説明

試料検査装置及び試料検査方法並びに試料検査システム

【課題】 膜に保持された試料の試料交換を迅速に行うことができるとともに、分解能の低下を防ぐことができ、また真空室内の汚染を防止することができる試料検査装置及び試料検査方法並びに試料検査システムを提供する。
【解決手段】 試料検査装置は、第1の面32aに試料20が保持される膜32と、膜32の第2の面に接する雰囲気を減圧する真空室11と、真空室11に接続され、膜32を介して試料20に一次線7を照射する一次線照射手段1と、一次線7の照射により試料20から発生する二次的信号を検出する信号検出手段4と、真空室11内において、32膜と一次線照射手段1との間の空間を仕切るための開閉バルブ14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、膜に保持された試料に荷電粒子線等の一次線を照射して、当該試料の検査を行うことのできる試料検査装置及び試料検査方法並びに試料検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という)の構成を備える試料検査装置において、検査対象となる試料は、通常、真空引きにより減圧された試料室内に配置される。そして、このように減圧雰囲気とされた試料室内に配置された試料に電子線(荷電粒子線)が照射され、当該照射により試料から発生する二次電子や反射電子(後方散乱電子)等の二次的信号が検出される。
【0003】
このような走査型電子顕微鏡による試料検査では、試料が減圧雰囲気に晒されることとなる。よって、水分を含有する試料が検査対象であるときには、減圧雰囲気とされた試料室内に試料をそのまま配置すると、試料から水分が蒸発してしまい、水分が含まれた状態での試料の検査に支障をきたすこととなる。
【0004】
従って、試料に水分が含まれた状態で試料検査を行う際には、試料から水分が蒸発しないようにする必要がある。このためには、試料が減圧雰囲気に晒されることがないようにする必要がある。
【0005】
このように試料が減圧雰囲気に晒されることなくSEMを用いて試料検査を行う例の一つとして、膜により開口(アパーチャ)が密封された試料容器(サンプルチャンバ)の内部に試料を配置し、減圧雰囲気とされたSEMの試料室内に、この試料容器を設置する手法が考えられている。
【0006】
ここで、試料が配置される試料容器の内部は減圧されない。そして、試料容器に形成された当該開口を覆う膜は、SEMの試料室内の減圧雰囲気と試料容器内部の減圧されていない雰囲気(例えば、大気圧雰囲気)との間の圧力差に耐えられるとともに、電子線が透過するものとなっている(特許文献1参照)。
【0007】
試料検査を行う際には、減圧雰囲気とされたSEMの試料室内に配置された試料容器の当該膜を介して、試料容器の外部から試料容器内の試料に電子線が照射される。電子線が照射された試料からは反射電子が発生し、この反射電子は試料容器の当該膜を通過して、SEMの試料室内に設けられた反射電子検出器によって検出される。これにより、SEMによる像(SEM像)が取得されることとなる。
【0008】
なお、このように真空と大気圧との圧力差に耐えられる膜を介して試料に電子線を照射し、試料から発生する反射電子を検出してSEM像を取得する例は、非特許文献1(当該文献のChapter1 Introduction)にも記載されている。
【0009】
また、このような膜を対向して設置して一対の膜を構成し、該一対の膜の間に試料を配置して透過型電子顕微鏡による像を取得する例は、特許文献2及び特許文献3に記載されている。特に、特許文献2には、このような一対の膜を利用して、その間に配置された試料のSEM像を取得する場合についても述べられている。
【0010】
【特許文献1】特表2004−515049号公報
【特許文献2】特開昭47−24961号公報
【特許文献3】特開平6−318445号公報
【非特許文献1】「Atmospheric scanning electron microscopy」 Green, Evan Drake Harriman, Ph.D., Stanford University, 1993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の試料検査において、複数の試料が検査対象となることが多い。この場合、一の試料の検査後に、他の試料への交換を迅速に行うことが必要である。しかしながら、上述の例においては、減圧された試料室の内部に試料が位置しているので、試料交換に手間と時間がかかる。
【0012】
また、細胞を検査対象とする試料を上記試料容器内に配置して試料検査を行う場合には、当該試料容器の上記膜と細胞との間に水分が多量に入り込んでしまう可能性がある。この場合には、当該膜を介して試料に照射される電子線が、当該膜と細胞との間に介在する水分により散乱されてしまい、取得されるSEM像の分解能が低下してしまう。
【0013】
さらに、試料の観察中に万が一にも当該膜が破損した場合には、SEMの試料室の内部に試料の含有物質が拡散する可能性がある。この場合、SEMの試料室内を汚染してしまうこととなる。
【0014】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、膜に保持された試料に、一次線として電子線等の荷電粒子線を該膜を介して照射し、これによって試料検査を行う際に、該膜と一次線照射手段との間の空間を開閉バルブにより仕切ることができるようにすることにより、試料交換を迅速に行うことのできる試料検査装置及び試料検査方法並びに試料検査システムを提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、細胞を検査対象とする試料の検査を行う際に、分解能の低下を防止することのできる試料検査装置及び試料検査方法並びに試料検査システムを提供することを目的とする。
【0016】
さらに、本発明は、試料の観察中におけるSEMの真空室内の汚染を防止することのできる試料検査装置及び試料検査方法並びに試料検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に基づく一の試料検査装置は、第1の面に試料が保持される膜と、該膜の第2の面に接する雰囲気を減圧する真空室と、該真空室に接続され、該膜を介して試料に一次線を照射する一次線照射手段と、一次線の照射により試料から発生する二次的信号を検出する信号検出手段と、該真空室内において、該膜と該一次線照射手段との間の空間を仕切るための開閉バルブとを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に基づく他の試料検査装置は、第1の面に試料が保持される膜と、該膜の第1の面に接する雰囲気の圧力を減圧可能に調整する圧力調整室と、該膜の第2の面に接する雰囲気を減圧する真空室と、該真空室に接続され、該膜を介して試料に一次線を照射する一次線照射手段と、一次線の照射により試料から発生する二次的信号を検出する信号検出手段と、該真空室内において、該膜と該一次線照射手段との間の空間を仕切るための開閉バルブとを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に基づく試料検査方法は、上記何れかの試料検査装置により試料の検査を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明に基づく試料検査システムは、上記何れかの試料検査装置と、当該試料検査装置により検出された二次的信号に基づいて形成された画像データに画像処理を施すとともに該画像処理結果に基づいて画像分類を行うコンピュータと具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、試料を保持する膜と一次線照射手段との間の空間を仕切るための開閉バルブが備えられている。よって、試料交換をする際には、当該開閉バルブにより当該空間を仕切り、その後当該膜側の空間部のみを常圧復帰させることができる。
【0022】
これにより、試料交換時に必要な常圧復帰に要する時間を短縮することができ、試料交換を迅速に行うことができる。
【0023】
また、当該膜の上面に試料を保持し、該膜の下面側から一次線を照射するようにすることにより、試料に含有された検査対象となる細胞は該膜の上面に接して沈殿する。これにより、該膜と該細胞との間に水分が多量に介在されることを回避できるので、水分による一次線の散乱を極力少なくすることができ、取得される像の分解能の低下を確実に防止することができる。
【0024】
そして、試料の観察及び検査前に、試料の該膜への供給前及び供給後での当該膜の破損(破壊)の有無を確認することができ、真空室内の試料による汚染を事前に防止することができる。
【0025】
さらに、試料の観察及び検査中に万が一にも当該膜が破損したときには、直ちに当該開閉バルブを閉じて当該空間(真空室内の空間)を仕切ることにより、真空室内の汚染を確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明における試料検査装置について説明する。
【0027】
図1は、本発明における試料検査装置の第1実施例を示す概略構成図である。同図において、鏡筒1には電子銃(電子源)2が配置されている。電子銃2から加速された状態で放出された一次線としての電子線(荷電粒子線)7は、集束レンズ(対物レンズ)3により集束される。
【0028】
これにより集束された電子線7は、試料保持体18に保持された試料20に照射される。このとき、電子線7は図示しない偏向手段により偏向され、これにより電子線7は当該試料20を走査する。なお、鏡筒1の先端側は真空室11に接続されている。また、電子銃2が設けられた鏡筒1の基端側は真空室11の下方に位置している。
【0029】
よって、電子銃2から放出された電子線7は、鏡筒1内を上方向に進み、鏡筒1の先端に設けられた開口を介して真空室11内の空間を通過後、試料20に到達する。このように、この鏡筒1は、一次線照射手段を構成し、本実施例では倒立型鏡筒となっている。真空室11内であって鏡筒11の先端側には、反射電子検出器4が設けられている。
【0030】
鏡筒1内は排気手段8により真空引きされて、所定の圧力まで減圧される。また、真空室11内は、図示しない排気手段により真空引きされ、これにより所定の圧力まで減圧される。ここで、真空室11は、除振装置13を介して、架台10に載置されている。
【0031】
真空室11の上部には、試料保持体載置部12が設けられている。試料保持体載置部12には、電子線7が通過するための孔が形成されている。この試料保持体載置部12には、Oリング(図示せず)を介して、試料保持体18が載置されている。これにより、試料保持体18は真空室11に着脱自在に支持される。
【0032】
試料保持体18は、試料保持膜32を備えている。この試料保持膜32の上面(第1の面)32aは露出されている。この試料保持膜32の第1の面32aには、ピペット21により液状の試料20が供給される。また、試料保持体18は、試料保持膜32の下面(第2の面)に設けられた本体部34を備えている。本体部34の中央には開口が形成されており、試料保持膜32の第2の面の中央部は該開口を介して真空室11の内部雰囲気に露出されている。
【0033】
また、真空室11の上側部分には、開閉バルブ14が設置されている。この開閉バルブ14は、真空室11内において、試料保持体18の試料保持膜32と鏡筒(一次線照射手段)1の先端部との間の空間19を仕切るためのものである。開閉バルブ14が、図1において14aで示す位置に配置されたときが、閉じられた状態である。このように、開閉バルブ14を閉じると、真空室11内の当該空間19が仕切られることとなる。
【0034】
このように開閉バルブ14により仕切られた当該空間19が仕切られることにより、開閉バルブ14と試料保持膜32との間において密閉された空間部19aが形成される。この空間部19aは、上記空間19において、開閉バルブ19を境として試料保持膜32側に位置する空間となる。
【0035】
当該空間部19aに連通して真空排気手段(減圧手段)9が設けられている。この真空排気手段9は、当該空間部19aを個別に排気できる。また、当該空間部19aには、図示しないガス供給手段が接続されている。このガス供給手段は、窒素やエアー等のガスを当該空間部19aに供給し、この空間部19a内を減圧状態から常圧(大気圧)状態に復帰させる。これにより、当該空間部19aは、独立して減圧状態からの常圧復帰が可能となる。
【0036】
さらに、当該空間部19aには、図示しない洗浄手段が接続されている。この洗浄手段は、当該空間部19a内に洗浄剤を供給し、当該空間部19aを洗浄する。これにより、当該空間部19aを構成する壁面(真空室11上部の内壁面、試料保持膜32の下面、及び開閉バルブの上面(表面)を含む)は洗浄される。以下、この洗浄を「当該空間部19aの洗浄」という。
【0037】
このとき使用される洗浄剤としては、エタノール、アルコール、アセトン、過酸化水素水からなる洗浄液、又はこれらの物質の蒸気を使用できる。当該空間部19aに供給された洗浄剤は、この空間部19aの洗浄を実施後、排出管15により該空間部19aから排出される。
【0038】
排出管15には、開閉弁16が設けられている。この開閉弁16が開放されることにより、洗浄剤は排出管15を介して外部に排出される。なお、後述する試料の検査を実行する際には、開閉弁16は閉じられる。
【0039】
また、上記洗浄剤を用いずに、洗浄手段が当該空間部19aに紫外光を照射することにより、当該空間部19aの洗浄を行うこともできる。
【0040】
次に、図2を参照して、試料保持体18の作成方法について説明する。
【0041】
まず、図2(A)に示すように、シリコン層33と、該シリコン層33の一方の面(同図では下面)に設けられた窒化シリコン膜36とを有する基板を用意する。このとき窒化シリコン膜36の第1の面(同図では下面)は露出されており、窒化シリコン膜36の第2の面はシリコン層36に覆われている。
【0042】
シリコン層33は、試料保持体18の本体部34を構成することとなる。また、窒化シリコン膜36は、試料保持体18の試料保持膜32を構成することとなる。
【0043】
次いで、図2(A)におけるシリコン層33の他方の面(上面)の中央部33aを選択的にエッチングする。
【0044】
シリコン層33の中央部33aには、図2(B)に示すように、開口が形成される。これにより、窒化シリコン膜36の第2の面の一部が該開口により露出される。このとき、該開口内において、窒化シリコン膜36の補強のため、複数のシリコンの柱35を残しておく。
【0045】
該開口内で、当該柱35が設けられていない部分では、窒化シリコン膜36の第2の面が露出されている。窒化シリコン膜36は試料保持体18の試料保持膜32を構成し、シリコン窒化膜36の第2の面は試料保持膜32の第2の面32bに対応する。これにより、試料保持体18が作成される。
【0046】
このようにして作成された試料保持体18は、図2(B)の状態から上下反転され、試料保持膜32である窒化シリコン膜36の第1の面を上面とする。この窒化シリコン膜36の上面である第1の面は、試料保持体18の試料保持面32の第1の面32aとなる。
【0047】
ここで、窒化シリコン膜36の厚みは、10〜1000nmの範囲に設定される。なお、試料保持体18の試料保持膜32として用いられる膜としては、窒化シリコン膜の他に、酸化シリコン、窒化ボロン、ポリマー、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、若しくはカーボンからなる膜を用いても良い。これらの膜を用いた場合でも、その膜厚は10〜1000nmに設定される。
【0048】
上述した素材からなる試料保持膜32は、電子線7が透過するが気体や液体は透過しないものとなる。なお、このような試料保持膜32は、その厚さが薄ければ電子線7の散乱が少なくなるので分解能が向上するが破損しやすくなり、また、その厚さが厚くなれば電子線7の散乱が増加して分解能が低下するが破損しにくくなる。好適な膜厚としては、上記の各素材について20〜200nmとなる。
【0049】
次に、図1に戻って、試料検査装置の構成をさらに説明する。反射電子検出器4により検出された検出信号は、真空室11の外部に配置された画像形成装置22に送られる。画像形成装置22は、当該検出信号に基づいて、画像データを形成する。この画像データは、SEM画像に対応する画像データとなる。
【0050】
当該画像データは、表示装置23に送られる。表示装置23は、送られた画像データに基づく画像を表示する。表示された画像は、SEM画像となる。
【0051】
また、画像形成装置22により形成された画像データは、必要に応じてコンピュータ25に送られる。コンピュータ25は、後述する画像処理を当該画像データに対して施すとともに、当該画像処理の結果に基づく画像分類を実行する。
【0052】
ここで、鏡筒1及び真空室11を備える検査装置本体26と画像形成装置22とコンピュータ25は制御部24により制御される。本発明における試料検査装置は、検査装置本体26、画像形成装置22、表示装置23、及び制御部24を備えており、当該試料検査装置とコンピュータ25とにより、本発明における試料検査システムが構成される。
【0053】
次に、本発明における試料検査方法について説明する。
【0054】
まず、試料検査装置本体26の試料保持体載置部12に試料保持体18を載置する。このとき、開閉バルブ14は閉じられており、この開閉バルブ14は図1における14aの位置に配置されている。この開閉バルブ14と試料保持膜32との間において密閉された空間部19aは、常圧である大気圧雰囲気となっている。なお、この時点では、試料保持体18の試料保持膜32の第1の面32aには、試料20は供給(載置)されていない。
【0055】
また、真空室11内において、開閉バルブ14の下側に位置する空間は所定の真空状態(減圧状態)となっている。さらに、当該空間に連通する鏡筒1内は、真空排気手段8により排気されて減圧され、所定の真空状態となっている。真空室11内の圧力(真空度)は、例えば、10−4Pa〜10−5Pa程度に設定される。
【0056】
この状態で、真空排気手段9を用いて上記空間部19aを減圧して真空にした。真空にする際、大気圧状態からの急激な圧力変化による試料保持膜32の破損を防ぐ為、図示しないニードルバルブ等を用いて1秒〜100秒の間の時間かけて、大気圧である1気圧(101325Pa)から1/2気圧〜1/10気圧程度の圧力(50kPa〜10kPa)にまで減圧した。
【0057】
この工程で、試料保持体18の試料保持膜32が破壊されないことの確認を行う。
【0058】
上記工程により試料保持膜32の破壊がないことの確認をした後、一例として血液中の赤血球を検査対象として、赤血球を含有する試料20を試料保持膜32の第1の面(上面)32aに供給し、大気圧雰囲気中に当該試料20が配置された状態で、液中にある赤血球の観察を行った。
【0059】
このとき、観察前の試料の前処理として、予め生体から取得した血液(試料)を、5分間、遠心分離することによって上清を捨てた。その後、浸透圧を整えたリン酸緩衝液を加え、5分間遠心分離し上清を捨てる工程を5回程繰返した。次に、当該試料を1%グルタールアルデヒド溶液に浸し、その後1%四酸化オスミウム溶液に浸し(その後、さらに必要に応じて、0.5〜1%タンニン酸溶液及び1%四酸化オスミウム溶液への浸漬を繰り返す)、固定を行った。この赤血球を含む液体を、試料20としてピペット21を用いて試料保持台18における試料保持膜32の第1の面32aに垂らした。赤血球は重いので試料20中で沈殿し、試料保持膜32の第1の面(上面)32aに接して沈降した。
【0060】
このとき、万が一試料保持膜32が破壊された場合でも、開閉バルブ14が閉まっているので、試料20の拡散による汚染は当該空間部19a内のみで済む。万が一にも試料保持膜32が破壊されて、当該空間部19a内が試料20の拡散により汚染されたとしても、上述したように、当該空間部19aの洗浄は実施可能である。そして、洗浄で用いた洗浄剤である液体又は蒸気は、バルブ16を開けることにより、排出管15を介して排出及び廃棄可能である。
【0061】
なお、当該空間部19aを構成する壁面(上記参照)を、窒化ボロンもしくは、フッ素樹脂でコーティング(被膜)することにより、汚染されにくくすることができる。
【0062】
次いで、当該空間部19aが減圧(真空)状態において、試料20が載置された試料保持膜32が破壊されないことを確認した後、開閉バルブ14を開けた。これにより、真空室11内の空間の仕切りが解除され、真空室11内の下側の空間と当該空間部19aとが連通される。
【0063】
その後、鏡筒1から電子線7を試料20に向けて照射して撮像を行った。このとき、電子線7は、偏向されて試料20を走査し、これに基づく走査像(SEM画像)の取得ができた。
【0064】
ここで、電子線7は試料保持体18の試料保持膜32を透過して試料20に照射され、当該照射に基づいて試料20から発生する反射電子(後方散乱電子)は反射電子検出器4で検出される。反射電子検出器4からの検出信号は、画像形成装置22に送られる。画像形成装置22は、当該検出信号に基づいて、画像データを形成する。この画像データに基づいて、表示装置23が画像(SEM画像)を表示する。
【0065】
このようにして表示された画像を確認することで、検査対象である赤血球の形状を明確に観察することができた。
【0066】
ここで、当該試料20の検査中に、試料保持膜32が破壊されることにより真空室11内部の汚染を防止する為に、この真空室11内部の真空度(圧力)を真空計で検出してモニターした。これにより試料保持膜32を介するガスリークを即座に検知でき、当該ガスリークが生じたときには自動的に開閉バルブ14を閉鎖することで、真空室11内部の汚染を低減させることができた。
【0067】
また、画像形成装置22により形成された画像データに基づいて、コンピュータ25が画像処理し、形状等の特徴の抽出を行い、当該画像処理によって明らかになった特徴(形状)と、予め取得された赤血球形状と病因の関係のデーターベースと比較することによって、赤血球を取得した生体の病因を特定することができた。なお、当該データベースとの比較により、検査対象である赤血球の合否判定を行うこともできる。
【0068】
上記の例では、検査対象として生体を構成する要素としての生体細胞である赤血球を対象としたが、それ以外にも、白血球、精子、卵子、骨髄細胞、神経細胞、筋細胞、脂肪細胞でも観察及び検査が可能になった。これら生体細胞を検査する際、金属染色を行うと、二次電子や反射電子から得られる像(SEM画像)のコントラスト、分解能を向上させることができた。金属は、原子番号の大きなものが特によく、例えばオスミウム、ルテニウム、タングステンもしくはウランであった。
【0069】
また、検査対象として生体を構成する要素である抗原が試料に含まれており、当該抗原に、金属が標識された特異抗体が結合されていても本発明は適用可能である。
【0070】
なお、上述した検査工程においては、試料20が供給(載置)されていない試料保持体18を試料検査装置本体26の試料保持体載置部12に載置し、その後上記空間部19aを減圧した後に試料保持体18に試料20を供給するようにしたが、試料20が供給(載置)された試料保持体18を試料保持体載置部12に載置した後に、上記空間部19aを減圧するようにしてもよい。何れの場合でも、当該空間部19aが減圧されるときには、開閉バルブ14は閉じており、真空室11内の下側の空間の試料20による汚染は防止されることとなる。
【0071】
さらに、図3に示すように、試料保持体18上に流路39、液体の入口(試料供給手段)37、および出口(試料排出手段)38を形成させると、入口37から試料20を入れて試料保持体18に供給し、観察及び検査した後、水、もしくはエタノール等を入口37から入れ、出口38から試料20とともに排出することで、試料保持体18の洗浄が可能である。
【0072】
この場合、開閉バルブ24を閉じておけば、空間部19aは減圧状態を保持したままでよく、上記洗浄後、直ちに新たな試料を試料保持体18に供給することにより、試料保持体18に当該新しい試料を素速く載置することができ、試料交換を迅速に行うことができる。
【0073】
また、入口37を複数設けることによって、試料20と、試薬を流路36内で混合させることが可能で、さらに入口37、出口38、流路36を複数設けることによって、複数の試料を同時に観察及び検査可能になる。
【0074】
また、図1に示す装置では、上述したように、試料検査中に試料保持体18の試料保持膜32が破壊され、真空室1内部が汚染される可能性がある。その可能性を低減させるためには、試料検査中における開閉バルブ14の開放時間を短縮する必要がある。
【0075】
そこで、本発明における第2実施例として、図4に示すごとく、光学顕微鏡5を設置するとともに、電子線7が通過する孔を有するミラー6を鏡筒1内に配置した。このミラー6により、光学顕微鏡5による観察時に用いられる光(例えば、レーザー光)の光路を電子線7の経路と一致させる。当該光は、図示しない光照射手段から発せられ、試料保持膜32の第2の面側から試料保持膜32を介して試料20に照射される。なお、光学顕微鏡5が当該光照射手段を備えるようにしても良い。
【0076】
さらに、開閉バルブ14の一部を、光を透過する材料からなる部材により構成する。窒化シリコン等からなる試料保持膜32も光が透過するので、開閉バルブ14を閉じたまま試料20の観察が可能になった。
【0077】
そして、光学顕微鏡5を用いて試料20に対して焦点を合わせ、その時の焦点を合わせた設定値を用いて鏡筒1から試料20に向けて照射される電子線7の焦点を設定した。これにより、電子線7を用いた観察及び検査前に観察・検査領域を特定することができ、電子線7による観察及び検査時には、試料20中における観察・検査対象を探す時間や焦点を合わせを行う時間を省くことが可能になった。その結果、開閉バルブ14が開いている時間を短縮でき、真空室11及び鏡体1の内部が汚染される確率を低減することができた。また、電子線7の照射による試料保持膜32や試料20のダメージも低減することができた。
【0078】
また、真空室11において、開閉バルブ14と試料保持体載置部12との間に、蛇腹構造を備える移動駆動手段17を設けることで、試料保持体18の試料保持膜32が移動可能となり、この試料保持膜32に載置された試料20を垂直方向及び水平方法で移動可能にすることができる。これにより、電子線7を用いた観察・検査領域に、検査対象物(赤血球等)の位置を移動させることが可能になった。
【0079】
また、この移動駆動手段17を用いた試料保持体18の回転若しくは傾斜を行って試料検査を行うことにより、検査対象物の三次元構造も確認できた。さらに、鏡筒1を傾斜することにより、電子線7を傾斜させて試料20に照射させることによっても、検査対象物の三次元構造も確認できた。なお、これらの場合、試料20から発生する二次電子や反射電子を、二つ以上の検出器で検出するとさらに明確な三次元構造の確認をすることができる。
【0080】
なお、図4の例では、試料保持膜32の第2の面側である試料保持体18の下方に光学顕微鏡及び光照射手段が配置されることとなるが、これに限らず、試料保持膜32の第1の面32a側である試料保持体18の上方に光学顕微鏡及び光照射手段を配置するようにしてもよい。
【0081】
次に、本発明における第3実施例として、試料保持膜32のさらなる破壊発生確率の低減の為に、図5に示すごとく、試料保持体載置部12上に圧力調整室50と、当該圧力調整室50に接続される真空排気可能な圧力調整手段51を設けた。この圧力調整室50は、真空室11の上部に着脱可能に載置されている。これにより、試料保持体18は圧力調整室50内に位置し、試料保持膜32の第1の面32aに接する雰囲気の圧力は減圧可能に調整される。
【0082】
このような構成の装置を用いた試料検査においては、まず、開閉バルブ14は、閉じた状態で図5における14aに示す位置に配置されており、この開閉バルブ14と試料保持膜32との間において密閉された空間部19aは、常圧である大気圧雰囲気となっている。このとき、圧力調整室50は、試料保持体載置部12上から外された状態となっている。
【0083】
また、真空室11内において、開閉バルブ14の下側に位置する空間は所定の真空状態(減圧状態)となっている。さらに、当該空間に連通する鏡筒1内は、真空排気手段8により排気されて減圧され、所定の真空状態となっている。
【0084】
この状態で、試料保持体18の試料保持膜32の上面32aに試料20を供給して載置し、圧力調整室50を試料保持体載置部12上に配置する。これにより、試料保持体18の試料保持膜32上に載置された試料20は、圧力調整室50の内部に位置することとなる。
【0085】
次に、上記空間部19aを真空排気手段9を用いて真空に引くと同時に、圧力調整室50内を圧力調整手段51により減圧する。圧力調整室50内の雰囲気の気圧を、例えば1/2気圧程度(約50kPa)にすることで、当該空間部5aと当該雰囲気との間の圧力差が低くなり、当該圧力差に起因する試料保持膜32に加わる外力を低減することができ、試料保持膜32の破損頻度を低減できる。なお、この圧力調整室50は減圧という目的以外でも、電子ビーム7の試料20への照射の際に生ずる放射線の防護としても利用できる。
【0086】
上述した各実施例において、二次電子や反射電子以外でも、試料20への電子線7の照射により生ずるX線、もしくはカソードルミネッセンス光を検出することにより、試料20の情報を得ることが可能である。
【0087】
また、上記各実施例においては、一次線として電子線を用いた例であったが、試料保持膜32がイオンビーム等の他の荷電粒子の照射に対する耐衝撃性及び強度が十分に高ければ、当該他の荷電粒子線を用いた場合でも適用可能である。
【0088】
このように、本発明における一の試料検査装置(第1実施例)は、第1の面32aに試料20が保持される試料保持膜32と、試料保持膜32の第2の面32bに接する雰囲気を減圧する真空室11と、真空室11に接続され、試料保持膜32を介して試料20に電子線(一次線)7を照射する鏡筒(一次線照射手段)1と、電子線7の照射により試料20から発生する反射電子(二次的信号)を検出する反射電子検出器(信号検出手段)4と、真空室11内において、試料保持膜32と鏡筒1との間の空間を仕切るための開閉バルブ14とを備えている。
【0089】
また、本発明における他の試料検査装置(第3実施例)は、第1の面32aに試料20が保持される試料保持膜32と、試料保持膜32の第1の面32aに接する雰囲気の圧力を減圧可能に調整する圧力調整室50と、試料保持膜32の第2の面32bに接する雰囲気を減圧する真空室11と、真空室11に接続され、試料保持膜32を介して試料20に電子線(一次線)7を照射する鏡筒(一次線照射手段)1と、電子線7の照射により試料20から発生する反射電子(二次的信号)を検出する反射電子検出器(信号検出手段)4と、真空室11内において、試料保持膜32と鏡筒1との間の空間を仕切るための開閉バルブ14とを備えている。
【0090】
さらに、本発明における試料検査方法は、上記何れかの試料検査装置により試料20の検査を行う。
【0091】
そして、本発明における試料検査システムは、上記何れかの試料検査装置と、当該試料検査装置により検出された二次的信号に基づいて形成された画像データに画像処理を施すとともに該画像処理結果に基づいて画像分類を行うコンピュータ25と具備している。
【0092】
従って、本発明において、試料交換をする際には、開閉バルブ14により真空室11内の空間を仕切り、その後試料保持膜32側に位置する一方の空間部14aのみを常圧復帰させて試料交換を行うことができる。このとき、真空室11内において、開閉バルブ14により仕切られた上記空間における他方の空間部及び鏡筒1内は減圧状態を保持することができる。
【0093】
これにより、試料交換時に必要な常圧復帰に要する時間を短縮することができ、試料交換を迅速に行うことができる。
【0094】
また、試料保持膜32の上面(第1の膜)32aに試料10を保持し、試料保持膜32の下面(第2の膜)32b側から電子線7を照射するようにすることにより、試料20に含有された検査対象となる細胞は試料保持膜32の上面32aに接して沈殿する。これにより、試料保持膜32と該細胞との間に水分が多量に介在されることを回避できるので、水分による電子線7の散乱を極力少なくすることができ、取得される像の分解能の低下を確実に防止することができる。
【0095】
そして、試料20の観察及び検査前に、試料20の試料保持膜32への供給前及び供給後での試料保持膜32の破損(破壊)の有無を確認することができ、真空室11内の試料20による汚染を事前に防止することができる。
【0096】
さらに、試料20の観察及び検査中に万が一にも試料保持膜32膜が破損したときには、直ちに開閉バルブ14を閉じて上記空間を仕切ることにより、真空室11内の汚染を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明における試料検査装置の第1実施例を示す概略構成図である。
【図2】本発明における試料保持体の作成方法を示す図である。
【図3】試料保持体の変形例を示す図である。
【図4】本発明における試料検査装置の第2実施例を示す概略構成図である。
【図5】本発明における試料検査装置の第3実施例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0098】
1…鏡筒(一次線照射手段)、2…電子銃、3…集束レンズ、4…反射電子検出器、5…光学顕微鏡、6…ミラー、7…電子線(一次線)、8…真空排気手段、9…真空排気手段、10…架台、11…真空室、12…試料保持体載置部、13…除震装置、14…開閉バルブ、15…排出管、16…開閉弁、17…移動駆動機構、18…試料保持体、19…空間、19a…空間部、20…試料、21…ピペット、22…画像形成装置、23…表示装置、24…制御部、25…コンピュータ、32…試料保持膜、32a…第1の面、32b…第2の面、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面に試料が保持される膜と、該膜の第2の面に接する雰囲気を減圧する真空室と、該真空室に接続され、該膜を介して試料に一次線を照射する一次線照射手段と、一次線の照射により試料から発生する二次的信号を検出する信号検出手段と、該真空室内において、該膜と該一次線照射手段との間の空間を仕切るための開閉バルブとを備える試料検査装置。
【請求項2】
第1の面に試料が保持される膜と、該膜の第1の面に接する雰囲気の圧力を減圧可能に調整する圧力調整室と、該膜の第2の面に接する雰囲気を減圧する真空室と、該真空室に接続され、該膜を介して試料に一次線を照射する一次線照射手段と、一次線の照射により試料から発生する二次的信号を検出する信号検出手段と、該真空室内において、該膜と該一次線照射手段との間の空間を仕切るための開閉バルブとを備える試料検査装置。
【請求項3】
前記膜の第1の面が該膜の上面となっており、当該膜の第2の面が該膜の下面となっていることを特徴とする請求項1若しくは2記載の試料検査装置。
【請求項4】
前記膜が、酸化シリコン、窒化シリコン、又は窒化ボロンのうちの少なくとも一つを含み、該膜の厚さが10〜1000nmであることを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の試料検査装置。
【請求項5】
前記膜が、ポリマー、ポリエチレン、ポリイミド、ポリプロピレン、又はカーボンのうちの少なくとも一つを含み、該膜の厚さが10〜1000nmであることを特徴とする請求項1乃至3何れか記載の試料検査装置。
【請求項6】
前記膜が可動であることを特徴とする請求項1乃至5何れか記載の試料検査装置。
【請求項7】
前記膜の第1の面に試料を供給するための試料供給手段を備えることを特徴とする請求項1乃至6何れか記載の試料検査装置。
【請求項8】
前記膜の第1の面に供給された試料を排出するための試料排出手段を備えることを特徴とする請求項7記載の試料検査装置。
【請求項9】
前記試料室内における前記開閉バルブにより仕切られた前記膜側の空間を個別に減圧するための減圧手段を備えることを特徴とする請求項1乃至8何れか記載の試料検査装置。
【請求項10】
前記減圧手段により、前記試料室内における前記開閉バルブにより仕切られた前記膜側の空間を50kPa〜10kPaの間の気圧に大気圧から減圧する時間を、1〜100秒の間で設定可能であることを特徴とする請求項9記載の試料検査装置。
【請求項11】
前記試料室内おける前記開閉バルブにより仕切られた前記膜側の空間を個別に洗浄するための洗浄手段を備えることを特徴とする請求項1乃至10何れか記載の試料検査装置。
【請求項12】
前記洗浄手段は、エタノール、アルコール、アセトン、過酸化水素水、又はこれらの蒸気、若しくは紫外光のうちの少なくとも一つを用いて洗浄を行うことを特徴とする請求項11記載の試料検査装置。
【請求項13】
前記試料室内おける前記開閉バルブにより仕切られた前記膜側の空間に接する前記試料室の内壁面部分及び前記開閉バルブの表面部分を、窒化ボロン又はフッ素樹脂で被膜したことを特徴とする請求項11若しくは12記載の試料検査装置。
【請求項14】
前記膜の第1の面側又は第2の面側のうちの少なくとも一方の側に、前記試料に光を照射する光照射手段を備えることを特徴とする請求項1乃至13何れか記載の試料検査装置。
【請求項15】
前記光照射手段は前記膜の第2の面側に設けられており、前記開閉バルブの少なくとも一部は、当該光照射手段からの光が透過する部材から構成されていることを特徴とする請求項14記載の試料検査装置。
【請求項16】
前記光照射手段による光の照射に基づいて試料の観察を行う光学顕微鏡を備えることを特徴とする請求項14若しくは15記載の試料検査装置。
【請求項17】
前記光学顕微鏡による焦点合わせに基づいて前記一次線の焦点を設定することを特徴とする請求項16記載の試料検査装置。
【請求項18】
前記試料の回転を行う試料回転手段、試料の傾斜を行う試料傾斜手段、若しくは一次線照射手段の傾斜を行う傾斜駆動手段のうちの少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1乃至17何れか記載の試料検査装置。
【請求項19】
前記一次線は、荷電粒子線又は電子線であることを特徴とする請求項1乃至18何れか記載の試料検査装置。
【請求項20】
前記二次的信号は、二次電子、反射電子、X線、若しくはカソードルミネッセンス光のうちの少なくとも一つであることを特徴とする請求項19記載の試料検査装置。
【請求項21】
前記真空室内の圧力を検出することにより前記膜を介する当該真空室へのガスリークを検知する検知手段を備え、該検知手段が当該ガスリークを検知したときに前記開閉バルブが閉じることを特徴とする請求項1乃至20何れか記載の試料検査装置。
【請求項22】
前記膜は試料保持体に備えられており、該試料保持体は前記真空室に着脱自在に支持されていることを特徴とする請求項1乃至21何れか記載の試料検査装置。
【請求項23】
請求項1乃至22何れか記載の試料検査装置により試料の検査を行うことを特徴とする試料検査方法。
【請求項24】
前記試料は、生体を構成する要素である赤血球、白血球、精子、卵子、骨髄細胞、神経細胞、筋細胞、脂肪細胞のうちの何れかを含有することを特徴とする請求項23記載の試料検査方法。
【請求項25】
前記生体を構成する要素は、金属が含まれた物質で染色されていることを特徴とする請求項24記載の試料検査方法。
【請求項26】
前記金属は、オスミウム、ルテニウム、タングステン、若しくはウランのうちの何れかであることを特徴とする請求項26記載の試料検査方法。
【請求項27】
前記試料は生体を構成する要素である抗原を含有し、該抗原には金属が標識された特異抗体が結合されていることを特徴とする請求項23記載の試料検査方法。
【請求項28】
請求項1乃至22何れか記載の試料検査装置と、当該試料検査装置により検出された前記二次的信号に基づいて形成された画像データに画像処理を施すとともに該画像処理結果に基づいて画像分類を行うコンピュータと具備する試料検査システム。
【請求項29】
前記コンピュータは、当該画像分類の結果に基づいて病因判定若しくは合否判定を行うことを特徴とする請求項28記載の試料検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−292702(P2007−292702A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123711(P2006−123711)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】