説明

自動車のエンジンマウント構造

【課題】本発明は、上下方向の高さを抑えることによって、空間制限されたエンジンルーム内においてスペースを有効活用できるとともに、確実に吊下げ支持できるエンジンマウント構造を提供することを目的とする。
【解決手段】吊下げ方式の左側エンジンマウント1において、締結コア30の下方のPT側ブラケット60が遊嵌する遊嵌開口41を車体側ブラケット40に備え、パワートレイン120のエンジン120aが回転するエンジン回転方向Rにおいて、遊嵌開口41とPT側ブラケット60との間に、マウントラバーブッシュ20を所定量以上変形させる荷重、例えば急激なクラッチミート等の反動のように、比較的大きなエンジン回転方向Rの回転力の付加により、遊嵌開口41とPT側ブラケット60とが当接する幅の開口隙間23bを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のエンジンを有するパワートレインを吊下げ方式によって車体に支持する自動車のエンジンマウント構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンを有するパワートレインを吊下げ方式によって車体に支持する自動車のエンジンマウント構造について多く構造が採用されている。これらの吊下げ方式のエンジンマウント構造において、例えば、特許文献1には、上下に離隔して配置した上取付金具及び下取付金具と、上端部が該上取付金具に、下端部が該下取付金具に接着されたゴム弾性体からなる一対のゴム脚とで構成し、該ゴム脚の弾性変形に基いてエンジンを車体に防振支持するエンジンマウント構造が開示されている。
【0003】
この特許文献1に記載のエンジンマウント構造では、板厚方向に貫通し、周縁に沿って環状リブを立上り形状で設けられた穴部を上取付金具に形成し、ゴム脚における上端部の外周部分を該穴部の外周側の下面に接着しているため、エンジンマウント構造における上下方向のバネ定数を効果的に低バネ定数化することができ、エンジンマウント構造の防振性能を高めることができる。
【特許文献1】特開2008−185201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のエンジンマウント構造の場合、防振性能を高めることはできるものの、ゴム脚が上下方向の高さを有するため、高さ方向に大きな占有スペースが必要となり、スペースに余裕のない、つまり空間制限の制限レベルが高いエンジンルーム内に配置されるエンジンマウント構造として、利用者によって満足が得られる構造ではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上下方向の高さを抑えることによってスペースを有効活用できるとともに、確実に吊下げ支持できるエンジンマウント構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のエンジンマウント構造は、エンジンを有するパワートレインに固定された被支持部材と、該被支持部材上部に、ネジ部材を介して締結される締結部材と、該締結部材の上下方向における少なくとも一部、もしくは該締結部材と前記被支持部材上部の締結部分付近を囲い、且つ弾性を有するブッシュを介して該締結部材を支持すると共に、車体に固定される車体側支持部材とを備えた自動車のエンジンマウント構造において、前記車体側支持部材に、前記締結部材の下方から、前記被支持部材が遊嵌する開口部を備え、前記エンジンが回転するエンジン回転方向において、該開口部と前記被支持部材との間に、前記ブッシュを所定量以上変形させる荷重の付加により、前記開口部と前記被支持部材とが当接する幅の隙間を形成するものである。
【0007】
上記構成によれば、車体に固定される車体側支持部材で、該締結部材の上下方向における少なくとも一部、もしくは該締結部材と前記被支持部材上部の締結部分付近を囲うため、上下方向にコンパクトな吊下げ方式のエンジンマウント構造を構成することができる。
このため、空間制限の制限レベルが高い、すなわちスペースに余裕のないエンジンルーム内に配置した際においても、エンジンルーム内のスペースを有効活用することができ、利用者の満足度を向上することができる。
【0008】
また、ブッシュを所定量以上変形させる荷重の付加により、前記開口部と前記被支持部材とが当接する幅の隙間を、前記開口部と前記被支持部材との間に形成したことによって、ブッシュが所定量以上変形し、前記開口部と前記被支持部材とが当接する程度のエンジン回転方向の大荷重が生じた場合において、当接する被支持部材から車体側支持部材に大荷重が伝達されるため、ネジ部材を介して被支持部材上部に締結される締結部材から車体側支持部材への荷重伝達の負担を軽減することができるため、ネジ部材等の締結部材の弛みを防止することができる。
このため、エンジンを有するパワートレインを確実に吊下げ支持することができる。
【0009】
なお、上記締結部材と被支持部材上部の締結部分付近とは、締結部材の底面と被支持部材上部の上面とが対向して締結される境界部分付近であることを含む。
また、ブッシュを所定量以上変形させる荷重は、例えば急激なクラッチミート等の反動のように、比較的大きなエンジン回転方向Rの回転力であることを含む。
【0010】
この発明の一実施態様においては、前記締結部材の下方における前記被支持部材と前記開口部との間の前記隙間に、前記ブッシュよりも硬質な弾性を有するストッパ部材を配設するものである。
上記構成によれば、被支持部材と車体側支持部材間のバネ定数を高め、被支持部材と車体側支持部材間の荷重伝達性能を向上することができる。
このため、締結部材と車体側支持部材間の荷重伝達を低減でき、より確実にエンジンを有するパワートレインを吊下げ支持することができる。
【0011】
なお、ブッシュにバネ定数、すなわち弾性の異なるストッパ部材を装着したことによって、ブッシュ自体のバネ定数を変更することなく、所望部位のバネ定数を容易に調整することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、前記締結部材と、該締結部材と締結される前記被支持部材上部との夫々を、前記エンジン回転方向に長く形成し、前記締結部材に、前記ネジ部材の挿通を許容する締結孔と、前記被支持部材上部と対向する側に配置した嵌合部とを、平面視中心からエンジン回転方向に離間した位置に設け、前記被支持部材上部におけるそれぞれの対応位置に、前記ネジ部材を構成する締結部と、前記嵌合部に嵌合する被嵌合部とを設け、前記締結孔を、前記嵌合部よりも平面視中心側に配置するものである。
【0013】
上記構成によれば、前記締結部材と前記被支持部材上部との締結を確実にすることができる。
詳しくは、締結部材及び被支持部材上部を、前記エンジン回転方向に長く形成しているため、エンジン回転方向の大加重に対して十分に対向できる締結状態を確保することができる。また、車体に固定される車体側支持部材から該締結部材を支持するブッシュの剪断方向の弾性力によって、十分なクッション性を有する態様で支持することができる。
【0014】
また、該締結部材と前記被支持部材上部とを、前記エンジン回転方向に長く形成し、前記ネジ部材の挿通を許容する締結孔と、前記被支持部材上部と対向する側に配置した嵌合部とを、平面視中心からエンジン回転方向に離間した位置に設けたことによって、エンジン回転方向に対して交差する方向の振動等の加重による捩れに対するパワートレインの拘束力を向上できる。
さらにまた、前記嵌合部よりも平面視中心側に前記締結孔を配置したことによって、該締結部材と前記被支持部材上部との締結力の偏りを抑えることができる。
このため、該締結部材と前記被支持部材上部との締結がより堅固となる吊下げ支持を実現することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、前記ネジ部材を、前記締結孔を挿通し、前記締結部材を上下方向に貫通する1本のボルトで構成し、前記ボルトの上部に設けられたボルトヘッドまたは前記ボルト上部と螺合するナットと、前記締結部材の上面との間の摩擦により、前記被支持部材と前記締結部材との締結力を保持するものである。
上記ボルトは、前記締結孔の上方から挿通する、上部にボルトヘッドを備えた雄ネジボルトや、被支持部材上部から上方に延出し、前記締結孔の下方から挿通するウェルドボルトであることを含む。
【0016】
上記構成によれば、締結部材を上下方向に貫通する1本のボルトによって、前記被支持部材と前記締結部材とを締結し、その締結状態において、前記ボルトの上部に設けられたボルトヘッドまたは前記ボルト上部と螺合するナットと、前記締結部材の上面との間の摩擦により、前記被支持部材と前記締結部材との締結力を保持することができる。
このため、前記被支持部材と前記締結部材とを上方から容易に、且つ確実に締結することができ、締結作業の作業性能を向上することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、前記締結部材と前記車体側支持部材との間における前記エンジン回転方向に隙間を設けると共に、前記締結部材及び前記車体側支持部材の接近を規制する上側ストッパ部を設けるものである。
上記構成によれば、前記開口部と前記被支持部材とが当接する程度のエンジン回転方向の大荷重より大きな加重によりブッシュがさらに変形した場合であっても、上側ストッパ部によって前記締結部材及び前記車体側支持部材の接近が規制されるため、前記締結部材から前記車体側支持部材への荷重伝達のピークを規制し、前記被支持部材と前記締結部材との締結力の低下、すなわち、締結状態に緩みが生じることを防止している。
このため、前記被支持部材と前記締結部材との締結状態の保持性能を向上することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、前記パワートレインのエンジンを横置きエンジンで構成し、前記ブッシュには、前記車体側支持部材と前記締結部材との間における前記エンジン回転方向に空洞部を有し、前記エンジン回転方向に直交する方向に前記締結部材の支持部を設けるものである。
【0019】
上記構成によれば、車体に固定される車体側支持部材から該締結部材を支持するブッシュの前記エンジン回転方向に直交する方向において、該締結部材を遊びなく支持するため、車幅方向の負荷が生じる旋回時おいて、慣性力の高い、すなわち重量の重いパワートレインを、前記エンジン回転方向に直交する方向に遊びなく支持することができる。
このため、車両旋回時の剛性感を向上することができる。
【0020】
また、前記ブッシュには、前記車体側支持部材と前記締結部材との間における前記エンジン回転方向に空洞部を形成しているため、前記締結部材から前記車体側支持部材への振動伝達をさらに規制し、前記被支持部材と前記締結部材との締結力の低下、すなわち、締結状態に緩みが生じる可能性はさらに低減している。
【0021】
この発明の一実施態様においては、前記締結部材を、鋳鉄ブロックで構成するものである。
上記構成によれば、制振性の高い鋳鉄ブロックをコンパクトに配設することになる。詳しくは、回転中心となるパワートレインから回転方向に離れた位置に有る締結部材を比重の高い鋳鉄ブロックで構成することにより、共振調整を容易に行うことができる。また、減衰性能が高い素材である鋳鉄ブロックで締結部材を構成することにより、制振性能を向上することができる。
【0022】
さらにまた、鍛造ブロックで締結部材を構成した場合と比較して、表面粗度の違いから上記ブッシュとの接着性を向上することができる。
このため、ブッシュ接着性と制振性の高い鋳鉄ブロック製の締結部材をコンパクトに配設でき、スペース性能をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、上下方向にコンパクトなエンジンマウント構造を構成することによって、エンジンルーム内のスペースを有効利用できるとともに、エンジン回転方向の大加重が生じた場合であっても、ネジ部材を介して被支持部材上部に締結される締結部材の荷重伝達における負担を軽減して、ネジ部材等の締結部材の弛みを防止することによって、エンジンを有するパワートレインを確実に吊下げ支持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について詳述する。
まず、図1から図5により、本発明の全体構成について説明する。図1は本発明の左側エンジンマウント1の斜視図を示し、図2は車両100の斜視図による左側エンジンマウント1についての説明図を示し、図3は車両100に設置された状態の左側エンジンマウント1の前後方向断面図を示し、図4は同状態の左側エンジンマウント1の平面図を示し、図5は左側エンジンマウント1の分解斜視図を示している。
【0025】
この実施形態の左側エンジンマウント1は、パワートレイン120を車両100のエンジンルーム110内で吊下げ支持するためのエンジンマウントである。
詳述すると、パワートレイン120は、右側に配置された横置きのエンジン120aと、該エンジン120aの左側で一段低配置された変速機ケース120bと、図示省略するクラッチとを一体的に構成している。
【0026】
そして、左側エンジンマウント1は、エンジンルーム110内に下方から挿入されるパワートレイン120の上右側、すなわちエンジン120aを吊下げ支持する右側エンジンマウント200及びパワートレイン120の下方を支持固定する下マウント210とともに、パワートレイン120の上左側に設置したパワートレイン側ブラケット60(以下において、「PT側ブラケット60」という)を介し、後述する吊下げボルト10で吊下げ支持している。
【0027】
これにより、エンジンルーム110内においてパワートレイン120を、下方から下マウント210で支持すると共に、エンジン120aを右側エンジンマウント200でエンジンルーム110内のフロント右サイドフレーム(図示省略)から吊下げ支持し、変速機ケース120bをエンジンルーム110内のフロント左サイドフレーム130(図3,4参照)から吊下げ支持することができる。
【0028】
なお、この左側エンジンマウント1、右側エンジンマウント200及び下マウント210で支持された状態において、エンジン120aの回転方向R、すなわちエンジン120a内部のクランクシャフト(図示省略する)の回転方向は車両100の車体前後方向Lに沿った回転方向となる。
【0029】
また、エンジン120aより一段低く配置された変速機ケース120bをPT側ブラケット60を介して吊り下げ支持する左側エンジンマウント1の上方を覆う態様でバッテリーマウントブラケット300をフロント左サイドフレーム130に固定ボルト131で固定設置し、該バッテリーマウントブラケット300に図示省略するバッテリーを載置している。なお、バッテリーマウントブラケット300の上面中央には、後述する吊下げボルト10の通過を許容する開口300aを備えている。
なお、固定ボルト131は、フロント左サイドフレーム130の内部に溶接されたウェルドナット131aに螺合するが、後述する車体側ブラケット40をフロント左サイドフレーム130に固定するボルトを兼用している。
【0030】
また、図4において、パワートレイン120が配置されているエンジンルーム110に対するフロント左サイドフレーム130の反対側には、図示省略するストラットタワー部やエプロン部が配置されている。
【0031】
このようにして、エンジンルーム110内に下方から挿入されたパワートレイン120の左側の変速機ケース120bを、フロント左サイドフレーム130から吊下げ支持する左側エンジンマウント1について、続いて詳細に説明する。
【0032】
図1に示すように組み付けられる左側エンジンマウント1は、図5に示すように、上から順に、吊下げボルト10、マウントラバーブッシュ20、締結コア30、車体側ブラケット40、ストップラバー50及びPT側ブラケット60で構成している。なお、図5において、右手前側が車両前方f、左奥側が車両後方bとなる車体前後方向Lに配置している。
【0033】
吊下げボルト10は、後述するマウントラバーブッシュ20の上面開口21aから挿入して、PT側ブラケット60の締結穴61bに螺入する、上部にボルトヘッド11を備えた雄ボルトである。
【0034】
マウントラバーブッシュ20は、上部から、後述する締結コア30の上部を囲繞するカバー部21と、締結コア30の締結本体部31とモールディングする本体部22と、該本体部22の下部に配置されたスカート部23とを、弾性を有するラバー材で一体形成している。
【0035】
なお、カバー部21の上面には、平面視車体前後方向Lに長い楕円形状で形成した上述の上面開口21aを備えるとともに、本体部22の車体幅方向W側の内側面で、後述する締結コア30の締結本体部31の底側斜面31aを支持する支持面22cを形成している。
【0036】
前記本体部22は、該カバー部21の両車体前後方向Lの隙間溝22aを介して配置したストッパ部22bを有している。
前記スカート部23は、後述する車体側ブラケット40の開口した開口周縁部41aを巻き込みモールディングするとともに、平面視内側に後述するストップラバー50の嵌合を許容し、締結頭部61に対する車体前後方向Lに開口隙間23bを有する中空部23aを備えている。
【0037】
締結コア30は、正面視(車両前方fから左側エンジンマウント1を見た方向を正面とする)下が狭い逆台形台状であり、底側斜面31aを有する締結本体部31と、該締結本体部31の下方に延出する締結台座部32とを、鋳鉄ブロックにより一体構成している。
【0038】
締結本体部31には、上面が開放され、車両後方bの大きな平面視円形と車両前方fの小さな平面視円形とが連続して形成された平面視略瓢箪型の瓢箪凹部33を備え、瓢箪凹部33の底面33aには、締結台座部32の下端まで貫通する2つの貫通孔34,35(図6参照)を備えている。
【0039】
なお、2つの貫通孔のうち、瓢箪凹部33の車両後方b側の挿通貫通孔34は上述の吊下げボルト10の挿通を許容する貫通孔であり、瓢箪凹部33の車両前方f側の嵌合貫通孔35は後述する嵌合凸部61cの下方からの挿入を許容する貫通孔である。
【0040】
また、締結台座部32は、車体前後方向Lに長い平面視長方形状の直方体形状であるが、この平面形状は、後述する締結頭部61の平面形状と略同一であり、上述したように、締結頭部61の上面61aに配置した締結穴61b、嵌合凸部61cに対応する位置に貫通孔34,35を配置している。
【0041】
詳しくは、貫通孔34,35及びそれらに対応する締結穴61b,嵌合凸部61cは車体幅方向Wの中心直線上に配置され、吊下げボルト10の貫通を許容する挿通貫通孔34及び締結穴61bは、締結台座部32及び締結頭部61における車体前後方向Lの中心CPより車両前方f側に配置され、嵌合貫通孔35及び嵌合凸部61cは、挿通貫通孔34及び締結穴61bとは反対側の車両後方b側で、挿通貫通孔34及び締結穴61bより車体前後方向Lの中心CPからの距離が長くなるように配置している。
【0042】
車体側ブラケット40は、左側エンジンマウント1をフロント左サイドフレーム130に固定するためのブラケットであり、一枚の鋼製プレートをプレス成形し、両車体前後方向Lのそれぞれ2箇所にフロント左サイドフレーム130に固定するための固定ボルト131(バッテリーマウントブラケット300をフロント左サイドフレーム130に固定する固定ボルト131によって共締めされる)用のボルト孔42を備え、締結コア30の遊嵌を許容する遊嵌開口41を平面視内側に備えている。また、遊嵌開口41は形成する開口周縁部41aを下方に向ける曲下げ加工により形成している。
【0043】
なお、遊嵌開口41の車体前後方向Lの長さは、締結台座部32及び締結頭部61の車体前後方向Lの長さより一回り長く形成しているが、車体幅方向Wの長さは、締結台座部32及び締結頭部61の車体幅方向Wの長さより一回り長く、且つ締結本体部31の車体幅方向Wの長さより短く形成している。
【0044】
ストップラバー50は、平面視内側に締結頭部61の挿通を許容する挿通開口51を有し、マウントラバーブッシュ20の中空部23aに下方から嵌合する車体前後方向Lに長い平面視長方形枠形状に形成している。詳しくは、マウントラバーブッシュ20より高弾性のラバー材で長方形枠形状に形成し、両車体幅方向Wに配置した長辺50aを両車体前後方向Lの短辺50bより太く形成している。
【0045】
なお、挿通開口51の車体幅方向Wの幅は締結頭部61の車体幅方向Wの幅と略同一に形成しているが、挿通開口51の車体前後方向Lの長さを締結頭部61の車体前後方向Lの長さより長く形成し、側方間隙51aを隔てて締結頭部61が遊嵌するよう構成している。
【0046】
PT側ブラケット60は、上述の締結コア30の締結台座部32と締結される上部の締結頭部61と、車体前後方向Lの車両前方f及び車両後方b並びに車体幅方向Wの右側に裾が広がり、固定ボルト63によって変速機ケース120bに固定される3本の固定脚部62とで構成している。
【0047】
締結頭部61は、上述したように、締結台座部32の平面形状と略同一の車体前後方向Lに長い平面長方形状で形成され、上面61aには、挿通貫通孔34に対応する位置に配され、吊下げボルト10の螺入を許容する締結穴61bと、嵌合貫通孔35に対応する位置で、嵌合貫通孔35に挿入される嵌合凸部61cを備えている。
【0048】
なお、図5において、各構成部品の構成の説明を理解し易くすべく、すべてを分解して示しているが、マウントラバーブッシュ20は、締結コア30及び車体側ブラケット40の開口周縁部41aとモールディングして成形している。
【0049】
上述のような構成でそれぞれ構成された吊下げボルト10、マウントラバーブッシュ20、締結コア30、車体側ブラケット40、ストップラバー50及びPT側ブラケット60を組み付けて構成する左側エンジンマウント1の組み付けについて、図6から図9とともに説明する。
【0050】
なお、図6は左側エンジンマウント1のA−A断面図(図4参照)を示し、図7は左側エンジンマウント1のB−B断面図(図4参照)を示し、図8は左側エンジンマウント1のC−C端面図(図6,7参照)を示し、図9は左側エンジンマウント1のD−D端面図(図6,7参照)を示している。
【0051】
まず、締結コア30とPT側ブラケット60とは、上面61aの嵌合凸部61cが下方から嵌合貫通孔35に挿入され、ワッシャ12を装着した吊下げボルト10が、挿通貫通孔34を上方貫通して締結穴61bに螺入して、締結台座部32の底面と、締結頭部61の上面61aとが対向する態様で締結される。
【0052】
このとき、挿通貫通孔34は挿通される吊下げボルト10とは遊嵌しており、吊下げボルト10が螺合した締結穴61bとの螺合強度による、瓢箪凹部33に配されたボルトヘッド11の底面と瓢箪凹部33の底面33aとの摩擦により、締結頭部61と締結コア30との締結状態を保持している。
【0053】
また、締結台座部32及び締結頭部61における車体前後方向Lの中心CPから、挿通貫通孔34及び締結穴61bより離れた位置に配した嵌合凸部61c及び嵌合貫通孔35によって、締結頭部61と締結台座部32とに捩れ力が付加され、挿通貫通孔34及び締結穴61bを中心CPとした回転が生じようとした場合であっても、回転を防止でき、吊下げボルト10の螺合による締結コア30及び締結穴61bの締結状態に緩みが生じることを防止できる。
【0054】
このように、吊下げボルト10によって締結された締結コア30及び締結頭部61は、車体側ブラケット40の遊嵌開口41に挿入される。このとき、図7に示すようにマウントラバーブッシュ20、締結コア30及び遊嵌開口41の開口周縁部41aはモールディングされているため、締結コア30の下部である締結台座部32が遊嵌開口41の間に位置する高さで装着され、カバー部21にモールディングされた締結本体部31の車体前後方向Lの側方に隙間溝22a介してストッパ部22bが位置することとなる。
【0055】
なお、締結コア30及び締結頭部61の装着は、モールディングされたマウントラバーブッシュ20、締結コア30及び車体側ブラケット40の上方から吊下げボルト10によって締結頭部61と螺合することで、上記所定高さとなるように締結コア30と締結頭部61とを締結することができる。
【0056】
このように、一体化されたマウントラバーブッシュ20、締結コア30及び車体側ブラケット40に締結された締結頭部61の上部が、図9に示すように、車体幅方向Wは略密着するとともに、車体前後方向Lの側方に側方間隙51aを介して挿通開口51に遊嵌するように、ストップラバー50をスカート部23の中空部23aに装着する。
【0057】
側方間隙51aは、後述するエンジン回転方向Rの所定以上の回転力がPT側ブラケット60を介して左側エンジンマウント1に入力された場合に、締結頭部61が挿通開口51の内側周壁に接触する間隔に設定している。
【0058】
次に、このように構成され、及び上述したように組み付けられた本実施形態の左側エンジンマウント1の作用効果について説明する。
左側エンジンマウント1は、エンジン120aを有するパワートレイン120に固定されたPT側ブラケット60と、PT側ブラケット60の締結頭部61に吊下げボルト10で締結される締結コア30と、締結コア30の締結台座部32の高さ方向の一部を囲い、且つ弾性を有するマウントラバーブッシュ20を介して締結コア30を支持すると共に、フロント左サイドフレーム130に固定される車体側ブラケット40とを備え、締結コア30の下方のPT側ブラケット60が遊嵌する遊嵌開口41を車体側ブラケット40に備え、エンジン120aが回転するエンジン回転方向Rにおいて、遊嵌開口41とPT側ブラケット60との間に、マウントラバーブッシュ20を所定量以上変形させる荷重、例えば急激なクラッチミート等の反動のように、比較的大きなエンジン回転方向Rの回転力の付加により、遊嵌開口41とPT側ブラケット60とが当接する幅の開口隙間23bを形成した。
【0059】
これにより、左側エンジンマウント1は、PT側ブラケット60を介してパワートレイン120の変速機ケース120bを、上方から吊下げボルト10で吊下げ支持することができる。
【0060】
また、締結コア30の締結台座部32の高さ方向の一部を囲うように車体側ブラケット40の遊嵌開口41に遊嵌して配置しているため、上下方向の高さの低い、吊下げ方式の左側エンジンマウント1を構成することができる。したがって、上下方向の高さを低く形成したことによって、例えば左側エンジンマウント1の上方にバッテリーマウントブラケット300を設置し、バッテリーを装着するなど、空間制限されたエンジンルーム110の内部の空間を有効活用できる。
【0061】
しかし、左側エンジンマウント1の上下方向の高さを低く形成するため、締結コア30の締結台座部32の高さ方向の一部を囲うように車体側ブラケット40の遊嵌開口41に遊嵌して配置したため、例えば急激なクラッチミート等の反動のように、比較的大きなエンジン回転方向Rの回転力が左側エンジンマウント1に入力された場合、締結頭部61に対して螺合する吊下げボルト10によって締結された締結コア30が、車体側ブラケット40の遊嵌開口41の開口周縁部41aに強く接触して吊下げボルト10の螺合が緩む惧れがある。
【0062】
これに対し、本実施形態の左側エンジンマウント1は、上記大きなエンジン回転方向Rの回転力が左側エンジンマウント1に入力された場合にマウントラバーブッシュ20が所定量以上変形して、締結頭部61が遊嵌開口41の周縁部である開口周縁部41aに接触する幅の開口隙間23bを形成したため、回転力が締結頭部61から開口周縁部41aを介して車体側ブラケット40に入力され、締結頭部61に対して螺合する吊下げボルト10によって締結された締結コア30が車体側ブラケット40の遊嵌開口41の開口周縁部41aに接触することによる吊下げボルト10の螺合の緩みが生じるのを防止している。
【0063】
なお、締結コア30と締結頭部61の締結部分付近、すなわち締結頭部61の上面61aと対向する締結台座部32の底面による境界付近が遊嵌開口41の高さに位置するよう、締結コア30及びPT側ブラケット60を配置してもよい。
【0064】
また、締結コア30の下方におけるPT側ブラケット60と遊嵌開口41との間の間隙41bに、詳しくは、スカート部23の中空部23aに嵌合するストップラバー50を配設するとともに、ストップラバー50をマウントラバーブッシュ20よりも硬質な弾性を有するラバー材で構成したため、締結頭部61から開口周縁部41aを介した車体側ブラケット40へ回転力の伝達に際して、ストップラバー50の硬質な弾性により、回転力の荷重伝達性能を向上することができる。
したがって、大きな回転力の入力によって締結コア30が車体側ブラケット40に接触して吊下げボルト10の螺合が緩むことをより確実に防止することができる。
【0065】
なお、マウントラバーブッシュ20のスカート部23の中空部23aにバネ定数の異なるストップラバー50を装着したことによって、マウントラバーブッシュ20自体のバネ定数を変更することなく、所望部位のバネ定数を容易に調整することができる。
【0066】
また、締結コア30と、締結コア30と締結されるPT側ブラケット60の上部である締結頭部61とを、エンジン回転方向R、すなわち車体前後方向Lに長い平面視長方形形状に形成し、締結コア30に、吊下げボルト10の挿通を許容する挿通貫通孔34と、締結頭部61と対向する側に配置した嵌合貫通孔35とを、平面視中心CPからエンジン回転方向Rである車体前後方向Lに離間した位置に設け、PT側ブラケット60の締結頭部61におけるそれぞれの対応位置に、吊下げボルト10の螺入を許容する締結穴61bと、嵌合貫通孔35に嵌合する嵌合凸部61cとを設け、挿通貫通孔34及び締結穴61bを、嵌合貫通孔35及び嵌合凸部61cよりも平面視中心CP側に配置したことにより、締結コア30と締結頭部61との締結を確実にすることができる。
【0067】
詳しくは、パワートレイン120から入力されるエンジン回転方向Rの大加重に対して、締結コア30及び締結頭部61を、エンジン回転方向Rに長く形成しているため、エンジン回転方向Rの大加重に対して十分に対抗できる締結状態を確保することができる。
また、フロント左サイドフレーム130に固定される車体側ブラケット40から締結コア30を支持するマウントラバーブッシュ20の剪断方向の弾性力によって、十分なクッション性を有する態様で支持することができる。
【0068】
また、締結コア30と締結頭部61とを、エンジン回転方向Rに長く形成し、吊下げボルト10の挿通を許容する挿通貫通孔34と、締結頭部61と対向する側に配置した嵌合貫通孔35とを、平面視中心CPからエンジン回転方向Rに離間した位置に設けたことによって、エンジン回転方向Rに対して交差する方向、すなわち本実施例における車体幅方向Wの振動等の加重による捩れに対するパワートレイン120の拘束力を向上できる。
【0069】
さらにまた、嵌合貫通孔35よりも平面視中心CP側に挿通貫通孔34を配置したことによって、締結コア30と締結頭部61との締結力の偏りを抑えることができる。
このため、締結コア30と締結頭部61との締結がより堅固となる吊下げ支持を実現することができる。
【0070】
また、挿通貫通孔34を挿通し、締結コア30を上下方向に貫通する吊下げボルト10の上部にボルトヘッド11を設け、ボルトヘッド11と、締結コア30の瓢箪凹部33の底面33aとの間の摩擦により、PT側ブラケット60と締結コア30との締結力を保持するため、吊下げボルト10によって、PT側ブラケット60と締結コア30との締結力を保持することができる。
【0071】
このため、PT側ブラケット60と締結コア30とを容易に、且つ確実に締結することができる。また、締結コア30とPT側ブラケット60とを締結する締結作業を、左側エンジンマウント1の上方からの吊下げボルト10の螺入作業によって実現できるため、左側エンジンマウント1の締結作業の作業性能を向上することができる。
【0072】
なお、本実施例において、締結コア30の上方から挿通貫通孔34に挿入し、締結頭部61の締結穴61bに螺入する、上部にボルトヘッド11を設けた吊下げボルト10を用いて締結コア30とPT側ブラケット60とを締結したが、締結頭部61の上面61aに上方に突出するボルトを溶接してウェルドボルトを設置し、挿通貫通孔34に該ウェルドボルトを下から挿通し、瓢箪凹部33で、締結手段であるナットで上から螺合して、締結コア30とPT側ブラケット60とを締結してもよい。
【0073】
また、締結コア30と車体側ブラケット40との間におけるエンジン回転方向Rに間隙41bを設けると共に、締結コア30及び車体側ブラケット40の接近を規制するストッパ部22bを設けているため、遊嵌開口41とPT側ブラケット60とが当接する程度のエンジン回転方向Rの大荷重より大きな加重により、マウントラバーブッシュ20がさらに変形した場合であっても、ストッパ部22bによって、締結コア30及び車体側ブラケット40の接近が規制されるため、締結コア30から車体側ブラケット40への直接的で伝達荷重のピークが高い振動伝達を規制し、PT側ブラケット60と締結コア30との締結力の低下、すなわち、締結状態に緩みが生じることを防止している。
このため、PT側ブラケット60と締結コア30との締結状態の保持性能を向上することができる。
【0074】
さらに、パワートレイン120のエンジン120aを車両100の車体前後方向Lに対して車体幅方向Wとなるよう横置き配置し、マウントラバーブッシュ20における、車体側ブラケット40と締結コア30との間におけるエンジン回転方向Rに隙間溝22aを有し、エンジン回転方向Rに直交する車体幅方向Wに締結コア30の締結本体部31の底側斜面31aを支持する支持面22cを設けているため、フロント左サイドフレーム130に固定される車体側ブラケット40から締結コア30を支持するマウントラバーブッシュ20のエンジン回転方向Rに直交する車体幅方向Wにおいて、締結コア30の締結本体部31の底側斜面31aを遊びなく支持面22cで支持し、車体幅方向Wの負荷が生じる旋回時等において、慣性力の高い、すなわち重量の重いパワートレイン120を、エンジン回転方向Rに直交する車体幅方向Wに遊びなく支持することができる。このため、車両旋回時の剛性感を向上することができる。
【0075】
さらにまた、マウントラバーブッシュ20には、車体側ブラケット40と締結コア30との間におけるエンジン回転方向Rに隙間溝22aを形成しているため、締結コア30から車体側ブラケット40への振動伝達をさらに規制し、PT側ブラケット60と締結コア30との締結力の低下、すなわち、締結状態に緩みが生じる可能性はさらに低減している。
【0076】
さらにまた、遊嵌開口41の車体前後方向Lの長さを、締結台座部32及び締結頭部61の車体前後方向Lの長さより一回り長く形成し、車体幅方向Wの長さを、締結台座部32及び締結頭部61の車体幅方向Wの長さより一回り長く、且つ締結本体部31の車体幅方向Wの長さより短く形成しているため、支持状態における上記効果を得ることができるとともに、例えば、締結コア30とモールディングされたマウントラバーブッシュ20が劣化し、支持不能な状態となった場合であっても、締結本体部31が遊嵌開口41に係止し、締結コア30が車体側ブラケット40から抜け落ちることを防止できる。
【0077】
また、締結コア30を、鋳鉄ブロックで構成したため、制振性の高い鋳鉄ブロックをコンパクトに配設することになる。詳しくは、回転中心となるパワートレイン120から回転方向に離れた位置に有る締結コア30を、比重の高い鋳鉄ブロックで構成することにより、共振調整を容易に行うことができる。
【0078】
また、自身の減衰性能が高い鋳鉄ブロックで締結コア30を構成することにより、制振性能を向上することができる。したがって、ダイナミックダンパーを備えたエンジンマウント構造と同様の制振効果を有するエンジンマウント構造を得ることができる。
【0079】
さらにまた、鍛造ブロックで締結コア30を構成した場合と比較して、表面粗度の違いから上記マウントラバーブッシュ20との接着性を向上することができる。このため、マウントラバーブッシュ20接着性と制振性の高い鋳鉄ブロック製の締結コア30をコンパクトに配設でき、スペース性能をさらに向上することができる。
【0080】
このように、本実施形態の左側エンジンマウント1は、上下方向にコンパクトに構成することによって、空間制限されたエンジンルーム110内においてスペースを有効利用できるとともに、急激なクラッチミート等によってエンジン回転方向Rの大加重がPT側ブラケット60を介して左側エンジンマウント1に入力された場合であっても、吊下げボルト10を介してPT側ブラケット60の締結頭部61に締結される締結コア30の荷重伝達における負担を軽減して、吊下げボルト10による締結コア30の弛みを防止でき、エンジン120aを有するパワートレイン120を確実に吊下げ支持することができる。
【0081】
以上、この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
この発明の被支持部材は、PT側ブラケット60に対応し、
以下、同様に、
被支持部材上部は、締結頭部61に対応し、
ネジ部材は、吊下げボルト10に対応し、
締結部材は、締結コア30に対応し、
ブッシュは、マウントラバーブッシュ20に対応し、
車体は、フロント左サイドフレーム130に対応し、
車体側支持部材は、車体側ブラケット40に対応し、
自動車のエンジンマウント構造は、左側エンジンマウント1に対応し、
開口部は、遊嵌開口41に対応し、
隙間は、開口隙間23bに対応し、
ストッパ部材は、ストップラバー50に対応し、
締結孔は、挿通貫通孔34に対応し、
嵌合部は、嵌合貫通孔35に対応し、
締結部は、締結穴61bに対応し、
被嵌合部は、嵌合凸部61cに対応し、
締結部材の上面は、瓢箪凹部33の底面33aに対応し、
隙間は、間隙41bに対応し、
上側ストッパ部は、ストッパ部22bに対応し、
空洞部は、隙間溝22aに対応し、
エンジン回転方向に直交する方向は、車体幅方向Wに対応し、
支持部は、支持面22cに対応し、
ブッシュを所定量以上変形させる荷重は、急激なクラッチミート等の反動による回転力に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる吊下げ方式のエンジンマウントに適用する実施形態を含むものである。
例えば、締結コア30をアルミ等の軽量な金属で形成し、ダイナミックダンパーを備えて制振効果を向上させたエンジンマウント構造でこの発明を実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の左側エンジンマウントの斜視図。
【図2】車両の斜視図による左側エンジンマウントについての説明図。
【図3】車両に設置された状態の左側エンジンマウントの前後方向断面図。
【図4】車両に設置された状態の左側エンジンマウントの平面図。
【図5】左側エンジンマウントの分解斜視図。
【図6】左側エンジンマウントのA−A断面図。
【図7】左側エンジンマウントのB−B断面図。
【図8】左側エンジンマウントのC−C端面図。
【図9】左側エンジンマウントのD−D端面図。
【符号の説明】
【0083】
1…左側エンジンマウント
10…吊下げボルト
11…ボルトヘッド
20…マウントラバーブッシュ
22a…隙間溝
22b…ストッパ部
22c…支持面
23b…開口隙間
30…締結コア
33…瓢箪凹部
33a…底面
34…挿通貫通孔
35…嵌合貫通孔
40…車体側ブラケット
41…遊嵌開口
41b…間隙
50…ストップラバー
60…PT側ブラケット
61…締結頭部
61b…締結穴
61c…嵌合凸部
120…パワートレイン
120a…エンジン
130…フロント左サイドフレーム
R…エンジン回転方向
W…車体幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを有するパワートレインに固定された被支持部材と、
該被支持部材上部に、ネジ部材を介して締結される締結部材と、
該締結部材の上下方向における少なくとも一部、もしくは該締結部材と前記被支持部材上部の締結部分付近を囲い、且つ弾性を有するブッシュを介して該締結部材を支持すると共に、車体に固定される車体側支持部材とを備えた自動車のエンジンマウント構造において、
前記車体側支持部材に、前記締結部材の下方から、前記被支持部材が遊嵌する開口部を備え、
前記エンジンが回転するエンジン回転方向において、
該開口部と前記被支持部材との間に、前記ブッシュを所定量以上変形させる荷重の付加により、前記開口部と前記被支持部材とが当接する幅の隙間を形成した
自動車のエンジンマウント構造。
【請求項2】
前記締結部材の下方における前記被支持部材と前記開口部との間の前記隙間に、前記ブッシュよりも硬質な弾性を有するストッパ部材を配設した
請求項1に記載の自動車のエンジンマウント構造。
【請求項3】
前記締結部材と、該締結部材と締結される前記被支持部材上部との夫々を、前記エンジン回転方向に長く形成し、
前記締結部材に、前記ネジ部材の挿通を許容する締結孔と、前記被支持部材上部と対向する側に配置した嵌合部とを、平面視中心からエンジン回転方向に離間した位置に設け、
前記被支持部材上部におけるそれぞれの対応位置に、
前記ネジ部材を構成する締結部と、前記嵌合部に嵌合する被嵌合部とを設け、
前記締結孔を、前記嵌合部よりも平面視中心側に配置した
請求項1または2に記載の自動車のエンジンマウント構造。
【請求項4】
前記ネジ部材を、前記締結孔を挿通し、前記締結部材を上下方向に貫通する1本のボルトで構成し、
前記ボルトの上部に設けられたボルトヘッドまたは前記ボルト上部と螺合するナットと、前記締結部材の上面との間の摩擦により、前記被支持部材と前記締結部材との締結力を保持する
請求項3に記載の自動車のエンジンマウント構造。
【請求項5】
前記締結部材と前記車体側支持部材との間における前記エンジン回転方向に隙間を設けると共に、前記締結部材及び前記車体側支持部材の接近を規制する上側ストッパ部を設けた
請求項1から4のうちいずれかに記載の自動車のエンジンマウント構造。
【請求項6】
前記パワートレインのエンジンを横置きエンジンで構成し、
前記ブッシュには、
前記車体側支持部材と前記締結部材との間における前記エンジン回転方向に空洞部を有し、前記エンジン回転方向に直交する方向に前記締結部材の支持部を設けた
請求項1から5のうちいずれかに記載の自動車のエンジンマウント構造。
【請求項7】
前記締結部材を、鋳鉄ブロックで構成した
請求項1から6のうちいずれかに記載の自動車のエンジンマウント構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−115987(P2010−115987A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289381(P2008−289381)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】