説明

画像処理装置及び制御プログラム

【課題】測定装置を用いて簡単かつ確実に調整を実施することができる画像処理装置及び制御プログラムの提供。
【解決手段】測定装置を接続するI/F部を有し、前記測定装置で測定した結果を利用して調整を実施する調整モードに設定可能な画像処理装置において、前記I/F部に前記測定装置が接続されたことを検知し、前記測定装置の接続を検知後、動作モードを前記調整モードに変更したり、当該測定装置に測定させるための印刷物の出力を指示したりする制御部、を少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及び制御プログラムに関し、特に、測定装置が接続される画像処理装置及び当該画像処理装置の動作を制御する制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー印刷機能を備えた複写機や複合機(MFP:Multi Function Peripheral)などの画像処理装置が普及している。この画像処理装置では、印刷データに基づいて画像を形成し、帯電された感光体に画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ローラや転写ベルトなどの中間転写体を介して用紙に転写する処理を行う。
【0003】
上記画像処理装置では、印刷データで指示された画像を正確に用紙に転写するためには調整が必要であり、特に、正確な出力が要求されるプロダクションプリントを行う画像処理装置においては、例えば、表裏でのコンマ何ミリの位置合わせや色差を一見では検知できないレベルにて調整するなどの高度な調整が必要である。これらの高度な調整は目視では不可能なため、特定の測定装置(測色計や濃度計、デジタイザなど)を用いて色補正や濃度補正、位置補正など(これらを総称してキャリブレーションと呼ぶ。)を行っている。
【0004】
上記色補正に関して、例えば、下記特許文献1には、所定のテストチャートを転写材上に形成し、テストチャートを色度検知部によって検知し、テストチャートを測定器によって測定した測定結果を格納し、検知された結果と格納された測定結果とに基づいて、色度検知部の検知誤差を補正する画像形成方法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2005−27276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャリブレーションのための測定は、画像処理装置の精度を直接測るのではなく、一定のパターン(色補正の場合は、Yellow、Magenta、Cyan、Blackの各トナーの色毎に、濃度を変化させたパターン、以下、測定パッチと呼ぶ。)を所定の位置に配置して印刷した用紙(以下、パッチシートと呼ぶ。)を出力し、そのパッチシートを測色計や濃度計、デジタイザなどの測定装置で測定することによってずれを確認し、そのずれをパラメータとして画像処理装置にフィードバックして目標値に近づけていく。
【0007】
従って、キャリブレーションを行うために、まず、測定者が画像処理装置を操作して、測定装置に対応したパッチシートを出力させ、そのパッチシートを測定装置にセットし、測定装置を操作してパッチシートの測定を行い、その後、画像処理装置を操作してパッチシートの測定結果を入力するといった煩雑な操作が必要になる。また、このような操作を測定者自身が行うため、測定装置に対応していないパッチシートを出力したり、測定結果を誤入力するなどの問題が生じていた。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、測定装置を用いて簡単かつ確実に調整を実施することができる画像処理装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、測定装置を接続するI/F部を有し、前記測定装置で測定した結果を利用して調整を実施する調整モードに設定可能な画像処理装置において、前記I/F部に前記測定装置が接続されたことを検知し、動作モードを前記調整モードに変更する制御部、を少なくとも備えるものである。
【0010】
本発明においては、前記制御部は、前記測定装置の接続を検知後、当該測定装置に測定させるための印刷物の出力を指示する構成とすることができる。
【0011】
また、本発明においては、前記制御部は、前記測定装置の接続を検知後、ユーザ認証を実行し、許可されたユーザの場合は、動作モードを前記調整モードに変更する構成とすることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記制御部は、前記測定装置の接続を検知した時点で実行中の処理があるかを判断し、実行中の処理が予め定めた特定の処理である場合は、当該実行中の処理が終了後、動作モードを前記調整モードに変更する構成とすることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記制御部は、前回調整を実施してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、所定時間が経過若しくは所定枚数の印刷が実施された場合は、表示部に調整の実施を促す画面を表示させ、前記画面を表示してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、所定時間が経過若しくは所定枚数の印刷が実施された場合は、前記調整モード以外の動作モードでの処理を禁止する構成とすることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記制御部は、前回調整を実施してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、前記測定装置の接続を検知した時点で、所定時間が経過していない若しくは所定枚数の印刷が実施されていない場合は、前記調整モードへの変更を制限する構成とすることもできる。
【0015】
また、本発明においては、前記測定装置は、測色計、濃度計、又は、デジタイザとすることができる。
【0016】
また、本発明は、測定装置を接続するI/F部を有し、前記測定装置で測定した結果を利用して調整を実施する調整モードに設定可能な画像処理装置で動作する制御プログラムであって、コンピュータを、前記I/F部に前記測定装置が接続されたことを検知し、動作モードを前記調整モードに変更する制御部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像処理装置及び制御プログラムによれば、測定装置を用いて簡単かつ確実に調整を実施することができる。
【0018】
その理由は、画像処理装置に測定装置を接続すると、画像処理装置では、測定装置の接続を認識し、自装置の動作モードを、接続された測定装置で測定した結果に基づいて調整を実施するための調整モードに変更し、測定装置に測定させるための印刷物を出力する制御を行うからである。
【0019】
また、測定装置の接続を認識した場合に、ユーザ認証の結果に基づいて調整モードへの移行を制限したり、現在実行中の処理の有無や優先度に応じて調整モードへの移行を制限したり、前回の調整からの時間経過や印刷枚数に基づいて適切なタイミングで調整を実施させるなどの制御を行うからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
背景技術で示したように、画像処理装置では、色補正や濃度補正、位置補正などの調整が必要であるが、このような調整を実施するためには、ユーザは画像処理装置を操作して、動作モードを調整モードに変更したり、測定装置に測定させるためのパッチシートを出力したり、そのパッチシートを測定装置で測定した結果を入力するといった操作が必要であり、操作が煩雑であると共に誤操作の原因になるという問題があった。
【0021】
上記操作の内、測定結果の入力操作を容易にする方法として、画像処理装置と測定装置とをUSB(Universal Serial Bus)などにより接続し、USBを介して測定装置で測定した結果を画像処理装置に送信する方法がある。
【0022】
しかしながら、USBを介して測定結果を送信する方法を採用したとしても、画像処理装置の動作モードを調整モードに変更したり、測定装置に対応したパッチシートの出力を指示したり、パッチシートの測定結果の取り込みを指示するといった様々な操作をユーザ自身が行う必要がある。
【0023】
そこで、本発明では、画像処理装置に、測定装置の接続を検知する接続検知部と、動作モードを調整モードに変更したり、接続を検知した測定装置に対応したパッチシートの出力を指示したり、パッチシートの測定結果を取り込んで調整を実施したりする調整制御部とを設けて、上記問題を解決する。
【実施例1】
【0024】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像処理装置及び制御プログラムについて、図1乃至図9を参照して説明する。図1は、本実施例のキャリブレーションシステムの構成を模式的に示す図であり、図2は、キャリブレーションシステムの概略動作を示す図である。また、図3は、画像処理装置の構成を示すブロック図、図4は、画像処理装置の制御部の構成を示すブロック図であり、図5は、パッチシートの構成例を示す図である。また、図6乃至図8は、本実施例の画像処理装置の動作を示すフローチャート図であり、図9は画像処理装置に表示される画面の一例を示す図である。
【0025】
図1及び図2に示すように、本実施例のキャリブレーションシステム10は、パッチシート50を出力し、当該パッチシート50の測定結果に基づいて調整を実施する画像処理装置20と、パッチシート50を測定し、測定結果を画像処理装置20に出力する測定装置30(ここでは測色計)とを備え、これらは、USB配線や専用配線、ネットワーク配線など(ここではUSB配線40)を介して接続されている。以下、各々の装置について詳述する。
【0026】
[画像処理装置]
図3に示すように、画像処理装置20は、制御部21と、記憶部22と、USBI/F部23と、表示操作部24と、画像読取部25と、画像処理部26と、印刷処理部27などで構成され、これらはバスを介して接続されている。
【0027】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)21a、ROM(Read Only Memory)21b、RAM(Random Access Memory)21cなどで構成される。ROM21bは、画像処理装置全体の動作を制御するためのプログラムや制御に必要なデータを記憶する。RAM21cは、CPU21aによる制御に必要なデータ及び制御動作時に一時記憶が必要なデータ等を記憶する。そして、CPU21aは、ROM21b、RAM21cと協働して画像処理装置全体の動作を制御する。
【0028】
また、制御部21は、図4に示すように、接続検知部28と調整制御部29としても機能する。接続検知部28は、USBI/F部23にUSB接続が可能な測定装置30が接続されたことを検知する。調整制御部29は、モード設定部29aとパッチシート出力部29bと調整処理部29cなどで構成される。モード設定部29aは、接続検知部28が測定装置30の接続を検知したら、画像処理装置20の動作モードを通常モード(例えば、プリントモードなど)から調整モードに変更する。パッチシート出力部29bは、接続検知部28が検知した測定装置30に測定を実行させるための印刷物(例えば、図4に示すような各色の測定パッチ51を配列したパッチシート50など)を印刷処理部27に印刷させる。調整処理部29cは、測定装置30でパッチシート50を測定した結果を取得し、予め記憶された標準データと比較してキャリブレーションを行い、ずれを解消するための調整テーブルを生成する。
【0029】
なお、接続検知部28及び調整制御部29はハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、接続検知部28及び調整制御部29として機能させる制御プログラムとして構成し、該制御プログラムを制御部21上で動作させる構成としてもよい。
【0030】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)などで構成される。本実施例では、印刷処理部27にパッチシート50を印刷させるための印刷データ(パッチデータと呼ぶ。)、標準データ(例えば、画像の各階調値に対して実際に出力されるべき濃度を示したデータなど)、調整テーブル(例えば、標準データで指定された濃度で印刷されるように、画像処理装置20の濃度特性に合わせて補正するため各色の濃度オフセット値を記述したテーブル)などを記憶する。
【0031】
USBI/F部23は、USBポートなどで構成され、測定装置30との通信を可能とする。
【0032】
表示操作部24は、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示部と表示部を覆うタッチパネルなどの操作部から構成され、CPU21aからの表示信号に従って、アイコンやキーボタンなどをLCD等に表示すると共に、タッチパネル等から入力される操作信号をCPU21aに出力する。なお、表示操作部24は一体的に構成してもよいし、表示部と操作部とに分離して構成してもよい。
【0033】
画像読取部25は、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ等の各色を検出するセンサと、電気信号をA/D変換して画像データを生成するA/D変換器等により構成される。
【0034】
画像処理部26は、通信ネットワークに接続されたクライアントから取得した印刷データを解析し、ビットマップ形式の画像データを作成する。なお、画像処理部26の処理をネットワークに接続されるRIP(Raster Image Processor)コントローラなどで実行する構成としてもよく、その場合は、RIPコントローラで印刷データを解析し、ビットマップ形式の画像データを作成して画像処理装置20に送信すればよい。
【0035】
印刷処理部27は、画像処理部26で作成された画像データや記憶部22に予め記憶されたパッチデータに基づき電子写真プロセスに従って形成された画像を用紙に転写する。具体的には、画像データやパッチデータに基づいてレーザ光を照射して露光する書き込みユニット(図示せず)と、感光体ドラムと現像装置と帯電装置と感光体クリーニング部と1次転写ローラとを備え、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像を形成する感光体ユニットと、ローラによって回転され、感光体ユニットで形成されたトナー像を用紙に搬送する中間転写体として機能する中間転写ベルトと、中間転写ベルト上に形成されたトナー像を用紙に転写する2次転写ローラと、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着装置と、用紙トレイから所望の用紙を搬送する給紙ローラやレジストローラ、ループローラ、反転ローラ、排紙ローラ等の搬送部などにより構成される。
【0036】
[測定装置(測色計)]
測色計30は、測色部とUSBI/F部などで構成される(図示せず)。
【0037】
測色部は、例えばRed、Green、Blueの光の3原色に対応する3種類のセンサを備え、カラー画像の各部に対する3種類のセンサからの出力値(RGB値)に基づいて測色し、測色結果を測色値としてのL*a*b*データに変換する。なお、測色計30は、刺激値直読方法を採用した色彩計でもよいし、分光測色方法を採用した分光測色計でもよい。
【0038】
USBI/F部は、USBポートなどで構成され、画像処理装置20との通信を可能とする。本実施例では、パッチシート50を測定した結果(測色計の場合は測色値)を画像処理装置20に送信する。
【0039】
なお、ここでは測定装置30として測色計を例にして説明したが、測定装置30は、画像処理装置20の調整を実施するために利用される測定結果を出力可能な機器であればよく、濃度情報を読み取る濃度計や位置情報を読み取るデジタイザなどとしてもよい。
【0040】
[パッチシート]
図5に示すように、パッチシート50は、Yellow、Magenta、Cyan、Blackのトナーの色毎(ここではハッチングの種類を変えて色の違いを表現している。)に、その色の濃度が所定の方向(例えば、紙送り方向又はそれに直交する方向)に沿って徐々に変化するように印刷した測定パッチ51を備える。
【0041】
ここで、画像処理装置20と測定装置30とを用いてキャリブレーションを行う場合、まず、ユーザは画像処理装置20を操作してパッチシート50の出力を指示し、印刷処理部27は、記憶部22に予め記憶されたパッチデータの内、測定装置30に適したパッチデータを読み出してパッチシート50を印刷する。
【0042】
次に、ユーザは出力されたパッチシート50を測定装置30にセットし、測定装置30はパッチシート50をスキャンし、各色の測定パッチ51を測定する。そして、測定結果をユーザが画像処理装置20に入力又は送信すると、調整処理部29cは入力された測定結果と予め記憶された標準データとを比較することによって調整テーブルを作成する。
【0043】
しかしながら、通常はこれら一連の動作を手動で行う必要がある。すなわち、測定装置30を画像処理装置20に接続し、画像処理装置20の動作モードを調整モードに変更し、接続した測定装置30に対応したパッチシート50の出力を指示し、測定装置30で測定した結果を画像処理装置20に取り込むなどの煩雑な作業が必要であり、測定装置30に対応していないパッチシート50を出力したり、測定結果を誤入力するなどの誤操作の原因になる。
【0044】
そこで、本実施例では、測定装置30の接続を自動認識し、画像処理装置20で簡単且つ確実に調整を実施できるようにする。すなわち、ユーザは、ただ単に測定装置30を接続するだけで、画像処理装置20の制御部21に設けた機能がその接続を判断して動作モードを調整モードに変更し、接続された測定装置30に対応するパッチシート50を出力する。また、パッチシート50の測定結果を測定装置30から取得して調整テーブルを作成する。
【0045】
なお、画像処理装置20と測定装置30をUSBで接続する場合は、画像処理装置20の電源ONの状態で測定装置30を接続しても検知可能である。この機能はいわゆる活栓挿入やホットプラグと呼ばれ、USBコネクタの端子の内、電源ラインの2本の端子が信号線の端子よりも長くなっており、電源ラインが信号線より少し早く接触することによって実現される。また、USB配線50に代えてネットワーク配線を利用する場合は、いわゆるブロードキャストというネット上に接続している機器を検索する機能などを常時、画像処理装置20上で動作させることによって接続を検知可能である。
【0046】
以下、図6及び図7のフローチャート図を参照して、本実施例の画像処理装置20の動作について詳細に説明する。
【0047】
まず、図6のステップS101で、画像処理装置20の制御部21(接続検知部28)は、USBI/F部23を介して測定装置30が接続されたかを監視し、測定装置30の接続を検知したら、ステップS102で、制御部21(モード設定部29a)は、画像処理装置20の動作モードを調整モードに変更し、通常の動作モードでの処理を禁止する。
【0048】
次に、ステップS103で、制御部21(パッチシート出力部29b)は、記憶部22等に予め記憶されているパッチデータの内、接続された測定装置30に対応するパッチデータを読み出して印刷処理部27に転送し、印刷処理部27は、パッチデータに基づいてパッチシート50を出力する。
【0049】
その後、ユーザは出力されたパッチシート50を接続した測定装置30にセットし、測定装置30を操作してパッチシート50の測定を行う。そして、USB配線40を介して、その測定結果(例えば、測定パッチ51の測色値)を画像処理装置20に送信する。
【0050】
画像処理装置20では、図7のステップS201で、制御部21は、測定装置30から送信される測定結果を監視し、測定結果を受信したら、ステップS202で、制御部21(調整処理部29c)は、記憶部22等に予め記憶されている標準データと受信した測定結果とを比較して補正を行い、ステップS203で、調整テーブルを作成する。
【0051】
このように、接続検知部28が測定装置30の接続を検知したら、モード設定部29aは画像処理装置20の動作モードを調整モードに変更し、パッチシート出力部29bは測定装置30に対応するパッチシート50を自動的に出力するため、ユーザ自身が画像処理装置20を操作して動作モードを調整モードに変更したり、パッチシート50の出力を指示する必要がなくなり、操作性を改善し、誤操作を防止することができる。
【0052】
図6のフローは、画像処理装置20の電源がONの状態で測定装置30を接続(いわゆる活栓挿入)する場合であるが、画像処理装置20の電源がOFFの状態で測定装置30を接続しておくこともできる。その場合の動作を図8及び図9を参照して説明する。
【0053】
予め、画像処理装置20の電源がOFFの状態で測定装置30を接続した後、画像処理装置20を立ち上げると、図8のステップS301で、画像処理装置20の制御部21(接続検知部28)は、USBI/F部23を介して測定装置30が接続されたかを監視し、測定装置30の接続を検知したら、ステップS302で、制御部21は、動作モードを調整モードに移行可能であるかを判断する。例えば、画像処理装置20で印刷を実行するためには、印刷処理部27の各部を動作可能な状態にする(例えば、定着装置を所定の温度に加熱する)ためのウォームアップ時間が必要である。そこで、調整モードに移行可能になるまでの間は、ステップS303で、制御部21(モード設定部29a)は、表示操作部24に、例えば、図9に示すような準備画面60を表示させ、ユーザにモード変更の準備中であることを通知する。
【0054】
そして、調整モードに移行可能になったら、ステップS304で、制御部21(モード設定部29a)は、画像処理装置20の動作モードを調整モードに変更し、ステップS305で、制御部21(パッチシート出力部29b)は、接続された測定装置30に対応するパッチデータを記憶部22等から読み出して、印刷処理部27にパッチシート50を出力させる。
【0055】
このように、画像処理装置20の電源がOFFの状態で測定装置30を接続した場合であっても、調整モードに移行可能になれば自動的に調整モードに変更されるため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【実施例2】
【0056】
次に、本発明の第2の実施例に係る画像処理装置及び制御プログラムについて、図10及び図11を参照して説明する。図10は本実施例の画像処理装置の動作を示すフローチャート図であり、図11は画像処理装置に表示される画面の一例を示す図である。
【0057】
前記した第1の実施例では、測定装置30の接続を検知したら自動的に調整モードに変更する構成としたが、例えば、初心者などが操作している場合に調整モードに変更すると、不適切な調整を実施してしまうことも考えられる。そこで、本実施例では、モード設定部29aにユーザ認証機能を持たせて特定のユーザが使用している場合にのみ調整モードに変更可能にする。
【0058】
その場合の動作を図10及び図11を参照して説明する。まず、図10のステップS401で、画像処理装置20の制御部21(接続検知部28)は、USBI/F部23を介して測定装置30が接続されたかを監視し、測定装置30の接続を検知したら、ステップS402で、制御部21(モード設定部29a)は、表示操作部24に、例えば図11(a)に示すような認証画面61を表示させ、ユーザIDやパスワードの入力を求める。
【0059】
次に、ステップS403で、制御部21(モード設定部29a)は、入力されたユーザIDやパスワードと予め記憶部22等に記憶されたユーザ情報とを比較して認証を行い、許可ユーザの場合は、ステップS404で、表示操作部24に、例えば、図11(b)に示すような許可画面62を表示させた後、ステップS406で調整モードに変更し、ステップS407でパッチシート50を出力する。一方、許可ユーザではない場合は、ステップS405で、例えば、図11(c)に示すような拒否画面63を表示させて、ユーザに調整が実施できないことを通知する。
【0060】
このように、特定ユーザにのみ調整モードへの変更を許可することにより、それ以外のユーザが測定装置30を接続しても調整モードに変更されないため、初心者などによる不適切な調整を未然に防ぐことができる。
【実施例3】
【0061】
次に、本発明の第3の実施例に係る画像処理装置及び制御プログラムについて、図12及び図13を参照して説明する。図12は本実施例の画像処理装置の動作を示すフローチャート図であり、図13は画像処理装置に表示される画面の一例を示す図である。
【0062】
前記した第1及び第2の実施例では、測定装置30の接続を契機として自動的に調整モードに変更することによって作業の煩雑さを軽減したが、一旦調整モードに変更された場合は、調整のための一連の作業が完了するまで、通常の動作モードでの処理は中断されてしまい、画像処理装置20を使用している他のユーザの利便性を損なう場合もある。そこで、本実施例では、モード設定部29aは、動作モードを調整モードに変更する際に、現在実行されている処理があるか、その処理の優先度は高いかなどを判断して、その結果に応じて調整モードへの移行を制限するようにする。
【0063】
その場合の動作を図12及び図13を参照して説明する。まず、図12のステップS501で、画像処理装置20の制御部21(接続検知部28)は、USBI/F部23を介して測定装置30が接続されたかを監視し、測定装置30の接続を検知したら、ステップS502で、制御部21(モード設定部29a)は、現在実行中の処理があるかを判断する。そして、現在実行中の処理がなければ、ステップS506で調整モードに変更し、ステップS507でパッチシート50を出力する。
【0064】
一方、現在実行中の処理がある場合は、ステップS503で、制御部21(モード設定部29a)は、現在実行中の処理の優先度が高いかを判断する。例えば、通常のプリントを行っている場合は、その処理を中断しても大きな問題は生じないが、特定のユーザ(特定の役職のユーザなど)がプリントを行っている場合や機密文書をプリントしている場合、画像読取部25で文書の読み取りを行っている場合には、処理が中断するとそのユーザの利便性を著しく損ねる。そこで、予め、優先度の高い処理のリストを作成して記憶部22等に記憶しておき、制御部21(モード設定部29a)は、現在実行中の処理が上記リストの処理に該当しない場合は、優先度が低い処理であると判断して、ステップS504で、表示操作部24に、例えば、図13に示すような中断通知画面64を表示させ、ユーザに現在実行中の処理が中断されたことを通知する。
【0065】
一方、現在実行中の処理が上記リストの処理に該当する場合は、制御部21(モード設定部29a)は、優先度が高い処理であると判断して、ステップS505で、現在実行中の処理の終了を監視し、現在実行中の処理が終了したら、ステップS506で調整モードに変更し、ステップS507でパッチシート50を出力する。
【0066】
このように、接続検知部28が測定装置30の接続を検知しても、優先すべき処理が実行されている場合は調整モードへの移行を制限することにより、画像処理装置20を使用している他のユーザの利便性を損ねないようにすることができる。
【実施例4】
【0067】
次に、本発明の第4の実施例に係る画像処理装置及び制御プログラムについて、図14及び図15を参照して説明する。図14は本実施例の画像処理装置の動作を示すフローチャート図であり、図15は画像処理装置に表示される画面の一例を示す図である。
【0068】
前記した第1乃至第3の実施例では、測定装置30の接続を検知したら調整モードに変更する構成としたが、調整作業は品質保持のため一定期間(経過時間、プリント枚数)で行うことが好ましい。そこで、本実施例では、制御部21は前回調整を行ってからの経過時間やプリント枚数を監視して、適切なタイミングで調整が実施されるようにする。
【0069】
その場合の動作を図14及び図15を参照して説明する。なお、ここでは経過時間に基づいて制御するものとし、この経過時間は、画像処理装置20に設けた計時手段で計時されるものとする。
【0070】
まず、図14のステップS601で、画像処理装置20の制御部21は、前回調整を行ってからの経過時間を監視し、経過時間が予め定めた第1の所定時間になったら、ステップS602で、表示操作部24に、例えば、図15(a)に示すような注意喚起画面65を表示させ、ユーザに調整の実施を促す。なお、図15(a)では注意喚起情報を画面全体に表示する例を示しているが、この注意喚起情報は他の作業実行中にも行うことが好ましいため、例えば、通常動作時の画面上に表示してもよい。
【0071】
次に、ステップS603で、制御部21は、注意喚起画面65を表示してから(若しくは前回調整を行ってから)の経過時間を引き続き監視し、経過時間が予め定めた第2の所定時間になったら、ステップS604で、表示操作部24に、例えば、図15(b)に示すような警告画面66を表示させると共に、画像処理装置20の印刷品質を維持するために、通常の動作モードでの処理を禁止する。
【0072】
そして、ステップS605で、制御部21(接続検知部28)は、USBI/F部23を介して測定装置30が接続されたかを監視し、測定装置30の接続を検知したら、制御部21(モード設定部29a)は、ステップS606で調整モードに変更し、ステップS607でパッチシート50を出力する。
【0073】
このように、前回調整を行ってからの経過時間やプリント枚数を監視し、所定の時間が経過若しくは所定枚数のプリントを実行したら、ユーザに調整を促したり、通常の操作モードでの処理を禁止することにより、調整を適切に実施させることができる。
【実施例5】
【0074】
次に、本発明の第5の実施例に係る画像処理装置及び制御プログラムについて、図16及び図17を参照して説明する。図16は本実施例の画像処理装置の動作を示すフローチャート図であり、図17は画像処理装置に表示される画面の一例を示す図である。
【0075】
前記した第4の実施例では、経過時間やプリント枚数に基づいて調整を促す構成としたが、あまりに短い間隔で調整を実施すると、通常の動作モードの処理が遅延したり、パッチシート50を無駄に出力することになり好ましくない。そこで、本実施例では、制御部21は前回調整を行ってからの経過時間やプリント枚数を監視して、適切なタイミングで調整が実施されるようにする。
【0076】
その場合の動作を図16及び図17を参照して説明する。なお、本実施例でも経過時間に基づいて制御するものとし、この経過時間は、画像処理装置20に設けた計時手段で計時されるものとする。
【0077】
まず、図16のステップS701で、画像処理装置20の制御部21(接続検知部28)は、USBI/F部23を介して測定装置30が接続されたかを監視し、測定装置30の接続を検知したら、ステップS702で、制御部21は、前回調整を行ってからの経過時間を取得し、経過時間が予め定めた所定時間になっていなかったら、ステップS703で、表示操作部24に、例えば、図17に示すような通知画面67を表示させ、ユーザに調整が不要であることを通知する。
【0078】
一方、経過時間が所定時間を超えていたら、制御部21(モード設定部29a)は、ステップS703で調整モードに変更し、ステップS704でパッチシート50を出力する。
【0079】
このように、前回調整を行ってからの経過時間やプリント枚数を監視し、所定の時間が経過していない若しくは所定枚数のプリントを出力していない状態で測定装置30を接続した場合に、ユーザに調整が必要ないことを通知することにより、調整を適切に実施させることができる。
【0080】
以上、各実施例で調整を実施する手法を説明したが、これらの調整の結果は、自動接続を契機として、すべて管理ログとして保存することも可能であり、測定装置30を特定する情報、測定結果、調整の内容、調整を実行した日時などの情報を記憶部22に保存したり、また、通信ネットワークで接続される他の機器(例えば、プリントサーバや管理装置など)に転送することも可能である。これにより、調整の偏差の経歴などが一元的に把握できるようになり、メンテナンスの指針や設計変更などの目安として使うことも可能となる。
【0081】
また、上記各実施例では、画像形成装置20に測定装置30を接続する場合を記載したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、接続する側の装置(測定装置30に相当する装置)で処理した結果を、接続される側の装置(画像形成装置20に相当する装置)で利用する任意のシステムに対して同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、測定装置が接続可能な画像処理装置及び当該画像処理装置で動作する制御プログラムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第1の実施例に係るキャリブレーションシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るキャリブレーションシステムの概略動作を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る画像処理装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係るパッチシートの構成例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る画像処理装置の動作(パッチシートの出力する動作)を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の第1の実施例に係る画像処理装置の動作(測定結果に基づいて調整する動作)を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第1の実施例に係る画像処理装置の動作の他の例を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の第1の実施例に係る画像処理装置の表示部に表示される画面構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例に係る画像処理装置の動作を示すフローチャート図である。
【図11】本発明の第2の実施例に係る画像処理装置の表示部に表示される画面構成の一例を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施例に係る画像処理装置の動作を示すフローチャート図である。
【図13】本発明の第3の実施例に係る画像処理装置の表示部に表示される画面構成の一例を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施例に係る画像処理装置の動作を示すフローチャート図である。
【図15】本発明の第4の実施例に係る画像処理装置の表示部に表示される画面構成の一例を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施例に係る画像処理装置の動作を示すフローチャート図である。
【図17】本発明の第5の実施例に係る画像処理装置の表示部に表示される画面構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10 キャリブレーションシステム
20 画像処理装置
21 制御部
21a CPU
21b ROM
21c RAM
22 HDD
23 USBI/F部
24 表示操作部
25 画像読取部
26 画像処理部
27 印刷処理部
28 接続検知部
29 調整制御部
29a モード設定部
29b パッチシート出力部
29c 調整処理部
30 測定装置(測色計)
40 USB配線
50 パッチシート
51 測定パッチ
52 基準パッチ
60 準備画面
61 認証画面
62 許可画面
63 拒否画面
64 中断画面
65 注意喚起画面
66 警告画面
67 通知画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置を接続するI/F部を有し、前記測定装置で測定した結果を利用して調整を実施する調整モードに設定可能な画像処理装置において、
前記I/F部に前記測定装置が接続されたことを検知し、動作モードを前記調整モードに変更する制御部、を少なくとも備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記測定装置の接続を検知後、当該測定装置に測定させるための印刷物の出力を指示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記測定装置の接続を検知後、ユーザ認証を実行し、許可されたユーザの場合は、動作モードを前記調整モードに変更することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記測定装置の接続を検知した時点で実行中の処理があるかを判断し、実行中の処理が予め定めた特定の処理である場合は、当該実行中の処理が終了後、動作モードを前記調整モードに変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前回調整を実施してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、所定時間が経過若しくは所定枚数の印刷が実施された場合は、表示部に調整の実施を促す画面を表示させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画面を表示してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、所定時間が経過若しくは所定枚数の印刷が実施された場合は、前記調整モード以外の動作モードでの処理を禁止することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前回調整を実施してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、前記測定装置の接続を検知した時点で、所定時間が経過していない若しくは所定枚数の印刷が実施されていない場合は、前記調整モードへの変更を制限することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記測定装置は、測色計、濃度計、又は、デジタイザであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の画像処理装置。
【請求項9】
測定装置を接続するI/F部を有し、前記測定装置で測定した結果を利用して調整を実施する調整モードに設定可能な画像処理装置で動作する制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記I/F部に前記測定装置が接続されたことを検知し、動作モードを前記調整モードに変更する制御部、として機能させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項10】
前記制御部は、前記測定装置の接続を検知後、当該測定装置に測定させるための印刷物の出力を指示することを特徴とする請求項9に記載の制御プログラム。
【請求項11】
前記制御部は、前記測定装置の接続を検知後、ユーザ認証を実行し、許可されたユーザの場合は、動作モードを前記調整モードに変更することを特徴とする請求項9又は10に記載の制御プログラム。
【請求項12】
前記制御部は、前記測定装置の接続を検知した時点で実行中の処理があるかを判断し、実行中の処理が予め定めた特定の処理である場合は、当該実行中の処理が終了後、動作モードを前記調整モードに変更することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか一に記載の制御プログラム。
【請求項13】
前記制御部は、前回調整を実施してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、所定時間が経過若しくは所定枚数の印刷が実施された場合は、表示部に調整の実施を促す画面を表示させることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一に記載の制御プログラム。
【請求項14】
前記制御部は、前記画面を表示してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、所定時間が経過若しくは所定枚数の印刷が実施された場合は、前記調整モード以外の動作モードでの処理を禁止することを特徴とする請求項13に記載の制御プログラム。
【請求項15】
前記制御部は、前回調整を実施してからの経過時間又は印刷枚数を監視し、前記測定装置の接続を検知した時点で、所定時間が経過していない若しくは所定枚数の印刷が実施されていない場合は、前記調整モードへの変更を制限することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一に記載の制御プログラム。
【請求項16】
前記測定装置は、測色計、濃度計、又は、デジタイザであることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか一に記載の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−93574(P2010−93574A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261982(P2008−261982)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】