずれか一つに記載の燃焼機関。
【請求項17】
空気吸入設備(3)内において実現可能な膨張が、動作パラメータ、特に、燃焼機関(1)の回転数(nN )に従って調整することが可能であることを特徴とする請求項1から16までのいずれか一つに記載の燃焼機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−19633(P2009−19633A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183396(P2008−183396)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【出願人】(508174975)ドクトル イング ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (134)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】