説明

画像認識装置

【課題】対象画像を高精度で抽出することのできる画像認識装置を提供する。
【解決手段】対象画像1の輪郭抽出を行う際、画像認識装置は閉曲線3を設定する。画像認識装置は、閉曲線3を含む所定の幅を有する帯領域29を設定し、当該帯領域29の画素値分布に基づいた分離度が最大となる閾値45を算出し、当該閾値45と閉曲線3上の各サンプル点31の画素値とを比較して各サンプル点31の移動方向と移動量を算出する。各サンプル点31、即ち閉曲線3を動的に移動させて最終的に閉曲線3を対象領域1の輪郭に収束させ、対象領域1の輪郭を抽出する。各サンプル点31の移動判定に帯領域29の内側の内部領域33の画素値に基づく統計値と閉曲線上または帯領域29の画素値に基づく統計値とを比較し、帯領域29の画素値分布から算出する閾値45を用いるので、帯領域29より内側の内部領域33の情報を反映した上で高精度に対象領域1の輪郭を抽出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像中の対象画像抽出を行う画像認識装置に係り、特に画像の輪郭を抽出する画像認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性体の物理法則を閉曲線に適用した動的輪郭抽出法が提案されている(「非特許文献1」参照)。この方法は閉曲線上の離散化されたサンプル点に着目し、それらの点が持つ閉曲線の歪み度を示す内部エネルギーと、画像情報から構成される画像エネルギーと、強制外力の源となる外部エネルギーとの和である総エネルギーが最小値をとるように当該サンプル点を移動させ、最適解を探り対象輪郭を抽出する方法である。
【0003】
非特許文献1による動的輪郭抽出法では、閉曲線は大局的に縮小方向か膨張方向かのいずれか一方向への動きしかできないという問題点があった。これに対して抽出対象が2値画像である単純な画像にのみ、画像輝度を用いて該閉曲線が抽出対象の内部にあるかどうかを判断し、収縮・膨張を局所的に選択する技術が提案されている(「特許文献1」参照)。
【0004】
【非特許文献1】SNAKES:Active Contour Models(M.Kass,et.al:International Journal of Vision,321−331,1988)
【特許文献1】特開2002−49922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多くの画像は多階調画像であり一般的には2値化することで抽出精度が低下する危険性がある。さらに2値化する際の閾値をどのような方法で決定するかによって抽出結果が異なるという問題点が生じる。従って2値化することなく該閉曲線の局所的な収縮・膨張を決定する手段が必要となる。また、一般的に動的輪郭抽出法では各種パラメータの調整が困難であり制御が難しい。また非関心領域のエッジに閉曲線が拘束され、正しい抽出結果を得ることができないという問題点もある。
【0006】
本発明は、このような問題を鑑みてなされたもので、その目的とするところは、対象画像を高精度で抽出することのできる画像認識装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するための本発明は、画像を演算処理する演算処理部と前記画像及び演算処理結果を保持する保持部と前記画像及び前記演算処理結果を表示する表示部とを備え、前記画像に閉曲線を配置し前記閉曲線の歪み具合を示す内部エネルギーまたは前記画像の輝度勾配を示す画像エネルギーまたは前記閉曲線の膨張あるいは収縮を示す外部エネルギーの少なくともいずれかの和である総エネルギーに基づいて前記閉曲線を動的に変形させて前記画像に含まれる対象領域の輪郭を抽出する画像認識装置であって、前記画像に前記閉曲線を含み所定の幅を有する帯領域を配置する帯領域設定手段と、前記帯領域内の画素値を基に閾値を算出する閾値算出手段と、前記総エネルギーを用い、前記閾値算出手段により算出した閾値と前記閉曲線上の各サンプル点の画素値との比較結果に基づいて、前記各サンプル点毎に移動方向及び移動量を算出して前記各サンプル点を移動させる移動手段と、を具備することを特徴とする画像認識装置である。
【0008】
画像は、例えばMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置やCT(Computed Tomography)装置等の医療装置で被検体内部が撮像された画像である。
閉曲線は、画像の所定の位置に所定の形状で初期の閉曲線として自動的に設定してもよいし、操作者が画像上に任意に描画することにより設定してもよい。また、相関のある複数の画像の処理を行う際には、既に抽出された対象領域の輪郭を基に初期の閉曲線を設定してもよい。
帯領域は、閉曲線を含み所定の幅を有する領域として設定される。尚、帯領域の幅は一定でなくても良い。また閉曲線は帯幅の中心でなくても良い。
画素値は、画像輝度である。画素値は、濃度値と表現される場合もある。
【0009】
閾値算出は、所定の領域内(例えば帯領域内)の画素値の分布を基にして境界画素値を算出することである。閾値は、例えば2分割する2つの領域のクラス間分散とクラス内分散との比である分離度が最大となる境界画素値として算出される。
サンプル点は、閉曲線上の複数の点として設定される。各サンプル点の画素値と閾値とが比較され、当該各サンプル点の移動方向と移動量とが算出される。
動的輪郭法(Snakes法)は、内部エネルギー及び画像エネルギー及び外部エネルギーの和である総エネルギーが最小になる位置に、閉曲線上の構成点を移動させて対象領域の輪郭を抽出する方法である。最終的には閉曲線が対象領域の輪郭に収束し、当該対象領域の輪郭が抽出される。
【0010】
本発明の画像認識装置は、画像に閉曲線を含み所定の幅を有する帯領域を配置し、帯領域内の画素値を基に閾値を算出し、画像の総エネルギーを用いて、閾値と閉曲線上の各サンプル点の画素値との比較結果に基づいて、各サンプル点毎に移動方向及び移動量を算出して各サンプル点を移動させる。
本発明の画像認識装置は、帯領域の画素値から算出した閾値を用いて閉曲線の移動方向及び移動量を判断するので、帯領域より内側の内部領域の影響を受けることなく高精度に対象領域の輪郭抽出を行うことができる。
【0011】
また、閾値とサンプル点の画素値との比較結果に応じて内部エネルギーや外部エネルギーの重み係数を変化させるようにしても良い。
これにより、閾値とサンプル点の画素値との比較結果に応じて内部エネルギーや外部エネルギーの重み係数を変化させ、効率的に閉曲線を局所的に膨張あるいは収縮させることができる。
【0012】
また、最初に算出した閾値により領域を分割し、一方の領域を除外し他方の領域内の画素値を基に新たな閾値を算出するようにしても良い。
これにより、造影剤を使用した画像において、画像の輝度(画素値)にムラがある場合に、まず算出した閾値により一方の領域(造影剤による不染領域)を除外して画像認識の精度向上をはかることができる。画像認識に不要な領域を除外するために、閾値の算出は、さらに複数回行っても良い。
【0013】
また、帯領域または閉曲線を少なくとも1つのサンプル点を含む複数の領域(クラスタ)に分割し、分割された領域毎に、分割された領域内の画素値を基に第2の閾値を算出し、分割された領域毎に、第2の閾値とサンプル点の画素値とを比較してサンプル点毎に移動方向及び移動量を算出するようにしても良い。
これにより、閉曲線と対象領域の輪郭との近接度が高くなった場合、帯領域又は閉曲線を複数の領域に分割し、分割された領域ごとに閾値を算出して当該領域内にあるサンプル点の画素値とを比較して当該サンプル点の移動方向及び移動量を算出する。サンプル点の移動の判断に、当該サンプル点近傍領域の画素値から閾値を算出することで、サンプル点移動制御をより高精度に実現することが可能になる。
【0014】
また、帯領域の内側の内部領域の画素値に基づく統計値と閉曲線上または帯領域の画素値に基づく統計値とを比較して、閉曲線と対象領域の輪郭との近接度を判定するようにしても良い。統計値は、例えば平均値及び分散値である。
これにより、閉曲線と対象領域との近接度に応じて、より高精度な処理(クラスタ分割処理等)へ移行するか否かを判断することができる。
【0015】
また、ある画像において既に抽出した対象領域の輪郭を相関性を有する他の画像における初期閉曲線として用いるようにしても良い。
これにより、既に抽出した対象領域の輪郭を初期閉曲線として用いることで、処理時間の短縮及び輪郭抽出処理の精度の向上を図ることができる。
【0016】
また、3次元の対象領域における複数の断面のうちいずれかの断面については断面方向をずらして当該断面における輪郭を抽出し、3次元の対象領域の輪郭を抽出するようにしても良い。
これにより、3次元画像において断面方向を回転させて断面における対象領域の輪郭を抽出することで、極部分などの詳細な輪郭を取得することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、対象画像を高精度で抽出することのできる画像認識装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面に基づいて本発明の実施の形態に係る画像認識装置について説明する。
図1は、画像認識装置100の構成図である。
【0019】
(1.画像認識装置100の構成)
画像認識装置100は、外部記憶装置や印刷装置等の出力部101と、マウスやタッチパネルやキーボードやメディア読取装置等の入力部103と、画像を表示するCRTや液晶表示装置等の表示部105と、画像認識装置100の制御プログラムが格納されたメモリ107と、各構成要素の動作を制御するCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)等の制御部109と、インターネット等のネットワーク117に接続する通信部111と、HDD(Hard Disc Drive)等のデータ記憶部113と、上記各構成要素をデータ送受可能に接続するシステムバス115とから構成される。
【0020】
入力部103は、表示部105のソフトスイッチを操作するためのマウス、トラックボール、タッチパネル等のポインティングデバイス、及びポインティングデバイスコントローラと、各種パラメータ設定用のキーやスイッチを備えたキーボード等である。また、入力部103は、CD−ROM等を読み取るメディア読取装置等であっても良い。
【0021】
メモリ107は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等であり、例えば制御部109は、ROMに格納される画像認識装置100の制御プログラムをRAMにロードして実行する。
通信部111は、画像認識装置100をネットワーク117、電話回線等の公衆回線、LANネットワーク、有線等の専用回線等に接続するネットワークアダプタである。
記憶部113は、画像認識装置100に内蔵又は外付けされたHDD(Hard Disc Drive)等であり、画像認識装置100が読み込んだ画像情報や、加工中或いは加工後の画像情報を格納する。
【0022】
画像認識装置100は、ネットワーク117を介して外部の医用画像撮影装置や画像データサーバ127と接続して画像情報等を送受信する。医用画像撮影装置は、例えばMRI装置119、CT装置121、X線装置123、超音波装置125等である。画像データサーバ127には、例えば上記医用画像撮影装置等で取得された画像データを格納しても良い。
また、画像認識装置100は、医用画像撮影装置と一体化された構成であっても良い。
【0023】
(2.表示)
図2は、画像認識装置100の表示部105に表示される画面25を示す。
画像認識装置100の制御部109は、記憶部113に格納している画像情報2、或いはネットワーク117を介して画像データサーバ127や医用画像撮影装置等(MRI装置119、CT装置121、X線装置123、超音波装置125等)から取得する画像情報2を表示部105の画面25に表示させる。また、リムーバブルな記憶メディアに格納された画像情報2を、画像認識装置100に読み込み、表示させるようにしても良い。
【0024】
画像情報2は、例えば医用画像である体内断面画像を示し、体内領域5内に輪郭抽出を行う対象となる臓器等の対象領域1が表示される。閉曲線3は対象領域1の輪郭抽出のために設定される。背景領域17は、体外領域(即ち空気領域)であり、後述するが前処理段階で除外される領域である。
【0025】
画面25では、画像情報2に関する情報として造影剤9の有無、コントラスト11に関する情報、高エッジ排除率13等の項目を操作者が設定することができる。例えばコントラスト11に関する情報として、抽出対象となる対象領域1の輝度が高く表示される場合に操作者は「内部が明るい」の項目を指定する。また、抽出対象となる対象領域1の輪郭以外に誤って輪郭として抽出される可能性のある画像形状を予め排除するための高エッジ排除率13を設定しておくことができる。
尚、以降説明する本実施の形態においては、コントラスト11情報として、抽出対象となる対象領域1の輝度が高い、即ち「内部が明るい」、即ち内部の画素値が大きいとして説明を進める。
【0026】
操作者が画面25の抽出開始ボタン15をクリックすると、本実施の形態の画像認識装置100は、抽出対象となる対象領域1の輪郭抽出処理を開始する。
【0027】
(3.輪郭抽出処理)
(3−1.輪郭抽出概要)
まず、対象領域1の輪郭抽出処理の概要について説明する。動的輪郭抽出方法(SNAKES)によれば、画像に含まれる対象領域1に対して、設定する閉曲線3を変形移動させて当該対象領域1の輪郭に一致する場合に、閉曲線3の総エネルギーが最小となる。画像情報2に設定する閉曲線3の総エネルギーが最小となるように閉曲線3を変形させることで対象領域1の輪郭を抽出する。
【0028】
閉曲線3上のサンプル点を「s」(s:サンプル点番号)とすると、当該サンプル点の総エネルギーεtotal(s)は、式(1)で表される。
【0029】
【数1】

【0030】
尚、εinter(s)(式(2))は、閉曲線3の歪み度を示す内部エネルギー、εimag(s)(式(3))は画像情報2の輝度勾配を示す画像エネルギー、εexter(s)(式(4))は強制外力の源となる外部エネルギーを示し、それぞれ次式で表される。
【0031】
【数2】

【0032】
【数3】

【0033】
【数4】

【0034】
v(s)はサンプル点sの位置を示す。α、β、ω、κは係数であり、α、β、κは輝度Iに応じて符号や値を変える重み係数である。∇Iは輝度勾配である。vc.m.は閉曲線の重心位置を示す。
【0035】
画像認識装置100は、各サンプル点の総エネルギーεtotal(s)の総和である全エネルギーEtotalが最小となるようサンプル点の移動方向と移動量を算出し、サンプル点を移動させることで閉曲線3を動的に変形移動させる。画像認識装置100は、閉曲線3の全エネルギーが最小となる閉曲線3の位置を対象領域1の輪郭として抽出する。尚、全エネルギーEtotalは、式(5)で表される。
【0036】
【数5】

【0037】
(3−2.輪郭抽出の前処理)
次に、図3〜図5を参照しながら、対象領域1の輪郭抽出処理に先だって行う前処理について説明する。
【0038】
図3は、前処理のフローチャートである。
図4(a)は、画像認識装置100が取得する画像情報2を示す図である。
図4(b)は、画像情報の輝度ヒストグラム19を示す図である。
図5は、対象領域1を含む処理領域27を示す図である。
【0039】
画像認識装置100の制御部109は、記憶部113或いはネットワーク117を介して画像情報2を取得する(ステップ1001)。制御部109は、当該画像情報2に含まれるノイズ等を除去するため、対象領域1の輪郭構造を崩さない設定で、当該画像情報2について平滑化フィルタ処理を行う(ステップ1002)。
【0040】
制御部109は、ノイズ等を除去した画像情報2の輝度23(画素値)分布を基に、画像情報2の輝度を2つの領域に分割した場合の2領域のクラス間分散とクラス内分散との比である分離度を算出し、当該分離度が最大となる境界画素値を閾値25として算出する。図4(b)に示すように、画像情報2の輝度23分布をヒストグラム19に表し、領域Iと領域IIに分割した場合の2領域のクラス間分散とクラス内分散との比である分離度が最大となる境界画素値が閾値25として算出される。
【0041】
制御部109は、求めた閾値25の値以下の輝度の画素を背景領域17と認識して以降の処理から除外し、残りの領域を処理領域27として抽出する(ステップ1003)。図5に示すように、制御部109は、画像情報2から背景領域17を除外し、対象領域1を含む処理領域27を抽出する。
尚、ここでは画像情報2から背景領域17を除外して処理領域27を抽出したが、必要であれば処理領域27に更に同様の処理を行って再度背景領域を除外し、新たに処理領域を抽出するようにしても良い。
【0042】
制御部109は、処理領域27の画素の輝度分布に基づいて輝度勾配(∇I)を求める。処理領域27の画素の画像エネルギーεimag(s)を式(3)で算出し、処理領域27の画素の画像エネルギーεimag(s)が所定の値となるように係数ωを決定する(ステップ1004)。
【0043】
ここで、対象の画像が系統的な画像、例えば腹部の医療画像など特定の対象であり、構造的に個体差がそれほどないものに関しては、予め画像エネルギーのうち最大値の何%以上の値を示すエッジが対象以外のエッジからの寄与かを統計的に求めておき、高エッジ排除率13のパラメータ(図2)として設定しても良い。
【0044】
制御部109は、処理領域27の画素値情報、及び算出した処理領域27の画像エネルギーεimag(s)をメモリ107又は記憶部113に記憶する(ステップ1005)。
【0045】
(3−3.輪郭抽出処理の全体的な流れ)
次に、図6を参照しながら、対象領域1の輪郭抽出処理の全体的な流れについて説明する。
図6は、対象領域1の輪郭抽出処理のフローチャートを示す。
【0046】
画像認識装置100の制御部109は、メモリ107又は記憶部113に格納されている画像情報2(処理領域27の画素値情報)を取得する(ステップ2001)。
例えば画像情報2が時間的或いは空間的に連続した画像情報である場合には、隣接する画像情報で取得した対象領域の輪郭情報を基にして、初期の閉曲線3として利用する(ステップ2002)。初期の閉曲線3が抽出する対象領域1の輪郭に近似しているため、輪郭検出の精度向上と抽出にかかる時間の短縮効果がある。
【0047】
制御部109は、取得した画像情報2及び初期の閉曲線3を表示部105に表示する(ステップ2003)。初期の閉曲線3は、ステップ2002で取得した隣接画像情報に基づいて設定されるものであっても良いし、表示された画像情報2の所定の位置に所定の形状で自動的に設定されても良いし、操作者が画像上に任意に描画することにより設定されるものであっても良い。
【0048】
制御部109は、設定された閉曲線3上に複数のサンプル点31−1、31−2、…を配置し(図8(a)参照)、全エネルギーEtotalが最小となるように各サンプル点31の移動方向と移動量を算出する(ステップ2004)。
尚、サンプル点31の座標算出(ステップ2004)の詳細については、図7のフローチャートに沿って後述する。
【0049】
制御部109は、算出したサンプル点31の移動により閉曲線3の全エネルギーEtotalが最小値で収束したかどうかを判定する(ステップ2005)。制御部109は、サンプル点31の座標が一定値に収束あるいは一定値を中心に振動する場合に全エネルギーEtotalが最小値で収束したと判断する。
【0050】
閉曲線3の全エネルギーEtotalが最小値で収束すると(ステップ2006のYES)、閉曲線3が対象領域1の輪郭に一致(最も近似)したことを示し、輪郭抽出処理が終了する。
【0051】
閉曲線3の全エネルギーEtotalが最小値で収束しない場合(ステップ2006のNO)、ステップ2004に戻りサンプル点31の移動処理(閉曲線3の変形)を繰り返す。
【0052】
(3−4.サンプル点31の座標算出処理)
次に、図7〜図10を参照しながらサンプル点31の座標算出処理(図6のステップ2004)の詳細について説明する。
図7は、サンプル点31の座標算出を示すフローチャートである。
図8は、(a)初期の帯領域29と対象領域1との位置関係、(b)当該帯領域の輝度ヒストグラムを示す図である。
図9は、(a)輪郭抽出処理の中途過程にある帯領域29と対象領域1との位置関係、(b)当該帯領域の輝度ヒストグラムを示す図である。
図10は、(a)輪郭抽出処理の最終過程にある帯領域29と対象領域1との位置関係、(b)当該帯領域の輝度ヒストグラムを示す図である。
【0053】
ステップ3001では、サンプル点31の初期値として初期閉曲線3に設定されたサンプル点31の座標が用いられる。尚、前述のステップ2006のNOからの繰り返し処理ではステップ3004〜ステップ3008の処理により算出されたサンプル点31の移動量や移動方向を基にサンプル点31の座標更新が行われる。
【0054】
画像認識装置100の制御部109は、閉曲線3上に複数のサンプル点31−1、31−2、…を配置する。また、制御部109は閉曲線3を含み所定の幅を有する帯領域29を設定する。尚、帯領域29の幅は一定でなくても良いし、閉曲線3が帯領域の幅の中央位置でなくても良い。帯領域29の内側の領域を内部領域33とする。
【0055】
制御部109は、閉曲線3上の画素値と内部領域33の画素値のそれぞれの分散値と平均値を算出する(ステップ3002)。制御部109は、算出した分散値と平均値を利用して、閉曲線3が対象領域1の近傍であるかどうかを判定する(ステップ3003)。
【0056】
ここでは、対象領域1内の画素値が他の領域と比較して大きく(明るい、輝度が大)表示されている場合を想定する。閉曲線3が変形しつつ対象領域1の輪郭に近似してくると、内部領域33は対象領域1に包含されるので、内部領域33の画素値の平均値は最大値に収束し、分散値は最小値に収束する。従って、(内部領域33内の全画素値の平均値)>(閉曲線3上の全画素値の平均値)かつ(内部領域33内の全画素値の分散値)<(閉曲線3上の全画素値の分散値)であれば、閉曲線3と、対象領域1の輪郭との近接度が高いと判定することができる。
【0057】
図8及び図9に示すように、閉曲線3が対象領域1の輪郭の近傍ではないと判定された場合には(ステップ3003のNO)ステップ3004の処理に移行する。図10に示すように、閉曲線3が対象領域1の輪郭の近傍であると判定された場合には(ステップ3003のYES)、ステップ3005のクラスタ分割処理に移行する。尚、ステップ3005のクラスタ分割処理については後述する。
【0058】
ステップ3004以降の処理において、制御部109は、閉曲線3を含む帯領域29内の全画素の画素値(輝度23)と画素数21のヒストグラム39について、輝度23を2つの領域、領域41と領域43に分割した場合のクラス間分散とクラス内分散との比である分離度を算出し、当該分離度が最大となる画素値(輝度23)を閾値45として算出する。当該分離度がある一定値に達しない場合、当該閾値は閉曲線3を含む帯領域29内の全画素の画素値(輝度23)の最大値とする。但し領域内部の輝度平均値の方が暗い場合は、当該閾値は帯領域29内の全画素の画素値(輝度23)の最小値とする。
【0059】
制御部109は、閉曲線3上の各サンプル点31−1、31−2、…について、それぞれの輝度を閾値45と比較し、(サンプル点31の輝度)≧(閾値45)ならば、サンプル点31の座標を閉曲線3が膨張する方向に移動させ、(サンプル点31の輝度)<(閾値45)ならば、サンプル点31の座標を閉曲線3が収縮する方向に移動させるものと判別する(ステップ3004)。制御部109はサンプル点31の移動量算出(ステップ3008)の処理に移る。
【0060】
(3−5.演算処理)
ここで、各サンプル点31の移動方向及び移動量の算出(ステップ3004〜ステップ3008)に関しては、具体的には以下の演算処理が行われる。
【0061】
画像認識装置100の制御部109は、各サンプル点31の画像輝度と分離度演算から算出した閾値との差に基づいて、内部エネルギーεinter(s)の係数α(s;I)及び係数β(s;I)、外部エネルギーεexter(s)の係数κ(s;I)を変化させることにより、各サンプル点31に対して局所的に収縮力或いは膨張力を作用させる。
【0062】
演算処理の詳細を以下に示す。
制御部109は、前処理で算出しメモリ107又は記憶部113に格納した画像エネルギーεimag(s)(式(3))の微分値を算出し(ステップ3007)、閉曲線3の運動方程式(式(6))を求める。
【0063】
【数6】

【0064】
式(6)を離散近似により具体的な方程式に直すと式(7)となり、行列形式で表せば式(8)となる。
【0065】
【数7】

【0066】
【数8】

【0067】
制御部109は、式(8)の非線形連立方程式にJacobi法等を用いて演算処理して解を求める。Jacobi法では行列Aを対角成分Dと非対角成分とに分け、式(9)及び式(10)に再帰代入することにより漸近的に解が求められる。
【0068】
【数9】

【0069】
【数10】

【0070】
但し、x(n)及びx(n+1)は、それぞれ代入前後の漸近解であり、γは減衰パラメータである。制御部109は、これらの方程式について演算処理を行って解を求めて各サンプル点31の移動方向及び移動量を算出する。
【0071】
(3−6.終了処理)
以上、サンプル点31の座標算出処理(ステップ2004:図6及び図7)を終了し、前述したように輪郭線3の全エネルギーEtotalの収束判定処理であるステップ2005の処理に移る。全エネルギーEtotalが収束したと判定されなければ(ステップ2006のNO)、再度サンプル点31の座標算出処理(ステップ2004)を行う。全エネルギーEtotalが収束したと判定されれば(ステップ2006のYES)、閉曲線3が対象領域1の輪郭を抽出したものとして処理を終了する。
【0072】
このように、画像認識装置100は閉曲線3を含む帯領域29の画素値分布を利用して閾値45を算出するので、信頼性のある閾値45を取得して閉曲線3(即ちサンプル点31)の移動方向及び移動量を正確に算出することができる。すなわち、画像認識装置100は、帯領域29の内側の内部領域33の画素値に基づく統計値と閉曲線上または帯領域29の画素値に基づく統計値とを比較して閉曲線3の輪郭への近接度を判断し、更に帯領域29の画素値から算出した閾値45を用いて閉曲線3の移動方向及び移動量を判断するので、帯領域29より内側の内部領域33の画素値情報を反映した上で高精度に対象領域1の輪郭抽出を行うことができる。
【0073】
(3−7.クラスタ分割)
次に、図11及び図12を参照しながら、クラスタ分割について説明する。
【0074】
図7のステップ3003の処理において、図10(a)に示すように閉曲線3が対象領域1の輪郭の近傍であると判定された場合(ステップ3003のYES)、画像認識装置100の制御部109は、帯領域29又は閉曲線3上の点を、少なくとも1つのサンプル点31を含む複数のクラスタ(領域)に分割する(ステップ3005)。
【0075】
帯領域29の画素値の分布が一様でない場合には、当該帯領域29の画素値分布から求めた1つの閾値を一律に全てのサンプル点31に適用するのは必ずしも適当ではない。従って、閉曲線3が対象領域1の輪郭の近傍に収束してきた場合、各サンプル点31の移動方向及び移動量を判定する際に、当該各サンプル点31の近傍領域(クラスタ)の画素値分布(輝度23分布)から求めた閾値を比較値とすることが望ましい。
【0076】
(3−7−1.帯領域29のクラスタ分割)
図11(a)は、帯領域29を複数のクラスタ47−1、47−2、…に分割した図である。
図11(b)は、クラスタ47−1内の全画素の画素値(輝度23)と画素数21との関係を示すヒストグラム49−1である。
【0077】
制御部109はクラスタの輝度ヒストグラム49−1について、輝度23を2つの領域、領域51−1と領域53−1に分割した場合のクラス間分散とクラス内分散との比である分離度を算出し、当該分離度が最大となる境界画素値(輝度23)を閾値55−1として算出する。例えばクラスタ47−1では閾値55−1が算出される。
【0078】
制御部109は、クラスタ47−1内の閉曲線3上の各サンプル点31−1、31−2、…について、それぞれの輝度を閾値55−1と比較し、(サンプル点31の輝度)≧(閾値55−1)ならば、サンプル点31の座標を閉曲線3が膨張する方向(膨張方向35)に移動させ、(サンプル点31の輝度)<(閾値55−1)ならば、サンプル点31の座標を閉曲線3が収縮する方向(収縮方向37)に移動させるものと判別する(ステップ3006)。次に、制御部109はサンプル点31の移動量算出(ステップ3008)の処理を行う。
尚、制御部109は、他のクラスタ47−2、47−3、…についても同様にステップ3006〜ステップ3008の処理を行う。
【0079】
(3−7−2.閉曲線3のクラスタ分割)
図12(a)は、閉曲線3を複数のクラスタ57−1、57−2、…に分割した図である。
図12(b)は、クラスタ57−1内の全画素の画素値(輝度23)と画素数21との関係を示すヒストグラム49−2である。
【0080】
制御部109はクラスタの輝度ヒストグラム49−2について、輝度23を2つの領域、領域51−2と領域53−2に分割した場合のクラス間分散とクラス内分散との比である分離度を算出し、当該分離度が最大となる境界画素値(輝度23)を閾値55−2として算出する。例えばクラスタ57−1では閾値55−2が算出される。
【0081】
制御部109は、クラスタ57−1内の閉曲線3上の各サンプル点31−1、31−2、…について、それぞれの輝度を閾値55−2と比較し、(サンプル点31の輝度)≧(閾値55−2)ならば、サンプル点31の座標を閉曲線3が膨張する方向(膨張方向35)に移動させ、(サンプル点31の輝度)<(閾値55−2)ならば、サンプル点31の座標を閉曲線3が収縮する方向(収縮方向37)に移動させるものと判別する(ステップ3006)。次に、制御部109はサンプル点31の移動量算出(ステップ3008)の処理を行う。
尚、制御部109は、他のクラスタ57−2、57−3、…についても同様にステップ3006〜ステップ3008の処理を行う。
【0082】
(3−7−3.クラスタ分割の効果)
以上説明したように、画像認識装置100の制御部109は、閉曲線3が対象領域1の近傍に位置する場合、帯領域29をクラスタ分割し(図11)あるいは閉曲線3をクラスタ分割し(図12)各クラスタ毎に処理を行う。帯領域29の輝度分布が一様ではない場合でも、各サンプル点31の近傍領域の画素値分布を用いて閾値を選定するので、より高精度にサンプル点31の移動方向及び移動量を算出することができる。
【0083】
(3−8.輝度ムラのある画像情報2)
図13は、造影剤を使用した対象領域58を示す図である。
図14は、複数回の閾値算出を示す図である。
【0084】
輝度ヒストグラム63は、造影剤を使用した際の帯領域の輝度ヒストグラムである。例えば、医用画像取得のために造影剤を使用した場合、対象領域58に輝度ムラが発生し、造影剤に十分染まっている造影剤染部61と十分染まっていない造影剤不染部59とが生じて画素値(輝度)が一様でない場合がある。
【0085】
画像認識装置100の制御部109は、当該対象領域58に設定する閉曲線3を含む帯領域の輝度ヒストグラムから、閉曲線3上のサンプル点31の移動方向及び移動量を判定する閾値を求める際、複数回の閾値算出処理を行う。
【0086】
制御部109は、まず設定した閉曲線3を含む帯領域のヒストグラム63について、輝度23を領域I及び領域IIに分割した場合のクラス間分散とクラス内分散との比である分離度を算出し、当該分離度が最大となる境界画素値(輝度23)を閾値65−1として算出する。閾値65−1は、造影不染領域と造影染領域の境界値を示し、造影不染領域(領域I)を除外し、残領域(領域II)の領域III及び領域IVについて再度クラス間分散とクラス内分散との比である分離度を算出し、当該分離度が最大となる画素値(輝度23)を閾値65−2として算出する。
【0087】
算出された閾値65−2を、サンプル点の移動方向及び移動量を判定する比較値として使用する。即ち、画像の対象領域1に染まりムラがある場合でも、造影不染領域を除外し、閉曲線3の変形を決定する基準値(閾値65−2)を精度よく抽出することが可能になる。
【0088】
尚、前処理においても、帯領域29に対する処理と同様に画像情報2に対して複数回の閾値算出処理を行い、画像情報2から背景領域17を除去するようにしてもよい(図3のステップ1003)。
【0089】
(3−9.特定のサンプル点(s)についての移動制御)
次に、特定のサンプル点(s)における膨張作用あるいは収縮作用の制御について説明する。
【0090】
内部エネルギーεinter(s)の係数α(s;I)及び係数β(s;I)、外部エネルギーεexter(s)の係数κ(s;I)は、それぞれ、サンプル点(s)及びサンプル点(s)の画像輝度(I)に応じて変化する関数として設定される。尚、画像輝度(I)に関して正確には、サンプル点の画像輝度(I)と帯領域29等の所定領域内の画像輝度に基づいて算出した閾値との差異に応じて変化する関数として設定される。
【0091】
内部エネルギーεinter(s)は、各サンプル点(s)に対して主として収縮作用を与える。外部エネルギーεexter(s)は、各サンプル点(s)に対して引力(収縮)あるいは斥力(膨張)を作用させる。外部エネルギーεexter(s)は、係数κ(s;I)の正負を符号反転させることにより引力と斥力とを切り替えることができる。
【0092】
ここで、特定のサンプル点(s)の画像輝度(I)が所定の条件を満たす場合など、係数α(s;I)及び係数β(s;I)の大きさを小さくあるいは「0」にすることにより、当該特定のサンプル点(s)の膨張効果を向上させることができる。
例えば、式(7)において、α(s;I)=0、とすると、式(11)となり、サンプル点(s)については、内部エネルギーεinter(s)の影響をほとんど受けることがないので、外部エネルギーεexter(s)による膨張効果を向上させることができる。
【0093】
【数11】

【0094】
また、係数α(s;I)及び係数β(s;I)を「0」にすることは、各サンプル点(s)間を結ぶ網を切断することに相当する。これにより、係数α(s;I)及び係数β(s;I)を「0」としたサンプル点(s)については、内部エネルギーεinter(s)の束縛から解放され外部エネルギーεexter(s)による作用力に応じて膨張あるいは収縮することになる。
【0095】
しかしながら、特定のサンプル点(s)について係数α(s;I)及び係数β(s;I)の大きさを小さくあるいは「0」にしたとしても、隣接するサンプル点(s−1)及びサンプル点(s+1)について係数α(s;I)及び係数β(s;I)の大きさを小さくあるいは「0」にしていなければ、当該特定のサンプル点(s)の束縛を解放しつつ隣接するサンプル点(s−1)及びサンプル点(s+1)の拘束を維持することができる。すなわち、特定のサンプル点(s)から見ると網が切断され、隣接するサンプル点(s−1)あるいはサンプル点(s+1)から見ると網が切断されていないという状態を実現することができる。
【0096】
これにより、特定のサンプル点(s)については内部エネルギーの束縛から解放し、隣接するサンプル点(s−1)及びサンプル点(s+1)については内部エネルギーの拘束を維持することにより、特定のサンプル点(s)だけが突発的に膨張あるいは収縮することはなく、隣接するサンプル点に位置する閉曲線3についても自然な形で変形させることができる。
【0097】
(4.3次元の抽出対象)
次に、3次元的に滑らかな連続体の輪郭を抽出する場合について説明する。
図15は、3次元の抽出対象67を示す。
図16は、抽出対象67の極部分71の抽出を示す図である。
【0098】
図15は3次元の抽出対象67を示し、複数の2次元断面69の集合として認識するものとする。画像認識装置100は、まず任意の2次元断面69で、前述した手順で対象画像を閉曲線及び帯領域を利用して抽出する。次に画像認識装置100は、当該2次元断面69に隣接した断面を選び、当該2次元断面69での対象画像抽出結果を、隣接断面での閉曲線の初期輪郭として採用する。このように、隣接する画像の対象領域抽出に、前画像の抽出結果を用いることで、高精度で時間効率の高い抽出方法を実現することができる。
【0099】
また、特に3次元の抽出対象67の極部分71については、対象の境界部分が不鮮明になる場合があるので、円形度や面積などを指標にして、円形度や面積がある一定値以下となるか、もしくは前断面での対象画像の抽出結果で円形度や面積がある一定の比率よりも小さくなった場合は、抽出断面を回転させて断面方向をずらし(図16参照)、その極部分についての輪郭を抽出する。
【0100】
(5.その他)
尚、本実施の形態では、輪郭抽出する対象領域1の画素値(輝度23)が大きい場合について説明したが、逆に対象領域1の画素値(輝度23)が小さい場合についても同様の処理を行うことができる。
【0101】
尚、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に限られるものではない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】画像認識装置1の構成図
【図2】表示部105の画面25を示す図
【図3】画像情報2の前処理を示すフローチャート
【図4】(a)画像認識装置100が取得する画像情報2を示す図、(b)画像情報2の輝度ヒストグラムを示す図
【図5】抽出された処理領域27を示す図
【図6】対象領域1の輪郭抽出を示すフローチャート
【図7】サンプル点座標算出を示すフローチャート
【図8】(a)初期の帯領域29と対象領域1との位置関係を示す図、(b)帯領域29の輝度ヒストグラム39−1を示す図
【図9】(a)輪郭抽出処理の中途過程にある帯領域29と対象領域1との位置関係を示す図、(b)帯領域29の輝度ヒストグラム39−2を示す図
【図10】(a)輪郭抽出処理の最終過程にある帯領域29と対象領域1との位置関係を示す図、(b)帯領域29の輝度ヒストグラム39−3を示す図
【図11】(a)帯領域29のクラスタ分割を示す図、(b)クラスタの輝度ヒストグラム49−1を示す図
【図12】(a)閉曲線3のクラスタ分割を示す図、(b)クラスタの輝度ヒストグラム49−2を示す図
【図13】造影剤を使用した対象領域58を示す図
【図14】複数回の閾値算出を示す図
【図15】3次元の抽出対象を示す図
【図16】極部分の抽出方法を示す図
【符号の説明】
【0103】
1、58………対象領域
2………画像情報
3………閉曲線
5………体内領域
9………造影剤
11………コントラスト
13………高エッジ排除率
15………抽出開始ボタン
17………背景領域
19………画像情報の輝度ヒストグラム
21………画素数
23………輝度
25、45−1〜45−3、55−1、55−2、65−1、65−2………閾値
27………処理領域
29………帯領域
31、31−1、31−2、・・………サンプル点
33………内部領域
35………膨張方向
37………収縮方向
39−1〜39−3、63………帯領域の輝度ヒストグラム
47−1、47−2・・、57−1〜57−3、・・………クラスタ
49−1、49−3………クラスタの輝度ヒストグラム
59………造影剤不染部
61………造影剤染部
67………抽出対象
69………2次元断面
71………極部分
100………画像認識装置
101………出力部
103………入力部
105………表示部
107………メモリ
109………制御部
111………通信部
113………記憶部
115………システムバス
117………ネットワーク
119………MRI装置
121………CT装置
123………X線装置
125………超音波装置
127………画像データサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を演算処理する演算処理部と前記画像及び演算処理結果を保持する保持部と前記画像及び前記演算処理結果を表示する表示部とを備え、前記画像に閉曲線を配置し前記閉曲線の歪み具合を示す内部エネルギーまたは前記画像の輝度勾配を示す画像エネルギーまたは前記閉曲線の膨張あるいは収縮を示す外部エネルギーの少なくともいずれかの和である総エネルギーに基づいて前記閉曲線を動的に変形させて前記画像に含まれる対象領域の輪郭を抽出する画像認識装置であって、
前記画像に前記閉曲線を含み所定の幅を有する帯領域を配置する帯領域設定手段と、
前記帯領域内の画素値を基に閾値を算出する閾値算出手段と、
前記総エネルギーを用い、前記閾値算出手段により算出した閾値と前記閉曲線上の各サンプル点の画素値との比較結果に基づいて、前記各サンプル点毎に移動方向及び移動量を算出して前記各サンプル点を移動させる移動手段と、
を具備することを特徴とする画像認識装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記閾値と前記サンプル点の画素値との比較結果に応じて前記内部エネルギーまたは前記外部エネルギーの少なくともいずれかの重み係数を変化させることを特徴とする請求項1に記載の画像認識装置。
【請求項3】
前記帯領域または前記閉曲線を少なくとも1つの前記サンプル点を含む複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記閾値算出手段は、前記分割された領域毎に、前記分割された領域内の画素値を基に第2の閾値を算出し、
前記移動手段は、前記分割された領域毎に、前記第2の閾値と前記サンプル点の画素値とを比較して前記サンプル点毎に移動方向及び移動量を算出することを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の画像認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−265331(P2007−265331A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92949(P2006−92949)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【出願人】(590001452)国立がんセンター総長 (80)
【Fターム(参考)】