磁気メモリの組成およびその製造方法
【課題】 不揮発性磁気メモリデバイスを作製する単純化された方法を提供する。
【解決手段】 1つまたはそれ以上のメモリセルを有する不揮発性磁気メモリデバイスであって、メモリセルの各々は、磁気コンポーネントと、磁気コンポーネントに近接した位置にあり、磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチと、記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサとを含む。
【解決手段】 1つまたはそれ以上のメモリセルを有する不揮発性磁気メモリデバイスであって、メモリセルの各々は、磁気コンポーネントと、磁気コンポーネントに近接した位置にあり、磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチと、記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の表示)
本発明は、2005年7月27日に出願された米国特許出願第11/189,822号の一部継続出願であり、2005年1月31日に出願された米国仮特許出願第60/647,809号および2005年12月21日に出願された同第60/752,035号の恩恵を主張し、同特許出願の内容全体は、本願明細書に参照することにより組み込まれる。
【0002】
本発明は、メモリデバイスに関し、特に、磁気メモリ要素を使用したメモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯用消費者製品市場(携帯型のコンピュータおよび通信機器用の製品を含む)の急成長に伴い、記憶情報を電力なしで保持する固有の能力を備えた低電力消費の不揮発性メモリデバイスに対する需要が高まっている。
【0004】
これらの応用に対して市場で現在利用可能な主な技術として、金属−酸化膜−半導体型(N型)のトランジスタのフローティングゲートを、これらの構造体の超薄酸化物層を通る、いわゆる、Fowler−Nordheimトンネルを用いて充電(書き込み)または放電(消去)することに依存したEEPROM(電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ)技術がある。ゲートが充電されると、デバイスに電子反転チャネルが生じ、導電状態になる(メモリ状態1を構成)。フローティングゲートを放電すると(すなわち、負のバイアスを印加すると)、チャネルから電子を取り除き、デバイスを初期の非導電状態(すなわち、メモリ状態0)に戻す。この技術に関する1つの深刻な限界は、消去/書き込みサイクルの耐久性を制限し、突発的な故障を引き起こしうるトンネルに関係する(最大約106サイクル後)。さらに、およそ1ms程度の要求充電時間は、比較的長い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
性能を向上させるために、いわゆる、FeRAM(強誘電体ランダムアクセスメモリ)技術が開発されてきた。FeRAMメモリセルは、双安定性のコンデンサからなり、分極性の電気双極子を含む強誘電性薄膜から構成される。強磁性材料の磁気モーメントに類似したこれらの双極子は、印加電場の方向に純分極を生じるように印加電場に応答する。正の電場から負の電場に印加電場を掃引するヒステリシスループが、材料の特性を規定する。印加電場を除去すると、強誘電性材料は、不揮発性方式で情報を記憶するための基準として作用する、残留分極として公知の分極を保持しうる。FeRAMは、EEPROMの場合の約12〜15Vと比較した場合、切り換えに必要な電圧が比較的低い電圧(典型的に、約5V)ですむため、将来的な見通しが明るい期待できる技術であると思われる。さらに、FeRAMデバイスの書き込み耐性は、EEPROMの約106と比較して、108〜1010サイクルを示し、電気分極の切り換えは、EEPROMの充電にかかる約1msと比較して、約100ns程度しか必要としない。しかしながら、読み取り目的で所与のビットを元の状態に戻す追加サイクルが必要となるのは、絶縁疲労の問題を悪化させてしまう。このことはまた、材料を分極する能力が低下してしまうという性質を持っている。さらに、キュリー温度付近でのこれらの材料の挙動と、組成の安定性(およびそれに伴ったキュリー温度の変化)により、適度な熱サイクルであっても、疲労が加速してしまう。最後に、作製プロセスの均一性および制御の課題も依然として残る。
【0006】
今日、20年も前に開発が始まったMRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリ)は、読み取り/書き込み耐性サイクルおよび速度の点で、既存の技術の中では最も期待されているものと思われる。この技術は、強磁性ストリップのヒステリシスループを使用する書き込みプロセスに依存する一方で、読み取りプロセスは、異方性磁気抵抗効果を伴う。基本的に、この効果(スピン軌道相互作用に基づく)は、外部印加磁場に依存した、磁気導体の抵抗の変化に関係する。ビットは、2つの強磁性膜(例えば、NiFe)の間に弱い導体(例えば、TaN)を挟んだストリップからなり、このストリップは、直交する導電性ストリップ線(すなわち、ワード線として知られる)の下方に配置される。書き込みには、サンドイッチストリップを電流が流れ、直交ストリップ線の電流による支援がある場合、サンドイッチストリップの最上層である強磁性層は、時計回りまたは反時計回りのいずれかで磁化される。読み取りは、サンドイッチ構造の磁気抵抗を測定することによって(すなわち、電流を流すことによって)実行される。わずか約0.5%の磁気抵抗率は典型的であるが、100nsの書き込み時間(および250nsの読み取り時間)で動作する16Kb MRAMチップの作製を可能にする。後に、250KbチップがHoneywell社により製造された。
【0007】
1989年に、銅層を磁気薄膜で挟んで実装した、いわゆる、巨大磁気抵抗(GMR)が発見され、メモリデバイスの性能がさらに向上した。GMR構造は、約6%の磁気抵抗を示すが、磁気層間の交換により、磁化が方向を変更しうる速度が制限されてしまう。さらに、ストリップのエッジから磁化が湾曲していることで、セルサイズの縮小、いわゆる、スケーリングに制限が課せられてしまう。
【0008】
その後、一方の磁気層が他方の磁気層より低い磁場で磁化を切り換えるように2つの磁気層を不一致にしたサンドイッチ構造で作られた、いわゆる、偽スピンバルブ(PSV)により、期待できる結果が得られた。軟質膜は、硬質膜の磁化を(磁気抵抗効果によって)感知するために使用され、この硬質膜は、上下のいずれかの磁化(すなわち、状態0または1)を有する記憶媒体を構成する。PSV構造は、スケーリングに適しているが、硬質磁気層を切り換えるのに必要とされる報告された磁場は、高密度集積回路の場合、依然として非常に高い。これらのデバイスは、潜在的に、EEPROMの代替となると思われる。
【0009】
スピン依存トンネルデバイス(SDT)を用いると、磁気抵抗がさらに改良される(すなわち、最大40%)。これらのデバイスは、2つの磁気層間に挟められた絶縁層(すなわち、トンネル障壁)から作られる。スタックに垂直な方向において、トンネル抵抗が磁気層の磁化に依存するということに、デバイスの動作が依存する。層の磁化が逆平行である場合に最大の抵抗が得られ、平行な場合、最低の抵抗が得られる。2つの磁気層間のスピン状態密度の変動(すなわち、上または下)は、この挙動を説明する。層の一方は固定され、第2の磁気層は自由であり、情報記憶媒体として使用される。SDTは、高性能の不揮発性応用に期待できる。実際、このアプローチを用いて、14ns程度に短い書き込み時間の値がいくつか報告されている。しかしながら、抵抗の均一性(トンネル障壁の厚みおよび品質)を制御すること、ひいては、ビットごとの切り換え挙動を制御することが、実用的な実施において解消する必要がある現実的な課題として残る。高速、高信頼性、比較的単純な設計、安価、および堅牢である不揮発性メモリデバイスが必要とされている。
【0010】
以上のことから、本発明は、関連技術の制限および欠点による問題の1つまたはそれ以上を実質的になくす磁気メモリデバイスに関する。
【0011】
本発明の1つの目的は、不揮発性磁気メモリデバイスにおいてメモリセルを形成するために使用される磁気スイッチを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、不揮発性磁気メモリデバイスを作製する単純化された方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の記載に示され、一部、以下の記載から明らかになるであろうし、本発明を実施することによって習得されてもよい。本発明の目的および他の利点は、本願明細書に書かれた記載および特許請求の範囲および添付の図面において特に指摘された構造によって実現され達成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記および他の利点を達成するために、および、具体化され広義に記載するような本発明の目的にしたがって、1つまたはそれ以上のメモリセルを有する不揮発性磁気メモリデバイスであって、メモリセルの各々が、磁気コンポーネントと、磁気コンポーネントに近接した位置にあり、磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチと、記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサとを含む。
【0015】
本発明の別の態様において、不揮発性磁気メモリデバイスの1つまたはそれ以上のメモリセルの作製方法が、磁気コンポーネントと、磁気コンポーネントに近接した位置にあり、磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチを形成するステップと、記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサを形成するステップとを含む。
【0016】
本発明のさらなる別の態様において、不揮発性磁気メモリデバイスにおいてメモリセルの磁気スイッチを作製する方法が、書き込みコイルを形成するステップと、書き込みコイルと同軸の磁石スポットを形成するステップと、磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルに近接した位置に、磁気コンポーネントを形成するように、磁石スポット上の磁気材料を電気めっきするステップと、を含む。
【0017】
前述した概要および以下の詳細な記載は共に例示的かつ説明的なものであって、特許請求の範囲に請求されている本発明のさらなる説明を与えるように意図したものであることを理解されたい。
【0018】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本願明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、本願明細書とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照し、そのうちのいくつかの例を添付の図面に示す。
【0020】
本発明は、磁気メモリデバイスに関する。特に、図1は、本発明による磁気メモリデバイスのメモリセルの例示的な実施形態を示す。本発明の例示的な実施形態によるメモリセル10は、磁気スイッチ120と、センサ130とを含む。磁気スイッチ120は、データを保持するために、磁気コンポーネントまたは材料122と、コイル124とを含む。センサ130は、ホール効果センサ132と、磁気スイッチ120に記憶されたデータを検出するための電圧検出器(図示せず)に接続された出力端子136とを含む。
【0021】
特に、磁気スイッチ120は、磁気コンポーネント122を含む。磁気コンポーネント122は、永久磁石または強磁性材料(例えば、ニッケルまたはニッケル−鉄磁石)であってもよい。(図示していない電流源に接続された)同軸コイル124が、磁気コンポーネント122の周りに設けられる。同軸コイル124は、金属Ti/Auなどの導電材料から作られる。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の他の適切な導電材料(例えば、Ti/Cu/Ti)が使用されてもよい。例示目的で、概して円筒状の形状を有する磁気コンポーネント122を示しているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な形状(例えば、四角形、矩形、蹄鉄形)が使用されてもよい。さらに、例示目的で、磁気コンポーネント122の周りに6巻きした同軸コイル124を示す。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な巻数が使用されてもよい。
【0022】
ホール効果センサ132は、幾何学的に既定された半導体構造を含み、その入力端子134は、電源138に接続され、出力端子136は、電流の流れ方向に垂直な位置に設けられる。例示目的で、「ギリシア十字」の形状を有するホール効果センサ132が示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な形状(例えば、矩形)が使用されてもよい。
【0023】
一般に、ホール効果センサは、入力インタフェースを通って感知される物理量(すなわち、磁気誘導)に応答し、次いで、感知した信号を出力インタフェースに出力し、この出力インタフェースは、ホール効果センサからの電気信号を指定のインジケータに変換する。この場合、ホール効果センサ132が、磁気コンポーネント122から磁場(H)を受けると、磁場の強度に比例した電位差が出力端子136の両端に現れる。ホール効果センサ132が、同等で反対の磁場を受けると、同じ出力端子136の両端に、同等で反対の電位差が現れる。このように、ホール効果センサ132は、外部印加磁場の大きさと方向の両方のセンサとして作用する。
【0024】
一般に、磁気スイッチ120に使用する形状および材料は、センサ130の周りに磁場(H)を発生させる役割を果たす磁化(M)の強度を決定する。コイル124に印加された電流(I)とともに、磁気コンポーネント122の周りのコイル124の巻数は、磁化(M)の方向および強度を設定するために、磁気コンポーネント122の周りに発生した誘導磁化(H)の強度を決定する。磁気コンポーネント122の磁化(M)の方向は、磁気スイッチ120に記憶された磁気データの値(すなわち、「0」または「1」)を決定する。ホール効果センサ132は、点Pで検出された磁気スイッチ120から出る磁場(H)に応答して発生する電圧信号VHallによって特徴付けられる。
【0025】
磁場Hcoilを発生させるように、コイル124に電流(I)(例えば、電流パルス)が送られる。電流の大きさは、磁気コンポーネント122の磁化を変更(すなわち、フリップ)させるのに十分であるように選択される。磁気コンポーネント122によって発生する磁場は、センサ130が検出点Pで検出するのに十分なものである必要がある。検出後、センサ130は、オフセット電圧信号VOffより大きな応答(VHall)を発生する必要がある。オフセット電圧Voffは、任意の有用な信号が発生する前に解消されなければならないしきい値である。さらに詳しく言えば、磁気スイッチ120の磁化(M)によって発生した磁場(H)は、記憶データを正確に検出できる前に、VOffより大きな誘導電圧をセンサ130に発生させるために、点Pで十分な強さのものでなければならない。オフセット電圧より小さな電圧信号を発生する磁場は、このDCバイアス条件でセンサ130によって検出できない。
【0026】
図2Aは、コイルによって取り囲まれた磁気コンポーネントの例示的な実施形態の上面図を示す。例示目的でのみ、図2Bは、下向きに配向した磁化(M)の最初の方向を有する磁気コンポーネント222の側面図を示す。図2Cは、コイル224に十分に高い電流(I)が送られた後、磁気コンポーネント222が、方向が上向きに配向された誘導磁化を保持することを示す。この場合、検出点Pで、磁気コンポーネント222の表面に近接した磁気誘導は、磁気コンポーネント222によって発生する磁場である。この磁場により、センサ130は、電圧信号VOffより大きな大きさと、磁化の方向を示す符号(例えば、「上向き」の場合、正の電圧)とをもつ電圧信号を発生する。上向きの磁化が「1」と指定されれば、センサ130は、記憶データが「1」であると検出する。
【0027】
次いで、下向きの磁化(すなわち、「0」)を得るために、適切な電流(例えば、反対方向の電流パルス)が、コイル224に再度送られて、磁気コンポーネント222の磁化を変更する(すなわち、フリップする)のに十分な磁場−Hcoil(すなわち、Hcoilと反対の配向をもつ)を発生する。パルスの後、磁気コンポーネント222は、大きさがより小さくてもよく、方向が下向きに配向された磁化を保持する。この場合、検出点Pでの磁場は、磁気コンポーネント222によって発生する磁場である。点Pで検出された誘導により、センサ130は、大きさがより小さく、磁化方向を示す符号が反対の電圧信号(例えば、「下向き」の場合、負の電圧)を発生する。下向きまたはより小さい磁化が「0」として指定されれば、センサ130は、記憶されたデータが「0」であると検出する。
【0028】
本発明の別の実施形態において、本発明による調整可能な磁気スイッチにより、作製済みの磁気メモリデバイスの動作信頼性が確保される。特に、上述したようなオフセット電圧しきい値Voffは、予想以上に大きいものであってもよい。センサのオフセットは、デバイスの不均一性および作製中に生じるミスアライメントなどによって生じる。磁気スイッチ120の磁化(M)によって発生する磁気誘導(B)は、記憶データを正確に検出できる前に、センサ130において誘導電圧を発生させるのに点Pで十分な強さのものでなければならない。メモリセルアレイ10を含むメモリデバイスが作製されると、内部コンポーネントは、動作オフセットしきい値Voffを低減するように再配設することはできない。この問題に対処するために、本発明による調整可能な磁気スイッチにより、以下に示すように、作製プロセス後に検出された磁場を調整できるようにすることで、作製済みの磁気メモリデバイスの動作信頼性が確保される。
【0029】
図3Aおよび図3Bは、本発明による調整可能な磁気スイッチの例示的な実施形態を示す。例示目的で、図3Aは、2つの磁気コンポーネント322および330を含む調整可能な磁気スイッチ320を示す。磁気コンポーネント322は、3巻コイルに連結される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な巻数が使用されてもよい。磁気コンポーネント322は、強磁性材料(例えば、ニッケル−鉄磁石)で作られた軟質の円筒状棒磁石であってもよい。磁気コンポーネント330は、強磁性材料(例えば、ニッケル、コバルト、および他の関連のある合金磁石)で作られた硬質の永久磁石であってもよい。磁気コンポーネント322および330は、例示目的で特定の形状を有するように示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な形状が使用されてもよい。
【0030】
図3B(すなわち、側面図)に示すように、磁気スイッチ320は、磁気コンポーネント330によって与えられた外部磁気バイアス場Hbiasにさらされる。バイアス場Hbiasが、磁気スイッチ320にわたって確立されると、バイアス場Hbiasと同じ方向および配向を有する磁場(H)を発生するように、コイルに電流(I)(例えば、電流パルス)が送られる。電流パルスの大きさは、磁気コンポーネント322をその飽和磁化値にするのに十分であるように選択される。
【0031】
例示目的でのみ、一定のバイアス場Hbiasと同じ方向に、最初に下向きに配向されているように、磁気コンポーネント322の磁化(M)の方向が示されている。電流(I)がコイル324に送られた後、磁気コンポーネント322は、高い磁化を保持する。この場合、磁気コンポーネント322の表面に近接した磁場は、検出点Pで、バイアス場Hbiasと、磁気コンポーネント322によって発生する場との組み合わせである。このように場が組み合わせられることで、磁化状態が非常に高くなり、オフセット電圧Voffよりかなり高い電圧信号を発生する。したがって、センサ130は、例えば、磁化(M)の下向き方向が、高状態(すなわち、「1」)として指定されていると仮定すると、記憶データが「1」であると容易に検出する。
【0032】
低状態(すなわち、「0」)を得るために、コイル324に適切な電流(I)(すなわち、電流パルス)が送られて、磁気コンポーネント322を減磁する全磁場(すなわち、Hcoil+Hbias)を発生するのに十分なバイアス場Hbiasとは反対の方向に、磁場−Hcoilを発生させる。コイル324に電流が送られた後、以下、図4を参照しながらさらに説明するように、磁化(M)は、リコイル線をたどってリコイルし、磁気コンポーネント322に非常に低い磁化を与える。電流が十分に強ければ、磁化(M)は、反対方向に配向されてもよい。この場合、検出点Pの磁場は、非常に低いか、またはバイアス場Hbiasの反対方向のいずれかである磁気コンポーネント322によって発生する磁場と、バイアス場Hbiasとを組み合わせたものになる。いずれの場合も、点Pでの全磁気誘導は、高レベルの場合に相当するものより著しく低いか、存在しないか、または反対方向の場合もある。したがって、最終的な低レベル状態(すなわち、「0」)は、センサ130によって検出されてもよい。
【0033】
図3Aおよび図3Bに略図的に示すスイッチング挙動を、図4に示すように磁気コンポーネント322のヒステリシスループを用いて説明してもよい。まず、誘導負荷線と誘導ヒステリシスループとの交点は、誘導がB1である点「a」を規定する。次いで、点「a」は、磁化ループで対応する点「b」を決定するために使用されてもよい。次いで、磁化負荷線を描くことができる。次いで、この負荷線は、磁化ヒステリシスループの点「e」で新しい交点を確立するために、磁場軸に沿ってHcoilにより平行移動される。次いで、誘導ループの対応する点「f」が確立されてもよい。Hcoilが除去された後(すなわち、電流パルスが除去される)、磁気コンポーネント322はリコイルする。点「f」およびリコイル透磁率を用いて、リコイル線が描かれる。最後に、リコイル線と磁化負荷線の交点「g」が求められ、誘導B2を与える。次いで、誘導B2は、低状態(すなわち、「0」)を確立する際に電流(I)が除去されると、磁気コンポーネント322に記憶される誘導磁化(M)として設定される。
【0034】
以下、図5〜図10を参照しながら、作製プロセスについて説明する。メモリセル10(図1に示す)の作製プロセスは、2つの部分、すなわち、(1)センサ130の作製と、(2)磁気スイッチ120の作製とに分けられてもよい。調整可能な磁気スイッチの場合、バイアス磁石を作成する追加プロセスが含まれる。
【0035】
ホール効果センサ132は、III〜V族材料(すなわち、周期表のIII族からV族元素から形成された化合物)などの高移動度材料で作製される。III〜IV族材料は、GaAs、InAs、InSb、および関連する二次元電子ガス(2DEG)構造を含むが、これらに限定されるものではない。GaAs/AlGaAsヘテロ構造に基づいた2DEG構造が、ドープされたバンドギャップが広いAlGaAs材料(すなわち、障壁)と、ドープされていないバンドギャップが狭いGaAs材料(すなわち、ウェル)との間の変調ドープしたヘテロ構造のヘテロ接合界面に形成されてもよい。(ドーパントからの)イオン化キャリアが、ウェル内に移動し、2DEGを形成する。これらのキャリアは、それらのイオン化された親不純物から空間的に分離され、したがって、キャリア移動度が高くなり、ホール効果が大きくなる。ここではIII〜IV族材料しか記述していないが、ホール効果センサ132を作製するために、他の材料(例えば、シリコン)が使用されてもよい。
【0036】
図5A〜図5Dは、本発明の例示的な実施形態によるホール効果センサ132のさまざまな作製段階を示す。薄いn型の活性GaAs膜539(約0.5〜0.6μm)を有する半絶縁性のGaAsウェハなどの適切なウェハ538が使用される。ウェハ538上に、レジスト層540(例えば、950K PMMA4%)がスピニングされる。以下のスピン条件が使用されてもよい。すなわち、スピン速度=約4000rpm(厚み=0.5〜2μm)、ベーク温度=160℃、ソフトベーク時間=7分、照射エネルギー=25kV、照射線量=150μC/cm2、現像剤=MBIK/IPA混合物(1:3)、現像時間=25秒である。レジスト層540は、EBL(すなわち、電子ビームリソグラフィ)によってパターン化されるが、任意の適切なパターン化技術(例えば、標準AZレジストタイプを用いたフォトリソグラフィ)が使用されてもよい。次いで、センサを絶縁するために、メサエッチプロセスが実行される。エッチプロセスは、例えば、標準的なH2O2/H3PO4/H2O溶液を用いたウェットエッチングを伴う。
【0037】
エッチングプロセスの後、入力端子134および出力端子136(図1)は、リフトオフプロセスによって堆積される。図5E〜図5Hに示すように、リフトオフプロセスは、(4000rpmで)二重層コポリマー/PMMAで作られた層542をスピニンングすることを伴う。リフトオフプロファイル(すなわち、アンダーエッチング)は、現像プロセス中および電子ビームへ露出した後、コポリマーとPMMAとの間の感度の違いによって与えられる。金−ゲルマニウム(AuGe)などの適切な材料のコンタクト層544が、約400nmの厚みまでウェハ538に蒸着されて、センサ130の入出力端子として使用されるオーム接触134および136を形成する。コンタクト性能を高めるために、AuGe層544に、ニッケル層が追加されてもよい。
【0038】
蒸着ステップの後、リフトオフプロセスは、AuGe層544の任意の不要な部分を除去するために、アセトンにウェハ538を配置することによって完了する。適切な洗浄後、コンタクト(すなわち、AuGe層544)は、高速熱アニーリング(RTA)を受ける。アニーリングは、窒素(N2)フローで満たされたRTAチャンバに、約40秒間、約340℃で実行される。リフトオフプロセスは、AuGe層544の任意の不要な部分を除去するために、アセトンにウェハ538を配置することによって完了する。図6は、AuGeコンタクトとGaAsギリシア十字のホール効果センサを示す。また、このパターンに含まれたアライメントマーク546も示されている。
【0039】
上述した例では、レジストPMMA4%が使用されているが、PMMA2%などの任意の適切なレジストが使用されてもよい。さらに、必要に応じて、接着促進剤であるHMDSが使用されてもよい。PMMA2%をレジストとして使用すると、以下のリソグラフィ処理パラメータが使用されてもよい。すなわち、PMMA(2%)、照射エネルギー=15kV、照射線量=150μC/cm2、現像剤=MBIK/IPA混合物(1:3)、現像時間=25秒である。
【0040】
ホール効果センサ132が作製されると、ホール効果センサ532に絶縁層748がスピニングされる。絶縁層748は、誘電性ポリイミドなどの適切な材料で作られ、典型的なレジストとして処理されてもよい(すなわち、ウェハにスピニングされ、炉または熱板でベークされてもよい)。誘電性ポリイミドの1つの例は、HD Microsystem社のPI2545(さまざまなマイクロ電子用途で使用される金属間高温ポリイミド)である。これは、高いガラス転位温度(すなわち、約400℃)を有し、ポジレジストでパターン化されてもよい。さらに、硬化膜は、低CTEで、延性および可撓性があり、一般的な湿式および乾式処理化学物質に耐性がある。他の適切な材料は、シリコンオキサイドおよびシリコンニトライドを含み、これらは、低温でプラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積されてもよい。
【0041】
例示目的でのみ、図7A〜図7Dは、約6000rpmの速度でホール効果センサ532にスピニングされた後、熱板でソフトベークされたPI2545の絶縁層748を示す。温度は、240℃/hで25℃から170℃へ上昇される。炉または熱板の温度が170℃に達すると、温度は、9分間(すなわち、浸透時間)一定に保たれる。浸透時間経過後、熱板は、自然対流によって室温まで温度が下がる。絶縁層748は、約140℃または170℃の炉または熱板温度でベークされると、後でレジスト層を除去するために使用される沸騰アセトンに対して良好な耐化学性を生じさせる。
【0042】
絶縁層748が堆積されると、絶縁層748にポジレジスト層750(例えば、PMMA4%またはAZ5206)がスピニングされる。説明目的で、PMMA4%が使用される。次いで、レジスト層750は、6℃/分のランプ速度および6分の浸透時間で、2分間、160℃の温度で炉または熱板においてベークされる。160℃のベーク温度は、PMMAの最低安全ベーク温度である(例えば、120℃でベークされたPMMAは、何らかの接着不良を示すことがある)。
【0043】
次いで、ウェハは、EBLチャンバ内に配置され、25kVの電子ビームに露光される。レジスト層750は、ホール効果センサのオーム接触およびアライメントマーク(存在する場合)にわたって開口を作るようにパターン化される。パターンのサイズが9×10μm2の場合、適切な線量が、165〜182μC/cm2の範囲のものであってもよく、パターンのサイズが17×17μm2の場合、適切な線量が、149〜163μC/cm2の範囲のものであってもよく、パターンのサイズが100×112μm2の場合、適切な線量が、132〜145μC/cm2の範囲のものであってもよい。
【0044】
露光後、レジスト層750は、適切な時間量(例えば、約40〜55秒)の間、MIBK/アルコール(1:3)などの適切な溶液で現像される。次いで、ウェハは、アルコールおよび脱イオン水でリンスされる。ウェハが洗浄されると、適切な時間量(例えば、約6〜14分またはそれ以上)の間、絶縁層をエッチングするために、希釈PPD450(1:5)溶液が使用される。希釈および攪拌の程度と、現像およびエッチングの時間は、必要に応じて変更されてもよい。レジスト層750(すなわち、PMMA)を除去するために、沸騰アセトンが使用される。最後に、絶縁層748の作製を完了するために、絶縁層748は、上述したような温度ランプを用いて約200℃でハードベークされてもよい。絶縁層は、400℃程度の高温でハードベークされてもよい。しかしながら、このような高温は、ホール効果センサに望ましくない拡散を生じることもある。
【0045】
センサ130が作製されると、磁気スイッチ120は、絶縁層748にわたって作製される。磁気スイッチ120を作製する一般的なアプローチは、最初にコイル124を作製した後、磁気コンポーネント122を作製することである。磁気材料(例えば、アルニコおよびマルテンサイト鋼)を作製する従来の方法は、例えば、異なるコンポーネントの溶融、鋳造、および高温(典型的に、800℃を超える)熱処理(例えば、焼き入れ)を含む合成ルートを伴う。他の合成ルートは、焼結および押し出し成形を含む。これらの方法は、コンポーネントのサイズが極めて小さいため、マイクロ技術またはウェハスケールの処理には不適合である。
【0046】
一方で、電気めっきにより、要素の壁上にほとんど欠陥がなく、要素の形状を比較的良好に規定することができる。また、電気めっきは、安価で、実施するプロセスが比較的簡単である。3電極システムは、堆積した合金の化学量論をモニタするために使用できる。
【0047】
磁気スイッチ120の作製プロセスを説明する際に、電気めっきが使用されるが、任意の適切な合成ルートが利用されてもよい。図8に示すように、電気めっきシステム800が、電気めっき槽810と、コンピュータ820と、コンピュータ作動によるポテンショスタット/ガルバノスタット830とを含む。コンピュータ820は、電気めっきプロセスを制御するために、ポテンショスタット/ガルバノスタット830によって、電気めっき槽810に接続される。ポテンショスタット/ガルバノスタット830は、ポテンショスタットまたはガルバノスタットのいずれかとして機能しうる。
【0048】
最初に、コイルと、磁気コンポーネントが設けられるコイル内の磁石スポットまたはエリアとが、センサ130にわたって形成される。コイルおよび磁石スポットを形成する第1の例示的なプロセスが、チタン/金のリフトオフプロセスを伴う。図9A〜図9Dは、本発明による金リフトオフプロセスによるさまざまな作製段階を示す。
【0049】
絶縁層748(図7Dから)は、最初に、二重レジスト層954(例えば、コポリマー/PMMA)で覆われる。この場合、まず、ウェハにコポリマー層E11がスピニングされる。次いで、コポリマー層は、上述したような温度ランプで、5分間、160℃で、熱板上でベークされる。熱板は、自然対流によって室温に温度が下がった状態にされる。次いで、アニソール中のPMMA4%の層が、ウェハにスピニングされ、規定の温度ランプを用いて、5分間、160℃でベークされる。この場合も、熱板は、自然対流によって室温に温度が下がった状態にされる。
【0050】
ウェハは、EBLチャンバ内に配置され、このチャンバにおいて、二重レジスト層954は、25kVの照射およびさまざまな線量で、コイル924および磁石スポット923をパターン化するように電子ビームに露光され、例えば、微細コイルパターンの場合、適切な線量が、150μC/cm2であり、磁石スポットの場合、適切な線量が、120μC/cm2であり、アライメントマークの場合(存在する場合)、適切な線量は195μC/cm2である。アライメントマークは、磁石スポットを位置決めしやすいように、パターンに含まれうる。次いで、二重レジスト層954は、約20秒間、MIBK/アルコールなどの適切な溶液中で現像される。
【0051】
パターニングステップ後、ウェハは、電子ビーム蒸着器内に配置され、この蒸着器で、Ti/Au層952を形成するために、25nmのチタン層952aおよび150nmの金層952bがパターンに堆積される。チタン層952aは、接着層として使用される。最後に、ウェハは、蒸着器から除去され、約1時間、アセトンに浸漬されて、二重レジスト層954および任意の望ましくないTi/Au層952を除去する。図9Fに示すように、コイル924および磁石スポット923が得られる。この例示的な実施形態において、1巻のみのコイル924が使用される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、必要に応じて、異なる巻数が使用されてもよい。
【0052】
コイル924、磁石スポット923、およびアライメントマーク(図示せず)を堆積した後、磁気コンポーネント122は、磁気コンポーネント122の形状および寸法を与える型によって、磁石スポット923に電気めっきされる。図10A〜図10Cに示すように、このような型を作製するために、EBLが使用されて、コイル924、磁石スポット923、およびアライメントマーク(図示せず)にレジスト(例えば、AZ4620)の厚い(例えば、約10μm)層1058をパターン化する。レジスト層1058は、約4分間、約95℃でベークされる。次いで、EBLのチャンバ内にレジスト層1058が配置され、アライメントマークが位置するエリアが、電子ビームに露光される。この露光後、レジスト層1058は、PPD450などの適切な溶液中で現像され、アライメントマークが位置するエリアから除去される。ウェハは、脱イオン水で洗浄され、N2で乾かされる。次いで、EBL(およびガイドとしてアライメントマーク)を使用して、磁石スポット923がパターン化され、レジスト層1058は、ウェル1060を得るために、二度目に現像される。ウェル1060は、磁気コンポーネントを形成するために磁気材料を電気めっきする容器として機能する。
【0053】
次いで、レジスト鋳型付きのウェハが、電気めっき槽810(図8)内に配置され、そこでパルス状の堆積(例えば、2%のデューティーサイクルであり、ここで、ton=1ms、toff=49ms、およびピーク電流は約1.4mAである)が、磁気材料1070(例えば、ニッケルまたはニッケル−鉄)を使用して、磁気スポット上にウェルを形成するレジスト鋳型に堆積することで、磁気コンポーネント122のアレイを形成する。純物質の堆積は、一般に容易である。しかしながら、合金が使用されてもよい。堆積可能な材料の例は、コバルト、鉄、ニッケル、ニッケル−鉄(NiFe)、およびコバルト−ニッケル−鉄(CoNiFe)を含む。必要であれば、これらの材料の保磁力を高めるために、異なる触媒が使用されてもよい。
【0054】
例示目的で、2つの添加物、すなわち、サッカリン(ひずみ緩和剤として作用)およびラウリルサルフェートナトリウム(界面活性剤として作用)を含むニッケルクロライド系の溶液が、ウェル1060内に堆積される。磁石コンポーネントを作製するために、DC電流などの電流が使用される。より小さく、アスペクト比がより高い構造の場合、磁気材料(例えば、ニッケルまたはニッケル−鉄)をレジスト鋳型に堆積して、磁気コンポーネント122のアレイを形成するために、パルス状の電子堆積(例えば、2%デューティーサイクル)が使用されてもよい。電気めっき条件は、コンピュータ作動されたポテンショスタット/ガルバノスタット830によって制御される。磁石の形状は円筒状であるが、上記の技術を用いて、任意の形状(例えば、矩形、正方形)のものであってもよい。電着後、型(すなわち、厚いレジスト層1058)は、アセトンなどの適切な溶液を用いて除去される。図11は、上記プロセスを用いて得られた磁気スイッチを示す。
【0055】
磁気スイッチ120が完了すると、図3Aおよび図3Bに示すような調整可能な磁気スイッチを作製するために、さらなる処理ステップが実行されてもよい。例えば、磁気スイッチ120の上部に、絶縁層748が堆積される。次いで、予め作製されたマイクロ磁石をハイブリッド集積することによって、または絶縁層748上にコバルトまたは選択された合金などの硬質強磁性材料を電気めっきすることによって、構造の上部に、例えば、硬質永久磁石が追加される。
【0056】
型を作製する例示的な方法としてEBLを使用しているが、フォトリソグラフィなどの任意の適切な方法が使用されてもよい。例えば、フォトリソグラフィを使用する場合、型は、予め作製された適切な硬質マスクを通してUV光にレジスト層(すなわち、AZ4620)を露光することによって形成される。
【0057】
コイル924および磁石スポット923を作製する別のアプローチは、図12A〜図12Eに示すように、同じプロセスステップでコイル924および磁石スポット923を獲得するように、シード層952を直接エッチングすることを伴う。1つの重要な概念は、磁気コンポーネント122の成長用と、同時に、コイル924の作製用にシード層925を使用することである。最初に、シード層952(すなわち、Ti層952a、Cu層952b、Ti層952c)を保持するウェハは、例えば、EBLによってパターン化される。このパターン化ステップは、ポジレジスト層1210およびウェットエッチングの使用を組み込むこともできる。再度言及するが、パターンは、中央の金属スポットの周りに単一ループのコイルを含み、金属経路で、コイルを電気めっき用に使用される共通電極に電気的につなげる。しかしながら、任意の適切な巻数が使用されてもよい。
【0058】
ウェハは、約150℃で約30分間、熱板上でベークすることによって乾燥される。ウェハに、レジスト層1210(例えば、AZ5206E)がスピンコートされる。レジスト層1210はソフトベークされ、約95℃から約80度へと温度が下げられ、この温度変化の時間は、約6〜7分である。次いで、レジスト層1210が露光される(例えば、照射エネルギー=約10kV、線量=約6μC/cm2)。露光後、ウェハは、PPD450などの適切な溶液で現像される。次いで、ウェハは、脱イオン水で洗浄される。洗浄ステップ後、ウェハは、約125℃で約10分間、ハードベークされる。チタン(Ti)および銅(Cu)層は、適切な溶液でエッチングされる。例えば、Ti層952aおよび952cは、高希釈HF/HNO3/H2O溶液でエッチングされてもよく、銅層952bは、HCl/H2O2/H2O溶液でエッチングされてもよい。次いで、ウェハは、レジスト1210を除去するために洗浄される。洗浄ステップは、例えば、沸騰アセトン、沸騰アルコール、および脱イオン水のリンスを含みうる。シード層952に、コイル924および磁石スポット923が直接エッチングされると、ウェハは、上述したように磁気コンポーネントを電気めっきするための型作製プロセスを受ける。
【0059】
ホール効果センサ上の磁気スイッチに関連して、本発明による磁気メモリデバイスを記載した。特に、電力供給なしに磁場を保持できる磁気コンポーネントと、記憶した磁場を読み取るための単純なセンサとの利点により、現在使用されている電気ベースのメモリデバイスと比較して、動作用の電力をほとんど消費しない不揮発性メモリデバイスが得られる。
【0060】
さらに、本発明による調整可能な磁気スイッチについて記載した。本発明による調整可能な磁気スイッチの利点は多数ある。第1に、磁気コンポーネントが、誘導コイルから誘導磁化(M)を保持するために、本発明による調整可能な磁気スイッチは、不揮発性メモリを有するスイッチとして機能しうる。
【0061】
第2に、本発明による調整可能な磁気スイッチは、センサオフセットを部分的に、または完全に保障するように、ホール効果センサに十分に高い場を与える。前者の場合、本発明による磁気スイッチが調整可能であること、すなわち、センサオフセットに対してバイアス場が調節されてもよいことで、作製制約の許容範囲が広がり、作製が非常に容易になり、デバイスの信頼性が増す。これは、デバイスのサイズのスケールダウンに伴い、センサオフセットが大きくなるため、小型化するための著しい利点となる。
【0062】
このアプローチのさらなる別の重要な利点は、本発明による調整可能な磁気スイッチにより、アスペクト比が低い磁石を使用でき、これは、バイアス場がメモリセルの磁気コンポーネントの減磁を補償するため、作製が非常に容易である。本発明による調整可能な磁気スイッチを、ホール効果センサを用いて磁気メモリデバイスに対して記載した。しかしながら、本発明による調整可能な磁気スイッチは、磁気スイッチを調整するために使用されるバイアス磁場が、任意の磁気コンポーネントおよびセンサ構成に適用されてもよいため、他の磁気メモリデバイスとともに適用されてもよい。
【0063】
本発明による磁気メモリデバイスは、無線周波識別タグ(RFID)、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、および他のコンピュータデバイスを含むが、これらに限定されるものではないさまざまな応用を有する。例えば、本発明による磁気メモリデバイスの用途として、航空宇宙/防衛、センサ、およびRFIDの応用がある。本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、低密度耐放射線性の応用に開発されてきた。本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、不揮発性のものであり、読み取り/書き込みアドレス可能であり、耐放射線性材料から作製される。適用可能な新興成長市場は、耐放射線性軍事およびレーダシステム、衛星、およびセキュリティ応用などの航空宇宙および防衛、センサ、およびRFIDを含む。例えば、自動車用途のセンサ、生物電子工学のような医療機器、バイオセンサ、および気体/液体/エネルギー計測、および石油およびガス探査用の地震監視のすべてが、本発明を使用する可能性として考えられる。普及するコンピュータ、PDA、およびディスプレイ市場と同様に、さらなる成長および技術的進化が予想される。
【0064】
当業者であれば、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明の調整可能な磁気スイッチにさまざまな修正および変形がなされることが明らかであろう。このように、本発明は、特許請求の範囲およびそれと同等のものの範囲内にある本発明の修正および変形に範囲が及ぶことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるメモリセルの例示的な実施形態の平面図を示す。
【図2】本発明による磁気スイッチの例示的な実施形態の上面図を示す。また、図2Aに示す磁気スイッチの例示的な実施形態の側面図を示す。
【図3】本発明による調整可能な磁気スイッチの例示的な実施形態の概念図を示す。
【図4】本発明の磁気スイッチのリコイル磁化を決定するためのヒステリシスループを示すグラフを示す。
【図5】本発明による例示的なセンサのさまざまな例示的な作製段階を示す。
【図6】本発明による作製済みの例示的なセンサの走査型電子顕微鏡(SEM)の画像を示す。
【図7】本発明による例示的なセンサを絶縁するためのさまざまな例示的な作製段階を示す。
【図8】本発明による電気めっきシステムの例示的な実施形態を示す。
【図9】本発明による例示的なコイルおよび磁石スポット用の作製プロセス(すなわち、リフトオフ)のさまざまな例示的な段階を示す。また、本発明の作製プロセスによる作製済みの例示的なセンサのSEM画像を示す。
【図10】本発明による磁石スポット上に磁気材料を堆積するためのさまざまな例示的な作製段階を示す。
【図11】本発明による作製済みの磁気スイッチのSEM画像を示す。
【図12】本発明による例示的なコイルおよび磁石スポット用の別の作製プロセス(すなわち、直接エッチング)のさまざまな例示的な段階を示す。また、本発明の別の作製プロセスによる作製済みの例示的なセンサのSEM画像を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の表示)
本発明は、2005年7月27日に出願された米国特許出願第11/189,822号の一部継続出願であり、2005年1月31日に出願された米国仮特許出願第60/647,809号および2005年12月21日に出願された同第60/752,035号の恩恵を主張し、同特許出願の内容全体は、本願明細書に参照することにより組み込まれる。
【0002】
本発明は、メモリデバイスに関し、特に、磁気メモリ要素を使用したメモリデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯用消費者製品市場(携帯型のコンピュータおよび通信機器用の製品を含む)の急成長に伴い、記憶情報を電力なしで保持する固有の能力を備えた低電力消費の不揮発性メモリデバイスに対する需要が高まっている。
【0004】
これらの応用に対して市場で現在利用可能な主な技術として、金属−酸化膜−半導体型(N型)のトランジスタのフローティングゲートを、これらの構造体の超薄酸化物層を通る、いわゆる、Fowler−Nordheimトンネルを用いて充電(書き込み)または放電(消去)することに依存したEEPROM(電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ)技術がある。ゲートが充電されると、デバイスに電子反転チャネルが生じ、導電状態になる(メモリ状態1を構成)。フローティングゲートを放電すると(すなわち、負のバイアスを印加すると)、チャネルから電子を取り除き、デバイスを初期の非導電状態(すなわち、メモリ状態0)に戻す。この技術に関する1つの深刻な限界は、消去/書き込みサイクルの耐久性を制限し、突発的な故障を引き起こしうるトンネルに関係する(最大約106サイクル後)。さらに、およそ1ms程度の要求充電時間は、比較的長い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
性能を向上させるために、いわゆる、FeRAM(強誘電体ランダムアクセスメモリ)技術が開発されてきた。FeRAMメモリセルは、双安定性のコンデンサからなり、分極性の電気双極子を含む強誘電性薄膜から構成される。強磁性材料の磁気モーメントに類似したこれらの双極子は、印加電場の方向に純分極を生じるように印加電場に応答する。正の電場から負の電場に印加電場を掃引するヒステリシスループが、材料の特性を規定する。印加電場を除去すると、強誘電性材料は、不揮発性方式で情報を記憶するための基準として作用する、残留分極として公知の分極を保持しうる。FeRAMは、EEPROMの場合の約12〜15Vと比較した場合、切り換えに必要な電圧が比較的低い電圧(典型的に、約5V)ですむため、将来的な見通しが明るい期待できる技術であると思われる。さらに、FeRAMデバイスの書き込み耐性は、EEPROMの約106と比較して、108〜1010サイクルを示し、電気分極の切り換えは、EEPROMの充電にかかる約1msと比較して、約100ns程度しか必要としない。しかしながら、読み取り目的で所与のビットを元の状態に戻す追加サイクルが必要となるのは、絶縁疲労の問題を悪化させてしまう。このことはまた、材料を分極する能力が低下してしまうという性質を持っている。さらに、キュリー温度付近でのこれらの材料の挙動と、組成の安定性(およびそれに伴ったキュリー温度の変化)により、適度な熱サイクルであっても、疲労が加速してしまう。最後に、作製プロセスの均一性および制御の課題も依然として残る。
【0006】
今日、20年も前に開発が始まったMRAM(磁気抵抗ランダムアクセスメモリ)は、読み取り/書き込み耐性サイクルおよび速度の点で、既存の技術の中では最も期待されているものと思われる。この技術は、強磁性ストリップのヒステリシスループを使用する書き込みプロセスに依存する一方で、読み取りプロセスは、異方性磁気抵抗効果を伴う。基本的に、この効果(スピン軌道相互作用に基づく)は、外部印加磁場に依存した、磁気導体の抵抗の変化に関係する。ビットは、2つの強磁性膜(例えば、NiFe)の間に弱い導体(例えば、TaN)を挟んだストリップからなり、このストリップは、直交する導電性ストリップ線(すなわち、ワード線として知られる)の下方に配置される。書き込みには、サンドイッチストリップを電流が流れ、直交ストリップ線の電流による支援がある場合、サンドイッチストリップの最上層である強磁性層は、時計回りまたは反時計回りのいずれかで磁化される。読み取りは、サンドイッチ構造の磁気抵抗を測定することによって(すなわち、電流を流すことによって)実行される。わずか約0.5%の磁気抵抗率は典型的であるが、100nsの書き込み時間(および250nsの読み取り時間)で動作する16Kb MRAMチップの作製を可能にする。後に、250KbチップがHoneywell社により製造された。
【0007】
1989年に、銅層を磁気薄膜で挟んで実装した、いわゆる、巨大磁気抵抗(GMR)が発見され、メモリデバイスの性能がさらに向上した。GMR構造は、約6%の磁気抵抗を示すが、磁気層間の交換により、磁化が方向を変更しうる速度が制限されてしまう。さらに、ストリップのエッジから磁化が湾曲していることで、セルサイズの縮小、いわゆる、スケーリングに制限が課せられてしまう。
【0008】
その後、一方の磁気層が他方の磁気層より低い磁場で磁化を切り換えるように2つの磁気層を不一致にしたサンドイッチ構造で作られた、いわゆる、偽スピンバルブ(PSV)により、期待できる結果が得られた。軟質膜は、硬質膜の磁化を(磁気抵抗効果によって)感知するために使用され、この硬質膜は、上下のいずれかの磁化(すなわち、状態0または1)を有する記憶媒体を構成する。PSV構造は、スケーリングに適しているが、硬質磁気層を切り換えるのに必要とされる報告された磁場は、高密度集積回路の場合、依然として非常に高い。これらのデバイスは、潜在的に、EEPROMの代替となると思われる。
【0009】
スピン依存トンネルデバイス(SDT)を用いると、磁気抵抗がさらに改良される(すなわち、最大40%)。これらのデバイスは、2つの磁気層間に挟められた絶縁層(すなわち、トンネル障壁)から作られる。スタックに垂直な方向において、トンネル抵抗が磁気層の磁化に依存するということに、デバイスの動作が依存する。層の磁化が逆平行である場合に最大の抵抗が得られ、平行な場合、最低の抵抗が得られる。2つの磁気層間のスピン状態密度の変動(すなわち、上または下)は、この挙動を説明する。層の一方は固定され、第2の磁気層は自由であり、情報記憶媒体として使用される。SDTは、高性能の不揮発性応用に期待できる。実際、このアプローチを用いて、14ns程度に短い書き込み時間の値がいくつか報告されている。しかしながら、抵抗の均一性(トンネル障壁の厚みおよび品質)を制御すること、ひいては、ビットごとの切り換え挙動を制御することが、実用的な実施において解消する必要がある現実的な課題として残る。高速、高信頼性、比較的単純な設計、安価、および堅牢である不揮発性メモリデバイスが必要とされている。
【0010】
以上のことから、本発明は、関連技術の制限および欠点による問題の1つまたはそれ以上を実質的になくす磁気メモリデバイスに関する。
【0011】
本発明の1つの目的は、不揮発性磁気メモリデバイスにおいてメモリセルを形成するために使用される磁気スイッチを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、不揮発性磁気メモリデバイスを作製する単純化された方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の記載に示され、一部、以下の記載から明らかになるであろうし、本発明を実施することによって習得されてもよい。本発明の目的および他の利点は、本願明細書に書かれた記載および特許請求の範囲および添付の図面において特に指摘された構造によって実現され達成される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記および他の利点を達成するために、および、具体化され広義に記載するような本発明の目的にしたがって、1つまたはそれ以上のメモリセルを有する不揮発性磁気メモリデバイスであって、メモリセルの各々が、磁気コンポーネントと、磁気コンポーネントに近接した位置にあり、磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチと、記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサとを含む。
【0015】
本発明の別の態様において、不揮発性磁気メモリデバイスの1つまたはそれ以上のメモリセルの作製方法が、磁気コンポーネントと、磁気コンポーネントに近接した位置にあり、磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチを形成するステップと、記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサを形成するステップとを含む。
【0016】
本発明のさらなる別の態様において、不揮発性磁気メモリデバイスにおいてメモリセルの磁気スイッチを作製する方法が、書き込みコイルを形成するステップと、書き込みコイルと同軸の磁石スポットを形成するステップと、磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルに近接した位置に、磁気コンポーネントを形成するように、磁石スポット上の磁気材料を電気めっきするステップと、を含む。
【0017】
前述した概要および以下の詳細な記載は共に例示的かつ説明的なものであって、特許請求の範囲に請求されている本発明のさらなる説明を与えるように意図したものであることを理解されたい。
【0018】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本願明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、本願明細書とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照し、そのうちのいくつかの例を添付の図面に示す。
【0020】
本発明は、磁気メモリデバイスに関する。特に、図1は、本発明による磁気メモリデバイスのメモリセルの例示的な実施形態を示す。本発明の例示的な実施形態によるメモリセル10は、磁気スイッチ120と、センサ130とを含む。磁気スイッチ120は、データを保持するために、磁気コンポーネントまたは材料122と、コイル124とを含む。センサ130は、ホール効果センサ132と、磁気スイッチ120に記憶されたデータを検出するための電圧検出器(図示せず)に接続された出力端子136とを含む。
【0021】
特に、磁気スイッチ120は、磁気コンポーネント122を含む。磁気コンポーネント122は、永久磁石または強磁性材料(例えば、ニッケルまたはニッケル−鉄磁石)であってもよい。(図示していない電流源に接続された)同軸コイル124が、磁気コンポーネント122の周りに設けられる。同軸コイル124は、金属Ti/Auなどの導電材料から作られる。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の他の適切な導電材料(例えば、Ti/Cu/Ti)が使用されてもよい。例示目的で、概して円筒状の形状を有する磁気コンポーネント122を示しているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な形状(例えば、四角形、矩形、蹄鉄形)が使用されてもよい。さらに、例示目的で、磁気コンポーネント122の周りに6巻きした同軸コイル124を示す。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な巻数が使用されてもよい。
【0022】
ホール効果センサ132は、幾何学的に既定された半導体構造を含み、その入力端子134は、電源138に接続され、出力端子136は、電流の流れ方向に垂直な位置に設けられる。例示目的で、「ギリシア十字」の形状を有するホール効果センサ132が示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な形状(例えば、矩形)が使用されてもよい。
【0023】
一般に、ホール効果センサは、入力インタフェースを通って感知される物理量(すなわち、磁気誘導)に応答し、次いで、感知した信号を出力インタフェースに出力し、この出力インタフェースは、ホール効果センサからの電気信号を指定のインジケータに変換する。この場合、ホール効果センサ132が、磁気コンポーネント122から磁場(H)を受けると、磁場の強度に比例した電位差が出力端子136の両端に現れる。ホール効果センサ132が、同等で反対の磁場を受けると、同じ出力端子136の両端に、同等で反対の電位差が現れる。このように、ホール効果センサ132は、外部印加磁場の大きさと方向の両方のセンサとして作用する。
【0024】
一般に、磁気スイッチ120に使用する形状および材料は、センサ130の周りに磁場(H)を発生させる役割を果たす磁化(M)の強度を決定する。コイル124に印加された電流(I)とともに、磁気コンポーネント122の周りのコイル124の巻数は、磁化(M)の方向および強度を設定するために、磁気コンポーネント122の周りに発生した誘導磁化(H)の強度を決定する。磁気コンポーネント122の磁化(M)の方向は、磁気スイッチ120に記憶された磁気データの値(すなわち、「0」または「1」)を決定する。ホール効果センサ132は、点Pで検出された磁気スイッチ120から出る磁場(H)に応答して発生する電圧信号VHallによって特徴付けられる。
【0025】
磁場Hcoilを発生させるように、コイル124に電流(I)(例えば、電流パルス)が送られる。電流の大きさは、磁気コンポーネント122の磁化を変更(すなわち、フリップ)させるのに十分であるように選択される。磁気コンポーネント122によって発生する磁場は、センサ130が検出点Pで検出するのに十分なものである必要がある。検出後、センサ130は、オフセット電圧信号VOffより大きな応答(VHall)を発生する必要がある。オフセット電圧Voffは、任意の有用な信号が発生する前に解消されなければならないしきい値である。さらに詳しく言えば、磁気スイッチ120の磁化(M)によって発生した磁場(H)は、記憶データを正確に検出できる前に、VOffより大きな誘導電圧をセンサ130に発生させるために、点Pで十分な強さのものでなければならない。オフセット電圧より小さな電圧信号を発生する磁場は、このDCバイアス条件でセンサ130によって検出できない。
【0026】
図2Aは、コイルによって取り囲まれた磁気コンポーネントの例示的な実施形態の上面図を示す。例示目的でのみ、図2Bは、下向きに配向した磁化(M)の最初の方向を有する磁気コンポーネント222の側面図を示す。図2Cは、コイル224に十分に高い電流(I)が送られた後、磁気コンポーネント222が、方向が上向きに配向された誘導磁化を保持することを示す。この場合、検出点Pで、磁気コンポーネント222の表面に近接した磁気誘導は、磁気コンポーネント222によって発生する磁場である。この磁場により、センサ130は、電圧信号VOffより大きな大きさと、磁化の方向を示す符号(例えば、「上向き」の場合、正の電圧)とをもつ電圧信号を発生する。上向きの磁化が「1」と指定されれば、センサ130は、記憶データが「1」であると検出する。
【0027】
次いで、下向きの磁化(すなわち、「0」)を得るために、適切な電流(例えば、反対方向の電流パルス)が、コイル224に再度送られて、磁気コンポーネント222の磁化を変更する(すなわち、フリップする)のに十分な磁場−Hcoil(すなわち、Hcoilと反対の配向をもつ)を発生する。パルスの後、磁気コンポーネント222は、大きさがより小さくてもよく、方向が下向きに配向された磁化を保持する。この場合、検出点Pでの磁場は、磁気コンポーネント222によって発生する磁場である。点Pで検出された誘導により、センサ130は、大きさがより小さく、磁化方向を示す符号が反対の電圧信号(例えば、「下向き」の場合、負の電圧)を発生する。下向きまたはより小さい磁化が「0」として指定されれば、センサ130は、記憶されたデータが「0」であると検出する。
【0028】
本発明の別の実施形態において、本発明による調整可能な磁気スイッチにより、作製済みの磁気メモリデバイスの動作信頼性が確保される。特に、上述したようなオフセット電圧しきい値Voffは、予想以上に大きいものであってもよい。センサのオフセットは、デバイスの不均一性および作製中に生じるミスアライメントなどによって生じる。磁気スイッチ120の磁化(M)によって発生する磁気誘導(B)は、記憶データを正確に検出できる前に、センサ130において誘導電圧を発生させるのに点Pで十分な強さのものでなければならない。メモリセルアレイ10を含むメモリデバイスが作製されると、内部コンポーネントは、動作オフセットしきい値Voffを低減するように再配設することはできない。この問題に対処するために、本発明による調整可能な磁気スイッチにより、以下に示すように、作製プロセス後に検出された磁場を調整できるようにすることで、作製済みの磁気メモリデバイスの動作信頼性が確保される。
【0029】
図3Aおよび図3Bは、本発明による調整可能な磁気スイッチの例示的な実施形態を示す。例示目的で、図3Aは、2つの磁気コンポーネント322および330を含む調整可能な磁気スイッチ320を示す。磁気コンポーネント322は、3巻コイルに連結される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な巻数が使用されてもよい。磁気コンポーネント322は、強磁性材料(例えば、ニッケル−鉄磁石)で作られた軟質の円筒状棒磁石であってもよい。磁気コンポーネント330は、強磁性材料(例えば、ニッケル、コバルト、および他の関連のある合金磁石)で作られた硬質の永久磁石であってもよい。磁気コンポーネント322および330は、例示目的で特定の形状を有するように示されているが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の適切な形状が使用されてもよい。
【0030】
図3B(すなわち、側面図)に示すように、磁気スイッチ320は、磁気コンポーネント330によって与えられた外部磁気バイアス場Hbiasにさらされる。バイアス場Hbiasが、磁気スイッチ320にわたって確立されると、バイアス場Hbiasと同じ方向および配向を有する磁場(H)を発生するように、コイルに電流(I)(例えば、電流パルス)が送られる。電流パルスの大きさは、磁気コンポーネント322をその飽和磁化値にするのに十分であるように選択される。
【0031】
例示目的でのみ、一定のバイアス場Hbiasと同じ方向に、最初に下向きに配向されているように、磁気コンポーネント322の磁化(M)の方向が示されている。電流(I)がコイル324に送られた後、磁気コンポーネント322は、高い磁化を保持する。この場合、磁気コンポーネント322の表面に近接した磁場は、検出点Pで、バイアス場Hbiasと、磁気コンポーネント322によって発生する場との組み合わせである。このように場が組み合わせられることで、磁化状態が非常に高くなり、オフセット電圧Voffよりかなり高い電圧信号を発生する。したがって、センサ130は、例えば、磁化(M)の下向き方向が、高状態(すなわち、「1」)として指定されていると仮定すると、記憶データが「1」であると容易に検出する。
【0032】
低状態(すなわち、「0」)を得るために、コイル324に適切な電流(I)(すなわち、電流パルス)が送られて、磁気コンポーネント322を減磁する全磁場(すなわち、Hcoil+Hbias)を発生するのに十分なバイアス場Hbiasとは反対の方向に、磁場−Hcoilを発生させる。コイル324に電流が送られた後、以下、図4を参照しながらさらに説明するように、磁化(M)は、リコイル線をたどってリコイルし、磁気コンポーネント322に非常に低い磁化を与える。電流が十分に強ければ、磁化(M)は、反対方向に配向されてもよい。この場合、検出点Pの磁場は、非常に低いか、またはバイアス場Hbiasの反対方向のいずれかである磁気コンポーネント322によって発生する磁場と、バイアス場Hbiasとを組み合わせたものになる。いずれの場合も、点Pでの全磁気誘導は、高レベルの場合に相当するものより著しく低いか、存在しないか、または反対方向の場合もある。したがって、最終的な低レベル状態(すなわち、「0」)は、センサ130によって検出されてもよい。
【0033】
図3Aおよび図3Bに略図的に示すスイッチング挙動を、図4に示すように磁気コンポーネント322のヒステリシスループを用いて説明してもよい。まず、誘導負荷線と誘導ヒステリシスループとの交点は、誘導がB1である点「a」を規定する。次いで、点「a」は、磁化ループで対応する点「b」を決定するために使用されてもよい。次いで、磁化負荷線を描くことができる。次いで、この負荷線は、磁化ヒステリシスループの点「e」で新しい交点を確立するために、磁場軸に沿ってHcoilにより平行移動される。次いで、誘導ループの対応する点「f」が確立されてもよい。Hcoilが除去された後(すなわち、電流パルスが除去される)、磁気コンポーネント322はリコイルする。点「f」およびリコイル透磁率を用いて、リコイル線が描かれる。最後に、リコイル線と磁化負荷線の交点「g」が求められ、誘導B2を与える。次いで、誘導B2は、低状態(すなわち、「0」)を確立する際に電流(I)が除去されると、磁気コンポーネント322に記憶される誘導磁化(M)として設定される。
【0034】
以下、図5〜図10を参照しながら、作製プロセスについて説明する。メモリセル10(図1に示す)の作製プロセスは、2つの部分、すなわち、(1)センサ130の作製と、(2)磁気スイッチ120の作製とに分けられてもよい。調整可能な磁気スイッチの場合、バイアス磁石を作成する追加プロセスが含まれる。
【0035】
ホール効果センサ132は、III〜V族材料(すなわち、周期表のIII族からV族元素から形成された化合物)などの高移動度材料で作製される。III〜IV族材料は、GaAs、InAs、InSb、および関連する二次元電子ガス(2DEG)構造を含むが、これらに限定されるものではない。GaAs/AlGaAsヘテロ構造に基づいた2DEG構造が、ドープされたバンドギャップが広いAlGaAs材料(すなわち、障壁)と、ドープされていないバンドギャップが狭いGaAs材料(すなわち、ウェル)との間の変調ドープしたヘテロ構造のヘテロ接合界面に形成されてもよい。(ドーパントからの)イオン化キャリアが、ウェル内に移動し、2DEGを形成する。これらのキャリアは、それらのイオン化された親不純物から空間的に分離され、したがって、キャリア移動度が高くなり、ホール効果が大きくなる。ここではIII〜IV族材料しか記述していないが、ホール効果センサ132を作製するために、他の材料(例えば、シリコン)が使用されてもよい。
【0036】
図5A〜図5Dは、本発明の例示的な実施形態によるホール効果センサ132のさまざまな作製段階を示す。薄いn型の活性GaAs膜539(約0.5〜0.6μm)を有する半絶縁性のGaAsウェハなどの適切なウェハ538が使用される。ウェハ538上に、レジスト層540(例えば、950K PMMA4%)がスピニングされる。以下のスピン条件が使用されてもよい。すなわち、スピン速度=約4000rpm(厚み=0.5〜2μm)、ベーク温度=160℃、ソフトベーク時間=7分、照射エネルギー=25kV、照射線量=150μC/cm2、現像剤=MBIK/IPA混合物(1:3)、現像時間=25秒である。レジスト層540は、EBL(すなわち、電子ビームリソグラフィ)によってパターン化されるが、任意の適切なパターン化技術(例えば、標準AZレジストタイプを用いたフォトリソグラフィ)が使用されてもよい。次いで、センサを絶縁するために、メサエッチプロセスが実行される。エッチプロセスは、例えば、標準的なH2O2/H3PO4/H2O溶液を用いたウェットエッチングを伴う。
【0037】
エッチングプロセスの後、入力端子134および出力端子136(図1)は、リフトオフプロセスによって堆積される。図5E〜図5Hに示すように、リフトオフプロセスは、(4000rpmで)二重層コポリマー/PMMAで作られた層542をスピニンングすることを伴う。リフトオフプロファイル(すなわち、アンダーエッチング)は、現像プロセス中および電子ビームへ露出した後、コポリマーとPMMAとの間の感度の違いによって与えられる。金−ゲルマニウム(AuGe)などの適切な材料のコンタクト層544が、約400nmの厚みまでウェハ538に蒸着されて、センサ130の入出力端子として使用されるオーム接触134および136を形成する。コンタクト性能を高めるために、AuGe層544に、ニッケル層が追加されてもよい。
【0038】
蒸着ステップの後、リフトオフプロセスは、AuGe層544の任意の不要な部分を除去するために、アセトンにウェハ538を配置することによって完了する。適切な洗浄後、コンタクト(すなわち、AuGe層544)は、高速熱アニーリング(RTA)を受ける。アニーリングは、窒素(N2)フローで満たされたRTAチャンバに、約40秒間、約340℃で実行される。リフトオフプロセスは、AuGe層544の任意の不要な部分を除去するために、アセトンにウェハ538を配置することによって完了する。図6は、AuGeコンタクトとGaAsギリシア十字のホール効果センサを示す。また、このパターンに含まれたアライメントマーク546も示されている。
【0039】
上述した例では、レジストPMMA4%が使用されているが、PMMA2%などの任意の適切なレジストが使用されてもよい。さらに、必要に応じて、接着促進剤であるHMDSが使用されてもよい。PMMA2%をレジストとして使用すると、以下のリソグラフィ処理パラメータが使用されてもよい。すなわち、PMMA(2%)、照射エネルギー=15kV、照射線量=150μC/cm2、現像剤=MBIK/IPA混合物(1:3)、現像時間=25秒である。
【0040】
ホール効果センサ132が作製されると、ホール効果センサ532に絶縁層748がスピニングされる。絶縁層748は、誘電性ポリイミドなどの適切な材料で作られ、典型的なレジストとして処理されてもよい(すなわち、ウェハにスピニングされ、炉または熱板でベークされてもよい)。誘電性ポリイミドの1つの例は、HD Microsystem社のPI2545(さまざまなマイクロ電子用途で使用される金属間高温ポリイミド)である。これは、高いガラス転位温度(すなわち、約400℃)を有し、ポジレジストでパターン化されてもよい。さらに、硬化膜は、低CTEで、延性および可撓性があり、一般的な湿式および乾式処理化学物質に耐性がある。他の適切な材料は、シリコンオキサイドおよびシリコンニトライドを含み、これらは、低温でプラズマ化学気相成長法(PECVD)によって堆積されてもよい。
【0041】
例示目的でのみ、図7A〜図7Dは、約6000rpmの速度でホール効果センサ532にスピニングされた後、熱板でソフトベークされたPI2545の絶縁層748を示す。温度は、240℃/hで25℃から170℃へ上昇される。炉または熱板の温度が170℃に達すると、温度は、9分間(すなわち、浸透時間)一定に保たれる。浸透時間経過後、熱板は、自然対流によって室温まで温度が下がる。絶縁層748は、約140℃または170℃の炉または熱板温度でベークされると、後でレジスト層を除去するために使用される沸騰アセトンに対して良好な耐化学性を生じさせる。
【0042】
絶縁層748が堆積されると、絶縁層748にポジレジスト層750(例えば、PMMA4%またはAZ5206)がスピニングされる。説明目的で、PMMA4%が使用される。次いで、レジスト層750は、6℃/分のランプ速度および6分の浸透時間で、2分間、160℃の温度で炉または熱板においてベークされる。160℃のベーク温度は、PMMAの最低安全ベーク温度である(例えば、120℃でベークされたPMMAは、何らかの接着不良を示すことがある)。
【0043】
次いで、ウェハは、EBLチャンバ内に配置され、25kVの電子ビームに露光される。レジスト層750は、ホール効果センサのオーム接触およびアライメントマーク(存在する場合)にわたって開口を作るようにパターン化される。パターンのサイズが9×10μm2の場合、適切な線量が、165〜182μC/cm2の範囲のものであってもよく、パターンのサイズが17×17μm2の場合、適切な線量が、149〜163μC/cm2の範囲のものであってもよく、パターンのサイズが100×112μm2の場合、適切な線量が、132〜145μC/cm2の範囲のものであってもよい。
【0044】
露光後、レジスト層750は、適切な時間量(例えば、約40〜55秒)の間、MIBK/アルコール(1:3)などの適切な溶液で現像される。次いで、ウェハは、アルコールおよび脱イオン水でリンスされる。ウェハが洗浄されると、適切な時間量(例えば、約6〜14分またはそれ以上)の間、絶縁層をエッチングするために、希釈PPD450(1:5)溶液が使用される。希釈および攪拌の程度と、現像およびエッチングの時間は、必要に応じて変更されてもよい。レジスト層750(すなわち、PMMA)を除去するために、沸騰アセトンが使用される。最後に、絶縁層748の作製を完了するために、絶縁層748は、上述したような温度ランプを用いて約200℃でハードベークされてもよい。絶縁層は、400℃程度の高温でハードベークされてもよい。しかしながら、このような高温は、ホール効果センサに望ましくない拡散を生じることもある。
【0045】
センサ130が作製されると、磁気スイッチ120は、絶縁層748にわたって作製される。磁気スイッチ120を作製する一般的なアプローチは、最初にコイル124を作製した後、磁気コンポーネント122を作製することである。磁気材料(例えば、アルニコおよびマルテンサイト鋼)を作製する従来の方法は、例えば、異なるコンポーネントの溶融、鋳造、および高温(典型的に、800℃を超える)熱処理(例えば、焼き入れ)を含む合成ルートを伴う。他の合成ルートは、焼結および押し出し成形を含む。これらの方法は、コンポーネントのサイズが極めて小さいため、マイクロ技術またはウェハスケールの処理には不適合である。
【0046】
一方で、電気めっきにより、要素の壁上にほとんど欠陥がなく、要素の形状を比較的良好に規定することができる。また、電気めっきは、安価で、実施するプロセスが比較的簡単である。3電極システムは、堆積した合金の化学量論をモニタするために使用できる。
【0047】
磁気スイッチ120の作製プロセスを説明する際に、電気めっきが使用されるが、任意の適切な合成ルートが利用されてもよい。図8に示すように、電気めっきシステム800が、電気めっき槽810と、コンピュータ820と、コンピュータ作動によるポテンショスタット/ガルバノスタット830とを含む。コンピュータ820は、電気めっきプロセスを制御するために、ポテンショスタット/ガルバノスタット830によって、電気めっき槽810に接続される。ポテンショスタット/ガルバノスタット830は、ポテンショスタットまたはガルバノスタットのいずれかとして機能しうる。
【0048】
最初に、コイルと、磁気コンポーネントが設けられるコイル内の磁石スポットまたはエリアとが、センサ130にわたって形成される。コイルおよび磁石スポットを形成する第1の例示的なプロセスが、チタン/金のリフトオフプロセスを伴う。図9A〜図9Dは、本発明による金リフトオフプロセスによるさまざまな作製段階を示す。
【0049】
絶縁層748(図7Dから)は、最初に、二重レジスト層954(例えば、コポリマー/PMMA)で覆われる。この場合、まず、ウェハにコポリマー層E11がスピニングされる。次いで、コポリマー層は、上述したような温度ランプで、5分間、160℃で、熱板上でベークされる。熱板は、自然対流によって室温に温度が下がった状態にされる。次いで、アニソール中のPMMA4%の層が、ウェハにスピニングされ、規定の温度ランプを用いて、5分間、160℃でベークされる。この場合も、熱板は、自然対流によって室温に温度が下がった状態にされる。
【0050】
ウェハは、EBLチャンバ内に配置され、このチャンバにおいて、二重レジスト層954は、25kVの照射およびさまざまな線量で、コイル924および磁石スポット923をパターン化するように電子ビームに露光され、例えば、微細コイルパターンの場合、適切な線量が、150μC/cm2であり、磁石スポットの場合、適切な線量が、120μC/cm2であり、アライメントマークの場合(存在する場合)、適切な線量は195μC/cm2である。アライメントマークは、磁石スポットを位置決めしやすいように、パターンに含まれうる。次いで、二重レジスト層954は、約20秒間、MIBK/アルコールなどの適切な溶液中で現像される。
【0051】
パターニングステップ後、ウェハは、電子ビーム蒸着器内に配置され、この蒸着器で、Ti/Au層952を形成するために、25nmのチタン層952aおよび150nmの金層952bがパターンに堆積される。チタン層952aは、接着層として使用される。最後に、ウェハは、蒸着器から除去され、約1時間、アセトンに浸漬されて、二重レジスト層954および任意の望ましくないTi/Au層952を除去する。図9Fに示すように、コイル924および磁石スポット923が得られる。この例示的な実施形態において、1巻のみのコイル924が使用される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、必要に応じて、異なる巻数が使用されてもよい。
【0052】
コイル924、磁石スポット923、およびアライメントマーク(図示せず)を堆積した後、磁気コンポーネント122は、磁気コンポーネント122の形状および寸法を与える型によって、磁石スポット923に電気めっきされる。図10A〜図10Cに示すように、このような型を作製するために、EBLが使用されて、コイル924、磁石スポット923、およびアライメントマーク(図示せず)にレジスト(例えば、AZ4620)の厚い(例えば、約10μm)層1058をパターン化する。レジスト層1058は、約4分間、約95℃でベークされる。次いで、EBLのチャンバ内にレジスト層1058が配置され、アライメントマークが位置するエリアが、電子ビームに露光される。この露光後、レジスト層1058は、PPD450などの適切な溶液中で現像され、アライメントマークが位置するエリアから除去される。ウェハは、脱イオン水で洗浄され、N2で乾かされる。次いで、EBL(およびガイドとしてアライメントマーク)を使用して、磁石スポット923がパターン化され、レジスト層1058は、ウェル1060を得るために、二度目に現像される。ウェル1060は、磁気コンポーネントを形成するために磁気材料を電気めっきする容器として機能する。
【0053】
次いで、レジスト鋳型付きのウェハが、電気めっき槽810(図8)内に配置され、そこでパルス状の堆積(例えば、2%のデューティーサイクルであり、ここで、ton=1ms、toff=49ms、およびピーク電流は約1.4mAである)が、磁気材料1070(例えば、ニッケルまたはニッケル−鉄)を使用して、磁気スポット上にウェルを形成するレジスト鋳型に堆積することで、磁気コンポーネント122のアレイを形成する。純物質の堆積は、一般に容易である。しかしながら、合金が使用されてもよい。堆積可能な材料の例は、コバルト、鉄、ニッケル、ニッケル−鉄(NiFe)、およびコバルト−ニッケル−鉄(CoNiFe)を含む。必要であれば、これらの材料の保磁力を高めるために、異なる触媒が使用されてもよい。
【0054】
例示目的で、2つの添加物、すなわち、サッカリン(ひずみ緩和剤として作用)およびラウリルサルフェートナトリウム(界面活性剤として作用)を含むニッケルクロライド系の溶液が、ウェル1060内に堆積される。磁石コンポーネントを作製するために、DC電流などの電流が使用される。より小さく、アスペクト比がより高い構造の場合、磁気材料(例えば、ニッケルまたはニッケル−鉄)をレジスト鋳型に堆積して、磁気コンポーネント122のアレイを形成するために、パルス状の電子堆積(例えば、2%デューティーサイクル)が使用されてもよい。電気めっき条件は、コンピュータ作動されたポテンショスタット/ガルバノスタット830によって制御される。磁石の形状は円筒状であるが、上記の技術を用いて、任意の形状(例えば、矩形、正方形)のものであってもよい。電着後、型(すなわち、厚いレジスト層1058)は、アセトンなどの適切な溶液を用いて除去される。図11は、上記プロセスを用いて得られた磁気スイッチを示す。
【0055】
磁気スイッチ120が完了すると、図3Aおよび図3Bに示すような調整可能な磁気スイッチを作製するために、さらなる処理ステップが実行されてもよい。例えば、磁気スイッチ120の上部に、絶縁層748が堆積される。次いで、予め作製されたマイクロ磁石をハイブリッド集積することによって、または絶縁層748上にコバルトまたは選択された合金などの硬質強磁性材料を電気めっきすることによって、構造の上部に、例えば、硬質永久磁石が追加される。
【0056】
型を作製する例示的な方法としてEBLを使用しているが、フォトリソグラフィなどの任意の適切な方法が使用されてもよい。例えば、フォトリソグラフィを使用する場合、型は、予め作製された適切な硬質マスクを通してUV光にレジスト層(すなわち、AZ4620)を露光することによって形成される。
【0057】
コイル924および磁石スポット923を作製する別のアプローチは、図12A〜図12Eに示すように、同じプロセスステップでコイル924および磁石スポット923を獲得するように、シード層952を直接エッチングすることを伴う。1つの重要な概念は、磁気コンポーネント122の成長用と、同時に、コイル924の作製用にシード層925を使用することである。最初に、シード層952(すなわち、Ti層952a、Cu層952b、Ti層952c)を保持するウェハは、例えば、EBLによってパターン化される。このパターン化ステップは、ポジレジスト層1210およびウェットエッチングの使用を組み込むこともできる。再度言及するが、パターンは、中央の金属スポットの周りに単一ループのコイルを含み、金属経路で、コイルを電気めっき用に使用される共通電極に電気的につなげる。しかしながら、任意の適切な巻数が使用されてもよい。
【0058】
ウェハは、約150℃で約30分間、熱板上でベークすることによって乾燥される。ウェハに、レジスト層1210(例えば、AZ5206E)がスピンコートされる。レジスト層1210はソフトベークされ、約95℃から約80度へと温度が下げられ、この温度変化の時間は、約6〜7分である。次いで、レジスト層1210が露光される(例えば、照射エネルギー=約10kV、線量=約6μC/cm2)。露光後、ウェハは、PPD450などの適切な溶液で現像される。次いで、ウェハは、脱イオン水で洗浄される。洗浄ステップ後、ウェハは、約125℃で約10分間、ハードベークされる。チタン(Ti)および銅(Cu)層は、適切な溶液でエッチングされる。例えば、Ti層952aおよび952cは、高希釈HF/HNO3/H2O溶液でエッチングされてもよく、銅層952bは、HCl/H2O2/H2O溶液でエッチングされてもよい。次いで、ウェハは、レジスト1210を除去するために洗浄される。洗浄ステップは、例えば、沸騰アセトン、沸騰アルコール、および脱イオン水のリンスを含みうる。シード層952に、コイル924および磁石スポット923が直接エッチングされると、ウェハは、上述したように磁気コンポーネントを電気めっきするための型作製プロセスを受ける。
【0059】
ホール効果センサ上の磁気スイッチに関連して、本発明による磁気メモリデバイスを記載した。特に、電力供給なしに磁場を保持できる磁気コンポーネントと、記憶した磁場を読み取るための単純なセンサとの利点により、現在使用されている電気ベースのメモリデバイスと比較して、動作用の電力をほとんど消費しない不揮発性メモリデバイスが得られる。
【0060】
さらに、本発明による調整可能な磁気スイッチについて記載した。本発明による調整可能な磁気スイッチの利点は多数ある。第1に、磁気コンポーネントが、誘導コイルから誘導磁化(M)を保持するために、本発明による調整可能な磁気スイッチは、不揮発性メモリを有するスイッチとして機能しうる。
【0061】
第2に、本発明による調整可能な磁気スイッチは、センサオフセットを部分的に、または完全に保障するように、ホール効果センサに十分に高い場を与える。前者の場合、本発明による磁気スイッチが調整可能であること、すなわち、センサオフセットに対してバイアス場が調節されてもよいことで、作製制約の許容範囲が広がり、作製が非常に容易になり、デバイスの信頼性が増す。これは、デバイスのサイズのスケールダウンに伴い、センサオフセットが大きくなるため、小型化するための著しい利点となる。
【0062】
このアプローチのさらなる別の重要な利点は、本発明による調整可能な磁気スイッチにより、アスペクト比が低い磁石を使用でき、これは、バイアス場がメモリセルの磁気コンポーネントの減磁を補償するため、作製が非常に容易である。本発明による調整可能な磁気スイッチを、ホール効果センサを用いて磁気メモリデバイスに対して記載した。しかしながら、本発明による調整可能な磁気スイッチは、磁気スイッチを調整するために使用されるバイアス磁場が、任意の磁気コンポーネントおよびセンサ構成に適用されてもよいため、他の磁気メモリデバイスとともに適用されてもよい。
【0063】
本発明による磁気メモリデバイスは、無線周波識別タグ(RFID)、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、および他のコンピュータデバイスを含むが、これらに限定されるものではないさまざまな応用を有する。例えば、本発明による磁気メモリデバイスの用途として、航空宇宙/防衛、センサ、およびRFIDの応用がある。本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、低密度耐放射線性の応用に開発されてきた。本発明の磁気ランダムアクセスメモリは、不揮発性のものであり、読み取り/書き込みアドレス可能であり、耐放射線性材料から作製される。適用可能な新興成長市場は、耐放射線性軍事およびレーダシステム、衛星、およびセキュリティ応用などの航空宇宙および防衛、センサ、およびRFIDを含む。例えば、自動車用途のセンサ、生物電子工学のような医療機器、バイオセンサ、および気体/液体/エネルギー計測、および石油およびガス探査用の地震監視のすべてが、本発明を使用する可能性として考えられる。普及するコンピュータ、PDA、およびディスプレイ市場と同様に、さらなる成長および技術的進化が予想される。
【0064】
当業者であれば、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、本発明の調整可能な磁気スイッチにさまざまな修正および変形がなされることが明らかであろう。このように、本発明は、特許請求の範囲およびそれと同等のものの範囲内にある本発明の修正および変形に範囲が及ぶことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるメモリセルの例示的な実施形態の平面図を示す。
【図2】本発明による磁気スイッチの例示的な実施形態の上面図を示す。また、図2Aに示す磁気スイッチの例示的な実施形態の側面図を示す。
【図3】本発明による調整可能な磁気スイッチの例示的な実施形態の概念図を示す。
【図4】本発明の磁気スイッチのリコイル磁化を決定するためのヒステリシスループを示すグラフを示す。
【図5】本発明による例示的なセンサのさまざまな例示的な作製段階を示す。
【図6】本発明による作製済みの例示的なセンサの走査型電子顕微鏡(SEM)の画像を示す。
【図7】本発明による例示的なセンサを絶縁するためのさまざまな例示的な作製段階を示す。
【図8】本発明による電気めっきシステムの例示的な実施形態を示す。
【図9】本発明による例示的なコイルおよび磁石スポット用の作製プロセス(すなわち、リフトオフ)のさまざまな例示的な段階を示す。また、本発明の作製プロセスによる作製済みの例示的なセンサのSEM画像を示す。
【図10】本発明による磁石スポット上に磁気材料を堆積するためのさまざまな例示的な作製段階を示す。
【図11】本発明による作製済みの磁気スイッチのSEM画像を示す。
【図12】本発明による例示的なコイルおよび磁石スポット用の別の作製プロセス(すなわち、直接エッチング)のさまざまな例示的な段階を示す。また、本発明の別の作製プロセスによる作製済みの例示的なセンサのSEM画像を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたはそれ以上のメモリセルを有する不揮発性磁気メモリデバイスであって、前記メモリセルの各々が、
磁気コンポーネントと、前記磁気コンポーネントに近接した位置にあり、前記磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチと、
記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、前記磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサと、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記磁気コンポーネントが、永久強磁性材料の1つである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記磁気コンポーネントが、ニッケルまたはニッケル−鉄合金から作られる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記書き込みコイルが、1巻コイルである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記書き込みコイルが、Ti/AuおよびTi/Cu/Tiの1つから作られる、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記磁気コンポーネントが、前記書き込みコイルと同軸である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ホールセンサが、ギリシア十字型のホールセンサである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ホールセンサが、
前記磁気コンポーネントの残留磁気極性に応答する電流の流れ方向を有する検出部と、
前記検出部に電流を供給するように、前記検出部に連結される入力線と、
前記検出部から電流を受けるように、前記検出部に連結される出力線と、
前記検出部から電流を収集し、前記出力線に電流を通して、記憶データビット値を示すように、前記出力線と前記入力線との間の前記検出部の側面に沿って、前記出力線と前記検出部との両方に連結されたコレクタと
を含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記不揮発性メモリデバイスが、無線周波識別(RFID)デバイス、携帯電話、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)の1つに組み込まれる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記不揮発性メモリデバイスが、耐放射線性材料から作られる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
不揮発性磁気メモリデバイスの1つまたはそれ以上のメモリセルを作製する方法であって、
磁気コンポーネントと、前記磁気コンポーネントに近接した位置にあり、前記磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチを形成するステップと、
記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、前記磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサを形成するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記磁気スイッチを形成するステップが、
前記書き込みコイルを形成するステップと、
前記書き込みコイルと同軸の磁石スポットを形成するステップと、
前記磁石スポット上に磁気材料を電気めっきするステップと
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
電気めっき前に、前記磁石スポット上に磁石の型を形成するステップをさらに含み、磁石の型を形成するステップが、
前記書き込みコイルおよび前記磁石スポット上に厚いレジスト層を形成するステップと、
前記レジストをベークするステップと、
前記磁石スポットの周りにウェルを形成するために、前記レジストをパターン化するステップと
を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記レジストが、AZ4620であり、前記レジスト層が、約4分間、約95℃でベークされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記磁気材料が、2%デューティーサイクルでパルス堆積によって磁石スポットに電気めっきされ、この場合、Vonが約1msであり、Voffが約49msであり、ピーク電流が約1.4mAである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記磁気材料が、ニッケル、ニッケル−鉄、コバルト、鉄、およびCoNiFeの1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットが、同じプロセス中に同時に形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記書き込みコイルを形成するステップおよび前記磁石スポットを形成するステップが、
コポリマーおよびポリイミドの二重層を形成するステップと、
前記二重層をパターン化するステップと、
電気めっきによって導体を堆積するステップと、
前記二重層を除去することによって、前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットを形成するステップと
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コポリマーがE11であり、前記ポリイミドがPMMAである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記二重層を形成するステップが、
約5分間、約160℃で前記二重層をベークするステップと、
室温に冷却するステップと
を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記二重層が、電子ビームリソグラフィによってパターン化され、この場合、照射エネルギーが約25kVであり、書き込みコイル線量が約150μC/cm2であり、磁石スポット線量が約120μC/cm2である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記導体が、チタン層および金層から形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記チタン層が約25nmであり、前記金層が約150nmである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記書き込みコイルを形成するステップおよび前記磁石スポットを形成するステップが、
導電材料のシード層を形成するステップと、
前記シード層上にレジスト層を形成するステップと、
前記レジスト層をソフトベークするステップと、
前記レジスト層をパターン化するステップと、
前記パターン化されたレジストをハードベークするステップと、
前記シード層をエッチングすることにより、前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットを形成するステップと
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記シード層が、Ti/Cu/Tiで形成される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記Ti層が、HF/HNO3/H2O溶液でエッチングされ、Cu層が、HCl/H2O2/H2O溶液でエッチングされる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レジストが、AZ5206である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記レジスト層が、約95℃でソフトベークされ、約6〜7分間、約80℃に温度が下げられ、前記パターン化されたレジスト層が、約10分間、約125℃でハードベークされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記レジスト層が、電子ビームリソグラフィによってパターン化され、この場合、照射エネルギーが約10kVであり、線量が約6μC/cm2である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ホールセンサを形成するステップが、
基板上に活性層を形成するステップと、
前記活性層上にレジスト層を形成するステップと、
前記レジスト層をパターン化するステップと、
エッチングによって検出部を形成するステップと、
前記検出部上に入出力端子を形成するステップと、
前記ホールセンサ上に絶縁層を形成するステップと
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項31】
前記基板が、半絶縁性GaAsウェハであり、前記活性層が、薄いn型の活性GaAs膜である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記GaAs膜が、約0.5μm〜約0.6μmである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記レジストがPMMA4%であり、前記レジスト層が、電子ビームリソグラフィによってパターン化され、この場合、照射エネルギーが約25kVであり、照射線量が約150μC/cm2であり、現像剤が約1:3の比率のMBIK/IPA混合物であり、現像時間が約25秒である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記レジストがPMMA2%であり、前記レジスト層が、電子ビームリソグラフィによってパターン化され、この場合、照射エネルギーが約15kVであり、照射線量が約150μC/cm2であり、現像剤が約1:3の比率のMBIK/IPA混合物であり、現像時間が約25秒である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記レジスト層を形成するステップが、
約0.5μm〜約2μmの厚みを形成するために、約4000rpmのスピン速度で前記レジストをスピニングするステップと、
約7分間、約160℃で前記レジスト層をベークするステップと
を含む請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記入出力端子が、
コポリマーおよびPMMAの二重層を形成するステップと、
コンタクト層を形成するステップと、
前記二重層に急速熱アニーリングを適用するステップと
を含むリフトオフプロセスによって形成される、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記コンタクト層が、約400nmの厚みのAuGeと、前記AuGe層上のニッケルとで作られる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記急速熱アニーリングステップが、窒素フローで40秒間、340℃で実行される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記レジストが、約6000rpmのスピン速度でスピニングされ、240C/hで約25℃〜約170℃でソフトベークされた誘電体ポリイミドPI2545である、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
不揮発性磁気メモリデバイスにおいてメモリセルの磁気スイッチを作製する方法であって、
書き込みコイルを形成するステップと、
前記書き込みコイルと同軸の磁石スポットを形成するステップと、
磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された前記書き込みコイルに近接した位置に、前記磁気コンポーネントを形成するように、前記磁石スポット上の磁気材料を電気めっきするステップと
を含む方法。
【請求項41】
前記書き込みコイルを形成するステップおよび前記磁石スポットを形成するステップが、
コポリマーおよびポリイミドの二重層を形成するステップと、
前記二重層をパターン化するステップと、
電気めっきによって導体を堆積するステップと、
前記二重層を除去することによって、前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットを同時に形成するステップと
を含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記導体が、チタン層および金層で形成される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記書き込みコイルを形成するステップおよび前記磁石スポットを形成するステップが、
導電材料のシード層を形成するステップと、
前記シード層上にレジスト層を形成するステップと、
前記レジスト層をソフトベークするステップと、
前記レジスト層をパターン化するステップと、
前記パターン化されたレジストをハードベークするステップと、
前記シード層をエッチングすることによって、前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットを同時に形成するステップと
を含む請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記シード層が、Ti/Cu/Tiで形成される、請求項43に記載の方法。
【請求項1】
1つまたはそれ以上のメモリセルを有する不揮発性磁気メモリデバイスであって、前記メモリセルの各々が、
磁気コンポーネントと、前記磁気コンポーネントに近接した位置にあり、前記磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチと、
記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、前記磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサと、
を備えるデバイス。
【請求項2】
前記磁気コンポーネントが、永久強磁性材料の1つである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記磁気コンポーネントが、ニッケルまたはニッケル−鉄合金から作られる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記書き込みコイルが、1巻コイルである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記書き込みコイルが、Ti/AuおよびTi/Cu/Tiの1つから作られる、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記磁気コンポーネントが、前記書き込みコイルと同軸である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ホールセンサが、ギリシア十字型のホールセンサである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ホールセンサが、
前記磁気コンポーネントの残留磁気極性に応答する電流の流れ方向を有する検出部と、
前記検出部に電流を供給するように、前記検出部に連結される入力線と、
前記検出部から電流を受けるように、前記検出部に連結される出力線と、
前記検出部から電流を収集し、前記出力線に電流を通して、記憶データビット値を示すように、前記出力線と前記入力線との間の前記検出部の側面に沿って、前記出力線と前記検出部との両方に連結されたコレクタと
を含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記不揮発性メモリデバイスが、無線周波識別(RFID)デバイス、携帯電話、パーソナルディジタルアシスタント(PDA)の1つに組み込まれる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記不揮発性メモリデバイスが、耐放射線性材料から作られる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
不揮発性磁気メモリデバイスの1つまたはそれ以上のメモリセルを作製する方法であって、
磁気コンポーネントと、前記磁気コンポーネントに近接した位置にあり、前記磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された書き込みコイルとを含む磁気スイッチを形成するステップと、
記憶データビットを表す残留磁気極性を検出するために、前記磁気コンポーネントに近接して配置したホールセンサを形成するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記磁気スイッチを形成するステップが、
前記書き込みコイルを形成するステップと、
前記書き込みコイルと同軸の磁石スポットを形成するステップと、
前記磁石スポット上に磁気材料を電気めっきするステップと
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
電気めっき前に、前記磁石スポット上に磁石の型を形成するステップをさらに含み、磁石の型を形成するステップが、
前記書き込みコイルおよび前記磁石スポット上に厚いレジスト層を形成するステップと、
前記レジストをベークするステップと、
前記磁石スポットの周りにウェルを形成するために、前記レジストをパターン化するステップと
を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記レジストが、AZ4620であり、前記レジスト層が、約4分間、約95℃でベークされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記磁気材料が、2%デューティーサイクルでパルス堆積によって磁石スポットに電気めっきされ、この場合、Vonが約1msであり、Voffが約49msであり、ピーク電流が約1.4mAである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記磁気材料が、ニッケル、ニッケル−鉄、コバルト、鉄、およびCoNiFeの1つである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットが、同じプロセス中に同時に形成される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記書き込みコイルを形成するステップおよび前記磁石スポットを形成するステップが、
コポリマーおよびポリイミドの二重層を形成するステップと、
前記二重層をパターン化するステップと、
電気めっきによって導体を堆積するステップと、
前記二重層を除去することによって、前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットを形成するステップと
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コポリマーがE11であり、前記ポリイミドがPMMAである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記二重層を形成するステップが、
約5分間、約160℃で前記二重層をベークするステップと、
室温に冷却するステップと
を含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記二重層が、電子ビームリソグラフィによってパターン化され、この場合、照射エネルギーが約25kVであり、書き込みコイル線量が約150μC/cm2であり、磁石スポット線量が約120μC/cm2である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記導体が、チタン層および金層から形成される、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記チタン層が約25nmであり、前記金層が約150nmである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記書き込みコイルを形成するステップおよび前記磁石スポットを形成するステップが、
導電材料のシード層を形成するステップと、
前記シード層上にレジスト層を形成するステップと、
前記レジスト層をソフトベークするステップと、
前記レジスト層をパターン化するステップと、
前記パターン化されたレジストをハードベークするステップと、
前記シード層をエッチングすることにより、前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットを形成するステップと
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記シード層が、Ti/Cu/Tiで形成される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記Ti層が、HF/HNO3/H2O溶液でエッチングされ、Cu層が、HCl/H2O2/H2O溶液でエッチングされる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レジストが、AZ5206である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記レジスト層が、約95℃でソフトベークされ、約6〜7分間、約80℃に温度が下げられ、前記パターン化されたレジスト層が、約10分間、約125℃でハードベークされる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記レジスト層が、電子ビームリソグラフィによってパターン化され、この場合、照射エネルギーが約10kVであり、線量が約6μC/cm2である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ホールセンサを形成するステップが、
基板上に活性層を形成するステップと、
前記活性層上にレジスト層を形成するステップと、
前記レジスト層をパターン化するステップと、
エッチングによって検出部を形成するステップと、
前記検出部上に入出力端子を形成するステップと、
前記ホールセンサ上に絶縁層を形成するステップと
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項31】
前記基板が、半絶縁性GaAsウェハであり、前記活性層が、薄いn型の活性GaAs膜である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記GaAs膜が、約0.5μm〜約0.6μmである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記レジストがPMMA4%であり、前記レジスト層が、電子ビームリソグラフィによってパターン化され、この場合、照射エネルギーが約25kVであり、照射線量が約150μC/cm2であり、現像剤が約1:3の比率のMBIK/IPA混合物であり、現像時間が約25秒である、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記レジストがPMMA2%であり、前記レジスト層が、電子ビームリソグラフィによってパターン化され、この場合、照射エネルギーが約15kVであり、照射線量が約150μC/cm2であり、現像剤が約1:3の比率のMBIK/IPA混合物であり、現像時間が約25秒である、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記レジスト層を形成するステップが、
約0.5μm〜約2μmの厚みを形成するために、約4000rpmのスピン速度で前記レジストをスピニングするステップと、
約7分間、約160℃で前記レジスト層をベークするステップと
を含む請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記入出力端子が、
コポリマーおよびPMMAの二重層を形成するステップと、
コンタクト層を形成するステップと、
前記二重層に急速熱アニーリングを適用するステップと
を含むリフトオフプロセスによって形成される、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記コンタクト層が、約400nmの厚みのAuGeと、前記AuGe層上のニッケルとで作られる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記急速熱アニーリングステップが、窒素フローで40秒間、340℃で実行される、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記レジストが、約6000rpmのスピン速度でスピニングされ、240C/hで約25℃〜約170℃でソフトベークされた誘電体ポリイミドPI2545である、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
不揮発性磁気メモリデバイスにおいてメモリセルの磁気スイッチを作製する方法であって、
書き込みコイルを形成するステップと、
前記書き込みコイルと同軸の磁石スポットを形成するステップと、
磁気コンポーネントに残留磁気極性を生じさせるのに十分な電流を受けるように連結された前記書き込みコイルに近接した位置に、前記磁気コンポーネントを形成するように、前記磁石スポット上の磁気材料を電気めっきするステップと
を含む方法。
【請求項41】
前記書き込みコイルを形成するステップおよび前記磁石スポットを形成するステップが、
コポリマーおよびポリイミドの二重層を形成するステップと、
前記二重層をパターン化するステップと、
電気めっきによって導体を堆積するステップと、
前記二重層を除去することによって、前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットを同時に形成するステップと
を含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記導体が、チタン層および金層で形成される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記書き込みコイルを形成するステップおよび前記磁石スポットを形成するステップが、
導電材料のシード層を形成するステップと、
前記シード層上にレジスト層を形成するステップと、
前記レジスト層をソフトベークするステップと、
前記レジスト層をパターン化するステップと、
前記パターン化されたレジストをハードベークするステップと、
前記シード層をエッチングすることによって、前記書き込みコイルおよび前記磁石スポットを同時に形成するステップと
を含む請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記シード層が、Ti/Cu/Tiで形成される、請求項43に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−529287(P2008−529287A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552477(P2007−552477)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000113
【国際公開番号】WO2006/079215
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507029812)ユニバーシティー オブ トロント (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000113
【国際公開番号】WO2006/079215
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(507029812)ユニバーシティー オブ トロント (3)
【Fターム(参考)】
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