説明

画像形成装置、データアクセス方法及びプログラム

【課題】複数の記憶媒体が着脱可能な画像形成装置において、記憶媒体が誤って接続された場合の異常画像の形成を防止する。
【解決手段】画像形成装置100は、画像形成のための機能種別(プリントコントロール、カラー画像形成等)毎に、当該機能に係るデータを記憶する着脱可能な記憶部(Y色用HDD51Yやコントローラ用HDD62等)と、前記画像形成のための機能種別毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部(I/F22、64等)と、を有し、前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する制御部(CPU10)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、データアクセス方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体を本体に備えるものがあった。カラー画像形成装置では、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の色毎に記憶媒体を備え、プリントコントロール用の記憶媒体を含めて複数の記憶媒体が本体に備えられている。
【0003】
この画像形成装置に備えられた記憶媒体には重要な画像情報や機密情報などが記憶される場合がある。情報漏洩を防止するため、電源OFF時には本体から記憶媒体を取り外して金庫などの保管場所で管理できるように、記憶媒体は着脱可能となっている。例えば、特許文献1には、着脱可能な記憶媒体に関する技術が開示されており、特に暗号化した画像情報等と、保守IDと、を記憶媒体に格納しておくことで、当該記憶媒体を着脱する際のデータの暗号化/復号化を容易に行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−202158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した複数の記憶媒体が着脱可能な画像形成装置では、YMCK各色の記憶媒体及びプリントコントロール用の記憶媒体の計5つを取り違えて接続してしまうことがあった。例えば、Y色に関する記憶媒体を接続すべき設置箇所に、誤って他の色の記憶媒体やプリントコントロール用の記憶媒体を設置してしまうことがあった。
【0005】
このように記憶媒体が正しく設置されなていない場合、従来の画像形成装置では、記憶媒体からのデータの読み出し又はデータの書き込みが正常に行われないために用紙に異常画像が形成されてしまい、画像形成後の用紙が無駄になってしまうことがあった。
【0006】
本発明の課題は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであって、複数の記憶媒体が着脱可能な画像形成装置において、記憶媒体が誤って接続された場合の異常画像の形成を防止する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像形成のための機能種別毎に、当該機能に係るデータを記憶する着脱可能な複数の機能部と、
前記画像形成のための機能種別毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して用紙に画像形成を行う画像形成装置において、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する制御部を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、カラー画像形成で重畳する色画像毎に、当該色画像に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記カラー画像形成で重畳する色画像毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して前記色画像を重畳して用紙にカラー画像形成を行う画像形成装置において、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する制御部を備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記制御部は、前記識別結果に基づいて、いずれかの色画像に係るデータ書込及び/又はデータ読込を、当該いずれかの色画像に係るデータを記憶する記憶部に行うように制御する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の発明において、前記記憶部は、データを一時的に記憶するテンポラリ領域を有し、
前記制御部は、いずれかの色画像に係る前記接続部と接続する記憶部が当該いずれかの色画像に係るデータを記憶する記憶部でない場合、この記憶部への前記いずれかの色画像に係るデータ書込及び/又はデータ読込については、前記テンポラリ領域にのみ行うように制御する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、画像形成のための機能種別毎に、当該機能に係るデータを記憶する着脱可能な複数の機能部と、
前記画像形成のための機能種別毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して用紙に画像形成を行う画像形成装置のデータアクセス方法であって、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、カラー画像形成で重畳する色画像毎に、当該色画像に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記カラー画像形成で重畳する色画像毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して前記色画像を重畳して用紙にカラー画像形成を行う画像形成装置のデータアクセス方法であって、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、画像形成のための機能種別毎に、当該機能に係るデータを記憶する着脱可能な複数の機能部と、
前記画像形成のための機能種別毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して用紙に画像形成を行う画像形成装置のコンピュータを、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御させるためのプログラムである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、カラー画像形成で重畳する色画像毎に、当該色画像に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記カラー画像形成で重畳する色画像毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して前記色画像を重畳して用紙にカラー画像形成を行う画像形成装置のコンピュータを、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、5、7に記載の発明によれば、いずれかの機能種別の接続部へ、誤って別の機能に係るデータを記憶する記憶部が接続された場合であっても、当該記憶部を識別してデータ書込及び/又はデータ読込を制御することができるため、異常なデータ書込及び/又はデータ読込を防止して用紙に異常画像が形成されることを未然に防ぐことができる。
【0016】
請求項2、6、8に記載の発明によれば、いずれかの色画像の接続部へ、誤って別の色画像に係るデータを記憶する記憶部が接続された場合であっても、当該記憶部を識別してデータ書込及び/又はデータ読込を制御することができるため、異常なデータ書込及び/又はデータ読込を防止して用紙に異常画像が形成されることを未然に防ぐことができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、色画像毎の接続部に対して接続すべき記憶部を取り違えて接続した場合であっても、適切な記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を行うことができ、正常な画像形成を実施できる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、いずれかの色画像に係る接続部に関して記憶部の取り違えがあった場合であっても、その色の画像形成に関して一時的にデータを記憶するテンポラリ領域については通常どおりにデータ書込及び/又はデータ読込を行うことができ、記憶部が正常に接続された場合と比較しても処理速度を落とすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図を参照して説明するが、この発明は以下の実施の形態に限定されない。また、この発明の実施の形態は発明の最も好ましい形態を示すものであり、発明の範囲を限定するものではない。
【0020】
先ず、本実施の形態に係る画像形成装置の機能的構成について、図1を参照して説明する。図1は、画像形成装置100の機能的構成を模式的に示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像入力部1、色変換部2、誤差拡散部3、格納制御部4、画像記憶部5、プリンタコントローラ6、画像処理部7、画像形成部8を有する構成である。
【0022】
画像入力部1は、光学的に原稿を読み取るスキャナや他の情報機器と通信可能に接続する通信インターフェイスなどであり、原稿画像データや他の情報機器から送信される画像データ等の画像形成装置100で形成すべき画像データの入力を受け付ける。画像入力部1は、スキャナで読み取った原稿画像データや受信した画像データなど入力画像データをR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)各色の画像データとして色変換部2へ出力する。
【0023】
色変換部2は、RGB各色とYMCK各色との対応関係を示す色変換テーブル(特に図示せず)などを用いて、画像入力部1から出力されるRGB各色の入力画像データに対してYMCK各色の画像データへ色変換処理を行う。色変換部2は、色変換処理後のYMCK各色の画像データを誤差拡散部3へ出力する。
【0024】
誤差拡散部3は、色変換処理後における注目画素の階調値とその周辺画素の階調値とを均一化する誤差拡散処理を行い、処理後の画像データを格納制御部4へ出力する。具体的には、誤差拡散部3は、画像入力部1から色変換部2に出力される色変換前と色変換後における注目画素の階調値の誤差値をバッファメモリ等に保持し、その誤差値を、多値画像データの未処理の周辺画素に拡散して各周辺画素の階調値に加算するなどの誤差拡散処理を行う。
【0025】
格納制御部4は、画像記憶部5に記憶されるYMCK各色の画像データのデータ書込及び/又はデータ読込や、プリンタコントローラ6に記憶されるデータのデータ書込及び/又はデータ読込等のデータアクセスを制御する。具体的には、格納制御部4は、誤差拡散処理後のYMCK各色の画像データの画像記憶部5への一時記憶を行う。また、格納制御部4は、画像記憶部5に記憶された画像データやプリンタコントローラ6に記憶された画像形成に係るデータを読み出し、画像処理部7へ出力する。
【0026】
画像記憶部5は、カラー画像形成を行うための機能に係るデータを読出可能及び/又は書込可能に記憶する記憶部を有する。画像記憶部5は、詳細については後述するが、カラー画像を形成する際に重畳するYMCKの色毎に複数の記憶部を有している。
【0027】
プリンタコントローラ6は、画像形成のための機能として、ジョブ管理やフォント管理などの管理機能を提供する。プリンタコントローラ6は、詳細は後述するが、管理機能に係るデータを読出可能及び/又は書込可能に記憶する記憶部を備えている。
【0028】
画像処理部7は、格納制御部4などから入力される画像データに対して、アナログ/デジタル変換処理、回転/反転処理、階調処理、鮮鋭性調整処理等の各種画像処理を施し、画像形成部8へ出力する。画像形成部8は、入力されるYMCK各色の画像データに基づいて、当該各色画像を用紙に重畳して形成し、カラー画像の形成を行う。
【0029】
具体的には、画像形成部8は、YMCK各色の画像データに基づいて、YMCK各色の感光体ドラムに静電潜像を形成し、その静電潜像へトナーを付着させたトナー像を中間転写ベルトなどの画像担持体へ形成することでYMCK各色を重畳し、その画像担持体へ形成された画像を用紙へ転写する、いわゆる電子写真方式でカラー画像を形成する。なお、画像形成部8における用紙へのカラー画像の形成は、上述した電子写真方式に限らず、インクジェット方式、熱昇華方式等の他のプリント方式を適用することとしてもよい。
【0030】
次に、画像形成装置100のハードウエア構成の詳細について、図2、3を参照して説明する。図2は、画像形成装置100のハードウエア構成を示すブロック図である。図3は、HDDにおける記憶領域の構成を模式的に示している。
【0031】
図2に示すように、画像形成装置100は、画像記憶部5、プリンタコントローラ6、画像形成部8、CPU10、表示部12、操作部13、NIC14及びUSB15などがバス16により互いに電気的に接続された構成である。
【0032】
CPU10(Central Processing Unit)は、内部RAM(特に図示せず)の所定領域を作業領域とし、ROM(Read Only Memory)やデータの読込/書込が可能な半導体メモリ等である記憶部11に格納された制御プログラムやアプリケーションプログラム等の各種プログラムデータや設定データを読み込んで順次実行することで、画像形成装置100の動作を統括制御する。具体的には、CPU10は、記憶部11に格納されたプログラムデータを読み込んで順次実行することで、前述した色変換部2、誤差拡散部3、格納制御部4、画像処理部7などの機能を提供する。また、CPU10は、図4を参照しながら後述する画像形成装置100の動作処理を実行する。
【0033】
操作部13は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等の表示ディスプレイから構成され、CPU10の制御の下、各種操作画面や案内画面等を表示する。表示部12は、数字キーやスタートキー等の各種機能キー、操作部13と一体に構成されるタッチパネル等を備えて構成され、操作されたキーに対応する操作信号、タッチパネルでの入力操作に応じた操作信号を生成したCPU10に出力する。
【0034】
NIC14(Network Interface Card)は、特に図示しないLAN(Local Area Network)やインターネット等のネットワークと通信可能に接続する通信インターフェイスであり、当該ネットワークを介して接続するPC(Personal Computer)やスキャナ等の外部機器との間でデータの送受信を行う。USB15(Universal Serial Bus)は、外部機器と直接接続するインターフェイスである。即ち、NIC14、USB15が前述した画像入力部1としての機能を提供する。
【0035】
画像記憶部5については、Y色画像に係る構成を例示して説明する。Y色画像については、内部のバス21とバス16とを接続するバスブリッジ20、I/F22、格納制御部4Y、Y色用HDD51Y、SDRAM52Yを有する構成であり、バス21によりバスブリッジ20、I/F22、格納制御部4Yが互いに電気的に接続される構成である。なお、M色画像についても、上述したY色画像と同様であり、内部のバス31とバス16とを接続するバスブリッジ30、I/F32、格納制御部4M、M色用HDD51M、SDRAM52Mを有する構成である。また、特に図示しないC色、K色の構成についても同様であるため、以後の説明では、Y色画像に関する構成を例示して説明する。
【0036】
格納制御部4Yは、例えばIC(Integrated Circuit)などであり、I/F22を介して接続するY色用HDD51Yのデータアクセスを制御する制御部41Y、データの圧縮伸長を行う圧縮伸長部42Y等を有して構成され、制御部41YにはSDRAM52Y(Synchronous Dynamic RAM)が接続されている。
【0037】
格納制御部4Yは、バスブリッジ20を介してCPU10から送信される制御信号の下、I/F22を介して接続するY色用HDD51Yのデータ読出及び/又はデータ書込を制御する。具体的には、格納制御部4Yは、Y色用HDD51Yに記憶されたY色画像に関する圧縮された画像データや設定データを読み出して圧縮伸長部42Yで伸長し、SDRAM52Yに展開する。また、格納制御部4Yは、画像入力部1から入力された画像データのY色画像に関するデータを圧縮伸長部42Yで圧縮してY色用HDD51Yに一時的に記憶させるなどの制御を行う。
【0038】
Y色用HDD51Yは、前述したY色の画像形成に係るデータを読出可能及び/又は書込可能にする記憶部であり、I/F22を介してバス21と接続される。このY色用HDD51YとI/F22とは、接続コネクタなどで互いに着脱可能に接続される。このため、画像形成装置100は、電源オフ時などにY色用HDD51Yを取り外して別途保管することが可能である。
【0039】
このI/F22に接続されたHDDの整合性の判定は、CPU10の制御の下、制御部41YがI/F22に接続するHDDに記憶されたデータを検証して行われる。このHDDの整合性の判定とは、I/F22に接続すべきHDDであるか否かを判定することであり、画像記憶部5に係るHDDであるか否かの識別や、当該I/F22に接続すべき色画像を記憶するY色用HDD51Yであるか否かの識別などを行うことである。具体的には、制御部41Yの内部メモリなどに記憶された検証用データとHDDに記憶されたデータとの比較や、Y色の画像形成に係るデータを記憶するHDDであることを示す当該HDDに記憶された識別情報などを判別して行われる。なお、後述する動作説明では、I/F22に接続するHDDに記憶された識別情報を用いて当該HDDを識別する構成を例示するが特に限定するものではない。
【0040】
プリンタコントローラ6は、格納制御部61、コントローラ用HDD62、バスブリッジ63、I/F64を有する。プリンタコントローラ6の内部にあるバス65とバス16とは、バスブリッジ63を介して接続されている。プリンタコントローラ6の内部では、格納制御部61、バスブリッジ63、I/F64がバス65により互いに電気的に接続されている。
【0041】
格納制御部61は、例えばICなどであり、バスブリッジ63を介してCPU10から送信される制御信号の下、プリンタコントローラ6の動作を制御する。具体的には、格納制御部61は、CPU10の制御の下、I/F64を介して接続するコントローラ用HDD62のデータ読出及び/又はデータ書込を制御する。
【0042】
コントローラ用HDD62は、前述したジョブ管理やフォント管理などの管理機能に係るデータを読出可能及び/又は書込可能に記憶する記憶部であり、I/F64を介してプリンタコントローラ6の内部にあるバス65と接続される。このコントローラ用HDD62とI/F64とは、接続コネクタなどで互いに着脱可能に接続されている。このため、画像形成装置100は、電源オフ時などにコントローラ用HDD62を取り外して別途保管することが可能である。
【0043】
このI/F64に接続されたHDDの整合性の判定は、CPU10の制御の下、格納制御部61がI/F64に接続するHDDに記憶されたデータを検証して行われる。このHDDの整合性の判定とは、I/F64に接続すべきHDDであるか否かを判定することであり、プリンタコントローラ6に係るHDDであるか否かを識別することである。具体的には、格納制御部61の内部メモリなどに記憶された検証用データとHDDに記憶されたデータとの比較や、コントローラ用のデータを記憶するHDDであることを示す当該HDDに記憶された識別情報などを判別して行われる。なお、後述する動作説明では、I/F64に接続するHDDに記憶された識別情報を用いて当該接続するHDDを識別する構成を例示するが特に限定するものではない。
【0044】
なお、上述したY色用HDD51Y、M色用HDD51Mなどにおける記憶領域は、図3に示すように、キャッシュ用テンポラリ領域R1、FAT(File Allocation Tables)等のファイル管理システムによるファイルシステム管理領域R2から構成されている。
【0045】
キャッシュ用テンポラリ領域R1は、一時的なデータを記憶する記憶領域である。例えば、Y色用HDD51Yのキャッシュ用テンポラリ領域R1では、画像形成部8において順次色画像を形成する際に予め展開しておくY色の画像データなどが記憶される。即ち、キャッシュ用テンポラリ領域R1は、画像用メモリであるSDRAMの作業領域として利用される。
【0046】
ファイルシステム管理領域R2は、画像形成部8における画像形成が予約されたジョブデータ、色毎のスタンプデータ等の各種設定データを記憶する記憶領域である。例えば、コントローラ用HDD62のファイルシステム管理領域R2では、画像形成部8において形成すべきジョブデータや各種フォントデータ等の設定データが記憶される。また、Y色用HDD51Yのファイルシステム管理領域R2では、Y色のスタンプデータなどのY色の画像形成に係る設定データが記憶される。即ち、ファイルシステム管理領域R2は、I/F22、I/F32、I/F64などを介して接続する機能部の機能に係るデータを記憶する領域として利用される。
【0047】
次に、CPU10の制御の下で行われる画像形成装置100の動作について、図4〜図6を参照して説明する。図4は、画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。図5、図6は、画像形成装置100におけるHDDの誤挿入を例示する概念図である。
【0048】
図4に示すように、電源投入時などにより画像形成装置100が開始されると、前述した各HDDがマウントされ(ステップS11)、当該各HDDの認証データが読み出されて正常であるか否かが判定される(ステップS12)。
【0049】
このステップS12の判定では、カラー画像形成のための機能に係る画像記憶部5と、画像形成のための管理機能に係るプリンタコントローラ6と、に接続するHDDが互いに取り違えて接続されているか否かが判定される。即ち、ステップS12では、カラー画像の形成機能や管理機能等の機能毎のI/Fと接続するHDDが正しいか否かまでが判定対象であるため、カラー画像の形成機能に含まれる各色のI/FとHDDとの接続については判定対象外となる。よって、ステップS12においては、画像記憶部5における色毎のHDDが取り違えて接続されている場合などは正常であると判定される。
【0050】
ステップS12において正常でない(NO)と判定された場合、即ち、画像記憶部5と、プリンタコントローラ6と、に接続するHDDが互いに取り違えて接続されている場合は、各HDDにおけるデータ書込及び/又はデータ読込などの動作が禁止され(ステップS13)、表示部12の操作画面上において、動作が禁止されたHDDに係る機能を利用する操作項目が選択不可にされて当該機能が利用できない旨の警告表示が出力され(ステップS14)、HDDが動作しないモードのみの限定的な動作が行われる(ステップS15)。なお、ステップS14における警告の出力は、表示部12の画面上に行う構成だけでなく、特に図示しない音声出力部などによる警告音声の出力などであってもよい。
【0051】
このステップS12において正常でないと判定される場合には、図5に示すように、I/F64にY色用HDD51Yが接続され、I/F22にコントローラ用HDD62が取り違えて接続された場合などがある。この場合は、ステップS13〜S15により、点線で示したキャッシュ用テンポラリ領域R1へのデータ読込及び/又はデータ書込や一点鎖線で示したファイルシステム管理領域R2へのデータ読込及び/又はデータ書込が禁止される。
【0052】
このため、画像形成装置100では、HDDに記憶されたデータを利用しない限定的な動作のみが実行されるだけであり、取り違えて接続されたHDDのデータ読込及び/又はデータ書込による用紙への異常画像の形成を防止することができる。
【0053】
ステップS12において正常である(YES)と判定された場合、即ち、画像記憶部5と、プリンタコントローラ6と、に接続するHDDが互いに取り違えて接続されていない場合は、画像記憶部5に色毎に接続されるHDDの各々の情報が確認されて正常に接続されているか否かが判定される(ステップS16)。
【0054】
ステップS16において正常である(YES)と判定された場合、即ち、画像記憶部5に接続する各色のHDDが取り違えて接続されていない場合は、画像記憶部5に接続する各HDDのキャッシュ用テンポラリ領域R1、ファイルシステム管理領域R2におけるデータ読込及び/又はデータ書込に関する動作を、当該各HDDの設置箇所のままで通常どおりに行うように設定され(ステップS17)、画像記憶部5やプリンタコントローラ6に接続するHDDに記憶されたデータに関する機能が利用可能な正常動作が行われる(ステップS18)。
【0055】
ステップS16において正常でない(NO)と判定された場合、即ち、画像記憶部5に接続する各色のHDDが取り違えて接続された場合は、各HDDの識別情報に基づいて不一致箇所が検出されて、取り違えて接続されたHDDの検出が行われる(ステップS19)。
【0056】
次いで、ステップS19で検出された、取り違えて接続されたHDDのファイルシステム管理領域R2に関するデータ読込及び/又はデータ書込に関する動作に関しては、各HDDの識別情報に基づいて色が一致するようにバスブリッジを跨いで行うように設定され(ステップS20)、各HDDのキャッシュ用テンポラリ領域R1に関するデータ読込及び/又はデータ書込に関する動作に関しては、設置箇所のままで通常どおりに行うように設定される(ステップS21)。
【0057】
次いで、バスブリッジを跨いだデータ転送により、HDDのデータ読出及び/又はデータ書込に係るデータ転送速度低下の発生があることが表示部12に表示され(ステップS22)、取り違えたHDDについてはバスブリッジを跨いだデータ転送があるが、画像記憶部5やプリンタコントローラ6に接続するHDDに記憶されたデータに関する機能が利用可能な正常動作が行われる(ステップS18)。なお、ステップS22における表示部12への画面表示は、HDDの取り違えを示す警告表示や、特に図示しない音声出力部などによる警告音声の出力などであってもよい。
【0058】
例えば、ステップS16において正常でないと判定される場合には、図6に示すように、I/F22にM色用HDD51Mが接続され、I/F32にY色用HDD51Yが接続された場合などがある。この場合は、ステップS19〜S22により、ファイルシステム管理領域R2へのデータ読込及び/又はデータ書込については一点鎖線で示したとおりにバスブリッジ20、バスブリッジ30を跨いで色が一致するように行われる。
【0059】
このため、画像形成装置100は、画像記憶部5において、各色のHDDが取り違えて接続された場合であっても、各色の画像形成に関するデータについてはバスブリッジを跨いでデータ読出及び/又はデータ書込を行うことができるため、用紙への画像形成を通常どおりに行うことができ、異常画像の形成を防止することができる。
【0060】
また、キャッシュ用テンポラリ領域R1へのデータ読込及び/又はデータ書込については点線で示したとおりに設置箇所のまま通常どおりに行われる。
【0061】
このため、画像形成装置100は、画像記憶部5において、いずれかの色の画像形成に係るHDDの取り違えがあった場合であっても、その色の画像形成に関する一時的なデータについてはバスブリッジを跨ぐことなく通常どおりにデータ読出及び/又はデータ書込を行うことができ、正常の場合と比較しても処理速度を落とすことがない。
【0062】
また、画像形成装置100は、画像記憶部5において、各色のHDDが取り違えて接続された場合、データ転送速度が低下している旨の画面表示が表示部12に行われるため、HDDが間違えて接続されたことや、そのために生じる処理速度の低下をユーザに知らしめることができる。
【0063】
以上のように、画像形成装置100は、画像形成のための機能種別(プリントコントロール、カラー画像形成等)毎に、当該機能に係るデータを記憶する着脱可能な記憶部(Y色用HDD51Yやコントローラ用HDD62等)と、前記画像形成のための機能種別毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部(I/F22、64等)と、を有し、前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する制御部(CPU10)を備える構成である。
【0064】
このため、画像形成装置100は、いずれかの機能種別の接続部へ、誤って別の機能に係るデータを記憶する記憶部が接続された場合であっても、当該記憶部を識別してデータ書込及び/又はデータ読込を制御することができるため、異常なデータ書込及び/又はデータ読込を防止して用紙に異常画像が形成されることを未然に防ぐことができる。
【0065】
また、画像形成装置100は、カラー画像形成で重畳する色画像毎に、当該色画像に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部(Y色用HDD51Y、M色用HDD51M等)と、前記カラー画像形成で重畳する色画像毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部(I/F22、32)と、を有し、前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する制御部(CPU10)を備える構成である。
【0066】
このため、画像形成装置100は、いずれかの色画像の接続部へ、誤って別の色画像に係るデータを記憶する記憶部が接続された場合であっても、当該記憶部を識別してデータ書込及び/又はデータ読込を制御することができるため、異常なデータ書込及び/又はデータ読込を防止して用紙に異常画像が形成されることを未然に防ぐことができる。
【0067】
また、画像形成装置100は、接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータの識別結果に基づいて、いずれかの色画像に係るデータ書込及び/又はデータ読込を、当該いずれかの色画像に係るデータを記憶する記憶部に行うように制御する構成である。
【0068】
このため、画像形成装置100は、カラー画像形成で重畳する色画像毎の接続部に対して接続すべき記憶部を取り違えて接続した場合であっても、適切な記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を行うことができ、正常な画像形成を実施できる。
【0069】
また、画像形成装置100は、記憶部においてデータを一時的に記憶するテンポラリ領域(キャッシュ用テンポラリ領域R1)を有し、いずれかの色画像に係る接続部と接続する記憶部が当該いずれかの色画像に係るデータを記憶する記憶部でない場合、この記憶部への前記いずれかの色画像に係るデータ書込及び/又はデータ読込については、前記テンポラリ領域にのみ行うように制御する構成である。
【0070】
このため、画像形成装置100は、いずれかの色画像に係る接続部に関して記憶部の取り違えがあった場合であっても、その色の画像形成に関して一時的にデータを記憶するテンポラリ領域については通常どおりにデータ書込及び/又はデータ読込を行うことができ、記憶部が正常に接続された場合と比較しても処理速度を落とすことがない。
【0071】
なお、上述した実施の形態における記述は、一例を示すものであり、これに限定するものではない。上述した実施の形態における構成及び動作に関しては、適宜変更が可能である。
【0072】
例えば、本実施の形態では、記憶部としてHDDを例示したが、半導体メモリや磁気記憶媒体、光磁気記憶媒体などであってよく、データの読取及び/又は書込可能な記憶媒体であればいずれであってよい。
【0073】
また、本実施の形態では、画像形成のための機能種別として、プリンタコントローラでのジョブ管理やフォント管理などの管理機能や、画像記憶部でのカラー画像形成に関する機能を例示し、その機能種別ごとに複数の記憶部(HDD)を有する構成を例示したが、画像入力、色変換、誤差拡散、画像処理などの他の機能種別ごとに複数の記憶部を有する構成であってもよく、特に限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の機能的構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】画像形成装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】HDDにおける記憶領域の構成を模式的に示す概念図である。
【図4】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】画像形成装置におけるHDDの誤挿入を例示する概念図である。
【図6】画像形成装置におけるHDDの誤挿入を例示する概念図である。
【符号の説明】
【0075】
100 画像形成装置
1 画像入力部
2 色変換部
3 誤差拡散部
4 格納制御部
5 画像記憶部
6 プリンタコントローラ
7 画像処理部
8 画像形成部
10 CPU
11 記憶部
12 表示部
13 操作部
14 NIC
15 USB
16、21、31、65 バス
20、30、63 バスブリッジ
22、32、64 I/F
51Y Y色用HDD
51M M色用HDD
62 コントローラ用HDD
R1 キャッシュ用テンポラリ領域
R2 ファイルシステム管理領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成のための機能種別毎に、当該機能に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記画像形成のための機能種別毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して用紙に画像形成を行う画像形成装置において、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する制御部を備える画像形成装置。
【請求項2】
カラー画像形成で重畳する色画像毎に、当該色画像に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記カラー画像形成で重畳する色画像毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して前記色画像を重畳して用紙にカラー画像形成を行う画像形成装置において、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御する制御部を備える画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記識別結果に基づいて、いずれかの色画像に係るデータ書込及び/又はデータ読込を、当該いずれかの色画像に係るデータを記憶する記憶部に行うように制御する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶部は、データを一時的に記憶するテンポラリ領域を有し、
前記制御部は、いずれかの色画像に係る前記接続部と接続する記憶部が当該いずれかの色画像に係るデータを記憶する記憶部でない場合、この記憶部への前記いずれかの色画像に係るデータ書込及び/又はデータ読込については、前記テンポラリ領域にのみ行うように制御する請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成のための機能種別毎に、当該機能に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記画像形成のための機能種別毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して用紙に画像形成を行う画像形成装置のデータアクセス方法であって、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御するデータアクセス方法。
【請求項6】
カラー画像形成で重畳する色画像毎に、当該色画像に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記カラー画像形成で重畳する色画像毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して前記色画像を重畳して用紙にカラー画像形成を行う画像形成装置のデータアクセス方法であって、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御するデータアクセス方法。
【請求項7】
画像形成のための機能種別毎に、当該機能に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記画像形成のための機能種別毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して用紙に画像形成を行う画像形成装置のコンピュータを、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御させるためのプログラム。
【請求項8】
カラー画像形成で重畳する色画像毎に、当該色画像に係るデータを記憶する着脱可能な複数の記憶部と、
前記カラー画像形成で重畳する色画像毎に、前記着脱可能な記憶部の各々と接続する複数の接続部と、
を有し、
入力画像データを画像処理して前記色画像を重畳して用紙にカラー画像形成を行う画像形成装置のコンピュータを、
前記接続部の各々と接続された記憶部に記憶されたデータを識別し、当該識別結果に基づいて、前記接続された記憶部へのデータ書込及び/又はデータ読込を制御させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−159264(P2009−159264A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334622(P2007−334622)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】