説明

画像形成装置

【課題】フルカラーモードから減色モードに切り替えた際等に、用紙等のシート状記録媒体が2次転写部分に突入する際の衝撃を、中間転写体に対する2次転写ローラ(接触転写体)の2次転写圧を変えることにより抑えることで、異常画像の発生を抑制できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数の感光体15K,15C,15M,15Yによって画像形成するフルカラーモードと、複数の感光体15C,15M,15Yから中間転写ベルト13およびバイアスローラ16C,16M,16Yを離間させ残りの感光体15Kによって画像形成する減色モードとが実行可能な画像形成装置50において、減色モードの実行時に、中間転写ベルト13に対する2次転写ローラ10の2次転写圧をフルカラーモードの実行時のそれよりも軽減する2次転写圧軽減機構2または2Aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、さらに詳しくは、複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等またはこれら2つ以上の機能を備えた複合機等の、電子写真方式や静電記録方式でカラーモードおよび減色モードが実行可能な画像形成装置において、いわゆるショックジターを低減するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中間転写方式を採用している複写機、プリンタといった特にタンデム型の画像形成装置において、フルカラーモードから減色モードへの切り替えに際して、使わない色の感光体や現像剤の寿命を考慮して、機能させない画像形成ユニットの感光体に中間転写ベルトを介して対向している一次転写ローラを離間させる機構、あるいは中間転写ベルトおよび一次転写ローラを離間させる機構をもつ技術が既に知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
ここで、「フルカラーモード」とは、全ての色用の複数の感光体(画像形成ユニット)を機能させてフルカラー画像を形成する動作を意味し、「減色モード」とは、複数の感光体のうちの一部(通常ブラック用の一つ)を機能させて単色画像(通常モノクロ)を形成する動作を意味する。
【0003】
減色モード時に使用しない色の感光体に対向する一次転写ローラを離間させる従来の技術構成では、離間時に中間転写ベルトの拘束力が弱まることで中間転写ベルトの支持が不安定となり、シート状記録媒体である用紙等が2次転写部分に突入する際の衝撃によって、中間転写ベルトの速度が変動し、画像にスジや白抜けといった異常画像が発生すること(いわゆるショックジターと呼ばれる)も既に知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2には、フルカラーモードから減色モードに切り替えた際等に、中間転写ベルトの拘束力が低下することに起因して生ずる画像不良を抑制する目的で、減色モードで使用される色の感光体に対向している一次転写ローラの押圧力を高め、ニップ量(挟持面積)を増加させる技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2記載の技術では、一次転写圧を上げてニップ量を増加させていることにより、トナーの帯電量が変わってしまうため、今度は画像のボソツキが生じるという新たな画像不良の問題が発生してしまう。
【0006】
本発明は、上述した問題点・事情に鑑みてなされたものであり、フルカラーモードから減色モードに切り替えた際等に、用紙等のシート状記録媒体が2次転写部分に突入する際の衝撃を、中間転写体に対する2次転写ローラ(接触転写体)の2次転写圧を変えることにより抑えることで、異常画像の発生を抑制することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するとともに上述した目的を達成するために、請求項ごとの発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、トナー像が形成される複数の像担持体と、該複数の像担持体と当接しながら移動可能な中間転写体と、前記複数の像担持体毎に設けられ、該像担持体に形成されたトナー像を前記中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体と接触可能に設けられ、該中間転写体と共にシート状記録媒体を搬送する挟持部を形成する接触転写体と、前記挟持部を搬送されるシート状記録媒体に対し前記中間転写体上の1次転写されたトナー像をシート状記録媒体上に2次転写するための電圧を印加し得る電極とを備え、前記複数の像担持体によって画像形成するカラーモードと、前記複数の像担持体の一部と前記中間転写体とを相対的に離間させ残りの一部像担持体によって画像形成する減色モードとが実行可能な画像形成装置において、前記減色モードの実行時に、前記中間転写体に対する前記接触転写体の2次転写圧を前記カラーモードの実行時のそれよりも軽減する2次転写圧軽減機構を有することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記2次転写圧軽減機構は、弾性体と偏心カムとを具備すること特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記2次転写圧軽減機構は、弾性体とクランク機構とを具備すること特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記2次転写圧軽減機構の駆動を、前記画像形成装置を構成する別の駆動源を兼用して行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前記課題を解決して新規な画像形成装置を実現し提供することができる。請求項毎の発明の効果を挙げれば以下のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、減色モードの実行時に、中間転写体に対する接触転写体の2次転写圧をカラーモードの実行時のそれよりも軽減する2次転写圧軽減機構を有することにより、カラーモードから減色モードに切り替えた際等に、シート状記録媒体が2次転写部分に突入する際の衝撃を、2次転写圧軽減機構によって抑えることで、異常画像の発生を抑制することができる。
【0011】
請求項2、3記載の発明によれば、前記構成により、接触転写体(例えば2次転写ローラ)に負荷される2次転写圧を軽減させることができる。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、前記構成により、部品点数およびコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す画像形成装置と共に、本発明を適用する従来の画像形成装置の簡略的な正断面図である。
【図2】(a)は、フルカラーモード実行時の中間転写ベルト、バイアス(1次転写)ローラおよび感光体との位置・接触関係を説明する模式的な説明図、(b)は、減色モード実行時の上記各部材の位置・接触関係とショックジター・画像不良とを説明する模式的な説明図である。
【図3】第1の実施形態の2次転写圧軽減機構を示す簡略的な正面図である。
【図4】変形例1の2次転写圧軽減機構を示す簡略的な正面図である。
【図5】変形例2の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して実施例を含む本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)を詳細に説明する。各実施形態および変形例等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成要素(部材や構成部品等)については、混同の虞がない限り一度説明した後では同一符号を付すことによりその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0015】
図1は、本発明を適用する従来の画像形成装置と共に本実施形態の画像形成装置を示している。同図において、括弧を付して示す符号100は本発明を適用する従来の画像形成装置を、符号50は本実施形態の画像形成装置をそれぞれ示している。まず、図1を参照して、従来の画像形成装置100の全体構成および動作を説明する。
なお、従来の画像形成装置100は、後述する第1の実施形態および変形例1の画像形成装置と比較して、同図に破線で囲んで示す2次転写圧軽減機構2または2A等を有していない点のみ相違する。
【0016】
画像形成装置100は、フルカラー画像を形成するタンデム型の装置構成である。すなわち、画像形成装置100には、第1ないし第4のプロセスカートリッジ1K,1C,1M,1Yが右から左にこの順に並設されている。画像形成装置100は、装置本体49内に装着・配置された第1ないし第4のプロセスカートリッジ1K,1C,1M,1Yと、これらのプロセスカートリッジに対向して配置された中間転写体としての中間転写ベルト13とを有する。中間転写ベルト13は、無端ベルトであり、駆動ローラ11、従動ローラ12およびテンションローラ14に巻き掛けられている。
【0017】
プロセスカートリッジ1K,1C,1M,1Yは、像担持体としてのドラム状の感光体15K,15C,15M,15Yを有している。具体的には、プロセスカートリッジ1Kは、ブラック用の感光体15Kを、プロセスカートリッジ1Cは、シアン用の感光体15Cを、プロセスカートリッジ1Mは、マゼンタ用の感光体15Mを、プロセスカートリッジ1Yは、イエロー用の感光体15Yをそれぞれ有する。各感光体15K,15C,15M,15Y上にそれぞれ異なった色のトナー像が形成され、その各トナー像が中間転写ベルト13に順次転写される。
各プロセスカートリッジ1Kないし1Yは、画像形成ユニットとも呼ばれ、装置本体49に対して着脱自在に構成されている。
【0018】
第1ないし第4のプロセスカートリッジ1Kないし1Yの構成と、その各感光体15Kないし15Yに形成されたトナー像を中間転写ベルト13に転写する構成は、各トナー像の色が異なるだけで、実質的に全て同一であるため、第4のプロセスカートリッジ1Yの構成と、その感光体15Y上のトナー像を中間転写ベルト13に転写する構成を代表して説明し、その他は説明を省略する。また、図1においては、同一の構成部分については色を表す欧文文字をプロセスカートリッジ、感光体および現像装置のみに付すことで図の簡明化を図り、他の構成部分へのそれを省略することとする。
【0019】
第4のプロセスカートリッジ1Yは、感光体15Yの周りに配置された帯電ローラ8Y等を有する帯電装置20Yと、現像ローラ17Y等を有する現像装置18Yと、クリーニングブレード等を備えたクリーニング装置21Yとを具備している。これらの装置20Y,18Y,21Yの各ケースは、共通のユニットケースであるカートリッジケースに一体的に配設されている。
【0020】
画像形成動作が開始されると、感光体15Yは図1における時計方向に回転駆動され、中間転写ベルト13は矢印A方向に回転駆動される。このとき、帯電装置20Yの帯電ローラが感光体15Yの表面に接触しながら回転し、その帯電ローラの作用によって、感光体15Yが所定の極性に一様に帯電される。帯電後の感光体15Yには、プロセスカートリッジ1Yとは別体の図1に示した露光装置22から出射する光変調された露光ビーム19Yが照射され、これによって感光体15Yに静電潜像が形成される。
【0021】
現像装置18Yの現像ローラ17Yは図1における反時計方向に回転駆動され、その現像ローラ17Y上に乾式の現像剤が担持されて搬送され、その現像剤中のイエロートナーが感光体15Yに形成された静電潜像に静電的に移行・付着して、該静電潜像がイエロートナー像として可視像化される。また、中間転写ベルト13を挟んでプロセスカートリッジ1Kと反対側には1次転写手段としての1次転写ローラとも呼ばれるバイアスローラ16Yが配置され、このバイアスローラ16Yの作用によって感光体15Y上に形成されたトナー像が中間転写ベルト13上に転写される。トナー像転写後の感光体15Y上に付着する転写残トナーは、クリーニング装置21Yのクリーニングブレードによって、感光体15Y表面から掻き取り除去される。
【0022】
上述した内容と全く同様にして、図1に示した第1ないし第3のプロセスカートリッジ1K,1C,1Mの各感光体6K,6C,6M上にブラックトナー像、シアントナー像、マゼンタトナー像がそれぞれ形成され、これらのトナー像がイエロートナー像の転写された中間転写ベルト13上に順次重ねて転写される。
【0023】
一方、図1に示すように、装置本体49内の下部に配置された給紙部には、シート状記録媒体の一例としての用紙Pを収容した給紙カセット23が配設され、その最上位の用紙Pが給紙ローラ24の回転および図示しない分離部材との協働作用によって矢印B方向に送り出される。送り出された用紙Pは、その先端が一対のレジストローラ25に突き当てられ、一旦停止されて斜めずれ等が補正された上で、中間転写ベルト13上のトナー像とのタイミングを合わせて送り出され、駆動ローラ11と中間転写ベルト13と、これに対向配置された接触転写体としての2次転写ローラ10とで形成される2次転写部に搬送される。この2次転写部で駆動ローラ11から印加される2次転写バイアスと2次転写ローラ10の作用により、中間転写ベルト13上のトナー像が用紙Pに転写される。トナー像の転写された用紙Pはさらに上方に搬送されて定着装置である定着ユニット26を通り、この際熱と圧力の作用によって用紙P上のトナー像が定着される。定着ユニット26を通過した用紙Pは、装置本体49の上部の排紙部27上に排出される。またトナー像転写後の中間転写ベルト13上に付着する転写残トナーは、中間転写ベルト13用のクリーニングユニット28によって除去される。
【0024】
2次転写ローラ10は、圧縮コイルバネ等の弾性体からなる付勢手段29により所定の圧力で駆動ローラ11に対向する中間転写ベルト13に押し当てる向きに付勢されており、これによって上記2次転写部が形成されている。本例の駆動ローラ11には、中間転写ベルト13上の1次転写されたトナー像を用紙P上に2次転写するための電圧(2次転写バイアス)を印加し得る電極(図示せず)が設けられている。駆動ローラ11に設けられた前記電極に図示しない2次転写電圧印加手段から2次転写バイアスが印加されることとなる。
【0025】
ここで、2次転写部への用紙突入の際に発生するショックジターのメカニズムについて説明する。用紙Pは一旦中間転写ベルト13に当たった後、中間転写ベルト13に沿って上方に搬送され駆動ローラ11と中間転写ベルト13と2次転写ローラ10とによって形成される2次転写部に挿入される。この時、2次転写ローラ10が図中矢印Cの方向に押し下げられるため、2次転写ローラ10を中間転写ベルト13と圧接する方向に付勢している付勢手段29の作用により、用紙Pの厚さ分、2次転写ローラ10への押し当て力(押圧力)がアップし負荷が瞬時に増大する。これにより中間転写ベルト13の速度が遅くなる。このように中間転写ベルト13に速度変動(位置変動)が発生することにより、1次転写部での各感光体15から中間転写ベルト13上へのトナー転写位置が狙いの位置からずれ、いわゆる濃度ムラが発生してしまう。通常、中間転写ベルト13が速くなるとトナー像が薄くなり(伸びる)、遅くなると濃くなる(縮む)。
【0026】
以上で説明したいわゆるショックジターは、減色モードにおいて顕著に現れる。図2(b)は、減色モード時の中間転写ベルト13、感光体15およびバイアスローラ16の位置状態・機構を示す。減色モードは、使用される全ての色以下であって任意の1色以上の対(感光体15とバイアスローラ16(1次転写ローラ)を離間させたモードであるが、同図では特にブラック単色、いわゆるモノクロモード時の位置状態・機構を示す。モノクロモードでは、使用されないイエロー用の感光体15Y、マゼンタ用の感光体15M、シアン用の感光体15Cに対して対向するバイアスローラ16Y,16M,16Cが離間される。
【0027】
フルカラーモードにおいて、中間転写ベルト13は駆動ローラ11、従動ローラ12、テンションローラ14、および4対の感光体15とバイアスローラ16とによって支持されているが、前記モノクロモード時には、感光体15Y、15M、15Cとそれに対向するバイアスローラ16Y,16M,16Cが離間し、上述の3対からの支持はフリーの状態となってしまう。それ故に、中間転写ベルト13の安定性は低下し、用紙Pが2次転写部に進入した時の中間転写ベルト13の速度変動が顕著になり、ショックジターが発生する。図2に示したフルカラーモードと減色モードとを切り換える機構は、特許文献1や2等に開示された機構と同様のものを採用してもよい。
【0028】
ここで、モノクロモード(減色モード)の時には、中間転写ベルト13上に1次転写されるトナーはブラックの1層である。2次転写部の駆動ローラ11によって印加されるバイアス電圧はフルカラーモード時と変わらないため、層の数が軽減した画像はシート状記録媒体もしくは被記録媒体である用紙Pへの移動が容易なものとなり、2次転写部の駆動ローラ11および2次転写ローラ10による必要圧力はフルカラーモード時と比較して低く設定しても、転写性に害を及ぼさない。圧力を低く設定することで、用紙Pの2次転写部突入時による衝撃を抑えることができるため、中間転写ベルト13が不安定になって生じるショックジターは低減することとなる。
【0029】
(第1の実施形態)
上述の現象および得られた知見を踏まえ、図3を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。第1の実施形態は、図1および図2に示した従来の画像形成装置100と比較して、図1に破線で囲んで示すと共に、図3に示す2次転写圧軽減機構2を有している点のみ相違する(第1の実施形態を示す図1の画像形成装置50参照)。この相違点以外は、第1の実施形態は図1の画像形成装置100と同様である。
【0030】
図3において、2次転写圧軽減機構2は、減色モードの実行時に、中間転写ベルト13に対する2次転写ローラ10の2次転写圧をカラーモードの実行時のそれよりも軽減する機能を有する。
2次転写圧軽減機構2は、駆動源・駆動手段としてのモータ3と、偏心カム5と、支持部材6と、弾性体9と、スライド部材7と、ローラ支持部材8とから主に構成されている。
【0031】
モータ3は、例えばステッピングモータからなる。偏心カム5は、モータ3に図示しないギヤ等の駆動力伝達手段を介して連結されたカム軸4に固定されている。偏心カム5は、カム軸4を介して、図示しない装置本体の側板(図示せず)に図中矢印方向に回転可能に支持されている。
弾性体9は、例えば圧縮コイルバネからなるが、同等の機能および耐久性等を発揮するものであれば他の部材で置換可能である。
【0032】
支持部材6は、図において右側の一端面が偏心カム5と接触可能に設けられ、図において左側の他端面が弾性体9に連結されている。支持部材6は、図中矢印D方向(図において水平方向)およびこれと反対方向に移動可能に上記図示しない装置本体の側板に固設されたガイド部材30と同様なガイド部材(図示せず)に支持されている。
スライド部材7は、正面視で三角厚板形状をなし、その底面が上記図示しない装置本体の側板に固設されたガイド部材30に、図中矢印D方向(図において水平方向)に滑らかにスライドするよう案内支持されている。スライド部材7は、図において右側の一端面が弾性体9に連結され、図において左側の斜行面がローラ支持部材8と接触可能に設けられている。スライド部材7は、図中矢印D方向(図において水平方向)の運動を斜行面がローラ支持部材8と接触することによって、中間転写ベルト13に対する2次転写ローラ10の2次転写圧負荷に係る矢印C方向に変換する運動方向変換部材として機能する。ガイド部材30は、図における右側から視てコ字状をなす断面形状の部材である。
【0033】
ローラ支持部材8は、扇形状をなし、2次転写ローラ10の紙面手前側および奥側の各軸端部10aに所定角度の範囲で回動可能に支持されている。ローラ支持部材8は、ローラ支持部材8から外側に突出した各軸端部10aが、上記図示しない装置本体の側板に矢印C方向に沿って平行に開けられた長穴(図示せず)に図示しない軸受を介して微小移動可能に支持されている。
偏心カム5、支持部材6、スライド部材7およびローラ支持部材8は、実質的に剛体とみなせる材質で形成されている。支持部材6、スライド部材7およびローラ支持部材8は、その機能上、摺動性および耐久性が良好な樹脂で形成し軽量化を図ることが好ましい。
【0034】
2次転写圧軽減機構2の動作を説明する。例えばフルカラーモード設定時において、2次転写圧軽減機構2の偏心カム5が図中実線で示す初期位置を占めているときには、図2に示したと同様の2次転写圧が弾性体9によって付与されている状態に設定されている。減色モード(例えばモノクロモード)の実行時に、モータ3の駆動により、偏心カム5が上記初期位置から180°回転すると、偏心カム5は破線で示す回転位置を占める。それに伴い、弾性体9に連結されている支持部材6も図中矢印D方向にスライドし、破線で示す位置へと移動する。この時、弾性体9は支持部材6に連れられ伸びることとなり、その圧縮長さが長く変化する。これにより、弾性体9に連結されている支持部材7の図中矢印D方向へのスライドを通じて、2次転写ローラ10のローラ支持部材8および2次転写ローラ10に負荷されていた圧力(2次転写圧)は、弾性体9がΔx移動した分だけ軽減することとなる。
【0035】
(変形例1)
図4を参照して、第1の実施形態の変形例1を説明する。変形例1は、第1の実施形態と比較して、図1および図3に示した2次転写圧軽減機構2に代えて、図4に示す2次転写圧軽減機構2Aを用いる点のみ相違する。この相違点以外は、変形例1は第1の実施形態と同様である。
【0036】
2次転写圧軽減機構2Aは、第1の実施形態の2次転写圧軽減機構2と同様の機能を有する。
2次転写圧軽減機構2Aは、弾性体9とスライダクランク機構とを具備しており、駆動源としてのモータ3と、クランクとしてのクランク回転板31と、連結節としてのクランク軸32と、ガイド部材33と、ピストン36と、弾性体9と、スライド部材7と、ローラ支持部材8とから主に構成されている。以下、第1の実施形態の2次転写圧軽減機構2と相違する構成要素を中心に説明する。
【0037】
クランク回転板31は、モータ3に図示しないギヤ等の駆動力伝達手段を介して連結されたクランク回転軸35に固定されている。クランク回転板31は、クランク回転軸35を介して、図示しない装置本体の側板(図示せず)に図中矢印方向に回転可能に支持されている。
【0038】
ガイド部材33は、上記図示しない装置本体の側板に固定された一つの板状部材からなる。ガイド部材33の上下壁面内には、ピストン34が滑らかにスライドするよう案内支持されている。ピストン34に植設されたピストンピン36と、クランク回転板31の外周側面に植設されたクランクピン37との間にはクランク軸32が連結されている。ピストン34の図において左側の端面が弾性体9に連結されている。
【0039】
2次転写圧軽減機構2Aの動作を説明する。例えばフルカラーモード設定時において、2次転写圧軽減機構2Aのクランク回転板31のクランクピン37がEの位置にあって、クランク軸32が初期位置を占めているときには、図2に示したと同様の2次転写圧が弾性体9によって付与されている状態に設定されている。減色モード(例えばモノクロモード)の実行時に、モータ3の駆動により、クランク回転板31が上記初期位置から図中矢印方向に180°回転すると、クランク軸32が破線で示すように変位することによって、ピストン36がガイド部材33に案内されつつ図中矢印D方向に沿ってスライドする。この時、弾性体9はピストン36に連れられ伸びることとなり、その圧縮長さが長く変化する。これにより、弾性体9に連結されている支持部材7の図中矢印D方向へのスライドを通じて、2次転写ローラ10のローラ支持部材8および2次転写ローラ10に負荷されていた圧力(2次転写圧)は、弾性体9がΔx移動した分だけ軽減することとなる。
【0040】
(変形例2)
図5を参照して、第1の実施形態および変形例1の変形例2を説明する。図3および図4で示したような2次転写圧軽減機構2,2A(2次転写圧可変手段ないし2次転写圧可変機構とも表現できる)の作動は、フルカラーモードと減色モードとの切り替え時のみでよいため、コスト等削減のために画像形成装置50を構成する別の駆動源の駆動力を断接する駆動力断接手段を用いてこれを制御することで行うことが可能である。
すなわち、変形例2は、2次転写圧軽減機構2,2Aの駆動源としてのモータ3に代えて、画像形成装置50を構成する別の駆動源の駆動力を兼用するように構成した点が主に相違する。別の駆動源としては、特許文献1や2に開示されていると同様な2次転写接離手段としての2次転写接離機構、1次転写接離手段としての1次転写接離機構、中間転写体またはシート搬送駆動機構などの、2次転写ローラの周辺に存在する機構の駆動源を用いて兼用することである。
【0041】
図5に示すように、変形例2では、別の駆動源の駆動力を断接する駆動力断接手段としての電磁クラッチ43と、2次転写圧軽減機構2または2Aにおけるフルカラーモードから減色モードへの切り替え状態を検知するモード切替検知手段としてのタイミングセンサ41と、タイミングセンサ41からの信号に基づいて、電磁クラッチ43をオン/オフ制御する制御手段40とを具備している。
【0042】
モード切り替え時には、この際に出力される信号に基づいて、制御手段40は電位クラッチ43を接続状態となるように制御することにより、互いに噛み合うアイドラギヤ44、45を介して、アイドラギヤ45の一端部に固設された、図3および図4に示したカム軸4もしくはクランク回転軸35を回転させる。図3および図4に示した構成では、カム軸4もしくはクランク回転軸35の180°の回転の制御を行うので、カム軸4もしくはクランク回転軸35の他端部に固設された半円形状の遮光板41を用いて、タイミングセンサ42から照射される光の透過の可否(オン/オフ)に生成される信号に基づいて、制御手段40は電磁クラッチ43のオン/オフを切り替える制御を行うこととなる。この構成により、フルカラーモードと減色モードの2次転写圧の可変を他の機構と同一の駆動源を用いて制御することが可能となる。
【0043】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態や変形例等について説明したが、本発明が開示する範囲は、上述した実施例を含む実施形態や変形例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0044】
1次転写接離手段としての1次転写接離機構を利用したフルカラーモードと減色モードとを切り換える機構としては、図2で説明したものに限らず、特許文献1や2のような公知の全ての機構が適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 プロセスカートリッジ
2,2A 2次転写圧軽減機構(2次転写圧軽減手段、2次転写圧可変手段)
3 モータ(駆動源)
4 カム軸
5 偏心カム
6 支持部材
7 スライド部材
8 ローラ支持部材
9 弾性体(付勢手段)
10 2次転写ローラ(接触転写体)
11 駆動ローラ
12 従動ローラ
13 中間転写ベルト(中間転写体)
14 テンションローラ
15 感光体(像担持体)
16 バイアスローラ(1次転写手段)
30 ガイド部材
31 クランク回転板(クランク)
32 クランク軸(連結節)
33 ガイド部材
34 ピストン
35 クランク回転軸
40 制御手段
41 遮光板
42 タイミングセンサ(モード切替検知手段)
43 電磁クラッチ(駆動力断接手段)
49 装置本体
50 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開2001−242680号公報
【特許文献2】特開2007−33938号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像が形成される複数の像担持体と、該複数の像担持体と当接しながら移動可能な中間転写体と、前記複数の像担持体毎に設けられ、該像担持体に形成されたトナー像を前記中間転写体に転写する1次転写手段と、前記中間転写体と接触可能に設けられ、該中間転写体と共にシート状記録媒体を搬送する挟持部を形成する接触転写体と、前記挟持部を搬送されるシート状記録媒体に対し前記中間転写体上の1次転写されたトナー像をシート状記録媒体上に2次転写するための電圧を印加し得る電極とを備え、
前記複数の像担持体によって画像形成するカラーモードと、前記複数の像担持体の一部と前記中間転写体とを相対的に離間させ残りの一部像担持体によって画像形成する減色モードとが実行可能な画像形成装置において、
前記減色モードの実行時に、前記中間転写体に対する前記接触転写体の2次転写圧を前記カラーモードの実行時のそれよりも軽減する2次転写圧軽減機構を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記2次転写圧軽減機構は、弾性体と偏心カムとを具備すること特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像形成装置において、
前記2次転写圧軽減機構は、弾性体とクランク機構とを具備すること特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記2次転写圧軽減機構の駆動を、前記画像形成装置を構成する別の駆動源を兼用して行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−58285(P2012−58285A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198346(P2010−198346)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】