説明

表示装置および電子機器

【課題】主画素を複数の開口に分割した場合、どの開口に欠陥が生じても非発光としての視認性に差が生じないようにすること。
【解決手段】本発明は、主画素内に構成され、各々異なる色を発光する複数の副画素と、副画素内で一方向に沿って並ぶよう配置される少なくとも3つの開口部S1〜S3と、少なくとも3つの開口部S1〜S3のうち両端の開口部S1、S3における前記一方向に沿った開口長さより両端以外の開口部S2における前記一方向に沿った開口長さを長くするよう規定する開口規定部とを有する表示装置である。また、この表示装置を本体筐体に備える電子機器でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および電子機器に関する。詳しくは、主画素に異なる色を表示する複数の副画素が設けられ、この副画素が複数の開口に分割されている表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electro-Luminescence)表示装置では、有機EL発光層に異物等が存在すると発光しなくなる。これは、画素の電極間に異物が混入して電極間に電流のリークパスが形成され、画素全体が非発光となる現象である。また、薄膜トランジスタ基板(TFT(Thin Film Transistor)基板)に異物が存在し、有機EL層への電流供給が遮断されることでも画素全体が非発光となる。
【0003】
TFT基板にマスクを用いて有機EL層を形成する場合には、異物の混入を完全に排除することはできない。実際にリークパスが生じている領域は画素の一部分であるため、1画素を複数の小画素に分割し、リークの無い残りの小画素を正常に発光させれば画素欠陥を低減させることが期待できる。
【0004】
そこで、例えば特許文献1では、1つの画素を複数の領域に分割する構成が開示されている。すなわち、1つの画素について複数のTFTまたはEL素子に分割するものである。これにより、分割した領域の何れかにリークパスが生じても、またはEL素子への電流供給が遮断されても、他の分割領域が発光(点灯)を維持できることになる。この場合、通常画素に対してEL素子の発光面積は減少するが、完全な黒点欠陥とはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の表示装置のように、1つの主画素の開口面積を単純に均等分割しただけでは、端部に配置される開口に欠陥があった場合、発光を維持している開口から隣接画素の発光領域までの距離が長くなってしまう。これにより、中央の開口に欠陥がある場合に比べ黒(非発光)の領域が広がるため、滅点として視認されやすくという問題が生じる。
【0007】
本発明は、主画素を複数の開口に分割した場合、どの開口に欠陥が生じても非発光としての視認性に差が生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、主画素内に構成され、各々異なる色を発光する複数の副画素と、副画素内で一方向に沿って並ぶよう配置される少なくとも3つの開口部と、少なくとも3つの開口部のうち両端の開口部における前記一方向に沿った開口長さより両端以外の開口部における前記一方向に沿った開口長さを長くするよう規定する開口規定部とを有する表示装置である。また、この表示装置を本体筐体に備える電子機器でもある。
【0009】
このような本発明では、少なくとも3つの開口部のうち何れか1つに対応した画素が不良となっても、隣接する正常画素の間隔をほぼ均等にすることができる。
【0010】
具体的には、両端以外の開口部と隣接する開口部との間隔をa、両端のうち一方の開口部と一方向に隣接する主画素における両端のうち一方の開口部との間隔をb、両端のうち一方の開口部の一方向に沿った開口長さをLe、両端以外の開口部の一方向に沿った開口長さをLsとした場合、a<bを満たしていたり、さらに、Le+a+b=Ls+2aを満たすものである。
【0011】
これにより、少なくとも3つの開口部のうち何れかの開口部に対応した画素が不良となっても、不良箇所に隣接する正常画素の間隔をほぼ均等にすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、主画素を複数の開口に分割した場合、どの開口に欠陥が生じても非発光としての視認性に差が発生せず、高歩留りとなる表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る表示装置の概要を説明する模式平面図である。
【図2】本実施形態に係る表示装置の模式断面図である。
【図3】比較例における画素部のトランジスタ構成を説明する平面図である。
【図4】比較例における画素部の開口を説明する平面図である。
【図5】本実施形態における画素部のトランジスタ構成を説明する平面図である。
【図6】本実施形態における画素部の開口を説明する平面図である。
【図7】本実施形態の表示装置における画素部の回路構成を説明する回路図である。
【図8】比較例における開口の具体例を説明する平面図である。
【図9】本実施形態における開口の具体例を説明する平面図である。
【図10】本実施形態に係る表示装置の開口の詳しい具体例(その1)を説明する平面図である。
【図11】本実施形態に係る表示装置の開口の詳しい具体例(その2)を説明する平面図である。
【図12】本実施形態が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図13】本実施形態が適用されるデジタルカメラを示す斜視図である。
【図14】本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図15】本実施形態が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図16】本実施形態が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.表示装置の概要(全体構成、断面構造)
2.画素部の構成(比較例、本実施形態の基本構成、回路構成)
3.具体例(比較例、本実施形態、具体例:その1、その2)
4.適用例
【0015】
<1.表示装置の概要>
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る表示装置の全体構成の概要を説明する模式平面図である。すなわち、表示装置1は、例えばガラス基板等の支持基板の略中央に設けられる表示領域10、表示領域10の周辺に配置される電源供給部20、信号線入力部21、走査信号入力部24、電源制御信号入力部25を備えている。
【0016】
表示領域10は、複数の画素部30が縦横マトリクス状に配置されており、カラー画像を表示する表示装置では、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)に対応した画素部30の組みによって表示画素が構成されている。
【0017】
各画素部30には、駆動トランジスタを備える駆動部31aが設けられている。駆動部31aの駆動トランジスタは基板上に形成された薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)から成り、画素部30に設けられる駆動対象を電圧印加によって駆動する。
【0018】
画素部30の駆動対象が有機EL(Electro Luminescence)発光層の場合には、各色に対応した有機EL発光層に与える電界を駆動トランジスタによって制御し、画素部30の駆動対象が液晶層の場合には、液晶に与える電界を駆動トランジスタによって制御する。
【0019】
駆動トランジスタには電源制御線22や走査線23が接続されており、走査信号入力部24によって表示領域10の駆動トランジスタを順次駆動することによって画像表示を行うことになる。
【0020】
すなわち、走査線23によって選択された水平画素列に電源制御線22から電源電圧が供給され、信号線入力部21から信号線26を介して垂直画素列方向に入力された画素信号に応じて該当画素の表示が行われる。そして、走査線23による水平画素列の選択および信号線26からの画素信号の入力を同期させることで、表示領域10を駆動し、画像の表示を行うことになる。
【0021】
駆動基板1を製造するには、支持基板上に半導体層、絶縁膜層等の各層をCVD(Chemical Vapor Deposition)等の成膜工程によって形成し、不純物注入工程、フォトリソグラフィ工程等によって駆動素子の形成、配線パターニングを行う。
【0022】
[断面構造]
図2は、画素部の駆動トランジスタの構成例を説明する模式断面図である。すなわち、ガラス基板40の内に第1の金属層であるゲート電極Trgが形成され、その上にゲート絶縁膜41を介して半導体層42が形成されている。
【0023】
半導体層42は、非晶質シリコンがレーザ光照射によってアニールされ結晶化されたものである。半導体層42の上にはエッチングストッパー43を介して左右にn+層が形成されている。このn+層を介して第2の金属層であるソース電極Trsおよびドレイン電極Trdが形成されている。
【0024】
駆動トランジスタ31の上にはパッシベーション膜44が形成され、その上に形成される絶縁平坦化膜45を介してアノード電極51が形成されている。
【0025】
また、アノード電極51の上には開口を構成する開口部規定絶縁膜46が形成され、アノード電極51上の開口内に有機EL層が形成される。さらに、有機EL層の上にカソード電極52が前面に形成される。
【0026】
<2.画素部の構成>
次に、本実施形態の表示装置における画素部の構成を説明する。なお、本実施形態の表示装置の画素部の構成を分かりやすくするため、比較例とともに説明する。
【0027】
[比較例]
図3は、比較例における画素部のトランジスタ構成を説明する平面図である。図3では、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれか一色に対応した主画素一つ分のトランジスタ構成を示している。この画素部では、1つの主画素内に3つの駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3が設けられ、これらに対応して3つの書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3および3つの保持容量Cs1〜Cs3が設けられている。
【0028】
この主画素では、書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3のゲート電極が共通となって走査線23に接続されている。また、書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3のドレイン電極が共通となって信号線26に接続されている。また、駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3のドレイン電極が共通となって電源制御線22に接続されている。これにより、主画素では、3つの書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3および3つの駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3が同時に動作することになる。
【0029】
図4は、比較例における画素部の開口を説明する平面図である。この平面図では、図3に示す主画素一つ分のトランジスタ構成に対応したアノード電極51および開口のレイアウトを示している。アノード電極51は、図3に示す各駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3のソース電極とコンタクトを介して接続されている。図3に示す例では3つの駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3があることから、これらの各々に対応して3つのアノード電極51が設けられている。
【0030】
また、3つのアノード電極51の内側領域に第1の開口部S1、第2の開口部S2、第3の開口部S3が設けられている。第1の開口部S1、第2の開口部S2、第3の開口部S3は、開口部規定絶縁膜46によって開口サイズが決定する。なお、ここでは開口サイズを決定する構成として開口部規定絶縁膜46を用いているが、上層に設けられる遮光膜を開口規定部として用いてもよい。この各開口部S1〜S3から発光光が出射されることになる。
【0031】
比較例では、第1の開口部S1の開口サイズをW1、第2の開口部S2の開口サイズをW3、第3の開口部S3の開口サイズをW3とした場合、W1=W2=W3となっており、各開口が均等サイズに設けられている。
【0032】
[本実施形態の基本構成]
図5は、本実施形態における画素部のトランジスタ構成を説明する平面図である。図5では、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれか一色に対応した主画素一つ分のトランジスタ構成を示している。この画素部では、1つの主画素内に3つの駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3が設けられ、これらに対応して3つの書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3および3つの保持容量Cs1〜Cs3が設けられている。
【0033】
この主画素では、書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3のゲート電極が共通となって走査線23に接続されている。また、書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3のドレイン電極が共通となって信号線26に接続されている。また、駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3のドレイン電極が共通となって電源制御線22に接続されている。これにより、主画素では、3つの書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3および3つの駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3が同時に動作することになる。
【0034】
図6は、本実施形態における画素部の開口を説明する平面図である。この平面図では、図5に示す主画素一つ分のトランジスタ構成に対応したアノード電極51および開口のレイアウトを示している。アノード電極51は、図5に示す各駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3のソース電極とコンタクトを介して接続されている。図5に示す例では3つの駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3があることから、これらの各々に対応して3つのアノード電極51が設けられている。
【0035】
また、3つのアノード電極51の内側領域に第1の開口部S1、第2の開口部S2、第3の開口部S3が設けられている。第1の開口部S1、第2の開口部S2、第3の開口部S3は、開口部規定絶縁膜46によって開口サイズが決定する。なお、ここでは開口サイズを決定する構成として開口部規定絶縁膜46を用いているが、上層に設けられる遮光膜を開口規定部として用いてもよい。この各開口部S1〜S3から発光光が出射されることになる。
【0036】
本実施形態では、第1の開口部S1の開口サイズをW1、第2の開口部S2の開口サイズをW3、第3の開口部S3の開口サイズをW3とした場合、W2がW1およびW3より大きくなっている。すなわち、先に説明した比較例ではW1、W2、W3が等しく設けられているが、本実施形態では両端に配置される開口サイズW1、W3に比べ、両端以外の開口サイズW2が大きくなるよう設けている。
【0037】
[回路構成]
図7は、本実施形態の表示装置における画素部の回路構成を説明する回路図である。本実施形態では、主画素に3つの開口が設けられ、各開口に対応して3つの書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3および3つの駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3および3つの保持容量Cs1〜Cs3が設けられている。
【0038】
各書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3のゲート電極は図示しない走査線に接続され、各書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3のドレイン電極は信号線26に接続されている。
【0039】
また、各書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3のソース電極は、各々対応する駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3のゲート電極に接続されている。また、各駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3のドレイン電極は共通で電源制御線に接続され、電源電圧が供給される。各駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3のソース電極は有機EL発光層のアノード電極に接続される。有機EL発光層のカソード電極は共通で接地となっている。また、各保持容量Cs1〜Cs3は、各々対応する駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3のゲート−ソース間に接続されている。
【0040】
このような回路構成では、走査線に信号が入力されると3つの書き込みトランジスタTr−w1〜Tr−w3がONとなり、信号線26から信号が各保持容量Cs1〜Cs3に蓄積される。また、この信号に応じて駆動トランジスタTr−d1〜Tr−d3が動作し、信号に応じた電圧が有機EL発光層のアノード電極に印加される。この電圧によって有機EL発光層が発光することになる。
【0041】
<3.具体例>
次に、画素部における開口の具体例を説明する。この具体例の説明も、本実施形態を分かりやすくするため、比較例とともに説明を行う。
【0042】
[比較例]
図8は、比較例における開口の具体例を説明する平面図である。この図では、縦方向に隣接する2つの主画素P−1、P−2の開口を示している。2つの主画素P−1、P−2の開口は同じであるため、ここでは主画素P−1を用いて開口のレイアウトを説明する。
【0043】
主画素P−1には、3つの副画素p1、p2、p3が設けられている。1つの副画素p1、p2、p3は、各々一つの色に対応した発光を行う。例えば、副画素p1は、R(赤)に対応した発光を行い、副画素p2は、G(緑)に対応した発光を行い、副画素p3は、B(青)に対応した発光を行う。
【0044】
1つの副画素p1、p2、p3は、対応する色に応じて3つの開口部S1、S2、S3が一方向(図中縦方向)に並ぶレイアウトとなっている。各開口部S1、S2、S3の開口サイズは開口規定部K(例えば、開口部規定絶縁膜や遮光膜)によって規定される。比較例では、各開口部S1、S2、S3の開口サイズが等しく設けられている。
【0045】
各副画素p1、p2、p3に設けられた3つの開口部S1、S2、S3は、各色に対応して同時に発光する。すなわち、主画素P−1のR(赤)が発光する場合には、R(赤)に対応した副画素p1の3つの開口部S1〜S3から同時に発光が行われる。同様に、主画素P−1のG(緑)が発光する場合には、G(緑)に対応した副画素p2の3つの開口部S1〜S3から同時に発が行われる。また、同様に、主画素P−1のB(青)が発光する場合には、B(青)に対応した副画素p2の3つの開口部S1〜S3から同時に発が行われる。
【0046】
ここで、副画素p1、p2、p3の3つの開口部S1、S2、S3のうち、何れか1つに発光不良が発生した場合を説明する。発光不良は、各開口部S1、S2、S3に対応したトランジスタの不良や有機EL発光層の電極間不良等が原因で起こる。以下の説明では、開口に対応したトランジスタや有機EL発光層の不良等で生じる発光不良を、単に開口の発光不良と表現するものとする。
【0047】
例えば、図8に示すR(赤)に対応した副画素p1の、下側の端部に配置される開口部S3が発光不良となったとする。この場合、開口部S3が発光しないことによって、正常に発光する開口の間隔は、発光不良の開口部S3に対して上側に隣接する開口部S2と、下側に隣接する主画素P−2の副画素p1の開口部S1との距離Dとなる。なお、ここではR(赤)に対応した副画素p1の開口部S3が発光不良となる場合を例としたが、G(緑)、B(青)に対応した副画素p2、p3の開口部S3であっても同様である。
【0048】
[本実施形態]
図9は、本実施形態における開口の具体例を説明する平面図である。この図では、縦方向に隣接する2つの主画素P−1、P−2の開口を示している。2つの主画素P−1、P−2の開口は同じであるため、ここでは主画素P−1を用いて開口のレイアウトを説明する。
【0049】
主画素P−1には、3つの副画素p1、p2、p3が設けられている。1つの副画素p1、p2、p3は、各々一つの色に対応した発光を行う。例えば、副画素p1は、R(赤)に対応した発光を行い、副画素p2は、G(緑)に対応した発光を行い、副画素p3は、B(青)に対応した発光を行う。
【0050】
1つの副画素p1、p2、p3は、対応する色に応じて3つの開口部S1、S2、S3が一方向(図中縦方向)に並ぶレイアウトとなっている。各開口部S1、S2、S3の開口サイズは、開口規定部K(例えば、開口部規定絶縁膜や遮光膜)によって規定される。本実施形態では、3つの開口部S1、S2、S3のうち両端の開口部S1、S3の開口サイズより、両端以外の開口部S2の開口サイズが大きくなるように設けられている。
【0051】
各副画素p1、p2、p3に設けられた3つの開口部S1、S2、S3は、各色に対応して同時に発光する。すなわち、主画素P−1のR(赤)が発光する場合には、R(赤)に対応した副画素p1の3つの開口部S1〜S3から同時に発光が行われる。同様に、主画素P−1のG(緑)が発光する場合には、G(緑)に対応した副画素p2の3つの開口部S1〜S3から同時に発が行われる。また、同様に、主画素P−1のB(青)が発光する場合には、B(青)に対応した副画素p2の3つの開口部S1〜S3から同時に発が行われる。
【0052】
ここで、副画素p1、p2、p3の3つの開口部S1、S2、S3のうち、何れか1つに発光不良が発生した場合を説明する。発光不良は、各開口部S1、S2、S3に対応したトランジスタの不良や有機EL発光層の電極間不良等が原因で起こる。
【0053】
例えば、図9に示すR(赤)に対応した副画素p1の、下側の端部に配置される開口部S3が発光不良となったとする。この場合、開口部S3が発光しないことによって、正常に発光する開口の間隔は、発光不良の開口部S3に対して上側に隣接する開口部S2と、下側に隣接する主画素P−2の副画素p1の開口部S1との距離D’となる。なお、ここではR(赤)に対応した副画素p1の開口部S3が発光不良となる場合を例としたが、G(緑)、B(青)に対応した副画素p2、p3の開口部S3であっても同様である。
【0054】
本実施形態と比較例とを対比すると、同じR(赤)に対応した副画素p1の開口部S3が発光不良となった場合、正常に発光する開口の間隔は、比較例がDであるのに対し、本実施形態ではD’となる。本実施形態での間隔D’は、比較例での間隔Dより短くなる。これは、本実施形態では、副画素p1、p2、p3内に構成される開口部S1、S2、S3の開口サイズが不均等であり、端部の開口部S1、S3に対して端部以外の開口部S2の開口サイズが大きくなっているためである。このため、本実施形態では、開口部S3の発光不良が生じた場合の非発光となる領域、すなわち間隔D’が比較例の間隔Dに比べて短くなり、非発光として視認され難くなる。
【0055】
次に、本実施形態に係る表示装置の開口の具体例を説明する。
【0056】
[本実施形態の詳しい具体例:その1]
図10は、本実施形態に係る表示装置の開口の詳しい具体例(その1)を説明する平面図である。この図では、縦方向に隣接する2つの主画素P−1、P−2の開口を示している。図10に示す開口のレイアウトは、図9に示す開口のレイアウトと同様、主画素P−1、P−2内に構成される副画素p1、p2、p3に各々3つの開口部S1、S2、S3が一方向(図中縦方向)に並んだ配置となっている。各開口部S1〜S3の大きさは、開口規定部Kによって規定される。
【0057】
ここで、図10に示す詳しい具体例では、図9に示す具体例と同様な開口のレイアウトとなっているため、主画素P−1、P−2、副画素p1、p2、p3および開口部S1、S2、S3の詳細説明は省略する。したがって、以下では、各開口部S1、S2、S3およびこれらの間隔についての寸法構成を詳細に説明する。また、各副画素p1、p2、p3について開口のレイアウトは同じであるため、副画素p1を用いて説明を行う。
【0058】
図10に示す例で説明に用いる寸法としては、図中縦方向(開口部S1〜S3の並びの方向)に沿った長さを用いる。この方向に沿った長さとして、開口部S1の開口長さをL1、開口部S2の開口長さをL2、開口部S3の開口長さをL3とする。また、開口部S1と開口部S2との間隔および開口部S2と開口部S3との間隔をaとする。また、開口部S3と下側に隣接する主画素P−2の副画素の開口部S1との間隔をbとする。また、主画素P−1の長さをLとする。
【0059】
図10に示す例では、副画素p1の上端部に配置される開口部S1の開口サイズL1と、下端部に配置される開口部S3の開口サイズL3とが等しくなっている。
L1=L3
【0060】
また、副画素p1の中央部に配置される開口部S2の開口サイズL2は、端部の開口部S1、S3の開口サイズL1、L3より大きくなっている。
L2>L1,L2>L3
【0061】
また、副画素p1内での開口部S1と開口部S2との間隔aおよび開口部S2と開口部S3との間隔aは、上下で隣接する主画素P−1の副画素p1の下端部の開口部S3と、主画素P−2の副画素p1の上端部の開口部S1との間隔bより小さくなっている。
a<b
【0062】
さらに、開口部S3の開口サイズL3と、その上側の間隔aと、下側の間隔bとの和は、開口部S2の開口サイズL2と、その上側の間隔aと、下側の間隔aとの和と等しくなっている。
L3+a+b=L2+2a
【0063】
また、副画素p1内の3つの開口部S1、S2、S3の図中横方向に沿った開口長さは等しくなっている。また、主画素P−1の長さLは、L1+L2+L3+2a+bとなっている。
【0064】
このような関係により、本実施形態では、3つの開口部S1、S2、S3のうち何れか1つが発光不良となっても、隣接する正常発光の開口の間隔をほぼ均等にすることができる。
【0065】
例えば、副画素p1の下端部に配置される開口部S3が発光不良となると、副画素p1に対応する色(赤)の減光領域の長さは、その開口部S3の開口サイズL3と、上下の間隔a、bとを加算した長さとなる。つまり、開口部S3が発光不良となった場合、上側に隣接する開口部S2の下端から、下側に隣接する主画素P−2の副画素p1の上端部の開口部S1の上端までの間隔が発光不良領域となる。この発光不良領域が、L3+a+bで表される。
【0066】
一方、副画素p1の中央部に配置される開口部S2が発光不良となると、副画素p1に対応する色(赤)の減光領域の長さは、その開口部S2の開口サイズL2と、上下の各間隔aを加算した長さとなる。つまり、開口部S2が発光不良となった場合、上側に隣接する開口部S1の下端から、下側に隣接する開口部S3の上端までの間隔が発光不良領域となる。この発光不良領域が、L2+2aである。
【0067】
本実施形態では、開口部S3が発光不良となった場合の発光不良領域であるL3+a+bと、開口部S2が発光不良となった場合の発光不良領域であるL2+2aとが等しくなっている。
【0068】
これにより、副画素p1内に設けられる3つの開口部S1、S2、S3のうち、どの開口が発光不良となっても、それに上下に隣接する正常発光の開口の間隔を等しくできる。つまり、どの開口が発光不良となっても、発光不良領域が等しくなるため、開口の場所による非発光の視認性に差が生じないことになる。
【0069】
ここで、上記では、L3+a+b=L2+2aとなる例を説明したが、L3+a+b≦L2+2aとなっていてもよい。この関係式では、L3+a+b<L2+2aも含まれるが、この場合、副画素p1の中央部に配置される開口部S2が発光不良となっても、正常発光している開口部S1、S3の発光輝度を高めることで、非発光の視認性の差を補間することができる。
【0070】
[本実施形態の詳しい具体例:その2]
図11は、本実施形態に係る表示装置の開口の詳しい具体例(その2)を説明する平面図である。この図では、縦方向に隣接する2つの主画素P−1、P−2の開口を示している。図11に示す開口のレイアウトは、主画素P−1、P−2内に構成される副画素p1、p2、p3に各々4つの開口部S1、S2、S3、S4が一方向(図中縦方向)に並んだ配置となっている。各開口部S1〜S4の大きさは、開口規定部Kによって規定される。
【0071】
以下では、各開口部S1、S2、S3、S4およびこれらの間隔についての寸法構成を詳細に説明する。また、各副画素p1、p2、p3について開口のレイアウトは同じであるため、副画素p1を用いて説明を行う。
【0072】
図11に示す例で説明に用いる寸法としては、図中縦方向(開口部S1〜S4の並びの方向)に沿った長さを用いる。この方向に沿った長さとして、開口部S1の開口長さをL1、開口部S2の開口長さをL2、開口部S3の開口長さをL3、開口部S4の開口長さをL4とする。また、開口部S1と開口部S2との間隔および開口部S2と開口部S3との間隔および開口部S3と開口部S4との間隔をaとする。また、開口部S4と下側に隣接する主画素P−2の副画素の開口部S1との間隔をbとする。また、主画素P−1の長さをLとする。
【0073】
図11に示す例では、副画素p1の上端部に配置される開口部S1の開口サイズL1と、下端部に配置される開口部S4の開口サイズL4とが等しくなっている。
L1=L4
【0074】
また、副画素p1の両端以外に配置される開口部S2の開口サイズL2と、開口部S3の開口サイズL3とが等しくなっている。
L2=L3
【0075】
また、副画素p1の両端以外に配置される開口部S2、S3の開口サイズL2、L3は、端部の開口部S1、S4の開口サイズL1、L4より大きくなっている。
L2=L3>L1=L4
【0076】
また、副画素p1内での開口部S1〜S4の各々の間隔aは、上下で隣接する主画素P−1の副画素p1の下端部の開口部S4と、主画素P−2の副画素p1の上端部の開口部S1との間隔bより小さくなっている。
a<b
【0077】
さらに、開口部S4の開口サイズL4と、その上側の間隔aと、下側の間隔bとの和は、開口部S2もしくは開口部S3の開口サイズL2もしくはL3と、その上側の間隔aと、下側の間隔aとの和と等しくなっている。
L4+a+b=L2+2a
L4+a+b=L3+2a
【0078】
また、副画素p1内の4つの開口部S1、S2、S3、S4の図中横方向に沿った開口長さは等しくなっている。また、主画素P−1の長さLは、L1+L2+L3+L4+3a+bとなっている。
【0079】
このような関係により、本実施形態では、4つの開口部S1、S2、S3、S4のうち何れか1つが発光不良となっても、隣接する正常発光の開口の間隔をほぼ均等にすることができる。
【0080】
例えば、副画素p1の下端部に配置される開口部S4が発光不良となると、副画素p1に対応する色(赤)の減光領域の長さは、その開口部S4の開口サイズL4と、上下の間隔a、bとを加算した長さとなる。つまり、開口部S4が発光不良となった場合、上側に隣接する開口部S3の下端から、下側に隣接する主画素P−2の副画素p1の上端部の開口部S1の上端までの間隔が発光不良領域となる。この発光不良領域が、L4+a+bで表される。
【0081】
一方、副画素p1の中央部に配置される開口部S2もしくはS3が発光不良となると、副画素p1に対応する色(赤)の減光領域の長さは、その開口部S2の開口サイズL2もしくは開口部S3の開口サイズL3と、上下の各間隔aを加算した長さとなる。つまり、開口部S2が発光不良となった場合、上側に隣接する開口部S1の下端から、下側に隣接する開口部S3の上端までの間隔が発光不良領域となる。この発光不良領域が、L2+2aである。また、開口部S3が発光不良となった場合、上側に隣接する開口部S2の下端から、下側に隣接する開口部S4の上端までの間隔が発光不良領域となる。この発光不良領域が、L3+2aである。
【0082】
本実施形態では、開口部S4が発光不良となった場合の発光不良領域であるL4+a+bと、開口部S2または開口部S3が発光不良となった場合の発光不良領域であるL2+2aまたはL3+2aとが等しくなっている。
【0083】
このように、副画素p1に4つの開口部S1〜S4が設けられている場合でも、3つの開口の場合と同様の効果を得ることができる。すなわち、4つの開口部S1、S2、S3、S4のうち何れか1つが発光不良となっても、隣接する正常発光の開口の間隔をほぼ均等にすることができる。したがって、どの開口が発光不良となっても、発光不良領域が等しくなるため、開口の場所による非発光の視認性に差が生じないことになる。
【0084】
ここで、上記では、L4+a+b=L2+2a、L4+a+b=L3+2aとなる例を説明したが、L4+a+b≦L2+2a、L4+a+b≦L3+2aとなっていてもよい。この関係式では、L4+a+b<L2+2a、L4+a+b<L3+2aも含まれるが、先と同様、副画素p1の中央部に配置される開口部S2やS3が発光不良となっても、正常発光している開口部の発光輝度を高めることで、非発光の視認性の差を補間することができる。
【0085】
なお、上記説明した3つの開口の場合および4つの開口の場合のほか、5つ以上の開口を有する場合にも同様な考え方を適用することができ、これにより同様な効果を得られることになる。
【0086】
<4.適用例>
以上説明した本実施形態に係る表示装置は、本体筐体に設けられることで種々の電子機器として適用可能である。一例として、図12〜図16に示す様々な電子機器に適用される。例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0087】
このように、あらゆる分野の電子機器の表示装置として本実施形態に係る表示装置を用いることにより、表示画像の画質向上を図ることができるために、各種の電子機器において、良質な画像表示を行うことができる利点がある。
【0088】
なお、本実施形態に係る表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。例えば、画素アレイ部102に透明なガラス等の対向部に貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。この透明な対向部には、カラーフィルタ、保護膜等、さらには、遮光膜が設けられてもよい。なお、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やFPC(フレキシブルプリントサーキット)等が設けられていてもよい。
【0089】
以下に、本実施形態の表示装置が適用される電子機器の具体例について説明する。
【0090】
図12は、本実施形態が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。本適用例に係るテレビテレビジョンセットは、フロントパネル108やフィルターガラス109等から構成される映像表示画面部107を含み、その映像表示画面部107として本実施形態による表示装置を用いることにより作成される。
【0091】
図13は、本実施形態が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本実施形態による表示装置を用いることにより作製される。
【0092】
図14は、本実施形態が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本実施形態による表示装置を用いることにより作製される。
【0093】
図15は、本実施形態が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本実施形態による表示装置を用いることにより作製される。
【0094】
図16は、本実施形態が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上部筐体141、下部筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本実施形態による表示装置を用いることにより作製される。
【符号の説明】
【0095】
1…表示装置、10…表示領域、20…電源供給部、21…信号線入力部、22…電源制御線、23…走査線、30…画素部、K…開口規定部、P…主画素、p…副画素、S…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主画素内に構成され、各々異なる色を発光する複数の副画素と、
前記副画素内で一方向に沿って並ぶよう配置される少なくとも3つの開口部と、
前記少なくとも3つの開口部のうち両端の開口部における前記一方向に沿った開口長さより両端以外の開口部における前記一方向に沿った開口長さを長くするよう規定する開口規定部と
を有する表示装置。
【請求項2】
前記両端以外の開口部と隣接する開口部との間隔をa、前記両端のうち一方の開口部と前記一方向に隣接する主画素における両端のうち一方の開口部との間隔をbとした場合、
a<b
の関係を満たす
請求項1記載の表示装置。
【請求項3】
前記両端以外の開口部と隣接する開口部との間隔をa、前記両端のうち一方の開口部と前記一方向に隣接する主画素における両端のうち一方の開口部との間隔をb、前記両端のうち一方の開口部の前記一方向に沿った開口長さをLe、前記両端以外の開口部の前記一方向に沿った開口長さをLsとした場合、
a<b
Le+a+b=Ls+2a
の両方の関係を満たす
請求項1記載の表示装置。
【請求項4】
前記副画素内の少なくとも3つの開口部の前記一方向と直交する方向に沿った開口長さが等しい
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
本体筐体に表示装置を備えており、
前記表示装置として、
主画素内に構成され、各々異なる色を発光する複数の副画素と、
前記副画素内で一方向に沿って並ぶよう配置される少なくとも3つの開口部と、
前記少なくとも3つの開口部のうち両端の開口部における前記一方向に沿った開口長さより両端以外の開口部における前記一方向に沿った開口長さを長くするよう規定する開口規定部と
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−249892(P2010−249892A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96609(P2009−96609)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】