説明

画像形成装置

【課題】感光ドラムと現像ローラとの間隔を保持し、現像による画像ムラを抑えた画像が得られる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、静電潜像が形成される感光体ドラム11と、この感光体ドラム11にトナーを供給する現像ローラ20とを備え、感光体ドラム11が回転し、感光体ドラム11上の静電潜像が順次現像される。画像形成装置1は、感光体ドラム11の周面と現像ローラ20の周面とを所定の間隔にて対向させるのに、感光体ドラム11に当接するプーリ部材61を備え、このプーリ部材61は現像時に停止している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、トナー像が形成される像担持体とこの像担持体にトナーを供給する現像剤担持体とを所定の間隔にて対向させる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式を用いた画像形成装置では、トナー像が形成される像担持体である感光体ドラムの回転方向に沿って、帯電器、露光器、現像器、及び転写ローラ等が配置され、まず、帯電器で感光体ドラムの表面を均一に帯電させた後、画像データに応じて、露光器で感光体ドラムを露光し、感光体ドラム上に静電潜像を形成する。そして、現像器によって感光体ドラム上の静電潜像を現像して、トナー像とする。その後、感光体ドラム上のトナー像が転写ローラによって用紙に転写され、トナー像が転写された用紙は定着ユニットに搬送されて、ここで転写像が用紙に定着された後、排紙される。
【0003】
上述の現像器には、現像剤担持体である現像ローラが備えられており、印字品質を所望の品質に維持するためには、現像ローラと感光体ドラム表面とを所定の間隔に精度よく保持する必要がある。
【0004】
このため、例えば、特許文献1では、現像ローラの両端部には、現像ローラの中心軸線と同一の軸線でギャップコロが配設されて、現像器がバネ等の付勢部材に押圧されることにより、ギャップコロは感光体ドラム側に押圧されている。このギャップコロによって、感光体ドラムの周面と現像ローラとが所定の間隔に保持される。そして、現像ローラから感光体ドラムに現像剤が供給され、感光体ドラム上の静電潜像が現像され、感光体ドラム上にトナー像が形成される。
【0005】
しかしながら、上述した先行技術では、ギャップコロの感光体ドラムに当接する外周面の真円度、またギャップコロの現像ローラ軸線との同軸度のバラツキがあり、更にギャップコロを長く繰り返し用いると、ギャップコロ外周面に汚れや傷等が発生する。これらのギャップコロの真円度や同軸度、またギャップコロ外周面の汚れや傷等によって、感光体ドラムの周面と現像ローラとの間隔の精度が低下する。例えば、感光体ドラムが回転し静電潜像を現像しているときに、ギャップコロの真円度、同軸度のバラツキによって、感光体ドラム周面とギャップコロとの当接位置によっては、感光体ドラム周面と現像ローラとの間隔が変化することになる。この間隔変化によって、間隔が変化した部分に対応する画像に画像ムラが発生する。また、ギャップコロ外周面に汚れや傷等があると、汚れや傷がある部分において、感光体ドラム周面と現像ローラとの間隔が変化し、この間隔変化によって、ピッチ状の画像ムラが発生するという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−264519号公報(段落[0025]〜[0030]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、像担持体と現像剤担持体との間隔を保持し、現像による画像ムラを抑えた画像が得られる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体とを備え、前記像担持体が回転し、前記像担持体上の静電潜像が順次現像される画像形成装置において、前記像担持体の周面と前記現像剤担持体の周面とを所定の間隔にて対向させるのに、前記像担持体に当接するプーリ部材を備え、前記プーリ部材は現像時に停止していることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、像担持体が回転し、現像剤が現像剤担持体から像担持体上に供給され、像担持体上の静電潜像が順次現像される。このとき、像担持体周面はプーリ部材の同じ周面に当接しながら回転することによって、現像時には、像担持体周面と前記現像剤担持体周面が常に所定の間隔にて対向している。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記像担持体の現像時の回転に対して前記プーリ部材を停止させ、前記像担持体の現像時の逆方向回転に対して前記プーリ部材を従動回転させる切り換え部材を備えることを特徴としている。この構成によれば、現像時に像担持体が回転しても、像担持体周面がプーリ部材の同じ周面に当接しながら回転する。そして、例えば現像終了後に像担持体が現像時の回転方向の逆方向に回転すると、プーリ部材が従動回転し、像担持体周面が先の現像時と異なるプーリ部材周面に当接することになり、次の現像時には、像担持体周面は新たなプーリ部材周面に当接しながら回転する。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、前記像担持体の逆方向回転時に、前記像担持体の周面距離が前記プーリ部材の周面長の非整数倍であることを特徴としている。この構成によれば、頻繁にプーリ部材を従動回転させて、プーリ部材の像担持体への当接面を変えても、以前に用いたプーリ部材周面が像担持体周面に当接することを回避させることが可能である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明では、前記切り換え部材は、装置本体に固設される固定軸と前記プーリ部材との間に配設される一方向クラッチを有することを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に記載の発明では、前記現像剤担持体は、現像剤を担持して前記像担持体に対向するとともに前記固定軸に回転自在に保持される現像スリーブと、前記現像スリーブの内側で前記固定軸に固設される磁極部材とを有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、像担持体が回転し、現像剤が現像剤担持体から像担持体上に供給され、像担持体上の静電潜像が順次現像される。このときに、像担持体周面はプーリ部材の同じ周面に当接しながら回転することによって、像担持体周面と前記現像剤担持体周面が常に所定の間隔にて対向している。従って、プーリ部材の真円度や同軸度等の部品精度や部品組立のバラツキの影響を受けることなく、同じ間隔を保持して現像が行われ、画像ムラを抑えた画像を得ることができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、現像時に像担持体が回転しても、像担持体周面がプーリ部材の同じ周面に当接しながら回転する。そして、例えば現像終了後に像担持体が現像時の回転方向の逆方向に回転すると、プーリ部材が従動回転し、像担持体周面は先の現像時と異なるプーリ部材周面に当接することになり、次の現像時には、像担持体周面は新たなプーリ部材周面に当接しながら回転する。つまり、先の現像時にプーリ部材に汚れや傷等が発生していても、次の現像時にプーリ部材の汚れや傷等のない周面を用いて、像担持体と現像剤担持体との間隔が保持される。従って、繰り返し画像形成しても、安定して良好な画像が得られる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、像担持体の逆方向回転時に、像担持体の周面距離がプーリ部材の周面長の非整数倍である。これによって、頻繁にプーリ部材を従動回転させて、プーリ部材の像担持体への当接面を変えても、以前に用いた汚れや傷のあるプーリ部材周面が像担持体周面に当接するおそれがない。従って、像担持体周面と前記現像剤担持体が常に所定の間隔を保持することができ、長期間に亘って繰り返し画像形成しても、安定して良好な画像が得られる。
【0017】
また、請求項4に記載の発明によれば、固定軸とプーリ部材との間に配設した一方向クラッチによって、現像時にはプーリ部材は停止状態にあって、例えば現像終了後には、像担持体を現像時と逆方向に回転させると、プーリ部材は従動回転する。従って、簡単な構成で、プーリ部材の停止または回転可能状態に切り換えることができる。
【0018】
また、請求項5に記載の発明によれば、固定軸には、現像スリーブとプーリ部材とが取り付けられるので、簡単な構成で、像担持体と現像剤担持体との間隔を正確に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は、本発明の実施形態である画像形成装置の全体構成を概略的に示す平面図である。
【図2】は、本発明の実施形態である現像装置を概略的に示す断面平面図である。
【図3】は、本発明の実施形態である像担持体と現像剤担持体の間隔を保持する構成を概略的に示す一部断面した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を概略的に示す平面図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンタである。像担持体である感光体ドラム11a〜11dは、回転自在であり、感光層を形成する感光材料として、有機感光体(OPC感光体)が用いられ、ブラック(B)、イエロー(Y)、シアン(C)及びマゼンタ(M)の各色に対応させて配される。感光層はアモルファスシリコンでもよい。各感光体ドラム11a〜11dの周囲に、現像装置2a〜2d、露光ユニット12、帯電器13a〜13d及び除電器14a〜14dが配設される。
【0022】
現像装置2a〜2dは、感光体ドラム11a〜11dの右方に対向して配置され、感光体ドラム11a〜11dにトナーを供給する。帯電器13a〜13dは、現像装置2a〜2dの感光体回転方向上流側であって感光体ドラム11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体ドラム11a〜11d表面を一様に帯電させる。また除電器14a〜14dは、現像装置2a〜2dの感光体回転方向下流側であって感光体ドラム11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体ドラム11a〜11d表面に現像後に残った電荷を除電する。
【0023】
露光ユニット12は、パーソナルコンピュータ等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、各感光体ドラム11a〜11dを走査露光するためのものであり、現像装置2a〜2dの下方に設けられる。露光ユニット12には、レーザ光源、ポリゴンミラーが設けられ、各感光体ドラム11a〜11dに対応して反射ミラー及びレンズが設けられる。レーザ光源から出射されたレーザ光が、ポリゴンミラー、反射ミラー及びレンズを介して、帯電器13a〜13dの感光体回転方向下流側において、各感光体ドラム11a〜11dの表面に照射される。照射されたレーザ光により、各感光体ドラム11a〜11d表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像装置2a〜2dによりトナー像に現像される。
【0024】
中間転写ベルト17は、駆動ローラ25、従動ローラ27、及びテンションローラ6に張架されている。この中間転写ベルト17に接触するように各感光体ドラム11a〜11dが中間転写ベルト17の下方で搬送方向(図1の矢印方向)に沿って隣り合うように配列されている。各1次転写ローラ26a〜26dは、中間転写ベルト17を挟んで各感光体ドラム11a〜11dと対向して中間転写ベルト17に圧接し、1次転写ニップ部を形成する。この各1次転写ニップ部において、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体ドラム11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写される。これによって、中間転写ベルト17表面にはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされ、カラートナー像が形成される。ベルトクリーニング31が転写後に中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃する。
【0025】
2次転写ローラ34は、中間転写ベルト17を挟んで駆動ローラ25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して2次転写ニップ部を形成する。この2次転写ニップ部において、バイアス電位(トナーの帯電極性と逆極性)が印加された2次転写ローラ34によって、中間転写ベルト17上に形成されたトナー像が用紙に2次転写される。
【0026】
画像形成装置1の下部には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設され、給紙カセット32の右方には、手差しの用紙を供給するスタックトレイ35が配設される。給紙カセット32の左方には、給紙カセット32から繰り出された用紙Pを中間転写ベルト17で形成される2次転写ニップ部に搬送する第1搬送路33が配設される。またスタックトレイ35の左方には、スタックトレイ35から繰り出された用紙を2次転写ニップ部に搬送する第2搬送路36が配設される。画像形成装置1の左上部には、トナー像が転写された用紙Pに対して定着処理を行う定着装置18と、定着処理の行われた用紙を用紙排出部37に搬送する第3搬送路39とが配設される。
【0027】
給紙カセット32は、装置の外部(図1において手前側)に引き出すことにより用紙の補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラ33b及び捌きローラ33aにより1枚ずつ第1搬送路33側に繰り出される。
【0028】
第1搬送路33と第2搬送路36とはレジストローラ33cの手前で合流しており、レジストローラ33cにより、2次転写ニップ部における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが2次転写ニップ部に搬送される。2次転写ニップ部に搬送された用紙Pは、中間転写ベルト17上のトナー像を転写され、定着装置18に搬送される。
【0029】
定着装置18は、ヒータにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに圧接して配設された加圧ローラ等とを備え、トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。定着された用紙Pは、必要に応じて第4搬送路40で反転されて用紙の裏面にも2次転写ニップ部でトナー像が転写されて、定着装置18で再度定着され、排出ローラ19aにより用紙排出部37に排出される。
【0030】
図2は、上述の画像形成装置1に用いられる現像装置の構成を示す断面平面図である。なお、以下の説明では、図1に示す感光体ドラム11aに対応する現像装置2aの構成及び動作について説明するが、現像装置2b〜2dの構成及び動作については現像装置2aと同様であり、説明を省略し、また各色の現像装置及び感光体ドラムを示すa〜dの符号を省略する。
【0031】
図2に示すように、現像装置2は、現像剤担持体である現像ローラ20と、磁気ローラ21と、現像容器22と、撹拌部材23及び規制ブレード24等により構成されている。
【0032】
現像容器22は、現像装置2の外郭を構成し、その下部の現像剤収容部22cにおいて磁性キャリアとトナーからなる現像剤を貯留し、また撹拌部材23と磁気ローラ21及び現像ローラ20を回転可能に保持している。現像容器22には、現像ローラ20を感光体ドラム11に向けて露出させる開口22aが形成されている。
【0033】
現像ローラ20は、感光体ドラム11に対向し、一定の間隔を設けて感光体ドラム11の図2の右方に配設される。また、現像ローラ20は、感光体ドラム11に接近した対向位置において、感光体ドラム11にトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラ21は、一定の間隔を設けて現像ローラ20に対向し、現像ローラ20の右斜め下方に配設される。また、磁気ローラ21は、現像ローラ20に接近した対向位置において、現像ローラ20にトナーを供給するトナー供給領域Tを形成している。撹拌部材23は磁気ローラ21の略下方に配設される。また、規制ブレード24は磁気ローラ21の左斜め下方にて現像容器22に固定保持されている。
【0034】
撹拌部材23は、第1ミキサー23aと第2ミキサー23bの2本で構成される。第2ミキサー23bが磁気ローラ21の下方に設けられ、第1ミキサー23aが第2ミキサー23bの右方に隣接して設けられる。第1ミキサー23aは磁性キャリアとトナーからなる現像剤を撹拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーは磁性キャリアに保持される。また、第1ミキサー23aと第2ミキサー23bを仕切る現像容器22の仕切り壁22bの長手方向(図2の紙面奥行き方向)の両端部分には、穴(図略)が設けられ、第1ミキサー23aが回転すると、帯電した現像剤が仕切り壁22bに設けた一方の穴から第2ミキサー23bに搬送され、現像剤が第1ミキサー23aと第2ミキサー23bとを循環する。第2ミキサー23bが回転して、現像剤が磁気ローラ21に供給される。
【0035】
規制ブレード24は、磁気ローラ21の表面に対して所定の間隔を設けて、トナー供給領域Tの磁気ローラ21の回転方向上流側に配設され、磁気ローラ21表面に形成される磁気ブラシの層厚規制を行うためのものである。
【0036】
磁気ローラ21は、ローラ軸21aと磁極部材M及び磁気スリーブ21bを備え、撹拌部材23により撹拌された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラ20に供給するものである。磁極部材Mは、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石が交互に配設され、ローラ軸21aに接着等により固着される。ローラ軸21aは、磁気スリーブ21b内で、磁極部材Mと磁気スリーブ21bの間に所定の間隔を設けて、現像容器22に回転不能に支持される。磁気スリーブ21bは、図示しないモータとギヤからなる駆動機構により、現像ローラ20と同方向(図2の時計回り方向)に回転し、また直流電圧56aに交流電圧56bを重畳したバイアス56を印加される。磁気スリーブ21b表面において、帯電した現像剤は磁極部材Mの磁力によって磁気ブラシを形成して担持され、磁気ブラシは規制ブレード24によって所定の高さに調節される。
【0037】
ここで、磁気スリーブ21bが回転すると、磁気ブラシは、磁極部材Mによって磁気スリーブ21b表面に担持されて搬送され、トナー供給領域Tで現像ローラ20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、磁気スリーブ21bに印加されたバイアス56に応じて、現像ローラ20に供給される。尚、磁気スリーブ21bは、現像ローラ20と同方向に回転するので、トナー供給領域Tにおいて、現像ローラ20に対して反対方向に回転駆動されることにより、現像ローラ20にトナーのみを供給しやすくなる。
【0038】
現像ローラ20は、固定軸20aと、磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20c等を備えて構成されている。
【0039】
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転自在に保持され、更に、磁石よりなる磁極部材20bが現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて、接着等により固着される。磁極部材20bの磁力によって、トナーが現像スリーブ20c表面に担持される。現像スリーブ20cは、図示しないモータとギヤからなる駆動機構により、図2の矢印方向(時計回り方向)に回転させられる。また、現像スリーブ20cには、直流電圧55aに交流電圧55bを重畳した現像バイアス55が印加される。
【0040】
ここで、現像バイアス55を印加された現像スリーブ20cが図2の時計回り方向に回転すると、現像領域Dにおいて、現像バイアス電位と感光体ドラム11の露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20c表面に担持されたトナーが感光体ドラム11に飛翔する。飛翔したトナーは矢印A方向(反時計回り方向)に回転する感光体ドラム11上の露光部位に順次付着し、感光体ドラム11上の静電潜像が現像される。
【0041】
現像後に、感光体ドラム11の潜像形成に供されなかった現像スリーブ20c表面の未現像トナーは、現像スリーブ20cの時計回り方向の回転によって、現像領域Dからトナー供給領域Tまで搬送され、磁気スリーブ21b表面の磁気ブラシに接触すると、磁気ブラシによって現像スリーブ20c表面から掻き取られて、磁気ローラ21側に回収される。
【0042】
次に、図3に基づいて、現像領域Dの間隔の設定について説明する。図3(a)は、感光体ドラムと現像ローラの間隔を保持する構成を概略的に示す一部断面した側面図であり、図3(b)は、図3(a)の感光体ドラム及び現像ローラの各軸方向から見た図である。
【0043】
現像ローラ20は、前述したように、固定軸20aに固設された磁極部材20bと、固定軸20aに回転自在に保持される現像スリーブ20cを備える。現像ローラ20の軸方向の両端部側には、一対のプーリ部材61が設けられる。
【0044】
プーリ部材61は、円筒形状をなし、現像領域Dでの現像スリーブ20c周面と感光体ドラム11周面とを所定の間隔に設定するものである。プーリ部材61は、後述する切り換え部材としての一方向クラッチ62を介して固定軸20aに保持されるとともに、ポリアセタール樹脂またはポリーカーボネート樹脂で形成された外周面を感光体ドラム11周面に当接させている。尚、現像ローラ20は図示しないバネ等の付勢部材によって、常にプーリ部材61が感光体ドラム11周面に当接するように付勢されている。
【0045】
感光体ドラム11は、モータとギヤからなる駆動機構63により正逆回転させられる。感光体ドラム11が反時計回り方向(図3(b)の矢印A方向)に回転する時には、現像ローラ20からトナーが供給されて、感光体ドラム11上の静電潜像が順次現像される。逆に、感光体ドラム11が時計回り方向(図3(b)の矢印B方向)に回転する時には、現像領域Dの間隔を設定しなおすことになる。
【0046】
一方向クラッチ62は、プーリ部材61の内周に固定され、固定軸20aの外周に設けられ、更に、プーリ部材61と固定軸20aとの間で、一方向の回転を伝達し、他方向の回転を伝達しないクラッチを有する。つまり、一方向クラッチ62は、プーリ部材61の矢印C方向(図3(b)参照、反時計回り方向)の回転に対して、プーリ部材61と固定軸20aとの間でクラッチを解除する。これによって、プーリ部材61は固定軸20aに対して矢印C方向に回転可能になる。逆に、一方向クラッチ62は、プーリ部材61の図3(b)の時計回り方向の回転に対して、プーリ部材61と固定軸20aとの間でクラッチを作用させる。これによって、プーリ部材61に時計回り方向の回転を作用させても、プーリ部材61は、固設された固定軸20aによって、回転することができない。
【0047】
従って、プーリ部材61に圧接する感光体ドラム11が矢印A方向に回転しても、プーリ部材61は、一方向クラッチ62によって、従動回転することがない。つまり、現像時には、感光体ドラム11が回転しても、プーリ部材61は停止しており、プーリ部材61は常に同じ周面で感光体ドラム11周面に当接し、現像領域Dの間隔が常に一定になっている。
【0048】
一方、感光体ドラム11が矢印B方向に回転するときには、一方向クラッチ62のクラッチが解除されるために、プーリ部材61は、矢印C方向に従動回転することができる。つまり、プーリ部材61が矢印C方向に従動回転することによって、プーリ部材61の感光体ドラム11周面への当接面が変わり、現像領域Dの間隔を設定しなおすことができる。
【0049】
画像形成を長期間繰り返すと、感光体ドラム11に摺擦するプーリ部材61周面が擦り減り、また摺擦による磨耗粉等の塵が発生し、更にプーリ部材61周面が傷つくことがある。これらのプーリ部材61の汚れや傷は、予め規定された現像領域Dの間隔を変えることになる。このように現像領域Dの所定間隔が変わると、現像時の画像特性を劣化させる。
【0050】
そこで、本実施形態では、所定枚数、例えば100枚の印刷を完了すると、駆動機構63のモータを現像時の回転方向の逆方向に回転させる。所定枚数の印刷が連続印刷の工程にあるときには、連続印刷の完了後に、駆動機構63のモータを逆方向に回転させる。
【0051】
所定枚数の現像完了後に、駆動機構63のモータを現像時の回転方向の逆方向に回転させると、感光体ドラム11は図3(b)の矢印B方向に回転し、感光体ドラム11に圧接するプーリ部材61は、一方向クラッチ62のクラッチ解除によって、矢印C方向に従動回転し、プーリ部材61の感光体ドラム11への当接面が変化する。これによって、汚れや傷のないプーリ部材61周面が感光体ドラム11に当接し、予め規定された現像領域Dの間隔に戻ることになる。
【0052】
ここで、感光体ドラム11の周面距離がプーリ部材61の周面長の非整数倍になるように、駆動機構63のモータを回転制御するのがよい。このように制御すると、以前に用いた汚れや傷のあるプーリ部材61周面が感光体ドラム11に当接することを回避させることが可能である。
【0053】
上記実施形態によれば、画像形成装置1は、静電潜像が形成される感光体ドラム11と、この感光体ドラム11にトナーを供給する現像ローラ20とを備え、感光体ドラム11が回転し、感光体ドラム11上の静電潜像が順次現像される。画像形成装置1は、感光体ドラム11の周面と現像ローラ20の周面とを所定の間隔にて対向させるのに、感光体ドラム11に当接するプーリ部材61を備え、このプーリ部材61は現像時に停止している。
【0054】
この構成によると、感光体ドラム11が回転し、トナーが現像ローラ20から感光体ドラム11上に供給され、感光体ドラム11上の静電潜像が順次現像される。このとき、感光体ドラム11周面はプーリ部材61の同じ周面に当接しながら回転することによって、現像時には、感光体ドラム11周面と現像ローラ20周面が常に所定の間隔にて対向している。従って、プーリ部材61の真円度や同軸度等の部品精度やプーリ部材61の現像ローラ20への組立バラツキの影響を受けることなく、同じ間隔を保持して現像が行われ、画像ムラを抑えた画像を得ることができる。
【0055】
同じ間隔を保持して
また、上記実施形態によると、感光体ドラム11の現像時の回転に対してプーリ部材61を停止させ、感光体ドラム11の現像時の逆方向回転に対してプーリ部材61を従動回転させる一方向クラッチ62(切り換え部材)を備える。これによって、現像時に感光体ドラム11が回転しても、感光体ドラム11周面がプーリ部材61の同じ周面に当接しながら回転する。そして、例えば現像終了後に感光体ドラム11が現像時の回転方向の逆方向に回転すると、プーリ部材61が従動回転し、感光体ドラム11周面は先の現像時と異なるプーリ部材61周面に当接することになり、次の現像時には、感光体ドラム11周面は新たなプーリ部材61周面に当接しながら回転する。つまり、先の現像時にプーリ部材61に汚れや傷等が発生していても、次の現像時にプーリ部材61の汚れや傷等のない周面を用いて、感光体ドラム11と現像ローラ20との間隔が保持される。従って、繰り返し画像形成しても、安定して良好な画像が得られる。
【0056】
また、上記実施形態によると、感光体ドラム11の逆方向回転時に、感光体ドラム11の周面距離がプーリ部材61の周面長の非整数倍である。これによって、頻繁にプーリ部材61を従動回転させて、プーリ部材61の感光体ドラム11への当接面を変えても、感光体ドラム11周面は以前に用いたプーリ部材61周面に当接するおそれがない。従って、感光体ドラム11と現像ローラ20が常に所定の間隔を保持することができ、長期間に亘って繰り返し画像形成しても、安定して良好な画像が得られる。
【0057】
また、上記実施形態によると、一方向クラッチ62は、現像容器22(装置本体)に固設される固定軸20aとプーリ部材61との間に配設される。これによって、現像時には、プーリ部材61は停止状態にあって、現像終了後には、感光体ドラム11を現像時と逆方向に回転させると、プーリ部材61は従動回転する。従って、簡単な構成で、プーリ部材61の停止または回転可能状態に切り換えることができる。
【0058】
また、上記実施形態によると、現像ローラ20は、トナー(現像剤)を担持して感光体ドラム11に対向するとともに固定軸20aに回転自在に保持される現像スリーブ20cと、この現像スリーブ20cの内側で固定軸20aに固設される磁極部材20bとを有する。これによって、固定軸20aに現像スリーブ20cとプーリ部材61とを取り付けるという簡単な構成で、感光体ドラム11と現像ローラ20との間隔を正確に保持することができる。
【0059】
尚、上記実施形態では、固定軸20aは、一方向クラッチ62を介してプーリ部材61を保持するとともに、現像スリーブ20cと磁極部材20bを保持する構成を示したが、本発明はこれに限らない。現像容器22に固設される固定軸20aと、固定軸20aと同心である別の軸部材とを備える構成として、固定軸20aには、プーリ部材61が一方向クラッチ62を介して保持され、別の軸部材には、現像スリーブ20cと磁極部材20bが保持されるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、磁気ローラ21及び現像ローラ20とを備える現像装置に適用した例を示したが、本発明は、このような磁気ブラシによる現像に限らず、現像剤担持体と像担持体が所定間隔を保持することが必要である装置なら、別の磁気ブラシによる現像でも、また非磁性の現像においても適用させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に利用することができ、特に、トナー像が形成される像担持体とこの像担持体にトナーを供給する現像剤担持体とを所定の間隔にて対向させる画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 画像形成装置
2a〜2d、2 現像装置
11a〜11d、11 感光体ドラム(像担持体)
20 現像ローラ(現像剤担持体)
20a 固定軸
20b 磁極部材
20c 現像スリーブ
21 磁気ローラ
22 現像容器(装置本体)
61 プーリ部材
62 一方向クラッチ(切り換え部材)
63 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に現像剤を供給する現像剤担持体とを備え、前記像担持体が回転し、前記像担持体上の静電潜像が順次現像される画像形成装置において、
前記像担持体の周面と前記現像剤担持体の周面とを所定の間隔にて対向させるのに、前記像担持体に当接するプーリ部材を備え、前記プーリ部材は現像時に停止していることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記像担持体の現像時の回転に対して前記プーリ部材を停止させ、前記像担持体の現像時の逆方向回転に対して前記プーリ部材を従動回転させる切り換え部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像担持体の逆方向回転時に、前記像担持体の周面距離が前記プーリ部材の周面長の非整数倍であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記切り換え部材は、装置本体に固設される固定軸と前記プーリ部材との間に配設される一方向クラッチを有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像剤担持体は、現像剤を担持して前記像担持体に対向するとともに前記固定軸に回転自在に保持される現像スリーブと、前記現像スリーブの内側で前記固定軸に固設される磁極部材とを有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−197924(P2010−197924A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45327(P2009−45327)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】