説明

粗さ標準片及びその製造方法

【課題】本発明の目的は、所望の表面粗さを維持することができると共に、つくりやすい粗さ標準片を提供することにある。
【解決手段】 粗さ測定器の校正に用いられる粗さ標準片10において、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている型に樹脂を当てて得られた、該型の凹凸に対応する微細な凹凸12aをもつ基準体12と、前記基準体12上に均一な厚みでしっかり密着された、所望の硬度を有する保護膜14と、を備え、前記保護膜14が基準体12と同じ凹凸14aをもち、該保護膜14の凹凸14aが前記粗さ測定器の校正に用いられることを特徴とする粗さ標準片10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粗さ標準片及びその製造方法、特にその材料及び製法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、粗さ測定器を校正するため、粗さ標準片が用いられている。
この粗さ標準片は、微細な凹凸をもち、粗さパラメータが既知のものを用いる。
粗さパラメータが既知の粗さ標準片を、粗さ測定器でなぞる。粗さ測定器で得られた測定結果に基づき粗さパラメータを求め、粗さ標準片の粗さパラメータとの比較を行う。この比較結果に基づき、表面粗さ測定器の校正、例えば表面粗さ測定器の出力信号の調整を行う。
【0003】
ところで、粗さ測定器の高精度化に伴い、その校正に用いられる粗さ標準片にも高精度、つまり所望の表面粗さを維持する(耐久性等)、という高品質が要求される。
また粗さ標準片は、製造の効率化、例えば製造時のコスト低減、リードタイム短縮、電鋳型やめっき浴等の管理作業の容易化も要求される。
【0004】
従来、粗さ標準片の製造は、電鋳(エレクトロフォーミング)で型の形状を金属めっきに転写する方法を用いることが一般的である。
例えば従来は、型に電鋳で金属めっきの厚付けを行い、型に形成されている凹凸を金属めっきに転写する。この電鋳で得られた金属めっきを型から剥がす。この型から剥がされた金属めっきを粗さ標準片として用いるのである。
【特許文献1】特開2001−212722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記粗さ標準片にあっても、その品質の更なる向上が望まれていたものの、従来は、これを解決することのできる適切な技術が存在しなかった。
また粗さ標準片は、前述のように品質の更なる向上が要求される一方で、製造の効率化に関しては改善の余地が残されていたものの、従来は、これを解決することのできる適切な技術が存在しなかった。
【0006】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その第一の目的は、所望の表面粗さを維持することができると共に、つくりやすい粗さ標準片を提供することにある。
また本発明の第二の目的は、粗さ標準片の品質向上を図りつつ、製造の効率化を図ることのできる粗さ標準片製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らが、前記不具合について鋭意検討を重ねた結果、まず、粗さ標準片の品質低下、及び製造の効率化を妨げる原因が、共に電鋳作業に起因する点を突き止めた。
【0008】
第一に、本発明者らは、粗さ標準片の品質低下の原因が、電鋳で得られた金属めっきを型から剥がす時に生じやすい、めっきの曲がりや傷にあることを突き止めた。
すなわち、従来は型の形状の転写に電鋳を用いているが、電鋳で得られた金属めっきを型から剥がすのが難しく、この時にめっきに曲がりや、傷がつくことがある。
特に粗さ標準片には高精度が要求されており、一般的な標準器では問題ないが、より高品質が要求される粗さ標準片では、この曲がりや傷による品質低下はより深刻となる。
例えば電鋳で得られた金属めっきを型から剥がす作業時に生じるめっきの曲がりや傷が原因で、粗さ標準片完成時の品質が低いことがあり、所望の粗さパラメータを満足しないものがある。そして、完成品の検査を全数行った時に、所望の規格を満足しないものは不良品として捨てる必要があり、これが、製造効率を低下させる一因ともなり得る。
【0009】
第二に、本発明者らは、製造の効率化を妨げる原因が、電鋳作業(例えばめっき時間、めっき浴の管理等)の困難性にあることを突き止めた。
すなわち、電鋳で得られた金属めっきを型から剥がすのが非常に困難であるので、コスト、時間、手間がかかる。
また電気めっきによる精密転写のため、型にキズ、しみなどが付くと、粗さ標準片に転写されてしまうので、型の再製作が必要となり、製造コスト、製造時間、製造の手間の問題はより深刻となる。
また電鋳では、めっき浴の管理(液組成、電流)が必要となるので、製造時のコスト、時間、手間がかかるのである。
【0010】
そして、本発明者らは、粗さ標準片の品質低下の原因となる製造時の曲がりや傷を防ぐため、及び製造の効率化を妨げる原因となる電鋳作業(転写作業)を容易化するため、従来方式に比較し、型の形状の転写性、型からの剥がしやすさ、及び製造の効率化に優れている射出成形又はホットエンボス加工で、型の形状を樹脂に転写する手法と、保護膜の形成との組み合わせ、という解決手段に到達し得た。
【0011】
すなわち、本発明者らは、粗さ標準片の要求性能を満たすためには、基準体の製法としては数ある製法の中から樹脂の射出成形又はホットエンボス加工を選択することが重要であり、またこの基準体には保護膜との組み合わせが重要である点にも到達し得た。
【0012】
このようにして粗さ標準片の不具合の原因解明に基づく前記解決手段の発見により、粗さ標準片の品質向上を図りつつ、製造時のコスト低減、時間の短縮、手間の容易化を図ることのできることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
粗さ標準片
すなわち、前記第一の目的を達成するために本発明にかかる粗さ標準片は、粗さ測定器の校正に用いられる粗さ標準片において、基準体と、保護膜と、を備える。
ここで、前記基準体は、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている型に樹脂を当てて得られた、該型の凹凸に対応する微細な凹凸をもつ。
また前記保護膜は、前記基準体上に均一な厚みでしっかり密着され、所望の硬度を有する。
そして、前記保護膜が前記基準体と同じ凹凸をもち、該保護膜の凹凸が前記粗さ測定器の校正に用いられることを特徴とする。
【0014】
<保護膜>
なお、本発明にかかる粗さ標準片において、前記保護膜は、前記基準体の、凹凸形成面及びその対向面に設けられていることが好適である。
【0015】
射出成形
また前記第二の目的を達成するために本発明にかかる粗さ標準片製造方法は、粗さ測定器の校正に用いられる粗さ標準片の製造方法において、転写工程と、保護膜形成工程と、
を備えることを特徴とする。
ここで、前記転写工程は、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている成形型に溶融樹脂を射出充填し該成形型の微細な凹凸を該樹脂に転写し、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸をもつ基準体を形成する。
また前記保護膜形成工程は、前記転写工程で得られた基準体上に、所望の硬度を有する保護膜を均一な厚みでしっかり密着させる。
すなわち、本発明者らによれば、粗さ標準片の保護膜としては、均一な厚み、所望の硬度、及び高い密着性を同時に満足することが非常に重要であることを突き止めたからである。
【0016】
<射出圧縮成形>
また本発明にかかる粗さ標準片製造方法において、前記転写工程は、位置決め工程と、
射出充填工程と、圧縮工程と、を備えることが好適である。
ここで、前記位置決め工程は、前記樹脂への所望圧縮量に基づき定められた若干量だけ前記成形型のキャビティ部の容積を成形品の容積よりも拡大した状態とする。
また前記射出充填工程は、前記位置決め工程後に、前記成形型のキャビティ部に溶融樹脂を射出充填する。
前記圧縮工程は、前記射出充填工程後に、前記成形型のキャビティ部の容積が前記成形品の容積となるように該成形型のキャビティ部の樹脂を前記所望量だけ圧縮し、該成形型に形成されている微細な凹凸の該樹脂への転写を促進する。
【0017】
ホットエンボス加工
また前記第二の目的を達成するために本発明にかかる粗さ標準片の製造方法は、粗さ測定器の校正に用いられる粗さ標準片の製造方法において、転写工程と、保護膜形成工程と、
を備えたことを特徴とする。
ここで、前記転写工程は、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている原型金型を用い、樹脂基板をホットエンボス加工することにより、該原型金型の微細な凹凸を該樹脂基板に転写し、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸をもつ基準体を形成する。
また前記保護膜形成工程は、前記転写工程で得られた基準体上に、所望の硬度を有する保護膜を均一な厚みでしっかり密着させる。
すなわち、本発明者らによれば、粗さ標準片の保護膜としては、均一な厚み、所望の硬度、及び高い密着性を同時に満足することが非常に重要であることを突き止めたからである。
【0018】
ここにいう「保護膜を均一な厚み」とは、基準体からの保護膜の厚みが均一であり、基準体上の保護膜が基準体と同じ凹凸、つまり表面粗さをもつことをいう。
【0019】

本発明にかかる粗さ標準片製造方法においては、前記型を、電鋳により製造することが好適である。
例えば電鋳でマスターとなる粗さ標準片の表面に金属を析出積層させ(厚メッキ)、これをマスターから剥離すると、マスターの凹凸と全く反対面の凹凸形状をつくることができる。これを型として使用する。この結果、本発明は、機械加工等の他の方法で作られた型を用いた場合に比較し、高い精度で、マスターとなる粗さ標準片の凹凸を細部まで複製することができるからである。
【0020】
材料の選定
本発明においては、粗さ標準片の基準体が、耐熱性・耐薬品性・硬度・経年変化・成形性に優れていることが非常に重要であるとの本発明者らによる検討結果に基づき、数ある樹脂の材料の中でも、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、脂環式炭化水素樹脂、エポキシ及びアセタールよりなる群より選ばれた一以上の樹脂を含むことが好適である。その中でも、ポリエーテルイミドが、耐熱性・耐薬品性・硬度・経年変化・成形性の点で、特に好ましい。
【0021】
また本発明においては、粗さ標準片の保護膜としては、均一な厚み、所望の硬度、及び高い密着性を同時に満足することが非常に重要であるとの本発明者らによる検討結果に基づき、数ある保護膜の材質の中でも、ダイヤモンドライクカーボン及び窒化チタンよりなる群より選ばれた一以上の材料を含むことが好適であることを突き止めた。その中でも、ダイヤモンドライクカーボンが、低摩擦係数なのでキズがつきにくく、低温で処理できる点(例えば200℃以下〜常温)、コーティング処理時の基準体の変形が少ない点で、特に好ましい。
【0022】
本発明の保護膜の材料としては、例えば以下のものを用いることができる。
前記ダイヤモンドライクカーボンとしては、例えば特開2000−205801号公報、特開2004−245846号公報、特開2004−84014号公報、特開2004−269991号公報、特開平9−204646号公報、特開2005−68528号公報、特開平11−175909号公報、特開2000−161925号公報等に記載のものを用いることができる。
前記窒化チタンとしては、例えば特開2000−205802号公報等に記載のものを用いることができる。
【発明の効果】
【0023】
<粗さ標準片>
本発明にかかる粗さ標準片によれば、型の形状を樹脂に転写して得られた微細な凹凸をもつ基準体と、基準体上に形成された保護膜とを組み合わせることとしたので、従来方式、つまり型の形状の転写に電鋳を用いたものに比較し、粗さ標準片の品質向上を図りながら、製造の効率化を図ることができる。
【0024】
<保護膜>
本発明にかかる粗さ標準片によれば、基準体の凹凸形成面及びその対向面に保護膜を形成することにより、より確実に、粗さ標準片の品質向上を図りながら、製造の効率化を図ることができる。
【0025】
<射出成形>
また本発明にかかる粗さ標準片製造方法によれば、樹脂の射出成形で型の形状を樹脂に転写する転写工程と、基準体上に保護膜をしっかり密着させる保護膜形成工程とを組み合わせることとしたので、従来方式に比較し、粗さ標準片の品質向上を図りながら、製造の効率化を図ることができる。
【0026】
<ホットエンボス加工>
また本発明にかかる粗さ標準片製造方法によれば、樹脂のホットエンボス加工で型の形状を樹脂に転写する転写工程と、基準体上に保護膜をしっかり密着させる保護膜形成工程とを組み合わせることとしたので、従来方式に比較し、粗さ標準片の品質向上を図りながら、製造の効率化を図ることができる。
【0027】
<材料の選定>
本発明においては、基準体が、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、脂環式炭化水素樹脂、エポキシ及びアセタールよりなる群より選ばれた一以上の樹脂を含み、保護膜がダイヤモンドライクカーボン及び窒化チタンよりなる群より選ばれた一以上の材料を含むことにより、より確実に、粗さ標準片の品質向上及び製造の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面に基づき本発明の好適な一実施形態について説明する。
粗さ標準片
図1には本発明の一実施形態にかかる粗さ標準片の概略構成が示されている。
なお、同図(A)は、粗さ標準片を上方より見た図である。同図(B)は、粗さ標準片を側方より見た図である。同図(C)は、同図(A)に示した粗さ標準片のI−I断面の一部拡大図である。
【0029】
同図に示す粗さ標準片10は、基準体12と、保護膜14と、を備える。
ここで、前記基準体12は、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている型に、ポリエーテルイミド(樹脂)を当てて得られた、該型の凹凸に対応する微細な凹凸(縦断面が正弦波)12aをもつ。
また前記保護膜14は、例えばダイヤモンドライクカーボン等よりなり、基準体12上に均一な厚みで密着されており、所望の硬度を有する。
また本実施形態においては、保護膜14が、基準体12の凹凸形成面の対向面にも、均一な厚みで密着されている。
そして、本実施形態にかかる粗さ標準片10では、保護膜14の表面粗さが、表面粗さ測定器(粗さ測定器)の校正に用いられる。
【0030】
このように本実施形態にかかる粗さ標準片10によれば、型の形状を樹脂に転写して得られた微細な凹凸をもつ基準体12と保護膜14とを組み合わせることとしたので、従来方式、つまり電鋳で型の形状を金属めっきに転写を行ったものに比較し、高品質、つまり所望の表面粗さを維持することができると共に、つくりやすいものとなる。
【0031】
なお、同図(C)に示されるように保護膜14は、基準体12からの厚みが均一であり、基準体12上の保護膜14が基準体12の凹凸12aと同じ凹凸14a、つまり縦断面が正弦波形の繰り返しをもつ。
【0032】
このような粗さ標準片10の保護膜14の表面の凹凸14aを、粗さ測定器の触針でなぞった。例えば、測定位置をI−I線と平行な三本の測定ラインとし、各測定ラインでそれぞれ三回ずつ測定開始位置をずらして仮測定を9回行った。
この結果、粗さ標準片10では、例えば以下に示されるような粗さパラメータ(表面粗さ)が得られた。
Ra(中心線平均粗さ):3.0±0.08μm
Ry(最大高さ):10μm
Sm(凹凸の平均間隔):100±0.5μm
【0033】
製造方法1
図2〜4には図1に示した粗さ標準片10の製造方法のフローチャートが示されている。
なお、図2は本実施形態にかかる転写工程のうちの位置決め工程及び射出圧縮工程の説明図である。図3は本実施形態にかかる転写工程のうちの成形品取出工程の説明図である。図4は本実施形態にかかる保護膜形成工程の説明図である。
【0034】
同図に示す粗さ標準片10の製造方法は、粗さ測定器の校正に用いられる粗さ標準片10の製造方法において、転写工程(S10)と、保護膜形成工程(S12)と、を備える。
ここで、転写工程(S10)では、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸20が形成されている成形型22に、溶融樹脂24、例えば溶融状態のポリエーテルイミドを射出充填し、成形型22の微細な凹凸20を該樹脂に転写し、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸12aをもつ基準体12を形成する。
【0035】
溶融樹脂の冷却、固化後、保護膜形成工程(S12)を行う。
すなわち、保護膜形成工程(S12)では、転写工程(S10)で得られた基準体12上に、所望の硬度を有する保護膜14を均一な厚みでしっかり密着させる。
基準体12からの保護膜14の厚みを均一とすることで、基準体12上の保護膜14が基準体12と同じ凹凸14a、つまり表面粗さをもつ。
このようにして本実施形態にかかる粗さ標準片の製造方法を構成することにより、図1に示した、粗さ標準片10を得ることができる。
【0036】
ところで、従来、粗さ標準片は、例えば以下に示されるような各工程により、量産用マスター型からニッケルめっき厚付けによる精密転写で製作していた。
<従来方式>
(1)生産用6ヶ型の準備
(2)型枠取付
(3)電鋳作業(2〜3日間のニッケルめっき)
(4)型枠ばらし
(5)離型
(6)クロム(Cr)蒸着
(7)検査
(8)プレス打抜き
(9)カバー接着
(10)検査
【0037】
すなわち、従来、型の形状を精密に転写するため、電鋳を用いるのが一般的である。
しかしながら、本発明者らによれば、電鋳では、現実には、粗さ標準片の品質向上を図るのが困難なことがあることがわかった。
すなわち、本発明者らによれば、電鋳では型の形状を精密に転写することができるものの、例えば、電鋳で得られた厚付けの金属めっきを型から剥がす時、該金属めっきに曲がりや傷が生じやすい点、金属めっきに曲がりや傷が生じると、金属めっきを本体に設けて粗さ標準片を完成した時、所望の表面粗さを満足するのが困難な点がわかった。
このため本発明者らによれば、粗さ標準片の製造では、型の形状の精密転写は勿論、転写で得られたものを曲げや傷を付けることなく、いかに確実に離型させるかが重要であることがわかった。
また本発明者らによれば、電鋳を用いたのでは、製造の効率化を低下する原因となり得ることもわかった。
【0038】
このように従来、表面粗さ標準片には、品質の低下、製造の効率が悪いという問題があった。
これに対し、本発明者らは、品質低下の原因が、電鋳で得られた金属めっきの曲がりや傷にあることを突き止めた。
そして、本発明者らは、品質低下の原因となる、転写で得られたものの曲がりや傷を防ぐため、射出圧縮成形と保護膜との組み合わせを採用し、高品質化を実現した。
さらに、本発明者らは、製造時のコスト、時間、手間も大幅に減らし、製造の効率化に役立つ粗さ標準片の高品質化に成功した。
例えば本実施形態は、従来方式、つまり電鋳に比較し、製造コストが、例えば約30%低減される。
また本実施形態は、従来方式、つまり電鋳に比較し、リードタイムが短縮される。例えば従来はリードタイムが31日なのに対し、本発明はリードタイムが15日〜5日でもよいまでに短縮される。
さらに、本実施形態は、鋳型の管理、電鋳浴管理の工数が削減される。
【0039】
以下に、本実施形態にかかる粗さ標準片10の製造方法の各工程について、より具体的に説明する。
<転写工程>
転写工程(S10)は、位置決め工程(S14)と、射出圧縮工程(S16)と、成形品取出工程(S18)と、を含む。
【0040】
<位置決め工程>
成形型22は、所望の成形品と同一形状のキャビティ部29をもち、キャビティ部29に溶融樹脂24が流し込まれると、樹脂24に成形型22のキャビティ部29の形状を与えるものである。
このために成形型22は、第一割型30及び第二割型32と、スタンパ34と、を備える。また本実施形態において、成形機は、移動装置35を備える。
ここで、第一割型30及び第二割型32は、主に基準体12の凹凸12a以外のところを成形するためのものとする。
スタンパ34は、主に基準体12の凹凸12aを成形するためのものであり、このために微細な凹凸20の形成されているものとする。
【0041】
ここで、スタンパ34は、電鋳により作られたものを用いている。
すなわち、本実施形態において、転写工程は、製造の効率化を重視し、樹脂の射出成形を採用しているが、転写工程で用いるスタンパ34等の成形型の製造には、高い精度でマスターとなる粗さ標準片の凹凸を細部まで複製することができる点を重視し、電鋳を採用している。
このように本実施形態においては、型の製造には電鋳を採用し、その型の凹凸パターンの転写には樹脂の射出成形を採用することにより、より確実に、粗さ標準片の品質向上と製造の効率化とを同時に図ることができる。
【0042】
移動装置35は、成形型22のキャビティ部29の樹脂24の射出圧縮成形のために、第一割型30及び第二割型32を前進ないし後退させるものとする。
【0043】
そして、位置決め工程(S14)では、割型30,32と、スタンパ34との装着を行う。
すなわち、位置決め工程(S14)では、第一割型30内にスタンパ34を装着し、第一割型30と第二割型32とを装着する。
この結果、同図(A)に示されるような割型30,32、スタンパ34の装着が完了し、位置決め工程(S14)を行う。
すなわち、位置決め工程(S14)では、樹脂24への所望圧縮量に基づき定められた若干量だけ成形型22のキャビティ部29の容積を成形品の容積よりも拡大した状態とする。
【0044】
<射出圧縮工程>
また射出圧縮工程(S16)は、射出充填工程(S16a)と、圧縮工程(S16b)と、を備える。
ここで、射出充填工程(S16a)は、前記位置決め工程(S14)後に、成形型22のキャビティ部29に溶融樹脂24を射出充填する。
また圧縮工程(S16b)は、射出充填工程(S16a)後に、成形型22のキャビティ部29の容積が成形品の容積となるように成形型22のキャビティ部29の容積を縮小する。
この結果、成形型22のキャビティ部29の樹脂24は前記所望量だけ圧縮(加圧)され、該成形型22に形成されている微細な凹凸20の該樹脂24への転写が促進される。
【0045】
ここで、型22の形状、特にスタンパ34の微細な凹凸20の形状を良好に転写するためには、射出成形法が好ましく、特に射出圧縮成形法が好ましい。
すなわち、射出成形法は、閉じた成形型内に溶融樹脂を高圧で流し込んで、固化させて成形する成形法である。
一方、射出圧縮成形法は、溶融樹脂の射出工程前、つまり位置決め工程で、予め圧縮量を見込んでキャビティの容積を拡大しておき、つまり成形型をわずかに開いた状態で樹脂を流し込む。その後、成形型を閉じて、溶融樹脂を圧縮して成形型形状の転写を促進する成形法である。
本実施形態の射出圧縮成形では、成形型をわずかに開いた状態で樹脂を流し込むため、充填が無理なく行える点、移動装置等を利用して、成形品の一部あるいは全面を加圧、圧縮して所定の形状を付与するため、型の形状を、より忠実に転写することができる点で優れている。
【0046】
このようにして成形型22の位置決め工程(S14)の完了後、同図(B)に示されるような射出圧縮工程(S16)では、樹脂射出圧縮装置36からの加熱・溶融した材料24を、射出口40を介して、割型30,32のキャビティ部29に射出圧縮し、冷却、固化させる。
したがって、同図(C)に示されるように、スタンパ34の微細な凹凸20に対応する凹凸12aが樹脂に良好に転写され、スタンパ34の微細な凹凸20に対応する凹凸12aが基準体12(成形品)に忠実に再現される。
【0047】
<成形品取出工程>
樹脂24の十分な冷却、固化後、図3(A)に示されるような成形品取出工程(S18)では、取出装置44により基準体12(成形品)を、割型30,32から取り出す。
ここで、本実施形態は、射出圧縮成形で成形型22の凹凸20の転写を樹脂に行うので、従来方式、つまり電鋳を用いたものに比較し、基準体(成形品)に曲がりや傷がつくのを大幅に低減しながら、同図(B)に示されるような、基準体12の凹凸12aとスタンパ34の凹凸20との剥がしをきれいに行うことができる。
この結果、同図(C)に示されるような、所望の微細な形状の凹凸12aをもつ基準体12(成形品)を寸法精度良く(転写性に優れている)、効率的に製造することができる。
【0048】
ここで、射出圧縮成形により基本形状を成形したのみでは、基準体12の凹凸12aがむきだしであり、粗さ計の触針トレースで、基準体12の凹凸12aに、たちまち傷がつくので、基準体12の硬度を上げるため、DLC等の保護膜14を形成する。
【0049】
<保護膜形成工程>
前記転写工程(S10)で得られた基準体12に対し、図4に示されるような保護膜形成工程(S12)を行う。
なお、同図(A)は保護膜形成工程を行うための装置の概略構成、同図(B)は保護膜形成工程前の基準体12の様子、同図(C)は片面に対する保護膜形成工程後の基準体12の様子、同図(D)は両面に対する保護膜形成工程後の基準体12の様子である。
【0050】
同図に示す保護膜形成工程(S12)では、前記転写工程(S10)で得られた基準体12が、バッチ式のイオンプレーティング装置52にセットされている。イオンプレーティング装置52では、ダイヤモンドライクカーボンが蒸発され、イオン化されており、このような雰囲気54の中に基準体12を置いて、基準体12上にダイヤモンドライクカーボンを成膜させている。
【0051】
ここで、基準体12は冶具56で保持されており、該冶具56と共に基準体12を自転ないし公転させることで、ダイヤモンドライクカーボンによる保護膜14が基準体12上に均一に形成されるようにしている。
【0052】
この結果、同図(C)に示されるようなダイヤモンドライクカーボン50による保護層14が基準体12の凹凸形成面上に均一に形成される。ダイヤモンドライクカーボン50による保護層14は、基準体12の凹凸12aと同じ凹凸14a、つまり表面粗さをもつ。
【0053】
ここで、本発明者らは、基準体12の片面に保護膜14を形成すると、変形(反り)が生じることがあることを確認した。
本発明者らがその原因について検討したところ、その原因としては、未だ不明なところもあり、例えば保護膜形成工程での処理温度、ないし保護膜を片面のみにつけた時の応力が一例として考えられる。さらに、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、前述のような粗さ標準片の変形(反り)を確実に防止するためには、基準体の両面に保護膜を設けることが非常に有効であることも突き止めた。
このために本実施形態においては、同図(D)に示されるように、基準体12の裏面にも、つまり基準体12の凹凸形成面の対向面にも、前記イオンプレーティングにより、ダイヤモンドライクカーボンによる保護層14を均一に密着させている。
【0054】
このように本実施形態にかかる粗さ標準片製造方法によれば、射出圧縮成形で型の形状を樹脂に転写する転写工程と、基準体上に保護膜の形成を行う保護膜形成工程とを組み合わせることとしたので、従来方式に比較し、粗さ標準片の品質向上を図りつつ、製造時のコスト低減、時間短縮、手間の容易化を図ることができる。
【0055】
なお、製造方法としては、前記射出圧縮成形によるものが特に好ましいが、以下の製造方法を用いることも好適である。
製造方法2
図5には本発明の第二実施形態にかかる粗さ標準片の製造方法の手順を示すフローチャートが示されている。なお、前記第一実施形態に対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
同図において特徴的なことは、転写工程(S110)において、ホットエンボス加工を用いたことである。
【0056】
すなわち、転写工程(S110)では、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている原型金型122を用い、ポリエーテルイミド等の樹脂基板124をホットエンボス加工し、該原型金型122の微細な凹凸を該樹脂基板124に転写し、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸112aをもつ基準体112を形成する。
このために転写工程(S110)は、セット工程(S120)と、加熱工程(S122)と、加圧工程(S124)と、冷却工程(S126)と、剥離工程(S128)とを備える。
【0057】
ここで、前記セット工程(S120)では、電鋳で製造された原型金型122、ポリエーテルイミド等の樹脂基板124をそれぞれホットエンボス機160にセットする。原型金型122をホットエンボス機160の上側ベース162にセットし、樹脂基板124をその下側ベース164にセットする。
また加熱工程(S122)では、前記セット工程(S120)の完了後、上側ベース162に内蔵された加熱冷却手段166、下側ベース164に内蔵された加熱冷却手段168でそれぞれ、原型金型122、樹脂基板124を加熱する。
加圧工程(S124)では、前記加熱工程(S122)の完了後、ホットエンボス機160の上側ベース162を下側ベース164に対し下降し、そのプレス圧で、原型金型122の凹凸パターンを樹脂基板124に転写する。
冷却工程(S126)では、加圧工程(S124)の完了後、ホットエンボス機160の上側ベース162に内蔵された加熱冷却手段166、下側ベース164に内蔵された加熱冷却手段168でそれぞれ、原型金型122、樹脂基板124を冷却する。
剥離工程(S128)では、冷却工程(S126)の完了後、ホットエンボス機160の下側ベース164に対し上側ベース162を上昇させ、原型金型122と樹脂基板124との剥離を行う。
本実施形態においては、前記剥離工程(S128)で得られた樹脂基板124を、基準体112として得ている。
【0058】
本実施形態においても、後段の保護膜形成工程では、前記第一実施形態と同様、イオンプレーティング装置により、基準体112の凹凸形成面及びその対向面の両面に保護膜を形成している。
【0059】
このように本実施形態にかかる粗さ標準片製造方法によれば、ホットエンボス加工で型の形状を樹脂に転写する転写工程と、基準体上に保護膜の形成を行う保護膜形成工程とを組み合わせることとしたので、従来方式に比較し、粗さ標準片の品質向上を図りつつ、製造時のコスト低減、時間短縮、手間の容易化を図ることができる。
【0060】
以下に、本実施形態の効果について、より具体的に説明する。
<品質>
本実施形態は品質の向上が図られる。より具体的には、樹脂の射出圧縮成形、ないしホットエンボス加工のため、凹凸の成形性(凹凸の再現性)に優れており、また標準片が曲がりにくい。また基準体に対する保護膜は、耐磨耗性、均一性、基準体との密着性に優れており、標準片をより曲がりにくいものとしている。
【0061】
<製造の効率化>
本実施形態は従来方式、つまり電鋳に比較し、製造コストが、例えば約30%低減される。
本実施形態は従来方式、つまり電鋳に比較し、リードタイムが短縮される。例えば従来はリードタイムが31日なのに対し、本発明はリードタイムが15日〜5日でもよいまでに短縮される。
本実施形態は鋳型の管理、電鋳浴管理の工数が削減される。
【0062】
<材料の選定>
なお、本実施形態においては、従来方式に比較し、より確実に、粗さ標準片の品質向上を図りつつ、製造の効率化を図るためには、材料の選定も非常に重要である。
【0063】
このために本実施形態においては、粗さ標準片の基準体12が、耐熱性・耐薬品性・硬度・経年変化・成形性に優れていることが非常に重要であるとの本発明者らによる検討結果に基づき、数ある樹脂の材料の中でも、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、脂環式炭化水素樹脂、エポキシ及びアセタールよりなる群より選ばれた一以上の樹脂を含むことが好適である。その中でも、ポリエーテルイミド(PEI)が、耐熱性・耐薬品性・硬度・経年変化・成形性の点で、特に好ましい。
【0064】
また本実施形態においては、粗さ標準片の保護膜14としては、均一な厚み、所望の硬度、及び高い密着性を同時に満足することが非常に重要であるとの本発明者らによる検討結果に基づき、数ある保護膜の材質の中でも、ダイヤモンドライクカーボン及び窒化チタンよりなる群より選ばれた一以上の材料を含むことが好適であることを突き止めた。その中でも、ダイヤモンドライクカーボンが、低摩擦係数なのでキズがつきにくく、低温で処理できる点(例えば200℃以下〜常温)、コーティング処理時の基準体の変形が少ない点で、特に好ましい。
【0065】
本実施形態においては、前述のような粗さ標準片の要求性能に基づく基準体及び保護膜の材料の選定により、より確実に、完成品の品質向上を図りつつ、製造の効率化、例えば製造コストの低減、製造時間の短縮、製造時の手間の容易化等を図ることができる。
【0066】
<凹凸形状>
なお、前記構成では、粗さ標準となる微細な凹凸形状として、縦断面が正弦波のものを用いた例について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば縦断面が不規則形状、三角波、矩形波等のものも採用することができる。
【0067】
<使用形態>
また前記構成では、微細な凹凸部分を基準体上に一体成形した例について説明したが、微細な凹凸部分と基準体とを別個につくり、微細な凹凸部分を基準体に、例えば貼付等で設けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態にかかる粗さ標準片の概略構成の説明図である。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる粗さ標準片製造方法の転写工程の説明図である。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる粗さ標準片製造方法の転写工程の説明図である。
【図4】本実施形態にかかる粗さ標準片製造方法の保護膜形成工程の説明図である。
【図5】本発明の第二実施形態にかかる粗さ標準片製造方法の転写工程の説明図である。
【符号の説明】
【0069】
10 粗さ標準片
12,112 基準体
12a,112a 基準体凹凸
14 保護膜
14a 保護膜凹凸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗さ測定器の校正に用いられる粗さ標準片において、
所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている型に樹脂を当てて得られた、該型の凹凸に対応する微細な凹凸をもつ基準体と、
前記基準体上に均一な厚みでしっかり密着され、所望の硬度を有する保護膜と、
を備え、前記保護膜が前記基準体と同じ凹凸をもち、該保護膜の凹凸が前記粗さ測定器の校正に用いられることを特徴とする粗さ標準片。
【請求項2】
請求項1記載の粗さ標準片において、
前記基準体は、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、脂環式炭化水素樹脂、エポキシ及びアセタールよりなる群より選ばれた一以上の樹脂を含み、
前記保護膜は、ダイヤモンドライクカーボン及び窒化チタンよりなる群より選ばれた一以上の材料を含むことを特徴とする粗さ標準片。
【請求項3】
請求項1又は2記載の粗さ標準片において、
前記保護膜は、前記基準体の、凹凸形成面及びその対向面に設けられていることを特徴とする粗さ標準片。
【請求項4】
粗さ測定器の校正に用いられる粗さ標準片の製造方法において、
所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている成形型に溶融樹脂を射出充填し該成形型の微細な凹凸を該樹脂に転写し、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸をもつ基準体を形成する転写工程と、
前記転写工程で得られた基準体上に、所望の硬度を有する保護膜を均一な厚みでしっかり密着させる保護膜形成工程と、
を備えたことを特徴とする粗さ標準片製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の粗さ標準片製造方法において、
前記転写工程は、前記樹脂への所望圧縮量に基づき定められた若干量だけ前記成形型のキャビティ部の容積を成形品の容積よりも拡大した状態とする位置決め工程と、
前記位置決め工程後に、前記成形型のキャビティ部に溶融樹脂を射出充填する射出充填工程と、
前記射出充填工程後に、前記成形型のキャビティ部の容積が前記成形品の容積となるように該成形型のキャビティ部の樹脂を前記所望量だけ圧縮し、該成形型に形成されている微細な凹凸の該樹脂への転写を促進する圧縮工程と、
を備えたことを特徴とする粗さ標準片の製造方法。
【請求項6】
請求項4〜5のいずれかに記載の粗さ標準片製造方法において、
前記基準体は、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、脂環式炭化水素樹脂、エポキシ及びアセタールよりなる群より選ばれた一以上の樹脂を含み、
前記保護膜は、ダイヤモンドライクカーボン及び窒化チタンよりなる群より選ばれた一以上の材料を含むことを特徴とする粗さ標準片製造方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれかに記載の粗さ標準片製造方法において、
前記成形型を、電鋳により製造したことを特徴とする粗さ標準片製造方法。
【請求項8】
粗さ測定器の校正に用いられる粗さ標準片の製造方法において、
所望の表面粗さを満足する微細な凹凸が形成されている原型金型を用い、樹脂基板をホットエンボス加工することにより、該原型金型の微細な凹凸を該樹脂基板に転写し、所望の表面粗さを満足する微細な凹凸をもつ基準体を形成する転写工程と、
前記転写工程で得られた基準体上に、所望の硬度を有する保護膜を均一な厚みでしっかり密着させる保護膜形成工程と、
を備えたことを特徴とする粗さ標準片製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の粗さ標準片製造方法において、
前記基準体は、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエステル、脂環式炭化水素樹脂、エポキシ及びアセタールよりなる群より選ばれた一以上の樹脂を含み、
前記保護膜は、ダイヤモンドライクカーボン及び窒化チタンよりなる群より選ばれた一以上の材料を含むことを特徴とする粗さ標準片製造方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の粗さ標準片製造方法において、
前記原型金型を、電鋳により製造したことを特徴とする粗さ標準片製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−33291(P2007−33291A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218555(P2005−218555)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】