説明

画像処理装置、アイコン等描画方法およびアイコン等描画プログラム

【課題】 3D空間的な遠近感を持たせつつ2D的表示サイズの制限と距離による表示数の制限をかけることで、3D立体地図上における各種表示物の見やすさを向上させる。
【解決手段】 視点と2次元的な表示物との距離を距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断する手段と、第1のエリアに含まれる場合に、表示物のディスプレイ画面上の描画サイズを最大値に設定する手段と、第2のエリアに含まれる場合に、距離の長短に応じて表示物のディスプレイ画面上の描画サイズを最小値から最大値まで連続的に変化する値に設定する手段と、第3のエリアに含まれる場合に、表示物のディスプレイ画面上の描画サイズを最小値に設定する手段と、第4のエリアに含まれる場合に、表示物の描画をスキップする手段と、描画サイズが設定された表示物をディスプレイ画面に2次元的に描画する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置等に適用可能な画像処理装置、アイコン等描画方法およびアイコン等描画プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内において自車の位置や進行方向等をディスプレイ画面の地図上に表示するカーナビゲーション装置が普及してきているが、昨今の描画技術の目覚しい発展により、カーナビゲーション用の地図も3D(3次元:3-Dimension)による立体化を迫られてきている。ここで、カーナビゲーションにおける地図の3D化とは、主役である「道」を表示しつつ、3D化された建造物も同時に描画するものである。
【0003】
ところで、カーナビゲーション装置のディスプレイ画面上には、道路や建造物の他に、サービスステーション等の施設や目的地を示すアイコンや名称文字等の様々な表示物が存在する。このような表示物を3D地図において表示する場合、従来の手法は大まかに以下の2種類があった。
(1)表示物の位置を示す空間座標をディスプレイ画面に投影し、固定サイズのアイコン等を2D(2次元:2-Dimension)画像として表示する手法
(2)表示物の位置を示す空間座標上に、それぞれの表示物を3D画像としてそのまま表示する手法(例えば特許文献1を参照)
【特許文献1】特開平9−319302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の手法(1)にあっては、大量のアイコンや名称文字がディスプレイ画面で重なって見難くなるとともに、固定サイズのアイコン等であるために3D空間に存在する表示物としての遠近感が感じられないという問題があった。
【0005】
また、上述した従来の手法(2)にあっては、実際に表示物が3D空間上に置かれていることから距離による遠近感は感じられるが、視点(カメラ位置)から遠くになると表示物が小さくなり過ぎて認識できないという問題があった。反対に、遠くからでも認識できるようなサイズにしてしまうと、近づいたときに大き過ぎてディスプレイ画面に対して邪魔な表示になってしまうという問題があった。従って、手法(2)は表示エリアが狭い場合にのみ有効な手法であり、表示エリアが広い場合には適していなかった。
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、3D空間的な遠近感を持たせつつ2D的表示サイズの制限と距離による表示数の制限をかけることで、3D立体地図上における各種表示物の見やすさを向上させることのできる画像処理装置、アイコン等描画方法およびアイコン等描画プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明にあっては、請求項1に記載されるように、道および立体的な建造物の表示を含む3次元地図を表示手段に表示する画像処理装置であって、上記表示手段に表示する視野を定める視点と2次元的な表示物との距離を、距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断する手段と、上記視点と上記表示物との距離が上記第1のエリアに含まれる場合に、上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最大値に設定する手段と、上記視点と上記表示物との距離が上記第2のエリアに含まれる場合に、上記距離の長短に応じて上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最小値から最大値まで連続的に変化する値に設定する手段と、上記視点と上記表示物との距離が上記第3のエリアに含まれる場合に、上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最小値に設定する手段と、上記視点と上記表示物との距離が上記第4のエリアに含まれる場合に、上記表示物の描画をスキップする手段と、描画サイズが設定された上記表示物を上記表示手段に2次元的に描画する手段とを備えるカーナビゲーション装置を要旨としている。
【0008】
また、請求項2に記載されるように、請求項1に記載の画像処理装置において、上記表示物の種類毎に定められた最大足長に、上記視点から上記表示物を見下ろす俯角に応じて補正した値の長さを持ち、上端が上記表示物に接し、下端が上記表示物の表示位置に位置する逆三角形状の足エフェクトを描画する手段を更に備えるようにすることができる。
【0009】
また、請求項3に記載されるように、請求項1または2のいずれか一項に記載の画像処理装置において、上記表示物が特別な地点を示す表示である場合、上記第4のエリアに含まれる場合に描画をスキップした上記表示物につき、地平線もしくは水平線の先であって表示位置に相当する位置に最小値の描画サイズで上記表示物を表示するようにすることができる。
【0010】
また、請求項4に記載されるように、道および立体的な建造物の表示を含む3次元地図を表示手段に表示する画像処理装置であって、上記表示手段に表示する視野を定める視点と3次元的な表示物との距離を、距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断する手段と、上記視点と上記表示物との距離が上記第1のエリアに含まれる場合に、上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最小値に設定する手段と、上記視点と上記表示物との距離が上記第2のエリアに含まれる場合に、上記距離の長短に応じて上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最大値から最小値まで連続的に変化する値に設定する手段と、上記視点と上記表示物との距離が上記第3のエリアに含まれる場合に、上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最大値に設定する手段と、上記視点と上記表示物との距離が上記第4のエリアに含まれる場合に、上記表示物の描画をスキップする手段と、描画サイズが設定された上記表示物を上記表示手段に3次元的に描画する手段とを備えるようにすることができる。
【0011】
また、請求項5または6に記載されるように、アイコン等描画方法として構成することができる。
【0012】
また、請求項7または8に記載されるように、アイコン等描画プログラムとして構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像処理装置、アイコン等描画方法およびアイコン等描画プログラムにあっては、3D空間的な遠近感を持たせつつ2D的表示サイズの制限と距離による表示数の制限をかけることで、3D立体地図上における各種表示物の見やすさを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態につき図面を参照して説明する。なお、本発明をカーナビゲーション装置に適用した場合について説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態にかかるカーナビゲーション装置の構成例を示す図である。図1において、カーナビゲーション装置100は、3D地図情報(アイコン等の表示物の情報を含む)を格納するハードディスク装置101と、ハードディスク装置101から地図情報を読み出すディスク読取装置102と、読み出した地図情報をバッファリングするデータバッファ103と、ディスク読取装置102における地図情報の読み出しを制御する地図読出制御部104とを備えている。なお、ハードディスク装置101とともに、あるいはハードディスク装置101に代え、DVD(Digital Versatile Disk)装置、CD(Compact Disk)装置等を用いることができる。また、カーナビゲーション装置100は、当該装置の搭載される車輌の位置情報を取得するGPS受信機105と、車輌の進行方向、加速度、速度、走行距離等を検出する自律航法センサ106と、これらから車輌位置を算出する車輌位置計算部107とを備え、算出された車輌位置の情報は地図読出制御部104に与えられ、地図読出制御部104は車輌位置の属する範囲の地図情報を読み出すようディスク読取装置102を制御する。
【0016】
一方、カーナビゲーション装置100は、データバッファ103から取得した地図情報および車輌位置計算部107から取得した車輌位置情報に基づいて遠景をVRAM(Video Random Access Memory)115に描画する遠景描画部108と、データバッファ103から取得した地図情報に基づいて道および立体的な建造物をVRAM115に描画する地図描画部109と、データバッファ103から取得した地図情報に基づいてアイコン等の表示物をVRAM115に描画するマーク画像描画部111と、データバッファ103から取得した地図情報に基づいて操作画面をVRAM115に描画する操作画面描画部112と、データバッファ103から取得した地図情報および車輌位置計算部107から取得した車輌位置情報に基づいて、別途ユーザから指定された目的地までの最適な経路を検索する経路検索処理部113と、経路の検索結果に基づいて誘導経路をVRAM115に描画する誘導経路描画部114とを備えている。また、VRAM115に描画された遠景画像、地図画像、表示物画像、操作画面画像、誘導経路画像を出力する画像出力部116と、画像合成された画像をユーザに向けて表示するディスプレイ装置117とを備えている。
【0017】
図2はアイコン等の2D表示物の表示位置と描画サイズの関係の例を示す図であり、ディスプレイ画面1において、その視野を定める視点(カメラ)側から距離L、L、Lにより区分されるエリアA、A、A、Aを定め、表示物の表示位置がいずれのエリアに属するかによって表示物の描画サイズを変化させるようにしている。なお、エリアAの上は遠景(空、山並み、街並み等の画像)が表示されるエリアである。
【0018】
ここで、
X:表示物の空間表示座標(地面2次元座標)と視点座標の距離
:視点が近づいても描画サイズがこれ以上大きくならない距離
:視点が遠ざかっても描画サイズがこれ以上小さくならない距離
:視点が遠ざかったらこれ以上奥には表示物を表示しない距離
であり、X≧0、0<L<L<Lである。
【0019】
また、
S:表示物の描画サイズ
min:ディスプレイ画面において認識できる表示物の最小の描画サイズ
max:ディスプレイ画面において邪魔にならない表示物の最大の描画サイズ
である。
【0020】
各エリアA〜Aは次のような意味合いを持つ。
・エリアA(X<L):表示物が最大の描画サイズで表示されるエリアであり、画面に対して見える最も大きい表示サイズを保つ表示エリアである。大きすぎて画面に対して邪魔になるのを防ぐためのエリアでもある。そのときの描画サイズをSmaxとする。
・エリアA(L≦X<L):描画サイズが拡縮するエリアであり、距離Xに応じて描画サイズが変化することで遠近感を感じさせる。描画サイズの変化範囲はSmin<S<Smaxとする。
・エリアA(L≦X<L):表示物が最小の描画サイズで表示されるエリアであり、ディスプレイ画面に対して見える最も小さい表示サイズを保つ表示エリアである。小さすぎて認識できないのを防ぐためのエリアでもある。そのときの描画サイズをSminとする。
・エリアA(X≧L):表示物を表示しないエリアであり、最も奥になるエリアである。表示物が大量に表示されるのを防ぐための足切りラインでもある。
【0021】
図2においては、例として、エリアAにある表示物2a、エリアAにある表示物2b、エリアAにある表示物2cを示しており、エリアAの表示物2aは描画サイズS=Sminでディスプレイ画面1上に2次元的に描画され、エリアAの表示物2bは描画サイズSがSmin〜Smaxの範囲で距離Xに応じた描画サイズでディスプレイ画面1上に2次元的に描画され、エリアAの表示物2cは描画サイズS=Smaxでディスプレイ画面1上に2次元的に描画される。また、各表示物2a、2b、2cは、上端が表示物2a、2b、2cに接し、下端が表示位置に位置する逆三角形状の足エフェクト3a、3b、3cを伴って地面上から浮いた状態となっており、これらの足エフェクト3a、3b、3cの長さについても表示位置に応じて長さが適切に制御され、表示物2a、2b、2cとともにディスプレイ画面1上に2次元的に描画される。
【0022】
図3はアイコン等の2D表示物の表示位置と足エフェクトの長さの関係の例を示す図であり、各表示物の大きさは画面上に投影描画された場合の描画サイズとなるように概念的に示している。ここで、
θ:視点(カメラ)の俯角
h:俯角θによって変化する足エフェクトの長さ
max:表示物の種類毎に設定された足エフェクトの最大長さ
とすると、各表示物は常に視点を向いたものとなり、足エフェクトの長さは最大がhmaxで、俯角θが大きくなるにつれて短くなる。具体的には、最大長さhmaxにcosθを乗じたものが足エフェクトの長さとなり、3次元的なオブジェクトを俯角θをもって見た場合の長さに相当する。図3では、視点から最も遠くにある表示物2aの足エフェクト3aの長さhは最大長さhmaxに近いものとなり、表示物2bの足エフェクト3bの長さh、表示物2cの足エフェクト3cの長さhの順に短くなる。
【0023】
図4はアイコン等の2D表示物の描画の処理例を示すフローチャートであり、図1におけるマーク画像描画部111においてソフトウェア(コンピュータプログラム)により実現される処理を示している。図4において、表示物についての表示データの読み出しを行い(ステップS1)、表示座標(表示位置)の検出を行う(ステップS2)。次いで、表示座標と視点位置の距離Xの算出を行い(ステップS3)、L≦X<Lであるか否か、すなわち図2におけるエリアAに存在するか否かを判断し(ステップS4)、該当する場合は描画サイズSをSminに設定する(ステップS5)。該当しない場合(ステップS4のNO)はX<Lであるか否か、すなわち図2におけるエリアAに存在するか否かを判断し(ステップS6)、該当する場合は描画サイズSをSmaxに設定する(ステップS7)。該当しない場合(ステップS6のNO)はL≦X<Lであるか否か、すなわち図2におけるエリアAに存在するか否かを判断し(ステップS8)、該当する場合は距離Xの長短に応じて描画サイズSを最小値Sminから最大値Smaxまで連続的に変化する値に設定する(ステップS9)。該当しない場合(ステップS8のNO)はX≧Lとみなして表示物の描画をスキップし(ステップS10)、表示データの読み出し(ステップS1)に戻る。描画サイズSの設定(ステップS5、S7、S9)により、描画サイズSが決定される(ステップS11)。
【0024】
次いで、表示物毎の足エフェクトの最大長さhmaxを検出し(ステップS12)、視点俯角θにより足エフェクトの長さhを算出する(ステップS13)。次いで、足エフェクトの長さhが最大長さhmaxより大きいか否かを判断し(ステップS14)、大きくない場合はそのまま、大きい場合にはhmaxとし(ステップS15)、足エフェクトの長さhを決定する(ステップS16)。そして、既に決定された表示物の描画サイズSと足エフェクトの長さhに基づいてディスプレイ画面に表示物および足エフェクトを2次元的に描画する(ステップS17)。
【0025】
このように、アイコン等の2D表示物については、視点から近い距離にあるものは固定の最大描画サイズで描画するので、近づいたときに大き過ぎてディスプレイ画面に対して邪魔な表示になってしまうということがなくなり、遠い距離では認識可能な最小描画サイズで描画するので、小さくなり過ぎて認識できないということがなくなる。また、その中間の距離の場合は距離に応じて描画サイズが変化するため、遠近感を表現することができる。更に、所定距離以上では表示物の表示を行わないため、表示物が多くなり過ぎるのを防止することができる。一方、足エフェクトを伴う場合には、足エフェクトの長さが視点からの俯角によって変化するため、3次元空間内にあるオブジェクトと同様の視覚的効果を発揮し、表示物の指し示す地点(表示位置)を認識しやすい。また、足エフェクトの長さは表示物の種類毎に異ならせてあるので、表示物の地面からの浮き具合から表示の種類を認識しやすい。
【0026】
次に、図5は目的地表示等の3D表示物の表示位置と描画スケールの関係の例を示す図であり、ディスプレイ画面1において、その視野を定める視点(カメラ)側から距離L’、L’、L’により区分されるエリアA’、A’、A’、A’を定め、表示物の表示位置がいずれのエリアに属するかによって表示物の描画スケールを変化させるようにしている。目的地表示等の3D表示物がアイコン等の2D表示物と異なるのは、3Dモデルとして地図上に置かれている存在であるという点である。そして、描画スケールは、前述した2D表示物の場合のディスプレイ画面上の描画サイズとは異なり、3Dオブジェクトの大きさを示す値であり、同じ描画スケールであっても視点との距離により近づけば大きく、遠のけば小さく、ディスプレイ画面上の描画サイズが変化するものである。
【0027】
ここで、
X:表示物の空間表示座標(地面2次元座標)と視点座標の距離
’:視点が近づいても描画スケールがこれ以上縮小しない距離
’:視点が遠ざかっても描画スケールがこれ以上拡大しない距離
’:視点が遠ざかったらこれ以上奥には表示物を表示しない距離
であり、X≧0、0<L’<L’<L’である。
【0028】
また、
SC:表示物の描画スケール
SCmin:ディスプレイ画面に対して最適な最小描画スケール
SCmax:ディスプレイ画面に対して最適な最大描画スケール
である。
【0029】
各エリアA’〜A’は次のような意味合いを持つ。
・エリアA’(X<L’):表示物の描画スケールが最小に設定されるエリアであり、近づいたときでも大きくなり過ぎない最適な描画サイズを保つようになるエリアである。このときの描画スケールをSCminとする。描画スケールは変わらないので近づけば徐々に大きく、かつ高さが高くなる遠近感がある。
・エリアA’(L’≦X<L’):描画スケールが表示位置に応じて変化するエリアである。距離Xに応じて描画スケールが変化することで、ある程度同じ描画サイズとして認識させるエリアである。描画スケールの変化範囲はSCmin<SC<SCmaxとする。距離が近づくと描画スケールも連動して変わるため、画面に対して同じ描画サイズを保つエリアとなる。
・エリアA’(L’≦X<L’):描画スケールが最大に設定されるエリアである。非常に大きなサイズで3D地図上に配置することで、離れていても認識可能になる。このときの描画スケールをSmaxとする。描画スケールは変わらないので近づけば徐々に大きく、かつ高くなる遠近感がある。
・エリアA’(X≧L’):表示物を表示しないエリアである。目的地表示は基本的にどんなに奥でも表示するものであるが、表示距離には上限があると思われるため、上限を設けている。
【0030】
図5においては、例として、エリアA’にある表示物4a、エリアA’にある表示物4b、エリアA’にある表示物4cを示しており、エリアA’の表示物4aは描画スケールSC=SCmaxで視点との距離に応じてディスプレイ画面1上に3次元的に描画され、エリアA’の表示物4bは描画スケールSCがSCmin〜SCmaxの範囲で距離Xに応じた値に設定された上で視点との距離に応じてディスプレイ画面1上に3次元的に描画され、エリアA’の表示物4cは描画スケールSC=SCminで視点との距離に応じてディスプレイ画面1上に3次元的に描画される。
【0031】
図6は目的地表示等の3D表示物の表示位置による描画スケールの変化の例を示す図であり、距離XがX<L’となる表示物4cの描画スケールSCはSCminとなり、距離XがL’≦X<L’となる表示物4bの描画スケールSCはSCmin〜SCmaxの範囲の値となり、距離XがL’≦X<L’となる表示物4cの描画スケールSCはSCmaxとなる。
【0032】
図7は目的地表示等の3D表示物の描画の処理例を示すフローチャートであり、図1におけるマーク画像描画部111においてソフトウェア(コンピュータプログラム)により実現される処理を示している。図7において、表示物についての表示データの読み出しを行い(ステップS21)、表示座標(表示位置)の検出を行う(ステップS22)。次いで、表示座標と視点位置の距離Xの算出を行い(ステップS23)、L’≦X<L’であるか否か、すなわち図5におけるエリアA’に存在するか否かを判断し(ステップS24)、該当する場合は描画スケールSCをSCmaxに設定する(ステップS25)。該当しない場合(ステップS24のNO)はX<L’であるか否か、すなわち図5におけるエリアA’に存在するか否かを判断し(ステップS26)、該当する場合は描画スケールSCをSCminに設定する(ステップS27)。該当しない場合(ステップS26のNO)はL’≦X<L’であるか否か、すなわち図5におけるエリアA’に存在するか否かを判断し(ステップS28)、該当する場合は距離Xの長短に応じて描画スケールSCを最大値Smaxから最小値Sminまで連続的に変化する値に設定する(ステップS29)。該当しない場合(ステップS28のNO)はX≧L’とみなして表示物の描画をスキップし(ステップS30)、表示データの読み出し(ステップS21)に戻る。描画スケールSCの設定(ステップS25、S27、S29)により、描画スケールSCが決定され(ステップS31)、描画スケールSCに基づいてディスプレイ画面に表示物を3次元的に描画する(ステップS32)。
【0033】
このように、目的地表示等の3D表示物については、視点から遠い距離では最大描画スケールとすることで、建造物よりも相対的に大きく表示することで認識性を高めることができる。また、視点から近い距離では最小描画スケールとすることで表示が大きくなり過ぎるのを防止することができる。更に、その中間の距離では描画スケールを距離に応じて変化させることで、ほぼ一定の描画サイズを保つことができる。
【0034】
以下、アイコン等の描画例について説明する。
【0035】
図8は2D表示物としての施設マーク表示の描画例を示す図であり、足エフェクト22a、22b、22cを伴った施設マーク表示21a、21b、21cが描画された状態を示している。なお、図示の例はサービスステーションのマークを示している。
【0036】
図9は2D表示物としてのメモリ地点表示の描画例を示す図である。メモリ地点とは、ユーザにより登録された地点であり、メモリ地点表示はその地点を指し示す表示である。図9においては、足エフェクト24a、24bを伴ったメモリ地点表示23a、23bが描画された状態を示している。ここで、メモリ地点については、通常の2D表示物とは異なり、表示物の表示が行われない遠方のものについても、地平線(水平線)H上の表示位置に相当する位置に最小値の描画サイズでメモリ地点表示23b、足エフェクト24bとして描画するようにしている。なお、このようなメモリ地点のほか、ナビゲーション装置がユーザに提示する地点や、通信手段を介して外部から与えられる地点等の「特別な地点」(メモリ地点を含む)についての表示に図9に示したのと同様の表示を適用することができる。
【0037】
図10は2D表示物としてのVICS(Vehicle Information and Communication System)事象マーク表示の描画例を示す図であり、VICS事象マーク表示25a、25bが描画された状態を示している。VICS事象マーク表示については足エフェクトを伴わず、道のすぐ上に付随するように表示する。
【0038】
図11(a)は2D表示物としての名称表示の描画例を示す図であり、交差点名、道路名、施設名等の名称表示26a〜26eが描画された状態を示している。名称表示については、図11(b)に示すように、名称種別により地面からの高さを異ならせている。
【0039】
図12(a)は2D表示物としての標識アイコン上位表示の描画例を示す図であり、信号機や道番号等の標識アイコン上位表示27a〜27eが描画された状態を示している。標識アイコン上位表示については、図12(b)に示すように、自車周辺および進行方向にあるもののみに表示を限定することで、表示物が多過ぎないようにしている。また、図12(c)に示すように、種別により地面からの高さを異ならせている。
【0040】
図13は2D表示物としての標識アイコン下位表示の描画例を示す図であり、一方通行表示等の標識アイコン下位表示28a、28bが描画された状態を示している。
【0041】
図14は3D表示物としての目的地表示の描画例を示す図であり、車輌の現在位置を示す自車アイコン51から延びるルート表示61の先に目的地表示41が描画された状態を示している。
【0042】
なお、上記の実施形態では本発明をカーナビゲーション装置に適用した場合について説明したが、車輌以外の手持ちのナビゲーション装置のほか、シミュレータ、ゲーム等にも本発明を適用することが可能である。
【0043】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態にかかるカーナビゲーション装置の構成例を示す図である。
【図2】アイコン等の2D表示物の表示位置と描画サイズの関係の例を示す図である。
【図3】アイコン等の2D表示物の表示位置と足エフェクトの長さの関係の例を示す図である。
【図4】アイコン等の2D表示物の描画の処理例を示すフローチャートである。
【図5】目的地表示等の3D表示物の表示位置と描画スケールの関係の例を示す図である。
【図6】目的地表示等の3D表示物の表示位置による描画スケールの変化の例を示す図である。
【図7】目的地表示等の3D表示物の描画の処理例を示すフローチャートである。
【図8】施設マーク表示の描画例を示す図である。
【図9】メモリ地点表示の描画例を示す図である。
【図10】VICS事象マーク表示の描画例を示す図である。
【図11】名称表示の描画例を示す図である。
【図12】標識アイコン上位表示の描画例を示す図である。
【図13】標識アイコン下位表示の描画例を示す図である。
【図14】目的地表示の描画例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
100 カーナビゲーション装置
101 ハードディスク装置
102 ディスク読取装置
103 データバッファ
104 地図読出制御部
105 GPS受信機
106 自律航法センサ
107 車輌位置計算部
108 遠景描画部
109 地図描画部
111 マーク画像描画部
112 操作画面描画部
113 経路検索処理部
114 誘導経路描画部
115 VRAM
116 画像出力部
117 ディスプレイ装置
2a〜2c 表示物
3a〜3c 足エフェクト
4a〜4c 表示物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道および立体的な建造物の表示を含む3次元地図を表示手段に表示する画像処理装置であって、
上記表示手段に表示する視野を定める視点と2次元的な表示物との距離を、距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第1のエリアに含まれる場合に、上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最大値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第2のエリアに含まれる場合に、上記距離の長短に応じて上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最小値から最大値まで連続的に変化する値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第3のエリアに含まれる場合に、上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最小値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第4のエリアに含まれる場合に、上記表示物の描画をスキップする手段と、
描画サイズが設定された上記表示物を上記表示手段に2次元的に描画する手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置において、
上記表示物の種類毎に定められた最大足長に、上記視点から上記表示物を見下ろす俯角に応じて補正した値の長さを持ち、上端が上記表示物に接し、下端が上記表示物の表示位置に位置する逆三角形状の足エフェクトを描画する手段を更に備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載の画像処理装置において、
上記表示物が特別な地点を示す表示である場合、上記第4のエリアに含まれる場合に描画をスキップした上記表示物につき、地平線もしくは水平線の先であって表示位置に相当する位置に最小値の描画サイズで上記表示物を表示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
道および立体的な建造物の表示を含む3次元地図を表示手段に表示する画像処理装置であって、
上記表示手段に表示する視野を定める視点と3次元的な表示物との距離を、距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第1のエリアに含まれる場合に、上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最小値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第2のエリアに含まれる場合に、上記距離の長短に応じて上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最大値から最小値まで連続的に変化する値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第3のエリアに含まれる場合に、上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最大値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第4のエリアに含まれる場合に、上記表示物の描画をスキップする手段と、
描画サイズが設定された上記表示物を上記表示手段に3次元的に描画する手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
道および立体的な建造物の表示を含む3次元地図を表示手段に表示する画像処理装置におけるアイコン等の表示物の描画方法であって、
上記表示手段に表示する視野を定める視点と2次元的な表示物との距離を、距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断し、
上記視点と上記表示物との距離が上記第1のエリアに含まれる場合に、上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最大値に設定し、
上記視点と上記表示物との距離が上記第2のエリアに含まれる場合に、上記距離の長短に応じて上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最小値から最大値まで連続的に変化する値に設定し、
上記視点と上記表示物との距離が上記第3のエリアに含まれる場合に、上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最小値に設定し、
上記視点と上記表示物との距離が上記第4のエリアに含まれる場合に、上記表示物の描画をスキップし、
描画サイズが設定された上記表示物を上記表示手段に2次元的に描画することを特徴とするアイコン等描画方法。
【請求項6】
道および立体的な建造物の表示を含む3次元地図を表示手段に表示する画像処理装置におけるアイコン等の表示物の描画方法であって、
上記表示手段に表示する視野を定める視点と3次元的な表示物との距離を、距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断し、
上記視点と上記表示物との距離が上記第1のエリアに含まれる場合に、上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最小値に設定し、
上記視点と上記表示物との距離が上記第2のエリアに含まれる場合に、上記距離の長短に応じて上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最大値から最小値まで連続的に変化する値に設定し、
上記視点と上記表示物との距離が上記第3のエリアに含まれる場合に、上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最大値に設定し、
上記視点と上記表示物との距離が上記第4のエリアに含まれる場合に、上記表示物の描画をスキップし、
描画サイズが設定された上記表示物を上記表示手段に3次元的に描画することを特徴とするアイコン等描画方法。
【請求項7】
道および立体的な建造物の表示を含む3次元地図を表示手段に表示する画像処理装置におけるアイコン等の表示物の描画プログラムであって、
上記表示手段に表示する視野を定める視点と2次元的な表示物との距離を、距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第1のエリアに含まれる場合に、上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最大値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第2のエリアに含まれる場合に、上記距離の長短に応じて上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最小値から最大値まで連続的に変化する値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第3のエリアに含まれる場合に、上記表示物の上記表示手段上の描画サイズを最小値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第4のエリアに含まれる場合に、上記表示物の描画をスキップする手段と、
描画サイズが設定された上記表示物を上記表示手段に2次元的に描画する手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするアイコン等描画プログラム。
【請求項8】
道および立体的な建造物の表示を含む3次元地図を表示手段に表示する画像処理装置におけるアイコン等の表示物の描画プログラムであって、
上記表示手段に表示する視野を定める視点と3次元的な表示物との距離を、距離が小さい方から第1乃至第4のエリアのいずれに属するかを判断する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第1のエリアに含まれる場合に、上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最小値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第2のエリアに含まれる場合に、上記距離の長短に応じて上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最大値から最小値まで連続的に変化する値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第3のエリアに含まれる場合に、上記表示物の3次元空間上の描画スケールを最大値に設定する手段と、
上記視点と上記表示物との距離が上記第4のエリアに含まれる場合に、上記表示物の描画をスキップする手段と、
描画サイズが設定された上記表示物を上記表示手段に3次元的に描画する手段として、コンピュータを機能させることを特徴とするアイコン等描画プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−26200(P2007−26200A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208756(P2005−208756)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】