説明

繊維強化Al−Li圧縮機翼形部及び製造方法

【課題】軽量化することができて、それでも充分な耐久性と強度を有することができる複合軽量物品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】金属マトリックス複合軽量圧縮機翼形部は軽量のアルミニウム−リチウム合金中に埋め込まれた繊維編物を含む。翼形部は、フィラメント又は繊維をねじることで複数の繊維束を形成することによって製造される。次いで、束を繊維生地に編む。次に、翼形部は、2つの別個の方法の1つによりMMCとして形成され得る。第1の方法では、アルミニウム−リチウム合金を、逃散性ポリマーを含浸させた繊維生地のプリフォームを含むダイ中に圧力増強鋳造する。第2の方法では、プリフォームは、金型及びマンドレルを用いて繊維生地にアルミニウム−リチウム合金を含浸させることによって形成される。その後、アルミニウム−リチウム合金を、合金を含浸したプリフォームを含むダイ中に圧力増強鋳造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に金属マトリックス複合物品に関し、より具体的にはアルミニウムリチウム金属マトリックス中に繊維編物束を利用する圧縮機翼形部に関する。
【背景技術】
【0002】
製造技術及び材料の改良は、多くの物品の性能の増大及びコストの低減にとって重要である。一例として、プロセス及び材料に関する継続した、そしてしばしば相互に関係する改良の結果、ガスタービンエンジンの性能が大幅に向上した。ガスタービンエンジンは、軸流圧縮機により空気を吸い込んで圧縮し、その圧縮された空気を燃料と混合し、その混合物を燃焼し、その燃焼生成物を軸流タービンに通して吐き出し、こうして圧縮機に動力を供給する。圧縮機は、周辺から突き出た動翼(ブレード)を有するディスクを含んでいる。このディスクはローターの一部として急速に回転し、湾曲した動翼はある程度電気ファンと同様にして空気を吸い込み圧縮する。
【0003】
ガスタービンを高速で回転させるにはエネルギーが要るので、ガスタービンの重量を低減するあらゆる努力はガスタービンの効率を改良することになる。より重要なことに、回転部品の重量の低減はその部品の応力を低減し、ガスタービンの信頼性を高める。重量を低減することができる部分の1つは圧縮機である。圧縮機動翼と圧縮機静翼の両方を含む圧縮機翼形部のような圧縮機部品は、比較的に重い鋼及び鉄基合金部品から作成される。中空の翼形部を製造することによってこれらの鋼及び鉄基合金部品の重量を低減する努力がなされて来ている。しかし、これらの翼形部にはまだ軽量化の余地がある。
【0004】
圧縮機翼形部部品の重量の低減のための他の試みには金属マトリックス複合部材(MMC)及びポリマー複合動翼がある。米国特許第5375978号に記載されているファン動翼のような繊維複合動翼が利用されており、これは米国特許第5785498号に記載されているような金属保護ストリップを含むように改変され、これはまたファン動翼に対する浸食保護を提供するのに役立ち、異物による衝撃の場合に層間剥離を防止して異物損傷(FOD)を最小にする助けとなる。これらの特許はいずれも本願出願人に譲渡されている。かかる動翼は重量が軽いが製造するのが非常に高価で、スクラップ発生率が高い。その上、これらの動翼は、ファンが圧縮機動翼よりずっと遅い速度で回転するファン用途に使用するのに適している。すなわち、圧縮機動翼はファン動翼よりずっと高い応力を受け易い。
【0005】
MMCを用いる圧縮機動翼は、伝統的なやり方で積層されチタンシースで覆われた又は他の材料で被覆された繊維生地を用いて製造されている。これらの動翼も、製造が高価であり、陸用ガスタービン作動に必要とされる強度を欠くことが立証されている。その他の試みには、外面が金属マトリックス複合材料で強化された金属スパー(桁)があり、この場合環境に曝露される表面は金属である。これらのMMC動翼はより大きい強度を有することが立証されているが、軽量化は繊維強化コアを有する動翼ほど大きくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5785498号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
必要とされているのは、軽量化することができて、それでも陸用タービン作動用に充分な耐久性と強度を有することができる圧縮機翼形部である。重量が軽いことに加えて、翼形部は、理想的には、共鳴周波数制御のために調整も可能であるべきである。翼形部は高い歩留まりでの生産が容易で安価であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複合軽量物品は、軽量金属中に埋め込まれた表面近傍の繊維編物を含む。この物品は翼形部であり得る。この繊維編物は、複数の撚り繊維束を編み込んで、複数の繊維束の各々が物品の主方向に対して所定の角度で延びるようにある方向に配向させたものからなる。この主方向はいかなる方向でもよいが、通常は最大応力がかかる方向である。主方向は最大応力がかかる方向で第1の端部から第2の端部に向かって延在し、複数の繊維束はこの主方向に対してある角度で延在する。物品はさらにアルミニウムリチウム合金のコアを含む。このアルミニウム−リチウム合金は繊維編物及び複数の撚り繊維束の隙間に浸透してアルミニウムリチウム合金の外面を形成する。このアルミニウム−リチウム合金はコアから、繊維生地及び複数の撚り繊維束の隙間を通って外面まで実質的に連続である。
【0009】
本発明の他の特徴及び利点は、一例として本発明の原理を示す添付の図面と関連した好ましい実施形態に関する以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の圧縮機動翼の透視図である。
【図2】図2は、本発明の圧縮機動翼の断面図である。
【図3】図3は、動翼の軸に対してある角度で製織した本発明の繊維生地の構造を示し、実質的に動翼の半径方向で軸に対して実質的に平行に設けられたスタッファー束を含んでいる。
【図4】図4は、概ねソックス様の形状に形成された図3の製織繊維生地の透視図である。
【図5】図5は、ソックス様の形状が翼形部の外形を有するように製織繊維に逃散性ポリマーバインダーを含浸した後の繊維編物プリフォームを示す。
【図6】図6は、ポリマースラリー中に浸漬して翼形部の外形を形成するためのマンドレル上に配置された繊維編物プリフォームを示す。
【図7】図7は、加圧下で精密金型を利用して本発明の金属マトリックス複合動翼を作成する方法を示す。
【図8】図8は、圧力増強鋳造により本発明の金属マトリックス複合動翼を作成するための装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書には、軽量金属中に埋め込まれた繊維編物を含む金属マトリックス複合軽量圧縮機翼形部が記載されている。翼形部は動翼でも静翼でもよいが、翼形部は圧縮機動翼であるのが好ましい。それは、ガスタービンエンジン内でエンジンと共に回転するディスクに取り付けられた圧縮機動翼はより高いレベルの応力を受けるのに対して、圧縮機静翼は所定の位置に固定されており、翼形部動翼により移動させられる空気を燃焼器の方に向け直すが、かかる高いレベルの応力を受けないからである。にもかかわらず、静翼はエンジンの重量を低減しつつ許容できる強度を提供することができ、そのため効率がさらに改良されるので、本発明の金属マトリックス複合材は静翼としても使用し得る。繊維編物は、特に回転する圧縮機動翼により高い応力がかかる半径方向において金属マトリックス複合翼形部に追加の強度を付与するように製造される。
【0012】
本開示を通して使用する用語に関する幾つかの定義について記載する。本明細書で使用する場合、不可避不純物とは、合金の性質及び特性に影響を及ぼさないような量で合金中に存在する追加の様々な元素を意味する。束(トウ)は、明白な撚りをもたないである形態に配列された一束の連続フィラメントである。撚りとは、フィラメントの単位長さ当たりのある軸の回りの螺旋のターンをいう。撚りは、1インチ当たりのターン数で表わされる。フィラメントは単一の連続繊維であり、繊維状物質の最小又は基本単位である。繊維という用語はフィラメントと同義語として用いられる。繊維生地は、繊維、フィラメント、モノフィラメント又は束の編物から作成された材料である。酸化物セラミック繊維には、シリカ−アルミナ及びアルミナ繊維が含まれる。非酸化物セラミック繊維には炭化ケイ素繊維が含まれる。炭素繊維は炭素の秩序化された平面状構造に基づいている。アラミド繊維は結晶性ポリマー繊維である。酸化物ガラス繊維は酸化物の混合物から誘導され、シリカ、又は石英繊維は単一の酸化物に由来する。ヤーンは連続長さを形成する撚り束の集合である。繊維編物又は繊維生地は、ヤーン、束及び/又はフィラメントを絡み合わせて繊維生地パターンを形成することによって形成された材料である。動翼の半径方向の長さは、動翼はディスクから突き出ているので、動翼先端からダブテールまでである。翼長(スパン)は、ダブテールを含まない翼形部又は動翼の翼形部分である。動翼の軸は、半径方向で翼長の中心を通って動翼先端から動翼ダブテールまで延在する線である。ねじれ角度は、動翼又は翼形部の半径方向の軸の周りのねじれの量である。翼弦幅は動翼の幅である。翼形部表面は、前縁上のある点から後縁までの最短距離である翼弦からオフセットされた表面である。
【0013】
圧縮機動翼はそのディスクから遠位端に位置する先端(チップ)を有する。動翼は、負圧面と正圧面を有する翼形部セクションを有する。正圧面は動翼翼形部セクションの負圧面より高い応力を受ける。動翼はその先端と反対側の端部でディスクに取り付けられている。通例はダブテールを用いてディスクに取り付けられるが、動翼をディスクに取り付けるための他の配置を使用し得る。製織繊維生地は複数の撚り繊維束から形成されたヤーンからなる。繊維束は編まれ、ある方向に配向されている。動翼は、ローターの一部であるディスクから半径方向外方に延在している。動翼の軸は、動翼の翼長に沿って、ディスク、通常は動翼ダブテールへの動翼取付部から、一般に半径方向といわれる方向で動翼先端まで延在している。静翼はエンジン内で動翼と同様な配向を有しており、圧縮機内で気流及び同様に配向された軸の方向に対して実質的に垂直に延在している。動翼とは異なり、静翼は実質的に静止しているが、状況によって静翼は圧縮機を介して空気の流れをより効率的に導くためにその軸の回りで限定された回転をする能力を有することがある。
【0014】
この繊維束は、繊維束を編むことにより繊維編物に形成される。この繊維生地は繊維編物束と複数の撚り繊維束内に存在し得る空間との間に隙間を有する。繊維生地は、繊維生地を形成する繊維編物束がコアの軸に対してある角度で延在し、翼形部の1つの端部から他の端部まで半径方向に延在するように、翼形部内に配置される。動翼の場合、ヤーン内の編んだ束は先端から少なくとも部分的に動翼のダブテール中に延在する。アルミニウムリチウム合金のような軽量金属合金は、翼形部のコアを形成し、繊維生地内の隙間を充填する。理想的には、金属合金は翼形部の最も外側の表面を形成し、その結果軽量金属合金が翼形部断面に沿って翼形部コアからその外面まで翼形部の半径方向に沿って連続マトリックスとなる。
【0015】
翼形部を製造するには、フィラメント又は繊維をねじることによって複数の繊維束を形成する。次いでこれらの束を繊維生地に編む。繊維生地は、束間に隙間を含むように束又はヤーンから編む。この繊維生地は、繊維生地の隙間を一時的に占めて一時的に占めて予め形成された繊維編物の取扱いを容易にするがその後除去される任意の逃散性ポリマーを含浸させてもよい。その後、翼形部は2つの別個の方法の1つにより金属マトリックス複合材(MMC)として形成し得る。
【0016】
第1の方法では、編んだ束に基づくプリフォームを編み、乾燥(未硬化)状態に放置する。この乾燥プリフォームをマンドレルの上に載せる。次に、アルミニウムリチウムフォイルを乾燥プリフォームとマンドレルとの間に置き、追加のアルミニウムリチウムフォイルを乾燥された編んだプリフォームの上に載せて、フォイル、乾燥プリフォーム及びフォイルからなるサンドイッチを形成する。この集合体を次に、翼形部輪郭を有する精密機械加工された雌金型(金型)中に挿入し、その後加熱プレスして繊維強化金属マトリックスプリフォームを創成する。
【0017】
加熱プレスプロセスは、真空中又は非酸化性雰囲気中で行う。これは炉内で行い得る。炉内で実施する場合、加熱する前に、真空に引くか又は非酸化性雰囲気を炉内に導入して、乾燥プリフォームを含有する金型をパージする。加熱プレスプロセス中、保護性の雰囲気及びその他の流出ガスは真空ポンプにより引き出し得る。非酸化性の雰囲気を使用することは、繊維/フィラメント、金属合金又は両者の酸化を防止するために特に有益である。金属合金と繊維編物を含むプリフォームを金属合金の融点を超える所定の温度に加熱しつつ、金型に圧力をかける。溶融Al−Li合金が繊維生地の隙間に、繊維生地を通って、かつ金型の面に接して侵入する結果、Al−Li合金と炭素繊維編物が金型の外面の輪郭を有する金属マトリックスプリフォームを形成する。この金型は翼形部の形状を有する。冷却後、翼形部を含有する金型を炉から取り出すことができる。金型は正味の形状に近い(ニアネットシェイプ)ので、存在し得るあらゆるフラッシュを除去するといったような少しの作業がプリフォームに対して必要とされるだけである。この金属マトリックスプリフォームはそのままダイ鋳造プロセスにかけて一体の翼形部取付部を有する一体のコアを製造する。ダイ鋳造プロセスには以下に記載する圧力増強ダイ鋳造が含まれる。
【0018】
炭素繊維プリフォームを製造する第2の方法では、編んだ束に基づくプリフォームをマンドレルの上に載せ、翼形部の形状の精密金型中に入れる。逃散性ポリマーバインダーを繊維編物中に含浸させて炭素繊維編物を堅くし得る。含浸した繊維を周囲温度又はその付近の温度で硬化させる。繊維編物プリフォームを金型の面に接して載せ、束が翼形部又は動翼の軸とある角度を形成するように配向する。これらの束は、翼形部セクションに沿って、翼形部の第1の端部(翼形部が動翼である場合はその先端)から、翼形部の第2の端部(翼形部が動翼である場合はダブテール)に向かって、かつ少なくとも部分的にその中に延在する。繊維編物が金型に接しているうちに逃散性ポリマーバインダーを適用する。硬化した後、このプリフォームはほんの少しのトリミングを必要とするだけでダイ鋳造プロセスにかけられる。
【0019】
ダイ鋳造プロセスは、真空炉と類似の保護されたエンクロージャ内で実施する。加熱する前に、非酸化性の雰囲気を炉内に導入してプリフォームを有するダイをパージする。鋳造プロセス中、保護性の雰囲気及びその他の流出ガスは真空ポンプによってエンクロージャから引き出す。酸化性の雰囲気を使用すると、繊維/フィラメント、金属合金又は両者の酸化を防止するのに特に有益である。アルミニウム−リチウム合金を合金の融点を超える所定の温度に加熱する。次に、溶融金属を、ピストンを用いて所定の速度と圧力でダイ中に圧力増強鋳造する。溶融金属をダイ中に押し込むのに充分であるが、プリフォームがその位置を変える程高くはない第1の圧力で金属を注入する。ダイが溶融金属で実質的に満たされた後、第1の圧力より高い第2の圧力をダイ中の溶融金属にかける。このより高い圧力により、溶融金属は確実にプリフォームの隙間中に、またそこを通って流れ、金属がプリフォームとダイ表面との間を流れることが可能になる。同時に、繊維生地とプリフォームの取扱いを改良するために任意の逃散性ポリマーバインダーを使用した場合、それはダイのスプルーまたはライザー中に流れ込む。バインダーはその後の加工処理中にそこから除去することができる。ダイの冷却後、ニアネットシェイプの翼形部を非酸化性の雰囲気から取り出し得る。ダイはニアネットシェイプであるので、この翼形部にはほんの少しの作業が必要なだけである。しかし、スプルー又はライザー材料は圧力増強鋳造プロセスの結果として存在し得るあらゆるフラッシュ(鋳ばり)と共に除去しなければならない。
【0020】
図1に、本発明の一体化されたハイブリッド動翼10を示す。動翼10は動翼先端12、動翼10を圧縮機ディスク(図示せず)に取り付ける動翼ダブテール14、及び実質的に半径方向に延在する動翼軸16を有する。
【0021】
図2は、動翼の金属合金コア20と金属合金外面24との間に位置する表面近傍の繊維編物22を示すハイブリッド動翼の断面側面図である。動翼10のコア20と外面24を形成する金属合金はコアから外面まで実質的に連続で、繊維生地内の隙間を通って延在している。この表面近傍の繊維編物は、動翼の全体の重量を低減する軽量合金である合金に追加の強度を付与する。繊維編物は、高い応力のところで軽量合金に強度を付加するように配置されている。回転する圧縮機動翼において、高い応力の領域は動翼の設計に基づいて変化するが、一般に動翼10の正圧面に見られ、動翼10がそのダブテール14により圧縮機ディスクに保持されるダブテール領域中に延在している。動翼10は回転の遠心力及び空気力学的負荷に起因する応力を受け、ダブテール14は圧縮機ディスクに接して相互作用することによりこれらの力に対抗する。合金はいかなる軽量合金であってもよいが、好ましい軽量合金は、約2.5〜3.5重量%のリチウム(Li)、約0.6〜2.5重量%の銅(Cu)、約0.3〜1.0重量%のマグネシウム(Mg)、約0.1〜0.5重量%のジルコニウム(Zr)、約0.08重量%以下の鉄(Fe)、約0.01重量%以下のケイ素(Si)、約0.03重量%以下のチタン(Ti)を含み、残部がアルミニウム(Al)及び不可避不純物であるアルミニウムリチウム合金である。このアルミニウムリチウム合金の密度は約0.100 lb/in3である。
【0022】
ここで、図3及び図4を参照すると、繊維編物30の構造が示されている。各々の束32は繊維束として並べられた1以上の繊維を含む。次いで、束32はねじられ一緒に製織して、製織して繊維編物束又は繊維編物30を形成する。繊維編物の編まれた束は翼形部又は動翼10の軸16に対してある角度で延在する。繊維編物30は、繊維編物の編んだ束が翼形部の軸と約±10°〜約±25°の角度を形成するときが動翼を強化するのに最も効果的であることが判明している。既に述べたように、軸16は動翼又は翼形部ダブテール14から動翼先端12まで半径方向に延在する。図4は、軸16に対してある角度で延在する繊維編物30の透視図である。この透視図は繊維編物30ソックス様の特性を示している。物質を欠く隙間の領域が繊維編物30内の繊維束間に存在する。繊維生地は炭素繊維、セラミック繊維、すなわち酸化物セラミック繊維又は非酸化物セラミック繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維及びこれらの組合せからなり得る。繊維は高強度高剛性でよいが、所望であれば束に損傷耐性を付与するために低強度の繊維と混合してもよい。同じサイズの繊維又はフィラメントを使用し得るが、束を形成するのに様々な直径の繊維も考えられ、また様々な直径の束を使用して繊維編物を形成してもよい。炭素繊維は好ましい繊維である。様々な強度及び様々なモジュラスの炭素繊維が容易に入手可能である。プリフォームに形成された繊維編物の密度は約0.58〜0.6lbs/in3である。
【0023】
翼形部に追加の強度が必要とされる場合、任意のスタッファー束34を製織繊維生地30に加えてもよい。これらのスタッファー束は図3及び図4の両方に示されている。スタッファー束34は、軸16の方向と実質的に平行な方向、すなわち実質的に翼形部10の半径方向に延在する。スタッファー束はまた、隙間の領域を貫通することによって繊維編物中に配置するか又は編み込んでもよいし、又はその他のやり方で製織繊維生地30の内部又は外部に取り付けてもよい。スタッファー束34は高い応力集中が予測される領域に加えられる。スタッファー束34は、応力の幾らかが、単に製織繊維生地と軽量合金からなる金属マトリックス複合材だけで支えられるのではなく、束内の繊維によって担持されるように設計される。スタッファー束34の数及びスタッファー束34の間隔は、例えば、積層理論及び有限要素解析を用いる局部設計条件に応じて変化する。スタッファー束は、これらが加えられる領域の負荷担持能力を改良する。既に述べたように、翼形部の正圧面はより高い応力を受ける。加えて、翼形部の前縁と後縁もまた高い応力を受け得る。スタッファー束の正確な配置は各動翼設計における応力条件の解析によって決定されるが、翼形部の正圧面並びに前縁及び後縁が動翼のスタッファー束34が配置される可能性が高い領域である。スタッファー束は繊維編物に加えられる場合繊維編物の約15体積%以下からなり得る。スタッファー束は炭素繊維、酸化物セラミック繊維、非酸化物セラミック繊維及びこれらの組合せからなり得る。例えば、約8〜10インチの幅を有する典型的な動翼の場合、スタッファー束は動翼の正圧面で約1インチ離れて配置され得、翼弦の約10%以下からなり得る。1つか2つのスタッファー束を動翼の負圧面に含ませ得る。スタッファー束は理想的には低モジュラス、例えば約24百万ポンド/平方インチ(Msi)で、高強度である。約24Msiのモジュラスを有する好ましいスタッファー束は約300000〜700000ポンド/平方インチ(300〜700ksi)の引張強さを有し得る。スタッファー束は高強度の炭素繊維束、セラミック繊維束又はモノフィラメントホウ素繊維束であり得る。代わりに、一体化された編物中に半径方向及び±角度方向に配向された束を組み込んだ三軸編物を使用し得、この三軸編物はスタッファー束又は軟質化ストリップ(下記)を含み得る。
【0024】
任意の軟質化ストリップをスタッファー束34に加えて、又はその代わりに使用し得る。軟質化ストリップもまた、軸16の方向と実質的に平行な方向、すなわち実質的に翼形部10の半径方向に配向される。軟質化ストリップは動翼に損傷耐性を付与する。軟質化ストリップはまた低いモジュラスと高い強度によっても特徴付けられるが、軟質化ストリップは一般にスタッファー束より低いモジュラスを有する。例えば、軟質化ストリップは約10〜15Msiのモジュラスを有し得る。軟質化ストリップは亀裂を停止させることにより亀裂伝播を防ぐのに役立つ。軟質化ストリップは高強度の炭素繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維及びこれらの組合せの束であり得る。軟質化ストリップは低い応力の領域に配置されるのが好ましい。軟質化ストリップはスタッファー束34、又は三軸編みの繊維生地中の半径方向の束と同じようにして繊維編物30に加えられ得る。軟質化ストリップは、例えば、翼形部に振動の問題が生じる応用で極めて有用であり、翼形部のチューニングが可能になる。軟質化ストリップは繊維編物の体積で約5%以下からなり得る。
【0025】
翼形部は有利なことにスタッファー束34と軟質化ストリップの両方を利用し得る。軟質化ストリップはスタッファー束に隣接する領域に配置され得る。スタッファー束34は応力が高い領域に配置されるので、これらの領域は、スタッファー束の破壊を引き起こす過大応力条件が生じ得、また局部亀裂も起こし得る条件になり得る。軟質化ストリップの有利な配置により、亀裂の伝播を妨害する亀裂停止能力が得られる。
【0026】
束及び繊維編物30のような繊維生地に編んだ束は取り扱うのが困難である可能性があり、動翼10又は翼形部の製造中正確に配置するのが困難であり得る。取扱いは、繊維編物30から、図5に示したようなプリフォーム40を製造することにより容易にすることができる。ここで、図6を参照して、ソックスの形態の繊維編物30をマンドレル42の上に嵌めるか又は伸ばす。マンドレル42は、繊維編物がこの上に嵌められるか又は伸ばされたときに圧縮機動翼のニアネットシェイプであるように形成されている。これに関連して、ニアネットシェイプとは、マンドレル42の上に配置される繊維編物30が完成した動翼又は翼形部10の外形より少し、例えば約0.005インチ〜約0.025インチだけ小さい外形を有していて、繊維編物が動翼10又は翼形部の外面24を形成しないようになっていることを意味する。繊維編物をマンドレル42上に配置した後ポリマースラリーに浸漬する。ポリマースラリーが繊維編物30の隙間を充填した後、マンドレル42をスラリーから取り出し、ポリマーを硬化させてプリフォーム40を形成する。ポリマーは、空気中又は低温で硬化するように選択する。硬化した後、次いで、マンドレル42は堅くなったプリフォームから取り外すことができる。この形態で、繊維生地は取り扱いが容易である。これで、プリフォーム40は動翼を形成するための基礎を提供し得る。
【0027】
或いは、繊維編物30をポリマースラリーに浸漬し、ポリマーを含浸させ、取り出し得る。この実施形態では、ポリマースラリーを乾燥させるが硬化させない。繊維編物は粘着性で柔軟なままであるので、より容易に取り扱うことができるが、堅くなっていない。ここで、繊維編物30を使用して圧縮機動翼を形成することができる。この粘着性のプリフォームは有利なことに次の加工処理中表面に粘着し得る。
【0028】
別の実施形態において、上記及び図6の実施形態と同様に、マンドレル42のようなマンドレルを精密金型60と併せて使用して、アルミニウム−リチウム合金で堅くしたプリフォームを形成する。ソックスの形態の繊維編物をマンドレルの上に嵌めるか又は伸ばす。しかし、ここで金属フォイルの薄い箔、好ましい実施形態ではアルミニウム−リチウム合金フォイルをマンドレルと繊維編物との間に配置する。これは、繊維編物をマンドレル上に嵌める前又は嵌めた後に行い得る。ここで図7を参照すると、精密雌金型60が提供される。金属フォイル、好ましくは好ましい実施形態におけるアルミニウム−リチウム合金フォイルを精密雌金型60内に入れ、繊維編物30とフォイルを含むマンドレル62を金型60中に入れる。雌金型60に挿入する際、繊維編物は金属フォイル、好ましくは好ましい実施形態におけるアルミニウム−リチウム合金フォイル間に挟まれる。ここで、金型を閉じ、非酸化性の雰囲気内に置くことができる。非酸化性の雰囲気は真空又はアルゴン、ヘリウム若しくはネオンのような不活性ガス、又は窒素雰囲気とし得る。金型は加熱しなければならないので、これは炉内で都合よく行うことができるが、金型は電気抵抗ヒーター、誘導コイル、石英灯又はその他任意の便利な加熱方法を用いて加熱することができるので他の任意の装置を用いることができる。非酸化性の雰囲気を維持したまま、金型に圧力をかけながら金型を高温に加熱する。この温度は、フォイルが流れ、フォイル−繊維生地−フォイルサンドイッチを強固にして、金属、好ましくは好ましい実施形態におけるアルミニウム−リチウム合金が繊維編物及びその束内の隙間中に侵入するのを可能にするのに充分に高い。好ましいアルミニウムリチウム合金の場合、この温度は約1200〜1300°F(649〜705℃)の範囲である。好ましくは、炉の温度を、金属合金の融点より約45〜90°F(25〜50℃)高い温度に上昇させて、完全な溶融と隙間中への溶融合金の流れを確保する。金型60を冷やし、金属/繊維生地プリフォームを形成する。次に、このプリフォームをマンドレル62から取り出すことができる。
【0029】
次に、軽量MMC圧縮機動翼を圧力増強鋳造により製造する。このプロセスを図8に示す。このプロセスでは、精密ダイ70を提供する。精密ダイ70はキャビティー72を有し、その壁74が動翼10又は翼形部の正味の形状を形成する。繊維編物30をダイ70の壁74に接して精密ダイ70に入れる。繊維編物30は、既に述べたように動翼設計に応じてスタッファー束34又は軟質化ストリップを含んでいてもいなくてもよい。繊維編物30に逃散性ポリマーバインダーを含浸させて取扱いを容易にし繊維生地をダイ70の壁74に固着するのが好ましいが、含浸してない繊維生地30を利用することも可能である。堅くしたプリフォーム40は有利なことにその後の鋳造作業中の動きに対する優れた抵抗を提供するので、上に述べた逃散性ポリマー又は金属合金、好ましい実施形態ではアルミニウム−リチウム合金を用いて堅くしたプリフォーム40を精密ダイ中に挿入するのが最も好ましい。
【0030】
次に、精密ダイ70を閉じ、精密ダイ70の半分ずつを一緒に固定しその後の作業中の精密ダイ70のあらゆる動きを防止するボルスター76内に固定する。ダイキャビティー72と連通した第1の端部80と、ボルスター76の外側の第2の端部82とを有するランナー78が精密ダイ70からボルスター76を通って延在する。ランナー78の第2の端部82に近接して、ランナー78内を第2の端部82と第1の端部80との間で摺動可能に移動するピストン86がある。注入カップのような注入のためのアクセス84が、第1の端部80と第2の端部82の間のランナー上に配置されている。
【0031】
精密ダイ70を非酸化性の雰囲気内に入れる。既に述べたように、非酸化性の雰囲気は真空、不活性ガス雰囲気又は窒素雰囲気であり得る。次に、非酸化性の雰囲気を維持しながら、精密ダイを約800〜1150°F(427〜621℃)の範囲の所定の第1の温度に予熱する。これは炉内の非酸化性の雰囲気を維持し、炉の温度を上昇させることによって達成され得、又は精密ダイを誘導コイル又は抵抗コイルのような電気ヒーターで加熱することができる。他のあらゆる便利な方法も使用し得る。
【0032】
ピストン86をランナー78の第2の端部82に配置し、好ましいアルミニウムリチウム合金のような溶融金属合金を、キャビティー72とランナー78がピストン86まで実質的に充填されるまでランナー中に注入する。好ましいアルミニウムリチウム合金の場合、合金の溶融温度は約1200〜1300°F(649〜705℃)の範囲であり、注入温度は金属合金の融点より約45〜90°F(25〜50℃)高く、過熱を提供して完全な溶融と、溶融合金のランナー78を介したダイキャビティー72中及び繊維編物30の隙間中への流れとを確実にする。溶融金属合金がダイキャビティー72中に導入されるにつれて、プリフォーム40を形成するといったように繊維編物30の取扱いを容易にするために逃散性ポリマーを使用した場合、それが溶融する。溶融金属合金は繊維編物30の隙間に浸透し、ポリマーに取って代わる。液体ポリマー及びダイキャビティー72内に存在し得るあらゆるガスはベント88中に移動し得る。鋳造プロセスは迅速に、通例約10〜100ミリ秒の時間で達成される。次に、ピストン86がランナー78の第1の端部80に向かって摺動自在に動き、ダイキャビティー内の溶融金属に第1の圧力をかける。この第1の圧力は、ピストンがランナー78の第1の端部80に向かって移動する際にピストンラム速度によって調節される。ピストンラム速度は好ましくは約10〜100メートル/秒の範囲である。このピストンは溶融金属合金をダイキャビティー72の全ての領域及び繊維編物30の隙間のようなあらゆる未充填空隙領域中に押し込む。小量の幾つかの溶融金属合金はまたベント88内にも押し込まれ得、そこで、かかるベント88が小さく、ダイ70の壁は金属合金の温度よりずっと冷たいので、溶融金属合金は迅速に固化する。
【0033】
次に、ピストン86を使用してダイキャビティー72内の溶融金属合金に追加の圧力をかける。この圧力は約10〜150バールに増大される。追加の圧力は、溶融金属がキャビティーのまだ充填されていないあらゆる部分に押し込まれることができるようにかける。追加の圧力はまたキャビティー壁74と製織繊維生地30との間の隙間にも溶融金属を押し込み、その結果繊維編物30が動翼10又は翼形部の表面の少し下に位置する繊維編物22に変わり、そのため金属合金が動翼10又は翼形部の外面24を形成することになる。好ましくは、外面24上の金属合金の厚さは約0.002インチ〜約0.025インチ、好ましくは0.005インチ〜約0.025インチの範囲である。動翼10又は翼形部が固化し冷却される間圧力と非酸化性の雰囲気を維持する。加圧された金属は固化に起因するあらゆる空隙又は収縮を排除する。これは、溶融金属合金がこれらの収縮領域中に押し込まれるからである。的確に設計されたダイ又は金型において、図8の場合ランナー78である供給領域は、溶融金属合金が固化する最後の領域であるべきである。ダイはまた、当業界で周知のように、動翼10又は翼形部の設計により必要な場合には、溶融金属合金を供給するためのスプルー(図示せず)も含み得ることに留意されたい。
【0034】
固化後、非酸化性の雰囲気を維持したままでダイ70を冷却することができる。酸化がもはや問題とならない温度まで冷却した後、ダイを炉から取り出し開放し得る。次いで、翼形部又は動翼10をダイ70から取り出し得、ランナー78及びフラッシュを除去するための清浄化作業を行って完成した動翼10又は翼形部を得ることができる。
【0035】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明して来たが、当業者には理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更をなすことができ、またその要素に代えて等価物を使用することができる。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために多くの修正をなすことができる。従って、本発明は本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されることはなく、本発明は特許請求の範囲に入る全ての実施形態を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面近傍の繊維編物であって、複数の撚り繊維束を編み込んで、複数の撚り繊維束の各々が互いにかつ物品の主方向に対してある角度で延在するようにある方向に配向させたものからなる繊維生地を含んでおり、主方向が物品の第1の端部から第2の端部に向かって延在する、繊維編物と、
アルミニウムリチウム合金のコアと、
アルミニウムリチウム合金の外面と
を含む複合軽量物品であって、アルミニウム−リチウム合金が繊維生地及び複数の撚り繊維束の隙間に浸透していてアルミニウム−リチウム合金が実質的に連続である、複合軽量物品。
【請求項2】
前記物品がターボ機械の圧縮機翼形部である、請求項1記載の複合軽量物品。
【請求項3】
複数の繊維編物束の各々が翼形部の軸に対して約±10°〜約±25°の角度で延在しており、翼形部の軸が半径方向で第1の端部の翼形部先端から第2の端部の翼形部ダブテールまで延在する、請求項2記載の複合翼形部。
【請求項4】
さらに、翼形部の軸に対して実質的に0°で配列され延在している繊維を含む束を含んでいて、束の各々が翼形部軸に対して実質的に平行である、請求項2記載の複合翼形部。
【請求項5】
束が三軸編物パターンで含まれる、請求項4記載の複合翼形部。
【請求項6】
束が、高強度及び低弾性率を有する繊維をさらに含み、繊維生地の体積の約15%以下を形成しているスタッファー束である、請求項4記載の複合翼形部。
【請求項7】
束が、高弾性率を有する繊維をさらに含み、繊維生地の体積の約15%以下を形成している軟質化ストリップである、請求項4記載の複合翼形部。
【請求項8】
アルミニウムリチウム合金が、さらに約2.5〜3.5重量%のLi、約0.6〜2.5重量%のCu、約0.3〜1.0重量%のMg、約0.1〜0.5重量%のZr、約0.08重量%以下のFe、約0.01重量%以下のSi、約0.03重量%以下のTiを含み、残部がAl及び不可避不純物である、請求項2記載の複合翼形部。
【請求項9】
複数の撚り繊維束の各々がさらに、炭素繊維フィラメント、酸化物セラミック繊維、ナイロン、非酸化物セラミック繊維及びアラミド繊維並びにこれらの組合せからなる群から選択されるフィラメントを含む、請求項2記載の複合翼形部。
【請求項10】
スタッファー束がさらに、炭素繊維、酸化物セラミック繊維、非酸化物セラミック繊維及びこれらの組合せからなる群から選択される繊維を含む、請求項6記載の複合翼形部。
【請求項11】
軟質化ストリップがさらに、炭素繊維、ガラス繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維及びこれらの組合せからなる群から選択される繊維を含む、請求項7記載の複合翼形部。
【請求項12】
ターボ機械の複合軽量圧縮機翼形部を製造する方法であって、
複数の撚り繊維束を形成し、
複数の撚り繊維束から、束の間に隙間を有する繊維編物を形成し、
雌金型及び翼形部の形状のマンドレルを用意し、金型は翼形部の形状でキャビティーを形成する面を有しており、マンドレルは翼形部のニアネットシェイプを有し、
繊維編物をアルミニウム−リチウム合金のフォイルの間にサンドイッチ状に挟み、フォイル及び繊維生地のサンドイッチを金型内に挿入し、
フォイル及び繊維生地のサンドイッチがキャビティーを満たすようにマンドレルを金型中に挿入し、金型を閉じ、
非酸化性の雰囲気を維持しつつ、合金の融点を超える過熱温度に金型を加熱し、アルミニウムリチウム合金を強固にしつつ該合金が繊維編物束中に侵入するのに充分な時間過熱温度及び圧力を維持したままで金型を加熱プレスし、繊維強化金属マトリックスプリフォームを作成し、
翼形部の正味の形状を有するダイ中に繊維強化金属マトリックスプリフォームを入れ、
非酸化性の雰囲気を維持しつつ、溶融アルミニウム−リチウム合金を、ダイ中に、かつ金属マトリックスプリフォームに接して圧力増強鋳造して、一体のアルミニウム−リチウム合金コア及びアルミニウム−リチウム合金ダブテール取付部を有する金属マトリックス複合翼形部を形成し、
冷却後翼形部をダイから取り出す
工程を含んでなる、方法。
【請求項13】
金属合金がさらに約2.5〜3.5重量%のLi、約0.6〜2.5重量%のCu、約0.3〜1.0重量%のMg、約0.1〜0.5重量%のZr、約0.08重量%以下のFe、約0.01重量%以下のSi、約0.03重量%以下のTiを含み、残部がAl及び不可避不純物である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
非酸化性の雰囲気が真空である、請求項12記載の方法。
【請求項15】
非酸化性の雰囲気が不活性ガス及び窒素からなる群から選択される雰囲気である、請求項12記載の方法。
【請求項16】
過熱温度に加熱プレスすることが、金属合金シートの融点を約25〜50℃(45〜90°F)超える温度に加熱することを含む、請求項12記載の方法。
【請求項17】
繊維編物を形成する工程がさらに、繊維編物にスタッファー束及び軟質化ストリップからなる群から選択される追加の束を提供することを含み、追加の束が翼形部の軸に対して実質的に平行であって、追加の束は翼形部に対して概ね半径方向に延在し、翼形部先端から翼形部の反対側まで延在する、請求項12記載の方法。
【請求項18】
ターボ機械の複合軽量圧縮機翼形部を製造する方法であって、
複数の撚り繊維束を形成し、
複数の撚り繊維束から、複数の撚り繊維束間に隙間を有する繊維編物を翼形部形状に形成し、
場合により、繊維編物に逃散性ポリマーバインダーを含浸させてプリフォームを形成し、
翼形部の形状のキャビティーを形成するダイ面を有しており、ニアネットシェイプの翼形部を生成するダイを用意し、
繊維編物をダイ中に挿入し、繊維生地を形成している束は翼形部の軸に対してある角度であり、軸は翼形部先端から翼形部の反対側まで半径方向に延在し、
ダイを非酸化性の雰囲気内に入れ、
ダイを第1の温度に予熱し、
非酸化性の雰囲気を維持しつつ、金属合金をダイ中に圧力増強鋳造してピストンを用いて第1の圧力をかけ、
次いで、ダイが溶融金属合金で満たされた後、ピストンを用いて第2の圧力をかけてプリフォームの隙間に侵入させると共にプリフォームに浸透させ、任意のバインダーを揮発させ、第2の金属圧力は第1の金属圧力より高く、
非酸化性の雰囲気を維持しつつ、ダイを冷却して、外側の金属合金表面及び金属合金コアを有する翼形部を形成し、
翼形部を炉から取り出す
工程を含んでなる、方法。
【請求項19】
金属合金がさらに約2.5〜3.5重量%のLi、約0.6〜2.5重量%のCu、約0.3〜1.0重量%のMg、約0.1〜0.5重量%のZr、約0.08重量%以下のFe、約0.01重量%以下のSi、約0.03重量%以下のTiを含み、残部がAl及び不可避不純物である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
さらに、繊維編物を翼形部形状に形成する工程がさらにスタッファー束を繊維編物に添加することを含み、スタッファー束が翼形部の軸に対して実質的に平行であって、スタッファー束は翼形部先端に対して概ね半径方向で翼形部先端から翼形部の反対側まで延在する、請求項18記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−144806(P2012−144806A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−288997(P2011−288997)
【出願日】平成23年12月28日(2011.12.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】