説明

紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の製造方法

【課題】安定性に優れ、製造直後のみならず、経時的(例えば、2週間の保管後)にも良好な透明性を示す紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】(A)ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基を含有するポリオルガノシロキサン;
(B)ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン;
(C)光反応開始剤;及び
(D)脂肪族不飽和基を含有するシラン化合物
を含む紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の製造方法であって、
少なくとも(A)及び(B)を混合した後、80〜180℃に加熱処理することを特徴とする、製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の製造方法であって、特に画像表示装置に好適に使用できる紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶、プラズマ、有機EL等のフラットパネル型の画像表示装置が着目されている。フラットパネル型の画像表示装置は、通常、少なくとも一方がガラス等の光透過性をもつ一対の基板の間に、アクティブ素子を構成する半導体層や蛍光体層、あるいは発光層からなる多数の画素をマトリクス状に配置した表示領域(画像表示部)を有する。一般に、この表示領域(画像表示部)と、ガラスやアクリル樹脂のような光学用プラスチックで形成される保護部との周囲は、接着剤で機密に封止されている。この接着剤には、紫外線硬化型アクリル樹脂や紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物が使用されている(特許文献1及び2)。一方、メルカプトアルキル基を含有するポリオルガノシロキサンと脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサンからなる紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物が提案されている(特許文献3及び4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−282000号公報
【特許文献2】特開平7−134538号公報
【特許文献3】特開平2−245060号公報
【特許文献4】特開平3−064389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保護部と画像表示部との間を、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物からなる接着剤で封止した画像表示装置を製造するにあたっては、接着剤の透明性が重要である。すなわち、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物からなる接着剤は、接着剤自体の透明性が低い場合、通常、硬化後も透明画像装置の視認性を低下させ得る。しかしながら、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物からなる接着剤は、安定性に劣り、経時的に接着剤が濁る。濁った接着剤を使用した場合、硬化後の封止体の透明性が劣ることとなる。そのため、紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物からなる接着剤は製造直後に使用することが求められ、利便性に劣っていた。
【0005】
本発明は、安定性に優れ、製造直後のみならず、経時的(例えば、2週間の保管後)にも良好な透明性を示す紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明1は、(A)ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基を含有するポリオルガノシロキサン;
(B)ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン;
(C)光反応開始剤;及び
(D)脂肪族不飽和基を含有するシラン化合物
を含む紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の製造方法であって、
少なくとも(A)及び(B)を混合した後、80〜180℃に加熱処理することを特徴とする、製造方法に関する。
本発明2は、加熱処理を重合禁止剤の存在下で行う、本発明1の製造方法に関する。
本発明3は、加熱処理をシラザン類の存在下で行う、本発明1又は2の製造方法に関する。
本発明4は、(B)が、(B1)式(I):
【化1】


(式中、
は、独立して、脂肪族不飽和基であり、
Rは、独立して、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基であって、Rのうち、1〜60モル%はC6〜C12アリール基であり、
nは、23℃における粘度を100〜25000cPとする数である)で示される、脂肪族不飽和基を含有する直鎖状ポリオルガノシロキサンを含む、本発明1〜3のいずれかの製造方法に関する。
本発明5は、(B)が、(A)との混合に先立ち、予備加熱されたものである、本発明1〜4のいずれかの製造方法に関する。
本発明6は、(D)が、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族不飽和基を含有するシラン化合物である、本発明1〜5のいずれかの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によれば、得られた紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物は、安定性に優れ、製造直後のみならず、経時的(例えば、2週間の保管後)にも良好な透明性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】50℃の恒温層中で7日間、保管した後の比較例1、6、実施例1、5〜7の組成物の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の製造方法によって得られる紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物は、
(A)ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基を含有するポリオルガノシロキサン;
(B)ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン;
(C)光反応開始剤;及び
(D)脂肪族不飽和基を含有するシラン化合物
を含む。
【0010】
(A)ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基を含有するポリオルガノシロキサンは、23℃における粘度が20〜25000cPであることが好ましく、作業性及び屈折率の点から、例えば、粘度は30〜23000cPとすることができる。作業性の点からは低粘度であることが好ましく、23℃における粘度は、例えば、20〜2000cPとすることができ、50〜500cPが更に好ましい。
【0011】
(A)において、1分中のケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基の個数は、架橋反応による安定した構造を確保しつつ、過度な硬化収縮を抑制する点から、平均で2個以上、20個以下とすることができる。中でも、2個超、10個以下が好ましく、より好ましくは3〜7個である。
【0012】
(A)において、ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基のアルキル部分は、C1〜C6アルキル基であることができる。メルカプトアルキル基としては、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、4−メルカプトブチル、6−メルカプトヘキシル等が挙げられるが、合成の容易さ等の点から、メルカプトメチル、3−メルカプトプロピルが好ましく、より好ましくは3−メルカプトプロピルである。
【0013】
(A)において、ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基以外の有機基は、置換又は非置換基の1価の炭化水素基(ただし、脂肪族不飽和基ではないこととする)であることができる。具体的には、アルキル基、例えばC1〜C6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等);シクロアルキル基、例えばC3〜C10シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル等);アリール基、例えばC6〜C12アリール(例えば、フェニル、トリル、キシリル等);アラルキル基、例えばC7〜C13アラルキル基(例えば、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル等);置換炭化水素基、例えばハロゲン置換炭化水素基(例えば、クロロメチル、クロロフェニル、3,3,3−トリフルオロプロピル等)が挙げられる。合成の容易さ等の点からアルキル基が好ましく、中でもメチル、エチル、プロピルが好ましく、より好ましくはメチルである。屈折率を調整するために、アリール基を併用することができ、中でも、合成の容易さ等の点からフェニルが好ましい。
【0014】
(A)の主鎖の構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、分岐状が好ましい。例えば、R''SiO3/2単位、R''SiO1/2単位及びR''SiO2/2単位、並びに場合によっては更にSiO4/2単位(式中、R''は、それぞれ独立して、非置換又は置換の1価の炭化水素基(ただし、脂肪族不飽和基ではないこととする)を表す)からなり、1分子当たり、2個以上、20個以下のR''がメルカプトアルキル基である、メルカプトアルキル基を含有する分岐状のオルガノポリシロキサンが挙げられる。メルカプトアルキル基及び非置換又は置換の1価の炭化水素基としては、上記の基が挙げられる。メルカプトアルキル基であるR''は、いずれの単位のR''としても存在してもよいが、好ましくはR''SiO3/2単位のR''として存在する。メルカプトアルキル基及び非置換又は置換の1価の炭化水素基としては、上記の基を適用することができる。作業性と架橋反応性の点から、メルカプトアルキル基を含有するシロキサン単位とメルカプトアルキル基を含まないシロキサン単位の個数の比が、1:60〜1:25のものが好ましいが、これに限定されない。
【0015】
(A)において、23℃における粘度は、20〜25000cPである。作業性及び屈折率の点から、例えば、粘度は30〜23000cPとすることができる。作業性の点からは低粘度であることが好ましく、23℃における粘度は、例えば、20〜2000cPとすることができ、50〜500cPが更に好ましい。
【0016】
本明細書において、粘度は、回転粘度計(ビスメトロン VDA−L)(芝浦システム株式会社製)にて、ローターNo.2〜4を使用し、30〜60rpm、23℃で測定した値とする。
【0017】
(A)中のメルカプト基の個数は、ヨウ素による比色滴定により測定することができる。これは、下記式:
2RSH + I → RSSR + 2HI
の反応を利用した方法であり、滴定中、微量の過剰ヨウ素で滴定液が微黄色になることを利用する。
【0018】
(A)は、透明性が高いものであることが好ましい。透明性の指標としては、23℃において、(A)を容器に充填して、厚さ10mmについて、分光測式計によって、可視光領域波長(360〜780nm)の透過率を測定したときに、透過率80%以上であることが挙げられる。透過率は、本発明の組成物の硬化物の透明性が、安定的に保持できる点から、90%以上であることが好ましい。
【0019】
(A)の調製方法は、特に限定されず、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、メルカプトプロピルジメチルエトキシシラン等のアルキルクロロシラン、メルカプトアルキルアルコキシシランと、所望のアルキルクロロシラン、アルキルアルコキシシラン、シラノール含有シロキサンとを加水分解、重縮合、再平衡化することにより製造できる。
【0020】
(A)は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0021】
(B)ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンとしては、(B1)式(I):
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、
は、独立して、脂肪族不飽和基であり、
Rは、独立して、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基であって、Rのうち、1〜60モル%はC6〜C12アリール基であり、
nは、23℃における粘度を100〜25000cPとする数である)で示される、脂肪族不飽和基を含有する直鎖状ポリオルガノシロキサンを使用することができる。
【0024】
(B1)に関する式(I)において、Rは、脂肪族不飽和基である。両末端のRは同一であっても、異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
【0025】
脂肪族不飽和基としては、アルケニル基、例えばC2〜C6アルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル等)が挙げられる。末端が不飽和であるアルケニル基がより好ましく、合成の容易さ等の点から、ビニル基が好ましい。
【0026】
式(I)において、Rは、C1〜C6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)又はC6〜C12アリール基(例えば、フェニル、トリル、キシリル等)である。Rは同一であっても、異なっていてもよい。
【0027】
屈折率の調整の点から、Rのうち、1〜60モル%はC6〜C12アリール基であり、粘性及びチキソトロピー性の点から、Rのうち、1〜50モル%がC6〜C12アリール基であることが好ましく、より好ましくは1〜35モル%である。
【0028】
合成の容易さ等の点から、C1〜C6アルキル基としては、メチルが好ましく、C6〜C12アリール基としては、フェニルが好ましい。
【0029】
(B1)としては、式(I)において、Rのうち、1〜60モル%はフェニル基であり、残余がメチル基であるものが好ましく、より好ましくは、Rのうち、1〜50モル%がフェニル基であり、残余がメチル基であるものであり、さらに好ましくは、Rのうち、1〜35モル%がフェニル基であり、残余がメチル基であるものである。
【0030】
(B1)は、組成物の作業性の観点から、23℃における粘度が100〜25000cPであり、200〜10000cPが更に好ましく、300〜5000cPが更に好ましい。
【0031】
(B1)中の脂肪族不飽和基の個数は、NMRにて平均構造式を求め、分子量を計算し、得られた分子量から求めることができる。
【0032】
(B1)の調製方法は、特に限定されず、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン等の所望の構造に必要なクロロシラン類を重縮合、再平衡化を行うか、あるいはジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルビニルメトキシ等の所望の構造に必要なアルコキシシラン類を共加水分解し、重縮合、再平衡化反応を行なうことにより得ることができる。また、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン等の所望の構造に必要なシロキサン類を、アルカリ触媒(水酸化アルカリ金属塩、アルカリ金属シラノレート、水酸化アンモニウム塩等)又は酸触媒(硫酸、硫酸シラノレート、トリフルオロメタンスルホン酸)の存在下で、開環重合、再平衡化を行うことにより得ることもできる。
【0033】
また、(B2)SiO4/2単位、R'SiO1/2単位及びR'SiO2/2単位、並びに場合によってはさらにR'SiO3/2単位(式中、R'は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基又は脂肪族不飽和基を表す)からなり、1分子当たり、少なくとも3個のR'が脂肪族不飽和基である、分岐状オルガノポリシロキサンとからなる、脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンも使用することができる。
【0034】
(B2)は、SiO4/2単位、R'SiO1/2単位及びR'SiO2/2単位、並びに場合によってはさらにR'SiO3/2単位(式中、R'は、それぞれ独立して、C1〜C6アルキル基又は脂肪族不飽和基を表す)からなり、1分子当たり、少なくとも3個のR'が脂肪族不飽和基である、分岐状オルガノポリシロキサンである。
【0035】
(B2)としては、R'SiO2/2単位1モルに対して、SiO4/2単位を6〜10モル、R'SiO1/2単位を4〜8モルの比率で有する分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。(B2)は、常温で固体ないし粘稠な半固体の樹脂状又は液状のものが好ましい。例えば、重量平均分子量1,000〜400,000のものが挙げられ、好ましくは、2,000〜200,000のものである。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)により、ポリスチレンを検量線とした値である。
【0036】
R’に関する脂肪族不飽和基としては、(B1)において脂肪族不飽和基として挙げられた基が挙げられ、具体的にはアルケニル基、例えばC2〜C6アルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル等)が挙げられる。末端が不飽和であるアルケニル基がより好ましく、合成の容易さ等の点から、ビニル基が好ましい。脂肪族不飽和基であるR'は、いずれの単位のR'としても存在してもよいが、好ましくはR'SiO単位のR'として存在する。
【0037】
脂肪族不飽和基以外のR’は、C1〜C6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル等)であり、耐熱性を考慮すると、メチル基が好ましい。
【0038】
E硬度を適切に調整する点からは、(B1)に、(B2)を組み合わせて使用することが好ましい。(B2)の量は、(B)中の脂肪族不飽和基の全個数に占める(B2)中の脂肪族不飽和基の個数の割合が50%以下となる量とすることができ、好ましくは、30%以下となる量であり、また、8%以上となる量とすることができ、好ましくは10%量となる量である。
【0039】
(B)を使用する場合、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0040】
(C)光開始剤は、(A)と(B)とを光架橋させる際のラジカル開始剤として、又は増感剤として機能する成分である。(C)は、反応性の観点から、芳香族炭化水素、アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、o−ベンゾイル安息香酸エステル、ベンゾイン及びベンゾインエーテル並びにその誘導体、キサントン及びその誘導体、ジスルフィド化合物、キノン化合物、ハロゲン化炭化水素及びアミン類、有機過酸化物が挙げられる。シリコーンとの相溶性、安定性の観点から、置換又は非置換のベンゾイル基を含有する化合物又は有機過酸化物がより好ましい。
【0041】
(C)としては、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IRGACURE 651:BASF社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(DAROCUR 1173:BASF社製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IRGACURE 184:BASF社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IRGACURE 2959:BASF社製)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IRGACURE 127:BASF社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907:BASF社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IRGACURE 369:BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(IRGACURE 379:BASF社製);2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(LUCIRIN TPO:BASF社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(IRGACURE 819:BASF社製);1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01:BASF社製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02:BASF社製);オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(IRGACURE 754:BASF社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(DAROCUR MBF:BASF社製)、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエートDAROCUR EDB:BASF社製)、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EHA:BASF社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド(CGI 403:BASF社製)、ベンゾイルペルオキシド、クメンペルオキシド等が挙げられる。
【0042】
(C)は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0043】
(D)脂肪族不飽和基を含有するシラン化合物は、硬化物の基材への密着性・接着性を向上させる役割を担う。脂肪族不飽和基としては、(B1)において脂肪族不飽和基として挙げられた基が挙げられ、具体的にはアルケニル基、例えばC2〜C6アルケニル基(例えば、ビニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル等)が挙げられる。末端が不飽和であるアルケニル基がより好ましく、合成の容易さ等の点から、ビニル基が好ましい。
【0044】
(D)としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが挙げられ、好ましくは3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
【0045】
(D)は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0046】
(A)中のケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基の個数をHSとし、(B)中の脂肪族不飽和基の個数をViBとし、(D)中の脂肪族不飽和基の個数をViDとしたとき、適切な硬度及び弾性を硬化物にもたせる点から、ViB+ViDに対するHSの比(HS/(ViB+ViD))は、0.5〜1.05とすることが好ましく、より好ましくは0.55〜1.0であり、更に好ましくは0.6〜0.9である。(B)として、(B1)のみを使用する場合、(B)中の脂肪族不飽和基の個数は、(B1)中の脂肪族不飽和基の個数ViB1に等しく、一方、(B1)と(B2)を併用する場合は、(B)中の脂肪族不飽和基の個数は、(B1)中の脂肪族不飽和基の個数ViB1と(B2)中の脂肪族不飽和基の個数ViB2の合計となる。
【0047】
また、良好な接着性を付与し、かつ硬化物の温度変化を抑制する点から、ViBに対するHSの比(HS/ViB)は、0.95〜3であることが好ましく、より好ましくは1〜2である。
【0048】
良好な接着性、硬化物の温度変化の抑制の一層の改善の点から、り、ViDに対するHSの比(HS/ViD)は、1.5〜3であることが好ましく、より好ましくは1.8〜2.5である。
【0049】
光反応開始作用、硬化時の耐熱性及び視認性(高透過率及び低曇り性)の点から、(C)は、(B)100重量部に対して、0.05〜50重量部が好ましく、より好ましくは、0.1〜40重量部である。
【0050】
耐変形性と視認性の観点から、(A)〜(D)の合計量は、組成物中、55重量%以上であることが好ましく、より好ましくは75重量%以上であり、更に好ましくは90重量%以上である。
【0051】
本発明の製造方法で得られる組成物は、更に(E)シリコーン樹脂系接着向上剤(ただし、(A)、(B)及び(D)は除くこととする)を含有することが好ましい。シリコーン樹脂系接着向上剤とは、粘着性を有するシリコーン樹脂をいい、本発明の紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の接着性を更に強化し安定にするために必要に応じて配合する。特に被着体が偏光板の場合、高い改善効果が見込める。
【0052】
粘着性と経済性の観点から、(E)としては、MQ樹脂、MDQ樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、DTQ樹脂及びTQ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のシリコーン樹脂系接着向上剤(ただし、脂肪族不飽和基及びメルカプト基を含有しないこととする)が好ましく、流動性、合成の容易さからMQ樹脂、MDQ樹脂、MDT樹脂及びMDTQ樹脂からなる群から選ばれる1種以上のシリコーン樹脂系接着向上剤がより好ましくMQ樹脂、MDQ樹脂及びMDT樹脂からなる群から選ばれる1以上のシリコーン樹脂系接着向上剤が更に好ましく、粘着性の高さと構造制御が容易な点からMQ樹脂が更に好ましい。
なお、MQ樹脂としては、平均構造式が、下記式
{(CHSiO1/2{SiO
(式中、m+n=1であり、m及びnは0でない数である)で表わされるシリコーン樹脂が挙げられ、MDQ樹脂としては、平均構造式が、下記式
{(CHSiO1/2{SiO{(CHSiO}
(式中、m+n+l=1であり、m、n及びlは0でない数である)で表わされるシリコーン樹脂が挙げられ、MT樹脂としては、平均構造式が、下記式
{(CHSiO1/2{(CH)SiO3/2
(式中、m+o=1であり、m及びoは0でない数である)で表わされるシリコーン樹脂が挙げられ、MDT樹脂としては、平均構造式が、下記式
{(CHSiO1/2{(CHSiO}{(CH)SiO3/2
(式中、m+l+o=1であり、m、l及びoは0でない数である)で表わされるシリコーン樹脂が挙げられ、MDTQ樹脂としては、平均構造式が、下記式
{(CHSiO1/2{SiO{(CHSiO}{(CH)SiO3/2
(式中、m+n+l+o=1であり、m、n、l及びoは0でない数である)で表わされるシリコーン樹脂が挙げられ、DQ樹脂としては、平均構造式が、下記式
{SiO{(CHSiO}
(式中、n+l=1であり、n及びlは0でない数である)で表わされるシリコーン樹脂が挙げられ、DTQ樹脂としては、平均構造式が、下記式
{SiO{(CHSiO}{(CH)SiO3/2
(式中、n+l+o=1であり、n、l及びoは0でない数である)で表わされるシリコーン樹脂が挙げられ、TQ樹脂としては、平均構造式が、下記式
{SiO{(CH)SiO3/2
(式中、n+o=1であり、m及びoは0でない数である)で表わされるシリコーン樹脂が挙げられる。
【0053】
(E)の重量平均分子量は、2000〜100000が好ましく、より好ましくは5000〜80000であり、更に好ましくは10000〜60000である。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)により、ポリスチレンを検量線とした値とする。
【0054】
(E)は、(B)100重量部に対して、150重量部以下で使用することができ、基材への密着性を向上させる点から、(E)は、5〜150重量部が好ましく、10〜120重量部がより好ましく、15〜100重量部が更に好ましい。
【0055】
本発明の製造方法で得られる組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、シランカップリング剤(但し、(D)は除く)、重合禁止剤、酸化防止剤、耐光性安定剤である紫外線吸収剤、光安定化剤等の添加剤を配合することができる。本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、(B)以外の脂肪族不飽和基を含有するポリオルガノシロキサン(例えば、脂肪族不飽和基を含有する分岐状ポリオルガノシロキサン)を含むことができるが、好ましくは含まない。
【0056】
シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジアリルイソシアヌレート、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アリルイソシアヌレート、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリエトキシシリルプロピルジアリルイソシアヌレート、ビス(トリエトキシシリルプロピル)アリルイソシアヌレート、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられる。
【0057】
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等が挙げられる。
【0058】
酸化防止剤は、組成物の硬化物の酸化を防止して、耐候性を改善するために使用することができ、例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン・N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70%)]−ポリプロピレン(30%)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド)、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3′,3″,5,5′,5″−ヘキサン−tert−ブチル−4−a,a′,a″−(メシチレン−2,4,6−トリル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記酸化防止剤は、単独でも、二種以上を併用してもよい。
【0059】
光安定剤は、硬化物の光酸化劣化を防止するために使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。耐光性安定剤である紫外線吸収剤は、光劣化を防止して、耐候性を改善するために使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記紫外線吸収剤は単独でも、二種以上を併用してもよい。光安定化剤としては、ヒンダードアミン系が好ましい。中でも、第3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を用いることが、組成物の保存安定性改良のために好ましい。第3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤としては、チヌビン622LD,チヌビン144,CHIMASSORB119FL(以上いずれもBASF社製);MARK LA−57,LA−62,LA−67,LA−63(以上いずれも旭電化工業株式会社製);サノールLS−765,LS−292,LS−2626,LS−1114,LS−744(以上いずれも三共株式会社製)等の光安定剤が挙げられる。
【0060】
本発明の製造方法で得られる組成物は、所望のE硬度を得る点から、無機充填剤を含まないことが好ましい。
【0061】
本発明の製造方法で得られる組成物は、画像表示部と保護部との間に塗工される際の作業性の観点から、23℃における粘度が、50〜10000cPであることが好ましく、70〜9000cPであることがより好ましく、100〜7000cPであることが更に好まし。
【0062】
本発明の製造方法によれば、少なくとも(A)及び(B)を混合し、80〜180℃に加熱処理した後、残りの成分を配合することによって、製造直後のみならず、経時的にも透明性に優れた紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物を得ることができる。このようにして得られた紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物は、(A)及び(B)をそれぞれ別個に80〜180℃に加熱処理して、その後、混合し、残りの成分を配合して得られる紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物と比較して、経時的な透明性に優れている。これは、少なくとも(A)及び(B)を混合して、加熱処理することにより、各成分中の水分が除去されとともに、(A)と(B)との間で相互作用が生じ、これが安定的な透明性をもたらすと考えられる。
【0063】
加熱処理は、好ましくは80〜170℃であり、さらに好ましくは100〜150℃である。加熱処理時間は、経済的な面、省エネルギーの点から、15分〜5時間とすることができ、好ましくは30分〜3時間である。
【0064】
加熱処理の前に、混合物は均一に混合されていることが好ましく、例えば、減圧脱泡装置を装備した万能混合攪拌機で、室温(10〜30℃)、低速にて、10〜60分間で混合することができる。加熱処理は、攪拌下で行うこともできる。
【0065】
加熱処理の後に、10μm以下の細かさの細孔を有するメンブレンフィルター等を用いて濾過することができる。これにより、視認性の不具合となる微細なゲル物等の不純物を除き、最終製品である画像認識性の向上となるため、濾過処理することが好ましい。
【0066】
(A)及び(B)に加えて、(C)、(D)並びに任意成分の(E)及び添加剤の少なくともいずれか、又は全部を混合して、加熱処理してもよい。
【0067】
加熱処理による組成物の粘度上昇を抑制する点から、加熱処理を重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。
【0068】
また、加熱処理をシラザン類の存在下で行うことにより、組成物の粘度上昇を抑制することができる。シラザン類としては、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザンヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン等が挙げられる。組成物調製後の特性への影響の観点から、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザンが好ましく、入手の容易さ、取り扱い上の観点から、ヘキサメチレンジシラザンが好ましい。シラザン類は、(A)及び(B)の合計100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5重量部である。
【0069】
(A)及び(B)のいずれか、又は両方は、これらを混合するに先立ち、それぞれ別個に、予備加熱されたものであってもよい。これにより、(A)成分及び/又は(B)成分中に含まれる水分等の除去を行い、その後の加熱処理の効果を高めることができる。(A),(B)成分に含まれる水分等により、加熱処理による相溶性の効果が阻害されるのを抑制する目的で実施される。予備加熱は、80〜180℃で行なうことができ、好ましくは90〜150℃であり、さらに好ましくは100〜130℃である。予備加熱の時間は、経済的な面、省エネルギーの点から、10分〜5時間とすることができ、好ましくは20分〜4時間である。
【0070】
予備加熱は重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。(A)成分に含まれるメルカプト基の分解抑制、(B)成分に含まれる脂肪族不飽和基の重合による増粘抑制の点から、(A)との混合に先立ち、予備加熱した(B)を使用することが好ましく、例えば、(A)と、重合禁止剤の存在下で予備加熱した(B)とを混合し、80〜180℃に加熱処理した後、残りの成分を配合して組成物を調製することができる。
【0071】
混合、加熱処理及び任意の予備加熱は、例えば、クリーンルームのような空気中の異物管理をされた室内にて行うことが好ましく、(C)を混合する場合は、イエロールームのような紫外線を除去した室内で行うことが好ましい。
【0072】
混合、加熱処理及び任意の予備加熱は、大気中で行うこともできるが、湿気等の水分の混入を防ぐ点からは、窒素気流下及び減圧脱泡下で行うことが好ましい。
【0073】
本発明の製造方法により得られる組成物は、紫外線を照射することによって、硬化させることができる。(C)の反応可能な範囲の波長領域のランプとしては、例えば、ウシオ電機株式会社製の高圧水銀ランプ(UV−7000、UVL-4000)、メタルハライドランプ(MHL−250、MHL−450、MHL−150、MHL−70)、韓国:JM tech社製のメタルハライドランプ(JM−MTL 2KW)、三菱電機株式会社製の紫外線照射灯(OSBL360)、 日本電池株式会社製 紫外線照射機(UD−20−2)、株式会社東芝製蛍光ランプ(FL−20BLB))、Fusion社製のHバルブ、Hプラスバルブ、Dバルブ、Qバルブ、Mバルブ等が挙げられる。照射量は、100〜10000mJ/cmが好ましく、より好ましくは300〜5000mJ/cmであり、更に好ましくは500〜3500mJ/cmである。
【0074】
本発明の製造方法により得られる組成物は、画像表示装置において好適に使用することができ、特に、フラットパネル型の画像表示装置の保護部と画像表示部との間に介在させる樹脂として好ましい。具体的には、光学用プラスチック等で形成される透明な保護部を構成する保護パネル上に、本発明の組成物を塗布した後、画像表示部を構成する画像表示パネルを張り合わせ、紫外線照射することができる。保護パネルには、外周縁部に、本発明の組成物の流出を妨げるための段差を設けておいてもよい。
【実施例】
【0075】
以下、実施例及び比較例によって、本発明を更に詳細に説明する。部、%は、他に断りのない限り、重量部、重量%を表す。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
【0076】
〔物性の評価条件〕
【0077】
実施例及び比較例で得られた組成物について、製造直後、50℃の恒温層中に保管して、3日後、7日後、15日後に、下記の測定を行った。
(1−1)粘度
回転粘度計(ビスメトロン VDA−L)(芝浦システム株式会社製)を使用して、400cP以下の範囲は、No.2ローターを使用し、400超〜1500cPの範囲は、No.3ローターを使用し、1500cP超の範囲は、No.4ローターを使用し、60rpmで、23℃における粘度を測定した。合成例A及びBのシロキサンの粘度も同様にして測定した。
あわせて、目視で、変化を観察した。
(1−2)透過率
液状物については、石英セルに充填して厚さ10mmについて、分光測式計((株)島津製作所UV−3600)によって紫外領域波長(400nm)における透過率を測定した。硬化物については、ウシオ電機株式会社製高圧水銀灯:UVL−4001Mを用い、120w/cmにて2000mJ/cm2の紫外線照射により厚さ300μmの試料を作製し、上記分光測式計で測定した。
(1−3)曇り
硬化物については、ウシオ電機株式会社製高圧水銀灯:UVL−4001Mを用い、120w/cmにて2000mJ/cm2の紫外線照射により厚さ300μmの試料を作製し、JIS K 7105に準拠し、ヘーズメータNDH5000(日本電色工業株式会社製)にて測定した。
【0078】
実施例及び比較例で得られた組成物について、製造直後に、下記の測定を行なった。
(2−1)硬化後のE硬度
ウシオ電機株式会社製高圧水銀灯:UVL−4001Mを用い、120w/cmにて5000mJ/cm2の紫外線照射により厚さ2mmの試料を作製し、JIS K 6253 Eに準拠し、DUROMETER HARDNESS TYPE E (ASKER製)にて23℃における試料のE硬度を測定した。
(2−2)硬化後の引張強さ
ウシオ電機株式会社製高圧水銀灯:UVL−4001Mを用い、120w/cmにて5000mJ/cm2の紫外線照射により厚さ2mmの試料を作製し、JIS K 6301に準拠し、ショッパー引張試験機(東洋精機製作所製)にて23℃における試料の引張強さを測定した。
(2−3)硬化後の伸び
ウシオ電機株式会社製高圧水銀灯:UVL−4001Mを用い、120w/cmにて5000mJ/cm2の紫外線照射により厚さ2mmの試料を作製し、JIS K 6301に準拠し、ショッパー引張試験機(東洋精機製作所製)にて23℃における試料の伸びを測定した。
(2−4)硬化後の比重
ウシオ電機株式会社製高圧水銀灯:UVL−4001Mを用い、120w/cmにて5000mJ/cm2の紫外線照射により厚さ2mmの試料を作製し、K-6268に準拠して、デジタル比重計DMA−220(安藤計器製作所)を用いて測定した。
【0079】
〔合成例A〕
実施例及び比較例における(A)は、以下のとおりである。
冷却用還流管、滴下ロート、攪拌装置としてスリーワンモーターを装備した5Lのセパルブルフラスコ中の、ジメチルジクロロシラン1549.2g(12mol)、トリメチルクロロシラン21.7g(0.2mol)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン196.4g(1.0mol)及びトルエン1500gに、水1000gとトルエン500gの混合物を、滴下ロートから約30分時間かけて滴下した。70℃で1時間加熱攪拌しながら加水分解を行った。反応終了後、水相を分離し、水洗し、次いで100℃〜125℃にて加熱により脱水を行なった。脱水終了後、50%水酸化カリウム水溶液1.5gを加え、115〜125℃で5時間加熱攪拌することにより縮合反応を行った。エチレンクロロヒドリンにて中和後、トルエンを1200〜1300g脱溶し、スーパーセライトフロスを濾過助剤に用いて濾過し、その後残存するトルエンを定圧及び減圧下にて除去し、メルカプトプロピル基を含有するポリメチルシロキサン895gを得た。
平均構造式:{(CHSiO1/2}{HS(CHSiO3/2{(CHSiO2/260
粘度:230cP
10mm厚みにおける透過率:82.6%
単位重量当りのメルカプト基数:0.96mmol/g
【0080】
〔合成例B〕
実施例及び比較例における(B)は、以下のとおりである。
冷却用還流管、攪拌装置としてスリーワンモーターを装備した3Lのセパルブルフラスコに、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシロキサン1800g、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタフェニルシクロテトラシロキサン260g、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン37.5gを150〜160℃にて窒素ガス0.5Nm/hにて3時間加熱攪拌することにより脱水を行い、その後水酸化カリウム0.1gを加えて加熱攪拌を行った。加熱撹拌は、フラスコ内で水酸化カリウムが溶解し均一になり、かつ粘度である2000cP〜2500cPに増粘するまで継続した。その後、エチレンクロロヒドリン 10gにて100℃にて中和後、スーパーセライトフロスを濾過助剤に用いて濾過した後、170〜180℃、2mmHgの減圧下にて低沸分を除去することにより、末端がジメチルビニルシロキシ基で閉塞され、ジフェニルシロキシ単位が5モル%、残余がジメチルシロキシ単位であるビニル末端ポリメチルフェニルシロキサン1823gを得た。
粘度:3040cP
1分子中の脂肪族不飽和基の平均個数:2
NMR測定による平均構造式:
CH=CH−Si(CH−O−{Si(CHO}250−{SiPhO}13−Si(CH−CH=CH
分子量:20560
【0081】
比較例1
合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部、合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部を、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過した。
その後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部、次いでp−t−ブチルカテコール0.004部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、比較例1の組成物を得た。
【0082】
比較例2
合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部、合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過した。
その後、p−t−ブチルカテコール0.004部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、比較例2の組成物を得た。
【0083】
比較例3
合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部を、150℃、2時間に加熱した。40℃まで冷却した後、合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過した。
その後にp−t−ブチルカテコール0.004部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、比較例3の組成物を得た。
【0084】
比較例4
合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合した後、150℃、2時間に加熱した。40まで冷却した後、合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部を加え、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過した。
その後にp−t−ブチルカテコール0.004部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、比較例4の組成物を得た。
【0085】
比較例5
合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部、150℃、2時間に加熱した。40℃まで冷却した後、合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過した。
その後にp−t−ブチルカテコール0.004部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、比較例5の組成物を得た。
【0086】
比較例6
合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部を、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により150℃、2時間、加熱し、40まで冷却した。
同様操作にて、合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部を150℃で2時間、加熱し、40℃まで冷却した。
上記のようにして、別個に予備的に加熱処理した合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサンと合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサンを加え、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過した。
その後にp−t−ブチルカテコール0.004部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部、及び3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、均一に混合し、比較例6の組成物を得た。
【0087】
実施例1
合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部及び合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部を、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合した後、150℃、2時間に加熱した。40℃まで冷却した後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過した。
その後にp−t−ブチルカテコール0.004部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、実施例1の組成物を得た。
【0088】
実施例2
合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部に、ヘキサメチレンジシラザン0.5部を、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合した後、さらに窒素雰囲気下で30分間、攪拌した。その後、合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部及びp−t−ブチルカテコール0.002部を、窒素雰囲気下で、150℃、2時間に加熱攪拌を行い、副生成物のアンモニアを除去した。40℃まで冷却した後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、次いでp−t−ブチルカテコール0.002部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過し、実施例2の組成物を得た。
【0089】
実施例3
合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部、合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部に、ヘキサメチレンジシラザン1.5部を、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合した後、窒素雰囲気下で30分間、攪拌した。その後、窒素雰囲気下で、150℃、2時間に加熱攪拌を行い、副生成物のアンモニアを除去した。40℃まで冷却した後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、次いでp−t−ブチルカテコール0.004部、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過し、実施例3の組成物を得た。
【0090】
実施例4
p−t−ブチルカテコール0.004部を合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部に加え、さらに合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部と、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合した後、150℃で2時間、加熱攪拌を行った。40℃まで冷却した後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、次いで、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過し、実施例4の組成物を得た。
【0091】
実施例5
p−t−ブチルカテコール0.004部を合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部を加え、さらに合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部及びヘキサメチレンジシラザン1.5部を加え、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合した後、窒素雰囲気下で30分間、攪拌した。その後、窒素雰囲気下で、150℃で2時間、加熱攪拌を行い、副生成物のアンモニアを除去した。40℃まで冷却した後、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、次いで、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、実施例5の組成物を得た。
【0092】
実施例6
p−t−ブチルカテコール0.004部を合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部に加え、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合した後、110℃で2時間、加熱攪拌した。40℃まで冷却した後、合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部を加え、均一に混合した後、110℃で2時間、加熱攪拌を行った。40℃まで冷却した後、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過し、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、次いで、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、実施例6の組成物を得た。
【0093】
実施例7
p−t−ブチルカテコール0.004部を合成例Bのビニル基含有メチルフェニルポリシロキサン86.95部に加え、5Lの万能混合攪拌機(ダルトン社製)により、均一に混合した後、110℃で2時間、加熱攪拌した。40℃まで冷却した後、合成例Aのメルカプトアルキルメチルポリシロキサン11.3部を加え、均一に混合した後、110℃で2時間、加熱攪拌を行った。40℃まで冷却した後、メンブレンフィルター(ミルポア社製, オムニポア: OMNIPORE MEMBRANE FILTER TYPE 10μm JC、細孔10μm)で濾過した。ヘキサメチレンジシラザン1.5部を加え、窒素雰囲気下で2時間、攪拌した。その後、窒素雰囲気下で、110℃で2時間、加熱攪拌を行い、副生成物のアンモニアを除去した。40℃まで冷却した後、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を加え、次いで、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン0.22部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.22部を加え、均一に混合し、実施例7の組成物を得た。
【0094】
実施例・比較例の組成物に関する測定値を、表1及び2に示す。図1に、50℃の恒温層中で7日間、保管した後の比較例1、6、実施例1、5〜7の組成物の写真を示す。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
上記の結果から、本発明の製造方法により得られた紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物は、安定性に優れ、製造直後のみならず、経時的(例えば、2週間の保管後)にも良好な透明性を示すことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明によれば、安定性に優れ、製造直後のみならず、経時的(例えば、2週間の保管後)にも良好な透明性を示す紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ケイ素原子に結合するメルカプトアルキル基を含有するポリオルガノシロキサン;
(B)ケイ素原子に結合する脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン;
(C)光反応開始剤;及び
(D)脂肪族不飽和基を含有するシラン化合物
を含む紫外線硬化型シリコーン樹脂組成物の製造方法であって、
少なくとも(A)及び(B)を混合した後、80〜180℃に加熱処理することを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
加熱処理を重合禁止剤の存在下で行う、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
加熱処理をシラザン類の存在下で行う、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
(B)が、(B1)式(I):
【化3】


(式中、
は、独立して、脂肪族不飽和基であり、
Rは、独立して、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基であって、Rのうち、1〜60モル%はC6〜C12アリール基であり、
nは、23℃における粘度を100〜25000cPとする数である)で示される、脂肪族不飽和基を含有する直鎖状ポリオルガノシロキサンを含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
(B)が、(A)との混合に先立ち、予備加熱されたものである、請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
(D)が、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランからなる群より選ばれる1種以上の脂肪族不飽和基を含有するシラン化合物である、請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−144704(P2012−144704A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266620(P2011−266620)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(000221111)モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社 (257)
【Fターム(参考)】