説明

画像形成装置および画像形成装置の診断システム

【課題】紙詰まりの原因を迅速に特定する。
【解決手段】画像形成装置1は、給紙手段2〜6と、給紙手段2〜6から用紙搬送路に沿って用紙を搬送する搬送手段15と、搬送手段15によって搬送される用紙の通過を検知する用紙検知手段30と、用紙検知手段30による用紙の通過検知に基づいて用紙の通過時間を計測する計測手段28と、計測手段28によって計測された用紙の通過時間のデータを経常的に記憶する不揮発性記憶手段31および32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成装置の診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置に紙詰まりが発生すると、画像形成装置は動作を停止し、操作パネルにJamコードを表示する。オペレータは、Jamコードに従って紙詰まりの除去を行うが、Jamコードは、紙詰まりの原因を言い当てている訳ではないため、紙詰まりの原因を特定するのに時間が掛かっていた。また、近年では、画像形成装置の制御が複雑になり、それに伴って、Jamコード数も増加の一途をたどっているため、故障解析にさらに多くの時間を費やす必要があった。
【0003】
このような課題を解決する技術が、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1に記載の発明では、一定区間の搬送時間を計測する計測手段と、計測された一定区間の搬送時間を記憶する記憶手段と、該一定区間の搬送時間に基づき、搬送速度モードを正規の速度の第1速度モードとそれより低速の第2速度モードとの間で切り替える搬送制御手段とを備える。部品の状態を検知して自動的に搬送速度を制御するため、搬送性能を維持することが可能となる。
【0004】
一方、特許文献2に記載の発明では、画像形成装置が故障の診断に用いる問診情報を収集し、収集した問診情報と、診断結果の連絡先情報とを含む故障診断要求を診断処理装置に送出する。診断処理装置は、問診情報に基づいて故障の診断処理を行い、診断結果を連絡先情報に基づいて通知する。このため、ユーザは、画像形成装置の故障復旧に自己対応できるようになり、故障復旧に迅速に対応可能となる。
【特許文献1】特開2002−179285号公報
【特許文献2】特開2007−325194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような背景を鑑み、紙詰まりの原因を迅速に特定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、給紙手段と、前記給紙手段から用紙搬送路に沿って用紙を搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送される用紙の通過を検知する用紙検知手段と、前記用紙検知手段による用紙の通過検知に基づいて用紙の通過時間を計測する計測手段と、前記計測手段によって計測された用紙の通過時間のデータを経常的に記憶する不揮発性記憶手段とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、用紙を搬送する基点から前記用紙検知手段に用紙が到達または通過するまでを一つの測定区間とし、前記測定区間毎に用紙の通過時間を計測することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、同一の給紙手段から取り込まれた用紙が所定枚数排出される毎に、前記測定区間毎の用紙の通過時間を計測することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記所定枚数よりも少ないN枚目(Nは整数)の用紙が排出される毎に、前記測定区間毎の用紙の通過時間を計測することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の発明において、前記所定枚数、または、前記N枚目の用紙が排出される毎に、当該用紙、前回の用紙、および前々回の用紙の通過時間を計測することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記不揮発性記憶手段は、前記給紙手段を交換した後に取り込んだ用紙の枚数を記憶することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記不揮発性記憶手段は、前記給紙手段に用紙をセットした後に取り込んだ用紙の枚数を記憶することを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記不揮発性記憶手段に記憶された用紙の通過時間のデータを経常的に外部のコンピュータに送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置と、前記画像形成装置の不揮発性記憶手段に記憶された用紙の通過時間のデータを経常的に受信する外部のコンピュータと、前記外部のコンピュータまたは前記外部のコンピュータにアクセスするコンピュータに前記用紙の通過時間を時系列に表示させるプログラムとを備え、前記用紙の通過時間が予め設定された限界値を下回る場合には、前記プログラムは、警告を通知することを特徴とする画像形成装置の診断システムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、不揮発性記憶手段に記憶された用紙の通過時間に基づいて、紙詰まりの原因を迅速に特定することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、不揮発性記憶手段に記憶された測定区間毎の用紙の通過時間に基づいて、紙詰まりの原因を迅速に特定することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、不揮発性記憶手段の容量を必要最小限に抑えることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、所定枚数の用紙の排出を待たずに、紙詰まりの原因を迅速に特定することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、当該用紙、前回の用紙、および前々回の用紙の通過時間を診ることで、用紙の通過時間が偶然変化したものなのか、それとも必然的に変化するものなのかを判断することができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、給紙手段を交換した後に取り込んだ用紙の枚数によって、給紙手段の耐用寿命を判断し、給紙手段の劣化を紙詰まりの原因として疑うことができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、給紙手段に用紙をセットした後に用紙を取り込んだ枚数によって、給紙手段にセットした用紙のずれを紙詰まりの原因として疑うことができる。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、遠隔地において画像形成装置の紙詰まりの頻発を予測できるとともに、紙詰まり箇所の交換部品を持参して画像形成装置の修理を行うことができる。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、遠隔地において画像形成装置の紙詰まりの頻発を予測できるとともに、紙詰まり箇所の交換部品を持参して画像形成装置の修理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
1.第1の実施形態
以下、用紙が所定枚数排出される毎に用紙の通過時間のデータを不揮発性記憶手段に記憶する画像形成装置について説明する。
【0025】
(画像形成装置の構成)
図1は、第1の実施形態に係る画像形成装置の断面図である。画像形成装置1は、給紙トレイ2〜6(用紙トレイ2〜5および手差しトレイ6)、排紙トレイ7〜9を備える。用紙トレイ2〜5のうち最上段の用紙トレイ2、手差しトレイ6、および排紙トレイ7は、標準装備であり、それ以外の用紙トレイ3〜5、および排紙トレイ8,9はオプション接続によって増設される。
【0026】
画像形成装置1の用紙搬送路は、テイクアウェイパス10、手差しパス11、レジストレーションパス12、排紙パス13、両面印刷パス14に分類される。テイクアウェイパス10は、長い点線で示されており、手差しパス11は、実線で示されている。テイクアウェイパス10および手差しパス11は、給紙トレイ2〜6から取り込んだ用紙をレジストレーションパス12へ導く経路である。レジストレーションパス12は、1点鎖線で示されており、用紙に画像形成を行う経路である。排紙パス13は、短い点線で示されており、画像形成した用紙を排紙トレイ7〜9へ導く経路である。両面印刷パス14は、排紙パス13で折り返した用紙を再度レジストレーションパス12へ導く経路である。
【0027】
画像形成装置1の動作モードは、片面印刷裏面排出(Simplex Face Down)、片面印刷表面排出(Simplex Face Up)、両面印刷裏面排出(Duplex Exit1,2)、両面印刷表面排出(Duplex Side Tray)に分類される。
【0028】
片面印刷裏面排出の場合、用紙はテイクアウェイパス10または手差しパス11を搬送され、レジストレーションパス12で印刷される。その後、用紙は排紙パス13を通過して、排紙トレイ7または8に排紙される。一方、片面印刷表面排出の場合、用紙は片面印刷裏面排出の場合と同様の経路を経て、排紙トレイ9に排紙される。
【0029】
両面印刷裏面排出の場合、用紙はテイクアウェイパス10または手差しパス11を搬送され、レジストレーションパス12で表面が印刷される。その後、用紙は排紙パス13で折り返し、両面印刷パス14を通過する。そして、レジストレーションパス12で、裏面が印刷され、排紙トレイ7または8に排紙される。一方、両面印刷表面排出の場合、用紙は、両面印刷裏面排出の場合と同様の経路を経て、排紙トレイ9に排紙される。
【0030】
また、画像形成装置1の用紙搬送路には、搬送手段15、および用紙検知手段30が設けられる。搬送手段15は、用紙を搬送するための部材である。搬送手段15は、ナジャーローラ16a〜16e、フィードローラ17a〜17e、リタードローラ18a〜18e、テイクアウェイローラ19a〜19e、レジクラッチ20、レジストローラ29、排紙ローラ21a〜21c、およびこれらを駆動するモータで構成する。
【0031】
用紙検知手段30は、搬送経路上の用紙を検知する。用紙検知手段30は、例えば、反射型光電センサで構成する。反射型光電センサは、発光素子から発光した光が用紙で反射すると、反射光量の変化を受光素子で検知する。用紙検知手段30は、フィードアウトセンサ22a〜22d、レジセンサ23、ペーパーオンベルトセンサ24、排紙センサ25a,25b、両面印刷パスセンサ26で構成される。
【0032】
搬送手段15および用紙検出手段16は、制御手段27に接続する。制御手段27は、画像形成装置1全体を制御するCPU(Central Processing Unit)である。制御手段27は、さらに計測手段28、不揮発性記憶手段31を接続する。
【0033】
計測手段28は、例えば、複数のカウンタIC(Internal Circuit)で構成する。制御手段27は、用紙検知手段30のON/OFF信号に基づいて、計測手段28のスタート/ストップを制御し、所定の測定区間における用紙の通過時間を計測する。以下の表1に測定区間と紙詰まりの種類を示す。
【0034】
【表1】

【0035】
測定区間1〜4および6〜8は、給紙トレイ2〜6から用紙を取り込んだ後、フィードアウトセンサ22a〜22dがONになるまでの区間である。また、測定区間5は、レジクラッチ20を動作してレジストローラ29を回転した後、用紙の後端が手差しトレイ6のフィードアウトセンサ22dを抜けるまでの区間である。また、測定区間9〜11は、レジセンサ23で用紙を検知した後、レジクラッチ20を動作するまでの区間である。測定区間12は、レジクラッチ20を動作した後、用紙の後端がレジセンサ23を抜けるまでの区間である。
【0036】
測定区間13または14は、レジクラッチ20を動作して用紙を進ませた後、ペーパーオンベルトセンサ24または排紙センサ25aが用紙の前端を検知するまでの区間である。また、測定区間15または17は、排紙センサ25aまたは排紙センサ25bで用紙を検知した後、排紙センサ25aまたは排紙センサ25bで用紙を検知しなくなるまでの区間である。測定区間16は、排紙センサ25aで用紙を検知した後、排紙センサ25bが用紙を検知するまでの区間である。
【0037】
測定区間18は、両面印刷時に排紙ローラ21b〜21cで用紙を反転フィードした後、両面印刷パスセンサ26で用紙の前端を検知するまでの区間である。測定区間19〜24は、測定区間12〜17に対応する両面印刷時の測定区間である。
【0038】
測定区間における用紙の通過時間が、正常な範囲内であるが、予め設定された基準値から外れ、限界値を下回っている場合には、その測定区間の紙詰まりの頻発が予測される。
【0039】
計測手段28によって計測された時間は、診断データとして不揮発性記憶手段31に記憶される。不揮発性記憶手段31は、例えば、EEPROM(Erasable Programmable ROM)などの不揮発性メモリで構成する。以下の表2に、診断データのフォーマットを示す。
【0040】
【表2】

【0041】
一つの診断データは、DATA01からDATAN(Nは整数)までの32バイトで構成する。DATA01のシーケンスIDは、上述した画像形成装置1の動作モードである。シーケンスIDによって、用紙がどの給紙トレイ2〜6から取り込まれて、どの面が印刷され、どの排紙トレイ7〜9へ排出されたかを知ることができる。
【0042】
DATA02は、プロセススピードおよび生産性である。プロセススピードは、転写ベルトの速度(mm/sec)であり、生産性は、1分間当たりの印刷枚数(ppm)である。DATA03〜05は、当該の用紙、前回の用紙、前々回の用紙の副走査サイズ(送り方向のサイズ)である。
【0043】
DATA06〜N−2は、上述した測定区間における当該の用紙、前回の用紙、前々回の用紙の通過時間である。例えば、表1に示す測定区間1の通過時間が、DATA06〜08に格納され、測定区間2の通過時間が、DATA09〜11に格納される。
【0044】
DATAN−1は、HFSIカウント値(High Frequency Service Item)である。HFSIカウント値とは、給紙手段である給紙トレイ2〜6、ナジャーローラ16a〜16e、フィードローラ17a〜17e、リタードローラ18a〜18e、またはテイクアウェイローラ19a〜19eを交換した後に用紙を取り込んだ枚数のことをいう。HFSIカウント値は、給紙トレイ2〜6毎に用意され、給紙手段を交換した際にカスタマーエンジニアによって0にセットされる。その後、HFSIカウント値は、用紙を取り込む度に制御手段27によってカウントアップされる。
【0045】
DATANは、用紙セット以後の用紙フィード枚数である。用紙セット以後の用紙フィード枚数とは、給紙トレイ2〜6に用紙をセットした後に用紙を取り込んだ枚数のことをいう。用紙セット以後の用紙フィード枚数は、給紙トレイ2〜6毎に用意され、給紙トレイ2〜6を開け閉めすることで0にセットされる。その後、用紙セット以後の用紙フィード枚数は、用紙を取り込む度に制御手段27によってカウントアップされる。
【0046】
不揮発性記憶手段31に記憶された診断データは、不揮発性記憶手段31よりも記憶容量が大きい不揮発性記憶手段32に逐次転送される。不揮発性記憶手段32は、例えば、ハードディスクなどの磁気記憶装置、EEPROMなどの半導体記憶装置で構成する。
【0047】
図2は、診断データを記憶する不揮発性記憶手段の概念図である。不揮発性記憶手段31に記憶した診断データは、格納先のブロック番号ととともに32バイトのブロック単位で、不揮発性記憶手段32に転送される。
【0048】
また、図1に示すように、不揮発性記憶手段32は操作手段33に接続する。操作手段33は、画像形成装置1を操作するためのユーザーインターフェイス装置である。操作手段33は、例えば、CPU、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、液晶ディスプレイなどで構成する。
【0049】
(画像形成装置の動作)
図3は、第1の実施形態に係る画像形成装置のフローチャートである。このフローチャートを実行するプログラムは、不揮発性記憶手段31に記憶され、制御手段27によって実行される。また、このプログラムは、CDROM等の記憶媒体に格納して提供できる。
【0050】
画像形成装置1は、同一の給紙トレイ2〜6から給紙された用紙が1000枚排出される毎に、測定区間毎の当該の用紙(1000枚目)、前回の用紙(999枚目)、前々回の用紙(998枚目)の通過時間を不揮発性記憶手段31に記憶する(ステップS10)。そして、画像形成装置1は、表2に示す診断データを作成し(ステップS11)、不揮発性記憶手段32に診断データを送信する(ステップS12)。
【0051】
なお、診断データを取得するタイミングは、1000枚単位でなくてもよく、不揮発性記憶手段31および32の記憶容量が許容する範囲内で、所定の枚数に設定する。
【0052】
(第1の実施形態の優位性)
第1の実施形態によれば、画像形成装置1は、同一の給紙トレイ2〜6から取り込まれた用紙が所定枚数排出される毎に、測定区間毎の用紙の通過時間を経常的に不揮発性記憶手段31および32に記憶する。このため、カスタマーエンジニアは、画像形成装置1の紙詰まりの修理を行う場合に、測定区間毎の用紙の通過時間を計測することなく、紙詰まりの原因を特定することができる。
【0053】
また、用紙が所定枚数排出される毎に診断データを作成することで、不揮発性記憶手段31および32の容量を必要最小限に抑えることができる。
【0054】
さらに、用紙が所定枚数排出される際、当該用紙、前回の用紙、および前々回の用紙の通過時間を診ることで、用紙の通過時間が偶然変化したものなのか、それとも必然的に変化するものなのかを判断することができる。
【0055】
2.第2の実施形態
以下、第1の実施形態の変形例について説明する。画像形成装置の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0056】
(画像形成装置の動作)
図4は、第2の実施形態に係る画像形成装置のフローチャートである。このフローチャートを実行するプログラムは、図1に示す不揮発性記憶手段31に記憶され、制御手段27によって実行される。また、このプログラムは、CDROM等の記憶媒体に格納して提供できる。
【0057】
紙詰まりの原因となる部品を交換した後に紙詰まりが起きないことを確認する場合や、上述した所定枚数(1000枚)を待てない場合には、任意のN枚目(Nは1〜225の整数)の用紙が排出される時に、N枚目の用紙、前回の用紙、前々回の用紙の通過時間を不揮発性記憶手段31に記憶する(ステップS20)。
【0058】
そして、画像形成装置1は、表2に示す診断データを作成し(ステップS21)、不揮発性記憶手段32に診断データを送信する(ステップS22)。カスタマーエンジニアは、診断データを見て、N枚目の用紙、前回の用紙、前々回の用紙の通過時間に異常がないかを確認する。
【0059】
(第2の実施形態の優位性)
第2の実施形態によれば、画像形成装置1の紙詰まりの修理を行う場合に、所定枚数の用紙の排出を待たずに、紙詰まりの原因を特定することができる。
【0060】
3.第3の実施形態
以下、画像形成装置が作成した診断データを遠隔地で監視する画像形成装置の診断システムについて説明する。
【0061】
(画像形成装置の診断システムの構成)
図5は、画像形成装置の診断システムの構成図である。画像形成装置の診断システム35は、画像形成装置1を使用するユーザーエリア36、画像形成装置1の診断データを管理するデータセンター37、データセンター37にアクセスして画像形成装置1を遠隔地で監視するリモート監視センター38で構成する。
【0062】
ユーザーエリア36は、画像形成装置1、ルータ39を備える。画像形成装置1は、LAN(Local Area Network)に接続する通信手段34を備えている(図1参照)。画像形成装置1とルータ39は、LAN経由で接続し、ルータ39は、WAN(Wide Area Network)を経由してデータセンター37のルータ40に接続する。
【0063】
データセンター37は、ルータ40、サーバ41および42を備える。ルータ40とサーバ41および42は、LAN経由で接続する。ユーザーエリア36の画像形成装置1は、サーバ41および42に経常的に診断データを送信する。サーバ41および42は、画像形成装置1から受信した診断データを記憶する。ルータ40は、インターネットを経由してリモート監視センター38のルータ43に接続する。
【0064】
リモート監視センター38は、ルータ43、パーソナルコンピュータ44〜46(以下、パソコンという)を備える。ルータ43とパソコン44〜46は、LAN経由で接続し、パソコン44〜46は、診断データを監視するための監視ソフトウェアを実行する。監視ソフトウェアは、サーバ41および42にアクセスして診断データを取得する。
【0065】
図6は、監視ソフトウェアの画面図である。監視ソフトウェアが表示する画面47は、測定区間毎の用紙の通過時間の推移48、HFSIカウント値49、用紙セット後フィード枚数50で構成する。
【0066】
用紙の通過時間の推移48は、縦軸に測定区間1〜Nをとり、横軸にトータルカウント値をとる。トータルカウント値は、累計のフィード枚数である。診断データは、用紙が1000枚排出される毎に作成されており、トータルカウント値は、1000刻みとなっている。用紙の通過時間の推移は、1000枚単位の折れ線グラフで表示される。
【0067】
また、用紙の通過時間には、基準値51と限界値52が設定される。用紙の通過時間が限界値ライン53を下回る場合には、異常であるとして、マーキング54〜56される。さらに、測定区間2のように、当該の用紙、前回の用紙、前々回の用紙のいずれもがマーキング54された場合、測定区間2は異常があると判断され、アラート57が点灯する。
【0068】
HFSIカウント値49は、用紙トレイ3、ナジャーローラ16b、フィードローラ17b、リタードローラ18b、またはテイクアウェイローラ19bのいずれかを交換した後に用紙を取り込んだ枚数である。
【0069】
図6の場合、トータルカウント値が4000枚のとき、測定区間1の用紙の通過時間が全てマーキング55されている。例えば、この原因を調べる場合、HFSIカウント値49が4000になっているため、用紙トレイ3、ナジャーローラ16b、フィードローラ17b、リタードローラ18b、およびテイクアウェイローラ19bからなる給紙手段の劣化を紙詰まりの原因として疑うことができる。
【0070】
用紙セット後フィード枚数50は、用紙トレイ3にセットした後に用紙が取り込まれた枚数である。図6の場合、トータルカウント値が6000枚のとき、測定区間1の前々回の用紙のみ通過時間がマーキング56されている。例えば、この原因を調べる場合、用紙セット後フィード枚数50が3であり、用紙をセットしてから間もないため、用紙トレイ3にセットした用紙のずれを紙詰まりの原因として疑うことができる。
【0071】
(第3の実施形態の優位性)
第3の実施形態によれば、遠隔地であるリモート監視センター38において、画像形成装置1の紙詰まりの頻発を予測できるとともに、紙詰まり箇所の交換部品を持参して画像形成装置1の修理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、コピー機、プリンタ、スキャナ、ファクシミリ、およびこれらの複合機などの画像形成装置と、画像形成装置と遠隔地のパソコン等で構成される画像形成装置の診断システムに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
【図2】診断データを記憶する不揮発性記憶手段の概念図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像形成装置のフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係る画像形成装置のフローチャートである。
【図5】画像形成装置の診断システムの構成図である。
【図6】監視ソフトウェアの画面図である。
【符号の説明】
【0074】
1…画像形成装置、2〜5…用紙トレイ、6…手差しトレイ、7〜9…排紙トレイ、10…テイクアウェイパス、11…手差しパス、12…レジストレーションパス、13…排紙パス、14…両面印刷パス、15…搬送手段、16a〜16e…ナジャーローラ、17a〜17e…フィードローラ、18a〜18e…リタードローラ、19a〜19e…テイクアウェイローラ、20…レジクラッチ、21a〜21c…排紙ローラ、22a〜22d…フィードアウトセンサ、23…レジセンサ、24…ペーパーオンベルトセンサ、25a,25b…排紙センサ、26…両面印刷パスセンサ、27…制御手段、28…計測手段、29…レジローラ、30…用紙検知手段、31,32…不揮発性記憶手段、33…操作手段、34…通信手段、35…画像形成装置の診断システム、36…ユーザーエリア、37…データセンター、38…リモート監視センター、39,40…ルータ、41,42…サーバ、43…ルータ、44〜46…パーソナルコンピュータ、47…監視ソフトウェア画面、48…用紙の通過時間の推移、49…HFSIカウント値、50…用紙セット後フィード枚数、51…基準値、52…限界値、53…限界値ライン、54〜56…マーキング、57…アラート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙手段と、
前記給紙手段から用紙搬送路に沿って用紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって搬送される用紙の通過を検知する用紙検知手段と、
前記用紙検知手段による用紙の通過検知に基づいて用紙の通過時間を計測する計測手段と、
前記計測手段によって計測された用紙の通過時間のデータを経常的に記憶する不揮発性記憶手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
用紙を搬送する基点から前記用紙検知手段に用紙が到達または通過するまでを一つの測定区間とし、前記測定区間毎に用紙の通過時間を計測することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
同一の給紙手段から取り込まれた用紙が所定枚数排出される毎に、前記測定区間毎の用紙の通過時間を計測することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定枚数よりも少ないN枚目(Nは整数)の用紙が排出される毎に、前記測定区間毎の用紙の通過時間を計測することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定枚数、または、前記N枚目の用紙が排出される毎に、当該用紙、前回の用紙、および前々回の用紙の通過時間を計測することを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記不揮発性記憶手段は、前記給紙手段を交換した後に取り込んだ用紙の枚数を記憶することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記不揮発性記憶手段は、前記給紙手段に用紙をセットした後に取り込んだ用紙の枚数を記憶することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記不揮発性記憶手段に記憶された用紙の通過時間のデータを経常的に外部のコンピュータに送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置の不揮発性記憶手段に記憶された用紙の通過時間のデータを経常的に受信する外部のコンピュータと、
前記外部のコンピュータまたは前記外部のコンピュータにアクセスするコンピュータに前記用紙の通過時間を時系列に表示させるプログラムとを備え、
前記用紙の通過時間が予め設定された限界値を下回る場合には、前記プログラムは、警告を通知することを特徴とする画像形成装置の診断システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−126344(P2010−126344A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305939(P2008−305939)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】