説明

貸出管理装置

【課題】保管装置に保管される管理対象物の貸出状況を、管理対象物に付与されたICタグを介して自動で管理する貸出管理装置において、異常な貸出状況にある管理対象物の貸出情報を管理者に通知できるようにすることを目的とする。
【解決手段】鍵検出用タグリーダ20にて鍵ICタグ2から鍵IDが読み取られると、鍵貸出装置10が、読み取った鍵IDの読み取り状態に基づき、各鍵が保管中であるか貸出中であるかを監視し、監視結果が変化した鍵の貸出情報を生成し、管理コンピュータ50に送信する。そして、管理コンピュータ50は、鍵貸出装置10から送信された貸出情報に基づき、貸出情報DB66に保存された貸出情報を更新し、予め設定された通知時刻になると、貸出情報DB66から監視結果が貸出中の貸出情報を読み出し、許容時間を超えて貸し出されている鍵の貸出情報を予め設定された連絡先に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者に貸し出される管理対象物の貸出状況を自動で管理する貸出管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビルや会社等、複数の鍵が使用される施設において、管理者は、使用者に対して鍵を貸し出す業務を行っている。しかし、管理者が自ら鍵の貸出状況を管理することは手間であり、鍵の数が多い場合には、十分に管理ができないことがあった。
【0003】
そこで、これらの鍵の貸出状況を自動で管理するための貸出管理装置として、鍵の保管箱にICタグの識別情報を読み取るタグリーダを設けると共に、鍵に個別の識別情報を有するICタグを付与することにより、このタグリーダにより読み取られた識別情報に基づき、各鍵が保管中であるか、貸出中であるかを監視し、さらに、この監視結果及び鍵が貸し出された時間等からなる貸出情報を保管箱に設けられたディスプレイに表示するように構成されたものが提案されている。
【0004】
また、このような貸出管理装置として、貸出情報を保管箱に設けられたディスプレイに表示することに加え、通信回線を介して、鍵の保管場所とは別の場所に設置された表示装置に表示するように構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2003−242545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記提案の貸出管理装置によれば、管理者は、表示装置に表示された内容を確認することにより、別の場所にて鍵の貸出状況を把握することができるものの、鍵が保管中であるか貸出中であるかに関わらず、全ての鍵の貸出情報が表示装置に送信されるので、表示装置に表示される情報量が非常に多い。
【0006】
このため、例えば、管理者が、返却予定時間を過ぎても返却されていない鍵等の異常な貸出状況にある鍵の貸出状況のみを把握したい場合には、表示された多くの情報から必要な情報を抽出しなければならないため、面倒であり、時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、保管装置に保管される管理対象物の貸出状況を、管理対象物に付与されたICタグを介して自動で管理する貸出管理装置において、異常な貸出状況にある管理対象物の貸出情報を管理者に通知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
係る目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、管理対象物が保管される保管装置において、保管される管理対象物に付与され、且つ、この管理対象物の識別情報が記憶されたICタグを介して、管理対象物の保管装置からの貸出状況を管理する貸出管理装置であって、前記保管装置に配置され、前記ICタグから前記管理対象物の識別情報を読み取るタグリーダと、前記管理対象物が保管中であるか貸出中であるかを示す貸出情報を記憶するための記憶手段と、前記タグリーダによる識別情報の読み取り状態に基づき、前記管理対象物が貸出中であるか保管中であるかを監視し、該監視結果に基づき前記記憶手段に記憶された貸出情報を更新する貸出情報更新手段と、予め設定されたタイミングで、前記記憶手段に記憶された貸出情報を読み出し、該読み出した貸出情報が貸出中を示す場合に、該貸出情報を予め設定された連絡先に通知する貸出情報通知手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このように本発明の貸出管理装置は、保管装置に配置されたタグリーダにて管理対象物の識別情報が読み取られると、貸出情報更新手段が、タグリーダによる識別情報の読み取り状態に基づき、管理対象物が貸出中であるか保管中であるかを監視し、この監視結果に基づき、記憶手段に記憶された貸出情報を更新し、貸出情報通知手段が、予め設定されたタイミングで、記憶手段に記憶された貸出情報を読み出し、読み出した貸出情報が貸出中を示す場合に、この貸出情報を予め設定された連絡先に通知する。
【0010】
このため、本発明の貸出管理装置によれば、鍵の貸出状況を通知すべき連絡先(管理者等のメールアドレス等)を予め設定しておけば、貸出中の管理対象物の貸出情報が管理者に自動的に通知されるので、例えば、通知されるタイミングとして施設の開館時間や閉館時間等を設定しておくことにより、管理者は、開館時や閉館時に貸出中である(つまり、異常な貸出状況にある)管理対象物を、容易に把握することができる。
【0011】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貸出管理装置において、保管装置を複数の管理対象物を保管可能に構成すると共に、保管される複数の管理対象物には個別の識別情報が記憶されたICタグを付与し、貸出情報更新手段は、タグリーダによる各管理対象物の識別情報の読み取り状態に基づき、各管理対象物が保管中であるか貸出中であるかを夫々監視し、この監視結果に基づき、記憶手段に記憶された各管理対象物の貸出情報を夫々更新することを特徴とする。
【0012】
このようにすると、複数の管理対象物が夫々保管中であるか貸出中であるかが監視され、貸出中の管理対象物に関する貸出情報のみが通知されるので、複数の管理対象物を1つの貸出管理装置において管理できるようになる。そして、特に管理対象物の数が多い場合には、管理対象物が保管中であるか貸出中であるかに関わらず全ての管理対象物の情報が送られてくる場合と比べ情報量が減少するので、管理者はより容易に、管理対象物の貸出状況を把握でき、また、送受信するデータ量が少なくなるので都合がよい。
【0013】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の貸出管理装置において、貸出情報更新手段は、管理対象物の監視結果が保管中から貸出中に変化したときに、現在時刻をこの管理対象物の貸出情報の1つとして記憶手段に格納することを特徴とする。
【0014】
このようにすると、管理対象物が貸出中であることに加え、監視結果が保管中から貸出中に変化した時刻、つまり、管理対象物が貸し出された時刻が通知されるので、管理者は、その管理対象物がいつ貸し出されたかを把握でき、その時間に基づいて異常な貸出状況であるか否かを考慮することができるので都合がよい。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の貸出管理装置において、貸出情報通知手段は、読み出した貸出情報が貸出中を示す場合に、貸出中の管理対象物が予め設定された許容時間を超えて貸し出されているか否かを判断し、許容時間を超えて貸し出されていると判断した場合に、貸出情報を予め設定された連絡先に通知することを特徴とする。
【0016】
このようにすると、貸し出された管理対象物が、予め許可されている時間を超えても返却されないときにのみ、その管理対象物の貸出情報が通知されるので、管理者は、貸出情報が通知されてくることにより、管理対象物が異常な貸出状況にあると即座に認識することができ、都合がよい。
【0017】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の貸出管理装置において、貸出情報通知手段は、管理対象物の許容時間からの超過時間を算出し、貸出情報に加え、算出した超過時間を予め設定された連絡先に通知することを特徴とする。
【0018】
このようにすると、貸し出された管理対象物が、予め許可されている時間を超えても返却されないときに、その管理対象物が、どの程度許可されている時間を超えて貸し出されているかが通知されるので、管理者は異常な状態をより詳しく把握することができる。
【0019】
一方、請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れかに記載の貸出管理装置において、保管装置を施錠するための施錠装置を設け、使用者認証手段は、管理対象物を借用しようとする使用者から個別の識別情報を取得し、取得した識別情報に基づき、この使用者が前記管理対象物の借用を許可された使用者であるか否かを判断し、施錠装置制御手段は、使用者認証手段により、使用者が管理対象物の借用を許可された使用者であると判断されると施錠装置を解錠する。そして、貸出情報更新手段は、管理対象物の監視結果が保管中から貸出中に変化したときに、使用者認証手段により読み取られた使用者の識別情報を、貸出情報の1つとして記憶手段に格納することを特徴とする。
【0020】
このようにすると、予め許可された使用者のみが鍵を借用できるので、許可されていない人間が鍵を持ち出すことを防止できる。そして、管理対象物が貸出中であるという情報に加え、管理対象物を借用している使用者の識別情報が通知されるので、管理者は、誰が管理対象物を借用しているかを把握することができる。さらに、連絡先として、使用者のメールアドレス等を設定しておけば、その使用者に、返却していない管理対象物の貸出情報が通知されるので、使用者にその旨を知らせることができ、使用者に管理対象物の返却を促すことが可能となる。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の貸出管理装置において、記憶手段には、少なくとも管理対象物の借用を許可された使用者の名前及び連絡先を含む使用者情報が使用者毎に記憶されており、貸出情報通知手段は、使用者の識別情報に対応する使用者情報を記憶手段から読み取り、貸出情報に加え、読み取った使用者情報を予め設定された連絡先に通知することを特徴とする。
【0022】
このようにすると、管理対象物を借用している使用者の名前と連絡先が通知されてくるので、管理者は管理対象物の使用者に容易に連絡をとることが可能となり、便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された鍵貸出管理装置1の構成を表す概略構成図である。
本実施形態の鍵貸出管理装置1は、会社や学校等の施設において、各部屋、各書類棚等の常時施錠されている場所の解錠に使用される鍵の貸出状況を管理するためのものであり、図1に示すように、施設の出入口や管理室等に設置されて複数の鍵を保管すると共に、これらの鍵に内蔵されたICタグを介して各鍵が保管中であるか貸出中であるかを監視し、監視結果に基づいて貸出情報を生成する鍵貸出装置10と、鍵貸出装置10と通信可能に構成され、鍵貸出装置10から送信される鍵の貸出情報を、施設内のLAN又はインターネット等の通信回線6を介して、管理者等に通知する管理コンピュータ50と、から構成されている。
【0024】
本実施形態の鍵貸出装置10は、図1に示すように、CPU、RAM、ROM、RTC等を備えるマイクロコンピュータからなる制御部12と、管理コンピュータ50との間で各種情報を送受するための通信部14と、鍵が保管される保管ケース16と、保管ケース16を施錠するための施錠装置18と、保管ケース16に収納された鍵に内蔵されたICタグ2(以下、鍵ICタグ2という)からID(以下、鍵IDという)を読み取る鍵検出用タグリーダ20と、鍵の貸出を許可された使用者に携帯されるICタグ4(以下、使用者ICタグ4という)から、ID(以下、使用者IDという)を読み取る認証用タグリーダ22と、制御部12が実行する処理に必要な情報が記憶され、記憶された情報を書換可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPROM等)からなるメモリ24と、コネクタからなる外部I/F26と、使用者IDの認証結果等を表示するための液晶パネルからなる表示部28と、から構成されている。
【0025】
保管ケース16は、扉付きの箱であり、この扉は常時施錠装置18により施錠され、鍵が無断で持ち出されないように構成されている。
施錠装置18は、制御部12の処理により解錠可能な電子錠であり、保管ケース16の扉に取り付けられている。そして、この施錠装置18は、扉が閉じられることにより自動的に施錠され、また、施錠装置18が施錠されているか否かを、制御部12が判断できるように構成されている。
【0026】
鍵検出用タグリーダ20は、数10センチ離れた複数の鍵ICタグ2に記憶された鍵IDを同時に読み取り可能な非接触ICタグリーダであり、保管ケース16の内部において、保管された鍵の鍵IDを読み取り可能な位置に配置されている。
【0027】
認証用タグリーダ22は、使用者ICタグ4に記憶された使用者IDを読み取り可能な接触ICタグリーダであり、保管ケース16の前面に設置されている。
なお、鍵ICタグ2、使用者ICタグ4は、夫々、鍵検出用タグリーダ20又は認証用タグリーダ22からの無線による送信電力により起動して情報を無線送信する機能を備えたRFタグである。
【0028】
このように構成された本実施形態の鍵貸出装置10においては、認証用タグリーダ22にて使用者ICタグ4の使用者IDが読み取られると、制御部12は、この使用者IDが予め許可されたIDであるか否かを判断し、許可されたIDであると判断すると、施錠装置18の施錠を解除する。また、制御部12は、鍵検出用タグリーダ20にて読み取られた鍵IDに基づき、各鍵が保管中であるか貸出中であるかを監視し、監視結果が変化すると、監視結果が変化した鍵の貸出情報を通信部14を介して、管理コンピュータ50に送信する。
【0029】
そして、鍵貸出装置10には、外部I/F26を介してパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)等の外部機器を接続することが可能であり、外部I/F26に接続された外部機器から入力された情報、又は、管理コンピュータ50から送信されてきた情報を、通信部14が受信すると、制御部12は、受信した情報をメモリ24に保存する。例えば、情報として使用者認証用のIDを受信すると、制御部12は、受信したIDを鍵の貸出が許可された使用者IDとしてメモリ24に保存し、この使用者IDに基づいて、使用者ICタグ4の認証を行う。
【0030】
一方、本実施形態の管理コンピュータ50はパソコンにより構成されており、CPU、RAM、ROM、RTC等からなる制御部52と、鍵貸出装置10との間で各種情報を送受すると共に、通信回線6に接続し、通信回線6を介して管理者等に対し情報を送信する通信部54と、ディスプレイからなる表示部56と、キーボード及びマウスからなる操作部58と、管理者等に情報を通知する通知時刻等の制御部52が実行する処理に必要な情報が記憶され、記憶された情報を書き換え可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPROM等)からなるメモリ60と、鍵の貸出を許可された使用者の情報が登録された使用者情報データベース(使用者情報DB)62と、鍵貸出装置10に保管される鍵の情報が登録された鍵情報データベース(鍵情報DB)64と、鍵の貸出状況を管理するための貸出情報が登録された貸出情報データベース(貸出情報DB)66と、を備えている。
【0031】
このように構成された管理コンピュータ50においては、通信部54が、鍵貸出装置10から送信された貸出情報を受信すると、制御部52は、受信した貸出情報を貸出情報DB66に保存すると共に、貸出情報DB66に登録されている情報を表示部56に表示する。また、制御部52は、予め設定された通知時刻になると、予め貸出が許可された時刻を超えても返却されていない鍵の貸出情報を貸出情報DB66から抽出し、抽出した貸出情報を予め設定された連絡先に基づき、管理者又は使用者等が所有する携帯電話又はPHS8a、PDA等の携帯情報端末8b、ノートパソコン等のインターネット端末8c等の端末に送信すると共に、この情報を表示部56に表示する。
【0032】
そして、操作部58を介して、パスワード等の識別情報と共に、メモリ60又は使用者情報DB62又は鍵情報DB64に記憶された情報の書換指令が入力されると、制御部52は、識別情報が予め許可されたものであるか否かを判断し、許可されたものであると判断した場合には、入力された指令に従い情報書換用の画面を表示部56に表示する。そして、操作部58を介して、情報が入力されると、入力された情報を入力された指令に従いメモリ60又は使用者情報DB62又は鍵情報DB64に保存する。
【0033】
また、操作部58を介して、パスワード等の識別情報と共に、鍵貸出装置10のメモリ24に記憶された情報の書換指令が入力されると、制御部52は、識別情報が予め許可されたものであるか否かを判断し、許可されたものであると判断した場合には、入力された指令に従い情報書換用の画面を表示部56に表示する。そして、操作部58を介して情報が入力されると、入力された情報を、通信部54を介して、鍵貸出装置10に送信する。
【0034】
次に、各データベースに記憶される情報の詳細を説明する。図2は、使用者情報DB62、鍵情報DB64、貸出情報DB66に夫々登録された使用者情報、鍵情報、及び、貸出情報の詳細を表している。
【0035】
図2(a)に示すように、使用者情報は、鍵の貸出を許可された使用者毎に登録されるものであり、使用者の識別情報である使用者ID(使用者が所持する使用者ICタグ4のID)、使用者の名前、使用者の会社内の所属、及び、連絡先(メールアドレス、電話番号等)等から構成されており、その登録番号順に、使用者情報DB62に登録されている。
【0036】
図2(b)に示すように、鍵情報は、鍵貸出装置10に保管される鍵毎に登録されるものであり、鍵の識別情報である鍵ID(鍵に内蔵された鍵ICタグ2のID)、鍵の管理者の名前、管理者の会社内の所属、及び、連絡先(メールアドレス、電話番号等)、その鍵の貸出を許可する許容時間等から構成されており、その登録番号順に鍵情報DB64に登録されている。
【0037】
図2(c)に示すように、貸出情報は、鍵貸出装置10に保管されている鍵毎に貸出情報DB66に登録されるものであり、鍵の識別情報である鍵ID、鍵が保管中であるか貸出中であるかを示す監視結果、鍵を借用した使用者の識別情報である使用者ID、使用者が鍵を借用、又は、返却した時点の時刻を示す更新時刻等とから構成されており、その登録番号順に貸出情報DB66に登録されている。なお、本実施形態では、N個の鍵が鍵貸出装置10に保管されており、登録番号1からNの貸出情報が貸出情報DB66に登録されている。
【0038】
以下に、鍵貸出装置10の制御部12が実行する鍵貸出処理の手順を、図3を用いて説明する。図3は、制御部12にて実行される鍵貸出処理を表すフローチャートである。
鍵貸出処理は、会社や学校等の施設が開いている間、制御部12において実行される処理であり、処理が開始されると、まずS120にて、鍵検出用タグリーダ20により鍵ICタグ2の鍵IDを読み取り、読み取った鍵IDの監視結果フラグをセットし、読み取られなかった鍵IDの監視結果フラグをリセットする。なお、監視結果フラグは保管ケース16内に収納された鍵毎に設けられており、鍵が保管ケース16内に保管されている場合、つまり、制御部12が鍵IDを読み取ることができた場合は保管中としてセットされ、鍵が貸し出されている場合、つまり、制御部12が鍵IDを読み取ることができない場合は貸出中としてリセットされるフラグである。
【0039】
続くS130にて、認証用タグリーダ22により使用者IDが読み取られたか否かを判断し、使用者IDが読み取られていないと判断した場合には(S130:NO)、この判断処理を繰り返し実行し、一方、使用者IDが読み取られたと判断した場合には(S130:YES)、S140に移行する。
【0040】
そして、S140にて、認証用タグリーダ22により読み取られた使用者IDが、予め許可された使用者の使用者IDであるか否かを判断し、許可された使用者の使用者IDでないと判断した場合には(S140:NO)、S220に移行し、表示部28に許可されていない使用者IDであることを表示し、S130に移行して、S130からの処理を繰り返し実行する。
【0041】
一方、S140にて、使用者IDが許可された使用者の使用者IDであると判断した場合には(S140:YES)、S150に移行して、保管ケース16の扉に設けられた施錠装置18の施錠を解除し、続くS160にて、鍵検出用タグリーダ20により読み取られた鍵IDを読み込む。そして、続くS170では、読み込んだ鍵IDの内、その鍵の監視結果フラグがリセット(貸出中)されている鍵ID、又は、読み込まれなかった鍵IDの内、その鍵の監視結果フラグがセット(保管中)されている鍵IDがあるか否か、つまり、返却又は貸出された鍵があるか否かを判断する。
【0042】
そして、返却又は貸出された鍵があると判断した場合には(S170:YES)、続くS180にて、返却又は貸出された鍵の監視結果フラグを更新する。次に、S190では、鍵IDと、監視結果フラグの示す監視結果(保管中又は貸出中)と、S130にて読み取った使用者IDと、計時装置であるRTCにより計時したその時点における現在時刻とから、監視結果フラグを更新した鍵の貸出情報を生成し、続くS200では、生成した貸出情報を、通信部14を介して、管理コンピュータ50に送信する。そして、S200の処理が終了すると、S130に移行し、S130からの処理を繰り返し実行する。
【0043】
一方、S170にて、返却又は貸出された鍵が無いと判断した場合には(S170:NO)、S210に移行し、扉の施錠装置18が施錠されているか否かを判断し、施錠装置18が施錠されていないと判断した場合、つまり、使用者が作業中であると判断した場合には(S210:NO)、S160に移行し、S160、S170、S210の処理を繰り返し実行する。一方、扉の施錠装置18が施錠されていると判断した場合には(S210:YES)、使用者が鍵を返却又は借用することなく扉を閉じたと判断してS130に移行し、S130からの処理を繰り返し実行する。
【0044】
次に、管理コンピュータ50の制御部52が実行する貸出管理処理の手順を、図4を用いて説明する。図4は、制御部52にて実行される貸出管理処理を表すフローチャートである。
【0045】
貸出管理処理は、会社や学校等の施設が開いている間、制御部52において実行される処理であり、処理が開始されると、まずS310にて、通信部54が、鍵貸出装置10から鍵の貸出情報を受信したか否かを判断する。
【0046】
そして、通信部54が鍵の貸出情報を受信したと判断した場合には(S310:YES)、S470に移行して、その受信した貸出情報から鍵IDを読み取り、貸出情報DB66に登録された貸出情報の内の同じ鍵IDの貸出情報を、受信した情報にて更新し、続くS480では、貸出情報DB66に登録された貸出情報を一覧表示するための表示画像を生成して、表示部56に表示し、S310に移行して、S310からの処理を繰り返し実行する。
【0047】
一方、S310にて、通信部54が鍵の貸出情報を受信していないと判断した場合には(S310:NO)、S320に移行して、計時装置であるRTCにより計時した現在時刻が予め設定された通知時刻を過ぎているか否かを判断する。なお、通知時刻は、用途に応じて複数(例えば、午前9時、午後1時、午後6時、午後8時等)設定することが可能である。
【0048】
そして、S320にて、現在時刻が通知時刻を過ぎていないと判断した場合(S320:NO)には、S310に移行して、S310からの処理を繰り返し実行する。一方、現在時刻が通知時刻を過ぎたと判断した場合(S320:YES)には、S330に移行して、カウント値nとして値1をセットする。
【0049】
続くS340にて、貸出情報DB66から登録番号nの貸出情報の監視結果を読み出し、監視結果が貸出中である場合には(S340:YES)、S350に移行して、登録番号nの貸出情報から、鍵が貸し出された時刻を示す更新時刻を読み取る。そして、S360にて、更新時刻と現在時刻とから、鍵が貸し出されてからの経過時間を算出し、続くS370では、鍵情報DB64に登録された鍵情報の内、登録番号nの貸出情報の鍵IDを含む鍵情報から、予め鍵毎に設定された許容時間を読み取り、算出した経過時間が許容時間を超えているか否かを判断する。
【0050】
そして、S370にて、経過時間が許容時間を超えていると判断した場合には(S370:YES)、S380に移行して、超過時間として、経過時間と許容時間との差を算出する。また、続くS390では、使用者情報DB62から、登録番号nの貸出情報の使用者IDに該当する使用者情報を読み取り、S400では、鍵情報DB64から、登録番号nの貸出情報の鍵IDに該当する鍵情報を読み取る。
【0051】
続くS410にて、登録番号nの貸出情報と、この貸出情報の鍵ID及び使用者IDに該当する鍵情報及び使用者情報と、S380にて算出した超過時間と、から通知情報を生成する。
【0052】
そして、S420では、カウント値nと、鍵貸出装置10の保管された鍵の数、つまり、貸出情報DB66に登録された貸出情報の数Nと、が等しいか否かを判断し、n=Nでない場合には(S420:NO)、S460に移行し、カウント値nに1を加える(n=1の場合はn=2となる)。次に、S340に移行し、n=Nとなるまで、S340からの処理を繰り返し実行する。
【0053】
一方、n=Nの場合には(S420:YES)、S430に移行して、S410にて生成した通知情報から、管理者及び使用者の連絡先を読み出し、各連絡先毎に送信用のメールデータを生成する。そして、続くS440にて、生成した送信用メールデータを送信し、S450では、S410にて生成した通知情報を一覧表示するための表示画像を生成して、貸出情報の一覧表示に加えて表示部56に表示し、S310に移行して、S310からの処理を繰り返し実行する。
【0054】
また、S340にて、貸出情報DB66から読み出した、登録番号nの貸出情報の監視履歴が貸出中でない場合、つまり、鍵が鍵貸出装置10にて保管中である場合(S340:NO)、S370にて、経過時間が許容時間を超えていないと判断した場合(S370:NO)には、その鍵の貸出状況は正常であると判断し、使用者又は管理者に鍵の貸出状況を通知する必要は無いので、S420に移行する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の鍵貸出管理装置1においては、鍵ICタグ2が内蔵された複数の鍵が保管された保管ケース16に、鍵ICタグ2の鍵IDを読み取る鍵検出用タグリーダ20が設置されており、この鍵検出用タグリーダ20にて鍵IDが読み取られると、鍵貸出装置10が、鍵検出用タグリーダ20による鍵IDの読み取り状態に基づき、各鍵が保管中であるか貸出中であるかを監視し、監視結果が変化した鍵の貸出情報を生成し、管理コンピュータ50に送信する。そして、管理コンピュータ50は、鍵貸出装置10から送信された貸出情報に基づき、貸出情報DB66に保存された貸出情報を更新する。また、予め設定された通知時刻になると、貸出情報DB66から監視結果が貸出中の貸出情報を読み出し、この貸出情報に基づき、貸出中の各鍵が予め設定された許容時間を超えて貸し出されているか否かを判断し、許容時間を超えて貸し出されていると判断した場合に、その貸出情報を予め設定された連絡先に通知する。
【0056】
このため、本実施形態の鍵貸出管理装置1によれば、複数の鍵が夫々保管中であるか貸出中であるかが監視され、貸出中の鍵に関する貸出情報のみが管理者に通知されるので、鍵の数が多い場合にも、管理者は容易に鍵の貸出状況を把握することができ、受信するデータ量が少なくてすむので都合がよい。
【0057】
また、貸し出された鍵が、予め許可されている許可時間を超えても返却されないときにのみ、その鍵の貸出情報が通知されてくるので、管理者は、貸出情報が通知されてくることにより、鍵が異常な貸出状況にあると即座に認識することができる。さらに、その鍵が貸し出された時刻、及び、その鍵が許可時間を超えて貸し出されている時間が通知されてくるので、管理者は異常な状態をより詳しく把握することができる。
【0058】
また、管理者にメールにて貸出情報が通知されるので、管理者はメールを受信可能な端末(携帯電話、PHS、ノートパソコン等)を所持していれば、電波の届く範囲で、どこでも鍵の貸出状況を把握することができる。
【0059】
また、本実施形態の鍵貸出装置10の保管ケース16には、保管ケース16の扉を施錠するための施錠装置18と、使用者の携帯する使用者ICタグ4の使用者IDを読み取る認証用タグリーダ22が設置されており、認証用タグリーダ22にて、鍵を借用しようとする使用者の使用者IDを読み取り、読み取った使用者IDに基づき、この使用者が鍵の借用を許可された使用者であるか否かを判断し、許可された使用者であると判断すると、施錠装置18を解錠するようにしているので、予め許可された使用者のみが鍵を借用でき、許可されていない人間が鍵を持ち出すことを防止できる。
【0060】
そして、鍵貸出装置10にて生成され、管理コンピュータ50から送信される貸出情報は、認証用タグリーダ22にて読み取った使用者IDを含んでいるので、管理者は、誰が鍵を借用しているかを把握することができる。また、使用者IDと共に、使用者の名前とメールアドレス、電話番号等の連絡先とが通知されてくるので、管理者は即座に使用者に対して連絡をとることが可能となる。
【0061】
一方、鍵の使用者にも、その使用者が返却していない鍵の貸出情報が通知されるので、使用者にその旨を知らせることができ、使用者に鍵の返却を促すことが可能となる。
以上説明した実施形態において、鍵検出用タグリーダ20は、本発明のタグリーダに相当し、認証用タグリーダ22は、本発明の使用者認証手段に相当し、メモリ24、使用者情報DB62、貸出情報DB66は本発明の記憶手段に相当する。
【0062】
そして、S130、S140の処理は、本発明の使用者認証手段に相当し、S150の処理は、本発明の施錠装置制御手段に相当し、S160〜S190、S470の処理は、本発明の貸出情報更新手段に相当し、S320〜S440、S460の処理は、本発明の貸出情報通知手段に相当する。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、貸出中の鍵が、予め設定された許可時間を超えても返却されない場合に、その鍵の管理者と使用者に対して、貸出中の鍵の貸出情報を通知するように構成したが、許可時間を超えているか否かに関わらず、予め設定された時刻毎に、管理者と使用者に対して、貸出情報を通知するようにしてもよい。また、連絡先として、管理者及び使用者の電子メールアドレスを設定したが、管理者又は使用者のみに通知するようにしてもよい。そして、連絡方法としては電子メールによる通知でなく、FAX、電話による通知でもよい。
【0064】
また、鍵貸出装置10と、管理コンピュータ50とは、通信可能に構成されていれば、その設置場所を限定されることはなく、互いをケーブルで接続して同じ部屋内に設置してもよいし、施設内に設けられたLANにて接続し、同じ施設内の別々の場所に設置するようにしてもよい。さらに、鍵貸出装置10と、管理コンピュータ50とを、インターネット等の公衆回線を介して接続し、管理コンピュータ50を各施設を管理する管理会社等に設置してもよい。そして、鍵貸出装置10と、管理コンピュータ50とを、LAN又はインターネット等の通信回線で接続する場合には、複数の鍵貸出装置10を1台の管理コンピュータ50にて管理するようにしてもよく、このようにすると、管理コンピュータ50の数が少なくてすむので、コストを下げることができる。
【0065】
そして、本実施形態では、管理対象物を鍵としたが、鍵に限定されることはなく、例えば、入館許可が必要な施設へ入館するための許可証、機密ファイル、本等、保管場所が定められた物であれば何でもよい。
【0066】
また、本実施形態では、鍵の貸出許容時間を鍵毎に設定したが、使用者毎に設定してもよい。そして、許容時間、通知時刻等の設定は、時間単位だけでなく、日数単位で設定することも可能である。
【0067】
そして、本実施形態では、認証用タグリーダ22にて、許可された使用者が携帯する使用者ICタグ4の使用者IDを読み取ることにより、使用者を認証したが、使用者が暗証番号を入力するための機能を設け、入力された暗証番号により、使用者を認証するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態の鍵貸出管理装置1の全体構成を表す構成図である。
【図2】データベースに登録された使用者情報、鍵情報、貸出情報を説明する説明図である。
【図3】鍵貸出装置10にて実行される鍵貸出処理を表すフローチャートである。
【図4】管理コンピュータ50にて実行される貸出管理処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
2…鍵ICタグ、4…使用者ICタグ、6…通信回線、8a…携帯電話、PHS、8b…携帯情報端末、8c…インターネット端末、10…鍵貸出装置、12…制御部、14…通信部、16…保管ケース、18…施錠装置、20…鍵検出用タグリーダ、22…認証用タグリーダ、24…メモリ、26…外部I/F、28…表示部、50…管理コンピュータ、52…制御部、54…通信部、56…表示部、58…操作部、60…メモリ、62…使用者情報DB、64…鍵情報DB、66…貸出情報DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象物が保管される保管装置において、保管される管理対象物に付与され、且つ、この管理対象物の識別情報が記憶されたICタグを介して、管理対象物の保管装置からの貸出状況を管理する貸出管理装置であって、
前記保管装置に配置され、前記ICタグから前記管理対象物の識別情報を読み取るタグリーダと、
前記管理対象物が保管中であるか貸出中であるかを示す貸出情報を記憶するための記憶手段と、
前記タグリーダによる識別情報の読み取り状態に基づき、前記管理対象物が貸出中であるか保管中であるかを監視し、該監視結果に基づき前記記憶手段に記憶された貸出情報を更新する貸出情報更新手段と、
予め設定されたタイミングで、前記記憶手段に記憶された貸出情報を読み出し、該読み出した貸出情報が貸出中を示す場合に、該貸出情報を予め設定された連絡先に通知する貸出情報通知手段と、
を備えることを特徴とする貸出管理装置。
【請求項2】
前記保管装置は、複数の前記管理対象物を保管可能に構成され、該保管される複数の管理対象物には、個別の識別情報が記憶されたICタグが付与されており、
前記記憶手段には、各管理対象物毎に貸出情報が記憶され、
前記貸出情報更新手段は、前記タグリーダによる各管理対象物の識別情報の読み取り状態に基づき、前記各管理対象物が保管中であるか貸出中であるかを夫々監視し、該監視結果に基づき、前記記憶手段に記憶された各管理対象物の貸出情報を夫々更新することを特徴とする請求項1に記載の貸出管理装置。
【請求項3】
前記貸出情報更新手段は、前記管理対象物の監視結果が保管中から貸出中に変化したときに、現在時刻を該管理対象物の貸出情報の1つとして前記記憶手段に格納することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貸出管理装置。
【請求項4】
前記貸出情報通知手段は、前記読み出した貸出情報が貸出中を示す場合に、該貸出中の管理対象物が予め設定された許容時間を超えて貸し出されているか否かを判断し、該許容時間を超えて貸し出されていると判断した場合に、前記貸出情報を予め設定された連絡先に通知することを特徴とする請求項3に記載の貸出管理装置。
【請求項5】
前記貸出情報通知手段は、前記管理対象物の前記許容時間からの超過時間を算出し、前記貸出情報に加え、該算出した超過時間を予め設定された連絡先に通知することを特徴とする請求項4に記載の貸出管理装置。
【請求項6】
前記保管装置を施錠するための施錠装置と、
前記管理対象物を借用しようとする使用者から個別の識別情報を取得し、該取得した識別情報に基づき、前記使用者が前記管理対象物の借用を許可された使用者であるか否かを判断する使用者認証手段と、
該使用者認証手段により、前記使用者が前記管理対象物の借用を許可された使用者であると判断すると、前記施錠装置を解錠する施錠装置制御手段と、
を備え、
前記貸出情報更新手段は、前記管理対象物の監視結果が保管中から貸出中に変化したときに、前記使用者認証手段により読み取られた使用者の識別情報を、前記貸出情報の1つとして前記記憶手段に格納することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の貸出管理装置。
【請求項7】
前記記憶手段には、少なくとも前記管理対象物の借用を許可された使用者の名前及び連絡先を含む使用者情報が使用者毎に記憶されており、
前記貸出情報通知手段は、前記使用者の識別情報に対応する前記使用者情報を前記記憶手段から読み取り、前記貸出情報に加え、該読み取った使用者情報を予め設定された連絡先に通知することを特徴とする請求項6に記載の貸出管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−126889(P2007−126889A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320900(P2005−320900)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】