説明

画像形成装置および画像形成システム

【課題】画像形成装置に蓄積されている文書を複数のユーザが扱う場合の不具合を防止可能な画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【解決手段】文書を電子データとして蓄積可能な画像形成装置であって、ユーザとの間で情報交換を行う複数のユーザインターフェースと、複数のユーザインターフェースを制御するユーザインターフェース制御部71と、文書の管理情報を管理し、ユーザインターフェース制御部71からの要求に基づいて管理情報を提供するドキュメント管理部85とを有し、ドキュメント管理部85は、文書に対する操作及び文書の管理情報を一括して管理することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに係り、特に複数の蓄積文書を扱う画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、コピーした文書をそのまま印刷して出力、又はネットワークからのプリント出力を行なうことができる。さらに、画像形成装置はハードディスクなどの記憶領域を備えている場合、機器本体に文書を電子データとして蓄積、保存することもできる。
【0003】
例えば画像形成装置はスキャナから取り込んだ原稿を電子データとして蓄積、保存することができる。ユーザは、必要な場合に画像形成装置に電子データとして蓄積、保存されている原稿を印刷し、又はパーソナルコンピュータ(PC)に取り込んで編集することもできる。原稿が複数ページに跨る場合には、各ページの電子データをまとめてPCに取り込み、文書(蓄積文書)として管理することもできる。
【0004】
また、画像形成装置の一例としてのプリンタにおいては、PCからプリント出力を行なう際に、印刷でなく保存を行なうという指定を行えば、簡単に機器本体に文書を蓄積、保存することができる。そして、ユーザはユーザの都合が良いときに何時でも、機器本体に電子データとして蓄積、保存されている文書を印刷して利用することができる。機器本体に電子データとして蓄積、保存されている文書は、一度印刷すると消去されるか、何回も印刷できるようにするかをユーザに選択させるようにすることもできる。
【0005】
また、機器本体に蓄積されている文書には様々な管理情報を付加できる。例えば管理情報には、文書名,文書作成者もしくは文書オーナ情報,パスワード,蓄積日時,有効期間及び文書にアクセスできるユーザのアクセス制御リスト(ACL)等がある。
【0006】
機器本体に蓄積されている文書にパスワードが付加されている場合、ユーザは文書を印刷しようとするときにパスワードを入力する必要がある。したがって、パスワードを知らない文書の印刷はできない。このように、機器本体に蓄積されている文書はパスワードを付加することにより、機密性を保つことができる。
【0007】
また、機器本体に蓄積されている文書に対し、ユーザは印刷、その他にも様々な操作を行なうこともできる。ユーザは機器本体に蓄積されている文書が不要になれば削除することができる他、文書に付加されているパスワードを変更したり、誰でも印刷できるようにパスワードを削除することもできる。さらに、ユーザは機器本体に蓄積されている文書の文書名を後から変更、削除することもできる。機器本体に蓄積されている文書に対する上記のような操作は誰でも行えてしまうと、その文書を本当に利用したいユーザが知らない間に削除されてしまうなどの不都合が生じることもあるため、操作できるユーザを限定することもできる。
【0008】
ところで、画像形成装置には機器本体の操作パネル、PCからリモートで操作するWebサービス等の複数の操作部(ユーザインターフェース)が存在する。オフィス等の環境では、プリンタを使用するPCも複数あることが一般的であり、Webサービスを利用してプリンタを操作できるユーザインターフェースもPCの数と同じだけ複数存在する。
【0009】
したがって、オフィス等の環境では、ユーザインターフェースが複数又は複数種類あるために、複数のユーザが、それぞれのユーザインターフェースで同時に文書操作を行おうとする場合が発生する。ここで言う文書操作とは、印刷,パスワード変更,文書名変更等である。
【0010】
複数のユーザが、それぞれのユーザインターフェースで同時に文書操作を行おうとした場合は、様々な不都合が起こりうる。例えば、ユーザAが印刷する為にパスワード入力や部数選択などを行っている際に、別のユーザBにより同時にパスワード変更や文書の削除等が行われると、ユーザAは印刷できなくなる。
【0011】
例えば画像形成装置に蓄積されている蓄積文書の印刷を行なう際、ユーザは操作パネル又はPCのWeb画面に表示されている文書情報の一覧を閲覧し、その文書情報の一覧から印刷する文書を決定して印刷を行なう。印刷を行いたいユーザが画像形成装置の操作パネルから文書操作を行っている際に、別のユーザはPCのユーザインターフェースから文書情報を書き換えることができる。この場合、画像形成装置の操作パネルに表示されている文書情報の一覧には、画面更新がされるまで、PCのユーザインターフェースから書き換えられた文書情報の内容を反映できない。したがって、画像形成装置の操作パネルに表示されている文書情報の一覧に存在しているにも関わらず、印刷しようとする蓄積文書が無いということも起きる。
【0012】
その他、二人のユーザが同時に文書名を変更した場合、実際に蓄積文書の管理情報に反映されるのは、片方のユーザによる変更のみである。もう一方のユーザは自分で行った文書名の変更が蓄積文書の管理情報に反映されなかったことを知ることができず、後になってから文書操作を行なう際に蓄積文書が見つからない等、不都合が生じてしまう。
【0013】
Webサービスでは、ユーザが自ら画面の更新を行なうことで蓄積文書の管理情報が新しくなるが、画像形成装置側からのリアルタイムでの更新が望ましい。上記のように画像形成装置には複数のユーザが同時に蓄積文書を操作することによる不具合を避ける為に排他制御などの複雑な仕組みが必要となる。
【0014】
特許文献1には、リモート及びローカルの認証を統一し、リモート認証に基づく操作が行われている場合に、競合する操作に対するローカル認証を許可せず、一方、ローカル認証に基づく操作が行われている場合に、競合する操作に対するリモート認証を許可しない制御処理を提供する画像処理装置、情報処理装置、制御プログラムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−359718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の画像形成装置では、認証を行なう際に、ユーザインターフェースからの操作の排他を行っており、認証を伴わない操作に関して操作の排他を行なうことができないという問題がある。また、従来の画像形成装置はリモート及びローカルの二つのユーザインターフェース種類単位でのみ操作を制限している。リモートからの操作は更に複数のユーザから行われる可能性がある為、従来の画像形成装置ではリモート及びローカルの二つのユーザインターフェース種類単位でのみ操作を制限だけでは不十分である。
【0016】
また、ユーザインターフェースからの操作要求を拒否する場合、従来の画像形成装置では他に使用者がいることのみユーザインターフェースに表示するため、誰が実際に操作を行っているのかを表すユーザ情報を提供できない。よって、画像形成装置を後から操作しようとしたユーザが、緊急で他のユーザに操作を行なう権利を譲って欲しい場合、従来の画像形成装置では他のユーザを特定することが難しいという問題があった。
【0017】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、画像形成装置に蓄積されている文書を複数のユーザが扱う場合の不具合を防止可能な画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は、文書を電子データとして蓄積可能な画像形成装置であって、ユーザとの間で情報交換を行う複数のユーザインターフェースと、複数の前記ユーザインターフェースを制御するユーザインターフェース制御部と、前記文書の管理情報を管理し、前記ユーザインターフェース制御部からの要求に基づいて前記管理情報を提供するドキュメント管理部とを有し、前記ドキュメント管理部は、前記文書に対する操作及び前記文書の管理情報を一括して管理することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、文書を電子データとして蓄積可能な画像形成装置と、前記画像形成装置とネットワーク経由で接続されている1台以上の情報処理装置とを有する画像形成システムであって、前記画像形成装置は、前記情報処理装置を操作するユーザ及び前記機器本体を操作するユーザとの間で情報交換を行う複数のユーザインターフェースと、複数の前記ユーザインターフェースを制御するユーザインターフェース制御部と、前記文書の管理情報を管理し、前記ユーザインターフェース制御部からの要求に基づいて前記管理情報を提供するドキュメント管理部とを有し、前記ドキュメント管理部は、前記文書に対する操作及び前記文書の管理情報を一括して管理することを特徴とする。
【0020】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、画像形成装置に蓄積されている文書を複数のユーザが扱う場合の不具合を防止可能な画像形成装置および画像形成システムを提供可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。ただし、この実施例に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲を、それのみに限定する主旨でなく単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明によるネットワークプリントシステムの一実施例の構成図である。図1のネットワークプリントシステム1は、複数のクライアントPC(以下、PCという)10a〜10dと、所定の作像プロセスにより記録用シートに画像を形成する画像形成装置の一例としてのプリンタ11a,複合機11bと、ホストPC12とが、ネットワークの一例としてのLANを経由して接続されている。なお、PCの何れか一つを指す場合はPC10と記載する。また、プリンタ11a,複合機11bの何れかを指す場合はプリンタ11と記載する。
【0024】
PC10は、プリンタ11に印刷データを送信して、印刷,蓄積又は書き込み等の処理を行う。プリンタ11には、ユーザにプリンタ11の操作やプリンタ11の情報を視覚的に確認させるユーザとのインターフェースである操作パネルを備えている。また、プリンタ11にはユーザにプリンタ11の情報を視覚的に確認させるため、プリンタ11の情報を用紙に印刷して出力するレポート印刷機能を備えている。また、プリンタ11はPC10からWebブラウザを介してプリンタ11の操作やプリンタ11の情報を視覚的に確認させるユーザとのインターフェースであるWebサービス機能を備えている。
【0025】
次に、本発明による画像形成装置の機能構成について説明する。ここでは、画像形成装置の一例としての複合機11bを例として説明する。図2は本発明による複合機の機能構成を示す一実施例のブロック図である。図2の複合機11bは、ソフトウェア群20,エンジン22,ネットワークコントローラ23及びハードウェアリソース24から構成されている。
【0026】
ソフトウェア群20は、プリンタ,コピー,FAX等のアプリケーション30と、各アプリケーション30の要求を共通して処理する共通プラットフォーム31とから構成されている。共通プラットフォーム31は、アプリケーション30からの処理要求を受け、エンジン22等のハードウェア資源の獲得,動作要求を発生させるコントロールサービス群と、複数のハードウェア資源の管理を行い,コントロールサービス群からの要求を調停するシステムリソースマネージャ(SRM)61と、汎用OS62とを有する。
【0027】
コントロールサービス群は複数のモジュールから構成されている。具体的に、共通プラットフォーム31に含まれるコントロールサービスは、ECS51,MCS52,OCS53,FCS54,NCS55,UCS56,CCS57,SCS58から構成されている。また、複合機11bは共通プラットフォーム31にアプリケーション30の処理要求を実現するAPI(Application Program Interface)を有する。汎用OS62は、汎用のオペレーティングシステムであり、共通プラットフォーム31及びアプリケーション30の各ソフトウェアを並列に処理、実現している。
【0028】
SRM61は、SCS58と共にシステムの制御及びハードウェア資源の管理を行なうものである。SRM61は、ハードウェア資源を利用する上位層からの要求に従って調停を行い、実行制御する。
【0029】
エンジンコントロールサービス(ECS)51は、プロッタ,スキャナ,ファクシミリ等から成るハードウェア資源のエンジン制御を行なう。メモリコントロールサービス(MCS)52は、画像用のメモリを管理するもので、画像メモリの取得及び解放、ハードディスクドライブ(HDD)の利用や画像データの圧縮,伸張も行なう。
【0030】
操作パネルコントロールサービス(OCS)53は、ユーザとのインターフェース部分である操作パネルの制御を行なう。OCS53は、操作パネルのキー押下を取得し、各アプリケーション30にキー押下の通知を行なう。また、OCS53は操作パネルの操作表示部に各種画面の描画出力やLED点灯,操作パネルの操作機能を各アプリケーション30に提供している。
【0031】
ファックスコントロールサービス(FCS)54は、図示していないファックスコントロールユニット(FCU)とのコマンド・データ転送制御を行なうものであり、ファクシミリ送受信、ファクシミリデータの登録/引用、ファクシミリ読み取り等を行なうためのAPIを各アプリケーション30に提供している。
【0032】
ネットワークコントロールサービス(NCS)55は、ネットワークの各種プロトコル制御を行なうものである。NCS55は、ネットワーク側から受信したデータの各アプリケーション30への振り分けや、アプリケーション30からデータをネットワーク側に送信する際の仲介を行う。
【0033】
ユーザ情報コントロールサービス(UCS)56は、共通プラットフォーム31においてユーザ情報の一元管理を行っている。UCS56は、不正なデータアクセスを防ぐことを目的とし、データアクセスに対する利用制限を制御している。
【0034】
認証/課金コントロールサービス(CCS)57は、認証/課金制御を行なう。CCS57はセキュリティ強化に対応するための、ユーザログインによる認証を伴う機能制限情報を発行する。また、CCS57はユーザに認証を要求する画面を生成する。さらに、CCS57は、ある機能を実行する際に、どの課金装置にて課金を行えば良いかという情報を各アプリケーション30に提供する。
【0035】
システムコントロールサービス(SCS)58は、アプリケーション30の切り替え等のアプリ管理、ハードウェア資源の調停、システム画面表示などの操作パネルの制御を行なう。
【0036】
アプリケーション30は、プリンタアプリ41と、コピーアプリ42と、FAXアプリ43と、スキャナアプリ44と、ネットファイルアプリ45とを有している。プリンタアプリ41は、プリンタ機能を実現する。コピーアプリ42は、コピー機能を実現する。FAXアプリ43は、ファクシミリ機能を実現する。スキャナアプリ44は、スキャナ機能を実現する。ネットファイルアプリ45は、ネットファイル機能を実現する。
【0037】
図2のブロック図では、プリンタ機能,コピー機能,ファクシミリ機能、スキャナ機能およびネットファイル機能等を実現するアプリケーション30を別々に有しているが、各機能を実現するアプリケーション30を機能に共通して一つ存在させても、協調動作する複数のアプリケーション30を有していても構わない。
【0038】
次に、本発明によるアプリケーション30の構成について説明する。ここでは、アプリケーション30の一例としてのプリンタアプリ41を例として説明するが、コピーアプリ42等の他のアプリケーション30、又は全てのアプリケーション30に適用しても構わない。図3は本発明によるプリンタアプリの一実施例の構成図である。図3のプリンタアプリ41は複数のモジュールにより構成されている。
【0039】
図3のプリンタアプリ41は、ユーザインターフェース制御部71,アプリケーション機能制御部72及び共通プラットフォームインターフェース部73を有している。ユーザインターフェース制御部71は、ユーザインターフェースを制御する。アプリケーション機能制御部72は、プリンタの起動,維持の制御を行い、印刷機能,その他のプリンタの付加価値を高める機能を実現する。また、共通プラットフォームインターフェース部73はハードウェア資源を管理する共通プラットフォーム31とのインターフェースを実現している。
【0040】
ここでは、ユーザインターフェース制御部71,アプリケーション機能制御部72について更に説明を行なう。ユーザインターフェース制御部71は、操作パネル制御部81及びWebサービス制御部82を有している。操作パネル制御部81は、ユーザに情報を提供する又はユーザの要求を受け付けるユーザインターフェースである操作パネルの制御を行なう。Webサービス制御部82は、ユーザに情報を提供する又はユーザの要求を受け付けるユーザインターフェースであるWeb画面の制御を行なう。
【0041】
アプリケーション機能制御部72は、要求受付部83,アクセスユーザ管理部84及びドキュメント管理部85を有している。ドキュメント管理部85は、機器本体に蓄積されている蓄積文書の管理情報,文書操作を管理する。ドキュメント管理部85は、ユーザインターフェース制御部71の操作パネル制御部81又はWebサービス制御部82からの要求を受け付け、処理を行う。要求受付部83は、ユーザインターフェース制御部71とドキュメント管理部85とのやり取りを受け付ける。なお、ユーザインターフェース制御部71とドキュメント管理部85とを直接やり取りさせて、要求受付部83を配置しない構成も可能である。ドキュメント管理部85の詳細は後述する。
【0042】
アクセスユーザ管理部84は、複合機11bにログインしている、又は印刷や機器設定などの操作を行おうとしているユーザを管理する。アクセスユーザ管理部84は、図2の共通プラットフォーム31においてユーザ情報の一元管理を行っているUCS56と接続される。アクセスユーザ管理部84は、アドレス帳に登録されているユーザ情報等を参照する。そして、アクセスユーザ管理部84は複合機11bを現在操作しているユーザに対してID付けを行い、管理する。
【0043】
ドキュメント管理部85は、ドキュメント(蓄積文書)毎に操作中のユーザIDリストを保持する。複合機11bの操作パネルに操作中のユーザ情報を表示する場合、ドキュメント管理部85はドキュメント毎に保持している操作中のユーザIDリストを元に、アクセスユーザ管理部84へ問い合わせを行い、ユーザ情報を取得する。そして、ドキュメント管理部85は取得したユーザ情報を操作パネル制御部81に提供する。アクセスユーザ管理部84は、複合機11bを操作している最中のユーザ情報を管理しており、ユーザ毎の操作内容や閲覧内容についても保持し、管理を行っている。
【0044】
また、ドキュメント管理部85はドキュメントに変更が加わった際に、アクセスユーザ管理部84へ問い合わせを行い、そのドキュメントを閲覧している全てのユーザのユーザ情報を取得する。そして、ドキュメント管理部85は取得したユーザ情報を元に、ドキュメントを閲覧しているユーザインターフェースを特定し、ドキュメントが更新されたことを通知する。
【0045】
次に、本発明で管理対象となるドキュメントの管理情報について説明する。図4はドキュメントに付随される管理情報の一例の構成図である。ドキュメントには、ドキュメントID,ドキュメント名,作成者,パスワード,作成日時,有効期間,ページ数などの管理情報が付随している。これらの管理情報の一部は複合機11bの操作パネルなどのユーザインターフェースに表示される。ユーザは、ユーザインターフェースに表示された管理情報の一部を参照して、印刷や削除などの文書操作を行なう。
【0046】
図5は、操作パネルに表示されるドキュメント一覧画面の一例のイメージ図である。ドキュメント一覧画面は、管理情報の一部を利用して生成される。ドキュメントに対して行える操作内容は、閲覧,印刷,削除,パスワード変更,ドキュメント名変更などの管理情報の変更が上げられる。
【0047】
また、ユーザ認証管理機能を備えている場合、複合機11bはユーザ種類別のドキュメント操作権限を与えることができ、ユーザ種類によってドキュメントの印刷可又は印刷不可を管理できる。
【0048】
例えば文書管理者は全ドキュメントについて閲覧,印刷,削除,パスワードの変更,ドキュメント名変更の全てを行なうことができる。一方、一般ユーザは自分の作成したドキュメントのみ全操作を行なうことができる。そして、一般ユーザは他のユーザの作成したドキュメントについて閲覧しか行えない。
【0049】
このように、複合機11bではユーザ種類別のドキュメント操作権限を与えることができるように、ユーザ種類別の使用権限の仕様を保持している必要があるため、ドキュメント管理部85に使用権限の仕様を保持しておく。
【0050】
図6は、ドキュメント管理部の一実施例の構成図である。図6のドキュメント管理部85は、制御部91,ドキュメント管理情報記憶部92,ユーザ種類別文書操作権限仕様記憶部93を有している。ドキュメント管理情報記憶部92はドキュメントの管理情報を記憶している。また、ユーザ種類別文書操作権限仕様記憶部93はユーザ種類別の使用権限の仕様を記憶している。制御部91は、ドキュメントの管理情報およびユーザ種類別の使用権限の仕様を用いて上記したような処理を行う。なお、ドキュメントは別途管理する他のモジュールにて保持しても構わない。
【0051】
図7は、操作パネル制御部及びWebサービス制御部とドキュメント管理部とのデータのやり取りを示した構成図である。図7を元に、プリンタアプリ41の各モジュールの責務を明らかにしていく。
【0052】
操作パネルやWebサービスは、ユーザの要求を受け付ける。言い換えれば、操作パネルやWebサービスは印刷,削除等のドキュメントに対する操作要求を受け付ける。この操作要求をユーザインターフェース制御部71はドキュメント管理部85に依頼する。このとき、ユーザインターフェース制御部71からドキュメント管理部85に渡される情報は操作要求の対象であるドキュメントを特定するもの(ドキュメントIDなど)及び操作内容(印刷,削除など)である。
【0053】
ユーザインターフェース制御部71からの操作要求を受け、ドキュメント管理部85はドキュメント操作の実行とドキュメントの管理情報の変更を行う。実際にドキュメントを印刷又は削除する文書操作には、ハードウェア資源の活用等が必要であるため、更に別のモジュールへと処理を委譲していくことになる。
【0054】
その場合、ドキュメント管理部85は文書操作に対応する処理を行う為に、各処理を行うモジュールに振り分けを行なう。このとき、複合機11bでユーザ認証管理を行なう場合は、ドキュメント管理部85が、それぞれのドキュメントについて、要求するユーザが対象となるドキュメントの文書操作が可能か否かの判定を行なう。ドキュメントの文書操作が可能と判定された場合のみ、ドキュメント管理部85はドキュメントの文書操作の実行とドキュメントの管理情報の更新とが可能である。
【0055】
よって、ドキュメント管理部85ではドキュメントの文書操作を行なうユーザのユーザ情報と、保持しているユーザ種類別のドキュメント操作権限とを照らし合わせ、対象となるドキュメントの文書操作が可能か否かの判定を行なう。もちろん、ドキュメント管理部85は、現在ログインしているユーザを管理する他のモジュールに処理を委譲しても構わない。
【0056】
また、ドキュメント管理部85ではドキュメントが更新された際に、ドキュメントを閲覧している全てのユーザのユーザインターフェースに対し、ドキュメントが更新されたことを通知する。
【0057】
また、ドキュメント管理部85はドキュメントがユーザにより操作中か否かの状態を保持する。この状態の保持の仕方は、ドキュメント毎に管理構造体を持ち、その中に制御フラグを持つ等のやり方が考えられる。ドキュメント管理部85はユーザインターフェース制御部71からドキュメントに対する操作要求(印刷,削除等)を受け付けると、そのドキュメントに対応する管理構造体を見て、ドキュメントがユーザにより操作中か否かの判定を行い、操作中でない場合のみドキュメントに対する文書操作の実行及びドキュメントを変更する。既に他のユーザによりドキュメントが操作中であれば、ドキュメント管理部85はユーザインターフェース制御部71に操作不可を返す。ただし、ドキュメントの閲覧に関しては、他のユーザが印刷等の文書操作を行っていても可能である。
【0058】
図8は、ユーザインターフェース制御部とアプリケーション機能制御部の各モジュールとのやり取りを示すシーケンス図である。ただし、図8のシーケンス図では主なやり取りの流れを示し、実現に際して関数コールや非同期のイベント処理,関数の戻りで実現するなどの規定を何ら限定しない。図8のシーケンス図は、複合機11bに蓄積されているドキュメントのドキュメント一覧画面をユーザインターフェースに表示したあと、ユーザの文書操作によりドキュメントの削除を行なう例である。
【0059】
ステップS1に進み、ユーザインターフェース制御部71はドキュメント管理部85に文書閲覧要求を行なう。なお、ユーザインターフェース制御部71からの文書閲覧要求は要求受付部83を介してアプリケーション機能制御部72の各モジュールに伝わる。文書閲覧要求には、要求するユーザを特定する為の情報(ユーザIDなど)が含まれる。
【0060】
ステップS2に進み、ドキュメント管理部85は文書閲覧権限チェックを行なう。具体的に、ドキュメント管理部85では、文書閲覧要求を行ったユーザがドキュメントを閲覧可能か否かの判定を行なう。閲覧可能か否かの判定には、そもそも文書閲覧自体が行えるか否かという判定、又、ドキュメント一つ一つに対してユーザが閲覧可能か否かという判定がある。例えば文書管理者は全てのドキュメントを閲覧可能である。また、一般ユーザは自分の作成したドキュメントのみを閲覧可能である。この条件は例であり、更に詳細なユーザ種類を定義して、ユーザ種類別の文書閲覧範囲を規定することもできる。
【0061】
ステップS3に進み、要求受付部83はユーザの操作内容である閲覧をアクセスユーザ管理部84に登録する。また、ステップS4に進み、ドキュメント管理部85はユーザが閲覧可能なドキュメントについてのみ、ユーザインターフェース制御部71へ管理情報を提供する。
【0062】
なお、管理情報にもドキュメント名,作成者など様々な項目があるが、ドキュメント管理部85は、それぞれの項目についてもユーザが閲覧可能か否かの判定を行なう。例えばドキュメント管理部85は、管理情報に含まれる項目のうち個人情報に関わる作者名などの表示をしない、機密情報についてドキュメント名を表示しない等の判定を行える。これらの表示しない管理情報の項目は、ドキュメント管理部85においてアスタリスク等の違う文字列に置き換えられたあと、ユーザインターフェース制御部71に提供される。
【0063】
ユーザインターフェース制御部71では、ドキュメント管理部85から提供されたドキュメントの管理情報を利用してドキュメント一覧画面を操作パネル等に表示する。このときユーザインターフェース制御部71は、ドキュメント管理部85によってアスタリスク等の違う文字列に置き換えられた管理情報の項目があれば、違う文字列に置き換えられたあとの管理情報を利用してドキュメント一覧画面を操作パネル等に表示する。ドキュメント管理部85からユーザインターフェース制御部71に提供する管理情報には、ユーザが印刷,削除等の文書操作を行えるか否かの情報を付加することもできる。
【0064】
ユーザインターフェース制御部71では、ユーザが印刷,削除等の文書操作を行えるか否かの情報に基づき、表示キーを半輝度表示にする等、文書操作ができないことをユーザへ視覚的に示すこともできる。
【0065】
ステップS5以降は、ドキュメントの削除を行なうシーケンスが続いている。ドキュメント一覧画面上からユーザによりドキュメントが選択されたあと、消去ボタンが押下されると、ユーザインターフェース制御部71はステップS5に進み、ドキュメント管理部85に文書削除要求を行なう。
【0066】
ステップS6に進み、ドキュメント管理部85は文書操作権限チェックを行なう。具体的に、ドキュメント管理部85では、文書削除要求を行ったユーザがドキュメントを削除可能か否かの判定を行なう。削除可能か否かは、閲覧と同様、ユーザ種類別の文書削除範囲を規定することができる。
【0067】
また、削除対象のドキュメントにパスワードが付加されていれば、ドキュメント管理部85はステップS7に進み、ユーザインターフェース制御部71にパスワードの入力を要求する。ユーザインターフェース制御部71は操作パネル等にパスワード入力画面を表示してユーザからのパスワードの入力を受け付ける。
【0068】
パスワード入力画面にパスワードが入力されると、ユーザインターフェース制御部71はステップS8に進み、ドキュメント管理部85に入力されたパスワードを通知する。ステップS9に進み、ドキュメント管理部85は入力されたパスワードと削除対象のドキュメントに付加されているパスワードとの整合チェックを行なう。
【0069】
パスワードが整合されれば、ドキュメント管理部85はステップS10に進み、文書削除開始通知をユーザインターフェース制御部71に通知する。そして、ドキュメント管理部85は削除対象のドキュメントの削除処理を開始する。なお、パスワードが間違っている場合、ドキュメント管理部85はパスワードの再入力を促し、入力誤りが規定回数以上繰り返されると、ドキュメントをロックして操作できなくする等の処理を行う。削除対象のドキュメントの削除処理が終了すると、ドキュメント管理部85はステップS12に進み、文書削除終了通知をユーザインターフェース制御部71に通知する。
【0070】
削除対象のドキュメントの削除処理が終了すると、ドキュメント管理部85は削除したドキュメントの管理情報も削除する。つまり、ドキュメント一覧画面も変更される為、ドキュメント管理部85はドキュメント一覧画面を表示しているユーザインターフェース制御部71に対してドキュメント一覧画面が更新されたことを通知する必要がある。
【0071】
そこで、ステップS13に進み、ドキュメント管理部85はドキュメント一覧画面を表示している全てのユーザインターフェースを特定する為に、アクセスユーザ管理部84にドキュメント一覧画面を表示しているユーザのユーザ情報を要求する。ステップS14に進み、ドキュメント管理部85はアクセスユーザ管理部84からドキュメント一覧画面を表示しているユーザのユーザ情報を取得する。
【0072】
ステップS15に進み、ドキュメント管理部85はドキュメント一覧画面を表示しているユーザのユーザインターフェース制御部71に文書情報更新通知を行い、ドキュメント一覧画面が更新されたことを通知する。
【0073】
ステップS16に進み、ユーザインターフェース制御部71はドキュメント管理部85に改めて文書閲覧要求を行なう。ステップS17に進み、ドキュメント管理部85は文書閲覧権限チェックを行なう。なお、改めて文書閲覧要求を行なう際は、全ての文書閲覧権限をチェックする必要はない。
【0074】
この仕組みは、初めの文書閲覧要求時に、成功したら閲覧が可能であることを表すハンドル等のIDをユーザインターフェース制御部71に提供しておくことで、次からハンドル等のIDをドキュメント管理部85に渡して要求することが可能となる。ただし、ドキュメント毎の文書閲覧権限チェックは管理情報が更新されている為に毎回必要である。
【0075】
そして、ステップS18に進み、ドキュメント管理部85はユーザが閲覧可能なドキュメントについてのみ、ユーザインターフェース制御部71へ管理情報を提供する。ユーザインターフェース制御部71では、ドキュメント管理部85から提供されたドキュメントの管理情報を利用してドキュメント一覧画面を操作パネル等に表示する。
【0076】
最後に、ユーザがドキュメント一覧画面から抜けた場合、ユーザインターフェース制御部71はステップS19に進み、その旨を伝える文書閲覧終了通知をドキュメント管理部85に通知する。閲覧が終了した為、要求受付部83はステップS20に進み、アクセスユーザ管理部84に登録されているユーザの操作内容である閲覧を変更して図8のシーケンス図の処理を終了する。
【0077】
図9は、ユーザインターフェース制御部から文書閲覧要求が発生した場合におけるドキュメント管理部の動作を示す一例のフローチャートである。ここでは、未ログインの際のユーザに認証を要求する処理について、省略して説明する。また、図9のフローチャートでは触れていないが、ユーザインターフェース制御部71に提供するドキュメント一覧画面に、閲覧しているユーザが印刷、削除などの文書操作を行えるか否かの情報を付加して渡すことも可能である。その場合、ユーザインターフェース制御部71はユーザのドキュメント操作権限に応じて表示形式を変えて出力することも可能である。
【0078】
ステップS31に進み、ドキュメント管理部85の制御部91は待機中となる。ステップS32に進み、制御部91はユーザインターフェース制御部71から文書閲覧要求を受信する。ステップS33に進み、制御部91は文書閲覧要求をしてきたユーザの操作内容として閲覧がアクセスユーザ管理部84に登録済みであるか否かを判定する。
【0079】
初回の文書閲覧要求では閲覧が登録済みでないと判定してステップS34に進み、制御部91がユーザ認証を行なうか否かを判定する。ユーザ認証を行なうと判定した場合、制御部91はステップS35に進み、ユーザ種類別文書操作権限仕様記憶部93に記憶されているユーザ種類別の文書閲覧権限を確認する。
【0080】
ステップS36に進み、制御部91はユーザ種類別の文書閲覧権限に基づき、文書閲覧要求を行ったユーザがドキュメントを閲覧可能か否かの判定を行なう。ユーザがドキュメントを閲覧可能であれば、制御部91はステップS37に進み、ドキュメント管理情報記憶部92に記憶されている管理情報に基づき、全てのドキュメントに対して文書閲覧権限の確認を行なう。
【0081】
ステップS38に進み、制御部91はユーザが閲覧可能なドキュメントのドキュメントIDリストを作成する。ステップS39に進み、制御部91はユーザが閲覧可能なドキュメント数が0より大きいか否かを判定する。ユーザが閲覧可能なドキュメント数が0より大きければ、制御部91はステップS40に進み、ユーザが閲覧可能なドキュメントのドキュメントIDリストを元に、ユーザが閲覧可能なドキュメントの管理情報リストを作成する。なお、制御部91は表示しない管理情報の項目をマスクする。
【0082】
ステップS41に進み、制御部91はユーザが閲覧可能なドキュメントの管理情報リストをユーザインターフェース制御部71に提供して処理を終了する。なお、ステップS33において、更新時の文書閲覧要求では閲覧が登録済みであると判定してステップS37に進む。また、ステップS34において、ユーザ認証を行なわないと判定した場合、制御部91はステップS37に進む。
【0083】
また、ステップS36において、ユーザがドキュメントを閲覧可能でなければ、制御部91はステップS43に進み、文書操作不可をユーザインターフェース制御部71に通知して処理を終了する。ステップS39において、ユーザが閲覧可能なドキュメント数が0より大きくなければ、制御部91はステップS42に進み、ユーザが閲覧可能なドキュメントが存在しない旨をユーザインターフェース制御部71に通知して処理を終了する。
【0084】
図10は、ユーザインターフェース制御部から文書操作要求が発生した場合におけるドキュメント管理部の動作を示す一例のフローチャートである。ここでは、ドキュメント1つに対してのフローチャートを一例として記述しているが、ドキュメントが複数の場合も同様である。
【0085】
また、操作対象のドキュメントにパスワードが付加されていれば、制御部91はユーザインターフェース制御部71にパスワードの入力を要求する。制御部91は入力されたパスワードと削除対象のドキュメントに付加されているパスワードとの整合チェックの結果がパスワードの不一致である場合、パスワードの再入力を行わせるが、これに限定するものではない。また、入力誤りが規定回数以上繰り返されると、パスワードの再入力を行わないなどの処理を追加してもよい。
【0086】
さらに、入力誤りが規定回数以上繰り返されると、ドキュメントをロックして操作できなくする等の処理を行う。ドキュメントがロックされてからロック解除されるまでは、他のユーザにより文書操作の要求がされても受け付けることはしない。また、ロックされているドキュメントに対して文書操作の要求がされた場合、制御部91はアクセスユーザ管理部84から文書操作を行っているユーザのユーザ情報を取得し、そのユーザ情報を文書操作の要求が受け付けられないユーザに対して通知することも可能である。
【0087】
ステップS51に進み、ドキュメント管理部85の制御部91は待機中となる。ステップS52に進み、制御部91はユーザインターフェース制御部71から文書操作要求を受信する。続いてステップS53に進み、制御部91はユーザ認証を行なうか否かを判定する。ユーザ認証を行なうと判定した場合、制御部91はステップS54に進み、ユーザ種類別文書操作権限仕様記憶部93に記憶されているユーザ種類別の文書操作権限を確認する。ステップS55に進み、制御部91はユーザ種類別の文書操作権限に基づき、文書操作要求を行ったユーザがドキュメントを操作可能か否かの判定を行なう。
【0088】
ユーザがドキュメントを操作可能であれば、制御部91はステップS56に進み、文書操作の対象であるドキュメントの状態(操作中か否か)の確認を行なう。ステップS57に進み、文書操作の対象であるドキュメントの状態が操作中で無ければ、制御部91はステップS58に進み、文書操作の対象であるドキュメントをロックする。
【0089】
ステップS59に進み、制御部91は文書操作の対象であるドキュメントにパスワードが付加されているか否かを判定する。文書操作の対象であるドキュメントにパスワードが付加されていなければ、制御部91はステップS60に進み、文書操作の対象であるドキュメントに対して文書操作を実行する。
【0090】
ステップS61に進み、制御部91はドキュメントの管理情報が変更されたか否かを判定する。ドキュメントの管理情報が変更されていれば、制御部91はステップS66に進み、ドキュメント一覧画面を表示しているユーザのユーザインターフェース制御部71に文書情報更新通知を行い、ドキュメント一覧画面が更新されたことを通知する。ステップS62に進み、制御部91は文書操作の対象であるドキュメントをロックを解除して処理を終了する。
【0091】
なお、ステップS61においてドキュメントの管理情報が変更されていなければ、制御部91はステップS62に進む。ステップS59において文書操作の対象であるドキュメントにパスワードが付加されていれば、制御部91はステップS63に進み、ユーザインターフェース制御部71にパスワードの入力を要求する。ステップS64に進み、ユーザインターフェース制御部71は操作パネル等にパスワード入力画面を表示してユーザからのパスワードの入力を受け付ける。
【0092】
パスワード入力画面にパスワードが入力されると、ユーザインターフェース制御部71は入力されたパスワードをドキュメント管理部85の制御部91に通知する。ステップS65に進み、制御部91は入力されたパスワードと文書操作の対象であるドキュメントに付加されているパスワードとの整合チェックを行なう。パスワードが整合されれば、制御部91はステップS60に進む。パスワードが間違っていれば、制御部91はステップS63に戻り、パスワードの再入力を促す。
【0093】
また、ステップS57において文書操作の対象であるドキュメントの状態が操作中であれば、制御部91はステップS67に進み、文書操作の対象であるドキュメントが操作不可である旨をユーザインターフェース制御部71に通知して処理を終了する。また、ステップS55においてユーザがドキュメントを操作可能でなければ、制御部91はステップS68に進み、文書操作不可をユーザインターフェース制御部71に通知して処理を終了する。
【0094】
(まとめ)
本発明では、ドキュメント管理部85が自機に蓄積されているドキュメントの管理情報を一括して管理し、ドキュメントの閲覧や操作(印刷、削除など)に関わる処理を一括して行う構成の為、ソフトウェア構成の複雑化を廃しソフトウェア構造が明確化される。そして本発明では、複数のユーザインターフェースにドキュメント一覧画面が表示される場合の差異を確実に無くすことができる。
【0095】
ドキュメント管理部85にて一括して行う処理には、ユーザインターフェースに表示する管理情報を提供する、ユーザが閲覧可能な文書かどうかの判断を行う、ドキュメントの管理情報ひとつひとつについてユーザが参照してよいかの判断を一括して行う、文書操作にパスワード入力が必要かどうかの判断や、パスワードの整合チェックを一括して行う等が含まれる。
【0096】
また、本発明ではユーザインターフェースに表示する管理情報に加え、ユーザがドキュメントに対して可能な文書操作の情報を提供することで、ユーザインターフェースで印刷キーや削除キーなどの操作キーの表示形式を変えることができる。したがって、ユーザは操作できないキー(印刷キーなど)を押すことが無くなり、ユーザが無駄な動作をすることも無くなり、画像形成装置においても余計な処理を減らすことができる。また本発明では文書操作を行うたびの操作権限チェックを省くこともできる。
【0097】
また、本発明では、機器本体の操作パネルやPCからリモートで操作するWebサービス等の複数の操作部(ユーザインターフェース)が存在する場合、一人のユーザがドキュメントの管理情報の変更や操作を行う際に他のユーザによる操作を禁止することで、複数のユーザが同時にドキュメントの文書操作をおこなえない。これにより、あるユーザが印刷のためにパスワード入力や部数選択などを行っている際、別のユーザにより同時に文書操作され、パスワードが変えられた、ドキュメント自体が削除された、などで印刷できなくなることを解消できる。
【0098】
他にも、本発明では二人のユーザが同時に文書名変更を行った場合、実際に反映されるのは片方のみで、もう片方のユーザはそれを知ることもなく、後になってから文書操作を行う際にドキュメントが見つからないなどの不都合も解消できる。
【0099】
また、本発明では複数のユーザが同時にドキュメントの文書操作を行う場合に、片方のユーザが文書操作の占有を行っている為に、文書操作が不可能であった別のユーザであっても、現在ドキュメントを占有しているユーザの情報がわかるため、文書操作できない理由を知ることが出来、文書操作しているユーザにコンタクトをとることも可能である。しがって、ユーザの作業を円滑に行なうことができる。また、他のユーザの情報を表示することは、個人情報に関わるため、この機能を無効にすることも可能である。
【0100】
また、本発明では、機器本体に蓄積されているドキュメントの一覧画面の更新は一定時間間隔で定期的に更新されるものではなく、管理情報に変更があるたびに常に更新されるため、ドキュメントの一覧画面には最新の情報が常に表示される。これにより、印刷を行いたいユーザが機器本体の操作パネルから文書操作を行っている際に、別のユーザがPCからWeb画面上の操作部で管理情報を書き換えることをしても、ユーザが閲覧している操作パネルの画面には(画面更新を行わないと)それが表れず、操作パネルに存在しているドキュメントにも関わらず、実際印刷しようとするとドキュメントが無いということも解消される。他にも、二人のユーザが同時に文書名変更を行った場合、実際に反映されるのは片方のみで、もう片方のユーザはそれを知ることもなく、後になってから文書操作を行う際にドキュメントが見つからないなど、不都合も解消される。
【0101】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば本発明は、複数の利用者に共通に使用されるリソースを管理保持し、複数の情報表示・操作のユーザインターフェースを備え、リソースが同時に操作される情報機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明によるネットワークプリントシステムの一実施例の構成図である。
【図2】本発明による複合機の機能構成を示す一実施例のブロック図である。
【図3】本発明によるプリンタアプリの一実施例の構成図である。
【図4】ドキュメントに付随される管理情報の一例の構成図である。
【図5】操作パネルに表示されるドキュメント一覧画面の一例のイメージ図である。
【図6】ドキュメント管理部の一実施例の構成図である。
【図7】操作パネル制御部及びWebサービス制御部とドキュメント管理部とのデータのやり取りを示した構成図である。
【図8】ユーザインターフェース制御部とアプリケーション機能制御部の各モジュールとのやり取りを示すシーケンス図である。
【図9】ユーザインターフェース制御部から文書閲覧要求が発生した場合におけるドキュメント管理部の動作を示す一例のフローチャートである。
【図10】ユーザインターフェース制御部から文書操作要求が発生した場合におけるドキュメント管理部の動作を示す一例のフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 ネットワークプリントシステム
10a〜10d クライアントPC
11a プリンタ
11b 複合機
12 ホストPC
20 ソフトウェア群
21 エンジンI/F
22 エンジン
23 ネットワークコントローラ
24 ハードウェアリソース
30 アプリケーション
31 共通プラットフォーム
32 API
41 プリンタアプリ
42 コピーアプリ
43 FAXアプリ
44 スキャナアプリ
45 ネットファイルアプリ
51 ECS
52 MCS
53 OCS
54 FCS
55 NCS
56 UCS
57 OCS
58 SCS
61 SRM
62 汎用OS
71 ユーザインターフェース制御部
72 アプリケーション機能制御部
73 共通プラットフォームインターフェース部
81 操作パネル制御部
82 Webサービス制御部
83 要求受付部
84 アクセスユーザ管理部
85 ドキュメント管理部
91 制御部
92 ドキュメント管理情報記憶部
93 ユーザ種類別文書操作権限仕様記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書を電子データとして蓄積可能な画像形成装置であって、
ユーザとの間で情報交換を行う複数のユーザインターフェースと、
複数の前記ユーザインターフェースを制御するユーザインターフェース制御部と、
前記文書の管理情報を管理し、前記ユーザインターフェース制御部からの要求に基づいて前記管理情報を提供するドキュメント管理部とを有し、
前記ドキュメント管理部は、前記文書に対する操作及び前記文書の管理情報を一括して管理することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ドキュメント管理部は、前記文書の管理情報を記憶するドキュメント管理情報記憶部と、
ユーザの種類別に前記文書に対する操作権限の仕様を記憶するユーザ種類別文書操作権限仕様記憶部と、
各種制御を行なう制御部とを有し、
前記制御部は、前記ユーザインターフェースを操作している前記ユーザの前記文書に対する操作権限を前記ユーザ種類別文書操作権限仕様記憶部から読み出し、前記ユーザが操作権限を持つ前記文書の管理情報を前記ドキュメント管理情報記憶部から読み出して、前記ユーザインターフェース制御部に前記文書の管理情報を提供することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記文書の管理情報を構成する各項目毎に、前記ユーザが操作権限を持つか否かを判定して、前記ユーザが操作権限を持つ前記管理情報の項目を前記ユーザインターフェース制御部に提供することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ユーザインターフェース制御部は、前記ユーザの操作権限に応じて、前記ユーザが前記文書に対する操作を要求する為の前記ユーザインターフェース上に表示される要求部を表示形式を変えて表示することを特徴とする請求項2又は3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ユーザが特定できない場合、前記項目として前記文書の作成者が記録されている前記文書の管理情報を、前記ユーザインターフェース制御部に提供しないことを特徴とする請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記文書の管理情報に応じて、前記文書に対する操作にパスワードの入力が必要であるか否かを判定し、前記文書に対する操作にパスワードの入力が必要であれば、前記ユーザインターフェース制御部から前記文書に対する操作の要求があると、前記ユーザインターフェース制御部に対してパスワードの入力を要求することを特徴とする請求項2乃至5何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
文書を電子データとして蓄積可能な画像形成装置と、前記画像形成装置とネットワーク経由で接続されている1台以上の情報処理装置とを有する画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
前記情報処理装置を操作するユーザ及び前記機器本体を操作するユーザとの間で情報交換を行う複数のユーザインターフェースと、
複数の前記ユーザインターフェースを制御するユーザインターフェース制御部と、
前記文書の管理情報を管理し、前記ユーザインターフェース制御部からの要求に基づいて前記管理情報を提供するドキュメント管理部とを有し、
前記ドキュメント管理部は、前記文書に対する操作及び前記文書の管理情報を一括して管理することを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
前記ドキュメント管理部は、一つの前記ユーザインターフェースからの前記文書に対する操作の要求を処理している間、他の前記ユーザインターフェースからの前記文書に対する操作を禁止することを特徴とする請求項7記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記画像形成装置は、前記ユーザインターフェースを操作している前記ユーザの情報と前記ユーザの前記文書に対する操作とを管理するアクセスユーザ管理部を更に有し、
前記ドキュメント管理部は、他の前記ユーザインターフェースからの前記文書に対する操作を禁止する際、前記文書に対する操作を禁止されたユーザの操作する前記ユーザインターフェースに対し、前記アクセスユーザ管理部から読み出した前記文書に対する操作を行っている前記ユーザの情報を表示するように、前記ユーザインターフェース制御部に前記ユーザの情報を提供することを特徴とする請求項8記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記ドキュメント管理部は、他の前記ユーザインターフェースからの前記文書に対する操作を禁止する際、前記文書に対する操作を禁止されたユーザの操作する前記ユーザインターフェースに対し、前記アクセスユーザ管理部から読み出した前記文書に対する操作を行っている前記ユーザの情報を表示しない設定も可能であることを特徴とする請求項9記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記ドキュメント管理部は、複数の前記ユーザインターフェースに前記文書の管理情報が表示されているとき、一つの前記ユーザインターフェースからの前記文書に対する操作の要求を処理したことにより前記文書の管理情報が変更されると、前記アクセス管理部が管理している前記ユーザの情報と前記ユーザの前記文書に対する操作とに基づいて、複数の前記ユーザインターフェースに表示されている前記文書の管理情報を、前記ユーザインターフェース制御部に更新させることを特徴とする請求項10記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−208823(P2007−208823A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27252(P2006−27252)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】