説明

耐傷性・高硬度木質複合床材およびその製造方法

【課題】 低比重合板や植林材合板を使用しても、耐傷性・硬度に優れ、かつ床材の重量が増加したり、寸法安定性が低下することの無い複合床材を提供する。
【解決手段】 A)合板層、B)厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層、C)積層直
前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板(つき板)層の順に、
積層され、塗装仕上げしてなる木質複合床材において、A)、B)間および/または、B)、C)間に吸水層が設けられてなる木質複合床材、およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐傷性に優れ、硬度が高く、ホルムアルデヒド等のVOCが低減され、環境負荷の少ない木質複合床材、および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カポール材等の高比重南洋材合板を安定して入手することが困難になり、床材の耐傷性や硬度が低下し、傷や凹みに対する消費者からのクレームが増加している。また、シックハウスの原因となるVOCの低減や、環境問題への意識の高まりから、リサイクル素材や、植林材の使用が求められている。
低比重合板を使用して、床材の耐傷性・硬度の向上方法として、あるいは、植林材である針葉樹合板等を使用して表面性の優れる床材を製造する方法として、合板表面にMDFを積層した台板を使用することがなされている。しかしながら、この方法では、充分な耐傷性・硬度、表面性を得ようとすると、MDFの厚みが厚くなり、床材の重量が増加する、寸法安定性が悪化して伸びや反りが問題となるなどの問題点がある。
また、高弾性率の合成樹脂層で裏打ちされた化粧紙、印刷フィルム用いて、床材の耐傷性・硬度を向上する方法も試みられてきた(特許文献1〜3)が、若干の効果はあるものの、低比重合板を台板に使用した場合には、十分な耐傷性と硬度が得られない問題点があった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−239517号公報
【特許文献2】特開2001−110339号公報
【特許文献3】特開平5−147184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これらの従来技術では成し得なかった、低比重合板や植林材合板を使用しても、耐傷性・硬度に優れ、かつ床材の重量が増加したり、寸法安定性が低下することの無い複合床材およびその製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究の結果、合板の上にオーバーレイを施して木質系床材を製造するに際して、特定の硬質プラスチック層と特定の含水率の天然木化粧単板(突き板)を用い、かつその積層間に吸水層を設けることにより、所期の目的に適うものが得られることを見出して本発明を完成させた。
すなわち本発明は、A)合板層、B)厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層、C)その積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板(つき
板)層の順に、積層され、塗装仕上げしてなる木質複合床材において、A)、B)間および/または、B)、C)間に吸水層が設けられてなる耐傷性・高硬度木質複合床材に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、耐傷性に優れ、硬度が高く、軽くて寸法安定性が良く、加えてホルムアルデヒド等のVOCが低減され、環境負荷の少ない木質複合床材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明に用いる合板としては、ベニヤ(単板)を積層したもので、通常奇数枚のベニヤを繊維方向が直交するように積層したものが主に用いられるが、偶数枚積層したもの、一
部が平行に積層されたもの、ランバーコアを用いたもの、一部のベニヤの代わりに、他の木質材料を用いたもの等も必要に応じて用いて良い。
用いる合板は、環境への負荷低減の意味合いから、材積の50%以上が植林材であること
が望ましい。
また、本発明の効果を最大限に発揮するためには、軽く、寸法安定性に優れる密度600kg/m3以下の低比重合板を用いることが望ましい。
なお、VOC低減の目的で、合板に使用される接着剤は、ホルムアルデヒド放散量の少ないフェノール樹脂接着剤を用いることが望ましい。
【0008】
本発明において、所期の目的を達成するためには、高含水率の天然木化粧単板を接着することが必須であり、更にはプラスチック層と木材層(合板層・天然木化粧単板層)との接着において、接着剤中の水分の拡散を容易にして接着を可能にするためには、吸水層を設ける必要がある。
吸水層としては、紙および/またはでん粉を主成分とする水性接着剤を用いることが好ましい。
紙としては、パルプを原料とする通常の紙に加え、合成繊維、無機繊維等を混抄したものや、不織布なども使用できる。用いられる紙の坪量は、特に限定されないが、経済性や剥がしにくさを求める場合には20〜30g/m2のものを用いると良く、廃棄時に木材層とプラスチック層を分離して、リサイクルもしくはリユースしやすくする目的には、30g/m2以上のものを用いると良い。リサイクル・リユース性を付与しようとした場合には、特に、A)層とB)層の間に紙層を設けることが望ましい。
吸水層としては、でん粉を主成分とする水性接着剤を用いることもできる。ここでいうでん粉とは、とうもろこしでん粉、馬鈴薯でん粉、小麦でん粉などのでん粉や、小麦粉、米粉、とうもろこし粉などのでん粉質を主とする穀物粉が例示される。これらを、固形分中50%以上含むように、他の水性接着剤に配合して用いても良い。
【0009】
本発明には、B)層として硬質プラスチック層を有することが必須である。用いる硬質プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルなどが挙げられ、これらのプラスチックの1種を用いて、または2種以上をフィルムまたはコーティング被膜の形態で積層あるいは複合して所望の硬質層を形成しても良い。環境への負荷低減の意味合いから、リサイクルプラスチックを原料に用いたものが望ましい。硬質プラスチック層の厚さは、0.1mm〜0.3mmの範囲が望ましい。0.1mm未満では、十分な硬度・耐衝撃性が得られず、0.3mmを超えても効果の増大が少なく、コスト高となる。
【0010】
本発明には、その積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧
単板(つき板)層を有することが必須である。含水率が繊維飽和点未満のものを用いた場合には、十分な硬度・耐衝撃性が得られない。さらに、優れた硬度・耐衝撃性を得るためには、繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板(つき板)層とプラスチック
層との接着方法としては、80℃以上の温度および0.1MPa以上の加圧下で熱圧接着する方法が好ましい。
本発明において、上記飽和点以上の天然木化粧単板(濡れ単板)を用い、この単板面に塗膜層を設けることにより、本発明の複合床材は硬度と落球試験においてクラックを押さえ、また、吸水層と共に熱圧することにより、単板が圧密化され高強度となる。
吸水層がないと単板の圧密化が起きず、強度を向上させることができない。密度の低い合板を使用すると寸法安定性は向上する一方で強度は相対的に低下するが、本発明の複合床材は、両者を両立し得る。
【0011】
本発明の複合木質床材を製造する好ましい態様として以下の方法を例示するが、もとよりこれらに限定されることはない。
1:A)合板層に、B) 厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層を冷圧接着加工
もしくはラミネート加工した後、吸水層として紙をラミネート加工し、さらにC)積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板(つき板)層を、でん
粉を主成分とする有機充填剤を5〜60質量%含んでなる水性接着剤を用いて80℃以上の温
度および0.1MPa以上の加圧下熱圧接着し、塗装仕上げ処理を施す。
2:A)合板層に、B) 厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層を冷圧接着加工
もしくはラミネート加工した後、吸水層として、でん粉を主成分とする有機充填剤を主成分とする水性接着剤層を介して、C)積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上で
ある天然木化粧単板(つき板)層を、80℃以上の温度および0.1MPa以上の加圧下熱圧接着し、塗装仕上げ処理を施す。
3:紙からなる吸水層、B) 厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層、紙からな
る吸水層を、水性接着剤を用いて積層し、さらにC)積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板(つき板)層を80℃以上の温度および0.1MPa以上の加
圧下熱圧接着したシート状化粧材を、A)合板台板にラミネート加工し、塗装仕上げを施す
4:A)の合板層に、予め紙からなる吸水層、B) 厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラ
スチック層、紙からなる吸水層の合計3層を積層してあるシート上材料を重ね、さらにC) 厚さ0.15mm〜0.5mmであり、かつ、その積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)
以上である天然木化粧単板(つき板)層を、80℃以上の温度および0.1MPa以上の加圧下熱圧接着し、塗装仕上げ処理を施す。
【0012】
前記製造方法において用いられる接着剤・塗料としては、VOC低減のために、水性接着剤および低VOC塗料を用いることが望ましい。水性接着剤としては、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル・エチレン共重合樹脂系エマルジョン、アクリル樹脂系エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョン、合成ゴムラテックス類、およびこれらの変性体、複合体など主成分とする接着剤が例示できる。低VOC塗料としては、水性塗料、ハイソリッド塗料、反応型もしくは粉体型無溶剤塗料などが例示できる。
【実施例】
【0013】
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれにより限定されるものでは無い。
試験方法
(硬度試験)C型硬度計により測定
(落球試験)JIS K 5600-5-3(デュポン式落球試験法)により凹み深さを測定した。
(表面硬度試験)JIS K 5600-5-4(引っかき硬度(鉛筆法))により評価した。
(寸法安定性試験)75mm×300mm試料を20℃水中に24時間浸せきし、浸せき前・後の表板
(化粧面)の長さを測定し次式により求めた。
伸び率=浸漬後長さ/浸漬前長さ×100(%)
(ホルムアルデヒド放散量(F.Eと略)試験)JAS複合木質床材に従った。
【0014】
実施例1
市販12mm厚ラワン合板(密度590kg/m3)に、接着剤として(株)J−ケミカル製ウレタン変性ビニル樹脂系接着剤VW-H-141に酸化チタンを10%配合したものを、ロールスプレッダーにて100g/m2塗布し、188μ厚ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略)フィルム(東レルミラーS10-188)を重ね、0.3MPaの圧力下30分間圧締・接着し1晩養生した。
その後、吸水層を兼ねた接着剤として(株)J−ケミカル製 VW-H-141にコーンスターチ
を40%配合(固形分中55%)したものを50g/m2塗布し、0.25mm厚ナラ化粧単板(含水率50%
)を重ね、120℃、0.7MPaの条件下、1分間熱圧接着した。養生した後、切断、V溝加工、サンディング工程を経て、水性ステインで着色・乾燥し、ウレタンアクリレート系UV硬化型ハイソリッド塗料を塗布し、UV照射乾燥して仕上げて、木質複合床材を製造した。
得られた複合床材の構成と性能試験結果を表1に示した。
【0015】
実施例2
市販12mm厚ラワン合板(密度590kg/m3)に、接着剤として(株)J−ケミカル製ウレタン変性ビニル樹脂系接着剤VW-H-141に酸化チタンを10%配合したものを、ロールスプレッダーにて100g/m2塗布し、188μ厚ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略)フィルムを重ね、0.3MPaの圧力下30分間圧締・接着し1晩養生した。その後、接着剤として(株)J−ケミカル製 VW-H-141を30g/m2塗布し、25g/m2薄葉紙をロールラミネートし、さら
に接着剤としてJ−ケミカル製変性SBRラテックス系接着剤SW-283に小麦粉および架橋剤を配合したものを50g/m2塗布し、0.25mm厚ナラ化粧単板(含水率50%)を重ね、120℃、0.7MPaの条件下、1分間熱圧接着した。養生した後、切断、V溝加工、サンディング工程を経て、水性ステインで着色・乾燥し、ウレタンアクリレート系UV硬化型ハイソリッド塗料を塗布し、UV照射乾燥して仕上げて、木質複合床材を製造した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表1に示した。
【0016】
実施例3
市販12mm厚ラワン合板(密度590kg/m3)に、接着剤として(株)J−ケミカル製ウレタン変性ビニル樹脂系接着剤VW-H-141に酸化チタンを10%配合したものを、ロールスプレッダーにて50g/m2塗布し、25g/m2薄葉紙をロールラミネートし、両面にVW-H-141を50g/m2塗布した188μ厚ポリエチレンテレフタレート(以下PETと略)フィルムを重ね、さらに25g/m2薄葉紙を重ねてロールラミネートし養生した。これに接着剤としてJ-ケミカル製変
性SBRラテックス系接着剤SW-283に小麦粉および架橋剤を配合したものを50g/m2塗布し0.25mm厚ナラ化粧単板(含水率50%)を重ね、120℃、0.7MPaの条件下、1分間熱圧接着し
た。養生した後、切断、V溝加工、サンディング工程を経て、水性ステインで着色・乾燥し、ウレタンアクリレート系UV硬化型ハイソリッド塗料を塗布し、UV照射乾燥して仕上げて、木質複合床材を製造した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表1に示し
た。
【0017】
実施例4
合板が、表・裏のベニヤに厚さ1.7mmラワン材、中芯ベニヤ3枚に厚さ3mmのラジアタパ
イン材を用いた構成から成るもの(密度610kg/m3)であることを除いては、実施例1と同様に木質複合床材を製造した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表1に示した。
【0018】
実施例5
合板が、フェノール樹脂系接着剤((株)J−ケミカル製PF-330)を用いて積層接着されたもの(密度600kg/m3)であることを除いては、実施例1と同様に木質複合床材を製造した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表1に示した。
【0019】
実施例6
リサイクルPET材からなる厚さ188μのシートの両面に、(株)J−ケミカル製特殊
変性ビニル共重合樹脂系接着剤VW-H-137を30g/m2塗布し、ロールプレスでラミネート加工した後、J−ケミカル製変性SBRラテックス系接着剤SW-283に小麦粉および架橋剤を配合したものを50g/m2塗布し、0.25mm厚ナラ化粧単板を重ね、120℃、0.7MPaの条件下、1分間熱圧接着しシート状物を得た。次に、このシート状物の紙面に接着剤としてVW-H-137を100g/m2塗布し、熱風ドライヤーで乾燥させた後、プロファイリングロールとソフトフォ
ーミングロールを有するラミネータにて、予めV溝きり加工、サネ加工がされた市販12mm厚ラワン合板(密度590kg/m3)に、プロファイリング・ラミネート加工した。養生した後、サンディング工程を経て、水性ステインで着色・乾燥し、ウレタンアクリレート系UV硬化型ハイソリッド塗料を塗布し、UV照射乾燥して仕上げて、木質複合床材を製造した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表1に示した。
【0020】
【表1】

【0021】
比較例1
吸水層を兼ねた接着剤として(株)J−ケミカル製 VW-H-141にコーンスターチを40%配合(固形分中55%)したものに代えて、(株)J−ケミカル製 VW-H-141を用いた他は、実施例1と同様に木質複合床材を製造した。
【0022】
比較例2
0.25mm厚ナラ化粧単板(含水率50%)に代えて、乾燥0.25mm厚ナラ化粧単板(含水率15%)を用いた他は、比較例1と同様に木質複合床材を製造した。
【0023】
比較例3
188μ厚PETに代えて、75μ厚PETを用いた他は、実施例1と同様に木質複合床材を製造
した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表2に示した。
【0024】
比較例4
市販12mm厚ラワン合板(密度590kg/m3)に、接着剤として接着剤としてJ−ケミカル製変性SBRラテックス系接着剤SW-283に小麦粉および架橋剤を配合したものを80g/m2塗布し、25g/m2薄葉紙をロールプレスでラミネートし、さらに接着剤としてSW-283に小麦粉および架橋剤を配合したものを70g/m2塗布し、0.25mm厚ナラ化粧単板を重ね、120℃、0.7MPaの条件下、1分間熱圧接着した。養生した後、切断、V溝加工、サンディング工程を経
て、水性ステインで着色・乾燥し、ウレタンアクリレート系UV硬化型ハイソリッド塗料
を塗布し、UV照射乾燥して仕上げて、木質複合床材を製造した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表2に示した。
【0025】
比較例5
市販12mm厚カポール合板(密度780kg/m3)に、接着剤として接着剤としてJ-ケミカル製変性SBRラテックス系接着剤SW-283に小麦粉および架橋剤を配合したものを80g/m2塗布し、25g/m2薄葉紙をロールプレスでラミネートし、さらに接着剤としてSW-283に小麦粉および架橋剤を配合したものを70g/m2塗布し、0.25mm厚ナラ化粧単板を重ね、120℃、0.7MPaの条件下、1分間熱圧接着した。養生した後、切断、V溝加工、サンディング工程を経
て、水性ステインで着色・乾燥し、ウレタンアクリレート系UV硬化型ハイソリッド塗料を塗布し、UV照射乾燥して仕上げて、木質複合床材を製造した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表2に示した。
【0026】
比較例6
市販12mm厚ラワン合板(密度590kg/m3)に、接着剤として(株)J−ケミカル製変性酢酸ビニル樹脂系接着剤VW-621を、ロールスプレッダーにて150g/m2塗布し、厚さ1mmの高
密度繊維板(HDF)を重ね、1MPaの圧力下30分間圧締・接着し1晩養生した。その後
、接着剤としてSW-283に小麦粉および架橋剤を配合したものを70g/m 塗布し、0.25mm厚ナラ化粧単板を重ね、120℃、0.7MPaの条件下、1分間熱圧接着した。養生した後、切断、V溝加工、サンディング工程を経て、水性ステインで着色・乾燥し、ウレタンアクリレート系UV硬化型ハイソリッド塗料を塗布し、UV照射乾燥して仕上げて、木質複合床材を製造した。得られた複合床材の構成と性能試験結果を表2に示した。
【0027】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)合板層、B)厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層、C)その積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板層の順に積層され、塗装仕
上げしてなる木質複合床材であって、A)、B)間、および/または、B)、C)間に吸水層が設けられてなる耐傷性・高硬度木質複合床材。
【請求項2】
吸水層が紙および/またはでん粉を主成分とする水性接着剤である請求項1に記載の木質複合床材。
【請求項3】
A)の合板が、材積の50%以上を植林材単板で構成されていることを特徴とする請求項
1または2に記載の木質複合床材。
【請求項4】
A)の合板の密度が、600kg/m3以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の木質複合床材。
【請求項5】
A)の合板が、フェノール樹脂接着剤を用いて製造された、低ホルムアルヒド合板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の木質複合床材。
【請求項6】
B)の 厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層が、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリスチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニルからなる群から選ばれるプラスチックの1種または2種以上を積層または複合したものであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の木質複合床材。
【請求項7】
B)の厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層が、リサイクル素材からなることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の木質複合床材。
【請求項8】
A)合板層上に、B) 厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層を冷圧接着加工
もしくはラミネート加工した後、該B)層上に吸水層として紙をラミネート加工し、さらにC)積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板層を、で
ん粉を主成分とする有機充填剤を5〜60質量%含んでなる水性接着剤を用いて80℃以上の
温度および0.1MPa以上の加圧下熱圧接着し、塗装仕上げしてなる耐傷性・高硬度木質複合床材の製造方法。
【請求項9】
紙からなる吸水層、B) 厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層、紙からなる
吸水層を、水性接着剤を用いて順に積層し、該積層物上にさらにC)積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板層を80℃以上の温度および0.1MPa以
上の加圧下で熱圧接着してシート状化粧材を作成し、該化粧材をA)合板層にラミネート加工し、塗装仕上げすることからなる耐傷性・高硬度木質複合床材の製造方法。
【請求項10】
A)合板層に、予め紙からなる吸水層、B) 厚さ0.1mm〜0.3mmの範囲の硬質プラスチック層、紙からなる吸水層の合計3層を積層して成るシート状材料を重ね、さらにC) 厚さ0.15mm〜0.5mmであり、かつ、その積層直前の含水率が繊維飽和点(約30質量%)以上である天然木化粧単板層を、80℃以上の温度および0.1MPa以上の加圧下熱圧接着し、塗装仕上げすることからなる耐傷性・高硬度木質複合床材の製造方法。
【請求項11】
水性接着剤および低VOC塗料を用いることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の耐傷性・高硬度木質複合床材の製造方法。

【公開番号】特開2007−9483(P2007−9483A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190165(P2005−190165)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(504284009)株式会社J−ケミカル (12)
【Fターム(参考)】