説明

移動通信装置及び自動送信方法並びに自動送信プログラム

【課題】現在位置情報を所望のタイミングで、また、現在位置情報の粗さを変更して、送信する移動通信装置を提供する。
【解決手段】問い合わせメールを受信した場合に、通知先に現在位置情報を送信する自動送信機能付き移動通信装置1において、移動通信装置1の現在位置情報を取得する位置情報取得手段15と、送信タイミングを規定する送信スケジュールを記憶するパラメータ記憶手段13と、送信スケジュールで規定された送信タイミングで、現在位置情報を通知先に送信する自動送信手段12を備える。送信スケジュールが規定する送信タイミングは、例えば、問い合わせメールの受信から所定時間経過後である。また、送信スケジュールは、複数の送信タイミングを規定すること、あるいは送信時刻を規定することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信装置、特に、自装置の現在位置情報を取得して、その現在位置情報を他の通信端末に送信する移動通信装置に関する。また、該移動通信装置による自動送信方法、該移動通信装置にインストールされる自動送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)装置を内蔵して、自装置の現在位置を測定する機能を有する移動通信装置は良く知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、特許文献2には、被保護者(子供、老人)にGPS部を備えるICタグ付端末を持たせて、前記被保護者の施設(塾、学校、老人養護施設)への入退室を検知して、通知先端末に通知する入退室記録通知システムが開示されている。また、前記通知先端末からのリクエストに応じて、前記ICタグ付端末が、自装置の現在位置を前記通知先端末に送信することも開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、GPS装置を内蔵して、特定の電子メールを受信すると該電子メールの送信元に自装置の現在位置情報を自動的に返信する移動通信装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、車両の搭乗者にGPS装置付の携帯電話機を携帯させて、携帯電話機から間欠的に送信される現在位置情報に基づいて車両の運行状況をリアルタイムで把握する車両管理システムが開示されている。
【0006】
また、特許文献5には、複数の建物を巡回する設備機器の保全作業者が携帯するGPS付通信端末からセンタ手段に、時刻情報及び位置情報を送信して、センタ手段で保全作業者による保全作業の実績を把握する作業履歴管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4051699号公報
【特許文献2】特開2006−18407号公報
【特許文献3】特開2003−308278号公報
【特許文献4】特開2004−171191号公報
【特許文献5】特開2003−303013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
GPS装置付きの移動通信装置は、自装置の現在位置を測定することができるので、特許文献2ないし特許文献5で提案されているように、遠隔地にある別の装置と交信して、自装置の現在位置をその別の装置に通知することができる。しかし、従来のGPS装置付きの移動通信装置には、次のような問題があった。
【0009】
特許文献2の入退室記録通知システムでは、通知先端末が被保護者の現在位置を逐次追跡しようとすれば、前記通知先端末から、位置情報送信リクエストを繰り返し送信する必要があり、操作が煩雑であった。
【0010】
同様に、特許文献3の移動通信装置も、移動通信装置を携帯する者の現在位置を逐次追跡するような場合は、問い合わせメールを繰り返し送信する必要があったので、やはり、操作が煩雑であった。
【0011】
また、特許文献4の車両管理システムでは、ホストコンピュータが望むタイミングで現在位置情報を取得することはできなかった。
【0012】
また、特許文献5の作業履歴管理装置も、センタ手段が望むタイミングで現在位置情報を取得することはできなかった。
【0013】
また、特許文献5の作業履歴管理装置は、就業時間だけでなく休憩時間においても、保全作業者の現在位置情報をセンタ手段に送信していた。そのため、保全作業者のプライバシー情報、例えば、休憩時間中に立ち寄った飲食店の店名などを管理者に知られてしまうと言う問題があった。本来、自由であるべき休憩時間中の行動を管理者に把握されるのは、あまり愉快なことではなかった。その為、必要に応じて大雑把な(粗い)現在位置情報を送信できる通信端末が求められていた。
【0014】
本発明は、このような背景の下でなされたものであり、現在位置情報を所望のタイミングで、また、現在位置情報の粗さを変更して、送信する移動通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明に係る移動通信装置は、問い合わせを受信した場合に、通知先に現在位置情報を送信する自動送信機能付き移動通信装置において、当該移動通信装置の現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記通知先に送信する送信タイミングを規定する送信スケジュールを記憶する送信スケジュール記憶手段と、前記送信スケジュールで規定された送信タイミングで、前記現在位置情報を前記通知先に送信する自動送信手段を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る自動送信方法は、現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、送信タイミングを規定する送信スケジュールを記憶する送信スケジュール記憶手段を備えて、問い合わせを受信した場合に、通知先に前記現在位置情報を送信する移動通信装置の自動送信方法において、前記問い合わせの受信に応答して、前記送信スケジュールで規定されたタイミングで現在位置情報を通知先に送信する現在位置情報送信段階を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る自動送信プログラムは、現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、送信タイミングを規定する送信スケジュールを記憶する送信スケジュール記憶手段を備えて、問い合わせを受信した場合に、通知先に前記現在位置情報を送信する移動通信装置を制御するコンピュータ装置にインストールされて、当該コンピュータ装置に、前記問い合わせの受信に応答して、前記送信スケジュールで規定されたタイミングで現在位置情報を通知先に送信する現在位置情報送信ステップを実行させることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、所望のタイミングで、現在位置情報を通知先に自動送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信装置のハードウェア構成を示す図である。
【図2】移動通信装置の機能的な構成を説明する図である。
【図3】制御パラメータの構成を示す図である。
【図4】移動通信装置と他の通信端末の関係を示す図である。
【図5】自動送信プログラムによる処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】回答メールに添付される地図画像の例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る移動通信装置1は、制御回路2、外部入出力装置3、GPS装置4、表示装置5、外部記憶装置6及び操作スイッチ7で構成される。
【0022】
制御回路2は、図示しない入出力装置、記憶装置、演算装置及び制御装置を備えるコンピュータ装置であり、後述する移動通信装置1の機能は、記憶装置に記憶されて演算装置で実行されるソフトウェア(制御プログラム)と、図1に示したハードウェアとの協働によって実現される。
【0023】
外部入出力装置3は、例えば、公衆無線電話回線のような移動体通信網8に接続されて、図示しない他の通信端末との間で情報を交換する装置である。例えば、他の通信端末から移動通信装置1に向けて送信された電子メールは移動体通信網8と外部入出力装置3を介して、移動通信装置1に入力される。また、移動通信装置1が他の通信端末に向けて送信する電子メールは外部入出力装置3と移動体通信網8を経由して当該他の通信端末に届けられる。
【0024】
GPS装置4は、全地球測位システム(Global Positioning System)を構成するGPS衛星9が発信する電波を受信して、移動通信装置1の地球上での位置(緯度、経度)を算出する公知の装置である。
【0025】
表示装置5は、移動通信装置1と他の通信端末の間で送受信される電子メールのテキスト、あるいは移動通信装置1の操作や制御に係る各種の情報(テキスト又は画像)を表示する装置、例えば液晶表示装置である。
【0026】
外部記憶装置6は、各種の情報を記憶する記憶装置である。なお、外部記憶装置6に記憶される情報の詳細については後述する。
【0027】
操作スイッチ7は、制御回路2に対する操作入力を行う装置、例えば、メカニカルスイッチやタッチパネルである。
【0028】
移動通信装置1の構成をその機能に基づいて説明すると図2のようになる。すなわち、移動通信装置1は、制御手段10、無線通信手段11、自動送信手段12、パラメータ記憶手段13、地図情報記憶手段14、位置情報取得手段15、地図画像作成手段16、表示手段17、及びパラメータ変更手段18を備える。
【0029】
制御手段10は、無線通信手段11以下の各構成要素を統合して、移動通信装置1を制御する手段であり、制御回路2と制御回路2に記憶された制御プログラムによって実現される。
【0030】
無線通信手段11は、移動通信装置1と図示しない他の通信端末との間で無線通信を行う手段であり、外部入出力装置3によって実現される。
【0031】
自動送信手段12は、無線通信手段11が、図示しない他の通信端末(送信元端末)から、移動通信装置1の現在位置情報を問い合わせる電子メール(以下、「問い合わせメール」という)を受信した場合に、移動通信装置1の現在位置を表す現在位置情報を含む電子メール(以下、「回答メール」という)を作成して、所定の通信端末(通知先端末)に自動送信する手段であり、制御回路2と制御回路2に記憶された制御プログラムによって実現される。なお、移動通信装置1の現在位置情報とは、位置情報取得手段15によって取得される移動通信装置1の地球上での位置(緯度、経度)である。
【0032】
パラメータ記憶手段13は、問い合わせメール及び回答メールの送受信を制御する制御パラメータを記憶する手段である。なお、ハードウェア構成で言えば、外部記憶装置6がパラメータ記憶手段13に相当する。
【0033】
パラメータ記憶手段13には、次のような制御パラメータが記憶される。
(1)送信元端末のメールアドレス
(2)通知先端末のメールアドレス
(3)送信スケジュール
(4)粗度階級
【0034】
ここで、送信スケジュールとは、回答メールの送信タイミングを規定するパラメータであり、後述するルールに従って記述された文字列である。また、自動送信手段12は、該ルールに従って送信スケジュールを解釈して送信タイミングを決定する。
【0035】
また、粗度階級は、地図画像作成手段16で参照されるパラメータであり、通知先に送信される現在位置情報の粗さを規定するパラメータである。粗度階級が高ければ、通知先に送信される現在位置情報は「粗く」なり、通知先では、移動通信装置1の概略位置だけが把握される。粗度が低ければ、通知先に送信される現在位置情報は「細かく」なり、通知先では、移動通信装置1の詳細位置が把握される。
【0036】
なお、制御パラメータの具体的な構成については、後述する。
【0037】
地図情報記憶手段14は、地図画像を作成するための図形及び文字情報(地図情報)を記憶する手段であり、後述するように、前記地図情報は地図画像作成手段16によって参照される。ハードウェア構成で言えば、外部記憶装置6が地図情報記憶手段14に相当する。
【0038】
位置情報取得手段15は、制御手段10によって制御されて、移動通信装置1の現在位置情報を取得する手段である。ハードウェア構成で言えば、GPS装置4が位置情報取得手段15に相当する。
【0039】
地図画像作成手段16は、位置情報取得手段15によって取得された移動通信装置1の現在位置情報の粗さをパラメータ記憶手段13に記憶された粗度階級に従って変更し、粗さが変更された現在位置情報を地図上に重ねて、地図画像を作成する手段である。現在位置情報を粗くすれば、移動通信装置1の現在位置は通知先端末において概略に(例えば、町名が把握される程度に)表示される。現在位置情報の粗さを変更しなければ、移動通信装置1の現在位置は通知先端末において詳細に(例えば、建物名称まで認識できる程度に)表示される。言い替えれば、地図画像作成手段16は、移動通信装置1の現在位置情報を、粗度階級で指定された粗さに丸めた画像を作成する手段である。
【0040】
なお、地図画像作成手段16は、制御回路2と制御回路2に記憶された制御プログラムによって実現される。また、地図画像作成手段16は地図情報記憶手段14から読み出した地図情報に基づいて前記地図画像を作成する。地図画像作成手段16で作成される地図画像の具体的な内容は後述する。
【0041】
表示手段17は、移動通信装置1と他の通信端末の間で送受信される電子メールのテキスト、あるいは移動通信装置1の操作や制御に係る各種の情報(テキスト又は画像)を表示する手段であり、表示装置5によって実現される。
【0042】
パラメータ変更手段18は、制御パラメータを変更、追加して、パラメータ記憶手段13に上書きする手段である。ハードウェア構成で言えば、操作スイッチ7と、制御回路2と、制御回路2に書き込まれた制御プログラムがパラメータ変更手段18に相当する。
【0043】
さて、パラメータ記憶手段13に記憶される制御パラメータの構成例を図3に示す。
【0044】
制御パラメータは、図3に示すように横に並ぶ4個の制御パラメータ(送信元端末(のメールアドレス)、通知先端末(のメールアドレス)、送信スケジュール及び粗度階級)が組をなして、互いに対応している。
【0045】
例えば、図3の1行目は、メールアドレス1234@XYZを有する送信元端末からの問い合わせメールに対する回答メールの宛先(通知先端末)を、メールアドレス5678@XYZを有する通信端末に指定することを意味している。また、メールアドレス1234@XYZを有する通信端末からの問い合わせメールに対する回答メールの送信スケジュールと粗度階級を指定している。
【0046】
なお、通知先端末のメールアドレスは、送信元端末のメールアドレスと異なっていてもよいし、同一であってもよい(図3の1行目及び2行目参照)。
【0047】
したがって、移動体通信装置1は、図4(a)に示すように、ある通信端末19からの問い合わせメールを受信した場合に、回答メールをその通信端末19に送信することもできるし、図4(b)に示すように、ある通信端末20からの問い合わせメールを移動通信装置1が受信した場合に、別の通信端末21に回答メールを送信することもできる。
【0048】
送信元端末と通知先端末が同一の場合とは、例えば、親が自分の携帯電話(通信端末19)から、外出中の子供のGPS付携帯電話(移動通信装置1)を呼び出して、その子供の現在位置を自分の携帯電話(通信端末19)に通報させる場合である。送信元端末と通知先端末が異なる場合とは、例えば、通信端末20は、学習塾に設置された入退室記録通知システム(特許文献2参照)であって、ある生徒の退室を検知した場合に、その生徒が携帯するGPS付携帯電話(移動通信装置1)を呼び出して、その生徒の現在位置をその生徒の親の携帯電話(通信端末21)に通報させる場合である。
【0049】
さて、図3に戻って、制御パラメータの説明を続ける。
【0050】
前述したように、送信スケジュールは、所定のルールに従って記述された文字列であり自動送信手段12は該ルールに従って送信スケジュールを解釈して送信タイミングを決定する。ここでは、次のようなルールに従って送信スケジュールが記述される。
【0051】
(1)送信タイミングを時間(分)で記述する場合は、2桁の数字の組で記述する(例えば、即時に送信する場合は00、15分後に送信する場合は30のように記述する)。
(2)送信タイミングを時刻(時分)で記述する場合は、4桁の数字の組で記述する(例えば、16時30分に送信する場合は1630のように記述する)。
(3)送信タイミングが複数ある場合は、2桁又は4桁の数字の組をカンマで区切って記述する(例えば、00,15,25のように記述する)。
【0052】
例えば、図3の1行目には送信スケジュールとして文字列00が記載されている。これは移動体通信装置1がメールアドレス1234@XYZを有する送信元端末からの問い合わせメールを受信すると、ただちに(時間を置かずに)回答メールを送信することを意味している。図3の2行目の文字列30は問い合わせメールの受信から30分が経過した後に回答メールを送信することを意味している。図3の3行目の文字列10,25,40は問い合わせメールの受信から10分後に1回目の回答メールを送信し、その25分後に2回目の回答メールを、さらに40後に3回目の回答メールをそれぞれ送信することを意味している。また、図3の4行目の文字列1630は、16時30分に回答メールを送信することを意味している。
【0053】
粗度階級は、後述するように地図画像作成手段16で参照されるパラメータであり、通知先端末に送信される現在位置情報の粗さを規定するパラメータである。粗度階級が高ければ、通知先に送信される現在位置情報は「粗く」なり、通知先端末では、移動通信装置1の概略位置だけが把握される。粗度階級が低ければ、通知先に送信される現在位置情報は「細かく」なり、通知先端末では、移動通信装置1の詳細位置が把握される。
【0054】
ここでは、粗度階級は、文字”A”、”B”及び”C”で表示される。粗度階級”A”は現在位置情報を町名(丁目)レベルに、粗度階級”B”は現在位置情報を街区(住居表示の「番」)レベルに、それぞれ丸めて通知先端末に送信することを意味する。また、粗度階級”C”は現在位置情報を街区(住居表示の「番」)レベルで通知先に送信すること、つまり、最も詳細な現在位置情報を通知先端末に送信することを意味する。
【0055】
さて、回答メールの送信は、図5に示す自動送信プログラムによって処理される。自動送信プログラムは前述した制御プログラムの一部であって、制御回路2に記憶される。また、自動送信プログラムによる処理は、図3に示したような制御パラメータによって制御される。以下、図3に示した制御パラメータがパラメータ記憶手段13に記憶されている場合を例にして、自動送信プログラムによる処理を説明する。
【0056】
自動送信プログラムは、他の通信端末から送信された問い合わせメールを移動通信装置1が受信した時に起動される。自動送信プログラムが起動されると、制御回路2は起動の契機になった問い合わせメールの送信元の通信端末のメールアドレス(以下、「受信メールアドレス」と言う)をパラメータ記憶手段13に記憶された送信元端末のメールアドレスと照合する。そして、受信メールアドレスがパラメータ記憶手段13に記憶されていれば(ステップS01;Yes)、ステップS02に進む。
【0057】
なお、受信メールアドレスがパラメータ記憶手段13に記憶されていない場合(ステップS01;No)は、処理を終了する。不正な問い合わせメールを排除するためである。また問い合わせメール以外の単なる通信メールを排除するためである。
【0058】
受信メールアドレスがパラメータ記憶手段13に記憶されていれば、受信メールアドレスに対応する回答メールの宛先(通知先端末)のメールアドレスをパラメータ記憶手段13から読み出す(ステップS02)。例えば、移動体通信装置1がメールアドレス1234@XYZを有する送信元端末からの問い合わせメールを受信すると、自動送信手段12は、パラメータ記憶手段13の中から送信元端末1234@XYZに対応する通知先端末を捜す(図3に即して言えば、送信元端末1234@XYZと同じ行(行番号1)に記載された通知先端末を捜す)。その結果、通知先端末のメールアドレスとして5678@XYZが読み出される。
【0059】
次に、受信メールアドレスに対応する送信スケジュールをパラメータ記憶手段13から読み出す(ステップS03)。例えば、移動体通信装置1がメールアドレス5678@XYZの送信元端末からの問い合わせメールを受信すると、自動送信手段12は、パラメータ記憶手段13の中から送信元端末5678@XYZに対応する送信スケジュールを捜す(図3に即して言えば、送信元端末5678@XYZと同じ行(行番号2)に記載された送信スケジュールを捜す)。その結果、送信スケジュール30が読み出される。同様に、メールアドレス9012@XYZの送信元端末からの問い合わせメールを受信すると、図3の行番号3から送信スケジュール10,25,40が読み出される。
【0060】
次に、受信メールアドレスに対応する粗度階級をパラメータ記憶手段13から読み出す(ステップS04)。例えば、移動体通信装置1がメールアドレス5678@XYZを有する送信元端末からの問い合わせメールを受信すると、自動送信手段12は、パラメータ記憶手段13の中から送信元端末5678@XYZに対応する粗度階級を捜す(図3に即して言えば、送信元端末5678@XYZと同じ行(行番号2)に記載された粗度階級を捜す)。その結果、粗度階級Aが読み出される。同様に、メールアドレス9012@XYZを有する送信元端末からの問い合わせメールを受信すると、図3の行番号3から粗度階級Bが読み出される。
【0061】
次に、ステップS03で読み出された送信スケジュールで規定された送信タイミングまで処理を一時停止する(ステップS05)。例えば、ステップS03で送信スケジュール30が読み出された場合は、30分経過するまで処理を停止する。また、送信スケジュール1630が読み出された場合は、16時30分まで処理を停止する。
【0062】
送信タイミングに到達したら、位置情報取得手段15を動作させて、つまり、GPS衛星9が発信する電波をGPS装置4で受信して、移動通信装置1の現在位置情報(緯度、経度)を取得する(ステップS06)。
【0063】
移動通信装置1の現在位置情報を取得したら、地図画像作成手段16を動作させて、ステップS04で読み出された粗度階級に応じて、現在位置情報の粗さを変更し、粗さを変更された現在位置情報を示すマーク(後述)を地図画像に重ね(ステップS07)、その地図画像を電子メール(回答メール)に添付して、ステップS02で読み出されたメールアドレスを持つ通信端末(通知先端末)に送信する(ステップS08)。
【0064】
そして、ステップS03で読み出された送信スケジュールが完了したら(ステップS09;Yes)、処理を終わる。送信スケジュールが完了していなければ(ステップS09;No)、ステップS05に戻って処理を続ける。
【0065】
なお、送信スケジュールが完了していない場合とは、ステップS03で読み出された送信スケジュールにおいて、複数の送信タイミングが指定されていて、まだ送信が完了していない送信タイミングがある場合を言う。例えば、ステップS03で送信スケジュール10,25,40が読み出されて、1回目の送信(問い合わせメールの受信から10分後)が完了していて、2回目の送信(1回目の送信から25分後)及び3回目の送信(2回目の送信から40分後)が完了していない状態を言う。
【0066】
次に、移動通信装置1の作用を説明する。
【0067】
たとえば、学習塾に通う子供が、次のようなパターンで帰宅する場合を考える。
(1)学習塾から学習塾最寄り駅まで徒歩10分
(2)学習塾最寄り駅から自宅最寄り駅まで電車で15分
(3)自宅最寄り駅から自宅まで徒歩15分
【0068】
このような場合に、その子供がパターン通りの行動をしているがどうか、つまり、予定時刻に予定の場所(学習塾最寄り駅、自宅最寄り駅および自宅)に到着しているか否かを親が知りたければ、その子供が携帯する移動通信装置1のパラメータ記憶手段13に送信スケジュール10,15,15を記憶させて、その子供が学習塾を退出するタイミングで問い合わせメールを送ればよい。また、問い合わせメールの送信元は当該学習塾の入退室記録通知システム(特許文献2参照)であってもよいし、入退室記録通知システムを通じて子供が学習塾から退出したことを知らされた親が持つ通信端末であってもよい。
【0069】
また、例えば、従業者が特定の時刻に何処に居るかを管理者が把握する必要がある場合は、その従業者が携帯する移動通信装置1のパラメータ記憶手段13にその特定の時刻を
記憶すればよい。
【0070】
また、移動通信装置1のパラメータ記憶手段13に送信スケジュール00を記憶させておけば、その移動通信装置1を携帯する者が何処にいるかを、ほぼリアルタイムで知ることができる。
【0071】
このように、移動通信装置1は、現在位置情報を所望のタイミングで通知先端末に通知することができる。
【0072】
最後に、現在位置情報の粗さの変更の効果について説明する。
【0073】
図6は回答メールに添付される地図画像の例である。前述したように、位置情報取得手段15で取得された移動通信装置1の現在位置情報は、地図画像作成手段16において、制御パラメータ(粗度階級)で指定された粗さに変更されて地図画像に表示される。その結果、図6に示すような、移動通信装置1の現在位置を表示するマーク22を地図の上に重ねた地図画像の形で通知先端末に自動送信される。
【0074】
例えば粗度階級Aが指定されると、マーク22はおおよそ、町名(丁目)レベルの粗さで表示される(図6(a)参照)。また粗度階級Bが指定されると、マーク22はおおよそ、街区(住居表示の「番」)レベルの粗さで表示される(図6(b)参照)。また粗度階級Cが指定されると、マーク22は、建物(住居表示の「号」)単位の細かさで表示される(図6(c)参照)。つまり、粗度階級Aの場合、町名(丁目)単位の大雑把な現在位置情報しか通知されないが、粗度階級B、Cになると、より詳細な現在位置情報が通知先端末に通知される。
【0075】
粗度階級は、現在位置情報を通知する目的、あるいは移動通信装置1を携帯する者と、通知先端末の関係によって選ばれる。例えば、学習塾からの帰宅途中の子供の現在位置を親に通知する場合は、親は子供の詳細な現在位置情報を必要とするから、粗度階級Cを指定して、詳細な情報を親に通知する。また、会社の管理者が、休憩中の外勤者の所在を確認する場合は、粗度階級Aを指定して外勤者のプライバシーを保護する。
【0076】
このように、移動通信装置1は、現在位置情報を所望の粗さで通知先端末に通知することができる。
【0077】
なお、以上説明した実施形態は例示であって、本発明の技術的範囲は上記実施形態には限定されない。本発明は特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲において、自由に変形、応用、あるいは改良して実施することができる。
【0078】
例えば、上記実施形態では、移動通信装置1が公衆無線電話回線に接続される例を示したが、公衆無線電話回線に接続されるものに限定されない。また、移動通信装置1は「電話」には限定されない。つまり、移動通信装置1は音声を送受信する機能を備えていなくても良い。要するに、移動通信装置1は、人に携帯されて、人と共に移動できて、移動した先で他の通信端末と相互に通信できれば十分であり、通信方式や利用する通信インフラストラクチャは問わない。また、移動通信装置1は、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Data Assistance:携帯型情報通信機器)であっても良い。
【0079】
また、上記実施形態では、送信元端末から移動通信装置1に問い合わせメールが送信されて、移動通信装置1が回答メールを通知先端末に送信する例を示したが、移動通信装置1と他の通信端末の間の通信は、電子メールによる通信には限定されない。他の通信形式が選択されても良い。
【0080】
また、上記実施形態では、移動通信装置1にGPS装置4を備える例を示したが、位置情報取得手段15はGPS装置4には限定されない。位置情報取得手段15は、例えば、慣性航法装置であっても良いし、電波航法装置であっても良い。あるいは、将来、GPSに代わる測位システムが出現したならば、それを利用しても良い。
【0081】
また、GPS装置4あるいは位置情報取得手段15の機能の一部を他の装置や通信インフラストラクチャに依存させても良い。例えば、GPS装置4にGPS衛星9と通信する機能だけを備えて、GPS衛星9から取得したデータを移動体通信網8を構成する図示しないサーバー装置に送って、該サーバー装置で移動通信装置1の位置(緯度、経度)の算出を行い、算出された位置を移動通信装置1に返信するようにすることもできる。
【0082】
また、上記実施形態では、移動通信装置1が地図画像を通知先端末に送信する例を示したが、移動通信装置1が通知先端末に送信する現在位置情報は地図画像には限定されない。位置情報取得手段15で取得された緯度及び経度の数値を、そのまま、あるいは粗くした数値を、通知先端末に送信するようにしても良い。この場合、通知先端末に地図画像作成手段16を備えて、移動通信装置1から送信された緯度及び経度の数値に基づいて、移動通信装置1の現在位置を地図画像にマークすれば良い。
【0083】
また、上記実施形態では、移動通信装置1にパラメータ変更手段18を備えて、パラメータ記憶手段13に記憶される制御パラメータの内容を変更、追加するようにした例を示したが、パラメータ変更手段18を省いても良い。例えば、外部記憶装置6をEPROMで構成して、制御パラメータの書き換えを行う場合は、外部記憶装置6(EPROM)を
移動通信装置1から取り外して、EPROMライターで制御パラメータを書き換えて、その後、移動通信装置1に取り付けるようにすれば、パラメータ変更手段18は不要である。
【0084】
また、上記実施形態では、パラメータ記憶手段13に通知先端末のメールアドレスを記憶させて、受信メールアドレスに対応する通知先端末に回答メールを送信する例を示したが、通知先端末のメールアドレスを省くこともできる。例えば、常に送信元端末に回答メールを返信する場合は、通知先端末のメールアドレスは不要である。
【0085】
また、上記実施形態では、受信メールアドレスとパラメータ記憶手段13に記憶された送信元端末のメールアドレスを照合する例を示したが、送信元端末のメールアドレスを省くこともできる。例えば、全ての問い合わせメールに無条件で応答するような構成を選択する場合は送信元端末のメールアドレスは不要である。あるいは、受信メールアドレスとパラメータ記憶手段13に記憶された送信元端末のメールアドレスの照合に加えて、あるいは、代えて、パスワードによる認証を行うようにしても良い。例えば、問い合わせメールの、タイトルあるいは本文にパスワードを記載して、パラメータ記憶手段13に登録されたパスワードと照合しても良い。また、パスワードによる認証を行えば、パスワードの有無によって、問い合わせメールとそれ以外の電子メール(つまり、単なる通信文の送付)との区別ができるので、好都合である。
【符号の説明】
【0086】
1 移動通信装置
2 制御回路
3 外部入出力装置
4 GPS装置
5 表示装置
6 外部記憶装置
7 操作スイッチ
8 移動体通信網
9 GPS衛星
10 制御手段
11 無線通信手段
12 自動送信手段
13 パラメータ記憶手段
14 地図情報記憶手段
15 位置情報取得手段
16 地図画像作成手段
17 表示手段
18 パラメータ変更手段
19 通信端末
20 通信端末
21 通信端末
22 マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
問い合わせを受信した場合に、通知先に現在位置情報を送信する自動送信機能付き移動通信装置において、
当該移動通信装置の現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記通知先に送信する送信タイミングを規定する送信スケジュールを記憶する送信スケジュール記憶手段と、
前記送信スケジュールで規定された送信タイミングで、前記現在位置情報を前記通知先に送信する自動送信手段を備える
ことを特徴とする移動通信装置。
【請求項2】
前記送信スケジュールは、前記問い合わせの受信からの経過時間で送信タイミングを規定する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項3】
前記送信スケジュールは、複数回の送信タイミングを規定する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項4】
前記送信スケジュールが規定する送信タイミングは、所定の時刻である
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項5】
前記通知先に送信する前記現在位置情報の粗さを変更する粗度変更手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項6】
前記通知先に送信する前記現在位置情報の粗さを規定する粗度階級を記憶する粗度階級記憶手段を備えて、
前記粗度変更手段は、前記現在位置情報を、前記粗度階級で規定された粗さに変更する
ことを特徴とする請求項5に記載の移動通信装置。
【請求項7】
前記通知先を規定する通知先パラメータを記憶する通知先パラメータ記憶手段を備えて、
前記自動送信手段は、前記通知先パラメータで規定された通知先に、前記現在位置情報を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の移動通信装置。
【請求項8】
前記通知先は、前記問い合わせを送信した送信元である
ことを特徴とする請求項7に記載の移動通信装置。
【請求項9】
現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、送信タイミングを規定する送信スケジュールを記憶する送信スケジュール記憶手段を備えて、問い合わせを受信した場合に、通知先に前記現在位置情報を送信する移動通信装置の自動送信方法において、
前記問い合わせの受信に応答して、前記送信スケジュールで規定されたタイミングで現在位置情報を通知先に送信する現在位置情報送信段階を有する
ことを特徴とする自動送信方法。
【請求項10】
現在位置情報を取得する位置情報取得手段と、送信タイミングを規定する送信スケジュールを記憶する送信スケジュール記憶手段を備えて、問い合わせを受信した場合に、通知先に前記現在位置情報を送信する移動通信装置を制御するコンピュータ装置にインストールされて、
当該コンピュータ装置に、
前記問い合わせの受信に応答して、前記送信スケジュールで規定されたタイミングで現在位置情報を通知先に送信する現在位置情報送信ステップを実行させる
ことを特徴とする自動送信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−137757(P2011−137757A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298890(P2009−298890)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】