説明

移動経路推定方法、端末装置、サーバ及びプログラム

【課題】移動経路推定方法、端末装置、サーバ及びプログラムにおいて、GPS機能を利用できない場合、或いは、GPS機能を利用しても正確な絶対位置が得られない場合でも自律測位を用いる携帯端末装置の位置推定精度を向上する。
【解決手段】端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得し、リンク上の任意の位置で端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を取得し、端末装置が位置するエリアに対応するトポロジーデータを取得し、メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータとリンク情報とを比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行うように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動経路推定方法、そのような移動経路推定方法で自装置の移動経路を推定する端末装置、コンピュータにそのような移動経路推定方法を用いた移動経路推定処理を実行させるプログラム、及びそのようなプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯端末装置が採用している位置測位システムは、GPS(Global Positioning System)が主流である。しかし、携帯端末装置のGPS機能を連続動作させると、GPS機能による消費電力が携帯端末装置の他の機能による消費電力と比較して高いため、携帯端末装置を駆動する電池が消耗してしまい、例えば8時間程度の比較的短い連続動作しか実現できない。
【0003】
一方、自律測位(又は、自律航法)を用いてユーザの歩行経路又は移動経路を推定する携帯端末装置も提案されている。自律測位を用いて推定された結果は、ナビゲーションサービス(Navigation Service)に限らず、携帯端末装置の現在位置に対応する情報提供サービス等の各種サービスに利用可能である。この種の携帯端末装置は、例えば方位を検出する方位検出機能、歩数を検出する歩数検出機能、予め入力されている歩幅と歩数の積から移動距離を算出する移動距離算出機能、現在の絶対位置を取得するGPS機能等の測位機能を有する。この種の携帯端末装置は、一定時間毎、或いは、一定移動距離毎にGPS機能が動作するようにGPS機能を間欠動作させ、これらの測位機能により取得される方位、移動距離、絶対位置等に基づいて、ユーザの移動経路を推定する。
【0004】
自律測位を用いる携帯端末装置は、GPS機能を連続動作させてユーザの移動経路を推定する携帯端末装置と比較すると、消費電力を比較的低く抑えることができる。これは、GPS機能以外の測位機能の動作時の消費電力が、GPS機能の動作時の消費電力と比較すると少ないことによる。しかし、各機能により取得される方位、移動距離、絶対位置等には誤差が含まれるため、ユーザの移動経路の推定精度を向上させるためには誤差を補正する必要がある。
【0005】
例えば方位検出機能が磁気センサを用いる場合、磁気センサのキャリブレーションを実行する必要がある。磁気センサを有する携帯端末装置は、磁気センサが例えば2〜3箇所に設けられ、各磁気センサが地磁気を測定して方位を取得する。しかし、これらの磁気センサのキャリブレーションを実行しても磁気センサ間の測定誤差、即ち、オフセットをゼロにすることは難しい。又、測定誤差は、ユーザが携帯端末装置を携帯して移動する距離に応じて累積されて増大するため、ユーザの移動経路の推定精度を向上させるためには例えばGPS機能を比較的頻繁に動作させて誤差を補正する等の対策が必要となる。GPS機能により取得した絶対位置にも誤差は含まれるが、GPS機能による測位誤差は例えばバネモデルを用いた周知の歩行軌跡補間技術を用いて補正できるので、ユーザの移動距離に応じて累積されて増大する磁気センサの測定誤差はGPS機能により取得した絶対位置に基づいて補正することができる。
【0006】
このように、ある程度の位置推定精度を確保するためにGPS機能を連続動作させると携帯端末装置の消費電力が比較的高くなり、消費電力を低く抑えるためにGPS機能を比較的長い間隔で間欠動作させると累積される測定誤差のために位置推定精度が低下してしまう。
【0007】
しかし、GPS機能は、繁華街、地下街、建物内などの衛星電波が届きにくい場所では利用できない。このため、GPS機能を利用できない場合、或いは、GPS機能を利用しても正確な絶対位置が得られない場合でも自律測位を用いる携帯端末装置の位置推定精度を向上することが望まれている。
【0008】
尚、無線LAN(WLAN:Wireless Local Area Network)基地局の位置情報を利用することも考えられるが、WLAN基地局の位置情報とエリア毎の電波強度等の情報はデータベース化されていない。又、これらの情報をデータベース化するには、各エリア内で電波強度を実際に測定してWLAN基地局の位置情報とエリア毎の電波強度等の情報のデータベースを構築する必要があるが、各エリア毎に電波強度を実際に測定することは、非常に限られた領域内での位置推定を想定していない限り現実的には難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−48589号公報
【特許文献2】特開2002−310690号公報
【特許文献3】特開2009−159336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の移動経路推定方法では、GPS機能を利用できない場合、或いは、GPS機能を利用しても正確な絶対位置が得られない場合でも自律測位を用いる携帯端末装置の位置推定精度を向上することは難しいという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、GPS機能を利用できない場合、或いは、GPS機能を利用しても正確な絶対位置が得られない場合でも自律測位を用いる携帯端末装置の位置推定精度を向上することが可能な移動経路推定方法、端末装置、サーバ及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、 無線通信を行う端末装置の移動経路を推定する移動経路推定方法であって、前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と加速度を検出する第2の検出部との検出結果に基づいて、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を制御部で取得し、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を前記制御部で取得し、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報と比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を前記制御部で行うことを特徴とする移動経路推定方法が提供される。
【0013】
本発明の一観点によれば、無線通信を行う端末装置であって、前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と、前記端末装置の加速度を検出する第2の検出部と、前記方位及び前記加速度に基づいて前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得し、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を取得する制御部とを有し、前記制御部は、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータと前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行うことを特徴とする端末装置が提供される。
【0014】
本発明の一観点によれば、端末装置と無線通信を行うサーバであって、トポロジーデータを格納する記憶部と、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報と、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報とを前記端末装置から受信すると、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを前記記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行うプロセッサを備えたことを特徴とするサーバが提供される。
【0015】
本発明の一観点によれば、無線通信を行う端末装置のコンピュータに、前記端末装置の移動経路を推定させるプログラムであって、前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と加速度を検出する第2の検出部の検出結果に基づいて、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得する手順と、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を取得する手順と、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行う手順を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラムが提供される。
【0016】
本発明の一観点によれば、無線通信を行うサーバのコンピュータに、端末装置の移動経路を推定させるプログラムであって、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報と、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報とを前記端末装置から受信する手順と、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行う手順を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
開示の移動経路推定方法、端末装置、サーバ及びプログラムによれば、GPS機能を利用できない場合、或いは、GPS機能を利用しても正確な絶対位置が得られない場合でも自律測位を用いる携帯端末装置の位置推定精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施例における端末装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】端末装置の制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】携帯電話の動作の一例を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施例においてトポロジーデータがサーバ側に格納されている場合の処理を説明するフローチャートである。
【図6】新規メタ情報登録処理を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施例においてサーバが処理を行う場合の携帯電話及びサーバの処理を説明するフローチャートである。
【図8】図7のステップ21が行う処理を説明するフローチャートである。
【図9】図7のステップS24が行う新規メタ情報登録処理を説明するフローチャートである。
【図10】本発明の第4実施例において携帯電話及びサーバの両方で処理を行う場合の処理を説明するフローチャートである。
【図11】図10のステップS31が行う情報取得処理を説明するフローチャートである。
【図12】マッチング1を説明するフローチャートである。
【図13】マッチング2を説明するフローチャートである。
【図14】図10のステップS46が行う新規メタ情報登録処理を説明するフローチャートである。
【図15】携帯電話の現在位置を含むエリアを説明する図である。
【図16】携帯電話の移動経路のリンクが検出したエリア内でマッチする場所の検出結果を説明する図である。
【図17】エリア内でマッチする場所の検出結果をメタ情報に基づいて絞り込んだ結果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
開示の移動経路推定方法、端末装置、サーバ及びプログラムでは、無線通信を行う端末装置の移動経路を推定する際に、端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と加速度を検出する第2の検出部の検出結果に基づいて、端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を前記制御部で取得する。又、リンク上の任意の位置で端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を取得する。マッチング処理は、メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータとリンク情報とを比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力する。
【0020】
以下に、開示の移動経路推定方法、端末装置、サーバ及びプログラムの各実施例を図面と共に説明する。
【実施例】
【0021】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例における端末装置の構成の一例を示すブロック図である。この例では、本発明が携帯電話に適用されているが、端末装置はPDA(Personal Digital Assistant)等の通信機能を有する端末装置であっても良いことは言うまでもない。
【0022】
図1に示すように、携帯電話100は、制御部20、絶対位置検出部30、地磁気情報検出部40、加速度情報検出部50、表示装置60、入力部(又は、入力インタフェース)62、及び通信部70を有する。携帯電話100は、周知の通話機能を備えており、更にメール、インターネット等の周知の通信機能、周知の撮影機能等の各種機能を備えても良いが、図1ではこれら各種機能を実現するための構成の図示は省略する。
【0023】
絶対位置検出部30は、例えば複数のGPS衛星からの信号をアンテナ(図示せず)で受信して携帯電話100の絶対位置(即ち、緯度及び経度で示される位置)を取得する周知の構成を有するGPS受信機で形成可能である。地磁気情報検出部40は、例えば3軸座標系上での地磁気を検出する周知の磁気方位センサで形成可能である。加速度情報検出部50は、例えば3軸方向の加速度を検出する周知のセンサで形成可能である。尚、地磁気情報検出部40の代わりに基準面に対する相対角度を検出するジャイロスコープ(gyroscope)又は角速度を検出する角速度センサを用い、制御部20がジャイロスコープ又は角速度センサの検出出力に基づいて携帯電話100に予め定められた軸が指し示す方位(又は、相対方位)を取得するようにしても良い。
【0024】
表示部60は、制御部20の制御下で入力部62からの入力情報、ユーザへのメッセージ、各種操作メニュー、地図、推定移動経路等を表示する。推定移動経路は、携帯電話100を携帯するユーザの推定された移動経路(又は、歩行経路)を言う。入力部62は、ユーザがコマンド(又は、指示)やデータ(又は、情報)を入力するテンキー又はキーボードを有する。入力部62及び表示部60は、タッチパネル等により一体的に設けられていても良い。
【0025】
通信部70は、基地局(図示せず)又は図3と共に後述するサーバ500を含む他の装置との無線通信を可能とする周知の構成を有する。通信部70は、基地局を介して他の携帯電話と無線通信することで通話機能、又は、メール、インターネット等の通信機能を実現可能である。
【0026】
図2は、端末装置の制御部の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、制御部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ90、ROM(Read Only Memory)91、RAM(Random access memory)92、HDD(Hard Disk Drive)93、及び入出力部94がバス95を介して接続された構成を有する。尚、ROM91、RAM92、HDD93、及び入出力部94は、夫々直接CPU90に接続されていても良い。ROM91、RAM92、及びHDD93は、記憶部を形成する。バス95を介さずに直接CPU90と信号の送受信を行う場合、バス95上のトラフィックの問題が軽減できる。
【0027】
CPU90は、制御部20(又は、コンピュータシステム)全体の制御を司り、移動経路推定プログラムを含む各種プログラムを実行することで携帯電話100の各機能を実現できる。記憶部は、携帯電話100の各機能を実現すると共に、CPU90が実行するプログラム、及びCPU90が実行する算出処理等の中間データ、地図データ等を含む各種データを格納する。つまり、記憶部は、制御部20内の各部が取得、検出、算出、補正、或いは変換した情報を記憶できる。入出力部94は、表示装置60及び入力部62と制御部20との間の通信を行うための入出力ポートを形成する。
【0028】
コンピュータシステムに少なくとも移動経路推定機能を持たせるプログラム(移動経路推定プログラム)は、コンピュータシステム(即ち、CPU90)を移動経路推定機能を有する携帯電話100として動作させる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されていても良い。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えばIC(Integrated Circuit)カードメモリ等の半導体記憶装置、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM等の可搬型記録媒体に限定されるものではなく、コンピュータシステムでアクセス可能な各種記録媒体を含む。又、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば記憶部で形成されても良い。
【0029】
言うまでもなく、CPU90は、移動経路推定機能に加え、各種プログラムを実行することで携帯電話100の通話機能、通信機能、撮影機能等の各種機能の少なくとも一部を更に実現しても良い。
【0030】
図3は、携帯電話100が通信可能なサーバ(又は、センタ装置)の構成の一例を示すブロック図である。例えば、サーバ500は携帯電話100と通信可能な基地局に含まれる構成であっても良い。図3に示すサーバ500は、CPU501、記憶部502、及び通信部503を有する。
【0031】
CPU501は、サーバ500(又は、コンピュータシステム)全体の制御を司り、移動経路推定プログラムを含む各種プログラムを実行することでサーバ500の各機能を実現できる。記憶部502は、サーバ500の各機能を実現すると共に、CPU501が実行するプログラム、及びCPU501が実行する算出処理等の中間データ、地図データ等を含む各種データを格納する。つまり、記憶部502は、サーバ500が取得、検出、算出、補正、或いは変換した情報を記憶できる。通信部503は、携帯電話100の通信部70との通信を可能とする周知の構成を有する。尚、図1及び図3において、通信部70,503のアンテナ等の図示は省略する。
【0032】
サーバ500に少なくとも移動経路推定機能の一部の機能を持たせるプログラム(移動経路推定プログラム)は、サーバ500(即ち、CPU501)を移動経路推定機能を有する装置として動作させる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されていても良い。又、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば記憶部502で形成されても良い。
【0033】
次に、携帯電話100の動作を図4乃至図6と共に説明する。図4は、携帯電話100の動作の一例を説明するフローチャートである。尚、移動経路推定機能をCPU90で実現する場合、図4に示す処理はCPU90により実行される。図4の処理は、例えば加速度情報検出部50が携帯電話100を携帯するユーザの歩行開始を検出した時点から、或いは、ユーザが入力部62から移動経路の取得開始指示等を入力した時点から開始される。
【0034】
図4において、ステップS1は、絶対位置検出部30で検出した携帯電話100の絶対位置(又は、GPS位置)を取得して記憶部に格納する。ステップS2は、絶対位置に基づいて、携帯電話100の現在位置を含む大まかなエリアを特定するエリア情報を取得して記憶部に格納する。このエリアの特定は、例えばステップS1で取得した絶対位置から所定距離内の範囲としても良い。
【0035】
ステップS3は、地磁気情報検出部40及び加速度情報検出部50の検出結果に基づいて、携帯電話100の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得して記憶部に格納する。制御部20は、地磁気情報検出部40が検出して出力する地磁気値に基づいて携帯電話100に予め定められた軸が指し示す方位(以下、相対方位と言う)を周知の方法で取得できる。又、制御部20は、取得した相対方位に基づいて、携帯電話100を携帯するユーザが例えば道路の曲がり角を曲がる等することにより進行方向を転換したか否かの情報、或いは、ユーザが移動する方位(以下、進行方位と言う)を変えずに移動しているか否かの情報を周知の方法で検出することができる。更に、制御部20は、ユーザが入力部62から入力したユーザの1歩分の長さを表す歩幅情報、或いは、デフォルトの歩幅情報を予め記憶部に保持しており、当該歩幅情報と、加速度情報検出部50が検出して出力する加速度から算出される歩数情報とから、ユーザの移動距離(=歩幅×歩数)を計算することができる。移動距離の求め方自体は、加速度センサを用いた周知の歩数計と同様で良いため、その詳細な説明は省略する。従って、制御部20は、ステップS1で取得された絶対位置に基づいて、携帯電話100を携帯するユーザが進行方向を転換したときの転換角度を周知の方法で算出することができ、ユーザが進行方向を転換してから次に進行方向を転換するまでの直線移動距離、即ち、リンク長を求めることができる。リンクとは、移動距離の長さを有する線分のことを言う。リンクは移動経路に相当し、有限の長さを有する一又は複数の節で形成される。1リンクにつき例えば3種類の変数(又は、パラメータ)、即ち、節の長さ、節の角度、及びリンクの角度が設定可能である。
【0036】
ステップS4は、リンク上の任意の位置で携帯電話100のメタ情報を取得して記憶部に格納する。メタ情報は、例えば絶対位置検出部30で検出した携帯電話100の絶対位置に関する情報、或いは、携帯電話100が通信している基地局からの電波環境(例えば、電波の強度)又は基地局情報に基づいて特定可能な位置(例えば、携帯電話100に最も近い基地局の位置)に関する情報であり、制御部20が携帯電話100の絶対位置を推定可能とする、絶対位置に依存する情報であれば良い。メタ情報は、絶対位置検出部30で検出した携帯電話100の絶対位置(又は、GPS位置)に関する情報に限定されない。又、メタ情報を取得するリンク上の任意の位置は、例えば進行方向の転換から所定距離の位置、或いは、進行方向の転換から所定時間経過した時点の位置、或いは、ユーザが入力部62からメタ情報の取得を指示した時点の位置等である。
【0037】
ステップS5は、ステップS2で取得されたエリア情報に対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、ステップS3で取得されたリンク情報と比較してパターンの類似度(又は、相関度)が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力すると共に、類似度が閾値以上のトポロジーリンクがないと、ステップS4で取得したメタ情報から推定した携帯電話100の絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、該読み出したトポロジーデータとステップS3で取得されたリンク情報とを比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行い、処理は終了する。トポロジーデータは、例えば携帯電話100の記憶部に格納されており、道路の中央位置をリンクとし、道路の交差点をノードとする地図データで形成されている。又、トポロジーリンクとは、トポロジーデータの中で、1又は複数の連続するリンクである。出力された推定移動経路のデータは、記憶部に格納されると共に、表示部60に地図上で識別可能な任意の形式で表示される。
【0038】
尚、上記処理において、処理の順序を変更することができる。具体的には、ステップS5において、先にステップS4で取得したメタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、該読み出したトポロジーデータとステップS3で取得されたリンク情報とを比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得する処理を行なう。そして、類似度が閾値以上のトポロジーリンクが無い場合に、ステップS2で取得していたエリア情報に対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、該読み出したトポロジーデータとリンク情報とを比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得する処理を行なう。
【0039】
図1において、絶対位置検出部30は、GPS機能(又は、GPS手段)を形成可能である。制御部20は、地磁気情報検出部40の出力に基づいて携帯電話100の相対方位を取得する方位取得部及び方向転換を検出する方向転換検出部を形成可能であり、地磁気情報検出部40、方位取得部、及び方向転換検出部により方向変化検出機能(又は、方向変化検出手段)を形成可能である。又、制御部20は、加速度情報検出部50の出力に基づいて携帯電話100の移動距離を取得する移動距離取得部を形成可能であり、加速度情報検出部50及び移動距離取得部により歩数検出機能(又は、歩数検出手段)を含む移動距離算出機能(又は、移動距離算出手段)を形成可能である。更に、制御部20は、GPS機能、方向変化検出機能、及び移動距離算出機能の出力に基づいて携帯電話100の移動経路を推定する移動経路推定機能(又は、移動経路推定手段)を形成可能である。
【0040】
トポロジーデータは比較的情報量が多いので、サーバ500の記憶部502に格納しても良い。この場合、トポロジーデータをサーバ500側に格納する分、携帯電話100側で必要となる記憶部の記憶容量の増大を抑制することができる。
【0041】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例を図5及び図6と共に説明する。尚、第2実施例における携帯電話100の構成及びサーバ500の構成は図1乃至図3と同じであるため、その図示及び説明は省略する。
【0042】
図5は、本発明の第2実施例においてトポロジーデータがサーバ500側に格納されている場合のマッチング処理を説明するフローチャートである。図5において、ステップS51は、トポロジーデータ要求と共にエリア情報及び/又はメタ情報を通信部70を介してサーバ500に送信し、サーバ500からエリア情報に対応するトポロジーデータ(又は、地図データ)及び/又はメタ情報に対応するトポロジーデータ(又は、地図データ)を受信して記憶部に格納する。
【0043】
ステップS52は、記憶部から読み出したリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを、受信したエリア情報に対応するトポロジーデータから検索する、エリア情報とリンク情報のみのマッチングを行う。ステップS53は、リンクと類似度が閾値以上、且つ、最大のトポロジーリンクがあるか否かを判定し、判定結果がYESの場合は検索されたトポロジーリンクを推定移動経路として決定して処理はステップS54へ進む。
【0044】
ステップS54は、必要に応じて、ステップS51で受信したメタ情報を用いて決定されたトポロジーリンクを補正してその信頼度を向上する。つまり、メタ情報に対応するトポロジーリンクの方が、ステップS53で推定移動経路として決定したトポロジーリンクよりリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が高ければ、推定移動経路をメタ情報に対応するトポロジーリンクに補正する。ステップS54は、省略しても良い。
【0045】
ステップS55は、ステップS53若しくははステップS54で決定されたトポロジーリンクに対応すると共に、記憶部に格納されたメタ情報を新規メタ情報として登録して記憶部に格納する、新規メタ情報登録処理を行う。この場合、携帯電話100の記憶部にメタ情報のデータベースを構築しても良い。
【0046】
一方、ステップS53の判定結果がNOであると、ステップS56は、記憶部から読み出したリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを、受信したメタ情報に対応するトポロジーデータから検索する、メタ情報を用いたマッチングを行う。ステップS57は、リンクと類似度が閾値以上、且つ、最大のトポロジーリンクがあるか否かを判定し、判定結果がYESの場合は検索されたトポロジーリンクを推定移動経路として決定して処理はステップS58へ進む。
【0047】
ステップS58は、必要に応じて、ステップS57で決定されたトポロジーリンクに対応すると共に、ステップS51で受信したメタ情報を新規メタ情報として登録して記憶部に格納する、新規メタ情報登録処理を行う。一方、ステップS57の判定結果がNOであると、ステップS59は、検索されたトポロジーリンクを推定移動経路の候補とする。
【0048】
従って、ステップS55又はステップS58の後、決定された推定移動経路のデータが表示部60に表示される。又、ステップS59の後、候補とされた推定移動経路のデータが表示部60に表示される。推定移動経路のデータ又は候補とされた推定移動経路のデータは、表示部60に地図上で識別可能な任意の形式で表示される。候補とされた推定移動経路のデータを複数個表示部60に表示することで、ユーザに入力部62から推定移動経路を複数の候補から決定させても良い。
【0049】
尚、上記処理において、処理の順序を変更することもできる。具体的には、ステップS52では、エリア情報ではなくメタ情報とリンク情報とでマッチングを行い、リンクと類似度が閾値以上、且つ、最大のトポロジーリンクがなかった場合(ステップS53の判定結果がNOの場合)ステップS56で、メタ情報ではなくエリア情報とリンク情報とでマッチングを行なっても良い。
【0050】
図6は、図5のステップS55が行う新規メタ情報登録処理を説明するフローチャートである。図6において、ステップS551は、図5のステップS53で推定移動経路として決定したトポロジーリンクに対して、図5のステップS51で受信したメタ情報を新規メタ情報として登録して記憶部に格納する。ステップS552は、新規メタ情報として登録されたメタ情報が既に登録されていて重複する場合には、例えば類似度が高い方のトポロジーデータに対するメタ情報を残し、類似度が低い方のトポロジーデータに対して登録されているメタ情報を記憶部から削除することで、メタ情報の信頼性を向上する。
【0051】
マッチング処理を含む移動経路推定処理は、比較的計算量が多いので、少なくともマッチング処理を含む移動経路推定処理をサーバ500のCPU501で行っても良い。この場合、図1のステップS5のマッチング処理の大部分は、携帯電話100からのトリガに応答してサーバ500のCPU501で行えば良く、移動経路推定処理を全て携帯電話100で行う場合に比べて携帯電話100のCPU90への負荷を軽減することができる。
【0052】
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例を図7乃至図9と共に説明する。尚、第3実施例における携帯電話100の構成及びサーバ500の構成は図1乃至図3と同じであるため、その図示及び説明は省略する。
【0053】
図7は、本発明の第3実施例においてサーバ500がマッチング処理を行う場合の携帯電話100及びサーバ500の処理を説明するフローチャートである。図7中、ステップS11〜S14の処理は携帯電話100のCPU90により実行され、ステップS21〜28の処理はサーバ500のCPU501により実行される。つまり、移動経路推定機能の一部は、サーバ500側で実現される。
【0054】
図7において、ステップS11は図4のステップS1及びステップS2に相当し、ステップS12は図4のステップS3に相当し、ステップS13は図4のステップS4に相当するので、これらのステップS11〜S13の処理の説明は省略する。ステップS14は、ステップS11で取得したエリア情報、ステップS12で取得したリンク情報、及びステップS13で取得したメタ情報をマッチング処理要求と共に通信部70を介してサーバ500へ送信する。
【0055】
サーバ500側の処理は、通信部503が携帯電話100からマッチング処理要求を受信すると開始され、携帯電話100から受信したエリア情報、リンク情報、及びメタ情報が記憶部502に格納する。ステップS21は、携帯電話100から受信したエリア情報に対応するトポロジーデータ(又は、地図データ)を記憶部502から読み出して、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを検索する、エリア情報とリンク情報のみのマッチングを行う。
【0056】
図8は、図7のステップS21が行うマッチングを説明するフローチャートである。図8において、ステップS211は、携帯電話100から受信したエリア情報に対応するトポロジーデータ(又は、地図データ)を記憶部502から読み出して、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクと同距離を有するトポロジーリンクを検索する。ステップS212は、携帯電話100から受信したエリア情報に対応するトポロジーデータから、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクと同距離を有し、且つ、当該リンクの直前のリンクに接続するトポロジーリンクを検索する。ステップS213は、ステップS212での検索の結果、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクと同距離を有し、且つ、当該リンクの直前のリンクに接続するトポロジーリンクがあるか否かを判定し、判定結果がNOであると処理はステップS212へ戻る。一方、ステップS213の判定結果がYESであると、処理は図7のステップS22へ進む。
【0057】
ステップS22は、リンクと類似度が閾値以上、且つ、最大のトポロジーリンクがあるか否かを判定し、判定結果がYESの場合は検索されたトポロジーリンクを推定移動経路として決定して処理はステップS23へ進む。ステップS23は、必要に応じて、メタ情報を用いて決定されたトポロジーリンクを補正してその信頼度を向上する。つまり、メタ情報に対応するトポロジーリンクの方が、ステップS22で推定移動経路として決定したトポロジーリンクよりリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が高ければ、推定移動経路をメタ情報に対応するトポロジーリンクに補正する。ステップS23は、省略しても良い。ステップS24は、ステップS22で決定されたトポロジーリンクに対応すると共に、携帯電話100から受信したメタ情報を新規メタ情報として登録して記憶部502に格納する、新規メタ情報登録処理を行う。この場合、サーバ500の記憶部502にメタ情報のデータベースを構築しても良い。
【0058】
一方、ステップS22の判定結果がNOであると、ステップS25は、携帯電話100から受信したメタ情報に対応するトポロジーデータ(又は、地図データ)を記憶部502から読み出して、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを検索する、メタ情報を用いたマッチングを行う。ステップS26は、リンクと類似度が閾値以上、且つ、最大のトポロジーリンクがあるか否かを判定し、判定結果がYESの場合は検索されたトポロジーリンクを推定移動経路として決定して処理はステップS27へ進む。
【0059】
ステップS27は、必要に応じて、ステップS26で決定されたトポロジーリンクに対応すると共に、携帯電話100から受信したメタ情報を新規メタ情報として登録して記憶部502に格納する、新規メタ情報登録処理を行う。一方、ステップS26の判定結果がNOであると、ステップS28は、検索されたトポロジーリンクを推定移動経路の候補とする。
【0060】
従って、ステップS24又はステップS27の後、決定された推定移動経路のデータが通信部503を介して携帯電話100へ送信され、処理は携帯電話100のステップS14の処理へ戻る。又、ステップS28の後、候補とされた推定移動経路のデータが通信部503を介して携帯電話100へ送信され、処理は携帯電話100のステップS14の処理へ戻る。携帯電話100がサーバ500から受信した推定移動経路のデータは、表示部60に地図上で識別可能な任意の形式で表示される。携帯電話100がサーバ500から受信した候補とされた推定移動経路のデータは、表示部60に地図上で識別可能な任意の形式で表示される。
【0061】
尚、図5において処理の順序を変更することができるように、図7においても処理の順序を変更することができる。即ち、ステップS21において、メタ情報とリンク情報とでマッチングを行い、その結果として経路を決定できなかった場合に、エリア情報を用いてマッチングを行っても良い。
【0062】
図9は、図7のステップS24が行う新規メタ情報登録処理を説明するフローチャートである。図9において、ステップS271は、図7のステップS22で推定移動経路として決定したトポロジーリンクに対して、携帯電話100から受信したメタ情報を新規メタ情報として登録して記憶部502に格納する。ステップS272は、新規メタ情報として登録されたメタ情報が既に登録されていて重複する場合には、例えば類似度が高い方のトポロジーデータに対するメタ情報を残し、類似度が低い方のトポロジーデータに対して登録されているメタ情報を記憶部502から削除することで、メタ情報の信頼性を向上する。
【0063】
尚、図7のステップS27が行う新規メタ情報登録処理は、図9と同様で良いが、この場合はステップS271において、図7のステップS26で推定移動経路として決定したトポロジーリンクに対して、携帯電話100から受信したメタ情報を新規メタ情報として登録して記憶部502に格納する。
【0064】
(第4実施例)
次に、本発明の第4実施例を図10乃至図14と共に説明する。尚、第4実施例における携帯電話100の構成及びサーバ500の構成は図1乃至図3と同じであるため、その図示及び説明は省略する。
【0065】
図10は、本発明の第4実施例においてマッチングを携帯電話100及びサーバ500の両方で行う場合の処理を説明するフローチャートである。図10中、ステップS31〜S37の処理は携帯電話100のCPU90により実行され、ステップS41〜46の処理はサーバ500のCPU501により実行される。
【0066】
図10において、携帯電話100側において、ステップS31は、情報取得処理を行う。図11は、ステップS31が行う情報取得処理を説明するフローチャートである。図11において、ステップS311,312、ステップS313、及びステップS314は並行に行われる。ステップS311は、絶対位置検出部30で検出した携帯電話100の絶対位置(又は、GPS位置)を取得して記憶部に格納する。ステップS312は、絶対位置に基づいて、携帯電話100の現在位置を含む大まかなエリアを特定するエリア情報を取得して記憶部に格納する。大まかなエリアとしては、例えば、現在位置から半径500m〜1kmの範囲を一例として挙げることができる。ステップS313は、携帯電話100の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得して記憶部に格納する。ステップS314は、携帯電話100のメタ情報を取得して記憶部に格納する。ステップS311〜S314は、図4に示すステップS1〜S4に相当するが、並行に実行される点が図4の場合と異なる。
【0067】
図10の説明に戻るに、ステップS32は、携帯電話100の電源がオンであるか否かを判定する。ユーザが入力部62の電源キー(図示せず)を操作して携帯電話100の電源をオンにすると、制御部20は携帯電話100のオン状態を周知の方法で検出できる。ステップS32の判定結果がNOであると、ステップS33は、特定時間が経過したか否かを判定する。ステップS33の判定結果がYESになると、その時点までに取得されたエリア情報、リンク情報、及びメタ情報を一括して通信部70を介してサーバ500に送信する。
【0068】
一方、ステップS32の判定結果がYESであると、ステップS34は、直前に実行された処理におけるステップS36、又はS42、又はS44において推定移動経路が確定済みであるか否かを判定する。ステップS34の判定結果がNOであると、その時点で取得されたエリア情報、リンク情報、及びメタ情報を通信部70を介してサーバ500に送信する。
【0069】
サーバ500側において、ステップS41は、携帯電話100から受信したエリア情報に対応するトポロジーデータ(又は、地図データ)を記憶部502から読み出して、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを検索する、エリア情報とリンク情報のみのマッチング1を行う。
【0070】
図12は、ステップS41のマッチング1を説明するフローチャートである。図12において、ステップS351は、携帯電話100から受信したエリア情報に対応するトポロジーデータ(又は、地図データ)を記憶部502から読み出して、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクと同距離を有するトポロジーリンクを検索する。ステップ352は、携帯電話100から受信したエリア情報に対応するトポロジーデータから、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクと同距離を有し、且つ、当該リンクの直前のリンクに接続するトポロジーリンクを検索する。ステップS353は、ステップS352での検索の結果、携帯電話100から受信したリンク情報が示すリンクと同距離を有し、且つ、当該リンクの直前のリンクに接続するトポロジーリンクがあるか否かを判定し、判定結果がNOであると処理はステップS352へ戻る。一方、ステップS353の判定結果がYESであると、処理は図10のステップS42へ進む。ステップS42は、推定移動経路が確定済みであるか否かを判定する。ステップS42の判定結果がNOであると、処理はステップS43へ進む。
【0071】
一方、携帯電話100側では、ステップS34の判定結果がYESであると、ステップS35は、ステップS41と同様のマッチング1を行うが、マッチング1に用いるエリア情報及びリンク情報は携帯電話100の記憶部に格納されているものである。又、マッチング1に用いるトポロジーデータは、携帯電話100の記憶部に格納されていても、或いは、上記の如くサーバ500に要求して取得したものでも良い。ステップS34で判定結果がYES、即ち推定移動経路が確定済みである場合は、マッチングの対象とする地図範囲を上述の大まかなエリアよりも狭い範囲に特定することができる。従って、その場合には、マッチング対象とするトポロジーデータの量も少なくなっているので、携帯電話100上で処理を実行しても、携帯電話100に対して著しい負荷をかけない。
ステップS36は、推定移動経路が確定済みであるか否かを判定し、判定結果がNOであるとメタ情報を用いたマッチング2をサーバ500側で行うため、その時点で取得されたエリア情報、リンク情報、及びメタ情報を通信部70を介してサーバ500に送信する。
【0072】
サーバ500側において、ステップS43は、受信したリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを、受信したメタ情報に対応する記憶部502内のトポロジーデータから検索する、メタ情報を用いたマッチング2を行う。
【0073】
図13は、ステップS43のマッチング2を説明するフローチャートである。図13において、ステップS431は、受信したリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを、記憶部502内に構築されたメタ情報のデータベースを参照することで、受信したメタ情報に対応するトポロジーデータから検索する。
【0074】
図10の説明に戻るに、ステップS44は、推定移動経路が確定済みであるか否かを判定する。ステップS42の判定結果がYESであると、処理はステップS46へ進む。一方、ステップS42の判定結果がYESであると、ステップS45は、必要に応じて、メタ情報を用いて決定されたトポロジーリンクを補正してその信頼度を向上し、処理はステップS46へ進む。つまり、メタ情報に対応するトポロジーリンクの方が、ステップS42又はステップS34で推定移動経路として決定したトポロジーリンクよりリンク情報が示すリンクとのパターンの類似度が高ければ、推定移動経路をメタ情報に対応するトポロジーリンクに補正する。ステップS45は、省略しても良い。
【0075】
一方、携帯電話100側では、ステップS36の判定結果がYESであると、ステップS37は、エリア情報を更新するか否かを判定し、判定結果がYESであると、その時点で取得されたリンク情報及びメタ情報を通信部70を介してサーバ500に送信する。ステップS37の判定結果は、携帯電話100が例えばステップS35のマッチング1で用いるエリア情報が示すエリアの端に近づくとYESになる。
【0076】
サーバ500側では、ステップS46が新規メタ情報登録処理を行う。図14は、ステップS46が行う新規メタ情報登録処理を説明するフローチャートである。図14において、ステップS461は、ステップS42又はステップS44で推定移動経路として決定したトポロジーリンクに対して、携帯電話100から受信したメタ情報を新規メタ情報として登録して記憶部502に格納する。ステップS462は、新規メタ情報として登録されたメタ情報が既に登録されていて重複する場合には、例えば類似度が高い方のトポロジーデータに対するメタ情報を残し、類似度が低い方のトポロジーデータに対して登録されているメタ情報を記憶部502から削除することで、メタ情報の信頼性を向上する。
【0077】
ステップS46の後、ステップS42又はステップS44で決定された推定移動経路が、通信部503から携帯電話100に送信される。これにより、決定された推定移動経路のデータが携帯電話100の表示部60に表示される。一方、ステップS44で推定移動経路が決定されていない場合は、ステップS46の後、推定移動経路の候補が携帯電話100の表示部60に表示される。推定移動経路又は推定移動経路の候補は、表示部60に地図上で識別可能な任意の形式で表示される。推定移動経路の候補を複数個表示部60に表示することで、ユーザに入力部62から推定移動経路を複数の候補から決定させても良い。
【0078】
尚、マッチング1の処理とマッチング2の処理とを入れ替えて実施することもできる。
【0079】
上記の各例によれば、GPS機能を利用できない場合、或いは、GPS機能を利用しても正確な絶対位置が得られない場合でも自律測位を用いる携帯端末装置の位置推定精度を向上することができる。又、GPS機能を利用する時間を短縮することで、端末装置の消費電力を削減することができる。更に、端末装置のメタ情報を端末装置又はサーバに登録してデータベースを構築する場合、メタ情報と推定移動経路(即ち、トポロジーリンク)の組み合わせが増加すればする程、メタ情報に基づく推定移動経路の精度が向上するので、GPS機能を利用しなくても自律測位の補正が可能となる。
【0080】
次に、リンク情報を用いた検出結果をメタ情報に基づいて絞り込む場合の一例を、図15乃至図17と共に説明する。図15〜図17中、細い実線はリンクを示し、●印はノードを示す。ここでは説明の便宜上、図4の処理を行った場合に得られる結果の一例を説明するが、この例ではステップS3,S4を行った後にステップS2が行われるものとする。
【0081】
ステップS3は、図4と共に説明した方法で携帯電話100の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得して記憶部に格納する。又、ステップS4は、図4と共に説明した方法でリンク上の任意の位置で携帯電話100のメタ情報を取得して記憶部に格納する。この例では、後述する図17に示す候補AのリンクLA1上を移動中及びリンクLA2の一部を移動中にメタ情報m1が取得され、候補AのリンクLA5上を移動中にメタ情報m2が取得されるものとする。
【0082】
メタ情報は、例えば携帯電話100が通信している基地局からの電波環境に基づいて特定可能な位置に関する情報であり、例えば第3世代移動通信システム(3G)、WLAN、ブルーツース(Bluetooth)、放送波等の電波環境に基づく情報であっても良い。3Gとは、国際電気通信連合 (ITU:International Telecommunication Union) が定めるIMT-2000 (International Mobile Telecommunication 2000) 規格に準拠した通信システムであり、この場合は基地局番号、セクタ番号、受信信号強度表示信号(RSSI:Received Signal Strength Indicator)等を電波環境に基づく情報として利用可能である。WLANの場合、基地局番号、チャネル番号、RSSI、MAC(Media Access Control)アドレス等を電波環境に基づく情報として利用可能である。ブルーツースの場合、他の端末装置のID等を電波環境に基づく情報として利用可能である。放送波の場合、地上デジタルテレビ放送、基地局番号等を電波環境に基づく情報として利用可能である。
【0083】
ステップS2は、ステップS1で取得した絶対位置に基づいて、携帯電話100の現在位置を含む図15中太い破線で囲まれた大まかなエリアR1を特定するエリア情報を取得して記憶部に格納する。図15は、携帯電話100の現在位置を含むエリアR1を説明する図である。図15において、M1〜M3は、携帯電話100がメタ情報m1〜m3を取得可能な領域を示す。特定されるエリアR1は、この例では地図上のD×Dの矩形領域であり、Dは例えば約500m〜約1000mである。
【0084】
ステップS5は、ステップS2で取得されたエリア情報に対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、ステップS3で取得されたリンク情報と比較してパターンの類似度(又は、相関度)が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力する。図16は、携帯電話100の移動経路のリンクが検出したエリアR1内でマッチする場所の検出結果を説明する図である。この例では、リンクがエリアR1内でマッチする候補は候補A〜Cの3つである。候補Aは、リンクLA1〜LA5を含む。候補Bは、リンクLB1〜LB5を含む。候補Cは、リンクLC1〜LC5を含む。
【0085】
ステップS5において、候補A〜Cがいずれも類似度が閾値以上のトポロジーリンクではないと、ステップS4で取得したメタ情報から推定した携帯電話100の絶対位置から所定距離内の範囲のエリアR1に対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、読み出したトポロジーデータとステップS3で取得されたリンク情報とを比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行い、処理は終了する。図17は、エリアR1内でマッチする場所の検出結果をメタ情報に基づいて絞り込んだ結果を説明する図である。この例では、上記の如くステップS3,S4において候補AのリンクLA1上を移動中及びリンクLA2の一部を移動中は領域M1内でメタ情報m1が取得され、候補AのリンクLA5上を移動中は領域M2内でメタ情報m2が取得されるので、類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクとなるのは候補Aである。
【0086】
上記の各例では、端末装置が携帯電話である場合について説明したが、端末装置は携帯型の装置(即ち、携帯端末装置)に限定されるものではなく、端末装置は、自動車や二輪車等の車両に搭載されるナビゲーション装置であっても良い。この場合、移動距離取得部14は、例えば車両のタイヤの外周の長さと、タイヤの回転数から車両の移動距離を取得すれば良い。
【0087】
又、メタ情報は、端末装置が有するセンサ等で取得可能な道路を特徴付ける情報であっても良いので、端末装置を携帯するユーザの歩行速度や地磁気値に関する情報をメタ情報として利用することも可能である。
【0088】
更に、上記の各例では、説明の便宜上、地図及び移動経路が二次元で表示される場合について説明したが、地図及び移動経路は三次元で表示されても良いことは言うまでもない。
【0089】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
無線通信を行う端末装置の移動経路を推定する移動経路推定方法であって、
前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と加速度を検出する第2の検出部との検出結果に基づいて、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を制御部で取得し、
前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を前記制御部で取得し、
前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報と比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を前記制御部で行う
ことを特徴とする、移動経路推定方法。
(付記2)
絶対位置検出部で検出した前記端末装置の絶対位置を前記制御部で取得し、
前記絶対位置に基づいて前記端末装置の位置を含むエリアを特定するエリア情報を前記制御部で取得し、
前記マッチング処理は、前記エリア情報に対応するトポロジーデータを前記記憶部から読み出し、前記リンク情報と比較してパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力すると共に、類似度が前記閾値以上のトポロジーリンクがないと、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータと前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力する
ことを特徴とする、付記1記載の移動経路推定方法。
(付記3)
前記メタ情報は、前記端末装置が有する絶対位置検出部で検出した前記端末装置の絶対位置に関する情報、或いは、前記端末装置が通信している基地局からの電波環境又は基地局情報に基づいて特定可能な位置に関する情報であることを特徴とする、付記1又は2記載の移動経路推定方法。
(付記4)
前記メタ情報を取得するリンク上の任意の位置は、前記端末装置の進行方向の転換から所定距離の位置、進行方向の転換から所定時間経過した時点の位置、ユーザがメタ情報の取得を指示した時点の位置のいずれかであることを特徴とする、付記3記載の移動経路推定方法。
(付記5)
前記端末装置の位置を含むエリアを特定するエリア情報に対応するトポロジーデータを、前記基地局に対して要求して前記基地局内の記憶部から読み出すことを特徴とする、付記2乃至4のいずれか1項記載の移動経路推定方法。
(付記6)
前記マッチング処理において出力する対象となったトポロジーリンクに対するメタ情報を前記基地局内の記憶部に格納してデータベースを構築することを特徴とする、付記2乃至4のいずれか1項記載の移動経路推定方法。
(付記7)
無線通信を行う端末装置であって、
前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と、
前記端末装置の加速度を検出する第2の検出部と、
前記方位及び前記加速度に基づいて前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得し、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を取得する制御部とを有し、
前記制御部は、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータと前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行うことを特徴とする、端末装置。
(付記8)
前記端末装置の絶対位置を検出する絶対位置検出部を更に有し、
前記制御部は、前記絶対位置に基づいて前記端末装置の位置を含むエリアを特定するエリア情報を取得し、
前記制御部が行う前記マッチング処理は、前記エリア情報に対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報と比較してパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力すると共に、類似度が前記閾値以上のトポロジーリンクがないと、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータと前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力することを特徴とする、付記7記載の端末装置。
(付記9)
前記メタ情報は、前記端末装置が有する絶対位置検出部で検出した前記端末装置の絶対位置に関する情報、或いは、前記端末装置が通信している基地局からの電波環境又は基地局情報に基づいて特定可能な位置に関する情報であることを特徴とする、付記7又は8記載の端末装置。
(付記10)
前記メタ情報を取得するリンク上の任意の位置は、前記端末装置の進行方向の転換から所定距離の位置、進行方向の転換から所定時間経過した時点の位置、ユーザがメタ情報の取得を指示した時点の位置のいずれかであることを特徴とする、付記9記載の端末装置。
(付記11)
前記制御部は、前記端末装置の位置を含むエリアを特定するエリア情報に対応するトポロジーデータを、前記基地局に対して要求して前記基地局内の記憶部から読み出すことを特徴とする、付記9又は10記載の端末装置。
(付記12)
トポロジーデータを格納する記憶部を更に備え、
前記制御部は、前記エリア情報に対応するトポロジーデータを、前記端末装置内の前記記憶部から読み出すことを特徴とする、付記7乃至10のいずれか1項記載の端末装置。
(付記13)
端末装置と無線通信を行うサーバであって、
トポロジーデータを格納する記憶部と、
前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報と、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報とを前記端末装置から受信すると、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを前記記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行うプロセッサ
を備えたことを特徴とする、サーバ。
(付記14)
前記プロセッサは、前記端末装置の位置を含むエリアを特定するエリア情報と、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報と、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報とを前記端末装置から受信すると、前記エリア情報に対応するトポロジーデータを前記記憶部から読み出し、前記リンク情報と比較してパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力すると共に、類似度が前記閾値以上のトポロジーリンクがないと、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータと前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマップマッチング処理を行うことを特徴とする、付記13記載のサーバ。
(付記15)
前記メタ情報は、前記端末装置の絶対位置に関する情報、或いは、前記端末装置が通信している基地局からの電波環境又は基地局情報に基づいて特定可能な位置に関する情報であることを特徴とする、付記13又は14記載のサーバ。
(付記16)
前記プロセッサは、前記マッチング処理において出力する対象となったトポロジーリンクに対するメタ情報を前記記憶部に格納してデータベースを構築することを特徴とする、付記13乃至15のいずれか1項記載のサーバ。
(付記17)
無線通信を行う端末装置のコンピュータに、前記端末装置の移動経路を推定させるプログラムであって、
前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と加速度を検出する第2の検出部の検出結果に基づいて、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得する手順と、
前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を取得する手順と、
前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行う手順
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、プログラム。
(付記18)
絶対位置検出部で検出した前記端末装置の絶対位置を取得する手順と、
前記絶対位置に基づいて前記端末装置の位置を含むエリアを特定するエリア情報を取得する手順
を更に前記コンピュータに実行させ、
前記マッチング処理を行う手順は、前記エリア情報に対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報と比較してパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力すると共に、類似度が前記閾値以上のトポロジーリンクがないと、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータと前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力することを特徴とする、付記17記載のプログラム。
(付記19)
前記メタ情報は、前記端末装置が有する絶対位置検出部で検出した前記端末装置の絶対位置に関する情報、或いは、前記端末装置が通信している基地局からの電波環境又は基地局情報に基づいて特定可能な位置に関する情報であることを特徴とする、付記17又は18記載のプログラム。
(付記20)
前記メタ情報を取得するリンク上の任意の位置は、前記端末装置の進行方向の転換から所定距離の位置、進行方向の転換から所定時間経過した時点の位置、ユーザがメタ情報の取得を指示した時点の位置のいずれかであることを特徴とする、付記19記載のプログラム。
(付記21)
前記マッチング処理を行う手順は、前記コンピュータに、前記エリア情報に対応するトポロジーデータを前記基地局に対して要求して前記基地局内の記憶部から読み出させることを特徴とする、付記18乃至20のいずれか1項記載のプログラム。
(付記22)
前記マッチング処理において出力する対象となったトポロジーリンクに対するメタ情報を前記基地局内の記憶部に格納してデータベースを構築させる手順を更に前記コンピュータに実行させることを特徴とする、付記17乃至21のいずれか1項記載のプログラム。
(付記23)
無線通信を行うサーバのコンピュータに、端末装置の移動経路を推定させるプログラムであって、
前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報と、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報とを前記端末装置から受信する手順と、
前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行う手順
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、プログラム。
(付記24)
前記受信する手順は、前記端末装置の位置を含むエリアを特定するエリア情報を前記端末装置から更に受信し、
前記マッチング処理を行う手順は、前記エリア情報に対応するトポロジーデータを前記記憶部から読み出し、前記リンク情報と比較してパターンの類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力すると共に、類似度が前記閾値以上のトポロジーリンクがないと、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータと前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力することを特徴とする、付記23記載のプログラム。
(付記25)
前記メタ情報は、前記端末装置の絶対位置に関する情報、或いは、前記端末装置が通信している基地局からの電波環境又は基地局情報に基づいて特定可能な位置に関する情報であることを特徴とする、付記23又は24記載のプログラム。
【0090】
以上、開示の移動経路推定方法、端末装置、サーバ及びプログラムを実施例により説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良及び組合せが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0091】
20 制御部
30 絶対位置検出部
40 地磁気情報検出部
50 加速度情報検出部
60 表示部
62 入力部
70 通信部
90 CPU
100 携帯電話
500 サーバ
501 CPU
502 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行う端末装置であって、
前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と、
前記端末装置の加速度を検出する第2の検出部と、
前記方位及び前記加速度に基づいて前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得し、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を取得する制御部とを有し、
前記制御部は、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータと前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行うことを特徴とする、端末装置。
【請求項2】
端末装置と無線通信を行うサーバであって、
トポロジーデータを格納する記憶部と、
前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報と、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報とを前記端末装置から受信すると、前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを前記記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行うプロセッサ
を備えたことを特徴とする、サーバ。
【請求項3】
無線通信を行う端末装置のコンピュータに、前記端末装置の移動経路を推定させるプログラムであって、
前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と加速度を検出する第2の検出部の検出結果に基づいて、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を取得する手順と、
前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を取得する手順と、
前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行う手順
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、プログラム。
【請求項4】
無線通信を行うサーバのコンピュータに、端末装置の移動経路を推定させるプログラムであって、
前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報と、前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報とを前記端末装置から受信する手順と、
前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報とを比較して類似度が前記閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を行う手順
を前記コンピュータに実行させることを特徴とする、プログラム。
【請求項5】
無線通信を行う端末装置の移動経路を推定する移動経路推定方法であって、
前記端末装置に予め定められた軸が指し示す方位を検出する第1の検出部と加速度を検出する第2の検出部との検出結果に基づいて、前記端末装置の直線移動距離を組み合わせたリンクに関するリンク情報を制御部で取得し、
前記リンク上の任意の位置で前記端末装置の絶対位置に依存するメタ情報を前記制御部で取得し、
前記メタ情報から推定した絶対位置から所定距離内の範囲のエリアに対応するトポロジーデータを記憶部から読み出し、前記リンク情報と比較して類似度が閾値以上で最大のトポロジーリンクを取得して推定移動経路のデータとして出力するマッチング処理を前記制御部で行う
ことを特徴とする、移動経路推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−137423(P2012−137423A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290956(P2010−290956)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】