説明

袋入り製品の位置検出方法及びその装置

【課題】袋入り製品の袋歪みに影響されずにケース内の袋入り製品を認識して、その位置を短時間で検出することが可能な袋入り製品の位置検出方法及びその装置を提供する。
【解決手段】袋入り製品の位置検出装置10は、表面に模様が記載された収納袋に物品を封入した袋入り製品の群から抽出した複数のサンプルの表面に現れる模様のサンプル画像12の輝度分布特徴を求める学習手段13と、袋入り製品がケース内に並べられた状態を撮影したカメラ画像15から切出した複数の分割画像16の中から、輝度分布特徴に似た類似輝度分割画像を求め、類似輝度分割画像のカメラ画像15内での位置に基づいて袋入り製品のケース内での製品位置を求める認識手段17とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋入り製品がケース内に並べられた状態のカメラ画像を、予め取得しておいた袋入り製品のサンプル画像(テンプレート画像ともいう)と照合することにより、ケース内に並べられた袋入り製品の位置を検出する袋入り製品の位置検出方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットで製品の仕分けを行う際のロボットの視覚を担うロボットビジョンにおいては、カメラで撮影した画像から製品の位置を認識することが必要となる。製品の位置を認識する方法(位置検出機能)として、箱入り製品に対しては、箱表面に存在する記載された模様のカメラ画像を1つのサンプル画像と照合する、例えば非特許文献1のPatMax(コグネックス株式会社商標登録)等の多数の画像処理手法が実用化されている。一方、袋入り製品では、袋が膨れたり、しわが存在したりして、袋表面に存在する識別対象物が歪んでいる。このため、袋入り製品の袋表面の識別対象物のカメラ画像に対して、識別対象物の歪み補正を行ってから、袋に歪みのない状態での袋表面の識別対象物の画像であるサンプル画像と照合する、例えば非特許文献2のPatFlex(コグネックス株式会社商標登録)という画像処理手法が使用されている。
また、複数のサンプル画像を予め画像データとして記憶しておき、識別対象物の認識を行う方法も提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】[平成22年3月9日検索]、インターネット<URL://www.incom.co.jp/productnavi-pdf/WEB200710/GD-00040868-01.pdf>
【非特許文献2】[平成22年3月9日検索]、インターネット<URL://www.incom.co.jp/productnavi-pdf/WEB20044/GD-0010594-01.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、PatFlexという画像処理手法では、袋の膨れ方、袋のしわの状態等が異なると、袋表面の識別対象物の歪み状態も変化するため、歪み補正して得られる識別対象物の画像は歪みの程度に応じて変化する可能性がある。このため、歪み補正後の識別対象物の画像を、袋に歪みのない状態での袋表面の識別対象物の画像、すなわち、1つのサンプル画像で照合する場合、同一の識別対象物として認識されない可能性が高い、更に歪み補正の処理時間が長くなるという問題がある。また、複数のサンプル画像を用いて識別対象物の認識を行う場合、サンプル画像用の記憶容量が大きくなると共に、1つのサンプル画像で照合する場合と比較して、照合に要する時間が長くなるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、袋入り製品の袋歪みに影響されずにケース内に並べられた袋入り製品を認識して、その位置を短時間で検出することが可能な袋入り製品の位置検出方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法は、表面に模様が記載された収納袋に物品を封入した袋入り製品の群から抽出した複数のサンプルの表面に現れる前記模様のサンプル画像の輝度分布特徴を求める学習過程と、
前記袋入り製品がケース内に並べられた状態を撮影したカメラ画像から切出した複数の分割画像の中から、前記輝度分布特徴に似た類似輝度分布を有する類似輝度分割画像を求め、該類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置に基づいて前記袋入り製品の前記ケース内での製品位置を求める認識過程とを有する。
【0007】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、前記サンプル画像は、前記ケース内を前記複数のサンプルで満たした状態の画像から該各サンプルの前記模様の部分を切出して作成した複数の原画像と、該各原画像をその中心に対してそれぞれ一定の角度だけ回転して得た複数の回転画像から構成することが好ましい。
【0008】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、前記分割画像を、前記カメラ画像内で、前記サンプル画像と同一のフレームサイズからなる走査単位を、該カメラ画像中で予め決めた部位を起点とし1画素ずつ順次走査しながら切出して作成することが好ましい。
【0009】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、前記学習過程は、前記サンプル画像毎に、該サンプル画像の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間のサンプル濃度値ベクトルを求め、該サンプル濃度値ベクトルの平均サンプル濃度値ベクトルを算出するG1工程と、
前記各サンプル濃度値ベクトルを、前記M次元空間より低次元のL次元空間の固有ベクトルの線形結合と前記平均サンプル濃度値ベクトルの和で近似する際の、該固有ベクトル及び線形結合係数から構成されるサンプル特徴ベクトルをそれぞれ求めるG2工程と、
前記平均サンプル濃度値ベクトル、前記固有ベクトル、及び前記サンプル特徴ベクトルから構成され前記輝度分布特徴を定量的に示す画像データベースを作成するG3工程とを有することが好ましい。
【0010】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、前記固有ベクトルは、複数の前記サンプル濃度値ベクトルから構成される濃度値行列から求めた分散共分散行列の固有値の中から、大きい順にL個だけ選んだものにそれぞれ対応する固有ベクトルで構成することが好ましい。
【0011】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、前記Lは、前記固有値を大きい方から順次足し合せた部分和を該固有値の総和で除した累積寄与率が、0.8未満の範囲で最大となる場合の足し合せた前記固有値の個数とすることができる。
【0012】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、前記認識過程は、前記分割画像毎に、該分割画像の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間の濃度値ベクトルをそれぞれ求め、該各濃度値ベクトルを前記固有ベクトルの線形結合と前記平均サンプル濃度値ベクトルの和で近似した際にそれぞれ決まる線形結合係数から構成される特徴ベクトルを求めるR1工程と、
前記分割画像毎に、前記特徴ベクトルと前記各サンプル特徴ベクトルとの間の距離を算出し、前記分割画像の輝度分布と前記輝度分布特徴との類似を定量的に示す類似度とするR2工程と、
前記各サンプル特徴ベクトル毎に求めた前記類似度を、前記分割画像を切出した分割画像番号順に並べて類似度分布を作成し、該各類似度分布の類似度極小となる前記分割画像番号から構成される画像番号群内のひとつの該分割画像番号の前記分割画像を前記類似輝度分割画像とすると共に、該類似輝度分割画像の該分割画像番号から該類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置を求めるR3工程と、
前記類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置に基づいて、前記袋入り製品の前記ケース内での製品位置を求めるR4工程とを有することが好ましい。
ここで、前記類似輝度分割画像は、前記画像番号群内の前記各分割画像番号の平均番号又は該平均番号に最も近い番号に対応する該分割画像番号の前記分割画像とすることができる。
【0013】
前記目的に沿う第2の発明に係る袋入り製品の位置検出装置は、表面に模様が記載された収納袋に物品を封入した袋入り製品の群から抽出した複数のサンプルの表面に現れる前記模様のサンプル画像の輝度分布特徴を求める学習手段と、
前記袋入り製品がケース内に並べられた状態を撮影したカメラ画像から切出した複数の分割画像の中から、前記輝度分布特徴に似た類似輝度分布を有する類似輝度分割画像を求め、該類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置に基づいて前記袋入り製品の前記ケース内での製品位置を求める認識手段とを有する。
【0014】
第2の発明に係る袋入り製品の位置検出装置において、前記学習手段は、前記ケース内を前記複数のサンプルで満たした状態の画像から該各サンプルの前記模様の部分を切出して作成した複数の原画像、及び該各原画像をその中心に対してそれぞれ一定の角度だけ回転して得た複数の回転画像から前記サンプル画像を構成するサンプル画像作成部と、
前記サンプル画像毎に、該サンプル画像の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間のサンプル濃度値ベクトルを求める前記サンプル画像の輝度分布作成部と、
前記各サンプル濃度値ベクトルを、前記M次元空間より低次元のL次元空間の固有ベクトルの線形結合で近似する際の前記固有ベクトル及び線形結合係数から構成されるサンプル特徴ベクトルをそれぞれ求め、前記輝度分布特徴を定量的に示す画像データベースを構築して保存する学習データ記憶部とを備えていることが好ましい。
【0015】
第2の発明に係る袋入り製品の位置検出装置において、前記認識手段は、前記カメラ画像内で、該カメラ画像中で予め決めた部位を起点とし、前記サンプル画像と同一のフレームサイズからなる走査単位を1画素ずつ順次走査しながら切出して前記分割画像を作成する分割画像作成部と、
前記分割画像毎に、該分割画像の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間の濃度値ベクトルをそれぞれ求める前記分割画像の輝度分布作成部と、
前記各濃度値ベクトルを、前記固有ベクトルの線形結合で近似した際にそれぞれ決まる線形結合係数から構成される特徴ベクトルを求め、該特徴ベクトルと前記各サンプル特徴ベクトルとの間の距離を算出し、前記分割画像の輝度分布と前記輝度分布特徴との類似を定量的に示す類似度とする類似度計算部と、
前記各サンプル特徴ベクトル毎に求めた前記類似度を、前記分割画像を切出した分割画像番号順に並べて類似度分布を作成し、該各類似度分布の類似度極小となる前記分割画像番号から構成される画像番号群内のひとつの該分割画像番号の前記分割画像を前記類似輝度分割画像とし、該類似輝度分割画像の該分割画像番号から該類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置を求める認識部と、
前記類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置に基づいて、前記袋入り製品の前記ケース内での製品位置を算出する検出部とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法及び第2の発明に係る袋入り製品の位置検出装置においては、袋入り製品の表面に現れる模様の特徴を輝度分布の特徴として捉えることにより、袋入り製品の袋歪みに影響されずにケース内に並べられた袋入り製品の模様を認識することが可能になる。その結果、例えば、ロボットで袋入り製品の仕分け作業を行う際に、ロボットピッキングにおける正確な位置決めを行うことができる。
【0017】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、サンプル画像を、ケース内を複数のサンプルで満たした状態の画像から各サンプルの模様の部分を切出して作成した複数の原画像と、各原画像をその中心に対してそれぞれ一定の角度だけ回転して得た複数の回転画像から構成する場合、サンプルの個性の違い(例えば、サンプルの姿勢、サンプル周辺の見え方、サンプルの収納袋の膨らみ、しわ、折れ等の収納袋の歪み、サンプル表面での光の反射具合、サンプル表面に生じた影、サンプル同士の重なり)を反映するサンプル画像を効率的に収集することができる。
【0018】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、分割画像を、カメラ画像内で、サンプル画像と同一のフレームサイズからなる走査単位を、カメラ画像中で予め決めた部位を起点とし1画素ずつ順次走査しながら切出して作成する場合、分割画像からサンプル画像の輝度分布特徴に似た類似パターンを直接探索することができる。
【0019】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、各サンプル濃度値ベクトルを、M次元空間より低次元のL次元空間の固有ベクトルの線形結合と平均サンプル濃度値ベクトルの和で近似することで、画像データベースの容量を少なくすることができると共に、サンプル画像の輝度分布特徴に似た類似パターンを探索するのに要する時間を短縮することができる。また、サンプル画像の輝度分布特徴を、平均サンプル濃度値ベクトル、固有ベクトル、及びサンプル特徴ベクトルを備えた画像データベースとすることで、袋入り製品のケース内に並べる様式が変更になっても、収納袋の表面に記載された模様が変わっても、画像データベースの内容を変更するだけで対応することが可能になる。
第2の発明に係る袋入り製品の位置検出装置において、各サンプル濃度値ベクトルを、M次元空間より低次元のL次元空間の固有ベクトルの線形結合で近似することで、画像データベースの容量を少なくすることができると共に、サンプル画像の輝度分布特徴に似た類似パターンを探索するのに要する時間を短縮することができる。また、サンプル画像の輝度分布特徴を定量的に示す画像データベースを用いることで、袋入り製品のケース内に並べる様式が変更になっても、収納袋の表面に記載された模様が変わっても、画像データベースの内容を変更するだけで対応することが可能になる。
【0020】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法において、固有ベクトルを、複数のサンプル濃度値ベクトルから構成される濃度値行列から求めた分散共分散行列の固有値の中から、大きい順にL個だけ選んだものにそれぞれ対応する固有ベクトルで構成すると共に、L個を、固有値を大きい方から順次足し合せた部分和を固有値の総和で除した累積寄与率が、0.8未満の範囲で最大となる場合の足し合せた固有値の個数とすることにより、M次元空間のサンプル濃度値ベクトルを、L次元空間の固有ベクトルの線形結合と平均サンプル濃度値ベクトルの和でよく近似することができる。
【0021】
第1の発明に係る袋入り製品の位置検出方法及び第2の発明に係る袋入り製品の位置検出装置において、各分割画像毎に、その特徴ベクトルと各サンプル特徴ベクトルとの間の距離を算出して分割画像の輝度分布と輝度分布特徴との類似を定量的に示す類似度を求め、各サンプル特徴ベクトル毎に求めた類似度を、分割画像を切出した分割画像番号順に並べて類似度分布を作成し、各類似度分布の類似度極小となる分割画像番号から構成される画像番号群内のひとつの分割画像番号の分割画像を類似輝度分割画像とし、類似輝度分割画像の分割画像番号から類似輝度分割画像のカメラ画像内での位置を求める場合、袋入り製品のケース内での製品位置を簡便かつ短時間で決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る袋入り製品の位置検出装置の説明図である。
【図2】原画像の説明図である。
【図3】サンプル画像を構成を示す説明図である。
【図4】カメラ画像と分割画像の説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る袋入り製品の位置検出装置を用いた袋入り製品の位置検出方法の説明図である。
【図6】サンプル濃度値ベクトルの説明図である。
【図7】濃度値行列から求めた分散共分散行列の固有値を大きさの順に並べたグラフである。
【図8】累積寄与率と固有値の個数の関係を示すグラフである。
【図9】類似度分布の一部を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1〜図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る袋入り製品の位置検出装置10は、
表面に模様が記載された収納袋に物品を封入した袋入り製品の群から抽出した複数のサンプルの表面に現れる模様を、撮像手段の一例であるカメラ11を介して得たサンプル画像12の輝度分布特徴を求める学習手段13と、袋入り製品がケース内に並べられた状態を撮像手段の一例であるカメラ14で撮影したカメラ画像15から切出した複数の分割画像16の中から、輝度分布特徴に似た類似輝度分布を有する類似輝度分割画像を求め、類似輝度分割画像のカメラ画像15内での位置に基づいて袋入り製品のケース内での製品位置を求める認識手段17とを有している。なお、カメラ11とカメラ14は、1台のカメラで兼用することもできる。以下、詳細に設刑する。
【0024】
学習手段13は、図2、図3に示すように、ケース内をP個(図2では16個)のサンプルで満たした状態のサンプル全体画像18から、各サンプルの模様の部分を切出して、P個の原画像19を作成する原画像作成機能と、各原画像19をその中心に対してそれぞれ一定の角度だけ回転して得た、Q個(図3では48個)の回転画像20を作成する回転画像作成機能と、P個の原画像19とQ個の回転画像20からN(=P+Q)個のサンプル画像12を構成するサンプル画像作成機能とを備えたサンプル画像作成部21を有している。ここで、図3に示すように、各回転画像20は、例えば、各原画像19をその中心の回りにそれぞれ、90度、180度、及び270度だけ回転したものである。
【0025】
また、学習手段13は、N個のサンプル画像12について、各サンプル画像12毎に、サンプル画像12の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値をそれぞれ求め、各濃度値を画素番号順に並べて、サンプル画像12の輝度分布を示すM次元空間のサンプル濃度値ベクトルx(k=1〜N)を形成する濃度値ベクトル演算機能を備えた輝度分布作成部22を有している。なお、輝度分布作成部22は、コンピュータに濃度値ベクトル演算機能を発現するプログラムを搭載させることにより形成する。
【0026】
更に、学習手段13は、N個のサンプル濃度値ベクトルxの平均サンプル濃度値ベクトル[x]を算出する第1の機能と、各サンプル濃度値ベクトルxを、M次元空間より低次元のL次元空間の固有ベクトルaの線形結合と平均サンプル濃度値ベクトル[x]の和で近似する場合の、L次元空間の固有ベクトルaを求める第2の機能と、各サンプル濃度値ベクトルxを固有ベクトルaの線形結合でそれぞれ近似する場合の線形結合係数を求めて、線形結合係数から構成されるサンプル特徴ベクトルCを求める第3の機能と、平均サンプル濃度値ベクトル[x]、固有ベクトルa、及び前記サンプル特徴ベクトルCをサンプル画像12の輝度分布特徴を定量的に示す画像データベースとして保存する第4の機能とを備えた学習データ記憶部23を有している。なお、学習データ記憶部23は、コンピュータに第1〜第4の機能を発現するプログラムを搭載させることにより形成する。
【0027】
認識手段17は、図4に示すように、カメラ画像15内で、カメラ画像15中で予め決めた部位、例えば、カメラ画像15の左上端を起点とし、サンプル画像12と同一のフレームサイズからなる走査単位を1画素ずつ順次走査して総数V個の分割画像16を切出し、分割画像を16切出した順に並べる画像処理機能を備えた分割画像作成部24を有している。なお、分割画像作成部24は、コンピュータに画像処理機能を発現するプログラムを搭載させることにより形成する。
【0028】
また、認識手段17は、分割画像16毎に、分割画像16の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値をそれぞれ求め、各濃度値を画素番号順に並べて分割画像16の輝度分布を示すM次元空間の濃度値ベクトルxをそれぞれ求める濃度値ベクトル演算機能を備えた輝度分布作成部25を有している。なお、輝度分布作成部25は、コンピュータに濃度値ベクトル演算機能を発現するプログラムを搭載させることにより形成する。
【0029】
更に、認識手段17は、各濃度値ベクトルxを、固有ベクトルaの線形結合と平均サンプル濃度値ベクトル[x]の和で近似した際にそれぞれ決まる線形結合係数から構成される特徴ベクトルCを求める第1の演算機能と、特徴ベクトルCと各サンプル特徴ベクトルCとの間の距離を算出し、分割画像16の輝度分布とサンプル画像12の輝度分布特徴との類似程度を定量的に示す類似度を算出する第2の演算機能を備えた類似度計算部26と、各サンプル特徴ベクトルC毎に求めた類似度を、分割画像16を切出した分割画像番号順に並べて類似度分布を作成し、各類似度分布の類似度極小となる分割画像番号から構成される画像番号群内のひとつの分割画像番号の分割画像16を類似輝度分割画像とし、類似輝度分割画像の分割画像番号から類似輝度分割画像のカメラ画像15内での位置を求める類似パターン探索機能を備えた認識部27と、類似輝度分割画像のカメラ画像15内での位置に基づいて、袋入り製品のケース内での製品位置を算出する位置演算機能を備えた検出部28とを有している。なお、類似度計算部26は第1、第2の演算機能を発現するプログラムを、認識部27は類似パターン探索機能を発現するプログラムを、及び検出部28は位置演算機能を発現するプログラムを、それぞれコンピュータに搭載させることにより形成する。
【0030】
続いて、本発明の一実施の形態に係る袋入り製品の位置検出装置10を使用した袋入り製品の位置検出方法について説明する。
図5に示すように、袋入り製品の位置検出装置10を使用した袋入り製品の位置検出方法は、表面に模様が記載された収納袋に物品を封入した袋入り製品の群から抽出した複数のサンプルの表面に現れる模様に対して作成したN個のサンプル画像12の輝度分布特徴を求める学習過程と、袋入り製品がケース内に並べられた状態を撮影したカメラ画像15から切出した複数の分割画像16の中から、輝度分布特徴に似た類似輝度分布を有する類似輝度分割画像を求め、類似輝度分割画像のカメラ画像15内での位置に基づいて袋入り製品のケース内での製品位置を求める認識過程とを有する。以下、詳細に説明する。
【0031】
サンプル画像12の輝度分布特徴を対象とすることで、サンプルの個性の違い、例えば、ケース内におけるサンプルの姿勢の違い、サンプル周囲の状況の違い、サンプルの収納袋の膨らみ、しわ、折れ等の収納袋の歪みの違い、サンプル表面での光の反射具合の違い、サンプル表面に生じた影の違い、サンプル同士の重なり具合の違いにより、模様の見え方(画像の状況)が変化しても、模様の状態を確実に捉えることができる。また、N個のサンプル画像12を、ケース内を複数のサンプルで満たした状態のサンプル全体画像18から各サンプルの模様の部分を切出して作成したP個の原画像19と、各原画像19をその中心に対してそれぞれ一定の角度だけ回転して得たQ個の回転画像20から構成することにより、サンプルの個性の違いを反映するサンプル画像12を効率的に収集することができる。
【0032】
学習過程は、サンプル画像12毎に、サンプル画像12の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間のサンプル濃度値ベクトルxを求め、サンプル濃度値ベクトルxの平均サンプル濃度値ベクトル[x]を算出するG1工程と、各サンプル濃度値ベクトルxを、M次元空間より低次元のL次元空間の固有ベクトルaの線形結合と平均サンプル濃度値ベクトル[x]の和で近似する際の、固有ベクトルa及び線形結合係数から構成されるサンプル特徴ベクトルCをそれぞれ求めるG2工程と、平均サンプル濃度値ベクトル[x]、固有ベクトルa、及びサンプル特徴ベクトルCから構成される画像データベースを作成するG3工程とを有している。
【0033】
G1工程では、図6(A)に示すように、N個のサンプル画像12は、それぞれ縦画素数H(例えば100画素)、横画素数W(例えば100画素)を有しているので、例えば、k(k=1〜N)番目のサンプル画像12では、輝度分布を示す2次元配列されたM(H×W)個の画素がそれぞれ有する0〜255階調の濃度値xk1、xk2、・・・、xkMを、図6(B)に示すように、画素番号順に並べてM次元空間のサンプル濃度値ベクトルx=(xk1、xk2、・・・、xkM(k=1、2、・・・、N)を求める。ここで、2次元配列されたj行i列の画素の濃度値は、1次元化した場合はi+W×j番目に記載される。そして、縦、横画素数がそれぞれ100の場合、サンプル濃度値ベクトルxの次元は10000次元となる。次いで、各サンプル画像12のサンプル濃度値ベクトルxの総和x+x+・・・+xを計算し、総和x+x+・・・+xをxの総数(N)で除した(x+x+・・・+x)/Nを平均サンプル濃度値ベクトル[x]とする。
【0034】
G2工程では、先ず、N個のサンプル濃度値ベクトルxから構成される濃度値行列Xから分散共分散行列Sを
S=(1/N)Σ(x−[x])(x−[x])(k=1〜N)
により求める。次に、分散共分散行列S、分散共分散行列Sの固有値λ、及び固有ベクトルa(i=1〜M)の間にはSa=λの関係が成り立つので、
|S−λI|=0 (Iは単位行列)
の方程式を解いて固有値λ、固有ベクトルaをそれぞれ求める。
したがって、サンプル濃度値ベクトルxは、C+C+・・・+C+[x]のように、固有ベクトルaの線形結合で記載される。なお、線形結合係数Cは、固有ベクトルaと、サンプル濃度値ベクトルx及び平均サンプル濃度値ベクトル[x]の差ベクトル(x−[x])との内積、すなわち、
=a・(x−[x])
により求める。
【0035】
次いで、分散共分散行列Sの固有値λの中から、大きい順にL個だけ選んだものにそれぞれ対応する固有ベクトルでL次元空間の固有ベクトルaを構成する。ここで、L次元空間の固有ベクトルaの決定は、以下のようにして行う。
先ず、分散共分散行列Sの固有値λを大きい順(λ≧λ≧λ≧・・・λ)に並べ、固有値λから固有値λまでを順次足し合わせた固有値部分和(λ+λ+λ+・・・+λ)を、固有値総和(λ+λ+λ+・・・+λ)で除した累積寄与率が、例えば0.8未満の範囲で、最大となるような固有値λを求める。そして、固有値λの順位番号の数が、固有ベクトルaの張る空間の次元(固有ベクトルの個数)となる。また、分散共分散行列Sの固有値λの中から、大きい順にL番目まで選んだ各固有値λにそれぞれ対応する固有ベクトルa、a2、・・・、aが、L次元空間を構成する固有ベクトルaとなる。更に、サンプル濃度値ベクトルxを、C+C+・・・+C+・・・+C+[x]と記載した場合の、各固有ベクトルa、a2、・・・、aにそれぞれ対応する線形結合係数Cが、サンプル濃度値ベクトルxを固有ベクトルaの線形結合と平均サンプル濃度値ベクトル[x]の和で近似する際の、固有ベクトルaの線形結合係数となる。
【0036】
このように、L次元空間を構成する固有ベクトルaを、M次元空間の固有ベクトルa、a2、・・・、aの上位L番目までの固有ベクトルを用いて構成するので、M次元空間のサンプル濃度値ベクトルxを、低次元のL次元空間の固有ベクトルaの線形結合と平均サンプル濃度値ベクトル[x]の和で近似することができる。例えば、サンプル画像12の個数が64個、各サンプル画像12を構成する画素数が10000個の場合、サンプル画像12に対して、10000次元のサンプル濃度値ベクトルxを求め、濃度値行列Xから分散共分散行列Sを求めて分散共分散行列Sの固有値λを求め、上位16個の固有値をプロットすると、図7に示すようになる。図7から、有為な固有値は上位15個まであることが分かる。更に、図8に、上位16個までの固有値λについて求めた累積寄与率を示す。図8から、累積寄与率が0.8未満の範囲で最大となる場合の足し合せる固有値の個数は7となり、上位7個の固有値に対応する固有ベクトルaで、サンプル画像12のサンプル濃度値ベクトルxを十分に構成できることになる。
【0037】
G3工程では、G3工程で得られた平均サンプル濃度値ベクトル[x]、固有ベクトルa、及びサンプル特徴ベクトルCを、N個のサンプル画像12の輝度分布特徴を定量的に示す画像データベースとして記憶する。ここで、サンプル画像12の輝度分布特徴を画像データベースとして学習データ記憶部23に記憶することにより、製品の品種が異なっても、共通する模様があれば、品種の異なる袋入り製品のサンプルの画像を学習することで、一つの画像データベースで対応できる。
【0038】
認識過程は、分割画像16毎に、分割画像16の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間の濃度値ベクトルxをそれぞれ求め、各濃度値ベクトルxを固有ベクトルaの線形結合と平均サンプル濃度値ベクトル[x]の和で近似した際にそれぞれ決まる線形結合係数から構成される特徴ベクトルCを求めるR1工程と、分割画像16毎に、特徴ベクトルCと各サンプル特徴ベクトルCとの間の距離を算出し、分割画像16の輝度分布と輝度分布特徴との類似を定量的に示す類似度とするR2工程と、各サンプル特徴ベクトルC毎に求めた類似度を、分割画像16を切出した分割画像番号順に並べて類似度分布を作成し、各類似度分布の類似度極小となる分割画像番号から構成される画像番号群内のひとつの分割画像番号の分割画像16を類似輝度分割画像とすると共に、類似輝度分割画像の分割画像番号から類似輝度分割画像のカメラ画像15内での位置を求めるR3工程と、類似輝度分割画像のカメラ画像15内での位置に基づいて、袋入り製品のケース内での製品位置を求めるR4工程とを有する。
【0039】
R1工程では、カメラ画像15内で、カメラ画像15中で予め決めた部位、例えば、カメラ画像15の左上端を起点とし、サンプル画像12と同一のフレームサイズからなる走査単位を1画素ずつ順次走査して分割画像16を切出す。これによって、サンプル画像12と分割画像16は同一のフレームサイズのため、分割画像16からサンプル画像12の輝度分布特徴に似た類似パターンを直接探索することができる。次いで、縦画素数H(例えば100画素)、横画素数W(例えば100画素)の分割画像16毎に、分割画像16の輝度分布を示す2次元配列されたM(H×W)個の画素がそれぞれ有する濃度値(0〜255階調)を画素番号順に並べて、M次元空間の濃度値ベクトルxをそれぞれ形成する。
【0040】
そして、各濃度値ベクトルxを、画像データベースのデータとして保存している固有ベクトルaを用いた線形結合と平均サンプル濃度値ベクトル[x]との和、すなわち、
x≒C+C+・・・+C+[x]
で近似した際に決まる線形結合係数Cから構成される特徴ベクトルC=(C、C、・・・、Cを求める。なお、Cは、固有ベクトルaと、
濃度値ベクトルx及び平均サンプル濃度値ベクトル[x]の差ベクトル(x−[x])との内積、すなわち、
=a・(x−[x])
により求める。
【0041】
R2工程では、分割画像16毎に、特徴ベクトルCと各サンプル特徴ベクトルC(k=1〜N)との間の距離dを算出し、算出した距離dを、分割画像16の輝度分布と輝度分布特徴との類似を定量的に示す類似度とする。ここで、距離dは、
{(Ck1−C+(Ck1−C・・・+(CkL−C1/2
として求める。
【0042】
R3工程では、各サンプル特徴ベクトルC毎に求めた類似度(距離d)を、分割画像16を切出した分割画像番号順に並べて類似度分布を作成する。類似度分布には、図9に示すように、類似度が最小となる点が存在する。類似度(距離d)が最小となることは、特徴ベクトルCとサンプル特徴ベクトルCの差が小さいこと、すなわち、分割画像16の輝度分布が、k番目のサンプル画像12の輝度分布特徴と似ていることを示している。したがって、各サンプル特徴ベクトルC毎に求めた類似度分布の類似度極小となる分割画像番号から構成される画像番号群内のひとつの分割画像番号の分割画像16を類似輝度分割画像とする。ここで、類似輝度分割画像は、例えば、画像番号群を構成する各分割画像番号の番号の算術平均値と同値の番号に対応する分割画像番号の分割画像16とすることができる。なお、算術平均値が非整数の場合は、算術平均値に最も近い整数と同値の番号に対応する分割画像番号の分割画像16とする。そして、類似輝度分割画像に相当する分割画像16の分割画像番号、走査単位(1画素)、及びカメラ画像15の起点(左上端)から、類似輝度分割画像を示す分割画像16のカメラ画像15内での位置が求まる。
【0043】
R4工程では、カメラ14で袋入り製品がケース内に並べられた状態を撮影してカメラ画像15を得た際の撮影条件から、カメラ画像15内の起点が袋入り製品が収納されたケース内のどの点に対応するかの定量的な対応関係を求める。次いで、類似輝度分割画像を示す分割画像16のカメラ画像15内の位置が判明しているので、類似輝度分割画像を示す分割画像16のケース内での位置を求める。そして、類似輝度分割画像を示す分割画像16のケース内での位置には、袋入り製品の表面に現れる模様が存在するので、すなわち、袋入り製品のケース内での製品位置とすることができる。
なお、カメラ画像15内の起点を原点とするカメラ座標系における製品位置の座標(XC1,YC1)は、カメラ座標系の原点を(XC0,YC0)、ロボット座標系の原点を(XR0,YR0)とすると、ロボット座標系の製品位置の座標(XR1,YR1)に、
R1=(XC0−XR0)+XC1
R1=(YC0−YR0)+YC1
の変換式を用いて座標変換できる。これにより、求めた製品位置(XR1,YR1)を用いてロボットによるピッキング仕分け作業を行うことができる。
【0044】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
【符号の説明】
【0045】
10:袋入り製品の位置検出装置、11:カメラ、12:サンプル画像、13:学習手段、14:カメラ、15:カメラ画像、16:分割画像、17:認識手段、18:サンプル全体画像、19:原画像、20:回転画像、21:サンプル画像作成部、22:輝度分布作成部、23:学習データ記憶部、24:分割画像作成部、25:輝度分布作成部、26:類似度計算部、27:認識部、28:検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に模様が記載された収納袋に物品を封入した袋入り製品の群から抽出した複数のサンプルの表面に現れる前記模様のサンプル画像の輝度分布特徴を求める学習過程と、
前記袋入り製品がケース内に並べられた状態を撮影したカメラ画像から切出した複数の分割画像の中から、前記輝度分布特徴に似た類似輝度分布を有する類似輝度分割画像を求め、該類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置に基づいて前記袋入り製品の前記ケース内での製品位置を求める認識過程とを有することを特徴とする袋入り製品の位置検出方法。
【請求項2】
請求項1記載の袋入り製品の位置検出方法において、前記サンプル画像は、前記ケース内を前記複数のサンプルで満たした状態の画像から該各サンプルの前記模様の部分を切出して作成した複数の原画像と、該各原画像をその中心に対してそれぞれ一定の角度だけ回転して得た複数の回転画像から構成することを特徴とする袋入り製品の位置検出方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の袋入り製品の位置検出方法において、前記分割画像を、前記カメラ画像内で、前記サンプル画像と同一のフレームサイズからなる走査単位を、該カメラ画像中で予め決めた部位を起点とし1画素ずつ順次走査しながら切出して作成することを特徴とする袋入り製品の位置検出方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の袋入り製品の位置検出方法において、前記学習過程は、前記サンプル画像毎に、該サンプル画像の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間のサンプル濃度値ベクトルを求め、該サンプル濃度値ベクトルの平均サンプル濃度値ベクトルを算出するG1工程と、
前記各サンプル濃度値ベクトルを、前記M次元空間より低次元のL次元空間の固有ベクトルの線形結合と前記平均サンプル濃度値ベクトルの和で近似する際の、該固有ベクトル及び線形結合係数から構成されるサンプル特徴ベクトルをそれぞれ求めるG2工程と、
前記平均サンプル濃度値ベクトル、前記固有ベクトル、及び前記サンプル特徴ベクトルから構成され前記輝度分布特徴を定量的に示す画像データベースを作成するG3工程とを有することを特徴とする袋入り製品の位置検出方法。
【請求項5】
請求項4記載の袋入り製品の位置検出方法において、前記固有ベクトルは、複数の前記サンプル濃度値ベクトルから構成される濃度値行列から求めた分散共分散行列の固有値の中から、大きい順にL個だけ選んだものにそれぞれ対応する固有ベクトルで構成することを特徴とする袋入り製品の位置検出方法。
【請求項6】
請求項5記載の袋入り製品の位置検出方法において、前記Lは、前記固有値を大きい方から順次足し合せた部分和を該固有値の総和で除した累積寄与率が、0.8未満の範囲で最大となる場合の足し合せた前記固有値の個数であることを特徴とする袋入り製品の位置検出方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の袋入り製品の位置検出方法において、前記認識過程は、前記分割画像毎に、該分割画像の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間の濃度値ベクトルをそれぞれ求め、該各濃度値ベクトルを前記固有ベクトルの線形結合と前記平均サンプル濃度値ベクトルの和で近似した際にそれぞれ決まる線形結合係数から構成される特徴ベクトルを求めるR1工程と、
前記分割画像毎に、前記特徴ベクトルと前記各サンプル特徴ベクトルとの間の距離を算出し、前記分割画像の輝度分布と前記輝度分布特徴との類似を定量的に示す類似度とするR2工程と、
前記各サンプル特徴ベクトル毎に求めた前記類似度を、前記分割画像を切出した分割画像番号順に並べて類似度分布を作成し、該各類似度分布の類似度極小となる前記分割画像番号から構成される画像番号群内のひとつの該分割画像番号の前記分割画像を前記類似輝度分割画像とすると共に、該類似輝度分割画像の該分割画像番号から該類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置を求めるR3工程と、
前記類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置に基づいて、前記袋入り製品の前記ケース内での製品位置を求めるR4工程とを有することを特徴とする袋入り製品の位置検出方法。
【請求項8】
請求項7記載の袋入り製品の位置検出方法において、前記類似輝度分割画像は、前記画像番号群内の前記各分割画像番号の平均番号又は該平均番号に最も近い番号に対応する該分割画像番号の前記分割画像であることを特徴とする袋入り製品の位置検出方法。
【請求項9】
表面に模様が記載された収納袋に物品を封入した袋入り製品の群から抽出した複数のサンプルの表面に現れる前記模様のサンプル画像の輝度分布特徴を求める学習手段と、
前記袋入り製品がケース内に並べられた状態を撮影したカメラ画像から切出した複数の分割画像の中から、前記輝度分布特徴に似た類似輝度分布を有する類似輝度分割画像を求め、該類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置に基づいて前記袋入り製品の前記ケース内での製品位置を求める認識手段とを有することを特徴とする袋入り製品の位置検出装置。
【請求項10】
請求項9記載の袋入り製品の位置検出装置において、前記学習手段は、前記ケース内を前記複数のサンプルで満たした状態の画像から該各サンプルの前記模様の部分を切出して作成した複数の原画像、及び該各原画像をその中心に対してそれぞれ一定の角度だけ回転して得た複数の回転画像から前記サンプル画像を構成するサンプル画像作成部と、
前記サンプル画像毎に、該サンプル画像の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間のサンプル濃度値ベクトルを求める前記サンプル画像の輝度分布作成部と、
前記各サンプル濃度値ベクトルを、前記M次元空間より低次元のL次元空間の固有ベクトルの線形結合で近似する際の前記固有ベクトル及び線形結合係数から構成されるサンプル特徴ベクトルをそれぞれ求め、前記輝度分布特徴を定量的に示す画像データベースを構築して保存する学習データ記憶部とを備えていることを特徴とする袋入り製品の位置検出装置。
【請求項11】
請求項10記載の袋入り製品の位置検出装置において、前記認識手段は、前記カメラ画像内で、該カメラ画像中で予め決めた部位を起点とし、前記サンプル画像と同一のフレームサイズからなる走査単位を1画素ずつ順次走査しながら切出して前記分割画像を作成する分割画像作成部と、
前記分割画像毎に、該分割画像の輝度分布を構成するM個の画素の濃度値を画素番号順に並べて得られるM次元空間の濃度値ベクトルをそれぞれ求める前記分割画像の輝度分布作成部と、
前記各濃度値ベクトルを、前記固有ベクトルの線形結合で近似した際にそれぞれ決まる線形結合係数から構成される特徴ベクトルを求め、該特徴ベクトルと前記各サンプル特徴ベクトルとの間の距離を算出し、前記分割画像の輝度分布と前記輝度分布特徴との類似を定量的に示す類似度とする類似度計算部と、
前記各サンプル特徴ベクトル毎に求めた前記類似度を、前記分割画像を切出した分割画像番号順に並べて類似度分布を作成し、該各類似度分布の類似度極小となる前記分割画像番号から構成される画像番号群内のひとつの該分割画像番号の前記分割画像を前記類似輝度分割画像とし、該類似輝度分割画像の該分割画像番号から該類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置を求める認識部と、
前記類似輝度分割画像の前記カメラ画像内での位置に基づいて、前記袋入り製品の前記ケース内での製品位置を算出する検出部とを備えていることを特徴とする袋入り製品の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−198269(P2011−198269A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66635(P2010−66635)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】