自動車のフロア構造
【課題】コストや軽量化を十分に満足させつつ、低床化でき、しかも車室下部の剛性を十分に向上できるようする。
【解決手段】車室下部に、フロアパネル50と、前後方向に伸びるフロアフレーム41、42と、フロアフレーム41,32上において車幅方向に伸びるクロスメンバ31〜33とを有する。フロアフレーム41,42は、パイプ状に形成されて、その上面がフロアパネル50と略面一となるフロア面を構成すると共に、フロアパネル50の下方へ突出するようにしてフロアパネル50と接合される。クロスメンバ31〜33は、フロアパネル50の上方に突出するように配設されると共に、フロアフレーム41,42に対して直接接合される。クロスメンバ31〜33をパイプ状に形成することもできる。
【解決手段】車室下部に、フロアパネル50と、前後方向に伸びるフロアフレーム41、42と、フロアフレーム41,32上において車幅方向に伸びるクロスメンバ31〜33とを有する。フロアフレーム41,42は、パイプ状に形成されて、その上面がフロアパネル50と略面一となるフロア面を構成すると共に、フロアパネル50の下方へ突出するようにしてフロアパネル50と接合される。クロスメンバ31〜33は、フロアパネル50の上方に突出するように配設されると共に、フロアフレーム41,42に対して直接接合される。クロスメンバ31〜33をパイプ状に形成することもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車においては、車室下部にフロアパネルを有して、このフロアパネルの下面に前後方向に伸びるフロアフレームを接合する一方、フロアパネルの上面に車幅方向に伸びるクロスメンバを接合している。そして、フロアフレームおよびクロスメンバ共に、フランジ部を有する断面ハット状に形成されて、フロアパネルと共働して閉断面を構成している。このようなフロアフレームやクロスメンバによって、車室下部の剛性が確保される。
【0003】
特許文献1には、フロアフレームに、前後方向に間隔をあけて複数の係合辺部を上方へ突出して形成する一方、フロアパネルには係合辺部が嵌合される複数のスリットを形成して、フロアパネルとフロアフレームとの接合強度を高めたものが開示されている。ただし、この特許文献1のものでは、クロスメンバについては開示されていないものとなっている。
【0004】
特許文献2には、フロアパネルの下面に前後方向に伸びる断面ハット状の下フロアフレームを接合すると共に、フロアパネルの上面に車幅方向に伸びる断面ハット状のクロスメンバを接合したものにおいて、フロアパネルの上面に、前後方向に伸びる断面ハット状の上フロアフレームを接合して、上下のフロアフレームによってフロアパネルを挟んだ構造のものが開示されている。
【特許文献1】特開平11−208525号公報
【特許文献2】実開昭61−058173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フロアパネルとフロアフレームとクロスメンバとを有する車室下部を、安全性向上等の観点からさらに剛性を高めることや、燃費向上等のためにさらに軽量化することが望まれている。このため、車体強度部材としてのフロアフレームやクロスメンバはもとより、フロアパネルをも高張力鋼板によって形成することが考えられるが、この場合は、コスト高となるばかりでなく、剛性向上も十分に満足のいくものとはならない。なお、特許文献1に記載のものでは、フロアフレームとフロアパネルとの接合強度が向上されるだけで、クロスメンバが存在しないこともあって、車室下部の剛性向上を十分に行うことは到底不可能である。また、特許文献2に記載ものでは、上フロアフレームを別途設ける分だけ部品点数、コスト、重量が増加してしまうことになり、またフロア上面に上フロアフレームによる凹凸が形成されて、車室としての使い勝手が悪いばかりか、低床化という点でも好ましくないものとなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、コストや軽量化を十分に満足させつつ、低床化でき、しかも車室下部の剛性を十分に向上できるようにした自動車のフロア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
車室下部に、フロアパネルと、前後方向に伸びるフロアフレームと、前記フロアフレーム上において車幅方向に伸びるクロスメンバと、を備えた自動車のフロア構造であって、
前記フロアフレームは、パイプ状に形成されて、その上面が前記フロアパネルと略面一となるフロア面を構成すると共に、前記フロアパネルの下方へ突出するようにして前記フロアパネルと接合され、
前記クロスメンバは、前記フロアパネルの上方に突出するように配設されると共に、前記フロアフレームに対して直接接合されている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、フロアフレームを極めて剛性の高いパイプ状としつつ、車体強度部材としてのフロアフレームとクロスメンバとを直接接合するようにしたので、軽量化を図りつつ車室下部の剛性を飛躍的に高めることができる。特に、前後方向に伸びるフロアフレームと車幅方向に伸びるクロスメンバとが直接接合されていることにより、衝突時における前後方向の荷重や車幅方向の荷重を前後左右の両方向に分散して、前後および側方からの衝突対応の上で好ましいものとなる。また、フロアフレームとクロスメンバとの直接接合によって、フロアフレームの上面があたかもフロアパネルの一部を構成するようにしてあるので、フロアパネルの厚さ分だけ低床化することができる。勿論、フロアフレームはフロアパネルの下面に突出し、クロスメンバはフロアパネルの上面に突出するという従来一般的な構造となっているので、大幅な設計変更を要することなく車室下部を構成することができる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記フロアフレームは、その上面が他の面よりも薄肉に形成されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、フロアフレームの上面を薄肉にして、より軽量化を図ることができる。なお、フロアフレームの上面にクロスメンバが直接接合されているので、前突荷重に対してフロアフレームは上方へ曲がりにくくなるので、フロアフレームの上面を薄肉にしても剛性確保の点で問題のないものである。
【0010】
前記クロスメンバは、その下面が他の面よりも薄肉とされたパイプ状に形成されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、クロスメンバそのものを軽量化を図りつつその剛性を向上させることができ、車室下部の軽量化および剛性向上の上でより一層好ましいものとなる。また、クロスメンバの下面の薄肉にして、より軽量化を図ることができる。なお、フロアフレームの上面にクロスメンバが直接接合されているので、側突荷重に対してクロスメンバは上方へ曲がりにくくなるので、クロスメンバの下面を薄肉にしても剛性確保の点で問題のないものである。
【0011】
前記フロアパネルは、前記フロアフレームの上面または前記クロスメンバの下面のいずれか一方の面の縁部に対して接合され、
前記フロアパネルは、前記一方の面の幅方向中間部に対応する位置に切欠部が形成され、
前記フロアパネルは、前記フロアフレームと前記クロスメンバのうち前記一方の面に対して他方の面を有する部材となる他方の部材の側面に対して接合されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、フロアパネルを上方からあるいは下方から位置決めして、フロアフレームおよびクロスメンバに接合することができて、製造が容易となる。また、フロアパネルの剛性上無駄になる部分を切欠部とすることによって、より軽量化を図ることができる。なお、一方の面の中間部を境にしてフロアパネルを分割構成することも可能となって、分割構成とした場合は、フロアパネルを大型の1枚の板材で形成する必要がなくなって、取扱いの容易化や剛性および強度の最適化等の上でも好ましいものとなる。
【0012】
前記フロアフレームと前記クロスメンバとは、それぞれ、前記フロアパネルを構成する鋼板よりも高張力の鋼板からなるパイプ材をハイドロフォーミングすることによって形成されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、フロアフレームおよびクロスメンバそのものを剛性を十分に高めつつ、その成形を容易に行うことができる。また、高価な高張力の鋼板を剛性向上効果が小さいフロアパネルに用いずに強固なフレーム構造を形成できる。
【0013】
前記フロアフレームは、車幅方向に間隔をあけて複数本設けられている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、複数本のフロアフレームとこれに交差するクロスメンバとによって、強度部材が格子状に配置されることとなって、フロアフレーム1本あたりの断面積を小さくしながら剛性を維持し、さらに低床化することができる。
【0014】
車室下部のうち車幅方向中間部に、前後方向に伸びるトンネル部を有し、
前記トンネル部を挟んで、前後方向に伸びる左右一対のサイドシルを有し、
前記フロアフレームは、前記トンネル部を挟んで少なくとも左右一対設けられ、
前記クロスメンバは、前記トンネル部を横断して前記左右一対のサイドシル同士を連結すると共に、該左右一対のサイドシル間の全長に渡ってパイプ状に形成されており、
前記フロアパネルは、車幅方向において、前記トンネル部を構成する1つの中央パネル部材と、該中央パネル部材を挟んで左右一対の外側パネル部材との分割構成とされ、
車幅方向に隣り合う前記パネル部材の各対向縁部がそれぞれ、前記フロアフレームの上面に載置された状態で前記フロアフレームの上面に接合されている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、トンネル部を有する一般的な車室下部と同様の構造を採択しつつ、クロスメンバが、左右一対のサイドシル間の全長に渡ってパイプ状に存在するので、トンネル部の補強はもとより、車室下部の全体的な剛性をさらに向上させる上で好ましいものとなる。また、従来は極めて大型部材であるフロアパネルを車幅方向に複数の分割構成として、その製造や取扱いが容易になる。さらに、中央パネル部材と外側パネル部材とは、フロアフレームの幅寸法の範囲内で車幅方向の位置調整が可能なので(寸法公差を吸収することができるので)、製造をより一層容易に行う上で好ましいものとなる。
【0015】
前記フロアフレームは、前記トンネル部と左側の前記サイドシルとの間および前記トンネル部と右側の前記サイドシルとの間においてそれぞれ、前記トンネル部に近い内側フロアフレームおよび前記サイドシルに近い外側フロアフレームの2本づつ設けられ、
前記クロスメンバが、車幅方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記フロアパネルは、前記左右一対の内側フロアフレームの部分において、前記中央パネル部材と外側パネル部材とに分割され、
前記外側パネル部材は、前記外側フロアフレーム部分において前記切欠部を有して、該切欠部の開口縁部が前記外側フロアフレームの上面に対して接合されている、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、複雑形状となる中央パネル部材の車幅方向寸法を極力小さくして、その製造を容易にする上で好ましいものとなる。また、フロアパネルのうち外側フロアフレームに対応した位置には切欠部を形成して、軽量化の上でさらに好ましいものとなる。さらに、複数本のフロアフレームとこれに交差する複数本のクロスメンバとによって、強度部材が格子状に配置されることとなって、フロアフレーム1本あたりの断面積を小さくしながら剛性を維持し、さらに低床化することができる。また、フロアパネルの支持部が増加することとなって、フロアパネルを薄肉軽量化できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コストや軽量化を十分に満足させることができ、低床化でき、しかも車室下部の剛性を十分に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明が適用された自動車の骨格部分を示すもので、図1では右側部分のみを示してあるが、左右対称構造に形成されているものである。図中1は、フロントピラーである(フロントピラー1の下部はヒンジピラーと称されることもある)このフロントピラー1の前端部のうち、ベルトライン付近の高さ位置から、エプロンレインフォースメント2が前方へ向けて延設されている。また、フロントピラー1の下端部付近からは、フロントサイドフレーム3が前方へ向けて延設されている。このエプロンレインフォースメント2には、フロントピラー1の近傍において、図示を略すサスペンションダンパが取付けられるサスペンション支持部材4によって連結されている。このサスペンション支持部材4とフロントサイドフレーム3とは、図示を略す前輪用の本体ハウジングによって連結されている。
【0018】
前記フロントサイドフレーム3は、その後端部が、車幅方向に伸びる強度部材5に連結され、また直接的あるいはトルクボックスを介して、フロントピラー1の下端部に連結されている。左右一対のフロントピラー1同士は、ベルトラインよりも若干低い位置において、車幅方向に伸びるステアリングハンドル支持部材6によって連結されている。また、左右一対のサスペンション支持部材4の後端部同士は、車幅方向に伸びる閉断面状のレインフォースメント7によって連結されている。さらに、左右一対のフロントピラー1の下端部付近同士が、車幅方向に伸びる閉断面状のレインフォースメント8によって補強されている。このレインフォースメント8は、後述する車室フロア部に構成される前後方向に伸びるトンネル部を跨ぐようにして配設されている。
【0019】
前記フロントピラー1の下端部には、前後方向に伸びる閉断面状の強度部材としてのサイドシル10の前端部が連結されている。また、フロントピラー1の上端部には、前後方向に伸びる閉断面状のルーフサイドレール11の前端部が連結されている。サイドシル10の後端部には、一旦上後方へ傾斜しつつ伸びた後に後方へ伸びる閉断面状の強度部材12の前端部が連結されている。この強度部材12の車幅方向内方側において、前後方向に伸びる閉断面状のリヤサイドフレーム13が配設されている。リヤサイドフレーム13の前端部は、サイドシル10の後端部に対して、連結部材14を介して連結されている。
【0020】
サイドシル10とルーフサイドレール11とは、センタピラー21によって連結されている。また、強度部材12とルーフサイドレール11とが、連結部材22によって連結されている。さらに、強度部材12とリヤサイドフレーム13とが、連結部材23によって連結されると共に、連結部材23の後方でもって互いに連結されている。
【0021】
左右一対のサイドシル10同士は、車幅方向に伸びるクロスメンバ31,32,33によって連結されている。前後方向位置において、クロスメンバ31はフロントピラー1とセンタピラー21との間に位置され、クロスメンバ32はセンタピラー1に位置され、クロスメンバ33は強度部材12の前端部付近に位置される。また、クロスメンバ33の下面には、リヤサイドフレーム13の前端部が連結されている。
【0022】
左右一対のリヤサイドフレーム13同士は、クロスメンバ34,35によって連結されている。左右一対の強度部材12の後端部同士が、クロスメンバ36によって連結されている。このクロスメンバ36とリヤサイドフレーム13の後端部とが、連結部材24によって連結されている。
【0023】
フロントピラー1とセンタピラー21との間の側方開口部S1が、前席用の乗降開口部とされる。また、センタピラー21と強度部材12との間の側方開口部S2が、後席用の乗降開口部とされる。そして、ほぼクロスメンバ34から前方空間が乗員用の車室とされる一方、その後方空間が荷室用とされ、実施形態では、ワゴン車用の荷室として設定されている。
【0024】
図1中、41,42は、それぞれ、前後方向に伸びるフロアフレームである。フロアフレーム41と42とは、互いに車幅方向に間隔をあけて配置されて、41が車幅方向内側に位置する内側フロアフレームとされ、42が車幅方向外側に位置する外側フロアフレームとされる。この各フロアフレーム41,42は、後述するトンネル部を境にして左右一対設けられる(合計で4本)。
【0025】
内側のフロアフレーム41は、その前端部が強度部材5に連結され、その後端部がクロスメンバ33の下面に連結される。また、外側のフロアフレーム42は、その前端部が強度部材5に連結され、その後端部がリヤサイドフレーム13の前端部に連結されている。
【0026】
前述した強度部材となる少なくともクロスメンバ31〜33およびフロアフレーム41,42は、それぞれ高張力鋼板によってパイプ状に形成されている。より具体的には、高張力鋼板からなるパイプ材をハイドロフォーミングによって所定の断面形状となるように形成されている。なお、実施形態では、サイドシル10も高張力鋼板によるパイプ材をハイドロフォーミングすることによって形成されている。勿論、フロアフレーム41,42やクロスメンバ31〜33を構成する高張力鋼板は、フロアパネルを構成する鋼板よりも高張力とされている。
【0027】
各フロアフレーム41,42は、後述するようにして、クロスメンバ31〜33の下面に対して接合されている。前後方向に伸びる合計4本のフロアフレーム41,42と車幅方向に伸びる合計3本のクロスメンバ31〜33によって、車室下部は、強度部材による格子状構造とされて、車室下部の剛性が飛躍的に向上されている。また、フロアフレーム41、42,クロスメンバ31〜33は、高張力鋼板によってパイプ状とされているので、剛性向上を図りつつも、軽量化の上でも好ましいものとなっている。
【0028】
ここで、図2〜図5を参照しつつ、フロアフレーム41,42とクロスメンバ31〜33との接合について詳述するが、図2はフロアフレームとクロスメンバとの連結部位を上方から見た斜視図、図3はこの連結部位を下方から見た方斜視図、図4は図3のX4−X4線相当断面図、図5は上記連結部位を上方から見た平面図である。なお、フロアフレーム41,42に対するクロスメンバ31〜33の接合は同じように行われているので、クロスメンバ32の接合を例にして説明する。
【0029】
まず、フロアフレーム41,42の上面にクロスメンバ31〜33が載置されるが、その交差箇所に形成される前後左右の4合計箇所において、接合(実施形態では連続溶接)されている。すなわち、図2に示すように、クロスメンバ32がフロアフレーム41,42と重なる位置において、クロスメンバ32の側面下部となる前後2箇所がフロアフレーム41,42の上面に対して接合され、この接合箇所が符合αで示される。なお、図2では、前側の接合箇所αのみが示されるが、クロスメンバ32の後面下部も接合箇所αが形成される。
【0030】
一方、クロスメンバ32の下面側においては、図3、図4に示すように、フロアフレーム41,42の側面上部が、クロスメンバ32の下面に対して、接合箇所βで接合されている。なお、図3では、車幅方向内方側の接合箇所βのみが示されるが、フロアフレーム41,42の車幅方向外側の側面上部も接合箇所βが形成される。このような接合箇所βと前記接合箇所αとを、クロスメンバ32の上方から見たときの状態が、図7に示される。
【0031】
ここで、図4に示すように、フロアフレーム41,42の上面は、他の面よりも薄肉とされている。このように上面のみを薄肉に形成するには、例えば、あらかじめ例えばテーラドブランクによって上面に相当する部分として薄肉の高張力鋼板を用い、他の面を構成する部分を厚肉の高張力鋼板で形成したパイプ材を形成しておき、その後例えばハイドロフォーミングによって所望の断面形状に形成すればよい。同様に、クロスメンバ32の下面も、他の面に比して薄肉として形成されている。このようなクロスメンバ32の形成は、上述したフロアフレーム41,42の形成手法を用いて形成することができる。なお、フロアフレーム41,42とクロスメンバ32とは上下に重なった状態で直接接合されているので、それぞれ上方へは曲げにくいものとなって、上記のように互いの当接面をそれぞれ薄肉としても曲げ剛性確保の点で問題はないものである。
【0032】
次に、図1に示す車体の骨格構造に対してフロアパネルが取付けられた状態について、図2〜図9を参照しつつ説明するが、図6、図7はそれぞれフロアフレームとクロスメンバとフロアパネルとの接合構造を示す一部断面斜視図であり、図8はこの接合構造を示す一部断面簡略斜視図、図9は図8の分解斜視図である。
【0033】
まず、フロアパネルが符合50で示されるが、フロアパネル50は、車幅方向において3分割されると共に、前後方向で3分割されて、合計で9枚の分割パネル部材によって構成される。すなわち、クロスメンバ32と33との間において、車幅方向においては、特に図8、図9に示すように、前後方向に伸びると共に上方へ凸となったトンネル部Tを構成している中央パネル部材61Aと、その車幅方向外側に位置される左右一対の外側パネル部材61Bによって、フロアパネル50の後部分が構成されている。同様に、クロスメンバ32と31との間においては、中央パネル部材62Aと、その車幅方向外側に位置する左右一対の外側パネル部材62Bによって、フロアパネル50の前後方向中間部分が構成されている。同様に、クロスメンバ31よりも前方部分は、中央パネル部材(図示を略す)と、その車幅方向外側に位置する左右一対の外側パネル部材63B(図6参照)によってフロアパネル50の前部分が構成されている。
【0034】
クロスメンバ32と33との間に配置される中央パネル部材61Aの車幅方向外方側縁部は、内側フロアフレーム41の上面のうち車幅方向内方側の縁部(トンネル部Tに近い側)に載置、接合されている(接合は例えばスポット溶接、連続溶接、接着材による接着のいずれでもよく、このことは各パネル部材の他の部分の接合についても同じ)。また、中央パネル部材61Aの前縁部のうち車幅方向中央部位は、クロスメンバ32の上面のうち後側縁部に載置、接合されて、略フラットなトンネル上面を形成している(クロスメンバ32の後側面に当接、接合させるようにしてもよい)。中央パネル部材61Aの後縁部は、クロスメンバ33の前側面に当接、接合されている。
【0035】
クロスメンバ32と33との間に配置される外側パネル部材61Bの車幅方向内方側縁部は、内側フロアフレーム41の上面のうち車幅方向外方側縁部に載置、接合されている。また、外側パネル部材61Bの車幅方向外側縁部は、サイドシル10の内側面に当接、接合されている。外側パネル部材61Bの前縁部は、クロスメンバ32の後側面に当接、接合されている。外側パネル部材61Bの後縁部は、クロスメンバ33の前側面に当接、接合されている。
【0036】
外側パネル部材61Bのうち、外側フロアフレーム42上に位置する部分は、前後方向に細長く伸びるスリット状の切欠部61aが形成されて、この切欠部61aの縁部が、外側フロアフレーム42の上面に接合されている。切欠部61aの形成によって軽量化され、また切欠部61aの縁部を外側フロアフレーム42に対して接合することによって、接合箇所(接合面積)の増大となって、外側パネル部材61bと外側フロアフレーム42との接合強度向上が図られる。
【0037】
中央パネル部材61Aと外側パネル部材61Bとは、内側フロアフレーム41の上面上において、車幅方向に小間隔を有しているので(切欠部の形成と考えることもできる)、各パネル部材61Aと61Bとの車幅方向の寸法誤差を、内側フロアフレーム41上でもって吸収することができる(寸法公差を厳しくすることなくフロアパネル50を構成することが可能となる)。
【0038】
なお、前述した3つのパネル部材61A、61Bのクロスメンバ32,33やサイドシル10に対する接合構造は、クロスメンバ32と31との間のパネル部材62A、62Bや、クロスメンバ31よりも前方にあるパネル部材63B等についても同様なので、その重複した説明は省略する。
【0039】
ここで、フロアパネル50(各パネル部材61A、61B、62A、62B等)は、フロアフレーム41,42の上面と略面一となって、フロアフレーム41,42のうち切欠部61aが存在する部分は上面が車室内(上方)に露出して、実質的にフロアパネル50の一部を構成することになる。そして、フロアフレーム41,42はフロアパネル50の下方に突出し、クロスメンバ31〜33はフロアパネル50の上方へ突出した構造となって、断面ハット状のフロアフレームやクロスメンバを用いた既存の車室下部構造と同様な構造となり、車体の大幅な設計変更を考慮しなくてもすむことになる。
【0040】
また、61A、61B等の各パネル部材の車体への設置作業や接合作業を行う際には、この作業を全てフロアフレーム41,42やクロスメンバ31〜33の上方から行うことが可能となって、組付作業性の点においても極めて好ましいものとなっている。
【0041】
ここで、クロスメンバ31〜33のサイドシル10に対する接合は、例えば突き当て溶接によって行うことがきるが、次のような接合構造を採択するのが好ましい。すなわち、クロスメンバ32に着目して説明すると、サイドシル10とクロスメンバ32との接合部分を分解して示す図10において、クロスメンバ32の車幅方向外側端縁部には、上面および前後側面からそれぞれ車幅方向外側に向けて伸びる係合凸辺部70a、70b、70cが一体的に形成される。一方、サイドシル10の車幅方向内方側の側面には、係合凸辺部70a、70bあるいは70cが嵌合されるスリット71a、71b、71cが形成される。係合凸辺部70a、70b、70cを、対応するスリット71a、71b、71cに挿入した後、クロスメンバ32の車幅方向外方側縁部をサイドシル10の側面に溶接(例えばスポット溶接あるいは連続溶接でもよい)することによって、公差を吸収しつつサイドシル10とクロスメンバ32とが強固に接合されることになる。
【0042】
図11は、図10の変形例を示すもので、図10に示す係合凸辺部70aに代えて、より長い形状の係合凸辺部70dを設けてある。この係合凸辺部70dは、前後一対の係合凸辺部70b、70cをスリット71b、71cに挿入したときに、サイドシル10の車幅方向内方側の側面から上面に渡って当接する形状とされている。この係合凸辺部70dの周縁部をも溶接することにより、サイドシル10とクロスメンバ32とが強固に接合される。
【0043】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。切欠部61aを設けないようにすることもできる。フロアパネル50を、クロスメンバ31,32を境に前後方向に分割する一方、車幅方向には一枚物としたものを用いて構成するようにしてもよい。
【0044】
フロアパネル50をフロアフレーム41,42の下方から組み付けるようにしてもよい。この場合、切欠部61aに相当する切欠部は、クロスメンバ31〜33の下面に重なる位置に形成すればよく、また、フロアパネル50は、フロアフレーム41,42を境に分割構成とするのが好ましい。フロアフレーム41,42とクロスメンバ31〜33との接合(接合箇所α、β)は、上または下のいずれか一方のみの接合としてもよいが(接合箇所αのみまたはβのみとする)、フロアパネル50を上方から組み付けるときはそれに合わせて上方のみの接合を選択し(接合箇所αの選択)、逆にフロアパネル50を下方から組み付けるときはそれに合わせて下方からのみの接合を選択するようにするのが好ましい(接合箇所βの選択)。
【0045】
フロアパネル50(パネル部材61A、61B等)のフロアフレーム41,42やクロスメンバ31〜33に対する接合は、接着材を用いて行うようにしてもよい。この場合、例えば熱硬化性の接着材を用いて、後の塗装工程における乾燥工程での高熱を利用して接着材を硬化させることができる。フロアフレーム41、42は、そのいずれか一方のみを設けるようにしてもよい(リヤサイドフレーム13に対してほぼ直線的に連なる外側フロアフレーム42を設定するのが好ましい)。車室下部のクロスメンバの本数は、2本あるいは4本以上とすることができる。トランクルールを車室と独立して有するセダン式の自動車であってもよく、またクーペタイプのように乗降用の側方開口部を前後方向において1つのみとされた自動車であってもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明が適用された自動車の骨格構造の右側半分部分を示す斜視図。
【図2】フロアフレームとクロスメンバとの連結部位を上方から見た斜視図。
【図3】フロアフレームとクロスメンバとの連結部位を下方から見た方斜視図。
【図4】図3のX4−X4線相当断面図。
【図5】フロアフレームとクロスメンバとの連結部位を上方から見た平面図。
【図6】フロアフレームとクロスメンバとフロアパネルとの接合構造を示す一部断面斜視図。
【図7】フロアフレームとクロスメンバとフロアパネルとの接合構造を示すもので、センタピラーを省略して示す一部断面斜視図。
【図8】フロアフレームとクロスメンバとフロアパネルとの接合構造を示す一部断面簡略斜視図。
【図9】図8の分解斜視図。
【図10】クロスメンバとサイドシルとの好ましい接合構造を示す要部分解斜視図。
【図11】図10の変形例を示す要部斜視図。
【符号の説明】
【0047】
10:サイドシル
31〜33:クロスメンバ
41:フロアフレーム(内側)
42:フロアフレーム(外側)
50:フロアパネル
61A、62A:中央パネル部材
61B、62B、63B」外側パネル部材
α、β:接合箇所
T:トンネル部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車においては、車室下部にフロアパネルを有して、このフロアパネルの下面に前後方向に伸びるフロアフレームを接合する一方、フロアパネルの上面に車幅方向に伸びるクロスメンバを接合している。そして、フロアフレームおよびクロスメンバ共に、フランジ部を有する断面ハット状に形成されて、フロアパネルと共働して閉断面を構成している。このようなフロアフレームやクロスメンバによって、車室下部の剛性が確保される。
【0003】
特許文献1には、フロアフレームに、前後方向に間隔をあけて複数の係合辺部を上方へ突出して形成する一方、フロアパネルには係合辺部が嵌合される複数のスリットを形成して、フロアパネルとフロアフレームとの接合強度を高めたものが開示されている。ただし、この特許文献1のものでは、クロスメンバについては開示されていないものとなっている。
【0004】
特許文献2には、フロアパネルの下面に前後方向に伸びる断面ハット状の下フロアフレームを接合すると共に、フロアパネルの上面に車幅方向に伸びる断面ハット状のクロスメンバを接合したものにおいて、フロアパネルの上面に、前後方向に伸びる断面ハット状の上フロアフレームを接合して、上下のフロアフレームによってフロアパネルを挟んだ構造のものが開示されている。
【特許文献1】特開平11−208525号公報
【特許文献2】実開昭61−058173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フロアパネルとフロアフレームとクロスメンバとを有する車室下部を、安全性向上等の観点からさらに剛性を高めることや、燃費向上等のためにさらに軽量化することが望まれている。このため、車体強度部材としてのフロアフレームやクロスメンバはもとより、フロアパネルをも高張力鋼板によって形成することが考えられるが、この場合は、コスト高となるばかりでなく、剛性向上も十分に満足のいくものとはならない。なお、特許文献1に記載のものでは、フロアフレームとフロアパネルとの接合強度が向上されるだけで、クロスメンバが存在しないこともあって、車室下部の剛性向上を十分に行うことは到底不可能である。また、特許文献2に記載ものでは、上フロアフレームを別途設ける分だけ部品点数、コスト、重量が増加してしまうことになり、またフロア上面に上フロアフレームによる凹凸が形成されて、車室としての使い勝手が悪いばかりか、低床化という点でも好ましくないものとなる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、コストや軽量化を十分に満足させつつ、低床化でき、しかも車室下部の剛性を十分に向上できるようにした自動車のフロア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
車室下部に、フロアパネルと、前後方向に伸びるフロアフレームと、前記フロアフレーム上において車幅方向に伸びるクロスメンバと、を備えた自動車のフロア構造であって、
前記フロアフレームは、パイプ状に形成されて、その上面が前記フロアパネルと略面一となるフロア面を構成すると共に、前記フロアパネルの下方へ突出するようにして前記フロアパネルと接合され、
前記クロスメンバは、前記フロアパネルの上方に突出するように配設されると共に、前記フロアフレームに対して直接接合されている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、フロアフレームを極めて剛性の高いパイプ状としつつ、車体強度部材としてのフロアフレームとクロスメンバとを直接接合するようにしたので、軽量化を図りつつ車室下部の剛性を飛躍的に高めることができる。特に、前後方向に伸びるフロアフレームと車幅方向に伸びるクロスメンバとが直接接合されていることにより、衝突時における前後方向の荷重や車幅方向の荷重を前後左右の両方向に分散して、前後および側方からの衝突対応の上で好ましいものとなる。また、フロアフレームとクロスメンバとの直接接合によって、フロアフレームの上面があたかもフロアパネルの一部を構成するようにしてあるので、フロアパネルの厚さ分だけ低床化することができる。勿論、フロアフレームはフロアパネルの下面に突出し、クロスメンバはフロアパネルの上面に突出するという従来一般的な構造となっているので、大幅な設計変更を要することなく車室下部を構成することができる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記フロアフレームは、その上面が他の面よりも薄肉に形成されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、フロアフレームの上面を薄肉にして、より軽量化を図ることができる。なお、フロアフレームの上面にクロスメンバが直接接合されているので、前突荷重に対してフロアフレームは上方へ曲がりにくくなるので、フロアフレームの上面を薄肉にしても剛性確保の点で問題のないものである。
【0010】
前記クロスメンバは、その下面が他の面よりも薄肉とされたパイプ状に形成されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、クロスメンバそのものを軽量化を図りつつその剛性を向上させることができ、車室下部の軽量化および剛性向上の上でより一層好ましいものとなる。また、クロスメンバの下面の薄肉にして、より軽量化を図ることができる。なお、フロアフレームの上面にクロスメンバが直接接合されているので、側突荷重に対してクロスメンバは上方へ曲がりにくくなるので、クロスメンバの下面を薄肉にしても剛性確保の点で問題のないものである。
【0011】
前記フロアパネルは、前記フロアフレームの上面または前記クロスメンバの下面のいずれか一方の面の縁部に対して接合され、
前記フロアパネルは、前記一方の面の幅方向中間部に対応する位置に切欠部が形成され、
前記フロアパネルは、前記フロアフレームと前記クロスメンバのうち前記一方の面に対して他方の面を有する部材となる他方の部材の側面に対して接合されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、フロアパネルを上方からあるいは下方から位置決めして、フロアフレームおよびクロスメンバに接合することができて、製造が容易となる。また、フロアパネルの剛性上無駄になる部分を切欠部とすることによって、より軽量化を図ることができる。なお、一方の面の中間部を境にしてフロアパネルを分割構成することも可能となって、分割構成とした場合は、フロアパネルを大型の1枚の板材で形成する必要がなくなって、取扱いの容易化や剛性および強度の最適化等の上でも好ましいものとなる。
【0012】
前記フロアフレームと前記クロスメンバとは、それぞれ、前記フロアパネルを構成する鋼板よりも高張力の鋼板からなるパイプ材をハイドロフォーミングすることによって形成されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、フロアフレームおよびクロスメンバそのものを剛性を十分に高めつつ、その成形を容易に行うことができる。また、高価な高張力の鋼板を剛性向上効果が小さいフロアパネルに用いずに強固なフレーム構造を形成できる。
【0013】
前記フロアフレームは、車幅方向に間隔をあけて複数本設けられている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、複数本のフロアフレームとこれに交差するクロスメンバとによって、強度部材が格子状に配置されることとなって、フロアフレーム1本あたりの断面積を小さくしながら剛性を維持し、さらに低床化することができる。
【0014】
車室下部のうち車幅方向中間部に、前後方向に伸びるトンネル部を有し、
前記トンネル部を挟んで、前後方向に伸びる左右一対のサイドシルを有し、
前記フロアフレームは、前記トンネル部を挟んで少なくとも左右一対設けられ、
前記クロスメンバは、前記トンネル部を横断して前記左右一対のサイドシル同士を連結すると共に、該左右一対のサイドシル間の全長に渡ってパイプ状に形成されており、
前記フロアパネルは、車幅方向において、前記トンネル部を構成する1つの中央パネル部材と、該中央パネル部材を挟んで左右一対の外側パネル部材との分割構成とされ、
車幅方向に隣り合う前記パネル部材の各対向縁部がそれぞれ、前記フロアフレームの上面に載置された状態で前記フロアフレームの上面に接合されている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、トンネル部を有する一般的な車室下部と同様の構造を採択しつつ、クロスメンバが、左右一対のサイドシル間の全長に渡ってパイプ状に存在するので、トンネル部の補強はもとより、車室下部の全体的な剛性をさらに向上させる上で好ましいものとなる。また、従来は極めて大型部材であるフロアパネルを車幅方向に複数の分割構成として、その製造や取扱いが容易になる。さらに、中央パネル部材と外側パネル部材とは、フロアフレームの幅寸法の範囲内で車幅方向の位置調整が可能なので(寸法公差を吸収することができるので)、製造をより一層容易に行う上で好ましいものとなる。
【0015】
前記フロアフレームは、前記トンネル部と左側の前記サイドシルとの間および前記トンネル部と右側の前記サイドシルとの間においてそれぞれ、前記トンネル部に近い内側フロアフレームおよび前記サイドシルに近い外側フロアフレームの2本づつ設けられ、
前記クロスメンバが、車幅方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記フロアパネルは、前記左右一対の内側フロアフレームの部分において、前記中央パネル部材と外側パネル部材とに分割され、
前記外側パネル部材は、前記外側フロアフレーム部分において前記切欠部を有して、該切欠部の開口縁部が前記外側フロアフレームの上面に対して接合されている、
ようにしてある(請求項8対応)。この場合、複雑形状となる中央パネル部材の車幅方向寸法を極力小さくして、その製造を容易にする上で好ましいものとなる。また、フロアパネルのうち外側フロアフレームに対応した位置には切欠部を形成して、軽量化の上でさらに好ましいものとなる。さらに、複数本のフロアフレームとこれに交差する複数本のクロスメンバとによって、強度部材が格子状に配置されることとなって、フロアフレーム1本あたりの断面積を小さくしながら剛性を維持し、さらに低床化することができる。また、フロアパネルの支持部が増加することとなって、フロアパネルを薄肉軽量化できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コストや軽量化を十分に満足させることができ、低床化でき、しかも車室下部の剛性を十分に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明が適用された自動車の骨格部分を示すもので、図1では右側部分のみを示してあるが、左右対称構造に形成されているものである。図中1は、フロントピラーである(フロントピラー1の下部はヒンジピラーと称されることもある)このフロントピラー1の前端部のうち、ベルトライン付近の高さ位置から、エプロンレインフォースメント2が前方へ向けて延設されている。また、フロントピラー1の下端部付近からは、フロントサイドフレーム3が前方へ向けて延設されている。このエプロンレインフォースメント2には、フロントピラー1の近傍において、図示を略すサスペンションダンパが取付けられるサスペンション支持部材4によって連結されている。このサスペンション支持部材4とフロントサイドフレーム3とは、図示を略す前輪用の本体ハウジングによって連結されている。
【0018】
前記フロントサイドフレーム3は、その後端部が、車幅方向に伸びる強度部材5に連結され、また直接的あるいはトルクボックスを介して、フロントピラー1の下端部に連結されている。左右一対のフロントピラー1同士は、ベルトラインよりも若干低い位置において、車幅方向に伸びるステアリングハンドル支持部材6によって連結されている。また、左右一対のサスペンション支持部材4の後端部同士は、車幅方向に伸びる閉断面状のレインフォースメント7によって連結されている。さらに、左右一対のフロントピラー1の下端部付近同士が、車幅方向に伸びる閉断面状のレインフォースメント8によって補強されている。このレインフォースメント8は、後述する車室フロア部に構成される前後方向に伸びるトンネル部を跨ぐようにして配設されている。
【0019】
前記フロントピラー1の下端部には、前後方向に伸びる閉断面状の強度部材としてのサイドシル10の前端部が連結されている。また、フロントピラー1の上端部には、前後方向に伸びる閉断面状のルーフサイドレール11の前端部が連結されている。サイドシル10の後端部には、一旦上後方へ傾斜しつつ伸びた後に後方へ伸びる閉断面状の強度部材12の前端部が連結されている。この強度部材12の車幅方向内方側において、前後方向に伸びる閉断面状のリヤサイドフレーム13が配設されている。リヤサイドフレーム13の前端部は、サイドシル10の後端部に対して、連結部材14を介して連結されている。
【0020】
サイドシル10とルーフサイドレール11とは、センタピラー21によって連結されている。また、強度部材12とルーフサイドレール11とが、連結部材22によって連結されている。さらに、強度部材12とリヤサイドフレーム13とが、連結部材23によって連結されると共に、連結部材23の後方でもって互いに連結されている。
【0021】
左右一対のサイドシル10同士は、車幅方向に伸びるクロスメンバ31,32,33によって連結されている。前後方向位置において、クロスメンバ31はフロントピラー1とセンタピラー21との間に位置され、クロスメンバ32はセンタピラー1に位置され、クロスメンバ33は強度部材12の前端部付近に位置される。また、クロスメンバ33の下面には、リヤサイドフレーム13の前端部が連結されている。
【0022】
左右一対のリヤサイドフレーム13同士は、クロスメンバ34,35によって連結されている。左右一対の強度部材12の後端部同士が、クロスメンバ36によって連結されている。このクロスメンバ36とリヤサイドフレーム13の後端部とが、連結部材24によって連結されている。
【0023】
フロントピラー1とセンタピラー21との間の側方開口部S1が、前席用の乗降開口部とされる。また、センタピラー21と強度部材12との間の側方開口部S2が、後席用の乗降開口部とされる。そして、ほぼクロスメンバ34から前方空間が乗員用の車室とされる一方、その後方空間が荷室用とされ、実施形態では、ワゴン車用の荷室として設定されている。
【0024】
図1中、41,42は、それぞれ、前後方向に伸びるフロアフレームである。フロアフレーム41と42とは、互いに車幅方向に間隔をあけて配置されて、41が車幅方向内側に位置する内側フロアフレームとされ、42が車幅方向外側に位置する外側フロアフレームとされる。この各フロアフレーム41,42は、後述するトンネル部を境にして左右一対設けられる(合計で4本)。
【0025】
内側のフロアフレーム41は、その前端部が強度部材5に連結され、その後端部がクロスメンバ33の下面に連結される。また、外側のフロアフレーム42は、その前端部が強度部材5に連結され、その後端部がリヤサイドフレーム13の前端部に連結されている。
【0026】
前述した強度部材となる少なくともクロスメンバ31〜33およびフロアフレーム41,42は、それぞれ高張力鋼板によってパイプ状に形成されている。より具体的には、高張力鋼板からなるパイプ材をハイドロフォーミングによって所定の断面形状となるように形成されている。なお、実施形態では、サイドシル10も高張力鋼板によるパイプ材をハイドロフォーミングすることによって形成されている。勿論、フロアフレーム41,42やクロスメンバ31〜33を構成する高張力鋼板は、フロアパネルを構成する鋼板よりも高張力とされている。
【0027】
各フロアフレーム41,42は、後述するようにして、クロスメンバ31〜33の下面に対して接合されている。前後方向に伸びる合計4本のフロアフレーム41,42と車幅方向に伸びる合計3本のクロスメンバ31〜33によって、車室下部は、強度部材による格子状構造とされて、車室下部の剛性が飛躍的に向上されている。また、フロアフレーム41、42,クロスメンバ31〜33は、高張力鋼板によってパイプ状とされているので、剛性向上を図りつつも、軽量化の上でも好ましいものとなっている。
【0028】
ここで、図2〜図5を参照しつつ、フロアフレーム41,42とクロスメンバ31〜33との接合について詳述するが、図2はフロアフレームとクロスメンバとの連結部位を上方から見た斜視図、図3はこの連結部位を下方から見た方斜視図、図4は図3のX4−X4線相当断面図、図5は上記連結部位を上方から見た平面図である。なお、フロアフレーム41,42に対するクロスメンバ31〜33の接合は同じように行われているので、クロスメンバ32の接合を例にして説明する。
【0029】
まず、フロアフレーム41,42の上面にクロスメンバ31〜33が載置されるが、その交差箇所に形成される前後左右の4合計箇所において、接合(実施形態では連続溶接)されている。すなわち、図2に示すように、クロスメンバ32がフロアフレーム41,42と重なる位置において、クロスメンバ32の側面下部となる前後2箇所がフロアフレーム41,42の上面に対して接合され、この接合箇所が符合αで示される。なお、図2では、前側の接合箇所αのみが示されるが、クロスメンバ32の後面下部も接合箇所αが形成される。
【0030】
一方、クロスメンバ32の下面側においては、図3、図4に示すように、フロアフレーム41,42の側面上部が、クロスメンバ32の下面に対して、接合箇所βで接合されている。なお、図3では、車幅方向内方側の接合箇所βのみが示されるが、フロアフレーム41,42の車幅方向外側の側面上部も接合箇所βが形成される。このような接合箇所βと前記接合箇所αとを、クロスメンバ32の上方から見たときの状態が、図7に示される。
【0031】
ここで、図4に示すように、フロアフレーム41,42の上面は、他の面よりも薄肉とされている。このように上面のみを薄肉に形成するには、例えば、あらかじめ例えばテーラドブランクによって上面に相当する部分として薄肉の高張力鋼板を用い、他の面を構成する部分を厚肉の高張力鋼板で形成したパイプ材を形成しておき、その後例えばハイドロフォーミングによって所望の断面形状に形成すればよい。同様に、クロスメンバ32の下面も、他の面に比して薄肉として形成されている。このようなクロスメンバ32の形成は、上述したフロアフレーム41,42の形成手法を用いて形成することができる。なお、フロアフレーム41,42とクロスメンバ32とは上下に重なった状態で直接接合されているので、それぞれ上方へは曲げにくいものとなって、上記のように互いの当接面をそれぞれ薄肉としても曲げ剛性確保の点で問題はないものである。
【0032】
次に、図1に示す車体の骨格構造に対してフロアパネルが取付けられた状態について、図2〜図9を参照しつつ説明するが、図6、図7はそれぞれフロアフレームとクロスメンバとフロアパネルとの接合構造を示す一部断面斜視図であり、図8はこの接合構造を示す一部断面簡略斜視図、図9は図8の分解斜視図である。
【0033】
まず、フロアパネルが符合50で示されるが、フロアパネル50は、車幅方向において3分割されると共に、前後方向で3分割されて、合計で9枚の分割パネル部材によって構成される。すなわち、クロスメンバ32と33との間において、車幅方向においては、特に図8、図9に示すように、前後方向に伸びると共に上方へ凸となったトンネル部Tを構成している中央パネル部材61Aと、その車幅方向外側に位置される左右一対の外側パネル部材61Bによって、フロアパネル50の後部分が構成されている。同様に、クロスメンバ32と31との間においては、中央パネル部材62Aと、その車幅方向外側に位置する左右一対の外側パネル部材62Bによって、フロアパネル50の前後方向中間部分が構成されている。同様に、クロスメンバ31よりも前方部分は、中央パネル部材(図示を略す)と、その車幅方向外側に位置する左右一対の外側パネル部材63B(図6参照)によってフロアパネル50の前部分が構成されている。
【0034】
クロスメンバ32と33との間に配置される中央パネル部材61Aの車幅方向外方側縁部は、内側フロアフレーム41の上面のうち車幅方向内方側の縁部(トンネル部Tに近い側)に載置、接合されている(接合は例えばスポット溶接、連続溶接、接着材による接着のいずれでもよく、このことは各パネル部材の他の部分の接合についても同じ)。また、中央パネル部材61Aの前縁部のうち車幅方向中央部位は、クロスメンバ32の上面のうち後側縁部に載置、接合されて、略フラットなトンネル上面を形成している(クロスメンバ32の後側面に当接、接合させるようにしてもよい)。中央パネル部材61Aの後縁部は、クロスメンバ33の前側面に当接、接合されている。
【0035】
クロスメンバ32と33との間に配置される外側パネル部材61Bの車幅方向内方側縁部は、内側フロアフレーム41の上面のうち車幅方向外方側縁部に載置、接合されている。また、外側パネル部材61Bの車幅方向外側縁部は、サイドシル10の内側面に当接、接合されている。外側パネル部材61Bの前縁部は、クロスメンバ32の後側面に当接、接合されている。外側パネル部材61Bの後縁部は、クロスメンバ33の前側面に当接、接合されている。
【0036】
外側パネル部材61Bのうち、外側フロアフレーム42上に位置する部分は、前後方向に細長く伸びるスリット状の切欠部61aが形成されて、この切欠部61aの縁部が、外側フロアフレーム42の上面に接合されている。切欠部61aの形成によって軽量化され、また切欠部61aの縁部を外側フロアフレーム42に対して接合することによって、接合箇所(接合面積)の増大となって、外側パネル部材61bと外側フロアフレーム42との接合強度向上が図られる。
【0037】
中央パネル部材61Aと外側パネル部材61Bとは、内側フロアフレーム41の上面上において、車幅方向に小間隔を有しているので(切欠部の形成と考えることもできる)、各パネル部材61Aと61Bとの車幅方向の寸法誤差を、内側フロアフレーム41上でもって吸収することができる(寸法公差を厳しくすることなくフロアパネル50を構成することが可能となる)。
【0038】
なお、前述した3つのパネル部材61A、61Bのクロスメンバ32,33やサイドシル10に対する接合構造は、クロスメンバ32と31との間のパネル部材62A、62Bや、クロスメンバ31よりも前方にあるパネル部材63B等についても同様なので、その重複した説明は省略する。
【0039】
ここで、フロアパネル50(各パネル部材61A、61B、62A、62B等)は、フロアフレーム41,42の上面と略面一となって、フロアフレーム41,42のうち切欠部61aが存在する部分は上面が車室内(上方)に露出して、実質的にフロアパネル50の一部を構成することになる。そして、フロアフレーム41,42はフロアパネル50の下方に突出し、クロスメンバ31〜33はフロアパネル50の上方へ突出した構造となって、断面ハット状のフロアフレームやクロスメンバを用いた既存の車室下部構造と同様な構造となり、車体の大幅な設計変更を考慮しなくてもすむことになる。
【0040】
また、61A、61B等の各パネル部材の車体への設置作業や接合作業を行う際には、この作業を全てフロアフレーム41,42やクロスメンバ31〜33の上方から行うことが可能となって、組付作業性の点においても極めて好ましいものとなっている。
【0041】
ここで、クロスメンバ31〜33のサイドシル10に対する接合は、例えば突き当て溶接によって行うことがきるが、次のような接合構造を採択するのが好ましい。すなわち、クロスメンバ32に着目して説明すると、サイドシル10とクロスメンバ32との接合部分を分解して示す図10において、クロスメンバ32の車幅方向外側端縁部には、上面および前後側面からそれぞれ車幅方向外側に向けて伸びる係合凸辺部70a、70b、70cが一体的に形成される。一方、サイドシル10の車幅方向内方側の側面には、係合凸辺部70a、70bあるいは70cが嵌合されるスリット71a、71b、71cが形成される。係合凸辺部70a、70b、70cを、対応するスリット71a、71b、71cに挿入した後、クロスメンバ32の車幅方向外方側縁部をサイドシル10の側面に溶接(例えばスポット溶接あるいは連続溶接でもよい)することによって、公差を吸収しつつサイドシル10とクロスメンバ32とが強固に接合されることになる。
【0042】
図11は、図10の変形例を示すもので、図10に示す係合凸辺部70aに代えて、より長い形状の係合凸辺部70dを設けてある。この係合凸辺部70dは、前後一対の係合凸辺部70b、70cをスリット71b、71cに挿入したときに、サイドシル10の車幅方向内方側の側面から上面に渡って当接する形状とされている。この係合凸辺部70dの周縁部をも溶接することにより、サイドシル10とクロスメンバ32とが強固に接合される。
【0043】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。切欠部61aを設けないようにすることもできる。フロアパネル50を、クロスメンバ31,32を境に前後方向に分割する一方、車幅方向には一枚物としたものを用いて構成するようにしてもよい。
【0044】
フロアパネル50をフロアフレーム41,42の下方から組み付けるようにしてもよい。この場合、切欠部61aに相当する切欠部は、クロスメンバ31〜33の下面に重なる位置に形成すればよく、また、フロアパネル50は、フロアフレーム41,42を境に分割構成とするのが好ましい。フロアフレーム41,42とクロスメンバ31〜33との接合(接合箇所α、β)は、上または下のいずれか一方のみの接合としてもよいが(接合箇所αのみまたはβのみとする)、フロアパネル50を上方から組み付けるときはそれに合わせて上方のみの接合を選択し(接合箇所αの選択)、逆にフロアパネル50を下方から組み付けるときはそれに合わせて下方からのみの接合を選択するようにするのが好ましい(接合箇所βの選択)。
【0045】
フロアパネル50(パネル部材61A、61B等)のフロアフレーム41,42やクロスメンバ31〜33に対する接合は、接着材を用いて行うようにしてもよい。この場合、例えば熱硬化性の接着材を用いて、後の塗装工程における乾燥工程での高熱を利用して接着材を硬化させることができる。フロアフレーム41、42は、そのいずれか一方のみを設けるようにしてもよい(リヤサイドフレーム13に対してほぼ直線的に連なる外側フロアフレーム42を設定するのが好ましい)。車室下部のクロスメンバの本数は、2本あるいは4本以上とすることができる。トランクルールを車室と独立して有するセダン式の自動車であってもよく、またクーペタイプのように乗降用の側方開口部を前後方向において1つのみとされた自動車であってもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明が適用された自動車の骨格構造の右側半分部分を示す斜視図。
【図2】フロアフレームとクロスメンバとの連結部位を上方から見た斜視図。
【図3】フロアフレームとクロスメンバとの連結部位を下方から見た方斜視図。
【図4】図3のX4−X4線相当断面図。
【図5】フロアフレームとクロスメンバとの連結部位を上方から見た平面図。
【図6】フロアフレームとクロスメンバとフロアパネルとの接合構造を示す一部断面斜視図。
【図7】フロアフレームとクロスメンバとフロアパネルとの接合構造を示すもので、センタピラーを省略して示す一部断面斜視図。
【図8】フロアフレームとクロスメンバとフロアパネルとの接合構造を示す一部断面簡略斜視図。
【図9】図8の分解斜視図。
【図10】クロスメンバとサイドシルとの好ましい接合構造を示す要部分解斜視図。
【図11】図10の変形例を示す要部斜視図。
【符号の説明】
【0047】
10:サイドシル
31〜33:クロスメンバ
41:フロアフレーム(内側)
42:フロアフレーム(外側)
50:フロアパネル
61A、62A:中央パネル部材
61B、62B、63B」外側パネル部材
α、β:接合箇所
T:トンネル部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室下部に、フロアパネルと、前後方向に伸びるフロアフレームと、前記フロアフレーム上において車幅方向に伸びるクロスメンバと、を備えた自動車のフロア構造であって、
前記フロアフレームは、パイプ状に形成されて、その上面が前記フロアパネルと略面一となるフロア面を構成すると共に、前記フロアパネルの下方へ突出するようにして前記フロアパネルと接合され、
前記クロスメンバは、前記フロアパネルの上方に突出するように配設されると共に、前記フロアフレームに対して直接接合されている、
ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記フロアフレームは、その上面が他の面よりも薄肉に形成されている、ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記クロスメンバは、その下面が他の面よりも薄肉とされたパイプ状に形成されている、ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記フロアパネルは、前記フロアフレームの上面または前記クロスメンバの下面のいずれか一方の面の縁部に対して接合され、
前記フロアパネルは、前記一方の面の幅方向中間部に対応する位置に切欠部が形成され、
前記フロアパネルは、前記フロアフレームと前記クロスメンバのうち前記一方の面に対して他方の面を有する部材となる他方の部材の側面に対して接合されている、
ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記フロアフレームと前記クロスメンバとは、それぞれ、前記フロアパネルを構成する鋼板よりも高張力の鋼板からなるパイプ材をハイドロフォーミングすることによって形成されている、ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記フロアフレームは、車幅方向に間隔をあけて複数本設けられている、ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
車室下部のうち車幅方向中間部に、前後方向に伸びるトンネル部を有し、
前記トンネル部を挟んで、前後方向に伸びる左右一対のサイドシルを有し、
前記フロアフレームは、前記トンネル部を挟んで少なくとも左右一対設けられ、
前記クロスメンバは、前記トンネル部を横断して前記左右一対のサイドシル同士を連結すると共に、該左右一対のサイドシル間の全長に渡ってパイプ状に形成されており、
前記フロアパネルは、車幅方向において、前記トンネル部を構成する1つの中央パネル部材と、該中央パネル部材を挟んで左右一対の外側パネル部材との分割構成とされ、
車幅方向に隣り合う前記パネル部材の各対向縁部がそれぞれ、前記フロアフレームの上面に載置された状態で前記フロアフレームの上面に接合されている、
ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項8】
請求項7において、
前記フロアフレームは、前記トンネル部と左側の前記サイドシルとの間および前記トンネル部と右側の前記サイドシルとの間においてそれぞれ、前記トンネル部に近い内側フロアフレームおよび前記サイドシルに近い外側フロアフレームの2本づつ設けられ、
前記フロアパネルは、前記左右一対の内側フロアフレームの部分において、前記中央パネル部材と外側パネル部材とに分割され、
前記外側パネル部材は、前記外側フロアフレーム部分において前記切欠部を有して、該切欠部の開口縁部が前記外側フロアフレームの上面に対して接合されている、
ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項1】
車室下部に、フロアパネルと、前後方向に伸びるフロアフレームと、前記フロアフレーム上において車幅方向に伸びるクロスメンバと、を備えた自動車のフロア構造であって、
前記フロアフレームは、パイプ状に形成されて、その上面が前記フロアパネルと略面一となるフロア面を構成すると共に、前記フロアパネルの下方へ突出するようにして前記フロアパネルと接合され、
前記クロスメンバは、前記フロアパネルの上方に突出するように配設されると共に、前記フロアフレームに対して直接接合されている、
ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記フロアフレームは、その上面が他の面よりも薄肉に形成されている、ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記クロスメンバは、その下面が他の面よりも薄肉とされたパイプ状に形成されている、ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記フロアパネルは、前記フロアフレームの上面または前記クロスメンバの下面のいずれか一方の面の縁部に対して接合され、
前記フロアパネルは、前記一方の面の幅方向中間部に対応する位置に切欠部が形成され、
前記フロアパネルは、前記フロアフレームと前記クロスメンバのうち前記一方の面に対して他方の面を有する部材となる他方の部材の側面に対して接合されている、
ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記フロアフレームと前記クロスメンバとは、それぞれ、前記フロアパネルを構成する鋼板よりも高張力の鋼板からなるパイプ材をハイドロフォーミングすることによって形成されている、ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記フロアフレームは、車幅方向に間隔をあけて複数本設けられている、ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
車室下部のうち車幅方向中間部に、前後方向に伸びるトンネル部を有し、
前記トンネル部を挟んで、前後方向に伸びる左右一対のサイドシルを有し、
前記フロアフレームは、前記トンネル部を挟んで少なくとも左右一対設けられ、
前記クロスメンバは、前記トンネル部を横断して前記左右一対のサイドシル同士を連結すると共に、該左右一対のサイドシル間の全長に渡ってパイプ状に形成されており、
前記フロアパネルは、車幅方向において、前記トンネル部を構成する1つの中央パネル部材と、該中央パネル部材を挟んで左右一対の外側パネル部材との分割構成とされ、
車幅方向に隣り合う前記パネル部材の各対向縁部がそれぞれ、前記フロアフレームの上面に載置された状態で前記フロアフレームの上面に接合されている、
ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【請求項8】
請求項7において、
前記フロアフレームは、前記トンネル部と左側の前記サイドシルとの間および前記トンネル部と右側の前記サイドシルとの間においてそれぞれ、前記トンネル部に近い内側フロアフレームおよび前記サイドシルに近い外側フロアフレームの2本づつ設けられ、
前記フロアパネルは、前記左右一対の内側フロアフレームの部分において、前記中央パネル部材と外側パネル部材とに分割され、
前記外側パネル部材は、前記外側フロアフレーム部分において前記切欠部を有して、該切欠部の開口縁部が前記外側フロアフレームの上面に対して接合されている、
ことを特徴とする自動車のフロア構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−12898(P2010−12898A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173827(P2008−173827)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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