説明

画像形成装置

【課題】 大きなトルクが必要な中間転写ベルトを低コスト又は省スペースなDCモータにより駆動しつつ、転写中抜け等の画像不良を抑制する。
【解決手段】 感光ドラム11と、感光ドラム11に当接し、感光ドラム11上の画像をシートに転写するための中間転写ベルト31と、感光ドラム11を減速ギアを介さずに回転駆動する振動波モータ101と、中間転写ベルト31を減速ギア107を介して回転駆動するDCモータ108と、転写体の周速の変動に応じて、振動波モータの制御目標値を生成する目標値生成部112を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体と、像担持体に当接する転写体とを回転駆動する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置においては、高精度で良好な画像を形成するために、感光体の駆動部や感光体に当接する転写体の駆動部において高い回転精度が要求されている。これらの駆動部に駆動ムラがあると、色ずれ、バンディング、転写中抜けといった画像欠陥につながるおそれがあるからである。
【0003】
色ずれは、カラー画像形成装置において各色の画像形成位置の相対位置がずれてしまうことにより発生する。画像形成位置の相対位置がずれてしまう原因のひとつとして、感光体や転写体の駆動ムラがある。バンディングは、画像に周期的に生ずる濃淡ムラのことで、画像形成時の感光体や転写体の回転の周期的な速度変動によって生ずる。転写中抜けは、感光体から転写体への転写ニップ内でのトナーの位置ずれによって発生する。転写ニップ内のトナーの位置ずれは、感光体と転写体の相対的な速度差によって引き起こされる。
【0004】
従来、減速ギアを介してモータの駆動力を感光体や転写体へ伝達する構成において、モータの回転角ではなく、感光体や転写体の回転角を検出し、モータへフィードバックすることにより、感光体や転写体の駆動ムラを低減することが知られている。これによって、駆動ムラの低周波成分を低減させて、色ずれを抑制することができるが、ギアを介した駆動伝達によって生じる高周波成分の駆動ムラの低減には効果的でなく、バンディングや転写中抜けの抑制が難しい。
【0005】
これまで、ギアで減速する必要がなく、比較的大きなトルクが得られる振動波モータを感光体の駆動に用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。振動波モータとは、振動体に振動波を励起させ、振動体に接触する接触体を相対的に摩擦駆動することにより、駆動力を得るモータである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−186952号公報
【特許文献2】特開昭60−176470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、振動波モータにより感光体と転写体の両方を直接駆動し、感光体と転写体の回転角をそれぞれの振動波モータにフィードバックすれば、駆動ムラのない感光体と転写体の駆動が実現できる。しかしながら、近年の画像形成装置においては、転写体の駆動トルクは感光体の駆動トルクに比べて大きく、転写体の駆動もギアを介さずに振動波モータにより行おうとすると、大きなモータを必要とし、コスト的にもスペース的にも難しくなる。しかし、だからといって、感光体を振動波モータで直接駆動し、転写体をパルスモータやDCモータでギアを介して駆動したのでは、ギアを介した駆動伝達によって生じる高周波成分の駆動ムラの低減を効果的に行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題に鑑み、請求項1記載の画像形成装置は、画像を担持する像担持体と、前記像担持体に当接し、前記像担持体上の画像をシートに転写する転写体と、前記像担持体を減速部材を介さずに回転駆動する第1の駆動手段と、前記転写体を減速部材を介して回転駆動する第2の駆動手段と、前記転写体の周速を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された前記転写体の周速の変動に応じて、前記第1の駆動手段を制御する第1の制御手段と、を有する。
【0008】
また、請求項2記載の画像形成装置は、請求項1記載の画像形成装置において、前記像担持体に画像を形成する画像形成手段と、前記検出手段により検出された前記転写体の周速の変動に応じて、前記画像形成手段により形成される前記像担持体上の画像の位置を補正する補正手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明によれば、大きなトルクが必要な転写体を低コスト又は省スペースな駆動手段により駆動しつつ、転写体に生じる周速の変動に像担持体の周速を合わせることができ、転写中抜け等の画像不良を抑制することができる。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、転写体の周速の変動に合わせて像担持体の周速が変動することにより生じる画像の位置ずれを補正でき、バンディング等の画像不良を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の要部断面図である。この画像形成装置は、複数の像担持体により複数色の画像を形成し、複数の像担持体上に形成された画像を転写体に重ねて転写した後、転写体上の画像をシートに転写するカラー画像形成装置である。画像形成装置は、原稿の画像を読み取るリーダ1Rと、画像をシート上に形成するプリンタ1Pを有する。プリンタ1Pは、大別して画像形成部10(4つのステーションa,b,c,dが並設されており、その構成は同一である)、給紙ユニット20、中間転写ユニット30、定着ユニット40を有する。
【0012】
画像形成部10において、矢印方向に回転駆動される像担持体または感光体としての感光ドラム11a,11b,11c,11dがその中心で軸支されている。各感光ドラム11a〜11dの外周面に対向して一次帯電器12a,12b,12c,12d、光学系13a,13b,13c,13d、現像部14a,14b,14c,14dが配置されている。一次帯電器12a〜12dは、感光ドラム11a〜11dの表面に均一な帯電量の電荷を与える。次いで、光学系ユニット13a〜13dは、画像データに応じて変調したレーザビームを感光ドラム11a〜11d上に露光させ、各感光ドラム11a〜11d上に静電潜像を形成する。
【0013】
そして、各静電潜像をイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の現像剤(トナー)をそれぞれ収納した現像部14a〜14dは、各感光ドラム11a〜11d上の静電潜像をトナーにより顕像化する。各感光ドラム11a〜11d上のトナー像は、画像一次転写領域Ta,Tb,Tc,Tdにおいて一次転写ローラ35a〜35dにより中間転写ベルト31に転写される。中間転写ベルト31に転写されずに感光ドラム11a〜11d上に残されたトナーは、クリーニング部15a,15b,15c,15dによって掻き落とされ、感光ドラム11a〜11dの表面が清掃される。
【0014】
一方、給紙ユニット20は、カセット21a,21b及び手差しトレイ27に積載されたシートPを1枚ずつ給送する。ピックアップローラ22a,22b,26は、カセット21a,21b、手差しトレイ27に積載されたシートPを1枚ずつ送り出す。各ピックアップローラ22a,22b,26から送り出されたシートPは、給紙ローラ対23及び給紙ガイド24によりレジストローラ25a,25bまで搬送される。レジストローラ25a,25bは、画像形成部10での画像形成タイミングに合わせて、シートPを二次転写領域Teへ送り出す。
【0015】
中間転写ユニット30は、転写体としての中間転写ベルト31上に転写されたトナー像を、レジストローラ25a,25bにより搬送されたシートP上に転写する。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32、ステアリングローラ33、二次転写内ローラ34に張架され、駆動ローラ32により矢印方向に駆動される。中間転写ベルト31の材質としては、例えばポリイミドやポリフッ化ビニリデン等が用いられる。各感光ドラム11a〜11dと中間転写ベルト31が対向する一次転写領域Ta〜Tdには、中間転写ベルト31の裏に一次転写ローラ35a〜35dが配置されている。二次転写領域Teには、二次転写内ローラ34に対向して二次転写ローラ36が配置されている。中間転写ベルト31条のトナー像は、二次転写ローラ36によりシートP上に転写される。
【0016】
中間転写ベルト31上の二次転写領域Teの下流には、中間転写ベルト31の画像形成面をクリーニングするためのクリーニング部50が配されている。クリーニング部50は、中間転写ベルト31に当接したクリーニングブレード51と、クリーニングブレード51により掻き取られた廃トナーを収納する廃トナーボックス52で構成される。クリーニングブレード51の材質としてはポリウレタンゴム等が用いられる。
【0017】
定着ユニット40は、シートP上に転写されたトナー像をシートに定着させる。内部にハロゲンヒータ等の熱源を備えた定着ローラ41aとこの定着ローラ41aに加圧される加圧ローラ41bにより、搬送ガイド43に沿って搬送されたシートPに対して定着処理を行う。定着ローラ41aと加圧ローラ41bから排出されてきたシートPは、内排紙ローラ44及び外排紙ローラ45により排紙トレイ48に排出される。
【0018】
次に、上記構成における画像形成動作について説明する。画像形成開始信号が発せられると、先ず、ピックアップローラ22aによってカセット21aからシートPが1枚ずつ送り出される。そして、給紙ローラ対23によってシートPが給紙ガイド24の間を案内されてレジストローラ25a,25bまで搬送される。このとき、レジストローラ25a,25bは停止しており、シートPの先端は、レジストローラ25a,25bのニップ部に突き当たる。その後、画像形成部10が画像の形成を開始するタイミングに合わせて、レジストローラ25a,25bはその回転を開始する。このレジストローラ25a,25bの回転時期は、シートPと画像形成部10より中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー画像とが二次転写領域Teにおいて一致するようにそのタイミングが設定されている。
【0019】
一方、画像形成部10では、画像形成開始信号が発せられると、前述したプロセスを経て中間転写ベルト31の回転方向において一番上流にある感光ドラム11d上に形成されたトナー画像が、高電圧が印加された一次転写ローラ35dによって、一次転写領域Tdにおいて中間転写ベルト31に一次転写される。そして、中間転写ベルト31上に一次転写されたトナー画像は、次の一次転写領域Tcまで搬送される。一次転写領域Tcでは、一次転写領域Tdで転写されたトナー画像に位置を合わせてトナー画像が転写される。以下も同様の工程が繰り返され、4色のトナー画像が中間転写ベルト31上に一次転写される。
【0020】
その後、シートPが二次転写領域Teに進入して中間転写ベルト31に接触すると、シートPの通過タイミングに合わせて二次転写ローラ36に高電圧が印加される。そして、前述したプロセスによって中間転写ベルト31上に形成された4色のトナー画像がシートPの表面に転写される。トナー画像が転写されたシートPは、搬送ガイド43によって定着ユニット40の定着ローラ41aと加圧ローラ41bのニップ部まで案内される。そして、定着ユニット40のローラ対41a,41bの熱及びニップの圧力によって、トナー画像がシートPの表面に定着され、トナー画像が定着されたシートPは内排紙ローラ44と外排紙ローラ45によって搬送されて機外に排出される。
【0021】
図2は、本実施形態における感光ドラム11の駆動部の構成図である。感光ドラム11には、中心で軸支するドラム軸100が挿通されており、感光ドラム11とドラム軸100は高剛性で連結されている。ドラム軸100には、ドラム軸100をそのまま出力軸とするよう、非減速のダイレクト駆動を行う振動波モータ101(第1の駆動モータ)が一体的に取り付けられている。振動波モータは、振動体に振動波(進行波)を励起させ、振動体に接触する接触体を相対的に摩擦駆動することにより、駆動力を得るモータである。ドラム軸100は、画像形成装置の本体前側板102、本体後側板103に回転可能に軸支されている。また、振動波モータ101も駆動やぐら104を介して本体後側板103に固定されている。駆動やぐら104内部には、ドラム軸100に取り付けられたエンコーダホイール122を読み取るエンコーダセンサ113が配置されている。
【0022】
振動波モータ制御部111(第1の制御部)は、エンコーダセンサ113の出力が目標値生成部112からの目標値になるよう、振動波モータ101をフィードバック制御する。目標値生成部112から出力される目標値は、後述するように、中間転写ベルト31の周速の変動に応じた目標値であり、振動波モータ制御部111は、中間転写ベルト31の周速の変動に対応するように、感光ドラム11の周速を変動させる制御を行う。
【0023】
図3は、本実施形態における中間転写ベルト31の駆動部の構成図である。中間転写ベルト31が張架された駆動ローラ32には、駆動軸105が挿通されており、中間転写体フレーム116に回転可能に軸支されている。駆動軸105には、駆動ギア106及びエンコーダホイール131が取り付けられている。駆動ギア106は減速ギア107に係合しており、さらに減速ギア107にDCモータ108(第2の駆動モータ)が係合されている。DCモータ108は、駆動軸105及び減速ギア107を軸支する転写駆動ボックス109に固定されている。DCモータ108から駆動ギア106までのギア列が減速部材となって、駆動軸105に高トルクを付与することができる。なお、この減速ギア107は、DCモータ108の回転を整数比で減速して駆動軸105に伝達する。
【0024】
DCモータ制御部110(第2の制御部)は、エンコーダホイール131を検出するエンコーダセンサ130の出力に基づいて、中間転写ベルト31の周速を検知し、駆動軸105が等角速度回転するようにDCモータ108をフィードバック制御する。また、DCモータ108は、モータ回転角の位相検出手段として、一周に一回FG信号を目標値生成部112に出力している。FG信号は、DCモータ108の回転角のホームポジション情報として用いられる。
【0025】
図4は、中間転写ベルト31に駆動伝達する各ギアの仕様(歯数)、想定される駆動ローラ32表面上での位置ずれ振幅、及び位置ずれ周波数を示す。このように、各ギアは位置ずれの要因を持っており、DCモータ108を等角速度回転するようにフィードバック制御したとしても、各ギアの位置ずれが、中間転写ベルト31の駆動ムラ、すなわち中間転写ベルト31の周速変動となって現れてしまう。
【0026】
本実施形態の画像形成装置においては、振動波モータ101の目標値(目標速度)を逐次生成する目標値生成部112が設けられている。目標値生成部112は、DCモータ108のFG出力に基づいて、各ギアによる駆動ムラが生じている駆動軸105の位相及び周波数に対応した目標値を生成する。
【0027】
図5は、目標値生成部112の制御ブロック図である。図6は、目標値生成部112により生成される目標正弦波を示すグラフである。目標値生成部112に入力されたエンコーダ信号は、ゲートアレイ500によって図6(a)のように速度変動データに変換される。一方、目標値生成部112に入力されたFG信号、は図6(b)のようにモータ一周ごとに一回、ホームポジション信号を発生する。ゲートアレイ500は、このホームポジション信号を基に、図6(d)のように位相θと振幅Aで表される正弦波を生成させる。ゲートアレイ500は、図6(a)の速度変動データと図6(c)の正弦波の差分(図6(d))を計算する。この差分情報は、記憶部502に所定区間分蓄積される。
【0028】
CPU501は、位相θと振幅Aを変化させて、差分(図6(d))の積分値が最少になるような位相θと振幅Aの同定を行う。このようにして、中間転写ベルト31の駆動において、減速ギアの影響により発生する駆動軸105の速度変動(DCモータ108の一周周期における変動)を、目標値生成部112が抽出する。
【0029】
目標値生成部112で算出された正弦波目標値は、図2の感光ドラム駆動の振動波モータ制御部111に入力される。振動波モータ制御部111は、エンコーダセンサ113の出力が正弦波目標値に追従するよう振動波モータ101をフィードバック制御する。振動波モータ101により、非減速のダイレクト駆動を行うため、駆動系としての慣性が小さく、剛性が高い。このため、駆動系としてのサーボ帯域が高く、正弦波目標値にも十分追従することができる。このようにして、振動波モータ制御部111は、中間転写ベルト31の周速の変動に対応するように、感光ドラム11の周速を変動させる制御を行う。
【0030】
図7は、感光体(感光ドラム)と転写体(中間転写ベルト)の周速差を表すグラフである。図7(a)は、等角速度フィードバック制御中の転写体の回転位置ずれ、図7(b)は、等角速度フィードバック制御中の転写体の周速変動量を示す。目標値生成部112は、転写体の周速変動に対応した目標値を生成し、振動波モータ制御部111は、転写体の周速変動に応じて感光体の周速を変動させる。図7(c)は、転写体の周速変動に応じて制御された感光体の周速変動量、図7(d)は、転写体の周速変動に応じて制御された感光体の回転位置ずれを示す。このように、減速駆動される転写体の周速変動に合わせて、直接駆動される感光体の周速を変動させた結果、図7(e)に示すように、感光体と転写体の相対周速差が軽減される。従って、中間転写ベルト31と感光ドラム11の間の転写ニップ部における相対的な周速差は大幅に低減され、転写ニップ内のトナーの位置ずれが防止され、転写中抜け等の画像不良を抑制できる。
【0031】
ところで、感光ドラム11が正弦波目標値に従って駆動されると、光学系13により書き込まれる感光ドラム11上の潜像の位置が、図7(d)に示される感光ドラム11の位置ずれに従ってずれることになる。この位置ずれの波形は、比較的高周波であるため、累積位置ずれ量は小さく、色ずれに関しては大きな問題とならないが、速度変動振幅としてはある程度無視できない量が発生するため、バンディングとして現れる場合がある。このため、本実施形態においては、感光ドラム11上に形成される静電潜像の画像位置を補正するための機構を設けている。
【0032】
図8は、光学系13から射出されるレーザビームが照射される感光ドラム11上の位置を補正する構成を示す図である。光学系ユニット13からは、記録画像信号に応じて変調されたレーザビームが射出され、そのレーザビームは折り返しミラー150に反射され、感光ドラム11に導かれる。折り返しミラー150には、折り返しミラー150に所定の振動を与える(折り返しミラー150の角度を変位させる)ことのできる圧電素子151が設けられている。振動制御部152は、圧電素子151への印加電圧を制御することによって、折り返しミラー150の振動(変位角)を制御する。
【0033】
目標値生成部112で生成された正弦波目標値は、振動制御部152に入力される。振動制御部152は、正弦波目標値による潜像位置変動を補正するような印加電圧信号を生成し、その印加電圧を圧電素子151へ供給する。圧電素子151が正弦波目標値に応じて振動駆動されることにより、図7(d)のように感光ドラム11が正弦波目標値で駆動されても、感光ドラム11上には静電潜像が位置ずれなく等間隔に形成される。
【0034】
図9は、感光ドラム11上の静電潜像の位置ずれ補正を示すグラフである。図9(a)は、感光ドラムの位置ずれ量であり、図9(b)は、比較例として、潜像位置補正を行わない場合の感光ドラム11上の潜像位置ずれ量を示す。図9(c)は、感光ドラム11上の静電潜像の位置ずれ補正を行った場合の感光ドラム11上の潜像位置ずれ量である。このようにして、中間転写ベルト31の周速変動に合わせて周速が変動される感光ドラム11上にレーザを照射したときに発生する潜像位置ずれを低減して、バンディング等の画像不良を抑制できる。
【0035】
図10は、中間転写ベルト31、感光ドラム11、折り返しミラー150の制御の概略構成を示す図である。減速駆動によって最も補正することが困難な中間転写ベルト31の高周波位置ずれに、非減速ダイレクト駆動によって追従性の良い感光ドラム11と折り返しミラー150を同期させることで、色ずれ、バンディング、転写中抜けを簡易な構成で同時に最適化することができる。
【0036】
なお、本実施形態では、中間転写ベルトを用いているが、中間転写ベルトの代わりに、中間転写ドラムや直接転写ベルト、直接転写ドラムを用いた画像形成装置においても、本発明を適用することができる。また、感光ドラムの駆動として振動波モータを用いているが、DCダイレクトモータ等、他の非減速ダイレクト駆動手段でもよい。
【0037】
また、DCモータの位相検出として、DCモータからのFG信号を用いているが、減速部材であるギア列のうちモータに対し、整数比に減速された部材に設けられた光学センサ等でも同様に適用することができる。さらに、潜像位置補正手段として折り返しミラーに装着した圧電素子を用いているが、面発光レーザによる位置補正やLED等固体露光による露光タイミング制御等、他の潜像位置補正手段についても好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の要部断面図である。
【図2】本実施形態における感光ドラム11の駆動部の構成図である。
【図3】本実施形態における中間転写ベルト31の駆動部の構成図である。
【図4】中間転写ベルト31に駆動伝達する各ギアの仕様、位置ずれ振幅、位置ずれ周波数を示す。
【図5】目標値生成部112の制御ブロック図である。
【図6】目標値生成部112により生成される目標正弦波を示すグラフである。
【図7】感光ドラム11と中間転写ベルト31の周速差を表すグラフである。
【図8】光学系13から射出されるレーザビームが照射される感光ドラム11上の位置を補正する構成を示す図である。
【図9】感光ドラム11上の静電潜像の位置ずれ補正を示すグラフである。
【図10】中間転写ベルト31、感光ドラム11、折り返しミラー150の制御の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
11 感光ドラム
31 中間転写ベルト
101 振動波モータ
106 ギア
107 ギア
108 DCモータ
110 DCモータ制御部
111 振動波モータ制御部
112 目標値生成部
150 折り返しミラー
151 圧電素子
152 振動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を担持する像担持体と、
前記像担持体に当接し、前記像担持体上の画像をシートに転写する転写体と、
前記像担持体を減速部材を介さずに回転駆動する第1の駆動手段と、
前記転写体を減速部材を介して回転駆動する第2の駆動手段と、
前記転写体の周速を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された前記転写体の周速の変動に応じて、前記第1の駆動手段を制御する第1の制御手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体に画像を形成する画像形成手段と、
前記検出手段により検出された前記転写体の周速の変動に応じて、前記画像形成手段により形成される前記像担持体上の画像の位置を補正する補正手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記減速部材は減速ギアであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記減速部材は整数比で減速することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の駆動手段は、振動体に振動波を励起させ、振動体に接触する接触体を相対的に摩擦駆動する振動波モータであることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記像担持体にミラーを介して画像データに応じたレーザを照射する露光手段を有し、
前記補正手段は、前記検出手段により検出された前記転写体の周速の変動に応じて、前記ミラーの角度を変位させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の制御手段は、前記検出手段により検出された前記転写体の周速に前記像担持体の周速が一致するように前記第1の駆動手段を制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検出手段により検出された前記転写体の周速に応じて、前記第2の駆動手段を制御する第2の制御手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−145829(P2010−145829A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324165(P2008−324165)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】