説明

画像形成装置の給紙機構

【課題】記録媒体の補給等による給紙トレイの引き出し時における騒音を極力回避し、且つ、給紙トレイと記録装置との接触事故を防止する。
【解決手段】可動板131を昇降させて、積載された記録媒体10を上下動させる可動板駆動モータ411と、印刷処理の動作状態を検出する印刷処理動作検出部331と、印刷処理動作検出部331による検出結果に応じて、可動板駆動モータ411の上下動を制御する可動板駆動制御部333aとを備え、可動板駆動制御部333aは、可動板131が所定高さ以上に上昇されている場合に、印刷処理の動作が停止したとき、可動板131を所定位置まで下降させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙トレイ内の可動板上に積載された記録媒体を搬送経路に供給して、該記録媒体に対して印刷処理を行う画像形成装置の給紙機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の処理能力の向上に伴って、使用される記録媒体も大量となり、記録媒体を給紙トレイに補給するユーザー操作回数も増加している。この画像形成装置における記録媒体の給紙について、定められたサイズの記録媒体の束を給紙トレイ内に積載させ、積載された記録媒体を給紙トレイから搬送経路を経て画像形成部に繰り出す給紙機構がある。
【0003】
そして、多数枚の記録媒体が載置される給紙トレイでは、給紙トレイ内の底部に配置された底板が、記録媒体の残量に応じて上下動する構造となっている。具体的には、一般的な給紙トレイでは、記録媒体を搬送経路に供給できる所定の高さにまでトレイ底板を上昇させ、給紙を行っている。
【0004】
ところで、この従来の画像形成装置では、本体側にある駆動手段からの駆動力を、上記トレイ底板に伝達してこれを上下動させる機構であることから、給紙トレイを画像形成装置本体から取り外す際、駆動手段からの駆動力が瞬時に切離なされると、底板が落下し、落下したトレイ底板とトレイ箇体とが衝突し、騒音が発生していた。
【0005】
これらに応えるべく、従前では、例えば、給紙トレイ内における用紙の有無を検出するセンサを設け、給紙トレイ内に用紙がなくなった場合に底板を下降させる技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−106374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示された画像形成装置では、用紙がなくなった場合に予め底板を下降させておく構成であるため、用紙がなくなる前にユーザーが給紙トレイを引き出した場合には、底板が上昇された状態にあることから、結果的に底板が落下することとなり、騒音が発生していた。
【0008】
また、近年では、装置の小型化、省スペース化の要望が高まっていることから、給紙トレイを小型化する必要がある一方で、印刷量の増大、印刷処理の高速化から、給紙トレイ内への記録媒体の積載量を増大させる必要がある。このため、給紙トレイの装着時には、画像形成装置内において、小型化された給紙トレイから記録媒体を送り出すために、底板を給紙トレイ内から外方へ迫り出させる必要が生じ、この状態でユーザーによって給紙トレイが引き出されると、迫り出された底板と装置本体とが衝突し、画像形成装置が破損する可能性があった。
【0009】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、記録媒体の補給等による給紙トレイの引き出し時における騒音を極力回避し、且つ、給紙トレイと記録装置との干渉を回避することができる画像形成装置の給紙機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、給紙トレイ内の可動板上に積載された記録媒体を搬送経路に供給して、記録媒体に対して印刷処理を行う画像形成装置の給紙機構であって、可動板を昇降させて、積載された記録媒体を上下動させる駆動手段と、印刷処理の動作状態を検出する動作検出手段と、動作検出手段による検出結果に応じて、駆動手段の上下動を制御する駆動制御手段とを備え、駆動制御手段は、可動板が所定高さ以上に上昇されている場合に、印刷処理の動作が停止したとき、可動板を所定位置まで下降させる。
【0011】
このような本発明によれば、動作検出手段によって印刷処理の動作状態を検出し、可動板が所定高さ以上に上昇されている場合に、印刷処理の動作が停止したとき、可動板を所定位置まで下降させるため、給紙トレイ内に記録媒体が残っているときにユーザーが給紙トレイを開けた場合であっても、可動板の落下距離を短縮させることができ、騒音の発生を低減させることができる。また、可動板を所定高さにまで下降させることにより、給紙トレイが小型であっても、給紙トレイの引き出し時に可動板が装置本体とが接触することがなく、装置の破損を低減することができる。さらに、可動板は、所定高さまで下降されるだけで、完全には下降されないことから、ユーザーによって給紙トレイが開けられず、印刷処理が継続された場合でも、印刷処理再開までのタイムラグを最低限なものとすることができる。
【0012】
上記発明において、記録媒体の積載量を検出する残量検知手段をさらに備え、駆動制御手段は、積載量に応じて可動板を上昇させる機能を有していることが好ましい。この場合には、積載量に応じて可動板を上昇させるため、可動板の下降量を調節することができ、落下距離の縮小による騒音の低減と、印刷処理再開までのタイムラグの短縮とのバランスを図り、より適正な制御が可能となる。
【0013】
上記発明において、残量検知手段は、可動板の上下動に応じて変位する遮蔽板と、遮蔽板の有無を検出することにより、可動板の上下動が所定範囲内にあるか否かを検知する遮蔽板検知手段とを有し、残量検知手段は、可動板の上下動が所定範囲以上となった場合に、記録媒体の積載量が所定量以下となったと検出することが好ましい。
【0014】
この場合には、遮蔽板の有無を検出し、可動板の上下動が所定範囲内にあるか否かというように、記録媒体の残量を二値的に検知することから、残量の検知機構を簡略化することができ、装置の小型化及び製造コストの低減を実現しつつ、落下距離の縮小による騒音低減と、印刷処理再開までのタイムラグの短縮とを、適正に調整することができる。
【0015】
上記発明において、残量検知手段は、可動板上に積載された記録媒体の上面位置を検出する用紙有無センサを備え、用紙有無センサによって記録媒体の有無を検出することが好ましい。この場合には、記録媒体上面の検出により記録媒体の有無を検出することができるため、用紙がなくなった後まで、可動板の制御が続行されるのを回避することができ、より適正な制御が可能となる。
【0016】
なお、この用紙有無センサにより記録媒体の有無を検出する構成と、上述した遮蔽板の有無を検出して記録媒体の残量を二値的に検知する構成とを併用すれば、用紙の残量を二値的に検知することによる精度低下を、用紙有無センサによって補うことができ、装置の簡略化を図りつつ、騒音低下のための制御精度を向上させることができる。
【0017】
上記発明において、駆動手段は、画像形成装置側に備えられ、給紙トレイは、画像形成装置に対して着脱可能に備えられるとともに、駆動手段の駆動力を可動板に伝達するための連結部を備え、連結部は、給紙トレイが画像形成装置に対して装着された状態において、駆動手段と連結され、給紙トレイが画像形成装置から離脱される際に連結が解除されることが好ましい。
【0018】
この場合には、画像形成装置本体側にある駆動手段からの駆動力を、上記トレイ底板に伝達してこれを上下動させる機構であることから、可動板を駆動するための駆動源を給紙トレイ側に設ける必要がなく、給紙トレイの小形化、製造コストの低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、可動板を所定位置まで下降させることによって、印刷処理開始までのタイムラグを最低限に維持しつつ、記録媒体の補給等による給紙トレイの引き出し時における騒音を回避することができ、且つ、給紙トレイと記録装置とが接触することによる破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る印刷装置の印刷用紙搬送経路の概要を示す構成図である。
【図2】本実施形態における給紙機構を示す外観斜視図である。
【図3】実施形態に係る筐体内部に設置される給紙トレイを示す斜視図である。
【図4】実施形態に係る筐体内部に設置される給紙トレイを示す上面図である。
【図5】実施形態に係る給紙機構の、各部材の位置関係を示す説明図である。
【図6】実施形態に係る給紙機構の、給紙トレイの部材を示す側面図である。
【図7】実施形態に係る可動板と連結部との位置関係を示す説明図である。
【図8】実施形態に係る遮蔽板とセンサとの位置関係を示す説明図である。
【図9】本実施形態に係る給紙機構の給紙時における動作を時系列に従って示す説明図である。
【図10】本実施形態に係る給紙機構に係る各部材の位置関係を示す説明図である。
【図11】本実施形態に係る給紙機構の印刷停止時における動作を時系列に従って示す説明図である。
【図12】本実施形態に係る演算処理部の給紙機構に係るモジュールを示すブロック図である。
【図13】実施形態に係る給紙機構の動作を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る印刷装置100の搬送経路の概要を示す図である。本実施形態では、印刷装置100は、多数のノズルが形成されたインクヘッドを複数備え、それぞれのインクヘッドから黒又はカラーインクを吐出してライン単位で印刷を行い、搬送ベルト上の記録媒体上に複数の画像を互いに重なり合うように形成するインクジェット方式のラインカラープリンタを例に説明する。
【0022】
図1に示すように印刷装置100は、環状の搬送経路上を搬送される記録媒体表面に画像を形成する装置であり、搬送経路は、記録媒体を供給する給紙経路FRと、この給紙経路FRからヘッドユニット110を経て排紙経路DRへ至る通常経路CRと、通常経路CRに分岐接続された反転経路SRとから概略構成されてる。
【0023】
給紙経路FRにおいて、記録媒体の供給を行う給紙機構としては、筐体側面の外部に配設されたサイド給紙台120と、筐体内部に設けられた複数の給紙トレイ(130a、130b、130c、130d)とが備えられている。また、印刷済みの記録媒体を排出する排紙機構として排紙口140を備えている。
【0024】
サイド給紙台120、給紙トレイ130a〜dのいずれかの給紙機構から給紙された記録媒体は、ローラー等の駆動機構によって筐体内の給紙経路FRに沿って搬送され、記録媒体の先頭部分の基準位置であるレジスト部Rに導かれる。レジスト部Rのさらに搬送方向側には、複数のインクヘッドを備えたヘッドユニット110が設けられている。記録媒体は、ヘッドユニット110の対向面に設けられた搬送ベルト160によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、各インクヘッドから吐出されたインクによりライン単位で画像形成される。
【0025】
印刷済みの記録媒体は、さらに、ローラー等の駆動機構によって通常経路CR上を搬送される。記録媒体の片側の面のみに印刷を行う片面印刷の場合は、そのまま排紙経路DRを経て、排紙口140に導かれて排紙され、排紙口140の受台として設けられた排紙台150に印刷面を下にして積載されていく。排紙台150は、筐体から突出したトレイ形状をしており、ある程度の厚みを有している。排紙台150は傾斜しており、傾斜の下位置に形成された壁により、排紙口140から排紙された記録媒体が自然に整えられて重なっていくようになっている。
【0026】
一方、記録媒体の両面に印刷を行う両面印刷の場合は、表面(最初に印刷される面を「表面」、次に印刷される面を「裏面」とする。)印刷終了時には排紙経路DR側に導かれずに、さらに筐体内を搬送され、反転経路SRに送出される。このため、印刷装置100は、裏面印刷用に搬送路を切り替えるための切替機構170が設けられており、切替機構170によって排出経路へ送出されなかった記録媒体は、反転経路SRに引き込まれる。
【0027】
この反転経路SRでは、通常経路CRから記録媒体が受け渡され、記録媒体を往復させることにより記録媒体の表裏を反転させる、所謂スイッチバックを行う。そして、ローラー等の駆動機構によって、切替機構172を経由して通常経路CRに戻され、レジスト部Rを経て再給紙されて、表面と同様の手順によって裏面の印刷が行われる。その後、裏面の印刷が行われ、両面に画像が形成された記録媒体は、排紙経路DRを通じて排紙口140に導かれて排紙され、排紙口140の受台として設けられた排紙台150に積載されていく。なお、本実施形態では、両面印刷時におけるスイッチバックを、排紙台150内に設けられた空間を利用して行うようにしている。
【0028】
印刷装置100では、給紙された記録媒体の先頭部分の基準位置となるレジスト部Rに、両面印刷時に片面印刷済みの記録媒体も再給紙されてくる。このため、レジスト部Rの直前部分には、新規に給紙される記録媒体の搬送経路と、裏面印刷の記録媒体が循環して搬送されてくる再給紙経路とが合流する合流点が形成される。そして、レジスト部Rは、給紙経路FRと通常経路CRとの合流点近傍において、記録媒体の送り出しを行う。
【0029】
そして、本実施形態においては、ある記録媒体を給紙した後、その記録媒体に印刷が施され排紙されるのを待って次の記録媒体を給紙するのではなく、スケジューリングにより、先行する記録媒体が排紙される前に、後続の記録媒体を給紙して、所定の間隔で連続的に印刷できるようになっている。したがって、両面印刷時の通常のスケジューリングでは、表面の記録媒体を給紙する際に、反転経路SRから戻ってきた記録媒体が挿入される位置を確保するように、予めスペースを確保しておく。これにより、本装置では、表面の印刷と裏面の印刷とを並行させることができ、片面印刷時に対して1/2の生産性を確保することができる。
【0030】
前記搬送ベルト160は、ヘッドユニット110に対向する面の前端及び後端に配設された駆動ローラー161及び従動ローラー162に掛け渡されており、図1中、時計回り方向に回転移動する。また、搬送ベルト160の上面には、そのベルト移動方向に沿って、4色のインクヘッドが並べて配置され、複数の画像を互いに重なり合うようにしてカラー画像を形成するヘッドユニット110が対向配置されている。
【0031】
さらに、図1に示すように、印刷装置100には、演算処理部330が備えられている。この演算処理部330は、CPUやDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、メモリ、及びその他の電子回路等のハードウェア、或いはその機能を持ったプログラム等のソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成された演算モジュールであり、プログラムを適宜読み込んで実行することにより種々の機能モジュールを仮想的に構築し、構築された各機能モジュールによって、画像データに関する処理や、各部の動作制御、ユーザー操作に対する種々の処理を行う。また、この演算処理部330には、操作パネル340が接続されており、この操作パネル340を通じて、ユーザーによる指示や設定操作を受け付けることができる。
【0032】
(給紙機構)
本実施形態において、上記給紙経路FRには、本発明に係る給紙機構が備えられている。図2は、本実施形態における給紙機構を示す外観斜視図であり、図3は、印刷装置内に装填される給紙トレイを示す斜視図であり、図4は、その動作を模式的に示す上面図である。本実施形態に係る給紙機構400は、上述した給紙経路FR中の各給紙トレイ(130a、130b、130c、130d)の収納部分に設けられており、給紙トレイ内に積載された記録媒体10を、給紙経路FRに送り出す機構である。本実施形態において、給紙機構400は、印刷装置100側の機構と、印刷装置100に対して着脱可能に装填される給紙トレイ130側の機構とから構成される。
【0033】
(1)印刷装置側の機構
印刷装置100側の機構は、給紙経路FRに連通された給紙口231の近傍に設置され、給紙口231の周辺にトレイ駆動部230を有し、このトレイ駆動部230に対して係脱可能に給紙トレイ130が収納される。印刷装置100側の機構としては、トレイ駆動部230の他、可動板駆動モータ411と、各種センサとを備えている。
【0034】
トレイ駆動部230は、給紙機構400において、記録媒体10の送出方向Xの前部に設けられ、給紙口231を通じて、給紙経路FRに記録媒体を送出する駆動装置である。このトレイ駆動部230は、印刷装置100内に給紙トレイ130が装填された状態において、給紙トレイ130の上部開口の上方に掛け渡されるように位置され、その下部にピックアップローラー232と、上限センサ402と、用紙有無センサ401とが取付けられている。そして、給紙トレイ130が装着された状態で、ピックアップローラー232を回転させることにより、給紙トレイ130内に積載された記録媒体を、その最上層から1枚ずつ取り込んで、給紙経路FR上に送出させる。
【0035】
可動板駆動モータ411は、図4(a)に示すように、印刷装置100側に備えられ、引出方向Yにおける給紙トレイ130の後方に設置されたエレベーターモータである。この可動板駆動モータ411は、連結部137を介して給紙トレイ130側に駆動力を伝達させ、可動板131を昇降させて、積載された記録媒体10を上下動させる。詳述すると、図4(b)に示すように、給紙トレイ130が印刷装置100に対して装着された状態では、可動板駆動モータ411は、給紙トレイ130の連結部137と連結するようになっている。一方、図4(c)に示すように、給紙トレイ130が印刷装置100から離脱されることで、可動板駆動モータ411と連結部137との連結は解除されるようになっている。
【0036】
なお、本実施形態において、可動板駆動モータ411の近傍には、トレイセットスイッチ404が設けられている。このトレイセットスイッチ404は、印刷装置100側において給紙トレイ130の収納箇所に隣接された給紙トレイ130の着脱を検知するスイッチであり、図4(b)に示すように、給紙トレイ130が印刷装置100に物理的に接続されるとONの状態となり、図4に示すように、給紙トレイが切り離されるとOFFの状態となり、これにより給紙トレイが装着されているか否かを判断することができる。
【0037】
(2)給紙トレイ側の機構
次いで、給紙トレイ側の機構について説明する。図5は、給紙機構400に係る各センサの位置関係を示す説明図であり、図6は、給紙トレイ130内の可動板131を示す側面図であり、図7は、可動板131と連結部137との位置関係を示す説明図である。
【0038】
給紙トレイ130は、多数の記録媒体を積層状態で収納する函体であり、印刷装置100に対して着脱可能に備えられ、装着された状態においては、印刷装置100の筐体内部のトレイ駆動部230の下方に位置されるようになっている。
【0039】
さらに、給紙トレイ130の内部には、記録媒体が積載される可動板131と、この可動板131を昇降させるために可動板駆動モータ411の駆動力を伝達させる連結部137が設けられている。
【0040】
可動板131は、給紙トレイ130内の底面138上に設けられ、記録媒体10を積載させる底板部材であり、本実施形態では、図7にも示すように、三角形状の両側壁を有する所謂ちり取り状をなしている。また、この可動板は、ピン部材131aで揺動可能に給紙トレイ130の内側面に取付けられている。さらに、この可動板131の下方には、可動板支持部139が上下動可能に取付けられており、この可動板支持部139によって、後端部131cに支えられて可動板131の先端部131bが持ち上げられ、傾斜角度が変化される。そして、この可動板131は、記録媒体の積載量に応じて斜度が変化されて、載置された記録媒体を上下するように駆動される。
【0041】
なお、本実施形態において給紙トレイ130内には、その内部に一対のサイドフェンス135,135と、エンドフェンス134と、用紙サイズセンサ405備えている。
【0042】
一対のサイドフェンス135,135は、図4(a)に示すように、給紙口231へ送出する記録媒体10の送出方向Xの両側において、送出方向Xと直交する用紙幅方向に相対移動自在に設けられている。これらの一対のサイドフェンス135,135は、用紙サイズに合わせて設定することができ、積載された記録媒体10の送出方向Xを規制し、紙揃えを行う。
【0043】
エンドフェンス134は、図4(a)に示すように、給紙口231へ進入する記録媒体10の引出方向Yの後部に設置され、給紙トレイ130内において、送出方向Xに相対移動自在に設けられている。このエンドフェンス134は、用紙サイズに合わせて設定することができ、積載された記録媒体10の送出方向Xを規制し、紙揃えを行う。用紙サイズセンサ405は、図4(a)に示すように、給紙トレイ130内のエンドフェンス134位置から、積載された記録媒体10の用紙サイズを検知するセンサである。
【0044】
(3)連結部の機構
本実施形態において、上記連結部137は、図7に示すように、下部ギア137bと、上部ギア137aとから構成されており、下部ギア137bは、シャフト139aを介して可動板支持部139と連結されている。この可動板支持部139は、その上部に位置する可動板131を支持するように配置されており、この可動板支持部139は、シャフト139aが回転することによって、上下動され、これにより、上部の可動板131が昇降されるようになっている。
【0045】
上部ギア137a及び下部ギア137bは、可動板駆動モータ411の駆動力により回転される歯車機構であり、上部ギア137aは、給紙トレイ130が印刷装置100内に装填された状態において、可動板駆動モータ411と係合され、回転可能となる。下部ギア137bは、上部ギア137aが回転すると、それに追従して回転され、シャフト139aを回転させる。このシャフト139aの回転に伴って、可動板支持部139の傾斜角度が変化し、その傾斜角度に応じて、上方の可動板131を昇降させる。
【0046】
また、上部ギア137aには、遮蔽板136が取付けられている。この遮蔽板136は、歯車である上部ギア137aと同心軸の扇形部材136bの円弧部分に、湾曲部材136aを一体的に形成した部材であり、湾曲部材136aは、可動板131の上下動に応じて変位する検知センサ遮蔽部材となっている。この湾曲部材136aは、これを挟み込むように残量検知センサ403が配置されている。
【0047】
(4)可動板の昇降検知機構
上記給紙機構400における可動板131の上下動は、各センサにより検知されて制御される。各センサとしては、本実施形態においては、上限センサ402と、用紙有無センサ401と、残量検知センサ403とを備えている。
【0048】
用紙有無センサ401は、トレイ駆動部230に設置され、図5に示すように、可動板131上に積載された記録媒体10の有無を検出する反射型センサであり、本実施形態では、記録媒体10があるときON状態となり、記録媒体10がないときOFF状態となる。なお、用紙有無センサ401としては、本実施形態では反射型センサとするが、この形態に限られるものではなく、例えば、コの字型の透過型センサを使用するようにしてもよい。
【0049】
上限センサ402は、トレイ駆動部230に設置され、可動板131に積載された記録媒体10の上面が給紙位置の上限位置にあるかどうかを検出するセンサである。本実施形態では、記録媒体10を検出することによりON状態となり、非検出となることによってOFF状態となる。
【0050】
残量検知センサ403は、印刷装置100に備えられ、装着された給紙トレイ130の連結部137傍近に設置され、可動板131の上下動が所定範囲内にあるか否かを検知するセンサである。図8は、遮蔽板136と残量検知センサ403との位置関係を示す説明図である。
【0051】
この残量検知センサ403は、印刷装置100側に設けられ、給紙トレイが印刷装置側に装填された状態において、連結部137の遮蔽板136と係合するようになっている。本実施形態における残量検知センサ403は、コの字型をした透過型の光センサであり、コの字状に対向配置された発光部と受光センサによりコの字形状の内方に挿入された物体の有無を検出する。すなわち、発光部によって発行された光が、コの字形上内方に挿入された物体により遮られ、受光センサがOFFとなることによって、物体の存在を検出する。
【0052】
このような残量検知センサ403で遮蔽板136の有無を検出することにより、可動板131の上下動が所定範囲内にあるか否かの判断を行う。連結部137では、可動板131が上昇動作を行うと、上部ギア137aに結合されている遮蔽板136が、可動板131の上下動に応じて回転され、湾曲部材136aが変位する構成となっており、具体的には、図7(a)〜(c)に示すように、下部ギア137bにより可動板131が上昇すると、下部ギア137bの回転により、上部ギア137aも回転する。これにより、上部ギア137aに結合している遮蔽板136の湾曲部材136aの位置が変位されるようになっている。
【0053】
そして、給紙トレイ130が印刷装置100に装填されると、図8に示すように、残量検知センサ403が、遮蔽板136の湾曲部材136aを、側方から、コの字形上内方に挟み込むように係合される。ここで、残量検知センサ403は、可動板131の位置が所定範囲内にあるか否かによって判断することから、記録媒体10の積載量は、所定量以下であるか否かというように、二値的に検出される。
【0054】
この所定範囲内か否かは、用紙残量が50%以下か否かで判別する。すなわち、可動板131の上下動に応じて回転され、遮蔽板136が残量検知センサ403の位置にない場合は、センサ遮蔽なしとしてセンサOFFとなり、可動板131の上下動が所定範囲外、すなわち、残量50%〜100%であると判別される。一方、図8(b)に示すように、遮蔽板136が残量検知センサ403の位置にある場合は、センサを遮蔽としてセンサONとなり、可動板131の上下動が所定範囲内、すなわち残量50%以下であると判別される。
【0055】
(5)演算処理部の構成
このような構成の給紙機構の制御は、上述した演算処理部330において行われる。特に、本実施形態では、各給紙トレイ内における記録媒体10の有無や、可動板131の上下動が所定範囲内か否かを検知することで、印刷処理の動作状態に応じた可動板131の上下動の制御を行う。
【0056】
図12は、演算処理部330の給紙機構に係るモジュール及び周囲のモジュールとの関係を示すブロック図である。なお、説明中に用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0057】
図12に示すように、演算処理部330は、画像処理に関するモジュールとして、画像処理部332と、印刷処理動作検出部331とを有している。この画像処理部332は、画像処理に特化したディジタル信号処理を行う演算処理装置であり、印刷の処理単位であるジョブデータを受信し、このジョブデータに含まれる印刷に必要な画像データの変換等を行い、印刷を実行するモジュールである。この画像処理部332は、ジョブデータを受信する通信インターフェースや、RGB印刷画像をCMYK印刷画像に変換する色変換回路、各色のインクヘッドの駆動及び搬送経路の駆動手段の動作を制御し、画像形成部341を通じて、画像形成処理全体を制御する画像形成制御機能が含まれる。この画像形成部341は、ヘッドユニット110や搬送経路の各駆動部の動作を制御し、画像形成を実行させるモジュールである。なお、この画像処理部332において印刷処理が実行されたときには、その処理動作を示す制御信号が、印刷処理動作検出部331に送出される。
【0058】
印刷処理動作検出部331は、画像処理部332から送出された制御信号に基づいて、印刷装置100における印刷処理の実行を検出するモジュールである。そして、印刷処理動作検出部331は、検出した印刷処理の実行状態を駆動制御部333に通知する。
【0059】
また、演算処理部330は、給紙機構に係るモジュールとして、駆動制御部333と、可動板駆動制御部333aと、残量検知部334とを備えている。
【0060】
残量検知部334は、給紙機構に設置された上限センサ402と、用紙有無センサ401、残量検知センサ403、及びトレイセットスイッチ404からの検知結果に基づいて、給紙トレイ130が印刷装置100に対して装着された状態か否かや、可動板131の上下動が所定範囲内か否かを検知するモジュールである。
【0061】
駆動制御部333は、各搬送経路を駆動させる各駆動部や切替機構170など、印刷装置100内各機能の動作を制御するモジュールである。また、本実施形態において、この駆動制御部333には、可動板駆動制御部333aが含まれる。この可動板駆動制御部333aは、残量検知部334及び印刷処理動作検出部331による検出結果に応じて、可動板131の昇降を制御するモジュールである。
【0062】
詳述すると、可動板駆動制御部333aは、残量検知部334を通じて、可動板131上に積載された記録媒体10の積載量を検出し、積載量に応じて可動板131を上昇させる。さらに、可動板駆動制御部333aは、残量検知部334及び印刷処理動作検出部331による検出結果に応じて、可動板131が所定高さ以上に上昇されている場合に、印刷処理の動作が停止されたとき、可動板131を所定位置まで下降させる。なお、本実施形態において、この所定高さとは、給紙トレイ底面から給紙口までの高さ(給紙トレイの深さ)の1/2とする。
【0063】
(給紙機構の制御)
以上の構成を有する給紙機構の制御について以下に説明する。以下に、印刷開始時の制御、印刷処理実行中の制御、及び印刷処理終了後(印刷待機状態)の制御に分けて説明する。
【0064】
(1)印刷開始時における制御
始めに、印刷処理の動作開始が検出されると、可動板駆動モータ411が駆動され、連結部137を介して、可動板131が上昇される。そして、可動板131の上昇により、可動板131に積載された記録媒体10は給紙口231の高さへ到達し、ピックアップローラー232による給紙経路FRへの送出が可能となる。ここで、可動板131の上昇は、積層された記録媒体10の上面を上限センサ402による位置出し処理によって調整及び停止される。
【0065】
詳述すると、図9に示すように、記録媒体10を積載させた可動板131は、印刷処理が開始され、記録媒体の減少に伴い上昇される。このとき、下限位置からの上昇では、上限センサ402までの距離が長いため、上昇の速度が速くなってしまい、停止目標位置である上限センサ402を通り過ぎてしまう(図9(c))。そのため、本実施形態では、可動板131の上昇に際し、停止位置までに位置出し処理を行う。この位置出し処理は、センサオーバーした可動板131を一旦上限センサ402がOFFとなる位置まで下降させて停止し、(図9(d)〜図9(f))、再度上限センサ402がONとなる位置まで上昇させる(図9(g)〜(i))。位置出し処理での停止位置は、図9(f)に示すように、下限位置よりも、移動距離が少ないため、低速度状態で停止することができ、オーバーセンサされることがない。
【0066】
(2)印刷処理実行中の制御
次に、本実施形態において、印刷処理実行中における記録媒体10の上下動制御について説明する。印刷処理の実行中は、所謂サーボ動作により、給紙トレイ130に積載された記録媒体10の積載量に応じて、その可動板131を上下動させ、上限位置(上限センサがONとなる位置)を維持する。
【0067】
すなわち、印刷処理実行中にあっては、給紙トレイから給紙され、記録媒体が減少していくことから、最上面の記録媒体が上限位置を保てなくなる。サーボ動作は、その状態を防止するための動作であり、基本的には、周期的に上限センサ402をチェックし、上限センサ402がOFF状態であったら可動板131の上昇動作を開始し、上限センサがON状態になる位置まで上昇させる。
【0068】
さらに、本実施形態では、上述したサーボ動作に際し、用紙有無センサ401及び残量検知センサ403による用紙残量の検知が行われる。図10(a)〜(c)は、印刷処理の実行中における用紙残量の検知処理を示す説明図である。
【0069】
先ず、給紙トレイ130に記録媒体10を補給し、印刷装置100側に給紙トレイ130を装着すると、上述した位置出し処理により、可動板131が上限センサ402がONとなる位置まで上昇され、給紙の際は、サーボ動作により記録媒体10の最上部が常に給紙位置に保たれる。
【0070】
このとき、表1に示すように、用紙有無センサ401及び、残量検知センサ403のON,OFF状態を対比することで、用紙残量を判別する。この判別は、可動板131が上限位置に存在するときに有効となり、上限位置のときの残量センサの情報により残量を決定する。なお、本実施形態では、残量検知センサ403は、湾曲部材136aの有無を検出することにより、可動板131の上下動が所定範囲内にあるか否かを検知する構成であることから、残量判定は残量50%以上か又は以下かで実行される。
【表1】

【0071】
詳述すると、図10(a)に示すように、上限センサ402により可動板131の上限が検出された後、用紙有無センサ401がONの状態である場合には、給紙トレイ130に記録媒体10が残存している状態であると判別される。このとき、残量検知センサ403がOFF状態である場合には、湾曲部材136aの位置が所定範囲外であるので、50%以上の記録媒体10が積載されていると判別でき、給紙トレイ130の用紙残量は100%と検出される。
【0072】
次いで、図10(b)に示すように、積層された記録媒体10の残量が減少すると、用紙有無センサ401では、ONの状態が継続されるが、残量検知センサ403がON状態となった時点で、可動板131の位置が所定範囲内に位置されており、50%以下の記録媒体10が積載されていると判別でき、給紙トレイ130の用紙残量は50%と検出される。
【0073】
さらに、図10(c)に示すように、積層された記録媒体10の残量が減少すると、用紙有無センサ401がOFFの状態となり、給紙トレイ130に記録媒体は積載されていないと判別されるので、用紙残量は0%と検出する。
【0074】
(3)印刷処理終了後の制御
その後、印刷処理が停止した場合、上述した残量判定による給紙トレイ130の積載量に応じて、可動板131を所定位置まで下降させる。ここでは、給紙トレイに記録媒体が少ない(又はない)状態で、且つ印刷処理終了後(印刷待機状態)のときに、可動板131を下降させる。本実施形態では、記録媒体が給紙されるたびにサーボ動作を実行するため、用紙が少ない(又はなし)状態となったときには、可動板131の位置は、上限近くまで上昇された状態となっていることから、可動板131が上昇された状態でトレイが物理的に勢い良く引き抜かれ可動板131等の部品が他の部品と干渉するのを回避する必要がある。
【0075】
このため、本実施形態では、上述した部品の干渉が発生しないよう、印刷処理の終了が検知された時点で、給紙トレイ130の積載量が所定量以上のときには、可動板131を所定の高さまで下降させる。
【0076】
具体的には、印刷動作の停止が検出され、且つ給紙トレイ130に記録媒体10の積載量が50%以上であると判別した場合には、印刷終了後(印刷待機状態)でも、可動板131は下降させず、上限センサがONとなる位置に記録媒体10が停止している(図11(a))。一方、印刷動作の停止が検出され、且つ給紙トレイ130に記録媒体の積載量が50%以下であると判別した場合には、一旦、可動板131は、下降する(図11(b))。ここで、可動板131は、下限位置まで、下降することなく、中間位置において停止する(図11(c)及び(d))。そして、次の搬送予約が発生したときには、給紙位置まで可動板131を上昇させる(図11(a))。
【0077】
(4)全体の制御
以上説明した各制御を含む全体的な給紙制御は、以下の通りである。図13は、本実施形態における給紙機構の動作を示すフローチャート図である。
【0078】
先ず、印刷動作が開始された際、給紙トレイ130内に記録媒体10があるか否かを判断する(S101)。この判断は、用紙有無センサ401の検知によって残量検知部334で行われる。給紙トレイ130に記録媒体があると判断された場合は(S101における“Y”)、印刷処理が実行される(S102)。
【0079】
印刷実行中は、給紙トレイから順次記録媒体が供給され、記録媒体の積載量が減少される。この間、サーボ動作により、給紙トレイ130に積載された記録媒体10の積載量に応じて、可動板131が上下動され、上限位置(上限センサがONとなる位置)が維持される。
【0080】
次いで、印刷処理動作検出部331により、現在の印刷ジョブが終了か否かを判別し(S103)、終了していない場合(S103における“N”)、印刷動作を続行する。一方、現在のジョブが終了した場合は(S103における“Y”)、次のジョブの有無を判断し、次のジョブがある場合には(S104における“Y”)、印刷動作を続行する。なお、この印刷動作の実行中は、ステップS101の用紙有無の判断が周期的に実行される。
【0081】
他方、現在のジョブが終了し、印刷処理動作検出部331により印刷動作の停止が検出された後、次のジョブがない場合には(S104における“N”)、給紙トレイ130内の記録媒体10の用紙残量を検知する(S105)。用紙残量が50%以下である場合は(S105における“Y”)、可動板131を中間ポジションに移動させて待機状態とする。一方、用紙残量が50%以上である場合は(S105における“N”)、可動板131のポジションをそのまま保持し、待機状態とする。
【0082】
(作用・効果)
このような本実施形態によれば、給紙トレイ130内において、可動板131が所定高さ以上(給紙トレイの深さ1/2)に上昇されている場合(すなわち用紙残量が50%以下の場合)に、印刷処理の動作が停止したとき、可動板131を1/2の高さまで下降させるため、給紙トレイ130内に記録媒体10が残っているときにユーザーが給紙トレイ130を開けた場合であっても、可動板131の落下距離を短縮させることができ、騒音の発生を低減させることができる。また、可動板131を1/2の高さにまで下降させることにより、給紙トレイ130の引き出し時に可動板131が装置本体とが接触することがなく、装置の破損を低減することができる。さらには、可動板131は、1/2の高さまで下降されるだけで、完全には下降されないことから、給紙トレイ130が開けられず、印刷処理が継続された場合でも、印刷処理再開までのタイムラグを最低限なものとすることができる。
【0083】
さらに、本実施形態は、記録媒体10の積載量を検出する残量検知部334をさらに備え、可動板駆動モータ411は、積載量に応じて可動板131を上下動させる機能を有しているので、可動板131の下降量を調節することができ、落下距離の縮小による騒音の低減と、印刷処理再開までのタイムラグの短縮とのバランスを図り、より適正な制御が可能となる。
【0084】
また、残量検知部334は、遮蔽板136の有無を検出し、可動板131の上下動が所定範囲内にあるか否かというように、記録媒体10の残量を二値的に検知することから、残量の検知機構を簡略化することができ、装置の小型化及び製造コストの低減を実現しつつ、落下距離の縮小による騒音低減と、印刷処理再開までのタイムラグの短縮とを、適正に調整することができる。
【0085】
さらに、残量検知部334は、可動板131上に積載された記録媒体10の上面を検出するに用紙有無センサ401を備え、記録媒体10の有無を検出するため、用紙がなくなった後まで、可動板131の制御が続行されるのを回避することができ、より適正な制御が可能となる。
【0086】
なお、この用紙有無センサ401により記録媒体10の有無を検出する構成と、上述した遮蔽板136の有無を検出して記録媒体10の残量を二値的に検知する構成とを併用すれば、用紙の残量を二値的に検知することによる精度低下を、用紙有無センサ401によって補うことができ、装置の簡略化を図りつつ、騒音低下のための制御精度を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、画像形成装置本体側にある可動板駆動モータ411からの駆動力を、連結部137を介して、可動板131に伝達してこれを上下動させる機構であることから、可動板131を駆動するための駆動源を給紙トレイ側に設ける必要がなく、給紙トレイ130の小形化、製造コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0088】
CR…通常経路
DR…排紙経路
FR…搬送経路
FR…給紙経路
R…レジスト部
SR…反転経路
X…送出方向
Y…引出方向
10…記録媒体
100…印刷装置
110…ヘッドユニット
120…サイド給紙台
130(130a〜d)…給紙トレイ
131…可動板
131a…ピン部材
131b…先端部
131c…後端部
134…エンドフェンス
135,135…サイドフェンス
136…遮蔽板
136a…湾曲部材
136b…扇形部材
137…連結部
137a…上部ギア
137b…下部ギア
138…底面
139…可動板支持部
139a…シャフト
140…排紙口
150…排紙台
160…搬送ベルト
170,172…切替機構
230…トレイ駆動部
231…給紙口
232…ピックアップローラー
330…演算処理部
331…印刷処理動作検出部
332…画像処理部
333…駆動制御部
333a…可動板駆動制御部
334…残量検知部
340…操作パネル
341…画像形成部
400…給紙機構
401…用紙有無センサ
402…上限センサ
403…残量検知センサ
404…トレイセットスイッチ
405…用紙サイズセンサ
411…可動板駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙トレイ内の可動板上に積載された記録媒体を搬送経路に供給して、該記録媒体に対して印刷処理を行う画像形成装置の給紙機構であって、
前記可動板を昇降させて、積載された前記記録媒体を上下動させる駆動手段と、
前記印刷処理の動作状態を検出する動作検出手段と、
前記動作検出手段による検出結果に応じて、前記駆動手段の上下動を制御する駆動制御手段と
を備え、前記駆動制御手段は、前記可動板が所定高さ以上に上昇されている場合に、印刷処理の動作が停止したとき、該可動板を所定位置まで下降させることを特徴とする画像形成装置の給紙機構。
【請求項2】
前記記録媒体の積載量を検出する残量検知手段をさらに備え、
前記駆動制御手段は、前記積載量に応じて前記可動板を上昇させる機能を有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の給紙機構。
【請求項3】
前記残量検知手段は、
前記可動板の上下動に応じて変位する遮蔽板と、
前記遮蔽板の有無を検出することにより、前記可動板の上下動が所定範囲内にあるか否かを検知する遮蔽板検知手段と
を有し、
前記残量検知手段は、前記可動板の上下動が所定範囲以上となった場合に、前記記録媒体の積載量が所定量以下となったと検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の給紙機構。
【請求項4】
前記残量検知手段は、前記可動板上に積載された前記記録媒体の上面位置を検出する用紙有無センサを備え、該用紙有無センサによって該記録媒体の有無を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の給紙機構。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記画像形成装置側に備えられ、
前記給紙トレイは、前記画像形成装置に対して着脱可能に備えられるとともに、前記駆動手段の駆動力を前記可動板に伝達するための連結部を備え、
前記連結部は、前記給紙トレイが前記画像形成装置に対して装着された状態において、前記駆動手段と連結され、該給紙トレイが該画像形成装置から離脱される際に前記連結が解除される
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の給紙機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−202289(P2010−202289A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46416(P2009−46416)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】