説明

盗難報知システム及び盗難報知方法

【課題】イベントが存在したことを検証・証明可能なシステムを提供する。
【解決手段】証明用画像表示装置10は、時刻、位置、乱数を含む証明用画像を表示する。撮像装置20は、証明用画像表示装置10が表示する証明用画像を含むようにイベントを撮影し、撮像画像のサムネールを生成する。管理サーバ30はタイムスタンプを付してサムネールを蓄積する。証明用画像表示装置10は、証明用画像の履歴を管理サーバ30に送信する。検証サーバ40は、検証対象の画像から証明用画像を抽出し、管理サーバ30に記憶されている証明用画像の履歴と比較し、さらに、検証対象画像と管理サーバ30に格納されているタイムスタンプ付サムネールとを比較することにより、正当性を検証する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の信憑性や画像に記録されているイベント(事象)が存在したこと及びイベントの発生時刻・場所などを検証・証明するためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野において、あるイベント(事象)が存在していたことを証明する必要がある場合がある。従来、このような場合、関係者がイベントの現場に立会い、位置、時間、事象の内容を確認し文書、写真により証書を作成する事が行なわれていた。
【0003】
しかし、このような方法では、関係者が時間を調整して集合する必要があり、不便である。また、位置情報、時間、事象を、人手を介在させることなくまとめることが出来ないという問題があった。
【0004】
このような問題を解決できるように、特許文献1には、イベントを動画送信することにより、遠隔からの証明を可能とする方法が開示されている。
【0005】
特許文献1に開示された方法は、関係者間を情報伝達自在な状態に接続しておき、イベント(工事試験)の実施に伴って、工事試験状況をリアルタイムで送信すると共に、試験監理者から試験実施者に工事試験状況を確認した電子署名を送信し、工事試験状況と電子署名とをサーバに記録する。
【0006】
【特許文献1】特開2004−229081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシステムでは、送信されているイベントの映像自体の検証・証明が行われていない。このため、そのイベントが、真に、その時刻・その場所において発生しているものであるか否かの検証が困難である。このため、サーバに格納された情報では、イベントが確実にその場所でその時刻に存在したことを立証する資料とはならない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、イベントの発生時刻・位置等を立証・検証するために有用なシステム及び方法を提供することを目的とする。また、本発明は、イベント等を記録した画像を検証するために有用なシステム及び方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点に係る画像検証システムは、
時刻と位置を特定する情報を含む証明用画像を表示する証明用画像表示手段と、
前記証明用画像表示手段が表示した証明用画像を含んで撮影された検証対象画像を記憶する検証対象画像記憶手段と、
前記証明用画像表示手段が表示した証明用画像と、前記検証対象画像記憶手段に記憶された検証対象画像に含まれる証明用画像とに基づいて、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像の正当性を検証する検証手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
例えば、前記検証手段は、前記証明用画像表手段が表示した証明用画像と、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像に含まれている証明用画像とが実質的に一致したときに、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像が正当なものであると判別する。
【0011】
例えば、前記証明用画像は、前記証明用画像表手段の現在位置を示す位置情報、現在時刻、時間の経過と共に変化する乱数値を含む証明用データを含み、
前記検証手段は、前記証明用画像表手段が表示した証明用画像に含まれている証明用データと、前記検証対象画像記憶手段に記憶された検証対象画像に含まれている証明用画像から抽出した証明用データとが実質的に一致したときに、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像が正当なものであると判別する。
【0012】
例えば、
前記証明用画像表手段が表示した証明用画像の履歴を記憶する履歴記憶手段を備え、
前記検証手段は、履歴記憶手段に記憶されている証明用画像の履歴と、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像に含まれている証明用画像とが実質的に一致したときに、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像が正当なものであると判別する。
【0013】
例えば、検証対象の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像された画像を取得してタイムスタンプを付して保持する保持手段と、をさらに備え、
前記検証手段は、前記保持手段に保持されている画像と前記検証対象画像とが実質的に一致するか否か、及び、前記証明用画像表手段が表示した証明用画像と前記検証対象画像に含まれている証明用画像とが実質的に一致するか否か、に基づいて、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像の正当性を検証する。
【0014】
例えば、前記検証対象画像は動画であり、
前記保持手段は、前記動画の所定のフレームの画像にタイムスタンプを付して保持し、
前記検証手段は、前記保持手段に保持されているタイムスタンプ付のフレーム画像と前記検証対象画像の対応するフレーム画像とが実質的に一致し、該フレーム画像に含まれている証明用画像に含まれている時刻情報がタイムスタンプと実質的に一致し、さらに、前記証明用画像表手段が表示した一連の証明用画像と前記検証対象画像に含まれている一連の証明用画像とが実質的に一致する場合に、前記検証対象画像が正当なものであると判別する。
【0015】
イベントの立ち会い人を認証するための認証手段をさらに備えてもよい。
【0016】
また、この発明に係る証明方法は、所定の位置及び所定の時刻において、所定のイベントが発生していたことを証明する証明方法であって、
現在時刻と現在位置と含み、時間の経過に伴って変化する証明用画像を表示手段に表示し、
前記イベントを前記証明用画像と共に録画装置により録画し、
録画された画像に含まれている証明用画像と前記表示手段が表示した証明用画像とに基づいて、録画された画像の正当性を検証する、
ことを特徴とする。
【0017】
また、この発明に係る証明用画像表示装置は、
現在時刻を求める現在時刻取得手段と、
現在位置を求める現在位置取得手段と、
現在時刻取得手段で取得された現在時刻及び現在位置取得手段で取得された現在時刻を含み、時間の経過に伴って変化する証明用画像を表示する表示手段と、
前記表示手段が表示した証明用画像の履歴を検証用の装置に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、証明用画像表示手段が表示した証明用画像と撮影映像に含まれている証明用画像とを検証することにより、その証明用画像が表示された位置(近傍)と時刻において画像に記録されているイベントが存在したことを立証することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るイベント証明システム1について説明する。
【0020】
イベント証明システム1は、証明用画像表示装置10と、撮像装置20と、管理サーバ30と、検証サーバ40とから構成される。
【0021】
このイベント証明システム1は、イベントの発生を以下の手順で証明する。
【0022】
撮像装置20は、存在時刻位置等を証明する必要のあるイベントを撮像する際に、画像内に証明用画像表示装置10の像を含める。証明用画像表示装置10は、画像の撮影時刻・位置等を証明するための証明用画像を表示すると共に証明用画像の表示ログを管理サーバ30に送信し蓄積する。検証サーバ40は、後日、イベントの発生日時・位置等を検証する必要が生じた場合に、イベントを録画した検証対象画像に含まれている証明用画像と管理サーバ30に蓄積されている証明用画像の表示ログとを対比することにより、画像の改ざんの有無、撮影時刻、撮影位置等を検証する。
【0023】
画像の改ざん等が存在しない場合には、撮影時刻と撮影位置(の近傍)で記録されているイベントが発生していたことが証明可能である。
【0024】
図1に示す証明用画像表示装置10は、携帯型の装置であり、図2(a)に示すように、制御部101と、GPS装置102と、表示部103と、通信部104と、操作部105と、記憶部106と、から構成される。
【0025】
画像証明用画像表示装置10は、耐タンパ性を有し、筐体が開かれると機能を喪失する構成を有する。
【0026】
制御部101は、動作プログラムを実行し、GPS装置102から現在位置(緯度、経度)を示す現在位置情報と現在時刻を示す現在時刻情報を受信する。また、制御部101は、周期的に乱数を発生させる。制御部101は、これらの情報、即ち、この証明用画像表示装置10の識別情報、現在位置情報、現在時刻情報、乱数値を図2(b)に示すように表示部103に表示する。
【0027】
GPS装置102は、複数のPGS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信し、現在位置と現在時刻とを求める。
【0028】
表示部103は、液晶表示装置、EL表示装置等から構成され、筐体の正面に配置され、制御部101の制御下に、図2(b)に例示するように、証明用画像を表示する。なお、表示部103は、表示画像の撮像が容易なように、図2(b)に示すように、証明用画像表示装置10の正面ほぼ全面に配置され、反射防止処理等が施されている。
【0029】
通信部104は、携帯電話ネットワーク、インターネット等を介して、管理サーバ30と通信を行う。
【0030】
操作部105は、操作ボタン等を備え、制御部101に種々の指示を送る。また、操作部105は、指紋読み取り装置、静脈網読み取り装置等の操作者を認証するための生体認証装置を含む。
【0031】
記憶部106は、種々の情報を記憶する。
【0032】
図1の撮像装置20は、携帯型の動作撮影装置であり、図3(a)に示すように、制御部201と、撮像部202と、表示部203,操作部204と、記録部205と、記録媒体206と、通信部207とから構成される。
【0033】
制御部201は、撮像装置20全体を制御する。具体的には、制御部201は、操作部204からの指示に従って、撮像部202を制御し、撮像の開始・停止を制御する。
【0034】
撮像部202は、制御部201の制御下に、被写体の動画又は画像を取得する。
【0035】
表示部203は、撮像部202が撮像した画像等を表示する。
【0036】
操作部204は、操作ボタン等を備え、制御部201に種々の指示を送る。操作部204は、指紋読み取り装置、静脈網読み取り装置等の操作者を認証するための生体認証装置を含む。
【0037】
記録部205には、記録媒体206が着脱可能に装着される。記録媒体206は書き込みのみが可能で、書き換えが困難なNon-rewritableタイプのものが望ましい。記録部205は、記録媒体206に撮像部202が取得した画像を記録する。
【0038】
通信部207は、通信ネットワーク50を介して、管理サーバ30と通信を行う。
【0039】
図1に示す管理サーバ30は、証明用画像表示装置10が表示部103に表示した、一連の証明用画像(識別情報、現在位置情報、現在時刻情報、乱数、等)を記憶するための装置である。管理サーバ30は、図4(a)に示すように、制御部301,記憶部302,通信部303から構成される。
【0040】
制御部301は、管理サーバ30全体を制御する。具体的には、制御部301は、通信部303を介して証明用画像表示装置10の表示履歴を受信し、記憶部302に格納し、蓄積する。
【0041】
記憶部302は、証明用画像表示装置10が表示した証明用画像の履歴を蓄積する。
【0042】
通信部303は、通信ネットワーク50を介して証明用画像表示装置10、撮像装置20、検証サーバ40と通信を行う。
【0043】
図1の検証サーバ40は、検証対象の画像の正当性(改ざんの有無)を検証するためのものであり、図5に示すように、制御部401と、記録媒体処理部402と、通信部403と、記憶部404とを備える。
【0044】
制御部401は、検証サーバ40全体を制御する。具体的には、制御部401は、通信部403を介して管理サーバ30から証明用画像表示装置10が表示した証明用画像の表示ログを受信し、記憶部404に格納する。また、制御部401は、検証対象画像から証明用画像を抽出し、抽出した証明用画像と証明用画像の表示ログとを対比することにより、検証対象画像の正当性。換言すれば、検証対象画像の検証を介して、検証対象画像に記録されているイベントの発生の有無、発生(存在)日時、存在場所等を検証する。
【0045】
記録媒体処理部402には、検証対象の画像を記憶した記録媒体が装着される。記録媒体処理部402は、装着された記録媒体から検証対象画像を読み出す。
【0046】
通信部403は、通信ネットワーク50を介して、管理サーバ30と通信を行う。
【0047】
記憶部404は、種々のデータを記憶する。記憶部404が記憶するデータの一例を図4(b)に示す。図示するように、イベントID,撮像装置の機器ID,撮像者のID,証明証用画像表示装置10の機器ID、証明証用画像表示装置10の操作者のID、証明用画像の表示ログ、等を記憶する。なお、サムネール(画像)と検証用画像は実施形態2で使用するものである。
【0048】
なお、通信ネットワーク50は、例えば、携帯電話ネットワーク、インターネット等から構成され、無線又は有線で装置間の通信を行う。
【0049】
ユーザ端末50,61は、通常の携帯情報端末、コンピュータ等から構成される。
【0050】
次に、上記構成を有するイベント証明システム1によりイベントの発生を証明する手順を説明する。
【0051】
イベントの種類は任意であるが、ある試験設備の運転(実験)をイベントとして説明する。
【0052】
管理サーバ30には、事前に、イベントのID、撮影装置10の機器ID、撮影者の識別情報及び認証情報、証明用画像表示装置10の機器ID、証明用画像表示装置10の操作者のID及び認証情報、等を、図4(b)に示すように記憶部302に登録しておく。
【0053】
撮影担当者は、記録対象の試験設備を適切に撮影できるように、撮像装置20をセッティングする。撮像装置20のセッティングが終了すると、撮像画像内に証明用画像表示装置10を配置し、表示部103を撮像装置20に向ける。この際、実験設備を隠さないように、証明用画像表示装置10を画面端部に配置する方が望ましい。
【0054】
続いて、撮影担当者は、適宜、証明用画像表示装置10及び撮像装置20を起動し、これらを管理サーバ30と接続する。
【0055】
管理サーバ30は、証明用画像表示装置10及び撮像装置20の機器IDを用いた機器認証を実施し、さらに、証明用画像表示装置10と撮像装置20の操作者のID及び生体情報を用いた生体認証を行う。管理サーバ30は、これらの情報が事前に記憶部302に登録されている情報と一致するか否かをチェックし、一致すれば、以後の処理を継続し、一致しなければ、所定のエラー処理を実行する。
【0056】
管理サーバ30からの認証OKの通知に応答して、証明用画像表示装置10は、図6に示す証明用画像表示処理を開始する。まず、制御部101は、GPS装置102から現在時刻・現在位置(緯度・経度)を取得する(ステップS11)。
【0057】
次に、制御部101は、乱数を発生させる(ステップS12)。
【0058】
続いて、制御部101は、表示部103に、この装置の装置識別情報、現在時刻(年月日時分秒)、現在位置(緯度・経度)、乱数値を含む証明用画像を図2(b)に例示するように表示する(ステップS13)。
【0059】
続いて、証明用画像の表示内容のログを記録する(ステップS14)。
【0060】
次に、表示ログの送信タイミングになったか否かを判別し(ステップS15)、送信タイミングでなければ(ステップS15;NO)、動作の終了が指示されているか否かを判別し(ステップS17)、終了が指示されていなければ(ステップS17;NO)、ステップS11に戻って、同様の動作を繰り返す。
【0061】
ステップS15で、ログの送信タイミングであると判別されると(ステップS15;Yes)、蓄積しておいた表示ログを通信部104を介して管理サーバ30に送信する(ステップS16)。管理サーバ30は、受信した表示ログを記憶部302に蓄積する。なお、送信タイミングは、例えば、5秒毎、30分毎等、任意である。
【0062】
ステップS17で、動作の終了が指示されていると判別すると(ステップS17;Yes)、動作を終了する。
【0063】
このようにして、証明用画像表示装置10は、表示部103に、時間の経過に伴って変化し、現在時刻と位置(緯度・経度)の情報を含み、且つランダム性を有する情報を含む証明用画像を表示し続ける。そして、その表示履歴が、管理サーバ30の記憶部302に蓄積される。
【0064】
撮像装置20は、検証対象設備の稼働状態を撮影する。図3(b)に例示するように、イベントの撮影画像211の一部には、証明用画像表示装置10、即ち、証明用画像が撮影されている。この証明用画像により、改ざん等が無い限り、撮影された画像が、表示された時刻に表示された位置(正確にはその近傍)に存在したことが検証可能である。
【0065】
このようにして、撮像装置20は、証明用画像を含む、検証対象装置の稼働状態を撮影した動画を記録媒体206に記録する。
【0066】
なお、証明用画像表示装置10と撮像装置20を停止する際にも、それぞれ機器とユーザ認証を行い、管理サーバ30に対応付けて格納することが望ましい。
【0067】
次に、記録媒体206に記録された画像を用いて、イベントの発生等を証明する動作について説明する。
【0068】
まず、検証対象の画像を記録した記録媒体206が、検証サーバ40の記録媒体処理部405に装着される。
【0069】
検証サーバ40の制御部401は、検証動作を開始すると、まず、検証対象の画像に含まれている証明用画像表示装置10の識別情報と撮影日時を指定して、管理サーバ30に記憶データの送信を要求する(ステップS21)。
【0070】
管理サーバ30は、記憶部302に蓄積していたデータのうちから該当するものを抽出して検証サーバ40に送信する。
【0071】
検証サーバ40の制御部401は、送信されたデータを通信部403を介して受信し、記憶部404に格納する(ステップS21)。
【0072】
制御部401は、次に、読み出し対象フレームの番号を示すポインタnを初期値の0にセットし(ステップS22)、記録媒体処理部402を介して記録媒体から第nフレームの画像を読み出す(ステップS23)。
【0073】
続いて、制御部401は、第nフレームの画像から証明用情報を抽出する(ステップS24)。前述のように、証明用画像表示装置10の表示部103の周囲には、太い黒枠が描かれている。そこで、制御部401は、フレーム画像内で、黒い閉じた矩形枠を判別し、この枠内のデータを抽出する。次に、制御部401は、抽出した証明用情報を文字認識する。
【0074】
次に、制御部401は、第nフレームの画像から読み取って認識した証明情報と記憶部403に格納されている証明情報の表示ログが一致するか否かを、時刻をキーとして項目毎に検証する(ステップS25)。制御部401は、検証結果を記録する(ステップS26)。例えば、制御部26は、検証結果をテーブル化して記録することにより、図8に例示する一致・不一致テーブルを生成する。この例では、両証明情報の同一項目のデータが一致する場合、該当エントリの「一致」を示す符号が記録され、不一致の場合には、不一致を示す符号が記録される。
【0075】
次に、全てのフレームついて処理が終了したか否かを判別し(ステップS27)、終了していなければ、nを+1して(ステップS28)、ステップS23にリターンし、次のフレームついて同様の処理を実行する。
【0076】
全てのフレームついて処理が終了したと判別すると(ステップS27;Yes)、形成された一致不一致テーブル上で、不一致と認定されたデータが誤差あるいは技術的なものであるか否か、即ち、実質的に一致しているか否かを判別する(ステップS29)。
【0077】
例えば、あるフレームの証明用情報全体が表示ログが示す表示された証明用情報と不一致であると判別され、1フレーム前の証明用画像の内容と完全に一致するような場合には、表示タイミングの誤差(遅れ)に基づく不一致であり、許容範囲(実質的一致)であると判別することができる。
【0078】
一方、あるフレームの証明用情報の一部のデータのみが不一致であったり、あるフレームの証明用情報の一部のデータが前フレームのデータに一致し、他のデータが後フレームのデータに一致したり、前後のフレームに対応する証明用データが存在しないような場合には、改ざんの可能性がある。
【0079】
また、制御部401は、撮像時の、機器認証、ユーザ認証等の結果も確認する。
【0080】
制御部401は、一致・不一致率を求め、不一致が許容誤差内であるか否か、機器認証及び生体認証の認証結果を判別する(ステップS30)。
【0081】
また、制御部401は、
Y=k1・一致率+k2・許容誤差内であると認定される不一致の率+k3・認証結果
を信頼度として求める。
ここで、Y=信頼度、k1,k2,k3:重み係数である。
【0082】
なお、検証サーバ40は、検証結果と共に画像に記録されている証明用情報が示す位置(緯度・経度)、時刻等も表示する。
【0083】
ユーザは、例えば、生データとしての一致率・不一致率、不一致のうちの許容誤差内に収まっているものの割合、認証結果、さらに、これらを統合した信頼度Y、を参照して、検証対象画像が改ざん等されていない画像であるか否かを判断することができる。
【0084】
検証対象画像が改ざん等されていない正規の画像である場合、その検証対象画像に記録されているイベントが、その検証対象画像に含まれている証明用画像が示している位置(緯度・経度)の近傍で表示されている日時に存在したことが証明される。
【0085】
検証サーバ40の制御部401が、イベントのID,イベントの発生時刻(証明用画像に含まれている現在時刻の最初の値〜証明用画像に含まれている現在時刻の最後の値、位置情報(変化する場合にはその範囲)、等を自動的に集計し、出力してもよい。
【0086】
以上説明したように、本実施形態においては、証明用画像表示装置10を含めてイベントを録画し、証明用画像表示装置10が表示した証明用画像を管理サーバ30に蓄積しておくことにより、証明用画像表装置10が表示した一連の証明用画像と検証対象画像に含まれている一連の証明用画像とが実質的に一致したときに、検証対象画像が正当なものであると判別することができる。その結果、検証対象画像に記録されているイベントが証明用画像に表示されている時刻に表示されている位置に存在したことが立証される。
(実施形態2)
実施形態1のイベント証明システム1においては、検証対象画像に含まれている証明用画像が正規なものである限り、イベントの画像と証明用画像とが不正に合成されたものであっても、その不正を直接検出することができない。
【0087】
この種の不正を検出するためには、撮像画像自体のログを取り、このログに基づいて、撮像画像が改ざんされているか否かを検証できるようにすることが望ましい。
【0088】
以下、撮像画像のログを取る実施形態2について説明する。
【0089】
この実施形態2においては、撮像装置20の制御部201は、例えば、図9に示すように、撮像開始(ステップS41)後、周期的(一定周期でも、ランダム周期でもよい)にサムネール送信タイミングか否かを判別する(ステップS42)。制御部201は、送信タイミングであると判別すれば(ステップS42;Yes)、撮像画像のその時点でのフレーム画像のサムネールを生成し(ステップS43)、自らの署名を作成して付し(ステップS44)、管理サーバ30に送信する(ステップS45)。
【0090】
管理サーバ30は、このサムネールにタイムスタンプを付し、例えば、図4(b)に示すように記憶部303に格納する。
【0091】
以後、撮像の停止が指示されて(ステップS46;NO)、撮像を停止する(ステップS47)まで、同様の動作を繰り返す。
【0092】
一方、検証サーバ40の制御部401は、検証の場面で、図10のフローチャートに示すように、管理サーバ30から、検証対象画像に対応するサムネールを読み出す(ステップS51)。
【0093】
制御部401は、次に、読み出したサムネールの番号を示すポインタmを初期値の0にセットする(ステップS52)。
【0094】
続いて、第mサムネールを読み出し、この第mサムネールから証明情報を抽出する(ステップS53)。
【0095】
次に、第mサムネールに対応するフレーム画像を検証対象画像から抽出し、さらに、そのフレーム画像から証明情報を抽出する(ステップS54)。
【0096】
続いて、サムネールに付されたタイムスタンプが示す時刻が、第mサムネールから抽出した証明情報に含まれる時刻情報が示す時刻とフレーム画像から抽出した証明情報に含まれる時刻情報が示す時刻よりも後で、且つ、一定時間内であるか検証する(ステップS55)。タイムスタンプの時刻の方が先であったり、タイプスタンプの時刻が遅すぎる場合には、改ざんの可能性がある。
【0097】
続いて、第mサムネールから抽出した証明情報と対応するフレーム画像から抽出した証明情報とが一致するか否かを、項目毎に検証し(ステップS55)、検証結果を図11に示すようにテーブル化する(ステップS56)。
【0098】
次に、全てのサムネールついて処理が終了したか否かを判別し(ステップS57)、終了していなければ、mを+1して(ステップS58)、ステップS53にリターンし、次のサムネールついて同様の処理を実行する。
【0099】
全てのサムネールついて処理が終了したと判別すると(ステップS57;Yes)、形成された一致不一致テーブル上で、不一致と認定されたデータが誤差(例えば、サムネールを作成する際の技術的問題によるもの)であるか否かを判別する(ステップS59)。
【0100】
制御部は、一致・不一致率を求め、求めた一致・不一致率と、不一致が許容誤差内であるか否かを判別し、その結果を表示する(ステップS60)。
【0101】
なお、サムネール検証処理は単独で行われるものではなく、図7の検証処理と合わせて実施される。
【0102】
ユーザは、例えば、サムネール検証処理で、一致率が99%で、不一致の原因が全て表示タイミングのずれであると判別された場合には、検証処理の結果が妥当なものであれば、検証対象の画像が改ざん等がされていない正規の画像であり、証明用画像に含まれているデータ(証明用データ)により表示されている日時に表示されている位置で、撮像されているイベントが発生していたと判断できる。
【0103】
この実施形態では、撮像画像のサムネールを生成したが、撮像装置20の撮像画像を記録媒体206に記録すると共に管理サーバ30に通信部207から送信し、これを検証用の画像としてもよい。管理サーバ30は、図4(b)に例示するように、送信された撮像画像に適宜タイムスタンプを付して他のデータ、例えば、証明用画像等と対応付けて記憶部303に格納する。この場合、検証サーバ40は、検証対象画像と管理サーバ30に格納されている画像との対応するフレーム画像同士を対比して、改ざんの有無を判別する。
【0104】
さらに、この場合、ユーザ端末60,61から、検証サーバ40に指示を送り、イベントを特定して検証を指示する。
【0105】
検証サーバ40は、指定されたイベントに関する記憶データを管理サーバ30から読み出し、管理サーバ30に格納されていた画像を検証対象画像として、証明用画像との対比(図7)、サムネールとの対比(図10)などを実施する。
【0106】
以上説明したように、本実施形態においては、証明用画像表示装置10を含めてイベントを録画し、イベントの画像のタイムスタンプ付サムネールと証明用画像表示装置10が表示した証明用画像を管理サーバ30に蓄積しておくことにより、タイムスタンプ付サムネールと検証対象画像とが実質的に一致し、且つ、証明用画像表装置10が表示した一連の証明用画像と検証対象画像に含まれている一連の証明用画像とが実質的に一致したときに、検証対象画像が正当なものであると判別することができる。その結果、検証対象画像に記録されているイベントが証明用画像に表示されている時刻に表示されている位置に存在したことが立証される。
【0107】
また、ユーザ端末60,61からの要求に応じて、記録されている画像をストリーミング配信又はダウンロードを許可するようにしてもよい。このような構成とすれば、各ユーザは、自己の端末60,61から、検証サーバ40にアクセスし、映像を確認することでイベントの内容を確認し、イベントの記録に使用した機器、イベントを記録した人物、証明用画像を表示させた者、記録されている画像の信頼性、イベントの発生日時場所、等を確認することができる。
【0108】
なお、上記実施の形態においては、証明用画像表示装置10が、証明情報を文字で表示したが、例えば、図12に例示するようなQRコード(所謂二次元バーコード)などのコード情報で表示してもよい。
【0109】
証明用画像に含めるデータの種類も任意である。例えば、イベントの識別情報や、立ち会い者の情報を、その時点での温度、気圧、等のセンサを備え、これらの情報を含んでもよい。また、表示時刻も、現在時刻に限らず、例えば、コード化した時刻、現在時刻と一定の関係を有して立証可能な内部時刻等でもよい。
【0110】
上記実施の形態において、イベントの立ち会い人を認証するようにしてもよい。この場合、例えば、事前に立会人のIDと生体認証情報を管理サーバ30に登録しておく。管理サーバ30は、証明用画像表示装置10(あるいはそれと同様の構成を有する専用機)を用いて、立ち会い人を生体認証し、認証に成功した場合には、イベントの証人として登録する。
【0111】
また、この立会人の画像(特に顔の画像)を撮像装置20で撮像し、検証サーバが、顔認識を行って事前に登録されている正規の立会人であるか否かを検証するようにしてもよい。
【0112】
さらに、検証サーバ40がイベントが所定の時刻及び位置で存在していたことの証明書の類を発行するようにしてもよい。例えば、この場合には、検証サーバ40の制御部401は、1)検証対象画像のハッシュ値を求め、これを自己の秘密鍵で暗号化して署名を作成して検証対象画像に自らの署名を付し、2)検証対象画像と管理サーバ30に保存されていたタイムスタンプ付サムネイル(又は、撮影画像)とを比較し、一致すると判別した旨の署名付証明書、3)検証対象画像に含まれている証明用画像と証明用画像表示装置が表示した証明用画像とを比較し、一致すると判別した旨の署名付証明書を発行する。ユーザは、例えば、自らのユーザ端末60,61で上記各証明書を受信し、検証サーバ40の公開鍵を使用して各証明書を確認することで、検証対象画像の信憑性、検証対象画像に含まれる証明用画像の信憑性を確認することができる。そして、最終的に、検証対象画像に撮影されているイベントが存在した事実存在した位置・時刻等を確認することができる。
【0113】
上記実施の形態では、イベントの存在を証明するために動画使用したが、証明に使用する画像は動画に限定されず、静止画でもよい。この場合、撮像装置20は、イベントと証明用画像表示装置10が表示した証明用画像との静止画を撮像し、撮影した画像を管理サーバ30に送信する。管理サーバ30は送信された静止画にタイムスタンプを付して保存する。一方で、証明用画像表示装置10は、証明用画像の表示履歴を管理サーバ30に送信し、管理サーバ30は、これを保存する。画像あるいはイベントの検証が必要となった場合、検証サーバ40は、検証対象の静止画と管理サーバ30に保存されているタイムスタンプ付の静止画とが一致し、且つ、両画像に含まれている証明用画像が管理サーバ30に蓄積されている証明用画像の該当するタイミングのものと一致することを検証する。
【0114】
なお、上述の装置の構成、動作フロー、数式等は例示であり、適宜変更可能である。例えば、時刻と現在位置を求める手法はGPSに限定されず、任意である。例えば、精密な時計で現在時刻を求め、近傍の複数の基地局からの電波の強度を測定することにより、現在位置を求める等してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施形態に係る証明システムの構成図である。
【図2】(a)図1に示す証明用画像表示装置の構成を示すブロック図、(b)証明用画像表示装置の外観図である。
【図3】(a)図1に示す撮像装置の構成を示すブロック図、(b)撮像装置による撮像画像の例である。
【図4】(a)図1に示す管理サーバのブロック図、(b)管理サーバに記憶されるデータの一例である。
【図5】図1に示す検証サーバのブロック図である。
【図6】証明用画像表示装置が証明用画像を表示する証明用画像表示処理のフローチャートである。
【図7】検証サーバにおいて検証対象画像を検証する検証処理のフローチャートである。
【図8】検証処理の結果作成される一致・不一致テーブルの例を示す図である。
【図9】撮像装置の撮像処理の例を示すフローチャートである。
【図10】サムネールを用いた検証処理のフローチャートである。
【図11】サムネールを用いた検証結果の例を示す図である。
【図12】証明用画像をQRコードで表示する例を示す図である。
【符号の説明】
【0116】
1 イベント証明システム
10 証明用画像表示装置
20 撮像装置
30 管理サーバ
40 検証サーバ
50 通信ネットワーク
60,61 ユーザ端末
101 制御部
102 GPS装置
103 表示部
104 通信部
105 操作部
106 記憶部
201 制御部
202 撮像部
203 表示部
204 操作部
205 記録部
206 記録媒体
207 通信部
301 制御部
302 記憶部
303 通信部
401 制御部
402 記録媒体処理部
403 通信部
404 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻と位置を特定する情報を含む証明用画像を表示する証明用画像表示手段と、
前記証明用画像表示手段が表示した証明用画像を含んで撮影された検証対象画像を記憶する検証対象画像記憶手段と、
前記証明用画像表示手段が表示した証明用画像と、前記検証対象画像記憶手段に記憶された検証対象画像に含まれる証明用画像とに基づいて、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像の正当性を検証する検証手段と、
を備えることを特徴とする画像検証装置。
【請求項2】
前記検証手段は、前記証明用画像表手段が表示した証明用画像と、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像に含まれている証明用画像とが実質的に一致したときに、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像が正当なものであると判別する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像検証装置。
【請求項3】
前記証明用画像は、前記証明用画像表手段の現在位置を示す位置情報、現在時刻、時間の経過と共に変化する乱数値を含む証明用データを含み、
前記検証手段は、前記証明用画像表手段が表示した証明用画像に含まれている証明用データと、前記検証対象画像記憶手段に記憶された検証対象画像に含まれている証明用画像から抽出した証明用データとが実質的に一致したときに、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像が正当なものであると判別する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像検証装置。
【請求項4】
前記証明用画像表手段が表示した証明用画像の履歴を記憶する履歴記憶手段を備え、
前記検証手段は、履歴記憶手段に記憶されている証明用画像の履歴と、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像に含まれている証明用画像とが実質的に一致したときに、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像が正当なものであると判別する、
ことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の画像検証装置。
【請求項5】
検証対象の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された画像を取得してタイムスタンプを付して保持する保持手段と、をさらに備え、
前記検証手段は、前記保持手段に保持されている画像と前記検証対象画像とが実質的に一致するか否か、及び、前記証明用画像表手段が表示した証明用画像と前記検証対象画像に含まれている証明用画像とが実質的に一致するか否か、に基づいて、前記検証対象画像記憶手段に記憶されている検証対象画像の正当性を検証する、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像検証装置。
【請求項6】
前記検証対象画像は動画であり、
前記保持手段は、前記動画の所定のフレームの画像にタイムスタンプを付して保持し、
前記検証手段は、前記保持手段に保持されているタイムスタンプ付のフレーム画像と前記検証対象画像の対応するフレーム画像とが実質的に一致し、該フレーム画像に含まれている証明用画像に含まれている時刻情報がタイムスタンプと実質的に一致し、さらに、前記証明用画像表手段が表示した一連の証明用画像と前記検証対象画像に含まれている一連の証明用画像とが実質的に一致する場合に、前記検証対象画像が正当なものであると判別する、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像検証装置。
【請求項7】
イベントの立ち会い人を認証するための認証手段をさらに備えることを特徴とする、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像検証装置。
【請求項8】
所定の位置及び所定の時刻において、所定のイベントが発生していたことを証明する証明方法であって、
現在時刻と現在位置と含み、時間の経過に伴って変化する証明用画像を表示手段に表示し、
前記イベントを前記証明用画像と共に録画装置により録画し、
録画された画像に含まれている証明用画像と前記表示手段が表示した証明用画像とに基づいて、録画された画像の正当性を検証する、
ことを特徴とする証明方法。
【請求項9】
現在時刻を求める現在時刻取得手段と、
現在位置を求める現在位置取得手段と、
現在時刻取得手段で取得された現在時刻及び現在位置取得手段で取得された現在時刻を含み、時間の経過に伴って変化する証明用画像を表示する表示手段と、
前記表示手段が表示した証明用画像の履歴を検証用の装置に送信する送信手段と、
を備え、
証明対象のイベント共に撮影されることを特徴とする証明用画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−252407(P2008−252407A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89916(P2007−89916)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】