説明

自己チップ再分配装置およびその方法

【課題】自己チップ再分配のための装置および方法を提供する。
【解決手段】本発明の装置は、フォトレジストの層により形成されたトレンチ18およびキャビティ19を上部に備えるガラスベース12を含む。チップ10は、切り出されたウェハ1からピッキングされ、ガラスベース上に配置され、インデックスバー15の前方へ流体の流れによって移動される。ガラスベースおよびインデックスバーは、チップをチップキャビティに充填するために低周波数で振動する。本発明は、自己再分配ツールを提供すること、再分配されたチップをパネル形成ツール上に移動すること、チップパネルを形成し、前記チップパネルをパネル形成ツールから分離すること、を含む自己チップ再分配のための方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、チップの再分配のための装置および方法、特に、自己チップ再分配に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の説明
米国特許第3439416号は、多数の磁気的にコーティングされた個別部品を製造するための方法を開示する。部品は、マトリクス上に配置される。磁化された層が、代わりに非磁化層とともにマトリクス上に配置される。それから、マトリクスは振動され、それにより、部品は、そのような配列を形成するために、所望の位置へ移動する。しかしながら、形状、サイズ、および部品の分配に関していくつかの制約がある。加えて、部品のセルフアライメントは、ラミネート構造の存在が必要である。さらに、この発明によって開示された構造体は、ミクロンサイズの集積回路に適合しない。
【0003】
米国特許第4542397号は、機械的な振動によって基板上の平行四辺形の形をした素子を自己アライニングおよび自動ロックする方法を開示する。しかしながら、圧縮処理を実行する前に、素子は、平面のベース表面上におおまかな所望のアレイ形状で配置されていなければならない。
【0004】
米国特許第4194668号は、分割されないシリコンウェハによって形成された個々の半導体部品のはんだ付け可能なオーミックコンタクトに、電極ペデスタル(electrode pedestals)をアライニングおよびはんだ付けするための装置を開示する。シリコンウェハが、はんだ付けベースプレートに載置され、それからオープンスルーホールが形成されたマスクがウェハ上に備え付けられ、オープンスルーホールが、ウェハのはんだ付け可能な陽極コンタクトにアラインされる。電極ペデスタルは、それから、マスク上に撒かれ、マスクホールを介してはんだ付け可能な陽極コンタクト上で揺さぶられる。発明のマスクは、予め規定されており、好適には青銅で作られている。さらに、ペデスタルが傾けられた供給面で供給されるので、装置は、跳ね返ったペデスタル取り戻すための回収トレーを備えられる。
【0005】
米国特許第5545291号は、液体輸送を通じて基板上にブロックを組み立てるための方法を開示する。成形されたブロックは、形状および流体を介して基板上に位置する凹領域に移動される。移動段階は、成形されたブロックを流体中に撒き散らすことによって開始され、それから、凹領域を有する基板の上面に均一に混合物を注ぐ。それから、ブロックはセルフアラインされ、凹領域にはめ込まれる。
【0006】
要約すると、米国特許第3439416号によって開示される発明は、所望の配置を得るために、磁気を帯びた素子にのみ適用する。米国特許第4542397号によって開示される発明は、圧縮段階の開始時点で平面のベース表面上におおよその所望の配列でチップを配置する必要がある。米国特許第4194668号に開示されている発明は、ペデスタルが、マスクおよび跳ね返ったペデスタル取り戻すためのトレー上を跳ね返ったときの衝撃に耐えうるマスクを必要とする。米国特許第5545291号に開示されている発明は、基板の上面に均一に流体とブロックの混合物を注ぐか撒き散らすことによって凹領域にブロックを充填させる。しかしながら、凹領域に既に配置されたブロックが流れ出る可能性があり、ブロックが凹領域から流れ出ないようにするために、発明は遠心力で移動する段階を実行するか、またはブロックおよび凹領域を台形に成形する必要がある可能性がある。
【0007】
したがって、小型、低コスト、効率、かつ信頼性の特性を備えるチップを再分配するための方法および装置の開発が望まれている。
【発明の開示】
【0008】
本発明の概要
本発明の1つの利点は、ファインアライメントを要求することなしにチップ再分配方法および装置を提供することである。
【0009】
本発明の1つの利点は、高いスループット(UPH5k〜10k)を備えたチップ再分配方法および装置を提供することである。
【0010】
本発明の1つの利点は、チップ再分配に対する高い精度を備えたチップ再分配方法および装置を提供することである。
【0011】
本発明の1つの利点は、処理の間のゼロチップ結合力を備えたチップ再分配方法および装置を提供することである。
【0012】
本発明のもう1つの利点は、シリコン粒子を生じないチップ再分配方法および装置を提供することである。
【0013】
本発明のもう1つの利点は、パネルウェハを形成するための簡易なチップ再分配方法および装置を提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの利点は、チップおよびチップキャビティのための成形されたブロックなしのチップ再分配方法および装置を提供することである。
【0015】
さらにもう1つの利点は、ふつうに切り出されたチップおよびふつうのPRパターンを利用するチップ再分配方法および装置を提供することである。
【0016】
本発明は、プログラムされた低周波数振動を機能させるためのプレートと、前記プレートに備え付けられたガラスベースと、前記ガラスベース上に形成されたトレンチおよびキャビティを備えた層と、流体を注入するための前記ガラスベースの一端に取り付けられ、プログラムされたノズルと、前記チップを規制するための前記層の上面に配置された複数のストップバーと、前記層の上端に取り付けられたインデックスバーとを含む、自己チップ再分配のための装置を提供し、前記インデックスバーは、自己チップ再分配のために前方および後方に移動し、低い周波数で振動することができる。
【0017】
本発明は、チップキャビティおよびトレンチが形成された層を備えたベースを提供すること、インデックスバーの前方へ前記チップを移動させるため、前記ベース上に流体、たとえば、水流を注入すること、前記ベースおよび前記インデックスバーを低い振動周波数で振動させることにより前記チップを前記キャビティに充填すること、再配置されたチップをパネル形成ツール上に移動すること、チップパネルを形成し、前記チップをパネル形成ツールから分離することを含む、自己チップ再分配のための方法をさらに提供する。
【0018】
図面の簡単な説明
図1は、自己チップ再分配ツールを備えたピックアンドプレースシステムの平面図を説明する。
【0019】
図2は、自己チップ再分配ツールの正面図を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
好適な実施の形態の説明
本発明が、本発明の好適な実施の形態および添付の説明図でより詳細に説明される。それでもなお、本発明の好適な実施の形態は、説明するためのみであることを認識するべきである。ここで述べる好適な実施の形態に加え、本発明は、それらの明示的に記述されたもの以外に、広範囲の他の実施の形態を遂行することができ、本発明の範囲は、添付の請求項で特定されるように期待されるものに明示的に限定されることはない。
【0021】
本発明は、自己チップ再分配用の装置を開示する。図1に示されるとおり、ピックアンドプレースシステムは、ピックステーション5、たとえば、ブルーテープまたはUVテープ上に配置する切り出されたウェハ1と、チップ10をピッキングして、配置するためのロボット2と、自己チップ再分配ツール3と、を含む。切り出されたウェハ1は、ピックステーション5に配置され、チップ10をピッキングし、配置するために、ロボット2が設定され、切り出されたウェハ1と自己再分配ツール3との間を移動する。ロボットは、(マッピング入力に基づいて)ピックアンドプレース行為を実行するために特定の位置およびチップを選択することができる。
【0022】
図1を参照すると、上述の自己チップ再分配ツール3は、低周波数振動のためのプレート11と、少なくとも1.8mmの厚さであり、プレート11上に固定するためのいくつかのオープンスルーホールを備え、チップ配列領域17を形成するために用いられるガラスベース12と、を含み、プレート11は、低い振動周波数で振動することができる。フォトレジスト(PR)は、好適には、SU8から作られ、ガラスベース12の表面を覆い、PRの厚さはチップ10の高さと同じか、またはチップ10より(僅かに高い)。シリコン粒子を回収するためのトレンチ18およびチップキャビティ19が、パターンを備えたフォトマスクによってPR上に形成される。チップキャビティ19のそれぞれの辺のサイズは、チップキャビティ19に配置されたチップ10が流れ出すことを防止するため0から5μmでありチップ10より長く、トレンチ18の幅は約200μmである。本発明のもう一つの実施の形態は、トレンチ18の数が複数でありえることである。PRにパターンが転写された後、PRの表面を固めるためにPRを硬化処理する。
【0023】
図2に示されるとおり、パターンをつけられたPRを備えたガラスベース12が、プレート11に実装され、接続ツール22、たとえば、ねじまたはプラグによって固定する。図1に示されるとおり、チップ10を規制するための4つのストップバー14が、チップ配列領域17を形成するためにPR上に備え付けられ、チップ配列領域17は、トレンチ18により、チップ配置領域20と再配置領域21とに分かれる。
【0024】
チップ10をガラスベース12のもう一方の終端に流すために、ガラスベース12上のトレンチ18の前にノズル13が設置される。チップ10の厚さの1/3と1/2の間に水位線を維持するため、いくつかのオーバーフローがストップバー14に形成される。
【0025】
インデックスバー15とガラスベース12上のPRとの間の間隙を備えたガラスベース12上にインデックスバー15が設置され、インデックスバー15は、ガラスベース12の上面に対して平行関係を維持し、インデックバー15と流体の水面との間の間隙はゼロである。つまり、インデックスバー15の下面とガラスベース上のPRの上面との間の距離は、流体の水位線と等しい。インデックスバー15は、チップ10がチップキャビティ19を充填することを確保するために、前方または後方へ移動し、同時に低周波数振動を維持することができる。本発明のもう1つの実施の形態において、自己チップ再分配ツール3は、チップ距離インデックスバーを含む。
【0026】
本発明は、さらに自己チップ再分配方法を開示する。本発明の一実施の形態において、本発明の方法は、少なくとも1.8mmの厚さであり、プレート上に固定するために内部にいくつかのオープンスルーホールを備え、PR上にチップ配列領域を形成するために用いられるガラスベース12を提供し、プレートは低い振動周波数で振動することができる。フォトレジスト(PR)は、好適には、SU8でつくられ、ガラスベース上にコーティングされ、PRの厚さはチップの厚さと同じ(またはチップの厚さより僅かに高い)。それから、シリコン粒子を回収するためのトレンチとチップキャビティとを形成するために、パターンを備えたフォトマスクが導入され、チップキャビティのそれぞれの辺のサイズは、チップキャビティ19に配置されたチップ10が流れ出すことを防止するため0から5μmでありチップ10より長く、トレンチ18の幅は約200μmである。パターンがPRに転写された後、PRの表面を固めるためにPRを硬化する。
【0027】
次に、チップの再分配のために、チップ配列領域に留まっているチップを規制するためのガラスベースの4つの終端にストップバーが備え付けられる。ウォータノズルが、ガラスベースの前側に配置される。上で説明された段階がなされた後、ピックアンドプレースシステムのプレート上のガラスベースは、プレート上に固定され、それからインデックスバーと水流との間の間隙がゼロの場所にインデックスバーが配置される。つまり、インデックスバーの下面とガラスベース上のPRの上面との間の距離が、水位線と等しくなる。それから、流体、たとえば、脱イオン化した(DI)水がウォータノズルからチップ配列領域に注入され、DIの流速は、要求された速さに調整され、水位線は、チップの厚さの約半分である。本発明のもう一つの実施の形態は、ウォータノズルから注入される流体の密度は1未満である。
【0028】
次の段階は、ピック領域、たとえば、ブルーテープ上の切り出されたウェハ(フレームフォーム)をピッキングすることである。それから、所望のチップが、切り出されたウェハからピッキングされ、自己チップ再分配ツールの配置領域に配置され、チップは、DI水および切れ端の上を浮いている。つまり、シリコン粒子はトレンチにより除去され、回収される。多くの場合、切れ端(シリコン粒子)のサイズは200μmであるので、チップは、インデックスバーの前面によって遮られるまで、再分配領域へ流れる流体によって移動される。プレートおよびインデックスバーは低い振動周波数で振動し、インデックスバーは、チップがキャビティに落ちることを確保するために、一次元、たとえば、左/右方向に振動する、本発明のもう1つの実施の形態において、プレートの振動周波数は1Hzと60Hzとの間であり、インデックスバーの振動周波数は1Hzと60Hzとの間である。
【0029】
チップキャビティの現在の行が満たされた後、インデックスバーは、次のチップキャビティの行に移動し、チップでチップキャビティを満たすために処理を繰り返す。処理は、再分配領域上のすべてのキャビティが満たされるまで繰り返され、その後、水の注入が閉じられる。インデックスバーは、それから、スタートラインに復帰する。もし、チップキャビティに落ちていないチップに遭遇した場合、インデックスバーは、チップキャビティをチップで満たすために低い周波数で振動を継続する。インデックスバーが、スタートラインに復帰した後、すべてのキャビティがチップで満たされていることを確認するために、チップキャビティを検査する。
【0030】
次に段階は、ツールをプレートから解き放ち、それから熱硬化処理が炉によって実施される。パターン接着剤を備えたパネル形成ツールが、チップ再分配ツール上に備え付けられる。したがって、パターン接着剤はチップの上面にくっつき、それから、チップ再分配ツールは、パネルから解放される。チップとチップの間の空間を充填するため、コアペーストが、チップの裏側にプリントされる。それから、真空パネルボンダが、チップの裏側にパネルを結合するために用いられ、接着剤を固めるため熱硬化処理が実行される。したがって、チップは互いに結合され、パネルを形成する。次に、特別な条件下、たとえば、溶媒または他の化学物質とともに実行されて、パネルが、パネル形成ツールから切り離される。次に、パネルの表面およびチップの表面を洗浄するためにウェット/ドライ処理が導入される。
【0031】
この明細書において、精度、安全性、およびスループットを改善するためにいくつかの変更がなされることが可能である。たとえば、スループットを改善するため、2重のインデックスバー(1つはダイ配置領域内に)を用いることができ、精度を改善するためにそれぞれの列にガイドバーが用いられ、したがって、チップは他の列に流れることがない。インデックスバーを次の行に移動する前にチップ配置を確認するために、光学検査が用いられる。光学検査の間に通気機能が加えられ、キャビティのくぼみのチップステージなどを強化する。
【0032】
本発明の好適な実施の形態が述べられてきたが、本発明は、述べられた好適な実施の形態に限定されるべきでないことは当業者によって理解されるであろう。むしろ、以下の請求項によって規定されるとおり、本発明の精神と範囲を逸脱しない範囲において種々の変更および改良をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面の簡単な説明
【図1】自己チップ再分配ツールを備えたピックアンドプレースシステムの平面図を説明する。
【図2】自己チップ再分配ツールの正面図を説明する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低周波数振動を実行するためのプレートと、
前記プレート上に備え付けられたガラスベースと、
前記ガラスベース上に形成されたトレンチおよびキャビティを備えた層と、
流体を注入するために前記ガラスベースの一端に設置されたノズルと、
前記チップを規制するために前記層の上面に配置されたストップバーと、
前記層の上端に設置され、前方および後方へ移動して、低周波数で振動することができるインデックスバーと、を含む、自己チップ再分配用装置。
【請求項2】
切り出されたウェハを配置するためのピック領域と、
ピッキングおよび配置動作を実行するための特定の位置を選択することができ、前記切り出されたウェハから前記チップをピッキングして、前記自己チップ再分配用装置に前記チップを置くためのロボットと、
をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記層は、フォトレジストでつくられる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
チップキャビティおよびトレンチが形成される層を備えたベースを提供すること、
前記チップをインデックスバーの前方に移動させるために、前記ベース上に流体を注入すること、
前記ベースおよび前記インデックスバーを低い振動周波数で振動させることにより、前記チップキャビティに前記チップを充填すること、
再分配されたチップをパネル形成ツール上に移動すること、
チップパネルを形成すること、
パネル形成ツールから前記チップパネルを分離すること、
を含む、自己チップ再分配方法。
【請求項5】
前記チップパネルを形成するためのステップは、
前記複数のチップ間の空間を充填するために、前記チップの裏側にコアペーストをプリントすること、
前記チップパネルを結合するために真空パネルボンダを使用すること、および、
前記コアペーストを固めるために、熱硬化処理を実行すること、
を含む、請求項4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−235902(P2008−235902A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−72140(P2008−72140)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(507403713)アドバンスト チップ エンジニアリング テクノロジー インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Chip Engineering Technology Incorporated
【住所又は居所原語表記】No.65,Guangfu N. Rd.,Hukou Township,Hsinchu County 303,Taiwan
【Fターム(参考)】