説明

薄膜積層体及び界面検出方法

【課題】界面に物理的な凹凸や構成元素の拡散による中間層が存在する場合であっても、界面情報を正確に検出することが可能な薄膜積層体及び界面検出方法を提供すること。
【解決手段】基材と、前記基材表面に形成された1又は2以上の薄膜と、基材−薄膜間、又は、薄膜−薄膜間の少なくとも1つの界面に形成されたマーカとを備えた薄膜積層体、及び、この薄膜積層体をグロー放電発光分光分析装置に設置し、前記薄膜積層体の表面をスパッタリングする第1工程と、前記薄膜積層体の表面から飛び出し、かつ、プラズマ中で励起された粒子が基底状態に戻る際に放出する光を集光し、集光された光を分光する第2工程と、前記分光された光の内、前記薄膜積層体の界面に形成されたマーカに対応する光を検出する第3工程とを備えた界面検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜積層体及び界面検出方法に関し、さらに詳しくは、基材−薄膜間及び/又は薄膜−薄膜間の界面検出が容易な薄膜積層体、並びに、これを用いた界面検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種薄膜や各種バルク材において、その表面及び深さ方向の成分分析を行う必要性が生ずる場合がある。
表面分析が必要とされる分野としては、具体的には、
(1) メッキ被膜、ホーロー処理膜、有機樹脂被膜、リン酸亜鉛被膜、塗装被膜、化学蒸着膜、物理蒸着膜などの薄膜を表面に形成し、又は、浸炭、窒化、表面酸化、イオン注入などの表面処理を施した表面改質材、
(2) 絶縁被膜、酸化被膜、超伝導膜、化学蒸着膜、レジスト膜等が形成された各種半導体部品、
(3) ビデオテープ、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク等の磁性膜が形成された磁気記録媒体、
などがある。
【0003】
このような表面及び深さ方向の成分分析を行うための装置の一つとして、グロー放電発光分光分析装置(Glow Dsichage Optical Emission Spectrometry,GDS)が知られている。
GDSを用いた成分分析は、一般に、
(1) グロー放電により発生させた不活性ガスイオンを試料表面に衝突させ、
(2) 試料表面から飛び出した粒子をプラズマ中で励起させ、
(3) プラズマで励起された粒子が基底状態に戻る際に放出する元素固有の光をレンズで集光し、
(4) 集光された光を回折格子で分光し、
(5) 分光された光の強度を光電子倍増管又は固体検出器で検出する、
ことにより行われる。
【0004】
GDSは、
(1) 元素特有の光を検出することにより構成元素の量を定量分析できる、
(2) イオンを試料表面の同じ箇所に当て続けて試料を掘り進むことにより、深さ方向の元素分析をすることができる、
(3) 非常に薄い層の成分を分解能良く分析することができる、
(4) 高周波電源を用いることにより、導電性材料だけでなく絶縁材料の成分分析も行うことができる、
(5) 分析面積が広いので、偏析等の影響が少ない、
等の利点がある。
しかしながら、複数の薄膜の積層体からなる試料をGDSにより分析する場合、回折格子で分光された後の各成分の濃度曲線は、一般に、各層の界面においてシャープな階段状とはならず、なだらかなS字を描く。そのため、GDSにおいては、界面の位置(又は、各層の厚さ)の特定に困難を伴うことが多い。
各層の界面の位置(又は、各層の厚さ)を特定する方法としては、
(1) 回折格子で分光された後の成分濃度の2回微分がゼロになる点(すなわち、変曲点)を基準とする方法、
(2) 回折格子で分光された後の成分濃度の傾きが所定のしきい値(既知)を超えた点を基準とする方法、
などが知られている(特許文献1、2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−85352号公報の段落番号「0031」
【特許文献2】特開2004−288980号公報の段落番号「0022」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
薄膜積層体におけるGDS深さ分析では、構成材料の特定、機能確認のための各層の界面を検出することが重要な課題となる。特に、厚みの不均一な多層膜では、物理的に計測可能な総厚みと各層の関係を把握する重要性は高く、濃度検出精度と同様に、深さ検出精度が求められる。
しかしながら、組成の中間状態を経験的・感覚的に界面とする方法は、分析者の主観によるところが大きく、分析結果のばらつきや再現性の低下の要因となる。
また、薄膜積層体において、界面は、一般に平滑面とはならず、物理的な凹凸や構成元素の拡散により生じた中間層が存在する。そのため、界面の判断指標として選定した組成種の濃度の2回微分や傾きによって界面を特定する方法では、組成種により界面の位置が異なり、定量的な判断が困難である場合が多い。
また、GDSは、非常に薄い層の成分を分解能良く分析することができるが、分析面積が広いので、試料表面に対して界面が僅かでも傾いていると、界面の位置や界面近傍の組成の検出精度が著しく低下するという問題がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、界面に物理的な凹凸や構成元素の拡散による中間層が存在する場合であっても、界面情報を正確に検出することが可能な薄膜積層体及び界面検出方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、試料表面に対して界面が傾いている場合であっても、界面の位置や界面近傍の組成の検出精度が高い薄膜積層体及び界面検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る薄膜積層体は、
基材と、
前記基材表面に形成された1又は2以上の薄膜と、
基材−薄膜間、又は、薄膜−薄膜間の少なくとも1つの界面に形成されたマーカと
を備えていることを要旨とする。
前記マーカは、1つの前記界面に2個以上形成されているのが好ましい。
本発明に係る界面検出方法は、
本発明に係る薄膜積層体をグロー放電発光分光分析装置に設置し、前記薄膜積層体の表面をスパッタリングする第1工程と、
前記薄膜積層体の表面から飛び出し、かつ、プラズマ中で励起された粒子が基底状態に戻る際に放出する光を集光し、集光された光を分光する第2工程と、
前記分光された光の内、前記薄膜積層体の界面に形成されたマーカに対応する光を検出する第3工程と
を備えていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
薄膜積層体の界面に特定の組成を有するマーカを形成すると、マーカを構成する元素に対応する光を検出することによって、界面の位置を高い精度で特定することができる。また、マーカを構成する元素の種類を最適化すれば、主成分の検出精度を確保しつつ、高い精度で界面情報を検出することができる。また、1つの界面に2個以上のマーカを形成すると、試料表面に対する界面の傾きの有無及び傾きの大きさを容易に知ることができる。さらに、1つの界面に2個以上のマーカを形成する場合において、マーカの量及び/又は組成を変えると、界面の傾きの有無に加えて傾きの方向を知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る薄膜積層体は、基材と、薄膜と、マーカとを備えている。
基材は、その表面に形成される薄膜を支持するためのものであり、その材質や形状は特に限定されるものではない。すなわち、基材は、絶縁体、導電体、半導体のいずれであっても良く、また、有機材料又は無機材料のいずれであっても良い。また、基材は、塊状であっても良く、あるいは、フィルム状であっても良い。
薄膜は、基材表面に形成される。基材表面に形成される薄膜は、1層であっても良く、あるいは、2層以上であっても良い。薄膜の材質は、特に限定されるものではなく、絶縁体、導電体、半導体のいずれであっても良く、また、有機材料又は無機材料のいずれであっても良い。さらに、薄膜の厚さは、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。
【0011】
マーカは、基材−薄膜間、又は、薄膜−薄膜間の界面に形成される。薄膜積層体が2層以上の薄膜を含む場合において、マーカは、いずれか1つの界面にのみ形成されていても良く、あるいは、2以上の界面に形成されていても良い。また、マーカは、1つの界面に1個形成しても良く、あるいは、2個以上形成しても良い。
特に、1つの界面に所定の距離を置いて2個のマーカを形成すると、界面の2次元的傾斜の有無を容易に知ることができる。また、1つの界面に、同一直線上に並ばないように3個以上のマーカを形成すると、界面の3次元的傾斜の有無を容易に知ることができる。
【0012】
界面に形成するマーカの量は、GDSにより検出可能な量であれば良い。マーカの量は、通常、マーカの面積と厚さを制御することにより調節することができる。
また、界面に形成するマーカの組成は、界面の位置を検出可能なもの、すなわち、マーカの両側にある材料とは異なる材料であれば良い。ここで、「異なる材料」とは、マーカの両側にある材料と主成分元素の種類が異なる材料、又は、主成分元素は同一であるが、その濃度が極端に異なる材料をいう。マーカは、単一の材料のみからなるものでも良く、あるいは、2種以上の材料の混合物であっても良い。さらに、薄膜積層体は、熱履歴を受けることがあるので、マーカは、基材及び薄膜との反応性が乏しいものが好ましい。
例えば、各種半導体素子に本発明を適用する場合、マーカは、Au、Ag、Pt等の貴金属が好ましい。
【0013】
1つの界面に2個以上のマーカを形成する場合、各マーカは、
(1) 量及び組成が同一であるもの、
(2) 量が同一で、組成が異なるもの、
(3) 量が異なり、組成が同一であるもの、
(4) 量及び組成が共に異なるもの、
のいずれであっても良い。
1つの界面に2個以上のマーカを形成した場合において、各マーカの量及び組成が同一であるときには、界面の傾きの有無及び傾きの大きさを容易に知ることができる。また、1つの界面に2個以上のマーカを形成した場合において、各マーカの量及び/又は組成が異なっているときには、界面の傾きの有無及び傾きの大きさだけでなく、傾斜の方向も知ることができる。
【0014】
図1に、マーカが形成された薄膜積層体の1例を示す。
図1(a)に示す薄膜積層体10は、基材12と、基材12の上に形成された1層の薄膜14と、基材12−薄膜14の界面に形成された1個のマーカ16aとを備えている。
図1(b)に示す薄膜積層体10は、基材12と、基材12の上に形成された1層の薄膜14と、基材12−薄膜14の界面に一定の距離をおいて配置された、量及び組成が同一である2個のマーカ16a、16bとを備えている。
図1(c)に示す薄膜積層体10は、基材12と、基材12の上に形成された1層の薄膜14と、基材12−薄膜14の界面に一定の距離をおいて配置された、量が異なり、組成が同一である2個のマーカ16a、16bとを備えている。
図1(d)に示す薄膜積層体10は、基材12と、基材12の上に形成された1層の薄膜14と、基材12−薄膜14の界面にほぼ三角形状に配置された、量及び組成が同一である3個のマーカ16a、16b、16cとを備えている。
図1(e)に示す薄膜積層体10は、基材12と、基材12の上に形成された1層の薄膜14と、基材12−薄膜14の界面にほぼ三角形状に配置された、量が異なり、組成が同一である3個のマーカ16a、16b、16cとを備えている。
図1(f)に示す薄膜積層体10は、基材12と、基材12の上に形成された1層の薄膜14と、基材12−薄膜14の界面に一定の距離を置いて配置された、量が同一であり、組成が異なる2個のマーカ16a、16bとを備えている。
図1(g)に示す薄膜積層体10は、基材12と、基材12の上に形成された1層の薄膜14と、基材12−薄膜14の界面にほぼ三角形状に配置された、量が同一であり、組成がそれぞれ異なる3個のマーカ16a、16b、16cとを備えている。
【0015】
次に、本発明に係る界面検出方法について説明する。
本発明に係る界面検出方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを備えている。
第1工程は、本発明に係る薄膜積層体をグロー放電発光分光分析装置(GDS)に設置し、薄膜積層体の表面をスパッタリングする工程である。
【0016】
図2に、GDSに備えられる発光装置の概略構成図を示す。図2において、発光装置は、ボディと、アノードと、カソード(試料)と、レンズと、RF電源とを備えている。円筒状のボディは、接地されており、その内部には、アノードが設けられている。円筒状のボディの一端には、スパッタリングされた粒子から放出される光を集光するためのレンズが設けられ、他端には、試料を固定できるようになっている。試料は、スパッタリングの際のカソードとしても機能するものであり、カソード(試料)とアノードとの間には、わずかな隙間が設けられている。カソード(試料)には、さらにRF電源が接続され、試料に高周波電流を印加できるようになっている。円筒状のボディの上部には、それぞれ、Arなどの不活性ガスを導入するための不活性ガス導入口、及び、ボディ内を適度な減圧状態に維持するための排気口が設けられている。排気口は、真空ポンプに接続されている。
【0017】
なお、GDSには、図示はしないが、図2に示す発光装置の他、
(1) レンズで集光された光を分光するための回折格子、
(2) 回折格子で分光された光の強度を検出するための光電子倍増管又は固体検出器、
(3) 検出された光の強度を濃度に換算し、あるいは、検出時間を距離に換算する等の演算を行うための演算装置、
などが設けられている。
【0018】
図2に示す発光装置において、薄膜積層体をボディの下端に取り付け、ボディ内にArなどの不活性ガスを導入し、かつ、ボディ内を真空ポンプで適度な減圧状態に維持しながら、RF電源から試料に高周波電流を印加すると、カソード(試料)とアノードとの間で予備放電が生じ、不活性ガスイオンが発生する。発生した不活性ガスイオンは、アノード−カソード間の高電界により加速され、試料表面に衝突する。不活性ガスイオンの衝突により、試料表面を構成する粒子(原子、分子も含まれる)が飛び出し、この粒子がプラズマ中で励起される。励起された粒子は、基底状態に戻る際に、元素固有の波長λを持つ光を放出する。
【0019】
第2工程は、薄膜積層体の表面から飛び出し、かつ、プラズマ中で励起された粒子が基底状態に戻る際に放出する光を集光し、集光された光を分光する工程である。
ボディ内で放出された光は、レンズで集光され、回折格子に導かれる。回折格子は、集光された光を、その波長に応じて異なる方向に回折する。
【0020】
第3工程は、分光された光の内、薄膜積層体の界面に形成されたマーカに対応する光を検出する工程である。
GDSにより測定を開始すると、試料表面が徐々にスパッタリングされ、やがてマーカが表面に露出する。マーカが表面に露出すると、マーカに含まれる元素に対応する光が検出される。従って、分析を開始してからマーカが検出されるまでの時間を深さに換算すれば、表面からマーカまでの位置を高い精度で検出することができる。
【0021】
次に、本発明に係る薄膜積層体及び界面検出方法の作用について説明する。
一般に、GDS分析では、装置原理や検出感度の制約上、分析領域がφ2〜4mm程度と比較的広い領域を分析対象とする。一方、非常に多種組成に対する同時分析を高分解能で検出できるという特徴と、微少厚み分解能を持つという特徴がある。そのため、基材−薄膜間又は薄膜−薄膜間に僅か面積数百μm/厚み数nm程度の微少なマーカを形成すれば、基材及び薄膜に含まれる成分の検出精度を確保しつつ、界面情報を的確に検出することができる。
【0022】
図3に、1個のマーカを備えた薄膜積層体の検出結果の一例を示す。基材−薄膜間に1個のマーカを形成し、GDSによりスパッタリングすると、薄膜をスパッタリングしている間は、マーカの構成元素に対応する光は、検出されない。スパッタリングを継続し、マーカが露出すると、マーカの構成元素に対応する光の強度が急激に増加・減少する。この場合、量及び/又は組成が同一又は異なる複数個のマーカを形成した場合であっても、試料表面に対して界面が平行であれば、ほぼ同一の位置にマーカに対応するピークが観測される。
そのため、マーカの構成元素に対応する光を追跡すれば、成膜時の問題によって界面が乱れた場合であっても、界面の位置を正確に特定することができる。また、経験的・感覚的に組成の中間状態を判断する方法と異なり、分析者の主観が入ることが少ないので、バラツキの増加や再現性の低下を抑制することができる。
【0023】
また、界面に複数個のマーカを形成すると、界面の傾斜を特定することができる。
図4に、量が同一であり、組成が異なる2個のマーカを備えた薄膜積層体の検出結果の一例を示す。界面に2個のマーカを形成した場合において、界面が試料表面に対して傾斜しているときには、試料表面からマーカまでの距離は、マーカごとに異なる。図4に示す例においては、試料表面−マーカB間の距離の方が、試料表面−マーカA間の距離より短い。そのため、このような状態から試料表面のスパッタリングを行うと、最初にマーカBが検出され、遅れてマーカAが検出される。
この場合、マーカAとマーカBの量及び組成が同一であるときには、界面の傾斜の有無及び傾斜の大きさを知ることはできるが、傾斜の方向を知ることができない。一方、図4に示すように、マーカAとマーカBの量は同一であるが、組成が異なる場合、いずれのマーカが先に検出されたかによって、界面がどの方向に傾いているかがわかる。
【0024】
図5に、量が異なり、組成が同一である2個のマーカを備えた薄膜積層体の検出結果の一例を示す。この場合、界面が試料表面に対して傾斜しているときには、図5に示すように、ピーク高さの異なる2つのピークが観測される。そのため、大きなピークが先に観測されたか否かによって、界面の傾きの方向を知ることができる。
【0025】
3個以上のマーカを界面に形成する場合も同様であり、ほぼ同一の位置にピークが観測された場合には、界面が試料表面に対してほぼ平行であることが分かる。一方、異なる位置に複数個のピークが観測された場合には、界面が試料表面に対して傾いていることがわかる。また、ピーク間の距離から、傾きの大きさがわかる。さらに、量及び/又は組成の異なる2個以上のマーカを界面に形成した場合には、各マーカに対応するピークの検出順序により、傾きの方向を知ることができる。
【0026】
GDSによる成分分析は、通常、作製された試料の複数箇所を測定し、これらを平均することにより行われている。この場合、試料表面に対して界面が傾いていると、基板−薄膜間又は薄膜−薄膜間に存在する中間層の幅は、実際の幅より広く検出される。GDSは、測定面積がφ2〜4mm程度であるのに対して、深さ方向の分解能が極めて高いので、界面の僅かな傾きが大きな測定誤差の原因となる。
これに対し、複数個のマーカを界面に形成すると、1回目の測定において、界面の傾きの有無及び傾きの大きさを知ることができる。また、複数個のマーカの量及び/又は組成を変えると、傾きの方向を知ることができる。従って、2回目以降の測定において、1回目の測定結果に基づき界面の傾きを補正すれば、深さ方向の分析精度を向上させることができる。
【0027】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に係る薄膜積層体及び界面検出方法は、各種表面改質材、半導体部品、磁気記録媒体等の表面分析を行う際の評価用試料及び検査方法として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る薄膜積層体の一例を示す平面図及び断面図である。
【図2】GDSに備えられる発光装置(グロー放電発光手段)の概略構成図である。
【図3】界面に1個のマーカが形成された薄膜積層体の検出結果の一例を示す図である。
【図4】界面に、量が同一で、組成が異なる2個のマーカが形成された薄膜積層体の検出結果の一例を示す図である。
【図5】界面に、量が異なり、組成が同一である2個のマーカが形成された薄膜積層体の検出結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10 薄膜積層体
12 基材
14 薄膜
16a〜16c マーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材表面に形成された1又は2以上の薄膜と、
基材−薄膜間、又は、薄膜−薄膜間の少なくとも1つの界面に形成されたマーカと
を備えた薄膜積層体。
【請求項2】
前記マーカは、1つの前記界面に2個以上形成されている請求項1に記載の薄膜積層体。
【請求項3】
前記2個以上のマーカは、互いに、量及び組成が同一である請求項2に記載の薄膜積層体。
【請求項4】
前記2個以上のマーカは、互いに、量及び/又は組成が異なる請求項2に記載の薄膜積層体。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載の薄膜積層体をグロー放電発光分光分析装置に設置し、前記薄膜積層体の表面をスパッタリングする第1工程と、
前記薄膜積層体の表面から飛び出し、かつ、プラズマ中で励起された粒子が基底状態に戻る際に放出する光を集光し、集光された光を分光する第2工程と、
前記分光された光の内、前記薄膜積層体の界面に形成されたマーカに対応する光を検出する第3工程と
を備えた界面検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−102106(P2008−102106A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287025(P2006−287025)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】