説明

細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、皮膚外用剤及び食品

【課題】天然由来で安全性が高く、効果のより優れた細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、プロテアーゼ活性促進剤、皮膚外用剤及び食品を提供する。
【解決手段】細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、プロテアーゼ活性促進剤、皮膚外用剤及び食品において、ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有する細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、皮膚外用剤及び食品に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢に伴う皮膚の弾性低下やシミ及び肥満といった老化症状の要因として、細胞機能低下、コラーゲン等の細胞外マトリックス成分の減少や変性、紫外線によるメラニン産生や色素沈着及び細胞の酸化傷害、脂肪の蓄積等が挙げられる。このような老化症状を防止・改善するために、従来、様々な有効成分の検索及び配合検討がなされてきた。細胞賦活剤としては、ポンカンのエッセンス(特許文献1参照)、コラーゲン産生促進剤としては、ブナ科ブナ属植物の木の芽からの抽出物(特許文献2参照)、コラゲナーゼ活性阻害剤としては、キイチゴ、チョウジ、ビワ、マグワ、レンゲソウから選ばれる1種以上の植物抽出物(特許文献3参照)、メラニン産生抑制剤としては、ダイウイキョウ(大茴香)のエッセンス(特許文献4参照)、抗酸化剤としては、サルオガセ科サルオガセ属植物の抽出物(特許文献5参照)、抗炎症剤としては、茶ポリフェノール類(特許文献6)、脂肪蓄積抑制剤としては、クエルシトリン(特許文献7参照)が知られている。
【0003】
なお、ドゥアバンガの抽出物を有効成分とする細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、皮膚外用剤及び食品に関する先行技術は認められない。
【特許文献1】特開2001−131045号公報
【特許文献2】特開平10−203952号公報
【特許文献3】特開2003−183122号公報
【特許文献4】特開平11−302149号公報
【特許文献5】特開平10−182413号公報
【特許文献6】特開平6−9391号公報
【特許文献7】特開2000−344673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来用いられている細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、皮膚外用剤及び食品は、本質的な効果としては不十分な場合もあり、より優れた有効成分の開発が期待されていた。本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、天然由来で安全性が高く、効果のより優れた細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、皮膚外用剤及び食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、種々の天然物について検討を行った結果、ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物に優れた細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、メラニン産生抑制作用、抗酸化作用及、抗炎症作用及び脂肪蓄積抑制作用を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有する細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、皮膚外用剤及び食品を提供するものである。
【0006】
ドゥアバンガの抽出物としては、水、生理食塩水、リン酸緩衝液、極性有機溶媒、超臨界流体及び亜臨界流体からなる群より選ばれる少なくとも1種でドゥアバンガを抽出した抽出物が適用できる。
【0007】
なかでも、(1)常温常圧下、低級アルコール水溶液で抽出した抽出物、(2)高温高圧下、水で抽出した抽出物が好適である。低級アルコール水溶液や水で抽出した後、凍結乾燥等を行って水分を除去してもよい。
【0008】
細胞賦活、コラーゲン産生促進、コラゲナーゼ活性阻害、メラニン産生抑制、抗酸化、抗炎症及び脂肪蓄積抑制の効果がより優れることから、ドゥアバンガとしてドゥアバンガ乾燥粉砕物を用いることが好ましい。
【0009】
ドゥアバンガの抽出物は、DPPHラジカル消去剤及びSOD様活性剤(スーパーオキサイド消去剤)として機能することにより、抗酸化効果を生じるものと考えられる。また、ドゥアバンガの抽出物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害剤及びホスホリパーゼA2活性阻害剤として機能することにより、抗炎症効果を生じるものと考えられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた効果を有する細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤及び脂肪蓄積抑制剤を提供することができる。また、ドゥアバンガの抽出物を皮膚外用剤に配合することにより、シワ、タルミ、肌のハリ、シミ、クスミといった皮膚老化症状の防止・改善に優れた効果を発揮する老化防止改善用皮膚外用剤やメラニン産生抑制に優れた効果を発揮する美白用皮膚外用剤、抗炎症性に優れた効果を発揮する抗炎症用皮膚外用剤、脂肪蓄積抑制に優れた効果を発揮する痩身用皮膚外用剤を提供することができる。更に、ドゥアバンガの抽出物を食品に配合することにより、美容、健康維持や栄養補給に優れた効果を発揮する食品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において用いられるドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)は、ハマザクロ科ドゥアバンガ属の植物である。ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)は、ヒマラヤ東部からニューギニアにかけて分布する落葉の高木で、幹は垂直に立ち、高さは10〜40mになる。材は建築材や茶箱に用いられ、果実は酸味があり、食用にされることがある。
【0012】
ドゥアバンガの抽出物は、ドゥアバンガ原料(抽出の対象であるドゥアバンガをいう。)を抽出して得られるものである。抽出には、ドゥアバンガの全草又はその葉、幹、茎、枝、枝葉、果皮、果実、樹皮、樹液、種子、根茎、根皮、根、花穂、頭花、花等の1又は2以上の箇所を用いることができるが、抽出が容易且つ効率的になることから、ドゥアバンガの花、葉、茎又は樹皮を用いるとよい。ドゥアバンガは、生のままで抽出してもよいが、抽出効率を考えると、細切、乾燥、粉砕等の処理を施してから抽出することが好ましい。
【0013】
抽出方法としては、抽出溶媒に浸漬する方法か、超臨界流体又は亜臨界流体を用いる方法が適用できる。抽出効率を上げるため、撹拌しながら抽出するか、抽出溶媒中においてドゥアバンガ原料をホモジナイザーやミキサー等によって均一化しながら抽出してもよい。
【0014】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−オクチルアルコール等の低級アルコール(炭素数6以下のアルコールをいう。);グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、へキシレングリコール等の多価アルコール又はその誘導体;エチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル;アセトン、エチルメチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン等のケトン等の溶媒を用いることができ、これらより1種又は2種以上を選択して用いる。なお、水を除く上記抽出溶媒は極性有機溶媒に該当する。
【0015】
抽出溶媒としてはまた、スクワラン、ワセリン、パラフィンワックス、パラフィン油等の炭化水素;オリーブ油、小麦胚芽油、米油、ゴマ油、マカダミアンナッツ油、アルモンド油、ヤシ油等の植物油脂;牛脂、豚脂、鯨油等の動物油脂;生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等の無機塩類を添加した極性溶媒や界面活性剤を添加した溶媒を用いることもできる。更に、水や二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタン、プロパン、一酸化二窒素、クロロジフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、キセノン、アンモニア、メタノール、エタノール等の1種又は2種以上の超臨界流体又は亜臨界流体を用いてもよい。すなわち、水、二酸化炭素、エチレン、プロピレン、エタン、プロパン、一酸化二窒素、クロロジフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、キセノン、アンモニア、メタノール、エタノール等を用いて、ドゥアバンガの超臨界抽出又は亜臨界抽出を行ってもよい。
【0016】
抽出の際のドゥアバンガ原料と抽出溶媒との比率は、特に限定されないが、原料1に対して溶媒0.1〜1000質量倍とするのが好ましく、抽出が容易且つ効率的になることから、0.5〜100質量倍とするのがより好ましい。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒の沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は抽出溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが適切である。
【0017】
また、抽出は常温(室温、例えば10〜40℃)、常圧(1気圧=約100kPa)で行うことも、オートクレーブ等を用いて高温(例えば、50℃〜200℃、好ましくは50〜150℃)高圧(例えば、100kPa超500kPa以下、好ましくは100kPa超300kPa以下)で行うこともできる。
【0018】
超臨界抽出、亜臨界抽出を行う際は、用いる流体の臨界温度以上且つ臨界圧力以上にて抽出することが好ましい。例えば、超臨界流体として二酸化炭素を用いる場合は、31℃以上且つ7.3MPa以上にて、メタノールを用いる場合は、239℃以上且つ8.1MPa以上にて、水を用いる場合は、374℃以上且つ22.1MPa以上にて抽出することが好ましい。
【0019】
ドゥアバンガの抽出として特に好ましいのは、常温常圧下における低級アルコール水溶液(例えば、メタノール水溶液又はエタノール水溶液、特には、エタノール水溶液)による抽出、高温(例えば、50〜200℃、好ましくは、50〜150℃、特には、120℃)高圧下における水による抽出である。このような抽出を行うことで、細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤又は脂肪蓄積抑制剤としての機能に優れた抽出物を効果的且つ確実に得ることができる。
【0020】
ドゥアバンガの抽出物としては、(1)ドゥアバンガの抽出液、(2)ドゥアバンガの抽出液を濃縮及び/又は乾固した後に水又は極性有機溶媒に再度溶解したもの、(3)ドゥアバンガの抽出液に生理作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩等の精製処理又はカラムクロマトグラフィー等による分画処理を施したもの、(4)ドゥアバンガの抽出液及び上記処理を施したドゥアバンガの抽出液を凍結乾燥し、使用時に水又は極性有機溶媒に再度溶解して用いられる状態にしたもの等が挙げられる。
【0021】
ここで、ドゥアバンガの抽出液とは、ドゥアバンガ原料から抽出された成分が抽出溶媒中に分散又は溶解した状態のものをいう。また、上記極性有機溶媒としては、上述した低級アルコール、多価アルコール、エーテル、エステル、ケトン等が挙げられる。
【0022】
ドゥアバンガの抽出物は、優れた細胞賦活作用、コラーゲン産生促進作用、コラゲナーゼ活性阻害作用、メラニン産生抑制作用、抗酸化作用、抗炎症作用及び脂肪蓄積抑制作用を有し、細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤、皮膚外用剤及び食品として利用することができる。
【0023】
ドゥアバンガの抽出物を有効成分とする細胞賦活剤は、種々の細胞に対する細胞賦活作用を有し、特に真皮線維芽細胞に対して優れた細胞賦活効果を発揮する。細胞賦活剤中におけるドゥアバンガの抽出物の含有量は、細胞賦活剤全量基準で、0.0001〜100質量%が好ましく、0.001〜50質量%がより好ましい。
【0024】
ドゥアバンガの抽出物を有効成分とするコラーゲン産生促進剤は、コラーゲン産生促進作用を有し、特に真皮線維芽細胞におけるI、III及びIV型コラーゲン産生に対して優れたコラーゲン産生促進効果を発揮する。コラーゲン産生促進剤中におけるドゥアバンガの抽出物の含有量は、コラーゲン産生促進剤全量基準で、0.0001〜100質量%が好ましく、0.001〜50質量%がより好ましい。
【0025】
ドゥアバンガの抽出物を有効成分とするコラゲナーゼ活性阻害剤は、コラゲナーゼ(コラーゲン分解酵素)活性阻害作用を有し、特にI型コラゲナーゼによるI型コラーゲンの分解を抑制することによって、優れた抗老化効果を発揮する。コラゲナーゼ活性阻害剤中におけるドゥアバンガの抽出物の含有量は、コラゲナーゼ活性阻害剤全量基準で、0.0001〜100質量%が好ましく、0.001〜50質量%がより好ましい。
【0026】
ドゥアバンガの抽出物を有効成分とするメラニン産生抑制剤は、メラニン産生抑制作用を有し、シミ・ソバカスといった色素沈着症状に対して、優れた美白効果を発揮する。メラニン産生抑制剤中におけるドゥアバンガの抽出物の含有量は、メラニン産生抑制剤全量基準で、0.0001〜100質量%が好ましく、0.001〜50質量%がより好ましい。
【0027】
ドゥアバンガの抽出物を有効成分とする抗酸化剤は、抗酸化作用を有し、特にDPPHラジカル消去作用、SOD様活性作用(スーパーオキサイド消去作用)及び過酸化脂質耐性作用に基づく抗酸化作用によって優れた効果を発揮する。抗酸化剤中におけるドゥアバンガの抽出物の含有量は、抗酸化剤全量基準で、0.0001〜100質量%が好ましく、0.001〜50質量%がより好ましい。
【0028】
ドゥアバンガの抽出物を有効成分とする抗炎症剤は、抗炎症作用を有し、特にヒアルロニダーゼ活性阻害作用及びホスホリパーゼA2活性阻害作用に基づく抗炎症作用によって優れた効果を発揮する。抗炎症剤中におけるドゥアバンガの抽出物の含有量は、抗炎症剤全量基準で、0.0001〜100質量%が好ましく、0.001〜50質量%がより好ましい。
【0029】
ドゥアバンガの抽出物を有効成分とする脂肪蓄積抑制剤は、脂肪蓄積抑制作用を有し、特に皮下脂肪細胞に蓄積する中性脂肪に対して優れた脂肪蓄積抑制効果を発揮する。脂肪蓄積抑制剤におけるドゥアバンガの抽出物の含有量は、脂肪蓄積抑制剤全量基準で、0.0001〜100質量%が好ましく、0.001〜50質量%がより好ましい。
【0030】
また、ドゥアバンガの抽出物を皮膚外用剤に配合することにより、皮膚老化症状の防止・改善に優れた効果を発揮する老化防止改善用の皮膚外用剤やメラニン産生抑制に優れた効果を発揮する美白用皮膚外用剤、抗炎症性に優れた効果を発揮する抗炎症用皮膚外用剤、脂肪蓄積抑制に優れた効果を発揮する痩身用皮膚外用剤を得ることができる。皮膚外用剤に配合する際のドゥアバンガの抽出物の配合量は、皮膚外用剤の種類や使用目的等によって調整することができるが、一般に、皮膚外用剤全量基準で、0.000001〜10.0質量%であり、効果や安定性等の点から、0.00001〜5.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.0001〜1.0質量%である。
【0031】
ドゥアバンガの抽出物を配合する皮膚外用剤(細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤等として適用できる皮膚外用剤)の剤形は任意であり、例えば、ローション等の可溶化系、クリームや乳液等の乳化系、カラミンローション等の分散系として提供することができる。更に、噴射剤と共に充填したエアゾール、軟膏、顆粒、散剤、固形状等の種々の剤形で提供することができる。形態も任意であり、例えば、化粧水、乳液、美容液、保湿クリーム等の基礎化粧料;日焼け止めクリーム、日焼け止めローション、日焼けオイル、カーマインローション等のサンケア商品;ファンデーション、アイライナー、マスカラ、アイカラー、チークカラー、口紅等のメイクアップ化粧料;洗顔料、ボディーシャンプー、ヘアシャンプー等の洗浄料;リンス、トリートメント、ヘアクリーム、ヘアオイル、整髪剤等の毛髪用化粧料;香水又は防臭制汗剤の形態で提供することができる。
【0032】
なお、ドゥアバンガの抽出物を配合する皮膚外用剤には、ドゥアバンガの抽出物の他に、必要に応じて、通常医薬品、医薬部外品、皮膚化粧料、毛髪用化粧料及び洗浄料に配合される、油性成分、界面活性剤、保湿剤、顔料、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬剤、香料、樹脂、防菌防黴剤、アルコール類等を適宜配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤又は脂肪蓄積抑制剤との併用も可能である。
【0033】
更に、ドゥアバンガの抽出物は、美容、健康維持や栄養補給を目的とする食品、飲料及び医薬品にも用いることができる。ドゥアバンガの抽出物を配合する食品、飲料及び医薬品の剤形は任意であり、例えば、ドリンク剤や点滴剤などの液剤、ガムや飴などの固形剤、又はカプセル、粉末、顆粒、錠剤などの一般的な剤形で提供することができる。
【0034】
なお、ドゥアバンガの抽出物を配合する食品、飲料及び医薬品には、ドゥアバンガの抽出物の他に、必要に応じて、通常食品、飲料、医薬品及び医薬部外品に配合される、糖類、塩類、アルコール類、アミノ酸、着色料、香料、甘味料、酸味料、防腐剤、増粘剤、薬剤等を適宜配合することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、他の細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤又は脂肪蓄積抑制剤との併用も可能である。
【実施例】
【0035】
以下に、ドゥアバンガの抽出物の製造例、各作用を評価するための実験について更に詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0036】
[製造例1]
ドゥアバンガの花、葉、茎又は樹皮の乾燥粉砕物100gに2.0kgの50容量%エタノール水溶液を加えて、室温にて攪拌しながら2時間抽出した後、濾過により不溶物を取り除いた。濾別した抽出上清を減圧濃縮後、凍結乾燥を行い、ドゥアバンガの抽出物を得た。
【0037】
[製造例2]
ドゥアバンガの花、葉、茎又は樹皮の乾燥粉砕物100gに2.0kgの精製水を加え、オートクレーブを用いて120℃にて20分間加熱抽出した後、濾過により不溶物を取り除いた。濾別した抽出上清に凍結乾燥処理を施し、ドゥアバンガの抽出物を得た。
【0038】
上記製造例によって得られたドゥアバンガの抽出物を用いて、各作用を評価するための実験を行った。
【0039】
[実施例1] 真皮線維芽細胞賦活作用の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの葉の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。正常ヒト真皮線維芽細胞を96ウェルマイクロプレートに1ウェル当り2.0×10個となるように播種した。播種培地には、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に1質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間培養後、培地を、1質量%FBS添加DMEM培地にて各試料濃度に調製したサンプル培養液に交換し、更に24時間培養した。
【0040】
48時間培養後、サンプル培養液を、MTT試薬を400μg/mL含有するように調製した培地に交換し、更に2時間培養した。MTT(3−(4,5−ジメチル−2−チアゾリル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)は、細胞内の脱水素酵素により還元されると、テトラゾリウム環が開環して青色の不溶性フォルマザンを生じる。そこで、生じたフォルマザンを2−プロパノールで抽出し、マイクロプレートリーダーで550nmの吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差によって真皮線維芽細胞賦活作用を評価した。なお、サンプル培養液の他に、ネガティブコントロールとして1質量%FBS添加DMEM培地を、ポジティブコントロールとして5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。
【0041】
サンプル培養液における真皮線維芽細胞賦活作用は、ネガティブコントロール(コントロール)における真皮線維芽細胞賦活作用を100としたときの相対値として評価した。表1は、その評価結果を示すものである。
【0042】
【表1】

【0043】
表1に示したように、サンプル培養液においては、試料濃度依存的に真皮線維芽細胞賦活作用が認められた。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、真皮線維芽細胞賦活作用を有することが明らかとなった。
【0044】
[実施例2] I型コラーゲン産生促進作用の評価実験
この評価実験には、製造例2に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの葉の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。正常ヒト真皮線維芽細胞を96ウェルマイクロプレートに1ウェル当たり2.0×10個となるように播種した。播種培地には、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に0.5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間培養後、培地を、0.5質量%FBS添加DMEM培地にて各試料濃度に調製したサンプル培養液に交換し、更に24時間培養した。
【0045】
培養上清中に分泌されたI型コラーゲンの量は酵素免疫吸着測定法(ELISA)を用いて測定した。まず、培養上清中のI型コラーゲンをウサギ抗ヒトI型コラーゲンポリクローナル抗体(CHEMICON)と反応させた後、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgGポリクローナル抗体(HISTOFINE;ニチレイ)を用いて標識した。次に、標識したペルオキシダーゼに対し2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニア塩(ABTS)及び過酸化水素を添加し反応させた後、マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定した。
【0046】
PIERCE社製BCA Protein Reagent Assay kitにて各ウェルのタンパク量を測定し、単位タンパク量当りのI型コラーゲン産生量によってI型コラーゲン産生促進作用を評価した。なお、サンプル培養液の他に、ネガティブコントロールとして0.5質量%FBS添加DMEM培地を、ポジティブコントロールとして50μMのL−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩(VCPMg)を含有する0.5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。
【0047】
I型コラーゲン産生促進作用は、ネガティブコントロール(コントロール)における単位タンパク量当りのI型コラーゲン産生量を100としたときの相対値として評価した。表2は、その評価結果を示すものである。
【0048】
【表2】

【0049】
表2に示したように、サンプル培養液においては、コントロールと比べて顕著なI型コラーゲン産生促進作用が認められた。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、I型コラーゲン産生促進作用を有することが明らかとなった。
【0050】
[実施例3] III型コラーゲン産生促進作用の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの葉の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。正常ヒト真皮線維芽細胞を96ウェルマイクロプレートに1ウェル当たり2.0×10個となるように播種した。播種培地には、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間培養後、培地を、0.5質量%FBS添加DMEM培地にて各試料濃度に調製したサンプル培養液に交換し、更に24時間培養した。
【0051】
培養上清中に分泌されたIII型コラーゲンの量は酵素免疫吸着測定法(ELISA)を用いて測定した。まず、培養上清中のIII型コラーゲンをウサギ抗ヒトIII型コラーゲンポリクローナル抗体(CHEMICON)と反応させた後、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgGポリクローナル抗体(HISTOFINE;ニチレイ)を用いて標識した。次に、標識したペルオキシダーゼに対し2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニア塩(ABTS)及び過酸化水素を添加し反応させた後、マイクロプレートリーダーで405nmの吸光度を測定した。
【0052】
PIERCE社製BCA Protein Reagent Assay kitにて各ウェルのタンパク量を測定し、単位タンパク量当りのIII型コラーゲン産生量によってIII型コラーゲン産生促進作用を評価した。なお、コントロールとして0.5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。
【0053】
III型コラーゲン産生促進作用は、コントロールにおける単位タンパク量当りのIII型コラーゲン産生量を100としたときの相対値として評価した。表3は、その評価結果を示すものである。
【0054】
【表3】

【0055】
表3に示したように、サンプル培養液においては、コントロールと比べて顕著なIII型コラーゲン産生促進作用が認められた。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、III型コラーゲン産生促進作用を有することが明らかとなった。
【0056】
[実施例4] IV型コラーゲン産生促進作用の評価実験
この評価実験には、製造例2に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの花の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。ヒト真皮線維芽細胞を96ウェルマイクロプレートに1ウェル当たり2.0×10個となるように播種した。播種培地には、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間培養後、培地を、5質量%FBS添加DMEM培地にて各試料濃度に調製したサンプル培養液に交換し、更に5日間培養した。
【0057】
培養上清中に分泌されたIV型コラーゲンの量は、サンドイッチELISA法を用いて測定した。まず、培養上清中のIV型コラーゲンをIV型コラーゲンに対するモノクローナル抗体(認識部位:α2鎖)と反応させた後、ビオチン化ポリクローナル抗体と反応させた。
【0058】
次に、アビジン化ホースラディッシュペルオキシダーゼを添加し、ビオチン化ポリクローナル抗体のビオチン部と結合させた。ペルオキシダーゼの基質となる3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジンを添加し発色させ、マイクロプレートリーダーで650nmの吸光度を測定した。
【0059】
PIERCE社製BCA Protein Reagent Assay kitにて各ウェルのタンパク量を測定し、単位タンパク量当りのIV型コラーゲン産生量によってIV型コラーゲン産生促進作用を評価した。なお、コントロールとして5質量%FBS添加DMEM培地を用いた。
【0060】
IV型コラーゲン産生促進作用は、コントロールにおける単位タンパク量当りのIV型コラーゲン産生量を100としたときの相対値として評価した。表4は、その評価結果を示すものである。
【0061】
【表4】

【0062】
表4に示したように、サンプル培養液においては、試料濃度依存的にIV型コラーゲン産生促進作用が認められた。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、IV型コラーゲン産生促進作用を有することが明らかとなった。
【0063】
[実施例5] コラゲナーゼ活性阻害作用の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの樹皮の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。トリス塩酸緩衝液に試料を添加し、各濃度のサンプル溶液を調製した。サンプル溶液に、I型コラゲナーゼ標品と、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で標識したI型コラーゲン0.25mg/mLを添加し、37℃にて2時間インキュベートした。これに酵素反応停止液を添加し、37℃にて30分間インキュベートした。エタノール沈殿法により、分解されたコラーゲンを含む上清を得た。蛍光分光光度計を用いて上清の蛍光強度(励起波長495nm、蛍光波長520nm)を測定した。
【0064】
試料無添加のトリス塩酸緩衝液を用いた場合の蛍光強度をコントロール蛍光強度とし、サンプル溶液を用いた場合の蛍光強度をサンプル蛍光強度としたとき、下式によって求めた値をコラゲナーゼ活性阻害率とした。コラゲナーゼ活性阻害率によってコラゲナーゼ活性阻害作用を評価した。表5は、その評価結果を示すものである。
{(コントロール蛍光強度−サンプル蛍光強度)/コントロール蛍光強度}×100(%)
【0065】
【表5】

【0066】
表5に示したように、コラゲナーゼ活性阻害率は、試料濃度に依存して増加した。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、コラゲナーゼ活性阻害作用を有することが明らかとなった。
【0067】
[実施例6] メラニン産生抑制作用の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの葉の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。B16マウスメラノーマ(B16F0)細胞を90mmディッシュに1ディッシュ当たり18000個となるように播種した。播種培地には、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に5質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間培養後、培地を、5質量%FBS添加DMEM培地にて各試料濃度に調製したサンプル培養液に交換し、更に5日間培養した。
【0068】
なお、サンプル培養液の代わりに、試料無添加の5質量%FBS添加DEME培地を用いたものをネガティブコントロールとし、乳酸ナトリウムを50mMの濃度で含有する5質量%FBS添加DMEM培地を用いたものをポジディブコントロールとした。
【0069】
培養終了後、トリプシン処理にて細胞を回収し、1.5mLマイクロチューブに移して遠心操作して細胞沈殿物を得た。得られた沈殿物の黒化状況を肉眼にて目視判定した。表6は、目視判定の基準を示すものである。ネガディブコントロールを判定5、ポジディブコントロールを判定1とし、目視判定の基準とした。
【0070】
また、上記得られた沈殿物に組織溶解剤(商品名:Solvable)を添加して煮沸した後、室温まで冷却し、分光光度計(HITACHI製分光光度計U−3010)により500nmの吸光度を測定した。上記判定及び500nm吸光度によって、メラニン産生抑制作用を評価した。表7は、その評価結果を示すものである。
【0071】
【表6】

【0072】
【表7】

【0073】
表7に示したように、試料を10μg/mL添加したサンプル培養液を用いた場合には、ポジティブコントロールと比べて僅かな黒化しか認められなかった。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、メラニン産生抑制作用及びそれに基づく美白作用を有することが明らかとなった。
【0074】
[実施例7] DPPHラジカル消去作用の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの葉の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。50容量%エタノールにて各試料濃度に調製したサンプル溶液を、96ウェルマイクロプレートに100μLずつ添加した。更にそこへ、0.2mMの1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)エタノール溶液を100μLずつ添加した。
【0075】
十分に混合後、室温にて暗所に24時間静置した後、DPPHラジカルに由来する516nmの吸光度を測定した。サンプル溶液の代わりに50容量%エタノールのみを添加した場合の吸光度を(A)、サンプル溶液を添加した場合の吸光度を(B)としたとき、下式によって求めた値をDPPHラジカル消去率とした。DPPHラジカル消去率によってDPPHラジカル消去作用を評価した。表8は、その評価結果を示すものである。
{1−(B)/(A)}×100(%)
【0076】
【表8】

【0077】
表8より、ドゥアバンガの抽出物はDPPHラジカル消去作用に基づく抗酸化作用を有することが明らかとなった。
【0078】
[実施例8] SOD様活性作用の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの葉の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。0.25mMのWST−1と1mMのHypoxanthineを含むHANK’S(十)溶液75μLに、HANK’S(十)溶液にて各試料濃度に調製したサンプル溶液25μLを添加した。更に、Xanthine Oxidase25μL(0.0075Units)を添加し、37℃にて15分間反応させた後、450nmの吸光度を測定した。
【0079】
サンプル溶液の代わりにHANK’S(十)溶液のみを添加した場合の吸光度を(A)、サンプル溶液を添加した場合の吸光度を(B)としたとき、下式によって求めた値をスーパーオキサイドアニオン消去率とした。スーパーオキサイドアニオン消去率によってSOD様活性作用を評価した。表9は、その評価結果を示すものである。
{1−(B)/(A)}×100(%)
【0080】
【表9】

【0081】
表9に示したように、スーパーオキサイドアニオン消去率は、試料濃度に依存して増加した。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、SOD様活性作用に基づく抗酸化作用を有することが明らかとなった。
[実施例9] 過酸化脂質耐性の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの花の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。ヒト表皮細胞株HaCaTを96ウェルプレートに1ウェル当り2.0×10個となるように播種した。播種培地には、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に10質量%のウシ胎児血清(FBS)を添加したものを用いた。24時間培養後、培地を、10質量%FBS添加DMEM培地にて各試料濃度に調製したサンプル培養液に交換した。
【0082】
更に24時間培養後、培養液を、任意濃度のt−ブチルヒドロペルオキシドを含むHanks(+)溶液に交換した。2時間培養後、溶液を、150μg/mLのニュートラルレッドを含むPBS(−)に交換し、37℃にて2時間培養した。PBS(−)を、1容量%の酢酸を含む50容量%エタノール水溶液に交換し、細胞内に取り込まれたニュートラルレッドを抽出した。抽出液の540nmの吸光度を測定し、細胞生存率を求めることによって過酸化脂質耐性を評価した。なお、コントロールとして、10%FBS添加DMEM培地にて、試料及びt−ブチルヒドロペルオキシド無添加で培養したものを用いた。過酸化資質耐性は、ネガティブコントロールの細胞生存率を100としたときの相対値として評価した。表10は、その評価結果を示すものである。
【0083】
【表10】

【0084】
表10に示したように、細胞生存率は、試料濃度に依存して増加した。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、過酸化脂質耐性及びそれに基づく抗酸化作用を有することが明らかとなった。
【0085】
[実施例10] ヒアルロニダーゼ活性阻害作用の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの葉の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。市販のヒアルロン酸カリウム塩(ヒト臍の緒由来)を0.9mg/mLになるように、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、基質溶液とした。市販のヒアルロニダーゼ(ウシ精巣由来)を5,300unit/mLとなるように、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、酵素溶液とした。なお、酵素溶液は用時調製とした。
【0086】
試験管に、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)にて各試料濃度に調製したサンプル溶液0.1mLと酵素溶液0.03mLを入れ、37℃にて20分間反応させた。次に活性化剤を0.06mL加え、37℃にて20分間反応させた。更に基質溶液を0.15mL加え、37℃にて1時間反応させた。0.4N NaOH 0.06mLを加え反応を停止させた後すぐに氷冷し、ホウ酵緩衝液(pH9.1)を0.06mL添加し、3分間煮沸した後更に氷冷した。
【0087】
p−DABA溶液(エールリッヒ試薬)を2.0mL添加し、37℃にて20分間反応させた後、各試験管から96ウェルマイクロプレートに移しかえ、マイクロプレートリーダーを用いて585nmにおける吸光度を測定した。ヒアルロニダーゼの活性が阻害されると、ヒアルロン酸の分解産物であるN−Acetylglucosamin(GlcNAc)が減少し、Morgan−Elson反応による吸光度が低くなる。
【0088】
試料無添加の0.1Mリン酸緩衝液を用いた場合の吸光度をコントロール吸光度、サンプル溶液を用いた場合の吸光度をサンプル吸光度としたとき、下式によって求めた値をヒアルロニダーゼ活性阻害率とした。ヒアルロニダーゼ活性阻害率によってヒアルロニダーゼ活性阻害作用を評価した。表11は、その評価結果を示すものである。
{(コントロール吸光度−サンプル吸光度)/コントロール吸光度}×100(%)
【0089】
【表11】

【0090】
表11に示したように、ヒアルロニダーゼ活性阻害率は、試料濃度に依存して増加した。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用及びそれに基づく抗炎症作用を有することが明らかとなった。
[実施例11] ホスホリパーゼA2活性阻害作用の評価実験
この評価実験には、製造例1に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの花の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。各濃度の試料と20ng/mLのホスホリパーゼA2(PLA2)と3.3mMのDTNB(5,5−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)を含む溶液を調製し、室温にて10分間静置した。そこへ、PLA2の基質であるDiheptanoyl Thio−PC(1,2−ビス(ヘプタノイルチオ)グリセロホスホコリン)を1.66mMとなるように添加し、室温にて45分間反応させた。
【0091】
この反応で、PLA2が基質を分解することによって生じるチオールは、DTNBを還元して5−メルカプト−2−ニトロ安息香酸を生じる。そこで、5−メルカプト−2−ニトロ安息香酸の吸収極大波長である414nmにおける吸光度を測定した。また、PLA2の代わりにバッファーを添加した場合の吸光度を測定し、両測定値の差を求めた。試料無添加時の値を(A)、試料添加時の値を(B)としたとき、下式によって求めた値をPLA2活性阻害率とした。PLA2活性阻害率によって、PLA2活性阻害作用を評価した。表12には、その評価結果を示すものである。
【0092】
【表12】

【0093】
表12に示したように、PLA2活性阻害率は、試料濃度に依存して増加した。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、PLA2活性阻害作用及びそれに基づく抗炎症作用を有することが明らかとなった。
[実施例12] 脂肪蓄積抑制作用の評価実験
この評価実験には、製造例2に記載の製造方法によって得られたドゥアバンガの葉の抽出物を試料として用いた。評価は、以下の手順で行った。皮下脂肪由来正常ヒト前駆脂肪細胞Cryo HPRAD−SQ(三光純薬株式会社)を96ウェルプレートに1ウェル当り5.0×10個となるように播種した。播種培地には、10質量%のFBS、2mMのL−グルタミン、100units/mLのペニシリン、及び100μg/mLのストレプトマイシンを含むPGM培地を用いた。2日間培養後、培地交換を行った。新たな培地には、10μGのインシュリン、1μMのデキサメタゾン、200μMのインドメタシン、及び500μMの3−イソブチル−1−メチルキサンチンを含むPGM−分化用培地に各濃度の試料を添加したものを用いた。コントロールには、試料無添加のPGM−分化用培地を用いた。
【0094】
この培地にて前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化誘導を開始し、コントロールの細胞が成熟して細胞内に多数の脂肪滴が蓄積されるまで、10日〜14日間培養した。細胞を回収し、10容量%中性緩衝ホルムアルデヒド液を用いて細胞を固定し、PBS(−)にて洗浄した。細胞に0.5質量対容量%のオイルレッドO溶液を添加して、37℃にて2時間培養し、脂肪を染色した。細胞をPBS(−)にて洗浄した後、メタノールによって色素を抽出した。
【0095】
抽出液について、マイクロプレートリーダーで550nmにおける吸光度を測定した。同時に濁度として650nmの吸光度を測定し、両測定値の差を用いて中性脂肪細胞蓄積量を求めた。試料添加培地における中性脂肪細胞蓄積量は、コントロールにおける中性脂肪細胞蓄積量を100とした相対値として評価した。表13は、その評価結果を示すものである。
【0096】
【表13】

【0097】
表13に示したように、脂肪細胞蓄積量は、試料濃度が高くなるほど減少した。このことから、ドゥアバンガの抽出物は、脂肪細胞蓄積抑制作用を有することが明らかとなった。
【0098】
続いて、本発明に係るドゥアバンガの抽出物を配合した皮膚外用剤(細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤、脂肪蓄積抑制剤等として適用できる皮膚外用剤)及び飲料の処方例を示す。なお、以下、特に明記しない限り、それぞれの成分の配合量は質量%を意味する。
【0099】
[処方例1]化粧水
【表14】

【0100】
製法:(1)に(2)〜(5)を溶解したアルコール相を、(6)〜(9)を均一に混合、溶解した水相に添加して、均一に混合することにより調製する。
【0101】
[処方例2]O/W乳化型クリーム
【表15】

【0102】
製法:(1)〜(14)の油相成分及び(15)〜(18)の水相成分をそれぞれ80℃に加熱し、混合均一化した後、水相に油相を添加する。(19)を加えてホモミキサーにて乳化する。撹拌しながら冷却し、40℃で予め混合、溶解した(20)、(21)を添加し、撹拌、均一化する。
【0103】
[処方例3]美容液
【表16】

【0104】
製法:(1)〜(5)及び(6)〜(9)の成分をそれぞれ70℃に加熱し混合、溶解した後、両成分を混合してホモミキサーで乳化する。撹拌しながら冷却し、40℃で(10)の成分を添加し、混合、均一化する。
【0105】
[処方例4]化粧水
【表17】

【0106】
製法:(1)の成分に予め混合しておいた成分(2)と(3)を加え、(4)〜(10)の成分を順次添加して、混合、溶解、均一化する。
【0107】
[処方例5]クレンジングクリーム
【表18】

【0108】
製法:(1)〜(8)の油相成分を混合、加熱溶解して70℃とする。一方(9)〜(12)の水相成分を混合、溶解して70℃に加熱する。この水相成分に前記油相成分を徐々に添加した後、(13)を添加しホモミキサーにて均一に乳化する。乳化後、40℃まで冷却した後、(14)を添加し混合する。
[処方例6]W/O乳化型クリーム
【表19】

【0109】
製法:(1)〜(5)を混合した油相に、(6)〜(9)の水相を攪拌しながら徐々に添加しホモミキサーにて乳化する。乳化後、(10)を添加し混合する。
[処方例7]クレンジングジェル
【表20】

【0110】
製法:(3)、(7)を(11)に添加し均質とした後、(1)及び(2)に(4)〜(6)を溶解させて加え、70℃に加熱して均一に溶解させる。次いで冷却して40℃にて(9)、(10)を添加し、最後に(8)を加えて中和する。
【0111】
[処方例8]ヘアリンス
【表21】

【0112】
製法:(9)に(5)、(7)を加え、70℃に加熱する。一方(1)〜(4)を混合、溶解し、70℃に加熱する。この油相を攪拌しながら先に調製した水相に徐々に加えて予備乳化し、ホモミキサーを加えて均一とした後冷却し、40℃にて(6)、(8)を添加する。
【0113】
[処方例9]ヘアトリートメント
【表22】

【0114】
製法:(1)〜(8)の油相成分を混合、加熱して80℃とする。一方、(9)〜(11)の水相成分を混合、加熱して85℃とし、これに前記油相を添加して乳化し、冷却後40℃にて(12)を添加する。
【0115】
[処方例10]ヘアフォーム
【表23】

【0116】
製法:(1)〜(11)を混合し、75℃まで加熱溶解した後、ホモミキサーにて均質に混合する。その後冷却を行い、40℃で(12)を添加し、混合する。
【表24】

【0117】
製法:缶に(a)を充填し、バルブ装着後(b)を充填する。
【0118】
[処方例11]ヘアワックス
【表25】

【0119】
製法:(1)〜(10)を混合溶解して油相とする。一方、(11)〜(15)を(16)に添加し、溶解して水相とする。次いで、75℃にて水相に油相を添加し、ホモミキサーにて均一に乳化する。その後冷却を行い、40℃で(17)を添加し混合する。
【0120】
[処方例12]ヘアジェル
【表26】

【0121】
製法:(1)に(2)及び(3)を溶解する。次いで(4)〜(9)を順次添加し均一化した後、(10)を添加して中和する。
【0122】
[処方例13]トニック
【表27】

【0123】
製法:(1)〜(6)のアルコール相を混合し、均一化しておく。50℃で溶解した成分(7)にアルコール相を加え、予め均一化しておいた成分(8)と(9)を加えて混合した後、ろ過する。
【0124】
[処方例14]洗顔料
【表28】

【0125】
製法:(1)〜(6)の油相及び(7)〜(10)の水相をそれぞれ75℃に混合加熱溶解した後、油相に水相を加えてケン化する。冷却後40℃で(11)を添加して混合する。
【0126】
[処方例15]ボディシャンプー
【表29】

【0127】
製法:(1)〜(3)の油相及び(4)〜(7)の水相をそれぞれ75℃に混合加熱溶解した後、油相に水相を加えてケン化する。冷却後40℃で(8)を添加して混合する。
[処方例16]メイクアップベース
【表30】

【0128】
製法:(12)〜(14)を(6)で混練し、これを(7)〜(9)の水相に添加、混合し、70℃に加熱する。一方、(1)〜(5)の油相成分を混合、加熱して70℃とする。(10)を加えた水相に油相を攪拌しながら添加して乳化する。40℃まで冷却した後、(11)を添加する。
【0129】
[処方例17]O/W乳化型ファンデーション
【表31】

【0130】
製法:(11)〜(15)を(7)で混練し、これを(6)〜(9)の水相に添加、混合し、70℃に加熱する。一方、(1)〜(5)の油相成分を混合、加熱して70℃とする。(10)を加えた水相に油相を攪拌しながら添加して乳化する。40℃まで冷却した後、(16)を添加する。
【0131】
[処方例18]W/O乳化型ファンデーション
【表32】

【0132】
製法:(8)〜(11)の油相成分を均一に混合し、(1)〜(7)を添加してホモミキサーで分散させ油相分散液を調製する。加熱溶解した(12)〜(14)を油相分散液に添加し乳化する。最後に(15)を添加して均一に混合する。
【0133】
[処方例19]ツーウェイファンデーション
【表33】

【0134】
製法:(1)〜(9)の粉体相をハンマーミルで粉砕した後、ブレンダーで混合し均一化する。(10)〜(15)の油相を80℃で溶解し均一化した後、粉体相に添加して混練する。その後、ハンマーミルで粉砕し、篩過したバルクを金皿に圧縮成型する。
【0135】
以上に示したとおり、本発明によれば、優れた効果を有する細胞賦活剤、コラーゲン産生促進剤、コラゲナーゼ活性阻害剤、メラニン産生抑制剤、抗酸化剤、抗炎症剤及び脂肪蓄積抑制剤を提供することができる。また、ドゥアバンガの抽出物を皮膚外用剤に配合することにより、シワ、タルミ、肌のハリ、シミ、クスミといった皮膚老化症状の防止・改善に優れた効果を発揮する老化防止改善用皮膚外用剤やメラニン産生抑制に優れた効果を発揮する美白用皮膚外用剤や抗炎症性に優れた効果を発揮する抗炎症用皮膚外用剤を提供することができる。更に、ドゥアバンガの抽出物を食品、飲料及び医薬品に配合することにより、美容、健康維持や栄養補給に優れた効果を発揮する食品、飲料及び医薬品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とする細胞賦活剤。
【請求項2】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とするコラーゲン産生促進剤。
【請求項3】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とするコラゲナーゼ活性阻害剤。
【請求項4】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とするメラニン産生抑制剤。
【請求項5】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤。
【請求項6】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とする抗炎症剤。
【請求項7】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とする脂肪蓄積抑制剤。
【請求項8】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項9】
ドゥアバンガ(Duabanga grandiflora)の抽出物を含有することを特徴とする食品。

【公開番号】特開2008−74728(P2008−74728A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253378(P2006−253378)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】