説明

現在位置情報通知システム、携帯端末装置、情報センタ装置及び現在位置情報通知方法

【課題】 移動体端末の電力消費量を大幅に低減することができる現在位置情報通知システムを提供する。
【解決手段】 現在位置情報通知システムにおいて、所持者が保有する携帯端末装置20は、当該所持者の現在位置を位置特定部22によって特定すると共に、当該所持者の移動速度を移動速度算出部23によって算出する。そして、携帯端末装置20は、所持者が乗り物に乗車していると判定された場合に、移動速度算出部23によって算出された所持者の移動速度と、所定の減速度とに基づいて、位置特定部22による位置特定周期を算出し、算出された周期に基づいて、所持者の現在位置情報を、通信部21を介して車載装置30に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の現在位置情報をセンタ装置を介した無線通信により別な移動体へと通知する現在位置情報通知システム、携帯端末装置、情報センタ装置及び現在位置情報通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩行者が存在する旨を示す情報を車両の運転者に通知する技術が、下記の特許文献1などにて知られている。この特許文献1には、歩行者が保有する移動体端末から所定の情報センタ装置に対して位置情報を送信させ、当該情報センタ装置によって歩行者の地図上の位置を認識し、その認識した位置情報を無線通信によって他の移動体である車両へと通知するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3549850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、歩行者の位置情報を定期的に取得して情報センタ装置に対して送信することから、歩行者が保有する移動体端末の電力消費量が膨大となってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、移動体端末の電力消費量を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1移動体が乗り物に乗車していないと判定された場合に、第1の所定周期を前記位置特定周期として算出すると共に、第1移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、第1移動体の移動速度及び所定の減速度に基づいて、第1の所定周期よりも長い第2の周期となる位置特定周期を算出し、この位置特定周期で算出した第1移動体の現在位置情報を、第2移動体が有する第2端末装置に対して送信するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1移動体が乗り物に乗車していない場合よりも、乗り物に乗車している場合に、第1端末装置によって移動体の現在位置を特定する周期を長くすることになり、当該移動体の現在位置情報を第2端末装置に対して送信する周期も長くなるので、移動体の位置特定及び通信にともなう第1端末装置の電力消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態として示す現在位置情報通知システムの構成について示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す現在位置情報通知システムにおける携帯端末装置において、位置特定周期及び通信周期の周期延長を行うか否かを判断する際の一連の手順を示すフローチャートである。
【図3】延長周期を算出するための所定の減速度の具体例を示す図である。
【図4】延長周期を算出するための所定の減速度の具体例を示す図であり、減速直前の加減速状態に応じた所定の減速度の具体例を示す図である。
【図5】通常周期と延長周期とにおける時間あたりの処理の回数について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態としての現在位置情報通知システムについて具体的に説明する。
【0010】
[現在位置情報通知システムの構成]
本発明の実施形態として示す現在位置情報通知システムは、図1に示すように、当該現在位置情報通知システムを統括的に管理する情報センタ装置10と、第1移動体である複数の者(以下、所持者と呼ぶ。)がそれぞれ有する携帯端末装置20と、第1移動体とは異なる第2移動体である複数の車両にそれぞれ搭載された端末装置である車載装置30とを備えている。現在位置情報通知システムは、主に、携帯端末装置20と車載装置30との間で通信を行う。これにより、現在位置情報通知システムは、携帯端末装置20によって取得された所持者の現在位置情報を車載装置30へと通知することができる。なお、携帯端末装置20と車載装置30との間での通信方式は、広域通信網を介した無線通信方式であってもよく、また、直接通信方式であってもよい。以下では、携帯端末装置20によって取得された所持者の現在位置情報を、広域通信網を介した無線通信方式により、情報センタ装置10を経由して車載装置30へと通知するものとする。
【0011】
情報センタ装置10は、当該現在位置情報通知システムを運営する運営者によって管理される情報提供サーバ等から構成される。具体的には、情報センタ装置10は、携帯端末装置20及び車載装置30との間でそれぞれ無線通信を行う通信部11と、各種情報を記憶する情報記憶部12と、当該情報センタ装置10を統括的に制御する処理部13とを備える。なお、図1において情報センタ装置10は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図1においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行っている。
【0012】
通信部11は、広域通信網を介した無線通信を行い、携帯端末装置20から送信された所持者の現在位置情報を含むメッセージを受信し、処理部13に供給する。また、通信部11は、広域通信網を介した無線通信を行い、所持者の現在位置情報を車載装置30に対して送信する。
【0013】
情報記憶部12は、当該情報センタ装置10で実行される各種アプリケーションソフトウェアや処理部13による各種処理において必要となるデータを記憶する。この情報記憶部12に記憶された情報は、処理部13によって読み出される。
【0014】
処理部13は、通信部11を介して所持者が保有する携帯端末装置20から受信したメッセージに基づいて各種処理を行う。例えば、処理部13は、携帯端末装置20との無線通信を行うことによって所持者の現在位置情報を取得する。そして、処理部13は、車載装置30に対して無線通信を行うことによって通知した際に発生する、実際の携帯端末装置20の現在位置との誤差を予測する。その後、処理部13は、予測した誤差を用いて携帯端末装置20から取得した所持者の現在位置情報を補正する等の処理を行う。
【0015】
携帯端末装置20は、第1移動体である所持者によって保有される例えば通話機能を備えた携帯電話装置やPDA(Personal Digital Assistant(s))等から構成される。具体的には、携帯端末装置20は、情報センタ装置10との間で無線通信を行う通信部21と、当該携帯端末装置20の現在位置を特定する位置特定部22と、当該携帯端末装置20を保有する所持者の移動速度を算出する移動速度算出部23と、各種情報を記憶する情報記憶部24と、当該携帯端末装置20を統括的に制御する処理部25とを備える。なお、図1において携帯端末装置20は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図1においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行っている。
【0016】
通信部21は、広域通信網を介した無線通信を行うことにより、所持者の現在位置情報を含むメッセージを情報センタ装置10に対して送信する。
【0017】
位置特定部22は、いわゆるGPS(Global Positioning System)受信機から構成される。この位置特定部22は、処理部25の制御のもとに、GPS衛星から送信される信号をGPSアンテナを介して受信する。これにより、位置特定部22は、GPS航法による位置計測を行い、当該携帯端末装置20の絶対位置(緯度、経度)情報を所持者の現在位置情報として取得する。位置特定部22は、取得した所持者の現在位置情報を処理部25に供給する。
【0018】
移動速度算出部23は、処理部25の制御のもとに、位置特定部22によって現在位置情報が取得される度に定期的に、当該携帯端末装置20を保有する所持者の移動速度を算出する。例えば、移動速度算出部23は、GPS衛星から送信される信号をGPSアンテナを介して受信し、この受信信号を用いて移動速度算出部23は、所持者の移動速度を算出する。
【0019】
具体的には、移動速度算出部23は、第n回目に処理を行う場合には、第n回目の位置特定時点での所持者の移動速度Vnを、次式(1)によって算出する。なお、次式(1)において、I,O,Tは、それぞれ、位置特定部22によって第n回目に特定された緯度、経度、並びに、これら緯度及び経度を特定した時刻である。同様に、次式(1)において、In−1,On−1,Tn−1は、それぞれ、位置特定部22によって第n−1回目に特定された緯度、経度、並びに、これら緯度及び経度を特定した時刻である。
【数1】

【0020】
移動速度算出部23は、算出した移動速度情報を処理部25に供給する。なお、携帯端末装置20は、位置特定部22によって特定された現在位置に関する情報に基づいて移動速度を算出する場合には、この移動速度算出部23を個別の機能モジュールとして設けなくてもよい。以下では、移動速度算出部23を設けた場合について説明するものとする。
【0021】
情報記憶部24は、当該携帯端末装置20で実行される各種アプリケーションソフトウェアや処理部25による各種処理において必要となるデータを記憶する。例えば、情報記憶部24は、後述する当該携帯端末装置20による位置特定周期及び通信周期の周期延長判断に必要となる所定の減速度の値等を記憶する。ここで、位置特定周期とは、位置特定部22によって携帯端末装置20の位置を特定する間隔である。通信周期は、通信部21によって現在位置情報を含むメッセージを情報センタ装置10に対して送信する間隔である。これら位置特定周期と通信周期とは一致したものであっても良く、異なっていても良い。以下の説明では、位置特定周期及び通信周期とが一致しているものとして説明する。また、所定の減速度については、後述する。この情報記憶部24に記憶された情報は、処理部25によって読み出される。
【0022】
処理部25は、位置特定部22によって現在位置情報が取得されたことに応じて、少なくとも当該携帯端末装置20を一意に特定する識別情報と、現在位置情報と、この現在位置情報を取得した時刻とを添付したメッセージを生成する。そして処理部25は、生成したメッセージを、通信部21を介して情報センタ装置10に対して送信する。また、処理部25は、位置特定部22によって現在位置情報が取得されたことに応じて、移動速度算出部23によって算出された所持者の移動速度情報に基づいて、位置特定周期及び通信周期の周期延長を行うか否かを判断し、周期延長を行う場合には、位置特定部22に対して位置特定周期を延長する旨の指示を出すと共に、通信部21に対して通信周期を延長する旨の指示を出す。
【0023】
車載装置30は、第2移動体である車両に搭載される。車載装置30は、例えば、車両の現在位置を検出し、地図データに基づいて描画された車両の現在位置に対応する地図をユーザである運転者に提示しながら、所望の目的までの経路案内を行うナビゲーション装置等から構成される。具体的には、車載装置30は、情報センタ装置10との間で無線通信を行う通信部31と、車両の現在位置を特定する位置特定部32と、各種情報を記憶する情報記憶部33と、当該車載装置30を統括的に制御する処理部34と、各種情報をユーザに提供する情報提供部35とを備える。なお、図1において車載装置30は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図1においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行っている。
【0024】
通信部31は、広域通信網を介した無線通信を行うことにより、情報センタ装置10から送信された所持者の現在位置情報を受信し、処理部34に供給する。
【0025】
位置特定部32は、いわゆるGPS受信機から構成され、処理部34の制御のもとに、GPS衛星から送信される信号をGPSアンテナを介して受信する。これにより、位置特定部32は、GPS航法による位置計測を行い、当該車載装置30が搭載された移動体である車両の絶対位置(緯度、経度)情報を算出する。また、位置特定部32は、図示しない距離センサによって検出された走行距離情報や図示しない方位センサによって検出された進行方位情報に基づいて、自律航法による車両の相対位置を算出する。そして、位置特定部32は、上述した絶対位置(緯度、経度)情報と相対位置情報とに基づいて、当該車載装置30が搭載された車両の地図上における位置を算出する。位置特定部32は、算出した車両の現在位置情報を処理部34に供給する。
【0026】
情報記憶部33は、ナビゲーション装置としての車載装置30で実行される各種アプリケーションソフトウェア、情報提供部35に表示させる地図の地図データ、マップマッチングやルートガイダンス等に用いる道路データ等、車両のナビゲーションや処理部34による各種処理に必要となる各種データを記憶する。この情報記憶部33に記憶された情報は、処理部34によって読み出される。
【0027】
処理部34は、位置特定部32によって算出された現在位置情報に基づいて、対応する地図データや道路データ等、車両のナビゲーションに必要となる各種情報を、情報記憶部33から読み出したり、通信部31を介して情報センタ装置10から無線通信によって取得したりする。また、処理部34は、図示しない操作スイッチを介してユーザによって入力される目的地と現在位置情報とを用いて、現在位置から目的地までの最適な走行経路を情報提供部35によって提示させ、目的地の近傍領域までの経路案内(ナビゲーション)を行うルートガイダンスを行う。このとき、処理部34は、情報提供部35を制御して、音声によるナビゲーションを実行することもできる。さらに、処理部34は、情報提供部35に表示させる表示画像を生成する。例えば、処理部34は、表示画像としてナビゲーション用の地図を生成し、情報提供部35に表示させる。
【0028】
さらにまた、処理部34は、携帯端末装置20から情報センタ装置10を介して無線通信によって取得した所持者の現在位置情報に基づく情報をユーザに提示するか否かを判定する。所持者の現在位置情報に基づく情報を提示すると判定した場合には、処理部34は、例えば所持者の現在位置情報を付加した表示画像を生成し、情報提供部35に表示させる。また、処理部34は、所持者の存在を音声にて提示しても良い。
【0029】
情報提供部35は、処理部34によって生成された表示画像を表示する。情報提供部35は、主に運転者に視認しやすい位置等、ユーザから視認しやすい位置に設置された液晶ディルプレイなどから構成される。情報提供部35は、例えば車両のインストルメントパネルの幅方向における略中央部に設けられる。また、情報提供部35は、ユーザが操作可能なタッチパネルとして構成されていてもよい。さらに、情報提供部35は、音声を出力するスピーカを有している。このスピーカは、主に運転者の左右両側位置等、ユーザから聴取しやすい位置に設置される。
【0030】
[現在位置情報通知システムの動作]
上述した現在位置情報通知システムにおいて、携帯端末装置20は、図2に示すような一連の手順にしたがって動作し、位置特定部22による位置特定周期及び通信部21を介した通信周期の周期延長を行うか否かを判断する。
【0031】
まず、携帯端末装置20は、ステップS1において、位置特定部22によって第1移動体である所持者の現在位置を特定する。
【0032】
次のステップS2において、携帯端末装置20は、移動速度算出部23によって上式(1)に示した算出式を用いて所持者の移動速度を算出する。
【0033】
続いて、携帯端末装置20は、ステップS3において、処理部25によって、ステップS2にて算出した所持者の移動速度情報に基づいて、当該所持者が乗り物に乗車しているか否かを判定する。具体的には、処理部25は、所持者の移動速度が所定の速度閾値以上である場合には当該所持者が乗り物に乗車していると判定し、移動速度が速度閾値未満である場合には当該所持者が乗り物に乗車していないと判定する。この速度閾値は、例えば人間が歩行する速度を超える速度値に設定されている。なお、処理部25は、時間的に連続して算出された複数の移動速度のうち、所定の速度閾値以上であるものの割合が所定割合以上である場合に、所持者が乗り物に乗車していると判定するようにしてもよい。
【0034】
ここで、携帯端末装置20は、所持者が乗り物に乗車していない歩行者と判定した場合には、ステップS7へと処理を移行し、処理部25によって、位置特定部22に対して位置特定周期を通常周期とする旨の指示を出すと共に、通信部21に対して通信周期を通常周期とする旨の指示を出し、一連の処理を終了する。したがって、携帯端末装置20は、直前の位置特定周期及び通信周期が通常周期であった場合には、その周期を変更せずに、次回の位置特定部22による現在位置情報の取得があるまで待機することになる。なお通常周期としては、所持者が歩行している場合に、歩行者の位置を適切に検出できる周期として、例えば3秒から5秒の周期の間の一定の周期とされている。
【0035】
一方、携帯端末装置20は、所持者が乗り物に乗車していると判定した場合には、ステップS4において、処理部25によって、ステップS2にて算出した所持者の移動速度情報及び所定の減速度に基づいて、位置特定周期及び通信周期についての通常周期を延長した延長周期を算出する。具体的には、処理部25は、第n回目に処理を行う場合には、次式(2)によって延長周期Pを算出する。
【数2】

【0036】
ここで、所定の減速度とは、所持者が例えば電車や車両、二輪車等の各種乗り物に乗車している状況を想定した場合において、その乗り物について一般的に発生し得る減速度のうちの最大減速度である。この所定の減速度は、無作為に抽出した、所持者が乗車している複数の乗り物に対して、図3に示すような利用頻度と減速度との関係を調査した結果に基づいて定められる値である。この利用頻度とは、所持者が乗車している乗り物が減速している総減速所要時間のうち、当該減速度で減速している時間が占める割合である。図3には、総減速所要時間のうち90%に「一般に発生し得る」最大減速度が含まれるものと置換して、所定の減速度として定めた例を示している。すなわち、端末携帯装置20を所持する所持者が乗り物に乗っている場合、乗り物に加減速が発生することになるが、乗り物の加減速が大きいほど、その乗り物の位置に対して、周囲が注意を払う必要が発生する可能性が高いため、加減速が大きいほど、位置を特定する周期を短くすることが求められる。これに対して、乗り物の加減速が大きくない場合には、その乗り物に対して、周囲が注意を払う必要は、加減速が大きい乗り物に比べると高くない。したがって、本実施の形態では、減速度に対応させて、位置を特定する周期を変更させることを考えるが、通常の加減速は一定の範囲内に収まるので、乗り物に乗っている場合には、ある所定の減速度を用いるようにした。
【0037】
処理部25は、このようにして定められる所定の減速度に基づいて、位置特定周期及び通信周期を延長した延長周期を算出する。ここで、所定の減速度は、所持者が一般的に不快に感じない値とするのが望ましく、実験結果から0.5G程度が望ましい。これは、例えば70km/hで走行している車両が停車するまでの減速度に相当する。したがって、この場合、処理部25は、延長周期を14秒として算出することになる。
【0038】
また、利用頻度と所定の減速度との関係は、所持者の減速直前の加減速状態によって異なる。この所定の減速度は、例えば、図4に示すように、所持者が減速直前に加速している場合よりも、加速していない場合の方が小さな値となる。
【0039】
したがって、処理部25は、減速直前の加減速度状態に応じた複数の所定の減速度が情報記憶部24に記憶されている状態で、ステップS2にて算出した所持者の移動速度に基づいて所持者の加減速度を算出する。そして、処理部25は、この加減速度に基づいて所定の減速度の値を選択し、延長周期を算出するようにしてもよい。これにより、携帯端末装置20は、所持者が減速直前に加速していない場合には、所持者の加減速度を考慮せずに算出した延長周期に比べて、長い延長周期とすることができるので、位置特定及び通信に要する電力消費量を低減することができる。
【0040】
携帯端末装置20は、このようにして延長周期を算出すると、ステップS5において、処理部25によって、ステップS4にて算出した延長周期と、所持者が乗り物に乗車していない場合における位置特定周期及び通信周期(通常周期)とを比較する。
【0041】
ここで、携帯端末装置20は、延長周期が通常周期未満であった場合には、ステップS7へと処理を移行する。そして、処理部25によって、位置特定部22に対して次周期以降の位置特定周期を通常周期とする旨の指示を出すと共に、通信部21に対して次周期以降の通信周期を通常周期とする旨の指示を出し、一連の処理を終了する。
【0042】
一方、携帯端末装置20は、延長周期が通常周期以上であった場合には、ステップS6へと処理を移行する。そして、処理部25によって、位置特定部22に対して次周期以降の位置特定周期を延長周期とする旨の指示を出すと共に、通信部21に対して次周期以降の通信周期を延長周期とする旨の指示を出し、一連の処理を終了する。
【0043】
携帯端末装置20は、このような一連の手順にしたがって、位置特定部22による位置特定周期と通信部21による通信周期との周期延長を行うか否かを判断することができる。特に、携帯端末装置20は、所持者が乗り物に乗車している場合には、延長周期と通常周期とのうち、長い周期を位置特定周期及び通信周期として設定する。これにより、携帯端末装置20は、例えば図5に示すように、常に通常周期で位置特定及び通信を行う場合に比べ、時間あたりの処理の回数を減らすことができ、位置特定及び通信に要する電力消費量を大幅に低減することができる。
【0044】
なお、携帯端末装置20が位置特定周期及び通信周期の周期延長を行うか否かを判断するものとして説明したが、情報センタ装置10が携帯端末装置20による位置特定周期及び通信周期の周期延長を行うか否かを判断するようにしてもよい。すなわち、情報センタ装置10は、携帯端末装置20における位置特定部22や移動速度算出部23と同様の機能を設け、携帯端末装置20から所持者の現在位置情報を無線通信によって取得する度に、当該所持者の移動速度を算出し、算出した移動速度情報に基づいて、当該所持者が乗り物に乗車しているか否かを判定する。そして、情報センタ装置10は、その判定結果に基づいて、通常周期又は延長周期とするか否かの決定や延長周期の算出処理等を行い、その指示を携帯端末装置20に対して送信して設定させるようにしてもよい。この場合においても、携帯端末装置20は、常時通常周期で位置特定及び通信を行う場合に比べ、時間あたりの処理の回数を減らすことができ、位置特定及び通信にともなう電力消費量を大幅に低減することができる。
【0045】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態として示した現在位置情報通知システムは、第1移動体である所持者の現在位置を位置特定部22によって位置特定周期ごとに特定すると共に、特定された第1移動体の現在位置に基づき当該所持者の移動速度を移動速度算出部23によって算出する。そして、この現在位置情報通知システムは、第1移動体の移動速度に基づき第1移動体が乗り物に乗車していないと判定された場合に、第1の所定周期を前記位置特定周期として算出すると共に、第1移動体の移動速度に基づき所持者が乗り物に乗車していると判定された場合に、移動速度算出部23によって算出された所持者の移動速度及び所定の減速度に基づいて、第1の所定周期よりも長い第2の周期となる位置特定周期を算出する。これにより、位置特定部22は、算出された位置特定周期ごとに、第1移動体の現在位置を特定し、算出した周期に基づいて、所持者の現在位置情報を、通信部21を介して第2移動体である車両が有する車載装置30に対して送信する。
【0046】
これにより、この現在位置情報通知システムによれば、携帯端末装置20によって所持者の現在位置を特定する周期を変更することができるため、当該携帯端末装置20によって所持者の現在位置を特定する周期を長くすることになり、当該所持者の現在位置情報を車載装置30に対して送信する周期も長くなるので、携帯端末装置20による所持者の位置特定及び通信を不要に行うことがなくなり、これら処理にともなう当該携帯端末装置20の電力消費量を大幅に低減することができる。
【0047】
具体的には、この現在位置情報通知システムによれば、処理部25によって所持者が乗り物に乗車していると判定された場合に、位置特定部22による位置特定周期及び通信部21による通信を行う周期を延長するので、携帯端末装置20による不要な所持者の位置特定及び通信にともなう当該携帯端末装置20の電力消費量を大幅に低減することができる。
【0048】
また、この現在位置情報通知システムは、所持者が乗り物に乗車していると判定された場合に、所持者の移動速度及び所定の減速度に基づいて算出した延長周期が、所持者が乗り物に乗車していない場合における通常周期以上である場合には、次周期以降の周期を通常周期より延長した延長周期とし、位置特定周期及び通信周期を延長できる。したがって、この現在位置情報通知システムによれば、携帯端末装置20による不要な所持者の位置特定及び通信にともなう当該携帯端末装置20の電力消費量を大幅に低減することができる。
【0049】
さらに、この現在位置情報通知システムは、所持者が乗り物に乗車していると判定された場合に、所持者の移動速度及び所定の減速度に基づいて算出した延長周期が、通常周期未満である場合には、次周期以降の周期を通常周期とし、位置特定周期及び通信周期を延長できる。したがって、この現在位置情報通知システムによれば、携帯端末装置20によって必要な位置特定及び通信が行われない事態を防止することができる。
【0050】
さらにまた、この現在位置情報通知システムは、所持者の移動速度に基づいて減速直前の加減速度を算出し、所持者が乗り物に乗車していると判定された場合に、所持者の移動速度及び所定の減速度と、算出された減速直前の加減速度とに基づいて、位置特定周期及び通信を行う周期を延長する。したがって、この現在位置情報通知システムによれば、所持者が減速直前に加速していない場合には、加減速度を考慮せずに算出した延長周期に比べて、長い延長周期とすることができるので、携帯端末装置20による不要な所持者の位置特定及び通信にともなう当該携帯端末装置20の電力消費量をより大幅に低減することができる。
【0051】
以下、参考として、上述した実施形態と特許請求の範囲に記載の構成要件との対応関係について付記する。
【0052】
特許請求の範囲に記載の「第1端末装置」が、上述した実施形態における「携帯端末装置20」に相当し、特許請求の範囲に記載の「第1移動体」が、上述した実施形態における「所持者」に相当し、特許請求の範囲に記載の「第2端末装置、他の端末装置」が、上述した実施形態における「車載装置30」に相当し、特許請求の範囲に記載の「第2移動体、他の移動体」が、上述した実施形態における「車両」に相当し、特許請求の範囲に記載の「位置特定手段」が、上述した実施形態における「位置特定部22」に相当し、特許請求の範囲に記載の「移動速度算出手段」が、上述した実施形態における「移動速度算出部23」に相当し、特許請求の範囲に記載の「乗車判定手段、周期算出手段」が、上述した実施形態における「処理部25」に相当し、特許請求の範囲に記載の「通信手段」が、上述した実施形態における「通信部21」に相当する。また、特許請求の範囲に記載の「情報センタ装置」が、上述した実施形態における「情報センタ装置10」に相当する。更に、携帯端末装置についての請求項に記載の「位置取得手段」が、上述した実施形態における「通信部11、処理部13」に相当し、携帯端末装置についての請求項に記載の「移動速度算出手段、乗車判定手段、周期算出手段、制御手段」が、上述した実施形態における「処理部13」に相当する。
【0053】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
10 情報センタ装置
11,21,31 通信部
12,24,33 情報記憶部
13,25,34 処理部
20 携帯端末装置
22,32 位置特定部
23 移動速度算出部
30 車載装置
35 情報提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末装置を有する第1移動体の現在位置情報を前記第1移動体とは異なる第2移動体へと通知する現在位置情報通知システムにおいて、
前記第1移動体の現在位置を位置特定周期ごとに特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段により特定された前記第1移動体の現在位置に基づき前記第1移動体の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
前記移動速度算出手段により算出された前記第1移動体の移動速度に基づき前記第1移動体が乗り物に乗車しているか否かを判定する乗車判定手段と、
前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していないと判定された場合に、第1の所定周期を前記位置特定周期として算出すると共に、前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、前記移動速度算出手段によって算出された前記第1移動体の移動速度及び所定の減速度に基づいて、前記第1の所定周期よりも長い第2の周期となる位置特定周期を算出する周期算出手段と、
前記第1移動体の現在位置情報を、前記第2移動体が有する第2端末装置に対して送信する通信手段とを備え、
前記位置特定手段は、前記周期算出手段によって算出された位置特定周期ごとに、前記第1移動体の現在位置を特定することを特徴とする現在位置情報通知システム。
【請求項2】
前記周期算出手段は、前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、前記位置特定周期を通常周期より延長した延長周期とすることを特徴とする請求項1記載の現在位置情報通知システム。
【請求項3】
前記周期算出手段は、前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、前記移動速度算出手段によって算出された前記第1移動体の移動速度及び前記所定の減速度に基づいて算出した前記延長周期が、前記第1移動体が乗り物に乗車していない場合における所定の通常周期以上である場合に、前記位置特定周期を前記延長周期とすることを特徴とする請求項2記載の現在位置情報通知システム。
【請求項4】
前記周期算出手段は、前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、前記移動速度算出手段によって算出された前記第1移動体の移動速度及び前記所定の減速度に基づいて算出した延長周期が、前記通常周期未満である場合に、前記位置特定周期を前記通常周期とすることを特徴とする請求項3記載の現在位置情報通知システム。
【請求項5】
前記移動速度算出手段によって算出された前記第1移動体の移動速度に基づいて、減速直前の加減速度を算出する加減速度算出手段を備え、
前記周期算出手段は、前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、前記移動速度算出手段によって算出された前記第1移動体の移動速度と、前記所定の減速度と、前記加減速度算出手段によって算出された減速直前の加減速度とに基づいて、前記位置特定手段による位置特定周期を延長することを特徴とする請求項2乃至請求項4のうちいずれか1項記載の現在位置情報通知システム。
【請求項6】
当該携帯端末装置を有する移動体の現在位置を位置特定周期ごとに特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段により特定された前記移動体の現在位置に基づき前記移動体の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
前記移動速度算出手段により算出された前記移動体の移動速度に基づき前記移動体が乗り物に乗車しているか否かを判定する乗車判定手段と、
前記乗車判定手段によって前記移動体が乗り物に乗車していないと判定された場合に、第1の所定周期を前記位置特定周期として算出すると共に、前記乗車判定手段によって前記移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、前記移動速度算出手段によって算出された前記移動体の移動速度及び所定の減速度に基づいて、前記第1の所定周期よりも長い第2の周期となる位置特定周期を算出する周期算出手段と、
前記移動体の現在位置情報を、当該移動体とは異なる他の移動体が有する他の端末装置に対して送信する通信手段とを備え、
前記位置特定手段は、前記周期算出手段によって算出された位置特定周期ごとに、前記移動体の現在位置を特定することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項7】
第1端末装置を有する第1移動体の現在位置情報を、無線通信によって前記第1移動体とは異なる第2移動体へと通知する情報センタ装置において、
前記第1端末装置から位置特定周期ごとに特定されて送信された前記第1移動体の現在位置を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段により取得された前記第1移動体の現在位置に基づき前記第1移動体の移動速度を算出する移動速度算出手段と、
前記移動速度算出手段により算出された前記第1移動体の移動速度に基づき前記第1移動体が乗り物に乗車しているか否かを判定する乗車判定手段と、
前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していないと判定された場合に、第1の所定周期を前記位置特定周期として算出すると共に、前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、前記移動速度算出手段によって算出された前記第1移動体の移動速度及び所定の減速度に基づいて、前記第1の所定周期よりも長い第2の周期となる位置特定周期を算出する周期算出手段と、
前記周期算出手段によって算出された位置特定周期ごとに、前記第1移動体の現在位置を特定するように当該第1端末装置に指示する制御手段と
を備えることを特徴とする情報センタ装置。
【請求項8】
第1端末装置を有する第1移動体の現在位置情報を前記第1移動体とは異なる第2移動体へと通知する現在位置情報通知方法において、
位置特定周期ごとに特定された前記第1移動体の現在位置に基づき算出された前記第1移動体の移動速度に基づいて、前記第1移動体が乗り物に乗車しているか否かを判定し、
前記乗車判定手段によって前記第1移動体が乗り物に乗車していないと判定された場合に、第1の所定周期を前記位置特定周期として算出し、前記第1移動体が乗り物に乗車していると判定された場合に、前記第1移動体の移動速度及び所定の減速度に基づいて、前記第1の所定周期よりも長い第2の周期となる位置特定周期を算出し、
前記算出された位置特定周期ごとに特定された前記第1移動体の現在位置情報を、前記第2移動体が有する第2端末装置に対して送信すること
を特徴とする現在位置情報通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−170431(P2010−170431A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13605(P2009−13605)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】