説明

複合材料の改良

導電性繊維の構造層及び熱硬化性樹脂の第1の外層を含む硬化性プリプレグであって、熱可塑性粒子及びガラス状カーボン粒子を含むその樹脂層が改善された電気伝導性及び優れた機械的特性を提供する硬化性プリプレグ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料の電磁応答の改善に関し、特に、落雷によって引き起こされる損傷に対する抵抗性の改善を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料は、特に非常に低い材料密度で優れた機械的特性を提供することにおいて、従来の構造物をしのぐ裏付けのある利点を有する。結果として、そうした材料の使用はますます広まってきており、その応用分野は「工業用」や「スポーツ及びレジャー」から高性能の航空宇宙用部品までに及んでいる。
【0003】
エポキシ樹脂などの樹脂を含浸させた繊維配置(arrangement)を含むプリプレグは、そうした複合材料の創出において広範に使用されている。一般に、そうしたプリプレグの複数の層を要望通り「重ね上げ(laid-up)」、得られた積層板を、通常高温にかけて硬化させて硬化複合積層板を得る。
【0004】
一般的な複合材料は、複数のプリプレグ繊維層、例えば樹脂層でインターリーフされた炭素繊維の積層板でできている。炭素繊維はいくらかの電気伝導性を有するが、インターリーフ層の存在は、この伝導性が、積層板の面内の複合材料においてのみ示されることを意味する。積層板の表面に対して直角方向、いわゆるz方向への電気伝導性は低い。
【0005】
このz方向の導電性の欠如は、落雷などの電磁気的な危険性に対する複合積層板の脆弱性に関与していると一般に認められている。落雷は非常に広範に及ぶ複合材料に損傷をもたらす可能性があり、飛行中の航空機構造物においてそれが起これば壊滅的なことになる。したがって、これは、そうした複合材料でできた航空宇宙用構造物のためには特に問題である。
【0006】
さらに、航空宇宙用途で使用される複合材料は、機械的特性についての厳格な基準に適合しなければならない。したがって、導電性の何らかの改善は、機械的特性に対して悪影響を与えるはずはない。
【0007】
そうした複合材料に対する落雷保護を提供するために、従来技術において広範な技術及び方法が提案されてきており、それは一般に、複合材料の重量増という犠牲を払って導電性要素を加えることを伴う。
【0008】
WO2008/056123では、それらが隣接繊維層と接触してz方向に電気的経路を生み出すように、樹脂インターリーフ層中に金属の導電性粒子を導入することによって、重量を大幅に増やすこと又は機械的特性に影響を及ぼすことなく、落雷抵抗の著しい改善を行っている。
【0009】
欧州特許第2053078A1号は、導電性粒子及び熱可塑性粒子を含むプリプレグを教示している。金属又は金属コーティングした導電性粒子が非常に好ましい。
【0010】
しかし、腐食効果、爆発の危険性及び材料の熱膨張係数の差の可能性のため、金属をプリプレグ中に導入することは望ましくないことが分かっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、導電性繊維の構造層及び熱硬化性樹脂の第1の外層を含む硬化性プリプレグであって、その樹脂層が熱可塑性粒子及びガラス状カーボン粒子を含むプリプレグに関する。
【0012】
本発明者らは、第1の外層中のガラス状カーボン粒子は、複数のそうしたプリプレグを一緒に積み重ねると、樹脂インターリーフ層によって分離された導電性繊維の複数の層を含むプリプレグスタックをもたらす効果を有しており、z方向への高い導電性が得られ、且つインターリーフ構造物によって提供される優れた機械的特性も保持されることを見出した。さらに、導電性粒子が金属性ではないので、従来技術における金属の使用に伴う問題は克服される。
【0013】
インターリーフ構造物によって提供される優れた機械的特性はその薄層状の配置によると考えられる。ガラス状カーボン粒子はインターリーフ層中に位置し、導電性繊維の隣接層間の電気的接続を提供するように作用する。したがって、そうしたプリプレグのスタックを形成させる場合、ガラス状カーボン粒子の少なくとも90重量%が、外側樹脂層又は樹脂インターリーフ層中に存在することが好ましい。
【0014】
したがって、他の態様では、本発明は、本明細書で定義する複数のプリプレグを含み、したがって導電性繊維の複数の構造層及び第1の外層によって形成された複数の樹脂インターリーフ層を含むプリプレグスタックにも関する。
【0015】
例えば、そうしたスタックは、樹脂層の数に対応して4〜200の構造層を含むことができる。適切なインターリーフ構造物は欧州特許第0274899号に開示されている。
【0016】
好ましい実施形態では、プリプレグは、第1の外層によって形成されていないプリプレグの面を形成する第2の外側樹脂層を含む。第2の外層は通常第1の外層と同じ組成であり、好ましくは第1の外層と同じ厚さのものである。この実施形態では、複数のそうしたプリプレグが一緒に積み重ねられると、第1の外層と第2の外層は一緒になってインターリーフ層となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
そうしたインターリーフ層は15〜50μmの平均厚さを有することが好ましい。プリプレグが樹脂の第1外層だけしか含まない場合、これは、プリプレグスタックにおけるインターリーフ層全体を形成し、これもやはり15〜50μmの平均厚さを有することが好ましい。プリプレグが樹脂の第1の外層と第2の外層の両方を有する場合、それらは一緒になってインターリーフ層を形成する。したがって、第1の外側樹脂層と第2の外側樹脂層を合わせた厚さは15〜50μmである。
【0018】
形成されたら、プリプレグスタックを高温及び任意選択で高圧にかけて硬化させて、硬化積層板を作製する。真空バッグ法、オートクレーブ法又はプレス硬化法などの公知の硬化方法を用いることができる。
【0019】
熱可塑性粒子は得られる積層板に強靱性をもたらし、これは、ポリアミド、コポリアミド、ポリイミド、アラミド、ポリケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリーレンエーテル、ポリエステル、ポリウレタン及びポリスルホンなどの広範な材料から作製することができる。熱可塑性粒子はポリアミドを含むことが好ましい。好ましい材料には、ポリアミド6、ポリアミド6/12及びポリアミド12が含まれる。
【0020】
熱可塑性粒子は広範なレベルで存在してよいが、プリプレグ中の全樹脂に対して5〜20%、好ましくは10〜20%のレベルが好ましいことが分かった。そうしたプリプレグのスタックが形成された場合、熱可塑性粒子の少なくとも90重量%が、外側樹脂層又は樹脂インターリーフ層の中に位置することが好ましい。
【0021】
熱可塑性粒子は、球形であっても非球形であっても、また多孔性であっても非多孔性であってもよい。しかし、多孔性で非球形の、さらには不規則でより強靭な粒子が、特に衝撃強靱性を備えた良好な結果をもたらすことが示された。例えば、0.5〜0.9の真球度を有する粒子が好ましい。
【0022】
真球度は、粒子がいかに球形であるかを示す尺度である。これは、その粒子と同じ体積を有する球形の表面積をその粒子の表面積で除したものである。したがって、球形粒子では真球度は1である。これはψ=(6Vp)2/3π1/3/Apで表すことができる。ここでVpは粒子体積であり、Apは粒子表面積である。
【0023】
粒子形状の別の好都合な尺度は縦横比(アスペクト比)である。本明細書ではこれを、最大断面直径と最小断面直径の比と定義する。したがって、球形の粒子は1:1の縦横比を有することになる。熱可塑性粒子は3:1〜1.2:1の縦横比を有することが好ましい。
【0024】
熱可塑性粒子は、5〜50μm、好ましくは10〜30μmの平均粒径d50を有することが好ましい。
【0025】
炭素は、片状黒鉛、黒鉛粉末、黒鉛粒子、グラフェンシート、フラーレン、カーボンブラック及びカーボンナノ繊維などのいくつかの形態で持ち込まれる。しかし、ガラス状(又はガラス質)のカーボン粒子だけが本発明での使用に適している。ガラス状カーボンは一般に黒鉛化不可能であり、少なくとも70%sp2結合しており、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは本質的に100%sp2結合している。
【0026】
ガラス状カーボン粒子は非常に硬く、樹脂とのブレンディング操作の際に崩壊することはない。ガラス状カーボン粒子は非常に低い空隙率か又はゼロ空隙率を有し、全体に中身が詰まっており、中に隙間はない。すき間のある粒子は、より軽いが、空隙を持ち込むことによって複合材料の機械的特性を損なう恐れがある。
【0027】
ガラス状カーボン粒子は、繊維層の隣接層間を橋掛けすることを目的とするものである。しかし、そうした粒子が多すぎると、得られる積層板の機械的特性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、ガラス状カーボン粒子は、プリプレグ中の全樹脂に対して0.3〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%のレベルで存在することが好ましい。
【0028】
ガラス状カーボン粒子は10〜50μm、より好ましくは20〜40μmの平均粒径d50を有することが好ましい。
【0029】
特に狭い粒度分布が特に有利であり、したがって、ガラス状カーボン粒子の少なくとも50重量%が5μm以内の平均粒径であることが好ましいことが分かった。
【0030】
ガラス状カーボン粒子は球形であっても非球形であってもよい。しかし、球形ガラス状カーボン粒子は、優れた導電性及び良好な粒子強度を提供することが分かった。例えば、少なくとも0.95の真球度を有する粒子が好ましい。即ち、ガラス状カーボン粒子は1.1:1より小さい縦横比を有することが好ましい。
【0031】
ガラス状カーボン粒子に橋掛け機能を提供するためには、カーボン粒子の平均粒径と平均中間層厚さの比は0.9:1〜1.5:1、より好ましくは1:1〜1.3:1である。
【0032】
熱可塑性粒子とガラス状カーボン粒子の量の比は、良好な導電性と良好な強靱性の両方を達成するのに重要であることが分かっている。したがって、熱可塑性粒子とガラス状カーボン粒子の重量比は、好ましくは3:1〜50:1、より好ましくは3:1〜40:1、最も好ましくは5:1〜30:1、さらに好ましくは8:1〜20:1であることが好ましい。
【0033】
構造繊維層中の繊維は、単一方向の布状であっても多軸型のものであってもよい。繊維は単一方向であり、例えば隣接層中の繊維が隣接繊維層間の角度を意味するいわゆる0/90配置で、互いに直角となるように配置することによって、その方向が、プリプレグスタック及び/又は積層板全体にわたって変化していることが好ましい。他の多くの配置の中で、0/+45/−45/90などの他の配置ももちろん可能である。
【0034】
繊維は、亀裂の入った(即ち、延伸破壊した)、選択的に不連続か又は連続した繊維を含むことができる。
【0035】
導電性繊維は、金属化ガラス、炭素、グラファイト、金属化ポリマー及びその混合物などの様々な材料でできていてよい。炭素繊維が好ましい。
【0036】
熱硬化性樹脂は、フェノール−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(メラミン)、ビスマレイミド、エポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリエステル、不飽和ポリエステル、シアン酸エステル樹脂又はその混合物などの当技術分野で従来から知られているものから選択することができる。
【0037】
エポキシ樹脂、例えば単官能性、二官能性、三官能性又は四官能性のエポキシ樹脂が特に好ましい。好ましい二官能性エポキシ樹脂には、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル(例えば、Araldite GY281)、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ジグリシジルジヒドロキシナフタレン及びその混合物が含まれる。非常に好ましいエポキシ樹脂は、その主鎖の中に少なくとも1つのメタ置換フェニル環を有する三官能性エポキシ樹脂、例えばAraldite MY0600である。好ましい四官能性エポキシ樹脂はテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン(例えば、Araldite MY721)である。二官能性エポキシ樹脂と三官能性エポキシ樹脂のブレンドも非常に好ましい。
【0038】
熱硬化性樹脂は1つ又は複数の硬化剤を含むこともできる。適切な硬化剤には、無水物、特にポリカルボン酸無水物;アミン、特に芳香族アミン、例えば1,3−ジアミノベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、特にスルホン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(4,4’DDS)及び3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(3,3’DDS)並びにフェノール−ホルムアルデヒド樹脂が含まれる。好ましい硬化剤は、アミノスルホン、特に4,4’DDS及び3,3’DDSである。
【0039】
樹脂及び繊維の種類及び設計の他の例は、WO2008/056123に見ることができる。
【0040】
本発明によるプリプレグは一般に、樹脂が繊維間のすき間に流入しそれらに含浸するように、構造繊維の層を樹脂の1つ又は複数の層と通常高温で接触させることによって製造することができる。
【0041】
一実施形態では、樹脂と熱可塑性粒子及びガラス状カーボン粒子の混合物を調製する。次いでこの混合物をシート状にし、構造繊維の面の一方又はその両方と接触させる。粒子のサイズのため、それらは樹脂を含む繊維に含浸せず、そのかわり濾過されて外側樹脂層中に留まる。これは樹脂適用ステップを1つだけしか用いないので、この方法は一段プロセスと称される。
【0042】
他の実施形態では、粒子を含まない樹脂をシート状にし、構造繊維の面の一方又はその両方と接触させる。この樹脂は繊維に含浸し、外面上にはほとんど又は全く残留しない。その結果、熱可塑性粒子及びガラス状カーボン粒子を含む樹脂は、含浸した構造繊維の面の一方又はその両方と接触する。この混合物は外面上に残留し、さらに繊維に含浸することはない。2つの樹脂適用ステップを用いるので、この方法は二段プロセスと称される。
【0043】
粒子が繊維をバラバラにしないため、より秩序だった積層板をもたらす傾向があるので、二段プロセスが好ましい。これは、優れた機械的特性をもたらすことができる。
【0044】
二段プロセスを、樹脂の第1の外層と第2の外層の両方を有するプリプレグに適用することがさらに好ましい。この実施形態では、樹脂の2つの層を構造繊維の2つの面と接触させる。この樹脂は繊維に含浸し、外面上にはほとんど又は全く残留しない。続いて、熱可塑性粒子及びガラス状カーボン粒子を含む樹脂を、含浸した構造繊維の両面と接触させる。4つの樹脂フィルムが適用されるので、この方法は4フィルムプロセスと称される。
【0045】
本発明は、航空宇宙工業における、特に航空機胴体パネルの成形における適用に特に適している。
【0046】
落雷抵抗性のほかに、落雷に続く、「エッジグロー」として知られる現象を低減又は防止することも望ましい。これは複合材料構造物の末端での電荷の増大によって引き起こされ、これは発火源になる恐れがある。
【0047】
航空機胴体構造で使用するための複合材料は、そうしたエッジグロー問題に悩まされ得ることが分かっている。これは、複合材料が燃料タンク建造物の一部を形成することを目的としている場合に特に危険な問題である。
【0048】
したがって、本発明は、航空機燃料タンク建造物の硬化された積層複合材料部品を提供するのに理想的に適している。
【0049】
ここで、本発明を、実施例により以下の図を参照して例示する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明による硬化複合積層板の横断面の画像を示す図である。
【図2】図2は、本発明による他の硬化複合積層板の横断面の画像を示す図である。
【図3】図3は、本発明による他の硬化複合積層板の横断面の画像を示す図である。
【実施例】
【0051】
異なる量及び種類のカーボン粒子を含むプリプレグ(10m×0.3m)のロールを作製した。比較のためガラス状カーボンを含まないプリプレグを1つ含めた。
【0052】
12層積層板の形態の7つの抵抗性パネルを0/90重ね上げ法を用いて作製し、オートクレーブ中で180℃、3バールの圧力で2時間硬化させた。以下の表1に、カーボンミクロスフェアを含むプリプレグとミクロスフェアを含まない比較用のプリプレグの抵抗性の結果を示す。抵抗性は、パネル(35mm×35mm)から正方形の試料を切り出し、各正方形試料の側部を金でコーティングして測定した。電極を、コーティングした試料上に配置し、次いで電源から電流(A)を供給し、電圧を測定した。抵抗を、オームの法則(R=V/I)を用いて算出した。
【表1】

【0053】
第1の型のカーボン粒子は、Alfa Aesar(USA)からの20〜50μmのI型であり、0.99超の真球度及び30.1μmの平均粒径d50を有する高度に球形のものである。第2の型のカーボン粒子は、HTW Hochtemperatur−Workstoffe GmbHからの20〜50μmのSigradur Gであり、約0.65の真球度及び29.3μmの平均粒径d50を有する不規則な形状のものである。第3の型のカーボン粒子はやはりHTWからの20〜50μmのものであり、0.99超の真球度及び30.5μmの平均粒径d50を有する高度に球形のものである。粒径は、Malvern Instruments Mastersizerを用いて、300mmのレンジのレンズ及び2.40mmのビーム長で測定した。
【0054】
ガラス状カーボン粒子を含む積層板は、電気抵抗の著しい低下を示していることが分かる。抵抗の低下は、球形粒子の方が不規則な粒子より顕著であることにも注目すべきである。これは、不規則な粒子を有する隣接構造層間では接触がより少ないためであると考えられる。
【0055】
図1、図2及び図3に、それぞれ例4、3及び6による硬化積層板の横断面を示す。
【0056】
これらの画像は、ページ10中に配列された一方向の炭素繊維、及びページ12を横断して配列された一方向の炭素繊維の層を示している。炭素繊維の層と樹脂中間層14を分離している。不規則でより強靭な粒子が樹脂中間層14に分散している。中間層内には高度に球形のガラス状カーボン粒子16も分散している。
【0057】
様々な機械的試験を、例3、7及び比較例8で作製したバッチについて実施した。結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0058】
本発明によるガラス状カーボン粒子を添加しても、機械的特性に対して顕著な影響は及ぼしていないことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性繊維の構造層及び熱硬化性樹脂の第1の外層を含む硬化性プリプレグであって、前記樹脂層が熱可塑性粒子及びガラス状カーボン粒子を含む上記硬化性プリプレグ。
【請求項2】
第1の外層によって形成されていないプリプレグの面を形成する第2の外側樹脂層を含む、請求項1に記載のプリプレグ。
【請求項3】
第1の外側樹脂層と、存在する場合、第2の外側樹脂層の合計厚さが15〜50μmである、請求項1又は2に記載のプリプレグ。
【請求項4】
前記熱可塑性粒子がポリアミドを含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項5】
前記熱可塑性粒子が、ポリアミド6、ポリアミド6/12、ポリアミド12又はその混合物を含む、請求項4に記載のプリプレグ。
【請求項6】
前記熱可塑性粒子が、プリプレグ中の全樹脂に対して5〜20%、好ましくは10〜20%のレベルで存在する、請求項1から5までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項7】
前記熱可塑性粒子が、0.5〜0.9の真球度を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項8】
前記熱可塑性粒子が、5〜50μm、好ましくは10〜30μmの平均粒径d50を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項9】
前記ガラス状カーボン粒子が、プリプレグ中の全樹脂に対して0.3〜2.0重量%、好ましくは0.5〜1.5重量%、より好ましくは0.5〜1.0重量%のレベルで存在する、請求項1から8までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項10】
前記ガラス状カーボン粒子が、10〜50μm、好ましくは20〜40μmの平均粒径d50を有する、請求項1から9までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項11】
前記ガラス状カーボン粒子の少なくとも50重量%が、5μm以内の平均粒径である、請求項1から10までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項12】
前記ガラス状カーボン粒子が、少なくとも0.95の真球度を有する、請求項1から11までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項13】
前記カーボン粒子の平均粒径と平均中間層厚さの比が、0.9:1〜1.5:1、より好ましくは1:1〜1.3:1である、請求項1から12までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項14】
熱可塑性粒子とガラス状カーボン粒子の重量比が、3:1〜50:1、好ましくは3:1〜40:1、より好ましくは5:1〜30:1、さらに好ましくは8:1〜20:1である、請求項1から13までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項15】
前記樹脂が二官能性エポキシ樹脂を含む、請求項1から14までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項16】
前記樹脂が、その主鎖中に少なくとも1つのメタ置換フェニル環を有する三官能性エポキシ樹脂を含む、請求項1から15までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項17】
前記樹脂がアミノスルホン硬化剤を含む、請求項1から16までのいずれか一項に記載のプリプレグ。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか一項に記載の複数のプリプレグを含み、それによって、導電性繊維の複数の構造層並びに第1の外側樹脂層と、存在する場合、第2の外側樹脂層によって形成された複数の樹脂インターリーフ層を含むプリプレグスタック。
【請求項19】
請求項1から18までのいずれか一項に記載のプリプレグ又はプリプレグスタックを高温及び任意選択で高圧にかけて硬化積層板を作製する方法によって得られる硬化複合積層板。
【請求項20】
請求項18に記載の硬化複合積層板を含む航空機胴体構造。
【請求項21】
航空機燃料タンク建造物の部品である、請求項20に記載の航空機胴体構造。
【請求項22】
請求項1から17までのいずれか一項に記載のプリプレグを製造するための方法であって、粒子を含まない樹脂を構造繊維の面の一方又は両方と接触させるステップと、前記樹脂を前記繊維に含浸させるステップと、続いて、熱可塑性粒子及びガラス状カーボン粒子を含む樹脂を前記含浸構造繊維の面の一方又は両方と接触させるステップとを含む上記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−503930(P2013−503930A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527391(P2012−527391)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051452
【国際公開番号】WO2011/027160
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(504132032)ヘクセル コンポジット、リミテッド (20)
【Fターム(参考)】