説明

窒化物系半導体素子及びその製造方法

【課題】窒化物系半導体素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ダイオード構造物を有するベース基板110と、該ベース基板110上に配置されるエピタキシャル成長膜120と、該エピタキシャル成長膜120上に配置される電極部140とを含み、該ダイオード構造物は、第1タイプの半導体層112と、該第1タイプの半導体層の中央に介在する第2タイプの半導体層114とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子及びその製造方法に関するもので、より詳しくは、逆方向漏洩電流を減少させた窒化物系半導体素子及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)などのIII族元素と窒素(N)とを含むIII族窒化物系半導体は、広いエネルギーバンドギャップ、高い電子移動度、飽和電子速度、高い熱化学的安定性などの特性を有している。このようなIII族窒化物系半導体を基にする電界効果トランジスタ(Nitride-based Field Effect Transistor:N-FET)は、広いエネルギーバンドギャップを有する半導体材料、例えばガリウム窒化物(GaN)、アルミニウムガリウム窒化物(AlGaN)、インジウムガリウム窒化物(InGaN)、アルミニウムインジウムガリウム窒化物(AlInGaN)などの材料を基にして製造される。
【0003】
一般的な窒化物系電界効果トランジスタは、ベース基板と、該ベース基板上に形成されるエピタキシャル成長膜と、該エピタキシャル成長膜上に配置されるショットキー電極と、オーミック電極とを備える。このような窒化物系半導体素子は、前記エピタキシャル成長膜の内部に電流の移動経路として用いられる2次元電子ガス(2-Dimensional Electron Gas:2DEG)が生成され、該2次元電子ガスをキャリア移動経路として使用し、順方向及び逆方向の動作を行うことができる。
【0004】
これらの窒化物系半導体素子のうち、ショットキーダイオード構造を有する素子は、金属と半導体とのショットキー接合を利用する素子である。このような窒化物系半導体素子は、速い速度の切替え動作が可能で、低い順方向電圧で駆動される。普通、ショットキーダイオードのような窒化物系半導体素子は、アノード電極でショットキーコンタクトをなすショットキー電極を有し、カソード電極でオーミックコンタクトをなすオーミック電極を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2005−0084685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような構造のショットキーダイオードは、逆方向動作時、該ショットキー電極から前記ベース基板への漏洩電流が発生する。このような逆方向漏洩電流の防止のために、一般的な室化物系半導体素子のベース基板としては、略1kオーム(ohm)以上の抵抗値を有するシリコン基板と、シリコンカーバイド基板と、スピネル基板と、サファイア基板とを使用する。しかし、このような高抵抗値を有する基板を使用するとしても、該漏洩電流の発生を根本的に防止できない。また、このような高抵抗値を有する基板は相対的に高価である。特に、一般的に広く用いられる1kオーム以上の高抵抗値を有するシリコンウェハは、他の基板に比べて相当に高価なので、該窒化物系半導体素子の製造費用を増加させる要因になる。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、その目的は、逆方向漏洩電流を防止する窒化物系半導体素子を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、製作費用を減少させた窒化物系半導体素子を提供することにある。
【0009】
また、本発明のさらに他の目的は、逆方向漏洩電流を防止する窒化物系半導体素子の製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明のさらに他の目的は、製作費用を減少させた窒化物系半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を解決するために、本発明による窒化物系半導体素子は、ダイオード構造物を有するべース基板と、前記ベース基板上に配置されるエピタキシャル成長膜と、前記エピタキシャル成長膜上に配置される電極部とを含み、前記ダイオード構造物は、第1タイプの半導体層と、該第1タイプの半導体層内に配置され、両面が前記第1タイプの半導体層により覆われた第2タイプの半導体層とを含む。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記第1タイプの半導体層は、N型半導体層であり、前記第2タイプの半導体層は、P型半導体層であってもよい。
【0013】
本発明の実施形態によれば、前記ベース基板は、前記第1タイプの半導体基板と、前記半導体基板上に配置される第2タイプの不純物ドーピング層と、前記第2タイプの不純物ドーピング層上に配置される前記第1タイプの不純物ドーピング層とを含むことができる。
【0014】
本発明の実施形態によれば、前記半導体基板は、1kオーム未満の抵抗値を有するシリコン基板を含み、前記ベース基板は、1kオーム以上の抵抗値を有することができる。
【0015】
本発明の実施形態によれば、前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時に前記電極部から前記ベース基板への電流流れを遮断するダイオードとして用いられることができる。
【0016】
本発明の実施形態によれば、前記ベース基板は、該ベース基板と前記エピタキシャル成長膜との間に介在するバッファ層をさらに含み、前記バッファ層は、超格子層(super-lattice layer)を含むことができる。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記超格子層は、インシュレータ層と半導体層とが交互に積層されることができる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、前記エピタキシャル成長膜は、前記ベース基板上の第1の窒化膜と、前記第1の窒化膜上に配置され、前記第1の窒化膜に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する第2の窒化膜とを含み、前記第1の窒化膜と前記第2の窒化膜との境界には、2次元電子ガス(2-dimensional electorn Gas:2DEG)が生成されることができる。
【0019】
本発明の実施形態によれば、前記電極部は、前記エピタキシャル成長層上に配置されるショットキー電極と、前記ショットキー電極から離間されるオーミック電極と、前記エピタキシャル成長層上に配置されるゲート電極と、前記ゲート電極の一側に配置されるソース電極と、前記ゲート電極の他側に配置されるドレイン電極とを含むことができる。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記電極部は、前記ベース基板の下面を覆うオーミック電極をさらに含むことができる。
【0021】
本発明による窒化物系半導体素子は、ダイオード構造物を有するベース基板と、前記ベース基板上に配置されるエピタキシャル成長膜と、前記エピタキシャル成長膜上に配置されるショットキー障壁ダイオード構造物と、トランジスタ構造物とを含み、前記ダイオード構造物は、第1タイプの半導体層と、前記第1タイプの半導体層の中央に介在する第2タイプの半導体層とを含む。
【0022】
本発明の実施形態によれば、前記ショットキー障壁ダイオード構造物は、ショットキー電極と、前記ショットキー電極から離間されるオーミック電極とを含むことができる。
【0023】
本発明の実施形態によれば、前記トランジスタ構造物は、ゲート電極と、前記ゲート電極の一側に配置されるソース電極と、前記ゲート電極の他側に配置されるドレイン電極とを含むことができる。
【0024】
本発明の実施形態によれば、前記トランジスタ構造物は、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)及び電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)のうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0025】
本発明の実施形態によれば、前記エピタキシャル成長膜は、前記ベース基板上の第1の窒化膜と、前記第1の窒化膜上に配置され、前記第1の窒化膜に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する第2の窒化膜とを含み、前記第1の窒化膜と前記第2の窒化膜との境界には、前記ショットキー障壁ダイオードと前記トランジスタの電流移動経路として用いられる2次元電子ガス(2DEG)が生成されることができる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、前記第1タイプの半導体層は、N型半導体層であり、前記第2タイプの半導体層は、P型半導体層であってもよい。
【0027】
本発明の実施形態によれば、前記ベース基板は、前記第1タイプの半導体基板と、前記半導体基板の上部に設けられる第2タイプの不純物ドーピング層と、前記第2タイプの不純物ドーピング層の上部に設けられる前記第1タイプの不純物ドーピング層とを含むことができる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、前記半導体基板は、1kオーム未満の抵抗値を有するシリコン基板を含み、前記ベース基板は、1kオーム以上の抵抗値を有することができる。
【0029】
本発明の実施形態によれば、前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時に前記電極部から前記ベース基板への電流流れを遮断するダイオードとして用いられることができる。
【0030】
本発明による窒化物系半導体素子の製造方法は、ベース基板を準備するステップと、前記ベース基板をシード層(seed layer)として前記ベース基板上にエピタキシャル成長膜を形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜上に電極部を形成するステップとを含み、前記ベース基板を準備するステップは、第1タイプの半導体層と、前記第1タイプの半導体層内に形成される第2タイプの半導体層とを有するダイオード構造物を形成するステップとを含むことができる。
【0031】
本発明の実施形態によれば、前記ダイオード構造物を形成するステップは、前記第1タイプの半導体基板を準備するステップと、前記半導体基板の上部に前記第2タイプの半導体層をドーピングするステップと、前記第2タイプの半導体層の上部に前記第1タイプの半導体層をドーピングするステップとを含むことができる。
【0032】
本発明の実施形態によれば、前記ダイオード構造物を形成するステップは、前記第1タイプの半導体基板を準備するステップと、前記半導体基板の内部へと前記第2タイプの不純物イオンを注入するステップとを含むことができる。
【0033】
本発明の実施形態によれば、前記ダイオード構造物を形成するステップは、NPN接合構造を形成するステップを含むことができる。
【0034】
本発明の実施形態によれば、前記半導体基板を準備するステップは、1kオーム未満の抵抗値を有するシリコン基板を準備するステップを含み、前記ベース基板を準備するステップは、1kオーム以上の抵抗値を有するNPN接合構造を形成するステップを含むことができる。
【0035】
本発明の実施形態によれば、前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時、前記電極部から前記ベース基板への電流流れを遮断するダイオードとして用いられることができる。
【0036】
本発明の実施形態によれば、前記エピタキシャル成長膜を形成するステップは、前記ベース基板をシード層として前記ベース基板上に第1の窒化膜を成長させるステップと、前記第1の窒化膜をシード層として前記第1の窒化膜上に前記第1の窒化膜に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する第2の窒化膜を成長させるステップとを含み、前記第1の窒化膜と前記第2の窒化膜との境界には2次元電子ガス(2DEG)が生成されることができる。
【0037】
本発明の実施形態によれば、前記電極部を形成するステップは、前記エピタキシャル成長膜の上部中央にショットキー電極を形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜の上部縁に前記ショットキー電極から離間される第1のオーミック電極を形成するステップと、前記ベース基板の下面を覆う第2のオーミック電極を形成するステップとを含むことができる。
【0038】
本発明による窒化物系半導体素子の製造方法は、ベース基板を準備するステップと、前記ベース基板をシード層(seed layer)として前記ベース基板上にエピタキシャル成長膜を形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜上にショットキー障壁ダイオード構造物を形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜上にトランジスタ構造物を形成するステップとを含み、前記ベース基板を準備するステップは、第1タイプの半導体層を準備するステップと、前記第1タイプの半導体層の内部に形成される第2タイプの半導体層を形成させるステップとを含むことができる。
【0039】
本発明の実施形態によれば、前記ショットキー障壁ダイオード構造物を形成するステップは、前記エピタキシャル成長膜上にショットキー電極を形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜上に前記ショットキー電極から離間されるオーミック電極を形成するステップとを含むことができる。
【0040】
本発明の実施形態によれば、前記トランジスタ構造物を形成するステップは、前記エピタキシャル成長膜上にゲート電極を形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜上であって前記ゲート電極の一側にソース電極を形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜上であって前記ゲート電極の他側にドレイン電極を形成するステップとを含むことができる。
【0041】
本発明の実施形態によれば、前記トランジスタ構造物を形成するステップは、前記エピタキシャル成長膜上に高電子移動度トランジスタ及び電界効果トランジスタのうちの少なくともいずれか一つを形成するステップとを含むことができる。
【0042】
本発明の実施形態によれば、前記エピタキシャル成長膜を形成するステップは、前記ベース基板上に第1の窒化膜を形成するステップと、前記第1の窒化膜上に前記第1の窒化膜に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する第2の窒化膜を形成するステップとを含み、前記第1の窒化膜と前記第2の窒化膜との境界には、前記ショットキー障壁ダイオード構造物と前記トランジスタ構造物との電流移動経路として用いられる2次元電子ガスが生成されることができる。
【0043】
本発明の実施形態によれば、前記第1タイプの半導体層は、N型半導体層から成り、前記第2タイプの半導体層は、P型半導体層から成ることができる。
【0044】
本発明の実施形態によれば、前記ベース基板を準備するステップは、前記第1タイプの半導体基板を準備するステップと、前記半導体基板の上部に第2タイプの不純物ドーピング層を形成するステップと、前記第2タイプの不純物ドーピング層の上部に前記第1タイプの不純物ドーピング層を形成するステップとを含むことができる。
【0045】
本発明の実施形態によれば、前記第1タイプの半導体基板を準備するステップは、1kオーム未満の抵抗値を有するシリコン基板を準備するステップを含み、前記ベース基板を準備するステップは、前記シリコン基板を使用して1kオーム以上の抵抗値を有する前記ダイオード構造物を形成するステップを含むことができる。
【0046】
本発明の実施形態によれば、前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時に前記電極部から前記ベース基板への電流流れを遮断するダイオードとして用いられることができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明による窒化物系半導体素子は、ダイオード構造物を有するベース基板と、2次元電子ガス(2DEG)を有するエピタキシャル成長膜と、電極部とを備えることができる。前記ダイオード構造物は、NPN接合ダイオードまたはPNP接合ダイオードで、これにより、前記ダイオード構造物は前記電極部のショットキー電極とオーミック電極との間に逆方向電圧印加時、前記ショットキー電極から前記ベース基板への電流流れを遮断させることができる。これにより、本発明による窒化物系半導体素子は、オフ動作時、逆方向漏洩電流を防止して素子の逆方向耐圧を増加させ、窒化物系半導体素子の歩留まりを増加させることができる。
【0048】
本発明の実施形態による窒化物系半導体素子は、ダイオード構造物を有するベース基板と、2次元電子ガス(2DEG)を有するエピタキシャル成長膜と、電極部とを含むことができる。この時、前記ベース基板は、相対的に1kオーム未満の低価のシリコン基板をベースとして、1kオーム以上の高抵抗度を有するように構成されることができる。これにより、本発明による窒化物系半導体素子は、低価のシリコン基板をベースとして逆方向漏洩電流を遮断するダイオード構造物を有するベース基板を構成することによって、相対的に高抵抗値の基板を使用する素子に比べて、逆方向漏洩電流を根本的に防止すると共に、素子の製作費用を減らすことができる。
【0049】
本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法は、ダイオード構造物を有するベース基板を準備し、該ベース基板の上部にエピタキシャル成長膜を成長させ、前記エピタキシャル成長膜上に電極部を形成し、前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時に電極部のショットキー電極から前記ベース基板への電流移動を遮断するダイオードとして用いられることができる。これにより、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法は、逆方向漏洩電流を防止して耐圧を増加させ、歩留まりを向上させた窒化物系半導体素子を製造することができる。
【0050】
本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法は、ダイオード構造物を有するベース基板を製造し、前記ベース基板の上部にエピタキシャル成長膜を成長させて、前記エピタキシャル成長膜上に電極部を形成し、前記ベース基板は、相対的に低価である低抵抗値のシリコン基板に対して不純物イオンをドーピングして形成されることができる。これにより、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法は、相対的に高価な高抵抗値基板を使用する場合に比べて、逆方向漏洩電流を根本的に防止すると共に、素子の製作費用を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態による窒化物系半導体素子を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態による窒化物系半導体素子を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法を示す順序図である。
【図4】本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造過程を説明するための図面である。
【図5】同じく、窒化物系半導体素子の製造過程を説明するための図面である。
【図6】同じく、窒化物系半導体素子の製造過程を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の好適な実施の形態は添付の図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0053】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及される構成要素、ステップと、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップと、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0054】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態による窒化物系半導体素子及びその製造方法について説明すれば、次のとおりである。
【0055】
図1は、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子を示す回路図で、図2は、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子を示す側面図である。
【0056】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子100は、ショットキー障壁ダイオード(Schottky Barrier Diode:SBD)構造10及びトランジスタ構造物を有するパワー素子であってもよい。該トランジスタ構造物は、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)20及び電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)30のうちの少なくともいずれか一つを含むことができる。
【0057】
前記窒化物系半導体素子100は、ベース基板110、エピタキシャル成長膜120及び電極部140を含むことができる。
【0058】
前記ベース基抜110は、ダイオード構造物(diode structure)を有することができる。例えば、前記ベース基板110は、第1タイプの半導体層112と、該第1タイプの半導体層112間に介在する第2タイプの半導体層114とを有することができる。これにより、前記第2タイプの半導体層114は、前記第1タイプの半導体層112によりその両面が覆われる構造を有することができる。一例として、前記第1タイプがN型であり、前記第2タイプがP型の場合、前記ダイオード構造物は、NPN接合ダイオードをなすことができる。他の例として、前記第1タイプがP型であり、前記第2タイプがN型の場合、前記ダイオード構造物は、PNP接合ダイオードをなすことができる。
【0059】
前記NPN接合ダイオードは、前記第1タイプの半導体層(以下、N型半導体層112)の上部にP型半導体不純物イオンを注入し、前記N型半導体層112上に第2タイプの半導体層(以下、P型半導体層114)を形成し、前記P型半導体層114の上部に前記第1タイプの不純物イオンを注入し、前記P型半導体層114上に再度前記N型半導体層112を形成して製造されることができる。または、前記NPN接合ダイオードは、前記N型半導体層112内に前記P型半導体層114が位置するように、前記N型半導体層112内の一定な深さにP型不純物イオンを注入して形成されることができる。ここで、前記ベース基板110は相対的に低い抵抗値を有する1kオーム未満の低抵抗値を有するシリコン基板をベースとして製作されることであってもよい。前記ベース基板110の製作過程に対する詳細は後述する。
【0060】
一方、前記ベース基板110上には、バッファ層118がされに形成されることができる。該バッファ層118は、超格子層構造を有することができる。該超格子層は、異種材料の薄膜が交互に積層される構造を有することができる。一例として、前記バッファ層118は、インシュレータ層と半導体層とが交互に成長する多層構造を有することができる。前記のようなバッファ層118は、ベース基板110と前記エピタキシャル成長膜120との間の格子不一致による欠陥の発生を減少させることができる。
【0061】
前記エピタキシャル成長膜120は、前記ベース基板110上に配置されることができる。一例として、前記エピタキシャル成長膜120は、前記ベース基板110上に順に積層される第1の窒化膜122及び第2の窒化膜124を含むことができる。前記第2の窒化膜124は、前記第1の窒化膜122に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する材料から成ることができる。また、前記第2の窒化膜124は前記第1の窒化膜122に比べて異なる格子定数を有する材料から成ることができる。例えば、前記第1の窒化膜122及び前記第2の窒化膜124は、III族室化物系材料を含む膜であってもよい。より詳しくは、前記第1の窒化膜122はガリウム窒化物(GaN)、アルミニウムガリウム窒化物(AlGaN)、インジウムガリウム窒化物(InGaN)及びアルミニウムインジウムガリウム窒化物(AlInGaN)のうちのいずれか一つによって形成され、前記第2の窒化膜124はガリウム窒化物(GaN)、アルミニウムガリウム窒化物(AlGaN)、インジウムガリウム窒化物(InGaN)及びアルミニウムインジウムガリウム窒化物(AlInGaN)ののうちの他の一つによって形成されることができる。一例として、前記第1の窒化膜122はガリウム窒化膜(GaN)であり、前記第2の窒化膜124はアルミニウムガリウム窒化膜(AlGaN)であってもよい。
【0062】
前記のような構造のエピタキシャル成長膜120には、前記第1の窒化膜122と前記第2の窒化膜124との境界に2次元電子ガスが生成されることができる。前記窒化物系半導体素子100の動作時、電流の流れは、前記2次元電子ガスによってなされることができる。ここで、前記ショットキー障壁ダイオード10及び前記トランジスタ構造物20、30の電流移動は、前記2次元電子ガスによってなされることができる。このために、前記ショットキー障壁ダイオード10及び前記トランジスタ構造物20、30は前記2次元電子ガスを共有することができる。
【0063】
前記電極部140は、ショットキー電極142及びオーミック電極144を含むことができる。前記ショットキー電極142は第1〜第3のショットキー電極142a、142b、142cを含み、前記オーミック電極144は第1のオーミック電極144a及び前記第2のオーミック電極144bを含むことができる。前記第1〜第3のショットキー電極142a、142b、142cは、前記エピタキシャル成長膜120の上部に互いに離間して配置されることができる。前記第1のオーミック電極144aは、前記第1〜第3のショットキー電極142a、142b、142c各々の両側に配置されることができる。そして、前記第2のオーミック電極144bは、前記ベース基板110の下面を覆うことができる。
【0064】
前記第1のショットキー電極142aと前記第1のショットキー電極142aとの両側に配置される第1のオーミック電極144aは、前記ショットキー障壁ダイオード10を構成することができる。前記第1のショットキー電極142aは、前記ショットキー障壁ダイオード10の陽極として用いられ、前記第1のオーミック電極144aは陰極として用いられることができる。前記第2のショットキー電極142bと前記第2のショットキー電極142bとの両側に配置される第1のオーミック電極144aは、前記高電子移動度トランジスタ20を構成することができる。前記第2のショットキー電極142bは前記高電子移動度トランジスタ20のゲート電極として用いられ、前記第2のショットキー電極142bの両側に配置される前記第1のオーミック電極144aは、ソース電極及びドレイン電極として各々用いられることができる。そして、前記第3のショットキー電極142cと前記第3のショットキー電極142cとの両側に配置される第1のオーミック電極144aは、電界効果トランジスタ30を構成することができる。前記第3のショットキー電極142cは前記電界効果トランジスタ30のゲート電極として用いられ、前記第3のショットキー電極142cの両側に配置される前記第1のオーミック電極144aは前記電界効果トランジスタ30のソース電極及びドレイン電極として各々用いられることができる。
【0065】
また、前記第2のオーミック電極134bは、前記ベース基板110の下面を均一な厚さで覆うことができる。前記第2のオーミック電極134bは前記ベース基板110のN型半導体層112とオーミックコンタクトをなすことができる。前記第2のオーミック電極134bは前記第1のオーミック電極144aと電気的に接続することができる。これにより、前記第1及び第2のオーミック電極144a、134bは順方向及び逆方向の動作時、同時に電圧が印加されるように構成されることができる。
【0066】
前述のように、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子100は、ダイオード構造物を有するベース基板110と、2次元電子ガスを有するエピタキシャル成長膜120と、電極部140とを含むことができる。前記ダイオード構造物は、NPN接合ダイオードまたはPNP接合ダイオードであってもよい。そのため、前記ダイオード構造物は、前記電極部140のショットキー電極142とオーミック電極144との間への逆方向電圧の印加時、ショットキー電極142から前記ベース基板110への電流流れを遮断するダイオードとして用いられることができる。これにより、本発明による窒化物系半導体素子100は、オフ動作時、逆方向漏洩電流を防止して素子の逆方向耐圧を増加させて、窒化物系半導体素子100の歩留まりを増加させることができる。
【0067】
また、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子100は、ダイオード構造物を有するベース基板110と、2次元電子ガス(2DEG)を有するエピタキシャル成長膜120と、電極部140とを含むことができる。この時、前記ベース基板110は、相対的に1kオーム未満の低価のシリコン基板をベースとして、1kオーム以上の高抵抗度を有するように構成されることができる。これにより、本発明による窒化物系半導体素子100は、逆方向漏洩電流を遮断するダイオード構造物を有するベース基板110を備えることによって、相対的に高抵抗値の基板を使用する素子に比べて、逆方向漏洩電流を根本的に防止すると共に、素子の製作費用を減らすことができる。
【0068】
以下、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法に対して詳細に説明する。ここで、前述の本発明の実施形態による窒化物系半導体素子100に対し重複する内容は、省略または簡略にする。ここで、後述する製造方法は、NPN接合構造を有する窒化物系半導体素子の製造方法を説明し、PNP接合構造のベース基板を有する窒化物系半導体素子の製造方法に対しては省略する。
【0069】
図3は、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法を示す順序図である。図4〜図6は、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造過程を説明するための図面である。
【0070】
図3及び図4を参照して、NPN接合構造を有するベース基板110を準備することができる(S110)。一例として、前記ベース基板110を準備するステップは、N型半導体層112を準備するステップと、前記N型半導体層112に対しP型不純物イオンをドーピングして、前記N型シリコン基板112の上部にP型半導体層114を形成するステップと、前記P型半導体層114に対しN型不純物イオンをドーピング処理して、前記P型半導体層114の上部にN型半導体層112を形成するステップとを含むことができる。
【0071】
他の例として、前記ベース基板110を準備するステップは、N型半導体層112を準備するステップと、前記N型半導体層112の内部に前記P型不純物イオンを注入して、前記N型半導体層112内の一定な深さに前記P型半導体層114を形成するステップとを含むことができる。
【0072】
さらに他の例として、前記ベース基板110を準備するステップは、N型半導体層112を準備するステップと、前記N型半導体層112をシード層として前記N型半導体層112上にP型半導体層114を形成するステップと、前記P型半導体層114をシード層として前記P型半導体層114上に再度前記N型半導体層114を形成するステップとを含むことができる。
【0073】
一方、前記ベース基板110の製造のために用いられるベースであるN型半導体層112としては、低抵抗値を有する基板が用いられることができる。より具体的に、前記ベース基板110は高抵抗値を有する基板の代りに、相対的に1kオーム未満の低抵抗値を有するN型シリコン基板を使用して形成されることであってもよい。一般的な窒化物系半導体素子110は、逆方向漏洩電流の防止のために、略1kオーム以上の高抵抗値を有するシリコン基板、シリコンカーバイド基板、スピネル基板及びサファイア基板のうちのいずれか一つを使用する。しかし、前記のような基板、特に1kオーム以上の高抵抗値を有するシリコン基板は、相対的に高価なので、室化物系半導体素子100の製作費用を増加させる大きい要因になる。そのため、本発明による窒化物系半導体素子100は前記ベース基板110を相対的に1kオーム未満の抵抗値を有するN型シリコン基板をベースとして、前記N型シリコン基板にP型不純物イオンを注入して製造することにより、前記窒化物系半導体素子100の製作費用を減少させることができる。この時、製造される前記ベース基板110の抵抗値は、1kオーム以上であってもよい。特に、前記ベース基板110はNPNダイオード構造を有するので、NPNダイオード特性の上、非常に高い抵抗値を有することができる。
【0074】
一方、前記ベース基板110を準備するステップは、最上部の前記N型半導体層112を覆うバッファ層118を形成するステップをさらに含むことができる。前記バッファ層118を形成するステップは、前記N型半導体層112上に超格子層を形成するステップを含むことができる。この超格子層を形成するステップは、前記P型半導体層114上にインシュレータ層(insulator layer)と半導体層(semiconductor layer)とを反復して交互に形成して行われることができる。
【0075】
図3及び図5を参照して、ベース基板110をシード層として前記ベース基板110上にエピタキシャル成長膜120を形成する(S120)。該エピタキシャル成長膜120を形成するステップは、前記ベース基板110上に第1の窒化膜122を形成するステップと、前記第1の窒化膜122上に第2の窒化膜124を形成するステップとを含むことができる。一例として、前記エピタキシャル成長膜120を形成するステップは、前記ベース基板110をシード層として前記第1の窒化膜122をエピタキシャル成長させた後、前記第1の窒化膜122をシード層として前記第2の窒化膜124をエピタキシャル成長させてなされることができる。前記第1及び第2の窒化膜122、124を形成するためのエピタキシャル成長工程としては、分子ビームエピタキシャル成長工程(Molecular beam epitaxial growth process)、原子層エピタキシャル成長工程(Atomic layer epitaxial growth process)、フローモジュレーション有機金属気相エピタキシャル成長工程(flow modulation Organometallic vapor phase epitaxial growth process)、有機金属気相エピタキシャル成長工程(Organometallic vapor phase epitaxial growth process)、ハイブリッド気相エピタキシャル成長工程(Hybrid Vapor Phase Epitaxial growth process)のうちの少なくともいずれか一つが挙げられる。または、他の例として、前記第1及び第2の室化膜122、124を形成するための工程としては、化学気相蒸着工程(Chemical Vapor Deposition Process)及び物理的気相蒸着工程(Phisical Vapor Deposition Process)のうちのいずれか一つが挙げられる。
【0076】
図3及び図6を参照して、電極部140を形成することができる(S130)。前記電極部140を形成するステップは、前記エピタキシャル成長膜120の上部で互いに離間される第1〜第3のショットキー電極142a、142b、142cを形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜120の上部に前記第1〜第3のショットキー電極142a、142b、142c各々の両側に配置される第1のオーミック電極144aを形成するステップとを含むことができる。また、前記電極部140を形成するステップは、前記ベース基板110の下面を覆う第2のオーミック電極144bを形成するステップをさらに含むことができる。
【0077】
前記電極部140を形成するステップは、前記ベース基板110の下面及び前記エピタキシャル成長膜120の上面を覆う導電膜を形成するステップと、前記エピタキシャル成長膜120の上面を覆う導電膜を選択的にパターニングするステップとを含むことができる。前記導電膜を形成するステップは、前記ベース基板110の下部及び前記エピタキシャル成長膜120の上部に対してアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、金(Au)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、チタン(Ti)、パラジワム(Pd)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、コパルト(Co)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、銅(Cu)及び亜鉛(Zn)のうちの少なくともいずれか一つを含む金属膜を形成して行われることができる。
【0078】
前記エピタキシャル成長膜120の上部一側に形成される金属膜は、前記エピタキシャル成長膜120の第2の室化膜124とショットキーコンタクトし、前記第1〜第3のショットキー電極142a、142b、142cとして用いられることができる。前記第1のショットキー電極142aの両側に形成される金属膜は、前記第2の窒化膜124とオーミックコンタクトし、前記第1のオーミック電極144aとして用いられることができる。前記第1のショットキー電極142aと前記第1のショットキー電極142aとの両側に形成される前記第1のオーミック電極144aは、ショットキー障壁ダイオード10を構成することができる。前記第2のショットキー電極142bと前記第2のショットキー電極142bとの両側に形成される前記第1のオーミック電極144aは、高電子移動度トランジスタ20を構成することができる。そして、前記第3のショットキー電極142cと前記第3のショットキー電極142cとの両側に形成される前記第1のオーミック電極144aは、電界効果トランジスタ30を構成することができる。前記第1及び第2のオーミック電極144a、144bは互いに電気的に接続し、素子100の順方向及び逆方向動作時に同時に電圧が印加されることができる。
【0079】
前述のように、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法は、ダイオード構造物を有するベース基板110を準備し、該ベース基板110の上部にエピタキシャル成長膜120を成長させ、前記エピタキシャル成長膜120上に電極部140を形成し、前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時に電極部140のショットキー電極142から前記ベース基板110への電流移動を遮断するダイオードとして用いられることができる。これにより、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法は、逆方向漏洩電流を防止して耐圧を増加させて、歩留まりを向上した窒化物系半導体素子を製造することができる。
【0080】
また、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法は、ダイオード構造物を有するベース基板110を製造し、該ベース基板110の上部にエピタキシャル成長膜120を成長させて、前記エピタキシャル成長膜120上に電極部140を形成し、前記ベース基板110は相対的に低価である低抵抗値のシリコン基板に対して不純物イオンをドーピングして形成されることができる。これにより、本発明の実施形態による窒化物系半導体素子の製造方法は、相対的に高価な高抵抗値を有する基板を使用する場合に比べて、逆方向漏洩電流を根本的に防止すると共に、素子の製作費用を減らすことができる。
【0081】
今回開示される実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
10 ショットキー障壁ダイオード
20 高電子移動度トランジスタ
30 電界効果トランジスタ
100 半導体素子
110 ベース基板
112 N型半導体層
114 P型半導体層
120 エピタキシャル成長膜
122 第1の窒化膜
124 第2の窒化膜
140 電極部
142 ショットキー電極
144 オーミック電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイオード構造物を有するベース基板と、
前記ベース基板上に配置されるエピタキシャル成長膜と
前記エピタキシャル成長膜上に配置される電極部とを含み、
前記ダイオード構造物は、
第1タイプの半導体層と、
前記第1タイプの半導体層内に配置され、その両面が前記第1タイプの半導体層により覆われた第2タイプの半導体層とを含む窒化物系半導体素子。
【請求項2】
前記第1タイプの半導体層は、N型半導体層であり、
前記第2タイプの半導体層は、P型半導体層である請求項1に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項3】
前記ベース基板は、
前記第1タイプの半導体基板と、
前記半導体基板上に配置される第2タイプの不純物ドーピング層と、
前記第2タイプの不純物ドーピング層上に配置される前記第1タイプの不純物ドーピング層と
を含む請求項1に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項4】
前記半導体基板は、1kオーム未満の抵抗値を有するシリコン基板を含み、
前記ベース基板は、1kオーム以上の抵抗値を有する請求項3に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項5】
前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時に前記電極部から前記ベース基板への電流流れを遮断するダイオードとして用いられる請求項1に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項6】
前記ベース基板は、前記ベース基板と前記エピタキシャル成長膜との間に介在するバッファ層をさらに含み、
前記バッファ層は、超格子層を含む請求項1に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項7】
前記超格子層は、インシュレータ層と半導体層とが交互に積層してなされる請求項6に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項8】
前記エピタキシャル成長膜は、
前記ベース基板上の第1の窒化膜と、
前記第1の窒化膜上に配置され、前記第1の窒化膜に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する第2の窒化膜とを含み、
前記第1の窒化膜と前記第2の窒化膜との境界には、2次元電子ガスが生成される請求項1に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項9】
前記電極部は、
前記エピタキシャル成長層上に配置されるショットキー電極と、
前記ショットキー電極から離間されるオーミック電極と、
前記エピタキシャル成長層上に配置されるゲート電極と、
前記ゲート電極の一側に配置されるソース電極と、
前記ゲート電極の他側に配置されるドレイン電極と
を含む請求項1に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項10】
前記電極部は、前記ベース基板の下面を覆うオーミック電極をさらに含む請求項9に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項11】
ダイオード構造物を有するベース基板と、
前記ベース基板上に配置されるエピタキシャル成長膜と、
前記エピタキシャル成長膜上に配置されるショットキー障壁ダイオード構造物及びトランジスタ構造物とを含み、
前記ダイオード構造物は、
第1タイプの半導体層と、
前記第1タイプの半導体層間に介在する第2タイプの半導体層と
を含む窒化物系半導体素子。
【請求項12】
前記ショットキー障壁ダイオード構造物は、
ショットキー電極と、
前記ショットキー電極から離間されるオーミック電極とを含む請求項11に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項13】
前記トランジスタ構造物は、
ゲート電極と、
前記ゲート電極の一側に配置されるソース電極と、
前記ゲート電極の他側に配置されるドレイン電極と、
を含む請求項11に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項14】
前記トランジスタ構造物は、高電子移動度トランジスタ及び電界効果トランジスタのうちの少なくともいずれか一つを含む請求項11に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項15】
前記エピタキシャル成長膜は、
前記ベース基板上の第1の窒化膜と、
前記第1の窒化膜上に配置され、前記第1の窒化膜に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する第2の窒化膜とを含み、
前記第1の窒化膜と前記第2の窒化膜との境界には、前記ショットキー障壁ダイオードと前記トランジスタとの電流移動経路として用いられる2次元電子ガスが生成される請求項11に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項16】
前記第1タイプの半導体層は、N型半導体層であり、
前記第2タイプの半導体層は、P型半導体層である請求項11に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項17】
前記ベース基板は、
前記第1タイプの半導体基板と、
前記半導体基板の上部に第2タイプの不純物ドーピング層と、
前記第2タイプの不純物ドーピング層の上部に前記第1タイプの不純物ドーピング層と
を含む請求項11に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項18】
前記半導体基板は、1kオーム未満の抵抗値を有するシリコン基板を含み、
前記ベース基板は、1kオーム以上の抵抗値を有する請求項11に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項19】
前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時に前記電極部から前記ベース基板への電流流れを遮断するダイオードとして用いられる請求項11に記載の窒化物系半導体素子。
【請求項20】
ベース基板を準備するステップと、
前記ベース基板をシード層として前記ベース基板上にエピタキシャル成長膜を形成するステップと、
前記エピタキシャル成長膜上に電極部を形成するステップとを含み、
前記ベース基板を準備するステップは、
第1タイプの半導体層と、該第1タイプの半導体層内に形成される第2タイプの半導体層とを有するダイオード構造物を形成するステップを含む窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項21】
前記ダイオード構造物を形成するステップは、
前記第1タイプの半導体基板を準備するステップと、
前記半導体基板の上部に前記第2タイプの半導体層をドーピングするステップと、
前記第2タイプの半導体層の上部に前記第1タイプの半導体層をドーピングするステップと
を含む請求項20に記載の化物系半導体素子の製造方法。
【請求項22】
前記ダイオード構造物を形成するステップは、
前記第1タイプの半導体基板を準備するステップと、
前記半導体基板の内部へと前記第2タイプの不純物イオンを注入するステップと
を含む請求項20に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項23】
前記ダイオード構造物を形成するステップは、NPN接合構造を形成するステップを含む請求項20に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項24】
前記半導体基板を準備するステップは、1kオーム未満の抵抗値を有するシリコン基板を準備するステップを含み、
前記ベース基板を準備するステップは、1kオーム以上の抵抗値を有するNPN接合構造を形成するステップを含む請求項20に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項25】
前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時、前記電極部から前記ベース基板への電流流れを遮断するダイオードとして用いられる請求項20に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項26】
前記エピタキシャル成長膜を形成するステップは、
前記ベース基板をシード層として前記ベース基板上に第1の窒化膜を成長させるステップと、
前記第1の窒化膜をシード層として、前記第1の窒化膜上に前記第1の窒化膜に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する第2の窒化膜を成長させるステップとを含み、
前記第1の窒化膜と前記第2の窒化膜との境界には、2次元電子ガスが生成される請求項20に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項27】
前記電極部を形成するステップは、
前記エピタキシャル成長膜の上部中央にショットキー電極を形成するステップと、
前記エピタキシャル成長膜の上部縁に前記ショットキー電極から離間される第1のオーミック電極を形成するステップと、
前記ベース基板の下面を覆う第2のオーミック電極を形成するステップと
を含む請求項20に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項28】
ベース基板を準備するステップと、
前記ベース基板をシード層として用いて、前記ベース基板上にエピタキシャル成長膜を形成するステップと、
前記エピタキシャル成長膜上にショットキー障壁ダイオード構造物を形成するステップと、
前記エピタキシャル成長膜上にトランジスタ構造物を形成するステップとを含み、
前記ベース基板を準備するステップは、
第1タイプの半導体層を準備するステップと、
前記第1タイプの半導体層の内部に形成される第2タイプの半導体層を形成させるステップと
を含む窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項29】
前記ショットキー障壁ダイオード構造物を形成するステップは、
前記エピタキシャル成長膜上にショットキー電極を形成するステップと、
前記エピタキシャル成長膜上に前記ショットキー電極から離間されるオーミック電極を形成するステップと
を含む請求項28に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項30】
前記トランジスタ構造物を形成するステップは、
前記エピタキシャル成長膜上にゲート電極を形成するステップと、
前記エピタキシャル成長膜上であって前記ゲート電極の一側にソース電極を形成するステップと、
前記エピタキシャル成長膜上であって前記ゲート電極の他側にドレイン電極を形成するステップと
を含む請求項28に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項31】
前記トランジスタ構造物を形成するステップは、
前記エピタキシャル成長膜上に高電子移動度トランジスタ及び電界効果トランジスタのうちの少なくともいずれか一つを形成するステップを含む請求項28に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項32】
前記エピタキシャル成長膜を形成するステップは、
前記ベース基板上に第1の窒化膜を形成するステップと、
前記第1の窒化膜上に前記第1の窒化膜に比べて広いエネルギーバンドギャップを有する第2の窒化膜を形成するステップとを含み、
前記第1の窒化膜と前記第2の窒化膜との境界には、前記ショットキー障壁ダイオード構造物と前記トランジスタ構造物との電流移動経路として用いられる2次元電子ガスが生成される請求項28に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項33】
前記第1タイプの半導体層は、N型半導体層から成り、
前記第2タイプの半導体層は、P型半導体層から成る請求項28に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項34】
前記ベース基板を準備するステップは、
前記第1タイプの半導体基板を準備するステップと、
前記半導体基板の上部に第2タイプの不純物ドーピング層を形成するステップと、
前記第2タイプの不純物ドーピング層の上部に前記第1タイプの不純物ドーピング層を形成するステップと
を含む請求項28に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項35】
前記第1タイプの半導体基板を準備するステップは、1kオーム未満の抵抗値を有するシリコン基板を準備するステップを含み、
前記ベース基板を準備するステップは、前記シリコン基板を使用して1kオーム以上の抵抗値を有する前記ダイオード構造物を形成するステップを含む請求項28に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。
【請求項36】
前記ダイオード構造物は、前記窒化物系半導体素子の逆方向動作時に前記電極部から前記ベース基板への電流流れを遮断するダイオードとして用いられる請求項28に記載の窒化物系半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−19186(P2012−19186A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264722(P2010−264722)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】