説明

誘電体基板に基づいて円板状の加工品を製造する方法、ならびにそのための真空処理設備

【課題】基板をエッチングまたはコーティングする
【解決手段】誘電体基板(100)は第1の真空蒸着ステーション(102)で、10−5Ωcm≦ρ≦10−1Ωcmが抵抗率(ρ)について成り立つ材料の層でコーティングされ、しかも、結果として生じる面積抵抗率Rが0≦R≦10−4Ωδの範囲内におさまるようにコーティングされる。次いで、コーティングされた誘電体基板(104)にステーション(105)で反応性高周波プラズマ処理工程が施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体基板に基づいて円板状の加工品を製造する方法を前提とするものであり、この製造方法は、真空容器のなかで向かい合う2つの電極面の間で形成されるプラズマプロセス空間での処理を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
定義
プラズマプロセス空間にさらされている表面を「電極面」として定義する。
【0003】
本発明が前提とする前述の方法では、それぞれの電極面の間で電気的な高周波電界が生成され、それにより、反応性ガスが装填されたプロセス空間に高周波プラズマ放電が生起される。このとき、一方の電極面は誘電材料でできており、この電極面に、面に沿って設定された変化する分布をもつ高周波電位が印加される。プラズマプロセス空間での電界の分布は、誘電電極面における電位分布によって調整される。前提となる方法では、基板によって誘電電極面が形成されるか、または、金属で構成された第2の電極面に基板が配置されるかのいずれかである。さらに、基板と向かい合う電極面で、開口パターンからプロセス空間へ反応性ガスが導入される。
【0004】
近年、特に製造コストを引き下げるために、高周波プラズマ支援による反応性の方法を用いて、比較的大型の円板状の加工品を製造する努力がますます重ねられている。このとき高周波プラズマ支援による方法(PHfECVD)は、基板コーティングのために利用されるか、または、高周波プラズマ支援による反応性のエッチング方法として適用される。前述した努力は、特に液晶ディスプレイ(LCD)の製造、TFTディスプレイまたはプラズマディスプレイの製造、ならびに太陽光発電の分野、とりわけソーラーセル製造の分野でなどではっきりと認められる。
【0005】
真空容器のなかでプロセス空間のほうを向いた平坦な電極面をそれぞれ備える、平行に向かい合う平面的な金属電極を周知のように利用して、プラズマ励起のために電気的な高周波電界を印加しながら、前述した高周波プラズマ支援による反応性の方法によって上述した種類の製造方法を実施すると、基板が大きくなるにつれて、および/または励起周波数fHfが高くなるにつれて、基板の観点からすると、真空容器の寸法設計がもはや副次的とはいえない重要性を帯びることが観察されている。このことは、特に、真空中で利用される高周波電磁場の波長に注目したときに当てはまる。電極面と平行に観察したときに、真空室内における電気的な高周波電界の分布は不均一であり、部分的に平均値から明らかに異なっており、このことは、電極面のうちの1つで位置決めされた加工品の不均一な処理につながる。すなわち、エッチングの場合にはエッチング作用の不均一な分布が生じ、コーティングの場合にはたとえば層厚、層材料の化学量論などの不均一な分布が生じる。処理におけるこのような有意な不均一性は少なからぬ用途にとって、特にたとえば前述した液晶、TFTディスプレイ、プラズマディスプレイの製造、ならびに太陽光発電、特にソーラーセルの製造において許容することができない。前述の不均一性は、真空容器の前述した寸法ないし面積が真空容器内の電界の波長に近づくほど顕著になる。
【0006】
この問題を解決するために、根本的に異なる取組みが知られている:
米国特許第6631692号ならびに米国特許出願公開第2003/0089314号より、互いに向かい合う2つの金属電極面の間にプラズマプロセス空間を形成し、その際に、互いに向かい合う金属電極面の一方または両方を成形することが公知である。
【0007】
他方の電極面に載っている基板と向かい合う金属電極面、または、基板が上に載っている金属電極面、または互いに向かい合う両方の金属電極面が、凹面状に構成される。このような公知の方法は図1に模式的に示されており、次のものを表している:
1aと1b:高周波電界Eが間に印加される、プロセス空間PRで互いに向かい合う金属電極面である。
【0008】
,E:上記に応じて周辺部と中央部に発生する電界である。
上に述べた問題を解決するために本発明も前提としている、物理的に根本的に異なる取組みが、本件出願と同じ出願人の米国特許第6228438号から公知となっている。米国特許第6228438号に基づく方法の原理について、まず図2を参照して説明する。ただし、この図は前述の明細書に開示されていない具体化の態様を示しているが、理解の基礎として援用することにする。互いに向かい合う電極面のうちの一方の電極面2aは、一例として上述したように金属製である。それに対して第2の電極面2bは誘電材料でできており、たとえば平坦に構成された誘電性の薄いプレート4でできている。プロセス空間PRにおける両方の電極面2aおよび2bの一定の間隔にもかかわらず所望の局所的な電界分布を引き起こす、たとえば図示するように縁部領域で中心領域Eよりも強い電界Eを引き起こす、電位分布Φ2bが誘電電極面2bに沿って、生起される。このことは、たとえば図2に示すように、高周波発生器6が容量性素子C,Cを介して、所望の分布に応じて別様に誘電プレート4に結合されることによって、実現することができる。図2に示す、ただし前掲の米国特許第6228438号には開示されていない、前述の特許明細書で具体化されている原理の実施形態では、結合キャパシタンスCは、中心キャパシタンスCよりも大きいキャパシタンス値を有するように選択されている。キャパシタンスCないしCの構成は、米国特許第6228438号によれば、図3に示すようにして解決される。第1に、図2に示す電極面2bを形成する誘電体8が設けられるが、この電極面は同時に、図2に基づいて設けられる金属の結合面10に関して厚さdが局所的に変化しているために、局所的に変化するキャパシタンスCを形成する。このとき誘電体8は、図4に示すように固体誘電体によって形成されていてもよく、または、金属の結合面10と、電極面2bを形成する誘電性プレート4との間の排気もしくはガス充填された中空スペース8aによって形成されていてもよい。重要なのは、前述の中空スペース8aでプラズマ放電が形成されないことである。
【0009】
本発明は、図2から図4を参照して基本的に説明した、米国特許第6228438号に基づく従来公知の方法を前提とするものである。この方法では、処理されるべき基板をプロセス空間Pのどこに位置決めすべきか、誘電電極面2bに位置決めすべきか、それとも金属電極面2aに位置決めすべきかという問題が生じる。前掲の米国特許第6228438号では、誘電性基板は電極面2bまたは電極面2aの上に載せ、それに対して導電性の表面をもつ基板は金属の電極面2aに設けることが教示されている(5欄35行以下)。
【0010】
さらに、処理されるべき基板と向かい合う電極面に分布するように、開口パターンから反応性ガスをプロセス空間に導入することが前掲の明細書から公知である。したがって、図3または図4に示す誘電性基板が電極面2bに載せられれば、金属電極面2aの側にガス供給部を有する開口パターンが設けられる。基板が金属電極面2aに配置されれば、誘電電極面2bの側に反応性ガスのための開口パターンが設けられる。そうすれば、図4から容易にわかるように、中空スペース8aを補償室として利用することができ、反応性ガスは結合面10を備える金属の結合構造を通ってまず補償室8aに入り、それから、誘電プレート4に設けられた開口パターンを通ってプロセス空間Pに入ることができる。しかしながら、中空室8aを誘電性固体で充填することも十分に考えられ、このことは、誘電電極面2bを形成する材料により、または少なくとも部分的にこれと異なる1つまたは
複数の材料によって行われ、このような固体を貫通する開口パターンに、分配された配管を介して反応性ガスが供給される。
【0011】
原則として、図3ないし図4に示すようにプロセス空間へ反応性ガスを導入するための開口パターンと、誘電体8ないし8aとを組み合わせてただ1つの電極構造にすることは、図3に示すように開口パターンを電極面2aに設け、処理されるべき基板を誘電電極面2bに置くよりも、ないしは誘電層そのものによって誘電電極面2bを構成するよりも、はるかに高いコストを要すると考えられる。
【0012】
すなわち、開口パターンを備えるガス導入準備部と、電界に対する介入措置とを機能的に分離するのが好ましいと考えられており、すなわち、可能ならば常に処理されるべき基板を誘電電極面2bに載せるか、または、誘電電極面2bを少なくとも部分的に基板によって構成し、ガス導入領域は金属電極面2aの開口パターンによって構成すると好ましいと考えられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、基本的に米国特許第6228438号からすでに公知の方法を用いて、特別な層を備える加工品を製造することができる、誘電体基板に基づいて円板状の加工品を製造する方法を提案することにある。このとき、このようにして製造された円板状の加工品は、特にソーラーセルとしての利用に適しているのが望ましい。このことは、誘電体基板が最初に、すなわち前述した高周波プラズマプロセス空間で処理される前に、少なくとも区域的に層材料でコーティングされ、この層材料の抵抗率ρについては次式:
【0014】
【数1】

【0015】
が成り立ち、前記層の面積抵抗率については次式:
【0016】
【数2】

【0017】
が成り立ち、次いで、コーティングされた基板が金属電極面で位置決めされ、プラズマプロセス空間で反応性プラズマ支援によりエッチングまたはコーティングされることによって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
すでに述べたとおり、公知の方法ではガス導入措置と電界介入措置との機能分離を行い、それを各電極面へ割り当あてることが設計上の理由からどちらかというと追求されてきたのであるが、本発明では、前記層による誘電体基板の予備コーティングと、および原則として公知のPHfECVD法との組み合わせが成果をもたらすのは、コーティングの後に基板がプラズマプロセス空間で金属電極面に載せられて、電界介入措置と、前述の開口パターンを通しての反応性ガス導入とが組み合わされて誘電電極面で、ないしは誘電電極の領域で具体化される場合だけであることが示された。
【0019】
すなわち、誘電体基板を特別な層でコーティングした後に、前述した基板で位置決めを
することだけが成功に結びつき、したがって、当初はむしろ不都合にみなされてきた機能組み合わせが、誘電電極面で具体化されなくてはならないことが見出されたのである。
【0020】
しかも提案される方法により、高周波プラズマ処理の種類に関して高いフレキシビリティが実現されるという利点がある。すなわち、あらかじめ特別な層でコーティングされた誘電体基板がエッチングされるのか、それともコーティングされるのかに左右されることがなく、またさらに、PHfECVDプロセスによって誘電式に導電性の高いコーティングがなされるかどうかに左右されることがない。すなわち、プラズマプロセス空間での電界分配措置の作用に関して、ないしはガス導入措置の作用に関して、そのつどの処理プロセスは上記による影響を受けない。
【0021】
すでに先ほど述べたように、誘電体基板は本発明の範囲内では、従来「金属性」または「導電性」と呼ばれてきた材料よりも電気抵抗率ρがはるかに高い材料でまずコーティングされる。たとえば金、銀、銅、アルミニウムといった従来の導電材料の抵抗率は1.7×10−6Ωcmから2.7×10−6Ωcmの範囲内にある。
【0022】
定義
面積抵抗率Rは、抵抗率ρと層厚との商として算出される。面積抵抗率はΩの大きさを有しており、記号で示される。
【0023】
したがって、着目する層の面積抵抗率Rは材料にも層厚にも依存している。
本発明では、方法の選択は、誘電体基板の表面が導電性の高い材料で予備コーティングされているか、それとも導電性の低い材料で予備コーティングされているかに左右されるだけでなく、前述の材料で層の面積抵抗率Rがどの程度であるかにも決定的に左右されることが見出されている。
【0024】
本発明による方法の1つの実施形態では、誘電電極面における高周波電位の分布、およびプロセス空間への反応性ガスの導入は、プロセス空間のほうを向いている誘電プレート構造の表面によって誘電電極面が形成され、その裏面は金属の結合面によってチャンバを形成しており、結合面から裏面までの距離は結合面に沿って変化しており、さらに、反応性ガスはチャンバへ導入されてから、プレート構造に設けられた開口パターンを通じてプロセス空間へ導入されることによって具体化される。結合面には、および導電性である他方の電極面には、プラズマ励起のための高周波信号が印加される。
【0025】
金属結合面と、誘電プレート構造の裏面との間の間隔が変化することで、図2に示すようなキャパシタンス分布が実現され、チャンバ空間は、その裏面と金属の結合電極面との間で、誘電プレート構造の開口パターンを通ってプロセス空間へ流れ込む反応性ガスのための分配室として同時に利用される。
【0026】
本件出願の枠内で「反応性ガス」という用語を使うとき、これは1つまたは複数の反応性ガスの混合物も意味している。
【0027】
前述した誘電プレート構造は、図2を参照するとわかるように、その厚さで規定されるキャパシタンス値によって、図2に示す結合キャパシタンスCないしCの一部を形成する。したがって1つの実施形態では、所定の変化する厚さ分布をもつ誘電プレート構造を利用することができる。しかし別の実施形態では、少なくとも近似的に一定の厚さをもつ誘電プレート構造を利用することができる。さらに別の実施形態では、誘電電極面における電位分布は中心部から周辺部へ向かうにつれて次第に結合面の電位に近似していく。このことは、上に述べたような金属結合面と誘電プレート構造の裏面との間にチャンバが具体化される場合、たとえばこれに関連して周辺領域の間隔が中心領域の間隔よりも短く
選択されることによって実現され、および/または、誘電プレート構造の厚みが周辺領域では中心領域よりも薄く設計されることによって実現される。
【0028】
キャパシタンス値は、中心領域では周辺領域よりも小さく選択される。
チャンバ(図4の8a)を通じてこのようなキャパシタンスを構成する場合、このことは、たとえば次のようにして実現される。
a)金属結合面は実質的に平坦に構成され、誘電プレート構造は実質的に一定の厚さでプロセス空間から見て凸面状に構成される;
b)誘電プレート構造は実質的に一定の厚さで平坦に構成され、結合面はプロセス空間から見て凹面状に構成される;
c)結合面は凹面状に構成され、誘電プレート構造の裏面も同様とし、プロセス空間から見て凹面状の誘電電極面を有するように構成される;
d)結合面は実質的に平坦に構成され、誘電プレート構造は、結合面と平行な平坦な裏面と、プロセス空間から見て凸面状の電極面とを備えるように構成される;
e)結合面は平坦に構成され、電極面も同様とし、それに対してプレート裏面はプロセス空間から見て凸面状に構成される。
【0029】
チャンバを設けないときは、たとえば結合面と電極面が平行であってよく、これらの間に介在する固体誘電体の誘電率が周辺部に向かって増えていく。
【0030】
一方ではプロセス空間内の電界分布を最適化するため、また他方ではプロセス空間へのガス導入方向分布を最適化するために、高いフレキシビリティがあることは明らかである。電界分布措置とガス分布措置とが同一の電極構造で具体化されるにもかかわらず、これら両方の量をそれぞれ最適化することができる。一例として前述した方法手順を混合し、組み合わせて適用することが十分に可能である。たとえば結合面を実質的に平坦に構成し、誘電プレート構造は可変な厚さと、プロセス空間から見て凹面状の裏面および凸面状の電極面とを備えるように構成することができる。さらに、図2で説明したキャパシタンス分布のさらに別の設計量として、誘電プレート構造の誘電率ないしその分布も利用することができることは、当業者には十分に明らかである。間隔ないし厚みの変化の追加または代替として、誘電プレート構造に沿って異なる材料を選択することで、前述したキャパシタンス分布、およびこれに伴う誘電電極面での電位分布に影響を与えることができる。
【0031】
この場合、特に誘電電極面を平坦に、かつプロセス空間を定義する他方の電極と平行に選択することができ、それにより、奥行きが一定のプラズマプロセス空間を電極面に対して垂直方向に具体化する。この有利な実施形態は、たとえば金属結合面をプロセス空間から見て凹面状に構成し、プレート構造の裏面を平坦に構成することによって得られ、または、誘電プレート構造の裏面をプロセス空間から見て凸面状に構成し、結合面を平坦に構成することによって得られ、または、誘電プレート構造もしくは電極面に沿って誘電率の異なる材料を使用し、平坦な金属結合面とこれに対して平行で平坦なプレート裏面の場合には、周辺領域で中央領域よりも誘電率の高い材料を使用することによって得られる。
【0032】
本発明の方法では、特に円周が少なくとも0.5mの広さである大型の基板を本発明に基づいてまずコーティングし、次いで高周波プラズマ処理にかけることを考慮すると、開口パターンとチャンバ構造を備える上述した誘電プレート構造を準備するのに高いコストがかかることは明らかである。
【0033】
そこで1つの実施形態では、誘電プレート構造はセラミックのタイルによって構成される。このようなタイルを、金属結合面に対して中央に間隔をおきながら位置決めして設置することができる。それにより、電界分布および場合によりプロセス空間への反応性ガス供給に不都合な影響を与えることになる、熱によるタイルの変形に基づく誘電電極面の変
形が起こることがなくなる。さらには、希望するプレート特性を的確に生成するために、異なる誘電率や異なる厚みおよび厚み変化をもつ、さまざまな材料からなるタイルを柔軟に使用することができ、また、凹面状ないし凸面状の電極面もしくは構造裏面を形成するために、相互の重ね合わせや多層の構造によって利用することができる。
【0034】
ここで再度強調しておくと、チャンバが形成されている場合、金属結合面と誘電プレート構造の裏面との間に形成されるこのチャンバのなかで、平面的に分布する結合キャパシタンスとしてのこのチャンバの作用を無に帰してしまいかねない寄生的なプラズマ放電が起こるのを防ぐことが重要である。このことは、当業者には周知のとおり、金属結合面と誘電プレート構造の裏面との間の間隔状況を設定することによって保証され、この設定はいずれの場合にも、そのつどのプロセスで適用される暗黒部間隔よりも短い。
【0035】
本発明による方法のさらに別の実施形態では、金属結合面からプレート構造裏面までの間隔は1つの段階で、特に複数の段階で変化しており、および/またはプレートの厚みは1つの段階で、特に複数の段階で変化している。このような実施形態は、たとえば誘電プレート構造を構成するために重なり合ったタイルを利用することによって具体化され、ないしは、層数が局所的に変化する複数のタイル層を使用することで具体化される。
【0036】
さらに別の実施形態では、金属結合面からプレート構造裏面までの間隔は連続的に変化しており、および/またはプレート構造の厚みは連続的に変化している。このような構成は、一定の厚みをもつ実質的に平坦な誘電プレート構造が使用され、金属結合面がプロセス空間から見て凹面状に成形される場合に適用される。
【0037】
本発明による特にソーラーセルの製造方法のさらに別の実施形態では、誘電体基板はプラズマプロセス空間での処理の前に導電酸化物でコーティングされ、この場合、透明導電酸化物が好ましい。処理の前に行われるこのようなコーティングは、たとえば反応性マグネトロンスパッタによって行うことができる。この場合、誘電体基板がZnO,InO,SnOの材料のうちの少なくとも1つでコーティングされ、このとき追加的にドーピングされ、またはドーピングされず、その厚みDについて次式が成り立つのがさらに好ましい:
【0038】
【数3】

【0039】
前掲の厚み範囲内での前述した材料のコーティングは、抵抗率ρと面積抵抗率Rに関する上に挙げた特別な層特性を満足させる。
【0040】
次いで、このようにコーティングされた基板に、プラズマプロセス空間での処理により反応性のエッチングおよび/またはコーティングが施される。このとき、反応性ガスとしてはNH,N,SF,CF,Cl,O,F,CH,シラン、ジシラン、H,ホスフィン、ジボラン、ホウ酸トリメチル、NFのガスのうち少なくとも1つを使用するのが好ましい。
【0041】
たとえば次のような層が設けられる:
【0042】
【表1】

【0043】
このとき反応性エッチングについては、たとえばOを混合したSFを反応性ガスとして使用する。
【0044】
さらに、電気的な高周波電界は周波数fHfで励起されるのが好ましく、この周波数については次式が成り立つ:
【0045】
【数4】

【0046】
ないし
【0047】
【数5】

【0048】
製造される加工品は、少なくとも0.5mである円周半径を有しているのがいっそう好ましい。
【0049】
本発明による方法の範囲内で使用される真空処理設備は、
・真空容器を有しており、その内部に、
・第1の平坦な金属電極面と、
・誘電プレート構造の表面を形成する、第1の金属電極面のほうを向いた第2の誘電電極面と、
・誘電プレート構造の裏面のほうを向いた金属結合面と、
・結合面および第1の電極面にそれぞれ通じる電気接続部と、
・結合面を貫いて開口するガス配管系、およびプレート構造を貫いて開口する配分された開口部のパターンとを備えており、
プレート構造が複数のセラミックタイルによって形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図5】本発明による製造方法の進行順序を機能ブロック図を用いて示す模式図である。
【図6】本発明による方法の範囲内で使用される真空処理設備の実施形態を示す、簡略化した模式的な断面図である。
【図7】図6に示す設備で使用される結合面を示す、同じく簡略化した平面図である。
【図8】互いに向かい合う平坦な従来式の金属電極を使用したときにPHfECVDコーティングで生じる層厚分布を、長方形の誘電基板の対角線の長さに関して参考例として示す図である。
【図9】凹面状に成形された金属電極面の上に直接位置決めされた誘電体基板における分布結果を参考例として示す図8と同様の図面である。
【図10】図9に示す方法を適用しているが、本発明に基づいてInO層でコーティングされた基板における結果を同じく参考例として示す、図8および図9と同様の図面である。
【図11】本発明の方法に基づいて得られる層厚分布プロフィルである。
【図12】本発明の方法を実施するために用いられる本発明の設備をさらに別の有利な実施形態で示す簡素化した模式的な図である。
【図13】さらに別の有利な実施形態を説明するための、図12に記号「A」が付されている領域の部分図である。
【図14】本発明に基づいて使用される設備の別の実施形態を示す、図12の図面と同様の図である。
【図15】(a)から(f)は誘電プレート構造および金属結合面の相応の成形によって、プロセス空間の周辺部で電界を高める可能性の選択を示す模式図である。
【図16】金属結合面に誘電プレート構造を形成するためのセラミックタイルの有利な取付を示す詳細図である。
【図17】セラミックのタイルで誘電プレートを構成することによる、図15に一例として示す可能性の具体化を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明に基づいて適用される真空処理設備の実施形態は、特許請求の範囲ならびに以下の一例としての本発明の説明により、当業者に対してさらに開示される。
【0052】
すなわち以下において、実施例と図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。
図5には、本発明による方法の進行順序が、簡略化したブロック図を用いて示されている。誘電体基板100が第1の真空蒸着ステーション102で、たとえば反応性マグネトロンスパッタを行うステーションで、少なくとも部分的に層によりコーティングされ、この層の材料は抵抗率ρを有しており、この抵抗率については次式
【0053】
【数6】

【0054】
が成り立ち、しかも、結果として生じる層の面積抵抗率Rは次式の範囲内におさまるようになっている:
【0055】
【数7】

【0056】
面積抵抗率Rは、塗布される層の厚みに依存するので、下限は0付近までいくことがあり得る。この層の厚みDは次式のように選択されるのが好ましい:
【0057】
【数8】

【0058】
これは特に、塗布される層材料がきわめて好ましい導電酸化物(CO)の場合であり、場合により透明導電酸化物(TCO)の場合である。そのために、InO,ZnO,SnOの材料のうちの少なくとも1つが誘電体基板100に塗布され、ドーピングされ、もしくはドーピングされない。次いで、コーティングされた誘電体基板104が、ステーション105で反応性高周波プラズマ処理工程に供給され、すなわちPHfECVD処理工程または反応性高周波プラズマ支援によるエッチング工程に供給される。その結果、特にソーラーセルとしての利用に好適な加工品106が得られる。
【0059】
このとき基板100および本発明に基づいて得られる基板106は、少なくとも0.25mの円周半径Rと、これに対応する0.5mの円周直径を有しているのが好ましく、その様子は図5に任意形状の加工品Wで図示されている。
【0060】
図6には、本発明に基づいて使用される図5の本発明によるステーションないし設備105の第1実施形態が、断面図で簡略化して示されている。金属製の真空容器105aは平坦な底面3を有しており、この底面は内部空間を向いたほうで第1の電極面EFを形成する。その上には、前述した層材料でコーティングされた誘電性材料7からなる基板104がある。
【0061】
層7を備える基板104ないし第1の電極面EFと向かい合うように、電極構造9が組み付けられている。電極構造は第2の電極面EFを形成する。
【0062】
図示した例では電極面EF1と平坦に向かい合う第2の電極面EFは、誘電プレート構造27の表面によって構成されている。誘電プレート構造27の裏面ERは、金属結合面KFとともにチャンバ10を形成している。このとき、図示した例では結合面KFは、
プロセス空間PRから見て凹面状に金属プレート14に穿設された窪み10として構成されている。本例で図示している窪み10は、図7に模式的に示すように長方形であり、0から、窪み10における一定の間隔へと飛躍的に増大する、結合面KFと誘電プレート構造27の裏面ERとの間の間隔dの間隔分布を形成する。図7には基板104が破線で示されている。金属プレート14を介して、高周波発生器13が結合面KFと接続されており、さらにこの高周波発生器は、通常は基準電位にある電極面EFと接続されている。
【0063】
ガス備蓄部15から反応性ガスGまたは反応性混合気体、および場合によりたとえばアルゴン等の作業用ガスGが、分配配管系17を介して、プレート14の裏側にある予備室19へ供給される。予備室19は、一方では、プレート14を容器105aに対して絶縁する保持部18によって取り囲まれており、他方ではプレート14の裏面、および金属電極面EFのほうを向いている容器105aの端壁21により構成されている。プレート14は、これを貫通するガス配管穴25によってパターンを有している。
【0064】
プレート14のガス配管開口部25は、誘電プレート構造27を貫く開口部29へ、有利には一直線上に並ぶように続いている。プレート構造27は、本例では、たとえばAl等のセラミックでできている。
【0065】
発生器13により、結合面KFを介して、プロセス空間PRの内部で高周波プラズマ放電Hfが生起される。
【0066】
このとき、金属結合面KFから、図6に破線で図示している平坦に分配されたキャパシタンスCおよび誘電電極面EFを介して、すでに説明したように的確に設定された電位分布が実現される。
【0067】
励起周波数fHfは次のように選択される:
【0068】
【数9】

【0069】
このとき、特に次式が成り立つ。
【0070】
【数10】

【0071】
基板104の円周直径は少なくとも0.5mであり、最大5mまたはそれ以上であっても十分によい。
【0072】
間隔dは、図6に示す実施形態では、0から1mmへと飛躍する。
すでに述べたとおり、後でまた説明する本発明の設備の変形例では、チャンバ10は0から一定の値まで飛躍する間隔dを有するように設計されるのではなく、電界分布にとって重要なキャパシタンス分布を主に規定する前述の間隔は、特定の分布を有するように最適化されて設計される。この間隔dは、チャンバ10のなかでプラズマが発生することがないように、周波数に依存して0.05mmから50mmの間で選択される。
【0073】
発生器13により10から5000W/mの出力が基板面ごとに供給されるのが好ましい。
【0074】
基板104のPHfECVDコーティングのために、反応性ガスとしてNH,N,SF,CF,Cl,O,F,CH,シラン、H,ホスフィン、ジボラン、ホウ酸トリメチルのうち少なくとも1つが使用されるのが好ましい。
【0075】
系統15,17を通って最終的に開口部29から出る全体のガス流量は、たとえば基板面1mあたり0.05から10slm/mである。
【0076】
上に挙げたそれぞれの量は、特に反応性高周波プラズマ支援によるコーティングについて当てはまる。
【0077】
下記の実験について次のとおり設定を行った:
プロセス:PHfECVDコーティング
Hf:27MHz
基板寸法:1.1×1.25m
図6に示す窪みの深さd:1mm
全圧:0.22mbar
基板面あたりの出力:280W/m
基板材料:比導電率:10−15(Ωm)−1のフロートガラス
予備塗布されるコーティング:スズをドーピングしたInO
コーティングの面積抵抗率R:3Ω
反応性ガス:Hを添加したシラン
によるシランの希釈度:50%
単位面積あたりの全体のガス流量:0.75slm/m
実験は、図6ないし図7に示す設備構成で実施した。
【0078】
図8には参考結果として、図6の構成で平坦な金属面をもつ窪み10のないプレート14が直接電極面として電極面EFと向かい合って利用される場合に結果として得られたナノメートル単位の層厚分布が、加工品の両方の長方形対角線にわたって測定した層厚平均値に関して示されている。
【0079】
図9には同じく参考として、まず、コーティングされるべき加工品として図5に示す未コーティングの誘電体基板100すなわちフロートガラス基板が挿入された場合の結果が、図8と同様の図で示されている。
【0080】
さらに、すでに図8の測定について述べたように、窪み10のないプレートが構成されており、プロセス空間PRで一方の電極を形成している。それに対して、窪み10に対応する底面3の窪みが基板の下側に設けられている。
【0081】
図10も、同じく同様の図面で同じく参考として、すでに図9の結果について使用した設備構成で、すなわち基板により覆われた底面3に窪み10を有し、プロセス空間PRにさらされたプレート14の平坦な表面によって第2の電極面が構成される設備構成で、予備コーティングされた基板104すなわちInOで予備コーティングされたフロートガラス基板が処理され場合の結果を示している。
【0082】
以上より次のことが判明する:
−図8より:プロセス空間PRにおける不均一な電界分布のために、結果として生じるコ
ーティング厚み分布は許容されないほど不均一である。
−図9より:処理されるべき基板が純粋に誘電性であるとき、加工品を支持する電極(3)の窪みは、電界分布の均一性およびこれに伴う層厚分布の均一性の大幅な改善につながる。
−図10より:図9に示す純粋に誘電性の加工品について層厚分布の大幅な改善につながる構成は、加工品が本発明に基づいて予備コーティングされた基板104からなっているとき、許容されない層厚分布につながる。
【0083】
しかし本発明に基づき、前述の予備コーティングされた基板をたとえば図6に示す設備でコーティングすると、図11に示す優れた層厚分布をもたらす。
【0084】
驚くべきことに、層材料(InO)の抵抗率ρが高いにもかかわらず、加工品で均一な作用分布を実現するためには、本発明により提案される方法だけが好適であることがわかる。
【0085】
図12には上記に加えて、本発明による処理工程ないしそのために使用される図5の設備105のさらに別の実施形態が、簡略化して模式的に示されている。
【0086】
予備コーティングされた基板104は、同じく平坦な第1の電極面EFの上に載っている。高周波発生器13と接続された金属結合面KFは、プロセス空間PRに対して連続的に凹面状に窪んでいる。
【0087】
誘電プレート構造27は、一方では平坦な誘電電極面EFを形成するとともに、一定の厚みで、同じく平坦な裏面ERを形成している。図12では、誘電プレート構造27を貫く開口パターンは図示していない。誘電プレート構造27は厚みDを有しており、この厚みについては次式が成り立つのが好ましい:
【0088】
【数11】

【0089】
定義
誘電プレート構造という用語は、本発明との関連では、二次元に平坦に延びるフィルム状からプレート状までの形態をとる誘電性の形成物を意味している。
【0090】
誘電プレート構造27のキャパシタンスは、結合面KFと誘電プレートの裏面ERとの間のキャパシタンスと直列に構成されているので、薄い誘電プレート構造27の場合に生じる、場合により大きなプレートキャパシタンスは、チャンバ10a全体にわたって生じる小さいキャパシタンスに対して些細な影響しか及ぼすことができない。
【0091】
図13には、図12に示す構成の記号Aで囲まれたところの部分図が示されている。この図からわかるように、金属プレート14aを貫く穴25の少なくとも一部は、図12に示す実施形態においても、その他すべての本発明に基づく実施形態においても、誘電プレート構造27を貫く開口部29(図示せず)と一直線上に並んでいてよく、さらには、少なくとも近似的に同じ開口断面積を有していてよい。
【0092】
図12の結合面KFは連続的に湾曲しているが、1つの段階または複数の段階で成形されるように具体化することも容易に可能である。高い温度負荷、攻撃性の化学的雰囲気、
高い真空度、およびプラズマにさらされるプレート構造27の材料としては、前述したように、たとえばAl等のセラミックを使用することができる。プロセスによっては、場合によりこれ以外の誘電材料を使用することもでき、開口パターンを備える耐熱性の誘電性フィルムなども使用することができる。
【0093】
前述した誘電プレート構造27は、図14に示すように、誘電性のスペーサにより相互に位置決めされた、相上下して間隔をおいて位置する複数のプレート構造27a,27bで置き換えることができる。これらの個別プレート27a,27bはすべて、図6ないし図12および図13に示す開口部29のパターンに準ずる開口パターンを有している。その厚みは、同じく0.01から5mmの間で選択することができる。
【0094】
図15(a)から(f)には、金属結合面KFと誘電電極面EFとの考えられる相互の割当が模式的に示されており、これらはいずれもプロセス空間PRの周辺領域で、電界が中央領域の電界に対して強められるという結果につながる。
【0095】
図15(a)では、金属結合面KFは平坦である。誘電プレート構造27はプロセス空間PRに対して凸面状であり、一定の厚みDを備えている。結合面KFは、その金属特性に基づき、高周波電位の負荷をうけたときにΦKFの等電位面として作用する。第1近似において、図15(a)の構成は次のように考察することができる:
チャンバ10に沿った各々の容積要素dVにおいて、図面の左側に示すように、キャパシタンスC10およびC27の直列回路が生じている。キャパシタンスC10は、結合面KFと誘電プレート構造27の裏面ERとの間の変化する間隔によって、ならびにチャンバ10のなかのガスの誘電率によって規定されるのに対して、キャパシタンスC27は、一定の厚みDとプレート構造27の誘電率εとに基づき、場所的に一定である。
【0096】
通常、プレート材料の誘電率はチャンバ10のガスの誘電率よりもはるかに大きいので、特にプレート構造27が薄い場合、C10と直列につながれたキャパシタンスC27は少なくとも第1近似において無視することができる。誘電電極面EFの周辺領域では、間隔dが短くなっていくためにC10が次第に増えていき、それにより、電極面EFに沿った電位分布ΦEF2は場所的に周辺領域へ近づくにつれて、結合面KFの電位ΦKFに近づいていく。したがってプロセス空間PRの上方では、電極面EF2の周辺領域で、ΦKFと、カウンター電極面EFに印加される電位との間で近似的に全面的な電位差が存在している。電極面EFの中央領域では、周辺領域よりも間隔dが大きいので、この部分では高周波電圧がより大きく降下し、それに伴って、ここでは電位ΦEF2が電位ΦKFに対していっそう低下している。したがってプロセス空間PRの上方では、この中央領域に、周辺領域に対して低下した電界が存在することになる。
【0097】
図15(a)について考察し、また、開口パターン(図示せず)から誘電プレート構造27を通ってプロセス空間PRに供給される反応性ガスにとってチャンバ10は圧力補償室であることを考慮すれば、フィルム状の高温耐性プレート構造27を使用することで、プロセス空間とチャンバ10の間の圧力差に基づく凸面状の形状を製作できるという利点が得られることは明らかである。
【0098】
図15(b)では、金属結合面KFは引き続き平坦である。誘電プレート構造27は、プロセス空間PRに対して凸面状に成形された裏面ERを有するとともに、逆に、結合面KFに対しては平行な平坦な電極面EFを有している。通常、誘電プレート構造27の材料のほうが誘電率εが高いので、周辺領域のキャパシタンスC27はキャパシタンスC10に対し(図15(a)参照)、構造27の厚みが増えているにもかかわらず、そこでは些細にしか影響を及ぼさないので、図15(b)に示す実施形態でも、直列接続の場所的に変化するキャパシタンスC10が支配的となり、上に説明したように、プロセス空間PRのなかでの電界分布に支配的な影響を及ぼす。
【0099】
図15(c)に示す実施形態では、結合面KFは引き続き平坦である。誘電プレート構造27は一定の厚みを有しているが、逆に、区域ごとに異なる誘電率εaの異なる材料によって構成されている。ここではチャンバ10はなくてもよい。周辺部に向かうにつれてプレート材料の誘電率εが増してゆき、それにより、図15(a)の対応図を見るとわかるようにC27も増してゆく。本実施形態では、チャンバ10によって形成されるキャパシタンスC10は一定である。このとき、誘電プレート構造27の一定の厚みが十分に大きく選択されていれば、C10と直接につながれた、周辺領域に向かって増していくキャパシタンスC27が支配的となり、すでに説明したような効果が実現される。すなわち電極面EFの縁部領域では、プロセス空間PRの電界は中央領域よりも少なく減衰されており、そこではεにおけるC27に比べてεにおけるC27のほうが低下している。
【0100】
図15(d)は、すでに説明した図6ないし図12の状況を示している。
図15(e)は平坦な結合面KFを示している。誘電プレート27は結合面KFと平行で平坦な裏面Eを有しているが、逆に、プロセス空間PRから見て凸面状をした誘電電極面EFを有している。それにより、これまでの説明から当業者には容易に読み取れるように、選択したプレート厚およびプレート材料の誘電率に応じて、上に説明したのと同じ電界補償効果をプロセス空間PRで実現することができる。
【0101】
図15(f)では、結合面KFと電極面EFはいずれもプロセス空間PRに対して凹面状であり、それに対してプレート構造27の裏面ERは平坦である。
【0102】
プレート構造27の誘電率が、チャンバ10のなかのガスの誘電率よりもはるかに大きければ、この場合にもC10が支配的となり、プロセス空間PRのなかで所望の電界分布が得られる。
【0103】
図15(a)から(f)から明らかなように、特に誘電電極面EFの形状に関して高いフレキシビリティがある。図15に示すそれぞれの変形例は、当業者であれば容易にわかるように、たとえばプレート構造27に変化する厚みとの組み合わせで異なる材料を設けるなど、拡張したり組み合わせたりすることができ、このことは設計の余地をいっそう広く拡大する。すでに述べたとおり、チャンバ10を省略し、プレート構造27によってのみキャパシタンス分布を具体化することができる。
【0104】
反応性ガスがチャンバ10から、プレート構造27に設けられた開口パターンを通ってプロセス空間へ導入されることを考えると、およびさらに、希望する電界補償措置を電極面EFの形状とはほぼ無関係に具体化できることを考えると、プロセス空間PRへのガス発散方向と、プロセス空間PRのなかでの電界介入とを同時に最適化できることは明らかである。
【0105】
誘電プレート構造2の具体化にあたっては、処理プロセス中、特に高い温度にさらされることを考慮すべきである。すなわち誘電プレート構造27と、その固定部を介しての、結合面KFを形成するプレート14との間の熱膨張の差異を考慮しなければならない。さらに、上述した設備では大型の基板、特に非常に大型の基板104の処理が意図されていることを斟酌しなくてはならない。いかなる場合でも熱膨張と収縮を受けとめることができるように、このような規模の誘電プレートを具体化し、ならびに組み付けることは、特に、構造27がフィルム状ではなく、剛性の高い誘電プレートとして、たとえばAlなどのセラミックでできている場合に問題となる。
【0106】
このような場合に好ましい実施形態では、図16を参照して説明するように、有利には
セラミックからなる誘電性の多数のタイルで、堅固な構造27が構成される。図16には、そのようなタイルとその組付け部が平面図と断面図で示されている。上述したように有利には長方形または正方形であり、たとえばAl等のセラミック材料で製作されたそれぞれのタイル50は、たとえばセラミックネジ等の誘電性のスペーサボルト52によって、ならびに誘電性のワッシャ54によって、結合面KFに対して実質的に中央でプレート104に位置決めされている。それにより、面KFと、プレート構造27を形成するタイル50の裏面ERとの間の相対間隔が保証される。タイル50が周辺部で支持され、それにもかかわらず、熱負荷を受けたとき全方向へ応力なく自由に膨張できるようにするために、タイルは結合面KFに対して支持ピン56で案内されている。回転をしないように、タイル50は案内ピン58によって長孔案内部59に止められている。タイル50は、図16には図示しない開口パターンを備えており、場合により、この開口パターンは各タイル50の間の間隙によって補完される。タイル50は、場合により互いに重なり合っていてもよい。このようなタイルの1つまたは複数の層を、場合により場所的に変化させながら設けることもでき、また、異なる領域に異なるセラミック材料、特に誘電率の異なる材料を使用することができる。それにより、フレキシブルに異なる形状と材料プロフィルを、誘電プレート構造27で具体化することができる。
【0107】
図17(a)から(f)には、特に図16を参照して説明したタイルによって構成された、図15(a)から(f)に示す構成が模式的に示されている。ここでは、結合面KFと直接に向かい合う図17のタイルだけを支持すればよく、プロセス空間側でこれに続くタイル層は、その下に位置するタイルに組み付けられる。図17(a)から(f)を見れば、図15(a)から(f)に示す構成が、どのようにして前述した有利なタイル構造で構成されるのかが、当業者には容易に理解することができる。ここでは、前述した開口パターンが形成されるように、タイルの間に残されたラビリンス通路を活用することによって、および/または追加の穴ないし開口部をタイル50(図示せず)に設けることによって、希望する規模で配分されたプロセス空間へのガス入口ノズルを確保しなければならない。
【0108】
セラミックタイルの厚さDは次式のように選択するのが好ましい。
【0109】
【数12】

【0110】
本発明による製造方法、ないし本発明に基づいて使用される設備では、均一なサイズの、特に非常に大型の誘電体基板が、まず特別な導電性層でコーティングされ、次いで、反応性高周波プラズマ支援による方法により表面処理され、特にコーティングされ、それにより、特に大型ないし非常に大型のソーラーセルを大量生産で製作することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体基板(100)に基づいて円板状の加工品を製造する方法であって、前記方法は、真空容器のなかで向かい合う2つの電極面(2a;EF,2b;EF)の間で形成されるプラズマプロセス空間(PR)での処理を含んでおり、前記電極の間に電気的な高周波電界が生成され、それにより反応性ガスが装填された前記プロセス空間(PR)で高周波プラズマ放電が生起され、このとき、一方の電極面(2b,EF)は誘電性材料でできており、これに前記面に沿って設定された変化する分布で高周波電位(Φ2b)が印加され、前記プロセス空間(PR)での電界の分布が前記電極面(2b,EF)における電位分布(Φ2b)によって設定され、同時に前記基板によって誘電電極面(2b,EF)が形成される、または金属で構成された他方の電極面(2a,EF)に前記基板は配置され、さらに、前記基板と向かい合う電極面では開口パターン(29)から反応性ガスが前記プロセス空間(PR)へ導入される、そのような方法において、前記誘電体基板(100)は前記プロセス空間(PR)での処理の前に少なくとも区域的に層材料でコーティングされ、前記層材料の抵抗率ρについては次式
【数1】

が成り立ち、前記層の面積抵抗率RSについては次式:
【数2】

が成り立ち、次いで、コーティングされた前記基板が前記金属電極面(2a,EF)に位置決めされ、前記プロセス空間(PR)で反応性プラズマ支援によりエッチングまたはコーティングされることを特徴とする方法。
【請求項2】
高周波電位の分布および前記プロセス空間への反応ガスの導入は、裏面(ER)が金属結合面(KF)とともにチャンバ(10)を形成する、前記プロセス空間のほうを向いている平坦な誘電構造(27)の表面によって前記誘電電極面(EF)が形成されることによって具体化され、前記結合面(FK)から前記裏面(ER)までの間隔は前記面に沿って変化しており、および/または前記平坦な構造(27)の厚み(D)は前記面に沿って変化しており、および/または前記平坦な構造(27)の誘電率は前記面に沿って変化しており、さらに、反応ガスが前記チャンバ(10)へ導入されて、前記平坦な構造(27)に設けられた開口パターン(29)を通って前記プロセス空間(PR)へ導入され、さらに、前記結合面(KF)と他方の金属電極面(EF)との間で高周波信号が励起されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも近似的に一定の厚み(D)をもつ平坦な誘電構造(27)が使用されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
所定の変化する厚み分布をもつ平坦な誘電構造(27)が使用されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記誘電電極面(2b,EF)における電位分布(Φ2b)は前記結合面(KF)の電位から中心部で周辺領域よりも大きく相違していることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記平坦な構造(27)の前記裏面(ER)と前記結合面(KF)との間隔が周辺部で中心領域よりも狭く選択されることによって、および/または前記平坦な誘電構造(27)の厚みが周辺領域で中心領域よりも小さく選択されることによって、および/または前記平坦な構造(27)の材料の誘電率が周辺領域で前記誘電電極面の中心領域よりも大きく選択されることによって、前記誘電電極面(EF)における電位分布は中心部から周辺部へ向かって継続的に前記結合面(KF)の電位に近似していくことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
a)前記結合面(KF)は実質的に平坦に構成され、前記平坦な誘電構造(27)は実質的に一定の厚さ(D)で前記プロセス空間から見て凸面状に構成され、または、
b)前記平坦な誘電構造(27)は実質的に一定の厚さ(D)で平坦に構成され、前記結合面(KF)は前記プロセス空間から見て凹面状に構成され、または、
c)前記結合面(KF)は凹面状に構成され、前記平坦な誘電構造(27)は平坦な裏面と前記プロセス空間から見て凹面状の誘電電極面を有するように構成され、または、
d)前記結合面は実質的に平坦に構成され、前記平坦な誘電構造は前記結合面と平行な平坦な裏面と、前記プロセス空間から見て凸面状の電極面とを備えるように構成され、または、
e)前記結合面は平坦に構成され、前記電極面も同様とし、前記平坦な構造の裏面は前記プロセス空間から見て凸面状に構成されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記平坦な誘電構造(27)は誘電性に有利なセラミックのタイル(50)で構成されることを特徴とする、請求項2から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記セラミックタイル(50)の少なくとも一部は前記金属結合面(KF)に対して中央で間隔(52)を保つように位置決めされて取り付けられることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属結合面(KF)から前記平坦な誘電構造(27)の前記裏面(ER)までの間隔は1つの段階で、有利には複数の段階で変化しており、および/または前記平坦な誘電構造(27)の厚み(D)は1つの段階で、有利には複数の段階で変化していることを特徴とする、請求項2から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属結合面(KF)から前記平坦な誘電構造(27)の前記裏面(ER)までの間隔は連続的に変化しており、および/または前記平坦な構造の厚みは連続的に変化していることを特徴とする、請求項2から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記誘電体基板(100)はまず導電酸化物でコーティングされ、次いで(104)前記プロセス空間での処理にかけられることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記導電酸化物として透明導電酸化物が選択されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記誘電体基板(100)はドーピングされて、もしくはドーピングされずに、ZnO,InO,SnOの材料のうちの少なくとも1つでコーティングされ、その後に前記プロセス空間(PR)での処理にかけられることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記誘電体基板は前記プロセス空間での処理の前に層材料の層でコーティングされ、前
記層の厚みについては次式:
【数3】

が成り立つことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記反応性ガスはNH,N,SF,CF,Cl,O,F,CH,シラン、ジシラン、H,ホスフィン、ジボラン、ホウ酸トリメチル、NFのガスのうち少なくとも1つを含んでいることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記高周波電界は周波数fHfで印加され、前記周波数については次式
【数4】

が成り立ち、特に、
【数5】

が成り立つことを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記基板の円周直径は少なくとも0.5mであることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記チャンバは固体誘電体で充填されていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項20】
前記固体誘電体は前記誘導電極面に沿ってその誘電率に関して変化していることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記固体誘電体として前記誘電電極面の固体誘電体が用いられることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
真空処理設備において、
・真空容器(105a)を有しており、その内部に第1の平坦な金属電極面(EF)と、
・平坦な誘電構造(27)の表面を形成する、前記第1の金属電極面のほうを向いた第2の誘電電極面(EF)と、
・前記平坦な誘電構造(27)の裏面(ER)のほうを向いた金属結合面(KF)と、
・前記結合面(KF)および第1の電極面(EF)にそれぞれ通じる電気接続部と、
・前記結合面(KF)を貫いて開口するガス配管系、および前記平坦な構造(27)を貫いて開口する平面的に配分された開口部(29)のパターンとを備えている、そのような真空処理設備において、
前記平坦な誘電構造(27)が複数のセラミックタイル(50)によって形成されていることを特徴とする真空処理設備。
【請求項23】
前記タイル(50)の少なくとも一部は、少なくとも近似的にタイル中心部に配置され
た誘電性の支持部(52)によって前記金属結合面(KF)に保持されることを特徴とする、請求項22に記載の設備。
【請求項24】
前記タイル(50)は前記誘電電極面(EF)で平面的に広がっており、または前記第1の電極面から見て凸面状もしくは凹面状に広がっていることを特徴とする、請求項22または23に記載の設備。
【請求項25】
前記結合面(KF)は前記第1の電極面(EF)から見て段階的または連続的に凹面状に成形されていることを特徴とする、請求項22から24までのいずれか1項に記載の設備。
【請求項26】
前記金属結合面(KF)にガス導入開口部があり、その個数の大半は前記パターンの開口部(29)と一直線上に並ぶとともに、有利には同じ開口断面積を有していることを特徴とする、請求項22から25までのいずれか1項に記載の設備。
【請求項27】
前記タイル(50)の少なくとも一部は少なくとも1つの案内ピン(58)により長孔案内部(59)に回転しないように止められていることを特徴とする、請求項22から26までのいずれか1項に記載の設備。
【請求項28】
前記タイル(50)の少なくとも一部は前記結合面に関して、および前記結合面に対して相対的に、面積膨張方向へ自由に可動できる支持ピン(56)によって支持されていることを特徴とする、請求項22から27までのいずれか1項に記載の設備。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−256604(P2012−256604A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172997(P2012−172997)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2007−509846(P2007−509846)の分割
【原出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(511028629)エリコン・ソーラー・アクチェンゲゼルシャフト,トリュープバッハ (1)
【氏名又は名称原語表記】OERLIKON SOLAR AG, TRUEBBACH
【Fターム(参考)】