複合プラスチック物品
本発明は、複合プラスチック物品、およびそれらを作製する方法を提供する。物品は、流体導管と、オプションで、流体導管の中の流量を調節する空気圧導管とを有する流体またはマイクロ流体デバイスであり得る。物品は、反応基を含む、またはその上に反応基が導入されている層でコーティングされる、第1の基板を備える。例えば、基板は、その上にヒドロキシル基が導入される酸化物またはシロキサンでコーティングされたプラスチックであり得る。これらの物品は、それらの表面上に反応基、例えば、シラノール基を有するように処理されたポリシロキサンを含む、他の物品と共有結合される。ある物品は、他の断片に結合されていない、それらの表面上の特定の場所を有する。例えば、コーティングは、結合する前にこれらの場所から除去することができる。そのような場所は、マイクロ流体デバイスの弁の中の弁座等の種々のデバイスの機能的要素として有用であり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本願は、2009年12月1日出願の米国仮出願第61/265,579号および2010年8月27日出願の米国仮出願第61/337,635号ならびに2010年11月18日出願の米国出願第12/949,623号の出願日の利益を主張し、上記出願の全ては、それら全体が本明細書に参照により援用される。
【0002】
(連邦政府支援の研究に関する声明)
なし
【背景技術】
【0003】
Mathiesら(特許文献1、2004年10月21日)は、マイクロ流体構造物を説明しており、このマイクロ流体構造物は、空気圧チャネルを含む第1の表面と、流体チャネルを含む第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に位置するエラストマー膜とを備え、その結果、空気圧チャネルへの圧力または減圧の適用が、エラストマー膜を撓ませて流体チャネルの中の流体の流量を変調する。この特許は、組立前にUVオゾンクリーナの中でウエハおよびPDMS膜を清掃することによって、ガラスウエハをPDMSの層に結合する方法をさらに説明している。そのようなデバイスの流体導管の中の流体流量は、導管の中のダイヤフラム弁によって調節され得、このダイアフラム弁は弁座を含み、この弁座の上にエラストマー膜が位置する。弁座と接触しているときに、エラストマー膜は、流体導管を横断する流体流量を遮断する。弁座と接触していないときに、弁を横断する流体連絡を可能にする通路が存在する。
【0004】
Mathiesら(上記参照)は、デバイスがガラスプラスチックまたはポリマーの表面を有し得ることを示している。非特許文献1は、超音波溶接または接着剤を使用してともに保持されるプラスチックデバイスを説明している。非特許文献2は、抗静摩擦パターンを使用して、PDMSを基板に選択的に結合することについて論議している。Jovanovichら(特許文献2、2008年9月25日)は、プラスチック構成要素でできているマイクロ流体チップを説明している。この文書は、とりわけ、プラスチック部品を結合するために転写テープまたは他の接着剤を使用することに言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0209354号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/115626号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Andersonら、Nucleic Acids Res.2000年6月15日、28(12):E60
【非特許文献2】Samel、「Novel Microfluidic Devices Based On A Thermally Responsive PDMS Composite」、School of Electrical Engineering、Royal Institute of Technology,Stockholm、Sweden、2007年9月7日
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
一局面において、本発明は、デバイスを作製する方法を提供し、この方法は、a)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えたプラスチック基板を提供することと、b)表面シラノール基を含む表面を備えた弾性基板を提供することと、c)プラスチック基板の表面上のヒドロキシル基を、弾性基板の表面上のシラノール基と反応させることであって、プラスチック基板は、弾性基板に共有結合される、こととを含む。一実施形態において、この方法は、d)ヒドロキシル基を含む表面を備えた第3の基板を提供することと、e)第3の基板の表面上のヒドロキシル基を、弾性基板の第2の表面上のシラノール基と反応させることであって、第3の基板は、弾性基板の第2の表面に共有結合される、こととをさらに含む。別の実施形態において、第3の基板は、ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされたプラスチックを含む。別の実施形態において、第3の基板は、ガラスまたは半導体材料(例えば、シリコンまたはゲルマニウム)を含む。別の実施形態において、反応させることは、プラスチック基板の表面を弾性基板の表面に接触させることと、接触された表面に周囲よりも高い圧力および/または温度を適用することとを含む。別の実施形態において、プラスチック基板は、炭素ベースのポリマーを含む。別の実施形態において、弾性基板は、ポリシロキサンを含む。別の実施形態において、ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。別の実施形態において、材料は、酸化物を含む。別の実施形態において、酸化物は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウムまたは酸化チタン)または半導体酸化物(例えば、酸化ケイ素または酸化ゲルマニウム)である。別の実施形態において、材料は、層、またはチタンの層が重ねられたクロムを含む。別の実施形態において、材料は、シロキサンを含む。別の実施形態において、プラスチック基板の表面上のヒドロキシル基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに材料を暴露させることによって導入される。別の実施形態において、プラスチック基板を提供することは、プラスチック基板を提供することと、材料でプラスチック基板の表面をコーティングすることとを含み、この材料の上にヒドロキシル基を導入することができる。別の実施形態において、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、分子蒸着(MVP)、熱分解反応を用いた化学堆積、プラズマ支援化学蒸着(PECVD)、自己集合単分子層の堆積(SAM)、物理蒸着(PVD)、液体の適用(例えば、噴射、浸漬、表面上に液体を流すこと、またはナイフエッジコーティング)、フォトレジストパターン化マスクの使用、活性化・非活性化方法、および印刷から成る群より選択される方法によって提供される。別の実施形態において、弾性基板の表面上のシラノール基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに材料を暴露させることによって導入される。別の実施形態において、第3の基板の表面上のヒドロキシル基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに材料を暴露させることによって導入される。別の実施形態において、プラスチック基板は、中断部を備えた少なくとも1つの導管を備え、選択された場所のうちの少なくとも1つは、中断部の表面を備える。別の実施形態において、導管は、プラスチック基板の表面上のインプレッションに含まれる。別の実施形態において、プラスチック基板または第3の基板の一方は、弁座として機能する中断部を備える複数の流体導管を備えた流体層として構成され、弁座は、弾性層に結合されない。別の実施形態において、プラスチック基板または第3の基板の他方は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成された少なくとも1つの作動導管を備える、作動層として構成される。別の実施形態において、この方法は、弾性層と結合する前に、コーティング材料を除去すること、または、弁座上のヒドロキシル基を中和することを含む。別の実施形態において、コーティングは、アブレーションまたはリフトオフ過程によって除去される。別の実施形態において、弁座は、流体層表面に対してくぼんでおり、くぼみは、弁座と弾性層との間の結合を阻止する。別の実施形態において、第3の基板は、ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた炭素ベースのプラスチックを含む。別の実施形態において、流体層は、流体導管と連絡するポートを備え、作動層は、作動導管と連絡するポートを備える。別の実施形態において、流体層は、複数の層を備え、外層は、内層の孔を通して弾性層と連絡する流体導管を備える。別の実施形態において、この方法は、エンボス加工、エッチング、アブレーション、または射出成形によって、プラスチック基板の表面に少なくとも1つのくぼみを導入することを含む。別の実施形態において、プラスチック基板の表面上の選択された場所は、弾性基板に結合されない。
【0008】
別の局面において、本発明は、プラスチック基板を備えるデバイスを提供し、このデバイスは、(1)材料でコーティングされた表面と、(2)表面を備える弾性基板とを備えたプラスチック基板とを備え、表面は、シロキシ結合を介してともに結合される。一実施形態において、デバイスはさらに、シロキシ結合を介して弾性基板の反対面に結合される表面を備えた第3の基板を備える。別の実施形態において、プラスチック基板をコーティングする材料は、酸化物またはシロキサンを含み、弾性層は、ポリシロキサンを含む。別の実施形態において、表面は、少なくとも1つの選択された場所でともに結合されない。
【0009】
別の局面において、本発明は、マイクロ流体デバイスを提供し、このマイクロ流体デバイスは、流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを備え、流体工学層および作動層は、シロキシ結合を介して弾性層に共有結合され、流体工学層は、弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を備え、作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成された少なくとも1つの作動導管を備え、流体工学層および作動層の一方または両方は、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える。一実施形態において、シロキシ結合は、シロキサン結合を含む。別の実施形態において、シロキシ結合は、金属を介して結合される。別の実施形態において、流体工学層および作動層のそれぞれは、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える。別の実施形態において、流体工学層は、材料でコーティングされたプラスチックを備える。別の実施形態において、作動層は、材料でコーティングされたプラスチック層を備える。別の実施形態において、ポリマーは、ポリカーボネート、オレフィン共重合体(COC)(例えば、Zeonor)、シクロオレフィン共重合体(COP)、アクリル、液晶ポリマー、ポリメチルメトキシアクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリチオールである。別の実施形態において、材料は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウムまたは酸化チタン)または半導体酸化物(例えば、酸化ケイ素または酸化ゲルマニウム)から選択される酸化物を含む。別の実施形態において、材料は、ポリシロキサンを含む。別の実施形態において、材料は、弁座において弾性層に暴露されない。別の実施形態において、弁座は、流体工学層の表面からくぼんでいる。別の実施形態において、材料は、弁座に対向する作動導管の表面において弾性層に暴露されない。別の実施形態において、弾性層は、PDMSを含む。別の実施形態において、流体工学層は、流体導管と連絡するポートを備える。別の実施形態において、作動層は、作動導管と連絡するポートを備える。別の実施形態において、デバイスは、モノリシックデバイスである。別の実施形態において、弁は通常開いている。
【0010】
別の局面において、本発明は、システムを提供し、このシステムは、a)流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされた弾性層性層とを備える、マイクロ流体デバイスであって、流体工学層および作動層は、シロキシ結合を通して弾性層に共有結合され、流体工学層は、弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を備え、作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成される、少なくとも1つの作動導管を備え、流体工学層および作動層の一方または両方は、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える、マイクロ流体デバイスと、b)作動導管と連絡している正圧および/または負圧供給源と、c)プログラムされた順序で、弁を開く、および/または閉じる論理を備える、制御ユニットとを備える提供する。一実施形態において、論理は、弁を操作して、デバイスの中の1つの場所から別の場所へ液体を送達するように構成される。別の実施形態において、システムはさらに、流体導管と連絡する流体層のポートに液体を送達するように構成されるロボットを備える。
【0011】
別の局面において、本発明は方法を提供し、この方法は、a)流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされる弾性層とを備える、マイクロ流体デバイスを提供することであって、流体工学層および作動層は、シロキシ結合を通して弾性層に共有結合され、流体工学層は、弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を備え、作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成される、少なくとも1つの作動導管を備え、流体工学層および作動層の一方または両方は、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える、ことと、b)流体導管の中で液体を提供することと、c)作動導管を通して適用される正圧または負圧を使用して、ダイヤフラム弁を作動させることと、d)ダイヤフラム弁を介して液体を送達することとを含む。
【0012】
別の局面において、本発明は方法を提供し、この方法は、a)流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされる弾性層とを備えるマイクロ流体デバイスを提供することであって、流体工学層および作動層は、シロキシ結合を介して弾性層に共有結合され、流体工学層は、弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を備え、作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成される、少なくとも1つの作動導管を備え、流体工学層および作動層の一方または両方は、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備え、流体導管は、順番に、(1)入口ダイヤフラム弁と、(2)その中へダイヤフラムを偏向させることができる、作動層の中の弁本体を備え、オプションで、弁座を備える、ポンプダイヤフラム弁と、(3)出口ダイヤフラム弁とを備え、3つの弁は、ダイヤフラムポンプを形成する、ことと、b)流体導管の中に液体を提供することと、c)弁を通して液体を送達するように、作動導管を通して適用される正圧または負圧を使用してダイヤフラム弁を作動させることを含む。
【0013】
別の局面において、本発明は、デバイスを作製する方法を提供し、この方法は、a)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えた第1のプラスチック基板を提供することと、b)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えた第2のプラスチック基板を提供することと、c)プラスチック基板の表面上のヒドロキシル基を、第2のプラスチック基板と反応させることであって、プラスチック基板は、エーテル結合を介して共有結合される、こととを含む。一実施形態において、材料のうちの少なくとも1つは、シロキサンを含み、少なくとも1つの材料上のヒドロキシル基は、シラノール基である。別の実施形態において、方法は、d)ヒドロキシル基を含む表面を備えた第3の基板を提供することと、e)第3の基板の表面上のヒドロキシル基を、弾性基板の第2の表面上のシラノール基と反応させることであって、第3の基板は、弾性基板の第2の表面と共有結合される、こととをさらに含む。別の実施形態において、第3の基板は、ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされたプラスチック基板を備える。
【0014】
別の局面において、本発明は、材料でコーティングされた表面を備える第1のプラスチック層と、材料でコーティングされた表面を備える第2のプラスチック層とを備える物品を提供し、第1の層および第2の層は、材料中にエーテル結合を介してともに共有結合される。一実施形態において、材料は、酸化物またはシロキサンを含む。別の実施形態において、エーテル結合は、シロキシ結合に含まれる。別の実施形態において、シロキシ結合は、シロキサン結合である。別の実施形態において、シロキシ結合は、化学式Si−O−Xを有し、Xは、ケイ素ではない。別の実施形態において、少なくとも1つの層の上の材料は、酸化物またはポリシロキサンである。
【0015】
別の局面において、本発明は、デバイスを作製する方法を提供し、この方法は、a)接着剤でコーティングされた表面を備えたプラスチック層を提供することであって、表面は、少なくとも1つの選択された場所で接着剤を備えない、ことと、b)表面を備えた弾性層を提供することと、c)接着剤でプラスチック層を弾性層に結合することであって、プラスチック層は、少なくとも1つの選択された場所で弾性層に結合されない、こととを含む。
【0016】
別の局面において、本発明は、少なくとも1つのダイヤフラム弁を備えるデバイスを提供し、少なくとも1つのダイヤフラム弁は、流体チャネルの中の流体流量を調節するように構成され、流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを備える組み合わせに含まれ、各ダイヤフラム弁は、a)弾性層に含まれるダイヤフラムと、b)流体工学層に含まれ、正圧がダイヤフラムに対して及ぼされない限り、ダイヤフラムがダイヤフラム弁を閉じないように弾性層に接触する、流体工学層の表面からくぼんでいる、弁座と、c)流体工学層に含まれ、流体チャネルと流体連絡している、弁入口および弁出口とを備え、ダイヤフラムは、作動層の中の作動導管を通してダイヤフラムに伝達される適用される正圧または負圧によって作動させられるように構成される。一実施形態において、流体チャネルは、マイクロ流体チャネルである。別の実施形態において、弁はさらに、d)その中にダイヤフラムが撓むように構成され、それにより、弁チャンバを画定する少なくとも部分的に作動層に含まれる弁リリーフを備える。別の実施形態において、弁座は、実質的に球体の一部として構成される。別の実施形態において、弁座は、流体チャネルの深さよりも小さい深さまで、流体工学層の表面に対してくぼんでいる。
【0017】
別の局面において、本発明は、弁を閉じるようにダイヤフラムに対して正圧を適用し、弁を開くように負圧を適用することによって、前述のデバイスを操作することを含む、方法を提供する。
【0018】
(参照による援用)
本明細書内に記述される全ての刊行物および特許出願は、各個別の刊行物または特許出願が参照により援用されるように具体的および個別に示されている場合と同じ程度で参照により本明細書に援用される。
【0019】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲における特殊性を用いて説明される。本発明の特徴および利点のより良好な理解は、本発明の原則が利用される例証的な実施形態を説明する以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明のダイヤフラム弁の一実施形態の二つ折り図を示す。流体工学層101は、弁座103によって中断される流体チャネル102を備える、流体導管を備える。この実施形態において、流体チャネルは、流体工学弁本体104に開口する。流体工学層の一面は、組み立てられたデバイスの中の弾性層105に接触する。この面は、弾性層を密封することができる密封表面106と、弁座を含む流体導管といった機能構成要素の露出表面とを備える。作動層111は、作動チャネル112と、弁座の反対側に配置される作動弁本体とを備える、作動導管を備える。作動層はまた、機能的要素の密封表面および露出表面を有する、組み立てられたデバイスの中の弾性層に接触する面も備える。本発明のある実施形態において、流体および作動層は、組立中にその上にヒドロキシル基が導入される材料でコーティングされた表面106および/または114を備える。この材料は、その上で液体または作動物が流れ、弾性層と接触してもよい、機能表面の場所で除去することができる。例えば、材料は、弁座(103)および/または弁チャンバ(113)から除去することができる。この除去は、接触表面に結合または粘着することなく、弁が機能することができるように、弾性層と機能表面との間の結合を阻止する。
【図2】図2は、3次元で組み立てられたダイヤフラム弁を示す。
【図3A】図3Aおよび3Bは、閉鎖(図3A)構成および開放(図3B)構成にある「3層」ダイヤフラム弁の断面図を示す。
【図3B】図3Aおよび3Bは、閉鎖(図3A)構成および開放(図3B)構成にある「3層」ダイヤフラム弁の断面図を示す。
【図4A】図4Aおよび4Bは、分解図および閉鎖図で、流体工学層が複数の副層を備えるデバイスの一部分を示す。最上副層121は、「エッチ」層と呼ばれ、最下副層122は、「ビア」層と呼ばれる。この例では、エッチ層は、閉鎖流体チャネルを形成するようにビア層に対面する表面上に溝(例えば、123および128)を備える。ビア層は、弾性層に対面する表面上に溝(例えば、124)を備える。弾性層がビア層に結合されるか、またはビア層に押し付けられると、チャネルを覆い、漏出に対してそれらを密封する。ビア層はまた、この副層を横断し、一方の側面では弾性層および他方の側面ではエッチ層の上に開口する、ビア(例えば、穴または孔)(例えば、126および127)も含む。このようにして、エッチ層の中のチャネルの中を通行する流体は、弾性層に対面するビア層の中の導管に流入することができる。
【図4B】図4Aおよび4Bは、分解図および閉鎖図で、流体工学層が複数の副層を備えるデバイスの一部分を示す。最上副層121は、「エッチ」層と呼ばれ、最下副層122は、「ビア」層と呼ばれる。この例では、エッチ層は、閉鎖流体チャネルを形成するようにビア層に対面する表面上に溝(例えば、123および128)を備える。ビア層は、弾性層に対面する表面上に溝(例えば、124)を備える。弾性層がビア層に結合されるか、またはビア層に押し付けられると、チャネルを覆い、漏出に対してそれらを密封する。ビア層はまた、この副層を横断し、一方の側面では弾性層および他方の側面ではエッチ層の上に開口する、ビア(例えば、穴または孔)(例えば、126および127)も含む。このようにして、エッチ層の中のチャネルの中を通行する流体は、弾性層に対面するビア層の中の導管に流入することができる。
【図5】図5は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図6】図6は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図7】図7は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図8】図8は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図9】図9は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図10】図10は、卵型のチャンバを示す。
【図11】図11は、ダイヤフラムポンプを形成する3つのダイヤフラム弁を直列に備える、デバイスの3次元図を示す。
【図12】図12は、1つのチャネル1210が常に開いており、別のチャネル1220との連絡が弁によって調節されるフロースルー(flow−through)弁を示す。フロースルーチャネル1210は、フロースルー弁1230が位置付けられる接合点で、交差チャネル1220と交差する。
【図13】図13は、閉じられると、3つ全てのチャネルの間の流体流動を防止または低減し、開いていると、3つのチャネルの間の流体流動を可能にする弁によって接続される、3つのチャネルを示す。
【図14】図14は、共通ポート70によって接続された3つのマイクロ流体回路用の流体構造を示す。
【図15】図15は、合計24個のマイクロ流体回路を備えるデバイス上に組み立てられた、図14の回路の集合を示す。
【図16A】図16Aおよび16Bは、分解構成および閉鎖構成で、複数の流体回路および回路を中断する弁座を備えた流体工学層と、取り外し可能材料(例えば、フォトレジスト)の堆積を可能にするように弁座を覆う開口部を備えたシャドーマスクとを示す。例えば、穴1629は、弁129と整合され、穴1631は、弁131と整合される。
【図16B】図16Aおよび16Bは、分解構成および閉鎖構成で、複数の流体回路および回路を中断する弁座を備えた流体工学層と、取り外し可能材料(例えば、フォトレジスト)の堆積を可能にするように弁座を覆う開口部を備えたシャドーマスクとを示す。例えば、穴1629は、弁129と整合され、穴1631は、弁131と整合される。
【図17A】図17Aおよび17Bは、弁129の弁座のみに整合する穴1729を備えたシャドーマスクを示す。
【図17B】図17Aおよび17Bは、弁129の弁座のみに整合する穴1729を備えたシャドーマスクを示す。
【図18】図18は、チャネルと弁座とを境界付ける隆起領域を備えた流体工学層を備えるデバイスを示す。図18Aおよび18Bは、流体工学層の残りの表面より上側に持ち上げられる隆起領域または隆起を示す図18の断面図である。これは、チャネルおよび弁座の最上部が流体層の接触表面と同一平面にある、他の実施形態と対照的である。図18Cは、弾性層105に接触する流体工学層101の面を示す、二つ折り図である。
【図19】図19は、マイクロ流体チップの流体層および空気圧層の中のチャネルおよび孔のレイアウトを示す。
【図20A】図20Aおよび20Bは、複合物品を作製する方法のフローチャートを提示する。パネルAでは、表面を備えたプラスチック物品(a)が、その上にヒドロキシル基が導入される(c)材料でコーティングされる(b)。コーティングは、酸化物またはシロキサンとなり得、その場合、シラノールが生成される。物品(d)は、その上にシラノール基が表面上で導入されている、基板と噛合される(e)。基板は、例えば、ポリシロキサンであり得る。シラノールおよびヒドロキシルは、プラスチック物品を基板と共有結合して(f)、複合物品を形成するように反応させられる。パネルBでは、シラノール基が、複合物品に対向する基板の表面上に導入される(g)。その上にヒドロキシル基が導入されているコーティングを有する、表面を備える第2のプラスチック物品(h)が、基板と噛合され、物品をともに結合する共有シロキシ結合を形成するように反応させられる(i)。
【図20B】図20Aおよび20Bは、複合物品を作製する方法のフローチャートを提示する。パネルAでは、表面を備えたプラスチック物品(a)が、その上にヒドロキシル基が導入される(c)材料でコーティングされる(b)。コーティングは、酸化物またはシロキサンとなり得、その場合、シラノールが生成される。物品(d)は、その上にシラノール基が表面上で導入されている、基板と噛合される(e)。基板は、例えば、ポリシロキサンであり得る。シラノールおよびヒドロキシルは、プラスチック物品を基板と共有結合して(f)、複合物品を形成するように反応させられる。パネルBでは、シラノール基が、複合物品に対向する基板の表面上に導入される(g)。その上にヒドロキシル基が導入されているコーティングを有する、表面を備える第2のプラスチック物品(h)が、基板と噛合され、物品をともに結合する共有シロキシ結合を形成するように反応させられる(i)。
【図21】図21は、コーティングされた基板(a)が、選択された場所からコーティングを除去する(b)ように処理される本発明の実施形態のフローチャートを提示する。反応基が、コーティング、この場合はヒドロキシルを依然として備える、表面上に導入される(c)。基板(d)は、その表面上に反応基、この場合はシラノール基を含む、第2の基板と噛合される(e)。反応後、2つの基板は、反応基が除去された場所を除いて、シロキシ結合を通して結合される(f)。
【図22】図22は、弾性層に結合されていないくぼんだ弁座を伴う複合物品を作製する方法のフローチャートを提示する。くぼんだ弁座を伴う表面を備えるプラスチック物品(a)は、その上にヒドロキシル基が導入される(c)材料でコーティングされる(b)。コーティングは、酸化物またはシロキサンであり得、その場合、シラノールが生成される。物品(d)は、その上にシラノール基が表面上で導入されている基板と噛合される(e)。基板は、例えば、ポリシロキサンであり得る。シラノールおよびヒドロキシルは、プラスチック物品を基板と共有結合して(f)、複合物品を形成するように反応させられる。しかしながら、弾性層に対してくぼんでいる弁座の一部分は、弾性層と近接しており、かつ弾性層と結合することができるヒドロキシル基を有しない。
【図23】図23は、本発明の常時開放ダイヤフラム弁の実施形態の二つ折り図を示す。流体工学層101は、弁座103によって中断される流体チャネル102を備える、流体導管を備える。流体チャネルは、弁座として機能するくぼみドーム115に開口する。正圧または負圧が弾性層105に及ぼされないとき、弾性層は、弁座から離れて位置し、弁に進入するチャネル間の流体経路が流体接触し、流体経路を作製する、開放弁を可能にする。正圧が弾性層105に及ぼされると、弾性層が弁座に向かって変形し、弁を閉じる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
(1.はじめに)
シロキサンに基づいていないプラスチック(例えば、炭素ベースのポリマー)は、部分的に、そのようなプラスチックが化学結合に従事するように利用可能な表面反応基を持たないので、他の材料に容易に結合しない。本発明は、その上に反応基を導入することができる材料を備える表面をプラスチックに提供することによって、プラスチックを、他のプラスチックを含む種々の材料に結合するための方法を提供する。これらの基は、同様にそれらの表面上に反応基を有する材料との化学結合に従事するために利用可能であり、それにより、物品をともに結合する。具体的には、本発明は、プラスチック物品がPDMS等のポリシロキサンに結合される、複合プラスチック物品を検討する。さらに、プラスチックは、プラスチック上の特定の場所が他の物品に結合される、および/またはプラスチック上の特定の場所が他の物品に結合されないように、選択された場所で他の物品に結合することができる。ある実施形態において、流体およびマイクロ流体デバイスは、これらの複合物品でできている。
【0022】
ある実施形態において、プラスチックの表面上の反応基は、ヒドロキシル基である。酸化物およびシロキサン等の材料は、プラスチック物品の表面上に導入することができ、ヒドロキシル基は、これらの材料上に導入することができる。ヒドロキシル基は、他の官能基と、具体的には、シラノール基と反応し得る。
【0023】
1つの方法では、プラスチック物品には、酸化物またはシロキサン等のヒドロキシル生成材料を備えた表面が提供される。この材料は、コーティングまたは層としてプラスチックに適用され得る。ヒドロキシル基は、例えば、UVオゾンまたは酸素プラズマに暴露させることによって、プラスチック物品の表面上に導入される。表面ヒドロキシル等の表面反応基を有するか、または反応基が導入され得る表面に材料を同様に有する、第2の物品もまた提供される。それぞれ表面反応基を伴う2つの物品は、接触して配置される。反応基は、物品をともに共有結合して反応することを可能にされる。
【0024】
ヒドロキシル基間の反応は、極端な反応条件を必要とし得る。しかしながら、シラノール基のヒドロキシル部分は、周囲条件あるいはわずかに上昇した温度または圧力下で、他のヒドロキシルと容易に反応する。したがって、プラスチック材料、それが結合される物品、または両方は、シラノール表面基を有することができる。プラスチック材料には、その上にシラノールを導入することができる、シロキサンコーティングを提供することができる。いくつかのシロキサンベースのコーティング、例えば、材料上に耐アブレーションまたはUV遮断コーティングを生成するために使用されるコーティングを適用することができる。代替として、プラスチックが結合される材料は、シロキサンを含み、シラノール基をその上に導入することができる。その両方がヒドロキシル基を有し、そのうちの少なくとも1つがシラノール基を有する、2つの物品が接触させられると、シラノールは、プラスチック表面上のヒドロキシル基と反応して、シロキシル(Si−O−X)またはシロキサン(Si−O−Si)結合を生成する。ある実施形態において、Xは、ケイ素以外の原子、例えば、金属(例えば、アルミニウム、チタン)、炭素、または非ケイ素半導体(例えば、ゲルマニウム)であり得る。縮合反応が、周囲温度および圧力下で起こることができる。それはまた、例えば、少なくとも50℃まで温度を上昇させることによって、および/または圧力を接触表面に適用することによって、加速することもできる。
【0025】
本発明のあるマイクロ流体デバイス等の、ある実施形態において、他の基板に結合または粘着しない、プラスチック基板の表面上の選択された場所または領域を有することが有用である。これは、基板のうちの1つ、例えば、プラスチック基板上の所定の場所で、材料/表面ヒドロキシル基を排除する、覆う、形成を防止する、または別様に中和することによって、達成することができる。例えば、選択された場所における材料は、切除する、剥がす、または別の材料で覆うことができる。また、ヒドロキシル基は、形成後に中和することができる。表面材料上で活性化されるヒドロキシル基は、短い半減期を有することができる。したがって、ある実施形態において、表面上のヒドロキシル基の活性化の前に中和場所が作製される。ヒドロキシル基を含まないプラスチック基板の領域は、表面ヒドロキシル基を含む第2の基板への結合に抵抗する。それはまた、他の表面と接触しないように、または結合が発生するために十分長い間そうしないように、基板の表面をくぼますことによって達成することもできる。それはまた、物品が第2の物品に結合する選択された場所にコーティングを適用することによって達成することもできる。そのような未結合領域は、プラスチック層と第2の層との間の粘着が所望されない、弁等の機能的要素の配置のための有用な場所である。
【0026】
この方法は、2つの材料のうちの少なくとも1つが平滑表面を有する、2つの材料をともに結合するために特に有用である。平滑表面は、剛性または可撓性であり得る。基板は、ほぼ平面的、例えば、平坦な表面を有することができる。概して、より平坦な表面が、曲面よりも完全に結合する。層の厚さを減少させることにより、接触および結合を向上させる。例えば、ともに結合された材料の少なくとも一方または両方は、例えば、約0.5mmから1mmの間、例えば、厚さ約0.6mmである、層の形態を成すことができる。他の実施形態において、表面のうちの一方が湾曲している場合、他方の基板は、それに一致するように構成される材料であり得る。ある実施形態において、基板は、チャネル等のへこみを備えることが理解される。これらの局面は概して、他の基板と結合するように意図されておらず、好ましくは平滑であるのは、接触表面である。
【0027】
代替として、基板の表面には、アミン基、メタクリレート基、ジスルフィド基、ジシラザン基、スルフヒドリル基、アクリレート基、カルボキシレート基、活性化エステル基、活性離脱基、イソニトリル基、イソシアネート基、ホスホラミダイト基、ナイトレン基、エポキシド基、ヒドロシリル基、エステル基、アレーン基、アジド基、ニトリル基、ビニル基、またはアルキルホスホネート基等の反応基を提供することができる。これらの反応基は、反応基が反応する基を含む表面を有する基板に結合することができる。
【0028】
(2.物品およびデバイス)
(2.1 複合プラスチック物品)
本発明は、その上にヒドロキシル基を導入することができる材料でコーティングされ、表面上に提供されるヒドロキシル基を反応させることによって形成されるエーテル結合を通して第2の基板と結合されたプラスチックを備える、複合プラスチック物品を提供する。ある実施形態において、第2の基板は、シラン、例えば、シロキサンを含み、共有結合は、シロキシ結合またはシロキサン結合である。物品は、ともに結合される、同じまたは異なる種類のプラスチックの層またはシート、例えば、積層を備えることができる。これらの物品は、この様式でともに結合された、少なくとも2つ、または少なくとも3つのプラスチック層を備えることができる。プラスチック層の厚さは、最終的な設計の問題である。しかしながら、プラスチックのシートを備える物品は、約1ミルから約1000ミル、または約10ミルから約200ミル、または約0.25mmから約5mm、例えば約1mmから3mmの厚さで、プラスチックを有することができる。物品は、例えば、平坦、湾曲、凹凸等の任意の所望の形状を成すことができる。シラン含有材料は概して、結合が発生するために十分な表面積を提供するよう、プラスチック部品の形状に一致する形状を有する。ともに結合されるプラスチック基板および第2の基板が異なる膨張係数を有するとき、温度の変化が、1つの基板の寸法を別の基板よりも変化させることができる。これは、基板のうちの1つの亀裂または破壊を含む、変形をもたらし得る。それらの間に弾性を備える本発明の物品は、そのような変形に抵抗する。弾性層は、異なる接触表面上で異なって変形を吸収することができる。
【0029】
(2.2 弾性層に結合されたプラスチック層を備える流体デバイス)
ダイヤフラム弁は、流体導管の間の流体経路を開く、または閉じるためにダイヤフラムを使用する。ダイヤフラム弁は、典型的には、弁に進入し、弁から退出する流体導管と連絡する弁入口および弁出口を有する、弁本体を備える。本体はまた、本体内に配置され、弁座に対して位置し、弁を完全または部分的に閉じるように構成される、ダイヤフラムも有する。弁本体はまた、弁リリーフを備え、この弁リーフの中へダイヤフラムが弁座から離れて撓むことができる。ダイヤフラムが弁座から離れて撓むと、弁チャンバと呼ばれる空間が作製される。弁が開いているとき、それを通して弁入口が弁出口と流体連絡している、連続流体経路が形成される。
【0030】
本発明の流体デバイスは、流体が流れる、少なくとも1つまたは複数の流体導管を備える。流量は、例えば、圧力、空気圧、または水力によって作動可能な内蔵ダイヤフラム弁および/またはポンプによって制御することができる。デバイスは、典型的には、弾性層に結合された流体工学層を備え、弾性層は、流体工学層の中の流体経路の中断部(例えば、弁座)を横断する流体の流量を調節する、撓むことが可能なダイヤフラムとして機能する。弾性層は、PDMS等のポリシロキサンを含むことができる。他の実施形態において、デバイスは、流体工学層、作動層、およびその間にサンドイッチされる弾性層といった、3つの層を備える。作動層は、選択された場所で、例えば、ダイヤフラム弁で弾性層を作動または偏向させるように構成される、作動導管を備えることができ、それにより、流体導管の中の流体の流量を制御する。3つの層は、ともにユニットに結合される。代替として、流体工学層または作動層は、ユニットを形成するように弾性層に結合することができ、ユニットは、他の層と噛合する、および/または他の層から除去することができる。噛合は、例えば、圧力を適用および解放することによって、例えば、締め付けることによって達成することができる。
【0031】
流体工学層および作動層の少なくとも一方または両方は、本明細書で説明される方法によって弾性層に共有結合された表面材料を伴うプラスチックを含む。層のうちの一方が、弾性層に結合された表面材料を伴うプラスチックを含まない場合、弾性層の第2の表面と結合するために利用可能な表面ヒドロキシル基を含む、別の材料を含むことができる。例えば、他方の層は、ガラス、例えば、ホウケイ酸ガラスを含むことができる。ガラスはまた、材料に接触し、オプションで、周囲以上の温度および/圧力を適用することによって、シラノール基を含む材料に共有結合することもできる。
【0032】
流体導管および作動導管は、しわ、くぼみ、カップ、開放チャネル、溝、トレンチ、へこみ、インプレッションなどとして、流体または作動層の表面に形成され得る。導管または通路は、それらの機能に適切な任意の形状を成すことができる。これは、例えば、半円形、円形、長方形、楕円形、または多角形の断面を有するチャネルを含む。それらが接続されるチャネルよりも大きい断面を有する、弁、貯留部、およびチャンバを作ることができる。チャンバは、円形または他の形状を成す壁を有することができる。導管が接続通路よりも深くなる、またはそれより小さくなる領域を含むことができる。導管は、それらを通って流れる流体に接触する表面または壁を備える。流体層の中の流体は、液体または気体であり得る。作動層の場合、流体は作動物と呼ばれる。それは、気体または液体であり得る。
【0033】
弾性層に接触する表面(例えば、平滑な表面または平坦な表面)の一部分は、接触表面と呼ばれる。弾性層に対面する、凹凸のある、押し下げられた、またはエッチングされた表面の部分は、露出表面と呼ばれる。導管、チャネル、弁またはポンプ本体、弁座、貯留部などを含む、その上を流体が流れる表面は、機能表面と呼ばれる。流体デバイスの構築において、接触表面の全体または一部への弾性層の圧力または結合は、露出導管を覆い、流体または作動導管内で液体を含有するように機能することができる。これらの表面は、密封表面と呼ばれる。
【0034】
流体工学層自体は、1つよりも多くの副層で構成され得、ある副層の中のチャネルは、他の副層の中のビアを通って接続し、他のチャネルと、または弾性層と連絡する。複数の副層構成では、流体経路は、交差の点で流体的に接続されることなく、相互を越えることができる。ある実施形態において、流体層は、プラスチック等に接続された弾性材料に接続されたプラスチックの交互層を備えることができる。そのような構成では、ビアは、プラスチックおよび弾性材料の両方を通って横断し、他の層と接続することができる。
【0035】
ダイヤフラム弁およびポンプは、3つの層の中の機能的要素で構成される。ダイヤフラム弁は、本体と、弁座(オプションで)と、ダイヤフラムと、流体が弁に流入し、弁から流出することを可能にするように構成されるポートとを備える。本体は、弾性層に対面する表面上に開口する、作動層の中の空洞またはチャンバから成る(「作動弁本体」)。オプションで、弁本体はまた、弾性層に対面する表面上に開口し、作動層チャンバの反対側に配置される、流体工学層の中のチャンバを含む(「流体工学弁本体」)。作動層本体は、それを通して作動物によって正圧または負圧を伝達することができる、通路、例えば、チャネルと連絡する。作動物が気体、例えば、空気であるとき、作動層は、空気圧層として機能する。他の実施形態において、作動物は、水、油、Fluorinert等の液体である。
【0036】
流体導管は、中断部、すなわち、導管の中の流体流量を部分的または完全に遮断する材料を含むことができる。例えば、流体工学層は、弾性層に対面する弁座を備えることができる。弁座は、直接、または流体工学層の中の本体チャンバ内に配置されることによって、流体チャネルを中断する。弾性層は、ダイヤフラムを形成する。弁は、ダイヤフラムが弁座の上に自然に位置し、したがって、弁を閉鎖し、弁を開くよう弁座から離れて変形させられるように構成されてもよい。弁はまた、ダイヤフラムが弁座の上に自然に位置せず、弁を閉じるよう弁座に向かって変形させられるように構成されてもよい(いわゆる「常時開放弁」)。この場合、作動導管から弾性層への正圧の適用が、弁座に弾性層を押し付け、弁を閉じる。ダイヤフラムが弁座から外れているとき、それを通って流体が流れてもよい、流体チャンバまたは通路を作製する。チャネルは、弁ポートを通して弁チャンバと流体連絡している。
【0037】
常時開放弁の一実施形態において、そうでなければ常時開放弁用の弁座を形成する中断部の表面は、弾性層に結合された流体層の表面に対してくぼんでいる。この場合、弁座は、弾性層に対して隆起させられる。弾性層への正圧は、弁座に弾性層を押し付け、弁を閉じる。弁座は、アブレーション技法を使用して、約25ミクロンから約75ミクロン、例えば、約50ミクロンだけ、残りの表面に対してくぼませることができる。
【0038】
常時開放弁の別の実施形態において、弁座は、流体導管の中断部として構成されない。むしろ、それは、例えば、作動チャンバを通して、弾性層に圧力を適用することなく、弾性層がくぼみ表面に対抗するように位置しないように、通常は弾性層に接触する流体工学層の表面に対してくぼみの形態を成す。この場合、弁は、弁座と分離している流体工学層の中の離散弁チャンバを持たなくてもよい。弁座は、それに対して弾性層が一致することができる、流体層の表面に対して凹状である、湾曲形状を成すことができる。例えば、図22および23を参照されたい。例えば、弁形状は、球体の一部、または逆くぼみ、あるいはドームであり得る。そのような構成は、例えば、弁が閉じられている間に液体を含有する弁チャンバを含まないことによって、弁の無効な容積を減少させる。この弁はまた、それに対して弾性層が容易に一致して弁を閉じることができる、表面も備える。また、くぼみ表面が、構築中にそれに対して置かれる、弾性層と結合しないため、この構成は、弁が表面ヒドロキシル基を含まないようにパターン化された表面を作製する必要性を排除する。別の実施形態において、凹面は、凸面、例えば、その内側に外向くぼみを備え、例えば、サドル形状を形成する、逆くぼみを有する小区分を、その内側に備えることができる。凸状領域は、隆起して、圧力下の弾性層に接触し、弁のためにより良好な密封を作製する。
【0039】
常時開放弁のある実施形態において、凹面は、それが接続されるチャネルほどくぼんでいない。例えば、凹面の最深部は、チャネルの深さの約3分の1から2分の1であり得る(例えば、凹面の30ミクロンから50ミクロン対チャネルの100ミクロン)。例えば、弾性層は、約250ミクロンであってもよく、チャネルは、深さ約100ミクロン、弁座は、深さ約30ミクロンであってもよい。弾性層が過剰な変形を伴わずに凹面に一致することができるため、弾性層が薄くなるほど、凹面が深くなり得る。ある実施形態において、チャネルは、部分的に凹面の中へ進入し、例えば、丸天井を形成することができる。ある実施形態において、チャネルおよび凹面は、マイクロマシニングによって形成される。作動層は、弁を開くために、その中にダイヤフラムが偏向する、弁リリーフを備えることができる。
【0040】
別の実施形態において、ダイヤフラム弁は、作動層および流体工学層の中にチャンバを備えるが、中断部を伴わずに、本体から形成される。この実施形態において、作動チャンバの中へダイヤフラムを変形させることにより、流体を受け入れるための容積を作製し、流体工学チャンバの中へダイヤフラムを変形させることにより、チャンバから液体を送達する。この構成では、ダイヤフラムの位置が、流体導管の有効断面を変え、したがって、弁を通る流速を調節することができる。そのような構成では、弁は、導管の中の流体の流動を完全に遮断しなくてもよい。この種類の弁は、流体貯留部およびポンプチャンバとして有用であり、「ポンプ弁」と呼ばれ得る。
【0041】
弁の中へのポートは、種々の構成をとり得る。ある実施形態において、流体チャネルは、弾性層に対面する流体工学層の表面上に含まれる。弁は、中断部がチャネルを中断する場所に形成することができる。この場合、ポートは、中断部に接触し、ダイヤフラムが偏向させられたときに弁チャンバに開口する、チャネルの一部分を備える。別の実施形態において、流体チャネルは、流体工学層内を通行する。この場合、ポートは、流体工学層の中に作られた2つのビアが、2つのチャネルと作動弁本体の真向かいの弾性層との間で連絡する場所で形成される。(2つの隣接ビアは、弁座として機能することができる中断部によって分離される)。別の実施形態において、流体チャネルは、流体層の1つの表面から、弾性層に対面する反対の表面へと横断する、孔として形成される。中断部によって分離される、一対のそのような孔は、弁として機能することができる。弾性層が(それが結合されていない)中断部から離れて変形させられると、孔が連絡することを可能にし、流体が弁を通って一方の孔の中で通行し、他方の孔から出て行くための通路が形成される。
【0042】
弁およびポンプの機能において、ダイヤフラムは、弁座または接触表面上で移動し、またはそこから離れ、かつ流体工学または作動層の中の本体チャンバの表面に向かって、またはそこから離れて移動する。弾性層が弁座、接触表面、またはデバイスの任意の露出機能表面に粘着する場合、デバイスは、適正に機能しない場合がある。デバイスは、弾性層と、流体または作動導管、弁座、弁本体、またはチャンバおよびチャネル等のデバイスの機能的要素との間の粘着を減少させるように構成される。具体的には、デバイスの動作中に弾性層に接触しやすい流体工学および/または作動層の表面は、粘着または結合を阻止するように対処することができる。これは、流体工学層の中の弁座および作動層の中の弁本体を含む。
【0043】
流体流量を制御するダイヤフラム弁を伴うマイクロ流体デバイスは、米国特許第7,445,926号(Mathiesら)、同第7,745,207号(Jovanovichら)、同第7,766,033号(Mathiesら)および同第7,799,553号(Mathiesら)、米国特許出願公開第2007/0248958号(Jovanovichら)、同第2010/0165784号(Jovanovichら)、PCT公報WO2008/115626号(Jovanovichら)、同WO2009/108260号(Vangboら)および同WO2009/015296号(Mathiesら)、PCT出願PCT/US2010/40490号(Sternら、2010年6月29日出願)、米国出願第12/795,515号(Jovanovichら、2010年6月7日出願)、ならびに、米国仮出願第61/330,154号(Eberhartら、2010年4月30日)および同第61/375,791号(Vangbo、2010年8月20日)において説明されている。
【0044】
弁、ルータ、およびミキサ等のMOVe(マイクロ流体オンチップ弁)要素は、デバイスの流体工学層、弾性層、および作動層の中のサブ要素から形成される。MOVe弁は、マイクロ流体チップの流体工学、弾性、および作動層の中の相互作用要素から形成されるダイヤフラム弁である(図1)。ダイヤフラム弁は、マイクロ流体チャネルおよび作動チャネルが相互を越え、弾性層上に開口する場所で形成される。この場所で、流体工学チャネルの空間の中へ、または空気圧チャネルの空間の中への弾性層の偏向が、流体工学チャネルの空間を変え、流体工学チャネルの中の流体の流量を調節する。交差点における流体工学および作動チャネルは、異なる形状を成すことができる。例えば、流体工学チャネルは、弾性層用の弁座として機能する中断部を備えることができる。流体工学チャネルは、弁の中のチャンバ状空間に開口することができる。作動チャネルは、作動層の他の部分の中のチャネルよりも大きい空間および/または断面、例えば、円形チャンバを成すことができる。
【0045】
図2は、ダイヤフラム弁の3次元図を示す。図3Aおよび3Bは、断面でダイヤフラム弁を示す。この場合、流体工学層は、流体工学層の表面に形成され、弾性層によって覆われるチャネルを備える。図11は、直列の3つのダイヤフラム弁から形成された、ダイヤフラムポンプの3次元図を示す。図4Aおよび4Bは、ビアを通して弾性層上に開口する内部チャネルを伴う流体工学層を描写する。図12は、開口チャネルの中への流体流量がダイヤフラム弁によって調節される、常に開いている1つのチャネルと、交差するチャネルとを備える、フロースルー弁を示す。図13は、3つのチャネル用の3つの入口ポートを有する弁を示す。弁を開くことにより、流体が、いずれか2つのチャネルから第3のチャネルに、またはいずれか1つのチャネルから他の2つに流入することを可能にする。
【0046】
図4Aおよび4Bを参照すると、流体工学層101、弾性層105、および作動層111が、ともにサンドイッチされる。マイクロ流体チャネル128は、ビア126を通して弾性層上に開口する。弁座129は、弾性層と接触し、閉鎖弁をもたらす。作動層が活性化されると、弾性層105は、空気圧チャンバ130の中へ変形させられる。これは、弁を開き、それを通って液体が流れることができる経路を作製する。マイクロ流体チャネルに対する空気圧チャンバの中の圧力は、弾性層の位置を制御する。弾性層は、圧力がマイクロ流体チャネルに対して空気圧チャンバの中でより低いときに、空気圧チャンバに向かって変形させることができる。代替として、弾性層は、圧力が空気圧チャンバに対してマイクロ流体チャネルの中でより低いときに、マイクロ流体チャネルに向かって変形させることができる。圧力がマイクロ流体チャネルおよび空気圧チャンバの中で等しい、またはほぼ等しいときに、弁は閉鎖位置にあり得る。この構成は、弁が閉じられたときに、弁座と弾性層との間の完全接触を可能にすることができる。代替として、圧力がマイクロ流体チャネルおよび空気圧チャンバの中で等しい、またはほぼ等しいときに、弁は開放位置にあり得る。空気圧作動型弁は、減圧下または正圧下にある入口ラインを使用して作動させることができる。減圧は、ほぼ家庭用掃除機の圧力、または家庭用掃除機よりも低い圧力、例えば、少なくとも15インチHgまたは少なくとも20インチHgであり得る。正圧は、約0、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35psi、35psi以上、または最大で約150psiであり得る。圧力供給源から圧力または減圧を連絡するための流体は、液体または気体等の任意の流体であり得る。気体は、空気、窒素、または酸素であり得る。液体は、有機液体または水性液体、例えば、水、ペルフルオロ化液体(例えば、Fluorinert)、セバシン酸ジオクチル(DOS)油、モノプレックスDOS油、シリコン油、液圧油または自動車変速機流体を含む、任意の空気圧または水圧流体であり得る。
【0047】
ダイヤフラムマイクロ弁、マイクロポンプ、およびマイクロルータは、弁を開閉するポリジメチルシロキサン(PDMS)等の変形可能な膜層を伴う流体層と、膜を変形させ、弁を作動させる作動(例えば、空気圧または水圧)層とを組み合わせることができる。流体層は、複数の構成を有することができる。いくつかの実施形態において、開放チャネル、しわ、または溝を、基板層のうちの1つの表面にエッチングすることができる。他の実施形態において、チャネルは、例えば、トンネル、管、またはビアの形態で、層の内部にあり得る。最上基板層にエッチングされた流体チャネルは、不連続的で、最上基板層の重なりにおいて対向する不連続的チャネルの橋渡しをする、第2の基板層の中のビアまたはポートにつながることができ、ビアは、弁座の役割を果たす。弾性層(例えば、PDMS)は、弁座に対して位置し、通常は2つのビアの間の流体経路を閉じる。PDMS膜の反対側で、層にエッチングすることによって形成される空気圧変位チャンバは、大規模な、またはより小さい減圧または圧力供給源に接続される。
【0048】
小型オフチップソレノイドを制御することによって、可撓性膜の単純変形により、弁を開く、または閉じるように、減圧または圧力(大気圧の約2分の1)をPDMS膜に適用することができ、例えば、膜への減圧の適用が、弁座から離して膜を撓ませることにより、弁を開く。
【0049】
本発明のダイヤフラム弁は、液体の所定の体積を変位し得る。ダイヤフラム弁は、弁が閉鎖または開放位置に移動させられたときに液体の所定の体積を変位し得る。例えば、弁が開かれたときにダイヤフラム弁内に含有される流体は、弁が閉じられたときにダイヤフラム弁から外へ移動させられる。流体は、マイクロチャネル、チャンバ、または他の構造の中へ移動させることができる。ダイヤフラム弁は、約1000、750、500、400、300、200、100、50、25、20、15、10、5、4、3、2、1、0.5、0.25、0.1、0.05、または0.01μLである、最大でほぼそれである、それよりも少ない、またはそれよりも大きい体積を変位させることができる。
【0050】
フロースルー弁およびインライン弁の変形例は、2つ、3つ、4つ以上、またはそれより多くのチャネルの交差点に位置する弁を含むことができる。弁座または他の構造は、流体が他のチャネルのうちの1つ以上の中で流れることを可能にしながら、弁の閉鎖がチャネルのうちの1つ以上の中の流動を防止または低減することができるように、設計することができる。例えば、5つのチャネルのうちの3つに沿って流動を遮断することができる一方で、流動は、5つのチャネルのうちの2つを通って継続することができる。フロースルー弁は、米国出願第12/026,510号およびWO2008/115626号(Jovanovichら)で説明されているように、T字形弁と呼ぶこともできる。
【0051】
3つが直列で配置されたとき、ダイヤフラム弁は、正変位ポンプとして機能するダイヤフラムポンプとして機能し得る(図11参照)。ダイヤフラムポンプは、自給式であり、3つの弁(4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20、あるいはそれより多くの弁を含むが、それらに限定されない)の動作を協調させることによって作ることができ、いずれか一方の方向へ流動を作製することができる。種々の流速は、作動シーケンスのタイミング、ダイヤフラムサイズ、チャネル幅および他のオンチップ寸法を変えることによって達成することができる。ルータは、これらの弁およびポンプから同様に形成することができる。ルータは、それぞれ中心ダイヤフラム弁に接続する別個のチャネル上の3つ以上の弁を使用して、形成することができる。ルータはまた、共通チャンバ、例えば、ポンプチャンバの中で接触するように、それぞれダイヤフラム弁を備える3つのチャネルを構成することによって、作製することもできる。バス構造も作製することができる。
【0052】
マイクロ流体チャネルに沿って配置されたダイヤフラム弁の実施例が図5に示されており、混合チャネル(110)に流体的に接続される、第1のチャネル(107)および第2のチャネル(108)を示す。第1のインラインダイヤフラム弁(507)は、第1のチャネルに沿って配置される。第2のインラインダイヤフラム弁(505)は、第2のチャネルに沿って配置される。2つのインライン弁(511および513)は、混合チャネルに沿って位置付けられる。ポンプは、流体経路に沿って直線的に位置付けられる3つのダイヤフラム弁によって形成することができる。例えば、弁507、511、および513は、第1のポンプを形成することができ、弁505、511、および513は、第2のポンプを形成することができる。中心に位置する弁である、弁511は、ポンプ弁であり得る。ポンプ弁は、本明細書で説明されるように、所望のストロークまたは変位容積を有することができる。第1のポンプは、第1のチャネルから混合チャネルへ、または逆もまた同様に、液体を移動させることができる。第2のポンプは、第2のチャネルから混合チャネルへ、または逆もまた同様に、液体を移動させることができる。第1のポンプは、第2のチャネルの中の流体流動が、第2のチャネル上に、または第2のチャネルに接続される他のチャネル上に位置付けられる弁505または別の弁の閉鎖によって遮断されている間に、操作することができる。
【0053】
図6は、混合チャネル110に接続される、第1のチャネル107および第2のチャネル108を示す。第1のチャネルを通って流れる流量は、インライン弁507によって制御することができ、第2のチャネルを通って流れる流量は、フロースルー弁505によって制御することができる。図5に示されるのと同様に、混合チャネルは、2つのインライン弁(511および513)を有することができる。
【0054】
図7は、3つのチャネルに沿って位置付けられたマイクロ流体弁の代替的な配列を示す。第1のチャネル107は、2つのインライン弁701および703を有することができ、第2のチャネル108は、2つのインライン弁705および707を有することができる。第1および第2のチャネルは、混合チャネル110に接続することができる。接合弁709は、第1のチャネル、第2のチャネル、および混合チャネルの間の交差点に位置付けることができる。接合弁の閉鎖は、第1のチャネル、第2のチャネル、および混合チャネルの中の流体流動を防止または低減することができる。接合弁709は、三角形であるか、または図13に示されるように成形される、弁座を有することができる。
【0055】
図8は、混合チャネル807に接続される、第1のチャネル801、第2のチャネル805、および第3のチャネル803を示す。弁およびチャネルは、図7に示された弁およびチャネルと同様に操作することができる。図8を参照すると、流体は、弁805および803の閉鎖によって第2のチャネルおよび第3のチャネルの中の流体の流動を防止または低減しながら、第1のチャネルから混合チャネルに移動させることができる。
【0056】
図9は、混合チャネル905に接続された、第1のチャネル903、第2のチャネル902、第3のチャネル904を示す。接合ダイヤフラム弁を、第1のチャネル、第2のチャネル、第3のチャネル、および混合チャネルの間の交差点に位置付けることができる。弁およびチャネルは、図8に示された弁およびチャネルと同様に操作することができる。
【0057】
図10に示されるように、混合チャネルは、可変断面積のチャンバを有することができる。チャンバの形状は、卵形201、球形、または長方形であり得る。本発明のいくつかの実施形態において、チャンバは、チャンバを通過する流体の混合を向上させるように不規則に成形することができる。弾性層は、チャンバの1つの壁を形成することができる。弾性層は、チャンバの容積が可変となるように変形させることができる。弾性層は、チャンバ内の混合が向上させられるような割合で変形させることができる。
【0058】
流体を送達するためにダイヤフラム弁を使用することにより、マイクロチャネルの中へ液体のボーラスを移動させることができる。本発明のいくつかの実施形態において、第1の流体のボーラスが、マイクロチャネルの中の第2の流体のボーラスに対して層状になるように、2つの異なる流体をマイクロチャネルの中へ送達することができる。第1の流体および第2の流体は、異なる流体であり得る。第1の流体および第2の流体は、異なる構成要素を備えることができる。流体は、試薬溶液およびサンプル溶液であり得る。試薬溶液は、磁性または常磁性ビーズを含有する溶液であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書のマイクロ流体チップデバイスは、サンプルまたは試薬(例えば、酵素、標識ヌクレオチド、親和性試薬)を含有することが可能な1つ以上の貯留部を含む。貯留部は、好ましくは、本明細書で開示されるマイクロチャネルまたは弁のうちの1つ以上に流体連結される。
【0060】
マイクロチップおよび毛細管上で流体を混合する能力が開示される。弁の適正な組み合わせを作動させることによって、チャネルまたは貯留部のうちの1つからの液体を中心ダイヤフラム弁に引き込み、流体回路の中の液体を追い出すように、異なるチャネルの中へ放出することができる。液体は、無制限に、被分析物、生体サンプル、化学および生化学試薬、緩衝剤、結合部分、ビーズ、磁性粒子、検出部分、および検定あるいは生化学または化学反応の実施で使用される他の材料を含むことができる。他の実施形態において、送達されている流体は、空気等の気体である。
【0061】
ダイヤフラム弁、ポンプ、およびルータは、耐久性があり、低費用で容易に製造され、密集したアレイで動作することができ、無効容積が小さい。ダイヤフラム弁、ポンプ、およびルータのアレイは、NanoBioProcessorマイクロチップ等のマイクロチップ上で容易に製造される。一実施形態において、マイクロチップ上の全てのダイヤフラム弁、ポンプ、およびルータは、PDMSのシート等の単一またはモノリシック膜を使用して、単純な製造過程で同時に作製される。チップ上に5つのダイヤフラムポンプを作製するには、500個を作製するのと同じ費用がかかる。この技術は、マイクロチップ上で複雑なマイクロおよびナノ流体回路を作製し、回路を使用することによって化学および生化学過程を統合する能力を提供する。したがって、本明細書の開示は、チップ上で単純および複雑なマイクロ、ナノ、およびピコ流体回路を作製する方法および能力を提供し、チップ上への事実上あらゆる反応または検定の実装を可能にする。一般に、この技術は、溶液イオン強度および表面汚染の変動に少なくとも実質的に無反応となり得て、適用された電場を必要としない。
【0062】
チップは、典型的には、複数の流体工学回路を備え、各回路は、外部入口および出口ポートと連絡しているマイクロ流体導管を備える。回路は、典型的には、チャネルと、弁、ルータ、ポンプ(例えば、直列の3つの独立して動作可能な弁)、およびチャンバ等の機能的要素とを備える。マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路の例示的な概略図が、図14に示されている。これは、共通ポート70を共有する3つの回路を示す。マイクロ流体回路は、サンプル入力領域または貯留部80から流体を移動させ、弁20においてそれらを試薬または他の材料と混合し、それらをマイクロ流体チップデバイス30、40、および60内の他の領域に送達することができる。2つまたは3つ以上の流体の流れを、適切な数の弁、ポンプ、およびチャネルの構成によって接合することができる。流れは、サンプル、試薬、緩衝剤、および他の構成要素を含有することができる。マイクロチャネル60、61、62、およびポート70は、幅および高さが可変であり得る。一実施形態において、サンプルおよび試薬は、インキュベーションおよび/または処理のために、マイクロチップの拡張シェルフ領域中の蛇行性チャネル60に送達され、次いで、ゲート弁50を通してマイクロ流体工学デバイス90の中の出力領域に戻される。処理されたサンプルはまた、領域40中の磁性ビーズ等の被分析物または他の構成要素の除去のための領域に移動させることもできる。個々の流体の流れは、10、20、30、40、および50等のダイヤフラム弁または他の弁を含む、3つ以上の弁を備えるポンプによって移動させることができる。弁は、変形可能な構造の作動、温度、圧力の変化で作製することができる。ダイヤフラムおよび他のマイクロ弁を使用して、2つ以上の流れを組み合わせることができる。一実施形態において、ダイヤフラム弁は、自給式であり、コンピュータ制御下にある。それらは、いずれか一方の方向に駆動されてもよく、マイクロ流体チップでバイス内の2つの領域にサンプルを移動させるように、またはアーカイブサンプルを形成するように、2つの一緒に接合されたポンプを単純に運転することによって、サンプルを2つの流れに分割するために、同じ回路を使用することができる。
【0063】
ある実施形態において、本発明のマイクロ流体デバイスは、モノリシックデバイスである。モノリシックデバイスでは、複数の回路が単一の基板上に提供される。ダイヤフラム弁を備えるデバイスの場合、モノリシックデバイスは、複数の弁用のダイヤフラムとして機能する、単一の弾性層を備える。ある実施形態において、1つの作動チャネルが、モノリシックデバイス上の複数の弁を操作することができる。これは、多くの流体回路の並行活性化を可能にする。モノリシックデバイスは、マイクロ流体回路の密集したアレイを有することができる。これらの回路は、部分的に、各回路の中のチャネルが、独立して作製され、ともに組み立てられるよりもむしろ、単一の基板上で同時に製造されるため、高い信頼性で機能する。
【0064】
ある実施形態において、チップは、複数の並列回路を備える。そのような実施形態は、図15に示されており、図15は、24個のサンプルに対して構成されたマイクロ流体工学チップを図示し、マイクロ流体チップデバイスの拡張シェルフ部分上の蛇行性パターンで配列された24個の流体回路のアレイを有する。
【0065】
これらのチップの流体回路および作動回路は、密集している。回路は、開放または閉鎖導管を備える。ある実施形態において、デバイスは、1000mm2あたり少なくとも1個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも2個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも5個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも10個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも20個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも50個の流体回路を備えることができる。代替として、デバイスは、10mm2の面積あたり少なくとも1mmのチャネル長さ、10mm2の面積あたり少なくとも5mmのチャネル長さ、10mm2の面積あたり少なくとも10mmのチャネル長さ、または10mm2の面積あたり少なくとも20mmのチャネル長さを備えることができる。代替として、デバイスは、1cm2あたり少なくとも1個の弁、1cm2あたり少なくとも4個の弁、または1cm2あたり少なくとも10個の弁という密度で、弁(座弁または非座弁のいずれか一方)を備えることができる。代替として、デバイスは、縁間がわずか5mm離れている、わずか2mm離れている、わずか1mm離れている、わずか500ミクロン離れている、またはわずか250ミクロン離れている、チャネル等の特徴を備えることができる。
【0066】
他の実施形態において、デバイスは、1000mm2あたり多くても1個の流体回路、1000mm2あたり多くても2個の流体回路、1000mm2あたり多くても5個の流体回路、1000mm2あたり多くても10個の流体回路、1000mm2あたり多くても20個の流体回路、1000mm2あたり多くても50個の流体回路を備えることができる。代替として、デバイスは、10mm2の面積あたり多くても1mmの導管長さ、10mm2の面積あたり多くても5mmの導管長さ、10mm2の面積あたり多くても10mmの導管長さ、または10mm2の面積あたり多くても20mmの導管長さを備えることができる。代替として、デバイスは、1cm2あたり多くても1個の弁、1cm2あたり多くても4個の弁、または1cm2あたり多くても10個の弁という密度で、弁(座弁または非座弁のいずれか一方)を備えることができる。代替として、デバイスは、縁間が5mm以上離れている、2mm以上離れている、1mm以上離れている、500ミクロン以上離れている、または100ミクロン以上離れている、チャネル等の特徴を備えることができる。
【0067】
(3.反応基を伴う表面を有する基板に結合された表面コーティングを有するプラスチック基板を備えたデバイスを作製する方法)
本発明のデバイスは、反応基を有する材料でコーティングされた、またはその上に別の材料と共有結合するために反応基を導入することができる、表面を有する第1のプラスチック基板(例えば、物品または層)を備える。材料は、ヒドロキシル生成材料、つまり、例えば、エネルギーおよび酸素ガスを含む環境への暴露によって、その上にヒドロキシル基を導入することができる材料であり得る。そのような物品は、表面材料と反対面との間で、エーテル結合、例えば、シロキシ(Si−O−X)結合を通して、表面ヒドロキシル基、例えば、シラノール基を有する、第2の基板に共有結合することができる。両面がシラノール基を含む場合には、結合はシロキサン(Si−O−Si)結合であり得る。ある実施形態において、プラスチック物品の表面は、プラスチック物品が第2の基板に結合されない、少なくとも1つまたは複数の選択された場所(例えば、パターン)を備え、例えば、プラスチック物品の表面上の材料は、表面を、第2の基板の表面への結合に従事する反応基を含まない状態にするように、処理されている。ある実施形態において、物品は、第2の基板の第2の表面に結合された第3の基板を備える。第3の基板は、材料を含むプラスチックを含むことができ、または、それを通して第3の基板が第2の基板に化学的に結合される、ヒドロキシル基等の表面反応基を有する別の材料であり得る。
【0068】
本発明のデバイスの露出または機能表面の全体または一部は、例えば、それを第2の基板と反応しない状態にすることによって、非接着性の選択された場所であり得る。ある実施形態において、流体デバイスの動作中に弾性層と接触しそうな任意の表面が、非接着性の選択された場所であり得る。例えば、弁座の表面の一部または全体が、非接着性の選択された場所である。このように、弁は、製造または使用中に固く閉められる可能性が低く、したがって、より信頼性のある弁およびデバイスを生成する。また、弁またはポンプ本体の中の任意の他の露出表面の全体または一部もまた、弁本体を形成する作動層または流体工学層の中のチャンバの全体または一部を含む、第2の基板と反応しないようにさせることができる。具体的には、作動弁本体の表面は、非接着性の選択された場所であり得る。表面に露出される流体または作動チャネルの全体または一部もまた、非接着性の選択された場所となるように構成することができる。露出流体または作動表面の複数部分は、第2の基板と反応しないように構成することができ、弁の領域への第2の基板、例えば、エラストマーの選択的結合を可能にする。
【0069】
本発明のデバイスは、非常に低い故障率を有する。チップは、少なくとも1つの流体回路が機能できないときに、故障したと見なされる。故障は、例えば、層間の結合が失敗したときのサンドイッチの剥離に、または弾性層に暴露される層表面上の弁座、弁チャンバ、またはチャネルへの粘着等の、流体工学または弾性層の機能的部分への弾性層の粘着に起因し得る。
【0070】
本発明のデバイスは、より高い信頼性を果たすことができる。本発明によるチップのバッチは、20%未満、10%未満、1%未満、または0.1%未満の故障率を有する。本発明の弁は、1,000回の作動、10,000回の作動、または100,000回の作動にわたって、1%未満の故障率を有することができる。バッチは、少なくとも10個、少なくとも50個、または少なくとも100個のデバイスであり得る。
【0071】
(3.1.プラスチック物品)
本発明の物品およびデバイスは、反応基を含む、その上に反応基を導入することができる材料のコーティングを備える、プラスチック基板を備える、プラスチック層または物品を備える。コーティングは最初に、プラスチック基板の結合表面の全体または一部を覆うように適用することができる。ある実施形態において、材料は、選択された場所を作製するように、除去され、またはそうでなければ第2の物品の表面との結合に利用不可能な状態にされる。
【0072】
(3.1.1.プラスチック基板)
デバイスのプラスチック層、例えば、流体工学および/または作動層は、任意のプラスチックでできていてもよい。これは、無制限に、ポリカーボネート、オレフィン共重合体、シクロオレフィンポリマー(「COP」)(例えば、Zeonor)、シクロオレフィン共重合体(「COC」)(例えば、TopazTM)、アクリル、液晶ポリマー、ポリメチルメトキシアクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリチオールを含む。本発明のある流体デバイスでは、プラスチック基板は、約0.1mm以上、例えば、約0.25mmから約5mmの厚さを有する、平坦および/または剛性物体であり得る。可撓性ダイヤフラム層を備える、本発明のあるマイクロ流体デバイスでは、流体工学および作動層は、弾性層よりも剛性が高い。
【0073】
いくつかの実施形態において、第2の層と結合されるプラスチック基板の表面は、機能的要素のパターンを備える。特徴は、いくつかの方法で、プラスチック基板の噛合表面上に導入することができる。熱エンボス加工、レーザ切断、および射出成形が有用である。プラスチック基板は、熱エンボス技法を使用して、プラスチックから作ることができる。構造は、プラスチックの表面にエンボス加工される。次いで、この表面は、流体層が複数の積層の中にチャネルおよびビアを備える構成で、弾性層と、または別のプラスチック層と噛合されてもよい。射出成形は、プラスチック基板を作製するために使用することができる別のアプローチである。射出成形は、COC、COP、およびポリカーボネート等のプラスチックに特に有用である。ソフトリソグラフィもまた、機能的要素、例えば、導管および中断部を作製するために利用されてもよい。そのような構造は、閉鎖導管を作製するように、別の基板に結合することができる。さらに別のアプローチは、意図された構造のネガティブレプリカを有するマスタ上でのUV線または温度硬化性エポキシの使用を通した、障害物を作製するためのエポキシ鋳造技法の使用を伴う。レーザまたは他の種類のマイクロマシニングアプローチ(アブレーション)もまた、流量チャンバを作製するために利用されてもよい。CO2レーザを使用したレーザ切断が、アクリルからデバイスを作製する費用効果的な方法である。デバイスの製造に使用されてもよい他の好適なポリマーは、ポリカーボネート、ポリエチレン、およびポリ(メチルメタクリレート)である。加えて、鋼鉄、青銅、ニッケル、およびニッケルコバルト合金のような金属もまた、例えば、従来の金属機械加工によって、本発明のデバイスのマスタを製造するために使用されてもよい。3次元製造技法(例えば、ステレオリソグラフィ)が、1つの部品でデバイスを製造するために採用されてもよい。製造のための他の方法が、当該分野で公知である。
【0074】
マイクロ流体デバイスは、典型的には、所与の過程または検定のためのサンプルおよび試薬を操作するように設計および構成することができる、複数のマイクロチャネルおよびビアを備える。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、同じ幅および深さを有する。他の実施形態において、マイクロチャネルは、異なる幅および深さを有する。別の実施形態において、マイクロチャネルは、サンプルから分離された最大の被分析物(最大の細胞等)と等しい、またはそれよりも大きい幅を有する。例えば、いくつかの実施形態において、マイクロ流体工学チップデバイスの中のマイクロチャネルは、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、または300ミクロンよりも大きい幅を有することができる。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、最大で100、90、80、70、60、50、40、30、または20ミクロン以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、微細構造の中のマイクロチャネルは、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150ミクロンよりも大きい深さを有することができる。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、最大で100、90、80、70、60、50、40、30、または20ミクロン以下の深さを有する。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、相互に平行である側壁を有する。いくつかの他の実施形態において、マイクロチャネルは、相互に平行である最上部および底部を有する。いくつかの他の実施形態において、マイクロチャネルは、異なる断面を伴う領域を備える。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、楔形チーズの形状の断面を有し、楔形の尖った端は、下流に方向付けられる。
【0075】
(3.1.2.コーティング)
プラスチックは、利用可能な反応基を含む材料でコーティングすることができる。具体的には、反応基は、シラノール基等のヒドロキシル基であり得る。その上にヒドロキシルを導入することができる材料は、無制限に、シロキサンおよび酸化物を含む。
【0076】
(3.1.2.1.シロキサンコーティング)
プラスチックは、シロキサン、例えば、ポリシロキサンでコーティングすることができる。そのような材料は市販されている。シランコーティングは、例えば、米国特許第4,113,665号(Lawら)、同第4,847,120号(Gent)、同第5,275,645号(Ternoirら)、および同第6,432,191号(Schutt)において説明されている。光学用途で使用される耐引っ掻き性コーティングが有用である。市販の材料は、例えば、3M 906 Abrasion Resistant Coating(3M(登録商標))、Duravue(TSP,Inc.、Batavia OH)、PSX(Coatings West、Brea、CA)、およびGR−653LP(Techneglas、Perrysberg、OH)を含む。Momentive Performance Materialsからのシリコーンが有用なコーティングである。SHC 5020は、アクリルに特に有用であり、PHC 587は、ポリカーボネートおよびCOCに特に有用である。これらのコーティングは、浸漬、噴射等の周知の方法によってプラスチックに適用することができる。
【0077】
そのような材料でコーティングされたプラスチックは市販されている。それらは、例えば、3M 906を使用するAcrylite AR(登録商標)(Evonik Industries)、およびTEC−2000(ACP Noxtat,Santa Ana,CA)を含む。
【0078】
本発明で有用な別のシランベースのコーティングは、US2009/0269504号(Liao、2009年10月29日)において説明されている。方法は、(a)UV硬化性基と、熱硬化性シラン基と、UV硬化性基および熱硬化性シラン基を接続する少なくとも2つの炭素原子を有する、架橋基とを処理する、二重硬化性オルガノシランを提供するステップと、(b)シラン基を対応するシラノール基に変換してオルガノシラノールを提供するように、水および溶媒の存在下で二重硬化性オルガノシランの酸加水分解を実行するステップと、(c)オルガノシラノールをシリカと共有結合するようにシリカ粒子の表面上に存在する−OH基を用いて、ステップ(b)のシラノール基のわずか一部分を凝縮するステップと、(d)流体コーティング混合物を提供するように、光開始剤および熱効果触媒を、凝縮するステップ(c)に起因するオルガノシラノールと組み合わせるステップと、(e)流体コーティング混合物を基板に適用するステップと、(f)コーティング混合物を乾燥させるステップと、(g)オルガノシラノールのUV線硬化性基を架橋して、ハードコートを損傷することなく、コーティングされた基板の形成を可能にするのに十分な可撓性を有するハードコートを提供するように、乾燥したコーティング混合物にUV線放射を受けさせるステップと、(h)完全に硬化したハードコートを提供するように、凝縮していないシラノール基の凝縮を引き起こすのに十分な温度まで、ステップのコーティングされた基板を加熱するステップとを伴う。
【0079】
本発明で有用なPDMSを基板に結合する方法は、WO2010/042784号(Leeら、2010年4月15日)において説明されている。方法は、少なくとも2つのシラン誘導体基を含む分子を、第1の表面、例えば、プラスチックと関連付けるステップと、第2の表面、例えば、PDMS等の可撓性エラストマーと接触するステップとを伴う。
【0080】
(3.1.2.2.酸化物コーティング)
プラスチック基板は、その過程が、第2の物品と結合するための酸化物表面を備えるプラスチック層を提供するステップと適合する限り、プラスチックの任意の機能表面の作製前または後に酸化物でコーティングすることができる。酸化物は、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化チタンであり得る。別の実施形態において、プラスチックの層は、金属箔、例えば、アルミニウム箔の層に接着させることができる。そのような金属箔の表面は、空気への暴露時に酸化し、金属酸化物のコーティングを作製する。この過程は、加熱および/または増加した濃度の酸素への暴露によって加速することができる。金属箔は、約10nmから約0.1mmの厚さを有することができる。
【0081】
金属酸化物は、表面への金属酸化物の接着を促進する高融点金属等の別の材料ですでにコーティングされている表面に適用することができる。高融点金属は、例えば、クロム、チタン、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、およびレニウムを含む。クロム層は、金属が接着することを可能にするほど厚い、例えば、25オングストロームから1000オングストロームの間、例えば、約25オングストロームから520オングストロームの間、例えば、約30オングストローム、または約100オングストロームであれば十分である。金属酸化物層はまた、ちょうど表面を覆うように薄く、結合のために十分なヒドロキシルを提供することができる。したがって、金属酸化物層は、25オングストロームから1000オングストロームの間、例えば、約30オングストローム、または約100オングストロームであり得る。金属は、スパッタリング、蒸発、またはコーティングされる表面を露出するシャドーマスクを使用した原子層堆積によって、あるいは他の技法によって適用することができる。スパッタリングは、例えば、RfまたはDCエネルギーを使用することができる。よって、例えば、クロムの30オングストローム層を選択的表面に適用することができ、その後に酸化チタンの30オングストローム層が続く。
【0082】
酸化物は、半導体酸化物の層、例えば、基板上に堆積された酸化ケイ素または酸化ゲルマニウムを含むことができる。代替として、基板は、シリコンまたはゲルマニウム材料(例えば、シリコンウエハまたはゲルマニウムウエハ)となり得、その表面は、半導体酸化物を含む。
【0083】
酸化物は、当該分野で公知である、いくつかの異なる方法によって、プラスチック基板上に堆積させることができる。これらのうちのある方法は、選択された場所が酸化物でコーティングされない、パターン化基板を生成するステップに特に適合する。プラスチックの表面は、例えば、酸素プラズマで清掃すること、または当該分野で公知のプラスチック表面を清掃する任意の方法によって、調製することができる。
【0084】
(3.1.3.コーティング方法)
以下は、コーティング方法の非包括的リストである。
【0085】
(3.1.3.1.化学蒸着(CVD))
プラスチック基板上に材料を提供する1つの方法は、例えば、露出区画の中への蒸気の拡散によって、化学蒸着(CVD)システムを用いて材料を堆積させることである。
【0086】
(3.1.3.2.プラズマ支援化学蒸着(PECVD))
プラズマ支援化学蒸着過程(PECVD)によって材料を堆積させることができる。チャンバは、数ミリトールまで排気される。コーティング材料の気体がリアクタに導入される。気体は、DC、AC、または無線周波数等の放電に暴露される。これは、気体をプラズマに電離し、露出表面上で再形成する。
【0087】
(3.1.3.3.物理蒸着(PVD)(スパッタリングまたは蒸発))
別の方法では、コーティング材料およびコーティングされる表面をチャンバの中に配置することができる。コーティング材料、例えば、酸化性金属、例えば、チタンが、アルゴン等の不活性ガスをかけられる。放出された材料は、例えば、約100Aから500Aの厚さまで、表面をコーティングする。更なるステップでは、コーティングは、アルゴン/空気スパッタエッチングを使用して酸化させられる。これは、表面上に金属酸化物層を生成する。
【0088】
(3.1.3.4.液体の適用)
表面をコーティングする別の方法は、例えば、流動または浸漬によって、表面上にコーティング材料を含む液体を適用するステップを含む。
【0089】
(3.1.3.5.原子層堆積(ALD))
原子層堆積では、材料の薄膜が、一連のサイクルを通して適用される。各サイクルは、表面が化学物質に暴露される、一連のステップを含む。ステップは、所望の材料を形成する反応をもたらす。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化チタンコーティングは、その後にウエハへの暴露が続く、トリメチルアルミニウムへの暴露の複数のサイクルへ表面を暴露させることによって、設置することができる。
【0090】
(3.1.4.選択された場所)
概して、プラスチック物品の表面が第2の基板に結合しない、選択された場所は、選択された場所を処理することによって作製される。また、選択された場所が覆いから保護されている間に、材料を表面上に設置することができる。選択された場所を作製する3つの方法は、リフトオフ過程、アブレーション、および材料を覆うことを含む。代替として、これらの過程は、ヒドロキシル基が材料の表面上に導入された後に実行することができる。
【0091】
(3.1.4.1 フォトレジストパターン化マスクを使用したリフトオフ過程)
第2の基板に結合しないように選択された場所で材料を中和する1つの方法は、材料の堆積前に、材料が選択された場所でプラスチック基板上に堆積させられる、リフトオフ過程である。次いで、材料が堆積させられた後に、材料および材料は選択された場所から除去される。例えば、シャドーマスクが、適切な場所に開口部を含有する適切な材料で作られる。層がマスクと重ね合わせられ、適正に整合されると、コーティングされる表面が露出される。マスクの実施例は、ガラス、金属シート、箔、または半導体ウエハを含む。この過程に有用なマスクの一部分の実施例は、図16Aおよび16Bに示されている。この場合、ビア層122は、エッチングされたチャネル、例えば、124と、弁座129と、弁座を備えない流体弁本体131と、ビア、例えば、126および127とを備える、接触表面106を有する。マスク1601は、弁本体/弁座と噛合する、穴、例えば、1629と、弁座がない弁本体と噛合する、穴、例えば、1631とを有する。図16Bのように噛合されると、穴は、取り外し可能エネルギー材料でコーティングされる機能表面を露出させる。図17Aおよび17Bは、弁座と噛合するが、流体便本体とは噛合しない穴を備える、シャドーマスクを示す。1つのそのような方法では、ネガティブフォトレジスト、例えば、DNQが、パターン化マスクを使用して、選択された場所で堆積させられる。酸化物は、表面上に堆積させられる。次いで、フォトレジストは、溶媒中で溶解させられ、プラスチック表面を露出する。
【0092】
(3.1.4.2.アブレーション)
別の方法では、酸化物が、アブレーションによって選択された場所で表面から除去される。材料は、酸化物が除去される場所に方向付けられるレーザエネルギーを使用することによって切除することができる。また、レーザの出力は、プラスチック表面の複数部分を除去するように選択することができ、例えば、わずかにくぼんだ弁座も作製する。
【0093】
(3.1.4.3.材料の被覆)
別の実施形態において、選択された場所において材料を別の材料で覆うことによって、第2の基板に結合する材料の能力を中性にすることができる。他の材料は、任意の適切な方法によって選択された場所に設置することができる。これらは、例えば、化学蒸着、プラズマ支援化学蒸着、および上記で説明される他の方法を含む。典型的には、表面の一部分のみがコーティングされる場合、基板は、コーティングされることが所望される領域を露出するマスクで覆われる。そのようなコーティングのための方法および材料は、2009年7月21日出願の米国仮出願第61/227,186号(Blagaら)でより詳細に説明されている。
【0094】
(3.2 反応性ヒドロキシル基を伴う第2の基板)
コーティングされた表面を備えるプラスチック層は、反応性ヒドロキシル基を伴う表面を有する基板に結合される。典型的には、ヒドロキシル基は、反応のために高温条件を必要とする。しかしながら、シラノール等のあるヒドロキシル基は、シラノール結合を生成する縮合反応で、他のヒドロキシル基と容易に反応する。また、第2の基板が弾性層であるとき、弾性層の弾性の性質は、層がプラスチック表面のより良好に一致することを可能にし、結合を強化する。
【0095】
基板は、その上に表面シラノールを導入することができる任意の基板であり得る。これは、シランでコーティングされた材料を含む。具体的には、シリコーンは、その上にシラノールを導入することができるシロキサン基を含む。
【0096】
本発明のある実施形態において、基板は、弾性特性を有し、本発明のデバイスのダイヤフラム弁の中のダイヤフラムとして機能することができる。この場合、層は、弾性層と呼ぶことができる。弾性層は、典型的には、減圧または圧力がそれに及ぼされたときに変形することができ、減圧または圧力の除去時に、変形されていない状態に戻ることができる物質、例えば、エラストマー材料で形成される。変形寸法が、10mm未満、1mm未満、500μm未満、または100μm未満で測定されるため、必要とされる変形が軽減され、多種多様な材料が採用されてもよい。概して、変形可能な材料は、約0.001GPaから2000GPaの間、好ましくは、約0.01GPaから5GPaの間の範囲を有する、ヤング係数を有する。シランを含む変形可能な材料の実施例は、シリコーン(例えば、ポリジメチルシロキサン)を含む。典型的には、弾性層は、平坦なシート、例えば、彫刻されていないシートで形成される。
【0097】
流体チャネルまたは作動チャネルが弾性層上に開口する、またはそうでなければ弾性層と接触している点で、弁等の機能デバイスを形成することができる。そのような弁は、図3Aおよび3Bの断面図で描写されている。流体工学層および作動層の両方は、チャネルを外面に接続するポートを備えることができる。そのようなポートは、流体工学マニホールド、例えば、カートリッジ、または空気圧マニホールドに係合するように適合することができる。
【0098】
(3.3.弾性層の調製)
PDMS等の弾性層と流体工学および作動層との間の密封を向上させるために、弾性層は、流体工学および弾性層の表面上で反応基、例えば、ヒドロキシル基と反応する表面上で反応基を活性化するように、処理を受けることができる。
【0099】
例えば、一実施形態において、弾性層は、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)等のシリコーンポリマー(ポリシロキサン)を含む。シリコーンは、典型的には、部分的にはそれらの表面上の豊富なメチル基により、撥水性である。ポリシロキサンと、ヒドロキシル等の反応基を含む基板(例えば、ガラス)との間の結合の強度を増加させるために、UVオゾン、コロナ放電、プラズマ酸化、または表面上にシラノール基(Si−OH)を配置する他の方法によって、シロキサンをより親水性にすることができる。活性化PDMSが、活性ヒドロキシル基を含むガラスまたは他の材料と接触させられ、好ましくは、熱および圧力を受けると、縮合反応が水を産生し、例えば、シロキサン結合を通して、2つの層を共有結合する。これは、表面間に強力な結合を生成する。しかしながら、弁が機能的になるために、弾性層は、弁座に結合することができず、好ましくは、弁のいずれの表面にも、または弾性層に対面する流体または弾性層の表面内のいずれのチャネルにも結合しない。低エネルギーコーティングが、結合を防止する一実施形態である。
【0100】
(3.4.デバイスの組み立て)
本発明のデバイスは、弁、ポンプ、貯留部、およびチャネル等の機能部分が流体の漏出を防止するよう密封され、弾性層が機能的露出表面に粘着しないように組み立てられる。
【0101】
1つの方法では、層は、共有または非共有結合(例えば、水素結合)でともに結合されることによって密封される。これは、サンドイッチとして、層、例えば、流体工学、弾性、および作動層をともに噛合し、圧力および熱を適用することによって達成することができる。例えば、弾性層が、表面をより親水性にするよう上記のように処理されたPDMS等のシリコーンを含み、流体工学および作動層が、表面ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされるときに、100kgから500kg、例えば、約300kgの圧力で部品をともに押し付けることができる。それらは、使用される温度および圧力に応じて、約5分から約30分、例えば、約10分間、25℃から100℃の間、例えば、約90℃で、または約150℃で焼くことができる。これは、弾性層と密封表面との間の結合を硬化させる。層をともに結合した後、導管は、例えば、PEG(例えば、PEG−200)または1−2プロパンジオール(Sigma #398039)で洗浄することができる。
【0102】
(3.5.低表面エネルギー材料を含む機能的露出表面)
それらの表面エネルギーを減少させるように処理された機能表面を有する、本発明のデバイスも提供することができる。低表面エネルギーは、それが付着される、流体工学または作動層への弾性層の粘着を減少させる。弾性層が、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)等のシリコーンであるとき、処理された表面の水接触角は、少なくとも90°、少なくとも100°、少なくとも115°、少なくとも120°、または少なくとも140°となるべきである。(例えば、2010年5月27日出願、Blagaらの米国特許出願第12/789,186号を参照)。
【0103】
多くの材料が、露出表面上で低表面エネルギーを生成するように有用である。一実施形態において、材料は、ペルフルオロ化ポリマーまたはポリ(p−キシリレン)(例えば、パリレン)等の低エネルギーポリマーである。Teflonは公知の低表面エネルギー材料であり、同様に不活性かつ生体適合性である。材料は、自己集合単分子層であり得る。自己集合単分子層は、例えば、クロロシランを含むシランで、またはチオールアルカンで作製することができる。それらは、典型的には、約5オングストロームから約200オングストロームの間の厚さを有する。低エネルギー材料は、金属(例えば、金、銀、また白金等の貴金属)であり得る。低表面エネルギー表面を提供するために使用することができる他の材料は、硬質ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素(DLC)、または金属酸化物(例えば、チタニア、アルミナ、またはセラミック)を含む。
【0104】
ペルフルオロ化ポリマーは、例えば、フッ素化ガスから堆積させられたTeflon様材料、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、Teflon(登録商標))、PFA(ペルフルオロルコキシポリマー樹脂)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、およびPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)を含む。材料は、約100オングストロームから約2000オングストロームの厚さを有することができる。
【0105】
一実施形態において、材料は、金等の貴金属を含む。貴金属は、コーティングされる表面に直接適用することができる。また、貴金属は、上記で説明されるように、表面への貴金属の接着を促進する高融点金属等の別の材料ですでにコーティングされている表面に適用することができる。一実施形態において、材料は、金等の貴金属を含む。貴金属は、コーティングされる表面に直接適用することができる。また、貴金属は、上記で説明されるように、表面への貴金属の接着を促進する高融点金属等の別の材料ですでにコーティングされている表面に適用することができる。高融点金属は、例えば、クロム、チタン、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、およびレニウムを含む。例えば、クロムの1000オングストローム層を、選択的表面に適用することができ、その後に金の2000オングストローム層が続く。クロム層は、金が付着することを可能にするほど厚い、例えば、少なくとも30オングストローム、少なくとも50オングストローム、少なくとも100オングストローム、少なくとも500オングストローム、または少なくとも1000オングストロームであれば十分である。貴金属もまた、弾性層の結合を阻止するほど厚ければ十分である。例えば、貴金属は、少なくとも50オングストローム、少なくとも100オングストローム、少なくとも500オングストローム、少なくとも1000オングストローム、または少なくとも2000オングストロームの厚さを有することができる。金属は、スパッタリング、蒸発、またはコーティングされる表面を露出するシャドーマスクを使用した原子層堆積によって、あるいは他の技法によって適用することができる。スパッタリングは、例えば、RfまたはDCエネルギーを使用することができる
(3.6.結合官能性でコーティングされた弁および区画表面)
流体工学層の中のある機能表面は、それが付着される化学または生化学結合官能性を有するように官能化することができる。これらの表面は、典型的には、弁座付き弁または弁座がない弁の機能表面を含む。種々の実施形態において、作動層の中のチャンバに対向しない流体工学層の中のチャネルまたはチャンバ等の、弁の一部ではない弁座および/または機能表面である。これらの材料は、被分析物に選択的または特異的に結合することができる。例えば、結合官能性は、核酸、金属または金属キレート、炭水化物、または抗体あるいは抗体様分子、酵素、ビオチン、アビジン/ストレプトアビジン等のタンパク質であり得る。
【0106】
これらの材料は、当該分野で公知である任意の付着化学反応によって、表面、例えば、弁チャンバ表面に結合することができる。例えば、表面は、アミノシランまたはアクリルシラン等の官能化シランで誘導体化することができ、官能基は、結合官能性を備える分子上の反応基と反応させることができる。
【0107】
(4.システム)
流体システムは、流体アセンブリと、作動アセンブリとを備えることができる。流体アセンブリは、(1)流体導管を備えるマイクロ流体デバイスの流体部分と、(2)マイクロ流体デバイス上のポートと噛合または整合し、流体を流体導管の中へ送達するように構成される流体マニホールドと、(3)流体を流体マニホールドに、またはマイクロ流体導管に直接送達するように構成される、ロボット等の流体送達アセンブリとを備えることができる。作動アセンブリは、(1)作動導管を備えるマイクロ流体デバイスの作動部分と、(2)マイクロ流体デバイス上のポートと噛合または整合し、作動物を作動導管マイクロ流体デバイスの中へ送達するように構成される作動マニホールドと、(3)流体を作動マニホールドに、または作動導管に直接送達するように構成される、作動物送達アセンブリとを備えることができる。作動物送達アセンブリは、正圧または負圧供給源を備えることができ、伝送ラインを通して作動導管に接続することができる。器具はまた、付属アセンブリを備えることもできる。1つのそのようなアセンブリは、流体導管の中の流体の温度を制御するように構成される温度コントーラである。別のアセンブリは、例えば、磁力に反応する粒子を含むことができる、器具上の容器に磁力を適用するように構成される、永久磁石または電磁石等の磁力供給源である。別のアセンブリは、分析アセンブリ、例えば、流体アセンブリからサンプルを受容し、サンプル中の別個の種の検出を補助するキャピラリ電気泳動等の手順を行うように構成されるアセンブリである。別のアセンブリは、器具の中の被分析物、例えば、蛍光または発光種を検出する、検出器、例えば、光学アセンブリである。器具はまた、種々のアセンブリを自動的に操作するように構成される制御ユニットを備えることもできる。制御ユニットは、例えば、器具が適合される手順で使用されるステップのシーケンスを実行することによって、アセンブリを操作するコードまたは論理を備える、コンピュータを備えることができる。
【0108】
(5.デバイスを使用する方法)
本発明のデバイスは、流体サンプルで反応を行うために使用することができる。典型的には、それは、液体を流体導管に送達するように構成されるアセンブリと、圧力を空気圧導に連絡するように構成される正圧および/または負圧供給源と、特定の時間に、または特定の順序で、デバイスの中への流体の導入を指図する、および/または事前にプログラムされた順序で弁の動作を制御する、論理を備えるコンピュータとを含む、システムの一部となる。
【0109】
Tecanロボット等の流体工学ロボットは、流体を流体工学層の中のポートにロボットで追加することができる。作動層は、空気圧層の中のポートを正圧または負圧供給源と噛合する、空気圧マニホールド等のマニホールドと係合することができる。ある実施形態において、単一の空気圧チャネルは、複数の異なる流体導管の中の弁を並行して操作する。次いで、種々の順序で弁を空気圧によって作動させることによって、液体をチャンバ間に送達することができる。チャンバには、反応を可能にするように試薬を提供することができる。
【0110】
一実施形態において、器具は、サンプルおよび試薬を隔離領域に導入し、次いで、反応が完了した後にそれらを回復領域の中へ移動させて、後続の分析のためにサンプルの採取を可能にするようにプログラムすることができる、コンピュータを備える。別の実施形態において、マイクロ流体工学デバイスは、反応したサンプルを貯留部または流体域の中へ移動させ、付加的な反応のために、付加的な反応試薬を追加してサンプルを隔離領域に再導入するようにプログラムすることができる。他の実施形態において、マイクロ流体工学デバイスは、反応したサンプルを貯留部または流体域の中へ移動させ、例えば、結合部分でコーティングされた磁気ビーズを捕捉するために磁場の使用を通して、関心の被分析物の物理的分離のために、捕捉試薬を追加し、次いで、サンプルを捕捉領域の中へ移動させるようにプログラムすることができる。他の実施形態において、マイクロ流体工学デバイスは、反応したサンプルを貯留部または流体の流れの中へ移動させ、後続の分析のために、検出試薬または部分を追加し、次いで、サンプルを回復領域の中へ移動させてサンプルの採取を可能にするようにプログラムすることができる。ダイヤフラム弁の中、またはマイクロ流体デバイスのシェルフ領域または他の部分のチャネル内のサンプルを調べるために、当該分野で公知である、レーザ誘起蛍光ラマン、プラズモン共鳴、免疫捕捉、およびDNA分析デバイス等の検出デバイスを使用することができる。例えば、WO2008/115626(Jovanovich)を参照されたい。モノリシック膜を有するマイクロ流体デバイスが、チップ上に検出システムを実装するための特に好適なデバイスの一実施例である。種々の実施形態によれば、検出システムはまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、およびキャピラリ電気泳動(CE)機構等の免疫捕捉およびDNA分析機構を含むこともできる。
【0111】
図14は、サイクルシークエンシング核酸分析用のサンプルを調製するために使用することができる、マイクロ流体デバイスの実施例を示す。この設計では、ウェル80に導入された核酸サンプルを移動させ、ダイヤフラム弁20において、ウェル70に導入されたサイクルシークエンシング試薬および酵素と混合し、弁10、20、30、および40の作動によって、隔離領域の蛇行性チャネル60の中へ送達することができる。代替として、弁10、20、30、および50が、送達に使用されてもよい。試薬およびサンプルの混合は、本明細書で説明されるように行うことができる。代替として、試薬を移動させる複数組のポンプ弁(弁10、30、および40)およびサンプルを移動させる複数組のポンプ弁(弁20、30、および40)を使用することによって、試薬およびサンプルの複数のボーラスを、マイクロチップのマイクロ流体チャネルの中へ連続的および/または交互に移動させることができる。試薬およびサンプルは、弁20の中で組み合わせられ、弁40に達する前に混合することができる。次いで、混合した試薬およびサンプルは、マイクロ流体デバイスの隔離領域上に位置する蛇行性チャネル60の中へ送達することができる。隔離領域が温度調節器と熱接触しているため、シェルフの反応領域に導入されたサンプルは、操作者によって選択される制御条件下で加熱または冷却することができる。試薬およびサンプルは、サイクルシークエンシングのための熱的条件を受けることができる。一実施形態において、サンプルは、弁を通してシェルフ領域に導入することができ、チャンバを包囲する弁、例えば、40および50は、温度調節器によって、サンプルの熱サイクリングまたは他の熱的に制御された反応条件のために閉じることができる。優れた容積対表面比、および約100倍長い経路長は、より高い容積対表面比による、サンプル調製生化学および温度調節に便益をもたらす。サイクルシークエンシング後、サンプルおよび/または反応混合物は、ウェル80に移動させることができる。サンプルおよび/または反応混合物が磁気ビーズと混合されるように、結合部分を有してもよい磁気ビーズをウェル80に導入することができる。本発明のいくつかの実施形態において、磁気ビーズは、カルボキシル基でコーティングされ、核酸を吸収することができる。次いで、吸収された核酸を伴う磁気ビーズは、捕捉領域40へとさらに移動させ、磁場の適用によって捕捉することができる。磁場によるビーズの捕捉は、捕捉弁の変形を伴うことができる。磁場は、本明細書で説明される磁気アセンブリの作動によって適用することができる。捕捉弁は、チャンバサイズが増大させられるように変形させることができる。捕捉弁の増大したサイズは、チャンバを通して流速を低減することができる。磁気ビーズは、ビーズが磁場によって捕捉されている間に洗浄することができる。オンチップダイヤフラムポンプ、例えば、10、20、30、および40は、結合された精製核酸を伴う緩衝剤で洗浄されてもよい、ビーズを移動させることができる。ビーズは、除去ポート90のうちの1つに移動させることができ、または熱の局所適用によって放出されるか、または水あるいは緩衝剤で溶出されていてもよい核酸は、除去ポート90のうちの1つに移動させることができる。
【0112】
別の実施形態において、デバイスは、DNA配列決定用途のための反応の複数のステップを統合するようにプログラムされる。共通試薬貯留部70は、サンプル貯留部80の中へ装填されたDNA含有サンプルと混合されるサイクルシークエンシング試薬を装填され、サンプルは、一実施形態において、PCR、プラスミド、または配列決定される他の核酸増幅産物である。サンプルおよびサイクルシークエンシング試薬を含有する混合物は、マイクロ弁を使用するプログラム可能な流体工学によって、熱サイクリングを使用してサイクルシークエンシング反応が行われる、デバイスの拡張シェルフ領域上に位置する反応チャンバ60へと移動させることができる。次いで、サイクルシークエンシング物品は、さらなる処理のために、デバイスから外れた移動のための物品貯留部90へと移動させることができ、または好ましい実施形態において、サイクルシークエンシング物品が、貯留部へと移動させられ、Agencourt SPRIビーズ等のビーズが、ビーズに結合された所望のサイクルシークエンシング物品を有し、塩お、よび組み込まれていない染料標識ターミネータまたはプライマから物品を分離するように、適切な化学的性質を伴うサイクルシークエンシング物品に追加される。サイクルシークエンシング物品をビーズに結合するよりもむしろ、サイクルシークエンシング物品が溶液中に残され、塩および組み込まれていない染料がビーズに結合される、逆を行うことができることは、当業者に明白である。ビーズという用語は、無制限に、粒子、常磁性粒子、ナノ粒子、モノリス、ゲル、親和性捕捉性質または非特異的性質を伴うゲルを含むように使用される。
【0113】
ビーズおよびサイクルシークエンシング物品が貯留部80の中に含有された場合、組み合わせられた混合物は、マイクロ弁20および30を通して、開かれ、固定または可動磁石を近接して有してもよい、マイクロ弁40へと送達される。常磁性であるSPRIビーズ等のビーズは、流動が開放マイクロ弁の中で減速するにつれて捕捉され、ビーズは、磁場で捕捉される。例えば、チャンバに入るビーズが磁石によって及ぼされる磁力によって捕捉されるように、弁を開くことができ、本発明の磁石アセンブリに含まれるような磁石を、弁に近い機能的位置に移動させることができる。
【0114】
エタノール等の流体が、貯留部に追加されてもよく、次いで、ビーズを処理し、塩および組み込まれていない染料標識反応物等の所望されない不純物を除去する。次いで、ビーズへの力を解放するように、磁石を除去することができる。次いで、ビーズが物品貯留部90へ送達されてもよく、または、サイクルシークエンシング物品を水の中へ溶出させることができ、次いで、それは物品貯留部90へ送達される。サイクルシークエンシングのために、溶出した物品は、分離によりCAEまたはマイクロチップ等の別個のデバイス上で分析される準備ができている。異なる貯留部が他の構成を有してもよく、単一のサンプルで3つの異なる反応を行うように、単一のサンプルを貯留部70に追加することができ、複数の試薬が貯留部80に追加されてもよいことが、当業者に明白である。
【実施例】
【0115】
(実施例1) 耐アブレーションコーティングを伴うプラスチックにPDMSを結合する
I.ウエハ製造
基板材料は、3mmの厚さを伴うCYRO(登録商標) Acrylite AR−1またはAR−2あるいはアクリルシートである。基板材料を使用のために1.5mmまで機械加工した。このアクリルシートを、レーザ機械加工を適用した一側面上で、耐アブレーションコーティングを用いてコーティングした。この側面は、PDMSに結合できることが実証された。(Evonic IndustriesからのAcrylite Abrasion Resistantのアクリル片側シートのColorless 0A000 MR1またはMR2も、厚さ0.049”で、PDMSに結合する)。
【0116】
レーザ彫刻機は、40ワットCO2レーザ供給源を有するEpilogレーザMini 18である。システムを、プリンタとしてPCコンピュータに接続した。パターンまたは描画を、グラフィックソフトウェアCorelDRAWを用いて行った。レーザ彫刻機製造によって提供されるプリンタドライバは、レーザ出力およびレーザスポットの速度、ならびにラスタまたはベクトル等のレーザモードを設定することができる。流体および空気圧層の設計を図19に描写した(チップA)。
【0117】
レーザ出力、切断深さ、およびラスタモード対ベクトルモードは、エッチング過程における変数である。最適化されたレーザ出力設定を、異なる指定深さのために選択した。弁、弁座、チャネル、およびチャンバ等のチップ上の各特徴、または貫通穴を、異なるアプローチで機械加工した。弁座については、ARコーティングは、弁を開くことができるように、PDMSがそれに結合することを防止するために除去される必要がある。コーティングを除去するための出力設定は、ラスタモードでは50%速度および8%出力である。50%速度および28%の出力を、チャネル、弁、およびチャンバを機械加工するために使用した。貫通穴は、厚さ3mmの基板については100%出力および15%速度、厚さ1.5mmの基板については30%において、ベクトルモードで切断した。
【0118】
II.チップアセンブリ
上記の過程からの2つの微細構造プラスチック部位品(流体および空気圧)を、超音波浴の中で20分間洗浄した。部品を「生物」グレードの水の中に曝した。部品を窒素で乾燥させた。流体部品をUVオゾンに3分間暴露させた(チャネル側をUVランプに向けて、部品をUVオゾンツールの中に配置した)。
【0119】
PDMSをUVオゾンに3分間暴露させた。表面に接触させることによって、流体部品をPDMSに結合した。
【0120】
空気圧部品をUVオゾンに3分間暴露させた(チャネル側をUVランプに向けて、部品をUVオゾンツールの中に配置した)。流体部品に結合されたPDMSをUVオゾンに5分間暴露させた。面に接触させることによって、2つの部品を整合させ、結合した。結合した部品を、80℃において30分間、300Kg圧力でプレスの中へ配置した。
【0121】
III.チップ試験
組み立てられたチップを、このチップ種類のために設計された液界面マニホールドおよび空気圧マニホールド上に載置した。ポンプスクリプトをコンピュータ動作ステーションのために書き、チップを通して水を送達した。観察は、流体がチップを通って移動したことを示した。チャネル間に液体のクロストークはなかった。チップの剥離はなかった。送達は、適切な時間に標的点に達するボーラスに関して均等であった。貯留部からチップの中へ、そして貯留部の中へ戻って液体を送達した循環ポンプサイクルが設定された。チップは、水の5000回のポンプストロークおよびエタノールの5000回のポンプストロークを通して動作し続けた。
【0122】
(実施例2) Zeonor 1440R上の酸化チタンコーティング
I.ウエハ製造
ポリカーボネートなどのプラスチックを含む異なる材料上の接着プロモータとして、水溶液から酸化チタンコーティングを堆積させた。Tyzor LA溶液をポリカーボネートの非常に均一なコーティングに使用することができる。Zeonor 1420Rエンボス加工チップをコーティングするために、同様の溶液を使用した。
【0123】
COPエンボス加工チップ:Zeonor 1420Rは、Zeonex(www.zeonex.com)によって生産されている、約135℃のガラス転移温度を伴うシクロオレフィンポリマー(COP)である。構造はチップAのものであった。
【0124】
Tyzor LA:DuPontTM Tyzor(登録商標)有機チタン酸塩およびジルコン酸塩が、フレキソ印刷およびグラビア印刷インク用の添加剤である、接着プロモータおよび架橋剤である。フレキソおよびグラビアパッケージ印刷のために、Tyzor(登録商標)チタン酸塩およびジルコン酸塩は、最終物品性質を向上させるのに役立つ。これは、以下の便益を提供する架橋を増加させることによって達成される:(1)基板へのインクの向上した接着、(2)強化した硬化、(3)向上した耐化学、溶剤、および水性、(4)強化した耐熱性、(5)減少した乾燥時間、またはより低い硬化温度、(6)増加した積層結合強度。
【0125】
コーティング過程の直前に0.1M HCl溶液中の1% Tyzor LA(乳酸チタン、DuPont)を調製し、70℃まで加熱した。
【0126】
コーティングプロトコル:
・エンボス加工チップを洗剤で磨き、脱イオン水ですすぎ、乾燥させる
・チップをUVオゾンオーブンの中に4分間入れる
・チップを70℃のTysor LA溶液の中に5分間浸す
・チップを脱イオン水ですすぐ
・組み立てる準備ができるまで、チップをDIWの中で保管する。
【0127】
II.チップアセンブリ
部品を洗剤で磨き、すすぎ、乾燥させる。空気圧部品およびPDMSをUVオゾンに3分間暴露させる。PDMS層を空気圧部品上に配置する。複合および流体部品をUVオゾンに3分間暴露させる。流体層をPDMS上に置き、整合させる。部品を、80℃において300Kgで30分間圧迫する。
【0128】
III.チップ試験
組み立てられたチップを、このチップ種類のために設計された液界面マニホールドおよび空気圧マニホールド上に載置した。ポンプスクリプトをコンピュータ動作ステーションのために書き、チップを通して水を送達した。観察は、流体がチップを通って移動したことを示した。チャネル間に液体のクロストークはなかった。チップの剥離はなかった。送達は、適切な時間に標的点に達するボーラスに関して均等であった。貯留部からチップの中へ、そして貯留部の中へ戻って液体を送達した循環ポンプサイクルが設定された。チップは、水の5000回のポンプストロークおよびエタノールの5000回のポンプストロークを通して動作し続けた。
【0129】
(実施例3) ポリカーボネート上の酸化チタンコーティング
Perkin Elmerスパッタリングシステムを使用して、ポリカーボネートの射出成形部品を、チタンの厚さ200Åの層でコーティングした。
【0130】
第1のステップでは、Ar/空気スパッタエッチングを使用して、ポリカーボネート基板を1分間洗浄した。第2のステップでは、30%RF設定を10分間使用したArプラズマ中のスパッタ堆積を使用して、ポリカーボネートの表面をチタンでコーティングした。次いで、チタン表面を酸化するように、堆積過程をアルゴン/空気混合物中でさらに5分間続けた。
【0131】
この過程は、また、COP基板を使用して行った。
【0132】
(実施例4)COCおよびポリカーボネート上のMomentive Performance Materials PHC 587
COCおよびポリカーボネート部品をPHC 587(シリコーンハードコート)に浸し、浸漬コーティングした。コーティングを室温で10〜20分間乾燥させる。サンプルを125℃で2時間オーブンの中で硬化させる。
【0133】
(実施例5)クロム表面上にコーティングされたチタン
チタンの接着を推進させて、PDMS接着を推進するためのヒドロキシルを生成するように、プラスチック(例えば、アクリル、ポリカーボネート、およびシクロオレフィンポリマー(COP))を最初にクロムでコーティングする。Cr、Tiのような最不活性金属は、PDMSにとって良好な結合材料である、薄く密度の高い酸化物層を大気中で生じさせる。
【0134】
全てのプラスチック部品を50%EtOHおよびLiquinox5%で洗浄する。ほとんどのプラスチックは水を吸収し、減圧蒸着の前に脱水ステップが必要とされる。減圧チャンバ装填の直前に、ポリカーボネートおよびCOP部品を90℃で30分間インキュベートした。スパッタリングマシンは、4つのプログラムされたステップを伴う自動ロードロックElmer 4400である。
1.エッチング:40%Arおよび5%O2中で0.5分、20%出力
2.堆積:Cr、1分、40%Ar、30%出力
3.堆積:Ti、2分、40%Ar、30%出力
4.終了:装填解除。
【0135】
Cr/Ti堆積後、プラスチックチップを、例えば、UVオゾンで活性化し、PDMS膜と結合することができる。
【0136】
(参考文献)
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本発明の好ましい実施形態が、本明細書で示され、説明されているが、そのような実施形態は一例のみとして提供されていることが、当業者に明白となるであろう。本発明から逸脱することなく、多数の変形例、変更、および置換が、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書で説明される本発明の実施形態の種々の代替案が、本発明を実践する際に採用されてもよいことを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造は、それにより網羅されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本願は、2009年12月1日出願の米国仮出願第61/265,579号および2010年8月27日出願の米国仮出願第61/337,635号ならびに2010年11月18日出願の米国出願第12/949,623号の出願日の利益を主張し、上記出願の全ては、それら全体が本明細書に参照により援用される。
【0002】
(連邦政府支援の研究に関する声明)
なし
【背景技術】
【0003】
Mathiesら(特許文献1、2004年10月21日)は、マイクロ流体構造物を説明しており、このマイクロ流体構造物は、空気圧チャネルを含む第1の表面と、流体チャネルを含む第2の表面と、第1の表面と第2の表面との間に位置するエラストマー膜とを備え、その結果、空気圧チャネルへの圧力または減圧の適用が、エラストマー膜を撓ませて流体チャネルの中の流体の流量を変調する。この特許は、組立前にUVオゾンクリーナの中でウエハおよびPDMS膜を清掃することによって、ガラスウエハをPDMSの層に結合する方法をさらに説明している。そのようなデバイスの流体導管の中の流体流量は、導管の中のダイヤフラム弁によって調節され得、このダイアフラム弁は弁座を含み、この弁座の上にエラストマー膜が位置する。弁座と接触しているときに、エラストマー膜は、流体導管を横断する流体流量を遮断する。弁座と接触していないときに、弁を横断する流体連絡を可能にする通路が存在する。
【0004】
Mathiesら(上記参照)は、デバイスがガラスプラスチックまたはポリマーの表面を有し得ることを示している。非特許文献1は、超音波溶接または接着剤を使用してともに保持されるプラスチックデバイスを説明している。非特許文献2は、抗静摩擦パターンを使用して、PDMSを基板に選択的に結合することについて論議している。Jovanovichら(特許文献2、2008年9月25日)は、プラスチック構成要素でできているマイクロ流体チップを説明している。この文書は、とりわけ、プラスチック部品を結合するために転写テープまたは他の接着剤を使用することに言及している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0209354号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/115626号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Andersonら、Nucleic Acids Res.2000年6月15日、28(12):E60
【非特許文献2】Samel、「Novel Microfluidic Devices Based On A Thermally Responsive PDMS Composite」、School of Electrical Engineering、Royal Institute of Technology,Stockholm、Sweden、2007年9月7日
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
一局面において、本発明は、デバイスを作製する方法を提供し、この方法は、a)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えたプラスチック基板を提供することと、b)表面シラノール基を含む表面を備えた弾性基板を提供することと、c)プラスチック基板の表面上のヒドロキシル基を、弾性基板の表面上のシラノール基と反応させることであって、プラスチック基板は、弾性基板に共有結合される、こととを含む。一実施形態において、この方法は、d)ヒドロキシル基を含む表面を備えた第3の基板を提供することと、e)第3の基板の表面上のヒドロキシル基を、弾性基板の第2の表面上のシラノール基と反応させることであって、第3の基板は、弾性基板の第2の表面に共有結合される、こととをさらに含む。別の実施形態において、第3の基板は、ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされたプラスチックを含む。別の実施形態において、第3の基板は、ガラスまたは半導体材料(例えば、シリコンまたはゲルマニウム)を含む。別の実施形態において、反応させることは、プラスチック基板の表面を弾性基板の表面に接触させることと、接触された表面に周囲よりも高い圧力および/または温度を適用することとを含む。別の実施形態において、プラスチック基板は、炭素ベースのポリマーを含む。別の実施形態において、弾性基板は、ポリシロキサンを含む。別の実施形態において、ポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む。別の実施形態において、材料は、酸化物を含む。別の実施形態において、酸化物は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウムまたは酸化チタン)または半導体酸化物(例えば、酸化ケイ素または酸化ゲルマニウム)である。別の実施形態において、材料は、層、またはチタンの層が重ねられたクロムを含む。別の実施形態において、材料は、シロキサンを含む。別の実施形態において、プラスチック基板の表面上のヒドロキシル基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに材料を暴露させることによって導入される。別の実施形態において、プラスチック基板を提供することは、プラスチック基板を提供することと、材料でプラスチック基板の表面をコーティングすることとを含み、この材料の上にヒドロキシル基を導入することができる。別の実施形態において、化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、分子蒸着(MVP)、熱分解反応を用いた化学堆積、プラズマ支援化学蒸着(PECVD)、自己集合単分子層の堆積(SAM)、物理蒸着(PVD)、液体の適用(例えば、噴射、浸漬、表面上に液体を流すこと、またはナイフエッジコーティング)、フォトレジストパターン化マスクの使用、活性化・非活性化方法、および印刷から成る群より選択される方法によって提供される。別の実施形態において、弾性基板の表面上のシラノール基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに材料を暴露させることによって導入される。別の実施形態において、第3の基板の表面上のヒドロキシル基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに材料を暴露させることによって導入される。別の実施形態において、プラスチック基板は、中断部を備えた少なくとも1つの導管を備え、選択された場所のうちの少なくとも1つは、中断部の表面を備える。別の実施形態において、導管は、プラスチック基板の表面上のインプレッションに含まれる。別の実施形態において、プラスチック基板または第3の基板の一方は、弁座として機能する中断部を備える複数の流体導管を備えた流体層として構成され、弁座は、弾性層に結合されない。別の実施形態において、プラスチック基板または第3の基板の他方は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成された少なくとも1つの作動導管を備える、作動層として構成される。別の実施形態において、この方法は、弾性層と結合する前に、コーティング材料を除去すること、または、弁座上のヒドロキシル基を中和することを含む。別の実施形態において、コーティングは、アブレーションまたはリフトオフ過程によって除去される。別の実施形態において、弁座は、流体層表面に対してくぼんでおり、くぼみは、弁座と弾性層との間の結合を阻止する。別の実施形態において、第3の基板は、ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた炭素ベースのプラスチックを含む。別の実施形態において、流体層は、流体導管と連絡するポートを備え、作動層は、作動導管と連絡するポートを備える。別の実施形態において、流体層は、複数の層を備え、外層は、内層の孔を通して弾性層と連絡する流体導管を備える。別の実施形態において、この方法は、エンボス加工、エッチング、アブレーション、または射出成形によって、プラスチック基板の表面に少なくとも1つのくぼみを導入することを含む。別の実施形態において、プラスチック基板の表面上の選択された場所は、弾性基板に結合されない。
【0008】
別の局面において、本発明は、プラスチック基板を備えるデバイスを提供し、このデバイスは、(1)材料でコーティングされた表面と、(2)表面を備える弾性基板とを備えたプラスチック基板とを備え、表面は、シロキシ結合を介してともに結合される。一実施形態において、デバイスはさらに、シロキシ結合を介して弾性基板の反対面に結合される表面を備えた第3の基板を備える。別の実施形態において、プラスチック基板をコーティングする材料は、酸化物またはシロキサンを含み、弾性層は、ポリシロキサンを含む。別の実施形態において、表面は、少なくとも1つの選択された場所でともに結合されない。
【0009】
別の局面において、本発明は、マイクロ流体デバイスを提供し、このマイクロ流体デバイスは、流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを備え、流体工学層および作動層は、シロキシ結合を介して弾性層に共有結合され、流体工学層は、弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を備え、作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成された少なくとも1つの作動導管を備え、流体工学層および作動層の一方または両方は、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える。一実施形態において、シロキシ結合は、シロキサン結合を含む。別の実施形態において、シロキシ結合は、金属を介して結合される。別の実施形態において、流体工学層および作動層のそれぞれは、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える。別の実施形態において、流体工学層は、材料でコーティングされたプラスチックを備える。別の実施形態において、作動層は、材料でコーティングされたプラスチック層を備える。別の実施形態において、ポリマーは、ポリカーボネート、オレフィン共重合体(COC)(例えば、Zeonor)、シクロオレフィン共重合体(COP)、アクリル、液晶ポリマー、ポリメチルメトキシアクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリチオールである。別の実施形態において、材料は、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウムまたは酸化チタン)または半導体酸化物(例えば、酸化ケイ素または酸化ゲルマニウム)から選択される酸化物を含む。別の実施形態において、材料は、ポリシロキサンを含む。別の実施形態において、材料は、弁座において弾性層に暴露されない。別の実施形態において、弁座は、流体工学層の表面からくぼんでいる。別の実施形態において、材料は、弁座に対向する作動導管の表面において弾性層に暴露されない。別の実施形態において、弾性層は、PDMSを含む。別の実施形態において、流体工学層は、流体導管と連絡するポートを備える。別の実施形態において、作動層は、作動導管と連絡するポートを備える。別の実施形態において、デバイスは、モノリシックデバイスである。別の実施形態において、弁は通常開いている。
【0010】
別の局面において、本発明は、システムを提供し、このシステムは、a)流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされた弾性層性層とを備える、マイクロ流体デバイスであって、流体工学層および作動層は、シロキシ結合を通して弾性層に共有結合され、流体工学層は、弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を備え、作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成される、少なくとも1つの作動導管を備え、流体工学層および作動層の一方または両方は、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える、マイクロ流体デバイスと、b)作動導管と連絡している正圧および/または負圧供給源と、c)プログラムされた順序で、弁を開く、および/または閉じる論理を備える、制御ユニットとを備える提供する。一実施形態において、論理は、弁を操作して、デバイスの中の1つの場所から別の場所へ液体を送達するように構成される。別の実施形態において、システムはさらに、流体導管と連絡する流体層のポートに液体を送達するように構成されるロボットを備える。
【0011】
別の局面において、本発明は方法を提供し、この方法は、a)流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされる弾性層とを備える、マイクロ流体デバイスを提供することであって、流体工学層および作動層は、シロキシ結合を通して弾性層に共有結合され、流体工学層は、弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を備え、作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成される、少なくとも1つの作動導管を備え、流体工学層および作動層の一方または両方は、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える、ことと、b)流体導管の中で液体を提供することと、c)作動導管を通して適用される正圧または負圧を使用して、ダイヤフラム弁を作動させることと、d)ダイヤフラム弁を介して液体を送達することとを含む。
【0012】
別の局面において、本発明は方法を提供し、この方法は、a)流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされる弾性層とを備えるマイクロ流体デバイスを提供することであって、流体工学層および作動層は、シロキシ結合を介して弾性層に共有結合され、流体工学層は、弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を備え、作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成される、少なくとも1つの作動導管を備え、流体工学層および作動層の一方または両方は、弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備え、流体導管は、順番に、(1)入口ダイヤフラム弁と、(2)その中へダイヤフラムを偏向させることができる、作動層の中の弁本体を備え、オプションで、弁座を備える、ポンプダイヤフラム弁と、(3)出口ダイヤフラム弁とを備え、3つの弁は、ダイヤフラムポンプを形成する、ことと、b)流体導管の中に液体を提供することと、c)弁を通して液体を送達するように、作動導管を通して適用される正圧または負圧を使用してダイヤフラム弁を作動させることを含む。
【0013】
別の局面において、本発明は、デバイスを作製する方法を提供し、この方法は、a)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えた第1のプラスチック基板を提供することと、b)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えた第2のプラスチック基板を提供することと、c)プラスチック基板の表面上のヒドロキシル基を、第2のプラスチック基板と反応させることであって、プラスチック基板は、エーテル結合を介して共有結合される、こととを含む。一実施形態において、材料のうちの少なくとも1つは、シロキサンを含み、少なくとも1つの材料上のヒドロキシル基は、シラノール基である。別の実施形態において、方法は、d)ヒドロキシル基を含む表面を備えた第3の基板を提供することと、e)第3の基板の表面上のヒドロキシル基を、弾性基板の第2の表面上のシラノール基と反応させることであって、第3の基板は、弾性基板の第2の表面と共有結合される、こととをさらに含む。別の実施形態において、第3の基板は、ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされたプラスチック基板を備える。
【0014】
別の局面において、本発明は、材料でコーティングされた表面を備える第1のプラスチック層と、材料でコーティングされた表面を備える第2のプラスチック層とを備える物品を提供し、第1の層および第2の層は、材料中にエーテル結合を介してともに共有結合される。一実施形態において、材料は、酸化物またはシロキサンを含む。別の実施形態において、エーテル結合は、シロキシ結合に含まれる。別の実施形態において、シロキシ結合は、シロキサン結合である。別の実施形態において、シロキシ結合は、化学式Si−O−Xを有し、Xは、ケイ素ではない。別の実施形態において、少なくとも1つの層の上の材料は、酸化物またはポリシロキサンである。
【0015】
別の局面において、本発明は、デバイスを作製する方法を提供し、この方法は、a)接着剤でコーティングされた表面を備えたプラスチック層を提供することであって、表面は、少なくとも1つの選択された場所で接着剤を備えない、ことと、b)表面を備えた弾性層を提供することと、c)接着剤でプラスチック層を弾性層に結合することであって、プラスチック層は、少なくとも1つの選択された場所で弾性層に結合されない、こととを含む。
【0016】
別の局面において、本発明は、少なくとも1つのダイヤフラム弁を備えるデバイスを提供し、少なくとも1つのダイヤフラム弁は、流体チャネルの中の流体流量を調節するように構成され、流体工学層と、作動層と、流体工学層と作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを備える組み合わせに含まれ、各ダイヤフラム弁は、a)弾性層に含まれるダイヤフラムと、b)流体工学層に含まれ、正圧がダイヤフラムに対して及ぼされない限り、ダイヤフラムがダイヤフラム弁を閉じないように弾性層に接触する、流体工学層の表面からくぼんでいる、弁座と、c)流体工学層に含まれ、流体チャネルと流体連絡している、弁入口および弁出口とを備え、ダイヤフラムは、作動層の中の作動導管を通してダイヤフラムに伝達される適用される正圧または負圧によって作動させられるように構成される。一実施形態において、流体チャネルは、マイクロ流体チャネルである。別の実施形態において、弁はさらに、d)その中にダイヤフラムが撓むように構成され、それにより、弁チャンバを画定する少なくとも部分的に作動層に含まれる弁リリーフを備える。別の実施形態において、弁座は、実質的に球体の一部として構成される。別の実施形態において、弁座は、流体チャネルの深さよりも小さい深さまで、流体工学層の表面に対してくぼんでいる。
【0017】
別の局面において、本発明は、弁を閉じるようにダイヤフラムに対して正圧を適用し、弁を開くように負圧を適用することによって、前述のデバイスを操作することを含む、方法を提供する。
【0018】
(参照による援用)
本明細書内に記述される全ての刊行物および特許出願は、各個別の刊行物または特許出願が参照により援用されるように具体的および個別に示されている場合と同じ程度で参照により本明細書に援用される。
【0019】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲における特殊性を用いて説明される。本発明の特徴および利点のより良好な理解は、本発明の原則が利用される例証的な実施形態を説明する以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明のダイヤフラム弁の一実施形態の二つ折り図を示す。流体工学層101は、弁座103によって中断される流体チャネル102を備える、流体導管を備える。この実施形態において、流体チャネルは、流体工学弁本体104に開口する。流体工学層の一面は、組み立てられたデバイスの中の弾性層105に接触する。この面は、弾性層を密封することができる密封表面106と、弁座を含む流体導管といった機能構成要素の露出表面とを備える。作動層111は、作動チャネル112と、弁座の反対側に配置される作動弁本体とを備える、作動導管を備える。作動層はまた、機能的要素の密封表面および露出表面を有する、組み立てられたデバイスの中の弾性層に接触する面も備える。本発明のある実施形態において、流体および作動層は、組立中にその上にヒドロキシル基が導入される材料でコーティングされた表面106および/または114を備える。この材料は、その上で液体または作動物が流れ、弾性層と接触してもよい、機能表面の場所で除去することができる。例えば、材料は、弁座(103)および/または弁チャンバ(113)から除去することができる。この除去は、接触表面に結合または粘着することなく、弁が機能することができるように、弾性層と機能表面との間の結合を阻止する。
【図2】図2は、3次元で組み立てられたダイヤフラム弁を示す。
【図3A】図3Aおよび3Bは、閉鎖(図3A)構成および開放(図3B)構成にある「3層」ダイヤフラム弁の断面図を示す。
【図3B】図3Aおよび3Bは、閉鎖(図3A)構成および開放(図3B)構成にある「3層」ダイヤフラム弁の断面図を示す。
【図4A】図4Aおよび4Bは、分解図および閉鎖図で、流体工学層が複数の副層を備えるデバイスの一部分を示す。最上副層121は、「エッチ」層と呼ばれ、最下副層122は、「ビア」層と呼ばれる。この例では、エッチ層は、閉鎖流体チャネルを形成するようにビア層に対面する表面上に溝(例えば、123および128)を備える。ビア層は、弾性層に対面する表面上に溝(例えば、124)を備える。弾性層がビア層に結合されるか、またはビア層に押し付けられると、チャネルを覆い、漏出に対してそれらを密封する。ビア層はまた、この副層を横断し、一方の側面では弾性層および他方の側面ではエッチ層の上に開口する、ビア(例えば、穴または孔)(例えば、126および127)も含む。このようにして、エッチ層の中のチャネルの中を通行する流体は、弾性層に対面するビア層の中の導管に流入することができる。
【図4B】図4Aおよび4Bは、分解図および閉鎖図で、流体工学層が複数の副層を備えるデバイスの一部分を示す。最上副層121は、「エッチ」層と呼ばれ、最下副層122は、「ビア」層と呼ばれる。この例では、エッチ層は、閉鎖流体チャネルを形成するようにビア層に対面する表面上に溝(例えば、123および128)を備える。ビア層は、弾性層に対面する表面上に溝(例えば、124)を備える。弾性層がビア層に結合されるか、またはビア層に押し付けられると、チャネルを覆い、漏出に対してそれらを密封する。ビア層はまた、この副層を横断し、一方の側面では弾性層および他方の側面ではエッチ層の上に開口する、ビア(例えば、穴または孔)(例えば、126および127)も含む。このようにして、エッチ層の中のチャネルの中を通行する流体は、弾性層に対面するビア層の中の導管に流入することができる。
【図5】図5は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図6】図6は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図7】図7は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図8】図8は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図9】図9は、マイクロ流体回路の実施形態を示す。
【図10】図10は、卵型のチャンバを示す。
【図11】図11は、ダイヤフラムポンプを形成する3つのダイヤフラム弁を直列に備える、デバイスの3次元図を示す。
【図12】図12は、1つのチャネル1210が常に開いており、別のチャネル1220との連絡が弁によって調節されるフロースルー(flow−through)弁を示す。フロースルーチャネル1210は、フロースルー弁1230が位置付けられる接合点で、交差チャネル1220と交差する。
【図13】図13は、閉じられると、3つ全てのチャネルの間の流体流動を防止または低減し、開いていると、3つのチャネルの間の流体流動を可能にする弁によって接続される、3つのチャネルを示す。
【図14】図14は、共通ポート70によって接続された3つのマイクロ流体回路用の流体構造を示す。
【図15】図15は、合計24個のマイクロ流体回路を備えるデバイス上に組み立てられた、図14の回路の集合を示す。
【図16A】図16Aおよび16Bは、分解構成および閉鎖構成で、複数の流体回路および回路を中断する弁座を備えた流体工学層と、取り外し可能材料(例えば、フォトレジスト)の堆積を可能にするように弁座を覆う開口部を備えたシャドーマスクとを示す。例えば、穴1629は、弁129と整合され、穴1631は、弁131と整合される。
【図16B】図16Aおよび16Bは、分解構成および閉鎖構成で、複数の流体回路および回路を中断する弁座を備えた流体工学層と、取り外し可能材料(例えば、フォトレジスト)の堆積を可能にするように弁座を覆う開口部を備えたシャドーマスクとを示す。例えば、穴1629は、弁129と整合され、穴1631は、弁131と整合される。
【図17A】図17Aおよび17Bは、弁129の弁座のみに整合する穴1729を備えたシャドーマスクを示す。
【図17B】図17Aおよび17Bは、弁129の弁座のみに整合する穴1729を備えたシャドーマスクを示す。
【図18】図18は、チャネルと弁座とを境界付ける隆起領域を備えた流体工学層を備えるデバイスを示す。図18Aおよび18Bは、流体工学層の残りの表面より上側に持ち上げられる隆起領域または隆起を示す図18の断面図である。これは、チャネルおよび弁座の最上部が流体層の接触表面と同一平面にある、他の実施形態と対照的である。図18Cは、弾性層105に接触する流体工学層101の面を示す、二つ折り図である。
【図19】図19は、マイクロ流体チップの流体層および空気圧層の中のチャネルおよび孔のレイアウトを示す。
【図20A】図20Aおよび20Bは、複合物品を作製する方法のフローチャートを提示する。パネルAでは、表面を備えたプラスチック物品(a)が、その上にヒドロキシル基が導入される(c)材料でコーティングされる(b)。コーティングは、酸化物またはシロキサンとなり得、その場合、シラノールが生成される。物品(d)は、その上にシラノール基が表面上で導入されている、基板と噛合される(e)。基板は、例えば、ポリシロキサンであり得る。シラノールおよびヒドロキシルは、プラスチック物品を基板と共有結合して(f)、複合物品を形成するように反応させられる。パネルBでは、シラノール基が、複合物品に対向する基板の表面上に導入される(g)。その上にヒドロキシル基が導入されているコーティングを有する、表面を備える第2のプラスチック物品(h)が、基板と噛合され、物品をともに結合する共有シロキシ結合を形成するように反応させられる(i)。
【図20B】図20Aおよび20Bは、複合物品を作製する方法のフローチャートを提示する。パネルAでは、表面を備えたプラスチック物品(a)が、その上にヒドロキシル基が導入される(c)材料でコーティングされる(b)。コーティングは、酸化物またはシロキサンとなり得、その場合、シラノールが生成される。物品(d)は、その上にシラノール基が表面上で導入されている、基板と噛合される(e)。基板は、例えば、ポリシロキサンであり得る。シラノールおよびヒドロキシルは、プラスチック物品を基板と共有結合して(f)、複合物品を形成するように反応させられる。パネルBでは、シラノール基が、複合物品に対向する基板の表面上に導入される(g)。その上にヒドロキシル基が導入されているコーティングを有する、表面を備える第2のプラスチック物品(h)が、基板と噛合され、物品をともに結合する共有シロキシ結合を形成するように反応させられる(i)。
【図21】図21は、コーティングされた基板(a)が、選択された場所からコーティングを除去する(b)ように処理される本発明の実施形態のフローチャートを提示する。反応基が、コーティング、この場合はヒドロキシルを依然として備える、表面上に導入される(c)。基板(d)は、その表面上に反応基、この場合はシラノール基を含む、第2の基板と噛合される(e)。反応後、2つの基板は、反応基が除去された場所を除いて、シロキシ結合を通して結合される(f)。
【図22】図22は、弾性層に結合されていないくぼんだ弁座を伴う複合物品を作製する方法のフローチャートを提示する。くぼんだ弁座を伴う表面を備えるプラスチック物品(a)は、その上にヒドロキシル基が導入される(c)材料でコーティングされる(b)。コーティングは、酸化物またはシロキサンであり得、その場合、シラノールが生成される。物品(d)は、その上にシラノール基が表面上で導入されている基板と噛合される(e)。基板は、例えば、ポリシロキサンであり得る。シラノールおよびヒドロキシルは、プラスチック物品を基板と共有結合して(f)、複合物品を形成するように反応させられる。しかしながら、弾性層に対してくぼんでいる弁座の一部分は、弾性層と近接しており、かつ弾性層と結合することができるヒドロキシル基を有しない。
【図23】図23は、本発明の常時開放ダイヤフラム弁の実施形態の二つ折り図を示す。流体工学層101は、弁座103によって中断される流体チャネル102を備える、流体導管を備える。流体チャネルは、弁座として機能するくぼみドーム115に開口する。正圧または負圧が弾性層105に及ぼされないとき、弾性層は、弁座から離れて位置し、弁に進入するチャネル間の流体経路が流体接触し、流体経路を作製する、開放弁を可能にする。正圧が弾性層105に及ぼされると、弾性層が弁座に向かって変形し、弁を閉じる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
(1.はじめに)
シロキサンに基づいていないプラスチック(例えば、炭素ベースのポリマー)は、部分的に、そのようなプラスチックが化学結合に従事するように利用可能な表面反応基を持たないので、他の材料に容易に結合しない。本発明は、その上に反応基を導入することができる材料を備える表面をプラスチックに提供することによって、プラスチックを、他のプラスチックを含む種々の材料に結合するための方法を提供する。これらの基は、同様にそれらの表面上に反応基を有する材料との化学結合に従事するために利用可能であり、それにより、物品をともに結合する。具体的には、本発明は、プラスチック物品がPDMS等のポリシロキサンに結合される、複合プラスチック物品を検討する。さらに、プラスチックは、プラスチック上の特定の場所が他の物品に結合される、および/またはプラスチック上の特定の場所が他の物品に結合されないように、選択された場所で他の物品に結合することができる。ある実施形態において、流体およびマイクロ流体デバイスは、これらの複合物品でできている。
【0022】
ある実施形態において、プラスチックの表面上の反応基は、ヒドロキシル基である。酸化物およびシロキサン等の材料は、プラスチック物品の表面上に導入することができ、ヒドロキシル基は、これらの材料上に導入することができる。ヒドロキシル基は、他の官能基と、具体的には、シラノール基と反応し得る。
【0023】
1つの方法では、プラスチック物品には、酸化物またはシロキサン等のヒドロキシル生成材料を備えた表面が提供される。この材料は、コーティングまたは層としてプラスチックに適用され得る。ヒドロキシル基は、例えば、UVオゾンまたは酸素プラズマに暴露させることによって、プラスチック物品の表面上に導入される。表面ヒドロキシル等の表面反応基を有するか、または反応基が導入され得る表面に材料を同様に有する、第2の物品もまた提供される。それぞれ表面反応基を伴う2つの物品は、接触して配置される。反応基は、物品をともに共有結合して反応することを可能にされる。
【0024】
ヒドロキシル基間の反応は、極端な反応条件を必要とし得る。しかしながら、シラノール基のヒドロキシル部分は、周囲条件あるいはわずかに上昇した温度または圧力下で、他のヒドロキシルと容易に反応する。したがって、プラスチック材料、それが結合される物品、または両方は、シラノール表面基を有することができる。プラスチック材料には、その上にシラノールを導入することができる、シロキサンコーティングを提供することができる。いくつかのシロキサンベースのコーティング、例えば、材料上に耐アブレーションまたはUV遮断コーティングを生成するために使用されるコーティングを適用することができる。代替として、プラスチックが結合される材料は、シロキサンを含み、シラノール基をその上に導入することができる。その両方がヒドロキシル基を有し、そのうちの少なくとも1つがシラノール基を有する、2つの物品が接触させられると、シラノールは、プラスチック表面上のヒドロキシル基と反応して、シロキシル(Si−O−X)またはシロキサン(Si−O−Si)結合を生成する。ある実施形態において、Xは、ケイ素以外の原子、例えば、金属(例えば、アルミニウム、チタン)、炭素、または非ケイ素半導体(例えば、ゲルマニウム)であり得る。縮合反応が、周囲温度および圧力下で起こることができる。それはまた、例えば、少なくとも50℃まで温度を上昇させることによって、および/または圧力を接触表面に適用することによって、加速することもできる。
【0025】
本発明のあるマイクロ流体デバイス等の、ある実施形態において、他の基板に結合または粘着しない、プラスチック基板の表面上の選択された場所または領域を有することが有用である。これは、基板のうちの1つ、例えば、プラスチック基板上の所定の場所で、材料/表面ヒドロキシル基を排除する、覆う、形成を防止する、または別様に中和することによって、達成することができる。例えば、選択された場所における材料は、切除する、剥がす、または別の材料で覆うことができる。また、ヒドロキシル基は、形成後に中和することができる。表面材料上で活性化されるヒドロキシル基は、短い半減期を有することができる。したがって、ある実施形態において、表面上のヒドロキシル基の活性化の前に中和場所が作製される。ヒドロキシル基を含まないプラスチック基板の領域は、表面ヒドロキシル基を含む第2の基板への結合に抵抗する。それはまた、他の表面と接触しないように、または結合が発生するために十分長い間そうしないように、基板の表面をくぼますことによって達成することもできる。それはまた、物品が第2の物品に結合する選択された場所にコーティングを適用することによって達成することもできる。そのような未結合領域は、プラスチック層と第2の層との間の粘着が所望されない、弁等の機能的要素の配置のための有用な場所である。
【0026】
この方法は、2つの材料のうちの少なくとも1つが平滑表面を有する、2つの材料をともに結合するために特に有用である。平滑表面は、剛性または可撓性であり得る。基板は、ほぼ平面的、例えば、平坦な表面を有することができる。概して、より平坦な表面が、曲面よりも完全に結合する。層の厚さを減少させることにより、接触および結合を向上させる。例えば、ともに結合された材料の少なくとも一方または両方は、例えば、約0.5mmから1mmの間、例えば、厚さ約0.6mmである、層の形態を成すことができる。他の実施形態において、表面のうちの一方が湾曲している場合、他方の基板は、それに一致するように構成される材料であり得る。ある実施形態において、基板は、チャネル等のへこみを備えることが理解される。これらの局面は概して、他の基板と結合するように意図されておらず、好ましくは平滑であるのは、接触表面である。
【0027】
代替として、基板の表面には、アミン基、メタクリレート基、ジスルフィド基、ジシラザン基、スルフヒドリル基、アクリレート基、カルボキシレート基、活性化エステル基、活性離脱基、イソニトリル基、イソシアネート基、ホスホラミダイト基、ナイトレン基、エポキシド基、ヒドロシリル基、エステル基、アレーン基、アジド基、ニトリル基、ビニル基、またはアルキルホスホネート基等の反応基を提供することができる。これらの反応基は、反応基が反応する基を含む表面を有する基板に結合することができる。
【0028】
(2.物品およびデバイス)
(2.1 複合プラスチック物品)
本発明は、その上にヒドロキシル基を導入することができる材料でコーティングされ、表面上に提供されるヒドロキシル基を反応させることによって形成されるエーテル結合を通して第2の基板と結合されたプラスチックを備える、複合プラスチック物品を提供する。ある実施形態において、第2の基板は、シラン、例えば、シロキサンを含み、共有結合は、シロキシ結合またはシロキサン結合である。物品は、ともに結合される、同じまたは異なる種類のプラスチックの層またはシート、例えば、積層を備えることができる。これらの物品は、この様式でともに結合された、少なくとも2つ、または少なくとも3つのプラスチック層を備えることができる。プラスチック層の厚さは、最終的な設計の問題である。しかしながら、プラスチックのシートを備える物品は、約1ミルから約1000ミル、または約10ミルから約200ミル、または約0.25mmから約5mm、例えば約1mmから3mmの厚さで、プラスチックを有することができる。物品は、例えば、平坦、湾曲、凹凸等の任意の所望の形状を成すことができる。シラン含有材料は概して、結合が発生するために十分な表面積を提供するよう、プラスチック部品の形状に一致する形状を有する。ともに結合されるプラスチック基板および第2の基板が異なる膨張係数を有するとき、温度の変化が、1つの基板の寸法を別の基板よりも変化させることができる。これは、基板のうちの1つの亀裂または破壊を含む、変形をもたらし得る。それらの間に弾性を備える本発明の物品は、そのような変形に抵抗する。弾性層は、異なる接触表面上で異なって変形を吸収することができる。
【0029】
(2.2 弾性層に結合されたプラスチック層を備える流体デバイス)
ダイヤフラム弁は、流体導管の間の流体経路を開く、または閉じるためにダイヤフラムを使用する。ダイヤフラム弁は、典型的には、弁に進入し、弁から退出する流体導管と連絡する弁入口および弁出口を有する、弁本体を備える。本体はまた、本体内に配置され、弁座に対して位置し、弁を完全または部分的に閉じるように構成される、ダイヤフラムも有する。弁本体はまた、弁リリーフを備え、この弁リーフの中へダイヤフラムが弁座から離れて撓むことができる。ダイヤフラムが弁座から離れて撓むと、弁チャンバと呼ばれる空間が作製される。弁が開いているとき、それを通して弁入口が弁出口と流体連絡している、連続流体経路が形成される。
【0030】
本発明の流体デバイスは、流体が流れる、少なくとも1つまたは複数の流体導管を備える。流量は、例えば、圧力、空気圧、または水力によって作動可能な内蔵ダイヤフラム弁および/またはポンプによって制御することができる。デバイスは、典型的には、弾性層に結合された流体工学層を備え、弾性層は、流体工学層の中の流体経路の中断部(例えば、弁座)を横断する流体の流量を調節する、撓むことが可能なダイヤフラムとして機能する。弾性層は、PDMS等のポリシロキサンを含むことができる。他の実施形態において、デバイスは、流体工学層、作動層、およびその間にサンドイッチされる弾性層といった、3つの層を備える。作動層は、選択された場所で、例えば、ダイヤフラム弁で弾性層を作動または偏向させるように構成される、作動導管を備えることができ、それにより、流体導管の中の流体の流量を制御する。3つの層は、ともにユニットに結合される。代替として、流体工学層または作動層は、ユニットを形成するように弾性層に結合することができ、ユニットは、他の層と噛合する、および/または他の層から除去することができる。噛合は、例えば、圧力を適用および解放することによって、例えば、締め付けることによって達成することができる。
【0031】
流体工学層および作動層の少なくとも一方または両方は、本明細書で説明される方法によって弾性層に共有結合された表面材料を伴うプラスチックを含む。層のうちの一方が、弾性層に結合された表面材料を伴うプラスチックを含まない場合、弾性層の第2の表面と結合するために利用可能な表面ヒドロキシル基を含む、別の材料を含むことができる。例えば、他方の層は、ガラス、例えば、ホウケイ酸ガラスを含むことができる。ガラスはまた、材料に接触し、オプションで、周囲以上の温度および/圧力を適用することによって、シラノール基を含む材料に共有結合することもできる。
【0032】
流体導管および作動導管は、しわ、くぼみ、カップ、開放チャネル、溝、トレンチ、へこみ、インプレッションなどとして、流体または作動層の表面に形成され得る。導管または通路は、それらの機能に適切な任意の形状を成すことができる。これは、例えば、半円形、円形、長方形、楕円形、または多角形の断面を有するチャネルを含む。それらが接続されるチャネルよりも大きい断面を有する、弁、貯留部、およびチャンバを作ることができる。チャンバは、円形または他の形状を成す壁を有することができる。導管が接続通路よりも深くなる、またはそれより小さくなる領域を含むことができる。導管は、それらを通って流れる流体に接触する表面または壁を備える。流体層の中の流体は、液体または気体であり得る。作動層の場合、流体は作動物と呼ばれる。それは、気体または液体であり得る。
【0033】
弾性層に接触する表面(例えば、平滑な表面または平坦な表面)の一部分は、接触表面と呼ばれる。弾性層に対面する、凹凸のある、押し下げられた、またはエッチングされた表面の部分は、露出表面と呼ばれる。導管、チャネル、弁またはポンプ本体、弁座、貯留部などを含む、その上を流体が流れる表面は、機能表面と呼ばれる。流体デバイスの構築において、接触表面の全体または一部への弾性層の圧力または結合は、露出導管を覆い、流体または作動導管内で液体を含有するように機能することができる。これらの表面は、密封表面と呼ばれる。
【0034】
流体工学層自体は、1つよりも多くの副層で構成され得、ある副層の中のチャネルは、他の副層の中のビアを通って接続し、他のチャネルと、または弾性層と連絡する。複数の副層構成では、流体経路は、交差の点で流体的に接続されることなく、相互を越えることができる。ある実施形態において、流体層は、プラスチック等に接続された弾性材料に接続されたプラスチックの交互層を備えることができる。そのような構成では、ビアは、プラスチックおよび弾性材料の両方を通って横断し、他の層と接続することができる。
【0035】
ダイヤフラム弁およびポンプは、3つの層の中の機能的要素で構成される。ダイヤフラム弁は、本体と、弁座(オプションで)と、ダイヤフラムと、流体が弁に流入し、弁から流出することを可能にするように構成されるポートとを備える。本体は、弾性層に対面する表面上に開口する、作動層の中の空洞またはチャンバから成る(「作動弁本体」)。オプションで、弁本体はまた、弾性層に対面する表面上に開口し、作動層チャンバの反対側に配置される、流体工学層の中のチャンバを含む(「流体工学弁本体」)。作動層本体は、それを通して作動物によって正圧または負圧を伝達することができる、通路、例えば、チャネルと連絡する。作動物が気体、例えば、空気であるとき、作動層は、空気圧層として機能する。他の実施形態において、作動物は、水、油、Fluorinert等の液体である。
【0036】
流体導管は、中断部、すなわち、導管の中の流体流量を部分的または完全に遮断する材料を含むことができる。例えば、流体工学層は、弾性層に対面する弁座を備えることができる。弁座は、直接、または流体工学層の中の本体チャンバ内に配置されることによって、流体チャネルを中断する。弾性層は、ダイヤフラムを形成する。弁は、ダイヤフラムが弁座の上に自然に位置し、したがって、弁を閉鎖し、弁を開くよう弁座から離れて変形させられるように構成されてもよい。弁はまた、ダイヤフラムが弁座の上に自然に位置せず、弁を閉じるよう弁座に向かって変形させられるように構成されてもよい(いわゆる「常時開放弁」)。この場合、作動導管から弾性層への正圧の適用が、弁座に弾性層を押し付け、弁を閉じる。ダイヤフラムが弁座から外れているとき、それを通って流体が流れてもよい、流体チャンバまたは通路を作製する。チャネルは、弁ポートを通して弁チャンバと流体連絡している。
【0037】
常時開放弁の一実施形態において、そうでなければ常時開放弁用の弁座を形成する中断部の表面は、弾性層に結合された流体層の表面に対してくぼんでいる。この場合、弁座は、弾性層に対して隆起させられる。弾性層への正圧は、弁座に弾性層を押し付け、弁を閉じる。弁座は、アブレーション技法を使用して、約25ミクロンから約75ミクロン、例えば、約50ミクロンだけ、残りの表面に対してくぼませることができる。
【0038】
常時開放弁の別の実施形態において、弁座は、流体導管の中断部として構成されない。むしろ、それは、例えば、作動チャンバを通して、弾性層に圧力を適用することなく、弾性層がくぼみ表面に対抗するように位置しないように、通常は弾性層に接触する流体工学層の表面に対してくぼみの形態を成す。この場合、弁は、弁座と分離している流体工学層の中の離散弁チャンバを持たなくてもよい。弁座は、それに対して弾性層が一致することができる、流体層の表面に対して凹状である、湾曲形状を成すことができる。例えば、図22および23を参照されたい。例えば、弁形状は、球体の一部、または逆くぼみ、あるいはドームであり得る。そのような構成は、例えば、弁が閉じられている間に液体を含有する弁チャンバを含まないことによって、弁の無効な容積を減少させる。この弁はまた、それに対して弾性層が容易に一致して弁を閉じることができる、表面も備える。また、くぼみ表面が、構築中にそれに対して置かれる、弾性層と結合しないため、この構成は、弁が表面ヒドロキシル基を含まないようにパターン化された表面を作製する必要性を排除する。別の実施形態において、凹面は、凸面、例えば、その内側に外向くぼみを備え、例えば、サドル形状を形成する、逆くぼみを有する小区分を、その内側に備えることができる。凸状領域は、隆起して、圧力下の弾性層に接触し、弁のためにより良好な密封を作製する。
【0039】
常時開放弁のある実施形態において、凹面は、それが接続されるチャネルほどくぼんでいない。例えば、凹面の最深部は、チャネルの深さの約3分の1から2分の1であり得る(例えば、凹面の30ミクロンから50ミクロン対チャネルの100ミクロン)。例えば、弾性層は、約250ミクロンであってもよく、チャネルは、深さ約100ミクロン、弁座は、深さ約30ミクロンであってもよい。弾性層が過剰な変形を伴わずに凹面に一致することができるため、弾性層が薄くなるほど、凹面が深くなり得る。ある実施形態において、チャネルは、部分的に凹面の中へ進入し、例えば、丸天井を形成することができる。ある実施形態において、チャネルおよび凹面は、マイクロマシニングによって形成される。作動層は、弁を開くために、その中にダイヤフラムが偏向する、弁リリーフを備えることができる。
【0040】
別の実施形態において、ダイヤフラム弁は、作動層および流体工学層の中にチャンバを備えるが、中断部を伴わずに、本体から形成される。この実施形態において、作動チャンバの中へダイヤフラムを変形させることにより、流体を受け入れるための容積を作製し、流体工学チャンバの中へダイヤフラムを変形させることにより、チャンバから液体を送達する。この構成では、ダイヤフラムの位置が、流体導管の有効断面を変え、したがって、弁を通る流速を調節することができる。そのような構成では、弁は、導管の中の流体の流動を完全に遮断しなくてもよい。この種類の弁は、流体貯留部およびポンプチャンバとして有用であり、「ポンプ弁」と呼ばれ得る。
【0041】
弁の中へのポートは、種々の構成をとり得る。ある実施形態において、流体チャネルは、弾性層に対面する流体工学層の表面上に含まれる。弁は、中断部がチャネルを中断する場所に形成することができる。この場合、ポートは、中断部に接触し、ダイヤフラムが偏向させられたときに弁チャンバに開口する、チャネルの一部分を備える。別の実施形態において、流体チャネルは、流体工学層内を通行する。この場合、ポートは、流体工学層の中に作られた2つのビアが、2つのチャネルと作動弁本体の真向かいの弾性層との間で連絡する場所で形成される。(2つの隣接ビアは、弁座として機能することができる中断部によって分離される)。別の実施形態において、流体チャネルは、流体層の1つの表面から、弾性層に対面する反対の表面へと横断する、孔として形成される。中断部によって分離される、一対のそのような孔は、弁として機能することができる。弾性層が(それが結合されていない)中断部から離れて変形させられると、孔が連絡することを可能にし、流体が弁を通って一方の孔の中で通行し、他方の孔から出て行くための通路が形成される。
【0042】
弁およびポンプの機能において、ダイヤフラムは、弁座または接触表面上で移動し、またはそこから離れ、かつ流体工学または作動層の中の本体チャンバの表面に向かって、またはそこから離れて移動する。弾性層が弁座、接触表面、またはデバイスの任意の露出機能表面に粘着する場合、デバイスは、適正に機能しない場合がある。デバイスは、弾性層と、流体または作動導管、弁座、弁本体、またはチャンバおよびチャネル等のデバイスの機能的要素との間の粘着を減少させるように構成される。具体的には、デバイスの動作中に弾性層に接触しやすい流体工学および/または作動層の表面は、粘着または結合を阻止するように対処することができる。これは、流体工学層の中の弁座および作動層の中の弁本体を含む。
【0043】
流体流量を制御するダイヤフラム弁を伴うマイクロ流体デバイスは、米国特許第7,445,926号(Mathiesら)、同第7,745,207号(Jovanovichら)、同第7,766,033号(Mathiesら)および同第7,799,553号(Mathiesら)、米国特許出願公開第2007/0248958号(Jovanovichら)、同第2010/0165784号(Jovanovichら)、PCT公報WO2008/115626号(Jovanovichら)、同WO2009/108260号(Vangboら)および同WO2009/015296号(Mathiesら)、PCT出願PCT/US2010/40490号(Sternら、2010年6月29日出願)、米国出願第12/795,515号(Jovanovichら、2010年6月7日出願)、ならびに、米国仮出願第61/330,154号(Eberhartら、2010年4月30日)および同第61/375,791号(Vangbo、2010年8月20日)において説明されている。
【0044】
弁、ルータ、およびミキサ等のMOVe(マイクロ流体オンチップ弁)要素は、デバイスの流体工学層、弾性層、および作動層の中のサブ要素から形成される。MOVe弁は、マイクロ流体チップの流体工学、弾性、および作動層の中の相互作用要素から形成されるダイヤフラム弁である(図1)。ダイヤフラム弁は、マイクロ流体チャネルおよび作動チャネルが相互を越え、弾性層上に開口する場所で形成される。この場所で、流体工学チャネルの空間の中へ、または空気圧チャネルの空間の中への弾性層の偏向が、流体工学チャネルの空間を変え、流体工学チャネルの中の流体の流量を調節する。交差点における流体工学および作動チャネルは、異なる形状を成すことができる。例えば、流体工学チャネルは、弾性層用の弁座として機能する中断部を備えることができる。流体工学チャネルは、弁の中のチャンバ状空間に開口することができる。作動チャネルは、作動層の他の部分の中のチャネルよりも大きい空間および/または断面、例えば、円形チャンバを成すことができる。
【0045】
図2は、ダイヤフラム弁の3次元図を示す。図3Aおよび3Bは、断面でダイヤフラム弁を示す。この場合、流体工学層は、流体工学層の表面に形成され、弾性層によって覆われるチャネルを備える。図11は、直列の3つのダイヤフラム弁から形成された、ダイヤフラムポンプの3次元図を示す。図4Aおよび4Bは、ビアを通して弾性層上に開口する内部チャネルを伴う流体工学層を描写する。図12は、開口チャネルの中への流体流量がダイヤフラム弁によって調節される、常に開いている1つのチャネルと、交差するチャネルとを備える、フロースルー弁を示す。図13は、3つのチャネル用の3つの入口ポートを有する弁を示す。弁を開くことにより、流体が、いずれか2つのチャネルから第3のチャネルに、またはいずれか1つのチャネルから他の2つに流入することを可能にする。
【0046】
図4Aおよび4Bを参照すると、流体工学層101、弾性層105、および作動層111が、ともにサンドイッチされる。マイクロ流体チャネル128は、ビア126を通して弾性層上に開口する。弁座129は、弾性層と接触し、閉鎖弁をもたらす。作動層が活性化されると、弾性層105は、空気圧チャンバ130の中へ変形させられる。これは、弁を開き、それを通って液体が流れることができる経路を作製する。マイクロ流体チャネルに対する空気圧チャンバの中の圧力は、弾性層の位置を制御する。弾性層は、圧力がマイクロ流体チャネルに対して空気圧チャンバの中でより低いときに、空気圧チャンバに向かって変形させることができる。代替として、弾性層は、圧力が空気圧チャンバに対してマイクロ流体チャネルの中でより低いときに、マイクロ流体チャネルに向かって変形させることができる。圧力がマイクロ流体チャネルおよび空気圧チャンバの中で等しい、またはほぼ等しいときに、弁は閉鎖位置にあり得る。この構成は、弁が閉じられたときに、弁座と弾性層との間の完全接触を可能にすることができる。代替として、圧力がマイクロ流体チャネルおよび空気圧チャンバの中で等しい、またはほぼ等しいときに、弁は開放位置にあり得る。空気圧作動型弁は、減圧下または正圧下にある入口ラインを使用して作動させることができる。減圧は、ほぼ家庭用掃除機の圧力、または家庭用掃除機よりも低い圧力、例えば、少なくとも15インチHgまたは少なくとも20インチHgであり得る。正圧は、約0、約1、約2、約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35psi、35psi以上、または最大で約150psiであり得る。圧力供給源から圧力または減圧を連絡するための流体は、液体または気体等の任意の流体であり得る。気体は、空気、窒素、または酸素であり得る。液体は、有機液体または水性液体、例えば、水、ペルフルオロ化液体(例えば、Fluorinert)、セバシン酸ジオクチル(DOS)油、モノプレックスDOS油、シリコン油、液圧油または自動車変速機流体を含む、任意の空気圧または水圧流体であり得る。
【0047】
ダイヤフラムマイクロ弁、マイクロポンプ、およびマイクロルータは、弁を開閉するポリジメチルシロキサン(PDMS)等の変形可能な膜層を伴う流体層と、膜を変形させ、弁を作動させる作動(例えば、空気圧または水圧)層とを組み合わせることができる。流体層は、複数の構成を有することができる。いくつかの実施形態において、開放チャネル、しわ、または溝を、基板層のうちの1つの表面にエッチングすることができる。他の実施形態において、チャネルは、例えば、トンネル、管、またはビアの形態で、層の内部にあり得る。最上基板層にエッチングされた流体チャネルは、不連続的で、最上基板層の重なりにおいて対向する不連続的チャネルの橋渡しをする、第2の基板層の中のビアまたはポートにつながることができ、ビアは、弁座の役割を果たす。弾性層(例えば、PDMS)は、弁座に対して位置し、通常は2つのビアの間の流体経路を閉じる。PDMS膜の反対側で、層にエッチングすることによって形成される空気圧変位チャンバは、大規模な、またはより小さい減圧または圧力供給源に接続される。
【0048】
小型オフチップソレノイドを制御することによって、可撓性膜の単純変形により、弁を開く、または閉じるように、減圧または圧力(大気圧の約2分の1)をPDMS膜に適用することができ、例えば、膜への減圧の適用が、弁座から離して膜を撓ませることにより、弁を開く。
【0049】
本発明のダイヤフラム弁は、液体の所定の体積を変位し得る。ダイヤフラム弁は、弁が閉鎖または開放位置に移動させられたときに液体の所定の体積を変位し得る。例えば、弁が開かれたときにダイヤフラム弁内に含有される流体は、弁が閉じられたときにダイヤフラム弁から外へ移動させられる。流体は、マイクロチャネル、チャンバ、または他の構造の中へ移動させることができる。ダイヤフラム弁は、約1000、750、500、400、300、200、100、50、25、20、15、10、5、4、3、2、1、0.5、0.25、0.1、0.05、または0.01μLである、最大でほぼそれである、それよりも少ない、またはそれよりも大きい体積を変位させることができる。
【0050】
フロースルー弁およびインライン弁の変形例は、2つ、3つ、4つ以上、またはそれより多くのチャネルの交差点に位置する弁を含むことができる。弁座または他の構造は、流体が他のチャネルのうちの1つ以上の中で流れることを可能にしながら、弁の閉鎖がチャネルのうちの1つ以上の中の流動を防止または低減することができるように、設計することができる。例えば、5つのチャネルのうちの3つに沿って流動を遮断することができる一方で、流動は、5つのチャネルのうちの2つを通って継続することができる。フロースルー弁は、米国出願第12/026,510号およびWO2008/115626号(Jovanovichら)で説明されているように、T字形弁と呼ぶこともできる。
【0051】
3つが直列で配置されたとき、ダイヤフラム弁は、正変位ポンプとして機能するダイヤフラムポンプとして機能し得る(図11参照)。ダイヤフラムポンプは、自給式であり、3つの弁(4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20、あるいはそれより多くの弁を含むが、それらに限定されない)の動作を協調させることによって作ることができ、いずれか一方の方向へ流動を作製することができる。種々の流速は、作動シーケンスのタイミング、ダイヤフラムサイズ、チャネル幅および他のオンチップ寸法を変えることによって達成することができる。ルータは、これらの弁およびポンプから同様に形成することができる。ルータは、それぞれ中心ダイヤフラム弁に接続する別個のチャネル上の3つ以上の弁を使用して、形成することができる。ルータはまた、共通チャンバ、例えば、ポンプチャンバの中で接触するように、それぞれダイヤフラム弁を備える3つのチャネルを構成することによって、作製することもできる。バス構造も作製することができる。
【0052】
マイクロ流体チャネルに沿って配置されたダイヤフラム弁の実施例が図5に示されており、混合チャネル(110)に流体的に接続される、第1のチャネル(107)および第2のチャネル(108)を示す。第1のインラインダイヤフラム弁(507)は、第1のチャネルに沿って配置される。第2のインラインダイヤフラム弁(505)は、第2のチャネルに沿って配置される。2つのインライン弁(511および513)は、混合チャネルに沿って位置付けられる。ポンプは、流体経路に沿って直線的に位置付けられる3つのダイヤフラム弁によって形成することができる。例えば、弁507、511、および513は、第1のポンプを形成することができ、弁505、511、および513は、第2のポンプを形成することができる。中心に位置する弁である、弁511は、ポンプ弁であり得る。ポンプ弁は、本明細書で説明されるように、所望のストロークまたは変位容積を有することができる。第1のポンプは、第1のチャネルから混合チャネルへ、または逆もまた同様に、液体を移動させることができる。第2のポンプは、第2のチャネルから混合チャネルへ、または逆もまた同様に、液体を移動させることができる。第1のポンプは、第2のチャネルの中の流体流動が、第2のチャネル上に、または第2のチャネルに接続される他のチャネル上に位置付けられる弁505または別の弁の閉鎖によって遮断されている間に、操作することができる。
【0053】
図6は、混合チャネル110に接続される、第1のチャネル107および第2のチャネル108を示す。第1のチャネルを通って流れる流量は、インライン弁507によって制御することができ、第2のチャネルを通って流れる流量は、フロースルー弁505によって制御することができる。図5に示されるのと同様に、混合チャネルは、2つのインライン弁(511および513)を有することができる。
【0054】
図7は、3つのチャネルに沿って位置付けられたマイクロ流体弁の代替的な配列を示す。第1のチャネル107は、2つのインライン弁701および703を有することができ、第2のチャネル108は、2つのインライン弁705および707を有することができる。第1および第2のチャネルは、混合チャネル110に接続することができる。接合弁709は、第1のチャネル、第2のチャネル、および混合チャネルの間の交差点に位置付けることができる。接合弁の閉鎖は、第1のチャネル、第2のチャネル、および混合チャネルの中の流体流動を防止または低減することができる。接合弁709は、三角形であるか、または図13に示されるように成形される、弁座を有することができる。
【0055】
図8は、混合チャネル807に接続される、第1のチャネル801、第2のチャネル805、および第3のチャネル803を示す。弁およびチャネルは、図7に示された弁およびチャネルと同様に操作することができる。図8を参照すると、流体は、弁805および803の閉鎖によって第2のチャネルおよび第3のチャネルの中の流体の流動を防止または低減しながら、第1のチャネルから混合チャネルに移動させることができる。
【0056】
図9は、混合チャネル905に接続された、第1のチャネル903、第2のチャネル902、第3のチャネル904を示す。接合ダイヤフラム弁を、第1のチャネル、第2のチャネル、第3のチャネル、および混合チャネルの間の交差点に位置付けることができる。弁およびチャネルは、図8に示された弁およびチャネルと同様に操作することができる。
【0057】
図10に示されるように、混合チャネルは、可変断面積のチャンバを有することができる。チャンバの形状は、卵形201、球形、または長方形であり得る。本発明のいくつかの実施形態において、チャンバは、チャンバを通過する流体の混合を向上させるように不規則に成形することができる。弾性層は、チャンバの1つの壁を形成することができる。弾性層は、チャンバの容積が可変となるように変形させることができる。弾性層は、チャンバ内の混合が向上させられるような割合で変形させることができる。
【0058】
流体を送達するためにダイヤフラム弁を使用することにより、マイクロチャネルの中へ液体のボーラスを移動させることができる。本発明のいくつかの実施形態において、第1の流体のボーラスが、マイクロチャネルの中の第2の流体のボーラスに対して層状になるように、2つの異なる流体をマイクロチャネルの中へ送達することができる。第1の流体および第2の流体は、異なる流体であり得る。第1の流体および第2の流体は、異なる構成要素を備えることができる。流体は、試薬溶液およびサンプル溶液であり得る。試薬溶液は、磁性または常磁性ビーズを含有する溶液であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態において、本明細書のマイクロ流体チップデバイスは、サンプルまたは試薬(例えば、酵素、標識ヌクレオチド、親和性試薬)を含有することが可能な1つ以上の貯留部を含む。貯留部は、好ましくは、本明細書で開示されるマイクロチャネルまたは弁のうちの1つ以上に流体連結される。
【0060】
マイクロチップおよび毛細管上で流体を混合する能力が開示される。弁の適正な組み合わせを作動させることによって、チャネルまたは貯留部のうちの1つからの液体を中心ダイヤフラム弁に引き込み、流体回路の中の液体を追い出すように、異なるチャネルの中へ放出することができる。液体は、無制限に、被分析物、生体サンプル、化学および生化学試薬、緩衝剤、結合部分、ビーズ、磁性粒子、検出部分、および検定あるいは生化学または化学反応の実施で使用される他の材料を含むことができる。他の実施形態において、送達されている流体は、空気等の気体である。
【0061】
ダイヤフラム弁、ポンプ、およびルータは、耐久性があり、低費用で容易に製造され、密集したアレイで動作することができ、無効容積が小さい。ダイヤフラム弁、ポンプ、およびルータのアレイは、NanoBioProcessorマイクロチップ等のマイクロチップ上で容易に製造される。一実施形態において、マイクロチップ上の全てのダイヤフラム弁、ポンプ、およびルータは、PDMSのシート等の単一またはモノリシック膜を使用して、単純な製造過程で同時に作製される。チップ上に5つのダイヤフラムポンプを作製するには、500個を作製するのと同じ費用がかかる。この技術は、マイクロチップ上で複雑なマイクロおよびナノ流体回路を作製し、回路を使用することによって化学および生化学過程を統合する能力を提供する。したがって、本明細書の開示は、チップ上で単純および複雑なマイクロ、ナノ、およびピコ流体回路を作製する方法および能力を提供し、チップ上への事実上あらゆる反応または検定の実装を可能にする。一般に、この技術は、溶液イオン強度および表面汚染の変動に少なくとも実質的に無反応となり得て、適用された電場を必要としない。
【0062】
チップは、典型的には、複数の流体工学回路を備え、各回路は、外部入口および出口ポートと連絡しているマイクロ流体導管を備える。回路は、典型的には、チャネルと、弁、ルータ、ポンプ(例えば、直列の3つの独立して動作可能な弁)、およびチャンバ等の機能的要素とを備える。マイクロ流体デバイスのマイクロ流体回路の例示的な概略図が、図14に示されている。これは、共通ポート70を共有する3つの回路を示す。マイクロ流体回路は、サンプル入力領域または貯留部80から流体を移動させ、弁20においてそれらを試薬または他の材料と混合し、それらをマイクロ流体チップデバイス30、40、および60内の他の領域に送達することができる。2つまたは3つ以上の流体の流れを、適切な数の弁、ポンプ、およびチャネルの構成によって接合することができる。流れは、サンプル、試薬、緩衝剤、および他の構成要素を含有することができる。マイクロチャネル60、61、62、およびポート70は、幅および高さが可変であり得る。一実施形態において、サンプルおよび試薬は、インキュベーションおよび/または処理のために、マイクロチップの拡張シェルフ領域中の蛇行性チャネル60に送達され、次いで、ゲート弁50を通してマイクロ流体工学デバイス90の中の出力領域に戻される。処理されたサンプルはまた、領域40中の磁性ビーズ等の被分析物または他の構成要素の除去のための領域に移動させることもできる。個々の流体の流れは、10、20、30、40、および50等のダイヤフラム弁または他の弁を含む、3つ以上の弁を備えるポンプによって移動させることができる。弁は、変形可能な構造の作動、温度、圧力の変化で作製することができる。ダイヤフラムおよび他のマイクロ弁を使用して、2つ以上の流れを組み合わせることができる。一実施形態において、ダイヤフラム弁は、自給式であり、コンピュータ制御下にある。それらは、いずれか一方の方向に駆動されてもよく、マイクロ流体チップでバイス内の2つの領域にサンプルを移動させるように、またはアーカイブサンプルを形成するように、2つの一緒に接合されたポンプを単純に運転することによって、サンプルを2つの流れに分割するために、同じ回路を使用することができる。
【0063】
ある実施形態において、本発明のマイクロ流体デバイスは、モノリシックデバイスである。モノリシックデバイスでは、複数の回路が単一の基板上に提供される。ダイヤフラム弁を備えるデバイスの場合、モノリシックデバイスは、複数の弁用のダイヤフラムとして機能する、単一の弾性層を備える。ある実施形態において、1つの作動チャネルが、モノリシックデバイス上の複数の弁を操作することができる。これは、多くの流体回路の並行活性化を可能にする。モノリシックデバイスは、マイクロ流体回路の密集したアレイを有することができる。これらの回路は、部分的に、各回路の中のチャネルが、独立して作製され、ともに組み立てられるよりもむしろ、単一の基板上で同時に製造されるため、高い信頼性で機能する。
【0064】
ある実施形態において、チップは、複数の並列回路を備える。そのような実施形態は、図15に示されており、図15は、24個のサンプルに対して構成されたマイクロ流体工学チップを図示し、マイクロ流体チップデバイスの拡張シェルフ部分上の蛇行性パターンで配列された24個の流体回路のアレイを有する。
【0065】
これらのチップの流体回路および作動回路は、密集している。回路は、開放または閉鎖導管を備える。ある実施形態において、デバイスは、1000mm2あたり少なくとも1個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも2個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも5個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも10個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも20個の流体回路、1000mm2あたり少なくとも50個の流体回路を備えることができる。代替として、デバイスは、10mm2の面積あたり少なくとも1mmのチャネル長さ、10mm2の面積あたり少なくとも5mmのチャネル長さ、10mm2の面積あたり少なくとも10mmのチャネル長さ、または10mm2の面積あたり少なくとも20mmのチャネル長さを備えることができる。代替として、デバイスは、1cm2あたり少なくとも1個の弁、1cm2あたり少なくとも4個の弁、または1cm2あたり少なくとも10個の弁という密度で、弁(座弁または非座弁のいずれか一方)を備えることができる。代替として、デバイスは、縁間がわずか5mm離れている、わずか2mm離れている、わずか1mm離れている、わずか500ミクロン離れている、またはわずか250ミクロン離れている、チャネル等の特徴を備えることができる。
【0066】
他の実施形態において、デバイスは、1000mm2あたり多くても1個の流体回路、1000mm2あたり多くても2個の流体回路、1000mm2あたり多くても5個の流体回路、1000mm2あたり多くても10個の流体回路、1000mm2あたり多くても20個の流体回路、1000mm2あたり多くても50個の流体回路を備えることができる。代替として、デバイスは、10mm2の面積あたり多くても1mmの導管長さ、10mm2の面積あたり多くても5mmの導管長さ、10mm2の面積あたり多くても10mmの導管長さ、または10mm2の面積あたり多くても20mmの導管長さを備えることができる。代替として、デバイスは、1cm2あたり多くても1個の弁、1cm2あたり多くても4個の弁、または1cm2あたり多くても10個の弁という密度で、弁(座弁または非座弁のいずれか一方)を備えることができる。代替として、デバイスは、縁間が5mm以上離れている、2mm以上離れている、1mm以上離れている、500ミクロン以上離れている、または100ミクロン以上離れている、チャネル等の特徴を備えることができる。
【0067】
(3.反応基を伴う表面を有する基板に結合された表面コーティングを有するプラスチック基板を備えたデバイスを作製する方法)
本発明のデバイスは、反応基を有する材料でコーティングされた、またはその上に別の材料と共有結合するために反応基を導入することができる、表面を有する第1のプラスチック基板(例えば、物品または層)を備える。材料は、ヒドロキシル生成材料、つまり、例えば、エネルギーおよび酸素ガスを含む環境への暴露によって、その上にヒドロキシル基を導入することができる材料であり得る。そのような物品は、表面材料と反対面との間で、エーテル結合、例えば、シロキシ(Si−O−X)結合を通して、表面ヒドロキシル基、例えば、シラノール基を有する、第2の基板に共有結合することができる。両面がシラノール基を含む場合には、結合はシロキサン(Si−O−Si)結合であり得る。ある実施形態において、プラスチック物品の表面は、プラスチック物品が第2の基板に結合されない、少なくとも1つまたは複数の選択された場所(例えば、パターン)を備え、例えば、プラスチック物品の表面上の材料は、表面を、第2の基板の表面への結合に従事する反応基を含まない状態にするように、処理されている。ある実施形態において、物品は、第2の基板の第2の表面に結合された第3の基板を備える。第3の基板は、材料を含むプラスチックを含むことができ、または、それを通して第3の基板が第2の基板に化学的に結合される、ヒドロキシル基等の表面反応基を有する別の材料であり得る。
【0068】
本発明のデバイスの露出または機能表面の全体または一部は、例えば、それを第2の基板と反応しない状態にすることによって、非接着性の選択された場所であり得る。ある実施形態において、流体デバイスの動作中に弾性層と接触しそうな任意の表面が、非接着性の選択された場所であり得る。例えば、弁座の表面の一部または全体が、非接着性の選択された場所である。このように、弁は、製造または使用中に固く閉められる可能性が低く、したがって、より信頼性のある弁およびデバイスを生成する。また、弁またはポンプ本体の中の任意の他の露出表面の全体または一部もまた、弁本体を形成する作動層または流体工学層の中のチャンバの全体または一部を含む、第2の基板と反応しないようにさせることができる。具体的には、作動弁本体の表面は、非接着性の選択された場所であり得る。表面に露出される流体または作動チャネルの全体または一部もまた、非接着性の選択された場所となるように構成することができる。露出流体または作動表面の複数部分は、第2の基板と反応しないように構成することができ、弁の領域への第2の基板、例えば、エラストマーの選択的結合を可能にする。
【0069】
本発明のデバイスは、非常に低い故障率を有する。チップは、少なくとも1つの流体回路が機能できないときに、故障したと見なされる。故障は、例えば、層間の結合が失敗したときのサンドイッチの剥離に、または弾性層に暴露される層表面上の弁座、弁チャンバ、またはチャネルへの粘着等の、流体工学または弾性層の機能的部分への弾性層の粘着に起因し得る。
【0070】
本発明のデバイスは、より高い信頼性を果たすことができる。本発明によるチップのバッチは、20%未満、10%未満、1%未満、または0.1%未満の故障率を有する。本発明の弁は、1,000回の作動、10,000回の作動、または100,000回の作動にわたって、1%未満の故障率を有することができる。バッチは、少なくとも10個、少なくとも50個、または少なくとも100個のデバイスであり得る。
【0071】
(3.1.プラスチック物品)
本発明の物品およびデバイスは、反応基を含む、その上に反応基を導入することができる材料のコーティングを備える、プラスチック基板を備える、プラスチック層または物品を備える。コーティングは最初に、プラスチック基板の結合表面の全体または一部を覆うように適用することができる。ある実施形態において、材料は、選択された場所を作製するように、除去され、またはそうでなければ第2の物品の表面との結合に利用不可能な状態にされる。
【0072】
(3.1.1.プラスチック基板)
デバイスのプラスチック層、例えば、流体工学および/または作動層は、任意のプラスチックでできていてもよい。これは、無制限に、ポリカーボネート、オレフィン共重合体、シクロオレフィンポリマー(「COP」)(例えば、Zeonor)、シクロオレフィン共重合体(「COC」)(例えば、TopazTM)、アクリル、液晶ポリマー、ポリメチルメトキシアクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリチオールを含む。本発明のある流体デバイスでは、プラスチック基板は、約0.1mm以上、例えば、約0.25mmから約5mmの厚さを有する、平坦および/または剛性物体であり得る。可撓性ダイヤフラム層を備える、本発明のあるマイクロ流体デバイスでは、流体工学および作動層は、弾性層よりも剛性が高い。
【0073】
いくつかの実施形態において、第2の層と結合されるプラスチック基板の表面は、機能的要素のパターンを備える。特徴は、いくつかの方法で、プラスチック基板の噛合表面上に導入することができる。熱エンボス加工、レーザ切断、および射出成形が有用である。プラスチック基板は、熱エンボス技法を使用して、プラスチックから作ることができる。構造は、プラスチックの表面にエンボス加工される。次いで、この表面は、流体層が複数の積層の中にチャネルおよびビアを備える構成で、弾性層と、または別のプラスチック層と噛合されてもよい。射出成形は、プラスチック基板を作製するために使用することができる別のアプローチである。射出成形は、COC、COP、およびポリカーボネート等のプラスチックに特に有用である。ソフトリソグラフィもまた、機能的要素、例えば、導管および中断部を作製するために利用されてもよい。そのような構造は、閉鎖導管を作製するように、別の基板に結合することができる。さらに別のアプローチは、意図された構造のネガティブレプリカを有するマスタ上でのUV線または温度硬化性エポキシの使用を通した、障害物を作製するためのエポキシ鋳造技法の使用を伴う。レーザまたは他の種類のマイクロマシニングアプローチ(アブレーション)もまた、流量チャンバを作製するために利用されてもよい。CO2レーザを使用したレーザ切断が、アクリルからデバイスを作製する費用効果的な方法である。デバイスの製造に使用されてもよい他の好適なポリマーは、ポリカーボネート、ポリエチレン、およびポリ(メチルメタクリレート)である。加えて、鋼鉄、青銅、ニッケル、およびニッケルコバルト合金のような金属もまた、例えば、従来の金属機械加工によって、本発明のデバイスのマスタを製造するために使用されてもよい。3次元製造技法(例えば、ステレオリソグラフィ)が、1つの部品でデバイスを製造するために採用されてもよい。製造のための他の方法が、当該分野で公知である。
【0074】
マイクロ流体デバイスは、典型的には、所与の過程または検定のためのサンプルおよび試薬を操作するように設計および構成することができる、複数のマイクロチャネルおよびビアを備える。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、同じ幅および深さを有する。他の実施形態において、マイクロチャネルは、異なる幅および深さを有する。別の実施形態において、マイクロチャネルは、サンプルから分離された最大の被分析物(最大の細胞等)と等しい、またはそれよりも大きい幅を有する。例えば、いくつかの実施形態において、マイクロ流体工学チップデバイスの中のマイクロチャネルは、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、または300ミクロンよりも大きい幅を有することができる。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、最大で100、90、80、70、60、50、40、30、または20ミクロン以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、微細構造の中のマイクロチャネルは、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150ミクロンよりも大きい深さを有することができる。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、最大で100、90、80、70、60、50、40、30、または20ミクロン以下の深さを有する。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、相互に平行である側壁を有する。いくつかの他の実施形態において、マイクロチャネルは、相互に平行である最上部および底部を有する。いくつかの他の実施形態において、マイクロチャネルは、異なる断面を伴う領域を備える。いくつかの実施形態において、マイクロチャネルは、楔形チーズの形状の断面を有し、楔形の尖った端は、下流に方向付けられる。
【0075】
(3.1.2.コーティング)
プラスチックは、利用可能な反応基を含む材料でコーティングすることができる。具体的には、反応基は、シラノール基等のヒドロキシル基であり得る。その上にヒドロキシルを導入することができる材料は、無制限に、シロキサンおよび酸化物を含む。
【0076】
(3.1.2.1.シロキサンコーティング)
プラスチックは、シロキサン、例えば、ポリシロキサンでコーティングすることができる。そのような材料は市販されている。シランコーティングは、例えば、米国特許第4,113,665号(Lawら)、同第4,847,120号(Gent)、同第5,275,645号(Ternoirら)、および同第6,432,191号(Schutt)において説明されている。光学用途で使用される耐引っ掻き性コーティングが有用である。市販の材料は、例えば、3M 906 Abrasion Resistant Coating(3M(登録商標))、Duravue(TSP,Inc.、Batavia OH)、PSX(Coatings West、Brea、CA)、およびGR−653LP(Techneglas、Perrysberg、OH)を含む。Momentive Performance Materialsからのシリコーンが有用なコーティングである。SHC 5020は、アクリルに特に有用であり、PHC 587は、ポリカーボネートおよびCOCに特に有用である。これらのコーティングは、浸漬、噴射等の周知の方法によってプラスチックに適用することができる。
【0077】
そのような材料でコーティングされたプラスチックは市販されている。それらは、例えば、3M 906を使用するAcrylite AR(登録商標)(Evonik Industries)、およびTEC−2000(ACP Noxtat,Santa Ana,CA)を含む。
【0078】
本発明で有用な別のシランベースのコーティングは、US2009/0269504号(Liao、2009年10月29日)において説明されている。方法は、(a)UV硬化性基と、熱硬化性シラン基と、UV硬化性基および熱硬化性シラン基を接続する少なくとも2つの炭素原子を有する、架橋基とを処理する、二重硬化性オルガノシランを提供するステップと、(b)シラン基を対応するシラノール基に変換してオルガノシラノールを提供するように、水および溶媒の存在下で二重硬化性オルガノシランの酸加水分解を実行するステップと、(c)オルガノシラノールをシリカと共有結合するようにシリカ粒子の表面上に存在する−OH基を用いて、ステップ(b)のシラノール基のわずか一部分を凝縮するステップと、(d)流体コーティング混合物を提供するように、光開始剤および熱効果触媒を、凝縮するステップ(c)に起因するオルガノシラノールと組み合わせるステップと、(e)流体コーティング混合物を基板に適用するステップと、(f)コーティング混合物を乾燥させるステップと、(g)オルガノシラノールのUV線硬化性基を架橋して、ハードコートを損傷することなく、コーティングされた基板の形成を可能にするのに十分な可撓性を有するハードコートを提供するように、乾燥したコーティング混合物にUV線放射を受けさせるステップと、(h)完全に硬化したハードコートを提供するように、凝縮していないシラノール基の凝縮を引き起こすのに十分な温度まで、ステップのコーティングされた基板を加熱するステップとを伴う。
【0079】
本発明で有用なPDMSを基板に結合する方法は、WO2010/042784号(Leeら、2010年4月15日)において説明されている。方法は、少なくとも2つのシラン誘導体基を含む分子を、第1の表面、例えば、プラスチックと関連付けるステップと、第2の表面、例えば、PDMS等の可撓性エラストマーと接触するステップとを伴う。
【0080】
(3.1.2.2.酸化物コーティング)
プラスチック基板は、その過程が、第2の物品と結合するための酸化物表面を備えるプラスチック層を提供するステップと適合する限り、プラスチックの任意の機能表面の作製前または後に酸化物でコーティングすることができる。酸化物は、金属酸化物、例えば、酸化アルミニウムまたは酸化チタンであり得る。別の実施形態において、プラスチックの層は、金属箔、例えば、アルミニウム箔の層に接着させることができる。そのような金属箔の表面は、空気への暴露時に酸化し、金属酸化物のコーティングを作製する。この過程は、加熱および/または増加した濃度の酸素への暴露によって加速することができる。金属箔は、約10nmから約0.1mmの厚さを有することができる。
【0081】
金属酸化物は、表面への金属酸化物の接着を促進する高融点金属等の別の材料ですでにコーティングされている表面に適用することができる。高融点金属は、例えば、クロム、チタン、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、およびレニウムを含む。クロム層は、金属が接着することを可能にするほど厚い、例えば、25オングストロームから1000オングストロームの間、例えば、約25オングストロームから520オングストロームの間、例えば、約30オングストローム、または約100オングストロームであれば十分である。金属酸化物層はまた、ちょうど表面を覆うように薄く、結合のために十分なヒドロキシルを提供することができる。したがって、金属酸化物層は、25オングストロームから1000オングストロームの間、例えば、約30オングストローム、または約100オングストロームであり得る。金属は、スパッタリング、蒸発、またはコーティングされる表面を露出するシャドーマスクを使用した原子層堆積によって、あるいは他の技法によって適用することができる。スパッタリングは、例えば、RfまたはDCエネルギーを使用することができる。よって、例えば、クロムの30オングストローム層を選択的表面に適用することができ、その後に酸化チタンの30オングストローム層が続く。
【0082】
酸化物は、半導体酸化物の層、例えば、基板上に堆積された酸化ケイ素または酸化ゲルマニウムを含むことができる。代替として、基板は、シリコンまたはゲルマニウム材料(例えば、シリコンウエハまたはゲルマニウムウエハ)となり得、その表面は、半導体酸化物を含む。
【0083】
酸化物は、当該分野で公知である、いくつかの異なる方法によって、プラスチック基板上に堆積させることができる。これらのうちのある方法は、選択された場所が酸化物でコーティングされない、パターン化基板を生成するステップに特に適合する。プラスチックの表面は、例えば、酸素プラズマで清掃すること、または当該分野で公知のプラスチック表面を清掃する任意の方法によって、調製することができる。
【0084】
(3.1.3.コーティング方法)
以下は、コーティング方法の非包括的リストである。
【0085】
(3.1.3.1.化学蒸着(CVD))
プラスチック基板上に材料を提供する1つの方法は、例えば、露出区画の中への蒸気の拡散によって、化学蒸着(CVD)システムを用いて材料を堆積させることである。
【0086】
(3.1.3.2.プラズマ支援化学蒸着(PECVD))
プラズマ支援化学蒸着過程(PECVD)によって材料を堆積させることができる。チャンバは、数ミリトールまで排気される。コーティング材料の気体がリアクタに導入される。気体は、DC、AC、または無線周波数等の放電に暴露される。これは、気体をプラズマに電離し、露出表面上で再形成する。
【0087】
(3.1.3.3.物理蒸着(PVD)(スパッタリングまたは蒸発))
別の方法では、コーティング材料およびコーティングされる表面をチャンバの中に配置することができる。コーティング材料、例えば、酸化性金属、例えば、チタンが、アルゴン等の不活性ガスをかけられる。放出された材料は、例えば、約100Aから500Aの厚さまで、表面をコーティングする。更なるステップでは、コーティングは、アルゴン/空気スパッタエッチングを使用して酸化させられる。これは、表面上に金属酸化物層を生成する。
【0088】
(3.1.3.4.液体の適用)
表面をコーティングする別の方法は、例えば、流動または浸漬によって、表面上にコーティング材料を含む液体を適用するステップを含む。
【0089】
(3.1.3.5.原子層堆積(ALD))
原子層堆積では、材料の薄膜が、一連のサイクルを通して適用される。各サイクルは、表面が化学物質に暴露される、一連のステップを含む。ステップは、所望の材料を形成する反応をもたらす。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)または酸化チタンコーティングは、その後にウエハへの暴露が続く、トリメチルアルミニウムへの暴露の複数のサイクルへ表面を暴露させることによって、設置することができる。
【0090】
(3.1.4.選択された場所)
概して、プラスチック物品の表面が第2の基板に結合しない、選択された場所は、選択された場所を処理することによって作製される。また、選択された場所が覆いから保護されている間に、材料を表面上に設置することができる。選択された場所を作製する3つの方法は、リフトオフ過程、アブレーション、および材料を覆うことを含む。代替として、これらの過程は、ヒドロキシル基が材料の表面上に導入された後に実行することができる。
【0091】
(3.1.4.1 フォトレジストパターン化マスクを使用したリフトオフ過程)
第2の基板に結合しないように選択された場所で材料を中和する1つの方法は、材料の堆積前に、材料が選択された場所でプラスチック基板上に堆積させられる、リフトオフ過程である。次いで、材料が堆積させられた後に、材料および材料は選択された場所から除去される。例えば、シャドーマスクが、適切な場所に開口部を含有する適切な材料で作られる。層がマスクと重ね合わせられ、適正に整合されると、コーティングされる表面が露出される。マスクの実施例は、ガラス、金属シート、箔、または半導体ウエハを含む。この過程に有用なマスクの一部分の実施例は、図16Aおよび16Bに示されている。この場合、ビア層122は、エッチングされたチャネル、例えば、124と、弁座129と、弁座を備えない流体弁本体131と、ビア、例えば、126および127とを備える、接触表面106を有する。マスク1601は、弁本体/弁座と噛合する、穴、例えば、1629と、弁座がない弁本体と噛合する、穴、例えば、1631とを有する。図16Bのように噛合されると、穴は、取り外し可能エネルギー材料でコーティングされる機能表面を露出させる。図17Aおよび17Bは、弁座と噛合するが、流体便本体とは噛合しない穴を備える、シャドーマスクを示す。1つのそのような方法では、ネガティブフォトレジスト、例えば、DNQが、パターン化マスクを使用して、選択された場所で堆積させられる。酸化物は、表面上に堆積させられる。次いで、フォトレジストは、溶媒中で溶解させられ、プラスチック表面を露出する。
【0092】
(3.1.4.2.アブレーション)
別の方法では、酸化物が、アブレーションによって選択された場所で表面から除去される。材料は、酸化物が除去される場所に方向付けられるレーザエネルギーを使用することによって切除することができる。また、レーザの出力は、プラスチック表面の複数部分を除去するように選択することができ、例えば、わずかにくぼんだ弁座も作製する。
【0093】
(3.1.4.3.材料の被覆)
別の実施形態において、選択された場所において材料を別の材料で覆うことによって、第2の基板に結合する材料の能力を中性にすることができる。他の材料は、任意の適切な方法によって選択された場所に設置することができる。これらは、例えば、化学蒸着、プラズマ支援化学蒸着、および上記で説明される他の方法を含む。典型的には、表面の一部分のみがコーティングされる場合、基板は、コーティングされることが所望される領域を露出するマスクで覆われる。そのようなコーティングのための方法および材料は、2009年7月21日出願の米国仮出願第61/227,186号(Blagaら)でより詳細に説明されている。
【0094】
(3.2 反応性ヒドロキシル基を伴う第2の基板)
コーティングされた表面を備えるプラスチック層は、反応性ヒドロキシル基を伴う表面を有する基板に結合される。典型的には、ヒドロキシル基は、反応のために高温条件を必要とする。しかしながら、シラノール等のあるヒドロキシル基は、シラノール結合を生成する縮合反応で、他のヒドロキシル基と容易に反応する。また、第2の基板が弾性層であるとき、弾性層の弾性の性質は、層がプラスチック表面のより良好に一致することを可能にし、結合を強化する。
【0095】
基板は、その上に表面シラノールを導入することができる任意の基板であり得る。これは、シランでコーティングされた材料を含む。具体的には、シリコーンは、その上にシラノールを導入することができるシロキサン基を含む。
【0096】
本発明のある実施形態において、基板は、弾性特性を有し、本発明のデバイスのダイヤフラム弁の中のダイヤフラムとして機能することができる。この場合、層は、弾性層と呼ぶことができる。弾性層は、典型的には、減圧または圧力がそれに及ぼされたときに変形することができ、減圧または圧力の除去時に、変形されていない状態に戻ることができる物質、例えば、エラストマー材料で形成される。変形寸法が、10mm未満、1mm未満、500μm未満、または100μm未満で測定されるため、必要とされる変形が軽減され、多種多様な材料が採用されてもよい。概して、変形可能な材料は、約0.001GPaから2000GPaの間、好ましくは、約0.01GPaから5GPaの間の範囲を有する、ヤング係数を有する。シランを含む変形可能な材料の実施例は、シリコーン(例えば、ポリジメチルシロキサン)を含む。典型的には、弾性層は、平坦なシート、例えば、彫刻されていないシートで形成される。
【0097】
流体チャネルまたは作動チャネルが弾性層上に開口する、またはそうでなければ弾性層と接触している点で、弁等の機能デバイスを形成することができる。そのような弁は、図3Aおよび3Bの断面図で描写されている。流体工学層および作動層の両方は、チャネルを外面に接続するポートを備えることができる。そのようなポートは、流体工学マニホールド、例えば、カートリッジ、または空気圧マニホールドに係合するように適合することができる。
【0098】
(3.3.弾性層の調製)
PDMS等の弾性層と流体工学および作動層との間の密封を向上させるために、弾性層は、流体工学および弾性層の表面上で反応基、例えば、ヒドロキシル基と反応する表面上で反応基を活性化するように、処理を受けることができる。
【0099】
例えば、一実施形態において、弾性層は、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)等のシリコーンポリマー(ポリシロキサン)を含む。シリコーンは、典型的には、部分的にはそれらの表面上の豊富なメチル基により、撥水性である。ポリシロキサンと、ヒドロキシル等の反応基を含む基板(例えば、ガラス)との間の結合の強度を増加させるために、UVオゾン、コロナ放電、プラズマ酸化、または表面上にシラノール基(Si−OH)を配置する他の方法によって、シロキサンをより親水性にすることができる。活性化PDMSが、活性ヒドロキシル基を含むガラスまたは他の材料と接触させられ、好ましくは、熱および圧力を受けると、縮合反応が水を産生し、例えば、シロキサン結合を通して、2つの層を共有結合する。これは、表面間に強力な結合を生成する。しかしながら、弁が機能的になるために、弾性層は、弁座に結合することができず、好ましくは、弁のいずれの表面にも、または弾性層に対面する流体または弾性層の表面内のいずれのチャネルにも結合しない。低エネルギーコーティングが、結合を防止する一実施形態である。
【0100】
(3.4.デバイスの組み立て)
本発明のデバイスは、弁、ポンプ、貯留部、およびチャネル等の機能部分が流体の漏出を防止するよう密封され、弾性層が機能的露出表面に粘着しないように組み立てられる。
【0101】
1つの方法では、層は、共有または非共有結合(例えば、水素結合)でともに結合されることによって密封される。これは、サンドイッチとして、層、例えば、流体工学、弾性、および作動層をともに噛合し、圧力および熱を適用することによって達成することができる。例えば、弾性層が、表面をより親水性にするよう上記のように処理されたPDMS等のシリコーンを含み、流体工学および作動層が、表面ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされるときに、100kgから500kg、例えば、約300kgの圧力で部品をともに押し付けることができる。それらは、使用される温度および圧力に応じて、約5分から約30分、例えば、約10分間、25℃から100℃の間、例えば、約90℃で、または約150℃で焼くことができる。これは、弾性層と密封表面との間の結合を硬化させる。層をともに結合した後、導管は、例えば、PEG(例えば、PEG−200)または1−2プロパンジオール(Sigma #398039)で洗浄することができる。
【0102】
(3.5.低表面エネルギー材料を含む機能的露出表面)
それらの表面エネルギーを減少させるように処理された機能表面を有する、本発明のデバイスも提供することができる。低表面エネルギーは、それが付着される、流体工学または作動層への弾性層の粘着を減少させる。弾性層が、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)等のシリコーンであるとき、処理された表面の水接触角は、少なくとも90°、少なくとも100°、少なくとも115°、少なくとも120°、または少なくとも140°となるべきである。(例えば、2010年5月27日出願、Blagaらの米国特許出願第12/789,186号を参照)。
【0103】
多くの材料が、露出表面上で低表面エネルギーを生成するように有用である。一実施形態において、材料は、ペルフルオロ化ポリマーまたはポリ(p−キシリレン)(例えば、パリレン)等の低エネルギーポリマーである。Teflonは公知の低表面エネルギー材料であり、同様に不活性かつ生体適合性である。材料は、自己集合単分子層であり得る。自己集合単分子層は、例えば、クロロシランを含むシランで、またはチオールアルカンで作製することができる。それらは、典型的には、約5オングストロームから約200オングストロームの間の厚さを有する。低エネルギー材料は、金属(例えば、金、銀、また白金等の貴金属)であり得る。低表面エネルギー表面を提供するために使用することができる他の材料は、硬質ダイヤモンド、ダイヤモンド状炭素(DLC)、または金属酸化物(例えば、チタニア、アルミナ、またはセラミック)を含む。
【0104】
ペルフルオロ化ポリマーは、例えば、フッ素化ガスから堆積させられたTeflon様材料、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン、Teflon(登録商標))、PFA(ペルフルオロルコキシポリマー樹脂)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、ETFE(ポリエチレンテトラフルオロエチレン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、ECTFE(ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、およびPCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)を含む。材料は、約100オングストロームから約2000オングストロームの厚さを有することができる。
【0105】
一実施形態において、材料は、金等の貴金属を含む。貴金属は、コーティングされる表面に直接適用することができる。また、貴金属は、上記で説明されるように、表面への貴金属の接着を促進する高融点金属等の別の材料ですでにコーティングされている表面に適用することができる。一実施形態において、材料は、金等の貴金属を含む。貴金属は、コーティングされる表面に直接適用することができる。また、貴金属は、上記で説明されるように、表面への貴金属の接着を促進する高融点金属等の別の材料ですでにコーティングされている表面に適用することができる。高融点金属は、例えば、クロム、チタン、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、およびレニウムを含む。例えば、クロムの1000オングストローム層を、選択的表面に適用することができ、その後に金の2000オングストローム層が続く。クロム層は、金が付着することを可能にするほど厚い、例えば、少なくとも30オングストローム、少なくとも50オングストローム、少なくとも100オングストローム、少なくとも500オングストローム、または少なくとも1000オングストロームであれば十分である。貴金属もまた、弾性層の結合を阻止するほど厚ければ十分である。例えば、貴金属は、少なくとも50オングストローム、少なくとも100オングストローム、少なくとも500オングストローム、少なくとも1000オングストローム、または少なくとも2000オングストロームの厚さを有することができる。金属は、スパッタリング、蒸発、またはコーティングされる表面を露出するシャドーマスクを使用した原子層堆積によって、あるいは他の技法によって適用することができる。スパッタリングは、例えば、RfまたはDCエネルギーを使用することができる
(3.6.結合官能性でコーティングされた弁および区画表面)
流体工学層の中のある機能表面は、それが付着される化学または生化学結合官能性を有するように官能化することができる。これらの表面は、典型的には、弁座付き弁または弁座がない弁の機能表面を含む。種々の実施形態において、作動層の中のチャンバに対向しない流体工学層の中のチャネルまたはチャンバ等の、弁の一部ではない弁座および/または機能表面である。これらの材料は、被分析物に選択的または特異的に結合することができる。例えば、結合官能性は、核酸、金属または金属キレート、炭水化物、または抗体あるいは抗体様分子、酵素、ビオチン、アビジン/ストレプトアビジン等のタンパク質であり得る。
【0106】
これらの材料は、当該分野で公知である任意の付着化学反応によって、表面、例えば、弁チャンバ表面に結合することができる。例えば、表面は、アミノシランまたはアクリルシラン等の官能化シランで誘導体化することができ、官能基は、結合官能性を備える分子上の反応基と反応させることができる。
【0107】
(4.システム)
流体システムは、流体アセンブリと、作動アセンブリとを備えることができる。流体アセンブリは、(1)流体導管を備えるマイクロ流体デバイスの流体部分と、(2)マイクロ流体デバイス上のポートと噛合または整合し、流体を流体導管の中へ送達するように構成される流体マニホールドと、(3)流体を流体マニホールドに、またはマイクロ流体導管に直接送達するように構成される、ロボット等の流体送達アセンブリとを備えることができる。作動アセンブリは、(1)作動導管を備えるマイクロ流体デバイスの作動部分と、(2)マイクロ流体デバイス上のポートと噛合または整合し、作動物を作動導管マイクロ流体デバイスの中へ送達するように構成される作動マニホールドと、(3)流体を作動マニホールドに、または作動導管に直接送達するように構成される、作動物送達アセンブリとを備えることができる。作動物送達アセンブリは、正圧または負圧供給源を備えることができ、伝送ラインを通して作動導管に接続することができる。器具はまた、付属アセンブリを備えることもできる。1つのそのようなアセンブリは、流体導管の中の流体の温度を制御するように構成される温度コントーラである。別のアセンブリは、例えば、磁力に反応する粒子を含むことができる、器具上の容器に磁力を適用するように構成される、永久磁石または電磁石等の磁力供給源である。別のアセンブリは、分析アセンブリ、例えば、流体アセンブリからサンプルを受容し、サンプル中の別個の種の検出を補助するキャピラリ電気泳動等の手順を行うように構成されるアセンブリである。別のアセンブリは、器具の中の被分析物、例えば、蛍光または発光種を検出する、検出器、例えば、光学アセンブリである。器具はまた、種々のアセンブリを自動的に操作するように構成される制御ユニットを備えることもできる。制御ユニットは、例えば、器具が適合される手順で使用されるステップのシーケンスを実行することによって、アセンブリを操作するコードまたは論理を備える、コンピュータを備えることができる。
【0108】
(5.デバイスを使用する方法)
本発明のデバイスは、流体サンプルで反応を行うために使用することができる。典型的には、それは、液体を流体導管に送達するように構成されるアセンブリと、圧力を空気圧導に連絡するように構成される正圧および/または負圧供給源と、特定の時間に、または特定の順序で、デバイスの中への流体の導入を指図する、および/または事前にプログラムされた順序で弁の動作を制御する、論理を備えるコンピュータとを含む、システムの一部となる。
【0109】
Tecanロボット等の流体工学ロボットは、流体を流体工学層の中のポートにロボットで追加することができる。作動層は、空気圧層の中のポートを正圧または負圧供給源と噛合する、空気圧マニホールド等のマニホールドと係合することができる。ある実施形態において、単一の空気圧チャネルは、複数の異なる流体導管の中の弁を並行して操作する。次いで、種々の順序で弁を空気圧によって作動させることによって、液体をチャンバ間に送達することができる。チャンバには、反応を可能にするように試薬を提供することができる。
【0110】
一実施形態において、器具は、サンプルおよび試薬を隔離領域に導入し、次いで、反応が完了した後にそれらを回復領域の中へ移動させて、後続の分析のためにサンプルの採取を可能にするようにプログラムすることができる、コンピュータを備える。別の実施形態において、マイクロ流体工学デバイスは、反応したサンプルを貯留部または流体域の中へ移動させ、付加的な反応のために、付加的な反応試薬を追加してサンプルを隔離領域に再導入するようにプログラムすることができる。他の実施形態において、マイクロ流体工学デバイスは、反応したサンプルを貯留部または流体域の中へ移動させ、例えば、結合部分でコーティングされた磁気ビーズを捕捉するために磁場の使用を通して、関心の被分析物の物理的分離のために、捕捉試薬を追加し、次いで、サンプルを捕捉領域の中へ移動させるようにプログラムすることができる。他の実施形態において、マイクロ流体工学デバイスは、反応したサンプルを貯留部または流体の流れの中へ移動させ、後続の分析のために、検出試薬または部分を追加し、次いで、サンプルを回復領域の中へ移動させてサンプルの採取を可能にするようにプログラムすることができる。ダイヤフラム弁の中、またはマイクロ流体デバイスのシェルフ領域または他の部分のチャネル内のサンプルを調べるために、当該分野で公知である、レーザ誘起蛍光ラマン、プラズモン共鳴、免疫捕捉、およびDNA分析デバイス等の検出デバイスを使用することができる。例えば、WO2008/115626(Jovanovich)を参照されたい。モノリシック膜を有するマイクロ流体デバイスが、チップ上に検出システムを実装するための特に好適なデバイスの一実施例である。種々の実施形態によれば、検出システムはまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、およびキャピラリ電気泳動(CE)機構等の免疫捕捉およびDNA分析機構を含むこともできる。
【0111】
図14は、サイクルシークエンシング核酸分析用のサンプルを調製するために使用することができる、マイクロ流体デバイスの実施例を示す。この設計では、ウェル80に導入された核酸サンプルを移動させ、ダイヤフラム弁20において、ウェル70に導入されたサイクルシークエンシング試薬および酵素と混合し、弁10、20、30、および40の作動によって、隔離領域の蛇行性チャネル60の中へ送達することができる。代替として、弁10、20、30、および50が、送達に使用されてもよい。試薬およびサンプルの混合は、本明細書で説明されるように行うことができる。代替として、試薬を移動させる複数組のポンプ弁(弁10、30、および40)およびサンプルを移動させる複数組のポンプ弁(弁20、30、および40)を使用することによって、試薬およびサンプルの複数のボーラスを、マイクロチップのマイクロ流体チャネルの中へ連続的および/または交互に移動させることができる。試薬およびサンプルは、弁20の中で組み合わせられ、弁40に達する前に混合することができる。次いで、混合した試薬およびサンプルは、マイクロ流体デバイスの隔離領域上に位置する蛇行性チャネル60の中へ送達することができる。隔離領域が温度調節器と熱接触しているため、シェルフの反応領域に導入されたサンプルは、操作者によって選択される制御条件下で加熱または冷却することができる。試薬およびサンプルは、サイクルシークエンシングのための熱的条件を受けることができる。一実施形態において、サンプルは、弁を通してシェルフ領域に導入することができ、チャンバを包囲する弁、例えば、40および50は、温度調節器によって、サンプルの熱サイクリングまたは他の熱的に制御された反応条件のために閉じることができる。優れた容積対表面比、および約100倍長い経路長は、より高い容積対表面比による、サンプル調製生化学および温度調節に便益をもたらす。サイクルシークエンシング後、サンプルおよび/または反応混合物は、ウェル80に移動させることができる。サンプルおよび/または反応混合物が磁気ビーズと混合されるように、結合部分を有してもよい磁気ビーズをウェル80に導入することができる。本発明のいくつかの実施形態において、磁気ビーズは、カルボキシル基でコーティングされ、核酸を吸収することができる。次いで、吸収された核酸を伴う磁気ビーズは、捕捉領域40へとさらに移動させ、磁場の適用によって捕捉することができる。磁場によるビーズの捕捉は、捕捉弁の変形を伴うことができる。磁場は、本明細書で説明される磁気アセンブリの作動によって適用することができる。捕捉弁は、チャンバサイズが増大させられるように変形させることができる。捕捉弁の増大したサイズは、チャンバを通して流速を低減することができる。磁気ビーズは、ビーズが磁場によって捕捉されている間に洗浄することができる。オンチップダイヤフラムポンプ、例えば、10、20、30、および40は、結合された精製核酸を伴う緩衝剤で洗浄されてもよい、ビーズを移動させることができる。ビーズは、除去ポート90のうちの1つに移動させることができ、または熱の局所適用によって放出されるか、または水あるいは緩衝剤で溶出されていてもよい核酸は、除去ポート90のうちの1つに移動させることができる。
【0112】
別の実施形態において、デバイスは、DNA配列決定用途のための反応の複数のステップを統合するようにプログラムされる。共通試薬貯留部70は、サンプル貯留部80の中へ装填されたDNA含有サンプルと混合されるサイクルシークエンシング試薬を装填され、サンプルは、一実施形態において、PCR、プラスミド、または配列決定される他の核酸増幅産物である。サンプルおよびサイクルシークエンシング試薬を含有する混合物は、マイクロ弁を使用するプログラム可能な流体工学によって、熱サイクリングを使用してサイクルシークエンシング反応が行われる、デバイスの拡張シェルフ領域上に位置する反応チャンバ60へと移動させることができる。次いで、サイクルシークエンシング物品は、さらなる処理のために、デバイスから外れた移動のための物品貯留部90へと移動させることができ、または好ましい実施形態において、サイクルシークエンシング物品が、貯留部へと移動させられ、Agencourt SPRIビーズ等のビーズが、ビーズに結合された所望のサイクルシークエンシング物品を有し、塩お、よび組み込まれていない染料標識ターミネータまたはプライマから物品を分離するように、適切な化学的性質を伴うサイクルシークエンシング物品に追加される。サイクルシークエンシング物品をビーズに結合するよりもむしろ、サイクルシークエンシング物品が溶液中に残され、塩および組み込まれていない染料がビーズに結合される、逆を行うことができることは、当業者に明白である。ビーズという用語は、無制限に、粒子、常磁性粒子、ナノ粒子、モノリス、ゲル、親和性捕捉性質または非特異的性質を伴うゲルを含むように使用される。
【0113】
ビーズおよびサイクルシークエンシング物品が貯留部80の中に含有された場合、組み合わせられた混合物は、マイクロ弁20および30を通して、開かれ、固定または可動磁石を近接して有してもよい、マイクロ弁40へと送達される。常磁性であるSPRIビーズ等のビーズは、流動が開放マイクロ弁の中で減速するにつれて捕捉され、ビーズは、磁場で捕捉される。例えば、チャンバに入るビーズが磁石によって及ぼされる磁力によって捕捉されるように、弁を開くことができ、本発明の磁石アセンブリに含まれるような磁石を、弁に近い機能的位置に移動させることができる。
【0114】
エタノール等の流体が、貯留部に追加されてもよく、次いで、ビーズを処理し、塩および組み込まれていない染料標識反応物等の所望されない不純物を除去する。次いで、ビーズへの力を解放するように、磁石を除去することができる。次いで、ビーズが物品貯留部90へ送達されてもよく、または、サイクルシークエンシング物品を水の中へ溶出させることができ、次いで、それは物品貯留部90へ送達される。サイクルシークエンシングのために、溶出した物品は、分離によりCAEまたはマイクロチップ等の別個のデバイス上で分析される準備ができている。異なる貯留部が他の構成を有してもよく、単一のサンプルで3つの異なる反応を行うように、単一のサンプルを貯留部70に追加することができ、複数の試薬が貯留部80に追加されてもよいことが、当業者に明白である。
【実施例】
【0115】
(実施例1) 耐アブレーションコーティングを伴うプラスチックにPDMSを結合する
I.ウエハ製造
基板材料は、3mmの厚さを伴うCYRO(登録商標) Acrylite AR−1またはAR−2あるいはアクリルシートである。基板材料を使用のために1.5mmまで機械加工した。このアクリルシートを、レーザ機械加工を適用した一側面上で、耐アブレーションコーティングを用いてコーティングした。この側面は、PDMSに結合できることが実証された。(Evonic IndustriesからのAcrylite Abrasion Resistantのアクリル片側シートのColorless 0A000 MR1またはMR2も、厚さ0.049”で、PDMSに結合する)。
【0116】
レーザ彫刻機は、40ワットCO2レーザ供給源を有するEpilogレーザMini 18である。システムを、プリンタとしてPCコンピュータに接続した。パターンまたは描画を、グラフィックソフトウェアCorelDRAWを用いて行った。レーザ彫刻機製造によって提供されるプリンタドライバは、レーザ出力およびレーザスポットの速度、ならびにラスタまたはベクトル等のレーザモードを設定することができる。流体および空気圧層の設計を図19に描写した(チップA)。
【0117】
レーザ出力、切断深さ、およびラスタモード対ベクトルモードは、エッチング過程における変数である。最適化されたレーザ出力設定を、異なる指定深さのために選択した。弁、弁座、チャネル、およびチャンバ等のチップ上の各特徴、または貫通穴を、異なるアプローチで機械加工した。弁座については、ARコーティングは、弁を開くことができるように、PDMSがそれに結合することを防止するために除去される必要がある。コーティングを除去するための出力設定は、ラスタモードでは50%速度および8%出力である。50%速度および28%の出力を、チャネル、弁、およびチャンバを機械加工するために使用した。貫通穴は、厚さ3mmの基板については100%出力および15%速度、厚さ1.5mmの基板については30%において、ベクトルモードで切断した。
【0118】
II.チップアセンブリ
上記の過程からの2つの微細構造プラスチック部位品(流体および空気圧)を、超音波浴の中で20分間洗浄した。部品を「生物」グレードの水の中に曝した。部品を窒素で乾燥させた。流体部品をUVオゾンに3分間暴露させた(チャネル側をUVランプに向けて、部品をUVオゾンツールの中に配置した)。
【0119】
PDMSをUVオゾンに3分間暴露させた。表面に接触させることによって、流体部品をPDMSに結合した。
【0120】
空気圧部品をUVオゾンに3分間暴露させた(チャネル側をUVランプに向けて、部品をUVオゾンツールの中に配置した)。流体部品に結合されたPDMSをUVオゾンに5分間暴露させた。面に接触させることによって、2つの部品を整合させ、結合した。結合した部品を、80℃において30分間、300Kg圧力でプレスの中へ配置した。
【0121】
III.チップ試験
組み立てられたチップを、このチップ種類のために設計された液界面マニホールドおよび空気圧マニホールド上に載置した。ポンプスクリプトをコンピュータ動作ステーションのために書き、チップを通して水を送達した。観察は、流体がチップを通って移動したことを示した。チャネル間に液体のクロストークはなかった。チップの剥離はなかった。送達は、適切な時間に標的点に達するボーラスに関して均等であった。貯留部からチップの中へ、そして貯留部の中へ戻って液体を送達した循環ポンプサイクルが設定された。チップは、水の5000回のポンプストロークおよびエタノールの5000回のポンプストロークを通して動作し続けた。
【0122】
(実施例2) Zeonor 1440R上の酸化チタンコーティング
I.ウエハ製造
ポリカーボネートなどのプラスチックを含む異なる材料上の接着プロモータとして、水溶液から酸化チタンコーティングを堆積させた。Tyzor LA溶液をポリカーボネートの非常に均一なコーティングに使用することができる。Zeonor 1420Rエンボス加工チップをコーティングするために、同様の溶液を使用した。
【0123】
COPエンボス加工チップ:Zeonor 1420Rは、Zeonex(www.zeonex.com)によって生産されている、約135℃のガラス転移温度を伴うシクロオレフィンポリマー(COP)である。構造はチップAのものであった。
【0124】
Tyzor LA:DuPontTM Tyzor(登録商標)有機チタン酸塩およびジルコン酸塩が、フレキソ印刷およびグラビア印刷インク用の添加剤である、接着プロモータおよび架橋剤である。フレキソおよびグラビアパッケージ印刷のために、Tyzor(登録商標)チタン酸塩およびジルコン酸塩は、最終物品性質を向上させるのに役立つ。これは、以下の便益を提供する架橋を増加させることによって達成される:(1)基板へのインクの向上した接着、(2)強化した硬化、(3)向上した耐化学、溶剤、および水性、(4)強化した耐熱性、(5)減少した乾燥時間、またはより低い硬化温度、(6)増加した積層結合強度。
【0125】
コーティング過程の直前に0.1M HCl溶液中の1% Tyzor LA(乳酸チタン、DuPont)を調製し、70℃まで加熱した。
【0126】
コーティングプロトコル:
・エンボス加工チップを洗剤で磨き、脱イオン水ですすぎ、乾燥させる
・チップをUVオゾンオーブンの中に4分間入れる
・チップを70℃のTysor LA溶液の中に5分間浸す
・チップを脱イオン水ですすぐ
・組み立てる準備ができるまで、チップをDIWの中で保管する。
【0127】
II.チップアセンブリ
部品を洗剤で磨き、すすぎ、乾燥させる。空気圧部品およびPDMSをUVオゾンに3分間暴露させる。PDMS層を空気圧部品上に配置する。複合および流体部品をUVオゾンに3分間暴露させる。流体層をPDMS上に置き、整合させる。部品を、80℃において300Kgで30分間圧迫する。
【0128】
III.チップ試験
組み立てられたチップを、このチップ種類のために設計された液界面マニホールドおよび空気圧マニホールド上に載置した。ポンプスクリプトをコンピュータ動作ステーションのために書き、チップを通して水を送達した。観察は、流体がチップを通って移動したことを示した。チャネル間に液体のクロストークはなかった。チップの剥離はなかった。送達は、適切な時間に標的点に達するボーラスに関して均等であった。貯留部からチップの中へ、そして貯留部の中へ戻って液体を送達した循環ポンプサイクルが設定された。チップは、水の5000回のポンプストロークおよびエタノールの5000回のポンプストロークを通して動作し続けた。
【0129】
(実施例3) ポリカーボネート上の酸化チタンコーティング
Perkin Elmerスパッタリングシステムを使用して、ポリカーボネートの射出成形部品を、チタンの厚さ200Åの層でコーティングした。
【0130】
第1のステップでは、Ar/空気スパッタエッチングを使用して、ポリカーボネート基板を1分間洗浄した。第2のステップでは、30%RF設定を10分間使用したArプラズマ中のスパッタ堆積を使用して、ポリカーボネートの表面をチタンでコーティングした。次いで、チタン表面を酸化するように、堆積過程をアルゴン/空気混合物中でさらに5分間続けた。
【0131】
この過程は、また、COP基板を使用して行った。
【0132】
(実施例4)COCおよびポリカーボネート上のMomentive Performance Materials PHC 587
COCおよびポリカーボネート部品をPHC 587(シリコーンハードコート)に浸し、浸漬コーティングした。コーティングを室温で10〜20分間乾燥させる。サンプルを125℃で2時間オーブンの中で硬化させる。
【0133】
(実施例5)クロム表面上にコーティングされたチタン
チタンの接着を推進させて、PDMS接着を推進するためのヒドロキシルを生成するように、プラスチック(例えば、アクリル、ポリカーボネート、およびシクロオレフィンポリマー(COP))を最初にクロムでコーティングする。Cr、Tiのような最不活性金属は、PDMSにとって良好な結合材料である、薄く密度の高い酸化物層を大気中で生じさせる。
【0134】
全てのプラスチック部品を50%EtOHおよびLiquinox5%で洗浄する。ほとんどのプラスチックは水を吸収し、減圧蒸着の前に脱水ステップが必要とされる。減圧チャンバ装填の直前に、ポリカーボネートおよびCOP部品を90℃で30分間インキュベートした。スパッタリングマシンは、4つのプログラムされたステップを伴う自動ロードロックElmer 4400である。
1.エッチング:40%Arおよび5%O2中で0.5分、20%出力
2.堆積:Cr、1分、40%Ar、30%出力
3.堆積:Ti、2分、40%Ar、30%出力
4.終了:装填解除。
【0135】
Cr/Ti堆積後、プラスチックチップを、例えば、UVオゾンで活性化し、PDMS膜と結合することができる。
【0136】
(参考文献)
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米国特許第4,364,731号(NORLINGら、1982年12月21日)
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米国特許第5,275,645号(TERNOIRら、1994年7月4日)
米国特許第5,378,535号(MONCURら、1995年1月3日)
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米国特許第7,766,033号(MATHIESら、2010年8月3日)
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米国特許出願公開第2004/0209354号(MATHIESら、2004年10月21日)
米国特許出願公開第2006/0073484号(MATHIESら、2006年4月6日)
米国特許出願公開第2007/0248958号(JOVANOVICHら、2007年10月25日)
米国特許出願公開第2007/0289941号(DAVIES、2007年12月20日)
米国特許出願公開第2008/0014576号(JOVANOVICHら、2008年1月17日)
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国際公開公報WO2008/115626号(JOVANOVICHら、2008年9月25日)
国際公開公報WO2009/108260号(VANGBOら、2009年9月3日)
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Anderson RC,Su X,Bogdan GJおよびJ. Fenton、“A miniature integrated device for automated multistep genetic assays.” Nucleic Acids Res.、2000年6月15日;28(12):E60
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Zhangら、“PMMA/PDMS valves and pumps for disposable microfluidics,” Lab Chip 2009 9:3088 (2009年8月20日)
本発明の好ましい実施形態が、本明細書で示され、説明されているが、そのような実施形態は一例のみとして提供されていることが、当業者に明白となるであろう。本発明から逸脱することなく、多数の変形例、変更、および置換が、当業者に思い浮かぶであろう。本明細書で説明される本発明の実施形態の種々の代替案が、本発明を実践する際に採用されてもよいことを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造は、それにより網羅されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えたプラスチック基板を提供することと、
b)表面シラノール基を含む表面を備えた弾性基板を提供することと、
c)該プラスチック基板の表面上の該ヒドロキシル基を、該弾性基板の表面上の該シラノール基と反応させることであって、該プラスチック基板が該弾性基板に共有結合される、ことと
を含む、デバイスを作製する方法。
【請求項2】
d)ヒドロキシル基を含む表面を備えた第3の基板を提供することと、
e)該第3の基板の表面上の該ヒドロキシル基を、前記弾性基板の第2の表面上のシラノール基と反応させることであって、該第3の基板は、該弾性基板の第2の表面に共有結合される、ことと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応させることは、前記プラスチック基板の表面を前記弾性基板の表面に接触させることと、該接触された表面に周囲より高い圧力および/または温度を適用することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラスチック基板は、炭素ベースのポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記弾性基板は、ポリシロキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記材料は、酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記材料は、シロキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラスチック基板の表面上の前記ヒドロキシル基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに前記材料を暴露させることによって導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プラスチック基板を提供することは、プラスチック基板を提供することと、該プラスチック基板の表面を材料でコーティングすることとを含み、該材料の上にヒドロキシル基が導入され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記弾性基板の表面上の前記シラノール基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに前記材料を暴露させることによって導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プラスチック基板は、中断部を備えた少なくとも1つの導管を含み、選択された場所のうちの少なくとも1つは、該中断部の表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
エンボス加工、エッチング、アブレーション、または射出成形によって、前記プラスチック基板の表面に少なくとも1つのくぼみを導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プラスチック基板の表面上の選択された場所は、前記弾性基板に結合されない、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プラスチック基板を備えるデバイスであって、該プラスチック基板は、(1)材料でコーティングされた表面と、(2)表面を備えた弾性基板とを備え、該表面は、シロキシ結合を介してともに結合される、デバイス。
【請求項15】
流体工学層と、作動層と、該流体工学層と該作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを含むマイクロ流体デバイスであって、該流体工学層および該作動層は、シロキシ結合を介して該弾性層に共有結合され、該流体工学層は、該弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を含み、該作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の該弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成された少なくとも1つの作動導管を備え、該流体工学層および該作動層の一方または両方は、該弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える、マイクロ流体デバイス。
【請求項16】
a)請求項15に記載のデバイスと、
b)前記作動導管と連絡している正圧供給源および/または負圧供給源と、
c)プログラムされた順序で、弁を開く、および/または弁を閉じる論理を備える制御ユニットと
を備える、システム。
【請求項17】
a)請求項15に記載のデバイスを提供することと、
b)前記流体導管の中で液体を提供することと、
c)前記作動導管を通して適用される正圧または負圧を使用して、ダイヤフラム弁を作動させることと、
d)該ダイヤフラム弁を通して該液体を送達することと
を含む、方法。
【請求項18】
a)請求項15に記載のデバイスを提供することであって、流体導管は、(1)入口ダイヤフラム弁と、(2)ポンプダイヤフラム弁であって、該ポンプダイヤフラム弁は、作動層の中に弁本体と、オプションで、弁座を備え、該作動層の中にダイヤフラムを偏向させることができる、ポンプダイヤフラム弁と、(3)出口ダイヤフラム弁と直列に備え、該3つの弁は、ダイヤフラムポンプを形成する、ことと、
b)該流体導管の中に液体を提供することと、
c)弁を通して該液体を送達するように、前記作動導管を通して適用される正圧または負圧を用いてダイヤフラム弁を作動させることと
を含む、方法。
【請求項19】
a)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えた第1のプラスチック基板を提供することと、
b)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えた第2のプラスチック基板を提供することと、
c)該プラスチック基板の表面上の該ヒドロキシル基を、該第2のプラスチック基板の表面上の該ヒドロキシル基と反応させることであって、該プラスチック基板は、エーテル結合を介して共有結合される、ことと
を含む、デバイスを作製する方法。
【請求項20】
材料でコーティングされた表面を備えた第1のプラスチック層と、
材料でコーティングされた表面を備える第2のプラスチック層と
を備える物品であって、第1の層および第2の層は、該材料中にエーテル結合を介してともに共有結合される、物品。
【請求項21】
a)接着剤でコーティングされた表面を備えたプラスチック層を提供することであって、該表面は、少なくとも1つの選択された場所に接着剤を含まない、ことと、
b)表面を備えた弾性層を提供することと、
c)該接着剤で該プラスチック層を該弾性層に結合することであって、該プラスチック層は、該少なくとも1つの選択された場所で該弾性層に結合されない、ことと
を含む、デバイスを作製する方法。
【請求項22】
流体工学層と、作動層と、該流体工学層と該作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを備えるマイクロ流体デバイスであって、
(a)該流体工学層は、弁座によって中断される複数の流体導管を備え、該弁座は構成され、
(b)該作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の該弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成された少なくとも1つの作動導管を備える、マイクロ流体デバイス。
【請求項23】
少なくとも1つのダイヤフラム弁を備えたデバイスであって、該少なくとも1つのダイヤフラム弁は、流体チャネルの中の流体流量を調節するように構成され、流体工学層と、作動層と、該流体工学層と該作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを備える組み合わせで構成され、各ダイヤフラム弁は、
a)該弾性層に含まれるダイヤフラムと、
b)該流体工学層に含まれ、正圧が該ダイヤフラムに及ぼされない限り、該ダイヤフラムが該ダイヤフラム弁を閉じないように該弾性層に接触する、該流体工学層の表面からくぼんでいる、弁座と、
c)該流体工学層に含まれ、該流体チャネルと流体連絡している、弁入口および弁出口と
を備え、該ダイヤフラムは、該作動層の中の作動導管を介して該ダイヤフラムに伝達される正圧または負圧によって作動させられるように構成される、デバイス。
【請求項1】
a)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えたプラスチック基板を提供することと、
b)表面シラノール基を含む表面を備えた弾性基板を提供することと、
c)該プラスチック基板の表面上の該ヒドロキシル基を、該弾性基板の表面上の該シラノール基と反応させることであって、該プラスチック基板が該弾性基板に共有結合される、ことと
を含む、デバイスを作製する方法。
【請求項2】
d)ヒドロキシル基を含む表面を備えた第3の基板を提供することと、
e)該第3の基板の表面上の該ヒドロキシル基を、前記弾性基板の第2の表面上のシラノール基と反応させることであって、該第3の基板は、該弾性基板の第2の表面に共有結合される、ことと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反応させることは、前記プラスチック基板の表面を前記弾性基板の表面に接触させることと、該接触された表面に周囲より高い圧力および/または温度を適用することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラスチック基板は、炭素ベースのポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記弾性基板は、ポリシロキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記材料は、酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記材料は、シロキサンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラスチック基板の表面上の前記ヒドロキシル基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに前記材料を暴露させることによって導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記プラスチック基板を提供することは、プラスチック基板を提供することと、該プラスチック基板の表面を材料でコーティングすることとを含み、該材料の上にヒドロキシル基が導入され得る、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記弾性基板の表面上の前記シラノール基は、UVオゾンまたは酸素プラズマに前記材料を暴露させることによって導入される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記プラスチック基板は、中断部を備えた少なくとも1つの導管を含み、選択された場所のうちの少なくとも1つは、該中断部の表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
エンボス加工、エッチング、アブレーション、または射出成形によって、前記プラスチック基板の表面に少なくとも1つのくぼみを導入することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プラスチック基板の表面上の選択された場所は、前記弾性基板に結合されない、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
プラスチック基板を備えるデバイスであって、該プラスチック基板は、(1)材料でコーティングされた表面と、(2)表面を備えた弾性基板とを備え、該表面は、シロキシ結合を介してともに結合される、デバイス。
【請求項15】
流体工学層と、作動層と、該流体工学層と該作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを含むマイクロ流体デバイスであって、該流体工学層および該作動層は、シロキシ結合を介して該弾性層に共有結合され、該流体工学層は、該弾性層に結合されていない弁座によって中断される複数の流体導管を含み、該作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の該弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成された少なくとも1つの作動導管を備え、該流体工学層および該作動層の一方または両方は、該弾性層に共有結合された材料でコーティングされたプラスチック基板を備える、マイクロ流体デバイス。
【請求項16】
a)請求項15に記載のデバイスと、
b)前記作動導管と連絡している正圧供給源および/または負圧供給源と、
c)プログラムされた順序で、弁を開く、および/または弁を閉じる論理を備える制御ユニットと
を備える、システム。
【請求項17】
a)請求項15に記載のデバイスを提供することと、
b)前記流体導管の中で液体を提供することと、
c)前記作動導管を通して適用される正圧または負圧を使用して、ダイヤフラム弁を作動させることと、
d)該ダイヤフラム弁を通して該液体を送達することと
を含む、方法。
【請求項18】
a)請求項15に記載のデバイスを提供することであって、流体導管は、(1)入口ダイヤフラム弁と、(2)ポンプダイヤフラム弁であって、該ポンプダイヤフラム弁は、作動層の中に弁本体と、オプションで、弁座を備え、該作動層の中にダイヤフラムを偏向させることができる、ポンプダイヤフラム弁と、(3)出口ダイヤフラム弁と直列に備え、該3つの弁は、ダイヤフラムポンプを形成する、ことと、
b)該流体導管の中に液体を提供することと、
c)弁を通して該液体を送達するように、前記作動導管を通して適用される正圧または負圧を用いてダイヤフラム弁を作動させることと
を含む、方法。
【請求項19】
a)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えた第1のプラスチック基板を提供することと、
b)ヒドロキシル基を含む材料でコーティングされた表面を備えた第2のプラスチック基板を提供することと、
c)該プラスチック基板の表面上の該ヒドロキシル基を、該第2のプラスチック基板の表面上の該ヒドロキシル基と反応させることであって、該プラスチック基板は、エーテル結合を介して共有結合される、ことと
を含む、デバイスを作製する方法。
【請求項20】
材料でコーティングされた表面を備えた第1のプラスチック層と、
材料でコーティングされた表面を備える第2のプラスチック層と
を備える物品であって、第1の層および第2の層は、該材料中にエーテル結合を介してともに共有結合される、物品。
【請求項21】
a)接着剤でコーティングされた表面を備えたプラスチック層を提供することであって、該表面は、少なくとも1つの選択された場所に接着剤を含まない、ことと、
b)表面を備えた弾性層を提供することと、
c)該接着剤で該プラスチック層を該弾性層に結合することであって、該プラスチック層は、該少なくとも1つの選択された場所で該弾性層に結合されない、ことと
を含む、デバイスを作製する方法。
【請求項22】
流体工学層と、作動層と、該流体工学層と該作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを備えるマイクロ流体デバイスであって、
(a)該流体工学層は、弁座によって中断される複数の流体導管を備え、該弁座は構成され、
(b)該作動層は、少なくとも1つの弁座の反対側の該弾性層に正圧または負圧を伝達するように構成された少なくとも1つの作動導管を備える、マイクロ流体デバイス。
【請求項23】
少なくとも1つのダイヤフラム弁を備えたデバイスであって、該少なくとも1つのダイヤフラム弁は、流体チャネルの中の流体流量を調節するように構成され、流体工学層と、作動層と、該流体工学層と該作動層との間にサンドイッチされた弾性層とを備える組み合わせで構成され、各ダイヤフラム弁は、
a)該弾性層に含まれるダイヤフラムと、
b)該流体工学層に含まれ、正圧が該ダイヤフラムに及ぼされない限り、該ダイヤフラムが該ダイヤフラム弁を閉じないように該弾性層に接触する、該流体工学層の表面からくぼんでいる、弁座と、
c)該流体工学層に含まれ、該流体チャネルと流体連絡している、弁入口および弁出口と
を備え、該ダイヤフラムは、該作動層の中の作動導管を介して該ダイヤフラムに伝達される正圧または負圧によって作動させられるように構成される、デバイス。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図23】
【図14】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図23】
【図14】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2013−512116(P2013−512116A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542117(P2012−542117)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/058227
【国際公開番号】WO2011/068762
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(512145608)インテジェニックス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/058227
【国際公開番号】WO2011/068762
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(512145608)インテジェニックス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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