説明

真空処理装置

【課題】複数の処理領域において各々基板に対して真空処理を行うにあたり、装置全体のフットプリントを抑えながら、基板の移載に要する時間を短く抑えること。
【解決手段】ロードロック室2a、2b間に、上流側から下流側に向かって一列に3つの処理ユニット11及び搬送モジュール12をこの順番で気密に配列する。また、各々の処理ユニット11内に上流側からウエハWを移載するためのウエハ搬送装置24を配置すると共に、下流端の処理ユニット11からロードロック室2bにウエハWの移載を行うためのウエハ搬送装置24を搬送モジュール12内に設ける。そして、ロードロック室2aから上流端の処理ユニット11へのウエハWの移載と、下流端の処理ユニット11からロードロック室2bへのウエハWの移載と、上流側の処理ユニット11aから下流側の処理ユニット11へのウエハWの移載とを同時に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して真空処理を行う真空処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板例えば半導体ウエハ(以下ウエハと言う)に対して真空処理を行う真空処理装置として、内部が真空雰囲気に保たれた真空搬送室の側面に複数の処理チャンバを放射状に接続し、当該真空搬送室内において鉛直軸周りに回転自在及び昇降自在に設けられた共通のウエハ搬送装置(移載機構)によりこれら処理チャンバに対してウエハを搬入出するマルチチャンバシステムやクラスターツールと呼ばれる装置が知られている。このウエハ搬送装置は、ウエハを下方側から支持してウエハの搬入と搬出とを各々行うピックを例えば2枚備えており、これらのピックの進退及び回転動作によって複数枚のウエハを処理チャンバに対して順次搬入出するように構成されている。
【0003】
各々の処理チャンバの処理領域において行われる真空処理としては、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)やPVD(Physical Vapor Deposition)などの成膜処理、あるいはエッチングやアッシングなどのプラズマ処理が挙げられる。そして、この装置では、各々のウエハに対して処理チャンバのいずれかにおいて互いに同じ処理を並列で行う場合(パラレル処理)や、これら処理チャンバを順番に搬送して、互いに異なる複数種類の処理を各々のウエハに連続して行う場合(シリアル処理)がある。
【0004】
ここで、この装置では、複数の処理チャンバのうち例えば二つの処理チャンバにおいて真空処理がほぼ同時に終了した場合には、これら処理チャンバにおいてウエハの搬入出のタイミングが重なってしまう。この場合には、ウエハ搬送装置がこれら処理チャンバのうち一の処理チャンバに対する搬送動作を終了するまで他の処理チャンバには次のウエハを搬入できないので、当該他の処理チャンバはいわば待機することになる。この時、既述のシリアル処理の場合には、各々の処理チャンバにおいて処理が終了した後、これら処理チャンバから続いて処理を行う処理チャンバにウエハを例えば一斉に搬送することになるので、処理チャンバの台数(連続処理の種類の数量)が多くなる程、待機するウエハが多くなってしまう。
【0005】
また、各々の処理チャンバにおいて処理に要する処理時間が短くなる程、ウエハの搬入出のタイミングが重なりやすくなり、処理チャンバの待機時間が長くなる。従って、装置全体のスループットを向上させるために、例えば各々の処理チャンバでの処理時間を短縮しても、短縮した分だけ処理チャンバが待機することになる場合があり、処理時間が短くなるにつれて搬送律速の度合いが大きくなってスループットを改善しにくくなってしまう。
【0006】
特許文献1、2には、真空雰囲気において処理を行う装置について記載されているが、既述の課題については検討されていない。特許文献3には、大気雰囲気にて処理室40に対して2本の搬送アーム45a,45bを用いてウエハWの搬入及び搬出を夫々行う技術について記載されているが、真空雰囲気における処理については検討されていない。また、特許文献4には、搬送機構30の周囲に処理ユニット31〜35を設けて、これら処理ユニット31〜35に対して搬送機構30の各アーム300によって基板をほぼ同時に取り上げることによって、基板の搬送時間によってスループットの律速されない技術について記載されているが、搬送機構30には各アーム300を回転させる機構が必要になるので搬送機構30が大型化してしまう。
特許文献5〜7には、大気側と真空側との間において基板の搬送を行うロードロック構造について記載されているが、大気側の搬送アームの搬送速度が真空側の基板の搬送や処理に追いつくことのできない構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−111449
【特許文献2】特開2001−53131
【特許文献3】特開2009−16727
【特許文献4】特開2003−174070(段落0031、図1)
【特許文献5】米国特許公報6,059,507号
【特許文献6】米国特許公報6,079,928号
【特許文献7】米国特許公報5,909,994号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の処理領域において各々基板に対して真空処理を行うにあたり、装置全体のフットプリントを抑えながら、各々の処理領域において基板の真空処理を終了してから次の基板に対して真空処理を開始するまでの時間を短く抑えることのできる真空処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の真空処理装置は、
基板に対して真空処理を行う真空処理装置において、
常圧雰囲気から基板が搬入される搬入用の予備真空室と、
この予備真空室に接続され、真空雰囲気に維持される処理ステーションと、
この処理ステーションに接続され、当該処理ステーションにて処理された基板を常圧雰囲気に搬出するための搬出用の予備真空室と、
装置の運転制御を行う制御部と、を備え、
前記処理ステーションは、
各々基板を真空処理する複数の処理領域を互いに間隔をおいて一列に配列し、上流側の処理領域から下流側の処理領域に順番に基板が移載される処理領域の列と、
前記搬入用の予備真空室内の基板を、前記処理領域の列の上流端に位置する処理領域に移載するための搬入用の移載機構と、
互いに隣接する前記処理領域の間に配置された受け渡し用の移載機構と、
前記処理領域の列の下流端に位置する処理領域から基板を前記搬出用の予備真空室に移載するための搬出用の移載機構と、を備え、
前記制御部は、
搬入用の予備真空室から処理領域の列の下流端に位置する処理領域に至るまでの各基板を一つ下流側の基板載置位置に移載する移載動作群のうちの少なくとも2つの移載動作について、一部同士の時間帯または全部の時間帯を重ねるように制御信号を出力することを特徴とする。
【0010】
前記真空処理装置は以下のように構成しても良い。
前記制御部は、前記移載動作群のうちの全ての移載動作を同時に行うように制御信号を出力する構成。
前記複数の処理領域、前記搬入用の移載機構、前記受け渡し用の移載機構及び前記搬出用の移載機構は、共通の真空容器内に配置されている構成。
前記複数の処理領域の各々について、上流側に隣接する移載機構の設置領域との間及び下流側に隣接する移載機構の設置領域との間の少なくとも一方を区画壁により区画すると共にこの区画壁に仕切り弁を設けて両領域を気密に区画し、
前記仕切り弁を介して移載機構により基板の移載が行われる構成。
前記処理領域の列は直線状に形成され、前記搬入用の予備真空室は処理領域の列の一端側に配置され、搬出用の予備真空室は当該処理領域の列の他端側に配置される構成。
前記処理領域の列は、互いに並列に配置された複数の処理領域の列からなり、
互いに隣接する処理領域の列のうち、一方の処理領域の列の一端部に位置する処理領域と他方の処理領域の列の一端部に位置する処理領域との間で基板を移載する受け渡し用の移載機構を備え、
前記互いに並列に配置された複数の処理領域の列は、1本の屈曲した基板移載路を形成している構成。
【0011】
処理領域の配列方向を前後方向とすると、前記受け渡し用の移載機構は、互いに隣接する処理領域同士の間の左寄りまたは右寄りに配置され、これらにより受け渡し用の移載機構と処理領域との配置レイアウトが千鳥状に形成される構成。
前記搬入用の予備真空室及び前記搬出用の予備真空室に夫々臨むように設けられた、各々常圧雰囲気である搬入用の常圧搬送室及び搬出用の常圧搬送室と、
前記搬入用の常圧搬送室及び前記搬出用の常圧搬送室に夫々設けられ、前記搬入用の予備真空室内に基板を受け渡す第1の搬送機構及び前記搬出用の予備真空室から基板を受け取る第2の搬送機構と、
前記処理領域の列に沿って配置されると共に、前記搬出用の常圧搬送室内の処理済みの基板を前記搬入用の常圧搬送室内に搬送するための常圧雰囲気とされる領域を形成し、基板を搬送する復路用の搬送機構が配置された常圧搬送路と、を備えた構成。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、各々真空処理を行う複数の処理領域を互いに間隔をおいて一列に配置すると共に、これら処理領域の間に夫々移載機構を設けて、搬入用の予備真空室から処理領域の列の下流端に位置する処理領域に至るまでの各基板を一つ下流側の基板載置位置に移載する移載動作群のうちの少なくとも2つの移載動作について、一部同士の時間帯または全部の時間帯を重ねているので、装置全体のフットプリントを抑えながら、各々の処理領域において基板の真空処理を終了してから次の基板に対して真空処理を開始するまでの時間を短く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の真空処理装置の一例を示す斜視図である。
【図2】前記真空処理装置の一例を示す平面図である。
【図3】前記真空処理装置における処理ユニットの一例を示す斜視図である。
【図4】前記真空処理装置における搬送モジュールの一例を示す斜視図である。
【図5】前記真空処理装置における処理ユニットを示す縦断面図である。
【図6】前記処理ユニットを示す横断面図である。
【図7】前記処理ユニットにおいてウエハの受け渡しを行う様子を示す縦断面図である。
【図8】前記処理ユニットにおいてウエハの受け渡しを行う様子を示す縦断面図である。
【図9】前記処理ユニットにおいてウエハの受け渡しを行う様子を示す縦断面図である。
【図10】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図11】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図12】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図13】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図14】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図15】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図16】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図17】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図18】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図19】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図20】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図21】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図22】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図23】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図24】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図25】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図26】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図27】前記真空処理装置の他の例を示す斜視図である。
【図28】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図29】前記真空処理装置の他の例を示す平面図である。
【図30】前記他の例の真空処理装置を示す斜視図である。
【図31】前記他の例の真空処理装置を示す縦断面図である。
【図32】前記真空処理装置の更に他の例を示す平面図である。
【図33】前記更に他の例の真空処理装置を示す縦断面図である。
【図34】前記更に他の例の真空処理装置を示す縦断面図である。
【図35】前記真空処理装置を模式的に示す平面図である。
【図36】前記真空処理装置を模式的に示す平面図である。
【図37】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図38】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図39】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図40】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図41】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図42】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図43】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図44】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【図45】前記真空処理装置の動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の真空処理装置の実施の形態の一例について、図1〜図9を参照して説明する。先ず、この真空処理装置の全体の構成について説明すると、この装置は、基板である半導体ウエハ(以下「ウエハ」と言う)Wに対して真空雰囲気において処理を行うために、図1中X方向(前後方向)に伸びるように配置された処理ステーション1と、この処理ステーション1に対してウエハWの搬入及び搬出を夫々行うために、当該処理ステーション1の図2中手前側における一端側及び奥側における他端側に夫々気密に接続され、内部の雰囲気を夫々大気雰囲気と真空雰囲気との間で切り替え可能に構成された予備真空室である搬入用の第1のロードロック室2a及び搬出用の第2のロードロック室2bと、を備えている。
【0015】
これらのロードロック室2a、2bは、夫々2枚のウエハWを図2中Y方向(処理ステーション1の長さ方向に直交する方向)に横並びに配置できるように構成されている。これらロードロック室2a、2bには、当該ロードロック室2a、2b内に収納されたウエハWを下方側から突き上げて、後述のウエハ搬送装置24との間でウエハWの受け渡しを行うための図示しない昇降ピンが設けられている。図2中Gは、ゲートバルブである。ここで、後述するように、ウエハWは処理ステーション1において、手前側のロードロック室2aから奥側のロードロック室2bに向かって搬送されていくことから、処理ステーション1から見てロードロック室2a側を上流側、ロードロック室2b側を下流側として説明する。
【0016】
第1のロードロック室2aの上流側及び第2のロードロック室2bの下流側には、内部が大気(常圧)雰囲気の大気搬送室3a、3bが夫々接続されている。これらの大気搬送室3a、3bには、ロードポートをなす載置台4a、4bが複数箇所例えば4箇所にY方向に並ぶように夫々設けられており、各々の載置台4a、4bには、例えば25枚のウエハWが収納された搬送容器であるFOUP10が載置される。大気搬送室3a、3bの内部には、ロードロック室2a、2bとFOUP10との間においてウエハWの受け渡しを行うために、鉛直軸周りに回転自在、昇降自在及び載置台4a、4bの並びに沿って平行に移動自在に構成された大気搬送アーム5a、5bが搬送機構として夫々設けられている。これらの大気搬送アーム5a、5bは、図2では簡略化して示しているが、後述のウエハ搬送装置24と同様に、多関節アームとして構成されている。
【0017】
続いて、処理ステーション1について詳述する。この処理ステーション1は、ウエハWに対して各々真空処理を行うための複数例えば3つの処理ユニット11と、これら処理ユニット11を経由して(通過して)処理が終了したウエハWを前記第2のロードロック室2bに対して搬出するための搬送モジュール12と、を備えている。これら3つの処理ユニット11に夫々「11a」、「11b」、「11c」の符号を付すと、処理ユニット11a、11b、11c及び搬送モジュール12は、第1のロードロック室2aと第2のロードロック室2bとの間において、上流側から下流側に向かって一列にこの順番で気密に接続されている。この例では、これら処理ユニット11は、処理ユニット11の側壁をなす区画壁により気密に区画されて直線状に配置されると共に、この区画壁に設けられた仕切り弁であるゲートバルブGを開放することによって当該区画壁を介してウエハWの搬入出を行うように構成されている。
【0018】
これら処理ユニット11は後述するように、ほぼ同じ構成となっているため、図2中上流側から2番目(中央)の処理ユニット11bを例に挙げて、図3を参照して説明する。この処理ユニット11bは、真空ポンプなどの真空排気装置21により排気路41を介して内部が真空雰囲気に維持される真空容器22と、この真空容器22内に設けられ、ウエハWを載置して真空処理を行う載置部(基板載置位置)23と、この載置部23に対して当該処理ユニット11bよりも上流側の処理ユニット11aからウエハWを搬入(載置)するための受け渡し用の移載機構であるウエハ搬送装置24とを備えている。この例では、載置部23は処理ユニット11a、11b、11cの並びに直交する方向(左右方向)に互いに離間して2箇所に配置されており、ウエハ搬送装置24は、これら載置部23、23の上流側に夫々設けられている。これらウエハ搬送装置24、24は、2つの載置部23、23の並びに沿って平行に配置されている。図3中25は、真空容器22を下方側から複数箇所において支持する支持体である。尚、図3は真空容器22を一部切り欠いて示している。
【0019】
続いて、処理ユニット11bにおける真空容器22の内部領域について図5及び図6を参照して説明する。この処理ユニット11bは、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)による成膜処理を行う装置であり、既述の載置部23は、真空容器22の下方に設けられた昇降装置31aにより、成膜処理を行う上位置と、ウエハ搬送装置24によりウエハWの受け渡しを行う下位置との間で昇降自在に構成されている。この載置部23は、当該載置部23に対してウエハWを静電吸着するための静電チャック32aと、載置部23上のウエハWを加熱するためのヒータ32bとを備えている。
【0020】
また、真空容器22の床面には、ウエハ搬送装置24との間で受け渡しを行うために、支持ピン34が例えば3箇所に配置されており、載置部23には、この支持ピン34が貫通するための貫通孔23aが形成されている。そして、図7及び図8にも示すように、載置部23におけるウエハWの載置面が支持ピン34の先端部よりも下方に位置するように載置部23を下降させると、ウエハWは支持ピン34により下方側から支持されて前記載置面から浮いた状態となる。図5中31bは昇降装置31aにより載置部23を下方側から昇降自在に支持する昇降軸であり、31cは載置部23の下面と真空容器22の床面との間において昇降軸31bを周方向に亘って気密に囲むベローズである。また、図5中32c、32dは夫々静電チャック32a及びヒータ32bに接続された電源であり、33は後述するように、真空容器22内のイオンを載置部23上のウエハWに引き込むためのバイアス用の高周波電源である。
【0021】
真空容器22の天井面には、前記上位置における載置部23上のウエハWに対向するように、例えばチタン(Ti)よりなる例えば円板状のターゲット体35が設けられており、このターゲット体35及び上位置における載置部23を外側から周方向に亘って囲んでチタンの飛散を抑えるために、概略円筒状の保護カバー36が設けられている。図5中35aは、真空容器22内において生成するアルゴンガスのイオンをターゲット体35に引きつけると共に、載置部23とターゲット体35との間の領域に電位差を生じさせることによって、当該領域においてプラズマを発生させるための直流電源である。ターゲット体35と真空容器22の天井面との間には、絶縁部材38aが設けられている。尚、図5中38bは保護カバー36と真空容器22の天井面との間に設けられた絶縁部材である。これらターゲット体35、載置部23及び保護カバー36により囲まれる領域は、ウエハWに対して成膜処理が行われる処理領域をなす。
【0022】
載置部23の外縁よりもウエハ搬送装置24側における真空容器22の底面には、真空容器22内にプラズマ発生用のガスであるアルゴン(Ar)ガスなどを供給するためのガス供給路40の一端側が開口しており、このガス供給路40の他端側は、バルブV及び流量調整部Mを介してガス源40aに接続されている。また、真空容器22の床面には、既述の真空排気装置21から伸びる排気路41の開口端が排気口41aとして形成されており、排気路41にはバタフライバルブなどの流量調整部40bが介設されている。
【0023】
真空容器22の側面において、上流側(処理ユニット11a側)及び下流側(処理ユニット11c側)には、当該真空容器22にウエハWを搬入するための搬入口43a及びこの真空容器22からウエハWを搬出する搬出口43bが夫々形成されている。これらの搬入口43a及び搬出口43bにおける幅寸法(Y方向の寸法)は、各々ウエハWを保持したピック24a、24aが進退できるように設定されている。また、搬入口43a及び搬出口43bの高さ寸法は、ウエハ搬送装置24と載置部23との間でウエハWの受け渡しを行う時の昇降ストロークをカバーできる大きさに設定されている。そして、これらの搬入口43a及び搬出口43bを気密に塞ぐようにゲートバルブGが設けられており、この例では、互いに隣接する処理ユニット11、11のゲートバルブGが共通化されている。具体的には、互いに隣接する処理ユニット11、11間におけるゲートバルブGは、これら処理ユニット11、11の下流側の処理ユニット11の真空容器22の内部領域に配置されている。尚、既述の図2においては、このゲートバルブGを簡略化して示している。
【0024】
既述のウエハ搬送装置24、24は、図5及び図6に示すように、基台24cと、この基台24cに積層された例えば2本のアーム24b、24bと、これらアーム24b、24bうち上方側のアーム24bの先端部に取り付けられたピック24aとを備えた多関節アームとして夫々構成されている。そして、各々のウエハ搬送装置24は、真空容器22の下方側に設けられた駆動部42により、前記基台24cを介して鉛直軸周りに回転自在、昇降自在及び処理ユニット11a〜11cの並びに沿ってピック24aを進退自在に支持されている。ウエハ搬送装置24の伸張ストロークは、この処理ユニット11bの載置部23のウエハWに加えて、当該処理ユニット11bの上流側の処理ユニット11aの載置部23のウエハWに対してもアクセスできる長さに設定されている。図5中24dはベローズである。
【0025】
ここで、ウエハ搬送装置24と既述の載置部23との間におけるウエハWの受け渡しについて説明する。先ず、ウエハWを保持した載置部23が下降して支持ピン34によりウエハWが載置部23に対して相対的に持ち上げられた状態になると、ウエハ搬送装置24は、既述の図8に示すように、載置部23の上面とウエハWの下面との間にピック24aを前進させる。次いで、ピック24aが支持ピン34上のウエハWを掬い上げて受け取り、その後基台24c側に縮退する。また、載置部23にウエハWを載置する時には、ウエハWを受け取る時と逆の順番でウエハ搬送装置24が動作する。
【0026】
更に、この処理ユニット11bのウエハ搬送装置24は、既述のように、上流側の処理ユニット11aの載置部23からウエハWを受け取ることができるように構成されている。図9はこのようなウエハWの受け取り動作を示しており、ピック24aの先端部が上流側を向くように当該ウエハ搬送装置24を鉛直軸周りに回転させ、次いで搬入口43a及び上流側の処理ユニット11aの搬出口43bを介して当該処理ユニット11a内にピック24aを進入させている。従って、ピック24aは、処理ユニット11aの支持ピン34により支持されたウエハWの下方側に位置している。このように処理ユニット11a、11b間でウエハWの受け渡しを行う時は、後述するように、制御部20の指示により、3つの処理ユニット11a、11b、11cにおいてウエハWを同時に搬入出することになる。図9においては、処理ユニット11bから下流側の処理ユニット11cのウエハ搬送装置24がウエハWを搬出する様子も併せて示しており、また処理ユニット11aのウエハ搬送装置24がロードロック室2aからウエハWを取り出す様子も示している。
【0027】
3つの処理ユニット11a〜11cのうち下流端に位置する処理ユニット11cは、前記処理ユニット11bと同様にPVDにより成膜を行う装置であり、処理ユニット11bとほぼ同じ構成となっているが、銅(Cu)からなるターゲット体35を備えている。上流端の処理ユニット11aは、例えばウエハWの表面に吸着した水分や有機成分を除去する(低減する)ために、真空雰囲気において加熱処理を行う装置であり、既述の図9に模式的に示したように、処理ユニット11bからターゲット体35及び保護カバー36を取り外した状態となっている。この処理ユニット11aにおけるウエハ搬送装置24は、ロードロック室2aから当該処理ユニット11aにウエハWを移載するための搬入用の移載機構をなす。
【0028】
また、処理ユニット11cの下流側に接続された搬送モジュール12は、図4に模式的に示すように、既述の真空容器22と、ピック24aを各々有する2台のウエハ搬送装置24と、真空容器22内を真空排気する真空排気装置21とを備えている。これらウエハ搬送装置24、24は、処理ユニット11c内の載置部23、23の並びに平行に配置されており、処理ステーション1における下流端に位置する処理ユニット11cからロードロック室2bにウエハWを移載するための搬出用の移載機構をなす。
【0029】
この真空処理装置は、図2に示すように、例えばコンピュータからなる制御部20を備えており、この制御部20は、プログラム、メモリ、CPUからなるデータ処理部などを備えている。プログラムは、真空処理装置の一連の動作を制御するためのものであり、ウエハWの搬送シーケンスを規定する搬送プログラム及び処理ユニット11内におけるウエハWの処理に係わるプロセスプログラムを含んでいる。搬送プログラムは、ロードロック室2aから上流端の処理ユニット11aにウエハWを移載する動作と、下流端の処理ユニット11cからロードロック室2bにウエハWを移載する動作と、処理ユニット11a、11bから夫々下流側の処理ユニット11b、11cにウエハWを移載する動作とを例えば同時に行うように構成されている。
【0030】
次に、真空処理装置の動作について、図10〜図17を参照して説明する。ここで述べる一連の動作は、前記プログラムにより実行される。図10は、真空処理装置において、複数枚のウエハWに対して連続して処理が行われている途中の状態を示している。即ち、処理ユニット11a〜11cには、各々2枚のウエハWが収納されており、各々の処理ユニット11a〜11cにおいて例えばこれから処理が行われる状態(ウエハ搬送装置24からウエハWを受け取った載置部23が上昇した状態)となっている。そして、上流側のロードロック室2aには2枚のウエハWが載置されると共に、当該ロードロック室2aの内部が真空雰囲気となっている。ここで、処理ステーション1におけるウエハWの流れを分かりやすくするために各々のウエハWに番号を付すと、処理ユニット11aにはウエハW1、W2、処理ユニット11bにはウエハW3、W4、処理ユニット11cにはウエハW5、W6が夫々収納されており、ロードロック室2aにはウエハW7、W8が収納されている。この時、各々の処理ユニット11a〜11c間及び処理ユニット11a、11cとロードロック室2a、2bとの間におけるゲートバルブGは、各々気密に閉じられている。以下に、これら処理ユニット11a〜11cにおいて行われる真空処理について説明する。
【0031】
処理ユニット11aでは、真空容器22内に例えばアルゴンガスなどを供給すると共に当該真空容器22内を真空排気して、各ウエハW1、W2を例えば265℃〜400℃程度この例では300℃程度に加熱する。この加熱処理により、ウエハW1、W2の表面に吸着している水分や有機物がガス化して排気されていく。
【0032】
処理ユニット11bでは、ウエハW3、W4がターゲット体35に近接するように載置部23を上位置に設定して、真空容器22内にアルゴンガスなどのプラズマ発生用のガスを供給すると共に、当該真空容器22内を真空排気する。そして、ウエハW3、W4を加熱すると共に、ターゲット体35に対して直流電源35aから直流電圧を印加すると、ターゲット体35と載置部23との間に生じる電位差によって、ウエハW3、W4とターゲット体35との間の処理領域において前記ガスがプラズマ化される。このプラズマ中のイオンは、直流電源35aにより印加される電圧によりターゲット体35に引きつけられて、ターゲット体35をスパッタしてチタン粒子を生成させる。このチタン粒子は、ターゲット体35から下方に向かって落下する間にプラズマによってイオン化されて、バイアス用の高周波電源33によって載置部23のウエハW3、W4に引き込まれて当該ウエハW3、W4に衝突する。こうしてターゲット体35のスパッタとチタンイオンのウエハW3、W4への引き込みとを続けると、これらウエハW3、W4の表面に各々チタン膜が形成される。この時、ターゲット体35と載置部23との間に保護カバー36を配置していることから、ターゲット体35の金属粒子は、例えばウエハ搬送装置24側へはほとんど飛散しない。
【0033】
処理ユニット11cでは、既述の処理ユニット11bと同様に、銅からなるターゲット体35に対してスパッタを行うと、ウエハW5、W6の表面に各々銅膜が形成される。
以上の各処理ユニット11a〜11cにおける真空処理は、説明を分かりやすくするために各々個別に説明したが、実際には互いに同じタイミングで(同時に)開始される。具体的には、載置部23にウエハWが載置されるタイミングや真空容器22内の真空排気を開始するタイミングは、これら処理ユニット11a〜11cにおいて互いに同時に行われる。ここで言う「同時」とは、同じタイミングであることだけを表しているだけでなく、例えば各々のウエハ搬送装置24における搬送動作に5秒程度のばらつきがあったとしても、各々の処理ユニット11a〜11cにおいて一括して処理が開始されるように搬送する場合も含む。
【0034】
続いて、これら処理ユニット11a〜11cにおいて各真空処理が終了すると、真空容器22内へのガスの供給及びプラズマ化を停止する。次いで、図11に示すように、処理ユニット11a〜11c及び搬送モジュール12におけるウエハ搬送装置24のピック24aが夫々上流側を向くように、ウエハ搬送装置24を各々同時に回転させる。そして、処理ユニット11a〜11cにおける載置部23を同時に下降させて、ウエハWが裏面側から支持ピン34により支持された(載置部23から浮いた)状態にする。また、ロードロック室2aにおいては、図示しない昇降ピンを用いて、ウエハWを下方側から持ち上げる。続いて、各処理ユニット11a〜11c間及び処理ユニット11aとロードロック室2aとの間におけるゲートバルブGを同時に開放して、図12に示すように、各々のウエハ搬送装置24のピック24aを上流側に同時に伸張させて、当該上流側のウエハWの下方側にピック24aを各々位置させる。そして、ウエハ搬送装置24を僅かに上昇させて、ピック24a上にウエハWを受け取った後、図13に示すように、各々のウエハ搬送装置24が設けられた処理ユニット11a〜11c及び搬送モジュール12内にピック24aが戻るように、ピック24aを下流側に同時に一括して後退(縮退)させる。こうして処理ユニット11a〜11c及び搬送モジュール12に対するウエハWの搬入が同時に行われて、処理ユニット11aにはウエハW7、W8、処理ユニット11bにはウエハW1、W2、処理ユニット11cにはウエハW3、W4が夫々収納され、搬送モジュール12にはウエハW5、W6が収納される。
【0035】
しかる後、各処理ユニット11a〜11cの間及びロードロック室2aと処理ユニット11aとの間のゲートバルブGを気密に閉じると共に、搬送モジュール12とロードロック室2bとの間のゲートバルブGを開放する。また、図14に示すように、各々のピック24aの先端部が下流側を向くようにウエハ搬送装置24を同時に回転させると共に、各々のウエハ搬送装置24のピック24aを当該下流側に向かって伸張させる。こうして処理ユニット11a〜11cの各々の載置部23の上方にウエハWが各々位置し、ロードロック室2bに搬送モジュール12のウエハW5、W6が搬入される。そして、各々のウエハ搬送装置24と支持ピン34(ロードロック室2bにおいては図示しない昇降ピン)との協働作用により、各々の載置部23及びロードロック室2bに対してウエハWが載置される。その後、各々のウエハ搬送装置24は、各々の基台24c側へ縮退する。また、処理ユニット11cとロードロック室2bとの間のゲートバルブGが気密に閉じられる。
【0036】
以上のウエハ搬送装置24の動作により、ロードロック室2aからの処理ユニット11aへのウエハW7、W8の移載と、処理ユニット11aから処理ユニット11bへのウエハW1、W2の移載と、処理ユニット11bから処理ユニット11cへのウエハW3、W4の移載と、処理ユニット11cからロードロック室2bへのウエハW5、W6の移載と、が同時に行われたことになる。
【0037】
そして、処理ユニット11a〜11cにおいて、各ウエハW3〜W8に対して既述の真空処理を行う。即ち、ウエハW7、W8には水分などの除去処理を行い、ウエハW1、W2にはチタン膜の成膜処理を行う。また、ウエハW3、W4には、銅膜の成膜処理を行う。こうしてこれらウエハWに対して処理を行っている間に、図15に示すように、ロードロック室2aへのウエハW9、W10の搬入と、ロードロック室2bからのウエハW5、W6の搬出とを行う。具体的には、ロードロック室2aについては、内部の雰囲気を真空雰囲気から大気雰囲気に戻すと共に、大気搬送室3a側のゲートバルブGを開放する。そして、この大気搬送室3aの大気搬送アーム5aにより、FOUP10からウエハW9、W10を取り出してロードロック室2a内に搬入する。そして、大気搬送室3aとロードロック室2aとの間のゲートバルブGを気密に閉じて、ロードロック室2aの内部雰囲気を真空雰囲気に設定しておく。
【0038】
また、ロードロック室2bにおいても、当該ロードロック室2b内を大気雰囲気に設定すると共に、ロードロック室2bと大気搬送室3bとの間のゲートバルブGを開放する。そして、大気搬送室3b内の大気搬送アーム5bによってロードロック室2bから大気搬送室3bのFOUP10にウエハW5、W6を搬入した後、前記ゲートバルブGを気密に閉じて、ロードロック室2b内を真空雰囲気に設定する。従って、処理ユニット11aのウエハ搬送装置24及び搬送モジュール12のウエハ搬送装置24が夫々ロードロック室2a、2bに対して次にアクセスしようとする時には、ロードロック室2aにはウエハWが2枚収納され、またロードロック室2bが空の状態になっている。
【0039】
次いで、処理ユニット11a〜11cにおいて真空処理が終了すると、図16に示すように、既述のようにウエハ搬送装置24によって上流側のウエハWが下流側に向かって夫々同時に移載される。即ち、ウエハW3、W4はロードロック室2bに搬入され、W1、W2は処理ユニット11cに移載されてチタン膜の表面に銅膜が積層される。またW7、W8は処理ユニット11bに移載されてチタン膜が形成され、ウエハW9、W10は処理ユニット11aに移載されて水分などの除去処理が行われる。そして、同様にロードロック室2b内に搬入されたウエハW3、W4はFOUP10に戻されて、ロードロック室2aには未処理のウエハW11、W12が搬入される。こうして図17に示すように、処理が終了すると、再びウエハWの移載が同時に行われて、チタン膜及び銅膜の積層されたウエハW1、W2はロードロック室2bに搬入される。また、各々のウエハW7〜W12についても順次上流側から下流側に搬送され、未処理のウエハW13、W14が同様にロードロック室2aに搬入される。そして、各々のウエハWに対して、水分などの除去処理と、チタン膜の成膜処理と、銅膜の成膜処理とがこの順番で各々行われる。
【0040】
上述の実施の形態によれば、各々真空処理を行う複数の処理領域(載置部23)を互いに間隔をおいて一列に配置すると共に、これら処理領域の間に夫々ウエハ搬送装置24を設けて、各々の処理領域において上流側から下流側にウエハWを同時に移載しているので、装置全体のフットプリントを抑えながら、各々の処理領域においてウエハWの真空処理を終了してから次のウエハWに対して真空処理を開始するまでの時間を短く抑えることができる。従って、装置全体の処理の流れにおいてウエハWの搬送に要する時間が極めて短くなるので、ウエハ搬送装置24の搬送速度によって装置全体のスループットが律速される状態、即ち搬送律速となっている時間を極めて短く抑えることができる。そのため、処理ユニット11a〜11cにおける処理時間を短縮する程、各々のウエハWの一連の処理に要する時間が短くなるので、この装置では、処理ユニット11a〜11cにおける処理時間を短縮した分だけスループットを向上させることができる。
【0041】
上述の実施の形態では、ロードロック室2a内のウエハWを上流端の処理ユニット11aのウエハ搬送装置24により当該処理ユニット11aに移載する動作と、上流側の処理ユニット11a、11bのウエハWを処理ユニット11b、11cのウエハ搬送装置24により下流側の処理ユニット11b、11cに夫々移載する動作と、下流端の処理ユニット11cのウエハWを搬送モジュール12のウエハ搬送装置24によりロードロック室2bに移載する動作と、を同時に行うように制御している。即ち、ロードロック室2aからロードロック室2bまでにウエハWを移載する各々の時間帯が全て重なっていると言える。しかしながら本発明は、高いスループットを確保するという効果を得るためには、ロードロック室2aから処理領域の列の下流端に位置する処理ユニット11cに至るまでの各ウエハWを一つ下流側の基板載置位置(載置部23及びロードロック室2b)に移載する移載動作群のうちの少なくとも2つの移載動作について、一部同士の時間帯または全部の時間帯を重ねるように制御信号を出力すればよく、上述のように各移載動作を同時に行うことに限定されない。即ち、一連の移載動作に要する時間は、ロードロック室2a内のウエハWを順次下流側に移載してロードロック室2bに到達するまでのトータルの時間よりも短いことが必要である。
【0042】
このように、本発明においてウエハWの移載を行う他の例を具体的に以下に列挙する。
(1) 3つの処理ユニット11a〜11cのうち、例えば処理ユニット11b及び下流端の処理ユニット11cから夫々処理ユニット11c及びロードロック室2bにウエハWを移載し、次いでロードロック室2a及び上流端の処理ユニット11aから夫々処理ユニット11a及び処理ユニット11bにウエハWを移載する場合。この場合には、処理ユニット11b及び処理ユニット11cから夫々処理ユニット11c及びロードロック室2bにウエハWを移載する時間帯が全て重なっており、またロードロック室2a及び処理ユニット11aから夫々処理ユニット11b及び処理ユニット11cにウエハWを移載する時間帯が全て重なっている。
(2) 3つの処理ユニット11a〜11cのうち例えば処理ユニット11cから下流のロードロック室2bにウエハWを移載し、この移載が終了する前に、当該処理ユニット11cの一つ上流側における処理ユニット11bから処理ユニット11cにウエハWを移載する。また、前記処理ユニット11cへのウエハWの移載が終了する前に、処理ユニット11aから処理ユニット11bにウエハWを移載し、更にこの移載が終了する前に、ロードロック室2aから処理ユニット11aにウエハWを移載する場合。この場合には、互いに隣接する基板載置位置(ロードロック室2a、載置部23及びロードロック室2b)間において、ウエハWを移載する時間帯が夫々一部重なっていると言える。
【0043】
既述の例においては、処理ユニット11a〜11c間にゲートバルブGを各々設けたが、図18に示すように、ゲートバルブGを設けずに、処理ユニット11a〜11c及び搬送モジュール12をいわば一つの共通の真空容器22内に配置しても良い。この場合に既述の各処理は、当該共通の真空容器22内の圧力を例えば13.33〜1.33×10−2 Pa(1×10−1〜1×10−4 Torr)程度に調整して行われる。この場合における各処理やウエハWの搬送シーケンスなどについては既述の例と同様であるため説明を省略するが、ウエハWとターゲット体35との間に保護カバー36を設けているので、一のターゲット体35から他のターゲット体35への金属粉末などの飛散が抑えられる。また、処理ユニット11a〜11c間にゲートバルブGを設けずに直接接続することにより、ゲートバルブGの設置スペースの分だけ装置のフットプリントを小さくすることができるし、装置構成も簡略化できる。更に、ゲートバルブGの開閉動作がなくなるため、当該ゲートバルブGの開閉動作の完了を待たずにウエハWを直ぐに搬送できるので、スループット向上になる。この場合には、処理ユニット11a〜11c及び搬送モジュール12の真空排気装置21を共通化して、一つの真空排気装置21を設けるようにしても良い。
【0044】
また、載置部23、23とウエハ搬送装置24とを一つの共通の真空容器22に配置したが、図19に示すように、これら載置部23、23とウエハ搬送装置24との間の少なくとも1箇所を気密に区画する区画壁50を設けると共に、各々の区画壁50を気密に開閉するゲートバルブ(仕切り弁)Gを設けても良い。図19では、各処理ユニット11a〜11c間に区画壁50及びゲートバルブGを設けた例を示している。また、区画壁50の両側の領域(載置部23側及びウエハ搬送装置24側)には、各々排気口41aが形成される。この場合には、例えば載置部23とウエハ搬送装置24との間においてパーティクルなどの行き来を抑えることができる。そのため、例えば載置部23において、既述のターゲット体35に代えて、例えばルテニウム(Ru)などの金属を含む有機ガスを載置部23上のウエハWに供給するガスシャワーヘッドを配置して、ウエハWに対してCVD(Chemical Vapor Deposition)によりルテニウム膜を成膜しても良い。
【0045】
更に、各々の処理ユニット11において互いに異なる処理(シリアル処理)を行ったが、これらの処理ユニット11において各々同じ処理例えばCVDによるRu膜、Ti膜、W膜の成膜のいずれかなどを行うようにしても良い。この場合には、真空処理装置において処理を開始する時には、図20のように未処理のウエハW1〜W6をこれら処理ユニット11に搬入する。即ち、ウエハW5、W6については、ロードロック室2aから処理ユニット11a、11bを介して、これら処理ユニット11a、11bでは処理を行わずに処理ユニット11cに搬入する。ウエハW3、W4については、同様に処理ユニット11aでは処理を行わずに処理ユニット11bに搬入し、ウエハW1、W2は処理ユニット11aに搬入する。これらウエハW1〜W6は、既述のように例えば同時に移載される。そして、これら処理ユニット11a〜11cにおいて処理を行った後、これらウエハW1〜W6をロードロック室2bに搬送すると共に、図21のように未処理のウエハW7〜W12を同様にこれら処理ユニット11a〜11cに搬送して処理を行う。このように、ウエハWに対してパラレル処理を行う場合であっても、同様の効果が得られる。
【0046】
更に、処理ユニット11において互いに異なる処理を行う例として、3つの処理ユニット11a〜11cにおいて夫々水分などの除去処理、チタン膜の成膜処理及び銅膜の成膜処理をこの順番で行う場合について説明したが、例えば水分などの除去処理、ウエハWの表面のプレクリーニングを行うためのクリーニング処理、Ta膜のPVDによる成膜処理及び銅膜のPVDによる成膜処理をこの順番で行うようにしても良い。その場合には、図22に示すように、4つの処理ユニット11(11a、11b、11c、11d)が各々気密に接続される。クリーニング処理を行う処理ユニット11bにおいては、ArガスのスパッタエッチングによるウエハWの表面クリーニング処理と、例えば400℃程度にウエハWを加熱することにより、あるいはウエハWを加熱すると共に水素(H)ガスを供給することによりウエハW表面の酸化物を還元する高温H還元処理と、水素ガスをプラズマ化してウエハW表面に水素ガスのラジカルを供給することによってウエハW表面の酸化物を還元するHラジカル処理と、のいずれかの処理が行われる。また、Ta膜の成膜処理を行う処理ユニット11cにおいては、Taからなるターゲット体35が配置される。この場合であっても、これら処理ユニット11においてウエハWは例えば同時に移載される。
【0047】
更に、4つの処理ユニット11を配置する場合には、水分などの除去処理、チタン膜のPVDによる成膜処理、CVDによるルテニウム膜の成膜処理及びPVDによる銅膜の成膜処理をこの順番で行うようにしても良い。
また、既述の各例では処理ユニット11を直線状に配置したが、図23に示すように、これら処理ユニット11の列を並列に複数例えば2列に並べると共に、これら2つの列の一方の列の一端部の処理ユニット11と他方の列の一端部の処理ユニット11との間でウエハWを移載するために、これら2つの列の一端部同士に側方側から跨がるように、ウエハWを移載する搬送モジュール12を配置しても良い。図23では、4つの処理ユニット11を配置して、上流側から2つ目の処理ユニット11bと上流側から3つ目の処理ユニット11cとの間で処理ユニット11の列をいわば屈曲させ、これら処理ユニット11c、11dの側方に搬送モジュール12を気密に接続し、これら処理ユニット11b、11cの並びに平行に水平移動できるようにウエハ搬送装置24、24を設けている。この場合には、これらウエハ搬送装置24、24は共通の移動基台60上に各々配置され、この移動基台60が図示しない駆動部により水平に移動することになる。
【0048】
そして、上流側から3つ目の処理ユニット11c及び上流側から4つ目の処理ユニット11dについては、上流側から1つ目の処理ユニット11a及び上流側から2つ目の処理ユニット11bに対して、載置部23とウエハ搬送装置24との配列順序を逆にしている。即ち、これら処理ユニット11c、11dにおいては、上流側に載置部23を配置して、下流側にウエハ搬送装置24を設けている。従って、処理ユニット11dのウエハ搬送装置24は、この例ではロードロック室2bに対してウエハWを移載する搬出用の移載機構をなしている。
このように処理ユニット11を複数の列に屈曲させることによって、ロードロック室2a、2bに個別に接続されていた大気搬送室3a、3bを共通化できるので、例えば処理後のウエハWを元のFOUP10に戻すことができる。
【0049】
また、図24に示すように、例えば6つの処理ユニット11(11a、11b、11c、11d、11e、11f)を接続しても良い。この例では、既述の図23に示したように、これら処理ユニット11を処理ユニット11c、11c間で2つの列に屈曲させ、この屈曲部分に搬送モジュール12を配置した例を示している。このように6つの処理ユニット11を設ける場合には、これら処理ユニット11において互いに異なる処理(シリアル処理)を行うようにしても良いし、既述のように互いに異なる3種類の処理を上流側の3つの処理ユニット11と下流側の3つの処理ユニット11とにおいて夫々行うようにしても良い。この場合には、2つのシリアル処理がパラレルで行われることになり、例えば下流側の処理ユニット11d、11e、11fでシリアル処理が行われるウエハWについては、既述の図20、図21にて説明したように、上流側の処理ユニット11a、11b、11cを未処理のまま(処理が行われない状態で)通過することになる。
【0050】
また、図25に示すように、8つの処理ユニット11(11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h)を接続しても良い。図25では、これら処理ユニット11のうち上流側から4番目の処理ユニット11dと上流側から5番目の処理ユニット11eとの間で2つの列に屈曲させて、この屈曲部分に搬送モジュール12を設けている。
【0051】
更に、図26に示すように、これら8つの処理ユニット11(11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h)を複数の列この例では4つの列に屈曲させても良い。図26では、2つの処理ユニット11、11により一つの列が構成されており、これら4つの列が蛇腹状に配置されている。即ち、これら処理ユニット11のうち、上流側から2番目と3番目との間、上流側から4番目と5番目との間、上流側から6番目と7番目との間で処理ユニット11の列が屈曲している。そして、これら屈曲部分には、各々搬送モジュール12が気密に接続されている。ここで、処理ユニット11dと処理ユニット11eとの間でウエハWの受け渡しを行うにあたり、当該処理ユニット11d、11eを跨ぐように接続された搬送モジュール12には、処理ユニット11d、11eの各々のウエハ搬送装置24と搬送モジュール12のウエハ搬送装置24との間でウエハWの受け渡しを行う位置に、ウエハWを下方側から支持する既述の支持ピン(図示せず)が各々配置される。そして、処理ユニット11dのウエハ搬送装置24が支持ピンにウエハWを載置すると、搬送モジュール12のウエハ搬送装置24がこのウエハWを受け取り、次いで当該ウエハWを別の支持ピンに載置した後処理ユニット11eのウエハ搬送装置24がウエハWを受け取ることにより、処理ユニット11dと処理ユニット11eとの間でウエハWの受け渡しが行われる。この例では、2つの大気搬送室3a、3bを配置しているが、これら大気搬送室3a、3bを共通化しても良い。
【0052】
このように処理ステーション1を複数の列に屈曲させる場合において、各々の処理ユニット11のうち、4つの側面が他の処理ユニット11、ロードロック室2あるいは搬送モジュール12によって囲まれている場合には、当該処理ユニット11のメンテナンスは、以下のようにして行われる。即ち、図27に示すように、例えばターゲット体35や真空容器22内については、他の処理ユニット11の上方側を例えば作業者が通行し、メンテナンスを行う処理ユニット11の上方側において例えば真空容器22の図示しない天井部を取り外してメンテナンスを行う。また、真空排気装置21、ウエハ搬送装置24の駆動部42及び真空容器22の下面側については、真空容器22の下面に設けられた複数の支持体25間の領域を作業者が移動して、メンテナンスを行う処理ユニット11の下方側にて、例えば真空容器22の床面を開放してメンテナンスを行う。尚、図27については、ロードロック室2及び大気搬送室3aについては省略しており、また処理ユニット11を一部切り欠いて示している。
【0053】
以上の例において処理ユニット11を複数の列に屈曲させるにあたって、屈曲部分に真空雰囲気においてウエハWの受け渡しを行う搬送モジュール12を配置したが、この屈曲部分において大気雰囲気でウエハWの受け渡しを行うようにしても良い。このような例について、図28を参照して説明する。図28では、6つの処理ユニット11を設けると共に、これら処理ユニット11を2つの列に屈曲させている。そして、これら処理ユニット11の列の一端部及び他端部に夫々ロードロック室2を配置すると共に、これら処理ユニット11の列の一端部側のロードロック室2、2同士及び他端部側のロードロック室2、2同士に夫々共通の大気搬送室3を配置している。そして、一の処理ユニット11の列から他の処理ユニット11の列にウエハWを移載する時には、処理ユニット11cから搬送モジュール12、ロードロック室2、大気搬送室3、ロードロック室2及び搬送モジュール12を介して処理ユニット11dにウエハWが搬送される。また、このように2つの処理ユニット11の列を配置する場合には、夫々の処理ユニット11の列において互いに異なるシリアル処理を行っても良い。
【0054】
以上の図22〜図28についても、図20、図21と同様に各々の処理ユニット11において互いに同じ処理を行っても(パラレル処理を行っても)良いし、シリアル処理を行っても良い。
このように、本発明では、ウエハWに対して行う連続処理の種類に応じて処理ユニット11を接続することができ、またこれら処理ユニット11の配置レイアウトについても任意に設定できることから、本発明の真空処理装置は自由度の高い装置である。
【0055】
既述の各例では、各処理ユニット11において載置部23、23で互いに同じ処理を行ったが、互いに異なる処理を行っても良い。即ち、例えば4つの処理ユニット11を配置した場合には、ウエハ搬送装置24、24により一括して搬送される2枚のウエハWのうち一のウエハWについては水分などの除去処理→チタン膜の成膜処理→窒化チタン(TiN)膜の成膜処理→タングステン(W)膜の成膜処理をこの順番で行うと共に、他のウエハWについては水分などの除去処理→タンタル(Ta)膜の成膜処理→ルテニウム膜の成膜処理→銅膜の成膜処理をこの順番で行っても良い。各処理ユニット11のターゲット体35については、既述の各膜が成膜されるように適宜化合物が選定される。更に、このように載置部23、23間で互いに異なる処理を行う場合には、一のウエハWに対して膜A→膜A→膜B→膜Bが積層されると共に、他のウエハWについては水分の除去処理→エッチング処理→膜C→膜Dが積層されるようにしても良い。尚、膜A、膜B、膜C、膜Dは、夫々互いに種類の異なる化合物からなる膜であり、夫々既述のチタン膜、窒化チタン膜、タングステン膜、タンタル膜、ルテニウム膜、銅膜のいずれかである。
【0056】
各々の処理ユニット11に2つの載置部23、23を設けたが、一つだけを設けても良いし、3つ以上であっても良い。これらの場合には、載置部23の数量に応じてウエハ搬送装置24を配置しても良いし、あるいは載置部23の数量に対応する枚数のピック24aを一つのウエハ搬送装置24に配置しても良い。また、処理ステーション1の上流端の処理ユニット11に対してロードロック室2aからウエハWを移載するウエハ搬送装置24と、処理ステーション1の下流端の処理ユニット11からロードロック室2bにウエハWを移載する搬送モジュール12内のウエハ搬送装置24とは、夫々ロードロック室2a、2b内に配置しても良い。更に、処理ユニット11の数量としては、複数例えば2つ以上であれば良い。
【0057】
続いて、真空処理装置の他の例について、図29〜図31を参照して説明する。既述の図1では、処理ステーション1における各ウエハWの搬送経路がいわば直線状となるように、各々のウエハ搬送装置24及び処理ユニット11を配置したが、この実施の形態では、真空処理装置のフットプリント(処理ステーション1のX方向における長さ寸法)をできるだけ小さく抑えるために、前記搬送経路が蛇腹状となるように処理ステーション1を構成している。そして、処理済みのウエハWを元のFOUP10に速やかに戻すために大気搬送路100を設けて、この大気搬送路100により、FOUP10が載置されるウエハWの搬入出ポート10aから見て奥側に達したウエハWを、当該搬入出ポート10a側の大気搬送室3aに搬送している。
【0058】
前記他の例について、具体的に述べる。搬入出ポート10a側から見て手前側、奥側という表現を用いると、装置本体を構成する外装体である角型の筐体90内には、大気雰囲気を形成する第1の大気搬送室3aが手前側に設けられると共に、大気雰囲気を形成する第2の大気搬送室3bが奥側に設けられている。これら大気搬送室3a、3bの間には、互いに左右方向に離間すると共に、各々手前側から奥側に伸びる処理ステーション1、1が配置されている。これら処理ステーション1、1の間には、各々の処理ステーション1、1で処理されたウエハWを第2の大気搬送室3bから第1の大気搬送室3aに戻すために、既述の復路用の大気搬送路100が直線状に設けられている。この大気搬送路100の内部雰囲気は、後述のように大気雰囲気となっている。尚、図29及び図30において、既述の図1と同じ部位については同じ符号を付して説明を省略する。また、各々のウエハ搬送装置24や大気搬送アーム5a、5bについては簡略化して描画している。
【0059】
各々の処理ステーション1は、既述のようにウエハWの搬送経路が蛇腹状となるように配置されており、具体的には第1のロードロック室2a、複数この例では4つの処理ユニット11及び第2のロードロック室2bが第1の大気搬送室3aから第2の大気搬送室3bに向かってこの順番で大気搬送路100に沿うように一列に並んでいる。また、これらロードロック室2a、2b及び各処理ユニット11の並びと、大気搬送路100との間には、当該並びにおいて既述のように上流側から下流側にウエハWの受け渡しをするためのウエハ搬送装置24がこの例では5箇所に配置されている。図29には、各々の処理ステーション1、1におけるウエハWの搬送経路を一点鎖線で示している。
【0060】
各々のウエハ搬送装置24は、大気搬送路100側から見た時に、互いに隣接するロードロック室2a(2b)と処理ユニット11(載置部23)との間あるいは互いに隣接する処理ユニット11、11の間に位置するように配置されている。即ち、2つの処理ステーション1、1のうち左側の処理ステーション1に「1A」の符号を付すと、この処理ステーション1Aには、蛇腹状に屈曲した区画壁91が手前側から奥側に向かって配置されている。この区画壁91における屈曲部分に「91a」の符号を付すと、大気搬送路100側(右側)に突出して屈曲する屈曲部分91a、91aの間には、区画壁91よりも右側に受け渡し用の移載機構であるウエハ搬送装置24の設置領域が形成されている。また、左側に突出して屈曲する屈曲部分91a、91aの間には、区画壁91よりも左側に処理領域である載置部23が配置されている。この例では、前記ウエハ搬送装置24の設置領域を囲む壁部と載置部23の壁部とは別体として構成されていて、これら壁部の間に仕切り弁(ゲートバルブG)が介在しているが、これら壁部をまとめて区画壁91と称して説明している。従って、処理領域(載置部23)の配列方向を前後方向とすると、前記ウエハ搬送装置24は、互いに隣接する載置部23、23同士の間または載置部23とロードロック室2a(2b)との間における、右寄りに配置されている。これにより、各々のウエハ搬送装置24と載置部23との配置レイアウトは、千鳥状となっている。従って、ある一つのウエハ搬送装置24からロードロック室2a、2b及び載置部23の並びを見た時に、左前方にはゲートバルブGを介してロードロック室2aあるいは処理ユニット11が配置され、右前方にはゲートバルブGを介して処理ユニット11あるいはロードロック室2bが配置されている。
【0061】
2つの処理ステーション1、1のうち右側の処理ステーション1に「1B」の符号を付すと、この処理ステーション1Bは、前記大気搬送路100を境界として左側の処理ステーション1Aが左右対称となるように配置されている。具体的には、処理ステーション1Bにおいて、大気搬送路100側に5つのウエハ搬送装置24が配置されており、これらウエハ搬送装置24の並びよりも右側にロードロック室2a、2b及び4つの処理ユニット11が直線状に並んでいる。従って、処理ステーション1Bにおけるウエハ搬送装置24は、互いに隣接する載置部23、23同士の間または載置部23とロードロック室2a(2b)との間における、左寄りに配置されている
【0062】
大気搬送路100は、一端側及び他端側が夫々大気搬送室3a、3bに連通(開口)するように、ロードロック室2a、2b及び各処理ユニット11の並びに沿うように配置された概略箱形の搬送室101を備えている。従って、この搬送室101内の雰囲気は、大気(常圧)雰囲気となっている。この搬送室101内には、当該搬送室101の長さ方向に沿って伸びるレール102と、このレール102に沿って水平方向(前後方向)に移動自在に構成された搬送機構であるウエハ搬送部103と、が配置されている。このウエハ搬送部103は、図30に示すように、複数枚のウエハWを棚状に積載するために、各々のウエハWの周縁部を保持する保持部104、104が上下方向に複数箇所に配置されている。
【0063】
搬送室101内には、ウエハWの搬送路106が上下に2段に積層されており、具体的にはレール102及びウエハ搬送部103は、互いに上下方向に離間するように2組設けられている。これら搬送路106、106は、図31に示すように、仕切り板107によって上下に区画されている。大気搬送アーム5a(5b)は、これらウエハ搬送部103、103に対してウエハWの受け渡しを行うために、大気搬送室3a、3bの下方側に設けられた昇降機構126により各々昇降自在に構成されている。大気搬送室3b内には、処理済みのウエハWを冷却するために、既述の保持部104が上下方向に複数箇所に設けられたウエハ収納部105が互いに左右方向に離間するように2カ所に設けられている。図31中125は大気搬送アーム5a、5bが水平方向(左右方向)に走行するためのレールである。尚、図30は、大気搬送室3a及び処理ステーション1の一部を切り欠いて示しており、大気搬送アーム5bについては省略している。また、仕切り板107については、既述の図30では省略しており、図31では大気搬送室3a、3bについて一部省略している。
【0064】
この真空処理装置では、各処理ユニット11にてウエハWが既述のように順番に処理が行われると共に、これらウエハWが一括して(同時に)上流側から下流側に向かって搬送される。そして、下流側のロードロック室2bから搬出されたウエハWは、大気搬送アーム5bによって、ウエハ収納部105に一時的に載置されて冷却された後、あるいはウエハ収納部105を経由せず(冷却されず)に、ウエハ搬送部103に収納される。次いで、ウエハ搬送部103は、処理済みのある一枚のウエハWが収納されると速やかに、または複数枚のウエハWが収納された後、上流側の大気搬送室3aに向かって移動する。続いて、別の(空の)ウエハ搬送部103が下流側に向かって移動すると共に、大気搬送アーム5aがウエハ搬送部103からウエハWを取り出して、例えば元のFOUP10に搬入する。
【0065】
この実施の形態では、ロードロック室2a(2b)及び複数の処理ユニット11を一列に並べると共に、互いに隣接するロードロック室2a(2b)と処理ユニット11との間の領域及び互いに隣接する処理ユニット11、11間の領域を側方側(大気搬送路100側)から臨むように各々のウエハ搬送装置24を配置して、いわばウエハWの搬送経路が蛇腹状となるようにしている。そのため、真空処理装置のフットプリント(X方向における長さ寸法)を小さく抑えることができる。また、ウエハ搬送部103を設けており、処理済みの複数のウエハWを一括してFOUP10側に搬送できるので、高いスループットで各ウエハWに処理を行うことができる。更に、各々のウエハ搬送装置24によりウエハWを上流側から下流側に搬送するにあたって、ウエハ搬送装置24を180°回動させる必要がない。即ち、各々のウエハ搬送装置24から各処理ユニット11の並びを見た時に、上流側の搬入口43a及び下流側の搬出口43bがいずれも前方側において互いに左右に離間して並んでいるので、ウエハ搬送装置24は極僅かな時間で回動動作を終えることができ、従ってスループットを高めることができる。
【0066】
この例では、2つの処理ステーション1、1において共通の大気搬送路100を配置したが、これら処理ステーション1、1に個別に大気搬送路100を配置しても良いし、処理ステーション1と大気搬送路100とを一つずつ設けても良い。また、大気搬送室3a、3b及び復路用の大気搬送路100に相当する領域は、大気雰囲気であることに限られず、例えば窒素ガスなどの不活性ガスからなる常圧雰囲気としても良い。
【0067】
続いて、このような真空処理装置に適用するにあたって好ましいロードロック室2a、2bの構成について、既述の図1の真空処理装置を例に挙げて図32〜図45を参照して説明する。ロードロック室2aは、上流端の処理ユニット11aにウエハWを搬送するにあたり、当該ロードロック室2aにおける雰囲気の切り替え(真空引きや大気導入)に要する雰囲気切り替え時間が真空処理装置の全体の処理時間の律速とならないように、あるいは前記雰囲気切り替え時間ができるだけ処理時間の律速とならないように構成されている。また、ロードロック室2bについては、処理ステーション1の下流端の搬送モジュール12からウエハWを搬出するにあたって、同様に雰囲気切り替え時間が真空処理装置の全体の処理時間の律速とならないように、あるいはできるだけ律速とならないように構成されている。
【0068】
具体的には、ロードロック室2a(2b)は、左右方向に互いに離間するように2箇所に設けられており、これらロードロック室2a、2a(2b、2b)の一方に対してウエハWの搬入出を行っている間に、他方のロードロック室2a、2a(2b、2b)が次のウエハWの搬送に備えるように構成されている。これらロードロック室2a、2bは、互いに同じ構成となっていることから、上流側のロードロック室2aについて説明する。尚、図32は、真空処理装置におけるロードロック室2aの近傍領域を拡大して示している。
【0069】
ロードロック室2aは、既述のように互いに左右方向に離間して2箇所に設けられており、複数枚例えば4枚のウエハWを棚状に積載するための積載部120を各々備えている。この積載部120は、平面的に見た時に概略円状に形成されており、ロードロック室2aの下方側に設けられた昇降部材121により昇降自在に構成されている。図32中122は、ウエハWの周縁部を下方側から支持する支持部であり、123はこれら支持部122を上下に配置するための支柱である。また、図33中124はベローズである。また、図32中40はガス供給路の開口端、41aは排気口である。
【0070】
大気搬送アーム5a(5b)においてウエハWを下方側から支持するピック24aは、積載部120におけるウエハWの積層ピッチに対応するように、上下方向に4枚配置されている。従って、大気搬送アーム5aは、FOUP10から4枚のウエハWを一括して取り出すと共に、これらウエハWをロードロック室2aに対して一括して搬入できるように構成されている。図33中125は、大気搬送アーム5aが左右方向に移動するためのレールである。尚、FOUP10の寸法やこれら大気搬送アーム5a及び積載部120の寸法については模式的に示している。
【0071】
ここで、この実施の形態の真空処理装置では、各々のロードロック室2a、2aの下流側の2つのウエハ搬送装置24、24は、ロードロック室2a、2aの一方のロードロック室2aに同時にアクセスできるように、且つ他方のロードロック室2aに同時にアクセスできるように構成されている。具体的には、図33及び図34に示すように、互いに左右方向に離間して並ぶ2つのウエハ搬送装置24、24のうち一方(この例では大気搬送室3a側から見て左側)のウエハ搬送装置24は、駆動部42が真空容器22の天井面の上方側に設けられている。そして、前記一方のウエハ搬送装置24は、他方のウエハ搬送装置24におけるウエハWの保持(搬送)位置よりも当該ウエハ搬送装置24におけるウエハWの保持位置が上方に位置するように、ピック24aの高さ位置が設定されている。即ち、これらウエハ搬送装置24、24の各々のピック24a、24aは、既述の積載部120から、例えば一のウエハWと、当該ウエハWの上方側あるいは下方側に隣接するウエハWと、を同時に取り出せるように、積載部120における支持部122のピッチに対応するように互いの離間寸法が設定されている。尚、図34は、ウエハ搬送装置24、24を大気搬送室3a側から見た縦断面図を示している。
【0072】
また、ロードロック室2a、2aにおけるウエハ搬送装置24、24側のゲートバルブGは、各々のウエハ搬送装置24、24の搬送動作及びこれらウエハ搬送装置24、24により搬送されるウエハWに干渉(衝突)しないように、積載部120の外形に沿って外側(ウエハ搬送装置24側)に膨らむように概略円弧状に形成されている。従って、図35及び図36に示すように、2つのロードロック室2a、2aのうち一方のロードロック室2aに対してウエハ搬送装置24、24が同時にアクセスする時、他方のロードロック室2aにおけるウエハ搬送装置24側のゲートバルブGが閉じている場合であっても、これらウエハ搬送装置24、24により搬送される各々のウエハWは、当該ゲートバルブGに衝突しない。尚、図35及び図36は、各々のウエハ搬送装置24、24により搬送されるウエハWの外縁の軌跡を模式的に一点鎖線で示しており、ウエハ搬送装置24、24については省略している。
【0073】
下流側のロードロック室2b、搬送モジュール12内のウエハ搬送装置24、24及び大気搬送室3b内の大気搬送アーム5bについても、以上説明した上流側のロードロック室2a、ウエハ搬送装置24、24及び大気搬送アーム5aと同様に構成されている。
【0074】
続いて、この真空処理装置の作用について図37〜図45を参照して説明する。先ず、真空処理装置において処理及びウエハWの搬送が連続的に行われている途中において、図37及び図38に示すように、2つのロードロック室2a、2aのうち一方(大気搬送室3a側から見て右側)のロードロック室2a(以後「131」の符号を付す)が空(最後のウエハWが取り出された状態)となっているものとする。また、他方のロードロック室2a(以後「132」の符号を付す)には、4枚のウエハWが収納されており、上側から一番目のウエハWと2番目のウエハWとが搬入口43aを臨む位置に設定されているものとする。この時、一方のロードロック室131はウエハ搬送装置24側のゲートバルブGが解放されており、他方のロードロック室132は内部を真空引きしていて、ゲートバルブGが閉じられたままとなっている。また、各々の載置部23上にはウエハWが各々載置されていて、既述の処理が行われているものとする。
【0075】
始めに、他方のロードロック室132の真空引きが完了すると、当該ロードロック室132におけるウエハ搬送装置24側のゲートバルブGが開放される。そして、載置部23でのウエハWの処理が終了すると、図39及び図40に示すように、ウエハ搬送装置24、24は、他方のロードロック室132内に同時に進入して、例えば上側から1番目のウエハWと2番目のウエハWとを当該ロードロック室132から搬出する。具体的には、これらウエハWの下方位置に各々のウエハ搬送装置24、24のピック24a、24aが位置するようにウエハ搬送装置24、24が駆動し、続いて積載部120が僅かに下降することにより、各々のウエハWをウエハ搬送装置24、24に受け渡す。次いで、ピック24a、24aがウエハ搬送装置24、24側に縮退する。
【0076】
この時、処理ユニット11aの下流側のウエハ搬送装置24、24は、当該処理ユニット11a内に進入し、処理済みのウエハWを下流側の処理ユニット11bに搬出していく。処理ユニット11aのウエハ搬送装置24、24の搬送動作と、処理ユニット11bのウエハ搬送装置24、24の搬送動作とは、既述のように同時に行われる。また、一方のロードロック室131におけるウエハ搬送装置24側のゲートバルブGが閉じられて、当該ロードロック室131の内部が大気雰囲気に戻されていく。そして、大気搬送アーム5aは、FOUP10の側方側に移動して、未処理のウエハWを例えば4枚一括して当該FOUP10から取り出す。
【0077】
続いて、他方のロードロック室132からウエハWを受け取ったウエハ搬送装置24、24は、図41及び図42に示すように、載置部23、23に対して同時にこれらウエハWを載置する。また、内部が大気雰囲気に設定された一方のロードロック室131における大気搬送室3a側のゲートバルブGを解放し、大気搬送アーム5aにより例えば4枚のウエハWを一括して当該ロードロック室131内に搬入する。
【0078】
各々のウエハ搬送装置24、24は、載置部23、23での処理が終わるまでの間、図43及び図44に示すように、元の位置に縮退して待機する。一方のロードロック室131では、大気搬送室3a側のゲートバルブGを気密に閉じて、真空引きを開始する。そして、他方のロードロック室132では、上側から3番目及び4番目のウエハWをウエハ搬送装置24、24に受け渡すために、これらウエハWが搬入口43aを臨むように、積載部120を上昇させる。そして、載置部23、23での処理が終了すると、既述の図39〜図42に示すように、各ウエハWを下流側に搬送する。しかる後、空になった他方のロードロック室132ではウエハ搬送装置24側のゲートバルブGが閉じられて、未処理のウエハWを搬入するために大気導入が行われると共に、一方のロードロック室131にて真空引きが完了すると、ウエハ搬送装置24側のゲートバルブGが解放される。
【0079】
こうして図45に示すように、ロードロック室131、132に対して、大気搬送アーム5aによるウエハWの搬入と、ウエハ搬送装置24、24によるウエハWの搬出と、が交互に行われる。また、下流側のロードロック室2b、2bについても、同様に交互にウエハWが搬出される。従って、いわば2つのロードロック室5a、5a(5b、5b)をウエハ搬送装置24、24が交互に使用することにより、ロードロック室5a(5b)において真空引きや大気導入が完了するまでウエハWの取り出しを待たなくて済む。
【0080】
そのため、ロードロック室5a(5b)において雰囲気の切り替えに要する雰囲気切り替え時間が真空処理装置の全体の処理時間の律速とならないか、あるいはほとんど律速とならない。従って、各処理ユニット11において高速に処理が進行する場合であっても、処理ステーション1の上流端に対するウエハWの供給と、処理ステーション1の下流端からのウエハWの排出と、を連続的に、定常的に、且つ速やかに行うことができるので、高いスループットで各処理を行うことができる。
【0081】
この時、ロードロック室5a(5b)には複数枚(詳しくは4枚以上、偶数枚)のウエハWを収納しているので、当該ロードロック室5a(5b)にウエハ搬送装置24、24がアクセスする時間を長く取ることができる。そのため、ロードロック室5a(5b)の真空引きや大気導入にはウエハ搬送装置24、24がロードロック室5a(5b)にアクセスする時間を充てることができるので、既述のように各処理ユニット11における処理の律速とならないようにロードロック室5a(5b)内の真空引きや大気導入を行うことができる。言い換えると、ロードロック室5a(5b)に複数枚のウエハWを収納することにより、大型の真空排気装置21を設けなくもロードロック室5a(5b)の真空引きを速やかに行うことができるので、高いスループットで処理を行うにあたって装置のコストアップを抑えることができる。更に、ウエハ搬送装置24、24がロードロック室5a(5b)に同時にアクセスしていることから、これらウエハ搬送装置24、24が交互にウエハWの搬入(搬出)を行う場合よりもスループットを向上させることができる。
【0082】
以下の表は、図39〜図45におけるウエハ搬送装置24などの動作シーケンスを実際に要する時間と共に示しており、「VA1」及び「VA2」は2つのウエハ搬送装置24、24のうち一方及び他方、「LL1」及び「LL2」は夫々ロードロック室131、132を表している。また、「STG1」及び「STG2」はウエハ搬送装置24、24の下流側に設けられた2つの載置部23、23のうち一方及び他方、「slot」は積載部120におけるウエハWの載置位置を意味しており、この「slot」の後の添え字(1〜4)は上側からのウエハWの積載位置を示している。また、「VAアクセス」はウエハ搬送装置24がロードロック室131(132)にアクセスしている状態、「VENT」は大気導入、「VAC」は真空引き、「AAアクセス」は大気搬送アーム5aによるウエハWの搬入を表している。そして、「ゲット」はウエハ搬送装置24がロードロック室131(132)からウエハWを取り出す動作、「プット」は載置部23にウエハWを載置する動作を表している。
【0083】
(表)

【0084】
この表に示すように、各々のウエハ搬送装置24、24の各動作に5秒の時間が費やされるものとすると、各々のロードロック室131、132の真空引きや大気導入には10秒もの長い時間を充てることができる。そのため、一時間あたりに720枚ものウエハWを搬送(処理)できる。
【0085】
この例では、ロードロック室2a、2a(2b、2b)を左右方向に並べたが、上下方向に積層するようにしても良い。この場合には、ウエハ搬送装置24、24及び大気搬送アーム5aは、これらロードロック室2a、2a(2b、2b)に対してアクセスできるように、上下方向に昇降自在に構成される。
【0086】
既述の例では、ロードロック室2a、2a(2b、2b)の各々にウエハWを4枚ずつ収納したが、これらロードロック室2a、2a(2b、2b)に各々例えば6枚以上ずつ複数枚収納しても良い。その場合には、ロードロック室2a、2a(2b、2b)の真空引きや大気導入に更に長い時間を充てることができる。また、ロードロック室2a、2b内の積載部120を昇降させたが、ウエハ搬送装置24、24を昇降自在に構成しても良い。即ち、これらウエハ搬送装置24、24のうち上方側に位置するピック24aについて、積載部120の一番目のウエハWと三番目のウエハWとにアクセスできるように構成すると共に、下方側に位置するピック24aについては二番目のウエハWと四番目のウエハWとにアクセスできるように構成しても良い。更に、積載部120の一番目のウエハWと二番目のウエハWとを取り出した後、三番目のウエハWと四番目のウエハWとを取り出すように各ピック24a、24aの高さ位置を設定したが、一番目のウエハWと三番目のウエハWとを取り出した後、二番目のウエハWと四番目のウエハWとを取り出すようにしても良い。
【0087】
以上の例において、ウエハ搬送装置24、24がロードロック室131(132)に同時にアクセスするにあたって、「同時」とは、同じタイミングであることだけを表しているだけでなく、例えば各々のウエハ搬送装置24、24における搬送動作の一部同士が同じ時間帯で互いに重なって行われることを含む。
【符号の説明】
【0088】
W ウエハ
1 処理ステーション
2a、2b ロードロック室
3a、3b 大気搬送室
10 FOUP
11 処理ユニット
12 搬送モジュール
20 制御部
22 真空容器
23 載置部
24 ウエハ搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して真空処理を行う真空処理装置において、
常圧雰囲気から基板が搬入される搬入用の予備真空室と、
この予備真空室に接続され、真空雰囲気に維持される処理ステーションと、
この処理ステーションに接続され、当該処理ステーションにて処理された基板を常圧雰囲気に搬出するための搬出用の予備真空室と、
装置の運転制御を行う制御部と、を備え、
前記処理ステーションは、
各々基板を真空処理する複数の処理領域を互いに間隔をおいて一列に配列し、上流側の処理領域から下流側の処理領域に順番に基板が移載される処理領域の列と、
前記搬入用の予備真空室内の基板を、前記処理領域の列の上流端に位置する処理領域に移載するための搬入用の移載機構と、
互いに隣接する前記処理領域の間に配置された受け渡し用の移載機構と、
前記処理領域の列の下流端に位置する処理領域から基板を前記搬出用の予備真空室に移載するための搬出用の移載機構と、を備え、
前記制御部は、
搬入用の予備真空室から処理領域の列の下流端に位置する処理領域に至るまでの各基板を一つ下流側の基板載置位置に移載する移載動作群のうちの少なくとも2つの移載動作について、一部同士の時間帯または全部の時間帯を重ねるように制御信号を出力することを特徴とする真空処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記移載動作群のうちの全ての移載動作を同時に行うように制御信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の真空処理装置。
【請求項3】
前記複数の処理領域、前記搬入用の移載機構、前記受け渡し用の移載機構及び前記搬出用の移載機構は、共通の真空容器内に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の真空処理装置。
【請求項4】
前記複数の処理領域の各々について、上流側に隣接する移載機構の設置領域との間及び下流側に隣接する移載機構の設置領域との間の少なくとも一方を区画壁により区画すると共にこの区画壁に仕切り弁を設けて両領域を気密に区画し、
前記仕切り弁を介して移載機構により基板の移載が行われることを特徴とする請求項1または2に記載の真空処理装置。
【請求項5】
前記処理領域の列は直線状に形成され、前記搬入用の予備真空室は処理領域の列の一端側に配置され、搬出用の予備真空室は当該処理領域の列の他端側に配置されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の真空処理装置。
【請求項6】
前記処理領域の列は、互いに並列に配置された複数の処理領域の列からなり、
互いに隣接する処理領域の列のうち、一方の処理領域の列の一端部に位置する処理領域と他方の処理領域の列の一端部に位置する処理領域との間で基板を移載する受け渡し用の移載機構を備え、
前記互いに並列に配置された複数の処理領域の列は、1本の屈曲した基板移載路を形成していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の真空処理装置。
【請求項7】
処理領域の配列方向を前後方向とすると、前記受け渡し用の移載機構は、互いに隣接する処理領域同士の間の左寄りまたは右寄りに配置され、これらにより受け渡し用の移載機構と処理領域との配置レイアウトが千鳥状に形成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の真空処理装置。
【請求項8】
前記搬入用の予備真空室及び前記搬出用の予備真空室に夫々臨むように設けられた、各々常圧雰囲気である搬入用の常圧搬送室及び搬出用の常圧搬送室と、
前記搬入用の常圧搬送室及び前記搬出用の常圧搬送室に夫々設けられ、前記搬入用の予備真空室内に基板を受け渡す第1の搬送機構及び前記搬出用の予備真空室から基板を受け取る第2の搬送機構と、
前記処理領域の列に沿って配置されると共に、前記搬出用の常圧搬送室内の処理済みの基板を前記搬入用の常圧搬送室内に搬送するための常圧雰囲気とされる領域を形成し、基板を搬送する復路用の搬送機構が配置された常圧搬送路と、を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の真空処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公開番号】特開2012−39075(P2012−39075A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80149(P2011−80149)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】