説明

硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法及び硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物

【課題】両面に金属板面材を使用した水発泡の硬質ポリオウレタンフォームのサンドイッチパネルであって反りの発生が小さく、断熱性に優れたパネルの製造方法並びに該硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法に使用するポリオール組成物を提供する。
【解決手段】下面材15供給工程、発泡原液組成物を供給する原液供給工程、上面材14供給工程、発泡工程、及び裁断工程を有し、上面材と下面材はいずれも金属板であって、一方が波板で他方が平板であり、ポリオール組成物はポリオール化合物、発泡剤である水、整泡剤及び触媒を含有し、ポリオール化合物は樹脂微粒子含有ポリオール化合物を含有し、ポリオール組成物及びポリイソシアネート成分の温度をいずれも20℃にして混合したときの発泡原液組成物のゲルタイムが33秒以上であり、かつフリー発泡フォームの2分後の表面硬度が25以上である硬質ポリウレタンフォームパネル12の製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面が波板である両面金属板の硬質ポリウレタンフォームサンドイッチパネルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板などの金属板を面材とした硬質ポリウレタンフォームサンドイッチパネルは公知である(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示の硬質ポリウレタンフォームは、建築基準法に規定される難燃規格に適合する難燃性を有し、面材との接着性が良好でいわゆるシェアラインの発生がないものであり、芳香族エステルポリオールとフェノキシアルコール化合物をポリオール化合物として使用し、有機カルボン酸金属塩とイミダゾール系化合物を触媒として使用するものである。
【0004】
【特許文献1】特開2003−48943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
片面の金属板面材として波板を使用して連続生産法にてサンドイッチパネルを製造すると、得られるサンドイッチパネルに、波板側が凹となる反りが発生する。連続生産法においては、得られるサンドイッチパネルの厚さを所定値とするために発泡工程においてダブルコンベアを使用してサンドイッチパネルを押圧することが行われる。その結果、波板が押圧により波が平坦化するように伸ばされ、ダブルコンベアの押圧から開放されると元の寸法形状の波板に収縮するために反りが発生するものと考えられる。
【0006】
構成分子中のウレタン結合が多い従来の水以外のHCFC−141b等の発泡剤を使用した硬質ポリウレタンフォームと比較して、水を発泡剤として使用した硬質ポリウレタンフォームは構成分子中のウレア結合が多く、脆性が大きい。そのために係る反りを有するサンドイッチパネルを施工時に平坦にすると、硬質ポリウレタンフォーム層に亀裂が発生し、硬質ポリウレタンフォーム層の断熱性の低下の原因となる。そこで水発泡の硬質ポリウレタンフォームを断熱層とするサンドイッチパネルにおいて反りが発生しないか或いは反りが小さくなるように改善が求められていた。
【0007】
本発明は、上記公知技術の問題点に鑑み、両面に金属板面材を使用した水発泡の硬質ポリオウレタンフォームのサンドイッチパネルであって反りの発生が小さく、断熱性に優れた硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法並びに該硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法に使用するポリオール組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法であって、
下面材を供給する下面材供給工程、ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合した発泡原液組成物を前記下面材上に供給する原液供給工程、前記発泡原液組成物上に上面材を供給する上面材供給工程、前記発泡原液組成物を加熱して発泡硬化させて連続硬質ポリウレタンフォームとする発泡工程、及び前記連続硬質ポリウレタンフォームを所定長さに裁断する裁断工程を有し、
前記上面材と下面材はいずれも金属板であって、一方が波板で他方が平板であり、
前記ポリオール組成物はポリオール化合物、発泡剤である水、整泡剤及び触媒を含有し、
前記ポリオール化合物は樹脂微粒子含有ポリオール化合物を含有し、
前記ポリオール組成物及びポリイソシアネート成分の温度をいずれも20℃にして混合して発泡原液組成物とし、該発泡原液組成物を発泡させたフリー発泡フォームの2分後の表面硬度が20以上であることを特徴とする。
【0009】
係る構成の製造方法によれば、両面に金属板面材を使用した水発泡の硬質ポリオウレタンフォームのサンドイッチパネルであって反りの発生が小さく、断熱性にも優れた硬質ポリウレタンフォームパネルを製造することができる。
【0010】
発泡原液組成物の発泡により形成されるフリー発泡フォームの2分後の表面硬度が20未満の場合には得られるサンドイッチパネルに反りが発生する。フリー発泡フォームの表面硬度は、アスカーCS型硬度計(F型)にて測定した値である。フリー発泡フォームの2分後の表面硬度は、22以上であることがより好ましく、24以上であることがさらに好ましい。
【0011】
上述の硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法においては、前記樹脂微粒子含有ポリオール化合物を構成するポリオール化合物は、アミノ基を有しないポリエーテルポリオール、芳香族アミノ基含有ポリエーテルポリオール又はこれら2種のポリオール化合物の混合物であることが好ましい。
【0012】
係る構成の製造方法によれば、ポリオール組成物及びポリイソシアネート成分の温度をいずれも20℃にて混合したときの前記発泡原液組成物を発泡させたフリー発泡フォームの2分後の表面硬度が20以上を容易に達成することができる。
【0013】
上記の硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法においては、前記ポリオール組成物及びポリイソシアネート成分の温度をいずれも20℃にして混合した発泡原液組成物のゲルタイムが33秒以上であることが好ましい。
【0014】
係る構成の製造方法によれば、両面に金属板面材を使用した水発泡の硬質ポリオウレタンフォームのサンドイッチパネルにおいて反りの発生が小さく、断熱性にも優れた硬質ポリウレタンフォームパネルを、より確実に製造することができる。ゲルタイムは35秒以上であることがより好ましい。
【0015】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物は、ポリオール化合物、発泡剤である水、整泡剤及び触媒を含有し、ポリイソシアネート成分と混合して硬質ポリウレタンフォームを形成するものであって、
前記ポリオール組成物は樹脂微粒子含有ポリオール化合物を含有し、
前記ポリオール組成物及びポリイソシアネート成分の温度をいずれも20℃にて混合して発泡原液組成物とし、該発泡原液組成物を発泡させたフリー発泡フォームの2分後の表面硬度が20以上であることを特徴とする。
【0016】
係る構成のポリオール組成物を使用して両面に金属板面材を使用した水発泡の硬質ポリオウレタンフォームのサンドイッチパネルを製造すると、一方の面材が波板であっても反りの発生が小さく、施工時に平坦にしても硬質ポリウレタンフォーム層に亀裂が発生することがない。また、係る構成の硬質ポリウレタンフォームは断熱性にも優れたものである。
【0017】
上記の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物においては、前記樹脂微粒子含有ポリオール化合物を構成するポリオール化合物は、アミノ基を有しないポリエーテルポリオール、芳香族アミノ基含有ポリエーテルポリオール又はこれら2種のポリオール化合物の混合物であることが好ましい。
【0018】
係る構成のポリオール組成物は、混合、反応させるポリイソシアネート成分の温度をいずれも20℃にて混合した発泡原液組成物を発泡させたフリー発泡フォームの2分後の表面硬度が20以上に容易に調整することができる結果、両面に金属板面材を使用した水発泡の硬質ポリオウレタンフォームのサンドイッチパネルを製造すると、一方の面材が波板であっても反りの発生が小さく、施工時に平坦にしても硬質ポリウレタンフォーム層に亀裂が発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法並びに硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物においては、ポリオール組成物を構成するポリオール化合物としては、樹脂微粒子含有ポリエーテルポリオールを使用する。樹脂微粒子は、ポリウレタンフォーム用ポリオールに含有される公知の樹脂微粒子を使用することができ、具体的にはアクリロニトリル、アクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、アクリルモノマー類などの単独重合体微粒子やこれらのモノマーから選択される2種以上のモノマーの共重合体微粒子を使用することができる。
【0020】
樹脂微粒子を含むポリオール化合物は公知の方法により製造することができる。例えば塊状重合法や溶液重合法などにより製造した樹脂を粉砕して微粒子化し、必要に応じて分級して得られた樹脂微粉末をポリオール化合物に添加混合する方法、エマルジョン重合法により得られた樹脂微粒子を含むエマルジョンをそのまま、ないし乾燥した粉末状にて添加する方法、ポリオール化合物にモノマーを溶解ないし分散し、AIBNやBPO等のラジカル重合開始剤を添加して加熱し、重合させて樹脂微粒子ポリオール化合物とする方法などが例示される。これらの中でもポリオール化合物中にて重合して樹脂微粒子を形成する方法が、長期間放置しても粒子が沈降しにくく、安定なポリオール組成物が得られることから、最も好ましい。
【0021】
樹脂微粒子を分散したポリオール化合物を構成するポリエーテルポリオールは、アミノ基を有しないポリエーテルポリオール、芳香族第3級アミノ基を有するポリエーテルポリオールもしくはこれら2種のポリオール化合物の混合物であることが好ましい。アミノ基を有しないポリエーテルポリオールは、開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のグリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール類、ペンタエリスリトール等の4官能アルコール類、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール類などを使用し、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドの少なくとも1種を開環付加重合させて得られる多官能性のオリゴマーである脂肪族ポリエーテルポリオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、キシリレングリコール等の芳香族化合物を開始剤として、上記のポリエーテルポリオールと同様にして得られる芳香族ポリエーテルポリオールが例示される。脂肪族多価アルコールを開始剤とするポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2.5〜8、水酸基価が100〜600mgKOH/gであることが好ましい。また芳香族ポリエーテルポリオールは、平均官能基数が2〜4、水酸基価が200〜600mgKOH/gであることが好ましい。これらの中でもペンタエリスリトールを開始剤とするポリエーテルポリオールの使用が特に好ましい。
【0022】
芳香族第3級アミノ基を有するポリエーテルポリオールは、芳香族ジアミンを開始剤としてエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、ブチレンオキサイド等の環状エーテル化合物、好ましくはプロピレンオキサイドのみ、もしくはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを開環付加させた実質的に4官能の第3級アミノ基を有するポリオール化合物である。開始剤である芳香族ジアミンとしては、公知の芳香族ジアミンを限定なく使用することができる。具体的には2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン等が例示される。これらの中でも得られる硬質ポリウレタンフォームの断熱性と強度などの特性が優れている点でトルエンジアミン(2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン又はこれらの混合物:TDA)の使用が特に好ましい。芳香族第3級アミノ基を有するポリエーテルポリオールの水酸基価は、200〜500mgKOH/gであることが好ましい。
【0023】
アミノ基を有しないポリエーテルポリオール、芳香族第3級アミノ基を有するポリエーテルポリオールもしくはこれら2種のポリオール化合物の混合物を使用する場合、ポリオール化合物の構成において、芳香族第3級アミノ基含有ポリオール化合物は、ポリオール化合物全量中、70重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。本発明の樹脂微粒子含有ポリオール化合物において2種以上のポリオール化合物を使用する場合は、1種のポリオール化合物を使用して樹脂微粒子含有ポリオール化合物とした後に他のポリオール化合物を混合してもよい。
【0024】
上述の単量体の樹脂微粒子を分散したポリオール化合物であって構成ポリオールとして芳香族第3級アミノ基を有するポリエーテルポリオールを使用したポリオール化合物としては市販品を使用することも好ましく、具体的には、上述のポリオール化合物中にてアクリロニトリルを含むモノマーの重合法により製造されたXRAG−7102、WB−918(旭硝子)などがあり、使用可能である。係る樹脂微粒子分散ポリオール化合物中の樹脂の含有率は、周知である(例えば特開平11−60651号公報、特開平11−106447号公報)。
【0025】
触媒としては公知のポリウレタンフォーム製造用の触媒を使用することができる。具体的には第3級アミン触媒の使用が好ましい。第3級アミン触媒はウレタン結合形成触媒ないし泡化触媒であり、具体的には、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンやN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン(カオライザーNo.1)、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(カオライザーNo.3)等のN−アルキルポリアルキレンポリアミン類、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(ポリキャット−8)、1,3,5−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)−ヘキサヒドロ−s−トリアジン(ポリキャット−41)、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等を使用することができる。これらの中でも1分子中に2以上の第3級アミノ基を有する化合物の使用が好ましく、ウレタン結合形成触媒の使用が好ましい。第3級アミン触媒のウレタン結合形成能は、TDIとジエチレングリコール(DEG)の反応(ウレタン化反応)における反応定数とTDIと水の反応(泡化反応)における反応定数の比として求められ、本発明においては、TDI−水の反応定数/TDI−DEGの反応定数が2以下の触媒を使用することが好ましい。係るウレタン結合形成能の強い触媒の使用量は、ポリオール化合物合計100重量部に対して0.1〜0.5重量部であることが好ましい。
【0026】
本発明における発泡原液組成物のゲルタイム(GT)、ポリオール組成物とポリイソシアネート成分の撹拌混合完了・反応開始2分後のフリー発泡フォームの表面硬度などの調整は、例えばポリオール化合物と触媒の組み合わせにより達成できる。即ち、ポリオール化合物としてアミノ基を有しないポリエーテルポリオールを使用し、触媒としてウレタン結合形成能の強い触媒を使用すると、2分後の表面硬度が20以上の硬質ポリウレタンフォームを製造することができる。また例えば触媒の種類、添加量の調整により、発泡原液組成物のゲルタイムを33秒以上、好ましくは35秒以上とすることができる。発泡を行う雰囲気温度は25℃である。
【0027】
ポリオール組成物に添加する整泡剤は、硬質ポリウレタンフォームの分野において公知の整泡剤を限定なく使用可能である。具体的には、B−8465(ゴールドシュミット)、SH−193、S−824−02、SZ−1704、SZ−1605(東レダウコーニングシリコン)等の整泡剤を使用することができる。整泡剤は2種以上を使用してもよい。整泡剤の添加量はポリオール化合物100重量部に対して0.5〜5重量%であることが好ましい。
【0028】
本発明においては、さらに難燃剤を添加することも好ましい態様であり、好適な難燃剤としては、有機リン酸エステル類が例示される。有機リン酸エステル類は、可塑剤としての作用も有し、従って硬質ポリウレタンフォームの脆性改良の効果も奏することから、好適な添加剤である。またポリオール組成物の粘度低下効果も有する。かかる有機リン酸エステル類としては、リン酸のハロゲン化アルキルエステル、アルキルリン酸エステルやアリールリン酸エステル、ホスホン酸エステル等が使用可能であり、具体的にはトリス(β−クロロエチル)ホスフェート(CLP、大八化学工業)、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(TMCPP、大八化学工業)、トリブトキシエチルホスフェート(TBXP,大八化学工業)、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート等が例示でき、これらの1種以上が使用可能である。有機リン酸エステル類の添加量はポリオール化合物の合計100重量部に対して40重量部以下、より好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは25重量部以下であり、5〜25重量部であることが特に好ましい。
【0029】
本発明の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物並びに硬質ポリウレタンフォームの製造方法においては、上記成分の他に、当業者に周知の着色剤、酸化防止剤等が使用可能である。
【0030】
ポリオール組成物と混合、反応させて硬質ポリウレタンフォームを形成するポリイソシアネート化合物としては、取扱の容易性、反応の速さ、得られる硬質ポリウレタンフォームの物理特性が優れていること、低コストであることなどから、液状MDIを使用する。液状MDIとしては、クルードMDI(c−MDI)(スミジュール44V−10,スミジュール44V−20等(住化バイエルウレタン社製)、ミリオネートMR−200(日本ポリウレタン工業))、ウレトンイミン含有MDI(ミリオネートMTL;日本ポリウレタン工業製)等が使用される。液状MDIに加えて、他のポリイソシアネート化合物を併用してもよい。併用するポリイソシアネート化合物としては、ポリウレタンの技術分野において公知のポリイソシアネート化合物は限定なく使用可能である。
【0031】
本発明の硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法において使用する金属面材を構成する金属材料としては、アルミニウム、ステンレススチール、鋼板等が例示されるが、鋼板の使用が一般的である。金属板からなる面材の厚さは、使用する金属材料、用途に応じて設定されるが、鋼板の場合には0.25〜0.40mmであることが好ましい。
【0032】
パネルを構成する硬質ポリウレタンフォームの密度はフリー発泡密度にて15〜45kg/mであることが好ましく、15〜40kg/mであることがさらに好ましい。本発明により製造する硬質ポリウレタンフォームパネルの大きさは特に限定されるものではないが、幅が1500mm以下,より好ましくは1000mm以下であり、厚さが10〜100mmであることが好ましい。パネルの反りは図2に示した方法で測定する。パネルの両端部は波の山となるように設定し、凹部の深さは波の山の最も低い部分との距離tとする。反り率(100t/W;Wはサンドイッチパネルの幅)は2.5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明の硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法の好適な態様を例示した概略正面図である。下面材15はロール状の平板の原反13から巻き戻されて供給される(下面材供給工程)。下面材15は、波型加工ロール17にて波板状に加工され、コンベア20上に供給される。波型加工ロール17は、複数組を使用してもよい。コンベア20上において、波板状下面材19上にミキサー21のノズルからイソシアネート成分とポリオール化合物、発泡剤などを含むポリオール組成物とを混合した発泡原液組成物が、幅方向に均一な原液厚さになるように撒布、供給される(原液供給工程)。コンベア20は、発泡原液組成物供給後においても下面材15を平坦に支持するものであり、ベルトコンベア、ローラーコンベア等が使用できる。
【0034】
発泡原液組成物を供給した波板状下面材19の上に上面材が供給される。上面材14はロール状の平板の原反12から巻き戻され、ガイドロール16を通じて、発泡原液組成物を供給した波板状下面材19の上に供給される(上面材供給工程)。発泡原液組成物をサンドイッチした状態で上下の面材はニップローラー23を通過し、発泡原液組成物の厚さを均一にすると共に面材とのなじみの向上によるフォームと面材との接着性の改善が行われ(ニップ工程)、発泡原液組成物の発泡を行いつつ加熱オーブン25内に設置された上下1対のダブルコンベア27(27a,27b)の間に送られる。
【0035】
下面材の波板の波の形状は特に限定されるものではなく、サインカーブのような波状でもよく、台形の波状でもよい。波の高さ、ピッチは適宜設定されるが、波の高さ(山の長上から谷の底までの差)は5〜25mmであることが好ましく、波のピッチは10〜60mmであることが好ましく、20〜40mmであることがより好ましい。
【0036】
平板状の上面材18と波板状に加工された下面材19の間にサンドイッチされた発泡原液組成物はダブルコンベア27の間で一定の厚さとなるように規制を受けつつ発泡硬化を完了し(発泡工程)、サンドイッチパネル10が形成される。連続状の硬質ポリウレタンフォームサンドイッチパネル10は、加熱オーブン25を出た後にカッター30にて所定長さに裁断され(裁断工程)、硬質ポリウレタンフォームサンドイッチパネル12となる。下面材を平板状とし、上面材を波板状としてもよい。
【実施例2】
【0037】
(実施例1)
芳香族第3級アミノ基含有ポリエーテルポリオールにて構成された樹脂微粒子分散ポリエーテルであるWB−918(水酸基価350mgKOH/g;旭硝子)90重量部、ソルビトールを開始剤とするポリテーテルポリオールEX−550(水酸基価550mgKOH/g)10重量部、TMCPP(大八化学工業)15重量部、整泡剤SH−193(東レダウコーニングシリコン)0.5重量部、整泡剤SZ−1704(東レダウコーニングシリコン)0.4重量部、触媒カオライザーNo.1(花王)0.3重量部、水5.0重量部を混合してポリオール組成物とした。ポリイソシアネート成分としては、スミジュール44V20(住化バイエルウレタン)を使用し、ポリオール組成物/ポリイソシアネート成分混合比は100/70(重量比)とした。
(実施例2)
微粒子分散ポリエーテルであるWB−918(水酸基価350mgKOH/g;旭硝子)100重量部、TMCPP(大八化学工業)15重量部、整泡剤SH−193(東レダウコーニングシリコン)0.7重量部、整泡剤SZ−1704(東レダウコーニングシリコン)0.4重量部、触媒カオライザーNo.1(花王)0.3重量部、水5.0重量部を混合してポリオール組成物とした。ポリイソシアネート成分としては、スミジュール44V20(住化バイエルウレタン)を使用し、ポリオール組成物/ポリイソシアネート成分混合比は100/68(重量比)とした。
(比較例)
エチレンジアミンを開始剤としたポリエーテルポリオール(水酸基価350mgKOH/g)を使用した樹脂微粒子分散ポリエーテルポリオール100重量部を使用した点を除いて実施例1と同様にしてポリオール組成物を調製した。
【0038】
(評価方法)
1)密度
液温を20℃に調整したポリオール組成物とポリイソシアネート成分を高速撹拌機にて7秒混合して得た発泡原液組成物を縦、横40cm、深さ40cmのモールドに流し込んでフリー発泡させたフォームのコア部から縦、横、高さがいずれも20cmのフォームを切り出し、重量を測定して計算した。
2)ゲルタイム(GT)、表面硬度
ゲルタイムと表面硬度は、上記のフリー発泡において測定した。表面硬度はアスカーCS硬度計F型(高分子計器)を使用し、荷重1kgにて測定した。
3)パネルの反り
実施例、比較例のポリオール組成物、ポリイソシアネート成分を使用して図1に示したパネル製造ラインにて両面鋼板サンドイッチパネルを製造した。使用した鋼板は厚さが0.0.27mmであり、下面材は波の高さ9.5mm、ピッチ32mmのサインカーブ状の波板とした。パネルの全厚さは約55mmに調整した。パネルの反りは、図2に示した方法により測定した。また得られたサンドイッチパネルについて平坦面に取り付け施工した後に裁断し、硬質ポリウレタンフォーム層にクラックが発生しているかどうかを検査し、クラックの発生がないものを○、クラックが発生したものを×とした。
4)断熱性
硬質ポリウレタンフォームの断熱性は熱伝導率により評価した。熱伝導率は熱伝導率測定装置AUTO−Λ HC−074(英弘精機社製)を使用し、測定条件は、JIS A 9511に準拠して測定した。
5)独立気泡率
測定装置としてMicromeritics AccuPyc 1330(島津製作所)を使用し、独立気泡率を測定した。
【0039】
【表1】

【0040】
表1の結果より、本発明による硬質ポリウレタンフォームサンドイッチパネルは、熱伝導率が小さく、かつ反りが小さくて平坦に施工しても硬質ポリウレタンフォーム層にクラックが発生しなかった。これに対してゲルタイムが短いフォームを使用したサンドイッチパネルは反りが大きく、平坦に施工すると硬質ポリウレタンフォーム層にクラックが発生した。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法の好適な態様を例示した概略正面図
【図2】サンドイッチパネルの反りの測定方法を示した断面図
【符号の説明】
【0042】
10 硬質ポリウレタンフォーム
12 硬質ポリウレタンフォームサンドイッチパネル
14 上面材
15 下面材
27 ダブルコンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法であって、
下面材を供給する下面材供給工程、ポリオール組成物とポリイソシアネート成分とを混合した発泡原液組成物を前記下面材上に供給する原液供給工程、前記発泡原液組成物上に上面材を供給する上面材供給工程、前記発泡原液組成物を加熱して発泡硬化させて連続硬質ポリウレタンフォームとする発泡工程、及び前記連続硬質ポリウレタンフォームを所定長さに裁断する裁断工程を有し、
前記上面材と下面材はいずれも金属板であって、一方が波板で他方が平板であり、
前記ポリオール組成物はポリオール化合物、発泡剤である水、整泡剤及び触媒を含有し、
前記ポリオール化合物は樹脂微粒子含有ポリオール化合物を含有し、
前記ポリオール組成物及びポリイソシアネート成分の温度をいずれも20℃にして混合して発泡原液組成物とし、該発泡原液組成物を発泡させたフリー発泡フォームの2分後の表面硬度が20以上であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂微粒子含有ポリオール化合物を構成するポリオール化合物は、アミノ基を有しないポリエーテルポリオール、芳香族アミノ基含有ポリエーテルポリオール又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬質ポリウレタンフォームパネルの製造方法。
【請求項3】
ポリオール化合物、発泡剤である水、整泡剤及び触媒を含有し、ポリイソシアネート成分と混合して硬質ポリウレタンフォームを形成するポリオール組成物であって、
前記ポリオール化合物は樹脂微粒子含有ポリオール化合物を含有し、
前記ポリオール組成物及びポリイソシアネート成分の温度をいずれも20℃にして混合して発泡原液組成物とし、該発泡原液組成物を発泡させたフリー発泡フォームの2分後の表面硬度が20以上であることを特徴とする硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物。
【請求項4】
前記樹脂微粒子含有ポリオール化合物を構成するポリオール化合物は、アミノ基を有しないポリエーテルポリオール、芳香族アミノ基含有ポリエーテルポリオール又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項3に記載の硬質ポリウレタンフォーム用ポリオール組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−6564(P2009−6564A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169522(P2007−169522)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】