立体画像撮影表示システム
【課題】径方向に大きく突出させることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消可能な立体画像撮影表示システムを提供する。
【解決手段】視差の異なる光学系1L,1Rを有する撮像手段1と、画像処理手段2と、処理された画像を表示する表示手段3とを有し、画像処理手段2が、左右の画像を用いて立体計測を行う機能を有する計測手段2aと、計測手段2aを介して得られた結果に基づいて、左右の画像を融像して立体画像表示する場合の観察し難い領域の有無を検出する検出手段2bと、所定の画像加工を行う画像加工手段2cとを有し、さらに、検出手段2bを介して観察し難い領域が検出された場合に、視差の異なる光学系同士の光軸間の距離を固定した状態でその領域を観察し易い状態にして、表示手段3に画像表示されるように、撮像手段1又は画像処理手段2を制御する観察画像自動調整手段4を備える。
【解決手段】視差の異なる光学系1L,1Rを有する撮像手段1と、画像処理手段2と、処理された画像を表示する表示手段3とを有し、画像処理手段2が、左右の画像を用いて立体計測を行う機能を有する計測手段2aと、計測手段2aを介して得られた結果に基づいて、左右の画像を融像して立体画像表示する場合の観察し難い領域の有無を検出する検出手段2bと、所定の画像加工を行う画像加工手段2cとを有し、さらに、検出手段2bを介して観察し難い領域が検出された場合に、視差の異なる光学系同士の光軸間の距離を固定した状態でその領域を観察し易い状態にして、表示手段3に画像表示されるように、撮像手段1又は画像処理手段2を制御する観察画像自動調整手段4を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、内視鏡を用いた手術における術部の立体画像の観察等に用いる立体画像撮影表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の立体画像撮影表示システムとしては、例えば、次の特許文献1に記載の内視鏡の映像表示装置がある。
【特許文献1】特開平6−261860号公報
【0003】
図18は特許文献1に記載の内視鏡の映像表示装置の構成についての説明図であり、(a)は内視鏡挿入部先端の観察光学系の配置構成を示す図、(b)は視差調整動作の説明図である。
この立体画像撮影表示システムでは、撮像素子と物体との距離を測定し、その距離に応じて、立体角(左右視差量)を変更できるようにすることで、観察対象の立体映像の見やすさを向上させている。
即ち、図18(a)に示すように、測距部51における赤外線出射部52からの被写体Mへの赤外線の照射、赤外線センサ53による被写体Mで反射した赤外線の受光を介して、被写体Mと左右の固体撮像素子61,62との距離を測定する。そして、この測距部51で測定した距離に基づき、制御部(図示省略)が視差調整機構(図示省略)を駆動して、左右の固体撮像素子61,62間の視差を調整することで、良好な観察対象物の立体映像が得られるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の内視鏡の映像表示装置は、図18(b)に示すように、立体角を変更するために、左右の固体撮像素子61,62の光軸間の間隔を移動させるようにしている。このため、撮像ユニットが径方向に太くなってしまう。撮像ユニットの径が太くなると、特に内視鏡等の機器においては患者への挿入性が大きく阻害され、患者への肉体的負担が増大してしまう。
【0005】
また、一般に術部は平らではなく、凹凸を含んでいる。このため、凹凸のある術部を立体観察したときに、観察する画像の一部が突出したように見えることがある。しかし、立体観察している画像の一部に、突出したように見える部分があると、観察者は立体観察画像に違和感を受け、観察に支障を来たしやすい。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、撮像ユニットを径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消可能な立体画像撮影表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による立体画像撮影表示システムは、視差の異なる左右一対の光学系を有する左右の撮像手段と、該左右の撮像手段を介して撮像された視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像処理を施す画像処理手段と、該画像処理手段を介して画像処理された画像を表示する表示手段とを有し、該左右の撮像手段、画像処理手段、及び表示手段を介して観察対象の立体画像を観察可能にする立体画像撮影表示システムであって、前記画像処理手段が、前記左右の撮像手段を介して撮像された、前記視差の異なる左右の画像を用いて、前記観察対象に対する立体計測を行う機能を少なくとも有する計測手段と、前記計測手段を介して得られた結果に基づいて、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像内での観察し難い領域の有無を検出する検出手段と、所定の画像加工を行う画像加工手段とを有し、さらに、前記検出手段を介して前記観察し難い領域が検出された場合に、該検出された領域の観察し難い状態を観察し易い状態にして、前記表示手段に画像表示されるように、前記視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離を固定した状態で前記撮像手段又は前記画像処理手段を制御する、観察画像自動調整手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像加工手段は、前記左右の撮像手段を介して撮像された、前記視差の異なる左右の画像を用いて、前記所定の画像加工を行うのが好ましい。
【0009】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記計測手段は、前記視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する機能を有し、前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、観察者から該表示手段の表示面までの距離と、前記計測手段を介して算出された前記視差の異なる画像の融像位置から前記表示手段の表示面までの距離との比率を算出し、算出した比率が次の条件式(1)を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域として検出するのが好ましい。
25%<H/M ・・・(1)
但し、Hは計測手段を介して算出された視差の異なる画像の融像位置の、表示手段の表示面からの飛び出し量、Mは観察者から表示手段の表示面までの距離である。
【0010】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記計測手段は、前記視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する機能を有し、前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、観察者から該表示手段の表示面までの距離と、前記計測手段を介して算出された前記視差の異なる画像の融像位置から前記表示手段の表示面までの距離との比率を算出し、算出した比率が次の条件式(1')を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域として検出するのが好ましい。
15%<H/M ・・・(1')
但し、Hは計測手段を介して算出された視差の異なる画像の融像位置の、表示手段の表示面からの飛び出し量、Mは観察者から表示手段の表示面までの距離である。
【0011】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記観察画像自動調整手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における前記観察し難い領域での所定の画像特性を観察し易い状態となるように変換させる、画像処理制御手段よりなるのが好ましい。
【0012】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域を、3次元画像から2次元画像へと変換させるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における全領域を、3次元画像から2次元画像へと変換させるのが好ましい。
【0014】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域での明るさを変更させるのが好ましい。
【0015】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域での周波数を変更させるのが好ましい。
【0016】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記観察画像自動調整手段が、前記立体画像における前記観察し難い領域での所定の画像特性が観察し易い状態となるように、前記左右の撮像手段に対して所定の制御を行う、撮像制御手段であるのが好ましい。
【0017】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる光学系の絞りを制御するのが好ましい。
【0018】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる光学系の焦点位置を制御するのが好ましい。
【0019】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記撮像手段は、前記左右一対の光学系に共通の光学部材を有し、前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる前記共通の光学部材を介して焦点位置を制御するのが好ましい。
【0020】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、さらに、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示した場合における該立体画像内で観察し難い領域を生じさせる原因となる物体についての少なくとも一部の物理量を予め記憶する記憶手段を有するとともに、前記計測手段は、前記観察対象の少なくとも一部の物理量を計測する機能を有し、前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、前記計測手段を介して計測された観察対象の物理量を、前記記憶手段を介して予め記憶させておいた物体の物理量と比較し、これらの物理量が一致した場合に立体画像内での観察し難い領域として検出するのが好ましい。
【0021】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記物理量が、形状寸法、色、立体形状、分光特性のいずれかであるのが好ましい。
【0022】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記記憶手段による物理量の記憶対象となる物体には、処置具が含まれるのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、撮像ユニットを径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消可能な立体画像撮影表示システムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は本発明の立体画像撮影表示システムの基本的な概略構成の一例を示すブロック図、図2は図1の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
図1に示す立体画像撮影表示システムは、左右の撮像手段1と、画像処理手段2と、表示手段3を有している。
左右の撮像手段1は、視差の異なる左右一対の光学系として、左眼用光学系1Lと右眼用光学系1Rを有し、視差の異なる観察対象をリアルタイムに撮像するように構成されている。
画像処理手段2は、左右の撮像手段1を介して撮像された視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像処理を施すように構成されている。
表示手段3は、画像処理手段2を介して画像処理された画像を表示するように構成されている。
そして、左右の撮像手段1、画像処理手段2、及び表示手段3を介して観察対象(図1において省略)の立体画像を観察することができるようになっている。
【0025】
また、図1に示す立体画像撮影表示システムは、画像処理手段2が計測手段2aと検出手段2bと画像加工手段2cとを有するとともに、さらに、観察画像自動調整手段4を備えている。
計測手段2aは、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象に対する立体計測を行う機能を少なくとも有している。
検出手段2bは、計測手段2aを介して得られた結果に基づいて、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、その立体画像内での観察し難い領域の有無を検出するように構成されている。
画像加工手段2cは、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像加工を行うように構成されている。
【0026】
観察画像自動調整手段4は、検出手段2bを介して観察し難い領域が検出された場合に、検出された領域の観察し難い状態を観察し易い状態にして、表示手段3に画像表示されるように、視差の異なる左右一対の光学系1L,1R同士の光軸間の距離を固定した状態で撮像手段1又は画像処理手段2を制御するように構成されている。
【0027】
このように構成された図1の立体画像撮影表示システムでは、撮像手段1を介して撮像した観察対象の画像に対し図2に示すような処理手順の処理を施した画像を、表示手段3に表示する。
まず、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、当該画像についての処理対象の初期領域を選択する(ステップS1)。
【0028】
次いで、計測手段2aが、選択された領域において、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象に対する立体計測を行う(ステップS2)。
【0029】
次いで、検出手段2bが、計測手段2aを介して得られた結果に基づいて、立体画像内で観察し難い領域を検出する(ステップS3,S4)。
選択された領域が立体画像内で観察し難い領域として検出された場合には、観察画像自動調整手段4が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系1L,1R同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で撮像手段1又は画像処理手段2を制御する(ステップS5)。そして、画像加工手段2cが、観察し易い状態となるように制御された画像を作成する(ステップS6)。
次いで、観察画像自動調整手段4を介して制御され、画像加工手段2を介して作成された、選択された領域での画像を、画像表示手段3が表示する(ステップS7)。
【0030】
次いで、全ての領域についての選択が終了したかをチェックし(ステップS8)、選択が終了していない場合は、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像における処理対象の次の領域を選択し(ステップS9)、ステップS2〜ステップS8の処理を繰り返す。
これにより、観察される画像は、全体にわたって見易い画像となる。
【0031】
このように、本発明の立体観察撮影表示システムによれば、撮像手段1を介して撮像された画像を用いて、画像処理手段2が観察し難い領域の有無を検出し、観察し難い領域があるときには、観察画像自動調整手段4が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で撮像手段1又は画像処理手段2を制御するようにしたので、撮像手段1を径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消することができる。
【0032】
第一実施形態
図3は本発明の第一実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図、図4は図3の立体画像撮影表示システムの全体構成の一例を模式的に示す説明図である。図5は図4に示す立体画像撮影表示システムにおける撮像手段から画像処理手段に至るまでの具体的な構成を示す説明図である。図6は第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける撮像手段を構成する左右一対の撮像光学系を示す図、図7は第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける三次元情報の計測原理を示す説明図である。図8は第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける、観察対象の画像を立体視した場合の画像の表示面からの飛び出し位置の算出方法を概略的に示す説明図、図9は図8における観察対象(被写体)付近を示す説明図である。図10は第一実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
第一実施形態の立体画像撮影表示システムは、図3に示すように、左右の撮像手段1と、画像処理手段2と、表示手段3と、観察画像自動調整手段4’を有している。
左右の撮像手段1は、視差の異なる左右一対の光学系として、左眼用光学系1Lと右眼用光学系1Rを有し、視差の異なる観察対象をリアルタイムに撮像するように構成されている。左眼用光学系1Lは、図4に示すように、左眼用対物レンズ1L1と、左眼用撮像素子1LMを有している。右眼用光学系1Rは、右眼用対物レンズ1R1と、右眼用撮像素子1RMを有している。左右一対の対物レンズ1L1,1R1は、所定の距離Lを隔て配置されており、視差Lを隔てた観察対象20の像を左右一対の撮像素子1LM,1RM上に結像させるように構成されている。左右一対の撮像素子1LM,1RMは、CCD等で構成されている。
また、左右の撮像手段1は、左右一対の撮像素子1LM,1RMと画像処理手段2との間に、例えば図5に示すように、左右一対のビデオアンプ1La,1Ra、左右一対のA/D変換器1Lb,1Rb、左右一対のフレームメモリ1Lc,1Rcを備えている。そして、左右の撮像素子1LM,1RMで撮像された画像の出力を、夫々、ビデオアンプ1La,1Raで増幅し、A/D変換器1Lb,1Rbでデジタル信号に変換し、フレームメモリ1Lc,1Rcに格納するようになっている。
【0034】
ここで、フレームメモリ1Lc,1Rcに格納される左右の画像は、視差Lをもって撮像された画像であり、これら両画像における観察対象20上の同一点の位置ずれに観察対象20の3次元情報が含まれている。フレームメモリにフレームメモリ1Lc,1Rcに格納された画像データは、画像処理手段2に供給され、画像処理手段2において、視差Lのデータに基づいて、所定の画像処理が施され、観察対象20の凹凸や、長さ、面積等の3次元情報が計算される。
【0035】
画像処理手段2は、図3に示すように、計測手段2aと、検出手段2bと、画像加工手段2cを有している。
計測手段2aは、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象に対する立体計測を行う機能を少なくとも有している。
検出手段2bは、計測手段2aを介して得られた結果に基づいて、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、その立体画像内での観察し難い領域の有無を検出するように構成されている。
画像加工手段2cは、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像加工を行うように構成されている。
【0036】
表示手段3は、画像処理手段2を介して画像処理された画像を表示するように構成されている。
観察画像自動調整手段4’は、検出手段2bを介して観察し難い領域が検出された場合に、画像加工手段2cに、立体画像における観察し難い領域での所定の画像特性を観察し易い状態となるように変換させる、画像処理制御手段としての機能を有している。
【0037】
ここで、画像処理手段2の計測手段2aにおける3次元情報の計測原理について説明する。
図6に示すように、視差Lを有する第1の視点としての右眼用対物レンズ1R1による画像と、第2の視点としての左眼用対物レンズ1L1による画像とを、それぞれ撮像素子1RM,1LMで撮像する場合、これらの撮像素子1RM,1LM上における夫々の画像と観察対象20との幾何学的対応は図7に示すようになる。ここで、対物レンズ1R1,1L1の中心の位置をO1,O2、そのとき得られる画像をP1,P2、対物レンズ1R1,1L1の焦点位置をfとする。この場合、観察対象20の任意の点A,Bは、画像P1上ではa1,b1の位置に、また、画像P2上ではa2,b2の位置にそれぞれ写しとられるので、これらの画像を、中心を合わせて重ね合わせると、a1,b1の点は、画像P2上ではa1’,b1’の位置に相当する。このときのa1’とa2との間の距離をda、b1’とb2との間の距離をdbとする。また、位置O1,O2を含む面P0と観察対象20の点Aとの間の距離をhA、面P0と点Bとの間の距離をhBとすると、距離hAと距離daとの間には、三角形AO1O2と三角形O2a1’a2との相似関係より、次の関係式(a)が成り立つ。
hA/L=f/da ・・・(a)
【0038】
したがって、距離hAは次式(b)で求めることができる。
hA=(f・L)/da ・・・(b)
同様にして、距離hBは次式(c)で求めることができる。
hB=(f・L)/db ・・・(c)
このように、視差がL異なる2つの画像P1,P2における対応点間の距離da,dbを求めることによって、その点の観察対象20上での高さ方向の絶対的大きさhA,hBを求めることができる。
【0039】
次に、観察対象20上における任意の点の間の距離の絶対的大きさを求める場合について説明する。
画像P1における中心をc1とし、画像P1上でc1とa1との間及びc1とb1との間の距離をそれぞれea及びebとする。また、位置O1から垂直に観察対象20上に下した直線Iと点A及び点Bとの間の距離をそれぞれWA及びWBとすると、まず、距離WAと距離eaとの間には、比例関係より、
WA/hA=ea/f ・・・(d)
が成立する。よって、この式(d)に上記式(b)を代入すると、WAは次式(e)により求めることができる。
WA=(ea・hA)/f=(ea・f・L)/(f・da)=(ea・L)/da
・・・(e)
同様に、Wbは次式(f)で求められる。
WB=(eb・L)/db ・・・(f)
したがって、観察対象20を面P0と平行な平面に投影したときの点Aと点Bとの間の距離WABは、次式(g)のようにして求めることができる。
WAB=WB−WA=L[(eb/db)−(ea/da)] ・・・(g)
これにより、画像P1上で観察対象20上での任意の点間の距離の絶対的大きさを測定することができる。
【0040】
次に、上述した2つの画像P1及び画像P2において、対応する点間の距離dを求める場合について説明する。この距離dは、基本的には2つの画像P1,P2の中の小領域における相関を調べることによって求める。ここで、2つの画像P1,P2内の小領域を関数f(r),g(r)で表わし、関数g(r)が関数f(r)と比べてDだけシフトしているものとする。つまり、g(r)=f(r−D)と仮定する。ただし、rは二次元を表わす座標である。この場合の関数f(r)と関数g(r)との相関は次式(h)で定義される。
・・・(h)
但し、Aは小領域の面積を表わすものとする。以下、この式(h)をφ(s)=f(r)*g(r)と略記する。
上記式(h)をフーリエ変換すると、
Φ(u)=F(u)・G*(u) ・・・(i)
となる。なお、F(u)は関数f(r)をフーリエ変換した関数を示し、G(u)は関数g(r)をフーリエ変換した関数を示す。
【0041】
ここで、g(r)=f(r−D)の条件を使うと、上記式(i)は、
Φ(u)=F(u)・F*(u)・e-j・2π・u・D ・・・(j)
となり、これを逆フーリエ変換すると、次式(k)のようになる。
φ(S)=Rff(t)*δ(t−D) ・・・(k)
但し、この式(k)においては、Rff(t)がf(r)の自己相関関数で、
Rff(t)=f(r)*f(r) ・・・(l)
で表わされることを、またe-j・2π・u・Dの逆フーリエ変換がδ(t−D)となることを用いている。
【0042】
上記式(k)は相関関数φ(S)がS=Dのところでピークを有することを示している。したがって、相関関数φ(S)を求め、そのピークの位置Dを調べることにより、関数g(r)が関数f(r)に対してどれだけシフトしているかを決定することができる。このことを利用して、2つの画像P1,P2から対応する小領域を求め、対応する点間の距離dを求めることができる。
【0043】
次に、検出手段2bにおける観察し難い領域を検出するための判断指標を図8及び図9を用いて説明する。
図8は観察対象の画像を立体視した場合の画像の飛び出す位置の算出方法を示す概略図、図9は図8における観察対象付近を示す拡大図である。
ここでは、観察対象20である物体の任意の点a(x1、z1)を表示手段3としての3Dモニターを介して観察した場合における、融像した画像の3Dモニターの表示面からの飛び出し量Hを算出することとする。
まず、計測手段2aを介して立体計測された任意の点a(x1、z1)と左眼用光学系1Lの光軸Clとのx方向の距離は図9より、
x1+[z1×tan(α/2)]
同様に、任意の点a(x1、z1)と右眼用光学系1Rの光軸Crとのx方向の距離は、
x1−[z1×tan(α/2)]
となる。
【0044】
ここで、このx方向の距離は、対物レンズ1L1,1R1を介在させると、撮像素子としてのCCD1LM,1RMの面上では縦倍率βがかかる。このため、距離a’、b’は、図8に示すように、
a’=(x1+z1×tan(α/2)×β(x)
b’=(x1−z1×tan(α/2)×β(x)
となる。但し、β(x)は、対物レンズ1L1,1R1のx方向の距離に対する縦倍率である。
【0045】
また、距離a’,b’を3Dモニターに表示すると、3Dモニター上での距離a”,b”は、CCDの大きさに対する表示面の大きさを表示倍率rとすると、
a”=(x1+z1×tan(α/2)×β(x)×r
b”=(x1−z1×tan(α/2)×β(x)×r
となる。
【0046】
しかるに、本件出願人は、観察者からモニターまでの距離Mと飛び出し量Hとの比率を変えて、立体観察画像の観察のし難さを調べるという実験を繰り返した。その結果、立体観察画像における観察のし難さ(見にくさ)の判断指標は、観察者10から表示手段3である3Dモニターまでの距離Mと飛び出し量Hとの比率で決まることが判明した。
ここで、距離Mに対する飛び出し量Hの比率H/Mを3Dモニター上での距離a”,b”、眼幅距離Wで表わすことする。
図8より、
(M−H):H=W:(a”−b”)
が成り立つため、
H/M=(a”−b”)/(W+a”−b”)
=2z1×tan(α/2)×β(x)×r/(W+2z1×tan(α/2)×β(x)×r)
となる。
そして、次の条件式(1)を満足するときに、立体画像が見難くなると判断することができることが実験により判明した。
25%<H/M ・・・(1)
第一実施形態の立体画像撮影表示システムでは、検出手段2bは、算出した比率H/Mが件式(1)を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域であるとして検出するように構成されている。
なお、次の条件式(1')を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域であるとして検出するのが好ましい。
15%<H/M ・・・(1')
【0047】
画像処理制御手段4’は、画像加工手段2cに、立体画像における観察し難い領域での明るさの変更処理を行わせるように制御しており、例えば、図4に示すように、観察し難い領域を部分的に暗くする処理を行わせるように制御している。
なお、画像処理制御手段4’は、画像加工手段2cへの制御としては、その他に、立体画像における観察し難い領域での周波数を変更する処理を行わせて、観察し難い領域をボカすようにしてもよい。または、観察し難い領域を、2次元画像に変換する画像加工処理を行わせるようにしてもよい。さらには、観察し難い領域が検出された場合に画像領域全体を2次元画像に変換する画像加工処理を行わせるようにしてもよい。その場合は、左右いずれかの画像を、左右共通の画像として用いるようにするとよい。
【0048】
このように構成された第一実施形態の立体画像撮影表示システムでは、撮像手段1を介して撮像された観察対象20の画像に対し図10に示すような処理手順の処理を施した画像を、表示手段3に表示する。
まず、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、当該画像についての処理対象の初期領域を選択する(ステップS11)。
【0049】
次いで、計測手段2aが、選択された領域において、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象20に対する立体計測を行い、視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する(ステップS12)。
【0050】
次いで、検出手段2bが、観察者10から表示手段3の表示面までの距離と、計測手段2aを介して算出された視差の異なる画像の融像位置から表示手段3の表示面までの距離との比率H/Mを算出し、算出した比率が条件式(1)(25%<H/M)を満足する場合に、立体画像内で観察し難い領域として検出する(ステップS13,S14)。
選択された領域が立体画像内で観察し難い領域として検出された場合には、観察画像自動調整手段としての画像処理制御手段4’が、選択された領域での観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、画像加工手段2cを制御する(ステップS15)。そして、画像加工手段2cが、観察し易い状態となるように制御された画像を作成する(ステップS16)。
次いで、画像処理制御手段4’を介して制御され、画像加工手段2cを介して作成された、選択された領域での画像を、画像表示手段3が表示する(ステップS17)。
【0051】
次いで、全ての領域についての選択が終了したかをチェックし(ステップS18)、選択が終了していない場合は、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像における処理対象の次の領域を選択し(ステップS19)、ステップS12〜ステップS18の処理を繰り返す。
これにより、観察される画像は、全体にわたって見易い画像となる。
【0052】
第一実施形態の立体観察撮影表示システムによれば、撮像手段1を介して撮像された画像を用いて、画像処理手段2が観察し難い領域の有無を検出し、観察し難い領域があるときには、観察画像自動調整手段としての画像処理制御手段4’が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で画像処理手段2を制御するようにしたので、撮像手段1を径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消することができる。
【0053】
第二実施形態
図11は本発明の第二実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図、図12は図11の立体画像撮影表示システムの要部の一構成例を模式的に示す説明図、図13は図11の立体画像撮影表示システムの要部の他の構成例を模式的に示す説明図である。図14は第二実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
第二実施形態の立体画像撮影表示システムは、図11に示すように、左右の撮像手段1と、画像処理手段2と、表示手段3と、観察画像自動調整手段4”を有している。
左右の撮像手段1は、後述する観察画像自動調整手段4”を介して撮影が制御されるように構成されている。より詳しくは、例えば、図12に示すように、左眼用対物レンズ1L1と右眼用対物レンズ1R1は、夫々の光軸方向に移動可能に配置されており、夫々光軸方向に移動することによって焦点位置を変化させることができるようになっている。
【0055】
また、例えば、図13に示すように、左右の撮像手段1が、共通のレンズ1RL1,1RL2を備え、レンズ1RL1が光軸方向に移動可能に配置され、光軸方向を移動することによって焦点距離を変化させることができるようにしてもよい。なお、図13中、1L13、1R13は、左右一対の光学系1L,1Rに夫々別個に設けられたレンズである。
画像処理手段2は、第一実施形態と同様に、計測手段2aと、検出手段2bと、画像加工手段2cを有して構成されている。
表示手段3は、第一実施形態と同様に、画像処理手段2を介して画像処理された画像を表示するように構成されている。
【0056】
観察画像自動調整手段4”は、検出手段2bを介して観察し難い領域が検出された場合に、立体画像における観察し難い領域での所定の画像特性が観察し易い状態となるように、左右の撮像手段1に対して所定の制御を行う、撮像制御手段としての機能を有している。
例えば、図12に示すように、左右の撮像手段1に備わる光学系1L,1Rの対物レンズ1L1,1R1が可動である場合、光学系1L1,1R1を夫々の光軸方向に移動させることによって焦点位置を制御する。これにより、観察し難い領域の画像をボカす。
或いは、図示を省略したが、左右の撮像手段1に備わる光学系1R,1Lの瞳位置に絞り開閉機構を備え、その絞り開閉機構を制御することにより、観察し難い領域については、絞りを開くことで被写界深度を浅くしてボカすようにするとよい。
【0057】
なお、「観察し難い領域」での画像が、観察者側に突出することによって、観察者に圧迫感などの違和感を与える場合の他に、場合によっては、観察者側に突出することによって、その部分の像がボケて不鮮明になり、画像全体として観察者に違和感を与える場合も生じ得る。
そこで、「観察し難い領域」での画像が、不鮮明になるのを解消するために、例えば、図13に示す例において、左右の撮像手段1に備わる光学系1R,1Lに共通のレンズ1RL1を光軸方向に移動させることによって焦点位置を制御し、観察し難い領域(不鮮明な領域)の画像を鮮明にするようにしてもよい。なお、「観察し難い領域」での画像が、観察者側に突出することによって、観察者に圧迫感を与えるのを解消するために、図13の例においても、共通のレンズ1RL1を光軸方向に移動させることによって焦点位置を制御し、観察し難い領域(不鮮明な領域)の画像をボカするようにしてもよい。
また、図13の例に示すように、左右の光学系1L,1Rに共通のレンズRL1でフォーカスすると、立体角を調整することによって、観察し難さを解消させることができる。
第二実施形態の立体画像撮影表示システムのその他の構成は、第一実施形態の立体画像撮影表示システムと略同じである。
【0058】
このように構成された第二実施形態の立体画像撮影表示システムでは、撮像手段1を介して撮像された観察対象20の画像に対し図14に示すような処理手順の処理を施した画像を、表示画面3に表示する。
まず、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、当該画像についての処理対象の初期領域を選択する(ステップS21)。
【0059】
次いで、計測手段2aが、選択された領域において、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象20に対する立体計測を行い、視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する(ステップS22)。
【0060】
次いで、検出手段2bが、観察者10から表示手段3の表示面までの距離と、計測手段2aを介して算出された視差の異なる画像の融像位置から表示手段3の表示面までの距離との比率H/Mを算出し、算出した比率が条件式(1)(25%<H/M)を満足する場合に、立体画像内で観察し難い領域として検出する(ステップS23,S24)。
選択された領域が立体画像内で観察し難い領域として検出された場合には、観察画像自動調整手段としての画像処理制御手段4”が、選択された領域での観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、撮像手段1を制御する(ステップS25)。そして、撮像手段1を介して、観察し易い状態となるように制御された画像が撮像され、画像加工手段2cを介して、撮像された画像に対して所定の処理を施した画像が作成される(ステップS26)。
次いで、画像処理制御手段4”を介して撮像手段1による撮像が制御され、画像加工手段2cを介して処理された、選択された領域での画像を、画像表示手段3が表示する(ステップS27)。
【0061】
次いで、全ての領域についての選択が終了したかをチェックし(ステップS28)、選択が終了していない場合は、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像における処理対象の次の領域を選択し(ステップS29)、ステップS22〜ステップS28の処理を繰り返す。
これにより、観察される画像は、全体にわたって見易い画像となる。
【0062】
第二実施形態の立体観察撮影表示システムによれば、撮像手段1を介して撮像された画像を用いて、画像処理手段2が観察し難い領域の有無を検出し、観察し難い領域があるときには、観察画像自動調整手段としての撮像制御手段4”が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で撮像手段1を制御するようにしたので、撮像手段1を径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消することができる。
【0063】
第三実施形態
図15は本発明の第三実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図、図16は図15の立体画像撮影表示システムの要部の一構成例を模式的に示す説明図、図17は第三実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【0064】
第三実施形態の立体画像撮影表示システムは、図15に示すように、左右の撮像手段1と、画像処理手段2と、表示手段3と、観察画像自動調整手段4”と、記憶手段5を有している。
左右の撮像手段1は、後述する観察画像自動調整手段4”を介して撮影が制御されるように構成されている。より詳しくは、第二実施形態と同様に、例えば、図16に示すように、左右の撮像手段1が、共通のレンズ1RL1,1RL2を備え、レンズ1RL1が光軸方向に移動可能に配置され、光軸方向を移動することによって焦点距離を変化させることができるよう構成されている。
【0065】
記憶手段5は、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示した場合における、その立体画像内で観察し難い領域を生じさせる物体(図16では、処置具としての手術用ナイフ21)についての少なくとも一部の物理量(例えば、形状・寸法、色、立体形状、分光特性)を予め記録して備えている。
画像処理手段2は、計測手段2a’と、検出手段2b’と、画像加工手段2cを有して構成されている。
【0066】
計測手段2a’は、観察対象20(ここでは、術部に挿入される処置具である手術用ナイフ21を含む)の少なくとも一部の物理量(例えば、形状・寸法、色、立体形状、分光特性)を計測する機能を有している。
検出手段2b’は、視差の異なる左右の画像を融像して、表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における立体画像の各領域について、計測手段2a’を介して計測された観察対象20(ここでは、手術用ナイフ21を含む)の物理量を、記憶手段5に予め記憶された物体(ここでは、手術用ナイフ21)の物理量と比較する。そして、その計測された観察対象20の物理量と記憶手段5に予め記憶された物体(手術用ナイフ21)の物理量とが一致した場合に立体画像内での観察し難い領域として検出する。
表示手段3は、第一実施形態と同様に、画像処理手段2を介して画像処理された画像を表示するように構成されている。
【0067】
手術用ナイフ21などの処置具は、形状が細長く、また光を強く反射するため、立体観察すると、観察し難くなることが多い。
このため、第三実施形態の立体画像撮影表示システムでは、予め処置具の形状・寸法、色、立体形状、分光特性などの物理量を記憶手段5を介して記憶させておき、観察対象20を観察中に、観察対象20の領域におけるこれらの物理量を計測手段2a’を介して測定する。そして、この計測手段2a’を介して測定された観察対象20についての物理量と、記憶手段5を介して記憶させておいた物体21の物理量を、検出手段2b’を介して比較し、これらの物理量が一致したときに、観察し難い領域として検出し、第二実施形態の立体画像撮影表示システムと同様に、観察画像自動調整手段4”を介して観察し易い領域となるように、左右の撮像手段1に対して所定の制御を行い、撮像手段1による撮像が制御され、画像加工手段2cを介して作成された画像が表示手段3に表示されるようにしている。
第三実施形態の立体画像撮影表示システムのその他の構成は第二実施形態の立体画像撮影表示システムと略同じである。
【0068】
このように構成された第三実施形態の立体画像撮影表示システムでは、撮像手段1を介して撮像された観察対象20の画像に対し図17に示すような処理手順の処理を施した画像を、表示画面3に表示する。
まず、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、画像の処理対象の初期領域を選択する(ステップS31)。
【0069】
次いで、計測手段2a’が、選択された領域において、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象20に対する立体計測を行い、観察対象20についての少なくとも一部の物理量を計測する(ステップS32)。
【0070】
次いで、検出手段2b’が、計測手段2a’を介して計測された物理量を、記憶手段5を介して予め記憶させておいた物体の物理量と比較し、計測した物理量が記憶させておいた物理量と一致する場合に、立体画像内で観察し難い領域として検出する(ステップS33,S34)。
選択された領域が立体画像内で観察し難い領域として検出された場合には、観察画像自動調整手段としての画像処理制御手段4”が、選択された領域での観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、撮像手段1を制御する(ステップS35)。そして、撮像手段1を介して、観察し易い状態となるように制御された画像が撮像され、画像加工手段2cを介して、撮像された画像に対して所定の処理を施した画像が作成される(ステップS36)。
次いで、画像処理制御手段4”を介して撮像手段1による撮像が制御され、画像加工手段2cを介して処理された、選択された領域での画像を、画像表示手段3が表示する(ステップS37)。
【0071】
次いで、全ての領域についての選択が終了したかをチェックし(ステップS38)、選択が終了していない場合は、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像における処理対象の次の領域を選択し(ステップS39)、ステップS32〜ステップS38の処理を繰り返す。
これにより、観察される画像は、全体にわたって見易い画像となる。
【0072】
第三実施形態の立体観察撮影表示システムによれば、撮像手段1を介して撮像された画像を用いて、画像処理手段2が観察し難い領域の有無を検出し、観察し難い領域があるときには、観察画像自動調整手段としての撮像制御手段4”が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で撮像手段1を制御するようにしたので、撮像手段1を径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消することができる。
そして、第三実施形態の立体観察撮影表示システムによれば、計測手段2a’を介して計測された観察対象20の物理量を、記憶手段5を介して予め記憶させておいた物体の物理量と比較し、これらの物理量が一致した場合に立体画像内での観察し難い領域として検出するようにしたので、例えば、処置具を用いて手術中の術部を観察するような場合に、処置具により観察し難くなる状態を解消することができる。
【0073】
なお、本発明の立体画像撮影表示システムは、上述した各実施形態の構成に限定されるものではなく、各実施形態の立体画像撮影表示システムにおける特徴的な構成を組み合わせても勿論よい。
例えば、観察画像自動調整手段4を、第一実施形態に示した画像処理制御手段4’としての機能と、第二実施形態及び第三実施形態に示した撮像制御手段4”としての機能とを兼ね備えて構成し、観察用途に応じて観察画像自動調整手段としての機能を、スイッチ等の切換手段を介して切換えるようにしてもよい。
また、さらに、画像処理手段2を、第一実施形態及び第二実施形態に示した計測手段2a、及び検出手段2bと、第三実施形態に示した計測手段2a’、検出手段2b’、及び記憶手段5とを兼ね備えて構成し、観察用途に応じて観察画像自動調整手段としての機能を、スイッチ等の切換手段を介して切換えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の立体画像撮影表示システムは、例えば、手術用顕微鏡や手術用内視鏡を用いて凹凸のある術部を観察する医療、医学の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の立体画像撮影表示システムの基本的な概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】図3の立体画像撮影表示システムの全体構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図5】図4に示す立体画像撮影表示システムにおける撮像手段から画像処理手段に至るまでの具体的な構成を示す説明図である。
【図6】第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける撮像手段を構成する左右一対の撮像光学系を示す図である。
【図7】第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける三次元情報の計測原理を示す説明図である。
【図8】第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける、観察対象の画像を立体視した場合の画像の表示面からの飛び出し位置の算出方法を概略的に示す説明図である。
【図9】図8における観察対象(被写体)付近を示す説明図である。図10は第一実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第一実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第二実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図12】図11の立体画像撮影表示システムの要部の一構成例を模式的に示す説明図である。
【図13】図11の立体画像撮影表示システムの要部の他の構成例を模式的に示す説明図である。
【図14】第二実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第三実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図16】図15の立体画像撮影表示システムの要部の一構成例を模式的に示す説明図である。
【図17】第三実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図18】特許文献1に記載の内視鏡の映像表示装置の構成についての説明図であり、(a)は内視鏡挿入部先端の観察光学系の配置構成を示す図、(b)は視差調整動作の説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 撮像手段
1L 左眼用光学系
1L1 左眼用対物レンズ
1L13 左右一対の光学系1L,1Rに夫々別個に設けられたレンズ
1LM 左眼用撮像素子
1La 左眼用ビデオアンプ
1Lb 左眼用A/D変換器
1Lc 左眼用フレームメモリ
1R 右眼用光学系
1R1 右眼用対物レンズ
1R13 レンズ
1RM 右眼用撮像素子
1Ra 右眼用ビデオアンプ
1Rb 右眼用A/D変換器
1Rc 右眼用フレームメモリ
1RL1 レンズ
1RL2 レンズ
2 画像処理手段
2a,2a’ 計測手段
2b,2b’ 検出手段
2c 画像加工手段
3 表示手段(3Dモニタ)
4 観察画像自動調整手段
4’ 観察画像自動調整手段(画像処理制御手段)
4” 観察画像自動調整手段(撮像制御手段)
10 観察者
20 観察対象(被写体)
21 手術用ナイフ(立体画像内で観察し難い領域を生じさせる物体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、内視鏡を用いた手術における術部の立体画像の観察等に用いる立体画像撮影表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の立体画像撮影表示システムとしては、例えば、次の特許文献1に記載の内視鏡の映像表示装置がある。
【特許文献1】特開平6−261860号公報
【0003】
図18は特許文献1に記載の内視鏡の映像表示装置の構成についての説明図であり、(a)は内視鏡挿入部先端の観察光学系の配置構成を示す図、(b)は視差調整動作の説明図である。
この立体画像撮影表示システムでは、撮像素子と物体との距離を測定し、その距離に応じて、立体角(左右視差量)を変更できるようにすることで、観察対象の立体映像の見やすさを向上させている。
即ち、図18(a)に示すように、測距部51における赤外線出射部52からの被写体Mへの赤外線の照射、赤外線センサ53による被写体Mで反射した赤外線の受光を介して、被写体Mと左右の固体撮像素子61,62との距離を測定する。そして、この測距部51で測定した距離に基づき、制御部(図示省略)が視差調整機構(図示省略)を駆動して、左右の固体撮像素子61,62間の視差を調整することで、良好な観察対象物の立体映像が得られるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の内視鏡の映像表示装置は、図18(b)に示すように、立体角を変更するために、左右の固体撮像素子61,62の光軸間の間隔を移動させるようにしている。このため、撮像ユニットが径方向に太くなってしまう。撮像ユニットの径が太くなると、特に内視鏡等の機器においては患者への挿入性が大きく阻害され、患者への肉体的負担が増大してしまう。
【0005】
また、一般に術部は平らではなく、凹凸を含んでいる。このため、凹凸のある術部を立体観察したときに、観察する画像の一部が突出したように見えることがある。しかし、立体観察している画像の一部に、突出したように見える部分があると、観察者は立体観察画像に違和感を受け、観察に支障を来たしやすい。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、撮像ユニットを径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消可能な立体画像撮影表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明による立体画像撮影表示システムは、視差の異なる左右一対の光学系を有する左右の撮像手段と、該左右の撮像手段を介して撮像された視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像処理を施す画像処理手段と、該画像処理手段を介して画像処理された画像を表示する表示手段とを有し、該左右の撮像手段、画像処理手段、及び表示手段を介して観察対象の立体画像を観察可能にする立体画像撮影表示システムであって、前記画像処理手段が、前記左右の撮像手段を介して撮像された、前記視差の異なる左右の画像を用いて、前記観察対象に対する立体計測を行う機能を少なくとも有する計測手段と、前記計測手段を介して得られた結果に基づいて、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像内での観察し難い領域の有無を検出する検出手段と、所定の画像加工を行う画像加工手段とを有し、さらに、前記検出手段を介して前記観察し難い領域が検出された場合に、該検出された領域の観察し難い状態を観察し易い状態にして、前記表示手段に画像表示されるように、前記視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離を固定した状態で前記撮像手段又は前記画像処理手段を制御する、観察画像自動調整手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像加工手段は、前記左右の撮像手段を介して撮像された、前記視差の異なる左右の画像を用いて、前記所定の画像加工を行うのが好ましい。
【0009】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記計測手段は、前記視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する機能を有し、前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、観察者から該表示手段の表示面までの距離と、前記計測手段を介して算出された前記視差の異なる画像の融像位置から前記表示手段の表示面までの距離との比率を算出し、算出した比率が次の条件式(1)を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域として検出するのが好ましい。
25%<H/M ・・・(1)
但し、Hは計測手段を介して算出された視差の異なる画像の融像位置の、表示手段の表示面からの飛び出し量、Mは観察者から表示手段の表示面までの距離である。
【0010】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記計測手段は、前記視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する機能を有し、前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、観察者から該表示手段の表示面までの距離と、前記計測手段を介して算出された前記視差の異なる画像の融像位置から前記表示手段の表示面までの距離との比率を算出し、算出した比率が次の条件式(1')を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域として検出するのが好ましい。
15%<H/M ・・・(1')
但し、Hは計測手段を介して算出された視差の異なる画像の融像位置の、表示手段の表示面からの飛び出し量、Mは観察者から表示手段の表示面までの距離である。
【0011】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記観察画像自動調整手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における前記観察し難い領域での所定の画像特性を観察し易い状態となるように変換させる、画像処理制御手段よりなるのが好ましい。
【0012】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域を、3次元画像から2次元画像へと変換させるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における全領域を、3次元画像から2次元画像へと変換させるのが好ましい。
【0014】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域での明るさを変更させるのが好ましい。
【0015】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域での周波数を変更させるのが好ましい。
【0016】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記観察画像自動調整手段が、前記立体画像における前記観察し難い領域での所定の画像特性が観察し易い状態となるように、前記左右の撮像手段に対して所定の制御を行う、撮像制御手段であるのが好ましい。
【0017】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる光学系の絞りを制御するのが好ましい。
【0018】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる光学系の焦点位置を制御するのが好ましい。
【0019】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記撮像手段は、前記左右一対の光学系に共通の光学部材を有し、前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる前記共通の光学部材を介して焦点位置を制御するのが好ましい。
【0020】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、さらに、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示した場合における該立体画像内で観察し難い領域を生じさせる原因となる物体についての少なくとも一部の物理量を予め記憶する記憶手段を有するとともに、前記計測手段は、前記観察対象の少なくとも一部の物理量を計測する機能を有し、前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、前記計測手段を介して計測された観察対象の物理量を、前記記憶手段を介して予め記憶させておいた物体の物理量と比較し、これらの物理量が一致した場合に立体画像内での観察し難い領域として検出するのが好ましい。
【0021】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記物理量が、形状寸法、色、立体形状、分光特性のいずれかであるのが好ましい。
【0022】
また、本発明の立体画像撮影表示システムにおいては、前記記憶手段による物理量の記憶対象となる物体には、処置具が含まれるのが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、撮像ユニットを径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消可能な立体画像撮影表示システムが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は本発明の立体画像撮影表示システムの基本的な概略構成の一例を示すブロック図、図2は図1の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
図1に示す立体画像撮影表示システムは、左右の撮像手段1と、画像処理手段2と、表示手段3を有している。
左右の撮像手段1は、視差の異なる左右一対の光学系として、左眼用光学系1Lと右眼用光学系1Rを有し、視差の異なる観察対象をリアルタイムに撮像するように構成されている。
画像処理手段2は、左右の撮像手段1を介して撮像された視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像処理を施すように構成されている。
表示手段3は、画像処理手段2を介して画像処理された画像を表示するように構成されている。
そして、左右の撮像手段1、画像処理手段2、及び表示手段3を介して観察対象(図1において省略)の立体画像を観察することができるようになっている。
【0025】
また、図1に示す立体画像撮影表示システムは、画像処理手段2が計測手段2aと検出手段2bと画像加工手段2cとを有するとともに、さらに、観察画像自動調整手段4を備えている。
計測手段2aは、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象に対する立体計測を行う機能を少なくとも有している。
検出手段2bは、計測手段2aを介して得られた結果に基づいて、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、その立体画像内での観察し難い領域の有無を検出するように構成されている。
画像加工手段2cは、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像加工を行うように構成されている。
【0026】
観察画像自動調整手段4は、検出手段2bを介して観察し難い領域が検出された場合に、検出された領域の観察し難い状態を観察し易い状態にして、表示手段3に画像表示されるように、視差の異なる左右一対の光学系1L,1R同士の光軸間の距離を固定した状態で撮像手段1又は画像処理手段2を制御するように構成されている。
【0027】
このように構成された図1の立体画像撮影表示システムでは、撮像手段1を介して撮像した観察対象の画像に対し図2に示すような処理手順の処理を施した画像を、表示手段3に表示する。
まず、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、当該画像についての処理対象の初期領域を選択する(ステップS1)。
【0028】
次いで、計測手段2aが、選択された領域において、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象に対する立体計測を行う(ステップS2)。
【0029】
次いで、検出手段2bが、計測手段2aを介して得られた結果に基づいて、立体画像内で観察し難い領域を検出する(ステップS3,S4)。
選択された領域が立体画像内で観察し難い領域として検出された場合には、観察画像自動調整手段4が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系1L,1R同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で撮像手段1又は画像処理手段2を制御する(ステップS5)。そして、画像加工手段2cが、観察し易い状態となるように制御された画像を作成する(ステップS6)。
次いで、観察画像自動調整手段4を介して制御され、画像加工手段2を介して作成された、選択された領域での画像を、画像表示手段3が表示する(ステップS7)。
【0030】
次いで、全ての領域についての選択が終了したかをチェックし(ステップS8)、選択が終了していない場合は、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像における処理対象の次の領域を選択し(ステップS9)、ステップS2〜ステップS8の処理を繰り返す。
これにより、観察される画像は、全体にわたって見易い画像となる。
【0031】
このように、本発明の立体観察撮影表示システムによれば、撮像手段1を介して撮像された画像を用いて、画像処理手段2が観察し難い領域の有無を検出し、観察し難い領域があるときには、観察画像自動調整手段4が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で撮像手段1又は画像処理手段2を制御するようにしたので、撮像手段1を径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消することができる。
【0032】
第一実施形態
図3は本発明の第一実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図、図4は図3の立体画像撮影表示システムの全体構成の一例を模式的に示す説明図である。図5は図4に示す立体画像撮影表示システムにおける撮像手段から画像処理手段に至るまでの具体的な構成を示す説明図である。図6は第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける撮像手段を構成する左右一対の撮像光学系を示す図、図7は第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける三次元情報の計測原理を示す説明図である。図8は第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける、観察対象の画像を立体視した場合の画像の表示面からの飛び出し位置の算出方法を概略的に示す説明図、図9は図8における観察対象(被写体)付近を示す説明図である。図10は第一実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
第一実施形態の立体画像撮影表示システムは、図3に示すように、左右の撮像手段1と、画像処理手段2と、表示手段3と、観察画像自動調整手段4’を有している。
左右の撮像手段1は、視差の異なる左右一対の光学系として、左眼用光学系1Lと右眼用光学系1Rを有し、視差の異なる観察対象をリアルタイムに撮像するように構成されている。左眼用光学系1Lは、図4に示すように、左眼用対物レンズ1L1と、左眼用撮像素子1LMを有している。右眼用光学系1Rは、右眼用対物レンズ1R1と、右眼用撮像素子1RMを有している。左右一対の対物レンズ1L1,1R1は、所定の距離Lを隔て配置されており、視差Lを隔てた観察対象20の像を左右一対の撮像素子1LM,1RM上に結像させるように構成されている。左右一対の撮像素子1LM,1RMは、CCD等で構成されている。
また、左右の撮像手段1は、左右一対の撮像素子1LM,1RMと画像処理手段2との間に、例えば図5に示すように、左右一対のビデオアンプ1La,1Ra、左右一対のA/D変換器1Lb,1Rb、左右一対のフレームメモリ1Lc,1Rcを備えている。そして、左右の撮像素子1LM,1RMで撮像された画像の出力を、夫々、ビデオアンプ1La,1Raで増幅し、A/D変換器1Lb,1Rbでデジタル信号に変換し、フレームメモリ1Lc,1Rcに格納するようになっている。
【0034】
ここで、フレームメモリ1Lc,1Rcに格納される左右の画像は、視差Lをもって撮像された画像であり、これら両画像における観察対象20上の同一点の位置ずれに観察対象20の3次元情報が含まれている。フレームメモリにフレームメモリ1Lc,1Rcに格納された画像データは、画像処理手段2に供給され、画像処理手段2において、視差Lのデータに基づいて、所定の画像処理が施され、観察対象20の凹凸や、長さ、面積等の3次元情報が計算される。
【0035】
画像処理手段2は、図3に示すように、計測手段2aと、検出手段2bと、画像加工手段2cを有している。
計測手段2aは、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象に対する立体計測を行う機能を少なくとも有している。
検出手段2bは、計測手段2aを介して得られた結果に基づいて、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、その立体画像内での観察し難い領域の有無を検出するように構成されている。
画像加工手段2cは、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像加工を行うように構成されている。
【0036】
表示手段3は、画像処理手段2を介して画像処理された画像を表示するように構成されている。
観察画像自動調整手段4’は、検出手段2bを介して観察し難い領域が検出された場合に、画像加工手段2cに、立体画像における観察し難い領域での所定の画像特性を観察し易い状態となるように変換させる、画像処理制御手段としての機能を有している。
【0037】
ここで、画像処理手段2の計測手段2aにおける3次元情報の計測原理について説明する。
図6に示すように、視差Lを有する第1の視点としての右眼用対物レンズ1R1による画像と、第2の視点としての左眼用対物レンズ1L1による画像とを、それぞれ撮像素子1RM,1LMで撮像する場合、これらの撮像素子1RM,1LM上における夫々の画像と観察対象20との幾何学的対応は図7に示すようになる。ここで、対物レンズ1R1,1L1の中心の位置をO1,O2、そのとき得られる画像をP1,P2、対物レンズ1R1,1L1の焦点位置をfとする。この場合、観察対象20の任意の点A,Bは、画像P1上ではa1,b1の位置に、また、画像P2上ではa2,b2の位置にそれぞれ写しとられるので、これらの画像を、中心を合わせて重ね合わせると、a1,b1の点は、画像P2上ではa1’,b1’の位置に相当する。このときのa1’とa2との間の距離をda、b1’とb2との間の距離をdbとする。また、位置O1,O2を含む面P0と観察対象20の点Aとの間の距離をhA、面P0と点Bとの間の距離をhBとすると、距離hAと距離daとの間には、三角形AO1O2と三角形O2a1’a2との相似関係より、次の関係式(a)が成り立つ。
hA/L=f/da ・・・(a)
【0038】
したがって、距離hAは次式(b)で求めることができる。
hA=(f・L)/da ・・・(b)
同様にして、距離hBは次式(c)で求めることができる。
hB=(f・L)/db ・・・(c)
このように、視差がL異なる2つの画像P1,P2における対応点間の距離da,dbを求めることによって、その点の観察対象20上での高さ方向の絶対的大きさhA,hBを求めることができる。
【0039】
次に、観察対象20上における任意の点の間の距離の絶対的大きさを求める場合について説明する。
画像P1における中心をc1とし、画像P1上でc1とa1との間及びc1とb1との間の距離をそれぞれea及びebとする。また、位置O1から垂直に観察対象20上に下した直線Iと点A及び点Bとの間の距離をそれぞれWA及びWBとすると、まず、距離WAと距離eaとの間には、比例関係より、
WA/hA=ea/f ・・・(d)
が成立する。よって、この式(d)に上記式(b)を代入すると、WAは次式(e)により求めることができる。
WA=(ea・hA)/f=(ea・f・L)/(f・da)=(ea・L)/da
・・・(e)
同様に、Wbは次式(f)で求められる。
WB=(eb・L)/db ・・・(f)
したがって、観察対象20を面P0と平行な平面に投影したときの点Aと点Bとの間の距離WABは、次式(g)のようにして求めることができる。
WAB=WB−WA=L[(eb/db)−(ea/da)] ・・・(g)
これにより、画像P1上で観察対象20上での任意の点間の距離の絶対的大きさを測定することができる。
【0040】
次に、上述した2つの画像P1及び画像P2において、対応する点間の距離dを求める場合について説明する。この距離dは、基本的には2つの画像P1,P2の中の小領域における相関を調べることによって求める。ここで、2つの画像P1,P2内の小領域を関数f(r),g(r)で表わし、関数g(r)が関数f(r)と比べてDだけシフトしているものとする。つまり、g(r)=f(r−D)と仮定する。ただし、rは二次元を表わす座標である。この場合の関数f(r)と関数g(r)との相関は次式(h)で定義される。
・・・(h)
但し、Aは小領域の面積を表わすものとする。以下、この式(h)をφ(s)=f(r)*g(r)と略記する。
上記式(h)をフーリエ変換すると、
Φ(u)=F(u)・G*(u) ・・・(i)
となる。なお、F(u)は関数f(r)をフーリエ変換した関数を示し、G(u)は関数g(r)をフーリエ変換した関数を示す。
【0041】
ここで、g(r)=f(r−D)の条件を使うと、上記式(i)は、
Φ(u)=F(u)・F*(u)・e-j・2π・u・D ・・・(j)
となり、これを逆フーリエ変換すると、次式(k)のようになる。
φ(S)=Rff(t)*δ(t−D) ・・・(k)
但し、この式(k)においては、Rff(t)がf(r)の自己相関関数で、
Rff(t)=f(r)*f(r) ・・・(l)
で表わされることを、またe-j・2π・u・Dの逆フーリエ変換がδ(t−D)となることを用いている。
【0042】
上記式(k)は相関関数φ(S)がS=Dのところでピークを有することを示している。したがって、相関関数φ(S)を求め、そのピークの位置Dを調べることにより、関数g(r)が関数f(r)に対してどれだけシフトしているかを決定することができる。このことを利用して、2つの画像P1,P2から対応する小領域を求め、対応する点間の距離dを求めることができる。
【0043】
次に、検出手段2bにおける観察し難い領域を検出するための判断指標を図8及び図9を用いて説明する。
図8は観察対象の画像を立体視した場合の画像の飛び出す位置の算出方法を示す概略図、図9は図8における観察対象付近を示す拡大図である。
ここでは、観察対象20である物体の任意の点a(x1、z1)を表示手段3としての3Dモニターを介して観察した場合における、融像した画像の3Dモニターの表示面からの飛び出し量Hを算出することとする。
まず、計測手段2aを介して立体計測された任意の点a(x1、z1)と左眼用光学系1Lの光軸Clとのx方向の距離は図9より、
x1+[z1×tan(α/2)]
同様に、任意の点a(x1、z1)と右眼用光学系1Rの光軸Crとのx方向の距離は、
x1−[z1×tan(α/2)]
となる。
【0044】
ここで、このx方向の距離は、対物レンズ1L1,1R1を介在させると、撮像素子としてのCCD1LM,1RMの面上では縦倍率βがかかる。このため、距離a’、b’は、図8に示すように、
a’=(x1+z1×tan(α/2)×β(x)
b’=(x1−z1×tan(α/2)×β(x)
となる。但し、β(x)は、対物レンズ1L1,1R1のx方向の距離に対する縦倍率である。
【0045】
また、距離a’,b’を3Dモニターに表示すると、3Dモニター上での距離a”,b”は、CCDの大きさに対する表示面の大きさを表示倍率rとすると、
a”=(x1+z1×tan(α/2)×β(x)×r
b”=(x1−z1×tan(α/2)×β(x)×r
となる。
【0046】
しかるに、本件出願人は、観察者からモニターまでの距離Mと飛び出し量Hとの比率を変えて、立体観察画像の観察のし難さを調べるという実験を繰り返した。その結果、立体観察画像における観察のし難さ(見にくさ)の判断指標は、観察者10から表示手段3である3Dモニターまでの距離Mと飛び出し量Hとの比率で決まることが判明した。
ここで、距離Mに対する飛び出し量Hの比率H/Mを3Dモニター上での距離a”,b”、眼幅距離Wで表わすことする。
図8より、
(M−H):H=W:(a”−b”)
が成り立つため、
H/M=(a”−b”)/(W+a”−b”)
=2z1×tan(α/2)×β(x)×r/(W+2z1×tan(α/2)×β(x)×r)
となる。
そして、次の条件式(1)を満足するときに、立体画像が見難くなると判断することができることが実験により判明した。
25%<H/M ・・・(1)
第一実施形態の立体画像撮影表示システムでは、検出手段2bは、算出した比率H/Mが件式(1)を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域であるとして検出するように構成されている。
なお、次の条件式(1')を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域であるとして検出するのが好ましい。
15%<H/M ・・・(1')
【0047】
画像処理制御手段4’は、画像加工手段2cに、立体画像における観察し難い領域での明るさの変更処理を行わせるように制御しており、例えば、図4に示すように、観察し難い領域を部分的に暗くする処理を行わせるように制御している。
なお、画像処理制御手段4’は、画像加工手段2cへの制御としては、その他に、立体画像における観察し難い領域での周波数を変更する処理を行わせて、観察し難い領域をボカすようにしてもよい。または、観察し難い領域を、2次元画像に変換する画像加工処理を行わせるようにしてもよい。さらには、観察し難い領域が検出された場合に画像領域全体を2次元画像に変換する画像加工処理を行わせるようにしてもよい。その場合は、左右いずれかの画像を、左右共通の画像として用いるようにするとよい。
【0048】
このように構成された第一実施形態の立体画像撮影表示システムでは、撮像手段1を介して撮像された観察対象20の画像に対し図10に示すような処理手順の処理を施した画像を、表示手段3に表示する。
まず、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、当該画像についての処理対象の初期領域を選択する(ステップS11)。
【0049】
次いで、計測手段2aが、選択された領域において、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象20に対する立体計測を行い、視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する(ステップS12)。
【0050】
次いで、検出手段2bが、観察者10から表示手段3の表示面までの距離と、計測手段2aを介して算出された視差の異なる画像の融像位置から表示手段3の表示面までの距離との比率H/Mを算出し、算出した比率が条件式(1)(25%<H/M)を満足する場合に、立体画像内で観察し難い領域として検出する(ステップS13,S14)。
選択された領域が立体画像内で観察し難い領域として検出された場合には、観察画像自動調整手段としての画像処理制御手段4’が、選択された領域での観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、画像加工手段2cを制御する(ステップS15)。そして、画像加工手段2cが、観察し易い状態となるように制御された画像を作成する(ステップS16)。
次いで、画像処理制御手段4’を介して制御され、画像加工手段2cを介して作成された、選択された領域での画像を、画像表示手段3が表示する(ステップS17)。
【0051】
次いで、全ての領域についての選択が終了したかをチェックし(ステップS18)、選択が終了していない場合は、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像における処理対象の次の領域を選択し(ステップS19)、ステップS12〜ステップS18の処理を繰り返す。
これにより、観察される画像は、全体にわたって見易い画像となる。
【0052】
第一実施形態の立体観察撮影表示システムによれば、撮像手段1を介して撮像された画像を用いて、画像処理手段2が観察し難い領域の有無を検出し、観察し難い領域があるときには、観察画像自動調整手段としての画像処理制御手段4’が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で画像処理手段2を制御するようにしたので、撮像手段1を径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消することができる。
【0053】
第二実施形態
図11は本発明の第二実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図、図12は図11の立体画像撮影表示システムの要部の一構成例を模式的に示す説明図、図13は図11の立体画像撮影表示システムの要部の他の構成例を模式的に示す説明図である。図14は第二実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【0054】
第二実施形態の立体画像撮影表示システムは、図11に示すように、左右の撮像手段1と、画像処理手段2と、表示手段3と、観察画像自動調整手段4”を有している。
左右の撮像手段1は、後述する観察画像自動調整手段4”を介して撮影が制御されるように構成されている。より詳しくは、例えば、図12に示すように、左眼用対物レンズ1L1と右眼用対物レンズ1R1は、夫々の光軸方向に移動可能に配置されており、夫々光軸方向に移動することによって焦点位置を変化させることができるようになっている。
【0055】
また、例えば、図13に示すように、左右の撮像手段1が、共通のレンズ1RL1,1RL2を備え、レンズ1RL1が光軸方向に移動可能に配置され、光軸方向を移動することによって焦点距離を変化させることができるようにしてもよい。なお、図13中、1L13、1R13は、左右一対の光学系1L,1Rに夫々別個に設けられたレンズである。
画像処理手段2は、第一実施形態と同様に、計測手段2aと、検出手段2bと、画像加工手段2cを有して構成されている。
表示手段3は、第一実施形態と同様に、画像処理手段2を介して画像処理された画像を表示するように構成されている。
【0056】
観察画像自動調整手段4”は、検出手段2bを介して観察し難い領域が検出された場合に、立体画像における観察し難い領域での所定の画像特性が観察し易い状態となるように、左右の撮像手段1に対して所定の制御を行う、撮像制御手段としての機能を有している。
例えば、図12に示すように、左右の撮像手段1に備わる光学系1L,1Rの対物レンズ1L1,1R1が可動である場合、光学系1L1,1R1を夫々の光軸方向に移動させることによって焦点位置を制御する。これにより、観察し難い領域の画像をボカす。
或いは、図示を省略したが、左右の撮像手段1に備わる光学系1R,1Lの瞳位置に絞り開閉機構を備え、その絞り開閉機構を制御することにより、観察し難い領域については、絞りを開くことで被写界深度を浅くしてボカすようにするとよい。
【0057】
なお、「観察し難い領域」での画像が、観察者側に突出することによって、観察者に圧迫感などの違和感を与える場合の他に、場合によっては、観察者側に突出することによって、その部分の像がボケて不鮮明になり、画像全体として観察者に違和感を与える場合も生じ得る。
そこで、「観察し難い領域」での画像が、不鮮明になるのを解消するために、例えば、図13に示す例において、左右の撮像手段1に備わる光学系1R,1Lに共通のレンズ1RL1を光軸方向に移動させることによって焦点位置を制御し、観察し難い領域(不鮮明な領域)の画像を鮮明にするようにしてもよい。なお、「観察し難い領域」での画像が、観察者側に突出することによって、観察者に圧迫感を与えるのを解消するために、図13の例においても、共通のレンズ1RL1を光軸方向に移動させることによって焦点位置を制御し、観察し難い領域(不鮮明な領域)の画像をボカするようにしてもよい。
また、図13の例に示すように、左右の光学系1L,1Rに共通のレンズRL1でフォーカスすると、立体角を調整することによって、観察し難さを解消させることができる。
第二実施形態の立体画像撮影表示システムのその他の構成は、第一実施形態の立体画像撮影表示システムと略同じである。
【0058】
このように構成された第二実施形態の立体画像撮影表示システムでは、撮像手段1を介して撮像された観察対象20の画像に対し図14に示すような処理手順の処理を施した画像を、表示画面3に表示する。
まず、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、当該画像についての処理対象の初期領域を選択する(ステップS21)。
【0059】
次いで、計測手段2aが、選択された領域において、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象20に対する立体計測を行い、視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する(ステップS22)。
【0060】
次いで、検出手段2bが、観察者10から表示手段3の表示面までの距離と、計測手段2aを介して算出された視差の異なる画像の融像位置から表示手段3の表示面までの距離との比率H/Mを算出し、算出した比率が条件式(1)(25%<H/M)を満足する場合に、立体画像内で観察し難い領域として検出する(ステップS23,S24)。
選択された領域が立体画像内で観察し難い領域として検出された場合には、観察画像自動調整手段としての画像処理制御手段4”が、選択された領域での観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、撮像手段1を制御する(ステップS25)。そして、撮像手段1を介して、観察し易い状態となるように制御された画像が撮像され、画像加工手段2cを介して、撮像された画像に対して所定の処理を施した画像が作成される(ステップS26)。
次いで、画像処理制御手段4”を介して撮像手段1による撮像が制御され、画像加工手段2cを介して処理された、選択された領域での画像を、画像表示手段3が表示する(ステップS27)。
【0061】
次いで、全ての領域についての選択が終了したかをチェックし(ステップS28)、選択が終了していない場合は、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像における処理対象の次の領域を選択し(ステップS29)、ステップS22〜ステップS28の処理を繰り返す。
これにより、観察される画像は、全体にわたって見易い画像となる。
【0062】
第二実施形態の立体観察撮影表示システムによれば、撮像手段1を介して撮像された画像を用いて、画像処理手段2が観察し難い領域の有無を検出し、観察し難い領域があるときには、観察画像自動調整手段としての撮像制御手段4”が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で撮像手段1を制御するようにしたので、撮像手段1を径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消することができる。
【0063】
第三実施形態
図15は本発明の第三実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図、図16は図15の立体画像撮影表示システムの要部の一構成例を模式的に示す説明図、図17は第三実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【0064】
第三実施形態の立体画像撮影表示システムは、図15に示すように、左右の撮像手段1と、画像処理手段2と、表示手段3と、観察画像自動調整手段4”と、記憶手段5を有している。
左右の撮像手段1は、後述する観察画像自動調整手段4”を介して撮影が制御されるように構成されている。より詳しくは、第二実施形態と同様に、例えば、図16に示すように、左右の撮像手段1が、共通のレンズ1RL1,1RL2を備え、レンズ1RL1が光軸方向に移動可能に配置され、光軸方向を移動することによって焦点距離を変化させることができるよう構成されている。
【0065】
記憶手段5は、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示した場合における、その立体画像内で観察し難い領域を生じさせる物体(図16では、処置具としての手術用ナイフ21)についての少なくとも一部の物理量(例えば、形状・寸法、色、立体形状、分光特性)を予め記録して備えている。
画像処理手段2は、計測手段2a’と、検出手段2b’と、画像加工手段2cを有して構成されている。
【0066】
計測手段2a’は、観察対象20(ここでは、術部に挿入される処置具である手術用ナイフ21を含む)の少なくとも一部の物理量(例えば、形状・寸法、色、立体形状、分光特性)を計測する機能を有している。
検出手段2b’は、視差の異なる左右の画像を融像して、表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における立体画像の各領域について、計測手段2a’を介して計測された観察対象20(ここでは、手術用ナイフ21を含む)の物理量を、記憶手段5に予め記憶された物体(ここでは、手術用ナイフ21)の物理量と比較する。そして、その計測された観察対象20の物理量と記憶手段5に予め記憶された物体(手術用ナイフ21)の物理量とが一致した場合に立体画像内での観察し難い領域として検出する。
表示手段3は、第一実施形態と同様に、画像処理手段2を介して画像処理された画像を表示するように構成されている。
【0067】
手術用ナイフ21などの処置具は、形状が細長く、また光を強く反射するため、立体観察すると、観察し難くなることが多い。
このため、第三実施形態の立体画像撮影表示システムでは、予め処置具の形状・寸法、色、立体形状、分光特性などの物理量を記憶手段5を介して記憶させておき、観察対象20を観察中に、観察対象20の領域におけるこれらの物理量を計測手段2a’を介して測定する。そして、この計測手段2a’を介して測定された観察対象20についての物理量と、記憶手段5を介して記憶させておいた物体21の物理量を、検出手段2b’を介して比較し、これらの物理量が一致したときに、観察し難い領域として検出し、第二実施形態の立体画像撮影表示システムと同様に、観察画像自動調整手段4”を介して観察し易い領域となるように、左右の撮像手段1に対して所定の制御を行い、撮像手段1による撮像が制御され、画像加工手段2cを介して作成された画像が表示手段3に表示されるようにしている。
第三実施形態の立体画像撮影表示システムのその他の構成は第二実施形態の立体画像撮影表示システムと略同じである。
【0068】
このように構成された第三実施形態の立体画像撮影表示システムでは、撮像手段1を介して撮像された観察対象20の画像に対し図17に示すような処理手順の処理を施した画像を、表示画面3に表示する。
まず、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を融像して表示手段3を介して立体画像として表示するとした場合における、画像の処理対象の初期領域を選択する(ステップS31)。
【0069】
次いで、計測手段2a’が、選択された領域において、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像を用いて、観察対象20に対する立体計測を行い、観察対象20についての少なくとも一部の物理量を計測する(ステップS32)。
【0070】
次いで、検出手段2b’が、計測手段2a’を介して計測された物理量を、記憶手段5を介して予め記憶させておいた物体の物理量と比較し、計測した物理量が記憶させておいた物理量と一致する場合に、立体画像内で観察し難い領域として検出する(ステップS33,S34)。
選択された領域が立体画像内で観察し難い領域として検出された場合には、観察画像自動調整手段としての画像処理制御手段4”が、選択された領域での観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、撮像手段1を制御する(ステップS35)。そして、撮像手段1を介して、観察し易い状態となるように制御された画像が撮像され、画像加工手段2cを介して、撮像された画像に対して所定の処理を施した画像が作成される(ステップS36)。
次いで、画像処理制御手段4”を介して撮像手段1による撮像が制御され、画像加工手段2cを介して処理された、選択された領域での画像を、画像表示手段3が表示する(ステップS37)。
【0071】
次いで、全ての領域についての選択が終了したかをチェックし(ステップS38)、選択が終了していない場合は、左右の撮像手段1を介して撮像された、視差の異なる左右の画像における処理対象の次の領域を選択し(ステップS39)、ステップS32〜ステップS38の処理を繰り返す。
これにより、観察される画像は、全体にわたって見易い画像となる。
【0072】
第三実施形態の立体観察撮影表示システムによれば、撮像手段1を介して撮像された画像を用いて、画像処理手段2が観察し難い領域の有無を検出し、観察し難い領域があるときには、観察画像自動調整手段としての撮像制御手段4”が、選択された領域における観察し難い状態を、観察し易い状態となるように、視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離が固定されたままの状態で撮像手段1を制御するようにしたので、撮像手段1を径方向に太くすることなく、立体観察画像における観察者に与える違和感を解消することができる。
そして、第三実施形態の立体観察撮影表示システムによれば、計測手段2a’を介して計測された観察対象20の物理量を、記憶手段5を介して予め記憶させておいた物体の物理量と比較し、これらの物理量が一致した場合に立体画像内での観察し難い領域として検出するようにしたので、例えば、処置具を用いて手術中の術部を観察するような場合に、処置具により観察し難くなる状態を解消することができる。
【0073】
なお、本発明の立体画像撮影表示システムは、上述した各実施形態の構成に限定されるものではなく、各実施形態の立体画像撮影表示システムにおける特徴的な構成を組み合わせても勿論よい。
例えば、観察画像自動調整手段4を、第一実施形態に示した画像処理制御手段4’としての機能と、第二実施形態及び第三実施形態に示した撮像制御手段4”としての機能とを兼ね備えて構成し、観察用途に応じて観察画像自動調整手段としての機能を、スイッチ等の切換手段を介して切換えるようにしてもよい。
また、さらに、画像処理手段2を、第一実施形態及び第二実施形態に示した計測手段2a、及び検出手段2bと、第三実施形態に示した計測手段2a’、検出手段2b’、及び記憶手段5とを兼ね備えて構成し、観察用途に応じて観察画像自動調整手段としての機能を、スイッチ等の切換手段を介して切換えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の立体画像撮影表示システムは、例えば、手術用顕微鏡や手術用内視鏡を用いて凹凸のある術部を観察する医療、医学の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の立体画像撮影表示システムの基本的な概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】図3の立体画像撮影表示システムの全体構成の一例を模式的に示す説明図である。
【図5】図4に示す立体画像撮影表示システムにおける撮像手段から画像処理手段に至るまでの具体的な構成を示す説明図である。
【図6】第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける撮像手段を構成する左右一対の撮像光学系を示す図である。
【図7】第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける三次元情報の計測原理を示す説明図である。
【図8】第一実施形態の立体画像撮影表示システムにおける、観察対象の画像を立体視した場合の画像の表示面からの飛び出し位置の算出方法を概略的に示す説明図である。
【図9】図8における観察対象(被写体)付近を示す説明図である。図10は第一実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図10】第一実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第二実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図12】図11の立体画像撮影表示システムの要部の一構成例を模式的に示す説明図である。
【図13】図11の立体画像撮影表示システムの要部の他の構成例を模式的に示す説明図である。
【図14】第二実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の第三実施形態にかかる立体画像撮影表示システムの概略構成を示すブロック図である。
【図16】図15の立体画像撮影表示システムの要部の一構成例を模式的に示す説明図である。
【図17】第三実施形態の立体画像撮影表示システムによる観察対象を撮影した画像の表示処理手順を示すフローチャートである。
【図18】特許文献1に記載の内視鏡の映像表示装置の構成についての説明図であり、(a)は内視鏡挿入部先端の観察光学系の配置構成を示す図、(b)は視差調整動作の説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1 撮像手段
1L 左眼用光学系
1L1 左眼用対物レンズ
1L13 左右一対の光学系1L,1Rに夫々別個に設けられたレンズ
1LM 左眼用撮像素子
1La 左眼用ビデオアンプ
1Lb 左眼用A/D変換器
1Lc 左眼用フレームメモリ
1R 右眼用光学系
1R1 右眼用対物レンズ
1R13 レンズ
1RM 右眼用撮像素子
1Ra 右眼用ビデオアンプ
1Rb 右眼用A/D変換器
1Rc 右眼用フレームメモリ
1RL1 レンズ
1RL2 レンズ
2 画像処理手段
2a,2a’ 計測手段
2b,2b’ 検出手段
2c 画像加工手段
3 表示手段(3Dモニタ)
4 観察画像自動調整手段
4’ 観察画像自動調整手段(画像処理制御手段)
4” 観察画像自動調整手段(撮像制御手段)
10 観察者
20 観察対象(被写体)
21 手術用ナイフ(立体画像内で観察し難い領域を生じさせる物体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視差の異なる左右一対の光学系を有する左右の撮像手段と、該左右の撮像手段を介して撮像された視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像処理を施す画像処理手段と、該画像処理手段を介して画像処理された画像を表示する表示手段とを有し、該左右の撮像手段、画像処理手段、及び表示手段を介して観察対象の立体画像を観察可能にする立体画像撮影表示システムであって、
前記画像処理手段が、
前記左右の撮像手段を介して撮像された、前記視差の異なる左右の画像を用いて、前記観察対象に対する立体計測を行う機能を少なくとも有する計測手段と、
前記計測手段を介して得られた結果に基づいて、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像内での観察し難い領域の有無を検出する検出手段と、
所定の画像加工を行う画像加工手段と
を有し、
さらに、前記検出手段を介して前記観察し難い領域が検出された場合に、該検出された領域の観察し難い状態を観察し易い状態にして、前記表示手段に画像表示されるように、前記視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離を固定した状態で前記撮像手段又は前記画像処理手段を制御する、観察画像自動調整手段を備えたことを特徴とする立体画像撮影表示システム。
【請求項2】
前記画像加工手段は、前記左右の撮像手段を介して撮像された、前記視差の異なる左右の画像を用いて、前記所定の画像加工を行うことを特徴とする請求項1に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項3】
前記計測手段は、前記視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する機能を有し、
前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、観察者から該表示手段の表示面までの距離と、前記計測手段を介して算出された前記視差の異なる画像の融像位置から前記表示手段の表示面までの距離との比率を算出し、算出した比率が次の条件式(1)を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域として検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像撮影表示システム。
25%<H/M ・・・(1)
但し、Hは計測手段を介して算出された視差の異なる画像の融像位置の、表示手段の表示面からの飛び出し量、Mは観察者から表示手段の表示面までの距離である。
【請求項4】
前記計測手段は、前記視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する機能を有し、
前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、観察者から該表示手段の表示面までの距離と、前記計測手段を介して算出された前記視差の異なる画像の融像位置から前記表示手段の表示面までの距離との比率を算出し、算出した比率が次の条件式(1')を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域として検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像撮影表示システム。
15%<H/M ・・・(1')
但し、Hは計測手段を介して算出された視差の異なる画像の融像位置の、表示手段の表示面からの飛び出し量、Mは観察者から表示手段の表示面までの距離である。
【請求項5】
前記観察画像自動調整手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における前記観察し難い領域での所定の画像特性を観察し易い状態となるように変換させる、画像処理制御手段よりなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項6】
前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域を、3次元画像から2次元画像へと変換させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項7】
前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における全領域を、3次元画像から2次元画像へと変換させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項8】
前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域での明るさを変更させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項9】
前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域での周波数を変更させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項10】
前記観察画像自動調整手段が、前記立体画像における前記観察し難い領域での所定の画像特性が観察し易い状態となるように、前記左右の撮像手段に対して所定の制御を行う、撮像制御手段であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項11】
前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる光学系の絞りを制御することを特徴とする請求項10に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項12】
前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる光学系の焦点位置を制御することを特徴とする請求項10又は11に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項13】
前記撮像手段は、前記左右一対の光学系に共通の光学部材を有し、
前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる前記共通の光学部材を介して焦点位置を制御することを特徴とする請求項10に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項14】
さらに、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示した場合における該立体画像内で観察し難い領域を生じさせる原因となる物体についての少なくとも一部の物理量を予め記憶する記憶手段を有するとともに、
前記計測手段は、前記観察対象の少なくとも一部の物理量を計測する機能を有し、
前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、前記計測手段を介して計測された観察対象の物理量を、前記記憶手段を介して予め記憶させておいた物体の物理量と比較し、これらの物理量が一致した場合に立体画像内での観察し難い領域として検出することを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項15】
前記物理量が、形状寸法、色、立体形状、分光特性のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項16】
前記記憶手段による物理量の記憶対象となる物体には、処置具が含まれることを特徴とする請求項14又は15に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項1】
視差の異なる左右一対の光学系を有する左右の撮像手段と、該左右の撮像手段を介して撮像された視差の異なる左右の画像を用いて、所定の画像処理を施す画像処理手段と、該画像処理手段を介して画像処理された画像を表示する表示手段とを有し、該左右の撮像手段、画像処理手段、及び表示手段を介して観察対象の立体画像を観察可能にする立体画像撮影表示システムであって、
前記画像処理手段が、
前記左右の撮像手段を介して撮像された、前記視差の異なる左右の画像を用いて、前記観察対象に対する立体計測を行う機能を少なくとも有する計測手段と、
前記計測手段を介して得られた結果に基づいて、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像内での観察し難い領域の有無を検出する検出手段と、
所定の画像加工を行う画像加工手段と
を有し、
さらに、前記検出手段を介して前記観察し難い領域が検出された場合に、該検出された領域の観察し難い状態を観察し易い状態にして、前記表示手段に画像表示されるように、前記視差の異なる左右一対の光学系同士の光軸間の距離を固定した状態で前記撮像手段又は前記画像処理手段を制御する、観察画像自動調整手段を備えたことを特徴とする立体画像撮影表示システム。
【請求項2】
前記画像加工手段は、前記左右の撮像手段を介して撮像された、前記視差の異なる左右の画像を用いて、前記所定の画像加工を行うことを特徴とする請求項1に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項3】
前記計測手段は、前記視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する機能を有し、
前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、観察者から該表示手段の表示面までの距離と、前記計測手段を介して算出された前記視差の異なる画像の融像位置から前記表示手段の表示面までの距離との比率を算出し、算出した比率が次の条件式(1)を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域として検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像撮影表示システム。
25%<H/M ・・・(1)
但し、Hは計測手段を介して算出された視差の異なる画像の融像位置の、表示手段の表示面からの飛び出し量、Mは観察者から表示手段の表示面までの距離である。
【請求項4】
前記計測手段は、前記視差の異なる左右の画像の融像位置を算出する機能を有し、
前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、観察者から該表示手段の表示面までの距離と、前記計測手段を介して算出された前記視差の異なる画像の融像位置から前記表示手段の表示面までの距離との比率を算出し、算出した比率が次の条件式(1')を満足する場合に立体画像内での観察し難い領域として検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の立体画像撮影表示システム。
15%<H/M ・・・(1')
但し、Hは計測手段を介して算出された視差の異なる画像の融像位置の、表示手段の表示面からの飛び出し量、Mは観察者から表示手段の表示面までの距離である。
【請求項5】
前記観察画像自動調整手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における前記観察し難い領域での所定の画像特性を観察し易い状態となるように変換させる、画像処理制御手段よりなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項6】
前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域を、3次元画像から2次元画像へと変換させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項7】
前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における全領域を、3次元画像から2次元画像へと変換させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項8】
前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域での明るさを変更させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項9】
前記画像処理制御手段が、前記画像加工手段に、前記立体画像における観察し難い領域での周波数を変更させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項10】
前記観察画像自動調整手段が、前記立体画像における前記観察し難い領域での所定の画像特性が観察し易い状態となるように、前記左右の撮像手段に対して所定の制御を行う、撮像制御手段であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項11】
前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる光学系の絞りを制御することを特徴とする請求項10に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項12】
前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる光学系の焦点位置を制御することを特徴とする請求項10又は11に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項13】
前記撮像手段は、前記左右一対の光学系に共通の光学部材を有し、
前記撮像制御手段は、前記左右の撮像手段に備わる前記共通の光学部材を介して焦点位置を制御することを特徴とする請求項10に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項14】
さらに、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示した場合における該立体画像内で観察し難い領域を生じさせる原因となる物体についての少なくとも一部の物理量を予め記憶する記憶手段を有するとともに、
前記計測手段は、前記観察対象の少なくとも一部の物理量を計測する機能を有し、
前記検出手段は、前記視差の異なる左右の画像を融像して前記表示手段を介して立体画像として表示するとした場合における該立体画像の各領域について、前記計測手段を介して計測された観察対象の物理量を、前記記憶手段を介して予め記憶させておいた物体の物理量と比較し、これらの物理量が一致した場合に立体画像内での観察し難い領域として検出することを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項15】
前記物理量が、形状寸法、色、立体形状、分光特性のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の立体画像撮影表示システム。
【請求項16】
前記記憶手段による物理量の記憶対象となる物体には、処置具が含まれることを特徴とする請求項14又は15に記載の立体画像撮影表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−57619(P2010−57619A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224917(P2008−224917)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】
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