説明

移動端末装置

【課題】目標物に対する位置関係を直感的に把握できるようにする。
【解決手段】移動体には、映像データ取得機構201が搭載され、リアルタイムに撮像された映像データが出力される。位置座標データ計算部211は、自己位置データ取得部208により取得された当該移動体の位置情報と、方位データ取得部207により取得された映像データ取得機構201の視界中心方向の方位情報と、静的目標位置データ取得部210により取得された静的目標の位置情報とをもとに自己位置に対する静的目標の座標を計算する。表示データ生成部212は、位置座標データ計算部211により計算された座標に基づいて、映像データ取得部206により取得された画像に静的目標を表すシンボルを重畳した画像を生成し、表示データ出力機構213に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置情報を提供する移動端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置などにおいて、位置情報の視覚化は地図(地勢)情報を用いたトップビュー表示が一般的であったが、装備や操作が制限される移動端末装置では、ユーザが直感的に位置情報を把握できるものではなかった。
【0003】
また、本願に関連する公知文献として次のようなものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【特許文献1】特開2006−105640公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、従来の位置情報の表示方法では、装備や操作が制限される移動端末装置において、ユーザが位置情報を直感的に把握するのが困難であった。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、目標に対する位置関係を直感的に把握することができる移動端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明は、撮像装置が搭載された移動体に取り付けられる移動端末装置であって、静的目標の位置情報を予め記憶する位置記憶手段と、撮像装置により撮像された画像のデータを取得する画像取得手段と、前記移動体の位置情報を取得する位置取得手段と、前記撮像装置の視界中心方向の方位情報を取得する方位取得手段と、前記位置取得手段により取得された位置情報と、前記方位取得手段により取得された方位情報と、前記記憶された静的目標の位置情報とをもとに当該移動体に対する前記静的目標の座標を計算する計算手段と、前記計算手段により計算された座標に基づいて、前記画像取得手段により取得された画像に前記静的目標を表すシンボルを重畳して表示する表示手段とを具備する。
【0007】
また、この発明の他の態様は、撮像装置が搭載された移動体に取り付けられる移動端末装置であって、動的目標の位置情報を無線回線を介して受信する位置受信手段と、撮像装置により撮像された画像のデータを取得する画像取得手段と、前記移動体の位置情報を取得する位置取得手段と、前記撮像装置の視界中心方向の方位情報を取得する方位取得手段と、前記位置取得手段により取得された位置情報と、前記方位取得手段により取得された方位情報と、前記受信された動的目標の位置情報とをもとに当該移動体に対する前記動的目標の座標を計算する計算手段と、前記計算手段により計算された座標に基づいて、前記画像取得手段により取得された画像に前記動的目標を表すシンボルを重畳して表示する表示手段とを具備するものである。
【発明の効果】
【0008】
したがってこの発明によれば、目標に対する位置関係を直感的に把握することができる移動端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1に、本発明に係る移動端末装置の一実施形態の構成例を示す。また、図2に、この移動端末装置及び各機器が利用者に取り付けられた状態を示す。
【0010】
この移動端末装置は、図1に示すように、利用者A〜Cにそれぞれ携帯されるものである。移動端末装置は、GPS(Global Positioning System)受信機を備え、GPSから自装置の位置情報を取得している。各端末間は無線LANなどにより互いに接続され、上記取得された位置情報を相互に送受信できる機能を有する。また、利用者A〜Cには、カメラ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)、及び方位センサがセットになったユニットが取り付けられる。図2に示すように、このユニットは、カメラの視界方向と、利用者の視界方向がほぼ一致するように構成される。方位センサは、カメラの視界中心方向の方位を検知する。移動端末装置はこれら機器にそれぞれ接続され、各機器を通じて位置情報/方位情報/映像情報を取得する機能を有する。
【0011】
図3は、この移動端末装置の内部構成を示すブロック図である。
映像データ取得機構201は、リアルタイムに撮像された映像データを出力する機能を有するデバイスであり、例えばウェブカメラで構成される。方位データ取得機構202は、方位情報を取得する機能を有するデバイスであり、方位センサ等が用いられる。自己位置データ取得機構203は、現在の位置情報を取得する機能を有するデバイスであり、例えばGPS受信機が用いられる。動的目標位置データ受信機構204は、他の移動端末装置の位置データを取得するための通信デバイスであり、無線LANなどの通信インタフェースで構成される。静的目標位置データ保持機構205は、静的なオブジェクトの位置データをあらかじめ格納しておく記憶装置であり、不揮発性のストレージデバイス等が用いられる。
【0012】
映像データ取得部206は、映像データ取得機構201より映像情報データを取得し表示データ生成部212に映像情報データを渡す。方位データ取得部207は、方位データ取得機構202より映像データ取得機構201の視界中心方向に対応する東西南北の方位データを取得し位置座標データ計算部211に方位データを渡す。自己位置データ取得部208は、自己位置データ取得機構203より現在位置データを取得し位置座標データ計算部211に位置データを渡す。動的目標位置データ受信部209は、動的目標位置データ受信機構204より他端末の位置情報データを取得し、取得した他端末の位置情報データを位置座標データ計算部211に渡す。静的目標位置データ取得部210は、静的目標位置データ保持機構205に記憶された静的オブジェクトの位置データを位置座標データ計算部211に渡す。
【0013】
また、自己位置データ送信部214は、自己位置データ取得部208により取得された自己位置のデータを自己位置データ送信機構215を用いて他端末に送信する処理を行う。自己位置データ送信機構215は、自己位置データ送信部214より他の端末へ向けて自己位置データを送信するためのデバイスであり、例えば、無線LANなどの通信インタフェースが用いられる。
【0014】
位置座標データ計算部211は、方位データ、自己位置データ、動的/静的オブジェクトの位置データを受け取り、自己位置とオブジェクトの位置を2次元座標に変換する。変換した2次元座標データは表示データ生成部212に渡される。
【0015】
表示データ生成部212は、映像データ取得部206より渡された映像データに、位置座標データ計算部211から渡された2次元座標データで示されるオブジェクトを表すシンボルを重畳した画像データを生成する。生成した表示データは表示データ出力機構に213に渡される。表示データ出力機構213は、表示データ生成部212から渡された画像データを表示するためのデバイスであり、例えば、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)が用いられる。利用者へはこの表示データ出力機構を用いて表示データ生成部212で生成された画像データを視認させる。
【0016】
次に、このように構成された移動端末装置の動作について説明する。
この移動端末装置は、定期的に情報の取り込み、座標変換処理、及び表示データの生成を繰り返し行うものである。
【0017】
(情報の取り込み)
図4に示すように、映像データ取得部206、方位データ取得部207、自己位置データ取得部208、及び静的目標位置データ取得部210においてそれぞれ情報の取り込みが実施される。映像データ取得部206は、映像データ取得機構201のデバイスが撮影している視界映像をリアルタイムにデータとして取込み、表示データ生成部212に渡す。方位データ取得部207は、方位データ取得機構202のデバイスが捉えている映像データ取得機構201の視界中心方向の方位情報をリアルタイムにデータとして取り込む。自己位置データ取得部208は自己位置データ取得機構203のデバイスで捉えている自己位置情報(緯度経度)をデータとして取り込む。動的目標位置データ受信部209は、動的目標位置データ受信機構204のデバイスを通じて他端末の位置情報データを受信する。静的目標位置データ取得部210は、静的目標位置データ保持機構205のデバイスに格納された静的目標(固定目標)の位置情報(緯度経度)をデータとして取り込む。
【0018】
一方、自己位置データ送信部214では自己位置データ取得部208で取得した自己位置データを、自己位置データ送信機構215のデバイスを通じて他端末に向けてブロードキャスト送信を行うことで、他端末の動的目標位置データ受信部209によって動的目標位置データとして受信される。
【0019】
(座標変換処理)
上記取込まれた情報は二次元座標に変換するため、位置座標データ計算部211にて処理される。位置座標データ計算部211は、緯度経度の絶対座標から自己位置を中心とした相対座標平面に静的目標の位置情報をマッピングする。図5に示すように、マッピングする際には方位データを元に視界方向が正面になるよう座標位置を相対的に回転させる。併せて自己位置と各動的/静的目標の位置情報(緯度/経度)から各動的/静的目標までの距離も計算する。図6に示すように、動的目標が移動した場合にはその位置及び距離が再計算される。
【0020】
(表示データ生成)
表示データ生成部212は、位置座標データ計算部211で二次元座標に変換されたデータをもとに視界方向を正面とする二次元平面に再展開する。この際カメラで取得した映像データは視界範囲が限定されるため元の二次元座標データにおいて視界正面方向左右120度程度に収まる範囲の目標のみを描画する。描画時に奥行きとチルト(上下方向の傾き)は考慮しないで横方向のみを利用する。目標を描画する際、目標との相対距離も併せて描画を行う。最終的にこの目標が描画された画像と取り込んだ視界映像の映像データを重畳させることで、視界映像に目標位置と目標位置までの距離がリアルタイムに表現される。
【0021】
この状態の画像データを表示データ出力機構213のデバイスに出力することで、利用者は視界画像に重ねられて目標の位置(方向)と距離を視覚的に認識することができる。上記した情報の取り込み、座標変換処理、及び表示データの生成の一連の流れを高速に繰り返すことでリアルタイムに可視化された映像を利用者に提供することができる。
【0022】
以上述べたように、上記実施形態によれば、利用者は自身の視界映像に重ねて目標の方向や距離が動的に視覚化されることで、リアルタイムかつ直感的に目標までの距離や方向を判断することが可能となる。
【0023】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明に係る移動端末装置の一実施形態の構成例を示す図。
【図2】図1の移動端末装置の取り付け状態を示す図。
【図3】図1の移動端末装置の構成を示す機能ブロック図。
【図4】図1の移動端末装置の動作を示す図。
【図5】図1の移動端末装置の動作を示す図。
【図6】図1の移動端末装置の動作を示す図。
【符号の説明】
【0025】
201…映像データ取得機構、202…方位データ取得機構、203…自己位置データ取得機構、204…動的目標位置データ受信機構、205…静的目標位置データ保持機構、206…映像データ取得部、207…方位データ取得部、208…自己位置データ取得部、209…動的目標位置データ受信部、210…静的目標位置データ取得部、211…位置座標計算部、212…表示データ生成部、213…表示データ出力機構、214…自己位置データ送信部、215…自己位置データ送信機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置が搭載された移動体に取り付けられる移動端末装置であって、
静的目標の位置情報を予め記憶する位置記憶手段と、
撮像装置により撮像された画像のデータを取得する画像取得手段と、
前記移動体の位置情報を取得する位置取得手段と、
前記撮像装置の視界中心方向の方位情報を取得する方位取得手段と、
前記位置取得手段により取得された位置情報と、前記方位取得手段により取得された方位情報と、前記記憶された静的目標の位置情報とをもとに当該移動体に対する前記静的目標の座標を計算する計算手段と、
前記計算手段により計算された座標に基づいて、前記画像取得手段により取得された画像に前記静的目標を表すシンボルを重畳して表示する表示手段と
を具備することを特徴とする移動端末装置。
【請求項2】
撮像装置が搭載された移動体に取り付けられる移動端末装置であって、
動的目標の位置情報を無線回線を介して受信する位置受信手段と、
撮像装置により撮像された画像のデータを取得する画像取得手段と、
前記移動体の位置情報を取得する位置取得手段と、
前記撮像装置の視界中心方向の方位情報を取得する方位取得手段と、
前記位置取得手段により取得された位置情報と、前記方位取得手段により取得された方位情報と、前記受信された動的目標の位置情報とをもとに当該移動体に対する前記動的目標の座標を計算する計算手段と、
前記計算手段により計算された座標に基づいて、前記画像取得手段により取得された画像に前記動的目標を表すシンボルを重畳して表示する表示手段と
を具備することを特徴とする移動端末装置。
【請求項3】
前記位置取得手段により取得された位置情報を無線回線を介して他の移動端末装置に送信する位置送信手段をさらに具備することを特徴とする請求項2記載の移動端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−48616(P2010−48616A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211902(P2008−211902)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】