説明

記憶装置、集積回路装置及び電子機器

【課題】チップ面積や負荷容量の増加を抑止しながら、不揮発性メモリーセルのチャージトラップを低減することができる記憶装置、集積回路装置及び電子機器等を提供すること。
【解決手段】記憶装置は、電気的にデータの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリーセルM11、M12・・・と、トランジスターTNとを含む。不揮発性メモリーセルM11、M12・・・のワード線WS1とトランジスターTNのゲート電極GTとは、共通の導電配線PLにより形成される。導電配線PLには、ワード線WS1及びゲート電極GTに電圧を供給するためのコンタクトCNAが形成される。平面視において、コンタクトCNAと不揮発性メモリーセルM11、M12・・・との間の導電配線PLの経路において、トランジスターTNのチャネル領域が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置、集積回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)型やフローティングゲート型などの不揮発性メモリーセルを用いた記憶装置が製品化されている。これらの記憶装置の製造工程において、例えばドライエッチングなどによるコンタクト形成時において、過剰なチャージ(電荷)が発生し、このチャージが不揮発性メモリーセルのゲート電極中にトラップされることが問題となっている。特にMONOS型では、ゲート電荷蓄積層にチャージがトラップされると、そのチャージを放電することが困難であり、メモリーセルが誤動作するおそれがある。
【0003】
この課題に対して、例えば特許文献1には、保護用キャパシターを設ける手法が開示されている。また、例えば特許文献2には、トランジスターのゲート電極を延在するように形成し、延在した部分を用いて保護用素子を形成する手法が開示されている。
【0004】
しかしながら、これらの手法では、保護用キャパシターや保護用素子領域を別に設ける必要があるために、チップ面積や負荷容量の増大などの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭57−143865号公報
【特許文献2】特開2007−96197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、チップ面積や負荷容量の増加を抑止しながら、不揮発性メモリーセルのチャージトラップを低減することができる記憶装置、集積回路装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、電気的にデータの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリーセルと、トランジスターとを含み、前記不揮発性メモリーセルのワード線と前記トランジスターのゲート電極とは、共通の導電配線により形成され、前記導電配線には、前記ワード線及び前記ゲート電極に電圧を供給するためのコンタクトが形成され、平面視において、前記コンタクトと前記不揮発性メモリーセルとの間の前記導電配線の経路において、前記トランジスターのチャネル領域が形成される記憶装置に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、製造工程においてコンタクト形成時に発生するチャージを、トランジスターのゲート電極を介してその下のチャネル領域に放電することができる。こうすることで、不揮発性メモリーセルに流入するチャージを減少させることができるから、不揮発性メモリーセルのチャージトラップを低減することなどが可能になる。
【0009】
また本発明の一態様では、前記トランジスターの前記チャネル領域は、平面視において、前記コンタクトと前記不揮発性メモリーセルとの間の領域に形成されてもよい。
【0010】
このようにすれば、トランジスターのチャネル領域がコンタクトと不揮発性メモリーセルとの間の領域に形成されるから、製造工程においてコンタクトから発生するチャージを、チャネル領域に放電することができる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記トランジスターは、前記ワード線の電圧によりオン・オフされるソーススイッチ回路を構成するトランジスターであってもよい。
【0012】
このようにすれば、ソーススイッチ回路を構成するトランジスターをチャージ放電用の素子として利用することができるから、チャージ放電用の特別な素子を設ける必要がなくなる。その結果、素子数やチップ面積の増加を抑止しながら、不揮発性メモリーセルのチャージトラップを低減することができる。また、ワード線に接続される負荷容量の増加を抑止しながら、不揮発性メモリーセルのチャージトラップを低減することができる。
【0013】
また本発明の一態様では、前記トランジスターの一端は、前記不揮発性メモリーセルのソース線に電気的に接続され、前記トランジスターの他端は、書き込み及び消去用電圧の供給線に電気的に接続され、前記ワード線が選択された場合に、前記ソーススイッチ回路がオン状態になり、前記ソース線に前記書き込み及び消去用電圧が印加されてもよい。
【0014】
このようにすれば、ワード線が選択された場合に、トランジスターを介してソース線に書き込み及び消去用電圧が印加されるから、不揮発性メモリーセルの書き込み及び消去が可能になる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記トランジスターから前記不揮発性メモリーセルに向かう方向を第1の方向とした場合に、前記トランジスターの前記ゲート電極は、前記第1の方向を長辺方向とする第1の電極部分及び第2の電極部分を有し、前記導電配線のうちの、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分とを接続する配線部分に、前記コンタクトが形成されてもよい。
【0016】
このようにすれば、トランジスターのゲート電極の面積、すなわちチャネル領域の面積を大きくすることができる。こうすることで、より多くのチャージを放電することができるから、不揮発性メモリーセルに流入するチャージをさらに減少させることができる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記第1の方向の反対方向を第2の方向とした場合に、前記コンタクトは、前記第1の電極部分の前記第2の方向の領域に形成されてもよい。
【0018】
このようにすれば、コンタクトから不揮発性メモリーセルへの経路上に第1の電極部分が形成されるから、第1の電極部分を介してその下のチャネル領域により効果的にチャージを放電することなどができる。
【0019】
また本発明の一態様では、前記トランジスターから前記不揮発性メモリーセルに向かう方向を第1の方向とした場合に、前記トランジスターの前記ゲート電極は、前記第1の方向を長辺方向とする第1の電極部分及び第2の電極部分を有し、前記第2の電極部分を前記第1の方向に延在した配線部分に前記コンタクトが形成されてもよい。
【0020】
このようにすれば、コンタクトから不揮発性メモリーセルへの経路上に第1、第2の電極部分が形成されるから、第1、第2の電極部分を介してその下のチャネル領域に効果的にチャージを放電することができる。こうすることで、不揮発性メモリーセルに流入するチャージをさらに減少させることができる。
【0021】
また本発明の一態様では、前記トランジスターから前記不揮発性メモリーセルに向かう方向を第1の方向とし、前記第1の方向に直交する方向を第3の方向とした場合に、前記トランジスターと前記不揮発性メモリーセルとの間には、前記第3の方向に沿って基板電位安定化用の不純物領域が形成されてもよい。
【0022】
このようにすれば、トランジスターと不揮発性メモリーセルとの間で、導電配線を介して不純物領域にチャージを放電することができる。こうすることで、不揮発性メモリーセルに流入するチャージをさらに減少させることができる。
【0023】
また本発明の一態様では、前記トランジスター及び前記不揮発性メモリーセルは、N型トランジスターであり、前記基板電位安定化用の不純物領域は、P型の不純物領域であって、前記導電配線の下に形成されてもよい。
【0024】
このようにすれば、トランジスター及び不揮発性メモリーセルの基板はP型であるから、基板電位安定化用の不純物領域を基板と同じP型にすることができる。またP型の不純物領域を導電配線の下に形成することで、導電配線を介して不純物領域にチャージを放電することができる。
【0025】
また本発明の一態様では、前記トランジスターと前記不揮発性メモリーセルとの間には、ダミーの不揮発性メモリーセルが配置され、前記ダミーの不揮発性メモリーセル上には、ダミービット線が形成されてもよい。
【0026】
このようにすれば、ダミーの不揮発性メモリーセルを利用して、コンタクトで発生したチャージの少なくとも一部を放電することができるから、不揮発性メモリーセルに流入するチャージをさらに減少させることができる。またダミービット線を形成することで、ダミーの不揮発性メモリーセルの効果を高めることなどが可能になる。
【0027】
本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の記憶装置を含む集積回路装置及び電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】記憶装置の基本的な構成例。
【図2】メモリーブロックの詳細な構成例。
【図3】記憶装置の動作を説明するための図。
【図4】不揮発性メモリーセルの構造の一例。
【図5】チャージトラップによるしきい値電圧のシフトの一例。
【図6】記憶装置の第1の構成例。
【図7】図7(A)〜図7(C)は、第1の構成例の効果を説明する図。
【図8】図8(A)、図8(B)は、記憶装置の第2の構成例。
【図9】図9(A)、図9(B)は、記憶装置の第2の構成例の変形例。
【図10】図10(A)、図10(B)は、記憶装置の第3の構成例。
【図11】記憶装置の第4の構成例。
【図12】図12(A)、図12(B)は、集積回路装置及び電子機器の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0030】
1.記憶装置
図1に本実施形態の記憶装置の基本的な構成例を示す。この記憶装置は、例えばMONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Semiconductor)型又はフローティングゲート型などの不揮発性記憶装置であって、メモリーブロックMB1、MB2・・・と、アドレスバッファーADBFと、ローアドレスデコーダーRDECと、カラムデコーダーCDECを含む。なお、本実施形態の記憶装置は図1の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0031】
メモリーブロックMB1は、メモリーセルアレイMA1、ワード・ソース線ドライバーWSDR11、WSDR12、読み出し&書き込み回路RWC1、入出力バッファーIO1を含む。メモリーブロックMB2は、メモリーセルアレイMA2、ワード・ソース線ドライバーWSDR21、WSDR22、読み出し&書き込み回路RWC2、入出力バッファーIO2を含む。
【0032】
メモリーセルアレイMA1は、電気的にデータの書き込み及び消去が可能な複数の不揮発性メモリーセルを含む。メモリーセルの詳細な構成については後述する。
【0033】
ワード・ソース線ドライバーWSDR11、WSDR12は、各メモリーセルに接続されるワード線及びソース線に、読み出し、書き込み、消去の各動作に必要な電圧を印加させるための回路である。ワード・ソース線ドライバーの詳細な構成については後述する。
【0034】
読み出し&書き込み回路RWC1は、メモリーブロックMB1からのデータの読み出しや、MB1へのデータの書き込みを行うための回路であり、センスアンプやビット線のライトドライバーなどにより構成される。例えばメモリーブロックMB1からのデータの読み出し時には、読み出し&書き込み回路RWC1のセンスアンプが、ビット線の電位をセンシングして増幅することで、データの読み出しが実現される。またメモリーブロックMB1へのデータの書き込み時には、読み出し&書き込み回路RWC1のライトドライバーが、例えばカラムデコーダーCDECにより選択されたビット線をVSSに設定することで、データの書き込み動作が実現される。
【0035】
入出力バッファーIO1は、外部の処理部(CPU、制御回路等)が、データを書き込んだり、データを読み出すためのバッファーである。例えば書き込み動作時には、処理部が、メモリーブロックMB1に書き込むべき入力データD0を、入出力バッファーIO1(書き込み用のデータレジスター)に書き込む。また読み出し動作時には、読み出し&書き込み回路RWC1により読み出されたデータが、入出力バッファーIO1(読み出し用のデータレジスター)を介して処理部により読み出される。
【0036】
なおメモリーブロックMB2の構成・動作はメモリーブロックMB1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
図2に、メモリーブロックの詳細な構成例を示す。なお、本実施形態のメモリーブロックは図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0038】
メモリーブロックMB1は、メモリーセルアレイMA1と、複数のビット線BL1、BL2・・・と、複数のワード線WL1、WL2・・・と、複数のソース線SL1、SL2・・・と、複数のソーススイッチ回路SS1、SS2・・・を含む。なおビット線、ワード線、ソース線の本数やソーススイッチ回路の個数は任意である。またメモリーブロックMB2の構成もメモリーブロックMB1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0039】
メモリーセルアレイMA1には、複数の不揮発性メモリーセルM11、M12、M21、M22・・・が設けられる。これらの各不揮発性メモリーセルは、各ワード線(各ソース線)と各ビット線の交差位置に対応する場所に設けられる。
【0040】
ソース線SL1、SL2は、ワード線WL1、WL2に対応して設けられる。例えばソース線SL1はワード線WL1に対応して設けられ、ソース線SL2はワード線WL2に対応して設けられる。
【0041】
メインワード線ドライバーDM1、DM2は、ロウデコーダーRDEC(図1)に含まれ、メインワード線WL1X、WL2Xを駆動する。また、サブワード線ドライバーDS1、DS2は、ワード・ソース線ドライバーWSDR11(図1)に含まれ、サブワード線WS1、WS2を駆動する。メインワード線WL1X、WL2Xは、ワード線WL1、WL2の反転ノードである。
【0042】
ソーススイッチ回路SS1、SS2は、ワード線WL1、WL2及びソース線SL1、SL2に対応して設けられる。例えばソーススイッチ回路SS1は、ワード線WL1及びソース線SL1に対応して設けられ、ソーススイッチ回路SS2は、ワード線WL2及びソース線SL2に対応して設けられる。
【0043】
そしてSS1、SS2の各ソーススイッチ回路は、各ソーススイッチ回路に対応するワード線が選択状態になった場合に、印加電圧VPPを、対応するワード線により選択された不揮発性メモリーセルのソースに対して供給する。
【0044】
例えばワード線WL1が選択され、WL1がHレベル(高電位レベル)になると、サブワード線であるWS1がHレベル(VPP、VDD)になり、WL1の反転ノードであるメインワード線WL1XがLレベル(低電位レベル、VSS)になる。これにより、ソーススイッチ回路SS1(トランスファーゲートのN型及びP型トランジスター)がオンになる。この時、ワード線WL2は非選択状態であり、Lレベルであるため、WS2がLレベル、WL2XがHレベルになり、ソーススイッチ回路SS2はオフになる。
【0045】
そして、印加電圧VPPが、ソーススイッチ回路SS1を介して、不揮発性メモリーセルM11、M12のソース線SL1に供給される。この結果、ワード線WL1により選択されている不揮発性メモリーセルM11、M12のソースに対してVPPが印加され、書き込み動作や消去動作が実行されるようになる。
【0046】
ここで印加電圧VPPは、少なくとも書き込み動作(データ書き込み)に用いられる電圧であり、例えば消去動作(データ消去)にも用いることができる。また印加電圧VPPは、通常の回路の電源電圧VDD(動作電源電圧)よりも高い電位の電圧(例えば5V以上の電圧)であり、例えば不揮発性メモリーセルのソースに印加される電圧である。
【0047】
図3は、図2の記憶装置の動作を説明するための図である。図3に示すように、消去動作時には、ワード線WLはVSS(=0V)、ソース線SLはVPP、ビット線BLはフローティング状態に設定される。また書き込み動作時には、ワード線WLはVPP、ソース線SLはVPP、ビット線BLはVSSに設定される。また読み出し動作時には、ワード線WLはVDD、ソース線SLはVSSに設定され、ビット線BLの電位がセンスアンプによりセンシングされてデータが読み出される。
【0048】
例えば図2において、消去動作時には、消去信号ERがHレベル(VPP)になり、インバーターINVによって、サブワード線ドライバーDS1の電源ノードWSCはVSS(広義には第1の電源電圧)に設定される。更に消去用トランジスターTE1がオンになることによって、ワード線WL1に対応するサブワード線WS1はVSSに設定され、不揮発性メモリーセルM11、M12のゲートにVSSが印加される。この時、ソーススイッチ回路SS1のトランスファーゲートを構成するN型トランジスターがオフになる。また消去信号ERがHレベルになると、インバーターINVによって、サブワード線ドライバーDS2の電源ノードWSCもVSSに設定される。更に消去用トランジスターTE2もオンになることによって、ワード線WL2に対応するサブワード線WS2がVSSに設定され、メモリーセルM21、M22のゲートにVSSが印加される。この時、ソーススイッチ回路SS2のトランスファーゲートを構成するN型トランジスターはオフになる。
【0049】
そして例えばワード線WL1、WL2が選択され、WL1、WL2がHレベルになると、WL1、WL2の反転ノードであるメインワード線WL1X、WL2Xが、メインワード線ドライバーDM1、DM2によりVSSに設定される。これにより、ソーススイッチ回路SS1、SS2のトランスファーゲートを構成するP型トランジスターがオンになり、ソーススイッチ回路SS1、SS2は導通状態になる。従って、印加電圧VPPが、導通状態になったソーススイッチ回路SS1、SS2を介してソース線SL1、SL2に印加される。この結果、選択された不揮発性メモリーセルM11、M12、M21、M22のソースに対してVPPが印加され、図3に示す消去動作が実行される。なお、この時、図3に示すようにビット線BL1、BL2は、例えば読み出し&書き込み回路RWC1によりフローティング状態に設定される。
【0050】
また図2において、書き込み動作時には、ワード線WL1が選択されてHレベルになると、WL1のサブワード線WS1は、サブワード線ドライバーDS1によりVPPに設定される。一方、メインワード線WL1Xはメインワード線ドライバーDM1によりVSSに設定される。これにより、ワード線WL1により選択された不揮発性メモリーセルM11、M12のゲートにはVPPが印加されると共に、ソーススイッチ回路SS1はオンになる。従って、印加電圧VPPが、ソーススイッチ回路SS1を介して、ソース線SL1に印加される。従って、ワード線WL1により選択された不揮発性メモリーセルM11、M12のソースにはVPPが印加され、図3に示す書き込み動作が実行される。なお、この時、図3に示すようにビット線BL1、BL2は読み出し&書き込み回路RWC1によりVSSに設定される。具体的には、メモリーセルM11にデータを書き込む場合には、ビット線BL1がVSSに設定され、メモリーセルM12にデータを書き込む場合には、ビット線BL2がVSSに設定される。
【0051】
また、読み出し動作時においては、電源スイッチ回路(図示せず)により、ソーススイッチ回路に供給される電圧はVPPではなく、VSSに設定される。従って、例えばワード線WL1が選択されて、ソーススイッチ回路SS1がオンになると、ソース線SL1はVSSに設定される。またサブワード線ドライバーDS1に対して、例えば共通電源スイッチ回路(図示せず)によりVPPの代わりにVDDが供給され、これにより不揮発性メモリーセルM11、M12のゲートはVDDに設定され、図3に示す読み出し動作が実行される。
【0052】
図4は、電気的にデータの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリーセルの構造の一例として、MONOS型を示したものである。なお、本実施形態のメモリーセルは図4に示す構造に限定されるものではない。
【0053】
図4に示すメモリーセルは、半導体層510、ソースドレイン領域520、第1のゲート絶縁層530、ゲート電荷蓄積層540、第2のゲート絶縁層550、ゲート導電層560及び絶縁層570を有する。ソースドレイン領域520の一方はソース線SLに接続され、他方はビット線BLに接続される。また、ゲート導電層560はワード線WLに接続される。
【0054】
ゲート電荷蓄積層540は例えば窒化シリコン層(Si3N4層)で形成され、ゲート導電層560は例えばポリシリコン層で形成され、第1、第2のゲート絶縁層530、550及び絶縁層570は例えば酸化シリコン層(SiO2層)で形成される。これによりMONOS構造が実現される。
【0055】
MONOS型のメモリーセルでは、チャネルを走行する電子の一部がホットエレクトロンとなり、第1のゲート絶縁層530の障壁を越えて、ゲート電荷蓄積層540に捕獲される(トラップされる)ことで、データの書き込みが行われる。すなわち、ゲート電荷蓄積層540にトラップされた電荷の有無によって、メモリーセルのしきい値電圧が変化することで、記憶されたデータの0、1を判定する。
【0056】
ところで、集積回路装置の製造工程(半導体プロセス)において、工程中に発生するチャージ(電荷)によりトランジスター等の素子がダメージを被ることが問題となっている。例えば、酸化シリコン層などの層間絶縁膜にドライエッチングによりコンタクトホールを形成する場合などに、過剰なチャージ(電荷)が発生することが問題となっている。この問題は、不揮発性メモリーセルを用いる記憶装置の製造工程でも発生する。例えばMONOS構造形成後の工程において上記のチャージが発生した場合に、チャージがメモリーセルに流入し、ゲート電荷蓄積層540にトラップされる可能性がある。そしてトラップされたチャージによって、MONOS型メモリーセルのしきい値電圧が変化するおそれがある。
【0057】
図5は、MONOS型メモリーセルのチャージトラップによるしきい値電圧のシフトの一例である。図5に示すように、チャージトラップによりしきい値電圧が高い方にシフトし、さらにしきい値電圧のばらつきも大きくなる。このために、メモリーセルの消去・書き込み・読み出しの各動作にエラーが生じやすくなる。
【0058】
2.記憶装置の詳細な構成例
本実施形態の記憶装置は、上述した製造工程中に発生するチャージによるチャージトラップを低減する手段を提供するものである。以下に、本実施形態の記憶装置について詳細に説明する。
【0059】
図6に、本実施形態の記憶装置の第1の構成例を示す。図6は、本実施形態の記憶装置のメモリーブロックMB1のソース線SL1に対応する部分(図2のA1の部分)について示したものであるが、他のソース線SL2、SL3・・・についても同じ構成である。また、他のメモリーブロックMB2、MB3・・・についても同様である。なお、本実施形態の記憶装置は図6の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0060】
図6に示す第1の構成例は、電気的にデータの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリーセルM11、M12・・・と、トランジスターTNとを含む。トランジスターTNは、ワード線の電圧によりオン・オフされるソーススイッチ回路SS1を構成するトランジスターである。具体的には、トランジスターTNは、ソーススイッチ回路SS1を構成するP型及びN型トランジスターのうちのN型トランジスターである。
【0061】
不揮発性メモリーセルM11、M12・・・のワード線(サブワード線)WS1とトランジスターTNのゲート電極GTとは、共通の導電配線PLにより形成される。共通の導電配線PLは、同一層により形成される導電配線であって、他層の配線を介さずに電気的に導通する配線である。具体的には、例えば共通の導電配線PLは、ポリシリコンを用いた配線により、サブワード線WS1とトランジスターTNのゲート電極GTとを一体のパターン(形状)として形成することで実現できる。
【0062】
導電配線PLには、サブワード線WS1及びゲート電極GTに電圧を供給するためのコンタクトCNAが形成される。コンタクトCNAは、導電配線PLと他層の配線(例えば上層の金属配線)MLとを電気的に接続する。具体的には、コンタクトCNAによって導電配線PLと上層の金属配線MLとが電気的に接続され、さらに金属配線MLによりサブワード線ドライバーDS1の出力ノードに接続される。
【0063】
平面視において、コンタクトCNAと不揮発性メモリーセルM11、M12・・・との間の導電配線PLの経路の下に、トランジスターTNのチャネル領域が形成される。ここで導電配線PLの経路とは、導電配線PLにより一体のパターンとして形成された配線における導電経路である。具体的には、例えば図6に示すように、コンタクトCNAと不揮発性メモリーセルM11とを電気的に接続する導電配線PLの一部は、トランジスターTNのゲート電極GTでもあって、このゲート電極GTの下にトランジスターTNのチャネル領域が形成される。すなわち、ゲート電極GTは、コンタクトCNAと不揮発性メモリーセルM11との間の導電配線PLの経路を成し、その経路の下にトランジスターTNのチャネル領域が形成される。
【0064】
また、トランジスターTNのチャネル領域は、平面視において、コンタクトCNAと不揮発性メモリーセルM11、M12・・・との間の領域に形成される。ここでコンタクトCNAと不揮発性メモリーセルM11、M12・・・との間の領域とは、例えばコンタクトCNAの中心と不揮発性メモリーセルM11の中心を結ぶ線分の少なくとも一部を含む領域である。
【0065】
平面視とは、基板のトランジスター等の素子が形成される側の面を、基板に垂直に視ることをいう。また、下方とは、素子が形成される側において、基板に垂直で基板に向かう方向であり、上方とは、素子が形成される側において、基板に垂直で基板から離れる方向である。上層とは、ある層に対してその上方に形成される層であり、下層とは、ある層に対してその下方に形成される層である。
【0066】
トランジスターTNの一端は、コンタクトCNCによって、不揮発性メモリーセルのソース線SL1に電気的に接続される。トランジスターTNの他端は、コンタクトCNBによって、書き込み及び消去用電圧VPPの供給線(図示せず)に電気的に接続される。そしてワード線WL1が選択された場合に、ソーススイッチ回路SS1がオン状態になり、ソース線SL1に書き込み及び消去用電圧VPPが印加される。
【0067】
コンタクトCNDは、不揮発性メモリーセルM11、M12・・・の一端とビット線BL1、BL2・・・(図示せず)とを電気的に接続する。コンタクトCNEは、不揮発性メモリーセルM11、M12・・・の他端とソース線SL1とを電気的に接続する。
【0068】
図7(A)〜図7(C)は、本実施形態の記憶装置の第1の構成例(図6)の効果を説明する図である。図7(A)に、比較例として不揮発性メモリーセルM11、M12・・・のワード線(サブワード線)WS1と、トランジスターTNのゲート電極GTとを別々の(分離した)導電配線PLで形成する構成を示す。図7(A)のB1に示すように、メモリーセル領域のサブワード線WS1は、ゲート電極GTを形成する導電配線PLから分離されている。そしてコンタクトCNFによって、上層の金属配線MLを介してゲート電極GTと電気的に接続される。
【0069】
図7(B)に、比較例(図7(A))におけるチャージ(電荷)の移動を示す。導電配線PLを形成した後、コンタクトCNA、CNFを形成する工程(例えばドライエッチング工程)で発生したチャージは、例えば図7(B)のB2、B3に示す経路で移動する。コンタクトCNAから発生したチャージは、トランジスターTNのゲート電極GTを介してその下のチャネル領域に放電される。一方、コンタクトCNFから発生したチャージは、不揮発性メモリーセルM11、M12・・・のゲート電荷蓄積層540に流入し、トラップされる。そして上述したように、トラップされたチャージによって、不揮発性メモリーセルのしきい値電圧がシフトするおそれがある。
【0070】
図7(C)に、第1の構成例(図6)におけるチャージの移動を示す。第1の構成例では、コンタクトCNAで発生したチャージは、図7(C)のB4に示すように、トランジスターTNのゲート電極GTを介してその下のチャネル領域に放電される。発生したチャージの少なくとも一部はチャネル領域に放電されるから、不揮発性メモリーセルに流入するチャージは減少する。このようにすることで、ゲート電荷蓄積層540におけるチャージトラップを低減することができる。
【0071】
図8(A)に、本実施形態の記憶装置の第2の構成例を示す。図8(A)は、第1の構成例(図6)と同様に、本実施形態の記憶装置のメモリーブロックMB1のソース線SL1に対応する部分(図2のA1の部分)について示したものであるが、他のソース線SL2、SL3・・・についても同じ構成である。また、他のメモリーブロックMB2、MB3・・・についても同様である。
【0072】
図8(A)に示す第2の構成例は、第1の構成例と同様に、電気的にデータの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリーセルM11、M12・・・と、トランジスターTNとを含む。トランジスターTNは、ワード線の電圧によりオン・オフされるソーススイッチ回路SS1を構成するトランジスターである。具体的には、トランジスターTNは、ソーススイッチ回路SS1を構成するP型及びN型トランジスターのうちのN型トランジスターである。
【0073】
トランジスターTNから不揮発性メモリーセルM11、M12・・・に向かう方向を第1の方向D1とした場合に、トランジスターTNのゲート電極GTは、第1の方向D1を長辺方向とする第1の電極部分GT1及び第2の電極部分GT2を有する。そして導電配線PLのうちの、第1の電極部分GT1と第2の電極部分GT2とを接続する配線部分JAに、コンタクトCNAが形成される。或いは、第1の方向D1の反対方向を第2の方向D2とした場合に、コンタクトCNAは、第1の電極部分GT1の第2の方向D2の領域に形成される。
【0074】
第1の構成例と同様に、不揮発性メモリーセルM11、M12・・・のワード線(サブワード線)WS1と、トランジスターTNの第1、第2の電極部分GT1、GT2と、接続する配線部分JAとは、共通の導電配線PLにより形成される。共通の導電配線PLは、同一層により形成される導電配線であって、他層の配線を介さずに電気的に導通する配線である。具体的には、例えば共通の導電配線PLは、ポリシリコンを用いた配線により形成することができる。
【0075】
コンタクトCNA、CNB、CNC、CND、CNEについては、図6の第1の構成例で説明したものと同じであるから、ここでは説明を省略する。
【0076】
図8(B)は、図8(A)に示す第2の構成例の効果を説明する図である。コンタクトCNAで発生したチャージは、図8(B)のC1に示すように、トランジスターTNのゲート電極の第1の電極部分GT1を介してその下のチャネル領域に放電される。さらに図8(B)のC2に示すように、トランジスターTNのゲート電極の第2の電極部分GT2を介してその下のチャネル領域にも放電される。
【0077】
第2の構成例では、第1の構成例と比較してゲート電極の面積(チャネル領域の面積)を大きくすることができる。従って、より多くのチャージをチャネル領域に放電することができるから、不揮発性メモリーセルに流入するチャージをさらに減少させることができる。このようにして、第2の構成例によれば、コンタクト形成時に発生するメモリーセルのチャージトラップをさらに低減することができる。
【0078】
図9(A)に、記憶装置の第2の構成例の変形例を示す。この変形例では、コンタクトCNAが配置される領域が第2の構成例(図8(A))と異なる。すなわちトランジスターTNのゲート電極の第2の電極部分GT2を第1の方向D1に延在した配線部分EXにコンタクトCNAが形成される。
【0079】
図9(B)は、図9(A)に示す第2の構成例の変形例の効果を説明する図である。コンタクトCNAで発生したチャージは、図9(B)のE1に示すように、トランジスターTNのゲート電極の第2の電極部分GT2を介してその下のチャネル領域に放電される。さらに図9(B)のE2に示すように、トランジスターTNのゲート電極の第1の電極部分GT1を介してその下のチャネル領域にも放電される。
【0080】
この変形例では、コンタクトCNAで発生したチャージを放電するための2つのチャネル領域が、共にコンタクトCNAからメモリーセルM11、M12・・・への経路の下に形成される。このようにすることで、不揮発性メモリーセルに流入するチャージをさらに減少させることができるから、コンタクト形成時のメモリーセルのチャージトラップをより効果的に低減することが可能になる。
【0081】
図10(A)に、本実施形態の記憶装置の第3の構成例を示す。図10(A)は、上述した第1、第2の構成例(図6、図8(A))と同様に、メモリーブロックMB1のソース線SL1に対応する部分(図2のA1の部分)について示したものであるが、他のソース線SL2、SL3・・・についても同じ構成である。また、他のメモリーブロックMB2、MB3・・・についても同様である。
【0082】
図10(A)に示す第3の構成例は、電気的にデータの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリーセルM11、M12・・・と、トランジスターTNと、基板電位安定化用の不純物領域IMPを含む。この基板電位安定化用の不純物領域IMPは、トランジスターTNと不揮発性メモリーセルM11、M12・・・との間に、第3の方向D3(又は第4の方向D4)に沿って形成される。トランジスターTN及び不揮発性メモリーセルM11、M12・・・はN型トランジスターであり、基板電位安定化用の不純物領域IMPはP型の不純物領域であって、導電配線PLの下に形成される。なお、図10(A)において、第2の構成例(図8(A))と同一符号を付けたものは、第2の構成例で説明したものと同じであるから、ここでは説明を省略する。
【0083】
図10(B)は、図10(A)に示す第3の構成例の効果を説明する図である。コンタクトCNAで発生したチャージは、図10(B)のF1に示すように、トランジスターTNのゲート電極の第1の電極部分GT1を介してその下のチャネル領域に放電される。さらに図10(B)のF2に示すように、トランジスターTNのゲート電極の第2の電極部分GT2を介してその下のチャネル領域にも放電される。そしてさらに図10(B)のF3に示すように、導電配線PLを介してその下の不純物領域IMPにも放電される。
【0084】
このように第3の構成例では、導電配線PLを介してその下の不純物領域IMPにも放電することができるから、メモリーセルに流入するチャージをさらに減少させることができる。その結果、コンタクト形成時のメモリーセルのチャージトラップをより効果的に低減することが可能になる。
【0085】
図11に、本実施形態の記憶装置の第4の構成例を示す。図11は、上述した第1〜第3の構成例(図6、図8(A)、図10(A))と同様に、メモリーブロックMB1のソース線SL1に対応する部分(図2のA1の部分)について示したものであるが、他のソース線SL2、SL3・・・についても同じ構成である。また、他のメモリーブロックMB2、MB3・・・についても同様である。
【0086】
図11に示す第4の構成例は、電気的にデータの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリーセルM11、M12・・・と、トランジスターTNと、基板電位安定化用の不純物領域IMPと、ダミーの不揮発性メモリーセルMDと、ダミービット線BLDとを含む。具体的には、図11に示すように、ダミーの不揮発性メモリーセルMDは、トランジスターTNと不揮発性メモリーセルM11、M12・・・との間に配置される。ダミービット線BLDは、ダミーの不揮発性メモリーセルMD上に形成される。ダミービット線BLD及びビット線BL1、BL2・・・は、ソース線SL1より上層の金属配線層により形成される。なお、図11において、第2、第3の構成例(図8(A)、図10(A))と同一符号を付けたものは、第2、第3の構成例で説明したものと同じであるから、ここでは説明を省略する。
【0087】
ここでダミーの不揮発性メモリーセルMDとは、例えば実際にデータの記憶に用いられる不揮発性メモリーセルM11、M12・・・と同一の構造を有し、同一の製造工程で同時に形成され、同一のメモリーセルアレイMA1内に配置されるが、データの記憶には用いられることがない素子をいう。また、ダミービット線BLDとは、例えば実際に不揮発性メモリーセルM11、M12・・・とセンスアンプ及びライトドライバーRWC1との間の書き込み・読み出しデータのやり取りに用いられるビット線BL1、BL2・・・と同一の形状であって、同一の製造工程で同時に形成され、ダミーの不揮発性メモリーセルMD上に形成されるが、書き込み・読み出しデータのやり取りに用いられることがない配線をいう。
【0088】
図11に示す第4の構成例によれば、ダミーの不揮発性メモリーセルMDがコンタクトCNAで発生したチャージの少なくとも一部を放電することができる。従って、コンタクトCNAで発生したチャージが、トランジスターTNのゲート電極の第1、第2の電極部分GT1、GT2及び導電配線PLの不純物領域IMPの部分で十分に放電されない場合であっても、ダミーのメモリーセルMDを設けることで、メモリーセルM11、M12・・・のチャージトラップをさらに効果的に低減することが可能になる。またダミービット線BLDを形成することで、ダミーの不揮発性メモリーセルMDの効果を高めることなどが可能になる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の記憶装置によれば、ソーススイッチ回路を構成するトランジスター及び基板電位安定化用の不純物領域をそのまま利用することで、製造工程中のコンタクト形成時に発生する不揮発性メモリーセルのチャージトラップを低減することができる。またダミーの不揮発性メモリーセル及びダミーのビット線を設けることで、チャージトラップをさらに効果的に低減することが可能になる。その結果、不揮発性メモリーセルの消去・書き込み・読み出しの各動作のエラーを低減することができ、記憶装置の歩留まりを向上させ、信頼性の高い不揮発性記憶装置を実現することが可能になる。
【0090】
また、チャージトラップを低減するための特別な保護素子(キャパシター等)を設ける必要がないから、素子数やチップ面積の増加を抑止しながら、不揮発性メモリーセルのチャージトラップを低減することができる。さらに、ワード線に接続される負荷容量の増加を抑止しながら、不揮発性メモリーセルのチャージトラップを低減することができる。
【0091】
なお、上記のトランジスターは、ソーススイッチ回路を構成するトランジスターに限定されるものではない。トランジスターのゲート電極と不揮発性メモリーセルのワード線とが共通の導電配線により形成され、そのトランジスターのオン・オフが不揮発性メモリーセルの動作に寄与するものであればよい。
【0092】
3.集積回路装置及び電子機器
図12(A)、図12(B)に、本実施形態の記憶装置を含む集積回路装置及び電子機器の構成例を示す。なお本実施形態の集積回路装置、電子機器は図12(A)、図12(B)の構成には限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0093】
図12(A)の電子機器は、集積回路装置600、センサー700、アンテナ710を含む。また集積回路装置600(マイクロコンピューター等)は、処理部610、記憶部620、不揮発性記憶装置630、検出回路640、無線回路650を含む。
【0094】
センサー700は、例えば煙センサー、光センサー、人感センサー、圧力センサー、生体センサー、ジャイロセンサーなどである。
【0095】
集積回路装置600の検出回路は、センサー700(物理量トランスデューサ)からのセンサー信号に基づいて種々の検出処理(物理量の検出処理)を行う。例えばセンサー信号から所望信号を検出する処理を行う。集積回路装置600の処理部610は、各種の演算処理や集積回路装置600の全体的な制御を行う。この処理部610は、CPU等のプロセッサーやASICの制御回路により実現される。記憶部620は、各種のデータを記憶するものであり、RAM等により実現される。不揮発性記憶装置630は、本実施形態の記憶装置であって、電気的にデータの書き込み等が可能な記憶装置である。無線回路650は、アンテナ710への信号の無線送信処理を行ったり、アンテナ710からの信号の無線受信処理を行う。
【0096】
図12(B)の電子機器は、集積回路装置600、外部デバイス720、電気光学パネル730を含む。また集積回路装置600は、処理部610、記憶部620、不揮発性記憶装置630、外部I/F部660、ドライバー670を含む。
【0097】
外部デバイス720は、電子機器に設けられる種々のデバイスであり、例えば操作部等である。電気光学パネル730は、例えば液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、無機ELパネル、或いは電気泳動パネル(Electrophoretic Display)などである。
【0098】
集積回路装置600の外部I/F(インターフェース)部660は、例えばSPI、USBなどの各種のインターフェースのための制御を行う。ドライバー670は、電気光学パネル730を駆動して画像を表示する制御を行う。
【0099】
なお本実施形態の電子機器としては、携帯型情報端末、携帯電話機、PDA、携帯型オーディオ機器、時計、リモコン、各種家電装置等の種々の機器を想定できる。
【0100】
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また記憶装置、集積回路装置及び電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0101】
MB1、MB2 メモリーブロック、MA1、MA2 メモリーセルアレイ、
M11〜M22 不揮発性メモリーセル、WL1、WL2 ワード線、
SL1、SL2 ソース線、BL1、BL2 ビット線、
SS1、SS2 ソーススイッチ回路、TE1、TE2 消去用トランジスター、
WL1X、WL2X メインワード線、WS1、WS2 サブワード線
DM1、DM2 メインワード線ドライバー、
DS1、DS2 サブワード線ドライバー、
WSDR11〜WSDR22 ワード・ソース線ドライバー、
RWC1、RWC2 読み出し&書き込み回路、IO1、IO2 入出力バッファー、
ADBF アドレスバッファー、RDEC ローアドレスデコーダー、
CDEC カラムデコーダー、TN トランジスター、
PL 導電配線、GT ゲート電極、GT1、GT2 第1、第2の電極部分、
JA 接続する配線部分、EX 延在した配線部分、
MD ダミーの不揮発性メモリーセル、BLD ダミービット線、IMP 不純物領域、
CNA、CNB、CNC、CND、CNE、CNF コンタクト、
510 半導体層、520 ソースドレイン領域、530 第1のゲート絶縁層、
540 ゲート電荷蓄積層、550 第2のゲート絶縁層、560 ゲート導電層、
570 絶縁層、
600 集積回路装置、610 処理部、620 記憶部、630 不揮発性記憶装置、
640 検出回路、650 無線回路、660 外部I/F部、670 ドライバー、
700 センサー、710 アンテナ、720 外部デバイス、730 電気光学パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的にデータの書き込み及び消去が可能な不揮発性メモリーセルと、
トランジスターとを含み、
前記不揮発性メモリーセルのワード線と前記トランジスターのゲート電極とは、共通の導電配線により形成され、
前記導電配線には、前記ワード線及び前記ゲート電極に電圧を供給するためのコンタクトが形成され、
平面視において、前記コンタクトと前記不揮発性メモリーセルとの間の前記導電配線の経路において、前記トランジスターのチャネル領域が形成されることを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記トランジスターの前記チャネル領域は、平面視において、前記コンタクトと前記不揮発性メモリーセルとの間の領域に形成されることを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記トランジスターは、
前記ワード線の電圧によりオン・オフされるソーススイッチ回路を構成するトランジスターであることを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記トランジスターの一端は、前記不揮発性メモリーセルのソース線に電気的に接続され、
前記トランジスターの他端は、書き込み及び消去用電圧の供給線に電気的に接続され、
前記ワード線が選択された場合に、前記ソーススイッチ回路がオン状態になり、前記ソース線に前記書き込み及び消去用電圧が印加されることを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記トランジスターから前記不揮発性メモリーセルに向かう方向を第1の方向とした場合に、
前記トランジスターの前記ゲート電極は、前記第1の方向を長辺方向とする第1の電極部分及び第2の電極部分を有し、
前記導電配線のうちの、前記第1の電極部分と前記第2の電極部分とを接続する配線部分に、前記コンタクトが形成されることを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の方向の反対方向を第2の方向とした場合に、
前記コンタクトは、前記第1の電極部分の前記第2の方向の領域に形成されることを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記トランジスターから前記不揮発性メモリーセルに向かう方向を第1の方向とした場合に、
前記トランジスターの前記ゲート電極は、前記第1の方向を長辺方向とする第1の電極部分及び第2の電極部分を有し、
前記第2の電極部分を前記第1の方向に延在した配線部分に前記コンタクトが形成されることを特徴とする記憶装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記トランジスターから前記不揮発性メモリーセルに向かう方向を第1の方向とし、前記第1の方向に直交する方向を第3の方向とした場合に、
前記トランジスターと前記不揮発性メモリーセルとの間には、前記第3の方向に沿って基板電位安定化用の不純物領域が形成されることを特徴とする記憶装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記トランジスター及び前記不揮発性メモリーセルは、N型トランジスターであり、
前記基板電位安定化用の不純物領域は、P型の不純物領域であって、前記導電配線の下に形成されることを特徴とする記憶装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記トランジスターと前記不揮発性メモリーセルとの間には、ダミーの不揮発性メモリーセルが配置され、
前記ダミーの不揮発性メモリーセル上には、ダミービット線が形成されることを特徴とする記憶装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の記憶装置を含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項12】
請求項11に記載の集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−187632(P2011−187632A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50570(P2010−50570)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】