説明

薄膜の蒸着

基板上にパターン化薄膜を適用する方法は、基板をプラズマ処理する工程を含む。オルガノポリシロキサンポリマー、オルガノポリシロキサンオリゴマー、シロキサン樹脂及びポリシランの群から選択される1つ又は複数の化合物を含む液体コーティング材料をソフトリソグラフィック印刷法、好ましくはマイクロコンタクトプリンティングにより基板表面に塗布して、該基板上にパターン化皮膜を形成する。必要な場合は、任意の残留液体コーティング材料は基板表面から除去され得る。このプロセスは、デカール転写マイクロリソグラフィ法で必要とされるような硬化工程を液体コーティング材料が経ることを必要としない。任意の適切な形態のプラズマ処理を用いて、印刷前に基板を活性化し得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷技法を用いたパターン化薄膜、特にケイ素系材料のパターン化薄膜の蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆されていない低表面エネルギー基板と、液体との間に密着を生じさせる(これは、反応性コーティング適用前の初期プラズマ前処理工程を包含し得る)という概念は、WO02/098962に記載されている。コーティング材料としては、例えば、直接プロセス残渣、クロロ置換オルガノポリシロキサン及びクロロシランが挙げられ、それらは好ましくは蒸気形態で塗布される。WO02/098962において、好ましくはプラズマ又はコロナ型処理を用いて、グラフト化コーティング材料がその後酸化されるか又は還元されることは不可欠な工程である。WO02/098962において、コーティングの適用前に、表面は任意にプラズマ処理され得る。EP0302625は、気体から生成されるプラズマを用いて過フッ素化ポリマー表面を処理して、プラズマ処理ポリマー表面を得ることを記載する。その後、ポリシロキサン滑剤が表面に塗布される。EP0329041は、ポリマー表面上の一層のケイ素含有ポリマーのプラズマ蒸着とその後のポリシロキサン滑剤の塗布を記載する。
【0003】
US2002/0192385は、コロナ放電、フレーミング(flaming)又はグロー放電のような物理的方法に基板を付して、次に活性化基板をフルオロアルキル機能性オルガノポリシロキサンで被覆して、その薄層コーティングを基板表面に与えることにより、ポリマー基板上にフルオロアルキル機能性オルガノポリシロキサンコーティングを適用する方法を記載する。US5798146は、拡散グロー放電内の荷電粒子の均一流束を確立することにより誘電体から作られた基板の湿潤及び密着特性を改良する方法を記載する。拡散グロー放電は、針先端部の末端をなす単一針形電極を用いて生成される。針先端部でのコロナ放電又はグロー放電が、基板表面に荷電粒子を保有する空気の流れに浸漬されるように、空気が導かれる誘電管により電極は取り囲まれる。表面処理後、フルオロポリマーのような材料は基板に塗布されて、連続コーティングを形成する。
【0004】
基板表面上の薄膜のパターニングは、広範な種々の用途、例えば集積電気回路のための重要なパターニング技法であるフォトリソグラフィにおける問題であり得る。フォトリソグラフィは、例えばシリコンチップ上に電子回路を構築するために用いられる他の機能性薄膜のエッチング及び蒸着を型取りするのに役立ち得るサブミクロンサイズのパターン化特徴を適用することができる。しかしながら、このようにして薄膜形態の材料をパターニングする能力は並外れて経費が掛かり、このようなものは、低コスト用途には適していない。さらに、このプロセスが投影光学手段に頼るということは、それが非平面基板、例えば3−D形状のパターニングに関する限定された有用性を有するということを意味する。
【0005】
これを考慮して、高価なフォトリソグラフィ法において遭遇する問題を回避する代替的印刷及びパターニング技法を提供するために、種々のいわゆるソフトリソグラフィックプロセスが開発されてきた。一般的なソフトリソグラフィックプロセスの概説は、Xiaら, Angew. Chem. Int. Ed., 1998, vol.37 page 550に提供されている。ソフトリソグラフィックプロセスは、印刷技法(Kumarら, Langmuir 1994, vol. 10, p1498)、型押し技法(Chenら, Eur Phys J Appl Phys 2000, Vol. 12, p223)及び成形技法(Kimら, J. Am. Chem. Soc. 1996, Vol. 118, p.5722)を用いてパターンを転写する手段としてのエラストマーポリマー、特にシロキサンゴムにおいて製造されるスタンプの使用に基づいている。
【0006】
特定のソフトリソグラフィック法としては、一般に「インク」と呼ばれるパターン化されるべき材料で被覆されたパターン化スタンプが単に基板と接触して配置されるマイクロコンタクトプリンティング(μCP)が挙げられる。パターン転写は制御接触メカニズムによっており、このようなものは、連続パターン及び離散パターンの両方を容易に作製する。μCPは多数の用途、例えば金、銀及び銅上のアルカンチオレートの、及びOH末端表面上のアルキルシロキサンの自己組織化単分子膜(SAM)で用いられてきた。Xiaら(Angew. Chem. Int. Ed., 1998, vol. 37 page 559)は、OH末端表面上のシロキサンの系が、乱雑なSAM、場合によってはサブモノレイヤー又は多分子膜を生じる傾向があるということを教示する。多数の問題がμCPと関連づけられる。例えばインクは反応的ににじむ傾向があり、これがパターン転写の解像度に影響を及ぼし得る。
【0007】
毛細管マイクロモールド法(MIMIC)は、基板と接触して配置された場合、シロキサンゴムスタンプを利用して、毛管を形成する。一方、接触すると、作製されるチャネルシステムは液体プレポリマーで充填され、これはその後、硬化される。硬化後、金型は剥離されて、種々の材料、例えばセラミック、金属及びポリマーで形成されたパターンを明示する。しかしながら、MIMICは、その有用性を妨げる多数の特徴を要する。これらの例としては、前駆体がその場で金型を充填するのに適した粘度を有し、連続パターンが金型の充填を可能にする必要性が挙げられ、一連の離散パターンは、小さい高密度(high feature density patterns)パターンにとって実用的でない金型を充填するために、3−Dチャネルシステムの使用を必要とする。エラストマー膜パターニング(EMP)は、加色法及び減色法(additive and subtractive processing)の両方を媒介する一層として、薄いシロキサンゴム膜ステンシル−マスクを用いる。この技法において、一見、克服される必要がある最大の問題は、必要とされる膜の固有の機械的不安定性である。開発されたその他の技法としては、レプリカ成形(REM)、マイクロ転写成形(μTM)及び溶媒補助マイクロ成形(SAMIM)が挙げられる。
【0008】
Childsら, J Am. Chem. Soc. 2002, vol. 124, p 13583に記載されたプロセスであるデカール転写マイクロリソグラフィー(DTM)は、基板上にパターン化シロキサン系コーティングを形成させるさらなるソフトリソグラフィックパターニング法である。この方法は、基板、例えばケイ素、ガラス、石英、シロキサンゴム及びケイ素熱酸化物基板に硬化シロキサン材料をシールすることにより例示される。液体シロキサンゴムを、マスター金型(以後、「マスター」と呼ぶ)に注型し、硬化させ、マスターから抜き取り、洗浄し、乾燥して、成形シロキサンゴムスタンプを形成する。続いて、その結果生じる成形シロキサンゴムスタンプの表面(これはその後、基板表面と接触されるようになる)は、水銀球から1mmの距離で2.5分間、UV/オゾンに曝露されることにより改質され、その後直ちに予備清浄化基板と接触される。次に、試料及び基板は70℃のオーブン中で少なくとも20分間加熱される。高温でのこの長時間の間に、基板とスタンプとの間の良好な結合が生じると言われている。しかしながら曝露距離、持続時間、及び曝露と基板接触との間の経時変化は全て、結合プロセスにおいて負の作用を有するということが認められる。結合プロセスが完了した後、成形シロキサンゴムスタンプは基板から物理的に剥離されて、その上にパターンを残すが、これは、スタンプと基板との間の結合の先の発現によっており、パターン化スタンプの一領域において結合していなければ、外見上、基板の相当領域へのパターンの転写は生じないであろう。
【0009】
得られたシロキサンゴム層は、結合面積のサイズによって変更可能な厚みを有し、以下で見られるような本発明のコーティングプロセスを用いて得られるものよりずっと厚い。このプロセスは、多くの時間を要すると思われ、基板表面とPDMSとの間の密着を得るために非常に特定的な密着工程を要する。それゆえこのプロセスは、薄膜パターン化基板表面を形成するために液体シロキサン等を基板表面に塗布することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、パターン化薄膜の提供は、簡単且つ再現可能な方法で首尾よく達成されないということが従来技術から分かる。本発明者らは、予備成形シロキサンポリマーの成功した印刷を考察しているいかなる従来技術も検出できなかった。従来技術において確認される問題のうちの少なくともいくつかを解決する簡単な方法を開発したものと本発明者らは確信する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
i)基板をプラズマ処理する工程と、
ii)オルガノポリシロキサンポリマー、オルガノポリシロキサンオリゴマー、シロキサン樹脂及びポリシランの群から選択される1つ以上の化合物を含む液体コーティング材料をソフトリソグラフィック印刷法により基板表面に塗布して、基板表面上にパターン化皮膜を形成する工程と、
iii)必要な場合は、基板表面から残留液体コーティング材料を除去する工程と
を含み、基板表面上にパターン化薄膜を適用する方法であって、この方法は液体コーティング材料が硬化工程を経ることを必要としない、パターン化薄膜を適用する方法が提供される。
【0012】
本発明のプロセスに用いられるソフトリソグラフィック法は、μCP、MIMIC、EMP、REM、μTM及びSAMIMから選択され得るが、μCPが好ましい技法である。好ましくは基板上へのオルガノポリシロキサンの塗布から生じる薄膜は、1〜100nmの範囲の厚みを有する。薄膜は、少なくとも部分的には、自己組織化単分子膜であり得る。
【0013】
本発明に関するプロセスに用いられるべき基板を処理するのに適した任意のプラズマ発生装置が利用され得る。プラズマ源の選択は一般に基板の寸法に左右され、グロー放電型源は薄膜又はプレートのために用いられ、その他のより適切なシステムが三次元基板のために用いられる。好ましくは非熱平衡又は非熱、非平衡プラズマ装置は、本発明の方法の工程(i)に着手するために用いられ得る。本発明のために利用され得る適切な非熱平衡プラズマとしては、大気圧グロー放電、誘電体バリア放電(DBD)、低圧グロー放電が挙げられ、いわゆるプラズマナイフ型装置(WO03/085693に記載)又は後放電プラズマ(連続方式又はパルス方式で操作され得る)が特に好ましい。好ましいプロセスは、「低温」プラズマであり、この場合、「低温」という用語は、平均で200℃より低い、好ましくは100℃より低いよう意図される。これらは、(フレームベースのシステムのような熱平衡プラズマと比較した場合)衝突が相対的に稀に起こるプラズマであって、広範に異なる温度でそれらの構成成分種を有するプラズマ(それゆえ一般名「非熱平衡」プラズマ)である。
【0014】
後放電プラズマ(post discharge plasma)システムは、高流量で隣接及び/(又は同軸)電極間を通過するガスを用いてプラズマを発生させるために開発されてきた。これらのガスは、電極の形状により限定されるプラズマ領域を通過し、周囲大気圧で励起及び/又は不安定ガス混合物の形態でシステムを出る。これらのガス混合物は、プラズマ領域、即ちプラズマが発生する隣接電極間の間隙から遠隔の下流用途に利用され得る荷電種を実質的に含有しないことにより特性化される。この「大気圧後プラズマ放電」(APPPD)は、低圧グロー放電及びAPGDの物理的特質のうちのいくつか、例えばグロー、活性発光種の存在及び化学的反応性を有する。しかしながらいくつかの明白且つ独特の差異、例えばAPPPDがより高い熱エネルギー、境界壁の非存在、例えば無電極、荷電種の実質的非存在、ガス及びガスの混合物の豊富な選択、ガスの大流量を有するという事実が存在する。この種のシステムは、US5807615、US6262523及びGB0324147.8(後者は本出願の国際提出日時点で公開されていなかった)に記載されている。
【0015】
適切な代替的プラズマ源は、例えばマイクロ波プラズマ源、コロナ放電源、アークプラズマ源、DCマグネトロン放電源、ヘリコン放電源、容量結合型高周波(rf)放電源、誘導結合RF放電及び/又は共振マイクロ波放電源を含み得る。
【0016】
大気圧グロー放電又は後放電を発生させるための任意の慣用的手段、例えば大気圧プラズマジェット、大気圧マイクロ波グロー放電及び大気圧グロー放電が、本発明の方法に用いられ得る。典型的には、大気圧グロー放電プロセスは、プロセスガスとしてヘリウム、及び高周波(例えば1kHzより大きい)電源を用いて、ぺニングイオン化メカニズムにより大気圧で均一グロー放電を発生させる(例えば、Kanazawaら, J Phys. D: Appl. Phys. 1988, 21, 838、Okazakiら, Proc. Jpn. Symp. Plasma Chem. 1989, 2, 95、Kanazawaら, Nuclear Instruments and Methods in Physical Research 1989, B37/38, 842 及びYokoyamaら, J. Phys. D: Appl. Phys. 1990, 23, 374参照)。
【0017】
本発明の方法に用いるための典型的大気圧グロー放電発生装置は、1つ又は複数対の平行又は同心電極を備えていてもよく、この電極間を、さらに好ましくは電極上の誘電性コーティング間を3〜50mm、例えば5〜25mmの実質的一定間隙でプラズマが発生する。用いられる隣接電極間の実距離は、最大50mmまでであるが、用いられるプロセスガスによって決まる。電極は1〜100kV、好ましくは1kVと30kVとの間、最も好ましくは2.5kVと10kVとの間の根二乗平均(rms)電位で高周波(RF)電圧付加されるが、実値は、化学的/ガス選択及び電極間のプラズマ領域サイズによって決まる。周波数は一般に、1〜100kHz、好ましくは15〜50kHzである。本発明に従って基板をプラズマ処理するのに適した代替的大気圧グロー放電/コロナシステムとしては、US5798146に記載された型の単一針形電極システムが挙げられる。
【0018】
大気圧グロー放電プロセスガスは任意の適切なガスであり得るが、好ましくは希ガス又は希ガスベースの混合物、例えばヘリウム、ヘリウムとアルゴンとの混合物、並びにケトン及び/又は関連化合物を付加的に含有するアルゴンベースの混合物である。本発明においては、これらのプロセスガスは、液体前駆体の必要とされる酸化に作用するのに適した1つ以上の潜在的反応性ガス、例えばO、HO、酸化窒素、例えばNO又は空気等と組合せて利用される。最も好ましくは、プロセスガスは、酸化ガス、典型的には酸素又は空気と任意に組合せたヘリウムである。しかしながらガスの選択は、意図されるプラズマプロセスに依存する。酸化ガスが存在する場合、それは好ましくは90〜99%の希ガス及び1〜10%の酸化ガスを含む混合物で利用される。
【0019】
低圧プラズマはプラズマ放電のパルス化によってなされ得るが、好ましくは、付加的な加熱を必要とせずに実行される。プラズマは、任意の適切な電源からの電磁放射線、例えば高周波、マイクロ波又は直流(DC)により発生され得る。8〜16MHzの高周波(RF)範囲が適切であり、13.56MHzのRFが好ましい。低圧グロー放電の場合、任意の適切な反応チャンバが利用され得る。電極システムの電力は、1〜100Wであり得るが、好ましくは連続低圧プラズマ法のためには5〜50Wの範囲である。チャンバ圧は、任意の適切な圧力、例えば0.1〜0.001mbar(10〜0.1Pa)に低減され得るが、好ましくは0.05〜0.01mbar(5〜1Pa)である。
【0020】
特に好ましいプラズマ処理プロセスは、室温でプラズマ放電をパルス化することを包含する。極めて低い平均電力、例えば10W未満、好ましくは1W未満の電力を付加するよう、プラズマ放電は特定の「オン」タイム及び「オフ」タイムを有するようパルス化される。オンタイムは、典型的には10〜10000μs、好ましくは10〜1000μsであり、オフタイムは典型的には1000〜10000μs、好ましくは1000〜5000μsである。
【0021】
低圧プラズマの場合、プラズマを形成するためのプロセスガスに適した代替物は一般的に大気圧系に関して記載されたものと同様であるが、ヘリウム及び/又はアルゴンのような希ガスを含まなければならないというわけではなく、したがって純粋に酸素、空気、又は代替的酸化ガス又は還元ガスであってもよい。後放電大気圧非平衡プラズマの場合、還元プラズマガス混合物、例えばN/Hを用いてもよく、このときHは5体積%まで、好ましくは約3%の量で存在する。
【0022】
大気圧及び低温(好ましくは上記のように100℃未満)でプラズマ処理工程を用いる特別の利点は、皮膜性基板が、任意の適切な方法によるが、特にリールtoリールプロセスを用いて、連続ロール上でプラズマ処理され得るという事実である。好ましくは本発明に従う方法は、初期プラズマ処理部分とその後の自動化印刷領域を含む連続プロセスである。
【0023】
被覆されるべき基板は、任意の適切な材料、例えば金属、金属箔及び金属酸化物、例えば酸化インジウムスズ、ガラス、炭素質材料、セラミック、半導体材料、例えばヒ化ガリウム、プラスチック、硬化シリコーン樹脂、シルセスキオキサン材料、オルガノポリシロキサン材料及びポリシランオリゴマー/ポリマーのような高分子ケイ素含有材料、織布繊維又は不織布繊維、天然繊維、合成繊維、セルロース系材料及びフォトレジスト材料を含み得る。プラスチックという用語は、任意の適切な熱硬化性又は熱可塑性材料、例えばポリオレフィン、例えばポリエチレン、及びポリプロピレン、ポリカルボネート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル(例えばポリアルキレンテレフタレート、特にポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリメタクリレート(例えばポリメチルメタクリレート及びヒドロキシエチルメタクリレートのポリマー)、ポリエポキシド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、並びにその配合物、積層体及びコポリマーを意味し得る。
【0024】
好ましい実施形態では、オルガノポリシロキサンは、ソフトリソグラフィックプロセス、例えばμCP、MIMIC、EMP、REM、μTM又はSAMIMの一環としてインクの形態で基板上に塗布されるが、μCP型プロセスが好ましい。
【0025】
μCPプロセスの場合、任意の適切な型のスタンプが用いられ得るが、ポリジメチルシロキサン(PDMS)系スタンプが好ましい。本明細書に従って本発明のためのスタンプを作製するのに適した材料の一例は、シルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマー(ダウ・コーニング・コーポレーション(Dow Corning Corporation)(ミシガン州、米国))である。上記プロセスに用いられるべき金型は、金型に用いられるべき高分子材料を製造し、且つ十分量をマスター金型中に注ぎ入れることにより調製される。マスターは任意の適切な材料から作られ、任意の適切な形状を有し得る。マスターの一例は、ケイ素ウェハであり得る。次に高分子材料が硬化され、分離され、例えばマスター金型から剥離されて、適切なサイズのスタンプに切断され、これは任意の適切な形状を有するが、一般に円形、長方形又は正方形に造形される。好ましくはマスター金型と接触していた各スタンプの領域を、例えば低沸点溶媒中のオルガノポリシロキサンの希釈溶液か又は低沸点溶媒単独を用いて清浄化し、次に乾燥させる。任意の適切な低沸点溶媒、例えばアルカン、例えばペンタン及びヘキサン、又はテトラヒドロフランが利用され得る。
【0026】
次に本発明のプロセスに従って用いられるオルガノポリシロキサンの層が、そのまま、あるいは上記のような低沸点溶媒中の希釈溶液の形態で、スタンプ上に適用される。次にスタンプの被覆表面は基板表面と接触され、スタンプはその後除去されて、基板表面上に印刷パターンを残す。印刷工程後、オルガノポリシロキサンのパターンが印刷される基板は、用いられるオルガノポリシロキサンの形態に応じて、任意の適切な方法によりさらに改質され得るということも本発明者らは確認した。
【0027】
さらに、処理プロセスの異なる時点で基板の区域を遮蔽する手段により、基板の異なる領域に異なる表面特性がもたらされ得る。基板の領域は遮蔽される、即ち或る領域に特定の処理工程を起こさせない。これは、プラズマ処理から基板を遮蔽すること、又は液体オルガノポリシロキサンポリマー/オリゴマー及び/又はポリシランのその後の印刷、又はパターン化薄層が基板表面に印刷された後の領域の後処理の阻止を包含し得る。遮蔽の一例は、印刷表面の一部が酸化され、一部がプラズマ処理前と同じままであり、それにより異なる領域が異なる化学的特性又は物理的特性を有するようにさせ、この場合は異なる程度の親水性が達成されるよう、その後の酸素プラズマ処理中に基板のマイクロコンタクト印刷領域の一部の表面を遮蔽することであり得る。他の例では、表面は、一部が酸化され、化学結合/反応に利用可能であり、さらなるコーティングに対して非反応性となり得る。遮蔽は、さらなる工程が起こる前に、基板上に薄膜を印刷することによっても起こり得る。
【0028】
ソフトリソグラフィック印刷法に用いられる液体コーティング材料又はインクは、オルガノポリシロキサンポリマー、オルガノポリシロキサンオリゴマー、シロキサン樹脂及びポリシランから選択される。本発明のプロセスに用いられる液体オルガノポリシロキサンポリマー/オリゴマーは、任意の適切な線状、分枝鎖又は環状オルガノポリシロキサン又はそのコポリマー、例えばシリコーンポリエーテルであり得る。本発明の利益のために、液体コーティング材料又はインクは、液体又はワックス形態の低分子量シリコーン樹脂も含み、後者の場合、上記のワックスは適切な低沸点溶媒中に容易に溶解可能である。
【0029】
本発明による方法に用いるための液体前駆体として適している線状又は分枝鎖状のオルガノポリシロキサンポリマー/オリゴマーとしては、一般式W−A−W(式中、Aは、式R''SiO4−s/2(ここで、R''は、各々独立して、1〜40個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基、例えばビニル、プロペニル及び/又はヘキセニル基;水素;アリール基、例えばフェニル、ハライド基、アルコキシ基、エポキシ基、アクリルオキシ基、アルキルアクリルオキシ基を表し、この場合、R''基のいずれかはフッ素基を含有し得る)のシロキサン単位を有するポリジオルガノシロキサン鎖である)の液体が挙げられる。一般にsは2の値を有するが、分枝鎖状オルガノポリシロキサン及び/又はシリコーン樹脂では、sは少なくとも一部は0又は1である。好ましい材料は、一般式−(R''SiO)−(式中、R''は、各々独立して、上記と同様であり、mは約1〜約4000の値を有する)によるポリジオルガノシロキサン鎖を有する。適切な材料は、約0.5mm−1〜約1,000,000mm−1のオーダーの粘度を有する。高粘度材料が用いられる場合、それらは適切な低沸点溶媒、例えばテトラヒドロフラン、又はアルカン、例えばペンタン及びヘキサン中に希釈されて、適切な適用方法を可能にする。
【0030】
基Wは、同一であっても又は異なっていてもよい。W基は、例えば−Si(R'')X、又は−Si(R'')−(B)−R'''SiR''(X)3−k
(式中、Bは、−R'''−(Si(R'')−O)−Si(R'')−であり、且つR''は上記と同様であり、R'''は二価炭化水素基であり、rはゼロ、1〜6の間の整数であり、dは0又は整数、最も好ましくは、dは0、1又は2であり、XはR''と同一であるか、又は6個までの炭素原子を有するアルキル基を含有するアルコキシ基、エポキシ基、メタクリルオキシ基若しくはハライドのような加水分解性基であり得る)から選択されてもよい。好ましくは、オルガノポリシロキサンは、5〜20の重合度を有する塩素末端ポリジメチルシロキサンではなく、この場合、各末端ケイ素は1〜3個のSi−Cl結合を含有する。
【0031】
環状オルガノポリシロキサンは、一般式−(R''SiO2/2−(式中、R''は上記されており、nは3〜100、好ましくは、3〜22であり、最も好ましくは、nは3〜6である)を有する。液体前駆体は、上記のような環状オルガノポリシロキサンの混合物を含み得る。
【0032】
本発明に用いるための線状又は分枝鎖状のオルガノポリシロキサンポリマー/オリゴマーは、1つ以上の上記のような線状又は分枝鎖状のオルガノポリシロキサンを、1つ以上の上記のような環状オルガノポリシロキサンとともに含む混合物も含み得る。一つの好ましいオルガノポリシロキサンポリマー/オリゴマーは、トリメチルシリル末端封止ポリジメチルシロキサン(以後、PDMSと呼ぶ)である。式R''Si4−s/2(式中、R''及びsは上記と同様である)の単位を含む任意の適切なポリシランが利用され得るが、少なくとも10の重合度を有するポリシランが好ましい。
【0033】
シリコーン樹脂は一般に、M、D、T及びQという呼称を用いて記載され、この場合、M単位は一般式RSiO1/2を有し、D単位は一般式RSiO2/2を有し、T単位は一般式RSiO3/2を有し、Q単位は一般式SiO4/2を有する。一般に、別記しない限り、各R基は、通常、有機炭化水素基、例えばアルキル基(例えばメチル又はエチル)又はアルケニル基(例えばビニル又はヘキセニル)であるが、R基のいくつかはシラノール基であってもよい。M及び任意にD基のほかに、Q及び/又はT基を含む任意の適切なポリシロキサン樹脂は、本発明においてインクとして利用され得る。
【0034】
結果的に生じる被覆表面の化学的改質は、他の分子との結合及び/又は反応に利用可能であるオルガノポリシロキサンコーティングが反応基を含有する場合に実行され得る。特定の一例は、印刷層の一定領域において、無電解金属化のための触媒が続いて蒸着される多数のSi−H結合を含有するオルガノポリシロキサンポリマー/オリゴマーで基板上に薄膜を提供することである。あるいは、付加的なコーティング工程は、基板表面の化学的特性の(領域特異的)変化をもたらすために、基板の同一の又は異なる領域上に利用され得る。さらなる代替物においては、結果的に生じる被覆基板は、基板の被覆層又は非被覆領域を化学的に改質するために、例えば酸化ガス又は還元ガスの存在下で、プラズマ処理され得る。酸化プラズマを用いる場合、被覆表面は親水性になり、非常にゆっくりと疎水性に戻り(回復し)得る。また、皮膜は親水性である基板のいくつかの領域及び疎水性である他の領域を提供するために再被覆され得る。本発明は、他の形態の印刷、例えばインクジェット及びフレキソ印刷法にも適合される。
【0035】
適切な場合、基板は前処理され、即ち例えば本発明のプロセス前に、又は基板表面のプラズマ処理後であるが基板表面への予備成形金型の適用前に、化合物の一層が基板上に蒸着され得る。任意の適切な方法がこのような層を適用するために用いられ、例としてはスピンコーティング及び浸漬コーティングが挙げられるが、特に好ましい一方法はPCT特許出願WO02/28548及びPCT特許出願WO03/086031(本出願の優先権日後に公開)に記載されている(これらの記載内容は、参照により本明細書中に援用される)。この好ましい前処理プロセスは、大気圧プラズマ放電及び/又はそれに起因するイオン化ガス流中に噴霧液及び/又は固体コーティング形成材料を導入し、且つ大気圧条件下で噴霧コーティング形成材料に基板を曝露することを包含する。
【0036】
酸化条件下で、前処理法を用いて基板上に酸素含有コーティングを形成し得る。例えばケイ素系コーティングは、噴霧ケイ素含有コーティング形成材料から基板表面に形成され得る。還元条件下では、本発明の方法は、無酸素コーティングを形成するために用いられ、例えば炭化ケイ素系コーティングが噴霧ケイ素含有コーティング形成材料から形成され得る。
【0037】
前処理工程中に基板上に形成されるコーティングの型は用いられるコーティング形成材料(単数又は複数)により確定され、本発明の方法を用いて、基板表面にコーティング形成モノマー材料(単数又は複数)を(共)重合し得る。コーティング形成材料は、有機又は無機の、固体、液体若しくは気体、又はその混合物であり得る。適切な有機コーティング形成材料としては、カルボキシレート、メタクリレート、アクリレート、スチレン、メタクリロニトリル、アルケン及びジエン、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート及びその他のアルキルメタクリレート、並びに対応するアクリレート、例えば有機官能性メタクリレート及びアクリレート(グリシジルメタクリレート、トリメトキシシリルプロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート及びフルオロアルキル(メタ)アクリレートを含む)、メタクリル酸、アクリル酸、フマル酸及びエステル、イタコン酸(及びエステル)、無水マレイン酸、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化アルケン、例えばビニルハロゲン化物、例えば塩化ビニル及びフッ化ビニル、並びにフッ素化アルケン、例えばペルフルオロアルケン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチレン、プロピレン、アリルアミン、ビニリデンハロゲン化物、ブタジエン、アクリルアミド、例えばN−イソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、エポキシ化合物、例えばグリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドール、酸化スチレン、一酸化ブタジエン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAグリシジルエーテル(及びそのオリゴマー)、酸化ビニルシクロヘキセン、導電性ポリマー、例えばピロール及びチオフェン及びそれらの誘導体、並びにリン含有化合物、例えばジメチルアリルホスホネートが挙げられる。
【0038】
任意の前処理工程に適した無機コーティング形成材料としては、金属及び金属酸化物が挙げられ、コロイド金属を含む。有機金属化合物も、適切なコーティング形成材料であり得、金属アルコキシド、例えばチタン酸塩、スズアルコキシド、ジルコン酸塩、並びにゲルマニウム及びエルビウムのアルコキシドを含む。
【0039】
基板は、任意の前処理工程中に、代替的に、ケイ素含有材料を含むコーティング形成組成物を基板上に適用することにより、シリカ又はシロキサン系のコーティングで被覆され得る。前処理工程に適用され得る適切なケイ素含有材料としては、シラン(例えばシラン、アルキルシラン、アルキルハロシラン、アルコキシシラン)、並びに線状(例えばポリジメチルシロキサン)及び環状シロキサン(例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン)が挙げられ、有機官能性線状、環状シロキサン(例えばSi−H含有、ハロゲン官能性及びハロアルキル官能性線状及び環状シロキサン、例えばテトラエチルシクロテトラシロキサン及びトリ(ノンフルオロブチル)トリメチルシクロトリシロキサン)、並びにシリコーン樹脂を含む。例えば特殊化された要求に基板コーティングの物理的特性(例えば熱特性、光学特性(屈折率等)、及び粘弾性特性)を適応するために、異なるケイ素含有材料の混合物が用いられ得る。
【0040】
本発明の印刷コーティングはXiaら(同書)の教示で考察されたものより有意に良好であると考えられ、従来技術で記載されたDTMプロセスで必要とされるような硬化PDMSを適宜の位置に残すためにスタンプを物理的に「剥離する」必要がないということが本発明者らにより見出されている。プラズマへの簡単な予備コーティング曝露により、従来技術で必要とされるような硬化工程を必要とせずに、塗布されるオルガノポリシロキサンと相互作用し得る基板表面とする。上記のように、これらの知見はXiaら(同書)における教示と相反するものである。
【0041】
このようなコーティングの一つの利点は、それらが光に透過性であることである。代替的に又は任意の化学的改質後に、印刷基板はエッチングプロセスに付され、この場合、印刷層はエッチングプロセスのためのガイドとして作用する。印刷層は、適切な基が立体障害を受けない場合は触媒又は反応開始剤としても用いられ得るし、又は他の化合物との反応のために若しくは他の反応の阻害剤として利用可能であり得る。
【0042】
本発明に記載されたソフトリソグラフィック印刷法の一つの用途は、分子配向、特に液晶配向及び液晶ゲスト−ホストシステム(即ち液晶と再配向する機能性添加物を有する液晶)、例えば染料及び選択される発色団の配向の変更のための使用に関連する。これは、ガラススライド上にパターン化シロキサン層を蒸着し、次にその上に液晶を載せることにより例示され得る。液晶皮膜の配向は、シロキサンを有さない領域上の配向と比較して、シロキサンが蒸着されている領域で変更される。広範囲のシロキサン系インクが有効であることが判明している。配向における変更は、プラズマ前処理されないが、PDMSパターンでマイクロコンタクト印刷されるガラス基板上の系に関するもの(この場合、結果は温度サイクルに耐久性を示さなかった)と違って、加熱、摩擦及び適度な剪断に対して安定であることが見出される。1μmのサイズに下げる特徴の明白な定義が得られたが、これは、系というよりむしろ利用可能なマスターに関連するものに限定されない、と確信される。液晶配向を変更するための多数の方法が既知である(例えばシラン単一層の使用)が、これは、シロキサン又は液晶官能化シロキサンを利用するこのような変更の最初の例であると確信される。
【0043】
その他の用途としては、例えば、スピンコーティング及びインクジェット印刷のようなその後のプロセス中に材料配置を制御するための疎水性トラックの印刷が挙げられる。
【0044】
ここで、以下の実施例及び図面に基づいて本発明をさらに説明する。
【0045】
図1に示したAは、本発明によるソフトリソグラフィック印刷のための適切な金型又はスタンプが作製され得るマスター金型を描くよう意図される。本発明の方法に用いるための印刷金型又はスタンプを、標準のソフトリソグラフィック印刷法により調製した。マスター金型は、例えば硬化性液体シリコーンゴムを注入する、パターン化され、且つ/又はエッチングされたケイ素ウェハであってもよい。この目的のための適切なポリマーは、シルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマーであり、これは、図1の工程Bに示されるように、マスター金型中に注ぎ入れ、且つ金型/スタンプを硬化することにより注型され得る。その結果生じる金型/スタンプ(図1のセクションC)は次に、マスター金型から剥離されて、金型中/上への「インク」の付加のための準備がなされる。インクは、適切なインクでスタンプの外郭側面を被覆することにより適用される。オルガノポリシロキサンの初期粘度に応じて、本発明による任意の適切なインク、例えばオルガノポリシロキサン単独、又は適切な低沸点溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はアルカン、例えばペンタン及びヘキサン中に希釈された溶液が利用され得るが、本発明に従って、好ましくは、必要とされる溶媒はペンタンである。マイクロコンタクトプリンティングは、金型/スタンプ上に液体「インク」を塗布し、次に付加される適切な圧力程度で、金型/スタンプのインク側面を予め調製された(プラズマ処理)基板(図1のD)上に載せることにより、本発明に従って達成される。設定時間後、金型/スタンプを取り外すと、パターン化薄膜が基板の表面に残る(E)。
【0046】
図2a及び図2bは、マイクロコンタクトプリンティングに用いるのに適した柱状金型の写真である。図2aは、塊状スタンプから20μmの突出又はポストを有する金型を示す。このような金型は、図1に見られるプロセスに従って調製されるが、この場合、マスター金型は、液体成形材料が注ぎ込まれ、20μmのポストが金型として用いるために複製される20μmの穴を有する。図2bは、上記と同様の方法で、30μmのポストを有する金型/スタンプの斜視図である。
【0047】
図3は、本発明による基板のプラズマ処理後の基板上のポジティブパターンのマイクロコンタクトプリンティングを示す。図3において、金型/スタンプ1はポスト2に塗布されたインクを有しており、基板3上に適用されている。所定時間後、金型/スタンプを取り外すと、基板上の大半の非印刷領域に取り囲まれた2つの印刷された円2bが生じる。非印刷領域へのインクの最小反応性拡散が、通常は本発明者らにより確認された。
【0048】
図4は、本発明による基板のプラズマ処理後の基板上のネガティブパターンのマイクロコンタクトプリンティングを示す。図4において、金型/スタンプ5は穴を備えており、インクがこの穴を取り囲む領域6に塗布され、穴はインクのない状態のままである。インク処理された金型/スタンプ5は基板3上に適用されており、次に所定時間後、金型/スタンプ5を取り外すと、基板上の塊状印刷領域6に取り囲まれた2つの非印刷円7を生じる。非印刷領域へのインクの最小反応性拡散は、通常は本発明者らにより確認されなかった。
【0049】
以下の実施例で提示される場合、接触角測定は全て、別記しない限り、AST VCA2000ビデオ接触角システムを用いて実行し、試料の異なる区域で少なくとも3回反復して、結果を平均した、と理解されるべきである。
【実施例】
【0050】
実施例1.マイクロコンタクト印刷(μCP)法を用いたソフトリソグラフィックスタンピング
上記の図1に関連して記載したような標準のソフトリソグラフィック印刷法により、本プロセスに用いるための平面(平坦)スタンプを調製した。本発明の一連の実施例では、スタンプは以下のように作製した:
シルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマー パートA及びBを10:1の比で混合し、真空下で脱気して、ペトリ皿中の平坦ケイ素ウェハ上に注いだ。シルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマーを65℃で2時間硬化させて、ケイ素ウェハから剥離して、1×2cmの長方形に切断した。ケイ素と接触していた側面をペンタン中のシロキサンの希釈溶液で拭いて、乾燥させた。
【0051】
10〜12MHzの高周波で操作するHarrickPDC−002プラズマクリーナー(ハーリック・サイエンティフィック・コーポレーション(Harrick Scientific Corp., Ossining)(ニューヨーク、米国))を用いて、基板(ガラス顕微鏡スライド、プラスチックフィルム、ケイ素ウェハ等)をプラズマ処理した。チャンバ容積は3000cmであった。最初に、プラズマ装置を0.008mbar(0.8Pa)の基準圧にポンプで下げた。プロセスガスをチャンバ中に導入して、2分間、0.2mbar(20Pa)の圧力にし、この圧力で、高電力で10分間、プラズマを活性化して、チャンバ全体を清浄した。次にプラズマを非活性化して、チャンバをプロセスガスでさらに2分間洗浄した。次にチャンバを換気して、試料を挿入し、チャンバをポンプで0.008mbar(0.8Pa)に下げた。次に0.2mbar(20Pa)の圧力でプロセスガスを導入すると、7.2Wの低電力設定で60秒間、プラズマを活性化した。次にチャンバを空気で換気して、試料を取り出し、分析した。全てのPDMS被覆基板をトルエンで(3回)洗浄し、140℃で30分間オーブンに入れて、あらゆる残留吸着トルエンを除去した。それらを冷却させて、水の接触角を測定した。
【0052】
プラズマ処理の直後(5分以内)に、上記と同様に調製されたシルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマースタンプのシロキサン被覆側面を基板と接触させて、手で中間圧を適用して、良好な接触を保証し、約30秒後にスタンプを取り外した。試料を約30分間放置して、次にトルエンで3回洗浄し、乾燥した後、接触角測定を実施した。この時点で、シロキサン皮膜はスライド上に視覚的に検出されなかったが、しかしながらスライド上を通気させると、印刷及び非印刷領域間の示差的疎水性のために、印刷パターンが明瞭に曝露された。
【0053】
WO02/28548に記載された方法及びPCT特許出願PCT/EP03/04349に記載された装置を用いて、SiOx被覆PETを調製した。大気圧グロー放電(APGD)装置により、PET基板を被覆した。誘電体中に入れられた2つの隣接電極間に、プラズマ領域を形成した。2つの電極に取り付けたガラス誘電プレート間の間隙の距離は6mmで、各電極の表面積は(10cm×60cm)であった。用いたプロセスガスは、ヘリウム又はヘリウムと酸素の混合物であった。プラズマは両ゾーンに0.4kWを電力供給し、電圧は4kVであり、周波数は29kHzであった。作業温度は40℃より低かった。
【0054】
プラズマゾーンの中及び外の両方への基板の輸送を手助けするためのガイド手段を利用するリールtoリール方式メカニズムを用いて、基板を両プラズマゾーンに通した。プラズマゾーンを通過する基板の速度は、4m/分であった。基板を系のプラズマ領域に3回通して輸送した。最初のプラズマ領域通過中、プラズマガスは、19.5標準リットル/分(SLM)の流量のヘリウム及び0.075SLMの流量の酸素で構成された。12.5μl/分の速度でプラズマ/コーティングゾーン中にソノテック(Sonotec)超音波ノズルを通して系中に液体PDMS(5mm−1)を導入して、プラズマ領域を通過するPET上のSiOxコーティングを適用した。PETの二回目のプラズマゾーン通過は、使用したプラズマゾーンに液体PDMSを導入しなかったという事実以外は、最初の通過と同一であった。基板の三回目及び最終プラズマゾーン通過は最初の通過と同一であり、SiOxのさらなるコーティングをPET基板表面に適用した。本発明の場合、基板表面のさらなるプラズマ処理は必要であるとは考えられず、本発明に従ってコーティングを適用した。
【0055】
AST VCA2000ビデオ接触角システムを用いて、水の接触角を測定した。印刷及び非印刷領域の両方で少なくとも3回接触角を測定して、各領域に関する結果を平均した。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
表1の結果は、ガラス及びケイ素を含む一連の基板上に印刷されたシロキサンに関する明白な弁別を示す。シロキサン印刷領域に関して観察された接触角は依然として洗浄又は時間と合理的に一致し、基板へのシロキサンの良好な固定を示した。
【0058】
実施例2.
本実施例は、種々の異なる基板材料、即ちAu/Pdスパッタガラス微小スライド、炭素被覆ガラススライド、銅箔及びアルミニウム箔上へのマイクロコンタクトプリンティングにより、本発明に従うプロセスの融通性を示すよう意図された。
【0059】
HammerXスパッタコーターを用いてAu/Pdでガラス顕微鏡スライドを被覆することにより、Au/Pd基板を調製した。試料を機械に入れて、圧力を0.04トール(5.332Nm−2)より小さく低減した後、アルゴンガスを導入して、約0.06トール(7.998Nm−2)の圧力とした。次に、10mAで120秒間、2400Vの高電圧を用いて、ガラススライドの表面にAu/Pdをスパッタリングした。
【0060】
真空下で炭素棒に電流を通して、炭素を表面に蒸着させることにより、EmitechK950炭素蒸発器コーターユニットを用いて、炭素でガラス顕微鏡スライドを被覆することにより、炭素基板を調製した。
【0061】
表2aに示した結果は、プラズマ処理前に出発材料基板上で測定した接触角の詳細を提供する。これは、表面特性に及ぼすトルエン洗浄の作用を確立するために行った。Au/Pd及びCの2つの蒸着コーティングの場合、洗浄は接触角測定に有意に影響する、ということが認められた。
【0062】
【表2】

【0063】
実施例1に記載したように基板をプラズマ処理し、次にPDMS(350mm−1)で印刷した。トルエンで洗浄後、接触角を測定し、結果を表2bに示す。これらの実施例においてPDMS(350mm−1)を用いた印刷領域は、ガラス基板上の印刷領域(100°より大きい)より低い接触角を生じた、と理解されるべきであるが、出発基板と処理後基板の印刷領域の特性間、並びにプラズマ処理実施例における印刷及び非印刷領域間の両方に認められる明瞭な弁別が存在した。
【0064】
【表3】

【0065】
実施例3.
この実施例において、用いた基板は、酸化インジウムスズ(ITO)被覆プラスチックであった。PDMS(350mm−1)及び実施例1に記載した方法を用いて基板を処理した。表3の結果は、印刷及び非印刷領域間を明瞭に弁別する。トリメチルシリル末端封止メチル水素シロキサンのマイクロコンタクトプリンティングに関する印刷及び非印刷領域間の弁別も観察された。
【0066】
【表4】

【0067】
したがって、マイクロコンタクトプリンティングを用いて、PDMSにより例示されるような一連のプラズマ処理基板の選定区域上に上記に定められたような液体を蒸着して、メチル水素シロキサンが一貫した転写及び100°以上の範囲の接触角を生じて、印刷及び非印刷領域間の良好な弁別を可能にする、ということが明らかである。
【0068】
実施例4.高粘度流体
実施例1に記載したのと同一の方法を用いて、高粘度PDMSをガラススライド上に印刷したが、この場合、12,500、30,000及び60,000mm−1の粘度を有するPDMSの試料を標準シルガード(SYLGARD)(登録商標)184平坦スタンプ上にインク処理し、次にガラス基板上に印刷した結果を、ガラス基板上への印刷後に比較した。表4aに見出される結果は、高粘度PDMS液体を用いた印刷皮膜はガラス基板に関して非常にポジティブな結果も生じたということを示す。
【0069】
【表5】

【0070】
インクの予備的処理が印刷最終結果にほとんど影響を及ぼさないことを示すために、用いた液体をスタンプ上に塗布し、3つの異なる方法で処理した後、ガラス基板上に適用した。これらを以下に示す:
i)プラズマ処理スライド上への適用前に15分間、スタンプ上にインク処理する;
ii)プラズマ処理スライド上への適用前に1時間、スタンプ上にインク処理する;及び
iii)所望のプラズマ処理ガラス上のスタンピング前に平面ガラス上に3回スタンピングする。結果を表4bに示すが、全ての場合において、PDMSが首尾よくガラス基板上に転写されたことを示す。
【0071】
【表6】

【0072】
実施例5.プラズマ再処理及びシロキサン薄膜の印刷
ガラススライドを最初に酸素ガス(圧力0.2mbar(20Pa)、60秒処理)中でプラズマ処理(HarrickPDC−002プラズマクリーナー、低電力)した。プラズマ処理直後(5分以内)に、シリコーンを基板上に注いでそれを完全に被覆し、次に一晩放置した。試料をトルエン中で3回洗浄し、乾燥した後、接触角を測定した。いくつかの場合には、試料をトルエン中に一晩浸漬し、トルエンで再洗浄して、非反応シロキサンの完全除去を保証した。
【0073】
次に水の接触角を少なくとも3回測定し(AST VCA2000ビデオ接触角システム)、結果(表5の「オリジナル」の欄に示されている)を平均した。
【0074】
シリコーンで被覆したガラスマイクロスコープスライドを酸素ガス(圧力0.2mbar(20Pa)、60秒処理)中でプラズマ処理(HarrickPDC−002プラズマクリーナー、低電力)した。プラズマ処理直後(5分以内)に、平面平坦シルガード(Sylgard)スタンプを用いてPDMS(350mm−1)で皮膜の断片を再印刷した。次に水の接触角を、非印刷(表5a)及び印刷(表5b)領域の両者において少なくとも3回、3ヶ月間にわたって定期的に測定し(AST VCA2000ビデオ接触角システム)、各領域に関する結果を平均した。
【0075】
この実施例では、実施例3に上記で考察したようなガラススライド上の異なるシロキサンの薄膜の選択を、HarrickPDC−002プラズマクリーナー及び実施例1に記載したプロセスを用いてさらにプラズマ処理して、薄膜それ自体におけるその後のプラズマ処理の耐久性を調べた。
【0076】
表5aに示した結果は、3ヶ月間の期間にわたるプラズマ再処理されたが非印刷の皮膜上の接触角測定値(°)を示す。プラズマ処理はガラス基板上に実質的により親水性の表面を生じるが、この親水性は3ヶ月間の試験期間にわたり徐々に失われるに過ぎない、ということに留意すべきである。
【0077】
【表7】

【0078】
表5aに詳述した再プラズマ処理され、予め被覆された基板の断片を、実施例1に記載したスタンピング法を用いて、PDMS(350mm−1)インクによるμCPスタンプを用いてさらに印刷した。プラズマ処理され、印刷された領域の接触角(°)を、3ヶ月間にわたって定期的に測定した。結果を表5bに示す。これらの結果は、大多数の試料において、μCP印刷領域が予測された100°に近い接触角を示し、これらは長時間にわたって有意に変化しない、ということを示す。
【0079】
【表8】

【0080】
表5cは、シルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマーから作られたシロキサンゴムブロックに関する接触角(°)が後プラズマ処理親水性状態からそれらの元の疎水性状態に3〜4日で戻ることを示す比較例である。回復時間は様々である。
【0081】
プラズマへの曝露後の種々のシルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマー試料を、洗浄/非洗浄試料及び抽出/非抽出試料と比較して、実行した。抽出物/不純物が除去されるまで、抽出試料をエタノール中に放置し、乾燥した。プラズマ処理直後に洗浄試料をトルエンで洗浄し、約10分間放置乾燥した後、接触角を測定した。各試料に関して水接触角を測定した後、比較のためにプラズマ処理し、次に試料を低電力で60秒間、酸素プラズマ処理した。試料をプラズマチャンバから取り出したらできるだけ直ぐに、プラズマ処理後約5分間の測定を行なった。空気中に放置した試料を、蓋のないペトリ皿に入れて、放置し、空気に曝露した。表5cに認められるように、時間が経つと、基板表面は親水性表面から次第に疎水性表面に変化した。プラズマ処理後、シルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマーのブロックの表面は湿潤性であるように見えるが、それらは1〜4日で、プラズマ処理前に見られる元の接触角に回復する。この知見は、3ヶ月の期間後に試料がそれらの元の疎水性に戻らなかった上記の表5aにおけるプラズマ処理試料と顕著な対照を成すことは明らかである。
【0082】
【表9】

【0083】
実施例6.シロキサン樹脂基板
架橋ビニル化フェニルシルセスキオキサン樹脂の形態のシロキサン樹脂の試料をガラススライド上に被覆し、実施例1に従ってプラズマ処理し、その後、選定領域でマイクロコンタクト印刷(実施例1に従って)して、プラズマ処理及びシリコーン樹脂上のシロキサン印刷の耐久性を調べた。表6に示した結果は、プラズマ処理され、次にPDMS350mm−1及びトリメチルシリル末端封止メチル水素シロキサンで特定区域においてマイクロコンタクト印刷された樹脂被覆スライドに関する接触角測定値を示す。接触角測定は、スライドのプラズマ処理後14日の期間にわたって実施して、各スライドの印刷及び非印刷領域の両方を測定した。
【0084】
【表10】

【0085】
結果は、PDMS(350mm−1)及びトリメチルシリル末端封止メチル水素シロキサンのマイクロコンタクトプリンティングに関する良好な耐久性を示し、高接触角及び疎水性表面を生じた。
【0086】
実施例7.液晶配向
液晶配向を変更するための多数の方法は、シラン単一層の使用を含め既知であるが、これは、マイクロコンタクトプリンティング又は同様のソフトリソグラフィック法によりPDMSを利用するこのような変更の第1の例であると考えられる。
【0087】
本発明の一用途は、特定の区域及びパターンにおける液晶配向を変更するために広範な種々の表面特性を提供することである。液晶では、液体の長形分子が共通の配向又は配向を与えられ得る、ということが既知である。例えば「平面」配向の場合、分子は基板の平面と平行に配向される。「ホメオトロピック」配向の場合、それらは上記の平行平面と直角に配置される。結果は、異なる光学特性が生成され、これは種々の光学系に利用され得る、ということである。
【0088】
上記で用いられた方法の変形例で、シルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマーを、標準のフォトリソグラフィック法により予めパターン化されたケイ素ウェハ上に注いで、5〜250μmのサイズ及び10〜30μmの高さを有する一連の丸形又は正方形形体(図2で見られるような)を生じた。硬化し、ケイ素ウェハから剥離して、ウェハ上の形体のネガティブレプリカでパターン化されたシルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマーを生じた。これを次に、ペンタン中のシロキサンの希釈溶液でインク処理し、乾燥させた。これらによる印刷がそれぞれ図3及び図4に見られるようなポジティブ(シロキサンで印刷された別個の特徴)及びネガティブ(シロキサンで印刷された別個の特徴を取り囲む領域)パターンの両方を生じ、μmスケールの特徴化されたPDMS皮膜を印刷するために用いられるよう、これらのスタンプは意図された。
【0089】
実施例1に記載したプロセスを用いて、基板をプラズマ処理した。プラズマ処理の直後(10分以内)に、シルガード(SYLGARD)(登録商標)184シリコーンエラストマースタンプを基板上に載せ、数分間までの間、接触させたままにした。次にスタンプを取り外し、あらゆる残留シロキサンをトルエンを用いて基板から洗い、基板を乾燥させた。この時点で、シロキサン皮膜はスライド上に視覚的に検出されなかったが、スライド上で通気させると、印刷及び非印刷領域間の示差的疎水性のために、印刷パターンが明瞭に曝露された。次に一滴の液晶をパターン化基板上に載せて、カバーガラスを被せた。交差極線を用いて液晶配向を微視的に検査し、試料も加熱して、等方性相にして、冷却させて、再検査した。
【0090】
PDMSで印刷された区域中の示差的配向が明瞭に観察され、これらは、特に非プラズマ処理ガラスと温度サイクル時にその結果が持続性でないPDMSとの組合せと比較した場合、温度サイクルに対して耐性があることが判明した。シロキサンで印刷されていた領域は液晶のホメオトロピック配向を生じるということが判明した。
【0091】
この新規の作用は、LCDにおける電圧切り換えを減らすために用いられ得るし、あるいは平面光波回路における新規の整調可能電子光学デバイスを作製するために用いられ得る。結果を表7に示す。
【0092】
【表11】

【0093】
図5は、ガラス上に印刷されたC30−PDMS30−C30のネガティブパターン上のE7配向である。液晶は、シロキサンが印刷された黒色領域にホメオトロピックに整列され、シロキサンが印刷されなかった15μm幅形体で平行に整列された。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】スタンプの作製及びマイクロコンタクトプリンティング(μCP)におけるその使用についての説明図である。
【図2a】簡単なμCPスタンプの写真である。
【図2b】簡単なμCPスタンプの写真である。
【図3】μCP法によるポジティブパターンの印刷を示す。
【図4】μCP法によるネガティブパターンの印刷を示す。
【図5】ガラス上に印刷されたC30−PDMS30−C30のネガティブパターン上のE7液晶配向である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)基板をプラズマ処理する工程と、
ii)オルガノポリシロキサンポリマー、オルガノポリシロキサンオリゴマー、シロキサン樹脂及びポリシランの群から選択される1つ以上の化合物を含む液体コーティング材料をソフトリソグラフィック印刷法により基板表面に塗布して、基板表面上にパターン化皮膜を形成する工程と、
iii)必要な場合は、基板表面から残留液体コーティング材料を除去する工程と
を含む、基板上にパターン化薄膜を適用する方法であって、
この方法は液体コーティング材料が硬化工程を経ることを必要としない、パターン化薄膜を適用する方法。
【請求項2】
得られる前記皮膜が、1〜100nmの範囲の厚みを有する請求項1に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項3】
前記工程(i)が、大気圧グロー放電源、誘電体バリア放電(DBD)源、低圧グロー放電又は後放電プラズマ源、コロナ放電源及び/又はマイクロ波放電源の群から選択される適切な放射源を利用して行われる請求項1又は2に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項4】
被覆されるべき前記基板が、金属、金属箔、金属酸化物、ガラス、炭素質材料、セラミック、半導体材料、プラスチック、液晶、高分子ケイ素含有材料、セルロース系材料、積層体及び/又はフォトレジスト材料から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項5】
前記基板が前処理される請求項1〜4のいずれか一項に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項6】
噴霧液及び/又は固体コーティング形成材料を大気圧プラズマ放電及び/又は該大気圧プラズマ放電から生じるイオン化/励起ガス流中に導入することにより前記基板を前処理し、且つ大気圧条件下で前記基板を噴霧コーティング形成材料に曝露する工程を含む請求項5に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項7】
本発明の方法に用いられる液体オルガノポリシロキサンポリマー/オリゴマーが、任意の適切な線状、分枝鎖状又は環状のオルガノポリシロキサン若しくはそのコポリマー、又は液体若しくはワックス形態の低分子量シリコーン樹脂であってもよい請求項1〜6のいずれか一項に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項8】
線状又は分枝鎖状のオルガノポリシロキサンポリマー/オリゴマーが、一般式:
W−A−W
(式中、Aは、式R''SiO4−s/2(ここで、R''は、各々独立して、1〜40個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基;水素;アリール基、ハライド基、アルコキシ基、エポキシ基、アクリルオキシ基、アルキルアクリルオキシ基を表し、前記R''基のいずれかはフッ素基を含有してもよく、sは0、1又は2の群の値を有する)のシロキサン単位を有するポリジオルガノシロキサン鎖であり、且つ
Wは、−Si(R'')X又は−Si(R'')−(B)−R'''SiR''(X)3−k
(式中、Bは、−R'''−(Si(R'')−O)−Si(R'')−であり、且つR''は前記と同様であり、R'''は二価炭化水素基であり、rはゼロ、1〜6の間の整数であり、且つdは0又は整数、最も好ましくは、dは0、1又は2であり、XはR''と同一であるか、又は6個までの炭素原子を有するアルキル基を含有するアルコキシ基、エポキシ基、メタクリルオキシ基若しくはハライドのような加水分解性基であり得る)から選択される)
を有する請求項7に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項9】
前記基板がプラズマ処理され、その後、オルガノポリシロキサンコーティング材料を任意の適切な塗布方法により該基板に塗布する、例えば、該基板は、スクリーン印刷されるか、オルガノポリシロキサンコーティング材料の浴中に浸漬されるか、コーティング材料で噴霧されるか、コーティング材料を塗布するか、又は該基板のコーティングをもたらすのに十分な所定時間の間、ガス状若しくはエアロゾル状のコーティング材料の雰囲気中に置かれてもよい請求項1〜8のいずれか一項に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項10】
前記ソフトリソグラフィック印刷法である請求項9に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項11】
前記ソフトリソグラフィック印刷法がマイクロコンタクトプリンティング(μCP)である請求項10に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項12】
適用後に、基板上の薄膜が少なくとも部分的にさらにプラズマ処理される及び/又は付加的コーティングが前記薄膜に対する第二層に適用される請求項1〜11のいずれか一項に記載のパターン化薄膜を適用する方法。
【請求項13】
前記方法は、連続プロセスで行われる請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロセスの使用であって、前記薄膜が液晶の表面配向を変更するために使用されるプロセスの使用。
【請求項15】
前記薄膜が、ソフトリソグラフィック印刷法を用いて適用される請求項12に記載の使用。
【請求項16】
スピンコーティング及びインクジェット印刷のような後のプロセス中に、前記薄膜が材料配置を制御するための疎水性トラックとして利用される請求項14又は15に記載のプロセスの使用。
【請求項17】
実施例に関して前記されたような方法。
【請求項18】
液晶の配向を変更する方法であって、液晶の配向が変更されるように請求項1〜13のいずれか一項に記載の基板表面に薄膜を適用することを含む液晶の配向を変更する方法。
【請求項19】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法に適用される薄膜を備える基板。
【請求項20】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法により得られる被覆基板。
【請求項21】
プロセス工程中に、予め被覆されないか、部分的に被覆されるか又は完全に被覆される基板に対する更なる物理的変化又は化学的変化を実質的に防止するか又は阻止するために、前記基板表面の一領域が遮蔽される請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−522914(P2007−522914A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530137(P2006−530137)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011359
【国際公開番号】WO2005/033189
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】