説明

画像形成装置

【課題】 モノクロモードとカラーモードの印刷モードを有するタンデム型画像形成装置において、特殊な機構を付加することなく、ベルトを高寿命化する画像形成装置を提供する。
【解決手段】 駆動ローラ22及び従動ローラ23に張架される中間転写ベルト21が、幅方向の一端と他端とで張力差を設けることで駆動ローラ22及び従動ローラ23の一端又は他端のどちらか一方に寄っているタンデム型カラー画像形成装置において、駆動ローラ22及び従動ローラ23以外の中間転写ベルト当接ローラ27,32,33,131,132の姿勢を変更することで、カラーモードとモノクロモードとを切り換えると共に、中間転写ベルト21の寄り方向を切り換えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に像担持体や現像ローラ等の回転体を保持する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式複写機やプリンタ等の画像形成装置において、転写ベルトの端面に突き当てて転写ベルトの蛇行を規制するフランジを転写ベルトの両側に設け、張架ローラの1本を他のローラと平行度を崩す方向へ移動可能とし、転写ベルトの両端面がフランジと接触している時間が略同一となるよう制御する技術がある(特許文献1)。
【0003】
また、転写ベルトの片側にリブを設け、溝フランジと嵌合してベルトの寄り規制を行う規制方法において、リブ側のテンションを非リブ側よりも高くなるように構成する技術がある(特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−351229号公報
【特許文献1】特開2003−255642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に記載された発明では、新たにローラ間の平行度を崩すための機構が必要となり、部品点数が増え、装置が大型化するという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決し、モノクロモードとカラーモードの印刷モードを有するタンデム型画像形成装置において、特殊な機構を付加することなく、ベルトを高寿命化する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、駆動ローラ及び従動ローラに張架される中間転写ベルトが、幅方向の一端と他端とで張力差を設けることで前記駆動ローラ及び前記従動ローラの一端又は他端のどちらか一方に寄っているタンデム型カラー画像形成装置において、前記駆動ローラ及び前記従動ローラ以外の中間転写ベルト当接ローラの姿勢を変更することで、カラーモードとモノクロモードとを切り換えると共に、中間転写ベルトの寄り方向を切り換えることを特徴とする。
【0007】
また、前記中間転写ベルトの内側に像担持体と対向して配設されたカラー用一次転写バックアップローラと、モノクロ用一次転写バックアップローラとを有し、前記カラー用一次転写バックアップローラ及び前記モノクロ用一次転写バックアップローラを、前記中間転写ベルトを介して像担持体に押圧するカラーモードと、前記モノクロ用一次転写バックアップローラのみを前記中間転写ベルトを介して像担持体に押圧するモノクロモードとを切り換えることで、中間転写ベルトの寄り方向を切り換えることを特徴とする。
【0008】
また、前記中間転写ベルトに内側から当接するサポートローラを有し、前記カラーモードと、前記モノクロモードとで前記サポートローラの姿勢を切り換えることで、前記中間転写ベルトの寄り方向を切り換えることを特徴とする。
【0009】
また、前記前記中間転写ベルトに外側から当接する斜毛クリーニングブラシローラを有し、前記カラーモードと、前記モノクロモードとで前記斜毛クリーニングブラシローラの姿勢を切り換えることで、前記中間転写ベルトの寄り方向を切り換えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記駆動ローラ及び前記従動ローラ以外の中間転写ベルト当接ローラの姿勢を変更することで、カラーモードとモノクロモードとを切り換えると共に、中間転写ベルトの寄り方向を切り換えるので、特殊な機構を付加することなく、ベルトを高寿命化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。ここで、本実施形態の説明中、フロント側リヤ側とは、図の紙面に対するフロント側リヤ側を意味する。図1(a)は、本発明の画像形成装置の実施の形態の一例を模式的に示す横断面図である。図1(a)に示すように、この例の画像形成装置1は、ハウジング本体2を備え、ハウジング本体2内には、画像形成ユニット10、中間転写ベルトユニット20、モード変換ユニット30、二次転写ユニット50、給紙ユニット60、定着ユニット70、記録媒体搬送手段80並びに図示しない電源回路基板、制御回路基板を内蔵する電装品ボックス及び送風ファン等がそれぞれ配設されている。画像形成ユニット10及び給紙ユニット50内の消耗品はハウジング本体2に対して着脱可能に構成されており、これらは転写ベルトユニット20を含めて取り外して修理あるいは交換可能とされている。
【0012】
画像形成ユニット10は、複数個(この例では、4個:以下、4個として説明する)の異なる色、つまりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)の画像をそれぞれ形成するイエロー用画像形成ステーション、マゼンタ用画像形成ステーション、シアン用画像形成ステーション、ブラック用画像形成ステーションを備えている。その場合、各色Y、M、C、Kの画像ステーションの配置順序は従動ローラ23から駆動ローラ22に向かってY、M、C、Kの順にタンデムに配置されている。なお、各色の画像ステーションの配置順序はこれに限定されることはなく、任意に設定することができる。
【0013】
また、これらの画像形成ステーションは、それぞれ、感光ドラムからなる像担持体11と、この像担持体11の周囲に配設された、帯電手段12、像書込手段13、現像手段14、像担持体クリーナ17を備えている。
【0014】
各色の画像形成ステーションの像担持体11、帯電手段12、像書込手段13、現像手段14及び像担持体クリーナ17の構成はいずれも同一であるため、図1(a)においては、符号11,12、13、14及び17は、いずれもイエロー(Y)の画像形成ステーションの像担持体11、帯電手段12、像書込手段13、現像手段14及び像担持体クリーナ17にそれぞれ付し、他の色M、C、Kの画像形成ステーションの各帯電手段、各像書込手段、各現像手段、および各除電手段にこれらの符号を付すことは省略する。
【0015】
各色Y、M、C、Kの画像形成ステーションの像担持体11は、いずれも、中間転写ベルト21に当接するようにして配置され、中間転写ベルト21の移動を規制するフランジが両端に設けられている。その結果、中間転写ベルト21と同様に、各色Y、M、C、Kの画像形成ステーションも駆動ローラ22側からK、C、M、Yの順に図1(a)で配設されるようになる。各像担持体11は、図1(a)に矢印で示すように時計回りに回転駆動される。帯電手段12は、高電圧発生源に接続された導電性ローラで構成され、像担持体11に当接回転して像担持体11の表面を一様に帯電させる。像書込手段13には、LED発光素子を像担持体11の軸方向に列状に配列したLEDアレイ露光ヘッド(ラインヘッド)が用いられている。LEDアレイ露光ヘッドは、レーザー走査光学系よりも光路長が短くてコンパクトであるため、像担持体11に対して近接配置が可能であり、装置本体を小型化できるという利点を有している。
【0016】
次に、現像手段14は、トナー供給ローラ15と、トナー供給ローラ15からトナーを供給され、像担持体11に顕像を形成する現像ローラ16とを有する。像担持体11は中間転写ベルト21の反時計回りの回転方向と逆の時計回りに回転され、現像ローラ16は、図1(a)に矢印で示すように像担持体11の回転方向と逆方向に回転駆動される。トナー供給ローラ15はどちらに回転してもよい。トナーは、トナー供給ローラ15に供給され、供給されたトナーはトナー供給ローラ15の表面凹凸部への機械的付着力と摩擦帯電力による付着力とによって、現像ローラ16の表面に供給される。現像ローラ16に供給されたトナーは像担持体11へと搬送されて現像ローラ16と像担持体11が接触して構成するニップ部およびその近傍で像担持体11の潜像部を現像する。
【0017】
像担持体クリーナ17は、一次転写部(一次転写部材21が像担持体11に当接して像担持体11のトナー像の一次転写が行われる部位)と帯電ローラ12との間に配置されている。この像担持体クリーナ17は像担持体11を帯電する前に像担持体11をクリーニングするようになっている。
【0018】
中間転写ベルトユニット20は、ハウジング本体2の下方に配設された図示しない駆動源により回転駆動される駆動ローラ(本発明の中間転写ベルト駆動部材に相当)22と、従動ローラ23と、これらの駆動ローラ22と従動ローラ23との間に張架されて図1(a)に示す矢印方向つまり図1(a)において反時計方向に回転駆動される中間転写ベルト21と、ベルトにテンションを与えるテンションローラ24と、中間転写ベルト21の表面に当接され、二次転写後に中間転写ベルト21上に残るトナーをクリーニングする中間転写ベルトクリーニングブレード25と、印刷位置を検出するためのレジストセンサ26とを備えている。そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の像担持体11が中間転写ベルト21に接触して各像担持体11からトナー像が一次転写(中間転写)される。
【0019】
中間転写ベルト21の好適な素材としては、PC樹脂、PET樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等があり、当然のことながら、導電性や剛性等、または表面粗度、摩擦係数等を所望の特性に設定する目的で、対応する添加剤などを添加することもよい。また、剛性に関しては、厚さの設定によって所望の剛性に設定することもできる。また、中間転写ベルト21は、カラーモード時に図1(a)における中間転写ベルト21の一端であるフロント側のベルトテンションが中間転写ベルト21の他端であるリヤ側のベルトテンションより大きく設定されており、ベルトはリヤ側に寄っている。駆動ローラ22は、中間転写ベルト21を圧接する二次転写ローラ51のバックアップローラを兼ねている。また、従動ローラ23は中間転写ベルトクリーニングブレード25のバックアップローラとして兼用されている。少なくとも駆動ローラ22、従動ローラ23、第一サポートローラ32、第二サポートローラ33、テンションローラ24の一つは、図示しないフランジを有し、中間転写ベルト21の寄りを規制している。
【0020】
モード変換ユニット30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各一次転写バックアップローラ31(31Y,31M,31C,31K)、第一サポートローラ32、第二サポートローラ33等を有し、中間転写ベルト21と像担持体11とをカラーモード、モノクロモード又はカートリッジ交換モードの各モードにおいて接触又は非接触に制御するものである。詳細は後述する。
【0021】
二次転写ユニット50は、駆動ローラ22と共に中間転写ベルト21と記録媒体Pとを圧接し、記録媒体Pに二次転写する二次転写ローラ51を有する。給紙ユニット60は、紙等の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット61と、この給紙カセット61から記録媒体Pを1枚ずつ給送する給紙ローラ62とからなる給紙部とを備えている。更に、定着ユニット70は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ71と、この加熱ローラ71を押圧付勢する加圧ローラ72とを備えている。そして、記録媒体Pに二次転写されたカラー画像が、この定着ユニット70の加熱ローラ71と加圧ローラ72で形成するニップ部において所定の温度で記録媒体Pに定着される。
【0022】
次に、本実施形態の画像形成装置におけるモード変換ユニット30の第1例について説明する。図1(b)は、図1(a)に示したカラーモードにおける画像形成装置の中間転写ユニット20、モード変換ユニット30及び像担持体11との状態を示す図である。図中、20は中間転写ベルトユニット、21は中間転写ベルト、22は駆動ローラ、23は従動ローラ、30はモード変換ユニット、31(31Y,31M,31C,31K)は中間転写ベルト当接ローラの一例である一次転写バックアップローラ、32は中間転写ベルト当接ローラの一例である第一サポートローラ、33は中間転写ベルト当接ローラの一例である第二サポートローラ、34(34Y,34M,34C,34K)は一次転写バックアップローラ用板カム、35は第一サポートローラ用板カム、36は第二サポートローラ用板カム、37(37Y,37M,37C,37K)は一次転写バックアップローラ用圧縮バネ、38は第一サポートローラ用圧縮バネ、39は第二サポートローラ用圧縮バネである。
【0023】
一次転写バックアップローラ31は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のカラー用一次転写バックアップローラ31Y,31C,31M及びブラック(K)用一次転写バックアップローラ31Kを有し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各画像形成ステーションの各色像担持体11と対向して中間転写ベルト21の内側に配設され、一次転写バックアップローラ用圧縮バネ37により中間転写ベルト21を外側に付勢している。
【0024】
第一サポートローラ32は、従動ローラ23とイエロー(Y)の一次転写バックアップローラ31Yとの間で中間転写ベルト21の内側に配設され、第一サポートローラ用圧縮バネ38により中間転写ベルト21を外側に付勢している。第二サポートローラ33は、ブラック(K)の一次転写バックアップローラ31Kと駆動ローラ22との間で中間転写ベルト21の内側に配設され、第二サポートローラ用圧縮バネ39により中間転写ベルト21を外側に付勢している。第一及び第二サポートローラ32,33はアルミ等の金属製でストレート形状、若しくはテーパー形状のものである。
【0025】
一次転写バックアップローラ用板カム34は、紙面フロント側及びリヤ側の2つ有し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各一次転写バックアップローラ用板カム34Y,34M,34C,34Kを、全て独立に又はブラック(K)の一次転写バックアップローラ用板カム34Kのみ独立でイエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の一次転写バックアップローラ用板カム34Y,34M,34Cを一組として、図示しない駆動源により紙面左右方向に移動可能である。一次転写バックアップローラ用板カム34を移動させることにより、一次転写バックアップローラ31を一次転写バックアップローラ用圧縮バネ37による付勢力に抗して内側に移動させることができる。
【0026】
第一サポートローラ用板カム35は、紙面フロント側及びリヤ側の2つ有し、独立に又はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ用板カム34Y,34M,34Cと共に、図示しない駆動源により紙面左右方向に移動可能である。第一サポートローラ用板カム35を移動させることにより、第一サポートローラ32を第一サポートローラ用圧縮バネ38による付勢力に抗して内側に移動させることができる。
【0027】
第二サポートローラ用板カム36は、紙面フロント側及びリヤ側の2つ有し、独立に又はブラック(K)の一次転写バックアップローラ用板カム34Kと一緒に、図示しない駆動源により紙面左右方向に移動可能である。第二サポートローラ用板カム36を移動させることにより、第二サポートローラ33を第二サポートローラ用圧縮バネ39による付勢力に抗して内側に移動させることができる。
【0028】
次に、各モードでの像担持体11,中間転写ユニット20及び第1例のモード変換ユニット30の状態を説明する。図1(a)は、画像形成装置のカラーモードの状態を示す図、図1(b)は、カラーモードの像担持体11、中間転写ユニット20及び第1例のモード変換ユニット30の状態を示す図を示す。図1(a)及び図1(b)における画像形成装置のカラーモードでは、一次転写バックアップローラ用板カム34、第一サポートローラ用板カム35及び第二サポートローラ用板カム36は作動しておらず、一次転写バックアップローラ31、第一サポートローラ32及び第二サポートローラ33はすべて一次転写バックアップローラ用圧縮バネ37、第一サポートローラ用圧縮バネ38及び第二サポートローラ用圧縮バネ39により、各色像担持体11方向に中間転写ベルト21を押圧するように付勢されている。
【0029】
図2(a)は、画像形成装置のモノクロモードの状態を示す図、図2(b)は、モノクロモードの像担持体11、中間転写ユニット20及び第1例のモード変換ユニット30の状態を示す図である。モノクロモードは、中間転写ベルト21をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の像担持体11Y,11M,1Cと非接触とし、ブラック(K)の像担持体11Kのみと接触してトナー像を一次転写(中間転写)するもので、モノクロ画像を印刷する場合に適用するモードである。この場合、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ用板カム34Y,34M,34Cは、中間転写ベルト21がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各像担持体11Y,11M,11Cと離間するように紙面左方向に移動され、第一サポートローラ用板カム35も第一サポートローラ32が中間転写ベルト21を押圧しない方向に移動される。ブラック(K)の一次転写バックアップローラ用板カム34K及び第二サポートローラ用板カム36は、カラーモードと同様に作動しない。
【0030】
これにより、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31Cは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ用圧縮バネ37Y,37M,37Cの付勢力に抗して各像担持体11から離間し、第一サポートローラ32は中間転写ベルト21を押圧しない方向に移動される。また、ブラック(K)の一次転写バックアップローラ31Kは、ブラック(K)の一次転写バックアップローラ用圧縮バネ37Kの付勢力によりブラック(K)の像担持体11Kと接触し、第二サポートローラ33は、第二サポートローラ用圧縮バネ39の付勢力により中間転写ベルト21を押圧する。
【0031】
図3(a)は、画像形成装置のカートリッジ交換モードの状態を示す図、図3(b)は、カートリッジ交換モードの像担持体11,中間転写ユニット20及び第1例のモード変換ユニット30の状態を示す図である。カートリッジ交換モードとは、中間転写ベルト21をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各像担持体11と非接触とするもので、印字をせず、カートリッジを交換する際等に適用するモードである。
【0032】
この場合、一次転写バックアップローラ用板カム34、第一サポートローラ用板カム35及び第二サポートローラ用板カム36は、中間転写ベルト21がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のすべての像担持体11と離間するように移動され、一次転写バックアップローラ31、第一サポートローラ32及び第二サポートローラ33は、一次転写バックアップローラ用圧縮バネ37、第一サポートローラ用圧縮バネ38及び第二サポートローラ用圧縮バネ39の付勢力に抗して各像担持体11から離間する。
【0033】
次に第二例のモード変換ユニット130について説明する。図4(a)は像担持体11、中間転写ユニット20及び第二例のモード変換ユニット130のカラーモード状態図、図4(b)は第二例のモード変換ユニット130の平面図であり、図4(a)の紙面フロント側が図4(b)の下側に対応する。図中、131は中間転写ベルト当接ローラの一例である一次転写バックアップローラ、132は中間転写ベルト当接ローラの一例である第一サポートローラ、133はカラー用当離接レバー、134はカラー用支点軸、135はカラー用当離接カム、136はカラー用引張バネ、137はブラック用当離接レバー、138はブラック用支点軸、139はブラック用当離接カム、140はブラック用引張バネ、141はカム軸、142は駆動源を示す。
【0034】
第二例のモード変換ユニット130は、一次転写バックアップローラ131、第一サポートローラ132、カラー用当離接レバー133、カラー用当離接レバー支点軸134、カラー用当離接カム135、カラー用引張バネ136,ブラック用当離接レバー137、ブラック用当離接レバー支点軸138、ブラック用当離接カム139、ブラック用引張バネ140、カム軸141、駆動源142を有し、中間転写ベルト21と像担持体11とをカラーモード、モノクロモード又はカートリッジ交換モードの各モードにおいて接触又は非接触に制御するものである。
【0035】
一次転写バックアップローラ131は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各画像形成ステーションの各色像担持体11と対向して中間転写ベルト21の内側に配設され、第一サポートローラ132は、従動ローラ23とイエロー像担持体11Yに対向する一次転写バックアップローラ131との間で中間転写ベルト21の内側に配設され、どちらもカラー用当離接レバー133により両端を支持されている。
【0036】
カラー用当離接レバー133は、図4(b)の下側の第一カラー用当離接レバー133aと、図4(b)の上側の第二カラー用当離接レバー133bとからなる。第一カラー用当離接レバー133a及び第二カラー用当離接レバー133bは、それぞれ第一カラー用当離接レバー支点軸134a及び第二カラー用当離接レバー支点軸134bにより回動自在に支持され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の像担持体11Y,11M,11Cと対向するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ131Y,131M,131C及び第一サポートローラ132により連結支持され、第一カラー用引張バネ136a及び第二カラー用引張バネ136bにより常にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の像担持体11Y,11M,11Cから離れる方向に付勢されている。
【0037】
カラー用当離接カム135は、図4(b)の下側の第一カラー用当離接カム135aと、図4(b)の上側の第二カラー用当離接カム135bとからなる。第一カラー用当離接カム135aと第二カラー用当離接カム135bとはカム軸141により連結されている。カム軸141は、駆動源142に連結され、駆動される。
【0038】
ブラック用当離接レバー137は、図4(b)の下側の第一ブラック用当離接レバー137aと、図4(b)の上側の第二ブラック用当離接レバー37bとからなる。第一ブラック用当離接レバー137a及び第二ブラック用当離接レバー137bは、それぞれ一端を第一ブラック用当離接レバー支点軸138a及び第二ブラック用当離接レバー支点軸138bにより回動自在に支持され、他端をブラック(K)の像担持体11Kと対向するブラック(K)の一次転写バックアップローラ131Kにより連結支持され、第一ブラック用引張バネ140a及び第二ブラック用引張バネ140bにより常にブラック(K)の像担持体11Kから離れる方向に付勢されている。
【0039】
ブラック用当離接カム139は、図4(b)の下側の第一ブラック用当離接カム139aと、図4(b)の上側の第二ブラック用当離接カム139bとからなる。第一ブラック用当離接カム139aと第二ブラック用当離接カム139bとはカム軸141により連結されている。カム軸141は、駆動源142に連結され、駆動される。
【0040】
図4に示すカラーモードは、カラー画像を印刷する場合に適用するモードである。カラーモードでは、カラー用当離接カム135は、中間転写ベルト21がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各像担持体11Y,11M,11Cと接触する方向にカラー用当離接レバー133を介してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ131Y,131M,131C及び第一サポートローラ132を押圧し、ブラック用当離接カム139は、中間転写ベルト21がブラック(K)の像担持体11Kと接触する方向にブラック用当離接レバー137を介してブラック(K)の一次転写バックアップローラ131Kを押圧する。
【0041】
図5は、像担持体11、中間転写ユニット20及び第二例のモード変換ユニット130のモノクロモード状態を示す図である。モノクロモードは、中間転写ベルト21をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の像担持体11Y,11M,11Cと非接触とし、ブラック(K)の像担持体11Kのみ接触してトナー像を一次転写(中間転写)するもので、モノクロ画像を印刷する場合に適用するモードである。この場合、カラー用当離接カム135は、中間転写ベルト21がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各像担持体11Y,11M,11Cと離間するように駆動源142により回動され、カラー用当離接カム135の押圧力が無くなったカラー用当離接レバー133はカラー用引張バネ136の付勢力によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ131Y,131M,131C及び第一サポートローラ132をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の像担持体11Y,11M,11Cから離間する方向に移動する。ブラック用当離接カム139は、中間転写ベルト21がブラック(K)の像担持体11Kと接触する方向に、ブラック用当離接レバー137を介してブラック(K)の一次転写バックアップローラ131Kを押圧する。
【0042】
図6は、像担持体11、中間転写ユニット20及び第二例のモード変換ユニット130のカートリッジ交換モード状態を示す図である。を示す。カートリッジ交換モードとは、中間転写ベルト21をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のすべての像担持体11と非接触とするもので、印字をせず、カートリッジを交換する際に適用するモードである。この場合、カラー用当離接カム135及びブラック用当離接カム139は、中間転写ベルト21がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各像担持体11と離間するように駆動源142により回動され、カラー用当離接カム135及びブラック用当離接カム139の押圧力が無くなったカラー用当離接レバー133及びブラック用当離接レバー137はカラー用引張バネ136及びブラック用引張バネ140の付勢力により各像担持体11から離間する方向に移動し、それに伴って一次転写バックアップローラ131及び第一サポートローラ132を各像担持体11から離間する方向に移動する。
【0043】
なお、第二例で図示しない第二サポートローラをブラック用当離接レバー137で支持し、ブラック(K)の一次転写バックアップローラ131Kと駆動ローラ22との間に配設してもよい。
【0044】
次に、中間転写ベルト21の寄り方向制御構造について説明する。図7及び図8は、第1例のモード変換ユニット30を利用した中間転写ベルト21寄り方向制御構造を示す図である。図7及び図8は図1乃至図3で示した板カムのうち、一次転写バックアップローラ用板カム34、第一サポートローラ用板カム35及び第一サポートローラ用板カム36が第一面及び第二面を有し、板カムが作動していない状態と合わせて三段階の高さで調整できる構造としたものである。図中、341aはフロント側一次転写バックアップローラ用板カム第一面、341bはリヤ側一次転写バックアップローラ用板カム第一面、342aはフロント側一次転写バックアップローラ用板カム第二面、342bはリヤ側一次転写バックアップローラ用板カム第二面、351aはフロント側第一サポートローラ用板カム第一面、351bはリヤ側第一サポートローラ用板カム第一面、352aはフロント側第一サポートローラ用板カム第二面、352bはリヤ側第一サポートローラ用板カム第二面、361aはフロント側第二サポートローラ用板カム第一面、361bはリヤ側第二サポートローラ用板カム第一面、362aはフロント側第二サポートローラ用板カム第二面、362bはリヤ側第二サポートローラ用板カム第二面を示す。カラーモードの場合、各板カム341,342,351,352,361,362は作動せず、中間転写ベルト21はフロント側に寄るような構造となっている。
【0045】
まず、第1段階のカラーモードでは、リヤ側のベルトテンションがフロント側のベルトテンションより大きく設定されており、ベルトはフロント側に寄っている。図7は、このカラーモードからモノクロモードに変更する際の第2段階の状態を示す図、図7(a)はそのリヤ側、図7(b)はそのフロント側の状態を示す図、図7(c)は、その平面図である。モノクロモードでは、中間転写ベルト21をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の像担持体11Y,11M,11Cと非接触とし、ブラック(K)の像担持体11Kのみ接触してトナー像を一次転写(中間転写)するもので、モノクロ画像を印刷する場合に適用するモードである。
【0046】
この場合、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ用板カム34Y,34M,34Cは、中間転写ベルト21がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各像担持体11Y,11M,11Cと離間するように移動され、第一サポートローラ用板カム35も中間転写ベルト21を押圧しない方向に移動される。この第1例ではカラーモードからモノクロモードに変更する際に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31C及び第一サポートローラ32のリヤ側を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のリヤ側一次転写バックアップローラ用板カム第二面342bY,342bM,342bC及びリヤ側第一サポートローラ用板カム第二面352bに乗り上げ、フロント側を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)のフロント側一次転写バックアップローラ用板カム第一面341aY,341aM,341aC及びフロント側第一サポートローラ用板カム第1面351aにそれぞれ乗り上げることにより、第一サポートローラ32及びイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31Cが、像担持体11Y,11M,11Cと離間する方向に移動する。この時、第一サポートローラ32及びイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31Cは、リヤ側の方が高くなるように傾くので、中間転写ベルト21のテンションはフロント側の方が高くなり、中間転写ベルト21はリヤ側に寄る。
【0047】
図8は、モノクロモードの第3段階の状態を示す図、図8(a)はそのリヤ側、図8(b)はそのフロント側の状態を示す図、図8(c)は、その平面図である。この段階では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31C及び第一サポートローラ32は、フロント側リヤ側共に一次転写バックアップローラ用板カム第一面341Y,341M,341C及び第一サポートローラ用板カム第1面351にそれぞれ乗り上げている。この段階では、中間転写ベルト21がリヤ側に寄っている状態とする。
【0048】
なお、モノクロモードの第3段階の他の例として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31C及び第一サポートローラ32を、フロント側リヤ側共に一次転写バックアップローラ用板カム第二面342Y,342M,342C及び第一サポートローラ用板カム第二面352にそれぞれ乗り上げる構造としてもよい。この時、中間転写ベルト21はリヤ側に寄っている状態とする。また、この例の場合の第一サポートローラ32及びイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31Cがフロント側リヤ側共に一次転写バックアップローラ用板カム第一面341Y、341M、341C及び第一サポートローラ用板カム第1面351にそれぞれ乗り上げている状態では、中間転写ベルト21のテンションはフロントが高くなり、中間転写ベルト21はリヤ側に寄る。
【0049】
このように中間転写ベルト21の寄り方向を切り替えることで、特殊な機構を用いることなく中間転写ベルト21の摩耗の偏りを調整できるので、小型で安価な高寿命画像形成装置とすることができる。
【0050】
次に、第2例のモード変換ユニット130を利用した中間転写ベルト21の寄り方向制御構造について説明する。図9は、第2例のモード変換ユニット130のモノクロモードの状態を示す図である。このモノクロモードでは、紙面フロント側第一カラー用当離接カム135aと紙面リヤ側第二カラー用当離接カム135bの高さを異ならせることで、紙面リヤ側第二カラー用当離接レバー133bの高さを紙面フロント側第一カラー用当離接レバー133aより高くして、ベルトテンションをフロント側の方が大きくなるようにし、中間転写ベルト21をリヤ側に寄せるようにする。
【0051】
すなわち、図4(a)のようなカラーモードでは、リヤ側のベルトテンションがフロント側のベルトテンションより大きく設定されており、ベルトはフロント側に寄っているが、モノクロモードでは、中間転写ベルト21をリヤ側に寄せるようにする。このように中間転写ベルト21の寄り方向を切り替えることで、特殊な機構を用いることなく中間転写ベルト21の摩耗の偏りを調整できるので、小型で安価な高寿命画像形成装置とすることができる。
【0052】
次に、寄り方向制御構造の第3例として、図10及び図11に示す中間転写ベルト当接ローラの一例である斜毛クリーニングブラシローラ27を利用した中間転写ベルト21の寄り方向制御構造を説明する。図10は、斜毛クリーニングブラシローラ27の構造、図11は、本実施形態の画像形成装置に斜毛クリーニングブラシローラ27を適用した図を示す。通常、中間転写ベルト21上に残ったトナー等は中間転写ベルトクリーニングブレード25等でクリーニングされる。しかし、画像形成装置が紙詰まり等を生じた場合、中間転写ベルト21上に大量のトナーが残存する。その場合でも中間転写ベルトクリーニングブレード25により残存トナーを除去できるようにブレード当接条件を設定すると、ブレードの寿命を縮めてしまうので、クリーニングブラシを適用する技術がある。本実施例はこのクリーニングブラシを利用した中間転写ベルト21の寄り方向制御構造である。
【0053】
図10(a)は斜視図、図10(b)は断面図である。図10に示すように、斜毛クリーニングブラシローラ27は、ローラ27aの外周に外側に向けて毛27bを植え付けた構造であり、毛27bにより中間転写ベルト21上に残余したトナーを除去する機能を有すると共に、該毛27bを斜めに植え付けることで中間転写ベルト21を片側に寄せることができるようにしたものである。
【0054】
図11(a)及び図11(b)は、本実施形態の中間転写ベルトユニット20の中間転写ベルトクリーニングブレード25の支持手段に回動自在に支持し、中間転写ベルト21に当離接できるようにした斜毛クリーニングブラシローラ27を適用した図である。図11(a)は、カラーモードにおいて斜毛クリーニングブラシローラ27が中間転写ベルト21を従動ローラ23に押し付けている状態を示している。この状態で斜毛クリーニングブラシローラ27により中間転写ベルト21は紙面フロント側に寄るようにあらかじめ毛の向きを設定しておく。そして、斜毛クリーニングブラシローラ27が押し付けられることにより、カラーモードでは中間転写ベルト21は紙面フロント側に寄る。図11(b)は、モノクロモードにおいて斜毛クリーニングブラシローラ27が従動ローラ23から離れている状態を示している。ブラック(K)の一次転写バックアップローラ31Kにはあらかじめ中間転写ベルト21が紙面リヤ側に寄るようなテンションがかかるようにしてある。そのテンションは斜毛クリーニングブラシローラ27による寄り力並びにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31C及び第一サポートローラ32によるテンションより小さいものである。そして、中間転写ベルト21には、斜毛クリーニングブラシローラ27が従動ローラ23から離れ、斜毛クリーニングブラシローラ27によるテンションが無くなり、ブラック(K)の一次転写バックアップローラ31Kによるテンションのみがかかるようになるので、モノクロモードでは中間転写ベルト21は紙面リヤ側に寄る。
【0055】
このようにクリーニングブラシを斜毛構造とすることで、特殊な機構を用いることなく中間転写ベルト21の摩耗の偏りを調整できるので、小型で安価な高寿命画像形成装置とすることができる。
【0056】
なお、斜毛クリーニングブラシローラ27は、第3例では、中間転写ベルトクリーニングブレード25に回動自在に支持されていたが、中間転写ベルト21に当離接できる構造であれば他の構造であってもよい。また、斜毛の向きは中間転写ベルト21がどちらに移動するように設けても良い。
【0057】
これら中間転写ベルト21の寄り方向制御構造としては、斜毛クリーニングブラシローラ27やモード変換ユニット30を使用する他に、新たに張架ローラを設け、該張架ローラの姿勢を変更することで中間転写ベルト21の寄り方向を切り換えても良い。
【0058】
なお、第1例及び第2例の中間転写ベルト21の寄り方向制御構造において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31Cのみ又はサポートローラ32,33,132のみの姿勢を変更することで中間転写ベルト21の寄り方向を切り換えても良い。
【0059】
また、第1例及び第2例の中間転写ベルト21の寄り方向制御構造において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ31Y,31M,31C又はサポートローラ32,33,132等の張架ローラもしくは新たな張架ローラの姿勢を変更する際は、少なくともフロント側リヤ側の2つの寄り規制位置及び1つの切換ポジション若しくはフロント側リヤ側の2つの寄り規制位置及び複数の切換ポジションを有し、切換速度の変更等のより細かい制御が可能となるようにしてもよい。
【0060】
次に、中間転写ベルト21寄り方向制御を説明する。図12は、中間転写ベルト21の寄り方向を変更する際の時間と主走査位置との関係を示す図である。時間はカム又はローラ等が移動し始めた時点を0とし、主走査位置は中間転写ベルト21が片方に寄っている状態を0とし、反対の側に寄った状態、すなわち移動距離を0.2mmとした。
【0061】
この間の移動を高速で実行した場合、カム又はローラ等移動開始から約5秒後に中間転写ベルト21の移動が開始され、その後約10秒後、カム又はローラ等移動開始から約15秒後で移動を終了する。この場合、移動所用時間は少なくて済むが、中間転写ベルト21がフランジと接触する時の中間転写ベルト21へのストレスが大きく、寿命が短くなる。
【0062】
この間の移動を低速で実行した場合、カム又はローラ等移動開始から約5秒後に中間転写ベルト21の移動が開始され、その後約40秒後、カム又はローラ等移動開始から約45秒後で移動を終了する。この場合、中間転写ベルト21がフランジと接触する時の中間転写ベルト21の負荷は小さいが、移動所用時間が大きくなる。
【0063】
本実施形態では、移動開始後は高速で移動させ、その後、フランジと接触する前に移動速度を経時的に減少させるように制御する。ここでは、図7及び図8で示した第1例のモード変換ユニット30を利用した中間転写ベルト21寄り方向制御構造における場合について説明する。まず、第1段階のカラーモードから図7の第2段階のモノクロモードへ変換する際、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ用板カム34Y,34M,34C及び第一サポートローラ用板カム35を瞬時に移動させ、中間転写ベルト21を移動させる。その後、主走査位置又は時間等を計測することにより中間転写ベルト21の寄りが終了する前にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の一次転写バックアップローラ用板カム34Y,34M,34C及び第一サポートローラ用板カム35を徐々に図8の第3段階の状態へ移動させる。
【0064】
このように制御することで、カム又はローラ等移動開始から約5秒後に中間転写ベルト21の移動が開始され、その後約17秒後、カム又はローラ等移動開始から約22秒後で移動を終了する。そして、主走査位置0.2mmに到達する直前の傾きが緩やかとなっている。したがって、移動所用時間は少なく、中間転写ベルト21がフランジと接触する時の中間転写ベルト21の負荷は小さいので、生産性の減少を最小限に留めつつ、中間転写ベルト21を高寿命にすることができる。なお、この制御は、カムの形状や移動速度、斜毛クリーニングブラシローラ27等のローラの押圧力等を制御することで実行することができる。
【0065】
次に、中間転写ベルト21寄り方向制御中の画像形成について説明する。本実施形態では、中間転写ベルト21寄り方向制御中、中間転写ベルト21が主走査方向(幅方向)に移動し、像担持体11と中間転写ベルト21との位置がずれるので、一次転写の画像形成時に色ずれが生じる。これを補正するために、レジストマークを形成しそれをセンサで読み取ることで、中間転写ベルト21の移動を予めプロファイルし、そのプロファイルに基づいて露光制御することで解決する。以下、その制御方法を説明する。
【0066】
中間転写ベルト21のプロファイルを作成するには、予めレジスト調整をしておく。その後、中間転写ベルト21上に主走査方向と副走査方向とを読み取れるように等間隔な斜線でレジストマークを形成する。次に、このレジストマークをレジストセンサ26により読み取り、中間転写ベルト21の動きを読み取ることで複数のプロファイルデータを形成する。なお、プロファイルデータは中間転写ベルト21の寄り方向制御中の画像形成時における紙間にレジストマークを形成し、レジストセンサで読み取ることで、修正しても良い。
【0067】
図13は、本実施形態における中間転写ベルト21の寄り方向制御中の主走査方向移動プロファイルの一例を示す。この例では第1のモードである高速移動モードと、第2のモードである低速移動モードの2種類をプロファイルしたが、2種類以上プロファイルしてもよい。図中、実線で示したグラフが高速移動モード、点線で示したグラフが低速移動モードである。高速移動モードのベルト移動時間をt1、低速移動モードのベルト移動時間をt2とする。このようにプロファイルすることにより、中間転写ベルト21の寄り方向制御中の主走査方向移動にあわせて露光制御する。
【0068】
これにより、中間転写ベルト21の寄り方向制御中の印字において、画質を優先するモード、速度を優先するモード又は強制的に印字するモード等を設定することができる。例えば、カラーモードからモノクロモードに切り換える際に画質より速度を優先する場合、中間転写ベルト21の移動を低速移動モードにして、寄り方向制御中に印字するように制御をし、モノクロモードからカラーモードに切り換える際に速度より画質を優先する場合、中間転写ベルト21の移動中の印字を避け、中間転写ベルト21の移動を高速移動モードにして、切り換え終了後に印字を開始するように制御することができる。
【0069】
次に、図14のフローチャートを用いて、中間転写ベルト21寄り方向制御中の画像形成において、画像サイズによってプロファイルを切り替える制御を説明する。まず、ステップ1で、1ジョブの画像サイズを検知する(S1)。1ジョブの画像サイズとは、図15で示すように、画像と紙間を加えたサイズである。次に、ステップ2で、この1ジョブの画像サイズが規定サイズ1より小さいかどうかを判断する(S2)。規定サイズ1とは図13における第1のモードである高速移動モードのベルト移動時間t1*副走査方向ベルト搬送速度Vtbで求められる。1ジョブの画像サイズが規定サイズ1より小さい場合、ステップ3で、第1のモードである高速移動モードの中間転写ベルト21寄り方向制御を開始する(S3)。そして、それと同時にステップ4で、画像形成作業を開始する(S4)。すなわち、第1のモードである高速移動モードの中間転写ベルト21寄り方向制御中も画像形成することができる。
【0070】
ステップ2で、1ジョブの画像サイズと規定サイズ1とを比較して1ジョブの画像サイズが規定サイズ1より大きい場合、ステップ5で、1ジョブの画像サイズが規定サイズ2より小さいかどうかを判断する(S5)。規定サイズ2とは図20における第2のモードである低速移動モードのベルト移動時間t2*副走査方向ベルト搬送速度Vtbで求められる。1ジョブの画像サイズが規定サイズ2より小さい場合、ステップ6で、第2のモードである低速移動モードの中間転写ベルト21の寄り方向制御を開始する(S6)。そして、それと同時にステップ4で、画像形成作業を開始する(S4)。すなわち、第2のモードである低速移動モードの中間転写ベルト21寄り方向制御中も画像形成することができる。
【0071】
ステップ5で、1ジョブの画像サイズと規定サイズ1とを比較して、1ジョブの画像サイズが規定サイズ2より大きい場合、ステップ7で、第1のモードである高速移動モードの中間転写ベルト21の寄り方向制御を開始する(S7)。次に、ステップ8で、規定の時間t2を経過したかどうかを判断する(S8)。規定の時間t2を経過した場合、ステップ4で、画像形成作業を開始する(S4)。規定の時間t2を経過していない場合、ステップ7で、第1のモードである高速移動モードの中間転写ベルト21の寄り方向制御を開始する(S7)。ずなわち、1ジョブの画像サイズが規定サイズ2より大きい場合には、中間転写ベルト21寄り方向制御中に画像形成はせず、まず第1のモードである高速移動モードの中間転写ベルト21の寄り方向制御を実行し、該寄り方向制御が終了した後、画像形成を開始する。
【0072】
このように制御することで、1ジョブの画像サイズにあわせて中間転写ベルト21の寄り方向制御時の片寄り速度を変更するので、画像形成中に中間転写ベルト21がフランジに衝突することがなくなり、画像が乱れることがなくなる。
【0073】
また、本実施形態では、カラーモードとモノクロモードとで中間転写ベルト21の寄り方向を切り換えたが、モードに関係なく駆動ローラや従動ローラ以外のサポートローラ等の他のローラの姿勢を変更することで中間転写ベルト21の寄り方向を切り換えても良い。
【0074】
なお、本実施形態では、中間転写方式タンデム型の画像形成装置について説明したが、これに限らず、紙搬送ベルトを用いた感光体からの直接転写方式タンデム型の画像形成装置等に適用しても同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】カラーモードにおける画像形成装置の第1例を示す図
【図2】モノクロモードにおける画像形成装置の第1例を示す図
【図3】カートリッジ交換モードにおける画像形成装置の第1例を示す図
【図4】カラーモードにおけるモード変換ユニットの第2例を示す図
【図5】モノクロモードにおけるモード変換ユニットの第2例を示す図
【図6】カートリッジ交換モードにおけるモード変換ユニットの第2例を示す図
【図7】寄り方向制御の第1例を示す図
【図8】寄り方向制御の第1例を示す図
【図9】寄り方向制御の第2例を示す図
【図10】寄り方向制御の第3例を示す図
【図11】寄り方向制御の第3例を示す図
【図12】寄り方向を変更する際の時間と主走査位置との関係を示す図
【図13】寄り方向制御中の主走査方向移動プロファイルの一例を示す図
【図14】寄り方向制御中のフローチャートの一例を示す図
【図15】1ジョブの画像サイズを示す図
【符号の説明】
【0076】
1…画像形成装置、2…ハウジング本体、10…画像形成ユニット、11…像担持体、12…帯電手段、13…露光手段、14…現像手段、15…トナー供給ローラ、16…現像ローラ、17…像担持体クリーナ、20…中間転写ベルトユニット、21…中間転写ベルト、22…駆動ローラ、23…従動ローラ、24…テンションローラ、25…中間転写ベルトクリーニングブレード、26…レジストセンサ、27…斜毛クリーニングブラシローラ、30…モード変換ユニット、31…一次転写バックアップローラ(中間転写ベルト当接ローラ)、32…第一サポートローラ(中間転写ベルト当接ローラ)、33は第二サポートローラ(中間転写ベルト当接ローラ)、34…一次転写バックアップローラ用板カム、35…第一サポートローラ用板カム、36…第二サポートローラ用板カム、37…一次転写バックアップローラ用圧縮バネ、38…第一サポートローラ用圧縮バネ、39…第二サポートローラ用圧縮バネ、50…二次転写ユニット、51…二次転写ローラ、60…給紙ユニット、61…給紙カセット、62…給紙ローラ、70…定着ユニット、71…加熱ローラ、72…加圧ローラ、80…記録媒体搬送手段、131…一次転写バックアップローラ(中間転写ベルト当接ローラ)、132…第一サポートローラ(中間転写ベルト当接ローラ)、133…カラー用当離接レバー、134…カラー用当離接レバー支点軸、135…カラー用当離接カム、136…カラー用引張バネ、137…ブラック用当離接レバー、138…ブラック用支点軸、139…ブラック用当離接カム、140…ブラック用引張バネ、141…カム軸、142…駆動源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラ及び従動ローラに張架される中間転写ベルトが、幅方向の一端と他端とで張力差を設けることで前記駆動ローラ及び前記従動ローラの一端又は他端のどちらか一方に寄っているタンデム型カラー画像形成装置において、前記駆動ローラ及び前記従動ローラ以外の中間転写ベルト当接ローラの姿勢を変更することで、カラーモードとモノクロモードとを切り換えると共に、中間転写ベルトの寄り方向を切り換えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写ベルトの内側に像担持体と対向して配設されたカラー用一次転写バックアップローラと、モノクロ用一次転写バックアップローラとを有し、前記カラー用一次転写バックアップローラ及び前記モノクロ用一次転写バックアップローラを、前記中間転写ベルトを介して像担持体に押圧するカラーモードと、前記モノクロ用一次転写バックアップローラのみを前記中間転写ベルトを介して像担持体に押圧するモノクロモードとを切り換えることで、中間転写ベルトの寄り方向を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記中間転写ベルトに内側から当接するサポートローラを有し、前記カラーモードと、前記モノクロモードとで前記サポートローラの姿勢を切り換えることで、前記中間転写ベルトの寄り方向を切り換えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記中間転写ベルトに外側から当接する斜毛クリーニングブラシローラを有し、前記カラーモードと、前記モノクロモードとで前記斜毛クリーニングブラシローラの姿勢を切り換えることで、前記中間転写ベルトの寄り方向を切り換えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−178864(P2007−178864A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−379240(P2005−379240)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】