画像形成装置
【課題】現像剤の劣化をより正確に把握しながら現像剤の補給を行うことで、現像剤の特性を維持し、長期にわたって良好な画像が出力可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100は、現像剤担持体31aに印加される電圧Vdevとの電位差ΔVb=Vb−Vdevを可変に制御する電圧制御手段10と、現像剤担持体31a上の現像剤層表面の電位Vtを検知する電位検知手段10と、現像剤収容室32に対し現像剤を補給させるための信号を出力する演算処理手段と、を有し、電位差ΔVbを変化させながら電位検知手段10によって電位Vtを検知することで求められた、電位差ΔVbに対する電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)に係る情報と、当該情報に対応する予め設定された基準値の情報と、を比較した結果に基づいて、現像剤収容室32に現像剤を補給させるための信号を出力する構成とされる。
【解決手段】画像形成装置100は、現像剤担持体31aに印加される電圧Vdevとの電位差ΔVb=Vb−Vdevを可変に制御する電圧制御手段10と、現像剤担持体31a上の現像剤層表面の電位Vtを検知する電位検知手段10と、現像剤収容室32に対し現像剤を補給させるための信号を出力する演算処理手段と、を有し、電位差ΔVbを変化させながら電位検知手段10によって電位Vtを検知することで求められた、電位差ΔVbに対する電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)に係る情報と、当該情報に対応する予め設定された基準値の情報と、を比較した結果に基づいて、現像剤収容室32に現像剤を補給させるための信号を出力する構成とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式を用いる複写機、レーザビームプリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式を用いた画像形成装置においては、一様に帯電させられた像担持体としての感光体の表面に静電潜像が形成され、この静電潜像が現像剤としてのトナーを用いて現像されることでトナー像が形成される。そして、このトナー像が転写材上に転写され、定着されて、出力画像が得られる。
【0003】
この種の画像形成装置に用いられる現像方法としては、一般に、主にトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた2成分現像法と、実質的にトナーのみからなる1成分現像剤を用いた1成分現像法が知られている。更に、1成分現像法は、磁性トナーを用いる磁性1成分現像方式と、非磁性トナーを用いる非磁性1成分現像方式とに分類される。
【0004】
ところで、いずれの現像方法を採用した画像形成装置においても、感光体の表面の静電潜像を現像する現像装置内に、新しい状態の現像剤を適宜補給しながら画像形成を行う技術が提案されている。
【0005】
図14に、新しい状態の現像剤を適宜補給する機構を備えた現像装置の一例を示す。ここで、新しい状態の現像剤とは、現像装置における現像剤の搬送経路に未だ投入されていない現像剤である。
【0006】
図14において、現像装置203は、現像室231と、非磁性1成分現像剤としてのトナーTを収容するトナー収容室232と、補給用のトナーTを収容する補給用トナー収容室234とを備えている。トナー収容室232から開口部233を通して現像室231に供給されたトナーTは、供給ローラ231cにより、供給ローラ231cと接触して配置された現像ローラ231aの表面に供給される。現像ローラ231aの表面に供給されたトナーTは、層厚規制部材231bと現像ローラ231aとの当接位置において、摩擦帯電するとともに、その層厚が規制される。層厚規制部材231bとしては、金属薄板を片持ちで支持し、現像ローラ231aとの対向部の腹面を現像ローラ231aに当接させて配置されるブレード形状のもの(規制ブレード)が用いられる。現像ローラ231aの表面において、帯電され、層厚が規制されたトナーTは、感光体ドラム201と現像ローラ231aとの接触位置まで搬送され、感光体ドラム201上に転移する。これにより、感光体ドラム201の表面に形成された静電潜像が現像され、感光体ドラム201上にトナー像が形成される。一方、補給用トナー収容室234に収容された新しい状態のトナーTは、開閉可能な弁234bを備えた補給用開口部235を通して、トナー収容室232に適宜補給される。
【0007】
このように新しい状態のトナーを適宜補給することで、画像形成装置を長期間使用した場合にも、現像装置内のトナーの特性を維持することができる。その結果、トナーの経時劣化による出力画像の画質低下が低減される。例えば、トナーが劣化して摩擦帯電能力などが低下すると、正規帯電極性と逆極性に帯電するトナーが増加しやすくなり、非画像部にトナーが付着してしまう現象(以下「かぶり」と呼ぶ。)が悪化する。これに対して、補給により現像装置内に特性劣化のない新しい状態のトナーを入れて、現像装置内のトナーの特性を維持することで、かぶりの悪化を抑制できる。
【0008】
しかしながら、新しい状態のトナーを補給することで、逆に出力画像の画質低下が引き起こされる場合もあることが知られている。例えば、著しく劣化が進んだトナーに対して新しい状態のトナーを補給した場合などに、トナー補給前よりもかぶりが悪化することがある。この原因は、従来、以下のように考えられている。
【0009】
劣化したトナーは、外添剤の遊離や埋め込みなどにより摩擦帯電能力などが低下している。一方、新しい状態のトナーは摩擦帯電能力などが高い状態にある。これらの特性の異なるトナーが摩擦帯電すると、新しい状態のトナーは正規帯電しやすく、劣化したトナーは逆帯電しやすい。よって、新しい状態のトナーと劣化したトナーとは互いに静電的に吸着して、強固なトナー固まりとして存在してしまう。そのため、十分摩擦帯電することができなくなる。従って、著しく劣化したトナーと新しい状態のトナーのように、特性差の大きなトナーが混在すると、未帯電のトナーや逆帯電したトナーが増え、かぶりが増加しやすい。
【0010】
そこで、新しい状態のトナーを適宜補給する機構を備えた現像装置において、トナーの特性を維持し、経時的に安定した画像を出力できるように、トナー補給のタイミングを制御する技術が提案されている。
【0011】
例えば、特許文献1には、現像装置内のトナー残量に応じてトナー補給を行う方法が記載されている。又、特許文献2には、印刷枚数と現像装置内のトナー残量とを検知して、画像比率を考慮したトナー補給を行う方法が記載されている。更に、2成分現像法を採用している例ではあるが、特許文献3には、2成分現像剤の劣化度合いを求め、その結果に応じて、キャリアもしくはキャリアとトナーの両方を補給する方法が記載されている。この技術では、現像ローラとドクターブレードとの間に所定の電圧を印加して、両部材間を通過する2成分現像剤に流れる電流値を測定する。そして、得られた電流値と現像装置内のトナー濃度とから2成分現像剤の劣化度合いを求めている。
【特許文献1】特開2000−29290号公報
【特許文献2】特開2000−147889号公報
【特許文献3】特開2007−79218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の補給タイミングの制御方法では、トナーの劣化度合いを正確に把握することが難しかった。そのため、予想以上にトナーの劣化が進み、補給時にかぶりが悪化するなどして、出力画像の画質の安定化が不十分であるという問題があった。
【0013】
従って、本発明の目的は、現像剤の劣化をより正確に把握しながら現像剤の補給を行うことで、現像剤の特性を維持し、長期にわたって良好な画像が出力可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、前記像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像装置であって、現像剤を収容する現像剤収容室と、現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持する現像剤の層厚を規制する規制部材と、を具備する現像装置と、前記現像剤担持体に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、前記規制部材に電圧を印加する第2の電圧印加手段と、を有する画像形成装置において、前記第2の電圧印加手段によって前記規制部材に印加される電圧Vbと前記第1の電圧印加手段によって前記現像剤担持体に印加される電圧Vdevとの電位差ΔVb=Vb−Vdevを可変に制御する電圧制御手段と、前記規制部材によって層厚が規制された後の前記現像剤担持体上の現像剤層表面の電位Vtを検知する電位検知手段と、前記現像剤収容室に対し現像剤を補給させるための信号を出力する演算処理手段と、を有し、前記演算処理手段は、前記電圧制御手段によって前記電圧Vbが前記電圧Vdevよりも現像剤の正規帯電極性と同極性側に大きくなる範囲において、前記電位差ΔVbを変化させながら前記電位検知手段によって前記電位Vtを検知することで求められた、前記電位差ΔVbに対する電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)に係る情報と、当該情報に対応する予め設定された基準値の情報と、を比較した結果に基づいて、前記現像剤収容室に現像剤を補給させるための信号を出力することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像剤の劣化をより正確に把握しながら現像剤の補給を行うことで、現像剤の特性を維持し、長期にわたって良好な画像を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。以下に説明する構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0017】
[実施例1]
1.画像形成装置の全体構成及び動作
先ず、本発明の第1の実施例にかかる画像形成装置の構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略構成を示す模式的断面図である。
【0018】
本実施例の画像形成装置100は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体である感光体ドラム1を備えている。そして、感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電装置2、現像手段としての現像装置3、転写手段としての転写装置4、クリーニング手段としてのクリーニング装置5などが配置されている。
【0019】
本実施例では、感光体ドラム1と、帯電装置2と、現像装置3と、クリーニング装置5とは、一体的にカートリッジ化されており、画像形成装置本体(図示せず)に対して着脱自在なプロセスカートリッジUを構成している。
【0020】
ここで、プロセスカートリッジとは、感光体と、感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくともひとつとが、一体的にカートリッジ化されており、画像形成装置本体に対して着脱可能とされたものである。
【0021】
又、本実施例の画像形成装置100において、プロセスカートリッジUの外側には、露光手段としての露光装置6が配置されている。
【0022】
更に、本実施例の画像形成装置100において、感光体ドラム1と転写装置4との間に形成される転写領域Nに対して、転写材(記録材)Pの搬送方向下流側には、定着手段としての定着装置7が配置されている。
【0023】
感光体ドラム1は、アルミニウム製のドラム基体上に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした感光体層を有している。画像形成時において、感光体ドラム1は駆動手段(図示せず)により、図示矢印R1方向に回転駆動される。本実施例では、感光体ドラム1として直径30mmの負帯電性の有機感光体ドラムを用いる。又、本実施例では、感光体ドラム1は図示矢印R1方向に周速(プロセススピード)180mm/sで回転駆動される。
【0024】
帯電装置2は、帯電ローラを備えており、帯電ローラは導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1の表面に加圧接触して配置されている。画像形成時には、帯電ローラは、感光体ドラム1の回転に伴い図示矢印R2方向に従動回転する。このとき、帯電ローラの芯金には、帯電バイアス印加手段としての帯電バイアス電源(図示せず)から直流電圧が印加される。これにより、感光体ドラム1の表面は、所定の表面電位(本実施例では負極性)に一様に帯電される。本実施例では、帯電ローラの芯金に対して−1100Vの直流電圧が印加され、感光体ドラム1の表面は−550Vに一様に帯電させられる。
【0025】
露光装置6は、レーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー、光学レンズ系などを備えている。画像形成時には、画像情報に対応して変調されたレーザ光Lを出力し、一様に帯電された感光体ドラム1の表面を露光する。これにより、露光された部位は、キャリア発生層から発生したキャリアにより表面の電荷が消失され、表面電位が低下する。その結果、感光体ドラム1の表面に画像情報に対応した静電潜像(静電像)が形成される。本実施例では、感光体ドラム1の表面の露光されない部位の表面電位(暗部電位)が−550V、露光される部位の表面電位(明部電位)が−100Vとなる。
【0026】
現像装置3は、現像剤として非磁性1成分現像剤、即ち、トナーTを備えている。本実施例では、トナーTの帯電極性は、感光体ドラム1の帯電極性と同じ負極性である。又、現像装置3は、現像剤担持体としての現像ローラ31aを備えている。画像形成時には、現像ローラ31aは、感光体ドラム1と接触した状態で回転駆動される。このとき、現像ローラ31aには、現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源8(図2)により、感光体ドラム1の帯電極性と同極性の直流電圧が印加される。これにより、負極性に帯電されたトナーTが、現像ローラ31aと感光体ドラム1とが接触する領域において、現像ローラ31aの表面から感光体ドラム1の表面の明部電位部分に転移して付着する。このようにして、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像は反転現像されて、感光体ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。本実施例では、現像ローラ31aには、−300Vの直流電圧が印加される。又、本実施例では、現像ローラ31aは、感光体ドラム1との対向領域において、その表面移動方向が感光体ドラム1の表面移動方向と順方向となるように、図示矢印R3方向に周速240mm/sで回転駆動される。尚、現像装置3の詳細については後述する。
【0027】
転写装置4は、転写ローラを備えており、転写ローラは感光体ドラム1に対して所定の押圧力で接触して配置されている。画像形成時には、転写ローラに転写バイアス印加手段としての転写バイアス電源(図示せず)から、トナーTの正規帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性の直流電圧が印加される。これにより、転写ローラと感光体ドラム1とが接触して形成される転写領域Nに電界が形成される。一方、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が転写領域Nに到達するのに合わせて、記録用紙などの転写材Pが転写材収納部としてのカセットなど(図示せず)から転写領域Nに搬送されてくる。そして、転写領域Nにおいて、上記電界の作用により、感光体ドラム1の表面のトナー像が転写材P上に転写される。
【0028】
定着装置7は、定着ローラと加圧ローラとを備えている。画像形成時には、定着ローラは、加圧ローラに所定の押圧力で接触した状態で回転駆動される。そして、定着ローラと加圧ローラとの接触領域において転写材Pを挟持搬送しながら、転写材P上に転写されたトナー像を加熱及び加圧する。これにより、転写領域Nから定着装置7に搬送されてきた転写材P上のトナー像は、転写材P上に定着される。その後、転写材Pは排出トレイ(図示せず)上に排出される。
【0029】
クリーニング装置5は、クリーニング部材としてウレタンゴム製のクリーニングブレードを備えている。クリーニングブレードは、片持ちで支持され、その自由端側の先端部が感光体ドラム1の回転方向の上流側を向くように、所謂、カウンタ方向に、所定の圧力をもって感光体ドラム1の表面に当接されている。トナー像の転写工程において転写材P上に転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーは、クリーニングブレードにより感光体ドラム1の表面から除去され、クリーニング装置5内に回収される。そして、転写残トナーを除去された感光体ドラム1の表面は、再び帯電装置2により帯電され、その後、上述の露光、現像、転写、クリーニングの各工程が繰り返される。
【0030】
本実施例では、帯電装置2と、露光装置6とで、感光体ドラム1上に静電像を形成する静電像形成手段が構成される。
【0031】
2.現像装置
次に、現像装置3についてより詳しく説明する。図2は、本実施例の現像装置3及び関連する画像形成装置100の一部の概略構成を示す模式的断面図である。
【0032】
現像装置3は、現像室31と、トナーTを収容する現像剤収容室としてのトナー収容室32と、補給用のトナーTを収容し現像剤補給手段を構成する補給用トナー収容室34と、を備えている。
【0033】
現像室31には、現像剤担持体としての現像ローラ31aと、層厚規制部材(規制部材)としての規制ブレード31bと、現像剤供給部材としての供給ローラ31cと、が設けられている。現像ローラ31aは、トナーTを担持して感光体ドラム1に向けて搬送する。規制ブレード31bは、現像ローラ31aに担持するトナーTの層厚を規制する。現像ローラ31aは、現像装置3の開口部に感光体ドラム1と対向配置され、図示矢印R3方向に回転自在に設けられている。供給ローラ31cは、現像ローラ31aと接触して配置され、図示矢印R4方向に回転自在に設けられている。規制ブレード31bは、現像ローラ31aと供給ローラ31cとの接触位置に対して、現像ローラ31aの回転方向下流側で、現像ローラ31aに当接するように配置されている。
【0034】
トナー収容室32には、回転自在な撹拌部材32aが設けられている。又、トナー収容室32は、開口部33を介して現像室31とつながっている。本実施例では、撹拌部材32aは、現像ローラ31aの回転軸線方向と略平行に配置された回転軸を中心として回転する羽根状部材で構成されている。
【0035】
補給用トナー収容室34には、補給用トナー搬送部材34aが設けられている。又、補給用トナー収容室34は、開閉可能な弁34bを備えた補給用開口部35を介して、トナー収容室32とつながっている。本実施例では、補給用トナー搬送部材34aは、現像ローラ31aの回転軸線方向と略平行に配置された回転軸を中心として回転する羽根状部材で構成される。又、本実施例では、弁34bは、所定の樹脂からなる板状部材で構成される。又、本実施例では、補給用トナー収容室34は、トナー収容室32に対して着脱自在であり、適宜、トナー収容室32に対して補給用トナー収容室34を交換することができるようになっている。
【0036】
画像形成時には、トナー収容室32に収容されたトナーTは、撹拌部材32aにより撹拌されながら開口部33を通して現像室31に供給される。現像室31に供給されたトナーTは、現像ローラ31aに接触した状態で図示矢印R4方向に回転駆動される供給ローラ31cにより、現像ローラ31aの表面に供給される。現像ローラ31aの表面に供給されたトナーTは、現像ローラ31aに担持されてその回転に伴い搬送され、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接位置において摩擦帯電するとともに、その層厚が規制される。そして、現像ローラ31a表面の薄層化されたトナーTは、現像ローラ31aに担持されてその回転に伴い搬送され、感光体ドラム1と現像ローラ31aとの接触位置において、感光体ドラム1上に転移する。これにより、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像は現像され、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。又、現像ローラ31a表面の現像に寄与しなかったトナーTは、供給ローラ31cにより現像ローラ31aの表面から剥ぎ取られる。
【0037】
一方、弁34bと補給用トナー搬送部材34aは、後述するトナー補給制御により作動させられる。トナー補給時には、弁34bは開放状態となり、補給用トナー搬送部材34aの回転により、補給用トナー収容室34に収容された補給用の新しい状態のトナーTが、補給用開口部35を通してトナー収容室32に補給される。
【0038】
本実施例では、トナーTは、結着樹脂、電荷制御剤を含む懸濁重合法により調整され、流動化剤などを外添剤として添加することで負帯電性を有するように作製した。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、粉砕法や、乳化重合法などの他の重合法を用いて調整されたトナーTでもよい。
【0039】
現像ローラ31aとしては、次のような構成のものを使用可能である。芯金上に、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴムなどのゴム材料により形成された弾性層を有する単層ローラや、弾性層の表面にシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などを塗工して表層を形成した複数層構成のローラなどである。感光体ドラム1に対して安定して弾性接触させるためには、弾性層の硬度はアスカーC硬度で40°〜70°であることが好ましい。又、現像ローラ31aの表面粗さは、算術平均粗さRa[JIS中心線平均粗さ(JIS B 0601:2001)]が0.05μm〜5.0μmであることが好ましい。これは、使用するトナーの粒径にもよるが、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接位置においてトナーを摩擦帯電させるためである。又、現像ローラ31aの体積抵抗値は、104Ω〜107Ω以下であることが好ましい。
【0040】
尚、現像ローラ31aの体積抵抗値は、次のようにして測定される。直径30mmの鏡面金属製円筒部材と現像ローラとを、当接荷重500gfで現像ローラ長手方向全域にわたって当接させた状態で、該鏡面金属製円筒部材を1.0rpsの周速度で回転させる。そして、現像ローラの芯金と該鏡面金属製円筒部材との間に−50Vの直流電圧を印加して、接地側に接続した10kΩの抵抗の両端電圧を測定し、測定した電圧値から電流値及び現像ローラの抵抗値を算出する。
【0041】
画像形成時には、現像ローラ31aは、感光体ドラム1と所定の当接幅を持って接触した状態で、感光体ドラム1の周速度よりも速い周速度で回転駆動される。このとき、現像ローラ31aの芯金には、第1の電圧印加手段としての現像バイアス電源8により、負極性の所定の直流電圧が印加される。
【0042】
本実施例では、直径8mmの芯金上に、層厚4mmのシリコーンゴムから成る弾性層を持ち、その表面にアクリル・ウレタン系樹脂を塗工して表層とした、直径16mmの現像ローラ31aを用いる。又、本実施例の現像ローラ31aの硬度はアスカーC硬度で55°、表面粗さは算術平均粗さRaで1.5μm、体積抵抗値は105Ωである。又、現像ローラ31aには、現像バイアス電源8から−300Vの直流電圧が印加され、感光体ドラム1との対向領域において、その表面移動方向が感光体ドラム1の表面移動方向と順方向となるよう、図示矢印R方向に、周速240mm/sで回転駆動される。
【0043】
供給ローラ31cとしては、現像ローラ31aへのトナーTの供給性能及び現像ローラ31aからのトナーTの剥ぎ取り性能の点から、次のような構成のものが好ましい。即ち、芯金上に、発泡ウレタンゴム、発泡EPDMゴム、発泡シリコーンゴムなどの材料で構成された発泡骨格状スポンジ構造を持つものである。
【0044】
画像形成時において、供給ローラ31cは、現像ローラ31aと所定の当接幅を持って接触した状態で回転駆動される。ここで、供給ローラ31cの周速度と現像ローラ31aの周速度との間には、周速差を持たせる方が好ましい。
【0045】
本実施例では、直径5mmの芯金上に、発泡骨格状スポンジ構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを層厚5.5mmで形成した、直径16mmの供給ローラ31cを用いる。又、本実施例では、供給ローラ31cは、供給ローラ31cの芯金と現像ローラ31aの芯金とが等電位になるように調整される。又、本実施例では、供給ローラ31cは、現像ローラ31aとの接触領域において、その表面移動方向が現像ローラ31aの表面移動方向とは逆方向となるよう、図示矢印R4方向に、周速220mm/sで回転駆動される。
【0046】
規制ブレード31bは、弾性及び導電性を有している。又、規制ブレード31bは、現像装置3に固定された支持板金により、ステンレス鋼やリン青銅などの金属薄板を片持ちで支持して構成されることが好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、規制ブレード31は、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどのゴム材料や、ステンレス鋼、リン青銅などの金属薄板を基体とし、現像ローラ31aとの接触面側に導電性ゴム材料などを塗工して構成されたものでもよい。
【0047】
規制ブレード31bは、その自由端側の先端近傍において、現像ローラ31aの外周面に面接触するように配置されている。規制ブレード31bには、第2の電圧印加手段としての規制バイアス電源9が接続されている。そして、画像形成時には、規制バイアス電源9から規制ブレード31bに所定の直流電圧が印加される。
【0048】
ここで、規制ブレード31bに印加する直流電圧をVb、現像ローラ31aの芯金に印加する直流電圧をVdevとして、その差である電位差(差分値)ΔVbを、下記式、
ΔVb=Vb−Vdev
と定義する。そして、画像形成動作中には、この電位差ΔVbがトナーTの正規帯電極性と同極性となるように、規制バイアス電源9から規制ブレード31bに所定の直流電圧が印加される。即ち、画像形成動作中には、規制ブレード31bに印加する直流電圧Vbの方が、現像ローラ31aに印加する直流電圧Vdevよりも、トナーTの正規帯電極性側に大きくなるように、規制バイアス電源9から規制ブレード31bに直流電圧を印加する。このとき、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域及びその近傍において、正規帯電極性に帯電したトナーTを現像ローラ31a側に引き付ける電界が形成される。
【0049】
本実施例では、厚さ1.2mmの鉄板からなる支持板金に、厚さ0.1mmのリン青銅薄板を固定支持して構成された規制ブレード31bを使用する。ここで、リン青銅薄板の片持ち支持部分から現像ローラ31aとの当接位置までの距離、所謂、自由長さは12mmであり、現像ローラ31aのリン青銅薄板に対する押し込み量は1.5mmである。又、規制ブレード31bの現像ローラ31aに対する当接方向は、規制ブレード31bの自由端側の先端が、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接位置に対して現像ローラ31aの回転方向上流側に位置する、所謂、カウンタ方向である。そして、画像形成時には、規制ブレード31bに規制バイアス電源9から−500Vの直流電圧が印加され、ΔVbは−200Vとなる。
【0050】
補給用トナー搬送部材34aとしては、トナーTの搬送性能及び駆動時にかかるトルクの点から、所定の樹脂又は金属からなる薄板に複数の穴を空けたものを撹拌羽根とした構成や、所定の樹脂又は金属からなる棒状体で構成されたものが好ましい。本実施例では、複数の穴を空けたマイラシートからなる補給用トナー搬送部材34aを用いる。トナー補給時には、補給用トナー搬送部材34aは、図示矢印R5方向に所定の速度で回転駆動される。ただし、補給用トナー搬送部材34aは、トナーTをトナー収容室32に搬送できればよいので、補給用トナー搬送部材34aの回転方向はこれに限定されるものではなく、逆方向でもよい。
【0051】
現像バイアス電源8は、前記したように、現像ローラ31aの芯金に負極性の所定の直流電圧を印加する。又、現像バイアス電源8は、演算処理手段としての演算処理部13と接続されており、演算処理部13の指示に応じて電圧を印加する。
【0052】
規制バイアス電源9は、前記したように、規制ブレード31bに所定の直流電圧を印加する。規制バイアス電源9は、印加電圧が可変な電源であり、電圧印加部9aと、電圧制御部9bと、を有する構成とされる。電圧制御部9bは、電位差ΔVbを可変に制御する電圧制御手段である。又、規制バイアス電源9は、演算処理部13と接続されており、後述する電位差ΔVbを可変に制御する電圧制御手段としての機能を有する演算処理部13の指示に応じて電圧を印加する。
【0053】
又、画像形成装置100は、現像剤担持体上の現像剤層の表面電位を検知する表面電位検知手段(電位検知手段)としての表面電位計10を有する。表面電位計10は、現像ローラ31aの回転方向において、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接位置から、感光体ドラム1と現像ローラ31aとの対向位置までの間に配置される。そして、表面電位計10は、現像剤層表面の電位、即ち、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーTの表面電位を検知する。表面電位計10は、演算処理部13と接続されており、検知結果を演算処理部13に転送することができる。本実施例では、表面電位計10として、「表面電位計 MODEL 344」(TREK社製)を用いる。又、図示していないが、表面電位計10の基準電位は、現像ローラ31aの芯金の電位としている。
【0054】
又、画像形成装置100は、補給用トナー搬送部材34aと接続された補給用トナー搬送部材制御部11、弁34bと接続された弁制御部12を有する。補給用トナー搬送部材制御部11、弁制御部12は、いずれも演算処理部13と接続されており、演算処理部13の指示に応じてそれぞれ補給用トナー搬送部材34a、弁34bの動作を制御する。
【0055】
演算処理手段としての演算処理部13は、演算処理を行う中心的素子であるCPU14、検知結果などを格納する書き換え可能な記憶装置としてのRAM15、予め用意されたデータ値などを格納している記憶装置としてのROM16などから構成されている。CPU14、RAM15及びROM16は、互いにデータの転送や読込みが可能となっている。演算処理部13は、本実施例の制御における演算処理及び各部の動作の制御を実行する。
【0056】
尚、本実施例における現像装置3の補給用トナー収容室34を除いたトナー容量は、画像比率5%のA4サイズ画像5000枚相当である。又、トナー補給なしで画像比率5%のA4サイズ画像5000枚印刷後の現像装置3内トナー量は、概ね初期トナー充填量の40%程度となるようになっている。更に、トナー補給時には、補給用トナー収容室34から初期トナー充填量の約40%の量を補給するように設定されている。
【0057】
3.トナー補給制御
次に、本実施例におけるトナー補給制御について説明する。図3は、トナー補給制御の手順を示すフローチャートである。
【0058】
所定のタイミングにおいて、トナー補給の制御が始まると、先ず、ステップSa1では、電圧可変な規制バイアス電源9により、規制ブレード31bに印加する直流電圧と現像ローラ31aに印加する直流電圧との間の電位差ΔVbが掃引される。具体的には、図4に示すような掃引時間と電位差との関係(サイン波)に従って約20秒間かけて0Vから−150Vまで変化させた。より詳細には、本実施例では、現像ローラ31aに印加する直流電圧は−300Vで固定とし、規制ブレード31bに印加する直流電圧を−300Vから−450Vまで変化させた。即ち、本実施例では、規制ブレード31bに印加する直流電圧の方が、現像ローラ31aに印加する直流電圧よりも、トナーの正規帯電極性と同極性側に大きくなる範囲内において、電位差ΔVbを変化させながら、表面電位Vtを検知する。
【0059】
次に、ステップSa2では、表面電位計10により、電位差ΔVbを掃引したときの現像ローラ31a上トナー層の表面電位Vtが検知され、演算処理部13内のRAM15に転送・格納される。ここで、この表面電位Vtは、トナーの正規帯電極性と同極性である。
【0060】
次に、ステップSa3において、演算処理部13内のCPU14により、RAM15内に格納された電位差ΔVbと表面電位Vtとから、電位差ΔVbに対する表面電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)が算出され、RAM15に格納される。図5は、この関係Vt=Vt(ΔVb)の一例である。
【0061】
ここで、電位差ΔVbに対する表面電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)(以下、表面電位プロファイルと呼ぶ。)について説明する。
【0062】
本発明者らが鋭意検討した結果、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)には、次のような極大値と、極小値とが生じることが分かった。ここで、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)における表面電位Vtの極大値、極小値とは、表面電位Vtの絶対値においてみた場合のものである。即ち、表面電位VtがトナーTの正規帯電極性(本実施例では負極性)の方向に凸な極値(図5における極大値)と、表面電位VtがトナーTの正規帯電極性と逆方向に凸な極値(図5における極小値)とである。更に、図6に示すように、表面電位Vtが、それぞれ極大値と極小値をとるときの電位差、即ち、ΔVbmaxとΔVbminとの差、
Vs(=|ΔVbmin−ΔVbmax|)
の値は、印刷枚数の増加とともに徐々に増加する傾向があることが分かった。これらの理由は、十分明らかになってはいないが、概ね以下のように考えられる。
【0063】
表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、表面電位Vtが極大値、極小値を持つのは、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域において、電位差ΔVbの値によりトナーの摩擦帯電に変化が生じるためであると考えられる。具体的には、トナーTと他の部材との接触回数が変化することで、トナーTの摩擦帯電量が変化すると考えている。
【0064】
図5において、電位差ΔVbの絶対値が|ΔVbmax|より小さい領域では、正規帯電したトナーTを現像ローラ31aの方向に引き付ける力が小さいため、比較的トナーTが動きやすく、他の部材との接触回数が多くなる。その結果、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーTの摩擦帯電量は多くなり、表面電位Vtの絶対値は大きくなる。
【0065】
一方、電位差ΔVbの絶対値が|ΔVbmin|より大きい領域では、正規帯電したトナーTを現像ローラ31aの方向に引き付ける力が大きくなる。そのため、少しでも正規帯電したトナーTは、現像ローラ31aの表面に固定されるようになり、他の部材との接触回数が少なくなる。その結果、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーTの摩擦帯電量は少なくなり、表面電位Vtの絶対値が小さくなる。
【0066】
電位差ΔVbmaxからΔVbminまでの間は、電位差ΔVbが作る電界の作用により、トナーTの挙動が変化する領域であると考えられる。具体的には、この領域は、電位差ΔVbが作る電界の作用により、現像ローラ31aの表面に固定されるトナーTと、比較的動きやすく、他の部材と接触して摩擦帯電するトナーTとが混在する、不安定な領域である。そのため、特に電位差ΔVbをΔVbmin付近に設定すると、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーT上に、現像ローラ31a回転方向の不規則な筋、所謂、縦筋が発生しやすい。
【0067】
このことから、画像形成時に縦筋の影響が出ないようにするためには、次のような設定とすることが好ましい。即ち、ステップSa1、Sa2において、電位差ΔVbを掃引しながら現像ローラ31a表面の表面電位Vtを検知する際に、検知終了時の電位差ΔVbが、
|ΔVb|>|ΔVbmin|
を満足することが好ましい。更に、
|ΔVb|>|ΔVbmin|+20V
を満足することがより好ましい。
【0068】
又、このトナーTの挙動が変化する領域、即ち、電位差ΔVbmaxとΔVbminとの差Vsにおけるトナーの挙動は、使用するトナーの特性によって異なる。そのため、現像装置3内のトナーTが、現像ローラ31a、規制ブレード31b、供給ローラ31c、感光体ドラム1などの摺擦の影響を受け、特性が劣化すると、Vsが変化する。トナーの劣化によるVsの変化については、以下のように考えられる。
【0069】
摺擦の影響を受けたトナーTは、外添剤の遊離や埋め込みが発生し、凝集性が高くなる。トナーの凝集性が高いと、トナー1個1個が動きにくいため、摩擦帯電しにくくなる。そのため、トナーの凝集体を崩し、摩擦帯電させて現像ローラ31aの表面に固定するには、より大きな電界が必要となり、ΔVbmaxからΔVbminまでの間隔が広くなる。つまり、トナーTの劣化が進むと、電位差ΔVbmaxとΔVbminとの差Vsが大きくなる。
【0070】
本発明においては、このVsをトナー劣化の指標として用いることで、トナー補給のタイミングを決定する。
【0071】
再び図3を参照して、ステップSa4では、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、表面電位Vtが極大値をとるときの電位差ΔVbmaxの算出が、CPU14により行われる。そして、算出された電位差ΔVbmaxは、RAM15に格納される。
【0072】
次に、ステップSa5からステップSa8、ステップSa15及びステップSa16における、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、表面電位Vtが極小値をとるときの電位差ΔVbminの算出までを説明する。
【0073】
先ず、ステップSa5では、CPU14により、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)の|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、電位差ΔVbに対する表面電位Vtの傾きα(ΔVb)が算出される。本実施例では、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、各電位差ΔVbから、トナーTの正規帯電極性の方向に約1V程度大きい値までの間の傾きを算出し、各電位差ΔVbに対する表面電位Vtの傾きα(ΔVb)とした。ただし、本実施例では約1V程度としたが、傾きα(ΔVb)は検知装置の検知精度などに依存するため、それらに応じて適宜設定することが望ましい。
【0074】
次に、ステップSa6では、傾きα(ΔVb)の判定を行い、α(ΔVb)において、
α(ΔVb)>−1
を満足するものが存在しない場合には、画像形成装置100を停止し、警告を出してトナー補給の制御を終了する。即ち、画像形成装置100を停止し、警告を出してトナー補給の制御を終了するのは、
α(ΔVb)≦−1
を満足するものが存在する場合である。この場合には、|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、表面電位Vtが極小値をとらないため、Vsの算出ができない。この現象は、現像ローラ31aの表面へ逃げるトナー帯電電荷が多くなった場合などに起こり、正常な状態ではない。そのため、本実施例では、この場合には画像形成装置100を停止させることとした。
【0075】
一方、α(ΔVb)>−1を満足するものが存在する場合には、ステップSa7において、再び傾きα(ΔVb)の判定を行う。ここでは、α(ΔVb)において、
α(ΔVb)>0
を満足するものが存在するかどうかを判定する。
【0076】
α(ΔVb)>0を満足するものがある場合には、ステップSa8に進み、CPU14により、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、表面電位Vtが極小値をとるときの電位差ΔVbminが算出され、RAM15に格納される。
【0077】
一方、α(ΔVb)>0を満足するものが存在しない場合には、ステップSa15に進む。そして、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)の|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域における各電位差ΔVbにおいて、トナーTの正規帯電極性側の傾きα(ΔVb+)と、トナーTの正規帯電極性と逆極性側の傾きα(ΔVb−)が算出される。
【0078】
本実施例では、図7に示すように、各電位差ΔVbにおいて、トナーTの正規帯電極性側、及び逆極性側に約1V程度大きい値とΔVbとの間の傾きを算出し、各電位差ΔVbにおける傾きα(ΔVb+)及びα(ΔVb−)とした。即ち、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、各電位差VbのトナーTの正規帯電極性側の所定の領域における傾きをα(ΔVb+)、トナーTの正規帯電極性とは逆極性側の所定の領域における傾きをα(ΔVb−)とした。ただし、本実施例では約1V程度としたが、傾きα(ΔVb+)及びα(ΔVb−)は、検知装置の検知精度などに依存するため、それらに応じて適宜設定することが望ましい。
【0079】
次に、ステップSa16で、α(ΔVb+)−α(ΔVb−)>5となるときの電位差ΔVbを算出する。そして、ステップSa8において、この電位差ΔVbを電位差ΔVbminとし、RAM15に格納する。
【0080】
このように、α(ΔVb+)−α(ΔVb−)>5となるときの電位差ΔVbを電位差ΔVbminとするのは、次のような理由による。即ち、傾きα(ΔVb)において、α(ΔVb)>−1となるα(ΔVb)が存在し、且つ、α(ΔVb)>0となるα(ΔVb)が存在しない場合には、|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、表面電位Vtが極小値をとらない。しかし、極小値はとらないものの、傾きα(ΔVb)が急激に変化する点を持つ。そこで、そのα(ΔVb)の変化点を算出し、そのときの電位差ΔVbをΔVbminとすることで、Vsの算出を行う。
【0081】
ステップSa9では、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、電位差ΔVbがそれぞれΔVbmax、ΔVbminのときの表面電位Vt、即ち、極大値Vtmaxと極小値VtminがCPU14により算出され、RAM15に格納される。
【0082】
そして、ステップSa10では、CPU14により、RAM15に格納されたVtmax、Vtminを用いて、表面電位Vtの極大値と極小値の差、
VD(=|Vtmax−Vtmin|)
が算出される。
【0083】
ステップSa11では、算出されたVDの判定を行い、
VD<0.5V
と判定された場合には、画像形成装置100を停止し、警告を出してトナー補給の制御を終了する。即ち、この場合、演算処理部13は、警告を発するため及び/又は画像形成動作を停止させるための信号を出力する。
【0084】
これは、トナーTの凝集性が非常に高い場合などには、凝集体が崩しきれなくなり、トナーの摩擦帯電量が少なくなる、又はトナー層の高さが高くなるため、表面電位Vtにおいて、トナー挙動の差が表れにくくなると考えられる。よって、本実施例では、表面電位Vtの極大値と極小値の差VDが非常に小さい場合には、画像形成装置100を停止させることとした。
【0085】
一方、VD≧0.5Vと判定された場合には、ステップSa12に進み、RAM15に格納された電位差ΔVbmaxと電位差ΔVbminから、
Vs=|ΔVbmin−ΔVbmax|
がCPU14により算出される。
【0086】
次に、ステップSa13では、CPU14は、ROM16に予め格納された所定値(基準値)Vshを読み出す。又、ステップSa14では、CPU14は、読み出した所定値Vshと、上述のようにして算出したVsとを比較する。
【0087】
ここで、所定値Vshは、本実施例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。具体的には、トナー補給を行わずに画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、Vsの算出と画像評価を随時行い、5000枚印刷した後のVsの値を所定値Vshとした。本実施例では、Vsh=21VとしてROM16に書き込まれている。
【0088】
そして、Vsが基準値Vsh以上の場合、即ち、Vs≧Vshの場合には、ステップSa18に進み、補給用トナー搬送部材制御部11と弁制御部12により、補給用トナー搬送部材34aと弁34bが作動させられ、トナー補給が行われる。即ち、この場合演算処理部13は、トナー収容室32にトナーを補給させるための信号を出力する。一方、Vs<Vshの場合には、ステップSa19に進み、トナー補給を行わずにトナー補給の制御を終了する。
【0089】
尚、トナー補給後はステップSa1に戻り、トナー補給の必要なしと判断されるまで同工程を繰り返す。
【0090】
4.画像形成装置の警告・停止判定
本実施例では、上述のトナー補給制御と同様のトナー劣化の指標Vsを用いて、画像形成装置100(或いは現像装置3)の警告・停止判定も行うことができる。以下、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御について説明する。
【0091】
図8は、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御の手順を示すフローチャートである。図8中のステップSb1〜Sb12は、図3に示したトナー補給制御におけるステップSa1〜Sa12の各工程と同じである。又、図8中のステップSb15〜Sb21は、図3中のステップSa13〜Sa19と同じである。
【0092】
ステップSb12においてVsが算出された後、ステップSb13では、ROM16に予め格納された所定値(第2の基準値)Vskが、CPU14により読み出される。
【0093】
ここで、所定値Vskは、本実施例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。この所定値Vskは、所定値Vshよりも大きい。具体的には、Vshのときと同様、トナー補給を行わずに画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、Vsの算出と画像評価を随時行い、所定値Vskの値を決めた。本実施例ではVsk=23VとしてROM16に書き込まれている。
【0094】
次に、ステップSb14では、CPU14は、算出されたVsと所定値Vskを比較する。そして、Vsが第2の基準値Vsk以上、即ち、Vs≧Vskの場合には、ステップSb19に進み、画像形成装置100を停止し、警告を出してトナー補給制御を終了する。これは、トナー補給が正常に行われなかった場合や、補給用トナーTがなくなった場合で、現像装置3内のトナーTは劣化が著しく進んだ状態であると考えられる。一方、Vs<Vskの場合には、ステップSb15に進み、以降は図3を参照して説明したトナー補給の判定を行う。
【0095】
このトナー劣化の指標Vsを用いた警告・停止判定により、トナーTの劣化に応じた適切なタイミングで画像形成装置100の停止が行えるため、重大な画像不良や画像形成装置本体の汚染を未然に防ぐことができる。又、プロセスカートリッジUの交換などのタイミングも知ることができる。
【0096】
本実施例では、画像形成を行わない非印刷中(非画像形成時)に、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御を実施した。具体的には、印刷枚数1000枚毎に制御を行った。
【0097】
尚、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御において、トナー補給判定とVsを用いた警告・停止判定はどちらを先に行ってもよいが、Vsを用いた警告・停止判定の後にトナー補給判定を行う方が好ましい。
【0098】
又、本実施例では、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御を行ったが、トナー補給判定とVsを用いた警告・停止判定を、それぞれトナー補給制御とVsを用いた警告・停止制御に分けて、異なるタイミングで行ってもよい。
【0099】
又、本実施例では、正規帯電極性が負極性であるトナーを用いたが、これに限定されるものではなく、正規帯電極性が正極性であるトナーを用いてもよい。その場合には、必要に応じて、帯電装置2、現像ローラ31a、規制ブレード31b、供給ローラ31cを始めとする各部材に印加する電圧の極性を変える。
【0100】
又、トナー補給の方法に関して、本実施例では、補給用トナー搬送部材34aなどにより、トナー収容室32に新しい状態のトナーを補給可能であるとした。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、トナー補給時に手動で補給用トナー収容室34を交換してトナー補給を行ってもよい。
【0101】
又、本実施例では、トナーTの劣化に応じて、補給用トナー収容室34からトナー収容室32に新しい状態のトナーTを補給するだけであった。しかし、これに限定されるものではなく、トナーTを補給する際に、トナー収容室32内の劣化したトナーTを、所定量だけ現像装置3外へ強制排出する動作を入れてもよい。それによって、劣化したトナーTの影響を小さくすることができる。更に、トナー収容室32内のトナー量を調整することもできる。
【0102】
[比較例1]
本比較例は、基本的には実施例1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0103】
実施例1では、トナー補給制御におけるトナー劣化の指標として、電位差ΔVbmaxとΔVbminの差Vsを用いた。これに対して、本比較例では、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内のトナー残量を、トナー劣化の指標とする。
【0104】
図9は、本比較例におけるトナー補給制御の手順を示すフローチャートである。
【0105】
所定のタイミングにおいて、トナー補給の制御が始まると、先ず、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内トナー残量が検知される(ステップSd1)。トナー残量の検知方法としては、本比較例では、トナー収容室32内に設けられたトナー残量検知センサを用いた。
【0106】
次に、CPU14により、検知されたトナー残量から、初期トナー充填量に対するトナー残量の比Qが算出される(ステップSd2)。その後、CPU14は、ROM16に予め格納された所定値Qhを読み出し(ステップSd3)、算出されたQと所定値Qhとを比較する(ステップSd4)。
【0107】
ここで、所定値Qhは、本比較例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。具体的には、トナー補給を行わずに画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、Qhの算出と画像評価を随時行い、所定値Qhの値を決めた。本比較例では、Qh=0.4としてROM16に書き込まれている。
【0108】
そして、ステップSd4において、Q≦Qhである場合には、トナーTの補給が実施される(ステップSd5)。一方、Q>Qhである場合には、トナー補給を行わずにトナー補給制御を終了する。
【0109】
[比較例2]
本比較例は、基本的には実施例1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0110】
実施例1では、トナー補給制御におけるトナー劣化の指標として、電位差ΔVbmaxとΔVbminの差Vsを用いた。これに対して、本比較例では、画像比率Rを、トナー劣化の指標とする。
【0111】
図10は、本比較例におけるトナー補給制御の手順を示すフローチャートである。
【0112】
所定のタイミングにおいて、トナー補給の制御が始まると、先ず、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内トナー残量が検知される(ステップSe1)。トナー残量の検知方法は、比較例1と同じである。
【0113】
次に、CPU14により、検知されたトナー残量と、現像装置3の使用開始(及び前回のトナー補給)からの印刷枚数とから、画像比率Rが算出される(ステップSe2)。具体的には、トナー残量に基づいて算出されるトナー消費量の積算値と印刷枚数の積算値とをパラメータとして、ROM16に予め格納された画像比率テーブルから、画像比率Rを取得することで算出される。ここで、画像比率テーブルは、本比較例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。その後、CPU14は、ROM16に予め格納された所定値Rhを読み出し(ステップSe3)、算出されたRと所定値Rhとを比較する(ステップSe4)。
【0114】
本比較例では、所定値Rhは画像比率5%であり、Rh=0.05としてROM16に書き込まれている。
【0115】
そして、ステップSe4において、R≦Rhである場合には、トナーTの補給が実施される(ステップSe5)。一方、R>Rhである場合には、トナー補給を行わずにトナー補給制御を終了する。
【0116】
[実施例2]
本実施例は、基本的には実施例1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0117】
実施例1では、画像形成時に現像ローラ31aの芯金に印加される直流電圧が−300V、規制ブレード31bに印加される直流電圧が−500Vで、その電位差ΔVbは−200Vで固定であった。これに対して、本実施例では、電圧可変な規制バイアス電源9により、画像形成時における電位差ΔVbを、トナーTの劣化状態に応じて変化させる。
【0118】
以下、本実施例における電位差ΔVbの設定方法について説明する。
【0119】
電位差ΔVbの設定におけるトナー劣化の指標としては、トナー補給制御などと同じ電位差ΔVbmaxとΔVbminの差Vsを用いる。
【0120】
図11は、電位差ΔVbの設定を行う手順を示すフローチャートである。図11中のステップSc1〜Sc12は、図3に示したトナー補給制御におけるステップSa1〜Sa12の各工程と同じである。又、図11中のステップSc16〜Sc18は、図3中のステップSa15〜Sa17と同じである。又、本実施例では、図8を参照して説明した手順におけるトナー補給制御終了(図8のステップSb21)後に、電位差ΔVbの設定が開始される。
【0121】
ステップSc12においてVsが算出された後、ステップSc13では、ROM16に予め格納された、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)が、CPU14により読み出される。
【0122】
ここで、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)は、本実施例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。具体的には、トナー補給を行わずに画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、Vsの算出と電位差ΔVbを変えての画像評価を随時行い、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)を得た。図12は、本実施例におけるVsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)を示している。図12から、Vsが大きいほど電位差ΔVbの適正値も大きくなることが分かる。
【0123】
又、前記したように、電位差ΔVbがΔVbmin付近に設定されると、縦筋が発生しやすい。このことから、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)に基づく電位差ΔVbは、
|ΔVb|>|ΔVbmin|
を満足することが好ましく、
|ΔVb|>|ΔVbmin|+20V
を満足することがより好ましい。
【0124】
更に、現像ローラ31a表面の薄層化されたトナーTを安定にするためには、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)に基づく電位差ΔVbは、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、次の関係を満足することが好ましい。即ち、各電位差ΔVbにおける表面電位Vtの変動幅ΔVt(ΔVb)が、
|ΔVt(ΔVb)|≦3×|ΔVt(ΔVbmin)|
を満足することが好ましい。以下に、その理由を説明する。
【0125】
まず、表面電位Vtの取り込みにおける変動幅について説明する。図13に示すように、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、各電位差ΔVb近傍の所定領域における電位Vtの変動幅を求める。本実施例では、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、各電位差ΔVbからトナーTの正規帯電極性の方向に約5V程度大きい値までの間の変動幅を、電位差ΔVbにおける表面電位Vtの変動幅ΔVt(ΔVb)とした。ただし、本実施例では約5V程度としたが、変動幅は検知装置の検知精度などに依存するため、それらに応じて適宜設定することが望ましい。
【0126】
そして、本発明者らが鋭意検討した結果、この変動幅は、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーTが不安定になると、大きくなることが分かった。その理由は、概ね以下のように考えられる。
【0127】
電位差ΔVbを大きくすると、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間、トナーTとトナーTとの間、トナーTと規制ブレード31bなどの部材との間などで、局所的に放電現象が発生する。その結果、トナーTの摩擦帯電量や現像ローラ31a表面の電位などが不安定になり、表面電位Vtの変動幅は大きくなる。
【0128】
一方、電位差ΔVbが、
|ΔVbmin|≦|ΔVb|≦|ΔVbmin|+20V
の領域では、放電が発生することはなく、縦筋の発生などもないため、表面電位Vtの変動幅は小さく安定している。
【0129】
そこで、この領域における表面電位Vtの変動幅ΔVt(ΔVbmin)を基準にすると、現像ローラ31a表面の薄層化されたトナーTが不安定になる領域における表面電位Vtの変動幅は、
|ΔVt(ΔVb)|>3×|ΔVt(ΔVbmin)|
であることが分かった。ΔVt(ΔVbmin)は、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)における、電位差ΔVbmin近傍の所定の領域における電位Vtの変動幅である。
【0130】
再び図11を参照して、次に、ステップSc14では、算出されたVsに応じて、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)から適正な電位差ΔVbが算出される。その後、ステップSc15において、算出された適正な電位差ΔVbを設定し、電位差ΔVbの設定を終了する。
【0131】
本実施例では、画像形成を行わない非印刷中(非画像形成時)に電位差ΔVbの設定を実施した。具体的には、印刷枚数1000枚毎に電位差ΔVbの設定を行った。
【0132】
又、本実施例では、電位差ΔVbの設定を、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御と同じタイミングで実施したが、これに限定されるものではなく、異なるタイミングで行ってもよい。
【0133】
[比較例3]
本比較例は、基本的には実施例2に準ずるが、以下の点が異なる。
【0134】
実施例2では、電位差ΔVbの設定において、適正な電位差ΔVbが|ΔVb|>|ΔVbmin|を満足するように設定した。これに対して、本比較例では、適正な電位差ΔVbをΔVbminとする。
【0135】
[評価試験例]
1.評価方法
次に、各実施例及び比較例の評価について説明する。
【0136】
画像評価は、次の5種類を行った。
(A)トナー補給直後のかぶり評価1(画像比率5%、連続印刷)
(B)トナー補給直後のかぶり評価2(画像比率1%、連続印刷)
(C)トナー補給直後のかぶり評価3(画像比率1%、間欠印刷)
(D)トナー補給通しての耐久かぶり評価(画像比率1%、連続印刷)
(E)縦筋評価
又、各画像評価は、全て23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で行った。
【0137】
以下、各画像評価について個別に説明する。
【0138】
(A)トナー補給直後のかぶり評価1(画像比率5%、連続印刷)
かぶり量は、出力画像の白地部分(非画像部)の白色度(反射率Ds(%))と、記録紙の白色度(平均反射率Dr(%))との差から、かぶり濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、評価した。ここで、上記Ds(%)とDr(%)は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した。又、測定時に使用するフィルタとしては、シアンの場合はアンバーライト、イエローの場合はブルー、マゼンタ及びブラックの場合はグリーンのフィルタを用いた。又、かぶり評価では、記録紙上を10点以上測定し、その平均値を求めた。
【0139】
かぶりの評価基準は、以下に示すとおりである。
○:1.0%未満
△:1.0%以上2.0%未満
×:2.0%以上
【0140】
かぶり評価のタイミングは、3回目のトナー補給が行われた直後とし、全面白画像を3枚連続出力して、最もかぶり量の多い出力画像を評価した。
【0141】
画像出力試験は、画像比率5%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、連続的に出力して行った。具体的には、画像比率5%の横線として、1ドットライン印字後に19ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0142】
(B)トナー補給直後のかぶり評価2(画像比率1%、連続印刷)
本画像評価は、基本的には、(A)トナー補給直後のかぶり評価1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0143】
本画像評価の画像出力試験は、画像比率1%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、連続的に出力して行った。具体的には、画像比率1%の横線として、1ドットライン印字後に99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0144】
(C)トナー補給直後のかぶり評価3(画像比率1%、間欠印刷)
本画像評価は、基本的には、(A)トナー補給直後のかぶり評価1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0145】
本画像評価の画像出力試験は、画像比率1%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、間欠的に出力して行った。ここで、本画像評価における間欠印刷とは、所定枚数印刷後に現像装置の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行う印刷方法を意味している。よって、印刷動作の開始直後及び終了直前に非印字状態のまま現像装置が作動する時間が生じる。本画像評価では、2枚連続印刷後に現像装置の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行うように設定した。
【0146】
(D)トナー補給通しての耐久かぶり評価(画像比率1%、連続印刷)
本画像評価は、基本的には、(A)トナー補給直後のかぶり評価1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0147】
本画像評価のかぶり評価のタイミングは、3回目のトナー補給が行われた後、更に5000枚連続印刷した後とした。
【0148】
画像出力試験は、画像比率1%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、連続的に出力して行った。具体的には、画像比率1%の横線として、1ドットライン印字後に99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0149】
(E)縦筋評価
縦筋評価のタイミングは、1000枚連続印刷した後とし、全面黒画像を出力して、目視により縦筋の有無を評価した。評価基準は、以下に示すとおりである。
○:全面黒画像中に、縦筋が2本未満
×:全面黒画像中に、縦筋が2本以上
【0150】
画像出力試験は、画像比率5%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、連続的に出力して行った。具体的には、画像比率5%の横線として、1ドットライン印字後に19ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0151】
2.評価結果
表1に、実施例1、2及び比較例1〜3の画像評価結果を示す。
【0152】
【表1】
【0153】
以下、実施例1、2と比較例1〜3を比較することで、本発明の優位性について説明する。
【0154】
<画像評価(A)、(B)、(C)で比較>
先ず、実施例1と比較例1、2とを比較することで、本発明の優位性を説明する。
【0155】
画像評価(A)、即ち、画像比率5%での連続印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価では、実施例1、比較例1、2はいずれも、かぶりは少なく良好である。これは、各々が、画像比率5%の画像の連続印刷を基準にして、トナーTを補給するタイミングを予め設定しているためである。
【0156】
ところが、比較例1においては、画像評価(B)、即ち、画像比率1%での連続印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価で、かぶりが悪化している。これは、以下のように考えられる。
【0157】
比較例1は、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内の初期トナー充填量に対するトナー残量の比Qが、所定値Qh以下になったときに補給が行われる。つまり、比較例1は、予め設定したトナー残量以下になったときにトナー補給が実施される例である。この場合、トナーTの補給タイミングを設定したときの条件(画像比率5%の画像の連続印刷)よりも、トナー消費量の少ない条件(例えば、画像比率1%)では、画像比率5%の画像を連続印刷した場合より、Q≦Qhとなるまでに時間がかかる。これによって、トナーTが、現像ローラ31aと感光体ドラム1との間を始めとする、各部材間の摺擦の影響を受ける時間が長くなり、その結果、トナーTの劣化が著しく進む。著しく劣化が進んだトナーに新しい状態のトナーを補給すると、前述したように、劣化したトナーと新しい状態のトナーとの特性差が大きいため、未帯電や逆帯電のトナーが増えやすく、かぶりが増加しやすい。
【0158】
又、比較例1では、より劣化が進む条件である、画像評価(C)、即ち、画像比率1%での間欠印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価でも、かぶりが悪化した。
【0159】
一方、比較例2においては、画像評価(B)、即ち、画像比率1%での連続印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価で、かぶりは少なく良好であった。しかしながら、画像評価(C)、即ち、画像比率1%での間欠印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価では、かぶりが悪化した。これは、以下のように考えられる。
【0160】
比較例2は、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内トナー残量と、現像装置3の使用開始(及び前回のトナー補給)からの印刷枚数とから算出された画像比率Rが、所定値Rh以下になったときに補給が行われる。つまり、比較例2は、所定のタイミングにおいて、予め設定した画像比率以下である場合には、トナー補給が実施される例である。この場合には、トナーTの補給タイミングを設定したときの条件(画像比率5%の画像の連続印刷)よりも、トナー消費量の少ない条件(例えば、画像比率1%)は、R≦Rhを満足するためにトナー補給が随時行われる。これによって、比較例2では、画像比率1%での連続印刷時においても、トナーTの劣化が著しく進む前に、新しい状態のトナーTを補給することができるため、トナー補給によるかぶりの悪化を抑制できている。
【0161】
しかし、画像評価(C)、即ち、画像比率1%での間欠印刷時には、画像出力しない状態で現像装置3が作動する時間が増加し、よりトナーTの劣化が進みやすくなる。ところが、比較例2では、画像出力しない間の影響などは考慮できないため、その分、R≦Rhを満足してトナー補給されるまでに、トナーTの劣化が進むことになる。その結果、新しい状態のトナーTを補給したときにかぶりが悪化する。
【0162】
以上のことから、トナー補給直後のかぶりの悪化を抑制するためには、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内のトナーTの劣化状態が、所定値よりも進行する前に新しい状態のトナーTを補給することが重要であると考えられる。
【0163】
本発明に従う実施例1では、トナー劣化に関係するVsの値を用いて、トナー補給のタイミングを決定している。そのため、画像評価(B)、即ち、画像比率1%での連続印刷時においても、又、画像評価(C)、即ち、画像比率1%での間欠印刷時においても、トナーTの劣化状態を精度良く把握することができる。これによって、トナーTの劣化状態が所定値よりも進行する前に、新しい状態のトナーTを補給することができ、トナー補給直後のかぶりの悪化を抑制できる。
【0164】
ここで、前述したように、従来、規制ブレードと現像ローラとの間に流れる電流の値からトナーの劣化状態を検知して、トナー補給のタイミングを決める方法がある。しかし、この方法では、現像ローラなど、他の部材の影響を多く含むために、トナーの劣化状態のみを把握することが困難である。
【0165】
これに対して、本発明に従えば、トナー劣化の指標Vsは、規制ブレードと現像ローラとの間の電位差ΔVbを変化させたときの、トナーの挙動の変化の大きさを表している。そのため、トナー特性の変化を精度良く把握できる。
【0166】
<画像評価(D)で比較>
次に、本発明に従う実施例2の有効性を説明するために、実施例1と比較する。
【0167】
実施例2は、実施例1に比べて、トナー補給通しての耐久後のかぶりが少なく良好である。これは、以下のように考えられる。
【0168】
実施例1では、画像形成時における規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間の電位差ΔVbは−200Vで固定している。規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域で、この電位差ΔVbの作る電界からトナーTが受ける力は、劣化により摩擦帯電特性などが低下していないトナーTの方が大きいと考えられる。そのため、例えば、印刷枚数が少ない時期や、新しい状態のトナーTが補給されたときなどには、トナーTが電位差ΔVbの作る電界から力を受けやすい。実施例1では、それらの場合においても、ある程度大きな電位差ΔVbを印加していることから、トナーTが、電位差ΔVbの作る電界から過剰な負荷を受けることになる。その結果、トナーTの劣化が促進される。
【0169】
一方、実施例2では、トナー劣化に関係するVsの値に応じて、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間の電位差ΔVbを設定している。そのため、劣化や補給によりトナーTの特性が変化しても、電位差ΔVbを常に適正値に設定することができる。これによって、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域において、強すぎる電界によるトナーTへの過剰な負荷を低減しつつ、かぶり抑制に必要な大きさの電位差ΔVbを印加することができる。その結果、トナーTの劣化促進が抑制される。又、適正な電位差ΔVbにより、劣化して摩擦帯電特性などが低下したトナーTでもかぶりの発生が抑制される。
【0170】
<画像評価(E)で比較>
次に、実施例1、2と比較例3とを比較することで、本発明の優位性を述べる。
【0171】
比較例3は、画像形成時における規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間の電位差ΔVbをΔVbminに設定している。前述したように、ΔVbmin付近では、電位差ΔVbが作る電界の作用により、現像ローラ31aの表面に固定されるトナーTと、比較的動きやすく、他の部材と接触して摩擦帯電するトナーTとが混在する。そのため、非常に不安定で、現像ローラ31a表面の薄層化されたトナーTに縦筋が発生しやすい。
【0172】
一方、実施例1、2では、画像形成時における電位差ΔVbが|ΔVb|>|ΔVbmin|を満足するように設定されている。そのため、縦筋の発生が抑制されている。
【0173】
以上説明したように、本発明では、トナー劣化に関係するVsの値を用いて、トナー補給のタイミングを決定している。そのため、トナーTの劣化状態を精度良く把握することができ、トナーTの劣化状態が所定値よりも進行する前に、新しい状態のトナーTを補給することができる。これによって、トナー補給直後のかぶりの悪化を抑制できる。
【0174】
又、トナー劣化に関係するVsの値に応じて、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間の電位差ΔVbを、常に適正値に設定する。これによって、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域において、強すぎる電界によるトナーTへの過剰な負荷を低減しつつ、かぶり抑制に必要な大きさの電位差ΔVbを印加することができる。その結果、トナーTの劣化促進が抑制される。又、適正な電位差ΔVbにより、劣化して摩擦帯電特性などが低下したトナーTでもかぶりの発生が抑制される。
【0175】
更に、画像形成時における電位差ΔVbが|ΔVb|>|ΔVbmin|を満足するように設定されることで、縦筋の発生が抑制される。
【0176】
このように、本発明によると、トナーTの劣化をより正確に把握しながらトナーTの補給を行うことで、トナーTの特性を維持し、長期にわたって良好な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置及び関連する画像形成装置の一部の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明に従うトナー補給制御の一例のフローチャート図である。
【図4】本発明に従うトナー補給制御における電位差ΔVbの入力波形の一例を示すグラフ図である。
【図5】本発明に従うトナー補給制御において測定される電位差ΔVbに対するトナー層表面電位Vtとの関係の一例を示すグラフ図である。
【図6】印刷枚数とトナー劣化指標Vsとの関係の一例を示す図である。
【図7】本発明に従うトナー補給制御において算出される電位差ΔVbに対するトナー層表面電位Vtとの関係における傾きα(ΔVb+)、α(ΔVb−)を説明するための説明図である。
【図8】Vsを用いた警告・停止判定を含めた本発明に従うトナー補給制御の他の例のフローチャート図である。
【図9】比較例に係るトナー補給制御のフローチャート図である。
【図10】比較例に係るトナー補給制御のフローチャート図である。
【図11】本発明に従うトナー補給制御と共に用いるのに適した電位差ΔVbの設定方法の一例のフローチャート図である。
【図12】トナー劣化指標Vsと電位差ΔVbの適正値との関係の一例を示す図である。
【図13】検知されたトナー層表面電位Vtの変動幅を説明するための説明図である。
【図14】従来の現像装置の一例の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0178】
1 感光体ドラム
3 現像装置
8 現像バイアス電源
9 規制バイアス電源
10 表面電位計
13 演算処理部
31 現像室
31a 現像ローラ
31b 規制ブレード
31c 供給ローラ
32 トナー収容室
34 補給用トナー収容室
100 画像形成装置
P 転写材
U プロセスカートリッジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式を用いる複写機、レーザビームプリンタなどの画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば電子写真方式を用いた画像形成装置においては、一様に帯電させられた像担持体としての感光体の表面に静電潜像が形成され、この静電潜像が現像剤としてのトナーを用いて現像されることでトナー像が形成される。そして、このトナー像が転写材上に転写され、定着されて、出力画像が得られる。
【0003】
この種の画像形成装置に用いられる現像方法としては、一般に、主にトナーとキャリアとからなる2成分現像剤を用いた2成分現像法と、実質的にトナーのみからなる1成分現像剤を用いた1成分現像法が知られている。更に、1成分現像法は、磁性トナーを用いる磁性1成分現像方式と、非磁性トナーを用いる非磁性1成分現像方式とに分類される。
【0004】
ところで、いずれの現像方法を採用した画像形成装置においても、感光体の表面の静電潜像を現像する現像装置内に、新しい状態の現像剤を適宜補給しながら画像形成を行う技術が提案されている。
【0005】
図14に、新しい状態の現像剤を適宜補給する機構を備えた現像装置の一例を示す。ここで、新しい状態の現像剤とは、現像装置における現像剤の搬送経路に未だ投入されていない現像剤である。
【0006】
図14において、現像装置203は、現像室231と、非磁性1成分現像剤としてのトナーTを収容するトナー収容室232と、補給用のトナーTを収容する補給用トナー収容室234とを備えている。トナー収容室232から開口部233を通して現像室231に供給されたトナーTは、供給ローラ231cにより、供給ローラ231cと接触して配置された現像ローラ231aの表面に供給される。現像ローラ231aの表面に供給されたトナーTは、層厚規制部材231bと現像ローラ231aとの当接位置において、摩擦帯電するとともに、その層厚が規制される。層厚規制部材231bとしては、金属薄板を片持ちで支持し、現像ローラ231aとの対向部の腹面を現像ローラ231aに当接させて配置されるブレード形状のもの(規制ブレード)が用いられる。現像ローラ231aの表面において、帯電され、層厚が規制されたトナーTは、感光体ドラム201と現像ローラ231aとの接触位置まで搬送され、感光体ドラム201上に転移する。これにより、感光体ドラム201の表面に形成された静電潜像が現像され、感光体ドラム201上にトナー像が形成される。一方、補給用トナー収容室234に収容された新しい状態のトナーTは、開閉可能な弁234bを備えた補給用開口部235を通して、トナー収容室232に適宜補給される。
【0007】
このように新しい状態のトナーを適宜補給することで、画像形成装置を長期間使用した場合にも、現像装置内のトナーの特性を維持することができる。その結果、トナーの経時劣化による出力画像の画質低下が低減される。例えば、トナーが劣化して摩擦帯電能力などが低下すると、正規帯電極性と逆極性に帯電するトナーが増加しやすくなり、非画像部にトナーが付着してしまう現象(以下「かぶり」と呼ぶ。)が悪化する。これに対して、補給により現像装置内に特性劣化のない新しい状態のトナーを入れて、現像装置内のトナーの特性を維持することで、かぶりの悪化を抑制できる。
【0008】
しかしながら、新しい状態のトナーを補給することで、逆に出力画像の画質低下が引き起こされる場合もあることが知られている。例えば、著しく劣化が進んだトナーに対して新しい状態のトナーを補給した場合などに、トナー補給前よりもかぶりが悪化することがある。この原因は、従来、以下のように考えられている。
【0009】
劣化したトナーは、外添剤の遊離や埋め込みなどにより摩擦帯電能力などが低下している。一方、新しい状態のトナーは摩擦帯電能力などが高い状態にある。これらの特性の異なるトナーが摩擦帯電すると、新しい状態のトナーは正規帯電しやすく、劣化したトナーは逆帯電しやすい。よって、新しい状態のトナーと劣化したトナーとは互いに静電的に吸着して、強固なトナー固まりとして存在してしまう。そのため、十分摩擦帯電することができなくなる。従って、著しく劣化したトナーと新しい状態のトナーのように、特性差の大きなトナーが混在すると、未帯電のトナーや逆帯電したトナーが増え、かぶりが増加しやすい。
【0010】
そこで、新しい状態のトナーを適宜補給する機構を備えた現像装置において、トナーの特性を維持し、経時的に安定した画像を出力できるように、トナー補給のタイミングを制御する技術が提案されている。
【0011】
例えば、特許文献1には、現像装置内のトナー残量に応じてトナー補給を行う方法が記載されている。又、特許文献2には、印刷枚数と現像装置内のトナー残量とを検知して、画像比率を考慮したトナー補給を行う方法が記載されている。更に、2成分現像法を採用している例ではあるが、特許文献3には、2成分現像剤の劣化度合いを求め、その結果に応じて、キャリアもしくはキャリアとトナーの両方を補給する方法が記載されている。この技術では、現像ローラとドクターブレードとの間に所定の電圧を印加して、両部材間を通過する2成分現像剤に流れる電流値を測定する。そして、得られた電流値と現像装置内のトナー濃度とから2成分現像剤の劣化度合いを求めている。
【特許文献1】特開2000−29290号公報
【特許文献2】特開2000−147889号公報
【特許文献3】特開2007−79218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の補給タイミングの制御方法では、トナーの劣化度合いを正確に把握することが難しかった。そのため、予想以上にトナーの劣化が進み、補給時にかぶりが悪化するなどして、出力画像の画質の安定化が不十分であるという問題があった。
【0013】
従って、本発明の目的は、現像剤の劣化をより正確に把握しながら現像剤の補給を行うことで、現像剤の特性を維持し、長期にわたって良好な画像が出力可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、像担持体と、前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、前記像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像装置であって、現像剤を収容する現像剤収容室と、現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持する現像剤の層厚を規制する規制部材と、を具備する現像装置と、前記現像剤担持体に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、前記規制部材に電圧を印加する第2の電圧印加手段と、を有する画像形成装置において、前記第2の電圧印加手段によって前記規制部材に印加される電圧Vbと前記第1の電圧印加手段によって前記現像剤担持体に印加される電圧Vdevとの電位差ΔVb=Vb−Vdevを可変に制御する電圧制御手段と、前記規制部材によって層厚が規制された後の前記現像剤担持体上の現像剤層表面の電位Vtを検知する電位検知手段と、前記現像剤収容室に対し現像剤を補給させるための信号を出力する演算処理手段と、を有し、前記演算処理手段は、前記電圧制御手段によって前記電圧Vbが前記電圧Vdevよりも現像剤の正規帯電極性と同極性側に大きくなる範囲において、前記電位差ΔVbを変化させながら前記電位検知手段によって前記電位Vtを検知することで求められた、前記電位差ΔVbに対する電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)に係る情報と、当該情報に対応する予め設定された基準値の情報と、を比較した結果に基づいて、前記現像剤収容室に現像剤を補給させるための信号を出力することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、現像剤の劣化をより正確に把握しながら現像剤の補給を行うことで、現像剤の特性を維持し、長期にわたって良好な画像を出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。以下に説明する構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0017】
[実施例1]
1.画像形成装置の全体構成及び動作
先ず、本発明の第1の実施例にかかる画像形成装置の構成及び動作について説明する。図1は、本実施例の画像形成装置100の概略構成を示す模式的断面図である。
【0018】
本実施例の画像形成装置100は、像担持体としてのドラム型の電子写真感光体である感光体ドラム1を備えている。そして、感光体ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電装置2、現像手段としての現像装置3、転写手段としての転写装置4、クリーニング手段としてのクリーニング装置5などが配置されている。
【0019】
本実施例では、感光体ドラム1と、帯電装置2と、現像装置3と、クリーニング装置5とは、一体的にカートリッジ化されており、画像形成装置本体(図示せず)に対して着脱自在なプロセスカートリッジUを構成している。
【0020】
ここで、プロセスカートリッジとは、感光体と、感光体に作用するプロセス手段としての帯電手段、現像手段及びクリーニング手段のうちの少なくともひとつとが、一体的にカートリッジ化されており、画像形成装置本体に対して着脱可能とされたものである。
【0021】
又、本実施例の画像形成装置100において、プロセスカートリッジUの外側には、露光手段としての露光装置6が配置されている。
【0022】
更に、本実施例の画像形成装置100において、感光体ドラム1と転写装置4との間に形成される転写領域Nに対して、転写材(記録材)Pの搬送方向下流側には、定着手段としての定着装置7が配置されている。
【0023】
感光体ドラム1は、アルミニウム製のドラム基体上に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした感光体層を有している。画像形成時において、感光体ドラム1は駆動手段(図示せず)により、図示矢印R1方向に回転駆動される。本実施例では、感光体ドラム1として直径30mmの負帯電性の有機感光体ドラムを用いる。又、本実施例では、感光体ドラム1は図示矢印R1方向に周速(プロセススピード)180mm/sで回転駆動される。
【0024】
帯電装置2は、帯電ローラを備えており、帯電ローラは導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1の表面に加圧接触して配置されている。画像形成時には、帯電ローラは、感光体ドラム1の回転に伴い図示矢印R2方向に従動回転する。このとき、帯電ローラの芯金には、帯電バイアス印加手段としての帯電バイアス電源(図示せず)から直流電圧が印加される。これにより、感光体ドラム1の表面は、所定の表面電位(本実施例では負極性)に一様に帯電される。本実施例では、帯電ローラの芯金に対して−1100Vの直流電圧が印加され、感光体ドラム1の表面は−550Vに一様に帯電させられる。
【0025】
露光装置6は、レーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー、光学レンズ系などを備えている。画像形成時には、画像情報に対応して変調されたレーザ光Lを出力し、一様に帯電された感光体ドラム1の表面を露光する。これにより、露光された部位は、キャリア発生層から発生したキャリアにより表面の電荷が消失され、表面電位が低下する。その結果、感光体ドラム1の表面に画像情報に対応した静電潜像(静電像)が形成される。本実施例では、感光体ドラム1の表面の露光されない部位の表面電位(暗部電位)が−550V、露光される部位の表面電位(明部電位)が−100Vとなる。
【0026】
現像装置3は、現像剤として非磁性1成分現像剤、即ち、トナーTを備えている。本実施例では、トナーTの帯電極性は、感光体ドラム1の帯電極性と同じ負極性である。又、現像装置3は、現像剤担持体としての現像ローラ31aを備えている。画像形成時には、現像ローラ31aは、感光体ドラム1と接触した状態で回転駆動される。このとき、現像ローラ31aには、現像バイアス印加手段としての現像バイアス電源8(図2)により、感光体ドラム1の帯電極性と同極性の直流電圧が印加される。これにより、負極性に帯電されたトナーTが、現像ローラ31aと感光体ドラム1とが接触する領域において、現像ローラ31aの表面から感光体ドラム1の表面の明部電位部分に転移して付着する。このようにして、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像は反転現像されて、感光体ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。本実施例では、現像ローラ31aには、−300Vの直流電圧が印加される。又、本実施例では、現像ローラ31aは、感光体ドラム1との対向領域において、その表面移動方向が感光体ドラム1の表面移動方向と順方向となるように、図示矢印R3方向に周速240mm/sで回転駆動される。尚、現像装置3の詳細については後述する。
【0027】
転写装置4は、転写ローラを備えており、転写ローラは感光体ドラム1に対して所定の押圧力で接触して配置されている。画像形成時には、転写ローラに転写バイアス印加手段としての転写バイアス電源(図示せず)から、トナーTの正規帯電極性(本実施例では負極性)とは逆極性の直流電圧が印加される。これにより、転写ローラと感光体ドラム1とが接触して形成される転写領域Nに電界が形成される。一方、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が転写領域Nに到達するのに合わせて、記録用紙などの転写材Pが転写材収納部としてのカセットなど(図示せず)から転写領域Nに搬送されてくる。そして、転写領域Nにおいて、上記電界の作用により、感光体ドラム1の表面のトナー像が転写材P上に転写される。
【0028】
定着装置7は、定着ローラと加圧ローラとを備えている。画像形成時には、定着ローラは、加圧ローラに所定の押圧力で接触した状態で回転駆動される。そして、定着ローラと加圧ローラとの接触領域において転写材Pを挟持搬送しながら、転写材P上に転写されたトナー像を加熱及び加圧する。これにより、転写領域Nから定着装置7に搬送されてきた転写材P上のトナー像は、転写材P上に定着される。その後、転写材Pは排出トレイ(図示せず)上に排出される。
【0029】
クリーニング装置5は、クリーニング部材としてウレタンゴム製のクリーニングブレードを備えている。クリーニングブレードは、片持ちで支持され、その自由端側の先端部が感光体ドラム1の回転方向の上流側を向くように、所謂、カウンタ方向に、所定の圧力をもって感光体ドラム1の表面に当接されている。トナー像の転写工程において転写材P上に転写されずに感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーは、クリーニングブレードにより感光体ドラム1の表面から除去され、クリーニング装置5内に回収される。そして、転写残トナーを除去された感光体ドラム1の表面は、再び帯電装置2により帯電され、その後、上述の露光、現像、転写、クリーニングの各工程が繰り返される。
【0030】
本実施例では、帯電装置2と、露光装置6とで、感光体ドラム1上に静電像を形成する静電像形成手段が構成される。
【0031】
2.現像装置
次に、現像装置3についてより詳しく説明する。図2は、本実施例の現像装置3及び関連する画像形成装置100の一部の概略構成を示す模式的断面図である。
【0032】
現像装置3は、現像室31と、トナーTを収容する現像剤収容室としてのトナー収容室32と、補給用のトナーTを収容し現像剤補給手段を構成する補給用トナー収容室34と、を備えている。
【0033】
現像室31には、現像剤担持体としての現像ローラ31aと、層厚規制部材(規制部材)としての規制ブレード31bと、現像剤供給部材としての供給ローラ31cと、が設けられている。現像ローラ31aは、トナーTを担持して感光体ドラム1に向けて搬送する。規制ブレード31bは、現像ローラ31aに担持するトナーTの層厚を規制する。現像ローラ31aは、現像装置3の開口部に感光体ドラム1と対向配置され、図示矢印R3方向に回転自在に設けられている。供給ローラ31cは、現像ローラ31aと接触して配置され、図示矢印R4方向に回転自在に設けられている。規制ブレード31bは、現像ローラ31aと供給ローラ31cとの接触位置に対して、現像ローラ31aの回転方向下流側で、現像ローラ31aに当接するように配置されている。
【0034】
トナー収容室32には、回転自在な撹拌部材32aが設けられている。又、トナー収容室32は、開口部33を介して現像室31とつながっている。本実施例では、撹拌部材32aは、現像ローラ31aの回転軸線方向と略平行に配置された回転軸を中心として回転する羽根状部材で構成されている。
【0035】
補給用トナー収容室34には、補給用トナー搬送部材34aが設けられている。又、補給用トナー収容室34は、開閉可能な弁34bを備えた補給用開口部35を介して、トナー収容室32とつながっている。本実施例では、補給用トナー搬送部材34aは、現像ローラ31aの回転軸線方向と略平行に配置された回転軸を中心として回転する羽根状部材で構成される。又、本実施例では、弁34bは、所定の樹脂からなる板状部材で構成される。又、本実施例では、補給用トナー収容室34は、トナー収容室32に対して着脱自在であり、適宜、トナー収容室32に対して補給用トナー収容室34を交換することができるようになっている。
【0036】
画像形成時には、トナー収容室32に収容されたトナーTは、撹拌部材32aにより撹拌されながら開口部33を通して現像室31に供給される。現像室31に供給されたトナーTは、現像ローラ31aに接触した状態で図示矢印R4方向に回転駆動される供給ローラ31cにより、現像ローラ31aの表面に供給される。現像ローラ31aの表面に供給されたトナーTは、現像ローラ31aに担持されてその回転に伴い搬送され、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接位置において摩擦帯電するとともに、その層厚が規制される。そして、現像ローラ31a表面の薄層化されたトナーTは、現像ローラ31aに担持されてその回転に伴い搬送され、感光体ドラム1と現像ローラ31aとの接触位置において、感光体ドラム1上に転移する。これにより、感光体ドラム1の表面に形成された静電潜像は現像され、感光体ドラム1上にトナー像が形成される。又、現像ローラ31a表面の現像に寄与しなかったトナーTは、供給ローラ31cにより現像ローラ31aの表面から剥ぎ取られる。
【0037】
一方、弁34bと補給用トナー搬送部材34aは、後述するトナー補給制御により作動させられる。トナー補給時には、弁34bは開放状態となり、補給用トナー搬送部材34aの回転により、補給用トナー収容室34に収容された補給用の新しい状態のトナーTが、補給用開口部35を通してトナー収容室32に補給される。
【0038】
本実施例では、トナーTは、結着樹脂、電荷制御剤を含む懸濁重合法により調整され、流動化剤などを外添剤として添加することで負帯電性を有するように作製した。ただし、これに限定されるものではなく、例えば、粉砕法や、乳化重合法などの他の重合法を用いて調整されたトナーTでもよい。
【0039】
現像ローラ31aとしては、次のような構成のものを使用可能である。芯金上に、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ヒドリンゴムなどのゴム材料により形成された弾性層を有する単層ローラや、弾性層の表面にシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂などを塗工して表層を形成した複数層構成のローラなどである。感光体ドラム1に対して安定して弾性接触させるためには、弾性層の硬度はアスカーC硬度で40°〜70°であることが好ましい。又、現像ローラ31aの表面粗さは、算術平均粗さRa[JIS中心線平均粗さ(JIS B 0601:2001)]が0.05μm〜5.0μmであることが好ましい。これは、使用するトナーの粒径にもよるが、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接位置においてトナーを摩擦帯電させるためである。又、現像ローラ31aの体積抵抗値は、104Ω〜107Ω以下であることが好ましい。
【0040】
尚、現像ローラ31aの体積抵抗値は、次のようにして測定される。直径30mmの鏡面金属製円筒部材と現像ローラとを、当接荷重500gfで現像ローラ長手方向全域にわたって当接させた状態で、該鏡面金属製円筒部材を1.0rpsの周速度で回転させる。そして、現像ローラの芯金と該鏡面金属製円筒部材との間に−50Vの直流電圧を印加して、接地側に接続した10kΩの抵抗の両端電圧を測定し、測定した電圧値から電流値及び現像ローラの抵抗値を算出する。
【0041】
画像形成時には、現像ローラ31aは、感光体ドラム1と所定の当接幅を持って接触した状態で、感光体ドラム1の周速度よりも速い周速度で回転駆動される。このとき、現像ローラ31aの芯金には、第1の電圧印加手段としての現像バイアス電源8により、負極性の所定の直流電圧が印加される。
【0042】
本実施例では、直径8mmの芯金上に、層厚4mmのシリコーンゴムから成る弾性層を持ち、その表面にアクリル・ウレタン系樹脂を塗工して表層とした、直径16mmの現像ローラ31aを用いる。又、本実施例の現像ローラ31aの硬度はアスカーC硬度で55°、表面粗さは算術平均粗さRaで1.5μm、体積抵抗値は105Ωである。又、現像ローラ31aには、現像バイアス電源8から−300Vの直流電圧が印加され、感光体ドラム1との対向領域において、その表面移動方向が感光体ドラム1の表面移動方向と順方向となるよう、図示矢印R方向に、周速240mm/sで回転駆動される。
【0043】
供給ローラ31cとしては、現像ローラ31aへのトナーTの供給性能及び現像ローラ31aからのトナーTの剥ぎ取り性能の点から、次のような構成のものが好ましい。即ち、芯金上に、発泡ウレタンゴム、発泡EPDMゴム、発泡シリコーンゴムなどの材料で構成された発泡骨格状スポンジ構造を持つものである。
【0044】
画像形成時において、供給ローラ31cは、現像ローラ31aと所定の当接幅を持って接触した状態で回転駆動される。ここで、供給ローラ31cの周速度と現像ローラ31aの周速度との間には、周速差を持たせる方が好ましい。
【0045】
本実施例では、直径5mmの芯金上に、発泡骨格状スポンジ構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを層厚5.5mmで形成した、直径16mmの供給ローラ31cを用いる。又、本実施例では、供給ローラ31cは、供給ローラ31cの芯金と現像ローラ31aの芯金とが等電位になるように調整される。又、本実施例では、供給ローラ31cは、現像ローラ31aとの接触領域において、その表面移動方向が現像ローラ31aの表面移動方向とは逆方向となるよう、図示矢印R4方向に、周速220mm/sで回転駆動される。
【0046】
規制ブレード31bは、弾性及び導電性を有している。又、規制ブレード31bは、現像装置3に固定された支持板金により、ステンレス鋼やリン青銅などの金属薄板を片持ちで支持して構成されることが好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、規制ブレード31は、シリコーンゴム、ウレタンゴムなどのゴム材料や、ステンレス鋼、リン青銅などの金属薄板を基体とし、現像ローラ31aとの接触面側に導電性ゴム材料などを塗工して構成されたものでもよい。
【0047】
規制ブレード31bは、その自由端側の先端近傍において、現像ローラ31aの外周面に面接触するように配置されている。規制ブレード31bには、第2の電圧印加手段としての規制バイアス電源9が接続されている。そして、画像形成時には、規制バイアス電源9から規制ブレード31bに所定の直流電圧が印加される。
【0048】
ここで、規制ブレード31bに印加する直流電圧をVb、現像ローラ31aの芯金に印加する直流電圧をVdevとして、その差である電位差(差分値)ΔVbを、下記式、
ΔVb=Vb−Vdev
と定義する。そして、画像形成動作中には、この電位差ΔVbがトナーTの正規帯電極性と同極性となるように、規制バイアス電源9から規制ブレード31bに所定の直流電圧が印加される。即ち、画像形成動作中には、規制ブレード31bに印加する直流電圧Vbの方が、現像ローラ31aに印加する直流電圧Vdevよりも、トナーTの正規帯電極性側に大きくなるように、規制バイアス電源9から規制ブレード31bに直流電圧を印加する。このとき、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域及びその近傍において、正規帯電極性に帯電したトナーTを現像ローラ31a側に引き付ける電界が形成される。
【0049】
本実施例では、厚さ1.2mmの鉄板からなる支持板金に、厚さ0.1mmのリン青銅薄板を固定支持して構成された規制ブレード31bを使用する。ここで、リン青銅薄板の片持ち支持部分から現像ローラ31aとの当接位置までの距離、所謂、自由長さは12mmであり、現像ローラ31aのリン青銅薄板に対する押し込み量は1.5mmである。又、規制ブレード31bの現像ローラ31aに対する当接方向は、規制ブレード31bの自由端側の先端が、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接位置に対して現像ローラ31aの回転方向上流側に位置する、所謂、カウンタ方向である。そして、画像形成時には、規制ブレード31bに規制バイアス電源9から−500Vの直流電圧が印加され、ΔVbは−200Vとなる。
【0050】
補給用トナー搬送部材34aとしては、トナーTの搬送性能及び駆動時にかかるトルクの点から、所定の樹脂又は金属からなる薄板に複数の穴を空けたものを撹拌羽根とした構成や、所定の樹脂又は金属からなる棒状体で構成されたものが好ましい。本実施例では、複数の穴を空けたマイラシートからなる補給用トナー搬送部材34aを用いる。トナー補給時には、補給用トナー搬送部材34aは、図示矢印R5方向に所定の速度で回転駆動される。ただし、補給用トナー搬送部材34aは、トナーTをトナー収容室32に搬送できればよいので、補給用トナー搬送部材34aの回転方向はこれに限定されるものではなく、逆方向でもよい。
【0051】
現像バイアス電源8は、前記したように、現像ローラ31aの芯金に負極性の所定の直流電圧を印加する。又、現像バイアス電源8は、演算処理手段としての演算処理部13と接続されており、演算処理部13の指示に応じて電圧を印加する。
【0052】
規制バイアス電源9は、前記したように、規制ブレード31bに所定の直流電圧を印加する。規制バイアス電源9は、印加電圧が可変な電源であり、電圧印加部9aと、電圧制御部9bと、を有する構成とされる。電圧制御部9bは、電位差ΔVbを可変に制御する電圧制御手段である。又、規制バイアス電源9は、演算処理部13と接続されており、後述する電位差ΔVbを可変に制御する電圧制御手段としての機能を有する演算処理部13の指示に応じて電圧を印加する。
【0053】
又、画像形成装置100は、現像剤担持体上の現像剤層の表面電位を検知する表面電位検知手段(電位検知手段)としての表面電位計10を有する。表面電位計10は、現像ローラ31aの回転方向において、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接位置から、感光体ドラム1と現像ローラ31aとの対向位置までの間に配置される。そして、表面電位計10は、現像剤層表面の電位、即ち、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーTの表面電位を検知する。表面電位計10は、演算処理部13と接続されており、検知結果を演算処理部13に転送することができる。本実施例では、表面電位計10として、「表面電位計 MODEL 344」(TREK社製)を用いる。又、図示していないが、表面電位計10の基準電位は、現像ローラ31aの芯金の電位としている。
【0054】
又、画像形成装置100は、補給用トナー搬送部材34aと接続された補給用トナー搬送部材制御部11、弁34bと接続された弁制御部12を有する。補給用トナー搬送部材制御部11、弁制御部12は、いずれも演算処理部13と接続されており、演算処理部13の指示に応じてそれぞれ補給用トナー搬送部材34a、弁34bの動作を制御する。
【0055】
演算処理手段としての演算処理部13は、演算処理を行う中心的素子であるCPU14、検知結果などを格納する書き換え可能な記憶装置としてのRAM15、予め用意されたデータ値などを格納している記憶装置としてのROM16などから構成されている。CPU14、RAM15及びROM16は、互いにデータの転送や読込みが可能となっている。演算処理部13は、本実施例の制御における演算処理及び各部の動作の制御を実行する。
【0056】
尚、本実施例における現像装置3の補給用トナー収容室34を除いたトナー容量は、画像比率5%のA4サイズ画像5000枚相当である。又、トナー補給なしで画像比率5%のA4サイズ画像5000枚印刷後の現像装置3内トナー量は、概ね初期トナー充填量の40%程度となるようになっている。更に、トナー補給時には、補給用トナー収容室34から初期トナー充填量の約40%の量を補給するように設定されている。
【0057】
3.トナー補給制御
次に、本実施例におけるトナー補給制御について説明する。図3は、トナー補給制御の手順を示すフローチャートである。
【0058】
所定のタイミングにおいて、トナー補給の制御が始まると、先ず、ステップSa1では、電圧可変な規制バイアス電源9により、規制ブレード31bに印加する直流電圧と現像ローラ31aに印加する直流電圧との間の電位差ΔVbが掃引される。具体的には、図4に示すような掃引時間と電位差との関係(サイン波)に従って約20秒間かけて0Vから−150Vまで変化させた。より詳細には、本実施例では、現像ローラ31aに印加する直流電圧は−300Vで固定とし、規制ブレード31bに印加する直流電圧を−300Vから−450Vまで変化させた。即ち、本実施例では、規制ブレード31bに印加する直流電圧の方が、現像ローラ31aに印加する直流電圧よりも、トナーの正規帯電極性と同極性側に大きくなる範囲内において、電位差ΔVbを変化させながら、表面電位Vtを検知する。
【0059】
次に、ステップSa2では、表面電位計10により、電位差ΔVbを掃引したときの現像ローラ31a上トナー層の表面電位Vtが検知され、演算処理部13内のRAM15に転送・格納される。ここで、この表面電位Vtは、トナーの正規帯電極性と同極性である。
【0060】
次に、ステップSa3において、演算処理部13内のCPU14により、RAM15内に格納された電位差ΔVbと表面電位Vtとから、電位差ΔVbに対する表面電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)が算出され、RAM15に格納される。図5は、この関係Vt=Vt(ΔVb)の一例である。
【0061】
ここで、電位差ΔVbに対する表面電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)(以下、表面電位プロファイルと呼ぶ。)について説明する。
【0062】
本発明者らが鋭意検討した結果、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)には、次のような極大値と、極小値とが生じることが分かった。ここで、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)における表面電位Vtの極大値、極小値とは、表面電位Vtの絶対値においてみた場合のものである。即ち、表面電位VtがトナーTの正規帯電極性(本実施例では負極性)の方向に凸な極値(図5における極大値)と、表面電位VtがトナーTの正規帯電極性と逆方向に凸な極値(図5における極小値)とである。更に、図6に示すように、表面電位Vtが、それぞれ極大値と極小値をとるときの電位差、即ち、ΔVbmaxとΔVbminとの差、
Vs(=|ΔVbmin−ΔVbmax|)
の値は、印刷枚数の増加とともに徐々に増加する傾向があることが分かった。これらの理由は、十分明らかになってはいないが、概ね以下のように考えられる。
【0063】
表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、表面電位Vtが極大値、極小値を持つのは、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域において、電位差ΔVbの値によりトナーの摩擦帯電に変化が生じるためであると考えられる。具体的には、トナーTと他の部材との接触回数が変化することで、トナーTの摩擦帯電量が変化すると考えている。
【0064】
図5において、電位差ΔVbの絶対値が|ΔVbmax|より小さい領域では、正規帯電したトナーTを現像ローラ31aの方向に引き付ける力が小さいため、比較的トナーTが動きやすく、他の部材との接触回数が多くなる。その結果、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーTの摩擦帯電量は多くなり、表面電位Vtの絶対値は大きくなる。
【0065】
一方、電位差ΔVbの絶対値が|ΔVbmin|より大きい領域では、正規帯電したトナーTを現像ローラ31aの方向に引き付ける力が大きくなる。そのため、少しでも正規帯電したトナーTは、現像ローラ31aの表面に固定されるようになり、他の部材との接触回数が少なくなる。その結果、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーTの摩擦帯電量は少なくなり、表面電位Vtの絶対値が小さくなる。
【0066】
電位差ΔVbmaxからΔVbminまでの間は、電位差ΔVbが作る電界の作用により、トナーTの挙動が変化する領域であると考えられる。具体的には、この領域は、電位差ΔVbが作る電界の作用により、現像ローラ31aの表面に固定されるトナーTと、比較的動きやすく、他の部材と接触して摩擦帯電するトナーTとが混在する、不安定な領域である。そのため、特に電位差ΔVbをΔVbmin付近に設定すると、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーT上に、現像ローラ31a回転方向の不規則な筋、所謂、縦筋が発生しやすい。
【0067】
このことから、画像形成時に縦筋の影響が出ないようにするためには、次のような設定とすることが好ましい。即ち、ステップSa1、Sa2において、電位差ΔVbを掃引しながら現像ローラ31a表面の表面電位Vtを検知する際に、検知終了時の電位差ΔVbが、
|ΔVb|>|ΔVbmin|
を満足することが好ましい。更に、
|ΔVb|>|ΔVbmin|+20V
を満足することがより好ましい。
【0068】
又、このトナーTの挙動が変化する領域、即ち、電位差ΔVbmaxとΔVbminとの差Vsにおけるトナーの挙動は、使用するトナーの特性によって異なる。そのため、現像装置3内のトナーTが、現像ローラ31a、規制ブレード31b、供給ローラ31c、感光体ドラム1などの摺擦の影響を受け、特性が劣化すると、Vsが変化する。トナーの劣化によるVsの変化については、以下のように考えられる。
【0069】
摺擦の影響を受けたトナーTは、外添剤の遊離や埋め込みが発生し、凝集性が高くなる。トナーの凝集性が高いと、トナー1個1個が動きにくいため、摩擦帯電しにくくなる。そのため、トナーの凝集体を崩し、摩擦帯電させて現像ローラ31aの表面に固定するには、より大きな電界が必要となり、ΔVbmaxからΔVbminまでの間隔が広くなる。つまり、トナーTの劣化が進むと、電位差ΔVbmaxとΔVbminとの差Vsが大きくなる。
【0070】
本発明においては、このVsをトナー劣化の指標として用いることで、トナー補給のタイミングを決定する。
【0071】
再び図3を参照して、ステップSa4では、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、表面電位Vtが極大値をとるときの電位差ΔVbmaxの算出が、CPU14により行われる。そして、算出された電位差ΔVbmaxは、RAM15に格納される。
【0072】
次に、ステップSa5からステップSa8、ステップSa15及びステップSa16における、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、表面電位Vtが極小値をとるときの電位差ΔVbminの算出までを説明する。
【0073】
先ず、ステップSa5では、CPU14により、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)の|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、電位差ΔVbに対する表面電位Vtの傾きα(ΔVb)が算出される。本実施例では、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、各電位差ΔVbから、トナーTの正規帯電極性の方向に約1V程度大きい値までの間の傾きを算出し、各電位差ΔVbに対する表面電位Vtの傾きα(ΔVb)とした。ただし、本実施例では約1V程度としたが、傾きα(ΔVb)は検知装置の検知精度などに依存するため、それらに応じて適宜設定することが望ましい。
【0074】
次に、ステップSa6では、傾きα(ΔVb)の判定を行い、α(ΔVb)において、
α(ΔVb)>−1
を満足するものが存在しない場合には、画像形成装置100を停止し、警告を出してトナー補給の制御を終了する。即ち、画像形成装置100を停止し、警告を出してトナー補給の制御を終了するのは、
α(ΔVb)≦−1
を満足するものが存在する場合である。この場合には、|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、表面電位Vtが極小値をとらないため、Vsの算出ができない。この現象は、現像ローラ31aの表面へ逃げるトナー帯電電荷が多くなった場合などに起こり、正常な状態ではない。そのため、本実施例では、この場合には画像形成装置100を停止させることとした。
【0075】
一方、α(ΔVb)>−1を満足するものが存在する場合には、ステップSa7において、再び傾きα(ΔVb)の判定を行う。ここでは、α(ΔVb)において、
α(ΔVb)>0
を満足するものが存在するかどうかを判定する。
【0076】
α(ΔVb)>0を満足するものがある場合には、ステップSa8に進み、CPU14により、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、表面電位Vtが極小値をとるときの電位差ΔVbminが算出され、RAM15に格納される。
【0077】
一方、α(ΔVb)>0を満足するものが存在しない場合には、ステップSa15に進む。そして、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)の|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域における各電位差ΔVbにおいて、トナーTの正規帯電極性側の傾きα(ΔVb+)と、トナーTの正規帯電極性と逆極性側の傾きα(ΔVb−)が算出される。
【0078】
本実施例では、図7に示すように、各電位差ΔVbにおいて、トナーTの正規帯電極性側、及び逆極性側に約1V程度大きい値とΔVbとの間の傾きを算出し、各電位差ΔVbにおける傾きα(ΔVb+)及びα(ΔVb−)とした。即ち、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、各電位差VbのトナーTの正規帯電極性側の所定の領域における傾きをα(ΔVb+)、トナーTの正規帯電極性とは逆極性側の所定の領域における傾きをα(ΔVb−)とした。ただし、本実施例では約1V程度としたが、傾きα(ΔVb+)及びα(ΔVb−)は、検知装置の検知精度などに依存するため、それらに応じて適宜設定することが望ましい。
【0079】
次に、ステップSa16で、α(ΔVb+)−α(ΔVb−)>5となるときの電位差ΔVbを算出する。そして、ステップSa8において、この電位差ΔVbを電位差ΔVbminとし、RAM15に格納する。
【0080】
このように、α(ΔVb+)−α(ΔVb−)>5となるときの電位差ΔVbを電位差ΔVbminとするのは、次のような理由による。即ち、傾きα(ΔVb)において、α(ΔVb)>−1となるα(ΔVb)が存在し、且つ、α(ΔVb)>0となるα(ΔVb)が存在しない場合には、|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、表面電位Vtが極小値をとらない。しかし、極小値はとらないものの、傾きα(ΔVb)が急激に変化する点を持つ。そこで、そのα(ΔVb)の変化点を算出し、そのときの電位差ΔVbをΔVbminとすることで、Vsの算出を行う。
【0081】
ステップSa9では、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、電位差ΔVbがそれぞれΔVbmax、ΔVbminのときの表面電位Vt、即ち、極大値Vtmaxと極小値VtminがCPU14により算出され、RAM15に格納される。
【0082】
そして、ステップSa10では、CPU14により、RAM15に格納されたVtmax、Vtminを用いて、表面電位Vtの極大値と極小値の差、
VD(=|Vtmax−Vtmin|)
が算出される。
【0083】
ステップSa11では、算出されたVDの判定を行い、
VD<0.5V
と判定された場合には、画像形成装置100を停止し、警告を出してトナー補給の制御を終了する。即ち、この場合、演算処理部13は、警告を発するため及び/又は画像形成動作を停止させるための信号を出力する。
【0084】
これは、トナーTの凝集性が非常に高い場合などには、凝集体が崩しきれなくなり、トナーの摩擦帯電量が少なくなる、又はトナー層の高さが高くなるため、表面電位Vtにおいて、トナー挙動の差が表れにくくなると考えられる。よって、本実施例では、表面電位Vtの極大値と極小値の差VDが非常に小さい場合には、画像形成装置100を停止させることとした。
【0085】
一方、VD≧0.5Vと判定された場合には、ステップSa12に進み、RAM15に格納された電位差ΔVbmaxと電位差ΔVbminから、
Vs=|ΔVbmin−ΔVbmax|
がCPU14により算出される。
【0086】
次に、ステップSa13では、CPU14は、ROM16に予め格納された所定値(基準値)Vshを読み出す。又、ステップSa14では、CPU14は、読み出した所定値Vshと、上述のようにして算出したVsとを比較する。
【0087】
ここで、所定値Vshは、本実施例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。具体的には、トナー補給を行わずに画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、Vsの算出と画像評価を随時行い、5000枚印刷した後のVsの値を所定値Vshとした。本実施例では、Vsh=21VとしてROM16に書き込まれている。
【0088】
そして、Vsが基準値Vsh以上の場合、即ち、Vs≧Vshの場合には、ステップSa18に進み、補給用トナー搬送部材制御部11と弁制御部12により、補給用トナー搬送部材34aと弁34bが作動させられ、トナー補給が行われる。即ち、この場合演算処理部13は、トナー収容室32にトナーを補給させるための信号を出力する。一方、Vs<Vshの場合には、ステップSa19に進み、トナー補給を行わずにトナー補給の制御を終了する。
【0089】
尚、トナー補給後はステップSa1に戻り、トナー補給の必要なしと判断されるまで同工程を繰り返す。
【0090】
4.画像形成装置の警告・停止判定
本実施例では、上述のトナー補給制御と同様のトナー劣化の指標Vsを用いて、画像形成装置100(或いは現像装置3)の警告・停止判定も行うことができる。以下、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御について説明する。
【0091】
図8は、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御の手順を示すフローチャートである。図8中のステップSb1〜Sb12は、図3に示したトナー補給制御におけるステップSa1〜Sa12の各工程と同じである。又、図8中のステップSb15〜Sb21は、図3中のステップSa13〜Sa19と同じである。
【0092】
ステップSb12においてVsが算出された後、ステップSb13では、ROM16に予め格納された所定値(第2の基準値)Vskが、CPU14により読み出される。
【0093】
ここで、所定値Vskは、本実施例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。この所定値Vskは、所定値Vshよりも大きい。具体的には、Vshのときと同様、トナー補給を行わずに画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、Vsの算出と画像評価を随時行い、所定値Vskの値を決めた。本実施例ではVsk=23VとしてROM16に書き込まれている。
【0094】
次に、ステップSb14では、CPU14は、算出されたVsと所定値Vskを比較する。そして、Vsが第2の基準値Vsk以上、即ち、Vs≧Vskの場合には、ステップSb19に進み、画像形成装置100を停止し、警告を出してトナー補給制御を終了する。これは、トナー補給が正常に行われなかった場合や、補給用トナーTがなくなった場合で、現像装置3内のトナーTは劣化が著しく進んだ状態であると考えられる。一方、Vs<Vskの場合には、ステップSb15に進み、以降は図3を参照して説明したトナー補給の判定を行う。
【0095】
このトナー劣化の指標Vsを用いた警告・停止判定により、トナーTの劣化に応じた適切なタイミングで画像形成装置100の停止が行えるため、重大な画像不良や画像形成装置本体の汚染を未然に防ぐことができる。又、プロセスカートリッジUの交換などのタイミングも知ることができる。
【0096】
本実施例では、画像形成を行わない非印刷中(非画像形成時)に、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御を実施した。具体的には、印刷枚数1000枚毎に制御を行った。
【0097】
尚、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御において、トナー補給判定とVsを用いた警告・停止判定はどちらを先に行ってもよいが、Vsを用いた警告・停止判定の後にトナー補給判定を行う方が好ましい。
【0098】
又、本実施例では、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御を行ったが、トナー補給判定とVsを用いた警告・停止判定を、それぞれトナー補給制御とVsを用いた警告・停止制御に分けて、異なるタイミングで行ってもよい。
【0099】
又、本実施例では、正規帯電極性が負極性であるトナーを用いたが、これに限定されるものではなく、正規帯電極性が正極性であるトナーを用いてもよい。その場合には、必要に応じて、帯電装置2、現像ローラ31a、規制ブレード31b、供給ローラ31cを始めとする各部材に印加する電圧の極性を変える。
【0100】
又、トナー補給の方法に関して、本実施例では、補給用トナー搬送部材34aなどにより、トナー収容室32に新しい状態のトナーを補給可能であるとした。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、トナー補給時に手動で補給用トナー収容室34を交換してトナー補給を行ってもよい。
【0101】
又、本実施例では、トナーTの劣化に応じて、補給用トナー収容室34からトナー収容室32に新しい状態のトナーTを補給するだけであった。しかし、これに限定されるものではなく、トナーTを補給する際に、トナー収容室32内の劣化したトナーTを、所定量だけ現像装置3外へ強制排出する動作を入れてもよい。それによって、劣化したトナーTの影響を小さくすることができる。更に、トナー収容室32内のトナー量を調整することもできる。
【0102】
[比較例1]
本比較例は、基本的には実施例1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0103】
実施例1では、トナー補給制御におけるトナー劣化の指標として、電位差ΔVbmaxとΔVbminの差Vsを用いた。これに対して、本比較例では、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内のトナー残量を、トナー劣化の指標とする。
【0104】
図9は、本比較例におけるトナー補給制御の手順を示すフローチャートである。
【0105】
所定のタイミングにおいて、トナー補給の制御が始まると、先ず、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内トナー残量が検知される(ステップSd1)。トナー残量の検知方法としては、本比較例では、トナー収容室32内に設けられたトナー残量検知センサを用いた。
【0106】
次に、CPU14により、検知されたトナー残量から、初期トナー充填量に対するトナー残量の比Qが算出される(ステップSd2)。その後、CPU14は、ROM16に予め格納された所定値Qhを読み出し(ステップSd3)、算出されたQと所定値Qhとを比較する(ステップSd4)。
【0107】
ここで、所定値Qhは、本比較例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。具体的には、トナー補給を行わずに画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、Qhの算出と画像評価を随時行い、所定値Qhの値を決めた。本比較例では、Qh=0.4としてROM16に書き込まれている。
【0108】
そして、ステップSd4において、Q≦Qhである場合には、トナーTの補給が実施される(ステップSd5)。一方、Q>Qhである場合には、トナー補給を行わずにトナー補給制御を終了する。
【0109】
[比較例2]
本比較例は、基本的には実施例1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0110】
実施例1では、トナー補給制御におけるトナー劣化の指標として、電位差ΔVbmaxとΔVbminの差Vsを用いた。これに対して、本比較例では、画像比率Rを、トナー劣化の指標とする。
【0111】
図10は、本比較例におけるトナー補給制御の手順を示すフローチャートである。
【0112】
所定のタイミングにおいて、トナー補給の制御が始まると、先ず、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内トナー残量が検知される(ステップSe1)。トナー残量の検知方法は、比較例1と同じである。
【0113】
次に、CPU14により、検知されたトナー残量と、現像装置3の使用開始(及び前回のトナー補給)からの印刷枚数とから、画像比率Rが算出される(ステップSe2)。具体的には、トナー残量に基づいて算出されるトナー消費量の積算値と印刷枚数の積算値とをパラメータとして、ROM16に予め格納された画像比率テーブルから、画像比率Rを取得することで算出される。ここで、画像比率テーブルは、本比較例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。その後、CPU14は、ROM16に予め格納された所定値Rhを読み出し(ステップSe3)、算出されたRと所定値Rhとを比較する(ステップSe4)。
【0114】
本比較例では、所定値Rhは画像比率5%であり、Rh=0.05としてROM16に書き込まれている。
【0115】
そして、ステップSe4において、R≦Rhである場合には、トナーTの補給が実施される(ステップSe5)。一方、R>Rhである場合には、トナー補給を行わずにトナー補給制御を終了する。
【0116】
[実施例2]
本実施例は、基本的には実施例1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0117】
実施例1では、画像形成時に現像ローラ31aの芯金に印加される直流電圧が−300V、規制ブレード31bに印加される直流電圧が−500Vで、その電位差ΔVbは−200Vで固定であった。これに対して、本実施例では、電圧可変な規制バイアス電源9により、画像形成時における電位差ΔVbを、トナーTの劣化状態に応じて変化させる。
【0118】
以下、本実施例における電位差ΔVbの設定方法について説明する。
【0119】
電位差ΔVbの設定におけるトナー劣化の指標としては、トナー補給制御などと同じ電位差ΔVbmaxとΔVbminの差Vsを用いる。
【0120】
図11は、電位差ΔVbの設定を行う手順を示すフローチャートである。図11中のステップSc1〜Sc12は、図3に示したトナー補給制御におけるステップSa1〜Sa12の各工程と同じである。又、図11中のステップSc16〜Sc18は、図3中のステップSa15〜Sa17と同じである。又、本実施例では、図8を参照して説明した手順におけるトナー補給制御終了(図8のステップSb21)後に、電位差ΔVbの設定が開始される。
【0121】
ステップSc12においてVsが算出された後、ステップSc13では、ROM16に予め格納された、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)が、CPU14により読み出される。
【0122】
ここで、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)は、本実施例と同じ構成の現像装置を用いて予め求められたものである。具体的には、トナー補給を行わずに画像比率5%のA4サイズ画像を連続印刷しながら、Vsの算出と電位差ΔVbを変えての画像評価を随時行い、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)を得た。図12は、本実施例におけるVsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)を示している。図12から、Vsが大きいほど電位差ΔVbの適正値も大きくなることが分かる。
【0123】
又、前記したように、電位差ΔVbがΔVbmin付近に設定されると、縦筋が発生しやすい。このことから、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)に基づく電位差ΔVbは、
|ΔVb|>|ΔVbmin|
を満足することが好ましく、
|ΔVb|>|ΔVbmin|+20V
を満足することがより好ましい。
【0124】
更に、現像ローラ31a表面の薄層化されたトナーTを安定にするためには、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)に基づく電位差ΔVbは、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、次の関係を満足することが好ましい。即ち、各電位差ΔVbにおける表面電位Vtの変動幅ΔVt(ΔVb)が、
|ΔVt(ΔVb)|≦3×|ΔVt(ΔVbmin)|
を満足することが好ましい。以下に、その理由を説明する。
【0125】
まず、表面電位Vtの取り込みにおける変動幅について説明する。図13に示すように、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、各電位差ΔVb近傍の所定領域における電位Vtの変動幅を求める。本実施例では、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)において、各電位差ΔVbからトナーTの正規帯電極性の方向に約5V程度大きい値までの間の変動幅を、電位差ΔVbにおける表面電位Vtの変動幅ΔVt(ΔVb)とした。ただし、本実施例では約5V程度としたが、変動幅は検知装置の検知精度などに依存するため、それらに応じて適宜設定することが望ましい。
【0126】
そして、本発明者らが鋭意検討した結果、この変動幅は、現像ローラ31aの表面の薄層化されたトナーTが不安定になると、大きくなることが分かった。その理由は、概ね以下のように考えられる。
【0127】
電位差ΔVbを大きくすると、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間、トナーTとトナーTとの間、トナーTと規制ブレード31bなどの部材との間などで、局所的に放電現象が発生する。その結果、トナーTの摩擦帯電量や現像ローラ31a表面の電位などが不安定になり、表面電位Vtの変動幅は大きくなる。
【0128】
一方、電位差ΔVbが、
|ΔVbmin|≦|ΔVb|≦|ΔVbmin|+20V
の領域では、放電が発生することはなく、縦筋の発生などもないため、表面電位Vtの変動幅は小さく安定している。
【0129】
そこで、この領域における表面電位Vtの変動幅ΔVt(ΔVbmin)を基準にすると、現像ローラ31a表面の薄層化されたトナーTが不安定になる領域における表面電位Vtの変動幅は、
|ΔVt(ΔVb)|>3×|ΔVt(ΔVbmin)|
であることが分かった。ΔVt(ΔVbmin)は、表面電位プロファイルVt=Vt(ΔVb)における、電位差ΔVbmin近傍の所定の領域における電位Vtの変動幅である。
【0130】
再び図11を参照して、次に、ステップSc14では、算出されたVsに応じて、Vsに対する電位差ΔVbの適正値の関係ΔVb=ΔVb(Vs)から適正な電位差ΔVbが算出される。その後、ステップSc15において、算出された適正な電位差ΔVbを設定し、電位差ΔVbの設定を終了する。
【0131】
本実施例では、画像形成を行わない非印刷中(非画像形成時)に電位差ΔVbの設定を実施した。具体的には、印刷枚数1000枚毎に電位差ΔVbの設定を行った。
【0132】
又、本実施例では、電位差ΔVbの設定を、Vsを用いた警告・停止判定を含めたトナー補給制御と同じタイミングで実施したが、これに限定されるものではなく、異なるタイミングで行ってもよい。
【0133】
[比較例3]
本比較例は、基本的には実施例2に準ずるが、以下の点が異なる。
【0134】
実施例2では、電位差ΔVbの設定において、適正な電位差ΔVbが|ΔVb|>|ΔVbmin|を満足するように設定した。これに対して、本比較例では、適正な電位差ΔVbをΔVbminとする。
【0135】
[評価試験例]
1.評価方法
次に、各実施例及び比較例の評価について説明する。
【0136】
画像評価は、次の5種類を行った。
(A)トナー補給直後のかぶり評価1(画像比率5%、連続印刷)
(B)トナー補給直後のかぶり評価2(画像比率1%、連続印刷)
(C)トナー補給直後のかぶり評価3(画像比率1%、間欠印刷)
(D)トナー補給通しての耐久かぶり評価(画像比率1%、連続印刷)
(E)縦筋評価
又、各画像評価は、全て23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で行った。
【0137】
以下、各画像評価について個別に説明する。
【0138】
(A)トナー補給直後のかぶり評価1(画像比率5%、連続印刷)
かぶり量は、出力画像の白地部分(非画像部)の白色度(反射率Ds(%))と、記録紙の白色度(平均反射率Dr(%))との差から、かぶり濃度(%)(=Dr(%)−Ds(%))を算出し、評価した。ここで、上記Ds(%)とDr(%)は、「REFLECTMETER MODEL TC−6DS」(東京電色社製)により測定した。又、測定時に使用するフィルタとしては、シアンの場合はアンバーライト、イエローの場合はブルー、マゼンタ及びブラックの場合はグリーンのフィルタを用いた。又、かぶり評価では、記録紙上を10点以上測定し、その平均値を求めた。
【0139】
かぶりの評価基準は、以下に示すとおりである。
○:1.0%未満
△:1.0%以上2.0%未満
×:2.0%以上
【0140】
かぶり評価のタイミングは、3回目のトナー補給が行われた直後とし、全面白画像を3枚連続出力して、最もかぶり量の多い出力画像を評価した。
【0141】
画像出力試験は、画像比率5%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、連続的に出力して行った。具体的には、画像比率5%の横線として、1ドットライン印字後に19ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0142】
(B)トナー補給直後のかぶり評価2(画像比率1%、連続印刷)
本画像評価は、基本的には、(A)トナー補給直後のかぶり評価1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0143】
本画像評価の画像出力試験は、画像比率1%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、連続的に出力して行った。具体的には、画像比率1%の横線として、1ドットライン印字後に99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0144】
(C)トナー補給直後のかぶり評価3(画像比率1%、間欠印刷)
本画像評価は、基本的には、(A)トナー補給直後のかぶり評価1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0145】
本画像評価の画像出力試験は、画像比率1%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、間欠的に出力して行った。ここで、本画像評価における間欠印刷とは、所定枚数印刷後に現像装置の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行う印刷方法を意味している。よって、印刷動作の開始直後及び終了直前に非印字状態のまま現像装置が作動する時間が生じる。本画像評価では、2枚連続印刷後に現像装置の動作を一旦停止させ、それから再度印刷動作を行うように設定した。
【0146】
(D)トナー補給通しての耐久かぶり評価(画像比率1%、連続印刷)
本画像評価は、基本的には、(A)トナー補給直後のかぶり評価1に準ずるが、以下の点が異なる。
【0147】
本画像評価のかぶり評価のタイミングは、3回目のトナー補給が行われた後、更に5000枚連続印刷した後とした。
【0148】
画像出力試験は、画像比率1%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、連続的に出力して行った。具体的には、画像比率1%の横線として、1ドットライン印字後に99ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0149】
(E)縦筋評価
縦筋評価のタイミングは、1000枚連続印刷した後とし、全面黒画像を出力して、目視により縦筋の有無を評価した。評価基準は、以下に示すとおりである。
○:全面黒画像中に、縦筋が2本未満
×:全面黒画像中に、縦筋が2本以上
【0150】
画像出力試験は、画像比率5%の横線画像を印刷したA4サイズの記録紙を、連続的に出力して行った。具体的には、画像比率5%の横線として、1ドットライン印字後に19ドットライン非印字を繰り返す画像を用いた。
【0151】
2.評価結果
表1に、実施例1、2及び比較例1〜3の画像評価結果を示す。
【0152】
【表1】
【0153】
以下、実施例1、2と比較例1〜3を比較することで、本発明の優位性について説明する。
【0154】
<画像評価(A)、(B)、(C)で比較>
先ず、実施例1と比較例1、2とを比較することで、本発明の優位性を説明する。
【0155】
画像評価(A)、即ち、画像比率5%での連続印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価では、実施例1、比較例1、2はいずれも、かぶりは少なく良好である。これは、各々が、画像比率5%の画像の連続印刷を基準にして、トナーTを補給するタイミングを予め設定しているためである。
【0156】
ところが、比較例1においては、画像評価(B)、即ち、画像比率1%での連続印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価で、かぶりが悪化している。これは、以下のように考えられる。
【0157】
比較例1は、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内の初期トナー充填量に対するトナー残量の比Qが、所定値Qh以下になったときに補給が行われる。つまり、比較例1は、予め設定したトナー残量以下になったときにトナー補給が実施される例である。この場合、トナーTの補給タイミングを設定したときの条件(画像比率5%の画像の連続印刷)よりも、トナー消費量の少ない条件(例えば、画像比率1%)では、画像比率5%の画像を連続印刷した場合より、Q≦Qhとなるまでに時間がかかる。これによって、トナーTが、現像ローラ31aと感光体ドラム1との間を始めとする、各部材間の摺擦の影響を受ける時間が長くなり、その結果、トナーTの劣化が著しく進む。著しく劣化が進んだトナーに新しい状態のトナーを補給すると、前述したように、劣化したトナーと新しい状態のトナーとの特性差が大きいため、未帯電や逆帯電のトナーが増えやすく、かぶりが増加しやすい。
【0158】
又、比較例1では、より劣化が進む条件である、画像評価(C)、即ち、画像比率1%での間欠印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価でも、かぶりが悪化した。
【0159】
一方、比較例2においては、画像評価(B)、即ち、画像比率1%での連続印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価で、かぶりは少なく良好であった。しかしながら、画像評価(C)、即ち、画像比率1%での間欠印刷時におけるトナー補給直後のかぶり評価では、かぶりが悪化した。これは、以下のように考えられる。
【0160】
比較例2は、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内トナー残量と、現像装置3の使用開始(及び前回のトナー補給)からの印刷枚数とから算出された画像比率Rが、所定値Rh以下になったときに補給が行われる。つまり、比較例2は、所定のタイミングにおいて、予め設定した画像比率以下である場合には、トナー補給が実施される例である。この場合には、トナーTの補給タイミングを設定したときの条件(画像比率5%の画像の連続印刷)よりも、トナー消費量の少ない条件(例えば、画像比率1%)は、R≦Rhを満足するためにトナー補給が随時行われる。これによって、比較例2では、画像比率1%での連続印刷時においても、トナーTの劣化が著しく進む前に、新しい状態のトナーTを補給することができるため、トナー補給によるかぶりの悪化を抑制できている。
【0161】
しかし、画像評価(C)、即ち、画像比率1%での間欠印刷時には、画像出力しない状態で現像装置3が作動する時間が増加し、よりトナーTの劣化が進みやすくなる。ところが、比較例2では、画像出力しない間の影響などは考慮できないため、その分、R≦Rhを満足してトナー補給されるまでに、トナーTの劣化が進むことになる。その結果、新しい状態のトナーTを補給したときにかぶりが悪化する。
【0162】
以上のことから、トナー補給直後のかぶりの悪化を抑制するためには、補給用トナー収容室34を除いた現像装置3内のトナーTの劣化状態が、所定値よりも進行する前に新しい状態のトナーTを補給することが重要であると考えられる。
【0163】
本発明に従う実施例1では、トナー劣化に関係するVsの値を用いて、トナー補給のタイミングを決定している。そのため、画像評価(B)、即ち、画像比率1%での連続印刷時においても、又、画像評価(C)、即ち、画像比率1%での間欠印刷時においても、トナーTの劣化状態を精度良く把握することができる。これによって、トナーTの劣化状態が所定値よりも進行する前に、新しい状態のトナーTを補給することができ、トナー補給直後のかぶりの悪化を抑制できる。
【0164】
ここで、前述したように、従来、規制ブレードと現像ローラとの間に流れる電流の値からトナーの劣化状態を検知して、トナー補給のタイミングを決める方法がある。しかし、この方法では、現像ローラなど、他の部材の影響を多く含むために、トナーの劣化状態のみを把握することが困難である。
【0165】
これに対して、本発明に従えば、トナー劣化の指標Vsは、規制ブレードと現像ローラとの間の電位差ΔVbを変化させたときの、トナーの挙動の変化の大きさを表している。そのため、トナー特性の変化を精度良く把握できる。
【0166】
<画像評価(D)で比較>
次に、本発明に従う実施例2の有効性を説明するために、実施例1と比較する。
【0167】
実施例2は、実施例1に比べて、トナー補給通しての耐久後のかぶりが少なく良好である。これは、以下のように考えられる。
【0168】
実施例1では、画像形成時における規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間の電位差ΔVbは−200Vで固定している。規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域で、この電位差ΔVbの作る電界からトナーTが受ける力は、劣化により摩擦帯電特性などが低下していないトナーTの方が大きいと考えられる。そのため、例えば、印刷枚数が少ない時期や、新しい状態のトナーTが補給されたときなどには、トナーTが電位差ΔVbの作る電界から力を受けやすい。実施例1では、それらの場合においても、ある程度大きな電位差ΔVbを印加していることから、トナーTが、電位差ΔVbの作る電界から過剰な負荷を受けることになる。その結果、トナーTの劣化が促進される。
【0169】
一方、実施例2では、トナー劣化に関係するVsの値に応じて、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間の電位差ΔVbを設定している。そのため、劣化や補給によりトナーTの特性が変化しても、電位差ΔVbを常に適正値に設定することができる。これによって、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域において、強すぎる電界によるトナーTへの過剰な負荷を低減しつつ、かぶり抑制に必要な大きさの電位差ΔVbを印加することができる。その結果、トナーTの劣化促進が抑制される。又、適正な電位差ΔVbにより、劣化して摩擦帯電特性などが低下したトナーTでもかぶりの発生が抑制される。
【0170】
<画像評価(E)で比較>
次に、実施例1、2と比較例3とを比較することで、本発明の優位性を述べる。
【0171】
比較例3は、画像形成時における規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間の電位差ΔVbをΔVbminに設定している。前述したように、ΔVbmin付近では、電位差ΔVbが作る電界の作用により、現像ローラ31aの表面に固定されるトナーTと、比較的動きやすく、他の部材と接触して摩擦帯電するトナーTとが混在する。そのため、非常に不安定で、現像ローラ31a表面の薄層化されたトナーTに縦筋が発生しやすい。
【0172】
一方、実施例1、2では、画像形成時における電位差ΔVbが|ΔVb|>|ΔVbmin|を満足するように設定されている。そのため、縦筋の発生が抑制されている。
【0173】
以上説明したように、本発明では、トナー劣化に関係するVsの値を用いて、トナー補給のタイミングを決定している。そのため、トナーTの劣化状態を精度良く把握することができ、トナーTの劣化状態が所定値よりも進行する前に、新しい状態のトナーTを補給することができる。これによって、トナー補給直後のかぶりの悪化を抑制できる。
【0174】
又、トナー劣化に関係するVsの値に応じて、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの間の電位差ΔVbを、常に適正値に設定する。これによって、規制ブレード31bと現像ローラ31aとの当接領域において、強すぎる電界によるトナーTへの過剰な負荷を低減しつつ、かぶり抑制に必要な大きさの電位差ΔVbを印加することができる。その結果、トナーTの劣化促進が抑制される。又、適正な電位差ΔVbにより、劣化して摩擦帯電特性などが低下したトナーTでもかぶりの発生が抑制される。
【0175】
更に、画像形成時における電位差ΔVbが|ΔVb|>|ΔVbmin|を満足するように設定されることで、縦筋の発生が抑制される。
【0176】
このように、本発明によると、トナーTの劣化をより正確に把握しながらトナーTの補給を行うことで、トナーTの特性を維持し、長期にわたって良好な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の画像形成装置における現像装置及び関連する画像形成装置の一部の概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明に従うトナー補給制御の一例のフローチャート図である。
【図4】本発明に従うトナー補給制御における電位差ΔVbの入力波形の一例を示すグラフ図である。
【図5】本発明に従うトナー補給制御において測定される電位差ΔVbに対するトナー層表面電位Vtとの関係の一例を示すグラフ図である。
【図6】印刷枚数とトナー劣化指標Vsとの関係の一例を示す図である。
【図7】本発明に従うトナー補給制御において算出される電位差ΔVbに対するトナー層表面電位Vtとの関係における傾きα(ΔVb+)、α(ΔVb−)を説明するための説明図である。
【図8】Vsを用いた警告・停止判定を含めた本発明に従うトナー補給制御の他の例のフローチャート図である。
【図9】比較例に係るトナー補給制御のフローチャート図である。
【図10】比較例に係るトナー補給制御のフローチャート図である。
【図11】本発明に従うトナー補給制御と共に用いるのに適した電位差ΔVbの設定方法の一例のフローチャート図である。
【図12】トナー劣化指標Vsと電位差ΔVbの適正値との関係の一例を示す図である。
【図13】検知されたトナー層表面電位Vtの変動幅を説明するための説明図である。
【図14】従来の現像装置の一例の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0178】
1 感光体ドラム
3 現像装置
8 現像バイアス電源
9 規制バイアス電源
10 表面電位計
13 演算処理部
31 現像室
31a 現像ローラ
31b 規制ブレード
31c 供給ローラ
32 トナー収容室
34 補給用トナー収容室
100 画像形成装置
P 転写材
U プロセスカートリッジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、前記像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像装置であって、現像剤を収容する現像剤収容室と、現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持する現像剤の層厚を規制する規制部材と、を具備する現像装置と、前記現像剤担持体に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、前記規制部材に電圧を印加する第2の電圧印加手段と、を有する画像形成装置において、
前記第2の電圧印加手段によって前記規制部材に印加される電圧Vbと前記第1の電圧印加手段によって前記現像剤担持体に印加される電圧Vdevとの電位差ΔVb=Vb−Vdevを可変に制御する電圧制御手段と、
前記規制部材によって層厚が規制された後の前記現像剤担持体上の現像剤層表面の電位Vtを検知する電位検知手段と、
前記現像剤収容室に対し現像剤を補給させるための信号を出力する演算処理手段と、
を有し、
前記演算処理手段は、前記電圧制御手段によって前記電圧Vbが前記電圧Vdevよりも現像剤の正規帯電極性と同極性側に大きくなる範囲において、前記電位差ΔVbを変化させながら前記電位検知手段によって前記電位Vtを検知することで求められた、前記電位差ΔVbに対する電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)に係る情報と、当該情報に対応する予め設定された基準値の情報と、を比較した結果に基づいて、前記現像剤収容室に現像剤を補給させるための信号を出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記演算処理手段は、前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、前記電位Vtが極大値をとるときの前記電位差ΔVbをΔVbmaxとし、当該関係の|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、前記電位Vtが極小値をとるときの前記電位差ΔVbをΔVbminとするとき、下記式、
Vs=|ΔVbmin−ΔVbmax|
で表される指標Vsが、予め設定された基準値Vsh以上の場合に、前記現像剤収容室に現像剤を補給させるための信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記演算処理手段は、前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、前記電位Vtが極大値をとるときの前記電位差ΔVbをΔVbmaxとし、当該関係の|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、現像剤の正規帯電極性側の所定の領域における傾きα(ΔVb+)と、現像剤の正規帯電極性とは逆極性側の所定の領域における傾きα(ΔVb−)との関係が、下記式、
α(ΔVb+)−α(ΔVb−)>5
を満足する前記電位差ΔVbをΔVbminとするとき、下記式、
Vs=|ΔVbmin−ΔVbmax|
で表される指標Vsが、予め設定された基準値Vsh以上の場合に、前記現像剤収容室に現像剤を補給させるための信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電位差ΔVbは、現像剤の正規帯電極性と同極性であり、画像形成動作中は前記電圧制御手段により、下記式、
|ΔVb|>|ΔVbmin|
を満足するように設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電位差ΔVbは、画像形成動作中は前記電圧制御手段により、下記式、
|ΔVb|>|ΔVbmin|+20[V]
を満足するように設定されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、前記電位差ΔVbmin近傍の所定の領域における前記電位Vtの変動幅をΔVt(ΔVbmin)とするとき、前記電位差ΔVbは、画像形成動作中は前記電圧制御手段により、その前記電位差ΔVb近傍の所定の領域における前記電位Vtの変動幅ΔVt(ΔVb)が、下記式、
|ΔVt(ΔVb)|≦3×|ΔVt(ΔVbmin)|
を満足するように設定されることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電位差ΔVbは、画像形成動作中は前記電圧制御手段により、前記指標Vsの値に応じて設定され、前記指標Vsの値が大きいほど|ΔVb|は大きいことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記演算処理手段は、前記指標Vsが、前記基準値Vshより大きい第2の基準値Vsk以上の場合には、警告を発するため及び/又は画像形成動作を停止させるための信号を出力することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記関係Vt=Vt(ΔVb)を求める際の前記電位Vtの検知終了時における前記電位差ΔVbは、下記式、
ΔVb≠ΔVbmin
を満足することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記関係Vt=Vt(ΔVb)を求める際の前記電位Vtの検知終了時における前記電位差ΔVbは、下記式、
|ΔVb|>|ΔVbmin|
を満足することを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記関係Vt=Vt(ΔVb)を求める際の前記電位Vtの検知終了時における前記電位差ΔVbは、下記式、
|ΔVb|>|ΔVbmin|+20[V]
を満足することを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記演算処理手段は、前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域に、下記式、
α(ΔVb)≦−1
を満足する前記電位差ΔVbに対する前記電位Vtの傾きα(ΔVb)が存在する場合には、警告を発するため及び/又は画像形成動作を停止させるための信号を出力することを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記演算処理手段は、前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、前記電位差ΔVbmaxのときの前記電位VtをVtmax、前記電位差ΔVbminのときの前記電位VtをVtminとするとき、下記式、
VD=|Vtmax−Vtmin|
で表されるVDが0.5[V]より小さい場合には、警告を発するため及び/又は画像形成動作を停止させるための信号を出力することを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体に静電像を形成する静電像形成手段と、前記像担持体に形成された静電像を現像剤で現像する現像装置であって、現像剤を収容する現像剤収容室と、現像剤を担持して前記像担持体に向けて搬送する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に担持する現像剤の層厚を規制する規制部材と、を具備する現像装置と、前記現像剤担持体に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、前記規制部材に電圧を印加する第2の電圧印加手段と、を有する画像形成装置において、
前記第2の電圧印加手段によって前記規制部材に印加される電圧Vbと前記第1の電圧印加手段によって前記現像剤担持体に印加される電圧Vdevとの電位差ΔVb=Vb−Vdevを可変に制御する電圧制御手段と、
前記規制部材によって層厚が規制された後の前記現像剤担持体上の現像剤層表面の電位Vtを検知する電位検知手段と、
前記現像剤収容室に対し現像剤を補給させるための信号を出力する演算処理手段と、
を有し、
前記演算処理手段は、前記電圧制御手段によって前記電圧Vbが前記電圧Vdevよりも現像剤の正規帯電極性と同極性側に大きくなる範囲において、前記電位差ΔVbを変化させながら前記電位検知手段によって前記電位Vtを検知することで求められた、前記電位差ΔVbに対する電位Vtの関係Vt=Vt(ΔVb)に係る情報と、当該情報に対応する予め設定された基準値の情報と、を比較した結果に基づいて、前記現像剤収容室に現像剤を補給させるための信号を出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記演算処理手段は、前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、前記電位Vtが極大値をとるときの前記電位差ΔVbをΔVbmaxとし、当該関係の|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、前記電位Vtが極小値をとるときの前記電位差ΔVbをΔVbminとするとき、下記式、
Vs=|ΔVbmin−ΔVbmax|
で表される指標Vsが、予め設定された基準値Vsh以上の場合に、前記現像剤収容室に現像剤を補給させるための信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記演算処理手段は、前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、前記電位Vtが極大値をとるときの前記電位差ΔVbをΔVbmaxとし、当該関係の|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域において、現像剤の正規帯電極性側の所定の領域における傾きα(ΔVb+)と、現像剤の正規帯電極性とは逆極性側の所定の領域における傾きα(ΔVb−)との関係が、下記式、
α(ΔVb+)−α(ΔVb−)>5
を満足する前記電位差ΔVbをΔVbminとするとき、下記式、
Vs=|ΔVbmin−ΔVbmax|
で表される指標Vsが、予め設定された基準値Vsh以上の場合に、前記現像剤収容室に現像剤を補給させるための信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電位差ΔVbは、現像剤の正規帯電極性と同極性であり、画像形成動作中は前記電圧制御手段により、下記式、
|ΔVb|>|ΔVbmin|
を満足するように設定されることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電位差ΔVbは、画像形成動作中は前記電圧制御手段により、下記式、
|ΔVb|>|ΔVbmin|+20[V]
を満足するように設定されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、前記電位差ΔVbmin近傍の所定の領域における前記電位Vtの変動幅をΔVt(ΔVbmin)とするとき、前記電位差ΔVbは、画像形成動作中は前記電圧制御手段により、その前記電位差ΔVb近傍の所定の領域における前記電位Vtの変動幅ΔVt(ΔVb)が、下記式、
|ΔVt(ΔVb)|≦3×|ΔVt(ΔVbmin)|
を満足するように設定されることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記電位差ΔVbは、画像形成動作中は前記電圧制御手段により、前記指標Vsの値に応じて設定され、前記指標Vsの値が大きいほど|ΔVb|は大きいことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記演算処理手段は、前記指標Vsが、前記基準値Vshより大きい第2の基準値Vsk以上の場合には、警告を発するため及び/又は画像形成動作を停止させるための信号を出力することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記関係Vt=Vt(ΔVb)を求める際の前記電位Vtの検知終了時における前記電位差ΔVbは、下記式、
ΔVb≠ΔVbmin
を満足することを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記関係Vt=Vt(ΔVb)を求める際の前記電位Vtの検知終了時における前記電位差ΔVbは、下記式、
|ΔVb|>|ΔVbmin|
を満足することを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記関係Vt=Vt(ΔVb)を求める際の前記電位Vtの検知終了時における前記電位差ΔVbは、下記式、
|ΔVb|>|ΔVbmin|+20[V]
を満足することを特徴とする請求項2〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記演算処理手段は、前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、|ΔVb|>|ΔVbmax|の領域に、下記式、
α(ΔVb)≦−1
を満足する前記電位差ΔVbに対する前記電位Vtの傾きα(ΔVb)が存在する場合には、警告を発するため及び/又は画像形成動作を停止させるための信号を出力することを特徴とする請求項2〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記演算処理手段は、前記求められた関係Vt=Vt(ΔVb)において、前記電位差ΔVbmaxのときの前記電位VtをVtmax、前記電位差ΔVbminのときの前記電位VtをVtminとするとき、下記式、
VD=|Vtmax−Vtmin|
で表されるVDが0.5[V]より小さい場合には、警告を発するため及び/又は画像形成動作を停止させるための信号を出力することを特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−156854(P2010−156854A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335294(P2008−335294)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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