説明

画像形成装置、シート処理装置および画像形成システム

【課題】画像形成装置などの制御プログラムを簡素化する。
【解決手段】画像形成システムは、たとえば、シートに画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置に接続される第1のシート処理装置と、第1のシート処理装置に接続される第2のシート処理装置とを含む。画像形成装置には、例えば、第1のシート処理装置に動作の開始を指示する第1の指示手段が含まれる。また、第1のシート処理装置には、第2のシート処理装置に動作の開始を指示する第2の指示手段が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に複数のシート処理装置が直列に接続された画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のシート処理装置(後処理装置や排紙オプションと呼ばれることもある。)が接続できるの画像形成装置が提案されている(特許文献1、2)。
【特許文献1】特開平7−032705号公報
【特許文献2】特開2001−328323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、画像形成装置と各シート処理装置とは通信できるものの、複数のシート処理装置が互いに通信することができない。そのため、画像形成装置は、シート処理装置ごとに、シート処理を開始させるためのコマンドを送り分けなければならなかった。
【0004】
一般に、シート処理装置は、画像形成装置からコマンドを受信したことをトリガとして動作する。よって、画像形成装置は、シート(用紙、転写材および記録媒体と呼ばれることもある。)が各シート処理装置に搬入されるタイミングを見計らって、コマンドを送信する必要があった。これは、画像形成装置の制御プログラムが複雑になる一要因となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、シートに画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置に接続される第1のシート処理装置と、第1のシート処理装置に接続される第2のシート処理装置とを含む画像形成システムに適用できる。画像形成装置には、例えば、第1のシート処理装置に動作の開始を指示する第1の指示手段が含まれる。また、第1のシート処理装置には、第2のシート処理装置に動作の開始を指示する第2の指示手段が含まれる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置は、ひとつのシート処理装置に対してのみ動作の開始を指示するだけで済むため、制御プログラムの構成が簡素化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本発明の一実施形態を示す。もちろん以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0009】
<システム構成>
図1は、実施形態に係る画像形成システムの一例を示す図である。この例で、画像形成装置1には、複数のシート処理装置21、31が直列に接続されている。シート処理装置は、後処理装置や排紙オプションと呼ばれることもある。なお、画像形成装置1には、電子写真方式を採用してもよいし、インクジェット方式を採用してもよい。あるいは、さらに他の画像形成方式を画像形成装置1に採用してもよい。また、画像形成装置1は、プリンタ、複写機、複合機などとして実現されてもよい。
【0010】
画像形成装置1において、カセット2はシートを保持するユニットである。分離ローラ3は、シートを分離するためのローラである。なお、画像形成部には、感光体ドラム4、定着器5などが含まれる。定着器5は、シート上に形成されたトナー像を熱と圧力にて融着する。レジストレーションセンサ8は、シートの先端を検出するためのセンサである。例えば、レジストレーションセンサ8は、画像の先端位置を決定したり、調整したりするために利用される。レジストレーションローラ9は、シートの先端をそろえるために利用される。
【0011】
搬送ローラ10、11、12および13は、シートを搬送するためのローラである。とりわけ、搬送ローラ11は、感光体ドラム4に形成された画像(トナー像)をシートに転写させる転写ローラとして機能する。また、搬送ローラ13は、シートをシート処理装置へと排出するための排出ローラとして機能する。センサ17は、画像形成されたシートを検出する。
【0012】
第1のシート処理装置31は、画像形成装置1に対して直接的に接続されている。シート処理装置31には、第2のシート処理装置21が接続されている。この例で、シート処理装置31は、2ビンのソート機能を有しているソータである。また、シート処理装置21は、搬送経路において最下流に位置している。この例で、シート処理装置21は、3ビンのソート機能を有しているソータである。なお、本発明において、シート処理装置は、ソータにのみ限定されることはない。
【0013】
シート処理装置31は、入り口に遅延ジャムや滞留ジャムを検出するための入り口センサ30を有している。センサ30は、画像形成装置1から搬入されたシートを検出すると、検出信号を制御部などに出力する。
【0014】
フラッパ32は、シートを下流のシート処理装置21に排出するか、またはシート処理装置31の内部に導入するかを切り替える。フラッパ33は、トレイ34とトレイ35のどちらにシートを積載するかを切り替える。搬送ローラ37、38および39は、シートを搬送するためのローラである。ステープルユニット40は、複数のシートを束ねてステープルする。
【0015】
シート処理装置21は、入り口に遅延ジャムまたは滞留ジャムを検出するための入り口センサ20を有している。フラッパ22は、シートを最上段のトレイ24に排出するか、または他のトレイ25もしくは26に排出するかを切り替える。フラッパ23は、下段に位置する2つのトレイ25、26のうちのどちらを使用するかを切り替える。なお、搬送ローラ27、28、29は、シートを搬送するためのローラである。ステープルユニット19は、トレイ24に排出するシートをステープルする。
【0016】
上記構成において、例えば、シート処理装置21でシートをステープルする場合を説明する。まず、画像形成部において、カセット2からピックアップされたシートに画像が形成される。排出ローラ13は、画像が形成されたシートをシート処理装置31へと排出する。
【0017】
シート処理装置31は、画像形成装置1から搬入されたシートをセンサ30で検出する。シートが検出されると、搬送ローラ37が回転し、シートをシート処理装置21へと排出する。シート処理装置21は、搬入されたシートをセンサ20により検出する。シートが検出されると、シート処理装置21は、フラッパ22をトレイ24側に切り替える。これにより、シートがトレイ24へと排出される。ステープルユニット19は、ステープル対象のシートが全て到着すると、ステープルを実行する。
【0018】
<制御部の接続構成>
次に、画像形成装置1、シート処理装置21、シート処理装置31について、それぞれの制御部の構成について説明する。
【0019】
図2は、実施形態に係る制御部の一例を示すブロック図である。本体制御部201は、画像形成装置1の制御部である。第1オプション制御部203は、第1のシート処理装置31の制御部である。第2オプション制御部202は、第2のシート処理装置21の制御部である。各制御部は信号線204を介して接続されている。
【0020】
本体制御部201には、例えば、通信IF210、CPU211、記憶装置212、駆動回路213などが含まれている。通信IF210は、他の制御部と通信するための通信ユニットである。CPU211は、画像形成装置1の各部を制御するための制御ユニットである。なお、CPU211は、記憶装置212に記憶されている制御プログラムを実行する。例えば、CPU211は、シート処理装置に動作の開始を指示したり、シートの排出を制御したり、各種の判定処理を実行したりする。さらに、CPU211は、タイマーを内蔵している。記憶装置212は、RAMやROMなどの記憶ユニットである。駆動回路213は、搬送ローラ3、9〜13、感光体ドラム4、定着器5などを駆動するユニットである。
【0021】
第1オプション制御部203には、例えば、通信IF230、CPU231、記憶装置232、駆動回路233などが含まれている。通信IF230は、他の制御部と通信するための通信ユニットである。CPU231は、シート処理装置31の各部を制御するための制御ユニットである。なお、CPU231は、記憶装置232に記憶されている制御プログラムを実行する。例えば、CPU211は、シート処理装置21に動作の開始を指示したり、シートの排出を制御したり、各種の判定処理を実行したりする。さらに、CPU211は、タイマーを内蔵している。記憶装置232は、RAMやROMなどの記憶ユニットである。駆動回路233は、搬送ローラ37〜39、フラッパ32、33、ステープルユニット40などを駆動するユニットである。
【0022】
第2オプション制御部202には、例えば、通信IF220、CPU221、記憶装置222、駆動回路223などが含まれている。通信IF220は、他の制御部と通信するための通信ユニットである。CPU221は、シート処理装置21の各部を制御するための制御ユニットである。なお、CPU221は、記憶装置222に記憶されている制御プログラムを実行する。また、CPU211は、タイマーを内蔵している。記憶装置222は、RAMやROMなどの記憶ユニットである。駆動回路223は、搬送ローラ27〜29、フラッパ22、23、ステープルユニット19などを駆動するユニットである。
【0023】
<コマンドの送受信>
図3は、実施形態に係る画像形成システムの制御方法を示すシーケンス図である。なお、ここでは、本体制御部201、第1オプション制御部203、第2オプション制御部202がそれぞれの制御プログラムに基づいてコマンドの送受信を実行するものとする。
【0024】
ステップS301において、本体制御部201のCPU211は、画像形成装置1は初期化処理の一環として、シート処理装置31及びシート処理装置21に対して装置番号を割り当てる。この装置番号は、各シート処理装置を識別するための情報である。以降、この装置番号に基づきコマンドが送信されることになる。なお、装置番号を各シート処理装置に割り当てることは必須というわけではない。
【0025】
ステップS302において、本体制御部201のCPU211は、センサ17によりシートが検出されたか否かを判定する。シートが検出されると、ステップS303に進み、CPU211は、通信IF210を通じて、排出予告コマンドを下流に位置する第1オプション制御部203に送信する。この排出予告コマンドは、シート処理装置31のシート処理の動作を開始させるためのコマンドである。
【0026】
ステップS304において、シート処理装置31のCPU231は、通信IFを通じて排出予告コマンドを画像形成装置1から受信する。さらに、CPU231は、排出予告コマンドを受信すると、シートを受け入れるための準備処理を駆動回路233に実行させる。例えば、駆動回路233は、各搬送ローラ37−39の駆動を開始する。
【0027】
ステップS305において、CPU231は、内部のタイマーにより所定時間を計時する。所定時間が計時されると、ステップS306に進み、CPU231は、通信IF230を通じて、排出予告コマンドを第2オプション制御部202に送信する。なお、所定時間は、排出予告コマンドを送信してから、シートがシート処理装置21へと排出されるまでに必要となる時間である。この所定時間は、記憶装置232にあらかじめ記憶されていてもよいし、CPU231が算出してもよい。このように、第1オプション制御部203は、本体制御部201から排出予告コマンドを受信したことをトリガにして、それから所定時間後にシート処理装置21に対して排出予告コマンドを送信する。
【0028】
ステップS307において、シート処理装置21のCPU221は、通信IF220を通じて排出予告コマンドを受信すると、シートを受け入れるための準備処理を実行する。例えば、駆動回路223は、CPU221の制御に応じて、各搬送ローラ27−29、フラッパ22、23を駆動する。
【0029】
以上説明したように本実施形態では、画像形成装置1の本体制御部201は、第1のシート処理装置31に動作の開始を指示するだけで、第2のシート処理装置21には動作の開始を指示しない。その代わり、第1のシート処理装置31の第1オプション制御部203が、第2のシート処理装置21に動作の開始を指示する。
【0030】
従来は、本体制御部201が、複数のシート処理装置31およびシート処理装置21の全てに対して、それぞれ排出予告コマンドを送信していた。これでは、本体制御部201が、各シート処理装置にシートが到達するタイミングを監視して、各シート処理装置へのコマンドの送出タイミングを決定しなければならなかった。従って、画像形成装置1の制御プログラムは複雑となりやすかった。
【0031】
それに対して、本実施形態に係るシート処理装置31は、下流のシート処理装置21に排出予告コマンドを送信する。そのため、画像形成装置1は、直接接続されているシート処理装置31に対してだけ排出予告コマンドを送信すればよい。すなわち、画像形成装置1は、シート処理装置21を監視する必要はないし、シート処理装置21に排出予告コマンドを送信する必要もない。よって、画像形成装置1の制御プログラムを簡易なものとすることができる。さらに、画像形成装置1の処理負荷も軽減されよう。
【0032】
また、複数のシート処理装置が直列に画像形成装置1に接続される場合であっても、または単一のシート処理が画像形成装置1に接続される場合であっても、画像形成装置1は、直接接続されているシート処理装置にだけ排出予告コマンドを送信するだけでよい。また、これら双方の場合で、排出予告コマンドの内容を変える必要もない。それゆえ、画像形成装置1の制御プログラムを簡易にすることができる。
【0033】
従来技術では、複数のシート処理装置が接続されている場合と、単一のシート処理装置が接続されている場合とで、排出予告コマンドが異なっていた。そのため、制御プログラムが複雑となっていた。それに対して、本発明では、排出予告コマンドの内容を必ずしも変える必要がないため、画像形成装置の制御プログラムを簡易にすることができる。
【0034】
<シート間隔の制御>
シート処理装置においてステープルなどのシート処理が実行されている際に、シートを搬入してしまうとジャム等が発生するおそれがある。そのため、画像形成装置1は、複数のシート処理装置におけるシート間隔(時間)の最大値を考慮して、シートを排出しなけれならない。
【0035】
図4は、実施形態に係るシート間隔の制御についてのシーケンス図である。なお、既に説明した箇所には同一の参照符号を付すことで、説明を簡略化する。なお、図4のシーケンスにおいて、本体制御部201のCPU211は、シート処理装置31、21に対して、ジョブシーケンス情報を送信してもよい。ジョブシーケンス情報には、例えば、シートサイズの情報、シート処理装置の装置番号、シートの枚数、トレイの識別情報などが含まれうる。
【0036】
ステップS401において、シート処理装置31のCPU231と、シート処理装置21のCPU221は、それぞれシート間隔情報を画像形成装置1に対して通知する。シート間隔情報には、各シート処理装置において必要とされるシートの間隔(時間)が含まれる。例えば、現在処理中のシートについてステープル処理が必要な場合、シートを受け入れてから、ステープルを実行して次のシートを受け入れられるようになるまでの時間がシート間隔に相当する。なお、シート間隔は距離の情報であってもよい。
【0037】
このように、ジョブシーケンス情報を受信した各シート処理装置21、31は、それぞれジョブを構成するページごとに処理に要する時間(シート間隔情報)を本体制御部201に通知する。
【0038】
ステップS402において、画像形成装置1のCPU211は、第1および第2のシート処理装置31、21から受信したシート間隔情報に基づいて、最大となるシート間隔を決定する。
【0039】
ステップS403において、CPU211は、最大となるシート間隔を適用してシートを第1のシート処理装置31へと排出するよう制御する。例えば、CPU211は、最大となるシート間隔に応じて、カセット2からシートを給送するタイミングをレジストレーションローラ9により調整する。ステップS404において、CPU211は、画像形成処理を実行する。
【0040】
図5は、シート間隔の制御の一例を説明するための図である。とりわけ、図5(a)は、ジョブAが3ページからなり、ジョブBが2ページからなり、そしてジョブCが3ページからなることを示している。3つのジョブにおけるシートの合計は8ページとなる。
【0041】
より詳しくは、ジョブAは、第2シート処理装置21において3ページのシートをステープルし、ステープルされたシート束をトレイ24に排出するジョブである。また、ジョブBは、第1シート処理装置31において2ページのシートをステープルし、ステープルされたシート束をトレイ34に排出するジョブである。さらに、ジョブCは、第2シート処理装置21において3ページのシートをステープルし、ステープルされたシート束をトレイ24に排出するジョブである。なお、シート処理装置31またはシート処理装置21においてステープルに要する時間はいずれも、例えば、3秒間とする(図5(b))。
【0042】
ジャムを防ぐためには、先行するシートをステープル処理している間は、画像形成装置1が後続のシートの給紙および搬送を停止する(S403)。
【0043】
図5(b)に示した例の場合、第2シート処理装置21がジョブAの最終ページをステープルしている間に、画像形成装置1において処理されるシートは、ジョブBの1ページ目である。このジョブBの1ページ目に対し、第2シート処理装置21は、シート間隔情報を画像形成装置1に通知する。このシート間隔情報には、ジョブAの最終ページをステープルするのに必要となる時間(例:3秒)が含まれている。
【0044】
画像形成装置1は、シート間隔情報からシート間隔の最大値を決定する(S402)。そして、画像形成装置1は、ジョブAの最終ページとジョブBの1ページ目とのシート間隔にこの最大値を適用する(S403)。すなわち、ジョブAの最終ページとジョブBの1ページ目は、3秒間のシート間隔が確保されることとなる。
【0045】
上記のように制御することにより、ジョブA、ジョブBおよびジョブCが連続した場合でも、ステープル処理に必要となる時間を反映した好適なシート間隔が確保される。図5(b)において,ステープルされないページのシート間隔情報を0秒と記載しているが、この0秒とは、画像形成装置1において次のシートを給紙するタイミングを遅らせる時間が0秒という意味である。
【0046】
以上説明したように本実施形態によれば、画像形成装置1は、複数のシート処理装置から通知されるシート間隔情報に基づいて最大のシート間隔を決定する。さらに、画像形成装置1は、決定されたシート間隔に応じてシートの排出を制御する。これにより、画像形成装置1が第1のシート処理装置31にのみ排出予告コマンドを送信する場合であっても、ジャム等の発生を好適に抑制できる。
【0047】
<ジャム検出制御1>
ジャムを検知する方法はいくつか考えられる。例えば、排出(搬入)予告時刻になっても上流の装置からシートが到着しなければ、上流の装置においてジャムが発生したと判定できる。より具体的には、上述の排出予告コマンドを受信してから所定時間を経過してもセンサ20、30がシートを検出できなければ、ジャムが発生したことになる。
【0048】
上述したように複数のシート処理装置21、31を直列に画像形成装置1に接続する場合と、シート処理装置21だけを画像形成装置1に接続する場合とでは、従来、排出予告コマンドの内容を変更するか、シート処理装置21の検出処理を変更する必要あった。すなわち、画像形成装置1に接続されるシート処理装置の数や、シート処理装置が何番目の位置に接続されるかで、画像形成装置1やシート処理装置の制御方法を変更する必要があった。よって、制御プログラムが複雑になりやすかった。
【0049】
そこで、本実施形態では、ジャムの検出についても制御プログラムを簡易化する技術を提案する。とりわけ、本実施形態では、上流側のシート処理装置31が下流側のシート処理装置21に送信する排出予告コマンドを利用して、ジャムを検出する。
【0050】
図6は、実施形態に係るジャム検出処理の例示的なフローチャートである。上述したように、画像形成装置1のCPU211は、センサ17によりシートが検出されると、排出予告コマンドを送信する。また、上流側のシート処理装置31のCPU231も、センサ30によりシートが検出されると(または検出されてから所定時間経過した後に)、排出予告コマンドを下流のシート処理装置21に送信する。なお、以下では、便宜上、シート処理装置21のジャム検知処理について説明するが、シート処理装置31のジャム検知処理も同様であることはいうまでもない。
【0051】
ステップS601において、シート処理装置21のCPU221は、上流の装置から排出予告コマンドを受信したか否かを判定する。排出予告コマンドを受信すると、ステップS602に進む。
【0052】
図7は、実施形態に係る画像形成システムの一例を示す図である。この例では、シート処理装置21が画像形成装置1に直接的に接続されているので、上流側の装置は、画像形成装置1となる。一方、図1に示した画像形成システムでは、シート処理装置21にとっての上流側の装置は、シート処理装置31となる。なお、いずれの場合であっても、シート処理装置21が受信する排出予告コマンドの内容と受信タイミングは実質的に同一となる。
【0053】
ステップS602において、CPU221は、内部タイマーをスタートさせる。ステップS603において、CPU221は、センサ20によりシートの到着が検出されたか否かを判定する。所定時間の経過前にシートが到着したときは、ジャムは発生していないことになるので、ジャム検出処理を終了する。なお、下流に他のシート処理装置が存在する場合、CPU221(CPU231)は、上述したように排出予告コマンドを送信することになろう。一方、シートが検出されなかったときは、ステップS604に進む。
【0054】
ステップS604において、CPU221は、内部タイマーにより所定時間の計時が完了したか否か(すなわち、所定時間が経過したか否か)を判定する。なお、所定時間は、予め記憶装置222などに記憶されている値である。ただし、所定時間は、搬送されるシートのサイズ(搬送方向における長さ)によって切り替わる。より具体的には、センサ17ないしセンサ30までの搬送距離、シートのサイズ、搬送速度によって決定される値である。
【0055】
所定時間の値は、シートのサイズごとに記憶装置222に記憶されており、例えば、ジョブシーケンス情報に含まれるシートサイズの情報を元に、CPU221が読み出す。所定時間が経過していなければ、ステップS603に戻る。一方、シートの到着が検出されることなく、所定時間が経過したときは、ステップS605に進み、ジャム関連の処理を実行する。ジャム関連の処理とは、例えば、ジャムが発生したことを上流側の装置に送信する処理などである。
【0056】
以上説明したように本実施形態によれば、シート処理装置の接続数に依存することなく、同一のジャム検出処理を採用できるため、シート処理装置の接続数に依存してジャム検出処理を変更する他の関連技術に比較し、制御プログラムを簡易にすることができる。
【0057】
例えば、複数のシート処理装置21、31を直列に画像形成装置1に接続する場合(図1)と、シート処理装置21だけを画像形成装置1に接続する場合(図7)とで、排出予告コマンドの内容と、その通信タイミングを実質的に同一とすることが可能となる。よって、ジャム検出処理も実質的に同一となるので、制御プログラムが相対的に簡素化される。
【0058】
<ジャム発生時のシート処理>
以下では、複数のシート処理装置が画像形成装置1に接続される構成において、中間に位置するシート処理装置(例:シート処理装置31)においてジャムが発生した場合のシートの搬送制御について説明する。
【0059】
一般に、ジャムが発生すると、画像形成装置1だけでなく、画像形成装置1に接続されている全てのシート処理装置において、シート処理が停止してしまう。この場合、各装置において1枚以上のシートが搬送途中であることが多い。例えば、シート処理装置31がジャムを検出した瞬間には、すでにカセット2からピックアップされたシートが画像形成装置1内に2枚存在することがある。また、同時に、シート処理装置21内にシートが存在する場合もある。よって、画像形成システムの操作者は、各装置からシートを手作業で除去しなければならない。
【0060】
しかしながら、例えば、シート処理装置31のステープルユニット40においてジャムが発生した場合などでは、後続のシートを他のシート処理装置へと排出可能な場合がある。よって、搬送途中にある全てのシートを、他のシート処理装置や他のトレイへと排出した後で、画像形成システムの動作を停止すれば、操作者が取り除かねければならないシートの枚数は相対的に少なくて済むであろう。そこで、本実施形態では、操作者が取り除くシートの枚数を削減可能な、ジャム時のシート搬送処理について説明する。
【0061】
図8は、実施形態に係るシート搬送処理を示す例示的なフローチャートである。ステップS801において、シート処理装置31のCPU231は、ステープルユニット40においてジャムが発生したか否かを不図示のセンサにて検出する。ジャムが検出されなければ、本フローチャートに係る特別排出処理を終了する。ジャムが検出されるとステップS802に進む。
【0062】
ステップS802において、CPU231は、後続のシートを下流のシート処理装置21に誘導するために、フラッパ32を切り替える。なお、CPU231は、ジャムが発生したことを画像形成装置1に通知してもよい。これにより、画像形成装置1は、シート処理装置31が備えるステープルユニット40を使用するジョブシーケンスを中断することができる。
【0063】
ステップS803において、CPU231は、下流のシート処理装置21に対して特別排出予告コマンドを送信する。これにより、シート処理装置31において処理するはずであった後続シートをシート処理装置21において処理することが可能となる。シート処理装置21は、当該コマンドを受信すると、後続シートの排出準備を開始する。
【0064】
ステップS804において、CPU231は、画像形成装置1から排出される後続シートをシート処理装置21へと排出する。また、シート処理装置21は、搬入された後続シートをトレイ24などに排出する。
【0065】
このように、ステープルユニット40において、ジャムが発生したときに、すでにピックアップ済みであった2枚のシートは、画像形成装置1から排出され、さらにシート処理装置31を通過し、最終的に、シート処理装置21のトレイ24などに排出される。なお、シート処理装置21の代わりに、シート処理装置31のトレイ35へと排出してもよいことはいうまでもない。
【0066】
また、シート処理装置31においてジャムが発生したときに、シート処理装置21内に存在しているシートも、自動排出予告コマンドに基づいて、そのままシートを処理及び排出処理が実行される。
【0067】
以上説明したように本実施形態によれば、ジャムが発生したとしても、先行するシートや後続するシートを他のシート処理装置や他のトレイに排出することで、操作者が除去すべきシートの枚数を相対的に削減することができる。
【0068】
なお、シート処理装置がソータである場合について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。シート処理装置は、例えば、シート折り装置やパンチ穴あけ装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態に係る画像形成システムの一例を示す図である。
【図2】実施形態に係る制御部の一例を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る画像形成システムの制御方法を示すシーケンス図である。
【図4】実施形態に係るシート間隔の制御についてのシーケンス図である。
【図5】シート間隔の制御の一例を説明するための図である。
【図6】実施形態に係るジャム検出処理の例示的なフローチャートである。
【図7】実施形態に係る画像形成システムの一例を示す図である。
【図8】実施形態に係るシート搬送処理を示す例示的なフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1‥‥画像形成装置
2‥‥カセット
4‥‥感光体ドラム
5‥‥定着器
20‥‥センサ
21‥‥シート処理装置
30‥‥センサ
31‥‥シート処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置に接続される第1のシート処理装置と、前記第1のシート処理装置に接続される第2のシート処理装置とを含む画像形成システムであって、
前記画像形成装置に備えられ、前記第1のシート処理装置に動作の開始を指示する第1の指示手段と、
前記第1のシート処理装置に備えられ、前記第2のシート処理装置に動作の開始を指示する第2の指示手段と
を含むことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第1および第2のシート処理装置は、
シートの間隔を表すシート間隔情報を前記画像形成装置に通知する通知手段
を備え、
前記画像形成装置は、
前記第1および第2のシート処理装置に備えられる各通知手段から受信した前記シート間隔情報に基づいて、最大となるシート間隔を決定する決定手段と、
前記最大となるシート間隔を適用してシートを前記第1のシート処理装置に排出するよう制御する排出制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1のシート処理装置は、
前記画像形成装置から動作開始の指示を受信すると計時を開始する第1の計時手段と、
前記第1の計時手段により所定時間が計時される前に、前記画像形成装置からシートが到着しなかった場合に前記画像形成装置においてジャムが発生したと判定する第1の判定手段と
を備え
前記第2のシート処理装置は、
前記第1のシート処理装置から動作の開始の指示を受信すると計時を開始する第2の計時手段と、
前記第2の計時手段により所定時間が計時される前に、前記第1のシート処理装置からシートが到着しなかった場合に前記第1のシート処理装置においてジャムが発生したと判定する第2の判定手段と
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1のシート処理装置は、前記第1のシート処理装置においてジャムが発生した場合であっても、前記画像形成装置から排出されるシートを前記第2のシート処理装置に排出可能なときは、前記シートを前記第2のシート処理装置に排出することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1のシート処理装置は、前記画像形成装置から排出されるシートを前記第2のシート処理装置において排出するための指示を、前記第2のシート処理装置へ送信することを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第2のシート処理装置は、前記画像形成装置から排出されるシートを前記第2のシート処理装置において排出するための指示を受信すると、前記第1のシート処理装置から搬入したシートを排出することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
画像形成装置から排出されるシートを処理するシート処理装置であって、
前記画像形成装置からの動作開始指示信号に基づいて、前記シート処理装置の下流に接続されている他のシート処理装置に対して、動作の開始を指示する指示手段を含むことを特徴とするシート処理装置。
【請求項8】
画像形成装置から排出されるシートを処理するシート処理装置であって、
前記シート処理装置の上流に前記画像形成装置が接続されている場合は、前記画像形成装置から送信される指示に基づいてシート処理を開始し、前記シート処理装置の上流に他のシート処理装置が接続されている場合は、前記他のシート処理装置から送信される指示に基づいてシート処理を開始するよう制御する制御手段を含むことを特徴とするシート処理装置。
【請求項9】
少なくとも1つのシート処理装置が接続される画像形成装置であって、
前記画像形成装置に単一のシート処理装置が接続される場合と、複数のシート処理装置が直列に接続される場合との双方において、前記画像形成装置に直接接続されるシート処理装置にのみ動作の開始を指示する指示手段を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置から排出されるシートを処理するシート処理装置の制御方法であって、
前記画像形成装置からの動作開始指示信号に基づいて、前記シート処理装置の下流に接続されている他のシート処理装置に対して、動作の開始を指示するステップを含むことを特徴とするシート処理装置の制御方法。
【請求項11】
画像形成装置から排出されるシートを処理するシート処理装置の制御方法であって、
前記シート処理装置の上流に前記画像形成装置が接続されている場合は、前記画像形成装置から送信される指示に基づいてシート処理を開始し、前記シート処理装置の上流に他のシート処理装置が接続されている場合は、前記他のシート処理装置から送信される指示に基づいてシート処理を開始するよう制御するステップを含むことを特徴とするシート処理装置の制御方法。
【請求項12】
少なくとも1つのシート処理装置が接続される画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置に単一のシート処理装置が接続される場合と、複数のシート処理装置が直列に接続される場合との双方において、前記画像形成装置に直接接続されるシート処理装置にのみ動作の開始を指示するステップを含むことを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−106559(P2007−106559A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300165(P2005−300165)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】