説明

窓装置

【課題】面格子の開閉操作を自動的に行えるようにした窓装置を提供すること。
【解決手段】建物の窓開口部1に配置される面格子2を開き戸式に開閉可能に設け、この面格子2を窓開口部1が開放される開放位置と窓開口部が閉鎖される閉鎖位置とに自動的に開閉する面格子開閉手段11を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸建て住宅、マンション、ビル等の建物における窓開口部の室外側に面格子を備えた窓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
面格子は、従来より防犯目的から窓開口部の室外側に固定して設けられていたが、固定式の面格子では、火災発生時等の緊急時には窓開口部からの脱出が阻まれて惨事を招くおそれがある。そこで本出願人は、例えば特許文献1に示すように、面格子を、窓開口部外側へ開放回動可能な開き戸式としたり窓開口部の側方へ開放移動可能なスライド式とし、平常時は施錠装置によってその面格子を土開口部側の固定枠に対し施錠し、火災発生時等の緊急時にはその施錠を解錠して面格子を開放して、窓開口部から緊急脱出できるようにしている。
【特許文献1】特許第3247624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1その他に示す面格子では、施錠装置による解錠操作は手動で行うようになっており、しかもその解錠操作にはある程度の力を要することから、子供や身障者等には解錠を行うことが困難な場合がある。
【0004】
そこで本発明は、面格子の開閉操作を自動的に行えるようにした窓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の窓装置は、建物の窓開口部1に配置される面格子2を開き戸式に開閉可能に設け、この面格子2を窓開口部1が開放される開放位置と窓開口部1が閉鎖される閉鎖位置とに自動的に開閉する面格子開閉手段11を設けてなることを特徴としている。
【0006】
請求項2に係る発明の窓装置は、建物の窓開口部1の室外側に配置される面格子2を、窓開口部1の室内側に設けられた固定枠3に開き戸式に開閉可能に取り付け、面格子2と固定枠3との間には、面格子2を窓開口部1が開放される開放位置と窓開口部1が閉鎖される閉鎖位置とに自動的に開閉する面格子開閉手段11を介設してなることを特徴とする。ここで、窓開口部1の室外側に配置されるとは、窓開口部1内の室外側寄りに配置される、あるいは窓開口部1から室外にはみだして配置されることを言うものとする。また、窓開口部1の室内側に設けられるとは、窓開口部1内の室内側寄りに設けられる、あるいは窓開口部1から室内にはみだして配置されることを言うものとする。
【0007】
請求項3は、請求項1又は2に記載の窓装置において、前記面格子開閉手段11は、リンク機構12と、このリンク機構12を面格子2の閉鎖位置に対応する折畳位置と開放位置に対応する展開位置とに往復駆動する直動式往復駆動手段とからなることを特徴とする。
【0008】
請求項4は、請求項1〜3のいずれかに記載の窓装置において、前記面格子開閉手段11は、平常時は面格子2を閉鎖位置に保持し、火事等の緊急時に火災報知機23が熱又は煙を検知した検知信号によって面格子2を閉鎖位置から開放位置に開放駆動させるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の窓装置によれば、面格子2を開放位置と閉鎖位置とに自動的に開閉する面格子開閉手段11を設けているので、面格子2を直接手で開閉操作することなく、面格子開閉手段11を開閉操作するためのスイッチをオン・オフするだけで、面格子2を自動的に開放し、また閉鎖することができ、従って子供や身障者等であっても面格子2を開閉させることができる。
【0010】
請求項2に係る発明の窓装置によれば、面格子2を、窓開口部1の室内側にある固定枠3に開き戸式に開閉可能に取り付け、面格子2と固定枠3との間に、面格子2を開放位置と閉鎖位置とに自動的に開閉する面格子開閉手段11を介設しているので、例えば、固定枠3内に設けた引戸障子のガラスを室外から掃除するような場合に面格子2を開放させる時には、面格子2を直接手で開閉操作することなく、面格子開閉手段11を開閉操作するためのスイッチをオン・オフするだけで、面格子2を自動的に開放し、また閉鎖することができる。
【0011】
請求項3に係る発明の窓装置によれば、面格子開閉手段11が、リンク機構12と、リンク機構12を面格子2の閉鎖位置に対応する折畳位置と開放位置に対応する展開位置とに往復駆動する直動式往復駆動手段とからなるため、構造が簡単でコンパクトになり、設置が容易となる。
【0012】
請求項4に係る発明の窓装置にによれば、面格子2は通常は閉鎖位置に保持されているから、面格子開閉手段11を操作するスイッチをオン・オフするだけで、面格子2を自動的に開放し、また閉鎖することができる。また、室内での火事等の緊急事態発生により、火災報知機が熱又は煙を検知した時は、その検知信号によって面格子2を閉鎖位置から開放位置に開放駆動させるから、室内に子供や身障者等がいる場合でもその子供等が自ら面格子2を開放操作することなく、そのまま脱出できるし、室外からの救出作業も容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明すると、図1の(a) は面格子が閉鎖位置にある状態を室外側から見た正面図であり、(b) は(a) のX−X線拡大断面図であるが、面格子のルーバーが開いた状態(水平姿勢にある)を示している。また、図2は図1の(b) のY−Y線拡大断面図であり、図3の(a) は図1の(a) のV−V線拡大断面図、(b) は図1の(a) のW−W線拡大断面図で、いずれも面格子のみを示す断面図である。これらの図において、1は建物の窓開口部で、この窓開口部1内の室外側には面格子2が配設されている。3は窓開口部1内の室内側に固定された金属製の固定枠で、この固定枠3自体が、例えば引き違い障子を嵌装するサッシ枠となる場合もあるし、またこの固定枠3にサッシ枠が取り付けられる場合もある。
【0014】
面格子2は、左右縦枠4,4と上下横枠5,6とからなる面格子周枠7を有し、この面格子周枠7内に水平方向に延びる多数の横長ルーバー8が上下多段状に配設されている。前記固定枠3は、図1の(b) 及び図2に示すように、左右縦材3a,3a、上横材3b及び下横材(図示省略)とからなるもので、左右縦材3a,3a内の上端部には面格子取付用のブラケット9,9が取り付けられていて、両ブラケット9,9の先端部に面格子周枠7の左右縦枠4,4の上端部が夫々枢支軸10,10によって枢着され、それにより面格子2は、面格子周枠7の上辺側に位置する両枢支軸10,10を中心に室外側へ回動開放できるようになっている。
【0015】
そして、面格子2と、窓開口部1の室内側に設けられた固定枠3との間には、面格子2を、窓開口部1が開放される開放位置と窓開口部1が閉鎖される閉鎖位置とに自動的に開閉する面格子開閉手段11が介設されている。この面格子開閉手段11は、前記固定枠3の左右各縦材3aに沿って配設されたもので、固定枠3の縦材3aと面格子2との間に介装されたリンク機構12と、このリンク機構12を面格子2の閉鎖位置に対応する折畳位置と面格子2の開放位置に対応する展開位置とに往復駆動する直動式往復駆動手段としてのリニアアクチュエータ13とから構成される。このリニアアクチュエータ13は例えば電動式のリニアアクチュエータである。
【0016】
面格子開閉手段11のリンク機構12は、一端部が固定枠3の各縦材3a内に取り付けられた取付部材14にピン15で枢着されたリンク12aと、一端部が面格子2の縦枠4に取り付けられた取付部材16にピン17で枢着されたリンク12bとからなるもので、両リンク12a,12bの他端部どうしがピン18で枢着されている。リニアアクチュエータ13は、可動体13bが円筒状本体13aに対し軸方向に伸縮するように往復移動するもので、円筒状本体13aの基端部は、固定枠3の縦材3a内に取り付けられた取付部材19にピン20によって枢着され、可動体13bの先端部がリンク機構12の両リンク12a,12bの夫々他端部と共に前記ピン18で枢着されている。
【0017】
この面格子開閉手段11の動作について説明すると、図2の実線で示すように、面格子2が閉鎖位置にある時は、リンク機構12及びリニアアクチュエータ13は、固定枠3の縦材3aの中に納まるように折り畳まれた状態なっている。しかして、この状態からリニアアクチュエータ13の可動体13bが伸張作動すると、同図の仮想線で示すように、リンク機構12が折畳位置から開放位置へと展開して面格子2を開放することになり、またリニアアクチュエータ13の可動体13bが収縮作動すると、リンク機構12が開放位置から折り畳まれてリニアアクチュエータ13と共に縦材3aの中に収納されて、面格子2を閉鎖することになる。
【0018】
また、この面格子開閉手段11は、平常時は面格子2を閉鎖位置に保持し、そして火事等の緊急事態発生時に火災報知機が熱又は煙を検知した検知信号によって面格子2を閉鎖位置から開放位置に開放駆動させるようになっている。図5は面格子開閉手段11の電気系統のフローチャートを示したもので、21は直動式往復駆動手段としてのリニアアクチュエータ13を電気的に制御する制御部、22はリニアアクチュエータ13をオン・オフ操作する押しボタン等の手動操作部、23は火災報知機である。
【0019】
従って、面格子2は通常は閉鎖位置に保持されているから、例えば、固定枠3内に設けられた引戸障子のガラスを室外から掃除するような場合に面格子2を開放させる時には、押しボタン等の手動操作部22を操作して(スイッチオンして)、リニアアクチュエータ13の可動体13bを伸張作動させることにより、面格子2を自動的に開放させることができ、そして手動操作部22をスイッチオフに操作することにより、面格子2は自動的に閉鎖する。また、室内で火事等の緊急事態が発生して、火災報知機が熱又は煙を検知した時は、その検知信号が制御部21に送られて、面格子開閉手段11のリニアアクチュエータ13が伸張作動し、リンク機構12を介して面格子2を自動的に開放させるから、室内に子供や身障者等がいる場合でも、その子供等が自ら面格子2を開放操作することなく、そのまま脱出することができるし、室外からの救出作業も容易に行うことができる。
【0020】
次に、面格子2のルーバー8の構造について更に詳しく説明すると、この面格子2は、左右縦枠4,4と上下横枠5,6とからなる面格子周枠7内に水平方向に延びる多数のルーバー8が上下多段状に連動開閉可能に配設された可動ルーバー面格子である。
【0021】
各ルーバー8は、図2及び図4に示すように、横断面全体が概略S字形状で且つその中央部の横断面が概略楕円形の中空状に形成されたアルミ合金の押出型材からなるもので、その楕円形中空部25は隔壁部26を介して両側の断面略三角形中空部25a,25aに分割され、隔壁部26にはビスポケット27がルーバー8の全長にわたって形成されている。
【0022】
また図4に示すように、各ルーバー8の両端部には合成樹脂により一体成形された端部キャップ28が夫々取り付けられ、各端部キャップ28は、ルーバー8の端面の中空部25を覆うキャップ本体29の内端側に、中空部25の両側三角形中空部25a,25aに嵌合される一対の嵌合凸部30,30を突設すると共に、キャップ本体29の外端側には、面格子周枠7の縦枠4の内側板4oに設けた軸孔34に回転自在に支持される支軸部31と、この支軸部31の外端側に支軸部31よりも径小の角軸部32とを同軸に形成し、更に支軸部31、角軸部32及びキャップ本体29の軸芯を貫通するビス挿通孔33を設けてなるものである。
【0023】
しかして、ルーバー8を面格子周枠7の左右縦枠4,4に取り付けるには、ルーバー8の両端部に端部キャップ28,28を取り付けた後、両端部キャップ28,28の支軸部31,31を縦枠4,4の内側板4o,4oにの軸孔34,34に夫々挿通することによって、ルーバー8を左右縦枠4,4に回転自在に軸架する。この後、各ルーバー8の一端側の端部キャップ28の角軸部32に、クランクアーム35の一端側に設けた角孔36を嵌合し、この角孔36の反対側端部のビス挿通孔37から挿通したビス38を、端部キャップ28のビス挿通孔33を通じてルーバー8のビスポケット27にねじ込むことによって、端部キャップ28をルーバー8に固定すると共に、クランクアーム35を端部キャップ28に固定する。
【0024】
上記のように各ルーバー8の一端側の端部キャップ28にクランクアーム35を取付固定した後、各クランクアーム35の先端側に突設してある縮径可能な割りピン39を連杆40のピン孔40aに嵌め込むことにより、各ルーバー8をクランクアーム35を介して連動連結し、この状態を図3の(a) に示す。
【0025】
また、各ルーバー8の他端側では、図3の(b) に示すように、例えば上下二つの所要の端部キャップ28の角軸部32に回転円板41を同心状に取付け固定し、これら二つの回転円板41,41を連杆42,42により連動連結し、片方の連杆42の下端部を、縦枠4内の下端部に設けたリニアアクチュエータ43の可動体43bに連結する。
【0026】
このリニアアクチュエータ43は、面格子開閉手段11のリニアアクチュエータ13と同様に、可動体43bが円筒状本体43aに対し軸方向に伸縮するように往復移動するもので、円筒状本体13aの基端部は縦枠4側に枢着され、可動体43bの先端部が連杆42の下端部に枢着されている。いま、図3の(b) では、リニアアクチュエータ43の可動体43bが伸張作動した状態で、各ルーバー8が閉じ位置にあり、この状態から、可動体43bが収縮作動すれば、連杆42を介して回転円板41が90°回転し、各ルーバー8は図3の仮想線で示されるような開放位置に保持され、また可動体13bじ伸張作動すると、連杆42を介して回転円板41が逆方向に90°回転し、各ルーバー8は同図の実線で示される閉じ位置に保持されることになる。
【0027】
上記のような可動ルーバー面格子2によれば、リニアアクチュエータ43を操作することによって、ルーバー8を一斉に自動開閉させることができる。
【0028】
上述した実施形態では、面格子開閉手段11の直動式往復駆動手段として、電動式リニアアクチュエータ13を使用しているが、リニアアクチュエータは、電動式に限るものではなく、電磁式その他のものを使用してもよい。また直動式往復駆動手段としては、各種リニアアクチュエータに限らず、エアシリンダや油圧シリンダを使用してもよい。また、ルーバー8を自動開閉するのに使用するリニアアクチュエータ43も同様である。但し、電動式等のリニアアクチュエータ13,43は、それ自体の小型、軽量化が可能である上、シリンダの場合のような圧力流体の配管が不要で、制御も簡単となるため、面格子周枠7内の狭い空間部でも容易に設置することができると共に、製作コストが安くなる。
【0029】
また、上述の実施形態では、面格子2は、面格子周枠7の上辺側に位置する支軸10を中心に室外側へ上下方向に回動開放できるようになっているが、これは一例であって、本発明に係る面格子としては、左右側辺(左右縦枠4)に位置する支軸を中心に左右方向に回動開放できるようにしてもよく、更には面格子周枠7の下辺側に位置する支軸を中心に上下方向に回動開放できる構造でもよい。
【0030】
また、上述の実施形態では、建物の窓開口部1の室外側に面格子2を設け、面格子2の室内側に固定枠3を設けているが、窓開口部1内に、例えば引き違い障子用のサッシ枠としての固定枠3を取り付け、この固定枠3の室内側に面格子2を設ける場合もあり、またその場合、固定枠3は窓開口部1内に限らず、窓開口部1の室内側に設け、この固定枠3の更に室内側に面格子2を設けることもある。また面格子2は、窓開口部1から室外側へはみだして設ける場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a) は面格子が閉鎖位置にある状態を室外側から見た正面図であり、(b) は(a) のX−X線拡大断面図であるが、面格子のルーバーが開いた状態を示している。
【図2】図1の(b) のY−Y線拡大断面図である。
【図3】(a) は図1の(a) のV−V線拡大断面図、(b) は図1の(a) のW−W線拡大断面図で、いずれも面格子のみを示す断面図である。
【図4】ルーバー、端部キャップ、クランクアーム及び連杆を示す斜視図である。
【図5】面格子開閉手段の電気系統のフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 建物の窓開口部
2 面格子
3 固定枠
11 面格子開閉手段
12 リンク機構
13 リニアアクチュエータ(直動式往復駆動手段)
23 火災報知機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の窓開口部に配置される面格子を開き戸式に開閉可能に設け、この面格子を窓開口部が開放される開放位置と窓開口部が閉鎖される閉鎖位置とに自動的に開閉する面格子開閉手段を設けてなる窓装置。
【請求項2】
建物の窓開口部の室外側に配置される面格子を、窓開口部の室内側に設けられた固定枠に開き戸式に開閉可能に取り付け、面格子と固定枠との間には、面格子を窓開口部が開放される開放位置と窓開口部が閉鎖される閉鎖位置とに自動的に開閉する面格子開閉手段を介設してなる窓装置。
【請求項3】
前記面格子開閉手段は、リンク機構と、このリンク機構を面格子の閉鎖位置に対応する折畳位置と開放位置に対応する展開位置とに往復駆動する直動式往復駆動手段とからなる請求項1又は2に記載の窓装置。
【請求項4】
前記面格子開閉手段は、平常時は面格子を閉鎖位置に保持し、火事等の緊急時に火災報知機が熱又は煙を検知した検知信号によって面格子を閉鎖位置から開放位置に開放駆動させるようになっている請求項1〜3のいずれかに記載の窓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−287192(P2009−287192A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137819(P2008−137819)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(390040800)株式会社ナカムラ (23)
【Fターム(参考)】