説明

空間温度分布の制御方法及び装置

【課題】反応性イオンエッチング及び同様な加工中半導体ウェーハの温度を制御する方法及び装置を提供する。
【解決手段】プラズマ加工装置用のチャックは、温度制御式ベースと、断熱材と、フラット支持体と、加熱器とを含む。温度制御式ベースは、操作中、加工物の望ましい温度以下の温度に制御される。断熱材は、温度制御式ベースの少なくとも一部分に上に配置される。フラット支持体は、加工物を保持し且つ断熱材の上に配置される。加熱器は、フラット支持体内に埋め込まれ及び又はフラット支持体の下側に取り付けられる。加熱器は、複数の対応する加熱ゾーンを加熱する複数の加熱素子を含む。各加熱素子に供給される電力及び又は各々の加熱素子の温度は、独立に制御される。加熱器及びフラット支持体は、毎秒少なくとも1℃の組合せ温度割合変化を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板支持体に関する。特に、本発明は、プラズマ加工中基板内に均一温度分布を達成するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的なプラズマエッチング装置は、リアクタを含み、該リアクタには、反応ガス或いは複数の反応ガスが流れるチャンバが存在する。ガスは、チャンバ内で、典型的には高周波エネルギーによってプラズマの中へイオン化される。プラズマガスの極めて反応性が高いイオンは、集積回路(IC)に加工される半導体ウェーハ表面のポリマーマスクのような材料と反応することができる。エッチングの前に、ウェーハは、チャンバ内に配置され、ウェーハの上面をプラズマに露出させるチャック或いはホルダーによって適当な位置に保持される。いくつかの種類のチャック(サセプタとも呼ばれる)がこの技術分野で知られている。チャックは、等温面を提供し且つプラズマによってウェーハに与えられた熱を除去する、ウェーハのためのヒートシンクとして役立つ。或る種類のチャックでは、半導体ウェーハは、機械的クランプ手段によりエッチングのために適所に保持される。別の種類のチャックでは、半導体ウェーハは、チャックとウェーハとの間の電界によって発生される静電気力により適所に保持される。本発明は、両方の種類のチャックに適用することができる。
【0003】
代表的なプラズマエッチング操作では、プラズマガスの反応性イオンは、半導体ウェーハ面の材料の一部と化学的に反応する。ある加工は、ウェーハにある程度の加熱を引き起すが、加熱のほとんどは、プラズマによって引き起される。他方、プラズマ(イオン及びラジカル)とウェーハ材料との間の反応は、ウェーハの温度上昇によってある程度まで加速される。ウェーハ上の各微視的な点におけるウェーハの局部的温度及び反応速度は、ウェーハの面積を横切るウェーハの温度があまりにも変化するならばウェーハの面の上の材料のエッチングの有害なむらが容易に生ずることがある程度に関係する。ほとんどの場合、エッチングがほぼ完璧な程度に均一であることが極力望ましい。そうでなければ、製造される集積回路装置(IC)は、望ましい基準から外れる電子特性を有する。更に、ウェーハ径の大きさが増すごとに、より大きなウェーハからICの各バッチの均一性を確保することの問題がさらに難しくなる。その他の場合には、カスタムプロフィールを得るためにウェーハの表面温度を制御することができることが望ましい。
【0004】
反応性イオンエッチング(RIE)中ウェーハの温度上昇の問題は、よく知られており、RIE中ウェーハの温度を制御するいろいろな試みが過去になされてきた。図1は、RIE中ウェーハ温度を制御するための一つの方法を示す。(ヘリウムのような)冷却ガスが、ウェーハ104の底とウェーハ104を保持するチャック106の上面との間の単一の薄い空間102内に単一の圧力で入れられる。
【0005】
一般的に、冷却材漏れを減らすためにチャック106の外縁で約1mmないし約5mm延びる平滑密封ランドを除いてチャック外周部にはOリング或いは他の縁シールがない。必然的に、エラストマーシールなしでは、密封ランド全体にわたって顕著な漸進的圧力損失があり、ウェーハ104の縁が不適当に冷却されるかもしれない。従って、ウェーハ104の縁の近くに当たる熱流108は、チャックに効果的に導かれる前にかなり半径方向内方に流れなければならない。ウェーハ104の上の矢印106は、ウェーハ104を加熱する入り熱流を示す。ウェーハ104の中の熱の流れは、矢印110で示される。これは、チャックの縁帯域が何故表面の残部よりも常に熱くなる傾向があるかを説明する。図2は、ウェーハ104の代表的な温度分布を示す。ウェーハ104の周辺部分の圧力損失により、ウェーハ104の周辺部分がさらに熱くなる。
【0006】
ゾーン冷却の必要性に対処する一つの方法は、局部的な接触面積を効果的に変えるために表面粗さを変化させること或いはレリーフ(浮彫り)パターンを切ることにある。係る方式は、全く背面冷却材ガスなしで用いることができ、その場合には、接触面積、表面粗さ、及びクランプ力が熱伝導を決める。しかしながら、局部的な接触面積は、チャックを再加工することによってのみ調整することができる。ゾーン冷却の必要性に対処する別の方法は、冷却材ガスを用い、熱移動を増やしかつ微調整するために冷却材ガスの圧力を変えることである。しかしながら、レリーフパターンは、依然として実質的に固定される。チャックの表面を、ディバイダとしての小さい密封ランドの有無に関わらず、異なるゾーンに分割することによって、且つ別々の冷却ガスを各ゾーンに供給することによって、かなりの程度の独立の空間制御を達成しうる。各ゾーンへのガス供給は、異なる組成を有してもよいし、或いは異なる圧力に設定されてもよい、かくして熱伝導を変化させる。各ゾーンの作動条件は、レシピ制御の下に設定されてもよいし、或いは各加工段階中動的に安定化されてもよい。係る方式は、プラズマからの入り熱流を再分配し且つそれを異なる領域に引き出すことに依存する。これは、高電力熱流で比較的有効であるが、低電力熱流では小さな温度差を与えるだけである。例えば、約1W/cm2の均一熱流及び約3mmの密封ランドでは、ウェーハ周辺近くで10℃ないし30℃の温度増加に導く中心ないしエッジの熱勾配を得ることが可能である。この大きさの熱勾配は、加工制御パラメータとして非常に効果的でありうる。しかしながら、他の加工が低電力で行なわれてもよく、例えばポリゲート加工がほんの0.2W/cm2の熱流を有してもよい。非常に制御しにくく且つ不適当な全体冷却をもたらす傾向がある、平均伝導を極端に低くしない限り、典型的には5℃以下の非常に小さな差が存在だけである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、かなりのプラズマ熱流を要求することなく反応性イオンエッチング及び同様な加工中半導体ウェーハの温度を制御するための方法及び装置の要求が存在する。本発明の主要な目的は、これらの要求を解決し且つ関連した利点を更に提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
プラズマ加工装置のためのチャックは、温度制御式ベースと、断熱材と、フラット支持体と、加熱器と、を含む。温度制御式ベースは、操作中、加工物の望ましい温度以下の温度に制御される。断熱材は、温度制御式ベースの少なくとも一部分の上に配置される。フラット支持体は、加工物を保持し且つ断熱材の上に配置される。加熱器は、フラット支持体内に埋め込まれ及び又はフラット支持体の下側に取り付けられる。加熱器は、複数の対応する加熱ゾーンを加熱する複数の加熱素子を含む。各加熱素子に供給される電力及び又は各加熱素子の温度は、独立に制御される。加熱器及びフラット支持体は、毎秒少なくとも1℃の組合せ温度割合変化を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】先行技術による加工中ウェーハを保持する支持体の概略正面図である。
【図2】先行技術による図1の装置のウェーハの温度及び冷却液の圧力を示す図表である。
【図3】本発明の一実施形態による加工物の温度を制御するための装置を示す概略正面図である。
【図4】図3の装置の熱流力学の簡易図である。
【図5】本発明の別の実施形態による加工物の温度を制御するための装置を示す概略正面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるエッチング中チャックの温度を制御するための方法を示すフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態によるチャックの温度を制御するためのシステムの概略図である。
【図8】本発明の一実施形態による二つの空間領域ゾーンを有するウェーハ支持体の例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態を加工物支持体に関連してここに記述する。当業者は、本発明の以下の詳細な説明が単に例証であり、いかなる意味においても限定になるものではない、ということを認識するであろう。本発明の他の実施形態は、それ自体をこの開示の利益を有するそのような当業者に容易に思付かせるであろう。今、添付図面に図示されるように本発明の実施例を詳細に参照する。同じ或いは同様の部分を示すために、図面及び以下の詳細な説明全体を通して同じ参照表示が用いられる。
【0011】
明瞭にするために、ここに記述される実施のごく普通の部分の全ては示されていないし又記述されてもいない。勿論、そのような実際の実施の開発において、多くの実施−特別の決定を、アプリケーション−及びビジネス関連制約の順守のような、開発者の特別の目標を達成するために行なわなければならないし、これらの特別の目標は、その実施により(一つの実施から別の実施まで)及びその開発者により(一人の開発者から別の開発者まで)変化するであろう、ということが理解されるであろう。さらに、そのような開発の努力は、複雑であり時間がかかるが、それにもかかわらず、この開示の利益を有する当業者にとっては、エンジニアリングの日常の仕事になるということが理解されるであろう。
【0012】
本発明の装置は、正確に著しい温度差制御、例えば5℃以上、を達成するが、しかし著しいプラズマ熱流、例えば2W/cm2以下、を必要としないことを求する。図3は、本発明の一実施形態に従って加工物の温度を制御するための装置を示す概略正面図である。温度制御式ベース302或いは熱交換機がウェーハ310の所望温度以下の一定温度を有する。ベース302は、断熱材304を支持する。好適にはフラットな、支持体306が、断熱材304の上に取り付けられる。加熱器308が支持体306に埋め込まれる。ウェーハ310が支持体306の上に配置される。熱導体312が支持体306とウェーハ310との間の親密な熱接触をもたらす。熱導体312は、好適にはヘリウムのようなガスであるのがよい。ヘリウムの圧力は、ウェーハ310と支持体306との間の熱伝導を制御する。しかしながら、熱導体312の熱伝導率は、20或いは30トルのようなより高い圧力で感圧性が低くてもよい。
【0013】
一実施形態では、ベース302は、金属材料、好ましくは、アルミニウムベース低温板からなり、該アルミニウムベース低温板は、冷却/加熱流体ループのような在来の熱交換システムにより比較的一定の温度に維持され、かつ操作中水平方向に均一な温度に保持される。別の実施形態では、ベース302は、また、硝酸アルミニウムのような、非金属材料からなっていてもよい。しかしながら、ベース302を、加熱器308なしで標準操作におけるよりも大いに冷やさなければならない。例えば、ベース302の温度は、ウェーハの所望温度以下の10℃〜50℃であるのがよい。ベース302は、また、プラズマ加熱のために熱シンクを提供する。外部冷却液冷却装置(図示せず)をベース302の温度を維持するために用いてもよい。好ましくは、外部冷却液冷却装置によって取り除かれる熱量及び冷却液の温度は、2000W及び−20℃以下にそれぞれ制限されるのがよい。冷却装置側のより大きな容量は、熱応答を助ける−1〜2kW動作に制限することがより経済的に実用的である。ベース302は、いくつかの穴或いキャビティ(図示せず)を更に有し、加熱器電力線314或いは他のサービスラインがそれを通して配置される。係るサービスライン314は、加熱器、センサ、高電圧静電気クランピング、ガス供給、及びウェーハ吊り上げのための電力線からなるかもしれない。当業者は、サービスラインが先に示したものに限定されないということをいま認識するであろう。
【0014】
一実施形態では、断熱材304は、支持体306とベース302との間の重要なサーマルインピーダンスブレークとして作用する。断熱材304は、厚いRTV結合接着剤層からなってもよいし、或いはポリマー、プラスチック、或いはセラミックで作られてもよい。しかしながら、断熱材304のサーマルインピーダンスブレークは、過度すぎることがなく、そうでなければ、ウェーハ310は、十分に冷却されないであろう。例えば、断熱材は、約0.05W/mK〜約0.20W/mKの範囲の熱伝導率を有するのがよい。この場合の断熱材304は、熱抵抗素子と、支持体306とベース302との間の結合との両方として作用する。更に、断熱材304は、プラズマとベース302との間の適切なRF結合が維持されるようでなければならない。また、断熱材304は、層の上下に配置される異なる材料及び温度による大きな熱−機械的剪断力を許容しなければならない。断熱材304は、加熱器電力線314及び他のサービスラインの部分を収容するためのベース302のキャビティに隣接するいくつかのキャビティ或いはバイアス(図示せず)を更に有するのがよい。
【0015】
一実施形態では、支持体306は、セラミック材料からなる。セラミックは、例えば、セラミックアルミナのような、非導電性材料であるのがよい。支持体306の形状は、好ましくは、プラズマエッチングシステムで一般的に用いられる在来の円盤を含むのがよい。支持体306は、通常の静電気チャックであってもよいし或いはウェーハ310を抑えるための機械的クランプを有するセラミックであってもよい。別の実施形態によれば、支持体306構造は、“ベースに結合された薄い円盤”の種類であるか、そうでなければ、横方向の伝導があまりにも高いので加熱器入力が横方向に拡がり無効ゾーン分離をもたらす。支持体306は、熱を局所的に消散させるべきである。
【0016】
加熱器308は、少なくとも一つの抵抗加熱素子を含む。一実施形態によれば、加熱器308は、クランプ電極平面の下で支持体306に埋設され且つ望ましいパターン、例えば、対称或いは任意に成形されるのがよい。加熱器308は、また、一つ以上の平面加熱素子を含むのがよい。各加熱素子は、個別に制御されうる加熱ゾーン又は領域を画成する。マルチゾーンパターンは、支持体306に対する伝導冷却に反抗して機能する一つ以上の平面加熱素子を有する。支持体306に対する加熱器308によってもたらされる温度速度変化は、少なくとも毎秒1℃であるのがよい。
【0017】
各加熱ゾーンと関連した少なくとも一つのセンサ309は、各加熱ゾーンの温度を測定し且つ信号をコントローラ或いはコンピュータシステム(図7参照)に送信して各個々の平面加熱素子を監視し且つ制御するのがよい。例えば、センサは、ウェーハ310から直接読み取るためにポートを通して取り付けることができる赤外線放射センサ或いは熱電対センサであるのがよい。センサ309は、また、支持体306内に或いはその背後に取り付けることができる。加熱器308には、断熱材304及びベース302の開口314を通して配置される電力線312によって電力が供給されるのがよい。
【0018】
一実施形態では、加熱器308は、誘導加熱器からなる。別に実施形態では、加熱器308は、クリプトンランプ或いはクォーツランプのような、加熱ランプからなる。更に別の実施形態によれば、加熱器308は、冷却或いは加熱することができる熱電モジュールからなる。熱電モジュールにより、ベース及びサーマルブレークは、任意であってもよい。当業者は、支持体306を加熱するための多くの他の方法が存在するということをいま認識するであろう。
【0019】
図4は、図3の装置の熱流動力学の簡易略図を示す。入力プラズマ熱流Q1は、ウェーハ310の表面上の温度T1に寄与する。加熱器308は、更なる熱流Q3をウェーハ支持体306、それによりウェーハ310にもたらす。冷却ベース302に支持体306及び断熱材304を通してシステムを出る熱流Q2は、入り熱流Q1及びQ3の両方に概ね等しい。従って:
【0020】
【数1】

定義により、ウェーハ310の温度T1と断熱材304を通る温度差ΔTとの合計は、冷却ベース302の温度T2に等しい:
【0021】
【数2】

ΔTは、断熱材304の熱伝導率によって画成されるということに注目すべきである。かくして加熱器308によって生じた、追加の熱流Q3は、ΔTを制御する。従って、加熱器308に供給される電力は、Q1の範囲についてウェーハの表面に所望の温度T1を生じさせるように調整することができる。
【0022】
好ましくは、ベース302の温度は、入り熱流Q1がないときの概ねQ3の最大入り熱流の概ね半分の出る熱流Q2を生じさせるように設定されかつQ3の最大熱流は、Q1の最大熱流に概ね等しい:
【0023】
【数3】

この好ましい方式では、ウェーハ310の温度T1を変えることができる範囲を、最大にする。即ち、ウェーハの局部温度を、マルチゾーン加熱パターン方式で加熱器308の加熱電力を制御することによって調整することができる。一実施形態によれば、ベース302の温度は、Q1の最大値とQ3の最大値の合計がQ2の最大値に等しい在来の装置よりも約20℃冷たく制御される。
【0024】
図5は、チャックの別の実施形態を示す。プラズマ加工装置用のチャックは、ウェーハ504の所望温度以下の温度を有する温度制御式ベース502を有する。断熱材料の層506は、ベース502の上に配置される。ウェーハ504を保持するために用いられるフラット支持体508は、断熱材料の層506の上に配置される。加熱器510は、フラット支持体508の下側に取り付けられる。ベース502及び断熱材料の層506は、加熱器電力線514或いは他のサービスラインが配置される穴或いはキャビティ(図示せず)を更に含む。係るサービスライン514は、加熱器、センサ、高電圧静電気クランピングのための電力線からなるのがよい。当業者は、サービスラインが先に示したものに限定されないということを認識するであろう。
【0025】
加熱器510には、断熱材506及びベース502の開口514を通して配置される電力線312によって電力が供給される。加熱器510は、少なくとも一つの抵抗加熱素子を含む。一実施形態によれば、加熱器510は、支持体508の下側に取り付けられかつ所望のパターン、例えば、対称或いは任意に成形されてもよい。(例えば、図8参照)。加熱器510は、一つ以上の平面加熱素子を含むのがよい。各加熱素子は、独立に制御される加熱ゾーン或いは領域を画成する。マルチゾーンパターンは、支持体508に対する伝導冷却に反対して作用する一つ以上の平面加熱素子を有する。
【0026】
各加熱ゾーンと関連した少なくとも一つのセンサ516が、各加熱ゾーンの温度を測定し且つ信号をコントローラ或いはコンピュータシステム(図7参照)に送信して各個々の平面加熱素子を監視し且つ制御するのがよい。例えば、センサは、ウェーハ504から直接読み取るためにポートを通して取り付けられることができる赤外放射センサ或いは熱電対センサであるのがよい。センサ516は、支持体508内に埋設されるのがよい。
【0027】
図8は、二重加熱領域:内側領域802及び外側領域804、を有する支持体508の一例を示す。各領域は、その領域自身の加熱器の組(図示せず)によって独立に加熱されるようにするのがよい。当業者は、支持体が多くの他の方法で幾何学的に画成される領域を含んでもよいということを認識するであろう。
【0028】
半導体装置の複雑さが増すと、マルチステップ加工の使用を生じさせ、このマルチステップ加工では、単一のエッチレシピ(エッチ手段)が、エッチング加工が進行するに従ってエッチング条件を変えるために用いられる複数ステップを含む。マルチステップエッチング加工は、例えば、フォトレジストマスクが亜硝酸層をエッチするために用いられ、次いで後続する層のためのエッチングマスクとして用いられる。更に、特定層のエッチングは、エッチの実行中に変わる加工条件で高められる。特に、エッチング加工の一部分を初期温度で実行し、引き続いて、てエッチされる特定の層にとって最適なエッチング条件をもたらすようにこのレシピ内で後のステップの温度を変化させることがしばしば望ましい。
【0029】
あるエッチング加工条件は、他の加工条件よりも遥かに感温性であることが知られており、そのような場合には、エッチング加工のこの感温性であることを補償するか或いはそれを利用するために、エッチレシピ内でステップ毎にウェーハ温度を変えることができることが望ましい。例えば、相対的エッチ速度は、ある加工条件下で温度により縦方向及び横方向で異なり、この効果を、エッチング加工が進行するに従ってウェーハ温度を変えることによってエッチのそのテーパ角度を変えるために用いることができる。
【0030】
ある加工条件の下で、リアクタンスの局部濃度は、横方向エッチ速度がウェーハ全体にわたって変化するように、ウェーハ全体にわたって同様に変化する。これは、ウェーハ全体にわたってエッチされた部分の寸法形状の変化をもたらし、それは一般的に望ましくない。横方向エッチ速度の感温性を用いることにより、ウェーハ支持ゾーン温度を変えることによって径方向温度勾配を誘発することが可能であり、径方向温度勾配を誘発し、それにより局部リアクタント濃度の変化を補償してウェーハ全体にわたって一定の部分寸法形状をもたらす条件を生成するということが観測された。
【0031】
複数層がエッチされるような場合には、ウェーハ全体にわたって部分寸法形状を維持すること及び又は層内でテーパを生成することの必要性により、ステップ毎に基づいて並びに所与のステップ内で半径方向温度プロフィールを変えることが必要であるかもしれない。かくして、マルチゾーン温度制御式ウェーハ支持体が、ゾーンが異なる温度で作動される条件下で用いられ、且つエッチ中に加工条件を変えるマルチステップレシピが採用されるときには、異なるエッチング条件の異なる感温性を説明するか或いは利用するために温度制御式ウェーハ支持体ゾーンの温度を変えることもしばしば必要である。
【0032】
代表的なエッチングレシピの継続時間は、約20秒〜約2分であり、代表的なレシピは、レシピ内にいくつかのステップを有する。そのように、マルチステップ温度制御のために数秒内でウェーハ支持体ゾーン温度を変えることができることが必要である。興味があるほとんどの場合では、レシピ内のこれらの温度変化は、約10℃以下である。従って、毎秒約0.3℃の速度でゾーン温度を変えることができること、そして好ましくは毎秒1℃以上の速度でゾーン温度を変えることができるのが望ましい。
【0033】
図3で説明した埋込み式加熱器を有するセラミックESCの場合について、高速ESCについての基本設計基準は、セラミックESCの熱質量が小さいこと及び加熱器電力密度が大きいことである。ESCの下の温度層の熱抵抗が比較的低い熱伝導率を有することも望ましい。かくして、ESCの厚み、加熱器電力密度、及び熱抵抗は、約毎秒1℃以上の温度変化を許容するように選択される。
【0034】
図6は、エッチング加工中にフラット支持体の各領域の温度を空間的且つ時間的に制御することによって上記解決法を実施するフロー図を示す。特に、図6は、エッチング加工中にウェーハを加工するための方法も示す。ステップ602で、ベースが設けられる。ベースは、加工されるウェーハの温度以下である一定の温度に維持される。先に説明したように、断熱材料の層がベースの上に取り付けられる。ステップ604で、ウェーハは、異なる空間領域を含むフラット支持体の上面に保持される。先に説明したように、フラット支持体は、断熱材料の層の上に取り付けられる。ステップ606で、上記フラット支持体の各空間領域は、フラット支持体の下側に取り付けられるか或いはフラット支持体内に埋設される少なくとも一つの加熱器により初期温度まで独立に加熱される。各々の領域の初期温度は、互いに異なるようにしてもよい。ステップ608で、エッチング加工中のフラット支持体の少なくとも一つの空間領域の温度は、少なくと毎秒1℃の速度で別の温度に変えられる。各々の領域についての最終温度は、互いに異なるようにしてもよい。
【0035】
別の実施形態によれば、各々の空間領域の温度を、各々の空間領域の内側に配置されたセンサで更に監視してもよい。センサによって生成された信号を、加熱器に供給される電力を変えることによって各々の空間領域の温度を調整するために用いてもよい。
【0036】
図7は、本発明の一実施形態によるチャックの温度を制御するためのシステムの略図である。ユーザ702がコンピュータ704への一組のパラメータを定義してもよい。係る一組のパラメータは、例えば、チャックの第1のゾーンの所望の温度、チャックの第2のゾーンの所望の温度であるのがよい。当業者は、チャックが一つ以上のゾーンを有してもよいということを認識するであろう。コンピュータ704は、記憶部品706と通信し、該記憶部品706は、図6のアルゴリズム、コンピュータ704の入力及び出力を記憶する。第1の組のセンサ708がチャックの第1のゾーンを測定する。第2の組のセンサ710がチャックの第2のゾーンを測定する。第1の組のセンサ708の温度測定に基づいて、コンピュータ704は、第1の組の加熱素子712に制御を送ってチャックの第1のゾーンの温度を調整する。第2の組のセンサ710の温度測定に基づいて、コンピュータ704は、第2の組の加熱素子714に制御を送ってチャックの第2のゾーンの温度を調整する。
【0037】
静電気チャックのウェーハの温度プロフィールを制御するためのこれらの一般化した方法は、誘導結合プラズマ(ICP)加工装置のアプリケーションに適するだけでなく、他のシステムアプリケーション、特にウェーハに対して低プラズマパワーフラックスを必要とするアプリケーションにも適する。この技法は、熱勾配緩和を生じさせる必要性が在る他のアプリケーションに適用してもよい。
【0038】
この発明の実施形態及びアプリケーションを示し且つ説明したが、ここに示された発明の概念から逸脱することなく上記したものよりもさらに多くの変更が可能であるということは、この開示の利益を有する当業者に明らかであろう。従って、本発明は、添付した特許請求の範囲の精神以外では限定されるものではない。
【0039】
この明細書に援用されかつその一部を構成する添付図面は、本発明の一つ以上の実施形態を示し、詳細の説明と一緒に、本発明の原理及び実施例を説明する役割をする。
【符号の説明】
【0040】
302 温度制御式ベース
304 断熱材
306 支持体
308 加熱器
309 センサ
310 ウェーハ
312 熱導体
314 サービスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の層がエッチングされるためにウエハ温度が変化するマルチステッププラズマエッチング加工中、半導体ウエハを横切る空間温度を制御するための方法であって、
上に取り付けられた断熱材料の層を有するベースを、上記基板の温度以下である一定温度に維持し、
上記基板を、複数の空間領域を有しかつ上記断熱材料の層の上に取り付けられたフラット支持体の上面に、静電的にクランプし、
リアクタンスの局部濃度が上記ウエハを横切って変化するような条件下で、上記ウエハ上の層をプラズマエッチングし、
上記局部リアクタント濃度の変化を補償する半径方向の温度勾配を誘発するように、上記フラット支持体の各空間領域を、上記フラット支持体の下側に取り付けられた複数の加熱器で独立に加熱し、
上記マルチステッププラズマエッチング加工中、上記フラット支持体の少なくとも一つの空間領域の温度を毎秒少なくとも1℃の割合で変える、上記方法。
【請求項2】
上記複数の空間領域の温度を、各領域に配置されたセンサで監視し、少なくとも一つの空間領域を少なくとも1℃/秒の割合で冷却することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記監視に基づいて各空間領域の温度を調整し、少なくとも1℃/秒の割合で温度を変化させる工程の間、上記少なくとも一つの空間領域の温度を10℃以下だけ変化させることを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記複数の加熱器は、複数の熱電素子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プラズマから上記ウエハに当たる熱流は、2W/cm以下である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記ウエハの外縁が上記フラット支持体の外縁から半径方向外方へ延び、上記ウエハの上記外縁に当たる熱流は半径方向内方へ流れる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
上記断熱材料の層は、上記ベースと上記フラット支持体との間のサーマルインピーダンスブレークを提供し、上記断熱材料の層は、0.05W/mK〜0.20W/mKの熱伝導率を有する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記ベースは、上記基板の温度以下の10℃〜50℃の温度に維持される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
プラズマ処理装置用のチャックであって、
加工物の所望温度以下の温度を有する温度制御式ベースを含み、上記加工物は、プラズマ加工を受け、上記プラズマ加工が上記加工物に温度の非均一性を引き起し、
上記ベースの上に配置された断熱材料の層と、
上記断熱材料の層の上に配置され、上記加工物を保持するためのフラット支持体と、
上記フラット支持体に結合され、上記フラット支持体の複数の加熱領域に対応する複数の加熱素子を含む加熱器と、を含み、
上記加熱素子は、上記プラズマ加工中、上記加工物全体にわたってほぼ均一なエッチング結果を達成するように独立に加熱され、
上記複数の加熱領域に対応する複数のセンサを含み、各センサは、上記領域の温度を測定し且つ対応する加熱領域の温度を表す信号を送信し、
上記信号を上記センサから受信するように構成されたコントローラを含み、該コントローラは、各加熱領域の温度を10℃以下だけ変化させるように、加熱領域毎にセットポイントに基づいて各平面加熱素子の電力を調整するように構成される、上記チャック。
【請求項10】
各加熱素子に供給される電力は、互いに独立に制御される、請求項9に記載のチャック。
【請求項11】
上記フラット支持体と上記加工物との間に配置された熱導体を更に含む、請求項9に記載のチャック。
【請求項12】
上記温度制御式ベースは、20℃以下の一定温度に維持される、請求項9に記載のチャック。
【請求項13】
上記加熱器は、複数の電気的抵抗加熱器を含む、請求項9に記載のチャック。
【請求項14】
上記加熱器は、複数の誘導加熱器を含む、請求項9に記載のチャック。
【請求項15】
上記加熱器は、複数の加熱ランプを含む、請求項9に記載のチャック。
【請求項16】
上記加熱器は、複数の熱電気モジュールを含む、請求項9に記載のチャック。
【請求項17】
上記フラット支持体は、静電気チャックを含む、請求項9に記載のチャック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−244011(P2011−244011A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176261(P2011−176261)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【分割の表示】特願2007−544574(P2007−544574)の分割
【原出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(598161761)ラム リサーチ コーポレイション (19)
【Fターム(参考)】