説明

薄膜トランジスタの製造方法及びその製造方法により得られた薄膜トランジスタを有する有機発光素子表示装置

【課題】アクティブマトリックス有機発光素子表示装置において、有機発光素子の駆動用薄膜トランジスタを標準レーザー技術により形成すると、電流駆動等の要因によるストライプ状発光ムラ及び、歩留まりの低下を防止した装置を提供する。
【解決手段】標準レーザー結晶法により、有機発光素子の非駆動用薄膜トランジスタ(外部電気回路薄膜トランジスタとスイッチ用薄膜トランジスタを含有する)のアクティブ部の多結晶シリコン層34,36を形成する。非レーザー結晶法或いは低出力レーザー結晶法により、有機発光素子駆動用薄膜トランジスタのアクティブ部の多結晶シリコン層52を形成する、従って、外部電気回路薄膜トランジスタとスイッチ用薄膜トランジスタの電気性能は優れる。例えば、高キャリア移動度を有する。駆動用薄膜トランジスタは良好的な安定性を有するため、最終に製造された表示装置は発光一致性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクティブマトリックス有機発光素子表示装置 (Aative Matrix Rrganic Diode; AMOLED) に関し、特に有機発光素子製造用薄膜トランジスタ (TFT)の方法及びその薄膜トランジスタを備えた有機発光素子表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子(OLED)はいろんな表示装置に広く応用される。その中で、アクティブマトリックス有機発光素子(AMOLED)表示装置において、発光部は駆動回路を利用して発光素子──有機発光素子 (OLED)を駆動する。AMOLED駆動回路は薄膜トランジスタを使用し、スイッチ用薄膜トランジスタ(Switch Thin Film Transistor)と、駆動用薄膜トランジスタ (Driving Thin Film Transistor)とからなる。その中で、スイッチ用薄膜トランジスタはNタイプ薄膜トランジスタ(NTFT)にて実施され、表示装置のサブ画素 (sub−pixel)のスイッチ状態を切替えるように用いられる。駆動用薄膜トランジスタはPタイプ薄膜トランジスタ (PTFT)にて実施され、有機発光素子(OLED等)を駆動するように用いられる。又、アクティブマトリックス有機発光素子の外部電気回路部分もNタイプ薄膜トランジスタ (NTFT)とPタイプ薄膜トランジスタ (PTFT)を要求する。従来から、AMOLED駆動回路及び外部電気回路中の薄膜トランジスタを製造するために使用されるシリコン多結晶体は、標準レーザー結晶法によりガラス基板に成長された非晶質シリコンを結晶化してシリコン多結晶体を製造する。標準レーザー結晶法を採用するのは平面表示装置に適用するガラス基板は、一般的なトランジスタの製造に適用する半導体ウェハーのように高温に耐えることではないため、ガラス基板の温度より低い温度で結晶化する必要がある。しかしながら、標準レーザー結晶化技術は、結晶化過程において出力したレーザーエネルギーが異なっているため、最後に製造された表示装置に発光ムラ (Mura) が存在する現像がある。
【0003】
又、AMOLED駆動用薄膜トランジスタは電流を出力することによりOLEDを駆動し、OLED素子の発光結果は駆動電流の差に依頼する。表示領域において、複数のサブ画素(sub−pixel)を有する駆動用薄膜トランジスタのマトリックスであり、それぞれの駆動用薄膜トランジスタの電気特性は程度差異がある場合に、該領域中OLED素子の発光強度は、電気特性に対応して差異が発生する、従って、人の視覚上の差異を導く。
【0004】
表示装置を製造した後、駆動用薄膜トランジスタに関する標準レーザー技術及び電流駆動等の要因によって、ストライプ状発光ムラが生じる現像があるため、AMOLED製品の歩留まりが低下する。本発明は、この課題を解決するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、OLEDの薄膜トランジスタ製造方法を提供することを目的とする、OLED外部電気回路部分のNタイプとPタイプの外部電気回路薄膜トランジスタ及び表示領域部分の駆動回路のスイッチ用薄膜トランジスタと駆動用薄膜トランジスタからなる。本発明の方法により製造された外部電気回路薄膜トランジタとスイッチ用薄膜トランジスタ、及び駆動用薄膜トランジスタは実用に適用する特性を有する。外部電気回路薄膜トランジスタとスイッチ用薄膜トランジスタの電気性能は優れる。例えば、高キャリア移動度を有する。駆動用薄膜トランジスタは良好的な安定性を有するため、最終に製造された表示装置の発光は一致性を有する。
【0006】
本発明は外部電気回路部分と表示領域部分とから構成されたOLED表示装置を提供することを目的とする。外部電気回路部分は外部電気回路薄膜トランジスタを有する。表示領域部分は複数のサブ画素を有し、各サブ画素は発光素子と、駆動発光素子の駆動用薄膜トランジスタと、サブ画素状態の切替える用のスイッチ用薄膜トランジスタとを有する。本発明の方法により製造された外部電気回路薄膜トランジタとスイッチ用薄膜トランジスタ、及び駆動用薄膜トランジスタは実用に適用する特性を有する。外部電気回路薄膜トランジスタとスイッチ用薄膜トランジスタの電気性能は優れる。例えば、高キャリア移動度を有する。駆動用薄膜トランジスタは良好的な安定性を有するため、最終に製造された表示装置の発光は一致性を有する。
【0007】
本発明によると、有機発光素子表示装置の薄膜トランジスタの製造方法は、外部電気回路と発光素子を有する複数のサブ画素を有し、第1領域と第2領域を有する基板層を提供する段階と、該基板層にバッファー層を形成する段階と、第1結晶化工程により該バッファー層に第1多結晶シリコン層を形成する段階と、該第1多結晶シリコン層をパターニングして、該第1領域に第1薄膜トランジスタのアクティブ部を形成する段階と、第1隔離層を形成する段階と、該第1結晶化工程と違う第2結晶化工程により該第1隔離層に第2多結晶シリコン層を形成する段階と、該第2多結晶シリコン層をパターニングして、該第2領域に第2薄膜トランジスタのアクティブ部を形成する段階と、第2隔離層を形成する段階と、該第2隔離層に第1薄膜トランジスタと第2薄膜トランジスタとのゲート電極を形成する段階とを特徴とする。
【0008】
本発明の有機発光素子表示装置は、外部電気回路と発光素子を有する複数のサブ画素を有し、第1領域と第2領域を有する基板層と、該基板層の該第1領域に形成され、該基板層に形成された第1バッファー層と、第1多結晶シリコン層に形成されたアクティブ部は該バッファー層に設けられ、第1ゲート電極絶縁層はアクティブ部をカバーし、第1ゲート電極は該第1ゲート電極絶縁層に設けられる第1薄膜トランジスタと、該基板層の該第2領域に形成され、該基板層に形成された第2バッファー層と、第2多結晶シリコン層に形成されたアクティブ部は該バッファー層に設けられ、第2ゲート電極絶縁層はアクティブ部をカバーし、第2ゲート電極は該第2ゲート電極絶縁層に設けられる第2薄膜トランジスタとを含み、該第1多結晶シリコン層と該第2多結晶シリコン層とは違う結晶特性を有し、且つ該第1ゲート電極絶縁層と該第2ゲート電極絶縁層は違う厚さを有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下は、図面を参照しながら、本発明の技術内容を具体的に説明する。
図1は、アクティブマトリックス有機発光素子 (AMOLED) 表示装置110の概略的に示す電気回路構造図である。AMOLED表示装置110は、制御回路140と、データライン駆動回路160と、スキャンライン駆動回路180と、表示パネル200とからなる。表示パネル200は複数のサブ画素210を有する、各画素210は一つのデータライン (d1乃至dn) 165と一つのスキャンライン (S1乃至Sn) 187に連結されて、マトリックスを構成する。サブ画素210は、データライン165とスキャンライン187を介して、データライン駆動回路160の画像データ信号及びスキャンライン駆動回路180のスイッチ/アドレッシング信号を受信する。データライン駆動回路160及びスキャンライン駆動回路180は制御回路140により制御される。
【0010】
図2に示すように、サブ画素の回路は複数個の薄膜トランジスタを含有してもよいが、通常は、少なくとも一つ駆動用薄膜トランジスタと一つスイッチ用薄膜トランジスタを有する。駆動用薄膜トランジスタは発光素子を駆動するように用いられ、スイッチ用薄膜トランジスタは該サブ画素の状態を切替えるように用いられる。図2は、図1におけるサブ画素210の電気回路の構造を概略的に示す説明図である。各サブ画素210は例えOLEDの発光素子212と発光素子212を駆動する駆動用薄膜トランジスタ214を含む。それは一般的にPTFTにて実施される。なお、該サブ画素210は、NTFTにて実施されるスイッチ用薄膜トランジスタ216とキャパシター218を含む。該スイッチ用薄膜トランジスタ216のゲート電極はそれを対応するスキャンライン187と電気的に連結され、そのドレーン電極はそれを対応するデータライン165と電気的に連結される。そのソース電極は該キャパシター218の一端と駆動用薄膜トランジスタ214のゲート電極と連結される。該キャパシター218の他の一端は該駆動用薄膜トランジスタ214のソース電極と連結するとともに、電源Vddに連結することになる。該駆動用薄膜トランジスタ214は該発光素子212と連結する。その電気回路の構造は該当技術分野の業者にとって公知知識であり、本願発明の要旨ではないので、ここでは略述する。
【0011】
前記の様に、表示領域に発光ムラが生じる現像を防ぐためには、表示パネルの各サブ画素の駆動用薄膜トランジスタに対してその一致性が要求される。それに対して、薄膜トランジスタはサブ画素の開閉状態を切替えることに用いられるために、外部電気回路に用いられるスイッチ用薄膜トランジスタと同様に、電気性能に高く要求されている。言い換えれば、アクティブマトリックスOLED表示装置においては、駆動用薄膜トランジスタの要求とスイッチ用薄膜トランジスタと外部電気回路薄膜トランジスタとの要求が不同であるが、本発明は同じ工程により違う要求を満足することが出来る薄膜トランジスタを製造することが出来る技術を提供する。
【0012】
本発明は、一つガラス基板を不同領域に分けると共に、OLED表示装置の外部電気回路の製造に使用するNタイプ薄膜トランジスタ (NTFT)、Pタイプ薄膜トランジスタ (PTFT)、OLED表示装置の表示領域を製造するときに使用するスイッチトランジスタ (通常はNTFTにて実施する)及びOLED表示装置の表示領域は発光素子を駆動するに使用する駆動用薄膜トランジスタ (driving TFT、通常はPTFTにて実施される)。以下は、外部電気回路が必要とするNタイプ薄膜トランジスタ (NTFT)、Pタイプ薄膜トランジスタ (PTFT)、及び表示領域が必要とするスイッチトランジスタ系を「非駆動用薄膜トランジスタ」と言う。本発明によると、製造された非駆動用TFTと駆動用TFTは、それぞれの使用要求を性能を満足する。非駆動用TFTは優れる電気性能を具備し、製造された平面表示装置は駆動用TFTにより良い発光一致性を有する。
【0013】
図3至図12は、本発明の有機発光素子表示装置TFTの製造方法の工程を示す断面図である。本実施形態において、第1領域の左側の部分は非駆動用薄膜トランジスタのNTFT工程に使用され、右側の部分は非駆動用薄膜トランジスタのPTFT工程に用いられる、なお、第2領域は駆動用TFT工程に用いられる。
図3は本発明の方法における第1工程を示す。ガラス等の透光材料で構成される基板層10を提供する。基板層10の上にはバッファー層が形成されており、本実施形態において、該バッファー層は、窒素化物(例えば、窒素化硅)としてなる窒素化層21と酸化物 (例えば、酸化シリコン等)としてなる酸化層23からなる。該バッファー層の上は、形成非晶質シリコン層が形成されており、該非晶質シリコン層は第1結晶化工程によって第1多結晶シリコン層30になる。該第1結晶化工程は高出力レーザー結晶化工程であり、標準レーザー結晶法と呼ばれる、例えばエキシマレーザーアニール (Excimer Laser Anneal;ELA) 法を採用することも出来る。
【0014】
図4を参照して見ると、第1多結晶シリコン層30をパターニングし (PATTERNING)、Nタイプドーピング(N−Doping)及びチャネルドーピング (Channel Doping)した後、NTFT部分において、保留された多結晶シリコン層はドレーン電極領域36a、チャネル領域36b、ソース電極領域36cが形成されたアクティブ部36となり、PTFT部分において、保留された多結晶シリコン層はアクティブ部34となり、その時のPTFTのアクティブ部34はまだドーピングされていない状態である。尚、第2領域の多結晶シリコン層30は完全に離れて除去する。離れて除去する方法は特別に限定していないが、例えば、ドライエンッチング法等を挙げることが出来る。次に、全ての構造においてさらに第1隔離層40を形成する。該第1隔離層40の厚さが小さい方が好ましい、実際は約200〜300オングストレームの方が好ましい。本実施形態において、該第1隔離層40は、酸化硅等の酸化物材料により形成される方が良い。好ましいのは、隔離層として酸化層23と同一な材料で形成される方が良い。
【0015】
図5を参照すると、図4の構造の上に非晶質シリコン層50を形成する。該非晶質シリコン層は、第2結晶化工程により多結晶シリコン層に転化された、即ち、図6に示すように第2多結晶シリコン層51である。本発明によると、該第2結晶化工程は第1結晶化工程とは違う工程である。該第2結晶化工程は非レーザー結晶技術或いは低出力レーザー結晶技術を利用する。非レーザー結晶技術は、固相晶析法(Solid Phase Crystallization ; SPC)、金属誘起結晶法 (Metal Induced Crystallization ; MIC)、金属誘起横方向結晶法 (Metal Induced Lateral Crystallization;MILC)、電場増強金属誘起横方向結晶法 (Field Enhanced Metal Induced Lateral Crystallization;FE−MILC」、電場増強高速昇温熱処理 (Field Enhanced Rapid Thermal Annealing)、炉管アニール工程(Furnace Annealing Process)、高速昇温熱処理 (Rapid Thermal Process, RTP)等など。低出力レーザー結晶法は、低照射出力エキシマレーザー結晶法、固体レーザー結晶法等を例挙することが出来る。本発明において、以上で例挙したそれぞれの結晶法に限定されていない。
【0016】
図7を参照して、パターニングする工程を経て、第1領域の第2多結晶シリコン層51が離れて除去され、第2領域の第2多結晶シリコン層はそれの一部分が保持されてアクティブ部52とする。そして、全ての構造上に第2隔離層45が形成される。該第2隔離層45は、第1隔離層40と同じ様の酸化物であり、しかしながら、本実施形態において、電気性能等考えるために、該第2隔離層45は上層と下層が不同材料で構成された2層結構であることが好ましい。前記下層は酸化物により、上層は窒素化物により形成される方が良い。実際は、形成後の該第2隔離層45と第1隔離層40は区別し難い。
【0017】
図8を参照すると、第1領域と第2領域との第2隔離層45上に、ゲート電極62、64、66がそれぞれ形成されて、且つライトドレーン電極ドーピング(Light Drain Doping;LDD)によりLDD領域36d、36eを形成する。
【0018】
図面のように、第2領域のアクティブ部52の底面から基板層10の上面までのバッファー材料 (含窒素化層21、酸化層23及び第1隔離層40)は比較的に厚い。第1領域のアクティブ部34、36の底面から基板層10の上面までの絶縁材料(窒素化層21と酸化層23を含有し、第1隔離層40は存在しない)は比較的に薄い。これに対して、第2領域のゲート電極62からアクティブ部52までの絶縁材料(第2ゲート電極絶縁層)はただ第2隔離層45のみで、第1領域のゲート電極64、66からアクティブ部34、36までの絶縁材料(第1ゲート電極絶縁層と呼ばれる)は第1隔離層40と第2隔離層45を含む。そして、第2ゲート電極絶縁層は第1ゲート電極絶縁層より薄くなるように構成され、第1隔離層40の厚さが両者の厚さの差になる。各層の厚さの誤差考えると、通常は、該厚さの差は30オングストレーム以上であることが望ましい。
【0019】
図9に示すように、第1領域のアクティブ部の部分領域34a、34c及び第2領域のアクティブ部の部分領域52a、52cは、Pタイプドーピング (P−doping)を実施した後に、それぞれドレーン電極34a’、52a’及びソース電極34c’、52c’を形成する。
図10に示すように、図9の構造上に第1保護層70と第2保護層80を形成し、且つ何れの適当な方法により電極92、94、96を形成する。該第1保護層70の材料は窒素化物であっても良いし、該第2保護層80の材料は酸化物であってもよい。
【0020】
図11に示すように、図10の構造上に中間層85を形成する。その材料は窒素化物であっても良いし、全ての構造上に、その表面が平坦状になるように、厚い第1平坦層100を形成する。該平坦層100は透光材料であっても良い。図面に示すように、何れの適当な方法により接触孔101を形成する。
【0021】
図12に示すように、該接触孔101の側壁にOLEDの正極103を形成し、第2平坦層105を形成する。
【0022】
本発明によると、第2領域のアクティブ部52の多結晶シリコン層は発光素子を駆動する駆動用TFTに用いられ、又、第1領域のアクティブ部34、36の多結晶シリコン層は非駆動用NTFTとPTFT(例えば、外部電気回路TFTとスイッチ用TFT)に用いられる。両者は不同的な結晶方法により結晶され、即ち、第1結晶化工程と第2結晶化工程により形成される。前者は標準レーザー結晶法により、例えばELA法により形成され、後者はSPCなどの非レーザー結晶法により、或いは低出力エキシマレーザー結晶法等の低温レーザー結晶法により形成される。不同的な結晶化方法で生じたシリコン多結晶は、結晶の特性上に著しい差異が存在する。
【0023】
図13は非レーザー結晶法であるFE−RTA結晶化法により形成した多結晶シリコンの晶粒構造を示す。図面のように、該当方法により形成した結晶は小さくて、不規則状を示し、構造が雑然とした樹状結晶構造を備える。
【0024】
第14図は標準レーザー結晶法であるELA結晶法により形成した多結晶シリコンの柱状晶粒構造を示す。図面のように、該当方法により形成した晶粒は大きくて、規則状を示し、構造が比較的に整然とした柱状結晶構造を備える。樹状結晶構造を備えない。
なお、一般的に、標準レーザーと低出力レーザーとの結晶法により生じた晶粒大小の平均差異が500オングストレーム以上も可能である。
【0025】
違う結晶法により形成された特性的に違う多結晶シリコンをアクティブ部とすることにより、電気性能に対して高く要求する外部電気回路TFTは優れる電気性能を保持する、具体的に、標準レーザー結晶法により製造された多結晶シリコンはキャリア移動度が高い、例えば約100cm/V・sである、即ち、キャリア移動度の変動が大きいと、キャリア移動度標準差が高くなる;電気性能に対する要求が低い駆動用TFTにおいて、標準レーザー結晶法を代わりに非レーザー結晶法或いは低出力レーザー結晶法を採用するため、表示装置を製造した後に、生じた線状な発光ムラが生じる問題を避けることが出来る。非レーザー結晶法或いは低出力レーザー結晶法により製造した多結晶シリコンのキャリア移動度が比較的に低い、約10−40cm/V・sである。そのため外部電気回路のTFTとスイッチ用TFTの製造に好ましくない、ところが、駆動OLED素子の駆動用TFTの製作には問題ない、この多結晶シリコンを利用して製造されたAMOLED駆動用TFTのキャリア移動度標準差は低いため、即ち、変動が小さくて安定し、表示装置とした後は、線状な発光ムラを生ずる現像が著しく改善された。
【0026】
第15図は本発明の表示装置110を具備した電子装置600を示す。第12図に示した構造である駆動用薄膜トランジスタとスイッチ用薄膜トランジスタと外部電気回路薄膜トランジスタを有するOLED表示装置110は電子装置600の一部分である。該電子装置600は、本発明のOLED表示装置110と電源供応装置700、また、電源供応装置700をOLED表示装置110に連結して電源を提供することによりOLED表示装置110に画像を生ずる。電子装置600は携帯電話、ディジタルカメラ、PDA、ノートブック、コンピュータ、テレビ、GPS、車用表示装置或いは携帯式DVDである。
【0027】
以上、本発明の好ましい実施形態であって、本発明を実施するうえでの範囲を限定するものではない。よって、当業者のなし得る修正、もしくは変更であって、本発明の精神の下においてなされ、本発明に対して均等の効果を有するものは、いずれも本発明の範囲に属するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】アクティブマトリックス有機発光素子 (AMOLED) 表示装置110の概略的に示す電気回路構造図である。
【図2】第1図におけるサブ画素の電気回路の構造を概略的に示す説明図である。
【図3】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図4】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図5】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図6】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図7】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図8】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図9】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図10】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図11】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図12】本発明の有機発光素子TFTの製造方法の工程を示す断面図である。
【図13】非レーザー結晶法であるFE−RTA結晶法により形成したシリコン多結晶体晶粒構造を示す。
【図14】標準レーザー結晶法であるELA結晶法により形成したシリコン多結晶体柱状晶粒構造を示す。
【図15】本発明の表示装置110を具備した電子装置を示す。
【符号の説明】
【0029】
10 基板層
21 窒素化層
23 酸化層
30 第1多結晶シリコン層
34 アクティブ部
34a、34a’ ドレーン電極領域
34b チャネル領域
34c、34c’ ソース電極領域
36 アクティブ部
36a ドレーン電極領域
36b チャネル領域
36c ソース電極領域
36d、36e LDD領域
40 第1隔離層
45 第2隔離層
50 非晶質シリコン層
51 第2多結晶シリコン層
52 アクティブ部
52a ドレーン電極領域
52b チャネル領域
52c ソース電極領域
62、64、66 ゲート電極
70 第1保護層
80 第2保護層
85 中間層
92、94、96 電極
100 第1平坦層
101 接触孔
103 正極
105 第2平坦層
110 表示装置
140 制御回路
160 データライン駆動回路
165 データライン
180 スキャンライン駆動回路
187 スキャンライン
200 表示パネル
210 サブ画素
212 発光素子
214 駆動用薄膜トランジスタ
216 スイッチ用薄膜トランジスタ
218 キャパシター
600 電子装置
700 電源供応装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電気回路と発光素子を有する複数のサブ画素を有する有機発光素子表示装置の薄膜トランジスタの製造方法であって、
第1領域と第2領域を有する基板層を提供する段階と、
該基板層にバッファー層を形成する段階と、
第1結晶化工程により該バッファー層に第1多結晶シリコン層を形成する段階と、該第1多結晶シリコン層をパターニングして、該第1領域に第1薄膜トランジスタのアクティブ部を形成する段階と、
第1隔離層を形成する段階と、
該第1結晶化工程と違う第2結晶化工程により該第1隔離層に第2多結晶シリコン層を形成する段階と、
該第2多結晶シリコン層をパターニングして、該第2領域に第2薄膜トランジスタのアクティブ部を形成する段階と、
第2隔離層を形成する段階と、
該第2隔離層に第1薄膜トランジスタと第2薄膜トランジスタとのゲート電極を形成する段階とを特徴とする有機発光素子の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項2】
該第1薄膜トランジスタは外部電気回路に使用される外部電気回路薄膜トランジスタと、サブ画素の状態を切替えるスイッチ用薄膜トランジスタからなり、該第2薄膜トランジスタは発光素子を駆動する駆動用薄膜トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子表示装置の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項3】
該第1結晶化工程は標準レーザー結晶法であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子表示装置の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項4】
該第2結晶化工程は非レーザー結晶法であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子表示装置の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項5】
外部電気回路と発光素子を有する複数のサブ画素を有する有機発光素子表示装置であって、第1領域と第2領域を有する基板層と、該基板層の該第1領域に形成され、該基板層に形成された第1バッファー層と、第1多結晶シリコン層に形成されたアクティブ部は該バッファー層に設けられ、第1ゲート電極絶縁層はアクティブ部をカバーし、第1ゲート電極は該第1ゲート電極絶縁層に設けられる第1薄膜トランジスタと、該基板層の該第2領域に形成され、該基板層に形成された第2バッファー層と、第2多結晶シリコン層に形成されたアクティブ部は該バッファー層に設けられ、第2ゲート電極絶縁層はアクティブ部をカバーし、第2ゲート電極は該第2ゲート電極絶縁層に設けられる第2薄膜トランジスタとを含み、
該第1多結晶シリコン層と該第2多結晶シリコン層とは違う結晶特性を有し、且つ該第1ゲート電極絶縁層と該第2ゲート電極絶縁層は違う厚さを有することを特徴とする有機発光素子表示装置。
【請求項6】
該第1薄膜トランジスタは外部電気回路に使用される外部電気回路薄膜トランジスタと、サブ画素の状態を切替えるスイッチ用薄膜トランジスタからなり、該第2薄膜トランジスタは発光素子を駆動する駆動用薄膜トランジスタを含むことを特徴とする請求項5に記載の有機発光素子表示装置。
【請求項7】
該第1多結晶シリコン層と該第2多結晶シリコン層とは違う結晶構造を有することを特徴とする請求項5に記載の有機発光素子表示装置。
【請求項8】
該第1多結晶シリコン層と該第2多結晶シリコン層とは違う結晶粒径を有することを特徴とする請求項5に記載の有機発光素子表示装置。
【請求項9】
該第1多結晶シリコン層と該第2多結晶シリコン層の結晶粒径の平均差が500オングストレーム以上であることを特徴とする請求項5に記載の有機発光素子表示装置。
【請求項10】
請求項5に記載の有機発光素子表示装置を有する電子装置において、該有機発光素子は該電子装置の一部分になり、該電子装置は、該有機発光素子表示装置と電気的に連結して電源を提供する電源供応装置を有し、携帯電話、ディジタルカメラ、PDA、ノートブック、コンピュータ、テレビ、GPS、車用表示装置或いは携帯式DVDプレーヤーであることを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−152584(P2009−152584A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−310170(P2008−310170)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(506290958)ティーピーオー ディスプレイズ コーポレイション (12)
【Fターム(参考)】